城之内×海馬
ちょっとバカっぽい社長を書いてみたかったw
詳しい経緯ははぶくが、何時の間にかオレと城之内は付き合っていて、世間一般で言う恋人同士というものになったらしい。
今夜は城之内が初めて我が屋敷に泊まりに来る予定だ。
オレは早々に風呂を済ませ、今は自らの部屋で城之内が来るのを待っている状態だ。
それにしても…泊まりか…。恋人が泊まりに来るということは…だ、そうアレをするのだ。
アレとはアレだ、セックスだ。一般の情報に疎いオレでも流石にそれは分かる。
問題はオレ達が両方男だという事だが、まぁその辺は何とかなるものなのだろう。………多分。
城之内が「明日泊まりに行ってもいいか?」と言い出したのは、昨日屋敷までオレを送り届けてくれた帰り際だった。
何でも明日から二日ほどバイトの休みが取れたので一緒にゆっくり過ごしたいのだと教えてくれる。
あの城之内でもやっぱり照れていたのだろう。西日に照らされて分かり辛かったが、確かに奴の顔は赤く染まっていた。
オレの方が背が高い為に自然と上目遣いになる目で「ダメか…?」と聞かれた時は、オレの身体の中に何か色々なモノが駆け巡って行った。
突然の申し出だったが城之内にそんな風にして頼まれたら断れる筈がない。
直ぐさまOKを出すと「サンキュー、海馬!」と満面の笑みを向けられ、その笑顔にまた胸が高鳴った。
あの時の城之内は可愛かったな…と思い出に浸っていながら、突如大きな問題が一つ残っているのに気付いてしまう。
先程も言ったがオレ達は男同士。つまりセックスをするとなると必然的にどちらかが女役をせねばならぬのだ。
暫し目を瞑って考える。まぁ…オレの方が背も高いし、この場合は城之内の方が女役だろうな。
そうなると今夜に備えて早速シミュレーションを立てておかないと!
オレは勿論の事、多分城之内も初めての経験だろうし、こんな大事な場面で失敗は許されない。
そうだな。まずはそっと服を脱がしてだな………。
城之内の指がゆっくりとオレのシャツのボタンを外していく。オレはそれを黙って見ている事しか出来ない。
心臓の音が煩い位に鳴り響き、顔が熱くて仕方無かった。
「じ…城之内…っ」
纏っていたシャツを肌蹴られ、ついに恥ずかしさに耐えられなくなって名前を呼ぶと、城之内が欲情に塗れた瞳でこちらを見返してくる。
「ん…何? 恥ずかしくなっちゃった?」
口元に笑みさえ浮かべている城之内は随分と余裕の表情で、一人焦っている自分が情けなく思えてしまう。
「やっぱ…嫌…?」
「ち…違う…っ!」
城之内が心配そうに問うてくるのに、慌てて首を横に振った。
嫌では無いのだ…。確かに未知の領域に踏み込む怖さはあるが、城之内が相手なら構わない。
ただやっぱり…どうしても躊躇してしまう。
「城之内…。オレは…その…、は…初めて…なんだ」
「うん」
「だから…そ…の…」
「海馬」
「や…優しく…してくれ…っ!」
必死で紡ぎ出した言葉に、城之内が優しく微笑んでくれた。
「わかってる。大丈夫だよ。お前は何も心配しなくていいから…。だから全部オレに任せてくれ」
そう言って城之内がオレを抱き締め、ゆっくりと体重をかけてk………。
「って、違う!!」
オレは極々自然に頭に浮かんできた想像を無理矢理追い払った。
非常に危ないところだった。あのまま想像し続けていたら、間違いなくオレが城之内に抱かれていた。
というか、大体今の想像は何だ! このままではオレが女役になってしまうではないか!!
違うだろう? そうじゃないだろう? しっかりしろ海馬瀬人!
オレは自分に言い聞かせながら、もう一度頭の中でシミュレーションを展開する。
そうだな…。男同士のセックスだから、もちろんアレを愛撫するのが一番手っ取り早いか…。一番感じやすい器官だしな。
他の男のモノなど考えるだけで萎えるが、城之内のだったら勿論全然平気だ。
まずはアレを触って快感を与えておいて………。
「そうそう、上手だよ…海馬」
「んんっ…ふっ」
必死で奴のモノをしゃぶっているオレの頭を、城之内が優しく撫でてくれる。
オレの髪を指で梳かしながら、言葉でオレを煽ってきているのだ。
「歯はたてるなよ、痛いからな。もうちょっと喉の奥の方に入れられる? うん…そう。気持ちいい…」
「んくっ…! ふぁ…んんっ…!」
オレの唾液と城之内自身の先走りの液で濡れたソレを、オレは必死になってしゃぶった。城之内に言われたようになるべく喉の奥まで導き入れて、銜えきれない根本は指で強く握って刺激を与える。時折幹を舌で舐める度、ピチャピチャという水音が厭らしく辺りに響いた。
顎が痛くて疲れて来たが、それでもオレは止めようという気はしなかった。
オレの頭上で城之内の息が乱れ、感じてくれているのが分かるから嬉しかったのだ。
息が苦しくて涙目になりながら上目遣いで城之内を覗き見ると、その視線に感じたのか口の中のソレがグンッと大きくなるのを感じる。
荒い息を吐きながら目元を赤くした城之内が、オレを見てニヤッと笑った。
やがて限界が来たのだろう。オレの髪を梳いていた指が止まり、唐突に強く押しつけられる。
「ぁ…海馬…っ! オレもう…イキそ…」
ぐっと強く頭を引き寄せられ、やがて喉奥で熱い液体が弾けたのを感じた。
青臭く苦いそれを無理矢理飲もうとする。くんっと喉を鳴らして飲み込むと、はぁ…と熱い息を吐いた城之内がオレを抱き寄せてまた頭を撫でてくれた。
「飲んでくれたんだ…。ありがと海馬」
口の中にはまだあの味が残っていたが、オレは満足して城之内を抱き返s………。
「って、違うーっ!!!」
オレは先程より大きな声で叫んで、再び浮かんできた想像…というよりもはや妄想の域に入ってきたそれを振り払った。
オレは城之内に抱かれたいんじゃない! オレが城之内を抱きたいんだ!!
なのに先程からオレの頭に勝手に浮かんでくる想像…いや妄想は、困った事にどうにもオレの方を女役にしたいらしい。
ダメだ…、このままじゃダメだ!!
もう途中の行程等どうでもいい!! とっとと最後のシミュレーションだけして、あとはそれに備えればいいのだ!!
オレは少しイラつきながらも、ソファに座り腕を組んで頭の中で妄想を汲み上げた。
そう、要はオレが下にならなきゃいいのだ。あくまで城之内が下でオレは上だ。
城之内が下、オレが上。城之内が下、オレが上…。城之内が下、オレが………。
「ひぁっ!! あっ…あぁっ!!」
下から突き上げられる衝動に、オレは思わず悲鳴を放ってしまう。そんなオレの声を聴いてベッドに横になった城之内は、ニヤリとやらしく微笑んだ。
そしてまた下から強く突き上げられて、オレは新たな悲鳴を上げながら嫌々をする様に首を振った。
オレは今、横になっている城之内に跨る状態で奴のモノを受け入れていた。
倒れそうになる身体を奴の腹部に着いた両手で何とか支え、下にいる城之内に良いように揺さぶられている。
「んっ…っくぁっ…。あぁ…あっ…っぁ…。んあぁぁっ!!」
乗り上げる形の為体重が直接かかり、城之内のソレは奥の奥まで届いてオレを翻弄していた。
「やっ…! も…苦し…い…っ!」
「苦しいだけじゃないだろ…? さっきから随分と気持ち良さそうな顔してるけど?」
「っん…! そ…それは…っ」
「ちゃんと正直に言わないとダメだぜ? ほら、気持ちいいだろ? な?」
オレの腰骨を手でしっかりと支え、再び突き上げてくる城之内にオレはただ鳴く事しか出来ない。
余りの快感に涙が勝手に溢れて、閉じる事を忘れた口からは唾液が零れ落ちた。
「ぅぁっ…! あぁっ…ゃ…ん。気持ち…い…い…っ!」
「海馬…海馬…っ! 大好き…だ…っ!」
「あっ…! オレも…好き…! 大好き…っ!!」
「かい…ば…っ! くっ…!」
「あっ…あっあっ…っ! ぁ…も…ダメ…! も…うイク…っ!!」
「イケよ…海馬…っ!!」
「あぁっ!! ひっ…ぁ…! いやぁっ! や…ぁ…あぁぁぁぁーーーっ!!」
最後にトドメとばかりに強く前立腺を突かれ、その衝撃で頭の中が真っ白になった。身体をビクビクと震わせて城之内の腹の上に白い精液を放つ。
それと同時に自分の体内にも熱いものを感じて、再びブルリと震えてしまった。
「っ…。ふぁ…ぁ」
「海馬…」
力を無くして倒れ込むオレを城之内は優しく抱き留めて、汗に塗れた額に優しくキスをしてくれた。
「ありがとうな…海馬。オレを受け入れてくれて…」
「城之…内…」
「大好きだよ。もう絶対離さないから覚悟しろよな」
そう言って笑顔を見せてくれた城之内は壮絶に格好良くて、それをまともに見れずにオレは思わず奴の胸に顔を埋めてしまう。
「オレも…好きだ…。だからオレもお前を離さな…い…からな…」
「うん」
「城之内…」
「海馬…」
もう一度見つめ合ったオレ達は、どちらからともなくゆっくりと顔を寄せ、そっと唇を合わせt………。
「って、違うって言ってるのにぃぃぃーーーーーーーーーっ!!!!!」
大声で叫び目の前のテーブルに両手を叩き付けて、オレはソファから勢いよく立ち上がった。
ただ座ってただけなのに、オレの身体はすっかり熱を帯び心臓がドクドクと煩く鳴って、おまけに息も荒くなっている。
口元に手を当てて深く溜息をつき、オレは自分自身に「落ち着け…落ち着け…」と言い聞かした。
何で自分の頭で考えている事なのに、オレの命令通りに事が進まないんだ。
このままではオレは本当に、女役として城之内のモノを受け入れる羽目になってしまう…っ!
そう考えたその瞬間ズクリと下半身が反応して、オレはそれを信じられずに思わず自分の下腹部に目を遣ってしまう。
最悪だ…と思った。
オレの身体は間違いなく自分が女役である事に納得し、あまつさえ興奮すらしているのだ。
「う…嘘だ…っ!」
「何が嘘なの?」
「じ…城之内っ…!」
思わず頭を抱えて項垂れた瞬間、突然入り口方面から声がかけられる。
いつの間に来ていたのだろうか。城之内がそこに突っ立っていた。
「さっきから何一人で百面相してんの? 赤くなったと思ったら今度は青くなって、今また赤くなってるぜ?」
オレの動揺を余所にツカツカと近付いて来た城之内は、オレの頬にそっと手を添えて顔を覗き込んできた。
「マジでどうしたんだ? 目もすげー潤んでるし顔も熱い。ていうか、今の海馬メチャクチャ可愛いし。何? もしかして誘ってんの?」
そう言ってニヤリと口元を歪めるその顔は、先程のオレの妄想で見せた顔と同じで、その顔でオレはまた身体の温度を上げてしまった。
そんなオレの身体を半ば抱き抱えるようにして、城之内はオレを隣のベッドルームに連れて行く。
「そんな顔されたらもう我慢出来ねーじゃん。覚悟…出来てるよな? 海馬?」
「ぁ………っ」
ペロリと下唇を舐めてベッドに押し倒してくる城之内に、オレはもう抵抗なんて出来なかった。というより、オレの身体が抵抗する事を拒んだ。
重なってくる熱い身体に両腕を回しながらオレは漸く諦めて、ゆっくり瞳を閉じながら全てを受け入れる覚悟を…した。