なんか毛糸のチョッキとか引っ張り出して着ている二礼です、こんばんは。
ていうかもう4月も終わるというのに、気温おかしくないですか?
ついこの間までは「暑いよ~; もう夏が来たよ~;」とか言っていたのに、何故に冬に戻るのか!!
冬着で誕生日を過ごしたのなんて初めてだったよwww
暑いのか寒いのか、もうはっきりして頂戴!!
体力がついていかないんだってば!
長編『奇跡の証明』の第五話をUPしました。
ふひひw 結婚の儀はマッパですよ~(*´д`*)
(何か凄くタイムリーな感じになってしまったんですけど…w 裸になって何がわrうわ何だ貴様何をすrqあwせdrftgyふじこlp;@!!)
ファンタジーパロを書こうと決めた時に、最初に浮かんできたのがマッパの結婚式でしたw
如何に二礼の脳が腐っているのかこれでよくお分かりになられるかと思いますが、実は旧/約/聖/書のアダムとイブも参考にしてたりして…。
(高校がミッション系の女子校だったので、三年間みっちり聖書の勉強をさせられたのです。ちなみに二礼は無宗教ですよ(*'-'))
結婚の儀の本番は次回になっちゃうかな~。
漸く本当に書きたかった部分に近付いて来たみたいです。
あ、あと考察のページも少し書き加えときました。
誰も見ないとは思いますが…w
以下は拍手レスです~!
>4月28日の21時頃にコメントを下さった方へ
お祝いの言葉、嬉しかったです!
ありがとうございました~(*´д`*)
そのお言葉だけで、誕生日を迎えた甲斐がありましたw
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました!(*'-')
触手ネタを気に入って頂けて、何よりでございます(´∀`)
私も頑張って書いた甲斐がありましたw
せっかくの触手ネタなのでなるべくエロくしようとしたのですが、読み返したらイマイチでしたね…(´・∀・`)
もうちょっと…こう…何とかなりそうな気がしますw
修行してくるか…;
そういえば、Rosebank様のコメントにもありましたが、ウチの城海は本当にお互いの事が好きみたいなんですよね~。
だから海馬は我を忘れて無茶し過ぎてしまうし、城之内はそれに対して本気で怒ってしまうんです。
Rosebank様が「城之内は良く海馬を諭しますね」と言って下さった通り、城之内はよく海馬に構っていますしね。
相手の事が本気で好きだからこそ、本気で怒って本気で諭すっていうパターンが結構好きみたいです(*'-')
城之内→海馬だけじゃなくて、いつか海馬→城之内っていうパターンもやってみたいんですけど…。
何せウチの城之内は半端無く常識人なんでw
非常識人の海馬がつけいる隙が無いんですよねぇ…(´∀`;
でも「やってみたい!」と思ったことは一度はやってみないと気が済まないので、いつかそういう内容の小説を書けたらいいなと思っています。
あ、あとお誕生日のお祝いのお言葉、どうもありがとうございました~!(*´д`*)
凄く嬉しかったです!
Rosebank様の妹さんの「今より若い時はもうないからやりたい事をなんでもやっておいたほうがいいよ」のお言葉にはなるほど…と思ってしまいましたw
うん、確かにそうですね…w
そのお言葉通り、今の内に色々やっておこうかと思います(*´∀`*)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
2009年4月アーカイブ
「お前の要望もあったから派手な式とかはしないけどな、この国独自の儀式だけはやらなくちゃいけないんだ。悪いけど付き合ってくれ」
克也にそう言われ、瀬人は黙ってその後を付いていく。
先程の一件ですっかり緊張が解けた二人は、マナと共に皇宮の中庭を抜けてその先にある神殿へと歩いていた。
「この皇宮の下には『誓いの泉』と呼ばれる神聖な泉が広がっている」
歩きながら克也が瀬人に説明をする。
「我が黒龍国の皇族は、何かある度にその誓いの泉にて儀式を行うことが定められている。例えば『成人の儀』とか今みたいな『結婚の儀』とかな。オレの場合はついこの間『成人の儀』を終わらせたばかりだし、一年前には『皇帝即位の儀』もやった」
「これからやるのは…その…『結婚の儀』…なのか?」
「ご名答! そんなに時間はかからないから大丈夫だよ」
神殿内に入ると、一番突き当たりの奥にこの国の守護龍である『真紅眼の黒龍』の像が祭られて居るのが見え、その脇には神官が一人控えていた。
「皇帝陛下、お待ちしておりました」
「うん、ご苦労だな。早速扉を開けてくれ」
克也の言葉を受けて神官が真紅眼の黒龍の像に何かを細工しそれをそっと押すと、像はまるで何かに導かれるように鈍い音を立てて横にずれた。そしてその下には、地下に続く長い階段が現れる。
「瀬人、こっちだ」
克也は瀬人の手を取ると、ランタンも松明も持たずに現れた地下に何の躊躇もなく入っていく。
「へ…陛下! ちょっとお待ち下さい!」
薄暗い地下に続く階段は足下がよく見えなくて不安になる。
慣れない女物の服のこともあって足を縺れさせながら、それでも手を引く克也に付いて行くしかない。
「陛下じゃなくて二人きりの時は克也な? あと敬語も禁止」
「へい…じゃなくて克也…っ! こんな地下に潜るなら灯りが必要なんじゃないのか?」
「心配無い。その内明るくなるから」
「え…?」
言われて顔を上げてみると、何時の間にか周りがぼんやり輝いて見えた。
一体何事かと視線を張り巡らせて見れば、壁にいくつも突き刺さっている水晶が自然発光しているのが見える。
それは奥に行けば行くほど明るくなり、地下に辿り着く頃にはまるで真昼のような明るさになっていた。
「凄い…っ! これは一体…」
思わず感嘆して周りを見渡せば、後ろにいたマナがその疑問に答えるように口を開いた。
「この皇宮地下にしか存在しない不思議な水晶なんです。伝説では黒龍国の大地そのものになった真紅眼の黒龍の肉体の一部とも伝えられていますけれど、詳しい事は分かっておりません。ただここにある水晶を他の場所に移してしまうと、途端に発光を失って普通の何の変哲もない水晶になってしまうんですよね。不思議でしょう?」
マナに説明を受けて瀬人はもう一度周りを見渡してみる。
そこは広い空洞になっていた。壁にいくつも突き刺さった水晶が輝いて、地下なのに自分達の影が出来るほどだった。
余りに美しい風景に見惚れていた為、一人の人物が近付いて来たことに瀬人は気付かなかった。
「バクラ」
先に気付いた克也がその人物に声を掛ける。
「お待ちしておりました、皇帝陛下。そして皇后サマも」
自分達に深々と頭を下げるその人物は、肌も髪も真っ白だった。
さらにその瞳はまるでこの国の守護龍のように真っ赤な紅の色をしていた。
「彼の名はバクラ。オレの代に新しくこの誓いの泉の守り人となった人間だ」
「守り人…?」
「そう。彼等は守り人の一族と呼ばれ、代々この誓いの泉を護る任に付いている。皇帝が変わる度にその皇帝と一番近い年齢の者が、その代の守り人となる決まりなんだ。髪や眼の色が違うのは、一族がずっと地下に住んでいるからそれに特化したらしい。それにこの瞳の色は我が国の守護龍である真紅眼の黒龍と同じだからな。神聖視されているんだ」
克也の説明を受けて、瀬人は改めてバクラを見詰めた。
鋭い視線でこちらを見ていたバクラが頭を下げ臣下の礼を取る。
「初めまして皇后サマ。オレはバクラといいます。まぁ…これから度々お会いする事になると思いますが、どうぞよろしく」
「あ…あぁ…よろしく」
彼の手を取ることで挨拶をしようとした瀬人は手を差し出すが、その途端バクラはスッと身を後ろに引いてしまった。
「瀬人様」
バクラの行動の理由がよく分からなかった瀬人に、マナがそっとフォローをする。
「守り人の一族は皇族のお身体に指一本触れることは許されておりません。ですから彼には触れないようにお願い申し上げます」
マナの言葉に瀬人は「わかった」と頷いた。
白龍国とは全く違う慣習に戸惑うばかりで、瀬人は自分は本当にここでやっていけるのかと不安に思ってしまう。
そんな瀬人に克也は笑いかけ、その手を引いて歩き出し目の前を指差した。
「瀬人、見えるか? あれが誓いの泉だ」
それは大きく美しい泉だった。
下の砂地からは常に新たな清水が噴出し、周りの水晶から灯りを受けてキラキラと眩しく輝いている。
泉の中央には小島があり、そこには巨大な黒水晶が真っ直ぐに聳え立っていた。
それは圧巻されるほどの巨大さで、見上げれば水晶の先は地下の天井にまで届いてしまっている。
「克也…。あの黒い水晶は…?」
「あぁ、アレが一番重要なんだ。何でも真紅眼の黒龍が大地に同化した時その息吹があの黒水晶になったらしいんだけどな。まぁ、あれに名前を書く事が儀式なんだ」
名前を書くだけと聞いて少し安心した瀬人に、克也は急に真面目な顔で向き直る。
「これから儀式を始めるけど、少し特殊だからちょっと説明を聞いてくれ」
「あ…あぁ…」
克也の真面目な声色に、瀬人も静かに次の言葉を待った。
「まずこの誓いの泉なんだけど。この泉の水は神聖なもので、皇族以外が触れる事は禁じられている。あとこの水には如何なる武器もどんな服も身につけて触れることは許されていないから、全裸で入らないといけないんだ」
「は…? な…んだと…?」
「と言う事で、今すぐ服脱いでね」
「ま…まさか…、全部か!?」
「うん。全部。勿論下着もな」
そう言って早速服を脱ぎ始めた克也に、瀬人は唖然とするしか無かった。
本日…また一つ年を取ってしまった二礼です、こんばんは。
この年になると誕生日を迎えても、もう余り嬉しくない…(´・∀・`)
むしろついにXデーが来ちゃったか…orz とガッカリしてしまいますw
だけどいい事もそれなりにあるようで。
一つ目。マクドナルドのベーコンポテトパイが復活!
ずっと前から好きだったこのメニューがマックから消えて数年。漸く復活したそうです。
いや~、ニュース見た時は本当に嬉しかったですね~(´¬`)
何かもう、ケーキの代わりにコレでいいやw
二つ目。また遊戯王MADがランクイン!
音担当者も映像担当者もどちらも好きだったんですけど、コレはアレですね…。
出会っちゃ行けない人達が出会っちゃったパターンですよね…w
もう面白過ぎるwwwww
腹筋が壊れるからwwwww
ギター弾かないでwww そして踊らないでwww
ちなみに悲しかった事(遊戯王に全く関係の無い作品の為、一応反転させます)
灰/男…、また休載ですか…orz
漸く神/田の秘密が分かりそうになったところでそれは、生殺し過ぎるだろう…;
このガックリ感は打ち切りになるより辛いぞ…;
うん。悲しかった。
でもまぁいつもの事なので、待ってればまた復活するでしょう。
短編『素質Ⅲ』をUPしました。
ぶっちゃけ触手ネタですwww
あるお方から天啓を授かったネタなのですが、書いてみたらやっぱりエロくなりました(´∀`;
という事で*マーク二つでございます。
苦手な人は、即避難でよろしくです。
以下は拍手のお返事になります~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
そして予想はビンゴでした! おめでとうございますw
Rosebank様から天啓を授かって数週間。
ようやっと触手ネタを形にする事が出来ました~。
相手が人間じゃ無いので少し難しかったですけど、逆に遠慮も何もしなくて良かったので、すっごい楽しんで書いてしまいました…w
とまぁ…こんな感じなんですけど如何でしたでしょうか?
自分ではかなりエロく書いたつもりなんですけど、まだまだ修正の余地がありそうな気がプンプンしますw
触手…侮りがたし!!
そういえばマナの配役を褒めて頂けて嬉しいです(´∀`)
最初配役を考えた時に杏子にしようかと思っていたんですけど、マナの天真爛漫な明るさがこの配役にピッタリだった事、そしてその明るさが悩みがつきない瀬人に必要だという事に気付き配役替えをしたのです。
結果的に凄くいい仕事をしてくれて、私としても満足な結果となりました(*'-')
マナにはこの先も頑張って貰う予定ですので、彼女の働きを見守ってて下さると嬉しいです。
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
>海鈴様
拍手とお返事、どうもありがとうございます~!
早速海鈴様のサイトをリンクさせて頂きました~(´∀`)
凄く綺麗なイラストサイトさんだったので、びっくりです!
私もこれから一杯遊びに行かせて貰いますので、これからもどうぞ宜しくお願い致します~!
それから女官マナを気に入って下さった様で、ありがとうございます!
今回の『奇跡の証明』に出てくるキャラクター達の中でも、彼女の立ち位置は自分でも結構気に入っているんですよね。
元々マナが「この子、いい子だな~」と思って大好きだったので、こんな感じで活躍させることが出来て、私自身満足しているところがあるんですw
こんな感じで連載して行こうと思ってますので、お暇な時に見に頂ければ幸いです(*'-')
それではこれで失礼致します。
リンクの件、どうもありがとうございました~!(・∀・)ノシ
城海前提の触手×海馬。
ついにやっちゃった触手ネタですw
エロエロだと思いますので、苦手な方は緊急避難をお願い致します~!!
薄暗い部屋にキーボードを叩く音が響く。
オレは組んでいたプログラムの最後の文字を入力すると、エンターキーを押して大きく息を吐き出した。
ここはオレの私室の隣にあった空き部屋を利用して作った、簡易サーバールームだ。
本来のサーバールームはKCの地下にあるのだが、一々会社に戻っていたのでは不都合極まり無いので、オレの一案で屋敷にも簡易の部屋を作ることにしたのだ。
これで仕事がしやすくなったというのは勿論あるが、オレにはもう一つ別の目的がある。
それはこの屋敷にサーバールームが出来た事で、より城之内とヴァーチャル世界での遊びがしやすくなったという事だ。
恋人として付き合い始めてから初めて分かった事だが、はっきり言って城之内にはドSの素質がある。
本人は必死で否定しているが、ドMの俺から見れば奴のS気質は本物であるし、オレとしてもそれを見逃す訳が無い。
そういう理由でこの頃は現実世界からヴァーチャル世界まで様々な場所で様々なプレイをし、俺は着々と城之内のドS化計画を進行しているという訳だ。
実はいまやっていた作業も仕事ではなく、城之内と『遊ぶ』為のプログラムを組んでいたのだ。
目の前のモニターには巨大な磯巾着の化け物のようなものが、ウネウネと身を躍らせている。
この化け物はオレが城之内に触手プレイをさせる為だけにデザインした代物だ。
城之内にプレイをさせると言っても、別に奴にコイツをけしかける訳ではない。
コイツをけしかける先は…このオレだ。
遊び方は別に難しくは無い。
普通のゲームのようにオレがプログラムしたいくつかの行動パターンを組み合わせて、それをこの化け物に命じるだけだ。
命じた行動を決定させると、化け物はそれに習って命令されたプログラムをこなしていくだけ。
これならPCに疎い城之内でも、簡単に遊ぶ事が出来るだろう。
そこまで考えて、オレは改めてモニターの中の化け物を見つめた。
黒地にモスグリーンの斑模様の醜い化け物は、見ているだけでも吐き気を催す程気持ちが悪い。
この化け物を城之内が操って、それにオレが犯されるのだ…。
そう思った瞬間、ゾワゾワとした快感が背筋を昇ってきて、オレは自分の身を抱き締めるとうっすらと笑みを浮かべてしまっていた。
相変わらずオレ自身はド変態らしい。
まぁ、自分の事は自分がよく知っているから、別に何とも思わんけどな。
マウスを使ってモニターの中の化け物を上下左右に眺めながら、それにしても…とオレは思う。
ここ最近ヴァーチャル世界でのプレイが多くなってはいるが、どんなに激しいプレイをしてもそれで満足するという事が無いのだ。
プレイが終わった瞬間はそれなりに満足しているのだが、現実世界に戻って来た途端、何か物足りなさを感じてしまう。
逆に言えば現実世界では、城之内が好きだという極一般的なセックスをしただけでも、何故か身体はそれで充分に満足するのだ。
やはり脳への電気信号だけの刺激と、身体に直接刻みこまれる刺激とでは、快感というものは比べものにならないんだろう。
それ故オレ達はヴァーチャル世界のプレイだけにハマる事も無く、現実世界でもしっかりとセックスをしているのだ。
むしろこの頃は現実世界でのプレイの方が多くなってきている。
そういう事でオレは、久しぶりのヴァーチャル世界でのプレイをより楽しんで貰う為にコイツを作り出したという訳なのだ。
モニターの中ではすっかり出来上がっているその化け物を実際に見に行く為に、オレは座っていた椅子から立ち上がった。
プログラム上では完璧に出来ていても、ヴァーチャル世界で実際に目の当たりにするのとではイメージというものが全く違ってくる。
それを確かめる為に、オレはヴァーチャル世界に降りる為のカプセルに入り込んだ。
行動プログラムは入力していないから、例え目の前に降りていっても化け物は何も出来ない。ただそこに存在しているだけだ。
「とりあえず温度と質感か…。修正が必要なら後で直せばいいか…」
そう呟いてオレはゆっくりと目を瞑り、やがて意識はヴァーチャル世界へと飲み込まれていった。
目を開けるとそこは一面の白い世界。
当たり前だ。この化け物を作った空間にはまだ何の背景も入れてはいなかったからな。
でも何か仮に入れて置けば良かったか…。目が眩しすぎる。
そう思いながらオレは自らが作った化け物に近付いていった。
大きさはオレの二倍程度。
プログラムを組んでいる時はそんなに大きいとは思っていなかったが、実際目の当たりにするとそれなりにデカイ事が分かる。
「もう少し小さくても良かったか…? いやしかし、あまり小さいのも迫力が無いな…。大体これは、コイツがオレを犯すのを見させて城之内を興奮させる為に作ったのだから、むしろもっと大きくてもいいのか…?」
ブツブツ言いながらそっと触手に手を伸ばして触ってみる。
触れた途端ぬるりと滑る粘液と人間の体温より若干低いその温度が、最高に気持ち悪かった。
強く掴むとグニグニとした触感が伝わってきて、その感触や太さが男性のアレを思い出させてオレはブルリと震えてしまう。
「ククク…最高だ。よし、今度城之内が来たらこれで遊ばせてやろう」
オレは自分の作った物に満足し、一旦現実世界に帰る為に振り返った。
だが次の瞬間、オレは後ろから突如襲ってきた触手に雁字搦めにされてしまう。
「なっ………!?」
一瞬何が起こったのか理解出来ず目を白黒させるが、巻き付いた触手がオレの服を溶かし始めたのを見て、漸く事態が飲み込めた。
オレは今、自分が作った化け物に襲われていた。
巻き付いた触手は力を弛めることもなく、ズルズルと動き回りオレの服を溶かし続けている。
「や…やめろ…っ!!」
思わず大声を出して抵抗するが、たかが人間の力でこの化け物の触手から逃げられる筈が無い。
その事がオレにはよく分かっていた。
何故ならば…、そうプログラムしたのは他でもないこのオレだからだ…。
しかし何故だ?
この化け物は『外』から行動パターンを入力して決定しないと動き出さない筈なのだ。
たかがプログラムに意志などある筈もなく、人間が弄らなければ決して動く筈が無いのだ。
あり得ない事象に混乱してしまい、適切な行動が取れない。
その間に服は殆ど溶かされてしまって、現れた素肌に触手がズルリと這い回った。
「っ…! ひっ…!」
余りの気持ち悪さに悲鳴をあげてしまう。
粘液を纏わり付かせたその触手は、ズリズリとオレの身体を這いずり回り、動きを止める気配は無かった。
「くっ…! この…や…め…っ!!」
何とか触手を引き剥がそうとその内の一本を手で掴み取ると、急にそれが伸びて手首に絡まってきた。
反対側の手首も同じように絡め取られて腕が無理矢理持ち上げられ、オレの身体は空中に吊されてしまう。
完全に宙に浮いてしまったオレはもう何の抵抗も出来ずに、再び纏わり付く触手に好き勝手に蹂躙されていくしかなかった。
「あっ…! い…いやだぁ…っ!!」
人間の体温より若干低い温度の触手は触れられるとヒヤリと冷たくて、まるで巨大な蛇か何かに巻き付かれているような気がして生理的嫌悪感を催す。
それでいてヌルヌルとした粘液を纏っている為、それが何か得体の知れないものを想像させてオレは鳥肌を立ててしまった。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
だけどそれなのにオレの身体の中心は、まるで火が付いたように熱くなっていた。
「あぁ…っ、はぁ…っ」
たまらず熱い息を吐き出した。
今や化け物の触手は、太いものから細いものまで全てがオレの身体を這いずり回っている。
首や太股に太い触手が絡みつき、粘液を擦りつけながらズルズルと動かれると、それだけでゾクゾクとした快感が背筋を駆け上がる。
細い触手がオレの手指の付け根を縫うように走り、手への愛撫が弱いオレはそれだけでブルリと身体を痙攣させた。
やがて一際太い触手がオレの足の間に入り込み、まるで股下を撫でるようにズルリとぬめった表面で前後に動き出す。
「うぁ…っ! ひぁっ…ん!! あっ…あぁ…、くぅっ…!」
股間が触手の出した粘液でぬるりと濡れ、じわりとした快感がオレを苛んでいく。
ビクビクと身体を揺らしていると、中くらいの太さの触手が勃起していたオレのペニスに巻き付いた。
そしてキュッと強く締め上げられてしまう。
「やぁっ…!! あぅっ…、や…だ…。やめろ…っ!」
きつく締め上げられたままヌチヌチと動かれる。
まるで人間の手に強く握られたまま愛撫されているようで耐えきれない。
あっという間に絶頂感がオレを支配するが、根本を強く握られている為射精する事も出来なかった。
触手はまるで弄ぶかのように、強く弱くオレを苛んでいく。
その強すぎる快感にオレは喘ぎを止める事も出来ず、開けっ放しの口からは涎がボタボタと零れ落ちる。
その口の中に、ペニスに巻き付いているのと同じ大きさの触手が無理矢理入って来た。
「んんっ…!! んっ…むぐぅ…!!」
文句を言おうにも口が塞がれてて何も言うことが出来ない。
そうこうしている内に足に纏わり付いていた触手の内の一本がズルズルと這い上がってきて、やがてオレの後孔の入り口に辿り着く。
これからその触手が何をしようとしているのかが嫌でも分かってしまって、オレは首をブンブン横に振りながら必死に抵抗した。
だがオレのそんな抵抗などあって無いようなもの。
触手は暫く入り口を撫でるように愛撫していたかと思うと、そのままズルリとオレの身体の中に入り込んできた。
「っ………!? んっ…ぅ―――っ!!」
思っていたよりもずっと太いそれに、オレは一瞬呼吸が出来なくなり身悶えた。
中に入り込んだ触手はオレの内壁を擦るように暫く上下に動き、やがてオレの前立腺を見付けそこを先端でグリグリと押さえつけてくる。
「んんっ!! ぅ…ふぅっ…ん!! んっ…んっ…あむぅ…っ!!」
何度も何度もしつこく刺激されて、オレの頭は真っ白になった。
感覚だけで言うならもう何度もイかされているのに、オレのペニスの根本は相変わらず強く締め付けられ、射精する事が叶わない。
更にいつのまにか細めの触手がもう一本挿入されていて、オレは二本の触手に後孔の最奥を犯され気が狂いそうになっていた。
両足に巻き付いた触手が左右に分かれていき、そのせいでオレは大きく足を開かされてしまう。
足を開いたせいで中が動きやすくなったらしく、体内の二本の触手がグネグネと大きく動き、限界を超えた快楽にオレは引き付けを起こしたかのようにビクビクと痙攣し続けてしまっていた。
悲鳴を上げようにも口内に入り込まれた触手でそれも叶わず、鼻から籠もった喘ぎを漏らすのが精一杯だった。
身体中触手に付けられた粘液でベトベトになり、流れ落ちたそれがオレの震える爪先からポタポタと床に零れ落ちていく。
顔も涙と涎と粘液でグチョグチョになって、両手を拘束されている為それを拭う事すら出来ない。
余りの苦しさに激しく首を振ると、それで漸く口の中に入っていた触手が外れて下に落ちた。
「い…いや…、もう…っ」
息も絶え絶えになって、もう何も考える事が出来ない。
それでも痺れ切った脳裏に、ただ一人の姿が思い浮かぶ。
「た…たすけ…っ」
来る筈は無いと思っていた。
オレが簡易サーバールームで何かをしていた事も、一人で勝手にヴァーチャル空間に降りていった事も、奴は知らない筈だ。
更に言えば、確かに今夜会う約束はしてあったが、もっと遅い時間に来ると言っていた。
だから奴が来る筈は無い。
だけどオレは、助けを求めずにはいられなかった。
「じ…城之内…っ!! 助け…て…くれ…っ!! 城之内ぃ………っ!!」
必死に叫ぶと、途端に触手の動きが止まった。
そして力を無くした触手は、そのままオレの身体を解放した。
ズルリと転がり落ちるように床に降ろされたオレは、あまりに突然の出来事に呆気に取られてしまう。
何だ…。一体何が起きた…?
パチパチと瞬きを繰り返してその場に座り込んでいると、頭上から声が響いてきた。
『おい、反省したか? バカイバ』
この声は…っ!
慌てて頭上を見上げると空間が四角く区切られていて、そこには現実世界の城之内がモニターを覗き込むようにオレを見ていた。
「じ…じょうの…うち…」
『たまに仕事を早く切り上げて来てみれば、まーたくだらない事してやがって…。いい加減にしろよ、ホントに』
モニターの向こうの城之内は酷く不機嫌そうだった。
ていうか、多分アレは怒っている。
それも…もの凄く。
「コイツの行動プログラムを動かしたのは貴様か?」
恐る恐る尋ねてみると、途端にギロリと睨まれてしまう。
あぁ、もうその冷たい視線が溜まらなく格好良い…ってそうじゃない。
オレは自分の変態具合に呆れつつも、とりあえず事態がまずい方向に動いている事だけは理解した。
「城之内…、オレは…その」
『海馬。お前の事だから、どうせこの化け物使った触手プレイとか考えていたんだろう?』
「うっ…。そ…それは…」
『オレがこれを操ってお前を犯して、それで触手にまみれたお前を見させてオレを興奮させようと…。そういう事なんだよな?』
「た…確かにそうだが…」
『馬鹿か!!』
突然大声で怒鳴られて、オレは言葉を失った。
今までどんな無茶なプレイを強いてきても、呆れられた事はあったがこんなに本気で怒られた事なんてない。
城之内がいつもの城之内じゃ無い事に、オレは漸く気付く。
奴は今…本気で激怒していた。
『馬鹿だお前は! 大馬鹿だ!! 馬鹿だ馬鹿だと思ってはいたが、ここまで大馬鹿だとは知らなかった!! この馬鹿!!』
馬鹿という言葉を連発して、城之内は怒鳴り続けていた。
流石のオレも、ここまで馬鹿という言葉を連続で投げ付けられた事は無い。
『てめぇが心底惚れている奴が、他の知らない人間や何だか分からない化けモンに犯されているのを見て、お前は本気でそれに興奮出来るとでもいうのか!? 少なくてもオレは無理だね。今だってすっげー胸糞悪いんだ!!』
モニターの向こうの城之内は、怒りを抑えるような、それでいて苦しそうな悔しそうな複雑な顔をしてオレを睨んでいた。
『お前に少し仕置きするつもりでプログラムを動かしたけど、今本気で後悔してる。ていうか余計腹立ってきた…。いいからもう早くこっちに戻って来い!! たっぷり説教くらわしてやるからな!! そんでもってお仕置きだ!!』
城之内はモニターをバンバン叩いて怒鳴り散らしている。
あぁ…そんなにモニターを叩かないでくれ…。
それは特注品で、結構大事に使っているものなんだ…。
とりあえず城之内の怒りを静める為と大事なモニターを守る為に、オレは現実世界に帰ることにする。
そう言えばどさくさに紛れて忘れていたけど、オレは一度もイッていないんだよな…。
身体の奥に燻った熱を抱えたまま、オレは「仕方無いか…」と一人呟く。
どうせ現実世界に戻った途端に、頭に血が昇った城之内の説教が待っているんだ。
そして多分その後には…お仕置きが。
そのお仕置きに期待するとして、オレは暫くは大人しくしていよう…と心に決めた。
うっかり日焼け止めを忘れて見事に日焼けしてしまった二礼です、こんばんは。
昨日とは打って変わってとてもいいお天気になったので、藤を見に相棒やリア友と一緒にサイクリングに行ったのですが…。
ついつい日焼け止めを塗るのを忘れてしまったんですよね…;
帰って来たらアレですよ。見事に日焼けしてました。
まぁこの時期の日焼けですから真っ赤になったりはしなかったんで気付きにくかったんですけど、帰って手を洗う為に腕時計を外したら…;
あれれ? 何でここだけ白いんだ? みたいな?(´∀`;
腕時計だけじゃなく指輪の跡も白くなっててウケましたw
いや、笑い事じゃないし。
年も年だから染みになっちゃうし。
わ…笑うなよぉ~! 死活問題なんだぞぉ~!!(><)
Xデーも近いと言うのに…orz
ちゃんと…気をつけよう…;
長編『奇跡の証明』の第四話をUPしました。
何だか凄くダラダラと続いていますが、なにぶん内容がパラレルファンタジーなので…。
なるべく状況を丁寧に書こうと心がけていたら、こんな状態になってしまいました(´_ゝ`;
まだ暫くダラダラが続きそうですが、大丈夫かなぁ?
呆れられそうな感じがプンプンしますw
火曜日にはエロい短編を一本UP出来たらいいなぁ~。
以下は拍手レスでございまする。
>海鈴様
初めまして~! ようこそ『小春日和』にいらっしゃいませ!
管理人の二礼しげみと申します(*'-')
ウチの小説を気に入って下さったようで、私も嬉しいです~。
どうもありがとうございました(´∀`)
海鈴様が気に入られたとおっしゃって下さった『七年目の桜吹雪』と『雨の日の卑怯者』は、私も自分が書いた中でもお気に入りの部類に入っている作品なんです。
本当にこの二人は高校生でありながら、凄く重たいものを抱えていますよね…。
そして二人共その重荷に決して弱音は吐かず、自らの足で踏ん張って立ち続けています。
私はそんな城之内と海馬に心底惚れてしまい、その萌えを具現化する為にこんな駄文を書き続けてしまっている訳ですw
そういえばオススメのボカロ曲も聴いて下さったんですね~!
私はボカロ黎明期からのボカロファンなのですが、最近は本当に良い曲が一杯出てきて、チェックする方も必死になってます(´∀`;
でもそういう曲からアイデアを頂くことも多いので、まだまだボカロは止められそうにありませんねぇ…。
話は変わりますが、リンクの件は全く問題ありません。
どうぞお好きなように切り貼りして下さいませ~(´∀`)
んで、リンクということは海鈴様もサイトを持ってらっしゃるのでしょうか?
もし良かったら教えて頂けませんか?
こちらの方もリンク貼りたいと思っていますので(*'-')
それではこの辺りで失礼させて頂きます。
拍手とコメント、本当にありがとうございました~!
>Rosebank様
拍手とコメント、いつもありがとうございます~(*´∀`*)
Rosebank様の鋭い推理は、毎回いい刺激になっています(*'-')
でも今回はオリジナリティが大きい部分もあって、余り当たり外れの有無も言えないのです…。
バラしてしまいたいのは山々ですが、ここはグッと耐えて(私がw)ひたすら我慢の子ですw
でもRosebank様の推理を読ませて頂くのはとっても楽しいです(´∀`)
その通りに事を進ませるのも、逆に裏切ってしまうのも楽しいですw(ヒドイw)
今はとりあえず伏線を散らしている状態ですので、それを回収するのはもっと後になるかと思います。
この作業が長編ならではの楽しさなのですが、時々読んで下さる方が飽きちゃわないか心配するところでもあるんですよねぇ…;
でもRosebank様が毎回コメントを書いて下さるので、私も勇気を持って長編を続ける事が出来るんです。
本当にいつもありがとうございます!
そういえば閉鎖されたサイトの事なのですが…。
そのお二方のところもそうなんですが、私は更に二つのサイトさんが閉鎖されているのを発見しちゃったんですよ…;
この短期間に一気に四サイトさんも閉鎖されてしまったのが本気でショックで、それでガックリ凹んでいた訳なんです。
どのサイトさんも本当に大好きだったので、こういう別れは本当に辛いですね…(´;ω;`)
何か金曜の日記が欝っぽくなっちゃってて申し訳ありませんでした。
はぁ~~~…;←何かが抜けていく音
あ、ちなみに火曜日にはエロ投下します(*´д`*)
*マーク二つの予定ですwww
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
瀬人の目の前にいた人物は、一人前の男として成長し皇帝として立派に振る舞う克也の姿だった。
昔、白龍国にいた頃の克也からは考えられない程の威圧感が瀬人を襲う。
その気に当てられて、瀬人は一端は顔を上げたものの再び俯いてしまった。
本能的に感じる気迫に、とてもじゃないがその顔を見続ける事は出来なかったのだ。
「遠路はるばるご苦労であった。よくこの黒龍国へ来てくれたな。礼を言うぞ」
「い…いえ…。皇帝陛下のお召しとあれば、私も断わる道理がございませんので…」
顔を俯けたまま何とかそれだけを答える。自分でも滑稽に思うくらいに声が震えていた。
瀬人の言葉を聞いた克也は、その場でスッと右手を挙げる。その途端周りにいた大臣や兵士がぞろぞろと謁見の間から出て行った。
残されたのは玉座に座っている克也と、その前で跪いている瀬人の二人だけ。
克也は玉座から立ち上がると、俯いたまま顔を上げる事が出来ない瀬人の側に近寄ってきた。そしてその目の前で腰を下ろすと、先程とは全く違う声色で話しかける。
「瀬人、もういいぞ。顔を上げな」
昔と全く変わらぬ優しい声で話しかけて、瀬人は思わず顔を上げてしまう。
そこにいた克也は以前と変わらぬ優しい微笑みを浮かべていた。
「長旅で疲れただろう? ここから先は楽にしていていいからな」
ニコニコと笑いかけながらそう言われて瀬人は混乱してしまう。
先程玉座に座っていた皇帝の克也とこの克也のイメージが、全く重ならなかったのだ。
「それにしても…。瀬人、久しぶりだな。オレはお前が来るのずっと待っていたんだ」
「へ…陛下…。あの、私は…」
「何だよ、堅苦しい話し方は今はやめようぜ。他の人間が居る時は仕方無いけどさ、せめて二人で居る時は昔みたいに普通に喋ろうぜ」
「そんな訳には参りません。陛下、私はもう法皇の地位を降りて、皇帝陛下とは身分が違うのです。昔みたいになど…そんな無礼は出来ません」
「瀬人~。何だよ~、無理に正妃にした事を怒っているのか? 陛下とかやめてくれよな。昔みたいに克也って呼んでくれよ」
「そ…そんな恐れ多いこと…無理です」
頑なに敬語をやめようとしない瀬人に、克也は苦笑して後ろ頭をガシガシと掻いた。
何か困った事に遭遇するとそうやって後頭部を掻く癖は変わらないんだなと、瀬人は少し嬉しい気持ちでそれを見る。
「まぁいいや。とりあえずお前に会わせたい奴が居るんだ」
以前と全く変わらず気持ちの切り替えも早い克也はそう言うと、手を二度ほどパンパンと叩いた。
すると奥の扉から女官が一人入ってくる。
「お呼びですか? 殿下」
その女官の姿と可愛らしい声には、瀬人も見覚えがあった。
「マナ…。マナか…?」
「あぁ…法皇猊下! お久しぶりでございます!」
瀬人を見てすぐに笑顔を浮かべたマナが、小走りで瀬人の側にやって来る。
すっかり大人の女性にへと成長したマナが、瀬人を見て嬉しそうに笑っていた。
それを見て、克也が瀬人に声をかけた。
「瀬人。マナには今日からお前専属の女官として付いてて貰う事になった。何か困った事やして貰いたい事があったら遠慮無くマナに伝えれば良い。やっぱ知らない人間より知ってる人間が側に付いてる方がいいだろ?」
克也の言葉を受けて、マナがコクリと一つ頷くと瀬人に話しかける。
「法皇猊下。私、猊下がこの国で何不自由なく過ごせるように心を籠めてお仕えする所存でございます。何かありましたら遠慮無く何でもおっしゃって下さいませ」
「マナ…。オレはもう法皇では無い。だから猊下とは呼ばないでくれ」
「あ、そうでしたね! 申し訳ありません、迂闊でした。瀬人様のお顔を拝見したら懐かしくて、すっかり昔の感覚に戻ってしまって…。殿下にもよく注意されますものを…」
そこまで言ったところで、克也が「マナ」と少し厳しめに声をかけた。
「お前も物覚えが悪い奴だな。オレはもう皇帝になったんだから殿下じゃなくて陛下だろう?」
「そうは申しましても殿下…」
「陛下!」
「殿下からは一向に皇帝陛下としての威厳が感じられませんので、私としても意識の切り替えが出来ないと申しますか何て言うか…」
「また殿下って言ってる! 陛下だと言っているだろう!?」
「そんなに陛下と呼んで欲しかったら、少しは皇帝らしい威厳を学んで下さいな! いつもいつも落ち着きが無くて、皇太子時代と全く変わっていないじゃありませんか!」
「マナ! お前いい加減にしろよ! それ以上殿下と呼んだら不敬罪で牢屋にぶち込んでやるからな!!」
「やれるものならやってみて下さい! そんな事をしたら母が何と言いますやら…ね」
「なっ…! お…お前…っ! 婆やを出すのは卑怯だぞ!!」
「何だ貴様、乳母に頭が上がらないのか? 皇帝だというのに相変わらず情けない男だな」
まるで昔に戻ったかのように目の前でぎゃあぎゃあと喧嘩をし出す二人に、瀬人も呆気に取られてつい意識が昔に戻ってしまった。
そして何とはなしにポロリと口から滑り落ちてしまった最後の言葉に、そこにいた三人が一同に止まってしまう。
それまでの騒がしさが嘘のようにしーんと静まりかえった謁見の間で、瀬人は漸く自分が何を言ったのか気付き、慌てて自分の口を掌で押さえた。
だが出てしまった言葉は今更元には戻らない。
「も…申し訳…ありま…せん…」
顔を真っ赤にして必死に謝る瀬人に、それまで固まっていた克也がプッと吹き出した。
「っ…。くっ…。くはっ…。あっはははははは!!」
耐えきれずに大声で笑う克也につられて、マナも口元を掌で覆いながらおかしそうに笑っていた。
ひーひー言いながら呆然している瀬人の肩をポンと叩き、克也は至極嬉しそうに言った。
「そうだ。それでいいんだ瀬人。お前はずっとそのままでいてくれ」
その言葉を聞いて、瀬人は漸く自らの肩の力が抜けていったのを感じていた。
度重なる別れに心が痛い二礼です、こんばんは。
最近大好きだった城海サイトさんが、次々と休止や閉鎖をなさっていられるようです。
どなたの方も本当に素敵な作品を一杯UPされていた為、喪失感が半端じゃありません…。
私が城海にハマって自分でもサイトを作ろうと決心出来たのは、そんなサイトさん達の存在があったからでした。
こちらからコンタクトを取る勇気も無く、ただ隠れて応援する事しか出来なかった私がこんな事を言うのはおこがましいですが、どうかこれだけは言わせて下さい。
今まで本当にどうもありがとうございました!!
大好きだったサイトさんから頂いた最高の萌えの数々は、今でも全て覚えております!!
どのサイトさんからも城海に対する深い愛が感じられて、私もそれに心から感動していました。
残念だと思う気持ちはございますが、やはり現実世界での生活を守る事が一番なのです。
ネット上でお会いできる事は二度と無いかも知れませんが、どうかこれからも頑張って下さい…!!
応援しております…!!(`;ω;´)ウッ…!!
ウワァァ━━━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━━━ン!!!!
という風に凹みつつ、長編『奇跡の証明』の第三話をUPしました。
いよいよご対面です。
克也が偉そうです。
つか、偉いです。
でも話的にはまだまだ序章に過ぎません。
本題に入るまでは私もネタバレ防止の為に下手な事も言えず、イライラ気味ですwww
いっその事全部一気にUPしちまおうか…(´_ゝ`;ゴクリ…
冗談です。
以下は拍手のお返事で~す!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
Rosebank様の推理を読んで、一人でニヤニヤしてしまいましたw
相変わらず鋭い視線を持ってらっしゃいますが、あんまり話すとネタバレになっちゃうので秘密なのです…(´―`)
あ、でも静香ちゃんはいますよ。
ただし理由があって一緒には住んでいませんけどね~。
あ、FF13の曲を聴いて下さったんですね!
私がずっと聴いているのもその動画です(*'-')
本当に壮大で格好いい戦闘曲ですよね。
まぁ…こんな素晴らしい曲を私の小説なんかのイメージソングにするのは…なんか勿体無い気がしますが…w
あとはそうですねぇ。
民族音楽っぽい作業用BGMとかもよく聴いていました。(sm/6/5/0/7/4/4/3とか。この中にイメージソングにした曲が一曲入っています)
内容がファンタジーなんで、それまでよく聴いていたトランス系とか遊戯王のBGMとかは全く聴かなくなっちゃいましたね…。
ニ/コ/ニ/コ/動/画は見てて面白い動画だけでなく、こういう作業用BGM系もあるので、本当に重宝しています。
無くなったら…すっごい困る…w
Rosebank様が『奇跡の証明』の連載が長くなっても良いとおっしゃって下さったので、私も安心してUP出来ます(´∀`)
それから短編の方もちょくちょくUPしていこうかと思っています。
エロい話も一杯書きたいですしね~w
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
次の日の早朝、護衛の為の数人の兵士と荷物を背負う馬一頭だけを連れて、瀬人は白龍国を出た。
白龍国は高山の中腹に位置する為、山を降りきるまでは徒歩で進むしかない。
「山を降りたら麓の町で一泊します。明日の朝には黒龍国の使者が来られるそうです。黒龍国の使者に貴女様をお渡しした後は、我々はそこから先には一緒には行けませんので、その事についてはご承知を」
そう言う兵士に頷いて、瀬人は黙々と足を動かす。
瀬人自身この山を降りるのは初めてだった為、標高が下がるにつれて背の丈が高くなる植物や鮮やかな花、見たことのない動物や昆虫、それに段々と濃くなる大気に目を奪われる。
二年前、留学を終えてこの山を降りた克也も同じ風景をみたのかと思うと、悪い気はしなかった。
最後に山裾に広がる森を抜けると小さな町が見えた。
丁度その頃には日も暮れ始め、その町の宿屋で一泊することにする。
小さな宿屋なのに妙に高貴な者に対しての接客に慣れていて、それが気になって理由を聞くと、瀬人はその答えに納得した。
黒龍国から留学に来た皇太子や、逆に白龍国から黒龍国に嫁ぐ姫などが必ず立ち寄って泊る宿がここだというのだ。
「二年前には黒龍国の皇太子様が留学から帰られる際に、こちらの部屋にお泊まりになりましたよ」
にこやかな顔でそう説明する女将に頷き、瀬人は通された部屋のベッドに腰を下ろした。
ベッド脇から覗ける窓からは満点の星空が見える。
「克也も…この様に星空を眺めたのだろうか…」
慣れない寝台に疲れた身を横たえながら、瀬人は静かに目を閉じた。
翌朝、宿の朝食を食べ終わる頃には黒龍国の迎えの馬車が既に着いていた。
馬車に乗り込みここまで着いてきてくれた兵士に別れを述べて、瀬人は一人で町を出る。
町を出て直ぐ、一緒の馬車に乗り込んだ黒龍国の大臣と名乗る男から色々な説明を受けた。
「これからいくつかの町を経由して皇宮のある皇都へ参ります。馬車もその度に乗り換えますのでそのおつもりで」
「わかった」
「皇宮にお着きになりましたら直ぐにお召し物を取り替えて頂きます。少なくても貴女様は正妃としてこちらに参ったのですから、そのように男物の服を着たままで皇帝陛下にお会いする事は許されません」
「わかっている。ずっと男として暮らしていたから女物なんて持っていなかっただけなのだ」
「わかっていらっしゃるなら結構でございます。お着替えが済みましたら直ぐに皇帝陛下にお会いする事になります。そしてそのまま誓いの泉にて結婚の儀を執り行って頂きます。貴女様のご要望で派手な式は致しませんが、儀式はまた別でございますので。儀式についてのご説明は皇帝陛下御自らがなさるそうですので、私の口からは申し上げません」
大臣の話す小難しい話を適当に流しながら、瀬人はずっと馬車の外を眺めていた。
豊かな国だと思った。
広い平野が広がり小川が流れ、青い葉を称えた穀物や野菜が育つ大きな田園が遠くまで広がっている。
白龍国は高山の中腹に位置する為、まともな畑など作れる筈もなく、少しでも天候に恵まれないと直ぐに不作となり飢饉に見舞われた。
昔の歴史書には小さな子供達や生まれたばかりの赤ん坊などが、食糧不足の為に何百人単位で餓死していった様子が切実に書かれていた。
三百年前の白龍国の愚皇が豊かなこの国を欲し、戦争を起こしたのも致し方ないような気もしてくる。
ただし今はそんなに酷い状況にはならない。
三百年前の七年戦争に負けて以来、白龍国は黒龍国の属国として、山から取れる豊富な鉱物資源を輸出しなければならなくなった。
その代わり黒龍国からは豊かな大地から取れた穀物や野菜や果物等の食料が山ほど輸入されていて、それによって白龍国の民は飢餓に苦しむ事も無くなったのである。
豊かさを手に入れた白龍国の民は、戦争を起こした法皇を愚皇と呼び蔑んだ。
だけど彼は本当にただの愚皇に過ぎなかったのだろうか?
飢餓に苦しむ自国の民を見て豊かな大地を手に入れたいと思うのは、国を統べる者として当然の考えではなかろうか?
瀬人は自らの内に湧き上がってきた疑問を無視する事が出来ず、数年前に白龍国のとある有名な歴史家に質問をした。
それに対しその歴史家は「かの愚皇も二人兄弟の兄であったという…。やはり貴方様は愚皇の再来なのか」と呆れたような目で瀬人を見て、結局その話はそれっきりになってしまった。
白龍国の民は相変わらず時の法皇を愚皇と呼び、蔑む風潮は変わりはしない。だが、そんな彼の事を本当に理解している人達も確かにいたのだ。
その証拠に愚皇の後を継ぎ次代の法皇となった彼の弟は、一度も兄を蔑むことは無かったという。
それどころか戦犯として処刑された兄の墓に対して、深く臣下の礼を取ったという逸話もある。
何が正しかったのかは後の歴史が語るに過ぎない。
けれど一つ分かっていることがある。
今の白龍国の平和と豊かさは、自分のように人質として黒龍国に嫁いでいった何人もの女の犠牲の上に成り立っているという事だ。
そこまで考えて瀬人は軽く溜息を吐いた。
少なくても昔恋をしていた男の元に嫁ぐ者の考える事では無いと、フッと一人自嘲気味に笑うのだった。
黒龍国の皇宮に着いた頃には、すっかり日も沈んで夜になっていた。
馬車から降りるとそこには何人もの女官がいて、皇宮内に案内される。
湯を使わせて貰って身体を清めた後、女官達に女物の服に着替えさせて貰う。
瀬人の中途半端な身体を見ても、女官達は何も言わず普通にてきぱきと自分達の仕事をこなしていた。
馬車の中で大臣が「皇宮内におります者には既に瀬人様が奇跡の子である事の説明がなされております」と言っていたのを思い出す。
気付かれないように嘆息し、表面上はそうは見えなくても心の中ではどんなにか奇跡の子である自分を蔑んでいるのだろうと勘ぐってみるが、女官達の誰一人としてそんな思惑を持った人物はいないようだった。
そういえば昔、まだ克也が白龍国に留学中だった頃、黒龍国は白龍国に比べて奇跡の子への偏見が少ないとの話を聞いた事があった。
「四代前の皇帝の末の子供が奇跡の子だったんだ」
克也が明るい声で話す光景が甦ってくる。
「その皇帝は前々からずっと不思議に思ってたんだってさ。何で奇跡の子のような子供が生まれて来るのかってね。だから自分の主治医にその事を調べさせたんだ」
標高が高い地域独特の澄んだ青空を見上げ、高原の風に吹かれながら克也は話を続けた。
「その主治医ってのが黒龍国でも有名な医学博士だったらしくてさ。やがてその原因を突き止めることに成功した。奇跡の子が生まれる背景には、常に近親婚が付きものだって事に気付いたんだ」
「………? オレの記憶に間違いが無ければ、確か黒龍国では近親婚は禁じられていた筈だったが?」
「うん。だからそれまではしても良かったんだよ。その皇帝の末の子供は側室との間に出来た子供だったんだけど、その側室ってのが皇帝の腹違いの妹だったんだ」
「自分の妹との間に子供を作ったのか?」
「何か小さい頃から仲が良かったんだって。その頃はまだ近親婚がどんなに危険な事か分かってなかったし、別に何の問題も無かった。末の子が生まれるまではね」
克也は喋り疲れたのか、新しく茶を煎れて一口飲み、また口を開いた。
「奇跡の子が生まれる原因が分かった皇帝は、直ぐに奇跡の子に対する保護令を発し、医師達にその研究を命じた。あ、研究って言っても人体実験とかじゃねーぜ? お前も自分の事だからよく知ってるだろうけど、奇跡の子って総じて身体が少し弱いんだ。だからそんな子供達を護る為の研究って意味ね」
克也の言葉に、自分も幼い頃はよく熱を出して何日も寝込んでいた事を思い出す。
「そうやって皇帝自らが奇跡の子の保護に積極的に関わり始めてから、黒龍国では徐々に偏見や差別が無くなっていったんだ。今じゃ殆どの人間が奇跡の子を普通の一般人と同じに扱ってるぜ。ちょっと身体が弱くて子供が作れないだけで、普通の人間と大して変わらないって考え方なんだ」
その話を聞いて、瀬人はますます閉鎖的な白龍国と、精神的にも進んでいる黒龍国の差を見せつけられた様な気がした。
深く考え込んだ瀬人に、克也は優し気に笑って最後にこう言って締めくくった。
「だからオレはお前に、正妃として黒龍国に来て欲しいって思っているんだよ」
昔の思い出に浸っている内に、全ての用意が終わったらしい。
瀬人は滑らかな上等の絹の衣装に身を包み、謁見の間まで連れられていった。
本当だったら緊張する場面なのだろうが、瀬人はどこか冷静にこの事柄を見詰めていた。
謁見の広場にて膝を付き頭を下げると、奥に立っていた兵士から「皇帝陛下がおなりになります」と声がかかった。
頭を下げている為前方は見えないが、奥の扉が開き誰かが歩いてくるのが分かる。足音は目の前の玉座の前で止まり、やがてドサッと大胆に座り込んだ音がした。
「皇帝陛下、白龍国から正妃様がおみえになりました」
脇に控えていた大臣の言葉に「あぁ」と答える声が聞こえる。
その声を聞いて瀬人は初めて心臓が高鳴るほどの緊張を覚えた。
克也が白龍国での留学期間を終え黒龍国に帰って行ってから二年が経つが、未だにその声を鮮明に覚えていたことに自分自身で驚いてしまう。
記憶にある声よりも若干低くなったその声は、一人前の男の声を思わせた。
「皇帝陛下には…ご機嫌麗しく…」
「苦しゅうない。面を上げよ」
形式通りの挨拶を口にすると、それに答える声が聞こえた。その声にそろそろと顔を上げて玉座を見上げる。
そこにいたのは男としてすっかり逞しく成長し、立派な皇帝として玉座に腰を下ろしている克也の姿だった。
最近ニ/コ/ニ/コ/動/画にUPされたFF13の戦闘曲ばかりリピートで聴いている二礼です、こんばんは。
書いている長編がファンタジーパロだからでしょうか。
ここ最近はずっと民族音楽系とかRPGのBGMばっかり聴いていました。
(二礼は小説を書く時、大体バックに音楽を鳴らしながら書いています。)
そこへFF13の体験版から抜き出したBGMをUPしてくれた方がいまして、それがすっかり気に入ってしまって、もうずっと聴きまくっています。
通常戦闘曲もいいんですが、ボス戦の曲が『奇跡の証明』の後半部分に(私的に)妙にマッチしてしまって、それ以外の曲を聴けなくなってしまいましたw
ファンタジー独特の壮大で流れるような曲っていいですよねぇ…。
やっぱり浜/渦さんはいい仕事してくれます。
↓この先、二礼のボヤキなので文字反転させてます。
で、気になったのが植/松さん信者の荒し…;
FFっぽくないとか、植/松さんじゃないとダメだとか、言っている意味がよく分かりません。
そりゃ違う人間が創っているんだから、違う雰囲気の曲が出来るのは当たり前じゃんね?
植/松さんも浜/渦さんも崎/元さんも光/田さんも伊/藤さんも、それぞれがそれぞれに美しくて壮大で素晴らしい曲を創っているんです。
それを個人単位で比べるなんて、全く意味が無いし不毛です。
自分の好きなものを盲信するのは勝手ですが、それを他人に押し付けないで欲しいです。
せっかくの素敵な曲達が可哀想だ…。
ボヤキ終了。
それにしてもFF13か…。
PS3持ってないんだよな…orz
これ以上ハードを増やすのも考えものだけど、FFシリーズは通しで全部やってきたので、是非ともプレイしたいところ。
う~ん…。
出たら…考えるか…;
長編『奇跡の証明』の第二話をUPしました。
瀬人さんは嫁に行きます。
ていうか本編が長くなり過ぎちゃって、本当にどうしよう…;;;
基本週三回のペースで上げて行くとして、一ヶ月半くらいかかっちゃうんじゃないだろうか…?
ちょっと長く書き過ぎたか…。
でも削る場所が…見当たらない…orz
以下は拍手レスになります~!
>Rosebank様
拍手とコメント、いつもありがとうございます!!
海馬って『遊戯王』に出てくるキャラクター達の中で、特に強い父性を感じさせますよね~。
たまに垣間見せる海馬の優しさに「あぁ、この人は本当に優しい人なんだなぁ~」と感じる事があります。
ちょっとプライドが高過ぎて、それによって優しさが完全に覆い隠されてしまっているのが残念ですがw
ただそれが『いつも優しい城之内君』との対比を明確にしているので、その対比にまた萌えてしまう訳ですよ(*´д`*)
良く似ているようで全く違う、全く違うようで良く似ているという関係が大好きなので、この『城海』という関係はまさに二礼のベストカップルだったんです。
しかもお互いに不幸を抱えているのがまたイイ!!
更にそれを表に出さないところとかね。
Rosebank様のお言葉を借りるなら、本当にこの二人は互いが互いにとって『無くてはならない場所』になってくれればいいと思っています。
あぁ、それから感情移入の話なのですが。
確かに私は、城之内君に感情移入して海馬を愛したいのかもしれませんねw
海馬を見ていると「何とかしてやりたい!」と強く思う事が度々あったので、そういう部分が城之内の心情と重なってしまうのではないでしょうか?
でもRosebank様の『愛されたい』という気持ちもよくわかります。
昔やってたジャンルでは私もそうでした(´∀`)
ていうか大体今まで好きになったキャラクターに対しては『愛されたい』派だったのになぁ…。
海馬に対してはどうしても『愛したい』気持ちの方が強く出ちゃうんですよ。
なんでだろ…?
今までに無い位『救いたい』気持ちが強く出るキャラだからでしょうか…?
不思議だw
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
正妃要望の書に書かれていた瀬人の名に、白龍国の法皇宮は俄にざわめきたった。
仮とは言え、時の法皇を正妃に望まれるなど、この三百年間一度も無かった事例だったからだ。
「オレは…行く事は出来ない…。モクバが十五歳になるまで法皇の地位に就きこの国を護ると決めたのだ」
「ですが猊下…。我が国に拒否権は認められておりません」
「法皇猊下、大臣のおっしゃる通りです。ここは黒龍国皇帝の意向に沿うしか道はございません」
大臣や神官を交えた会議でも堂々巡りが続き、瀬人はいい加減疲れを覚え始めていた。
黒龍国から呈示された返事の刻限が着実に近付きつつある。
とは言え話し合いは平行線を辿り、今日も結局夜遅くまで話し合った結果、何も解決することは無かった。
疲れた身体を引き摺って自室に帰ろうとすると、その扉の前で一人の少年が立っているのが見える。
「モクバ…」
思わず立ち止まると、十二歳になった最愛の弟は優しげに微笑みながら瀬人に近付いて来た。
「兄サマ。夜遅くまでご苦労様」
「分かっているなら早く寝なさい。子供が起きている時間では無いぞ」
「ごめんなさい、兄サマ。少し…話がしたくて…」
モクバは少し俯いて何かを考えているようだったが、突如顔を上げると強い瞳で瀬人に訴えかけた。
「兄サマ…! オレの事は構わないで黒龍国へ行って…!」
「お前…急に何を…っ」
「兄サマ、オレ知ってるんだよ。克也が兄サマを正妃に欲しがっていた事も、兄サマがそんな克也の事をずっと好きだった事もね。兄サマは行くべきだ。ここから…出て行かなくちゃいけない」
「モクバ…。だがオレは…、お前を守ると誓ったのだ! お前が十五で成人し立派な法皇になるまで、お前とこの国を守り抜くと…っ!」
瀬人の必死な言動に、モクバは静かに首を横に振った。
そして強い意志を込めた瞳で、目の前の兄を見上げた。
「ねぇ兄サマ、覚えてる? 兄サマが小さかったオレの代わりに法皇になったのは僅か八歳の頃だったよ。今のオレは十二歳。充分に法皇としてやっていけると思うんだ。だってオレは兄サマの弟だからね」
瀬人とモクバは孤児であった。
とは言っても、決して生まれの血筋は悪くはなく、両親は没落してはいたが一応貴族の出身だった。
母親はモクバを産んで身体を悪くしすぐに亡くなり、その数年後、息子二人の面倒を見ていた父親も当時指揮を執っていた鉱山での事故に巻き込まれ死んでしまった。
両親を亡くした兄弟は親戚の家をたらい回しにされた挙げ句、やがて街外れの小さな孤児院へと預けられる事になる。
だが、そこでの生活は決して悪いものではなかった。
親戚の家で冷遇されていた頃に比べれば孤児院の大人達は優しかったし、同じような境遇の友人も一杯いた。
このままここで大きくなって、将来は手に職を付けてモクバを養おう…。
法皇宮から神官達が二人を迎えに来たのは、瀬人がそう決心をした矢先の出来事であった。
二人はその日の内に孤児院から法皇宮へ移送され、そして現在に至るのである。
「兄サマ見ててよ。オレ絶対兄サマ以上の法皇になってみせるから」
胸を張り少し得意げに鼻の下を人差し指で擦る弟を、こんなにも心強いと感じた事は無かった。
あの小さかった弟は何時の間にかこんなにも立派に育ってしまっていて、自分は毎日を生きることに必死でそれに気付く暇さえ無かったのだ。
「モク…バ…ッ!!」
思わず崩れ落ちた瀬人の身体を抱き締めて、モクバは優しく語りかける。
「オレ克也の事、結構本気で信じてるんだ。大丈夫。きっと兄サマは幸せになれるよ。だから安心して行ってらっしゃい」
胸に押し寄せるのは弟が一人前に育ってくれていた感動と少しの寂しさ、そしてこの冷たい法皇宮を出て克也に会いにいける大きな安堵。
泣きたくないのに勝手に流れ出る涙を手で拭いながら、瀬人は随分と長い間モクバの胸で泣いていた。
一月後、瀬人は法皇としての地位を返上しそのままモクバの戴冠式が行われた。
漸く真の法皇が即位されたと、大臣や神官達はおろか国民全員に祝福されたその姿は、本当に感動的なものだった。
新法皇即位の喜びに沸き立つ祭りを横目に、瀬人は一人自室で出立の用意をする。
本来だったらもっと絢爛豪華に執り行われるはずの結婚の儀も、瀬人の要望によって実に質素なものに変えられた。
黒龍国に持って行くものも身近な生活用品や服だけで、今までの正妃が持って行ったような何十箱に及ぶ衣装や宝石等は皆無に等しい。
出発は明日の早朝に迫っていた。
突如扉がノックされ、それに答えるとモクバが部屋に入ってくる。
「兄サマ…」
「モクバ…。いえ、法皇猊下」
直ぐに膝を折って臣下の礼を取ると、モクバが慌ててそれを止めた。
「やめてよ兄サマ! オレ兄サマにそんな事させたくて法皇になった訳じゃないんだから。それに克也と結婚して黒龍国皇后になったら、またオレより偉い立場になるんだから…。跪くような真似はやめてくれよな」
瀬人を再び立たせて改めて周りを見渡してみると、モクバはその荷物の少なさに愕然とした。
とてもじゃないが隣国の皇帝に嫁ぐ者の身支度ではない。
「ゴメンね兄サマ…。オレがもっと立派な用意してあげれば良かった…」
「気にするなモクバ。元々男として法皇をやっていたのだから、持って行く女物が全く無いだけなのだ」
今まで男として生きていたのが、明日からは女として過ごさなければならない。
しかもただの女ではない。
強国である黒龍国の皇后としてやっていかねばならないのだ。
果たして奇跡の子である自分に、皇后などという大役が務まるのだろうか…。
二年ぶりに克也に会えるのは嬉しかったが、それ以上に強い不安感が心を締め付ける。
そんな瀬人の心を感じたかのように、モクバが瀬人の細い手をギュッと握って微笑みかけてきた。
「大丈夫だよ兄サマ。オレは兄サマの事も克也の事も信じてるから」
「モクバ…。あぁ、いつの間にお前はそんなに立派に成長したんだろうな…。法皇の紫の衣が良く似合っているぞ、モクバ」
瀬人は再び膝を付きモクバの手を取ってその甲にキスを落とす。
「我が敬愛する法皇に栄光あれ」
瀬人の心にはもう迷いは無くなっていた。
凄い久しぶりにコミックスを大人買いしてしまった二礼です、こんばんは。
腐女神「イベント前に金を使うなど、とんでもない! と、言いましたよね?」
二礼「はい…言いました…」
腐女神「では何故『夏/目/友/人/帳(1巻~7巻)を一気買いなどしたのですか?」
二礼「それはその…、に/ゃ/ん/こ/先/生の可愛さに耐えきれなかったからです…」
腐女神「反省汁!!」
二礼「………orz」
買ってしまった後、脳内でこの様な会話が繰り広げられたとかなかったとか…;
いやだって…に/ゃ/ん/こ/先/生可愛いんだもの…(*´д`*)
思わずつべで全部見てしまいました。
少女漫画にハマったのなんて久しぶりです…w
(『こ/こ/は/グ/リ/ー/ン/・/ウ/ッ/ド』以来じゃないか…?)
今日は長編はお休みにして、短編『許される場所』をUPしました。
強い海馬と弱い城之内の図式です。
海馬って普段誰も甘やかす事なんてなさそうだけど、自分が心から許した人物にだけはメチャ甘だと萌えます。
モクバを育て上げたあの包容力で、色々と疲れきった城之内をメロメロにしてやればいいと思います(´∀`)
普段誰にも甘える事の無い城之内も、そんな海馬にだけは甘えまくれば尚いいと思いますw
でも体の関係はあくまで城×海。
そんな関係も有りじゃね? と思って書いた話でした。
以下は拍手のお返事です~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
Rosebank様は相変わらず鋭い観察力を持っていますね…w
いや、何となくバレてるとは思っていましたが、やっぱりでしたか(´∀`;
前に日記で『立場も状況も全く違う三人の海馬』と書いた事がありましたが、実はこういう事でした。
男・にょた・半陰陽と立場が違うとそれによって周りの状況も全て変わって来て、それが面白いと思って書こうと決めていたのです。
まぁ「ふたなり」といえば「ふたなり」ですが、よく男性向けエロ漫画にあるような完璧な「ふたなり」では無いんですよ。
あくまで『中途半端』である事を強調してあります。
あ、ちなみに完全女体化はありえませんからご安心下さい
せっかく半陰陽の話を書いているのに、完全女体化になっちゃうのはつまらないですw
(もうラストは決まっているので、偏り気味になる事はあるかもしれませんが…)
あとですね、考察にちらりと出てきている『冥龍国』の国主は多分登場しません。
最初は誰か当て嵌めて登場させようとしたのですが、そうなるとただでさえややこしいパラレルのお話が更に分かり辛くなると思って止めました。
あくまで克也と瀬人のお話なので、余り余計なキャラクターは出さないようにしています。
それと城之内と海馬の愛情の比重のお話ですが…。
私が一番愛しているのは海馬です。
これはまず間違いありません(*'-')
むしろ海馬至上主義者ですよ、私はw
ただ、一番愛しているキャラクターと感情移入しやすいキャラクターが違うだけなんですよ~。
大体にして私が小説を書く時のコンセプトが「とにかく海馬を幸せにしたい!!」なので、そういうつもりで書き始めるとまず城之内が行動し始めちゃうんです…w
ウチの城之内は海馬の事が大好きなので、率先して自分が海馬を幸せにしようと思って勝手に動いちゃうんだと思います。
あ、でも今回久しぶりに海馬視点を書いて、やっぱり楽しかったです(´∀`)
そして海馬もやっぱり城之内の事が好きなんだね…と、改めて気付かされました。
これからも、もっと沢山この二人が幸せになるお話を書きたいな~と思った今日この頃です(´―`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
強い海馬と弱い城之内のお話。
城之内が笑っている。
今日も友人達に囲まれて、嬉しそうに楽しそうに笑っている。
だけどオレは知っていた。
その笑顔が少し歪んでいるのを。
そのいつもと少し違う笑顔に、奴のお友達連中は誰一人として気付かない。
本田と漠良はとうにクリアしたみたいだ。
だけどあの本田って奴は、確か城之内とは中学生時代からの友人ではなかったか?
それなのにあの笑顔に気付かないとは、随分と大した友人だな。
いつも遊戯と一緒にいる真崎という女が城之内と話をしている。
女って奴は結構敏感だから城之内の異変に気付くかと思われたが、どうやらそれも心配する事は無かったらしい。
いつものように明るく笑って離れて行ったので、真崎もクリアだ。
一番の問題は親友の遊戯だ。
あのボケッとした方の遊戯は意外と人の心の変化に敏感だ。
ほら見ろ。案の定掴まってしまっている。
手元にある洋書を読んでいるふりをして二人の会話を盗み聞きしてみる。
「ねぇ…城之内君。何だか今日疲れてない?」
「んぁ? そうか?」
「うん。だって…いつもとどこか違うみたいな気がする」
「遊戯…。気のせいだって。昨日遅くまで漫画読んでてちょっと寝不足なんだ。それで朝の新聞配達がいつも以上に辛くってさー」
遊戯の肩をバンバン叩きながら明るく笑う城之内に、心配そうにしていた遊戯も漸く笑顔を見せた。
「そうなんだ! 良かった~。僕一瞬城之内君が何かを我慢してるみたいに見えちゃって…。城之内君が元気ならそれでいいんだよ」
心底ホッとしたような顔をして遊戯が微笑む。
そしてそのまま二人してデュエルの事について話し始めてしまった。
どうやら遊戯もクリアのようだ。
やれやれ、どうやら城之内の異変に気付いたのはオレだけのようだ。
まぁ、これもいつもの事だけどな。
だがどうやら、アイツはオレに対してもクリアしようとしている。
久しぶりにオレが学校に来ているというのに、警戒してちっとも絡んでこないのがいい証拠だ。
無駄だと何度も言っているというのに…。学習能力の無い男はこれだから困るのだ。
チラチラとこちらを伺う視線に軽く溜息を吐いて、オレは何も気付いていないふりをし続けた。
城之内は結局そのまま一日中へらへらとした笑顔でお友達連中を騙しきって、帰りのHRが終わったのと同時に鞄を掴み早々に教室を出て行こうとした。
まぁその笑顔を浮かべられる時間にも限度というものがあるから、ある意味仕方が無い事なんだがな。
だが、オレはそんな城之内を逃がさない。
オレの横をスルリと通り抜けようとしたその腕を掴んで引き留めた。
驚いて振り返ってオレの顔を見る城之内に、わざといつもの表情を留めたままオレは尋ねる。
「城之内。今日の予定は?」
「は? 予定?」
「バイトはあるのかと聞いている」
「あ…あぁ、バイトね。今日は特に何も無いから真っ直ぐ家に帰ろうかと思ってたんだけど…」
それを聞いてオレは掴んでいた腕に更に力を込めて、否定を許さないように強く城之内に告げた。
「そうか。ならば少しオレに付き合え。夕食くらいなら奢ってやる」
「え…? あ、おい! 海馬っ! ちょっと待てよ!!」
耳元でぎゃぁぎゃぁ騒ぐ声を無視してオレは片手で携帯を弄り、電話口に出てきた専属の運転手に迎えの車を寄越すように命令する。
そのまま鞄を持ち、もう片方の手で城之内の腕を掴んだままオレは教室を出た。
昇降口に着く頃にはあれだけ騒いでいた城之内も大人しくなっていた。
どうやらオレにあの笑顔は通用しないと漸く悟ったらしい。
オレに引き摺られるようにして丁度校門の前に来たリムジンに共に乗り込み、一緒にオレの屋敷まで帰る。
車の中の城之内はすっかり静かになっていて、更にその顔には昼間の笑顔など一片たりとも残ってはいなかった。
屋敷に着いてからもオレはその腕を放すことは無く、そのまま自分の部屋へと引っ張り込む。
重厚な扉が音を立ててしまったのを見て、オレは漸くその腕を放してやった。
「もういいぞ、城之内」
オレがいつもの調子でそう言うと、少し陰りのある表情で俯いていた城之内が顔を上げた。
「何で…わかった…?」
「オレには無意味だと何度も伝えた筈だが?」
「そうだよな…。お前には無理だよな…。やっぱお前がラスボスだよ。しかも最強過ぎてクリア出来やしねぇ…」
先程まで浮かべていた笑顔には程遠い自嘲気味な笑みを浮かべて、城之内はゆっくりとオレに近付いてくる。
そして目の前まで来て、そのままオレに強く抱きついてきた。
力強い腕でぎゅうぎゅうと抱き締められ肩口に顔を埋められる。
少し苦しかったが、オレはそれを拒絶しない。
やがて金色の髪の向こうに見える広い背中や肩幅が細かく震え始め、肩口からは嗚咽が聞こえて来る。
その声を聞いてオレも城之内の身体に腕を回し、ギュッと力を込めて抱き締めてやった。
崩れ落ちる身体を支えてやって、二人して床に座り込む。
そこまで来ると城之内はもう声を耐える事もせず、オレに縋り付きながらわぁわぁと大声で泣いてしまっていた。
城之内の泣き声を黙って聞きながら、オレはただゆっくりとその背を撫で続けた。
城之内がこの状態に入るのは、何も今回が初めてでは無い。
複雑な家庭環境の中で育ったオレ達は、互いが互いをよく似ていると思っていた。
それは性格的なものではなく、もっと本質的なものだ。
その事実に二人で触れた時、オレ達の気持ちは一つになった。
その日以来、世界で唯一のパートナーとしてオレ達は恋人同士になった。
まぁ、厳密に言えばそんな単純なものなんかではなく、もっと深い関係なんだろうとは思うが。
ただ『恋人』以上にぴったり当て嵌る関係の枠が無かったのだ。
オレは養父の死によってそれまで自分が居た『複雑な家庭環境』を脱する事に成功した。
だが、城之内は未だにその罠にかかったままだ。
天性の明るさで自らの背負う影を常にカバーしているようだが、本人が感じているストレスは相当なものだろう。
現にこうして突然負荷に耐えきれなくなり、爆発寸前にまで追い込まれる事がある。
城之内は自分のそんな状態を周りの人間に悟られることを何より嫌っている。
だから偽物の笑顔を浮かべてまで周りを騙すのだ。
本人に言わせれば決して友人達を信用していない訳じゃないらしいが、それでももう一つの自分の姿を見せるのは気が引けるのだそうだ。
オレもそれはそれでいいと思う。
城之内の印象はあくまで『いつも明るい』というイメージであればいい。
それでコイツの友人関係がこの先も円滑に進めば問題無い。
だがオレに対してはそれは効かない。
城之内がどんなに自分の状態を隠そうとしても、オレはそれを見破ってしまう。
最初それに気付いた時、コイツは最後までそれを否定しようとした。
だが…頑なに否定し続ける城之内にこの両腕を差し出した時、それは実に脆く崩れ去った。
それ以来、オレは城之内がこの状態に陥った時は黙って腕と胸を貸すことにしている。
多分コイツには泣く場所が無いのだ。
泣く場所を求めて偽物の笑顔を浮かべて、自分自身を騙し続ける城之内を見るのはオレも辛いと思った。
だからオレ自身が城之内が泣くことを許される場所になりたいと思ったのだ。
「サンキューな…」
鼻をグスグス言わせながら漸く落ち着いた城之内が顔を上げる。
その酷い顔に苦笑して、ポケットからハンカチを出して目元を拭ってやった。
ついでに近くにあったティッシュボックスを持って来て手渡してやると、自分で何枚かティッシュを抜き取って盛大に鼻をかんだ。
「どうだ? 気が済んだか?」
丸めたティッシュをゴミ箱に放り込んでいる城之内にそう尋ねると、「おかげさまで」と鼻声で返事が返ってくる。
「これでまた暫く普通に過ごせそうだ」
「そうか。それは良かったな」
「お前だけなんだよな、海馬」
「何が?」
「オレが泣くことを許してくれる奴はさ、お前だけなんだよ。他の人間も許してはくれるだろうけど、多分お前だけが無条件で黙って泣かしてくれる。お前の腕の中だけがオレが安心して泣くことを許される場所なんだ」
そう言って先程よりずっと優しい力で抱き締められた。
甘えるように擦り寄ってくる荒れた金髪をそっと撫でて、オレは城之内の耳元で小さく囁く。
「お前が望むなら、オレはいつでもお前の許される場所でいたいと思っている」
オレの言葉に城之内が顔を上げて、柔らかく微笑んだ。
やっと見られた本物の笑顔にオレも嬉しくなる。
この笑顔が見られるのならばオレはいつでも城之内の『許される場所』でありたい。
城之内の熱を感じながら、オレは心の奥底でそう願い続けた…。
美容院に行きたいけどお金と時間が無い二礼です、こんばんは。
何か惰性に任せて伸ばし続けていた髪の毛が肩胛骨を超えてしまったので、そろそろ切りたいなぁ…とは思っているんですけど、「イベント前に金を使うなどとんでも無い!」という腐女神の声が聞こえたような気がしたので放置決定ですw
そんな事言ったら年中いつでもイベント前じゃんね?
しかしこんなに髪伸ばしたのは久しぶりです。
成人してからはずっとショートボブだったので、肩から下に髪が伸びたのも高校生以来だったんですよね。
基本猫っ毛なので枝毛が出来やすい(つか、枝毛祭りになってる…orz)ので、早々に何とかせねばw
でも美容院ってお高いよね…(´・∀・`)
一回行ったら絶対1万5千円超えるんだもの…;
長編『奇跡の証明』の第一話をUPしました。
これもまた賛否両論別れるパラレル(しかもファンタジー路線)です。更に思いっきり見切り発車してます…(´∀`;
(『勇気の証明』も『真実の証明』も、ラストまでストーリーを固めてから修正しつつUPしていました。実はコレ、まだ未完状態なんです…;)
あ、でもプロットは出来上がっているし、ストーリーの方も結構ラストの方まで書き進んでいるので大丈夫だと思います。
ちなみに『奇跡の証明』は、現時点で一番容量が多かった『勇気の証明』と同等位にまでいっています。
なので凄く長い連載になると思うので、週に1回か2回位は短編をUPしていこうと思っています。
じゃないと多分飽きると思う。
誰がって…、私がw
ぐだぐだと長い話になりそうですが、パラレルがOKな方はお付合いして下さると幸いに思います。
以下は拍手レスになります(*'-')
>Rosebank様
拍手とコメント、いつもありがとうございます!
Rosebank様の書かれるコメントやアドバイスにはいつもハッとさせられるものがあるので、重宝しております(´∀`)
そのアドバイスについてなんですが…、Rosebank様に言われて漸く気付きました。
城之内視点多っ!!!
思わず自分がUPしたものを見返して「あれ?」と声に出して言ってしまいました。
これは性格の相性の問題なんでしょうねぇ…;
海馬と城之内のどちらの心情をより理解しやすいかと問われたとしたら、私はまず間違い無く「城之内!」と答えると思いますw
城之内君はですね…、設定と背景さえ用意すれば勝手に動いてくれるんですよ。
だから私も楽でついつい城之内視点ばかり書いてしまっていたようなのです。
ちなみに海馬は…動いてくれません…。
一々指示を出さないと何もしてくれないので、非常にやり辛い…w
ていうか、まず奴の考えている事が理解しにくいw
それでも最近城之内ばかり目立っているのも事実なので、海馬視点の短編にも手を付け始めました(*'-')
一応『城海』サイトなんで、立場は公平にしませんとね…(´∀`;
話は変わりますが、コメントの時間については気になさらなくて大丈夫ですよ~!
拍手とコメントを頂けるだけでありがたいと思っていますので(*´∀`*)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
今から約三百年前、山肌に国を構える法の国『白龍国』と土壌豊かな平地に国を構える武の国『黒龍国』との間に戦争が起こった。
発端は後に愚皇(ぐこう)と呼ばれる事になる『白龍国』の時の法皇が、『黒龍国』の持つ豊かな土地を我が物にせんと突如『黒龍国』に攻撃を仕掛けた事から始まった。
後に『七年戦争』と呼ばれるこの戦争は文字通り七年間もの長き間続き、兵士だけに他ならず両国の民間人にも多数の犠牲者を出す凄惨なものとなった。
初めは『白龍国』の優勢と思われていた戦いだったが、後に武の国としての『黒龍国』が真価を発し、戦争はやがて『黒龍国』の勝利に終わる。
戦争を起こした張本人の愚皇は捕らえられ、後に戦犯として処刑された。
この戦争により戦勝国となった『黒龍国』の皇帝は、代々の正妃(皇后)を『白龍国』の人間から選び人質として自国に連れ帰る事で『白龍国』を戒める事とした。
これに対し『白龍国』は拒否権を持たず…。
そこまで読んで瀬人はパタリと歴史書を閉じた。
そして目の前で呆けたような顔で自分をボーッと見ている少年の額をつつく。
「克也、ちゃんと聞いているのか?」
額を指でつつかれた事により、目の前の『克也』と呼ばれた少年はビクッと身体を揺らして意識を取り戻す。
「き、聞いてるよ!」
「そうか? 何か呆けていたようだが?」
「歴史はさ-、苦手なんだよ。何だか眠くなるし…」
「法や規律だけでなく歴史を学ぶことも大事な務めだ。お前は何の為にこの国に留学してきてるんだ」
「瀬人に会う為」
「まだ巫山戯るか!!」
克也の言い分に頭に来た瀬人は、手に持っていた分厚い歴史書で克也の頭をポカリと叩く。
その行動に克也は「いてっ!」と大げさに痛がったが、次に瞬間にはまるで懲りていないようにニコニコと笑って瀬人を見詰めていた。
ここは白龍国の法皇宮のとある部屋に取り付けられたテラス。
そこに机と椅子を持ち込んで勉強しているのは、二人の少年だった。
一人はこの白龍国の若き法皇で、名を瀬人といい齢十三になる。
向かいに座る少年は黒龍国の皇太子で名を克也といい、十三の誕生日を一月後に控えていた。
克也は今、黒龍国の皇太子として白龍国に留学中であった。
黒龍国の皇太子は九歳から十五歳までの六年間、法や規律を学ぶ為にこの法の国である白龍国に留学に来ることが義務付けられている。
勉学の為に留学しているのは確かだが、実際のところは将来の正妃を選ぶ為という理由が目的の半分を占めていた。
瀬人もそれを分かっているのだろう。
休憩の為に煎れたお茶を二人で飲みながら、唐突に話し出した。
「ところで克也。将来の正妃候補はもう決まったのか?」
そう問うてきた瀬人を上目遣いでチラリと見て、克也は「いや」と言って首を横に振る。
「貴様は一体どんな女が好みなのだ…。この間の貴族の娘もダメ。神官の妹もダメ。前に紹介された大臣の娘もダメだったのだろう?」
心底不思議そうに聞いてくる瀬人に、克也も軽い溜息をつきつつ答えた。
「だからオレはお前を正妃にするって、ずっとそう言ってるだろう?」
「いい加減巫山戯た答えで現実から逃げるのは止めたらどうだ?」
「巫山戯てねーよ。オレは本気だ!」
「いい加減にしろ! オレは女じゃない」
「知っている。でも男でも無い。だってお前は…」
そこまで言ってから一旦区切って、克也は小さな声で呟いた。
「お前は…『奇跡の子』だ」
『奇跡の子』、それは半陰陽の奇形児達の隠語である。
男でも無く女でも無い半陰陽は、黒龍国でもたまに見られる症例だが、白龍国の発生率は異常な数だった。
原因は白龍国における初代法皇の血筋に対する異常なまでの神聖視だった。
白龍国の守り神である『青眼の白龍』の化身とも言われている初代法皇は、それ自体が神聖なものとされ、その血筋を受け継いでいる白龍国の貴族達の間にはなるべくその血を色濃く残そうとする習慣があった。
その為無理な近親婚を続けた結果、半陰陽の子供達が多く生まれるようになってしまったのである。
次代に子孫を残せないそんな子供達を、貴族達は最初は『忌み子』として嫌っていたのだが、彼等の身体の中にも偉大なる初代法皇の血が間違い無く流れている事は紛れもない事実。
更に初代法皇の血を尊ぶ余りに自分達がしてきた近親婚が生み出した結果だということを認められず、自分達のしてきた事は決して間違っていないと主張したいが為に、『忌み子』を『奇跡の子』として呼ぶことで、自らの罪に顔を背けて来たのである。
今から五年前。前法皇が亡くなった時、白龍国の神官達の手によって託宣が行われた。
白龍国の代々法皇は世襲制ではなく、初代法皇の血筋の中から託宣によって選ばれる。
示された場所に向かった神官達は、少なからず動揺する事になった。
その場所は孤児院。そこにいた沢山の子供達の中で、神官の法具に反応する子供が二人もいたのである。
一人は八歳になったばかりの瀬人、そしてもう一人は瀬人の弟で僅か三歳のモクバだった。
通常託宣によって選ばれ、法具に反応する人物は一人だけである。それなのに二人同時に反応された事に、神官達は戸惑いを見せた。
最初神官達は、託宣で選ばれたのは兄の瀬人であろうと考えた。
だが瀬人が奇跡の子だと分かると、神官達や大臣達は揃って反対した。
「奇跡の子が法皇に選ばれる筈が無い!」との声に、では託宣で本当に選ばれたのは弟のモクバだと言うことになったのだが、如何せん彼はまだ三つの子供だった。
そこで瀬人自身が「弟が十五歳で成人するまで自分が代わりに法皇を務める」と進言すると、多少の物議は醸し出したもののその意見は認められた。
よって今の瀬人は、あくまで仮の法皇なのである。
「お前さ、周りの神官や大臣達がどんな目をしてお前を見てるか知ってるか?」
克也の言う言葉に瀬人は黙って頷く。
八歳で法皇の任に就いてから、一度だって好意的な視線を向けられた事など無かった。
いつだって冷たく蔑むような視線の中、ただ弟を守りたい一心で法皇を務め続けた。
「オレは十五になったら留学を終えて黒龍国に帰らなくちゃいけない。だけどその二年後、十七になったら成人して白龍国に正妃の要望をする事が出来る。そしたらお前を呼んでここから連れ出してやる。オレはお前をこんな冷たい場所に居させたく無いんだ…」
克也の気持ちは嬉しかったが、瀬人にはそれが到底無理な事が分かっていた。
託宣で次の法皇を選ぶ白龍国と違い、黒龍国はあくまで世襲制。
子供を産めない『奇跡の子』を正妃に選ぶ訳にはいかないのだ。
二人して押し黙って温くなった茶を啜っていると、突如部屋の扉が開き賑やかな声が入ってくる。
「兄サマ~!」
初めに入って来たのは八歳になったばかりの瀬人の弟のモクバだった。
駆け寄って大好きな兄の身体にぎゅっと抱きついてくる。そして、その後ろから可愛らしい女性が入って来た。
「皇太子殿下、法皇猊下、勉学中に突然申し訳ありません」
礼儀正しくお辞儀をしたその女性はマナといい、黒龍国皇太子である克也の同い年の乳兄弟である。
乳母の娘である彼女は克也と共に白龍国に六年間の留学に来ていた。
「モクバ様がどうしてもお兄様にお会いしたいとおっしゃられるもので…」
「構わぬ。丁度休憩していたところだ」
「むしろ助かったぜ、マナ。歴史の授業は退屈過ぎる…」
机の上にくた~っと上半身を乗せる克也を見て、瀬人とマナは思わず視線を合わせクスリと笑ってしまう。
真冬のような暗く冷たい法皇宮において、ここだけはまるで春の木漏れ日が射しているようだと瀬人は思った。
「猊下。法皇猊下」
暫く優しい思い出に浸っていたのだろう。大臣に呼ばれた声に瀬人はハッと顔を上げた。
今は大臣から他国の情勢や報告を聞く謁見の最中であったことを思い出す。
「すまぬ。続けてくれ」
慌てて大臣に続きを促す。
思い出に浸ってしまったのには訳があった。
大臣からの報告の中に、隣国黒龍国でつい先頃、若き皇帝の成人式があったというものがあったのだ。
十五歳で成人式を迎える白龍国と違い、黒龍国での成人式は十七歳でこちらより二年遅い。
黒龍国皇太子はまだ成人してはいなかったが、前年に前皇帝が病気で崩御してしまい、まだ十六歳の皇太子がその後を継いだばかりだった。そして今年無事に十七歳を迎え、盛大な成人式を上げたのだという。
黒龍国の若き皇帝とは言わずもがな、あの克也の事だ。
(もう…あれから随分経ってしまったな…)
大臣の淡々とした報告を聞き流しながら、瀬人はまるで昨日の事のように感じる昔を思い出す。
九歳で初めて白龍国にやって来た克也は、日々「黒龍国に帰りたい」と泣いてばかりだった。
同年代ながら半分女性の血が入っているせいだろう、通常より成長が早かった瀬人はそんな克也をまるで兄か姉のように慰めていた。
そんな彼が成長していって、やがて自分を正妃に欲しいと言い出すようになった。
どんなに冷たく撥ね付けても、克也は決して諦めようとしなかった。
十五歳になって黒龍国へ帰る際も、「オレは絶対お前を皇后にする」と言い残し自国へと帰っていった。
どんなに彼が真面目に言っても瀬人は相手にはしなかったが、心の中ではとても嬉しかったのだ。
日々男として成長していく克也に、瀬人の女性の部分が恋をさせた。
だけど瀬人は自らの心に気付かないふりをした。
奇跡の子である自分が黒龍国の皇帝の克也と結ばれるなど絶対に無理なのだ…と瀬人が自嘲気味に微笑んだ時、大臣が一通の書状を取り出した。
「猊下…。それでですね、黒龍国から例の書状が参っております」
「かまわん。名前を読み上げろ」
例の書状とは、黒龍国の皇帝が成人した時に求める正妃の要望の件であろう。
克也がどんな女性を選んだかは知らぬが、結局こちらには拒否権などは無いし、黙って人質として差し出さねばならぬのだ。
二年も前に捨て去った筈の小さな恋心がチクチクと胸を射すのを感じながら、瀬人は書状に書かれた名前が読み上げられるのを黙って待っていた。
ところがいつまでたっても大臣は名前を読み上げようとしない。
それどころか少し焦っているような気もする。
「どうした? 早く読むが良い」
「そ…それが…。猊下…」
「もうよい! 自分で見る!」
明らかに様子がおかしい大臣に痺れを切らして舌打ちをすると、瀬人は座していた椅子から勢いよく立ち上がりズカズカと大股で大臣に近付き、その手に握られていた書状を取り上げた。
そして書状を開きざっと目を通すと、そこに書かれていた名前に思わず身体を固めてしまった。
「こ…これ…は…、オレの…っ!」
そこに書かれていた名前は、まさしく瀬人の名前だったのだ。
このページは、二礼が自分の為にメモとして残した設定と考察のページです。
こうしないと自分が作った設定を忘れていってしまうもので…w
読んで下さる他の方も、その内意味不明な部分が出てきたりしてしまうと思いますので、このページをUPする事にしました。
こういう設定や考察を気になさらない方は読まなくても大丈夫だと思います。
あと、作った設定を全部載せてしまうとネタバレになってしまうので、話が進むにつれて少しずつ増やしていこうと思っています。
(ちなみに、懲りすぎた設定を作ってしまった為に、小説内には出てこない設定もいくつかあります…w)
・黒龍国
肥沃な平野に広大な国土を持つ国で、守護龍は『真紅眼の黒龍』。
武力によって国を支えてきた武の強国。
隣国の白龍国とは同盟国だが、あくまで属国として扱っている。
国主は皇帝で、基本的に世襲制。(正妃は皇后、第一皇位継承者は皇太子と呼ばれる)
東は白龍国がある高い山々に、西は冥龍国との国境にもなっている大河に挟まれ、南には海が広がっている。
基本的に恵まれた国土と気風で農業が盛んだが、東の山から流れてくる川からは砂金が取れ、金の加工技術も高い。
三百年前の七年戦争では戦勝国となり、それより代々皇帝の正妃は白龍国から娶っている。
成人年齢は十七歳。
皇太子(皇帝)は十七歳で成人すると同時に、白龍国に正妃の要請をする事が出来る事になっている。
ちなみに皇太子は九歳から十五歳までの六年間、白龍国に法と規律を学ぶ為の留学に行く事になっている。
(学ぶべき事も勿論多いが、本来の目的は将来の正妃(皇后)探し)
正妃(皇后)は白龍国から選ぶことになっているが、同国の者から側室を持つことが許されている。
モデルは古代エジプト。気候は中世フランス。
伝説では今から約三千年前にこの地にどこからともなく一匹の黒龍が飛んできて、自らの持つ武の力をそこにいたある人間に与え、ここに強く豊かな国を造れと啓示したという。
そして黒龍はその地を自ら護ると言い、地中に姿を消してその大地そのものになったという。
力を与えられた人間はやがて皇帝として周りの部族を次々と収拾し、やがて黒龍国という一つの国を造った。
ちなみに大地になった黒龍の息吹が形になったものが、皇宮地下にある巨大黒水晶だと言われている。
・白龍国
東に聳える高山の中腹に国土を持つ国で、守護龍は『青眼の白龍』。
法と規律により国を支えている法の国。
隣国の黒龍国との関係は一応同盟国となっているが、基本的には属国の域を出ていない。
国主は法皇で、先代法皇が亡くなると神官達により、初代法皇の血筋の中から託宣で選ばれる。
国土の殆どが険しい山肌の為、農業には向いていない。
ただ足下の山々からは鉱物が豊富に取れる為、それを隣国の黒龍国に輸出する事により、逆に食物を輸入している。
三百年前の七年戦争で敗戦国となり、それにより黒龍国皇帝の正妃(皇后)を無条件で差し出す盟約がなされている。
成人年齢は十五歳。
ちなみに法皇と言えども普通に結婚も出来るし子供も作っても良い。
ただし世襲制は認められていないので、その子が次の法皇を次ぐとは限らない。(託宣された場合は別)
基本的に一夫一婦制。
モデルは現チベット自治区。
伝説では今から約三千年前にどこからともなく飛んできた白龍が山の頂に留まり、そこにいた人間に自らの持つ聖なる力を与え、ここに法と規律による美しき国を造れと諭したのが始まりと言われている。
諭された人間は法皇となり、山の民族を束ねて白龍国を造った。
黒龍国の伝説とよく似ているが、向こうの国の伝説と違うのがその後の白龍の行方がはっきりしない事である。
その事により伝説はいつしか初代法皇こそが白龍の化身とされ、それ故に初代法皇の血を必要以上に尊ぶ風潮が生まれた。
・冥龍国
黒龍国の西に位置し、大河を挟んで睨み合っている小国。
歴史は浅く、五十年程前に傭兵崩れ達が集まって作り上げた武力国家。
黒龍国・白龍国にならって『龍』の文字を付けた国名にしたが、特に守護龍がいる訳では無い。
元々が屈強な傭兵の集まりの上、最近は統率力も付けてきて、いつ大河を超えて黒龍国に攻め込んでくるか分からない状態が続いている。
・奇跡の子
黒龍国や白龍国(特に殆どが白龍国)で産まれる半陰陽の子供達の隠語。
初代法皇の血筋を何より尊いものと考えている白龍国の貴族の間では無理な近親婚を繰り返し、その結果、男でも女でも無い中途半端な奇形児が多く生まれるようになった。
貴族達の間では勿論そうういう子は子孫を残す事の出来ない『忌むべき子』として扱われていたのだが、そんな『忌み子』達の身体にも尊い初代法皇の血が流れているのは間違いの無い事実である。
更に近親婚を『初代法皇の血を守る為に当然の行い』とする自分達の罪を正当化する為、半陰陽の子を『忌み子』という悪い印象ではなく『奇跡の子』として尊い子として扱うようになった。
ただしそれはあくまで表向きの表現で、彼等(彼女達)が未だに『忌み子』として扱われているのは公然の事実である。
この隠語は後に隣国の黒龍国に伝わり、やがて黒龍国でも普通に使われるようになった。
また、黒龍国ではこのような忌み嫌われ蔑まされている子供達を救う為、『奇跡の子』の専門医が誕生している。
・七年戦争
今から約三百年前に勃発し、七年もの間続いた黒龍国と白龍国との戦争。
白龍国の時の法皇が黒龍国の国土に目を着け、一方的に突如黒龍国へと攻め入った。
先手を取られて黒龍国は初めは苦戦を強いられたものの、後半になると武の国としての実力を出し始め、最終的には白龍国本土へ攻め入ることに成功した。
戦争が始まって七年後、黒龍国の皇帝は自ら白龍国の法皇宮へ攻め込み、ついにその戦争は終わりを告げた。
これにより以来白龍国は黒龍国の属国となり、代々皇帝に正妃(皇后)を無条件で差し出さねばならなくなった。(白龍国側に拒否権は無い)
正妃(皇后)とは聞こえが良いが、結局は体のいい人質に過ぎない。
・愚皇(ぐこう)
三百年前に黒龍国に突如攻め入った時の白龍国法皇の事。
これにより戦争は七年にも渡って続き、黒龍国・白龍国双方に甚大な被害を与えた。
戦争終結後亡命しようとしていたところを、黒龍国の兵士に逮捕される。
その後、黒龍国及び白龍国の両国の裁判官により戦犯裁判が開かれ、『法皇でありながら自ら戦争を起こし、両国の兵士並びに民間人等の多数の人命を失わせた罪は非常に重い』とされ死刑を言い渡される。
判決から僅か十日後、処刑が決行された。
処刑後、白龍国の神官達の手により託宣がなされ、新しい法皇には彼の弟が就く事となった。
この事から後の白龍国では、彼の事を『愚皇』と呼び蔑む風潮がある。
また、新しい託宣で二人兄弟の兄に当たる人物が新しい法皇に選ばれると「また『愚皇』の再来ではなかろうか」と、三百年経った今でも余り歓迎されない傾向にある。
(件の『愚皇』が二人兄弟の兄であった為)
・誓いの泉
黒龍国の皇宮下に広がる美しい泉の事。
泉と言っても結構広い。
周りの壁には水晶がそこかしこに埋まっており、それが自然発光して地下の空間はまるで日が差しているように明るくなっている。
中心地に小島があり、そこに黒龍の息吹と言われている巨大黒水晶が立っている。
泉の水は神聖で、決して武器や衣服を纏ってその水に入って入ってはならず、また皇族以外の人間がその水に触れることも許されていない。
黒龍国の皇家に属するものは水晶の尖った部分で指先をわざと切り、その流れ出る血で水晶の表面に自分の名前を書いて誓いを立てる風習がある。
誓いを立てるのは殆どが皇帝(皇太子)で、主に十七歳の『成人の儀』、『皇帝即位の儀』、そして正妃(皇后)との『結婚の儀』の三回である。(側室との『結婚の儀』の場合は誓いを立てない)
それ以外にも他国との戦争が起こった場合に、『戦勝祈願の儀』と、戦争に勝利し無事に帰って来られた場合の『戦果報告の儀』の場合にも名前を書く事になっている。
当たり前だが、白龍国からやってきた正妃(皇后)との『結婚の儀』の場合は、嫁いできた正妃(皇后)も自ら名前を書くことになっている。
・守り人の一族
代々黒龍国の皇宮地下に住み、誓いの泉を守っている一族のこと。
一族は普段は別の場所に暮らしている。
新しい皇帝がたつとその皇帝に一番近い年齢の者を一族の中から選び出し、誓いの泉の守り人として一人地下で暮らすこととなる。
故に一族とは言ってはいるが、大体は『守り人』だけで意味が通じるようになっている。
守り人の一族は地下で暮らすに特化していて、その肌も髪の色も真っ白く、目の色は紅く輝いている。
その紅く輝く目が黒龍国の守護龍と同じ眼の色だとして、神聖視されている。
ちなみに誓いの泉では皇帝(及び皇后を初めとした各皇族)は丸腰となる為それを護る役目も担っているが、その皇帝や皇族達の肌に指一本触れることは許されていない。
・願いの儀
誓いの泉にて王族のみが行うことが許されている儀式。
皇族の身の安全や国の行く末に関して願いがある時に行われる。
通常の儀式のように黒水晶に願いを込めながら名前を書くだけなのだが、願いが叶うまでは例えどんな理由があろうとも、毎日それを繰り返さなければならない。
一日でも休めば願いは一生叶うことが無いと言われる。
願いが叶った時は『感謝の儀』として名前を書くことで一連の儀式は終了する。
克也(城之内)×瀬人(海馬)。
パラレル(ファンタジー路線)の長編です。
今回はパラレルという事で、色々と二礼の妄想によって書かれた部分が強いのでご注意下さい。
●注意点
- 世界観に合せて二人の呼び名を名前呼びにしています。『城之内』や『海馬』という名字は一切出てきません。
- 同じく世界観に合せて小説の表現方法や各キャラクターの台詞が若干古臭くなっています。
- ファンタジーなので、現実世界じゃありえない歴史があったりします。
- 尤もらしく医学知識を用いた表現が出てきますが、これもはっきり言って二礼の妄想の産物なので本気にしないで下さい。
- 克也(城之内)の立場が最強です。克也(城之内)>瀬人(海馬)の立場が変わることは無いので、こういう図式が苦手な方はご注意下さい。
- 考察の頁には話が進むにつれて説明したいキーワードを増やしていきます。
- 他には、「いやいや、現実じゃこんな事ありえないから!」というシーンがあっても全て「ファンタジーなんで」と、広い心で流して下さると嬉しいですw
上記の注意点を読んでもまだOKな方は、どうぞページをめくって先にお進み下さい。
最近すっかりバナナブームな二礼です、こんばんは。
バナナ系ドリンクとか、バナナ系デザートとか。
先日もハーゲンダッツの『バナナチョコレートクッキー』なるものを買って来て、今は大事に冷凍庫に仕舞ってあります。
何だ? 世間もバナナブームなのか?
バナナ美味しいよバナナ。
ていうか、基本果物は何でも好きですw
あと一ヶ月ちょっとすれば枇杷が出てくるなぁ…。
今から楽しみだ…(´¬`)ジュルリ
短編『雨の日の卑怯者』をUPしました。
実は『真実の証明』の連載を始める前からあたためていた作品です。
料理が上手な城之内君&たまにはこういう大人な関係の城海もいいんじゃな~い? というコンセプトで書いてみましたw
あと告白シーンは『真実の証明』の告白シーンを男の海馬でやったらどうなるかな…と思い、ちょっと色々弄って書いたりしてます。
何となく海馬の行動がにょた海馬と似てはいませんか?
似てませんか、そうですか…(´・ω・`)
ていうか私が書く城之内はいつも余裕満々だな。
これじゃ面白くないので、たまには余裕の無い城之内も書いてみたいところです。
以下は拍手のお返事です~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
えーまず最初に…。
『代替的』の誤字がバレてしまっている!!(ノノ)
何か嫌な予感がしたので、UPした一時間後くらいに見直してみてコレを発見し「何だコレは!!」と急いで『大々的』に直したんですけど、しっかりバレてしまいましたね…(´∀`;
本人もどうしてこんな誤字が出てきたんだろうと暫く悩んだんですけど、先程漸く原因究明できました。
『だいだいてき』と打とうとしたのが何を間違ったか『だいたいてき』と打ってしまい、このような誤字になってしまったようですw
花見ネタを思い付いてガッと書き綴ったはいいんですけど、勢いにのるとこういう事が起こってしまうんですねぇ…;
そもそもDとTを打ち間違える事がありえないw
しかも押す指も違うのにw(二礼の場合、Dは左手中指、Tは左手人差し指で打ってます)
それはともかく、教えて下さりありがとうございました~!
反省しときます…orz
話は変わりますが、『酒の力』の酔っぱらい語に関してなんですけど…。
最初訳さないでそのまま行こうかと思っていたんですよ。
だけど読み返して見たら自分でも翻訳しないと理解出来ない状況に陥りまして、そこで城之内に一々訳して貰う事にしたんですw
読んで下さっている方が、海馬の台詞の意味が分からなくてそこで留まっちゃわないようにとの苦肉の策でした(´・∀・`)
それはそうと、酔っぱらいって可愛いですよね?
駅のホームで酔っぱらっているおじさんとかじゃなくて、もっと可愛い酔っぱらい方した知人とかが。
二礼自体は酒に強いので、あんまり素面の時と態度が変わらないんです。
なので普段は介抱組なのですが、そういう時に普段真面目な奴がヘロヘロになってたりすると凄く萌えます…(*´∀`*)
「何だコイツ可愛いなチクショウ。ガリガリ君でも食ってろ」みたいな感じで口にアイス突っ込んだりしますw
(酔っぱらいにアイス食わすのは、水分補給+糖分補給+冷たさで意識覚醒するので効果的なんです)
でも確かに、私自身も酔っぱらい海馬は書いていて楽しかったです(´∀`)
今度またやってみようかなぁ…。
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
ちょっと大人になった二人の話。
ただ料理好きの城之内が書きたくて書いた話だともいう。
「お疲れ様でしたー!」
高校を出てから三年間、真面目に働いてきた会社での業務を本日も無事に終え、オレはタイムカードを押す。
業務員用出口を出ると、外はシトシトと春先の冷たい雨が降っていた。
オレはそれを見て軽く溜息をついてしまう。
こんな日は、必ずオレの家に客が来るからだ。
わざわざ雨の日を選んで訪問してくる卑怯者が。
そう言えば、前にアイツが来てから丁度一ヶ月が過ぎようとしていた。
どうせもうそろそろなんだろ? と思い、オレは覚悟を決める。
傘を広げながら、帰り際にスーパーに寄って何か食材を買い足すか…と色々考えてみる。
真面目に働いてきたお陰か、オレは貧乏という状況からの脱出に成功した。
昨年には貯まった金でアパートも借りて一人暮らしも始めている。
1DKと狭い部屋だが、オレにとっては初めて手に入れた自分だけの城だった。
その狭い部屋に来客が来るようになったのは、オレが部屋を借りてすぐの事だった。
ある日の夜、どこから嗅ぎつけたのか宿賃代わりの高級な洋酒を一本手に持って、黙って玄関に立っていた。
…ずぶ濡れで。
オレはアイツのそんな姿を見た事無かったから、最初は驚いてあれやこれやと世話を焼いていたんだけど、その内それがわざとなんだと気付いてしまった。
オレがその事に気付いた事実に向こうも気付いたくせに、アイツはそれでも一月に一回はオレの所にやって来る。
酷い時には二回とか三回とかあるけど、来訪する理由を知っているオレにとっては回数なんて問題じゃなかった。
スーパーに寄ったオレは、いつもじゃ買わないようなちょっと質がいい製品をポンポンとかごの中に入れまくる。
社会人になってオレもそれなりに舌が肥えたと思うけど、今から来る予定の奴の舌はそれどころじゃないからな。
冷蔵庫に残っている食材も考えつつ、まず野菜コーナーでレタスとフルーツトマトを購入する。
続いて肉コーナーに行って鳥のもも肉をかごに放り込み、次に乳製品のコーナーに行って奴の好きなチーズを物色する。
スモークチーズはまだ有った筈だからと、ブルーチーズとモッツァレラチーズを選んでそれも放り込む。
その足で保存食コーナーに行ってツナ缶とオリーブの瓶詰めもゲットすると、レジに行って精算を済まして外に出た。
外は相変わらず静かな雨が降っていて、オレは少し急ぎ足で自宅までの道を歩いた。そしてアパートの近くまで辿り着いた時、近くの街灯の下に長身の人影が佇んでいるのに気付く。
あぁ、やっぱりなぁ…と思いつつ、それに近付いて頭上に傘を差してやった。
「こんなところで何やってんだよ。またビショビショになりやがって…。オレを待つ時は部屋の前でいいっつったろ?」
オレの言葉に目の前の男は顔を上げて、その青い瞳でオレを見た。
「あまり…他の住民に迷惑になるような事はしたくない…」
普段から他人に迷惑かけまくってる奴が何を言うかという台詞を吐いて、海馬は寄りかかっていた街灯から身を起こした。
海馬の腕を引いて部屋のドアを開ける。まずオレだけ先に入って、バスタオルと何故か常備されている海馬の着替えをタンスから取り出して、それを纏めて玄関先で突っ立っている濡れ鼠に放り投げてやった。
「とにかくシャワー浴びてこい。湯の貯め方は分かるだろ? あ、コートはこっちに寄越せってば」
オレの言葉にコクリと頷いてコートを手渡し、海馬はそのまま風呂場に直行した。
玄関の土間には一本の高級白ワインがポツンと置いてある。どうやらこれが今日の宿賃らしい。
それを掴んでオレは台所に行く。
まず壁のハンガーにコートを掛けてやり、ワインクーラーに氷を入れて、掴んでいたワインを突っ込んでやった。
そして冷蔵庫の中を探っていくつかの食材を取り出し、今日買って来たものと一緒に流しの上に並べる。
まず常備してあったタマネギを千切りにして、冷たい水にさらした。
次に買ってきた鳥のもも肉を一口大に切って塩胡椒で軽く味付けをし耐熱容器に並べる。
その上にパン粉とパルメザンチーズと乾燥バジルを混ぜたものを振りかけて、そのままオーブンの中に入れてスイッチを入れる。
次にオレは海馬お気に入りのシーフードサラダを作る事にする。
鍋に水を張ってお湯を沸かしながら冷たく冷えたレタスを千切り、フルーツトマトも一口大に切ってしまう。
ツナ缶とオリーブの瓶詰めは予め油を抜きつつ、沸いたお湯の中に冷凍庫の中にあった冷凍イカと小エビを放り込んで茹でた。
レタスとトマトと辛みを抜いたタマネギをサラダボウルに入れ、油を抜いたツナとオリーブもその上に散らす。
茹で上がったイカとエビもザッとお湯を切って暖かいままサラダの中に放り込み、少し甘めのドレッシングを掛けて軽くかき混ぜる。
まだほんのりと温かいイカやエビが美味しいらしく、このサラダが無いと海馬の機嫌が悪くなる為これだけは忘れないようにしていた。
サラダで使わなかったフルーツトマトをスライスして、同じように買ってきたモッツァレラチーズもスライスしてトマトに挟む。
それを皿に並べて、オリーブオイルを垂らして上から岩塩を散らした。
ついでに買ってきたブルーチーズや、冷蔵庫に残ってたスモークチーズやスモークサーモンも綺麗にスライスして皿に並べる。
そうこうしている内に鶏肉が焼けて、皿ごとオーブンから取り出すとテーブルに並べた。
最後にバケットをスライスして、パン籠に入れておく。
テーブルの上にずらりと並んだ料理やワインに、オレは「どうだ!」と一人得意気になる。
元々料理は上手な方だったけど、海馬が泊まりに来るようになってからはより上手くなっていた。
小皿やワイングラスを用意して並べていると、丁度海馬が風呂から上がって来てキッチンに入ってきた。
雨に濡れて真っ青だった顔色は今やほんのりピンク色になって、いつもの白いパジャマを着込んでいる。
「ほら、いいからそこに座れよ」
オレの向かいの席を指さすと、海馬は黙ってそこに腰を下ろした。
ワインの栓を抜いて、目の前のグラスに冷たい白ワインを注いでやる。
自分のグラスにも同じように注いで席に着き「んじゃ、乾杯」とグラスを向けると、向かいの海馬も同じようにグラスを向けて軽く触れ合わせ「乾杯」と小さな声で言った。
ワインを一口飲んで焼きたての鶏肉を口に入れると、熱くてジューシーな旨味が口一杯に広がって、思い通りに出来たそれにオレは満足する。
前を見ると海馬がシーフードサラダを黙々と食べていたが、文句が出ないところをみると、どうやらそっちもちゃんと美味く出来たらしい。
お互い暫く無言でワインを飲みつつ料理を口に運んでいたが、海馬がちらちらとこっちを見てくるのでオレは仕方無く声をかける。
「んで、今回はどちらのお方にどのようにフラれたんですか?」
その問いに租借していたエビをワインで流し込んで、海馬がばつが悪そうに答えた。
「C社の営業部長だ…」
「C社っつったら結構いいとこの会社だよなぁ。年は?」
「44歳」
「まーたおっさんかよ。で、あちらは何て?」
「『僕は君に本命がいる事に気付いてしまった…。それを知ったからにはもう君を今までのようには愛せない。だから別れてくれないか』だと」
「はぁ…。またいつものパターンな訳ね」
そうなのだ。海馬はこうやって恋人にフラれる度にオレの所にやって来る。
しかもフラれた直後にそのまま来る事はない。いや、フラれた直後に来た事もあるんだろうけど、大抵はこういう雨の日を選んでやって来る。
雨に濡れて(冬なんかは雪に塗れて)ウチに来れば、そのまま風呂へ直行させられるのは必然的だろう。
風呂から上がって着替えてついでに夕食なんかも一緒に済ませてしまえば、時間も時間だし今日は泊まるか? …となる。
そして海馬はまんまとオレの家に泊まる事に成功する訳だ。
まったく卑怯な野郎だぜ!
オレがそれ以外のパターンを行使しないのを知ってやがるんだ。
それにしても…と思う。
こいつがこうやって中年や壮年のおっさんしか恋人にしないのには理由がある。
幼い頃に実父または義父に思いっきり甘えたり頼ったりする事が出来なかったトラウマによる一種のファザコンって奴なんだな、コレは。
と言っても、別にコイツの方から誰かに告白したなんて事は無い。
今までの恋人は皆向こうから「自分と付き合ってくれないか?」と告白してくるんだそうだ。
別に断わる義理もないし取りあえず恋人として付き合うも、一ヶ月も経つ頃には向こうの方が違和感に気付いてくる。
そして告白した方から別れの言葉を切り出し、海馬はフラれる形となる訳だ。
別に海馬が相手に対して冷たく当たってるという訳では無いらしい。
恋人として付き合っている期間は浮気もしないし、海馬は海馬なりに誠心誠意でお付合いをしているだそうだけど…。
でも、オレは知っている。コイツにちゃんと本命がいる事を。
しかも相手はおっさんじゃなくて同年代。高校時代からずっと変わらず好きで居続けている。
オレも高校を卒業するまでは全く気付かなかった。卒業後もコイツと関わり続けている内に何となくそんな気がしてきて、ここ一年はその予感は確実なものとなっている。
だけど海馬はその相手には自分の想いを告白しない。どうせフラれるだけだと思っているらしい。
こういうところもまた卑怯だとオレは思ってしまうのだ。
本当は待っててやろうと思っていた。そう思ってずっと我慢してきたけどオレはそろそろ限界で、今日こそは言ってやろうと静かに決心をする。
「お前さ、やっぱ卑怯だよな」
オレの言葉に海馬が顔を上げた。
「何だ? 突然…」
「突然じゃねーよ。オレはずっと思っていた。何で本命いるくせに他の奴と付き合ったりするんだよ」
「それは…お前には関係ないじゃないか」
「そうだな、関係無いな。でもフラれる度にこうやって泊まりに来られる方の身にもなってみろよ」
「迷惑…なのか?」
「別に迷惑って程じゃないけど。大体さ、好きな奴いるならなんで相手に告らないんだ?」
「それこそお前には関係が無い。思いを告げたところでどうせフラれるだけだ」
「そうだよなー。お前はそういう奴だよ。想いを受け止めてくれるかどうか分からない本命より、確実に自分を好きになってくれたおっさんを相手にする方が楽だもんな。だから卑怯だって言ってんだ、オレは」
「い…今更そんな事…」
「だから今更じゃ無いんだって。大体さぁ…。オレがホントに気付いてないと思ってんの? お前の本命にさ」
カチャンッ…とフォークが小皿に落ちた音がした。
オレの言葉に海馬が明らかに動揺してしまっているのが見える。
チャンスだと思った。今を置いてこの状況を打破する機会はない筈だと。
すかさずオレは畳みかける。
「お前がさ、フラれる度にオレの所に来るのも、それが都合の良い言い訳になってるからだろ? 何の理由も無いのに突然泊まりに来る訳にはいかないもんな」
「な…にを…」
「オレはさ…もう気付いてるぜ? お前がこうやって『本命』に会いに来てるって事をな」
オレの最後の言葉を聞いた瞬間海馬はサーッと真っ青になって、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がり壁に掛かっていたコートを羽織ると、そのまま真っ直ぐに玄関に向かってしまう。
「海馬! 待てよ!」
オレは慌ててそれを追って、玄関でアイツの腕を捕まえてやった。
「そんな格好でどこに行くんだ!」
「は…離せ凡骨!」
「離さねーよ! まだ話は終わってないだろ?」
「お前が気付いていたのなら尚更だ! 話はもう終わっている! 今まで迷惑を掛けてすまなかったな。もう泊まりには来ない!」
「ちょっ…! なんでそうなんのよ」
「どうせ今までオレの気持ちを馬鹿にして嘲笑ってたんだろ? 男が男を好きになるなんてオカシイってな!」
「そんな事思ってないってば!」
「オレは貴様がノーマルだからこそ安心して泊まりに来てたんだ! 何も進展する筈がないから、せめて友人として慰めて貰おうと…!」
「知ってるぜ。だから黙って泊めてやってたんじゃねーか!」
「それが…気持ちに気付いていただと!? 知っていて黙って泊めていただと!? どこまで貴様は…っ!」
海馬は突然言葉を途切れさせると、そのまま壁に沿ってずるずると滑り落ちて床に蹲ってしまった。
「どこまで…貴様は…オレに恥をかかすつもりなのだ…っ!」
ていうか、コイツはもう…。ほんっと馬鹿だねぇ…。
膝に顔を埋め震える声でそう言った海馬の頭を、オレは優しく撫でてやった。
ピクリとそれに反応したのを見て、オレは静かに言ってやった。
「恥だなんて思うなよ。まだ告白もしてねーのに分からないじゃないか」
「結果など…分かりきっている…」
「この卑怯者め。やる前から諦めてんじゃねーよ。いいから告ってみなって。相手も意外と待ってるかもしれねーぜ?」
オレの言葉に海馬がそろりと顔を上げた。
あーあ…涙でグショグショじゃねーか。なんだコレ、可愛いな。
濡れた青い瞳を見詰めて微笑んでやったら、途端に目の前の顔が真っ赤になる
その顔を見て「ほら、早く」と急かしてやったら、聞き取りにくいけど小さな声でボソリと呟いた。
「城之内…。す…好き…だ。もう…ずっと…前から…好きだった…んだ…」
「うん。オレもずっと待ってた」
答えてそのまま目の前の唇にかぶりついてやった。
ずっとずっとこうしてやりたかったんだと知らしめてやる為に、舌を押し込んで海馬の口内を無茶苦茶にかき回して、口の端から零れる唾液も全部勿体無いと思って吸い上げてやる。
海馬は小さく呻いて、何時の間にかオレの背に回した腕で力強くしがみついていた。
随分長い事唇を擦りつけ合って、オレ達は漸く満足して身体を離す。
目の前の顔は真っ赤だったが、もう泣いてはいなかった。
その耳元に唇を寄せて、わざと低く囁いてやる。
「で? 今日はもう帰るの? それとも泊まってく?」
オレの意地悪な問いかけに海馬はキッと睨み付け「お前の方がずっと卑怯ではないか!」と叫ぶ。
いいじゃん。卑怯者同士で丁度いいと思うぜ? オレは。
すっかり力の抜けた海馬の身体を支え、オレ達は再び部屋に戻っていった。
とりあえずスパコミの計画を改めて練り直した二礼です、こんばんは。
だってヤヴァイんだって; あのサークル全部行ったら破産しちゃうから…;
ここ4~5年くらい、すっかり『流行り物』というジャンルから遠ざかっていたんですよ。
昔から好きだった古い作品であったり、好きになったものの人気がなかったり、遊戯王みたいに世間より大分遅れて好きになったりと、あまり世間のニーズにドンピシャにハマるものは無かったんです。
私の周りの友人達が、やれ『ハ/ガ/練』だ、やれ『お/お/振/り』だと、ドンピシャ作品にハマっているのを見て「大変だなぁ…」と他人事のように思っていたのですが…。
それがまさか自分に来るとはw
ヘ/タ/リ/アはさ…随分前から好きだったんだけど、ア/ニ/メ/イ/ト/T/Vでアニメ化しちゃったもんだから、今凄いんだよね…;
思い切って今回は諦めて、ブームが落ち着くのを待つのも有りだね、これはw
短編『酒の力』をUPしました。
多分今年最後の桜ネタになります。
性格が豹変した&酒に弱い海馬が書きたくて作った小説なのですが、これはちょっと酷かったか…w
ちなみに二十歳以下の禁酒(喫煙も)は法律で禁止されております。
リアル世界にお住みの方で未成年の方は、飲酒及び喫煙は二十歳になるまで我慢なさって下さい。
と、コンビニ店員が言ってみるテスト(*'-')
(いや、いるんだよ。見た目明らかに中高生なのに、酒や煙草買いに来るお馬鹿さんがさ…;)
あとですね、今日UPする時間が遅くなって申し訳ないです。
何か色々とゴチャゴチャしてまして…;
思う通りに時間を進める事が出来ないと、何かこう…苛々してきちゃいますねぇ…(´・ω・`)
以下は拍手レスでございます!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)
Rosebank様に言われて、私も漸く気付きました…。
この城之内はツンデレですねw
今回の城之内は確かに乙女ですし、そして海馬が男らしい!!(珍しい!!)
自分でも書いている途中で「この海馬は妙に男らしいな…」とは思っていたのですが、これじゃどっちが攻めか受けか分かりませんがな…(´∀`;
それにしても、勢いにのって小説を書いたりすると、こういう事があるから面白いです。
じっくり考えてプロットを作った上での作品(長編とか)ではこうはなりませんが、『君に伝えたい嘘』のように何かに触発されて突発的に書いた作品に限っては、こんな風に珍しい面がひょっこり顔を出したりする事があります。
そういう作品が出来るとそれが自分でもお気に入りになったりするし、やっぱり小説書いていて良かったな~と感じる瞬間でもあります(*'-')
こんな風にこれからも自分の芸風を崩さず、尚かつ新しいことにもチャレンジして、色々な小説を書いていきたいと思っています。
話は変わりますが、チチもげはあんまり聴くと危険ですよ…。
本気(と書いてマジと読む)で頭から離れなくなりますからwww
あの歌はヤヴァイんだって…;
しかもTさんの歌が無駄に上手いから、余計に頭に残ってしまうんですよねぇ…w
それでは今日はこの辺りで失礼致します~!
ではでは~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
凄くお馬鹿なお話です(´∀`;
あと、お酒は二十歳になってからですよ~!
ソファに腰掛けている海馬の隣に座って、その細腰を抱き寄せる。
こめかみや頬にキスをして、緊張が解けた頃を見計らってオレは薄くて柔らかい唇に吸い付いた。
まるでそれが合図のように海馬の唇が少し開くから、オレはそこから舌を差し入れて口内を蹂躙する。
オレの舌が海馬の舌に触れた瞬間、ビクリと反応して緊張する身体を宥めるように優しく抱き締めて、オレは右手を海馬の膝頭に乗せた。
サワサワと撫で擦りながら膝頭から太股へと移動し、最後に内股に手を滑り込ませた時、パシッと突然海馬の手がオレの手を掴み移動を阻止される。
合わせたままだった唇を外して海馬の顔を覗き込んでやれば、そこはまた困惑の表情を浮かべて申し訳なさそうに視線を落としていた。
「海馬。まだ…怖い?」
オレの問いに海馬がゆっくりと頷く。
海馬と恋人という関係になって半年が経っていた。
キスや抱擁には慣れたみたいだけどセックスに対しては強い恐怖感を持っているらしく、オレ達は未だに身体を繋げる事が出来ずにいる。
海馬がオレとのセックスに恐怖感を持ってしまうのは仕方が無いと思う。
だってただでさえ男同士なのに、ましてや自分が受け身となると怖くなるのが当たり前というもんだ。
あんまり怖がるからてっきり受け身が嫌なのかと思って聞いてみたら、どうやらそう言う事じゃないらしい。
自分が受け身なのは構わない。だけどそれに対する恐怖を克服出来るか否かは、また別の話なんだそうだ。
頷いた後、海馬が余りにも申し訳無さそうにオレを見るから、オレは少し苦笑して海馬の頭に手を置いた。
「気にすんなよ」と言って優しく栗色の髪を撫でてやる。
オレは別に急いでいる訳じゃ無い。
海馬と恋人同士になれた事自体が既に奇跡なのに、これ以上を望むのは何か贅沢なような気がしたんだ。
「ゆっくりでいいから。お前が怖くなくなるまで、オレずっと待ってるから」
ギュッと腕の中の細い身体を抱き締めると、海馬はコクリと頷いて同じように強い力で抱き返してきた。
いつもと変わらぬ抱擁に、だからオレは気付けなかったんだ。
海馬がその事で強く悩んでしまっていた事に。
数日後。
新学期の始まった教室で、遊戯が妙に嬉しそうな顔をして走り寄ってきた。
「ねぇ、城之内君! 今日の夜に海馬君家で花見をするんだって! 杏子も本田君も漠良君も皆で行くって言ってたから、城之内君も一緒に行こうよ?」
花見!? 海馬が!? 海馬邸で!?
驚いて斜め後ろに座っていた海馬を凝視すると、何故か得意そうな顔でオレを見ていた。
「別にオレの企画では無いけどな。モクバが庭の桜が余りに見事で自分達だけで楽しむのは勿体無いと言ったのだ。それならばお前達を招待して、大々的に花見をしてやろうと思ってな」
明日は土曜日だから飲み放題だぞと、高校生として言ってはならない台詞を平気で吐いて高笑いをしていた。
何か海馬が妙にやる気になっているのは分かるんだけど、突然そんな事を言われてもスケジュールを変える事なんて出来やしない。
「悪いけど海馬。オレ今日バイトがあって行けねーや」
オレの言葉に海馬が「何っ!?」と心底驚いた顔をして振り返った。
「いや、行きたいのは山々なんだけどさ。今日のシフトはどうしても外せねーんだ」
「き…貴様…っ! オレの企画した花見に来れないとは一体どういう事なんだ!?」
「どういう事って、だからバイト? 突然言われたってスケジュール調整出来ねーし」
「毎日バイトしているのだから今日くらい休んでも構わないだろう! 休め! そして花見に来い!!」
「経営者がそんな事言うなよな~。無理だってば。オレにも生活ってもんがあるんだから諦めろ」
何とか宥めようとするんだけど、海馬は諦め切れないらしくまだギャーギャー喚いていた。
そこで海馬の様子がおかしいって事に気付けば良かったんだ。
オレも海馬も立場が違うとはいえ、お互いに毎日忙しく働いている身だ。だから仕事をするという事がどんなに大事な事かをよく分かっている。
オレがバイト関係で時間が取れなかったり急に約束を守れなかったりしても、海馬は一度だって怒った事なんて無い。
その海馬がバイトを休めとまで言ってきているのだ。
一体どんな花見をするつもりだよ…とは思ったけど、話を聞いているとどうにも普通に夜桜眺めて酒を飲むだけらしい。
「わかった!」
あんまり煩く騒ぐもんだから、オレは一旦海馬の肩に手を置いて落ち着かせる。
「花見は七時から始まるんだろ? その二時間遅れの九時からの参加でいいならオレも行くから。な? それでいいだろ?」
何とか納得させようと海馬の顔を覗き込むと、少し不満そうな表情をしながらも「それなら…いい」とやっと頷いてくれた。
オレはその一言で漸く安心したけど、後から滅茶苦茶後悔した。
こんな事になるんだったらバイトを休んだ方が絶対マシだった…と。
約束の九時きっかり。
オレはコンビニでのバイトを終わらせて海馬邸に足を運んだ。
勝手知ったる何とやらでメイドさんの案内も断わって庭に足を運んだ瞬間、想像以上のカオスっぷりに頭を抱える事になった。
確かに海馬の企画で大々的に花見が行われたのだろう。
庭に生えている一番大きな桜の木の下には赤い和風の敷布が敷かれ、その上にいくつもの死体…いや酔っぱらいが寝転がっていた。
なんだコレ…と思って足を進めると、足先に空になった酒瓶が触れる。
普通の花見だったら安いビールや酎ハイの缶が転がっている筈なのに、そこは流石に海馬邸の花見。転がっている酒瓶は高級そうな洋酒やワインの瓶ばかりだった。
無駄にでかいお重の中に入っていたであろう料理もあらかた無くなっていて、オレの食えそうなモンは何も残っていなかった。
「たった二時間で何があったっつーんだよ…。全く…。もうオレが参加する意味無くね?」
腰に手を当てて独り言のように呟くと、その声で遊戯がむくりと起き上がる。
「あ、城之内君だ!」
「あら、城之内」
「おぅ! 城之内!」
「あー、城之内君だぁー!」
嬉しそうに近寄ってくる遊戯を適当にあしらいながら周りを見渡すと、杏子や本田や漠良も何時の間にか起き上がってオレを見て喜んでいた。
実は遊戯を初めとするこのメンバー、意外と酒に強いと言うことをオレは知っている。
本田とは中学生時代に連んでいた事もあって元から知っていたけど、遊戯や杏子や漠良が酒に強い事を知った時はオレも本当に驚いたもんだ。
まだ高校生だから本当は酒なんか飲んじゃいけないって事は百も承知だけど、そこは高校生ならではの好奇心って奴で、オレ達はちょくちょく酒盛りみたいな事をやっていたんだ。
だからコイツ達が本気で酔い潰れていないのは分かっていたけど、たった一人、物凄く心配な人物がいる事に気付く。
それは他のメンバーが起き上がっているのに相変わらず俯せに倒れたままの長身の男…海馬だ。
「おい、海馬。生きてっか~?」
肩を掴んで揺さぶってやると、突然ガバリと起き上がる。
意外と動きは機敏だったけど、目が半分死んでいた…。
「じょーろうち…?」
「はいそうです。貴方の城之内君ですよ」
何かもう呂律が回ってなくて、俺の名前が妙な事になっている。
「おそいぞ、やっときたろか! さぁ、おれのしゃけをろめ!!」
しゃけ…? 鮭? あぁ酒ね。ろめ…? 飲めって事か。
って、何で同じ日本語なのに脳内でわざわざ訳さないといけないんだよ!
酔い過ぎて呂律が回らなくなり、ナ行とダ行が全部ラ行になってしまっている。
「おい、遊戯。海馬いつからこんなんなの?」
底に少しだけ残ったブランデーの瓶を差し出しながら「いいからろめ!」と言っている海馬を指差してて尋ねる。
「一時間くらい前からかな~? 海馬君って結構お酒弱いんだね~」
重箱の隅に残ったツクネを食べながら、遊戯がエヘヘと笑って答える。
そのまま残りのワインをコップに注いでグイッと飲み干してから、遊戯は「さてと」と言って立ち上がる。
「保護者も来たし、僕らそろそろ帰るよ~」
「げ! オレを置いていくなよ! 大体オレが来たんだから花見はこれからだろ?」
「う~ん。僕も最初城之内君が来てからも楽しもうって思ってたんだけど…主催者があの調子じゃあねぇ…。だから城之内君が来るの待ってから帰ろうって皆で言ってたんだ」
ニコニコと笑いながらそう言うと、遊戯は他のメンバーを引き連れてさっさと帰る準備を始めてしまう。
いやいやいや…ちょっと待って!
何とか遊戯達を思い止まらせようとしたその時、突然背後から海馬がガバリと覆い被さってくる。そしてそのままオレの髪に鼻先を埋め、何やらくんくんと嗅いでいたかと思うと幸せそうな声で「じょーろうちのにおいがする…」とウットリと囁いた。
いやぁ―――――っ!!
止めて止めて海馬君!! オレバイトから帰って来たばかりでまだ風呂に入ってないし、汗も一杯かいているのよ!! そんな匂いを嗅がないでぇ―――っ!!
右往左往して慌てているオレを横目に、遊戯達はすっかり帰り支度を終えてヒラヒラと手を振っていた。
「それじゃ、城之内君。あとはよろしくね!」
「ま…待ってくれ! 遊戯!! 本田!! 杏子!! 漠良!!」
「またね~!」
オレの叫びを完全無視して、奴らは無情にも帰っていった…。
後に残ったのはオレと酔っぱらいの海馬の二人だけ。
とりあえずハートマークを一杯飛ばしながらまとわりついて来るこの酔っぱらいをどうにかするべく、オレは海馬の腰を支え更に腕を肩にかけて立ち上がった。
案の定足元は覚束無くて、よろよろしながら邸内に向かう。
散らかったままの花見セットが気になって仕方無かったけど、ここは公園や河川敷とは違って海馬邸の敷地内だし、きっと使用人さん達が片付けてくれるだろうと勝手に信じてみた。
酔っぱらった海馬を心配するメイドさんを適当にあしらいつつ、オレは何とか海馬の私室まで帰って来る。
ベッドにその長身を投げ出すと大きく溜息をついた。
ったく…。何でこんなになるまで無理に飲んだんだ…と呆れていると、そのまま大人しく寝ときゃいいのに海馬はむくりと起き上がった。
「らりをするか、ぼんこつ!!」
「らり…? あぁ何をするかって言いたいのね。ていうかまーた随分と派手に酔っぱらったもんだなぁ…。もういいからこのまま寝ちまえよ」
上着を脱がせてベッドに寝かせ掛布をかけてやると、それをバサリと跳ね除けてオレに抱きついてきた。
「いやら!! きしゃま、ぜんぜんろんれらいれはらいか!!」
あー、もう解読不可能だよ…。前後の言葉から推察するに「飲んでないではないか」と言いたいんだろうけど、これは酷い…。
いいから寝ろと突き放そうとすると、海馬は酔っぱらいとは思えない力でオレにしがみついてくる。そして酒のせいで潤んだ青い瞳で、オレの事をじっと見つめてきた。
「な…何…?」
余りに真剣な視線に思わず真面目に問いかけると、海馬はオレを見詰めたまま思い詰めたように呟く。
「いまらら…れきそうらきがする…。じょーろうち…」
「へ?」
一瞬酔っぱらい語を解読しそこなって動きを止めたオレに、海馬がずりずりと擦り寄って来た。
「いつもは…こわくてれきらいけろ…、いまらら…きっと…」
あぁ…そういう事かと思った。
不思議なことに、オレは海馬の行動を全て理解出来てしまっていた。
多分海馬はセックスが怖くてオレといつまで経っても出来ない事を、ずっと気に病んでいたんだ。
酒の力を借りれば何とかなると思いつき、だけど酒を飲む理由も欲しくて。
だから花見を開いて遊戯達を呼んだんだ。花見の席ならば高校生の悪巫山戯と称して酒を飲むことが出来る。
本来だったらその場にはオレも居て、一緒に酒飲んで騒いで楽しんでそのままの勢いでセックスをしようと考えていたに違いない。
だけどオレの予定が合わなかった為、海馬は自分だけが酔っぱらってしまってオレは素面のままだった。
「今日は…しないよ、海馬」
オレはしがみついてくる海馬に優しく微笑む。
「セックスってもんはさ、酔った勢いでするもんじゃない。ましてやオレ達は恋人同士だろう? ちゃんと素面の時にやろうぜ」
「らけろ…。オレはしらふろときはこわいんら…」
「しらふろ? あぁ、素面の時はか。大丈夫、いつかきっと怖くなくなる時が来るから」
残念そうな顔をしている海馬の頭を撫でて抱き締めた。
「とりあえず今日は寝てしまいな。話の続きは明日…しよう」
もう一度掛布をかけてあげてポンポンと幼子にやるみたいに優しく身体を叩いてやると、やがて眠気に負けたのか規則正しい寝息が聞こえて来た。
オレは寝室の灯りを落として、一旦部屋から出る。
つーか、よく考えたらバイトから帰ったばかりで何も食ってないんだよ…。
ぐぅぐぅ鳴る腹を擦りつつ食堂に夜食を貰いに行きながら、オレはそれでもにやついた笑みを止める事が出来なかった。
実際、少し不安に思っていた。
海馬が本当はこういう事を望んでないんじゃないかって。
だけど酔った海馬が漏らした本音は、オレの海馬への想いを深める結果となった。
「サンキュー海馬…。そんなお前だからオレは好きになったんだよ…」
お前の為ならいくらでも待てる。
オレは改めて自らの信念を強めていた。
そして次の日の朝。
ベッドの上には一人の二日酔いがいた。
頭を抱えてウンウン唸っている海馬に苦笑して、オレはミネラルウォーターの瓶を差し出してやる。
「何だ、二日酔いかよ。情けねーなぁ、海馬」
ニヤニヤしているオレを睨み付けながら、海馬は震える手で俺の手から瓶を受け取った。
「余り大きな声で話すな凡骨…。頭に響く…」
「頭痛が酷いのか。もしかして気持ちも悪い?」
「悪いなんてものじゃない…。吐きそうだ…」
真っ青な顔して水を飲んでいる今の海馬に、流石に昨夜の話題を出すのは躊躇われる。
だけど記憶が飛んでいる訳じゃないんだろう。時折チラリとこっちを見ては、居心地が悪そうに視線を外しているのがおかしかった。
オレは苦笑しながら、そんな海馬をずっと見ていた。
二日酔いが収まるまではオレも黙って側に付いていてやるさ。
だけどその後は大事な話をしよう。
オレ達の愛を深める為の大事な話をさ。
勿論、もう二度と酒の力は使わせないぜ? 海馬君。
ニ/コ/ニ/コ/動/画で見た祖国のチチもげで腹筋が崩壊寸前な二礼です、こんばんは。
いや、中の人ネタとしていつか誰かが絶対やるだろうと思ってはいましたが、アレは…凄いの一言ですw
そういえば以前洗脳城之内君のMADでも、チチもげネタがあったなぁ…。
祖国で思い出しましたが、今日スパコミのカタログを買って来たんですよね。
で、色々チェックしてたんですけど…。
ヘ/タ/リ/ア…すげぇな…。
何だこのサークル数wwww
ちょっと足を運んでみようかなとは思っているんですけど、勿論最初に行くのは遊戯王スペースですよ!!
城海買わずに他の所なんて行けません(´∀`)
春コミ行けなかったから、今から凄い楽しみです。
久々のイベントだもんね~(*´д`*)wktk
短編『君に伝えたい嘘』をUPしました。
今更エイプリルフールネタで申し訳無いんですけど、ボカロの『A/p/r/i/l F/o/o/l』という曲に余りに感動した為に衝動的に書いてしまった話です。
何か以前にも同じような事があったような気がしますが、結構曲とかに影響を受けやすい思考回路をしているので、それはそれでいいと良いという事にしときますw
曲自体は失恋ソングっぽいんですけど、自分の小説では復縁させておきました(*'-')
だってこの美しいメロディー聴いたら、つい幸せにしてあげたくなってしまったんですよ。
それにしても…いい曲だ…。
こういう出会いがあるからニ/コ/ニ/コ/動/画は止められないw
以下は拍手レスになります~!
>Rosebank様
拍手とコメント、いつもありがとうございます~!
まず最初に、『真実の証明』を最後まで読んで頂いてありがとうございました!
始める前とか連載している途中とか凄く不安になった事もありましたけど、Rosebank様のコメントで何度も勇気付けられました。
お陰でラストまで無事UPする事が出来ました。
本当に感謝しております!
そしてそのラストを「綺麗」だと言って頂いて、心から嬉しく思いました。
『真実の証明』をビシッとキッチリ終わらせるには、あんな感じのが一番だと思ったんです。
どうやら上手くいったようで一安心しましたw
あと杏子が男前に書いてあるのはですね、私が彼女を格好良いと思っているからです。
遊戯王に出てくる女性陣の中で、彼女の格好良さはピカ一だと思います。
内面も強いし、あんな親友いたら毎日楽しいでしょうねぇw
本当は王様から杏子に宛てた手紙もちゃんと書くつもりでした。
でもこれはあくまで城之内と海馬の物語ですから、そこは思い切って省くことに決めたんです。
だから杏子が言わないだけで、王様から杏子のみに宛てたメッセージも書かれていたのではないでしょうか?
だけど多分そこには愛の言葉は無いでしょうね。
これから冥界に行かねばならない自分から、この先もこの世を生きていく相手に対して期待を抱かせるような事は、王様は決してしないでしょう。
それが王様なりの優しさなのだと思います。
もしくは本当に気付いてなかっただけなのかもしれませんがw
その辺りは読んでくれた方のご想像にお任せしようと思っています(*'-')
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
ボカロの『A/p/r/i/l F/o/o/l』という曲に感銘を受けて、咄嗟に書き綴ってしまった話です。
ちょっとだけ切ない系。
「オレはアメリカに残る」
そう言い張る海馬の顔を、オレは信じられない気持ちで見続けた。
海馬がアメリカでずっと重要な仕事をしているのは知っていた。モクバとの幼い頃からの約束である『世界海馬ランド計画』を遂行する為だ。
だけどKCグランプリでアメリカの海馬ランドに足を踏み入れた時、その殆どが完成しているのを見てお前が帰って来るのももう少しだと思ったんだ。
実はオレ達は互いが互いに恋をしていた。
それを知ったのはバトルシティの飛行船の中で、アルカトラズに着く前日にお互いの気持ちを確かめ合ったオレ達は一度だけキスをしてセックスをした。
オレにとってはそれはスタートだった。
これで漸くあの海馬が手に入ったと思ったのに、海馬にとってはそれがゴールだったらしい。
最初で最後のセックスでオレへの気持ちにケリを付けた海馬は、その後オレの事などまるで眼中に無いように振る舞い、バトルシティが終わると同時にアメリカへと飛んで行った。
その後ドーマがどうとかKCグランプリがどうとかで何度か顔は合わせたけど、海馬は一向にオレを見ようとはしない。
こうしてエジプトで共にアテムを見送った後でさえも、アイツはオレの事を無視し続けている。
曖昧な海馬の態度に痺れを切らして、オレは海馬の止まっているホテルに押しかけて会いに行った。
どうしても話したいことがあると粘ると、海馬は仕方なさそうに自分の部屋に案内してくれる。
部屋に入った瞬間、オレは今まで我慢していた何もかもが突然切れてしまって、アイツをそのままベッドに押し倒して無理矢理抱いてしまった。
無理矢理…というとちょっと違うかもしれない。だって海馬は一切抵抗しなかった。
キスもセックスも無抵抗で受け入れて、最後はオレの身体にしがみついて泣いていた。
だからオレには海馬の本当の気持ちが分かったんだ。今でもオレの事を好きなんだと確信する。
全てが終わったベッドの中で裸の海馬を抱き締めて、オレは「一緒に日本に帰ってくれ」と真剣に頼んでみた。
今の海馬だったら絶対オレの願いを聞いてくれると思ったのに…、海馬が出した答えは冒頭のあの言葉だったのだ。
「な…んで…?」
動揺するオレを余所に、海馬は至極冷静に言葉を紡ぎ出す。
「世界海馬ランド計画は…オレとモクバの夢だ。こればかりは誰にも譲れない。この計画が完全に完成するまで、オレは日本には帰れない…」
「だって…もうあらかた出来ていたじゃんか…。後は現地の人間に任せればいいだろう…?」
「………。そう言う訳には…いかない…」
「何でだよ…。なぁ、海馬。オレの事好きだろ? オレの側にいたいだろ? オレと一緒に…生きたいだろ?」
「城之内…っ」
「海馬…っ! オレと一緒に帰れってば!!」
心の底からの叫びも海馬には届かない。
ただ目を瞑ってじっとしている海馬を見て、オレは自分の眼の奥がじわりと熱くなるのを感じた。
耐えきれなくて海馬の身体を放り出して、オレはベッドから降りると脱ぎ散らかした服を拾って身に付け出す。
「あぁ…そうか、分かったよ! お前の気持ちは良く分かった! どうせ元からオレの事なんて暇潰し程度にしか思って無かったんだろ!」
気持ちが苛立って酷い言葉が止まらない。
こんな言葉を海馬に伝えたくなんか無かった。アイツに伝えるべき言葉は、もっと優しくて思いやりに満ちたものじゃないとダメだった筈なのに。
「オレだってそうさ! お前の事なんて何とも思って無い! キスだってセックスだって、ただの暇潰しだ! 嘘に決まってるだろ? お前の事を好きだなんて!! 好きだなんて…愛してるだなんて…、全部嘘に決まってる!! お前なんて…大っ嫌いだ!!」
大声で捨て台詞を吐いて、そのまま振り返らずに部屋を飛び出した。
部屋の奥で「城之内!」と叫ぶ声が聞こえたけど、聞こえないふりをする。
あぁそうさ、オレが馬鹿だった。海馬の事を好きだったなんて、きっとただの勘違いだったんだ。
あの良く通る綺麗な声も宝石みたいな青い瞳も、時々優しそうに微笑む表情も、全部全部忘れてやる!!
それなりに波瀾万丈な人生の中、これ程までに心が押し潰されそうに苦しくなった事は無かった。
遊戯達と泊っているホテルに向かって走りながら、オレは泣きそうになっていた。
だけどこれは悲しくて泣きそうなんじゃない。あんな愚かな男を少しでも好きになった自分自身が悔しくて、それで泣きそうになっているんだ!!
心の奥がキリキリと悲鳴を上げているのを無視して、オレは嘘でもいいからそう思い込んでいたかったんだ。
数ヶ月後、季節は移り変わってすっかり春になっていた。
エジプトから日本に帰ってきたオレ達は、今まで通り普通の学生生活を送っていた。
だけどオレの心にはポッカリと穴が開いてしまっていて、誰にもそれを埋める事は出来なかった。
悲しくなんてない。寂しくなんてない。
そう思えば思うほど心の穴は広がっていく。
「ふぅ…」
夕方、暖かい春風に吹かれながら遊戯と一緒に家まで帰りながら、オレはまた一つ小さな溜息を零す。
馬鹿話をして笑っていても、オレの心はどこか冷めていた。
「城之内君…」
突然遊戯が足を止めて、オレの事を心配そうに見詰めてきた。
「ねぇ、城之内君。まだ海馬君の事…忘れられないんだね」
遊戯の言葉にオレも足を止めて振り返る。
「オレが? 海馬の事を? まさか、冗談言わねーでくれよ。あんな嫌な奴がいなくなって、オレは清々してるんだぜ?」
「それは嘘だよね、城之内君」
「嘘じゃねーって! ホントだ! オレは海馬の事なんて何とも思ってないから!!」
「そう。じゃあ、アレを見ても同じ事が言えるの?」
そう言って遊戯がオレの背後を指差す。
恐る恐る振り返ると、桜の街路樹の道の先に何時の間にか黒塗りのリムジンが一台止まっていた。そしてそのリムジンの脇に立っている長身の影に、オレは心臓が止まりそうになる。
散り始めた桜の花びらの向こうに見えるあの影は…まさか…でも…っ!
「え…? 何でだよ…?」
「実は数日前から海馬君から連絡が来てたんだよ。城之内君が心配だからやっぱり帰るってね。ついでに僕たちが帰る時間帯や道順を教えてくれって。多分最初から待ち伏せする気満々だったんじゃないかな?」
遊戯の説明を聞きながらも、オレの目線はすっかり数十メートル先にいる男に釘付けになっていた。
震える足で一歩踏み出す。続いて二歩目、三歩目も。
踏み出す毎にオレの足は速さを増して、ついには鞄を投げ出して全速力で駆け出していた。
走っていることで揺れる視界に入る長身の男の影はどんどん大きくなっていって、そしてついに目の前に迫った姿に飛びつくように思いっきり抱きついた。
「痛いぞ、凡骨」
「うるせぇ…っ!!」
視界が揺れていたのは走っていただけじゃ無かったらしい。
眼の奥が熱くなって、あの日流せなかった涙がボロボロと零れて止まらない。
相変わらず細い身体をギュウギュウと抱き締めながら泣いていたら、海馬がオレの肩口でフッと笑って背中を撫でてくれた。
「これは一体どういう風の吹き回しだ? お前はオレの事なんか好きなんかじゃなかったんだろう?」
「うるせぇよ…! お前少し黙ってろよ…っ!」
これ以上力を込める事が出来ないほど強く抱き締めながら、オレは海馬の耳元で叫んでやった。
「嘘に決まってんだろ!! お前の事が嫌いだなんて!! 好きだよチクショー!! 世界で一番愛してんだよ!!」
オレの告白に海馬もギュッと力を入れて抱き締め返してくる。
「だから…もうオレの側を離れるなよ…」
泣きながら告げると、海馬がコクリと頷いたのが分かった。
春の風に散る桜の花びらに吹かれながら、オレ達はいつまでも強く抱き締め合っていた。
次の日「あの桜吹雪がまるで君達を祝福してるみたいに見えたんだよ!」と嬉しそうに語る遊戯に、オレは照れてそっぽを向いた。
だけどまぁ、反論は出来ないよな。
海馬と再会してたった一日経っただけなのに、オレの心の穴はすっかり全部塞がってしまった。
「現金だよな」と呟くオレに、隣にいた海馬が「そうか?」と嬉しそうに返す。
何時の間に復学手続きをしたんだか、さも当たり前のように教室に居座って周りの空気に溶け込んでやがる。
「お前、もうオレに嘘吐かせんなよ」
「貴様も、もうオレに嘘は吐くなよ」
「分かってるよ。もうオレはお前に嘘は吐かない」
オレ達の会話を遊戯が微笑ましく見ている。
ったく…。そんなの、嘘に決まってんだろ? お前を喜ばせる嘘だったら、これからもいくらでも吐いてやるからな。
まぁ、吐ける嘘があったらの話だけど。
そう思ってオレはすっかり散ってしまった桜の木を窓から眺めながら、余りの幸せ具合に小さく笑ってしまっていた。
久々のカラオケで喉が枯れ枯れな二礼です、こんばんは。
本日は相棒と友人とで花見に行ってきたのですが、とにかく暑かった…;
昨日の天気予報では土曜日よりは涼しいと言っていた筈なのに、午後になったら気温急上昇。
結構な気温になってましたね…(´∀`;
ていうか、いきなり暑くなり過ぎじゃないですか?
もっと順を踏めよとお天道様に言いたい…w
そしてその後はカラオケに。
ボカロのターン→アニソンのターン→中/田/ヤ/ス/タ/カのターン→TM(といっても西川じゃないZE! 歳がバレるw)のターンと、ほぼ友人とマイクを交互に三時間歌いまくり、すっかり喉がやられた訳ですw
明日仕事なのにどうすんだろ…。
ガラガラ声で客商売とかありえんw
長編『真実の証明』の『返信』と『証明』をUPしました。
『真実の証明』はこれでラストです。
女体化海馬に長々お付合い頂きまして、どうもありがとうございました~!!
実は二礼は、この『証明』達にはある一つのキーワードを設けてあります。
『勇気の証明』は『救いたい』。
『真実の証明』は『守りたい』。
今書き続けているもう一つの『証明』は『愛したい』です。
本当は副題にでもするつもりだったのですけど、結局面倒臭くて止めましたw
今は最後の『証明』を頑張ってもりもり書いているところです。
ということで、近い内にお披露目できるかと思います。
………多分ね(´_ゝ`;
それでは二礼はこれからwii版どうぶつの森のイースターイベントをやってきます。
面倒臭いなぁ…。
(なら小説を書けと小一時間…(ry))
以下は拍手のお返事でございます!!
>4/10 22時台にコメントを下さった方へ
こんばんは、初めまして~! 二礼しげみと申します(*'-')
『勇気の証明』を読んで下さったんですね!
どうもありがとうございました!!
『勇気の証明』を読んで下さったのなら分かると思いますが、ウチは基本乙女海馬と社長が好きすぎる城之内のサイトとなっております。
こんな二人を扱っているサイトでよければ、これからもお付合い下さいw
それでは失礼致しますね(´∀`)
ではでは~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございます!!
本当にRosebank様には感謝しつくしても足りませんね…。
そのお言葉でどれだけ自分が励まされているか、文字では上手く伝えることが出来ないのが悔しいです。
まず『開花』というタイトルを褒めて下さって、すっごく嬉しかったです!
ありがとうございます~(*´д`*)
初めに『真実の証明』という小説を書く事を思いついた時に、各話のタイトルを漢字二字だけで表現しようと決めました。
実はその中で一番最初に「この話の時は絶対これにしよう!!」と考えたのが『開花』のタイトルでした。
Rosebank様もおっしゃられている通りこのタイトルには、肉体的に、精神的に、そして何より『女』そのものとして目覚める海馬を表現するのに一番最適なタイトルだと思ったのです。
彼女は王様のアドバイスを受け入れて自分自身で女に戻ろうとしましたが、直前まではただの蕾のままでした。
いつ咲いてもおかしくない程膨らんだ蕾を抱えて、それでも海馬は自分で花を咲かせることが出来ませんでした。
それが城之内によって漸く花開く事が出来たのです。
逆に言えば城之内がいなければ、海馬は『女』として花開く事が出来ませんでした。
もちろん海馬が女に戻った時にいきなりセックスしてても、こうなる事は出来なかったでしょう。
色々な逆境や壁を二人で乗り越えてきたからこその、あの結果です(*'-')
………と、如何にも尤もらしく語ってみましたが、上手く表現されていたでしょうか…?w
それと、『勇気の証明』と『真実の証明』の二人の結ばれるシーンを見比べて頂けたのには驚きました。
何かもう、両方の作品をしっかり書ききって本当に良かったと感じました…(;∀;)
この2作品の城海の違いは、まさにRosebank様の書かれた通りです!
Rosebank様のコメントを見て「ちゃんと分かってくれる人がいるんだ…」と、本当に嬉しく思いました。
しかも不安で一杯だった女体化を「成功している」とおっしゃって下さって、その言葉にも感激です!!
この言葉を糧に、これからも頑張って行きますね~!(`・∀・´)
あと最後に…。
伏せ字はですね、基本使わないことにしています。
だってあの手に単語に伏せ字使うと、余計エロく見えませんか…?w
ちなみに『の●太』はまた別の理由です。
逆にアレは伏せないとヤヴァイwww
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
追伸…。
みぞれ、美味しいですよね~(´¬`)
でも食べ過ぎるとお腹壊しますよね…w
これからの季節は気をつけなきゃダメだなぁ…;
あの手紙には、
『自分の真実の姿を全て晒してしまえ。
そうすればお前は、お前の望む幸せを確実に手に入れる事が出来るだろう。
お前が本当の幸せを手に入れたその時、それこそが真実の証明となる。』
と、書かれていた…。
もうあの手紙はこの世に無く、それを見返す事は出来ないけれど。
今オレの隣にいる海馬が幸せそうに微笑んでいるのが何よりの証明だと…オレはそう思ったんだ。
海馬と付き合いだして数週間後。
仲間内の間ではオレ達の間柄はすっかり恋人として公認されてしまっていた。
まぁオレは悪い気はしないし海馬も平気な顔をしていたので、それについては全く問題無かった。
今日も学校の授業を全て終え一緒に帰ろうと二人揃って準備をしていると、横でそれを見ていた杏子が一言「そろそろいいかな~」と独り言のように呟いた。
そしてオレ達に近付いてくると「話があるから、一緒に屋上に来て」とにっこり笑ったのだ。
オレと海馬は思わず顔を見合わせてしまう。
いや、だって、何か怖いじゃんか。
海馬と杏子の友情は既に親友の域に入っていて、もしかしたら親友としてオレ達の間を反対されるんじゃないかって、そんな事ばっかりが頭を駆け巡った。
戦々恐々としながら何故か上機嫌の杏子の後ろを付いて行って、屋上の扉を潜る。
屋上は真っ赤な夕焼けで恐ろしい程美しく染まり、神秘的な雰囲気を漂わせていた。
その夕日をバックに杏子は振り返ると、突如制服の内ポケットから何かを取り出しオレ達に見せつけた。
「これ、なーんだ?」
杏子が取り出したのはシンプルな白い封筒。
覚えのあるその封筒を見た瞬間に、海馬は持っていた鞄から慌てて例の封筒を取り出した。
見比べてみると全く同じものである事が分かる。
信じられないような顔をして海馬が言葉を発した。
「それ…アテムからの…?」
「そう。アテムからの手紙よ。戦いの儀の前の晩に直接貰ったの」
「前の晩…。オレと同じだ…」
杏子は封筒から手紙を取り出して大事そうに手で撫でた。
「そろそろいいかなって思ったの。もうネタバレしても大丈夫だって」
「ネタバレ?」
「うん。この手紙には全部書いてあったわ。海馬君が実は女の子だって事も、城之内が好きだって事も…全部ね」
「ま…まさか、知っていたのか!?」
「ゴメンね。実は私はもう知っていたの」
海馬に向かって済まなさそうに謝った杏子は、少し寂しそうな笑顔で夕日を眺めた。
もう大分薄暗くなってきた屋上で、読みにくくなってきた文字に必死に目を通そうとしている。
「アテムは貴方の事を本当に心配してたわ。私のと同じような手紙を送ったから、多分もうすぐ女に戻るだろう。でも今まで男として過ごして来たから、いきなり女に戻っても戸惑うばかりで上手くいかないだろうって。だから私に海馬君のフォローを頼むって、これにはそう書いてあるの」
そこまで聞いてオレは思い出していた。
海馬が女に戻って最初に登校してきたあの日。杏子は実に積極的に海馬に接していた。
海馬に女としてのお洒落を気遣ったり爪を磨いてあげてたり、生理が来た日だったそうだ。いつその日が来てもいいように既に準備されていた。
「最初はね、アテムに頼まれたって事もあって貴女の事を気にしてたんだけどね。だけどそんなの、その内どうでも良くなっちゃったのよね」
そう言って優しく微笑むと、杏子は目の前の海馬をそっと抱き締める。
オレから見てもそれは優しい優しい抱擁だった。
「海馬君。貴女は私の大事な親友よ。だからおめでとうを言わせて頂戴」
「真崎…」
「良かったわね、海馬君。城之内なら大丈夫よ。きっと貴女を幸せにしてくれるから…。本当におめでとう!」
「真崎…、ありが…とう…」
戸惑いつつも海馬は杏子と視線を合わせて嬉しげに微笑む。
そこには男のオレが入り込めない何かが存在しているようだった。
「さて…と。そろそろアテムに知らせてあげないとね」
「は? どうやって?」
杏子が空を見上げて突然そんな事を言い出したのに、オレは驚いてしまう。
知らせるも何もアテムはもう冥界にいて、知らせる術が無いのだ。
「私もね、どうやって知らせようかなって悩んでいたの。でもアテムは凄く心配していたから、やっぱりちゃんと知らせてあげないとダメかなって思って。でね、こうする事にしたの」
そう言って杏子は持っていた封筒や手紙をその場でビリビリと破り始めた。
それをオレは呆然とした気持ちで見てしまう。
杏子のアテムに対する気持ちは、いくら鈍いオレでも知っていた。だからこそ、アテムが最後に寄越した大事な手紙をそんな風にするなんて思わなかったんだ。
隣で見ていた海馬も同じ事を思っていたんだろう。焦ってその手を止めようとする。
「真崎…! 大事な手紙なのに…っ」
「いいのよ海馬君。私にはもう必要の無い手紙だし、こうする事でアテムにメッセージが届くなら…ね」
にっこり笑って答える杏子に、海馬も何かを思いついたようだった。
そして自分も同じように貰った手紙を破り始める。
二人で貰った手紙をなるべく細かく破って、それを両手の上にそっと載せた。そこへ急に強い風が吹いてきて、二人の掌に乗った手紙の破片を空に吹き上げてしまう。
「ほらね?」
杏子が得意そうな顔をする。
「こうすればメッセージはちゃんと届くのよ」
日が沈んだ茜色と群青色の混ざった空を紙の破片が舞う。
それをオレ達三人はいつまでも眺めていた。
何かいきなり暖かいを通り越して暑くなってしまって、朝起きたら掛け布団を全部蹴っ飛ばしてた二礼です、こんばんは。
つーかよっぽど暑かったんでしょうねぇ…。
この季節にかき氷食べる夢見てましたw
知覚過敏なのにw(棒アイスが囓れない程酷い)
皆さんはかき氷のシロップは何味がお好きですか?
イチゴ、メロン、レモン、更には舌が青くなるブルーハワイなどもありますが、二礼は基本イチゴミルクがあればそれを頼みます。
だけど個人的にそれ以上に好きなのが、みぞれですw
何かもう、掛かってんだか掛かってないんだか分からないあの地味さ。
そしてシンプルな砂糖のみの甘さ。
たまりません…(´¬`)
小さい頃地元の夜祭りで友人に勧めたら、誰も食べてくれませんでした…。
みぞれ…ダメですかね?
やっぱ地味過ぎますかね?w
長編『真実の証明』の『開花』をUPしました。
やっとここまでこぎ着けました。
想いが通じてすぐのHには賛否両論ありそうですが、ウチの城之内はエロいんで止まりませんでした。サーセン;
ていうか、書いてて楽しかったですw
元々にょた系は好きだったんですけど、自分で書くとまた愛着が湧きますよね~(´∀`)
以下は拍手のお返事になります~!。
>Rosebank様
拍手とコメント、いつもありがとうございます!
Rosebank様のコメントで『愛娘を案じる「父性愛」みたいなものを感じます』というのを見て、確かに父親みたいだなと改めて思いましたw
そう言えば『Last Piece』でも王様は海馬を導く役割を演じていましたねぇ。
私が小説を書く時、登場人物達は結構無意識下で好き勝手放題に動いてくれるので、余り意識した事はありませんでしたが…。
どうやら私の中の王様は、父性愛的なもので海馬と城之内を導いていく役目を背負っているようですねw
ちなみに表遊戯は友情で導く役目かな?
だけどこういう風に他の方から感想を頂けると、自分が各キャラクターをどんな風に見ているのかが客観的に知れて面白いです(´∀`)
そうか…。私の中では王様は『父親』なのか…。
あんな豆腐メンタルな父親…嫌だなぁ…w
話は変わりますが、長編の三作目はRosebank様がおっしゃられる通り『異世界ファンタジー』っぽい作りになってます。
とはいえRPGっぽい話じゃなくて、どっちかって言うと歴史ロマンみたいになっていますが…w
異様に漢字が多かったり小難しい表現をしなくちゃいけなかったりしてますが、元々の畑内で作業しているので楽しんで書いています(*'-')
更新の方も暫くはこのままでいけそうですので、ご安心を(´―`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します~!
ではでは~(・∀・)ノシ
居間から届く電気の光だけの薄暗いオレの部屋で、海馬は自分で服を脱いでいた。
オレの目の前で膝立ちになってスカートのホックを外し、それをストンと足下に落とした。ブラウスに付いていたリボンもシュッと音を立てて取り去り、布団の横に投げ捨てる。黒いハイソックスも同じように片足ずつ脱いで、纏めて脇に寄せていた。
「胸も…ちゃんと見せてよ」
そこまで大胆に脱いで見せた癖に、海馬はブラウスのボタンを外すのにもたついている。
そんなオレに海馬は顔を赤くして、半ば自棄になって叫んだ。
「わ…分かっている! 言っておくが本当に小さいからな…。ガッカリするなよ」
海馬の台詞にオレは笑って頷いた。
細い指がボタンを一つずつ外していく。全部外し終わったところで、ブラウスを肩から滑り落とし袖から腕を抜いた。
ショーツと揃いのブラジャーは確かに小さくて、男のオレでも一目でAカップしか無いんだと分かってしまう。
自分でホックを外そうとしているのを押し留めて、オレは海馬の身体を抱き寄せた。そしてそのまま背中に手を伸ばして、そっとホックを外してやる。
肩から紐を滑り落として改めてその小さな胸をじっと見詰める。
真っ白で小振りでピンク色の乳首のそれは、本当に魅力的な胸だった。
「すげぇ…。オレ、こんな綺麗なおっぱい初めて見た…」
オレの言葉に海馬が照れて「だ…黙れ!」と震える声で反論するけど、事実なんだから仕方が無い。
そっと掌に包み込んで優しく揉んだ。
小さくてもフニフニと柔らかくて、その感触に夢中になる。
「っ…!」
指の腹で乳首を弄ると、途端に海馬が反応する。それに気を良くして、オレは直接顔を寄せて硬くなったそれを口に含んだ。乳輪の周りを舌で舐めて時折強く吸い上げると、海馬の身体がビクリと撥ねて甘い声が漏れる。
「ぁっ…! じ…城之内…っ!」
胸に吸い付くオレを何とか引き剥がそうとしてるけど、そんな弱々しい腕の力じゃ本気じゃないのはバレバレだった。
一通り小さなおっぱいを堪能して満足したオレは、海馬の身体を支えつつ布団の上に押し倒した。
途端に硬くなる身体にオレは安心させるように、海馬の額にキスを落とす。
「やっぱり…怖い?」
オレの問いに海馬が慌てて首を横に振った。
「こ…怖くなんて…ない! お前が相手なら全然平気だ…っ!」
無理をしてるって良く分かるけど、だけどオレも止める気は無かったからそれに頷いて行為を再開する事にした。
ショーツに手を掛けてそろそろと降ろしていく。
そこは既にしとどに濡れていて、ツーッと粘液が糸を引いているのが見えた。
ショーツを足から抜いて畳の上に放り投げる。先程と同じように膝頭の上に手を置いて、だけどさっきより優しい力で足を左右に開いてやる。
「凄い濡れてる…」
感嘆するように言ったら、海馬が耐えきれなくなったように腕でその顔を隠してしまった。
「何で隠すんだよ。顔見せて?」
「やだ…。見るな…」
「だめ、見せて。お前がちゃんと感じてる顔が見たいんだよ」
そっと顔の前の腕をどかしてやると、そこに現れた濡れた青い瞳にドキッとした。
それを見て、本当に綺麗だなと感じる。
その瞳に誘われるように顔を近付けて、濡れた唇にキスをした。唇の隙間から舌を差し入れて、奥に引っ込んでいる柔らかい舌を誘い出して絡めるように愛撫する。
「んっ…! ふっ…んんっ」
唇の脇から唾液が零れ落ちてもキスを止める気などさらさら無かった。温かい舌を甘噛みして強く吸い上げると、それだけで海馬の身体が反り返る。
顎に流れている唾液ごと唇をベロリと舐めて、オレは身体を下にずらした。
足の間に顔を入れて、淡い陰りを掻き分けて指で柔らかい花弁を左右に開く。その途端クチュ…と濡れた音が響いて、海馬の身体が羞恥で震えた。
「や…っ! いや…城之内…っ。やめて…っ!」
「暴れないで…ちゃんと見せて…。あ、もうトロトロだ。可愛い…」
「いやっ…、やぁ…っ」
「舐めていい? ていうか舐めちゃうけど」
オレは開いた秘所に直接舌を這わせて、絶えず溢れ出てくる甘酸っぱい愛液を舐め取った。上部で真っ赤に熟して勃起している芽を発見して、それにも舌を這わす。
「あっ…ぅ! っ…ん! ひゃっ…っ!」
強い刺激に耐えられないのか、オレの頭を押しつけるようにして海馬が快感に耐えていた。
「我慢しないで。イキたかったらイッちゃいな?」
「っぁ…! ひっあぁぁ―――っ!」
大きく膨れたクリトリスに軽く歯を当てると、その刺激で海馬は簡単に達してしまう。
身体を硬くしてブルブル痙攣しながら昇天しているその姿は、それだけでオレの全身に熱い血液を巡らせた。
海馬が感じている内に…と、オレは膣に指を当ててそっと中に入れてみる。その途端、海馬の身体が今までにないぐらい大きく撥ねた。
「あぁっ…! ぃ…た…っ!」
初めてなら仕方無いけど、やっぱり痛みを感じているらしい。だけどこれで止める訳にはいかないので、オレは内壁を擦るように優しく優しく指を出し入れする。
その内刺激に慣れたのか甘い吐息が漏れだしたので、一本だった指を二本に増やして同じように擦る。
「あっ…あぁっ! じょうの…う…ちぃ…! ふぁ…んっ!」
「大丈夫? もう痛くない? 気持ち良くなってきた?」
「うっ…。あぅ…っ!」
「これからもっと痛い事するけど…耐えられそう?」
流石に心配になってそう聞いてみると、海馬はそれでもコクコクと首を縦に振った。
海馬の体内から指を引き抜いて自分の制服のポケットを探る段階になって、オレは初めて自分がまだ服を着たままだった事に気付いた。
何だかんだ言ってオレも余裕が無かったんだなぁと苦笑して、慌てて全部脱いでしまう。
ついでにポケットに入れてあったコンドームを出して、口にくわえてピッと横に切って中身を取り出した。
それを見て海馬が訝しげな表情をする。
「何だ…それ…は?」
それと言っているのは、多分コンドームの事なんだろう。オレは取り出したそれを海馬に見せてやった。
「これ? コンドームだよ」
「…。何でそんなものを持っているんだ…」
「何でってそりゃぁ、いつ何時何が起こるか分からないからな。強いて言うなら男の必需品って奴? まぁとにかく生でするつもりはないから安心しな」
そう言って笑いかけてやると、海馬はその言葉にプイッと横を向いてしまった。
てっきり安心するんだと思っていたから、その反応に少し驚く。
「別に…いらないのに…」
「ダーメ。妊娠したら困るのお前だろ?」
「女に戻ったばかりでまだホルモンバランスも安定してないから、妊娠するとは思えない」
「それでもダメ。こういうのはな、男のエチケットなんだよ。コレを使うか否かで、いい男かそうでないかが決まるもんなんだぜ」
「………。初めては…そのままが良かった…」
未だ不満を言う海馬を宥めすかして、オレはさっさと自分のペニスにゴムを被せてしまう。
ついでに今まで驚かし続けてくれた仕返しとばかりに、爆弾発言を落としてやる事にした。
「将来結婚して子供が欲しいと思った時は、ちゃんと生でやろうな?」
その言葉に海馬の顔が一瞬で茹で上がる。
どうやらちゃんとプロポーズなんだと認識されたらしいと安心して、オレは海馬の足の間に自分の身体を割り入れた。
濡れた膣の入り口にペニスを押し当てて、そっと海馬の身体を抱き締める。
その動作で海馬もこれから何が起こるのか分かったのだろう。突然現実に戻らされたように、小さく震えだしてしまった。
「大丈夫…。大丈夫だからオレを信じて…。力抜いててくれよな」
海馬の腕を取ってオレの背中に回してやる。その手がしがみついてくるのを確認して、オレはグッと下半身に力を入れて海馬の身体の中に入り込んだ。
「うっ…! あっ…はっ! やぁっ…!! いたっ…! 痛いっ! う…あぁ―――っ!」
途端にビクビクと撥ねる細い身体。ギュッと瞑られた瞼からは涙がボロボロと流れ落ちている。それを指で拭って優しく頭を撫でてやる。
「ゴメンな…。やっぱ痛いよな…」
何とか落ち着かせようと頬や額やこめかみにキスを落としながら、オレは何とか自身を全て海馬の体内に飲み込ませた。
海馬の身体を抱き締めながら暫くそのままじっとしていると、オレの肩口に顔を埋めていた海馬がそろりと顔を上げる。
涙でグショグショだったけど、その顔には否定の色は浮かんではいなかった。
「も…へ…き…。続け…て…」
「でも…お前…」
「こんなの…平気だ…。女なら最初は皆…こうなのだろう?」
これ以上の心配は逆に覚悟を決めた海馬にとって失礼になると思い、オレは黙って頷いて行為を続ける事にした。
長い足を持ち上げて熱くて狭くてグッショリ濡れた体内に、自分のペニスを何度も突き刺す。
「っ…。んんっ…。ひぁっ! あっ…あぁっ…!」
「海馬…っ。好き…だ…っ。オレ…お前が好きだ…っ!」
「あぅっ…。オレも…オレも好き…っ。ずっと好き…だった…!」
「くっ…! お前…凄い…。中…気持ちいい…。もう…すっげ可愛い…」
「あぁっ! 城之内…っ! 好き…好き…!」
耐えきれないようにオレの背に回した腕に力が入って、ガリリと背中を引っ掻かれる。
それを痛いなぁとは思ったけど、その痛みすら愛しくて仕方が無かった。
「あっ…! ひぁぁ…っ!! やぁぁっ―――っ!!」
最後に思いっきり背を反らして海馬がイッた。それと同時にオレも強く締め付けられて、耐えきれずに達してしまう。
そしてそのまま二人して脱力し、共に布団に身体を沈めた。
数分後。何とか息を整えて、オレは自分の身体を起こす。
そして海馬の体内から自分のペニスを引き出すと、白い足の間に鮮血が流れているのに気付いた。
「あ…、血が…」
思わず呟くと、海馬もそれに気付いて半身だけ起き上がった。
それを見て取って眉を顰めてしまう。
「すまない…。シーツが…」
余りに申し訳なさそうにしているのに、返ってこっちが焦ってしまった。
「いや、いいよ。こんなん洗えばいいし。それより身体大丈夫か? 辛くない?」
オレの問いに海馬が慌てて首を横に振る。
あんなに余すところ無く全身を見られたというのに、起き上がった海馬は脱ぎ捨てたブラウスを胸に当てて必死で身体を隠そうとしていた。
顔は相変わらず真っ赤に染まっていて、視線はうろうろと彷徨い一向にこっちを見ようとしない。
そんな姿を見てオレはまたコイツの事を愛おしいと思った。
さっさとゴムの処理をしてゴミ箱に投げ捨てる。
そして裸のまま近付いて、恥ずかしそうにしている海馬をギュッと力強く抱き締めた。
「っ…! じ…城之内…っ」
「お疲れさん。初めてだから辛かっただろ? 風呂入るか? 入るなら用意するけど」
顔を覗き込んでそう聞くと、眠そうな目をして海馬は首を横に振る。
「眠い…。明日の…朝でいい…」
「じゃ、このまま一緒に寝ちゃう?」と聞くと黙ってコクリと頷いたので、オレ達はそのまま布団に横になった。
掛け布団を掛け、細い身体を抱き締めて一息つく。
慣れない事に余程疲れたのだろう。腕の中の身体は既に規則正しい呼吸を繰り返していた。
無意識にオレの背に回された腕が、キュッと力を入れて抱き締めてくる。
海馬を起こさない程度に抱き締め返し、オレもゆっくりと眠りへと落ちていった。
昨日の日記で愚痴ったらやる気の子が数人帰ってきました二礼です、こんばんは。
まだ全員じゃ無いっぽいですが、この調子ならいけるかも?
最近またボカロ曲で凄く良い曲がもりもり出てきて、聴くのに時間がかかって困ってますw
いや、嬉しい悲鳴なんだけどw
そんな訳で今日は進まない長編を放り投げてしまい、とある曲に触発されて短編一本書いてしまいました…(´∀`;
ふひひw ダメじゃんねw
あ、でも長編も大分固まって来たので、これなら多分最後までいける…と思います。
長編『真実の証明』の『手紙』をUPしました。
流石王様、全部見抜いてたんだZE!
ちなみに王様の『想い』は多分恋愛感情じゃ無いと思います。
友情とか恋愛とか好敵手とか、そういうものを全て超越したところで海馬の事を想っていたんでしょうねぇ…。
つまりこの話は王様最強って事でいいのか? そうなのか?
ん…?(´_ゝ`;
以下は拍手レスでございます。
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました(´∀`)
『素質』の海馬はですねぇ…、多分真の変態です。
だってドMですもの…w
そう言えば『素質』の海馬は乙女度が低いと言われて、なるほど! と思いました。
確かにこの海馬は常にイニシアティブを取っていて、ウチの海馬にしては珍しく嬉々として城之内を苛めていますからねw
もう城之内をドSにする為にはそんな手も厭わない覚悟ですよ、この人。
怖いですねぇ…(´∀`;
城之内も海馬に煽られている事に気付かずに、少しずつSの本性出してきてますからね。
この先の展開次第では、私も書きがいがあるというものです。(つか、続きを書くつもりなのかと小一時間…(ry)
あ、ちなみにですね、最後の社長は多分本気でイッちゃってると思います。
出してるかドライかはご想像にお任せしますが…w
それから昨日の日記での『やる気の家出』に付いてご心配下さってありがとうございます。
完全にスランプに入っている訳では無いので、もう暫くは更新ペースを落とさずにいけそうなので大丈夫ですよ~(*'-')
Rosebank様様がコメントの中で『「パラレル」は下手したら設定を一から作る必要がありますからね』と言ってらっしゃいましたが、まさにそれなんですw
設定をガッツリしっかり作り過ぎた為に、それに捕らわれて身動きが出来なくなってしまっていたんですw
でもまぁ最近は上手く回せているので、近々連載を始めることが出来そうです。
パラレルもまた人の好みが分かれるところですが、少しでも皆さんに楽しんで頂ければと思って、頑張って書くことにします(´―`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
その手紙にはこう書かれていた。
海馬へ
お前がこの手紙を読んでいる頃には、俺はもう冥界に帰ってしまっているのだろう。
本当は直接言いたかったのだが、お前の事だからきっと逆上してしまって話にならないだろうから、こうして手紙に残す事にする。
単刀直入に言わせて貰えば、お前は元の姿に戻るべきだと思う。
俺はもうずっと前から、お前が本当は女である事に気付いていた。そして、城之内君に恋している事も知ってしまった。
どうして女である筈のお前が男のふりをしているのか、詳しい事情は分からないが、きっと海馬の家が関係しているのだろうと思う。
だけど、それももういいんじゃないか?
お前があんなに憎んでいた養父はもういないじゃないか。
いつまでも養父の残留思念に取り憑かれて不幸のままでいるお前を、俺は見捨てる事は出来なかった。
お前に言わせれば、自分は不幸なんかじゃ無いと言うのだろうな…。
だがそれは、お前が不幸に慣れきってしまっているからに過ぎない。
もういい加減お前自身が幸せを求めても、誰も咎めはしない。
悪い事は言わない。今すぐ女に戻れ。
自分の心に嘘をつくな。城之内君なら大丈夫だ。きっとお前の心を分かってくれる。
城之内君の親友だった俺がそう言うんだ。信じてくれ。
そうすれば幸せはきっと向こうからやってくる。
俺はこの現世には、もう何も心残りは無い。
相棒も城之内君も杏子も本当に心の強い人間だから、すぐに俺がいない事にも慣れ、自分自身の足で歩いて行く事だろう。
だがお前は違う。
強がってはいるが、お前は本当は誰かの支えを何よりも必要としている人間だ。
俺はそんなお前が唯一の心配事なんだ…。
どうか幸せになってくれ、海馬。
俺はお前が幸せになる事を、何よりも望んでいるんだ。
お前の幸せの為には、全ての嘘は取っ払ってしまわなければならない。
自分の真実の姿を全て晒してしまえ。
そうすればお前は、お前の望む幸せを確実に手に入れる事が出来るだろう。
お前が本当の幸せを手に入れたその時、それこそが真実の証明となる。
俺はそれを何よりも楽しみにしている。
冥界よりお前の幸せを願って…。
アテム
強く優しい手紙だった。
オレはその文面を何度も読み返しながら、アテムがどんなに海馬の事を想っていたのか、今更ながらに気付かされた。
そして女に戻ってからの海馬の言動をもう一度思い返してみる。
最初に女としてオレの前に現れた時、海馬はとても切ない顔でオレを見ていた。
磨かれた綺麗な爪を眺めていた時、その顔を真っ赤に染めて困っていた。
ボディーガードを申し出た時、嫌がるどころかオレの申し出を素直に受けてくれた。
そしてあの事件の時。
必死に叫んでいたあの声が、今も耳から離れない。
『城之内…お前はもう…いいから…。こんな怪我をしてまでオレに付き合わなくていいから…』
『こんな事までお前が付き合う必要は無い!! 離せ! 離せぇー!!』
オレはやっと海馬の事を理解出来たような気がした。
手紙を封筒の中に戻して海馬に手渡すと、そのまま腕の中にある細い身体をギュッと力強く抱き締める。
オレに強く抱き締められているせいで少し苦しそうにしながらも、海馬は全く抵抗しなかった。
「海馬…。オレの事、好きでいてくれたんだな」
抱き締めたままそう言うと、海馬が素直にコクリと頷く。
「ずっと…好き…だった…。だけどもういい…」
「何がもういいんだよ。まだ何も始まってないのに」
「だって、お前は…っ!」
「お前がちゃんと告白してくれたからオレも気付けたんだ。答えをちゃんと返さないとな」
オレは決心を固めて海馬の身体から一旦離れた。そして海馬の正面にきちんと正座する。
コホンと一度咳払いをして、なるべく真面目な顔と声で真実を告げる。
「オレもお前が好きです。だから恋人として一緒にやっていきませんか?」
オレの告白に海馬はキョトンとした顔をして固まってしまっていた。
その表情に苦笑してしまう。
人間ってヤツは本当に予想外の出来事が起こると固まってしまうものなんだなぁ…と、改めて実感した。
すっかり固まって驚きの余り涙まで止めてしまった海馬を見て、オレは笑みを零す。
濡れた頬に手を当てて、その涙を拭い取った。
「おーい、聞いてるか? オレ達恋人にならないかって提案してんだけど?」
その声に漸く意識を取り戻した海馬は、信じられないような顔でオレを見詰めてきた。
「う…嘘だ…」
「何が嘘なんだよ。別に嘘じゃないぜ?」
「お前はオレになんか何の興味も無かった筈だ…」
「昔はな。でも今は違うから」
「っ………」
「大体お前はオレと幸せになるのが目的で女に戻ったんじゃねーの? それなのに他の男と結婚するとか言うなよな」
「そ、それ…は…」
「オレはお前の事が好きなんだ、海馬。本当だぜ? だからさ、海馬」
オレは一旦言葉を句切って一息つく。
これからオレが言う一言は、オレにとっても海馬にとっても殊更大事な一言だったから。
流石に少し緊張しながらも、オレは大きく深呼吸して耳元で囁いた。
「恋人として…ちゃんとセックスしませんか? 突っ込むだけとか野暮な事言わないでさ」
オレの言葉に海馬が二度三度、パチパチと瞬きをする。そして次の瞬間にはプッと吹き出していた。
「貴様…何で今更敬語なんだ」
「何でって、雰囲気だよ雰囲気。で、どうなのよ? セックス…してくれるの?」
そう言うと海馬は柔らかく微笑んで、一度だけ頷いたのだ。
自分のやる気の無さに漸く焦り始めた二礼です、こんばんは。
何でそんなに焦っているかと言うとですね、実はもうすぐ『真実の証明』が終わってしまうんです。
三つ目の長編に手を付けているんですが、これがまた進まないったらありゃしないw
飽きている訳じゃないんですが、設定を壮大にし過ぎた為に収拾がつかないんです(´∀`;
間を埋める為の短編のストックも殆ど無いし(基本、短編は時間が空いた時に書き貯めしているのですが)、短編を書こうとすると長編に手が着かないという罠が待っている訳でして…;
時間はあるんだけどなぁ…。
早く戻って来い、私のやる気!!
えーと、今日は短編『素質Ⅱ』のみUPしました。
本当は長編もUPしたかったんですけど、ちょっと見直したい部分があったので明日に持ち越しです。
実は先日、『赤菫堂』のイミフ メイ様に物凄いイラストを捧げて貰っちゃいましてw
そのイラストを見たらいても経ってもいられなくなって、思わずエロ話を一本書き上げちゃいました…(*´∀`*)
マニアックな上に何か年齢制限がやばそうなので、*マークを二つ付けておきました。
でも隠さない。それが二礼クォリティ。(面倒臭いだけとも言う)
自分に責任を持てる方だけどうぞ(*'-')
以下は拍手のお返事になります~。
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
本当にいつもありがとうございます!
例の手紙がアテムだと気付かなかったとコメントされていて、読んでいて思わずニヤリと笑っちゃいましたw
気付く人は気付いちゃうかな~とも思ったんですけど、なるべく最後まで隠していて正解だったようですね(´∀`)
結構こういうどんでん返しな表現、大好きなんですよ~。
性格がひん曲がっているからかもしれませんがw
そうそう、Rosebank様に「彼女の苦悩が伝わってきました」と書いて頂いて嬉しかったです。
私もこの場面で一気に海馬の気持ちを書き表したかったので、どうやらそれが無事に伝わったようで一安心しました。
海馬さんはね~、実は男のままでもいいと思っていたんです。
だけど王様がそれを許さなかった。
その王様の気持ちに海馬も流されちゃったんです。
王様がどんな気持ちでいたのかは、明日UPする続きで見せたいと思います。
やっぱりずっと苦しんで来たんで、城之内には海馬を幸せにして貰わなくちゃいけませんよね!(・∀・)
という訳で、ハッピーエンドに向かってラストスパートをかけたいと思います!! ………明日から(´∀`;
それでは今日はこの辺りで失礼致しますね~。
ではでは~(゜∀゜)ノシ
追伸…その同人誌、多分私も持っていますw
城之内×海馬。
『素質(ドM海馬君による凡骨ドS化計画)』の続きですw
結構マニアックプレイ入ってますので、読まれる際は充分にご注意下さい。
ちなみにこの小説の海馬は、幼い頃に性的虐待を受けた過去がありません。
よってトラウマも何も無いので、結構平気でこういうプレイをしたりします。
この小説は物凄いイラストで私の脳にダイレクトアタックをかましてくれた、『赤菫堂』のイミフ メイ様に捧げます(*´∀`*)
「っ…! はぁ…っ」
オレは既に今日何度目か分からない射精を終え、海馬の体内から自分自身を取り出した。
今オレの目の前には、12、3歳の姿をした海馬がベッドに横たわっている。
首と右手首には革のベルトが巻かれ、そこから繋げられた鎖によってベッドの上から逃げられないようになっていた。
まだ幼い顔を上気させ快感に咽び泣くその姿は痛々しいが、ここにいる海馬は本当の12、3歳の海馬ではない。
この光景はあくまでヴァーチャルにしか過ぎず、その中身は勿論いつもの17歳の海馬だ。
オレが自身を抜いた事によって幼い身体をフルリと震わせて感じている姿に、また胸が痛くなる。
だけど当の本人は、至極嬉しそうにこちらを見ていた。
「なぁ…。やっぱりこの姿だと自分が人でなし…というか鬼畜になったみたいで嫌なんだけど」
耐えきれなくなってそう抗議すると、海馬はいつもとは違う甲高い声で「ふん」と鼻を鳴らした。
「当然だ。それが目的だったんだからな」
「あのぉ…。やっぱり普通の身体で普通にセックスしませんか…?」
「わざわざヴァーチャル世界に来てまで普通のセックスする意味が分からん。せっかくこの姿になったのだ。存分に楽しめ」
付き合いだして初めて本性がドMだと分かった海馬は、その後オレのドS化調教を怠らなかった。
以前はたまにしか行わなかったSMプレイも、最近は数を増して来てしまっている。今日もこうしてわざわざヴァーチャル世界に連れて来てまで、オレに酷い事をさせていた。
海馬曰く、オレには元々そういう『素質』があるらしい。
自分では全くそんな気はしないんだけど、恋人でドMの海馬は何とかその才能を伸ばそうと躍起になっていた。
ていうか、そんなに真剣になる事か?
オレ自身は普通の幸せ一杯のセックスが好きだったから、海馬が本気になればなる程罪悪感を感じてしまう。
ましてやこんな姿の海馬相手に無理矢理犯させるなんて…、いくらなんでも趣味が悪過ぎるだろう。
一応ただのグラフィックデータと言うことで実際の子供よりセックスしやすいようになっているんだろうけど、それでもオレは何だか遣り切れない思いに捕らわれていた。
はぁ~と大きな溜息を吐いたオレに、早速続きを促してくる。
「さぁ次だ。早くしろ凡骨」
「凡骨って言うなよな。つか何発やらせんのよ…。もう打ち止めのような気がするんだけど…」
「安心しろ。ここはヴァーチャル空間だから打ち止めなど存在しない。貴様のグラフィックデータには何度やっても直ぐ回復するようにプログラムされている」
「うぇ…。用意周到過ぎるだろう」
幼い顔に不似合い過ぎる妖艶な表情でオレを挑発してくる海馬に、オレは沸々と何かが湧き上がって来るのを感じていた。
ていうか、もういい加減にしろよな!
ずっと我慢していた何かが臨界点を超えて、オレはついに堪忍袋の緒が切れた。
細い足首を握りしめてグイッと片足を持ち上げると、海馬が初めて本気で驚いた顔をした。
「な…何をする、凡骨!」
焦った風に咎める声を無視して、オレは海馬の足の指先をベロリと舐めた。
「っ………!」
途端にビクリと反応する身体に薄く笑って、オレは小指から親指まで順番に口に含んでいく。
指の付け根にも丁寧に舌を這わせて親指の爪をカリリと噛んでやると、「ぁ…んっ!」と漸く海馬が余裕の無い顔で喘ぎ始めた。
これは最近知ったんだけど、実は海馬は足を舐められるのが大の苦手らしい。
感じやすいってのもあるんだろうけど、理由を聞いたら「そんな汚いところを舐められるのなんて耐えられない」って言っていた。
つーかさ、足なんかよりもっと汚いところ舐めても何も言わない癖に、何でそんなところばかり気にすんだろうねぇ。
そこまで考えて、凄い事を思い付いてしまった。
オレは足から手を離してやって、膝を付いて海馬の足の間に座り込んだ。そして両手でその小さなお尻を抱えあげてオレの膝の上に乗せ、グイッと両足を左右に開いてやる。
つるつるの秘所がオレの目の前に広がって、思わず熱い息を吐き出した。何度見ても凄い光景だな…と感嘆していると、海馬が本気で抵抗し出す。
「やめろ! オレはこんな事しろとは言っていないぞ!」
「いやだね。オレはもうキレました。こうなったらお仕置きします」
「な…何を言っているんだ! 凡骨!!」
「海馬。お前ってさー、ドMな癖に意外と見られるだけのプレイって苦手だったよな?」
オレの言葉に海馬の顔色がサーッと青くなる。
いい気味だと思って、オレは両手の親指でさっきまでオレのペニスを何度も銜え込んでいた後孔をグニッと左右に開いてやった。
何度も何度もオレのを受け入れたそこは真っ赤に充血していて、更にそこからオレがたっぷりと注ぎ入れた精液がコプリと溢れてくる。
「ぁっ…、やめ…っ!」
海馬が羞恥に震えて拒否するけど、そんなもん聞いてなんかやらない。
小さな手で必死に秘所を隠そうとするけど、オレは無視して更に後孔を大きく開いてしまう。すると入り口で塞ぐものが無くなって、収まり切らなかったオレの精液がトロトロと零れ出て来た。
その流れ出る感触が分かるんだろう、海馬が嫌々をするように首を振った。首の鎖がチャリチャリと鳴って、その音でオレはまた興奮してしまう。
「ほら、凄いぞ海馬。どんどん溢れてくる」
「ぁ…っ、いやぁ…っ! やだ…城之内ぃ…っ」
「どんだけお前の腹に収まってたんだよ。やらしいなぁ…海馬。腹苦しくなかったのか?」
「んぁっ…! も…やだ…っ、見ないでぇ…っ! ぁ…あぁっ、ふぁ…ん!」
「中も凄いぜ。こんなにひくつかせてさぁ…。お前エロ過ぎんだろ」
恥ずかしい場所をじっくり見られることに感じているのか、他にどこも触っていないのに海馬がビクビクと震え出す。目元もほんのり紅くなって、大きな青い瞳から幾筋も涙を流していた。
小さなペニスが反り返り細かく震えているので、扱いて楽にしてやろうと手を伸ばした途端、それは唐突に精を吐き出した。
「あっ…! ぁ…あぁ…あぅん…っ!」
背筋を反らせて痙攣しながら、ピュッピュッと何度かに分けて海馬の身体の上に白い精液を降りかける。
オレはその壮絶な光景を見て、思わず生唾を飲んでしまっていた。
「すげ…、お前…。見られただけでイッちまったのか…」
熱の籠もった声で思わずそう言うと、海馬はその言葉に涙目のままキッと睨んできた。
流石にちょっとやり過ぎたかなと思って声をかけようとしたけど、次の瞬間、唐突に激しい目眩に襲われてオレは何も言うことが出来なくなった。
「え? あれ?」
気付いたらヴァーチャル空間に入る為のカプセルの中にいて、それでオレは漸く現実世界に帰って来た事を知った。
それにしたって余りに突然戻らされたので、まだ頭の芯がグラグラしていて気持ちが悪い。
頭に手を当ててゆっくり起き上がって隣を見ると、同じようにカプセルから起き上がった海馬と目が合った。
当たり前だけどその姿はオレと同じ17歳の姿で、さっきまで小さな海馬を見ていたから妙な気分だったけど何となくホッとする。
とはいえ、何かすっげー憮然とした表情でオレを見ているので、仕方無いからこっちから声をかける。
「海馬…、お前なぁ…。突然戻すの止めろよ。気持ち悪くなるじゃん」
「煩い」
「何だよ。そんなにあのプレイが気にくわなかったのか? お前もノリノリだったじゃんか」
「黙れ」
「ていうかいい加減立ったら? いつまでもそこにいる訳にはいかないだろ?」
海馬に話しかけながらオレはカプセルの中から立ち上がって奴の側に行く。
だけど海馬はいつまで経ってもそこから動きだそうとはしなかった。
「海馬…?」
どうしたんだと思って呼びかけると、海馬は困ったような助けを求めるような顔でオレを見上げ「立てないのだ…」と小さく呟いた。
その表情で、何故かオレはピンと来てしまった。
嫌な予感がすっげーするけど、恐る恐る聞いてみる。
「海馬…もしかして…。また中で出しちゃった?」
オレの問いに海馬は少し考えて…やがてコクリと頷いた。
あっちゃー、またやっちゃったか…。
前回の風呂場Hとは違って今回は下着内で出させるつもりは無かったから(ヴァーチャル世界ではやりまくったけどな)、オレはやり過ぎたと反省して海馬の近くに歩み寄る。
「仕方無いな。ほら、支えてやるから立てって」
海馬の身体に腕を回して支えてやると、突然海馬がオレの首に両腕を回して抱きついてきた。
そして耳元に唇を寄せてボソリと囁きやがった。
「今日はなかなか良かったぞ、城之内。合格点をやろう」
その言葉に慌てて身を離して海馬の顔を覗き込むと、まるで悪戯が成功した餓鬼のような顔して笑ってやがった。
………っ!! チ…チクショォ―――――っ!! またコイツの作戦にまんまとハメられやがった…っ!!
「ふぅん…。やはり貴様にはドSの『素質』があるようだな。順調に目覚めていってくれているようでオレも嬉しいぞ、城之内」
余りの悔しさに地団駄を踏んでいると、海馬がそう言って嬉しそうに笑っていた。
い…嫌です…。勘弁して下さい…本当に…。
頭を抱えて座り込んでいると、後ろから海馬がオレを呼ぶ。
「ところで凡骨。オレが今立てないのは本当なのだ。こうなった落とし前…きっちりつけてくれるんだろう?」
涙目で振り返ると、紅潮した顔でオレを挑発する海馬の姿があった。
その姿にまた心臓がドキッと高鳴って、海馬を苛めたくなってくるオレはいよいよ本気でヤヴァイのかもしれない。
そう思いつつも、オレは自分の本能と欲求に従って、海馬に手を出さずにはいられないのだった…。
ドーマ編の次は乃亜編を見てニヤニヤしっぱなしな二礼です、こんばんは。
つーか順序が逆なような気がしないでもないですが、見たいものを見たい時に見てるだけなのでOKとしましょうw
昨日、ニ/コ/ニ/コ/動/画でMADを見ていた時のこと。
モクバの「ニーソマン!」のコメントを見て隣にいた相棒が、
「ニーソマン…。ニーソ…マン。ニーソを履いた男? てことは短パン?」
と、何やら突然言い出しました。
その一言で二礼の頭の中は大変な事にw
もう短パンもといホットパンツの社長がニーソックスを履いてデュエルしている画像しか出てこなくなりましたw
ちょwww 何てエロイ想像させるんだyp!!www
一人で萌え萌えしていたら「腐女子自重!」とか「腐ってやがる…っ! 遅過ぎたんだ…っ!!」とか色々言われましたが、そんな想像をさせた相棒が悪いんです(´_ゝ`)
と言うことで、反省はしない。
長編『真実の証明』の『慟哭』をUPしました。
海馬さんの告白タイム入りました。
ていうか、自分で書いておいて何ですけど…。
不器用な子だね、ホントに(´・∀・`)
こういう子が実際にいたら、放ってはおけないでしょうねぇ…。
以下は拍手のお返事です~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)
にょた海馬の事を心配して下さったようですけど、大丈夫ですよ~!
城之内もちゃんと分かっているようです(´∀`)
確かにここから先は城之内の腕の見せ所なんでしょうね。
ウチの城之内は本当に海馬の事が大好きなんで(好き過ぎて困る位にw)、多分Rosebank様をがっかりさせるような結果にだけはしないと思います(*'-')
と言うことでご安心を~。
触手!!!
そういえばドーマ編にはそんな美味しいものもありましたねぇ…(*´д`*)
アレはスタッフもといスタッ腐が頑張り過ぎですw
しかし…触手ですか…。
いいですねぇ…(´¬`)
Rosebank様様のお陰で、エロネタが一つ出来たような気がしますw
話は変わりますが、憂鬱気味の事を心配して下さってどうもありがとうございます。
やっぱり季節の変わり目は精神にきますね~…。
春は大好きな季節なのですが、こればっかりはどうしようもありません(´∀`;
暫くはゆっくりまったり頑張る事にしますw
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
「城之内…? 冗談だろう…?」
俺の発言に海馬が震える声で訪ねてきたけど、オレは黙ってそのまま睨み付けてやる。
不良時代に鍛えた精神力で冷たい表情は変えないまま、心の中ではずっと焦っていた。
早く怒れ。そして早く逃げ出してしまえ。オレの決心が鈍らない内に…と。
だけど海馬は事もあろうに自分のスカートの裾を握りしめて、そろそろと上に持ち上げ始めた。
白いレース地に青いリボンがあしらわれた下着が眩しく見えてドキッとする。
完全にスカートを持ち上げて海馬は真っ赤な顔で泣きそうになりながらも、オレに「犯して…く…だ…さい」とはっきり言った。
おいおい…何やってるんだコイツは!!
オレはもう完全に頭にきて、ズカズカと海馬に近寄ると布団の上にその細い身体を押さえつけた。
布団の上で海馬が息を飲んで身を固くする。
オレだって本当はこんな事したくないけど、こういうヤツには無理矢理にでも教えてやらなくちゃいけないんだ。
「ほら、もっと足開けよ。犯して欲しいんだろ?」
小さな膝頭に手を当てて、グイッと足を開いてやった。
海馬は俺の行動に顔を背け、下唇を噛んで耐えている。青い瞳が潤んで、今にも涙が零れ落ちそうになっていた。
それを見てこれから自分がやろうとしている事に一瞬躊躇するけど、コイツの為だと自分に言い聞かせて行為を続ける事にする。
嫌われるのなんて…覚悟の上だった。
「柔らかいな」
ふっくらと盛り上がった秘所に、下着の上から指を這わせる。何度か往復してそのまま布の上からグッと押し込むとヌルリと濡れた感触がして、指先がジワリと温かく湿ったのを感じた。
「へぇー、もう濡れてんじゃん。何? 興奮してんの?」
わざと言葉で煽りつつ、ついでに胸も揉んでやろうと手を伸ばしたら、意外にも全力で阻止された。
「何だよ。犯らしてくれんじゃねーのかよ」
不満そうに言ってやったら、海馬はキッとオレを睨んで涙声で反論した。
「オ…オレは…知ってるんだぞ!」
「知ってるって…何を?」
「お前が巨乳好きって事をだ! オレの無いも同然の胸を触ってもつまらないだけだ。意味など無い! 触るな!」
「………。何だよそれ。じゃぁ何か? オレにはただ突っ込めばいいって、そう言ってるのか?」
「………っ。そうしたければそうすればいいと…先程から言っている…っ!」
ここまで来ると、逆に怒りは収まって何だか可哀想になってくる。
何でこんなに強情なんだ…。
自分で言った言葉に自分で傷付いたんだろう。ついに泣き出した海馬を見て、オレは「やーめた」と言い捨ててスッと身を離した。
泣いてるって事は、漸く自分が何を言っていたんだか理解したって事だからだ。
何かちょっと勿体無い事をした気にもなったけど、好きな女をこれ以上傷付けたく無かった。
「き…貴様…っ。何故やめる…?」
「もういいからさ。これ以上オレを挑発するような事言わねーでくれよ」
「………っ!」
「大体何でそんなにオレとやりたがるのよ。お前はもう立派な女に戻ったんだからさ、もっと自分を大切にしねーと…」
「…から…だ…」
「ん? 何て?」
「女に戻ったからだ!!」
突然海馬が叫んで、オレは驚きで言葉を無くす。
その顔には必死さが滲み出ていて、とてもじゃないけど茶化すなんて事は出来なかった。
海馬はボロボロ泣きながら必死で言葉を紡ぎ出した。
「女に戻ったからにはどうせその内見合いでもして、どこぞの企業の跡取り息子か何かと結婚しなければならないんだ…っ! 見知らぬ男に初めてを捧げる位だったら、せめて好きな男に処女を貰って欲しいと思う事の何がいけないんだ!」
「………っ!?」
突如飛び出したゲリラ的告白に驚いているオレを余所に、まるで癇癪を起こしたかのように海馬の言葉は止まらない。
「お前がオレに興味も何も無いのは知っている…っ! だけどオレはずっとお前が好きで…、それをアイツは見抜いていて…。アイツが…アイツが…っ! 全部…アイツのせいだ…っ!」
そこまで言うと、海馬はついに布団の上で膝を抱えて丸くなってしまった。
俯いてしまった顔の表情は見えないけど、時々しゃっくり上げる肩がまだ涙が止まっていない事をオレに伝える。
「アイツがあそこまで言うから、オレもそれを信じてみようと思ったのに…。だけど…もう嫌だ…。女になんて…戻らなければ良かった…。女に戻ってからオレはどんどん弱くなる。力も落ちるし常に狙われるし誰も守れない…。抱える気持ちを我慢する事が出来ない…。感情が…制御出来ない…。もう…苦しい…。助けてくれ…」
蹲ったまま震えて泣き続けるその細い身体を、オレは抱き締めずにいられなかった。
そっと腕を回して背中を優しく撫でてやる。
「海馬…。アイツって…誰?」
「アイツはアイツだ! 決闘王の称号を持ったまま冥界に逃げ帰ったあのオカルトファラオの事だ!!」
先程海馬の台詞の中に出てきた『アイツ』が気になってそう訪ねると、海馬はそう言って居間の方を指差した。そこには海馬の鞄が置いてあるのが見える。
「鞄、持ってくればいいの?」
オレの問いかけに腕の中でコクンと頷くのが見えたから、オレは一旦海馬から離れて鞄を取りに行く。
持ってきた鞄を手渡すと、海馬は手の甲でグシグシと涙を拭いながらそれを受け取り鞄を開いた。
中は几帳面な海馬らしく、ノートや教科書などが整然と並べられている。その隙間からKCのロゴ入りのクリアファイルを取り出すと、そこからシンプルな白い封筒を一通取り出した。
「これを…」
「これ…手紙か? 読んでもいいの?」
オレの問いに海馬はまたコクリと頷いた。
「もういい…。全て…知られてしまったから…」
再び膝に顔を埋めてしまった海馬を見守りながら、オレは受け取った封筒を見てみる。表には宛先の『海馬瀬人様』の文字。そしてひっくり返すと送り主の『武藤遊戯』の文字。
遊戯の名前が書かれてはいるが、オレはその文字に見覚えがあった。
遊戯の自体にそっくりだけど妙に癖が強いその字は間違いなくもう一人の…先日冥界に帰って行ったアテムのものだ。
「これ…どうしたんだよ」
「戦いの儀の前日に、あの船の中で直接貰った…。全てが済んでから読んでくれと…」
そっと封筒から便箋を取り出すと、大事に大事に何度も読み返したんだろう。指で持つところの紙質が皮脂で柔らかくなってしまっていた。
そしてその手紙には…思いやりに満ちた優しい言葉と強い想いが並べられていたのだ。
なんかちょっと憂鬱気味な二礼です、こんばんは。
せっかく待ち遠しい春が来たというのに、このやる気の無さは一体どういう事なんでしょうねぇ…w
何か張り詰めていたものが一気に無くなって、頭の中がポワポワした感じになっています(´∀`;
そう言えば先日久しぶりにドーマ編の後編をガッツリと見直しました。
いや~、やっぱ社長は格好良いよ!!
とりあえず旅客機上でアメルダに真のブラコンについて説教をする場面は名シーンですな!!
ん? 何か違ったっけ? 二礼にはそうとしか聞こえなかったがw
他には、
・社長がアメルダを姫だっこ(受けが攻めを姫だっこって萌えない? つかアメルダは攻めでいいのか?w)
・ヘリの中で失業決定→ショボン(´・ω・`)な社長
・KCアメリカ支部でのカイバシリw
・スーパーウルトラミラクルエンターキーぽちっとな
・イナゴキャッチ
・ダーツ戦での散り際
・M字
・そしてヘルクリの∞(どんだけ気に入ってるんだw)
数え上げればキリが無い(´∀`)(最後は社長じゃ無いけどw)
こうして見返して見ると、やっぱりドーマ編は名作だと思います。
色々とツッコミ処満載ですけどねw
あとベッキーはKCアメリカ支部に就職させて貰えばいいと思うよ!!
長編『真実の証明』の『衝動』をUPしました。
ちょっと短めだったので短編の一本でも書いて同時UPとかしたかったんですが…力尽きました。
ただネタは纏まっているので、近いうちにでもと思っています。
くっ…! 不甲斐ない…っ!!
以下は拍手レスになります。
>Rosebank様
いつも拍手とコメント、どうもありがとうございます(´∀`)
『嘘の代償』を気に入って下さったみたいで、私も嬉しいですw
エイプリルフールネタをどうしようか考えた時に、とりあえずどっちを騙すのかを決めることにしました。
散々悩んだ末海馬の方を騙すことにしたんですけど、何かウチの城之内君は海馬を騙すことに罪悪感があるようで…w
で、表君の出番と相成りました。
表君に恨みは無いのですが、ついつい損な役どころに…(´∀`;
表君の事は結構好きなんですが、どうにも報われませんねぇ…w
そう言えば先日のCP論の時に、セトキサを書くかどうか迷ったんですよね~。
セトキサは公式でカップルだし、私も彼等はもう夫婦で良い(w)と思っているんで敢えて書きませんでしたw
(アレはあくまで二礼の脳内CPを書いたものだった為)
なので、私もセトキサ大好きなんですよ~!(*´д`*)
キサラ可愛いよキサラ!
ちなみに私も良く考えてみて、やっぱりノーマルCPのサイトさんとは住み分けした方が良いと判断しました。
確かにCP論争とか荒らしとか、考えただけでも恐ろしいです…っ!!((((゜д゜;))))
腐女子には『自分の萌えは他人の萎え』という素晴らしい名格言がありますが、やはりCP押しつけは良くありませんよね~。
この言葉を胸に刻み、今後も頑張って行こうと思いますw
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(*´∀`*)ノシ
突然飛び出た爆弾発言にオレは一瞬固まってしまっていたが、いやいやいやと慌てて意識を戻って来させる。
な…何を! コイツは一体何を言い出すんだと!!
オレが焦っているのを知ってか知らずか、海馬は先程エプロンを出したビニール袋を取り出して見せた。
「実は最初からそのつもりで、もう着替えも持ってきているのだ。という訳で風呂を借りるぞ、城之内。湯を貯めてもいいか?」
そう言って勝手に風呂場に向かいそうになる海馬の腕を慌てて捕まえる。
海馬が女に戻ってから早二ヶ月。
二ヶ月も経って身体はもうすっかり女性そのものになったというのに、どうやら心はそれに追いついていないらしい。
男の危険性が全く分かっていないらしいので、オレは少し説教してやる事にする。
「海馬…。あのな、今日親父は帰って来なくてオレ一人だって言ったよな?」
オレの問いに海馬は至極不思議そうな顔をして頷いた。
「知っている。先程そう言っていたではないか。だから泊まると言っているんだ」
「いやいや、だからね。今夜はオレしかいないの。誰も助けに来てくれないんだよ」
「言ってる意味が分からんぞ、凡骨。伝えたい事があるならはっきりと言え」
「ホントに分かんねーのかよ…」
「何をだ?」
頭の上に?マークを浮かべて首を傾げる海馬を見て、オレは盛大に溜息をついてみせた。
そして掴んでいた腕を引き寄せて海馬の身体を腕の中に抱き込んだ。
多分言葉で言っても分からないんだと思うから、こうなったら嫌われるのを覚悟で実力行使に出る事にする。
「あのな。男って狼なんだぜ? 知ってた?」
オレの言葉に海馬はキョトンとした顔をする。
「男ってさ、どんな仲の良い女の子でも隙があったら即襲ってやるぞって、常にギラギラしてるわけ。ましてやオレはまだ高校生で、今丁度やりたい盛りなんだよね-」
そこまで言った時、腕の中の海馬がピクリと反応した。
お、漸く分かって来たかと、オレは言葉を続ける。
「そんなオレの所に一晩一緒に居たらどうなるか分かるだろ? オレは普通の男だから我慢出来る自信が無いんだ。帰らなかったらこのまま犯ってやるからな」
「っひ…!」
あまり男を信用するなよと最後に言って、オレはついでに海馬の小さなお尻を揉んでやった。その途端海馬が悲鳴を上げて飛び上がる。
小さくて柔らかくて弾力があるそのお尻は凄く魅力的だったけど、ここはいい男になる為に我慢をする。腕の力を緩めて海馬がいつでも逃げ出せるようにしておいた。
さっさと腕から抜け出してオレに罵詈雑言を吐いて逃げ出すのをずっと待ったけど、何故だかそれがいつまで経ってもやって来ない。
おかしいなと思って海馬を見ると、身を固くしてはいるが逃げようとはしていなかった。それどころかオレの服をギュッと握って真っ赤な顔でオレを見ていた。
「…け…れば…」
「ん? 海馬?」
「やりた…けれ…ば…、やるがいい…」
「はい…?」
「別に構わない…。今まで助けて貰ったお礼だから、お前の好きにすればいい」
「っ…! 何を言ってるんだお前は!!」
海馬の発言に一瞬で頭に血が昇って、オレは思わず大声で怒鳴っていた。
何だ? コイツは今何て言った?
今まで助けて貰っていたから? だからそのお礼で犯されてもいいと?
くそっ! ふざけんなよ!!
オレは心底頭に来ていた。
海馬がオレに礼をしたいという気持ちはよく分かるが、女として自分の身体を大事にしないのとは話が違う。
大体そんな事言ったら、お前は助けてくれた人間全てに足を開くつもりなのかと問い詰めたかった。
女にとって男に身体を許すという事は、一大決心の上のとても大切な儀式の筈だ。それをそんなに簡単に「やってもいい」などとほざいた海馬に本気でむかついてしまう。
普通の女友達ですらこんな事言われたらむかつくのに、好きな女にこんな事言われれば誰だってキレるというものだろう。
そこまで考えてオレは漸くはっきりと気付く事が出来た。
そうだ。オレは海馬の事が好きなんだ。
好きな女だからこそ、自分の事を大切にしない海馬の発言にキレたのだ。
相変わらず頭に血が昇っていたが、頭の片隅は冷静だった。
何とかして自分が何を言ったのか分からせてやろうと思い、オレはそのまま海馬の腕を引き摺るように引っ張って自分の部屋に向かう。
襖をパシンッと開け放って、薄暗い部屋に敷きっ放しになっていたオレの布団の上にその細い身体を投げ捨てた。
「いたっ…!」
布団の上に転んだ海馬は慌てて起き上がってオレを睨む。
そんな顔したって怖くねーんだよと思いながら、オレはなるべく感情の籠もらない声で冷たく言い放った。
「そんなにやって欲しけりゃ、自分でスカート捲って『犯して下さい』ってお願いしてみな」
海馬が目を丸くして信じられないような顔でこっちを見たけど、オレだって一歩も引くつもりは無かった。
四月に入ったのに冬物コートが手放せないってどういう事なの…?
相変わらず寒がりには辛い日々が続きウンザリしている二礼です、こんばんは。
最近女体化物を書いているせいか、ノーマルCPについて考えてみたりしてます。
実はノーマルCPも大好きなんですよ。
ノーマルCPしか扱ってないサイトさんもお気に入りに入っていて日々萌え萌えしていますが、自分のサイトが腐サイトなので怖くてリンクのお願いに上がれませんw
やっぱりこういうのはきちんと住み分けた方がいいんでしょうかねぇ。
という訳で自分的にはノーマルCPはロム専ですw
とは言え、好きなものは好きなのでちょっと考えて書いてみた。
ここから先は二礼の脳内ノーマルCPを書いただけなので、ノーマルCPとかが嫌いな方は華麗にスルーして下さいませ。
(一応反転させておきます)
・遊戯×杏子
(これはまぁ妥当ですね)
・城之内君×舞さん
(これも妥当。しかしよく考えたら7つも年上なのか…w 結構歳離れてるなw)
・海馬×イシズ姉さん
(これはBC編の後半の遣り取りからですね。ていうか社長がもし嫁を貰わなくちゃいけない状況になったとしたら、絶対年上女房じゃないとダメだと思うw あんな破天荒で奇天烈な旦那の面倒は、年上のしっかりした女性じゃないとやってられんw)
・モクバ×静香
(これはアレです。この二人がくっついて海馬家は城之内家と親戚になればいいよ!っていうアレですw)
こうやって見ると…、杏子以外全員年上女房じゃね?
アレか?
女性がしっかり支えとかないとダメな男ばっかりか?www
そう考えると笑えるw
とはいえ、一番愛しているCPはやっぱり城海です!
城之内格好いい! 海馬可愛い! 城海サイコー!! ヽ(´∀`)ノ
長編『真実の証明』の『転機』と、短編『嘘の代償』を同時UPしました。
今回の長編が短め及び中弛みの回だったのと、あとせっかくのエイプリルフールだったので急遽短編を作成してみました。
という訳で『嘘』ネタですw
表君には謝っておきます。
ゴメンねwwwwww(反省の色無し)
以下は拍手レスになります。
>Rosebank様
こんばんは~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
ウチは元々『乙女海馬』と銘打ってますから、他のサイトさんの海馬より泣きやすいんですよね…困ったことに(´∀`;
更にそれが女体化した事により、当社比1.5倍位で泣きやすくなってるんだと思いますw
二礼の脳内では気の強い奴ほど泣かしたいってのがあって、それで海馬を『乙女』にしちゃってるんですけどね。
しかしおかしいな…。こう思う私はやっぱりSなんだろうか…?(´・∀・`)
あ、そういえば、確かに男性に馬鹿にされる意味で「女は感情的」って言われるとムッとしますよね。
そう言う場合は「うるせーよバーカ。てめーの精神年齢ほどじゃねーよ!」と心の中で嘲笑ってやればいいんですw
そういう事言う奴に限ってムカツク事も勿体ない程の最低レベルな人間なんで、スルーしちゃえばいいんです。
ちなみに相手に自分の思っていることが伝わりやすいという意味では、『感情的』というのは実はそんなに悪い事でも無いんですよ(´∀`)
あと病院の描写ですが、まぁ…外科病棟なんで大丈夫なんじゃないかな~…と(´∀`)←無責任w
おまけに特別個室なので他の患者さんに迷惑をかけることもないし、何しろ相手が病院のバックについている天下の海馬コーポレーションの社長ですからね。
周りの人間も何も言えないんじゃないかとw
ていうかあんな凄まじい格好で「今すぐ特別個室を用意しろ!!」なんて詰め寄られたら、病院関係者じゃなくても怖くて何も言えません…。
怖えぇ…w
そう言えば、Rosebank様は『海馬より、男らしい城之内に萌えています』と書かれていらっしゃいましたが、実はこの間ウチのサイトを見てくれたリアル腐友に「アンタのところは海馬より格好良い城之内に惚れる」と言われました。
確かに『乙女海馬』を強調する為に城之内君をなるべく格好良く書こうとしている部分はありますが、そんなに格好良い印象になっているとは思ってもみませんでした…。
そ…そんなに格好良いですかね…?(´∀`;
自分では分からないので、そう言われると良い意味で動揺しますw
それでは今日はこの辺りで失礼させて頂きます。
ではでは~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
エイプリルフールネタです。
四月一日。
それは今朝新しく捲ったカレンダーの一番最初に書かれた日付だ。
四月一日とくればエイプリルフール。世間では害にならないちょっとした嘘だったら吐くのが許される日なんて言われてるけど、残念ながらオレの恋人は嘘の通じない超真面目人間。
本当はちょっとした嘘でも吐いてからかってやろうとか思ってたけど、絶対それを真に受けて本気で怒るか本気で落ち込むかしかしないのが目に見えているから、オレは多少残念に思いながらも自重する事にする。
進級を間近に控えた春休み中の今は学校も無く、こういう長期の休みの時はオレも集中してアルバイトを入れられるし、海馬もこの三月は決算期だか何だかで忙しくて、昼間は全く会える事が出来なかった。
と言う訳でオレは春休み中は海馬の家に泊って、夜だけはしっかり会えるようにしていた。
夜遅く帰って来たオレを、いつものメイドさんが優しく出迎えてくれる。そのまま海馬の私室に向かいながら、オレは自分の腕時計をちらりと見た。
せっかくのエイプリルフールもあと30分ちょいで終わってしまうけど、自重すると決めたからにはオレにはもう関係の無いイベントだ。
いつもの様に海馬の私室の扉を元気良く開いて、「よぉ! 海馬!」と満面の笑顔で挨拶をする。
…が、何故かオレの挨拶に答えは返って来なかった。
余りに静かなのでオレは最初海馬が居ないもんだとばっかり思った。
だけど海馬はちゃんとそこにいて、ソファに座って仏頂面でオレを見ている。
いつもだったら悪態の様な呆れた様なそんな声で「煩い」とか「お帰り」とかしっかり答えが返ってくるのに、今目の前に居る海馬は全く口を開こうとはしていなかった。
「海馬…?」
流石にちょっとオカシイと思って訪ねるように名前を呼ぶけど、それに対しても僅かに眉を顰めただけで相変わらずだんまりを決め込んでいる。
何か怒っている風にも見えてオレは自分の行動を思い返してみた。
昨夜は疲れが溜まっていたせいもあり、そのまま何もしないで二人してぐっすり眠ってしまった。そのお陰か今朝はお互いにすこぶる体調が良く、海馬も上機嫌で出社していった。
俺自身が何かした覚えは無いからもしかしたら会社で何かあったのかとも思ったけど、海馬は会社での不機嫌や苛立ちをオレに当たり散らす様なことは今まで一度もやった事は無い。
こういう風に意味もなく黙られるのは気持ち悪くて、オレは海馬に近寄って隣に腰掛ける。
「なぁ、海馬どうしたんだ? 何か怒ってる?」
「………」
「もしかしてオレが春休み中一杯にバイト入れたこと、気に入らないのか?」
「………」
「それともずっと泊まり込んでいるのが嫌なのか?」
「………」
「おい、何とか言えよ。黙ってちゃわかんねーだろ」
「………」
何を話しかけてもウンともスンとも言わず、首を縦にも横にも振らずただ困ったように目を伏せるだけの海馬に、流石のオレもキレかけてきた。
いつもだったらその小さな口からは想像出来ないような罵詈雑言を平気で喚き散らす癖に、何で今日に限って何にも言わないんだよ。
意味もなくこういう態度に出られるのが大嫌いな俺は、つい本気で怒ってしまった。
無理矢理にでも何かを喋らせたくて、ソファの上に海馬の身体を押し倒す。
「………っ!!」
驚いたような顔をして、次の瞬間には抵抗するようにグイグイとオレの身体を押し返してくるけど、既に頭に血が昇ったオレには何の効果も無い。
暴れる両手を頭上で一纏めにして、片手だけで器用に海馬のベルトを外して抜き去った。そのままボタンを外してファスナーを降ろし、一旦手を外してやって今度は両手で奴の腰を掴んでグルリと身体をひっくり返してやる。
「っ…! ………っ!!」
何か言いたそうに暴れているけどそれを無視して、グイッと下着ごとズボンを降ろして抜き去り、ソファの脇に投げ捨てた。
上半身をソファに押し付けて下半身だけ高く上げさせる格好をさせて、おれは目の前の双丘を割って現れた蕾に唇を寄せる。
「っ…! っ…ぅ…っ!!」
唾液を含ませて丁寧に舐めていると、やがて行為に慣れきっているそこは柔らかく綻んでくる。
濡れてひくつく後孔に指を差し込んで刺激すると、その度に海馬は身体をビクビク震わせて感じていた。
ただいつもだったら直ぐにでも聞こえて来る筈の甘い喘ぎが、一向に聞こえて来ない。
不思議に思って覗き込むと、海馬は自分の袖口を噛んで必死に喘ぎ声を我慢していた。
「おい、ふざけんなよ。どこまで強情なんだお前は」
余りに強情なその態度にオレの苛々は収まらない。
少々乱暴な動作で指を引き抜くと、オレはすっかり起ち上がった自分自身をジーンズから取り出してその場所に押し当てる。
いつもだったら挿入する前に「入れるから力抜いとけ」とか声を掛けてから入れるオレだけど、何かすげーむかついていたから、そのまま何も言わずに突っ込んでやった。
「っあ…! んぁ…っ。っう…ぅ…っ!」
流石に耐えきれなかったのか喘ぎ声が零れて、オレはそれに少し満足する。
「ほら…ちゃんと喘げよ。オレのコレ、お前好きだろ?」
「んっ…! ふぁ…っ、あ…ぁぁっ!」
「な? 気持ちいいだろ? ちゃんと気持ちいいって言えたらもっとやってやるぜ?」
「ひっ…あぁっ! ん…んぁ…っ、あぅ…っ」
「オレの事…好きだろ、海馬? なぁ…好きだよな?」
「っ…! うぁっ…あぁぁっ!!」
「なぁ、何とか言えってば!!」
何言っても答えない海馬に苛立って、つい自分勝手に攻め立ててしまう。
そんな突っ込まれ方をすれば海馬が痛くて苦しむのを知っててもやめられなかった。
案の定辛そうに顔を歪めてボロボロと泣いていたけど、それでもオレは何度も何度も奥深くまで突き刺してやった。
とにかく心が苛々していて、大好きな海馬とのセックスがちっとも気持ちいいと感じられない。
「海馬ぁ…、どうしてなんだよ…っ!」
思わず泣きそうになって弱音を吐いた時だった。
オレの腕時計のアラームがピピピッと鳴って、日付が四月二日になった事を知らせた。その途端…。
「あっ…! 好き…っ! じょ…の…うちぃ…っ、好き…だ! 好き…っ!」
それまで一言も言葉を発しなかった海馬が突然喋り始めた。
余りに突然の事で何も言えないオレを余所に、海馬は自分で腰を振りつつ今までの態度が嘘のように言葉を紡ぐ。
「あぁぁっ…、き…気持ち…い…い…っ! んっあっ…ん! あ、好き…、城之内…っ!」
単純な様だけどオレは海馬の言葉を聞いた瞬間猛烈に興奮して、途端に全身に快感が巡りだすのを感じていた。
勝手に攻め立てるのは止めて、オレにも海馬にも快楽が伝わるように、海馬の感じる場所を重点的に突いて刺激する。
「ひぁっ! うっ…あぁんっ…!」
「海馬…海馬…っ!」
「あぁ…っ、ふぁ…あ…、あぅ…んっ!」
「海馬…、好きだぜ…っ」
「はぁ…んっ! オレも…、オレ…も…好き…っ! 城之内ぃ…っ!!」
まるで叫ぶように告白されもう我慢が出来なかった。
一際奥を抉るように突くと海馬がビクンと身を痙攣させて達してしまい、オレも海馬の腸壁に痛いほど絞られて最奥で果ててしまった。
ドサリと二人揃ってソファに身を沈める。
荒い息は止まってはいなかったけど、オレはどうしても海馬とキスがしたくて、奴の顔を無理矢理こちらに向けるとそのまま唇を重ねた。
開いた唇の間から舌を差し込んで、暖かい口中を無茶苦茶に舐め回してやる。
息も絶え絶えの癖に海馬もオレに答えて、暫く二人して夢中になって舌を絡め合っていた。
数分後、オレ達は漸くキスに満足して唇を離す。
ツーッと唾液の糸が引いてそれにまた興奮してしまったけれど、そこは「いい加減にしろ!」と怒られそうなので我慢した。
真っ赤な顔をしている海馬を抱き寄せて、オレは深く息を吐き出す。
セックス後半の態度でどうやら怒っている訳じゃ無かったことは分かったけど、何であんなに頑なに喋ることを拒んでいたのか理解出来なかった。
「なぁ…。何で何も喋らなかったんだよ」
漸く落ち着いたのかオレの胸に顔を寄せている海馬にそう訪ねると、何か複雑そうな表情をしてオレを見上げてきた。
「何か理由があったんだろ?」と訪ねると、それにコクンと頷いて口を開く。
「ゆ…遊戯が…」
「遊戯? アイツがどうかしたの?」
「遊戯が…その…。エイプリルフールは恋人には嘘しか吐いてはいけない日だと…」
「へ?」
唐突に不可思議なことを言われて、オレも思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
海馬の話を要約するとこういう事である。
今日(正しくはもう昨日だけど)の夕刻に突然遊戯が会社にやってきて、にこやかな笑顔でこう言ったんだそうだ。
「ねぇ、海馬君知ってた? エイプリルフールって恋人に対しては嘘しか言っちゃいけない日なんだよ」
いくら世間の常識に疎い海馬でも、エイプリルフール位は知っていた。
あまり重大な事にならない程度の小さな嘘ならば吐いても許される日だという事は認識していたらしいのだが、流石にそれは知らなかったと心底驚いたらしい。
そこまで聞いて、オレは心の中でツッコミを入れざるを得なかった。
なんでそこまで知っていて、遊戯のそれが嘘だと見破れなかったんだ…と。
まぁ、そこまで考えて、オレもコイツが超真面目人間だということを思い出して、それも致し方無かったのかと諦めたけどな。
遊戯から重大な情報を聞いて、海馬は悩みに悩んだ。
実は海馬、嘘を吐くという行為が大嫌いだった。
「ただでさえ嘘が嫌いなのに…。それなのに、お前に対して嘘しか吐けないなんて耐えられなかった。城之内…オレはお前にだけは嘘は吐きたくなんか無いんだ…っ! 嘘を吐く位だったら日が変わるまで何も話さなければいいと、そう思ったんだ…」
泣きそうになりながらも必死な顔でそう言う海馬を、オレは心底愛しいと感じる。
そっと抱き寄せて「ありがとうな」と優しく言った。
本当にコイツは超真面目で超お馬鹿で超可愛い奴だよ。
こんな奴を恋人に出来たオレは、本当に幸せ者だと思った。
そんな風に幸せに浸っていながらも、オレはほんの少しだけムカついていた。
遊戯の小さな嘘によって、オレは多大な迷惑を被ったからだ。
取りあえず海馬にネタばらしをして、ついでに遊戯への復習を企てる事にした。
それから数日後。
新学期が始まって三日目。相変わらず同じクラスに押し込められたオレ達は、遊戯に対して尊大に振る舞っていた。
「遊戯、今日も六時から新デュエルディスクのテストがあるからな。忘れずにKCに来るように」
「あ、遊戯。今日の昼飯はカツサンドと焼きそばパンとカレーパンな。牛乳も忘れずに買って来いよ」
「もう、許してよ二人とも~!! たかがエイプリルフールの小さな嘘じゃない!」
「「却下だ」」
遊戯の嘘によって多大な精神的苦痛を味わったとして、オレと海馬は遊戯に一週間の罰ゲームを受けさせる事を決めた。
海馬からは、開発中の新デュエルディスクのテストをただ働きでする事。
オレからは、昼飯のパンと飲み物を購買にパシリに行く事。
小さな嘘による大きな代償に「ごめんなさいってば!」と泣きながら謝る遊戯に、「一週間の罰ゲームで済むことをありがたく思え」と二人して冷たく言い放った。
まぁオレはちょっと可哀想に思ったけど、真面目人間の海馬を騙すとどういう事になるか身を持って知るのはいい機会だと思う。
それまで何かと海馬を馬鹿にしていた様な連中も泣きながら奔走する遊戯を見て青くなり、それ以来二度と海馬に嘘を吐こうとする奴は出てこなかった。
そしてそんな状況を横目に眺めながら、オレは心底ホッとしていたんだ。
あの時海馬に嘘を吐くのを自重して良かった…とな。
真面目人間に嘘は吐くべからず。
途中のスーパーで夕飯の材料を調達しながら、オレは海馬を連れて自宅に帰ってきた。
海馬邸とは余りに格の違う団地の三階。
こぢんまりとした薄暗い部屋に通しながら、オレは海馬の動向を見守っていた。
どうせ犬小屋もしくは兎小屋だなんだと馬鹿にされるんだと身構えていたけど、海馬がそんな事を言い出す様子は全く無かった。
とりあえず先に夕飯だと思い、早速買ってきたものをテーブルの上にゴロゴロと並べる。
「今日の夕飯カレーなんだけど…お前食えるよな…?」
普段からステーキだシチューだムニエルだと如何にもな洋食を食ってる奴にいきなりカレーなんて気が引けたけど、当の海馬は全く気にしていないらしかった。それどころか鞄の中からブルーアイズのイラストが描かれたビニール袋を取り出す。
その袋には見覚えがあった。確か海馬ランド内のショップで土産を買うと、こんな袋に入れてくれるんだっけと関係の無い事を考えていると、海馬はその袋の中から何とエプロンを取りだした。制服のジャケットを脱いで椅子の背に掛けると、エプロンを身に付けてオレに向き直る。
「手伝う。大体の事は出来るから、オレがやる事を教えてくれ」
青と白を基調として端っこに小さなブルーアイズのアップリケが付いてるそのエプロンは、もうこれでもかって程海馬に似合っていた。
ちょっと可愛いなぁ…とか思いながらオレは予備の包丁やまな板、それと皮剥き器をを出して海馬に手渡す。
「んじゃ、にんじんとジャガイモ、皮剥いて適当な大きさに切ってくれる?」
コクンと頷いて海馬は俺の隣で作業し始めた。
流石に毎日自分の弁当を作ってるだけの事はあって、随分と鮮やかな手つきで材料を裁いているのを見て、オレも自分の作業に移る。
オレの隣で真剣な表情で料理している海馬を見て、オレは少しドキドキしていた。
真剣に料理しているのだろう。桜色の唇を少し突き出してるのが可愛いと感じる。
一口大に切ったにんじんやジャガイモを丁寧に面取りまでして一つ一つ丁寧にボウルに入れていたが、オレがじっと見ているのに気付いたのか、海馬がふと顔を上げた。
「何だ? 何かいけなかったか?」
首をちょこんと傾げてそう訪ねてくるのに、オレは慌てて首を横に振った。
「いやいやいや、いいですそれでいいです。オレ普段面取りなんてしないから、ちょっと新鮮に感じただけ」
「そうか、ならいい」
そう言って海馬はまた作業に戻る。
その横顔を見てオレはまた可愛いなぁ…なんて不埒な事を思っていた。
二人で作ったカレーを食べて、そのままテーブルの上でオレはプリントを広げていた。
目の前には海馬がいて、懇切丁寧に教えてくれている。
慣れない椅子で落ち着かないのか、時々テーブルの下で足を組み替えていた。
オレの位置からそれが見える訳じゃないけど、何となく海馬が足を組み替える為に身動きする度、心臓がドキッと鳴るのを止められない。
そんな短いスカートで足なんか組み替えたらお前…中身見えるじゃんよ! とか思っていたら、丸めた教科書でポカリと頭を叩かれた。
「こら! 聞いているのか? 城之内」
「き、聞いてます! ごめんなさい!」
慌ててシャーペンを握り直して目の前のプリントに取りかかった。
カリカリとペンを走らせながら、オレはずっと気になってた事を聞いてみる事にする。
「あのよ海馬。お前身体の方…もういいのか?」
オレの質問に大きく首を傾げて海馬が「何の事だ?」と聞き返してきた。
「何って…。その…生理? お前初めてだったんじゃねーの?」
「あぁ、その事か」
「その事かってお前なぁ…。オレ心配してたんだぜ? お前があんなに混乱する事なんて今まで無かったからよ」
「別に…。初めてでは無かったし心配しなくていいぞ」
「あ…そうなの…」
「初潮は成長期が来た時に体験している。でもその後すぐにホルモン薬の投薬を始めたから、二~三回来ただけですぐ来なくなったがな」
「なるほど…ね」
「今までずっと来てなかったものが突然来たから混乱したんだ。自分にこんなものが来るなんて事も忘れていたしな。あの時も…悪かったな、城之内」
「いや、別にいいよ。気にしてないし」
気にしてないってのは嘘かもしれないって思う。だって居たたまれなかった。
海馬の身体はちゃんと正常に女性として成長しようとしていたのに、義父の思惑でそれが不自然に歪められてしまったなんて、それがとても可哀想だと思った。
海馬の教え方が良かったのか、一枚目の古文のプリントが思ったよりあっさり片付く。
ふーっと大きく息を吐き出して時計を見ると、既に十時を回っていた。
しまったと思った。
この間あんな事件があったばかりなのに、こんな夜遅くまで外出させてしまっていたなんて…と焦ってしまう。
「ゴメン海馬。あんま時間気にしてなかった。送るから帰ろうぜ」
慌てて立ち上がって椅子の背にかけていた上着を着せようとすると、海馬の白い手がそれを止めた。
「海馬…?」
その行動が理解出来なくて顔を覗き込むと海馬は真っ直ぐにオレを見詰めていて、その桜色の可愛い唇からとんでも無い爆弾宣言を飛び出させた。
「帰らない。今日は…泊まっていくから…」
その言葉にオレは頭の中が真っ白になっていた。