Text - 短編 - *ハニー&シュガータイム

城之内×海馬。
城之内の一人称です。
とにかくイチャイチャ&にゃんにゃんさせたくて頑張ったのですが、結局いつもの彼等に落ち着きました…w

 




 自分達以外は誰もいない学校の教室。
 窓から外を眺めれば、真っ青な空の向こうに真っ白な入道雲が見える。
 世間はとっくに夏休みに突入していて、いつもなら沢山の生徒達の声でざわついている学校も今はただシンと静まりかえっていた。
 聞こえて来るのは外から入ってくる蝉の大合唱と、プリントにペンを走らせる音だけ。
 そんな異様とも言える空間内で、オレと海馬は必死に補習プリントを片付けていた。
 夏休み中の学校で一体何をやっているのかというと、まぁ…曰く補習というヤツだ。
 オレは期末テストで赤点を取った為、海馬は出席日数が足りなかった為。
 理由は違うけれどやってる事は一緒だ。
 一緒の筈なのに…頭の出来が違う為、当然片付けるスピードに差が出てくる。
 この補習期間は全五日の行程だった。
 さっさとプリントを終えてオレ一人を置いて帰ろうとする海馬に何とか頼み込んで、後半部分を手伝って貰ったのが初日の出来事。
 今日は最終日なんだけど、海馬は今までと同じようにオレと顔を付合わせてプリントの空欄を埋めている。
 何だかんだ言って結局五日間全て手伝って貰ってしまった。
 先生にはとっくにバレているけれど、夏休み中に真面目に学校に出てくるだけでも補習の価値はあるという事で、そこら辺は眼を瞑って貰っている。
 海馬と一緒になってせっせとプリントに答えを書き込んで、漸く全て埋めた時にオレはペンを投げ出して叫んだ。

「うぁー!! やっと終わったぁー!!」

 椅子の上で反り返ってガッツポーズをしているオレを、海馬が幾分冷めた目で見詰めている。

「何がやっとだ。貴様のプリントの半分は、このオレがしてやったんだぞ」
「分かってるよ。超感謝してる!!」
「どうだか…。貴様はいつも調子だけはいい」
「嘘じゃないって。本当だってば。こんなに愛してるのに信じてくれないの?」

 机を乗り越えて目の前に座っていた海馬に抱きつくと、「暑い。鬱陶しい」と全力で抵抗された。
 確かに今日は酷い暑さだった。
 冷房も無い教室は窓を開けて外からの風を入れているだけで、教室には蒸し暑い空気が充満している。
 貧乏で普段から冷房無しの生活を送っているオレは平気だけど、邸でも会社でも空調管理が完璧な空間に慣れている海馬にとっては辛いだろうな。
 現に抱き締めた海馬の首筋には汗が浮かび、その内の一筋がつつーっと胸元に落ちていく。
 普段汗なんか掻いている姿を見る事が無いだけに、オレの目にはその情景が酷く魅惑的に映った。
 思わずべろりと首筋を舐めたら腕の中の身体がビクリと反応して、今度こそ本気で突き飛ばされてしまった。
 突き飛ばされた拍子に尻餅をついて、慌てて上を見上げたら首筋を手で押さえて真っ赤な顔をしてる海馬と目が合う。
 うん、可愛いな。これだから海馬に対する悪戯は止められない。
 口の中に残る海馬の汗の塩味に、何だか妙に興奮した。

「いった…。何すんだよー」
「何するでは無いわ、馬鹿が! こんな場所で盛るな!!」
「いやだって、何か美味しそうに見えたからさ。それにほら、もう随分してないし…」

 オレの発言に海馬の顔が更に赤くなった。
 今までの赤は『羞恥』と『怒り』。今はそれに『照れ』が加わったらしい。

「そ…それは…っ。期末テスト期間と仕事が忙しい時期が重なって、時間が取れなかったからであって…っ」
「うん。分かってる。別にお前を責めてる訳じゃ無いよ。だからそろそろしたいなーって言ってるだけ」

 床に座り込んだまま黙って見詰め続けていたら、同じように言葉を発しないままオレを見ていた海馬がふと視線を外す。
 そしてはぁ~っとわざとらしく大きな溜息を吐くと、もう一度オレを見て口を開いた。

「分かった。明日は土曜だし今日も特に忙しくはないから、貴様の相手をしてやろう。丁度モクバも林間学校で今はいないしな」
「マジで!? やりぃ!!」
「ところでお前のバイトはどうなのだ」
「丁度いい事に今日は無いんだ。明日のバイトも夕方からだし」
「そうか。ではこれから一緒に邸に帰ろう」
「サンキュー! 海馬!!」

 余りの嬉しさに立ち上がって海馬を抱き締めると、さっきと同じように「だから暑いと言っているだろう!?」と言われて身体を押し返された。


 オレと海馬がこんな関係になってもう数ヶ月が経っている。
 あんなにも険悪な仲だったオレ達が『友人関係』をすっ飛ばして突然『恋人同士』になった事に、当然周りの皆は信じられないと心底驚いていた。
 むしろ信じられなかったのは本人達だったんだけどな。
 だってまさか海馬とこんな事になるなんて思わないだろう? 性格から考え方から、何から何まで真逆なのに。
 でもさ、恋ってそういうもんじゃないんだよな。
 いつの間にか海馬の事を『そういう目』で追ってるオレがいて、それに気付いて同じ眼で見返す海馬がいて。
 どっちが先に手を伸ばしたか何て、もう覚えていない。
 気付いたらオレと海馬は切っても切り離せない関係になっていた。
 まるでオレが海馬の側に、そして海馬がオレの側にいる事が既に決められていたかのように、その存在はそこにいて当たり前のものとなっていた。
 キスもセックスも、オレ達は一度も戸惑わなかった。
 男同士なのに、まるでそうなるのが当たり前かのように自然に出来た。
 だからこうやって一緒にシャワーを浴びるなんて事も、別に大した事じゃないんだ。


 プリントを職員室にいた先生に提出したあと、海馬が呼び出してくれた車に乗ってオレ達は邸へと帰ってきた。
 車内のクーラーで一旦汗はひいたものの、それでもまだ水分を含んでいるシャツが気持ち悪くて仕方が無い。
 早々に海馬に私室に向かったオレ達は、そのまま二人でシャワーを浴びる事にした。
 温度設定をかなりぬるめにして、頭から浴びる。
 身体に纏わり付いた汗が一気に流れていって、凄く気持ちが良かった。
 ふと隣を見ると、小さく息を吐きながら気持ち良さそうにシャワーを浴びている海馬の姿が目に入ってきた。
 その白い身体に沿って流れる水流が先程の汗を思い出させて、オレは一気に欲情してしまう。
 こんな風呂場で…とは思ったけど、結局我慢出来ずに海馬の身体に手を伸ばした。

「なんだ…? っ…んっ…」

 海馬の疑問には答えずに、細い身体を浴室の壁に押し付けてキスをする。
 紅い唇をしつこいくらいに何度も吸って、開いた唇の隙間から舌を差し入れた。
 逃げる舌を追い詰めて無理矢理絡ませて強く吸い上げる。
 頭上からはぬるめのシャワーが強く降り注ぎ、その水音の中で海馬の鼻に掛かった声がいやらしく浴室に響き渡った。
 あーもう…この声はヤバイな…。本気で我慢が出来なさそうだ。
 すっかり張り詰めたものを内股に擦り付けると、慌てて瞳を開けた海馬がオレの身体を押し返した。

「海馬…、頼むから…っ」
「分かっている…。だが…ここでは…いやだ…」
「どこならいいの…?」
「寝室で…。先に上がっててくれ。身体を洗ってから…行く…」

 切羽詰まったような声色に諦めて海馬から離れると、そこでオレは初めて気がついた。
 海馬の瞳は既に情欲の色で染まっていた。
 そのまま下半身に視線を走らせると、オレ程では無いにしろそこはもうすっかり形を変えていて…。
 決して嫌がられている訳じゃ無いんだと分かって、オレは安心した。

「分かった。じゃぁ待ってるからな」

 オレの言葉に海馬がしっかり頷いたのを見て、オレは先に部屋に戻る事にした。


 ベッドのシーツにくるまってボンヤリと窓の外を見る。
 学校を出たのは昼の三時過ぎだったから、外はまだ明るかった。
 真っ青な空に白い入道雲が映えて、微かに聞こえる蝉の声が暑そうだ。
 こんな昼間から何をしようとしてるんだと少し自嘲気味に笑って、それでも気持ちは抑えられそうに無いので早々に気持ちを切り替える。
 ずっと見ていた窓から視線を外し反対側に寝転がった時に、バスローブを着た海馬が浴室から出て来たのが見えた。
 眉根を寄せて微妙な顔で近付いて来るから、シーツを捲り上げてマットを掌でポンポンと叩いてやる。

「海馬、ほらココ。ココおいで」
「貴様…。何で何も着てないんだ?」
「どうせやる事やるんだから、着るだけ無駄だろ?」

 細い手首を掴んで強く引き込むと、海馬は簡単にベッドの上に転がった。
 その上に乗り上げてバスローブの合わせから滑らかな肌に掌を這わせる。
 汗でべとついてた身体も今はサラサラで、それがとても触り心地が良くてうっとりする。
 腰紐を外しながら露わになっている首筋や胸元に唇で掠めるだけのキスをしていると、頭上からクスクスという場違いな笑い声が響いてきた。
 慌てて見上げると、海馬がおかしそうに笑っている。
 普段セックスの最中に海馬がこんな態度を取ることは無いので、凄く珍しくてじっと見詰めていたら海馬が薄めを開けてこちらを見返した。

「くすぐったいぞ、城之内」
「は? 何が?」
「さっきのキスだ。それからその触り方も。今日は何だかいつもと違うな…」

 そこまで言われて漸く気付く。
 確かに海馬の身体を抱きたいとは思っているけれど、オレ自身もいつものようなせっぱ詰まった感が無いのだ。
 夜の闇に急かされるように焦って激しく抱くセックスとは違って、何だか妙に余裕がある。
 明るい陽の光と爽やかな夏空が、時間はまだたっぷりあるんだと感じさせて、それが余裕に繋がっているんだと思った。
 どうやらそれが愛撫にも繋がっていたらしい。
 いつものように無理矢理快楽を引き出すような濃い愛撫ではなく、どちらかと言えばまるで遊んでいるかのような軽いタッチになっていたのだ。
 海馬にとってはそれがとてもくすぐったかったらしかった。
 面白そうに笑っている海馬にオレも微笑み返して言ってやる。

「たまにはこういうのもいいんじゃないか? 悪く無いだろ?」

 シーツの上に投げ出されている手に自分の掌を重ね、その中心を爪先で軽く引っ掻いてやった。
 途端にピクリと反応して、悪戯しているオレの指先をギュッと掴む。

「やめろ。くすぐったいだろ…」

 言葉は素っ気ないがその顔は本当に楽しそうで、肩を震わせて可笑しそうに笑っていた。
 それにつられてオレも何だか楽しくなってきて、直接快感を感じられる場所をわざと避けて、まるでくすぐるかのような愛撫を施していく。
 脇腹から腰骨の辺りをゆるく撫でて、鎖骨やあばらの骨を唇で辿り時折チロリと舐めた。
 海馬はその度にピクピクと反応して、耐えきれないようにシーツの上で身を捩る。
「やめろ」とか「いい加減にしろ」とか色々文句は飛び出していたけど、それでもその顔が楽しそうに笑っていたのでそのまま続ける事にした。
 その状況は、今まで感じた事が無いような甘い甘い時間だった。
 まるで蜂蜜のような濃厚な香りと風味、砂糖菓子のような爽やかで軽やかな甘みを両方持ち合わせたかのような、不思議で魅惑的な時間が流れている。
 それが溜まらなくて、オレはクスクスと笑い続ける海馬の首筋や胸元にわざとちゅっちゅっと音を立ててキスをする。
 その度にオレ達を包む甘い空間が美味しく感じられて、オレはキスに夢中になった。
 軽いキスを続けながら白い胸に一際紅く己を主張している乳首を触ろうと手を伸ばす。
 乳首は弱点の一つだから、触れば一気に海馬がその気になるのは分かっていた。
 だからあえて直接は触らずに、薄い乳輪の縁を指先でくるくるとなぞる。
 白い肌と紅く変色している乳輪の境目をくすぐるように撫でていると、いつの間にか笑い止んだ海馬が涙目でこちらを見ていた。
 何も言わないが「直接触ってくれ」という声が聞こえるような気がする。
 だけど今日は悪戯を一杯するってもう決めたから、オレはそれに気付かないふりをした。
 指で弄っているのとは逆の乳首に唇を寄せて、肝心な場所を避けて際どい場所をちゅっと吸う。
 それにビクリと身体を揺らした海馬が、ついに我慢出来なくなって口を開いた。

「城之内…」
「ん? 何?」
「そ…それはもう…嫌だ…っ」
「何で? 乳首好きでしょ?」
「だ…だから…っ。もう…っ」

 どうやら上手くおねだりが出来ないらしい。
 海馬が本気で乳首を触って欲しいのは、見ていてもう分かっていた。
 だって触ってもいないのに海馬の乳首はもうすっかり固くなって立ってるんだもんな。
 乳輪も赤味を増してぷっくり膨らんで、早く早くとオレを誘っていた。
 滅茶苦茶美味しそうなそれをオレだって早くしゃぶりたいけど、ここまで来たらやっぱりおねだりして欲しいと思う。
 海馬を素直にさせる為に、オレはほんのチョットだけ刺激してやる事にする。
 舌先を固く伸ばして、ピンと立ってる乳首を下から上にクニッと押し倒してやった。

「やっ…! あんっ!!」

 その途端聞こえて来た最上級の甘い声に、オレは全身に痺れが走ったのを感じる。
 ちょっ…! 何だよ今の声は!!
 海馬とは今までそれなりにセックスしてきたけど、ここまで甘い声は今まで聞いた事が無かった。
 どうやら悪戯に身体を触っていたせいで、海馬の身体はすっかり敏感になってしまったらしい。
 今の海馬はもはや全身性感帯で、いつもの数倍感じやすくなっている。
 現にほんのちょっと乳首を刺激しただけで、海馬は顔を真っ赤にしてボロボロ泣いてしまっている。
 震える手をオレに伸ばして、泣き声で小さく囁いた。

「は…はやく…っ。じょ…う…ち…。乳首…触って…。もっと舐め…て…っ」

 もっと悪戯したかったけど流石のオレももう我慢の限界で、そんな風におねだりされたら理性の糸も切れるってもんだ。
 指で弄っていた方の乳首をキュッと摘んで、それと同時に反対側の乳首にしゃぶりついたら、頭上から悲鳴のような声が発せられた。

「ひぁ…っ! あっあっ…あぁっ! んぁ…あぁぁっ!!」

 ビクンビクンと大きく跳ねる身体を押さえつけて乳首を攻めていたら、突然腹部に生暖かい液体がビシャリとかかる。
 え…? と思って身体を起こして自分の腹を見たら、そこには見事に白い液体がこびりついていた。
 自分の腹部を確認して、次いで海馬の下半身を確認して、最後に視線を上げて海馬の顔を見たら、まるで茹で蛸みたいに真っ赤になって自分でも信じられないような表情をしてオレを見ていた。

「海馬…お前…」
「う…煩い!! みなまで言うな!!」

 真っ赤になったまま叫ぶようにオレの言葉を遮って、両腕で顔を隠してしまう。
 海馬とは何回もセックスしてきたけど、乳首だけでイカせてしまったのは流石に初めてだった。
 一度イッたというのにまだ余韻続いているらしく、海馬は身体全体をピンク色に染めて小さく震えている。
 その身体に手を伸ばしてそっと胸から腹部にかけて撫でると、海馬はそれだけでビクビクと震え甘い声を漏らした。
 悪いけど…。本当に悪いとは思うけど…。

「海馬、お前…最高だ」

 そう言わずにはいられなかった。


 震える身体をひっくり返してシーツの上で俯せにさせる。
 襟足の髪を掻き上げてうなじに軽く噛みつくと、「ひゃうっ!」と声を上げてビクリと背を反らした。
 そのまま背筋に沿って舌先で舐めながら、ゆっくりと下半身に降りていった。
 尻の割れ目まで辿り着いた時にそのまま下へは下がらず、両手で臀部を揉みながら浮き出た尾てい骨に舌を這わせる。

「あっー! やっ…! そ…れ…やだぁ…っ!!」

 案の定激しく反応してきて、オレは一人でニヤリと笑ってしまった。
 この場所も海馬の弱点の一つ。
 以前ここを同じように舐めた時、余りに酷く暴れたので一体どんな風に感じているのか聞いたことがあった。
 海馬によると剥き出しの神経を直接触れられているみたいに感じて、ビリビリとした刺激が耐えられないんだそうだ。
 普通のセックスでも耐えられないような場所を今の状態で刺激したらどうなるか気になってやってみたんだけど、予想以上の反応にこっちがビックリする。
 シーツを力一杯握りしめて、激しく身体を痙攣させながら泣いていた。
 漏れる声ももはや喘ぎ声じゃなくて悲鳴になっている。

「やっ…やぁっ…。いや…だ…いや…っ! あぅっ…!!」

 あんまり過剰に反応するからちょっと可哀想に思ったけど、今日のオレはやめてやる気なんて全く無かった。
 尾てい骨の直ぐ下でひくついている後孔に目を留めて、そこに先程掛けられた精液をたっぷり掬った指を押し付ける。
 ぬめる液体を入り口で暫くなじませるように塗り付けた後、ぐっと押し込むとそこは簡単にオレの指を飲み込んだ。
 体内はもう発熱したかのように熱くてまるで誘うようにグニグニと動き、オレは耐えきれずに直ぐさま二本目の指も突っ込んだ。
 ちょっと苦しそうな呻き声が聞こえたけど、同時に尾てい骨の上をキュッと吸い上げたら、それは途端に甘い悲鳴に変わる。
 オレの指を銜え込んだままひっきりなしに声を上げ続ける海馬に、オレはついに我慢の限界を感じた。
 中を慣らしていた指を引き抜き、震えてもう殆ど力を無くしている海馬の腰を高く上げさせた。
 真っ赤に熟してひくつく後孔がオレを誘っている。
 すっかり固くなって先走りの液をポタポタ垂らしている自分のペニスをそこに宛がって、オレは一度大きく息を吸い込み深く吐き出した。

「挿れるよ…?」

 一応そう声を掛けると、いつの間にか枕を抱き込んでそこに顔を埋めている海馬がコクリと一つ頷いた。
 それを見て取って、オレは自らの腰を奥へと進める。
 もうそこは未知の領域だった。
 今まで感じた事が無い位の熱さと狭さで、まるで奥へ奥へと誘い込むように腸壁がグネグネ動いてオレのペニスを締め付けてきた。
 思わず「うわっ…」と声を上げる。

「何だコレ…。海馬…お前凄ぇぞ…」
「ひぅっ…! んっ…んぁ…っ。あぅ…んっ!」
「ちょ…ちょっと待って…っ! そんなに引き込むなって!!」
「し…知るか…っ! あぁん…っ! そん…な…事は…してな…いっ! やぁっ!」
「無意識の行動程質が悪いよな…。くっ…!! だからそんなに絞るなってば…っ!!」
「知ら…ない…っ! あぁーっ! あっ…はぁんっ! うっ…あっ…っ!  あぁぁ―――――っ!!」

 その後はとにかく本気モードに入った海馬にオレも翻弄され続け、体位も変えつつ夢中でセックスし続けた。


 気がついたら外はすっかり日が落ちて暗くなり、二人してベッドの上で死んでいたら廊下からメイドさんがドアを叩く音が聞こえた。
 どうやらもう夕食の時間らしい。
 それに何とか「後でいい」と応えた海馬は、再びベッドに突っ伏した。
 せっかくシャワーを浴びたのにまた汗を吸ってしっとりと重くなった栗色の髪を撫でながら、オレは笑みを浮かべる。

「ゴメンな。ちょっと無理させた」
「分かってるならやるな…。死ぬかと思ったぞ…」
「ゴメンゴメン。でもあんなに感じてくれたの初めてだったからさ。何か嬉しくなっちゃって」
「………っ」
「な、気持ち良かった?」
「………」
「なーってば」
「き…聞くなそんな事…っ。もう分かっているんだろう!?」
「うん。分かってる。でもやっぱりお前の口から直接聞きたいじゃん」

 起き上がるのはしんどいからズリズリとベッドの上を這って移動して、背中を向けている海馬にピッタリくっついたら、頬を紅くした海馬がゆっくりとこちら側に振り返った。
 眉根を寄せて一瞬不機嫌そうに見えるその表情が、怒っているのでは無く照れているだけなんだとオレはもう知っている。
 オレの首に腕を絡ませて顔を寄せた海馬は、ボソリとオレの耳に何かを吹き込んだ。
 それを聞いた途端、オレは嬉しさの余り目の前の身体を強く抱き締めた。
「苦しい」とか「やめろ」とか文句が聞こえたけど、止めてやる気はこれっぽっちも無い。
 普段の海馬からは絶対に聞く事の出来ないご要望に、下がった筈の体温が再び上昇するのを感じる。
 でもまぁ、腹が減っては戦は出来ぬと言うからな。
 とりあえず続きは夕飯食べてからでいっか。
 コイツん家で出される飯は最高に美味い事はよく知っている。
 でも今日はデザートは食べない。
 だってこの後も甘い甘い蜂蜜と砂糖の時間が待っている事を考えたら、そんなもんはいらないもんな。

「よし。そうと決まれば夕飯食べに行こうか! な、海馬!」

 とりあえず今夜一杯持続する体力を保持する為に、オレ達は夕食を取る為に起き上がった。
 デザートタイムは…その後だ。