朝から萌え萌えな二礼です、こんばんは。
今日、久しぶりに社長の夢を見たんですよ~(´∀`)
何か童実野高校でマラソン大会みたいなのをやっていて、上半身は白のTシャツ、下半身は青いジャージ姿で生徒達がご町内を一生懸命走っていました。
てっきりサボると思われていた社長も普通に参加してて、城之内や遊戯と何か話しながら一緒に走っていたんですけどね。
まぁ、何というか…その二の腕の白さの眩しいこと!!wwwwww
肘の内側とか青い血管が透けてたりして、もう色っぽくてね~(*´д`*)
何でそこまでズームして見られたのかよく分かりませんが、そこら辺が夢の成せるワザですね!!
あの肌理の細かい肌を摘んでみたいと思うのは私だけでしょうか…?w
ちなみにその直前まで見ていた夢は、実家が震度6強の地震でペシャンコに潰れる夢でした。
ついでに津波まで来ていて、そこら中水浸しでした…(´_ゝ`;
実家は線路の近くに建っているのですが、その線路が水没してしまっていてね…w
何だか千/と/千/尋/の/神/隠/しの後半みたいな感じだったなぁ。
本当に…何なの? この不吉な夢は…。
まぁその後に幸せな夢を見られたからいいんですけどねw
あ、そうそう。
あと選挙にも行ってきました~!
結果がどうなるか分かりませんけど、一応国民の義務ですからね~(*'-')
ちなみに天気予報見たら、関東は明日台風直撃らしいですwwwww
うはwww 怖ぇ~!wwwww
明日お仕事なんだけど、お客さん…来てくれるかなぁ…?
台風とか大雪の日とかって凄く暇々で、逆に疲れるんですよね~(´∀`;
参ったな…;
長編『Rising sun』のAct.12(Ver.海馬)をUPしました。
これで一応完結です!
中身が濃い割りに上手くコンパクトに纏められて、個人的に大満足の出来になりました。
今までウチの傾向に無かった慈愛系最強海馬と崩壊系ヘタレ城之内の二人を書いていくのは、本当に楽しい作業でした~!
内容は全然楽しくなかったけどねw
自分で言うのも何ですけど、今回の海馬は強かったなぁ…。
本当はラストまで海馬を泣かすつもりは無かったんですけど、彼が泣きたそうにしていたので結局そのまま泣かせてしまいました。
うん、まぁ、嬉し涙だから別にいいんじゃないでしょうか。
何はともあれ無事に完結してホッとしております。
今までずっと読んで下さった方々、本当にどうもありがとうございました~!!
以下は拍手のお返事になりますです~!!(*'-')
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます!
今回いつもとは違う城海を書いていたので、最後のHに関してもいつもとは違う二人を目指してみました。
海馬の対面座位だとか早朝という時間帯だとか、あとHに消極的な城之内とかね~。
いつもだったら『暗闇の中に白い身体が浮かび上がって云々』と書くところを、今回は朝日を浴びながら汗をキラキラさせちゃったりしましたから…w
書いててちょっと恥ずかしくもなったのですが、『Rising sun』では朝日の中でHする事に意味があったので、そこは見て見ぬふりをして頑張らせて頂きましたwww
このシーンがいいか悪いかは私には判断出来ませんが、Rosebank様のように「珍しい」と感じ取って頂ければ、それだけで十分だと思っています(´―`)
そんなこんなで今まで散々格好悪いところを見せ続けて来た城之内ですが、Act.12ではそれなりに立ち直って、大分取り戻した彼本来の格好良さを少しだけ垣間見せているようです。
実はこのラストでは、城之内はまだ100%本来の明るさを取り戻せてはいないんです。
この一ヶ月間ずっと一人で考え込んでいたので、それを完全に取り戻すにはやっぱり海馬の存在が必要不可欠なんですよね~。
だから城之内が完全に元の城之内に戻るのは、この後の出来事なんですよ。
最初はそこまで書くつもりでいたのですが、よく考えたらちょっとしつこくなってしまうし、何しろこのタイミングが一番綺麗に治まったので結局ココで終わらせてしまいました。
全部書き終わった後読み返してみたんですけど、結局これで良かったのだと満足しました(*'-')
この後城之内がどうやって海馬に助けて貰って本来の自分を取り戻すのかは、読んで下さった方のご想像にお任せする事にしますw
あとRosebank様がコメントで「夏が終わっていく」と書いていましたが、Act.12の海馬と全く同じ事言っていたのでちょっと微笑ましかったですw
『Rising sun』自体が夏と共に始まり夏と共に終わっていく物語だったので、「感慨深い」というRosebank様の感想を読んでかなり嬉しく思いましたv
時期的にも丁度良いタイミングだったので、個人的にとてもお気に入りの話になりそうですw
そうそう。台風の事なんですが、どうやらドンピシャで直撃しそうなんですよね~w
上記にも記しましたが、こんな日は本当に暇々なので、逆に暇疲れしてしまうんですよ…(´∀`;
台風とか大雪の日とかは家で大人しくしているのが一番だと思いますが、なかなかそうは上手くいきませんねw
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
2009年8月アーカイブ
あの激しい嵐の夜を、そして前の晩の嵐が嘘のような眩しい朝を城之内と二人で迎えたあの日から早一ヶ月。オレは城之内の陵辱から解放されて、以前の生活スタイルに戻っていた。
あの日の直後から仕事の方が少し忙しくなり、更に言えば一般の学生は夏休みに入ってしまっていて学校にも行かなくなり、あの日以来城之内には会ってはいなかった。メールや電話などの連絡も一切無かったが、その理由を知っているから何も言えずにいる。
初めて城之内とセックスをした直後、薄い布団の上でオレはいつの間にか寝てしまっていた。それまでの苦労や心労が漸く報われて、更に城之内に優しく抱いて貰えた幸せに満たされて、夢も見ずにぐっすり眠ってしまったのだ。
次に目が覚めたのは昼近くになってからだった。枕元にすっかり綺麗に洗濯されて乾いた制服が置いてあったので、それを身に着けて部屋を出る。居間をぐるりと見渡すと、台所に城之内が立っているのが見えた。「城之内」と呼びかけると、奴は振り向いて微笑んでくれた。
「起きたか。よく眠れたか?」
「まぁな。お陰様で。この制服はお前が洗ってくれたのか?」
「あぁ、うん。買い物行ったついでに近くのコインランドリーでね。ウチには乾燥機は無いからさ」
「そうか」
「それからコレ、胸ポケットに入ってた。使わなかったんだな」
「あ…、あぁ…。自分のを使ったから…」
城之内がそう言いながら、昨日貸してくれたタオルハンカチを取り出してオレに見せる。それに対して答えを返すと、城之内は「そっか」と言ってニッコリと笑った。
「そんな事よりも腹減っただろ? そこ座っとけよ。今コーヒー煎れてやる」
城之内に指差されテーブルに付くと、目の前に近くのコンビニで買って来たというサンドイッチとインスタントコーヒーの入ったマグカップを差し出された。色々な事があってすっかり忘れていたが、オレは昨夜から今日に掛けて何も食べていなかった。芳ばしいコーヒーの香りで身体が空腹を思い出し、ぐぅと腹の音が鳴る。それに思わず胃の辺りを撫でつけると、城之内がクスリと笑って自分の分のコーヒーをマグカップに煎れてオレの向かいの席に座った。
「はいコレ、ミルクと砂糖な。ブラックは胃を痛めるからオススメしないぜ」
「ミルクだけ貰う。お前は? 食べなくていいのか?」
「オレはもう食べたからいいの。心配しないで早くソレ食べちゃいな」
城之内に勧められてオレはサンドイッチを包んでいたセロファンを剥がすと、中に入っていた野菜サンドに齧り付いた。
オレが食事をしている最中、城之内は何も言わなかった。ただ黙ってコーヒーを飲みながら、時折眩しそうにオレの事を見詰めるだけだった。そして最後の一口をコーヒーで胃の中に流し込むと、それを待っていたかのように城之内が漸く口を開いた。
「海馬…お前さ、オレの事が好きだって言ったよな?」
唐突な話の切り出し方に意表は突かれたものの、オレはそれに対してはっきりと「あぁ」と言って頷く。城之内はオレの答えに安心したように笑って、口を開いた。
「オレもだよ。オレもお前が好きだ」
「そうか」
「うん。だからこそ…ちょっと一人で色々考えなくちゃダメだなーって思った」
「どういう事だ?」
オレが問い返すと城之内は片肘をテーブルに付き顔を掌の上に載せて、少し困ったように笑って言った。
「オレさ…。好きな奴に凄ぇ酷い事した。やっちゃいけない事をしちまった」
「まだ気にしているのか。仕方の無かった事だと言っただろう?」
「お前がどう思おうと別にいいけどさ、オレが構わないんだよ。このままじゃオレ自身の納得が出来ない」
「城之内…」
「だから一人でよく考えてみたいと思った。親父の事とかお袋の事とか静香の事とか。あと自分の事と…それからお前の事」
城之内の手がすっと伸びてきて、テーブルの上に置いたままだったオレの手を強く握ってくる。熱くて大きいその掌は、とても気持ちが良かった。
真っ直ぐ見詰めてくる城之内の視線に気付き、その琥珀色の瞳を見返すと、城之内はオレに対してコクリと頷いて目を細めた。
「当分は答えが出そうに無いから、なるべくじっくりと考えたい。だから暫く一人にしてくれ」
「城之内…、お前…」
「勝手な事言ってるのはよーく分かってる。でもコレは一人で考えて一人で答えを出さなきゃいけない事なんだ。分かってくれ」
「それは構わないが…。お前はそれでいいのか?」
「うん。オレは大丈夫」
「そうか…? 少し心配なんだが」
「お前がそんなに心配する事は無いよ。それにオレはもう…知っているから。どんなに絶望的な夜でもちゃんと朝が来るって事を、お前に教えて貰ったからな」
「………」
「答えが出たら連絡するから。その時は…その…オレと会ってくれるか?」
自信無さげにそんな事を言う城之内に「勿論だ」と敢えて笑って答えて、オレは強く城之内の手を握り返した。
その後迎えを呼んで自宅に帰って…結局それから城之内に会う事は無くなった。その後は結局仕事が忙しくなりこちらから連絡する事も出来ず、たまに携帯電話を確認しても城之内からの電話やメールの着信は来ていなかった。世間は夏休みに入ってしまって学校に行く事も無く、結局こうして約一ヶ月間、城之内と顔を合わせる事が出来ずにいる。
正直言うと少し心配だった。
今まで一人で問題を抱えた結果、あそこまで壊れてしまったのだ。せっかく立ち直らせたのに、再び一人にした事でまた壊れてしまってはいないだろうか…と。
仕事の方は大分落ち着いて来たので、最近は携帯を眺めながらそんな事ばかり考えてしまっている。液晶に映し出される日付にオレは深く溜息を吐いた。
本当にあれから一ヶ月が経ってしまっている。そろそろこちらから連絡を取った方が良いのでは無かろうか…と、そう思ってアドレス帳から城之内の名前を選び出した時だった。ふいに手の中の携帯が震えてメール着信音が鳴り響く。映し出された名前に慌てて受信メールを開くと、そこには短く『答えが出たから会ってくれないか?』と書かれていた。
急いで『いつだ?』と返すと、すぐに『お前の都合のいい時で』と返って来る。それに『今日の午後からは空いている』と返すと、暫く経ってから返信が来た。
『じゃぁ、夕方の5時に学校の体育館の入り口で』
その一文を見てオレは思わず目を丸くした。
あの体育館はオレと城之内の全ての始まりの場所。その場所で、城之内はオレに伝えたい事があるのだという。
最後の返信まで少し間が空いたのは、城之内が悩みに悩んで敢えてその場所を指定してきたという事だ。よっぽどの覚悟が無ければそんな事は出来ない。
城之内の決意が…見えるようだった。そしてそれと同時に、城之内はもう大丈夫なんだとはっきりと理解した。
「分かった…。お前がそこまで覚悟を決めるなら、オレもそのつもりで話をきいてやる」
心の内側がすっと晴れていくようだった。
城之内はもう一人でも大丈夫なのだ。城之内にとっては、オレはもう全く必要の無い存在なのかも知れない。彼の側にいられる権利を…失ってしまったのかもしれなかった。
それでもオレは全く後悔していなかった。
城之内があの太陽のような笑顔を取り戻してくれれば…それで良かったのだ。
夏休み中だから別に服装はどうでもいいのだろうが、やはり校内に入ると言うことでオレは制服に着替えて学校まで来た。体育館の入り口まで辿りつき、屋根の下の日陰に入って壁に背を預ける。時計を確認するとまだ四時四十分で、約束の時間まで二十分もあった。
校内は…とても静かだった。夏休み中で他の人間が誰もいないから当たり前と言えば当たり前なのだが、それにしても周囲の喧噪すら遠く感じられてならない。
聞こえるのは間近で鳴く蝉の声と、側の道路を走り去って行く自動車の排気音、それに近くの公園で遊んでいる子供達の楽しげな声。
軽く溜息を吐くと夕方の涼しい風が通り抜けていく。その風に思わず空を仰ぐと、目に入ったのは大分高くなってきた晩夏の空。夏らしい入道雲の更にその上には、涼しげな鱗雲が風に乗って流されていた。
今はもう八月の終わり。夏が終わろうとしている。今年は特に冷夏で夏らしい暑い日も少なく、秋の気配はそこまで迫っていた。
今考えてみると、あの夏の嵐の晩がまるで夢のように感じられた。あの日は確かに存在したというのに、それを実証するものが何一つ残っていないのだ。
城之内の熱を受け止めたこの身体でさえ…もうその痕跡は跡形も無い。
本当はずっと寂しかった。不安で不安で仕方が無かった。
壊れた城之内を救おうと躍起になっていた頃には全く感じなかったそれらの感情は、この一ヶ月の間オレを確実に打ちのめしていた。
「早く…会いたい…」
そうポツリと声に出して呟くと、まるでそれに応えたかのように視界の中に小さな足が見えた。慌てて視線を戻すと、そこにいたのはあの小さな城之内だった。一ヶ月ぶりに見るその顔は、今までに無いくらいに明るく輝いている。
(かいば! ひさしぶり!)
(お前…。今までどうしていたんだ?)
(オレ? オレはずっと『オレ』といっしょにいたよ。『オレ』といっしょに、いろんなことをいっぱいかんがえてた)
(そうか…)
(かいば、オレおまえにおれいをいわなくちゃ)
(お礼?)
(うん。ほんとうにどうもありがとうな! おまえのおかげで『オレ』は『オレ』をとりもどしたんだ!)
(そうか、良かったな)
(うん、ありがとう! だからもうオレのやくめはここまでだ。もうおまえにあうこともないぜ)
(何だと…?)
(おまえが『オレ』のことみたいにオレのこともしんぱいしてるのはしってるけどさ、オレはもう『オレ』にもどらなくちゃいけないんだ。もうかくれてるひつようないしな)
(そう…なのか…)
(だからきょうはおれいをいいにきたんだ。さよならはいわないよ? だっておわかれじゃないし。すがたはみえなくても、これからもずっといっしょにいられるんだからな)
(城之内…)
(くわしいはなしは『オレ』からきけばいいよ! じゃ、オレはこれで。もうかえらないと…な)
そう言って小さな城之内は満面の笑みを浮かべると、大きく手を振ってそして…目の前で消えていった。
再び一人になったその空間で、でもオレはもう寂しさを感じていなかった。穏やかな気持ちで空を見上げて城之内を待つ。
大分涼しくなってきた風に吹かれて城之内を待つこんな時間も、幸せだと感じたのだ。
ふと、ポケットに入れておいた携帯が震えたのを感じた。慌てて取り出してみると、城之内からメールが入っている。開封してみると長い文章が目に入って来た。そこにはこんな事が書かれていた。
海馬へ。
まずは答えを出すのが遅れたことを謝るよ。ゴメンな。
この一ヶ月間くらい、オレは今までの事を一人でじっくりと考えてみたんだ。
最初は全然何も分からなかったけど、その内に少しずつ色んな事が分かるようになってきた。
恥ずかしい話だけど、今までのオレは少し頑張り過ぎてたようだ。
一人でアレもコレもと全て抱え込んで処理しようったって、よく考えれば無茶な話だったんだよな。
それで歯止めが効かなくなって、最後にはお前に手を出して酷い事をしてしまった。
今はその事をマジで反省しているんだ。本当に…悪かった。ごめんなさい。
それでオレはやっと気が付いたんだよ。頑張るだけじゃダメなんだって。たまには弱音も吐かなくちゃいけない、苦しい時には誰かに助けを求める事も大事なんだって事をな。
それで一番最初に静香に電話する事にしたんだ。
全部話したよ。親父の入院の事とか、それでオレ自身見舞いやバイトで忙しい事とか、静香からの電話やメールが結構重荷になってた事まで…全部な。
静香はちゃんと分かってくれた。
それで二人で、お互いの親を支えていく事にしたんだ。
その時々の状況はたまに短いメールを送って、どうしても相談したい事がある時だけ電話する事で話が纏まった。
この間お袋の新しい検査の事で電話があったけど、十五分くらいで終わったんだぜ。それも雑談付きでだ。
お互いの事を思いやれるっていいよな。そんな事、今まで考えもしなかった。ただ自分が我慢すればいいとだけ思ってたんだ。
それを気付かせてくれたのは…海馬、お前なんだ。
あの嵐の夜、オレは自分が心から安心して包まれる熱がある事を初めて知った。お前がオレの事を好きだと言ってくれる度に、それがとても気持ちが良くて、オレは本当に幸せを感じていたんだ。
そして次の日の朝。お前がどんなに絶望的な夜であっても朝が来る事を教えてくれた、あの時。
オレは本当に心からその事に感動したんだ。そしてその感動を与えてくれたお前の事が好きだった事を、そこで漸く思い出した。
オレも…お前の事がずっと前から好きだったんだ。
ただちょっと、忘れちまってたけど…。
でも今はそれを完全に思い出した。
オレ、お前の事が好きだ。大好きだ。
だから…もう少し助けて欲しい。
図々しいとは思うけど、お前さえ良ければ、これからも側にいて欲しい。
これがオレの答えだ。
面と向かったらちゃんと伝えられないような気がしたから、敢えてメールにしてみた。
こんな簡単な答えを出すのに、こんなに時間が掛かってゴメンな。
あ、それからあの時この体育館で撮った画像だけど。
随分前にちゃんと自分で消しておいたから。だからもう安心していいぜ。
その代わりと言っちゃなんだけど、今凄く大事に保存しておきたい画像があるんだ。
都合が悪かったら言ってくれ。すぐに消すから。
城之内克也より
そこまで読んで、オレはそのメールに添付画像が貼られているのに気付く。何気なく…本当に何気なくそれを開いて、オレは息を飲んだ。
そこにいたのは…オレだった。
体育館の壁に凭れ掛かって、晩夏の空を眺めつつ穏やかな顔で城之内を待っている…、先程までのオレの横顔。
その角度から慌ててそちらの方を向くと、体育館の脇に生えている大きなケヤキの幹によりかかるようにして制服姿の城之内がオレを見ていた。オレと目が合うと片手に持っていた携帯を持ち上げて、わざとらしく接写するようなポーズを撮る。
その姿に、思わずプッと吹き出してしまった。クスクス笑い続けるオレに、城之内が複雑な表情をしながら近付いて来る。
「何だよ。そんなに笑う事ないじゃんか」
「いや、だってお前…。どんな顔してこんな臭い事を…、ククッ」
「えー? そんな事言ったって、コレを保存しておきたいって思ったのは本当の事なんだから仕方ねーじゃねーか」
「そうなのか?」
「うん。マジでいい顔だなーって思ってさ。そう思ったら思わず撮っちゃってた。ほら、良く見てみ? いい顔だろ?」
そう必死で言いながら携帯の画像をガン見している城之内に、オレはふっと笑うとその身体に腕を絡めて凭れ掛かった。それに城之内がビクリと反応して、オレの方に視線を向ける。
「ほう…。貴様、本物が目の前にいるというのに、そんな画像で満足なのか?」
わざとらしくニヤリと笑って耳元でそう囁いてやると、城之内は慌てて首を振って否定した。
「ち、違げぇーよ! そんな事無いってば!」
「どうだかな。随分その画像がお気に入りのようだが?」
「気に入ってるのは本当なんだから別にいいじゃん。で、結局コレって保存していいの?」
「まぁ仕方無いだろうな。保存でも何でも好きにしろ。その代わりオレにも要求があるぞ」
「な…何だよ…」
「先程の貴様のメール、せっかくだからアレを永久保存させて貰う。いいな?」
「えっ!? ちょ…ちょっと待って! アレは…アレはダメだってば!!」
「何故だ?」
「だってアレは…っ! は、恥ずかしいし…っ!!」
「関係無いな。オレが気に入ったのだから保存させて貰うだけだ。誰にも文句を言う権利は無いぞ」
オレはそう言って焦っている城之内を尻目に、さっさと件のメールを保存してしまう。城之内はそれを呆れたように見ていたが、やがて諦めたのか自分も携帯を弄って先程の画像を保存したようだった。
「これで良し…っと。それじゃぁ海馬、改めて…」
パチンと音を立てて携帯を閉じ、城之内がオレの目の前に真っ直ぐ立ち視線を上げた。
「実のところ、オレの状況は以前とあんまり変わって無いし、大変な事もまだまだ一杯あるんだ。だから…その…、お前に色々と助けて欲しいんだけど…いいかな?」
「勿論。それは全然構わないぞ。オレが出来る事なら何でもやってやろう」
「ありがと。えーと…それから…」
「………」
「オレ、お前の事が好きです。だからオレと恋人として付合って下さい」
「順番が逆だな、城之内。普通は告白が先だろう」
「うん…。そうだよな…。ゴメン…」
「まぁ、仕方無かろう。キスをしてくれたら許してやる」
「………? は? キス?」
「あぁ、キスだ」
そう言って体育館の壁に凭れたままじっと城之内を見詰めていると、数秒後、オレの意図に気付いた城之内が顔を真っ赤にしてしまった。言外に隠れた『OK』に漸く気付いたらしい。
すっかり照れてしまった城之内は、それでも嬉しそうに微笑むとオレの側に近寄って来て、両の掌をオレの頬に当てた。
あの眩しい朝日を二人で眺めたあの朝、自分の罪を深く後悔した城之内は自分からオレにキスをする事が出来なかった。だが今の城之内は違う。心からオレを信じて、オレの全てを手に入れようとしていた。
「好きだぜ、海馬…」
「あぁ…」
「今まで本当にゴメンな。もう二度とあんな事はしないから」
「そうだな」
「それから、これからはずっとお前を愛するって誓うから。あの夜、お前がオレにしてくれた誓いを、オレも今ここでするよ」
「城之内…っ」
「大好きだ、海馬。だから…これからも側にいてくれ」
「あぁ…勿論だ。断わられたって…離れてなんてやるものか…っ!」
城之内の告白が余りにも嬉しくて、耐えきれなかった涙が一筋頬に零れ落ちた。それを見た城之内が自分の親指で目元を拭ってくれて、そしてゆっくりと顔を近付けてくる。オレも城之内の首に両腕を絡ませてその身体を引き寄せた。
聞こえていた蝉の声はいつの間にかヒグラシの声に変わっていて、近くの公園で遊んでいた筈の子供達の声も今はもう聞こえては来なかった。
目に映る晩夏の空は既に茜色と藍色が混ざっていて、直に日が暮れるだろう。
夏が終わる。城之内と共に駆け抜けた怒濤の夏が終わっていく。
辛い事もあった。悲しい事もあった。泣きたい日も、逃げ出したい夜もあった。
だけどそれら全てはこの空に吸い込まれ消えていってしまった。あるのは腕の中に感じる城之内の確かな熱だけ。
止まらぬ涙を城之内の肩に押し付けて、ただひたすら強くその熱を抱き締めた。まるでそれしか知らないように…お互いに強く強く。
そんなオレ達の間を、涼しい風が通り抜けていく。
辛かった夏が終わる。そして新しい季節が来る。
秋が来て冬が来て春が来て、そして本当に祝福された夏がやってくるだろう。
その夏を、二人で迎えよう。
幸せな気持ちで…迎えよう。
その日が確実にやってくるだろう事を確信して、オレはもう一度城之内を強く抱き締めた。
すっかり涼しくなってしまって拍子抜けしている二礼です、こんばんは。
何だか今年は秋が早そうですね~。
暑いのは苦手なので楽っちゃー楽なんですが、冷夏だったのが気に掛かります。
だってこれから新米だ何だと、食べ物が美味しい季節になるというのに!!
何だか既にレタスやらキャベツやらの値段が上がってきていて、食費に頭が痛いです。
去年は確か大豊作で、余分に出来ちゃった分を潰すくらいだったんですけどねぇ…;
(勿体無いとは思いますが、価格破壊引き起こしちゃうからねぇ…。仕方無いんだよね…;)
本当に世の中上手くいかないな。
そう言えば今思い出しました。
私…冷え性でした…。
今年の冬はやっぱり寒いのかなぁ…;
寒いのも…嫌だなぁ…(´・∀・`)←我が儘
長編『Rising sun』のAct.11(Ver.城之内)をUPしました。
ほい! お待たせ致しました!! ラブラブエロです!!
今までの壊れっぷりはどこへやら、城之内がちょっと凹んでいるのでいつもとチョット感じが違いますが…。
まぁラブエロである事には違いありませんね(´∀`)
あー良かったぁ~! 漸く結ばれてくれましたよ~!
今までの展開が展開故にどうやって結ばせてくれようかと悩みましたが、まぁ…こんな感じで如何でしょうか?
早朝Hというのも、なかなか無いですしね~w
明るくて丸見えなんですよ!
しかも起き抜けで超敏感!!
こんなの『Rising sun』の海馬じゃないとやってくれないよなぁ…。
普段の海馬だったら絶対断固拒否だと思いますw
一応次回がラストになります~。
日曜日に更新出来たらいいなっつー事で、今から頑張って書きたいと思います。
以下は拍手のお返事でございます~(・∀・)
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます!
とりあえずここまで付いて来て下さってお疲れ様でしたw
精神的に長く感じたというのは、私も同感でございます(´∀`;
でもまぁ…漸くここまで辿り着く事が出来ました。
後はラストを書くだけですね。
最後まで気を引き締めて頑張りまっす!!
そういえばRosebank様も仰っていますが、ウチの乙女海馬がここまで能動的なのは確かに凄く珍しい事だと思います。
『奇跡の証明』の瀬人も後半はかなり頑張っていましたが、前半が凹んでいましたので、男らしさじゃ完全に『Rising sun』の海馬の勝ちかと…。
(奇跡の瀬人は半分女性でしたしねw)
そう考えると本当に凄いなぁ~と感じました。
最後までよく頑張ったなぁ…海馬。偉いぞ~!!
『Rising sun』の城之内がかなりヘタレだったので、余計に海馬の格好良さが目立った形になっていますね~。
という訳で見ていて分かると思いますが、この海馬君は今回のHもかなーり積極的ですw
どこまで頑張るんだよこの海馬は…w
あと日記の再検査の事に関してもコメントありがとうございました。
幸いな事に再検査料は取られずに済みそうです。
そりゃそうだっつーの!
でも金は取られなくても時間は取られてしまうんですよね…;
今色々と抱えている仕事があるので、時間が勿体無くて仕方無いんです。
そんな訳で9月の頭までは私も少し忙しくてどうしても体調優先になりがちですが、そこら辺には目を瞑って頂けると幸いです。
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
泣いて泣いて、気が済むまで大声で泣いて、気がついたら凄くスッキリしていた。
涙と鼻水でグシャグシャになった顔で海馬の顔を見上げたら、海馬は苦笑しつつも側に置いてあったティッシュの箱を取ってオレに渡してくれた。それをありがたく受け取って、涙を拭いて鼻をかむ。顔を綺麗にして一息ついたら漸く落ち着いて、オレはふっと軽く息を吐き出すと、目の前に座っている海馬を見詰めた。
未だ全裸のままの海馬は、窓から差し込む朝日に照らされて白い身体を輝かせていた。
その煌めきに触れたくてそっと手を伸ばす。だけど自分の指が海馬の肌に触れる瞬間、オレは突然怖くなってその手を止めてしまった。
あんなにも何度も酷く蹂躙し続けた身体だというのに、海馬の本当の美しさに気付いてしまった今は、オレなんかの指で触れてはいけない事のように感じてしまったんだ。
伸ばした手をそれ以上先に進める事も出来ず、かといって戻す事も出来ず、どうする事も出来ない震える指先をギュッと握り込む。
その時…オレの手に優しい熱が触れた。
「何だ? 城之内?」
震えるオレの手を白くて細い指で覆って、海馬が優しく聞いてくる。
人に尋ねてきた癖に、海馬の瞳はオレの考えなんて全て見透かしているようだ。どうせオレの考える事なんて、コイツにはお見通しなんだなぁ…と改めて思う。
「海馬…オレ…」
「あぁ」
「今更こんな事言うのは…凄く卑怯だと思うんだけど…」
「何だ?」
親に嘘を吐いていた子供が思いきって真実を伝える時のような心境で、オレは海馬の顔を盗み見た。そこに見えたのは至極穏やかな海馬の顔。海馬はオレが何かを伝えようとしているのに気付いて、ただ黙って次の言葉を待っている。
オレを見詰める青い眼に浮かぶのは、オレに対する絶対の信頼。
だからオレもそれを信じてゆっくりと、だけどはっきりと告げた。
「オレ…。お前の事…ちゃんと抱きたい」
その瞬間、オレを見ていた海馬の青い眼がみるみる大きくなってまん丸になった。本当に心底驚いたという表情でオレをマジマジと見詰めている。
「え、あ…。ダメだ…よな…」
「あ………」
「ゴメン…。やっぱりオレ…勝手過ぎる…な。今のは忘れてくれ」
「い…いや…」
「もう二度とこんな事言わないから、だから…もう…」
「違う…っ!」
「え…っ?」
海馬の叫びに、今度はこちらが瞠目する番だった。
恐る恐る目の前の海馬の顔を見上げると、その顔は真っ赤に紅潮して青い眼は潤んでいる。
それを間近で見て、オレは気付いてしまった。
これは…怒っているんじゃない。照れてるんだ…っ!
そう理解した瞬間、ドキリとオレの心臓が高鳴る。
そんなオレの症状に海馬が気付いたのかどうかは分からないが、オレの手を握る指に力が入った。まるで逃さないとでも言うように…。
「キスを…してくれ」
「え?」
「本当にオレを抱いてくれると言うのなら…キスをしてくれ」
海馬は相変わらずオレの事を真っ直ぐに見詰めている。その強い視線をそのまま受け止めて、オレは紅潮した頬に両手を当てた。キスをする為にゆっくりと顔を近付けて行って、だけどその直前でやっぱり躊躇してしまう。本当にオレなんかが海馬にキスをしていいんだろうか…と、そんな事ばかりが頭の中をグルグルと回っていた。
「どうした?」
オレの動きが完全に止まってしまったので、海馬が訝しげに聞いてきた。
オレはそんな海馬に思わず「ゴメン…」と謝ってしまう。
「オレは…やっぱり…お前にこんな事出来る権利は…」
「権利とは何だ? 人が抱える気持ちは常に自由で、権利に縛られるものではない」
「だけど…」
「どうした城之内? 一晩経ったら言い訳ばかりだな」
「………」
「何度も言ったが、オレはお前が好きなんだ。だからお前にキスをして欲しいし、ちゃんと抱いて貰いたい」
「海馬…っ」
「お前が出来ないのなら…オレがする」
そう言って海馬はオレの首にするりと両手を絡ませると、顔を近付けて…キスをしてくれた。
唇に触れる柔らかい感触と温かな熱。ちゅっと音を立てて離れて行く熱を逃したくなくて、オレはそれを追いかけて再び唇を重ねた。その柔らかくて弾力のある感覚に夢中になる。ちゅっちゅっと音をさせながら何度もキスを繰り返して、オレはそのまま海馬の身体を抱き寄せて布団の上に押し倒した。そして薄く開いた唇の中に、自分の舌を深く差し込む。
「んっ………!」
海馬が鼻にかかった声を漏らしてピクリと反応した。そして口中のオレの舌に自分の舌を絡めて、強く吸い上げてくれる。
それが本当に気持ち良くて、オレは海馬が口角から大量の唾液を零しても止めることなくキスを続けた。
ちゅくちゅくと濡れた音を響かせながら夢中で海馬の舌を味わいつつ、そっと掌で白い肌を撫でる。今までオレが海馬にしてきたような押さえつけるだけの乱暴な行為ではなく、昨夜海馬がオレにしてきたような感じで優しく優しく撫で回した。
トロトロになった口中から舌を引き抜き、そのまま唇の端をベロリと舐めて、仄かにいい匂いのする首筋に吸い付いた。
一時は本気で壊したくてこの掌で締め付けてしまった細い首を、今は優しく唇と舌で愛撫する。舌先に感じる海馬の脈動が愛しい。どうしてコレを止めるような行為をしてしまったんだろうか…。少し前まで確かに存在していた自分の危険な思考が、今ではちっとも理解する事が出来なかった。
首筋に舌を這わせつつ、掌を胸に移動させてそこを撫で回した。掌に引っかかる突起に気付いて、チラリと視線を向ける。そこには真っ赤になった乳首が硬く勃ち上がっていて、フルフルと震えていた。
その赤い実をどうしても味わいたくて、オレは唇を首筋から移動させて海馬の乳首に吸い付く。
舌先を固くして乳首をクニッと押し潰して、そしてもう一度強く吸い上げた時だった。
「あっ…! ふぁっ…んっ!」
聞いた事も無いような甘い声が海馬の口から零れ落ちた。
途端に身体全体が昨夜の雷が落ちたかのようにビリビリと震え、まるで心臓に杭を打たれたかのように痛みを感じる程鼓動が跳ね上がる。
一気に重くなる自分の身体。それなのに身体全体を押し包んでいく例えようもない幸福感。
なんだ…? 今のは一体なんだ…?
心臓がドキドキして止まらない。顔が一気に熱くなっていく。余りの興奮に身体が細かく震えだした。
それは…オレが初めて聞いた海馬の喘ぎ声だった。
今までのオレが聞いていた海馬の声は、苦しげな呻き声ばかりだった。
海馬の辛そうな呻き声を聞いていると、頭の中がスッとして身体が軽くなった。海馬が苦しめば苦しむ程オレは自分が『まだマシ』なんだと知る事が出来て、それにとても満足していた。
今聞いた声は…それとは全く逆だった。
身体は中心からズシリと重くなり、頭の中もボンヤリと霞んでいく。
それなのに…それを全く不快に感じないんだ。それどころか身体全体を包み込むこの幸福感は一体何なんだろうか。
幸せだったんだ。顔を真っ赤に上気させた海馬が青い瞳を潤ませて、こんなに甘い声を漏らした事が。そしてその声を出させたのがオレだというこの事実が、何よりも幸せだった。
そっと組み敷いている海馬を見ると、自分の出した声に驚いて、慌てて口に手を当てて恥ずかしそうに震えている。その姿すら愛しく思えた。
「海馬…。声…もっと聞かせて…」
耳元で囁くように言うと、海馬は潤んだ瞳でオレをチラリと見返した。
オレは口元を覆っている白い手を優しく取り去って、再び話しかける。
「頼むから…声を…聞かせてくれ。あの声が、もっと聞きたい」
「じょう…のう…ち…?」
「今…凄く…幸せを感じたんだ。もっと…聞きたい。お前の声を…聞かせてくれ…」
オレの言葉に海馬が何度か瞬きをして、そしてオレが何を言いたいのか理解したのだろう。次の瞬間、ふんわりと微笑んで頷いた。
それを確認して、オレは再び海馬の身体に沈み込む。先程反応した乳首を何度も舌で舐めていると、やがて白い身体が快感に震えだして再びあの声が漏れだしてきた。
「あっ…。あ…あっ…あふぅ…っ」
呻き声なんかよりも、もっとずっとオレを昂ぶらせるその甘い声に、オレは夢中になった。
優しく優しくただ優しく。今までの贖罪の意味も込めて、海馬が少しでも苦しみや辛さを感じる事が無いように、心地よい快感だけを感じられるように、ひたすら優しく愛撫を続ける。すると、その分だけあの甘い声が返ってきた。
胸を弄りながら片手で腹部を撫で、そのまま陰部まで下がっていく。辿り着いたそこは既に固く勃ち上がり、トロトロと先走りの液を零していた。
すっかり熱を持ったソレをオレはキュッと握って上下に扱き出す。先走りの液で濡れたペニスは、すぐにグチュグチュという濡れた水音を立て始めた。
「やっ…! あぅ…っ。あぁっ…んっ!」
真っ赤な顔をフルフルと横に振りながら、海馬はオレの腕に掴まってキリッと爪をたてた。皮膚を傷付けられるその痛みは確かに感じたけど、ちっとも腹は立たず、それどころかその痛みすら愛しくて仕方が無い。
海馬がオレの愛撫に感じてくれている…と、強く感じる事が出来たから。
「あんっ…! あ…やぁっ! も…っ…城之内…っ!」
ふいに強く名前を呼ばれて、何だと思った瞬間だった。押し倒していた海馬の身体がブルリと震え、トプリ…と、オレの手に大量の熱が零れ落ちた。
それが海馬の精液だという事が分かって慌てて海馬の顔を見上げたら、真っ赤に上気した顔でハァハァと荒く息をしながら、クタリと力を無くして布団に横たわっていた。
こんな状態の海馬を見るのも初めてで、思わず目を瞠ってしまう。
いつもは無理矢理追い上げて、海馬に精液を吐き出させていた。射精する瞬間は一瞬息を詰めるものの、その後はいつも眉を顰めて気持ち悪そうに深く息を吐き出すばかりだった。
男だから射精を促す触り方をすれば達する事が出来る。でもそこに快感は無かったんだ。
だけど、今ここにいる海馬は違う。海馬の顔に浮かんでいるのは紛れも無い快感で、青い瞳はとろんと熱に浮かされている。
「気持ち…良かった…?」
恐る恐るそう聞けば、海馬は熱く息を吐き出しながらコクリと頷いた。
その途端、オレの身体が急激に熱くなっていった。湧き上がるのは言いようのない興奮と欲望。身体の中心に点った熱が全身を駆け巡り、海馬を愛せと声高に叫ぶ。
オレは熱い吐息を零す唇にもう一度深くキスをして、そして青い瞳を覗き込んだ。
「海馬…。オレ…お前が欲しい」
「はぁ…。あぁ…いいぞ、城之内…」
「本当に…? オレなんかが貰ってしまってもいいのか…?」
「構わない…。むしろオレはお前しかいらない…。お前に奪って貰わないと、意味が無いんだ…」
潤んだ視線で真っ直ぐに見詰めてくる海馬にオレは「うん…」と頷いて、海馬の身体の中心に手を伸ばした。
「ひっ…! うぁ…っん! あぁっ…!!」
海馬が吐き出した精液で体内をじっくりと慣らして、すっかり解れたそこに入り込む。
結構時間を掛けて慣らした筈なのに、本来受け入れる場所ではないそこはやっぱり痛みを感じるらしく、腕の中の細い身体がビクビクと跳ねて苦しげな悲鳴を漏らした。
もうこれ以上痛みを感じさせたくなんかないのに…っ!
苦しげな表情と吐息にそれ以上進む事が出来なくて、思わず身体の動きを止めてしまった。それに「城之内…?」と海馬が訝しげに視線を上げる。
「ゴメン…。これ以上は…無理だ…」
「何故…だ…?」
「怖いんだ…っ」
「………?」
「お前を傷付けるのが…怖い…っ! 今まであんなに平気で酷い事して傷付けてたってのに…っ! それが今…凄く怖い…っ。怖くて出来ないんだ…っ!!」
オレは知らなかったんだ。誰かを愛するっていう事は、こんなにも幸せなんだって事を。愛する人を抱くって事は、こんなにも熱くて気持ちの良い事なんだって事を。
つい昨日までオレがやってたあの行為はただの陵辱行為で、どんなに身体が快感を感じていても胸の内は酷く冷え切ったままだった。
でも…今はこんなに心が熱い。熱くて全てが気持ちが良い。
その事を知ってしまった今、再び海馬を傷付けるのが怖くて堪らなくなってしまった。
オレは「ゴメンな…」ともう一度謝ってそこから自分のペニスを抜き取ってしまう。そして腕を付いて身体を起こそうとすると、組み敷いていた海馬も一緒に起き上がりオレの身体を強く押してきた。グルリと視点が反転する。
「………っ!?」
布団の上に尻餅をつく形で座り込み、余りの事に驚いていると、そんなオレの身体の上に海馬が乗り上げてきた。そしてオレの身体を跨ぐとペニスに手を添えて自分の後孔に押し当て、そのまま腰を沈めてオレのを深くまで飲み込んでしまう。
「うっ…! あぁっ!!」
「ちょっ…! 海馬…っ!?」
海馬の苦しげな悲鳴を聞いて、オレはパニックに陥りそうになった。脳裏に昨日までの淀んだ陵辱シーンが甦ってくる。
血と精液に塗れて力無く横たわる身体。涙の跡が残る腫れた目元と蒼白な顔。そして苦しそうな呻き声。
昨日まで見ればあんなにも興奮していたその光景は、今はただの恐怖にしか感じられない。自分でやってた事なのに、それがこんなに恐ろしく感じるなんて…。とてもじゃないけど耐えきれなかった。
思わずギュッと強く目を閉じたら、耳元で「城之内」と優しい声が囁かれる。その声にそろりと瞳を開けたら、そこには優しく微笑んだ海馬の顔があった。
「何を…怖がっている…? オレは、大丈夫…だぞ…」
「だ…だけど…、お前…っ」
「入れる…時…に…苦しいのは…仕方無い…のだ…。でも…今は…大丈夫だ。ほら…」
そう言って海馬はゆっくりと腰を上げ始めた。そして再びズプリとオレのペニスを飲み込む。
熱くて柔らかくて、それでいてヒクヒクと蠢く肉に包まれて、オレは気が遠くなった。その感覚は良く知っている筈なのに。何度もこの体内で精を吐き出した筈なのに。それなのに今感じている熱と快感は、今まで一度も感じた事の無いものだった。余りに強い快感に意識が持っていかれそうになる。
「か…海馬…っ!」
「ん…?」
「そ、そんな事されたら…っ。オレ…もう…我慢出来なくなりそう…なんだけど…」
「あぁ、構わんぞ…」
熱っぽい声でそう答えて、海馬はオレに抱きついてきた。そしてそのまま耳元で「オレを…抱いてくれるのだろう…? 城之内」とボソリと囁く。そんな声を聞いたらもう我慢なんて出来なくて、オレは海馬の細腰を掴むと本能のまま腰を突き上げた。
それはまるで夢のような、余りにも美しい光景だった。
眩しい朝日に照らされて白い身体を惜しげもなく晒して、海馬が揺らめきながら声高に喘いでいる。首筋から流れた汗が白い肌の上を幾筋も辿って、それがまた朝の光を反射してキラキラと輝いている。
何て綺麗なんだ…っ!! と、素直に感動した。
「ふっ…! くぁっ…!」
「海馬…っ。綺麗…だ…っ」
「あっ…! あ…じょ…のうちぃ…っ! ふあぁぁ…っ!!」
「綺麗だ…。本当に…綺麗だ…っ」
「あぅ…っ! はぁ…んっ!! も…もう…っ!!」
「海馬…っ! オレ…オレ…」
「うっ…んぁっ!! ひゃあぁんっ!!」
「オレ…、お前が…好きだ…っ!! 好きなんだっ…海馬ぁ…っ!!」
「城之内…っ!! あっ…! ひあぁぁっ――――――――っ!!」
「お前の事が…好きなんだっ!!」
あぁ…そうだ。オレはもうずっと、海馬の事が好きだった。
以前から本当に強いデュエリストだと憧れていた。性格は合わなかったけれど、その強さは本物だったから、それは最初から認めていたんだ。
その憧れがあっという間に恋になって…。同じ男だから告白なんてするつもり無かったけれど、それでもオレはずっと前から海馬の事が好きだったんだ。
仄かに温かい優しい気持ちで海馬の事を見ていた数ヶ月前。この恋は確かにこの胸の内にあった筈なのに、親父が倒れてからの日々の忙しさに追われ、毎日を必死に生き抜いていく内に精神状態も追い詰められ、そして気がついたら海馬への恋心を完全に見失ってしまっていた。
恋心は見失った癖に海馬への執着心だけはしっかりと残っていて、まるで計ったかのように目の前に現れた海馬にオレは手を掛けてしまったんだ。
それが間違っているという事はよく分かっていた。だけど、どうしても止められなかった。海馬を手放したくなかったんだ。それが見失ってしまった恋心が感じさせている気持ちだと気付く事も無く…。
ハァハァとお互いに荒い呼吸を繰り返しながら、抱き合いながら布団に倒れ込んだ。汗に濡れた身体をそっと抱き寄せる。
海馬との初めてのセックスは…最高に気持ちが良かった。身体だけじゃなく心も快感を感じるという事を、オレは生まれて初めて知った。
セックスは…レイプとは全然違ったんだ。
海馬の奥深くで自分の精を解き放った瞬間、余りに気持ちが良すぎて気が狂うかと思った。そして今まで感じた事の無い充足感が胸の内を満たしていく。
「海馬…」
汗を吸ってしっとりと湿った栗色の髪を掻き上げて、現れた白い額に口付けた。その感触に目を開けてオレを見た海馬に笑いかける。
「好きだよ…本当に。今まで悪かったな…。それから…ありがとう」
海馬を真に幸せにする為には、オレは一体どうしたらいいのか。
キョトンとした顔でオレを見詰める海馬に微笑みかけて、オレはもう一度その事をよく考えようと…そう思った。
すっごい凹んでいる二礼です、こんばんは。
トイレの便座が割れたのは、やはり不吉の報せだったのか…;
再検査…頂いちゃいました…orz
何て言うか…もう…やりきれないです。
結果が悪かったからとかそういうのなら我慢出来るんですけど、映りが悪かったからもう一度って…どういう事なんDA!!
勘弁してくれよ…、結構痛いんだからさー…;
という事で大変申し訳ありませんが、来週の火曜日(9月1日)もお休み下さいませ…;
何だかもう…めげそう…、ばっくれたい…(´_ゝ`;
今手元に抱えている作業を、誰にも邪魔されずに心置きなくやりたいdeath…。
長編『Rising sun』のAct.10(Ver.城之内)をUPしました。
ちょっと短いですけど、凄く大事な回だと自分では思っています。
何せこの話を書こうと決めた切っ掛けが、この朝日を浴びながら全裸で窓際に立って城之内に手を差し出す海馬の図だったもので…w(長い表現だな…;)
一番書きたかったのは前回の、真っ暗な部屋の中で抱き合う城海だったのですが、最初に思い付いたのはこのシーンでした。
『Rising sun』はここから前後左右に肉付けしていった小説なんです。
二礼が小説を書く時のパターンは二つあるんですよ~。
一つは「こういう内容の小説を書きたい!」とテーマを最初に決めて、そこから話を考えるタイプです。
これは短編に多いパターンで、昨日上げた百合城海なんかもこれに当て嵌まります。
もう一つが今回の『Rising sun』のように、突如頭に浮かんだワンシーンを元にして肉付けをしていくパターンです。
私が書いている長編の殆どはこっちのタイプになります。
(Wヴァレンタイン大作戦はヴァレンタインネタを元に考えたので例外です。むしろこれは最初のパターンになりますね)
こんな風に突発的に浮かんだシーンを元に小説を書く場合、プロットが大事な役目を負う事になるんですよね~。
何せ最初は何の意味もないただの一枚絵(頭の中での)なもんですからw
どうしてこうなったのか? この前後に何があったのか? またはその理由は? 動機は? と、次々に付け足していくんです。
そうやっていくと不思議な事に、いつの間にかスタートからゴールまでの一本道(途中幾多の障害ポイント有りw)が出来ているという訳なんです。
以前、とある方とお話させて頂いた折りに、お互いの執筆スタイルについて語り合った事がありました。
その方は自分のスタイルを『映画監督』だと仰ってて、要するに「よーい、スタート!」でカチンコを鳴らして、後はキャラが自由に動くに任せるのだそうです。
私の場合は完全にコースが決まっているので、例えるなら『観光ガイド』っぽいと思うんですよね。
所々に見せ場という名のポイント(良いも悪いも)があって、「はい、次はこちらですよ~」と用意されたシナリオを昇華しながらキャラをゴールまで案内していくような感じなんです。
大体はそれで上手くいっていますが、たまーに練りに練ったコースが予定外に粗悪だったり、思いも掛けず勝手にコースから外れて自由行動する奴がいるなど、なかなか完璧にはいきません…w
(ちなみに前述は『STEP』のプロット、後述は『奇跡の証明』の番外編でのバクラですw まぁ『STEP』は練りに練った訳では無いのですが…w)
という訳で長々と書いてしまいましたが、結局何が言いたかったのかと言いますとね。
元となったシーンを無事に掛けて本気で安堵したと、そういう事でしたw
あとはラストに向けてもう一踏ん張りするだけです。
次回はラブラブなエロが書けるといいなぁ…(´∀`)
以下は拍手のお返事になりますです~!!
>MU様
初めまして、こんばんは~!(・∀・)
二礼しげみと申します。
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!
ウチの小説を読んで頂いて感謝しております(*´д`*)
百合城海に萌えて頂いたようで…頑張って書いた私も凄く嬉しいですv
ていうか、他人の新しい扉を開けてしまったようで、ちょっとドキドキしてたりして…w
いいんですか? 大丈夫ですか?www
本当にこんなんでいいんですかね~?(´・∀・`)
実は一応続きは考えているんですよ。
でもモノがモノだけに(ただの女体化ならまだしも、両方女体化っていうのは余り無いので)、もうちょっと皆さんの反応見てからにしようと思っていました。
ただでさえ女体化は人を選ぶのに、海馬だけならまだしも城之内もってどうなのよ! という方もいらっしゃると思うので。
でもMU様のコメントを見て、ちょっと自信を取り戻しましたw
もしかしたら以外と需要…あるのかも? みたいな(´∀`)
もうちょっと色々考えてから、続きを書くかどうか決めたいと思っています。
これからも色々な城海目指して頑張りたいと思います~!
お暇な時にでもまた遊びに来て下さいませ~v
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『Why…?』と日記の感想をありがとうございまっす!
ただの海馬の女体化ならまだしも今回は城之内も同じように女体化させていたので、ちょっと皆さんの反応が気になって仕方ありませんでしたw
自分としては楽しんで書いていたのですが、女体化が苦手な方もいらっしゃいますしね。
でもこの百合城海は思ったより好評のようで良かったです。
安心致しました~(´―`)
この百合城海は、今は親友同士の二人ですけど、ここから恋人関係にどうやって持っていくかが鍵になると思うんですよねー。
一応続きっぽいものは考えているのですけど、果たしてこれを発表していいやらどうやら…w
悩むところですw
結局自分のサイトなのでいずれ好き勝手に書かせて貰うとは思いますが、まぁ…何というか…生温かい目で見守って下さいませw
あとRosebank様がコメントで言っていた『海馬と城之内の喋り方がいつもと変わりないので、割とすんなり読むことができました。』という部分ですが、ここは私も特に気を遣っている部分です。
いくら女体化と言っても話し方まで変えてしまっては、全くの別人になってしまいますからねー。
話し言葉でどのキャラか判断出来ないのは、読んで下さる方は勿論、書く方としても凄く疲れてしまいます。
なので『真実の証明』でも、それから今回の百合城海に関しましても、一貫して口調を変えないように気をつけました。
結果、普通の男の子より男らしい『オレっ子』になってしまいましたがw
まぁ…そんなところもまた可愛いと思って頂けたら良いと思います(*´∀`*)
それと克美ちゃんが不潔(笑)なのは目を瞑ってやって下さい。
克美も瀬人子も両方処女だと、話がなかなか進みそうになかったもので…w
でもこういう可哀想な子は実際にいるんですよ。
克美ちゃんのモデルは中学時代の私の友人なのですが、当時私も瀬人子のように彼女に拒否反応を起こしていました。
大人になった今、よく考えると彼女が非行に走ったのは仕方無いと思うんですよ。
それだけ酷い家庭の子でしたから。
成人してから再会した時、彼女は気の良いママになっていて当時の事を笑って話していましたが、あの当時の彼女の行動は彼女自身の責任では無かったんだと今なら良く分かります。
さて、この事を瀬人子さんにも分かって貰えるかが問題なんですけどねーw
もうちょっとじっくり続きを考えてみようと思っています(*'-')
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
>みど様
こんばんは、初めまして~(´∀`)
二礼しげみと申します。
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
百合城海に萌えて頂けて良かったですw
やっぱり新鮮でしたか…。
はい、私もそう思いましたwww
女体化は結構あちらこちらで見かけますが、流石に百合は私も見たことが無かったもので…。
で、思い切ってやっちまいました(*´∀`*)
批判上等!! バッチコーイ!! …な状態だったのですが意外に好評のようで、逆に拍子抜けしてしまいましたw
やっぱコレ…続き書くべきなのかしら?(*'-')
城海は本命では無いと仰っておられますが、それでもウチの小説を読んで下さった事を感謝致します!
本命CPでは無い小説をちゃんと読む事って、簡単なようで意外と難しい事ですよね。
それなのに更新を楽しみにしてくれるだけでなく拍手コメントまで頂いてしまって…、本当に嬉しいです!!(>_<)
これからも色々な事にチャレンジしていきたいと思いますので、お暇な時にでも覗いてみて下さいませ~v
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
何だか酷く心地よい体温に、オレはゆっくりと意識を覚醒させていった。睡眠時間は足りて無い筈なのに、妙に頭がスッキリしている。そして自分を包み込むその体温の持ち主に気付いた瞬間、脳裏に昨夜の出来事が甦ってきた。
今オレを抱き締めているのは…海馬だった。
あの真っ暗な部屋の中でオレを優しく抱いて、耳元にずっと「好きだ」と、そして「愛している」と囁いてくれていた。その声を思い出すだけで、胸の内が深く満たされていく。
こんな感情は…初めてだった。
今まで感じた事の無い感情に戸惑っていると、ふと、オレを抱き締めていた身体が動いて布団から半身を起こす。そしてオレの頭に優しく触れて「城之内」と名前を呼んだ。
「起きろ、城之内」
海馬の声に重い瞼をそろりと開けて、枕元にある目覚まし時計に視線を移した。そこに表示されている数字はまだ早朝の時間帯で、まだ起きる時間じゃない。「なんだよ…」とぼやきつつ部屋の様子を覗き見る。部屋はまだ真っ暗なままだった。
「何だ…。まだ停電中なのか」
「いや、夜半過ぎに復旧した。明かりはオレが消しておいただけだ」
「そう…」
昨日の今日でどうしてそんなに普通にオレに話しかける事が出来るのか。至って普通の態度の海馬にオレは何となくそちらを見る事が出来なかった。掛布代わりのタオルケットの中に再び潜り込もうとすると、それをバサリと剥ぎ取られてしまう。
「なんだってんだよ…っ!」
思わず荒げた声を上げて見上げると、そこにいた海馬はまだ全裸だった。その姿が何だか酷く気恥ずかしくて、それ以上は何も言えなくなってしまう。
視線を反らせたオレに海馬はクスリと笑って、窓際まで歩いて行った。そしてカーテンを掴んでこちらに振り返る。
何をするんだと訝しげに見ていると、オレの視線に気付いた海馬は満面の笑みを浮かべた。そして…。
「朝だ」
そう言い放って、シャッという音と共にカーテンを開け放った。
東向きのその窓からは昨夜の嵐が嘘のような静かな朝の空気と冷気、そして昇ったばかりの眩しいばかりの朝日が差し込んできた。白く輝くその眩しい朝日に照らされて、窓際に居る海馬の裸体がシルエットになる。細身の身体の背後から澄んだ光が後光のように差し込んでいた。
「あ………」
その光景を見てオレは何も言えなくなる。
一言で言えば…感動したのだ。
この世に生まれ落ちて生きてきた十七年間、オレはこんなに美しいものを今まで一度だって見た事は無い。余りの美しさに目が離せなかった。離す事が出来なかった。
ふと頭の片隅に、美術の授業で習った宗教画が浮かんでくる。
そうだ…。今見ている光景はあの宗教画に近い。今、オレの目の前にいるのは一体誰だ? 海馬だという事は分かっている。だけど今までのオレが知っていた海馬では無い。まるで罪人を救う天使のようだと思った。
いや、本当はオレはもう知っていたんだ。その天使はずっとそこにいた。地に堕ちて真っ黒に汚れたオレを救う為に、ずっとオレの側にいたんだ。
ただ、オレがそれに…気付かなかっただけだ。
やっと気付いた。漸く海馬の本意に気付く事が出来た。
だけど今更…どうしろというのだろう? もう遅いんじゃないか?
オレはこの天使を自分と同じ場所に引き摺り落として汚してしまった。いや、汚そうとしてしまった。天使はオレになんか汚される事は無かったが、オレのした罪は消える事は無い。
今更この天使に許しを請えと? それは余りにも自分勝手過ぎる。
震える手をギュッと強く握って黙って海馬を見詰めていると、光の中で海馬が微笑んだ気配がした。シルエットになっていて細かい表情は分からないが、何となくそれだけは分かる。
海馬は柔らかく微笑んだまま…スッとオレに向かって手を差し出してきた。
「な…に…?」
「手を」
「………?」
「オレの手を掴め、城之内」
言われたままに震える手を差し出すと、その手をギュッと掴まれて窓際に引っ張られる。その途端、オレの顔を朝日が照らした。眩しい眩しい…清浄な光だった。
「ほら、オレの言った通りだろう? 朝はちゃんと来るのだ」
至極満足そうにそう言い放つ顔を覗き見る。澄んだ青い瞳が真っ直ぐに朝日を見ていた。そしてオレの視線に気付いてこちらを向き、優しく微笑んだ。
その顔にはオレに対する蔑みや憎しみなど一片も見当たらない。ただ…オレに対する真摯な気持ちだけが溢れていた。
「っ………!」
胸の奥がズキリと痛む。そして目の奥が急激に熱くなってきた。
泣きたくない…っ! そう思って目に力を入れる。だけど、いつもだったら簡単に治まる筈のその衝動がいつまで経っても治まる気配が無い。
オレは海馬の前では泣けないんだ。海馬を陵辱し続けてきたオレにとって、海馬の前で弱みを見せたり泣いたりする事だけは絶対に許されていない。それがオレがしでかしてきた罪であり、罰だから。
なのに…何故…、この衝動は止まらないんだろう…。
泣くのを必死に我慢していると、海馬がフッと少し困った顔で笑った。そしてオレの頭を優しく撫でる。
「馬鹿だな。泣きたい時は素直に泣けばいいのだ」
「だけど…オレは…っ」
「泣くのに理由がいるのか? 泣きたいのを我慢しているから色んなものを溜め込んでしまうのだろう? 泣きたければ泣けばいいのだ。一人で泣くのが嫌なら、オレがいつでも受け止めてやる」
「海馬…、何で…」
「何でと言われてもな。昨夜約束しただろう? オレはずっとお前の側にいると。どこにも行かないと…そう約束したじゃないか」
そう言って海馬はオレの身体を抱き込んだ。そして耳元で「好きだ…城之内…」と囁かれる。
再びあの温かい体温に包まれて、オレは自分でも不思議なくらいに安心してしまう。そしてそれを切っ掛けにして、一気に涙腺が崩壊してしまった。
白くて細い裸体を強く抱き締め返して、オレは仄かにいい匂いのする海馬の肩口に顔を埋める。そしてその骨張った肩に、自分の額を押し付けた。
「っ…うっ…! うぁ…っ!」
涙が溢れて止まらない。声をあげて泣きたくなんかないのに、声は勝手にオレの口から漏れだしてしまう。
ガタガタ震える身体を海馬の腕がギュッと強く抱き締めてくれた。途端に感じる海馬の鼓動。昨夜あんなにも安心しながらずっと聴いていた、海馬の生きる証。
それが大事で愛しくて堪らなくて…。
溢れた気持ちを抑える事が出来ずに、オレは子供みたいに声を上げてワンワン泣き出してしまった。
「うわぁぁぁぁーっ! うぁっ…ひっく…ぁ…わ…あぁぁーっ!!」
「城之内…」
そんなオレに海馬はただ優しく名前を呼ぶだけで、他に何も言わなかった。
温かな体温、確かな鼓動、優しい吐息。
それら全てから感じる、オレを愛しているという海馬の心。
海馬に縋る事だけはしてはいけないと思っていた。それだけの事をコイツにしたんだから…と。
でもよく考えれば、オレは既に海馬に縋っていたんだ。最初にコイツに手を出した時からずっと…オレは海馬に縋り付いていた。縋って縋って縋り付いて、ずっと助けを求めていた。海馬の優しさに甘えていたんだ。
それなのに…海馬は黙ってそんなオレを受け止めてくれた。
ただオレを好きだと…そして地に堕ちたオレを救いたいという、その一心だけで。
溢れ出した想いはもう止められなかった。
目の前の熱が愛しかった。抱き締めてくれる腕が嬉しかった。何より海馬に…助けて貰いたかった。
「かい…ば…っ! かいばぁ…っ!! っ…うっ…あぁ…っ! わぁぁ…っ!!」
助けてくれ助けてくれ助けてくれ、オレを…助けてくれ!!
そう心で叫びながら海馬の身体にしがみつく。まるでその叫びが聞こえたかのように、海馬は再びオレを優しく抱き締めて、そして背中を撫でてくれた。
優しい優しい海馬の掌。
その熱に心から安心しながら、オレは大声で泣き叫び続けた。
気が済むまでずっと…、愛しい海馬の熱に包まれながら。
別にトイレで占いがしたかった訳じゃ無い二礼です、こんばんは。
何言っているか分からないと思いますが、皆さんは亀甲占いってご存じですか?
古代中国やその後の日本などで頻繁に行なわれていた占いの一つで、亀の甲羅や鹿の大腿骨などに文字を書き、火にくべて割れた方向から運命を見いだすってアレです。
何故突然こんな事を言い出すのかといいますとね…。
トイレ掃除の最中に便座(U字の奴)が突然割れちゃったんですよ…。
余りにも突然に…そして余りにも綺麗に…w
U字の左側の方の真ん中から、そりゃぁもう見事にぽっきり逝っちゃいましてね…(´∀`;
今凄くトイレが使い辛くて仕方ありませんw
週明けにでも業者さんに直しに来て貰わないとな…;
別に二礼がそんなに怪力の持ち主だって事じゃないんですよ?w
そりゃ確かに逞しい腕はしてるけどさ…(´_ゝ`)
今のマンションには2年程前に越してきたんですが、急に新居を探さなくてはいけない状況に駆られてじっくり物件を回る事が出来なかったんですよねー。
半年ほど姑と一緒に暮らさなくてはいけない状況になってしまって、その為にそれまで住んでいた2DKのハイツじゃ無理という結論に至ったのです。
それで急いで不動産屋巡りをし、前に住んでいたハイツから徒歩7~8分の今のマンションに移ってきました。
場所とか部屋の配置とかは何の問題も無かったのですが、何にせよ前に住んでいた人が随分と乱暴な人だったらしくて、至る所にその痕跡が残されていました…。
何せ最初に部屋を見に行った時なんか、部屋中凄い煙草の臭いで、壁紙なんかはヤニで真っ黒だったしねーw
ある程度は入居前に綺麗にしてもらったのですが、その頃からU字のひび割れが妙に気になって仕方ありませんでした。
…で、本日ついに耐久力がゼロになったU字君はポッキリ逝ってしまったと…そういう訳ですw
何て言うか、ああいう一瞬って人間は頭が真っ白になるんですね…;
折れてトイレの中にダイブしたU字の破片を見ながら、頭に浮かんだのは亀甲占いでした…w
「横に折れたから、今日は凶か…? ナンチッテw」
などと下らない事を考えながら、トイレで深く溜息を吐いていましたwww
まぁ、既に便座が折れた時点で凶だよな、この場合。
賃貸にお住みの皆様、お家は大事に使って下さい(´∀`)
(かく言う私も、以前のハイツで化粧水の瓶を落として洗面台を割ってしまった事が…w ちゃんと直して貰ったけどね~)
短編『Why…?』をUPしました。
予告通りの海馬瀬人子さんと城之内克美さんの百合です。
いや、実際に百合って無いので、百合未満か?
二礼は女子校出身なのですが、当時の女子高生同士のノリを思い出して書いていたら、案外スラスラと書けてビックリしてしまいましたw
女の子同士でおっぱい揉み合ったりスカート捲りしたりして、今思うと凄く子供っぽい事して盛り上がっていました…w
周りに男がいないから女の子らしくする事に意味を見出せず、歯止めが効かなかったんでしょうねぇ…(´―`;
懐かしい思い出ですw
あ、そうそう。
この話の城之内と海馬は女体化していますが、他のキャラに限ってはそのままという設定になっています。(出て来ていませんが…w)
という事なので、克美ちゃんには妹がいるし、瀬人子さんには弟がいる訳なのです。
続きは…どうしよう?
一応試験的に短編にしたのですが、もしかしたらシリーズ化するかもしれませんし、しないかもしれません。
まぁいいや~。
とりあえずこのまま置いておく事にします。
以下は拍手レスになりまーす!(*'-')
>飛香莉様
初めまして、こんばんは~!(´∀`)
二礼しげみと申します。
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!
こんな風にコメント頂けると、本当に嬉しく思います(*´д`*)
素質シリーズを気に入って頂けているようで…嬉しいやら恥ずかしいやら複雑な気持ちですw
やりたい事をハチャメチャにやらせているだけのシリーズなので、何というか…お恥ずかしい限りでございます…(*ノノ)
瀬人子さんと克美ちゃんの百合も楽しみにして頂けて良かったですv
何か微妙な仕上がりになりましたが、こんな感じで如何でしょうか…?w
書いていた本人は凄く楽しかったんですけどねぇ…(´∀`;
それではこれで失礼致します。
お暇な時にでもまったり遊びに来て頂ければ幸いに思います。
ではまた~(・∀・)ノシ
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(・∀・)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございまっす!
Rosebank様の仰る通りこの城之内にとっては、海馬に優しくされるより、酷い復讐をされた方がずっと楽なんですよ。
だけど海馬もそれをよーく分かっているのでそんな事はしませんし、するつもりもありません。
復讐をして城之内を追い詰める事は、海馬の真の目的ではありませんからね~。
海馬の優しさ、そして包容力の前に城之内がいつ完全降伏するのかは、次回を楽しみにしてて下さいませ(´∀`)
ラブラブエロに関しましても、期待してていいと思います(*´∀`*)
所詮私の書く小説なので、このままで終わらせるつもりは無いんですよ~w
やっぱり城海は幸せでなくっちゃね~!
それからバ/ン/プの『e/m/b/r/a/c/e』も聴いて下さったのですね~!
Rosebank様のコメントで「見られなかった」と書かれていたのでもう一度見返してみましたが、こちらでは普通に見られました。
番号も普通に合っているんだけどなぁ…。おかしいですね?
やっぱりニコニコムービーメーカーで作った動画(smじゃなくてnmになる)は、見られる人と見られない人がいるのでしょうか…?
不思議ですw
この曲はあの回を完全に書き終わってから聴いたので、余計に驚いたんですよw
もうほんっとピッタリでw
『ガ/ラ/ス/の/く/つ』は壊れている最中の城之内とその城之内に翻弄されている海馬の情景にピッタリでしたが、この『e/m/b/r/a/c/e』は来るべき朝を前にしてすっかり落ち着いた二人によく合っていると思います。
良い曲ですよね~本当に(*´д`*)
それから海馬瀬人子さんと城之内克美ちゃんの百合については…エロでなくて申し訳ありませんw
まぁ…とりあえずはこんなところでw
上記にもありますが、この話は学生時代の事を思い出しながら楽しんで書く事が出来ました。
本当にどうしようも無い事で遊んでいた時代でした…;
今思い出すと恥ずかしい事ばかりですw
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
城之内克美ちゃんと海馬瀬人子さんの百合です。
百合と言ってもエロはありませんがw
城之内と海馬の女体化が大丈夫な方だけどうぞ~(´∀`)
この童実野高校には、二大マドンナと呼ばれる少女達がいる。
余りにも対照的で余りにも似通った彼女達は、マドンナの称号通りに童実野高校に通う全ての男子達の憧れの的となっていた。
ただ一つ普通のマドンナと違う事は、彼女達は決して女性らしく無いという特徴があったのだ。
まず一つ。彼女達は決して女性らしい喋り方をしない。
何せ二人揃って一人称が『オレ』なのだ。語尾も「~わ」とか「~ね」とかは一切使わず、一方は「~なのだ」などと言うどこの時代劇だという喋り方をし、もう一方に限っては「~だぜ」等の完全な男言葉だった。
そして二つ目。普段の態度が完全に男そのもの。
女子高生らしく可愛いグッズに興味を持ったり、好きな男子の前で自分の可愛さをアピールしてみたり、たわいもない事で友人と一緒にちょろっと泣いてみたりと、そういう事は一切しなかった。代わりに彼女達が見せたのは、いっそ清々しい程の男らしい態度。いつでもサバサバとし、何かに追われているかのように廊下を大股で歩き、まるで男子生徒のようにカードゲームに本気で興じていた。
普通、女子生徒がここまで完全に『男』になってしまっていたら周りの人間は引いてしまうのだろうが、ところがこの童実野高校の生徒達は逆にそんな彼女達に強い憧れを抱いてしまったのだ。
何せ…彼女達は外見だけは最高に良かったのだ。
黙っていれば美人&可愛いの二大マドンナが敢えて男らしい態度を見せる事によって、男子生徒はそのギャップにメロメロになり、女子生徒は頼れるお姉様像を脳裏に描き出し、ついにはファンクラブまで造られる始末。
そんな風に学校中を魅惑の渦に巻き込みながら、本人達は全く意に関せず今日も今日とて自分達らしく学生生活を送るに過ぎなかった。
童実野高校で二大マドンナと言われている海馬瀬人子と城之内克美が出会ったのは、この高校に入学してからだった。
周りの生徒の中には、これだけ似通った二人ならきっと幼馴染みで、仲が良すぎる為に同じような一人称や喋り方に統一したんだろうと思っている人間が何人もいた。
だが誤解しないで欲しいのは、彼女達はそれまで何の面識もなく、高校入学後たまたま同じクラスの隣同士の席になって初めて顔を合わせたに過ぎないという事だ。
彼女達はとにかく何から何まで正反対だった。性格は元より、まず家庭環境が違い過ぎる。
海馬瀬人子は、この童実野町では知らぬ人間はいない、それどころか世界的に超有名な海馬コーポレーションの若き女子高生社長だった。童実野町の一等地に広大な屋敷を持ち、毎朝毎夕黒塗りのリムジンが彼女を迎えに来て、これまた黒服サングラスの厳つい男がボディガードとして常に側に付いていた。
一言で言えば超セレブ、更に突っ込んだ言い方をすれば、この童実野町の支配者そのものだった。
対して城之内克美はと言えば、これまた典型的なド貧乏だった。住まいは団地の三階で、日々金が無い金が無いと騒いでいる。
数年前に両親が離婚して、彼女は妹と別れ父方に引き取られたのだったが、この父親がまた酒浸りのどうしようもないダメ親父だったのだ。この父親のせいで彼女は中学生時代は酷く荒れたらしかったが、高校に入ってからは心を入れ替えて元の明るい性格を取り戻している。
生活費と学費を稼ぐ為に朝は早くから新聞配達の仕事をし、夜もコンビニやゲームセンター等で細々としたバイトをする生活が続いていた。
第三者から見れば本当に余りにも違い過ぎる二人のマドンナ。
だが彼女達に言わせれば、自分達はよく似ているのだという。多分他人には分からない、何か深い絆があるのだろう。
いち早くその事に気付いた本人達は、それからずっと親友としての関係を築いている。高校二年生になっても同じクラスに収容された二人の絆はますます強くなっているようだった。最近はお互いの家に遊びついでに泊りに行ったりもしているらしいし、もうこの二人の間には誰も入れなくなっていたのである。
「………。う…ん…。はぁ…」
という訳で週末を控えた金曜日、本日もお泊まり会は開催され城之内克美は海馬瀬人子の邸に泊りに来ていたのだが、ここ最近ずっと気になる事があって瀬人子に気付かれないように小さく溜息を吐いた。
二人は今、瀬人子の私室に備え付けられている風呂に一緒に入っている。瀬人子は既に髪や身体を洗い先に湯船の中に入っている状態なのだが、後から入って来た克美が身体を洗っているのを後ろからじーっと見詰めているのだ。
その視線が…とにかく痛い。
瀬人子が自分を見る視線が痛いのに克美が気付いたのは、高校二年に進学してからだ。それまでも何となく感じていたものの、はっきり気付いたのは二年になってから始めて受けた体育の授業の時、一緒に着替えをしていた時だった。
背後からじーっと見詰めてくるその視線が、チクチクして痛くて仕方が無い。「何?」と振り返って聞いてみても「別に」と言われてフイッと視線を外されるだけ。意味が分からないのに攻撃的な視線だけは確実に感じていて、もうそろそろいい加減にして欲しいと思う。
身体に纏わり付いたボディソープの泡をシャワーで綺麗に流して、瀬人子が待つ湯船に入っていく。それを横目でじっと見ていた瀬人子は、克美と目が合うといつものようにフイッと視線を外してしまった。
その頑なな態度に、流石の克美もプッツンとキレてしまう。
「あのさぁ…」
苛立った声を隠そうともせず、克美は湯船の中で瀬人子の腕を捕まえて引き寄せた。
「海馬、お前さぁ…。オレに何か言いたい事があるんだろ?」
「べ…別に…」
「嘘吐け。ここんとこずっと異様な目付きでオレの事見てる癖に。何? 何か文句でもあんの?」
「そんなものは無い」
「じゃぁ何で? 何でそんな目でオレの事見てるの?」
「………」
「海馬?」
「………」
「かーいーばー?」
何も言わずに黙っている瀬人子に克美が首を傾げて先を促すと、突然瀬人子の腕が伸びてきて湯の中で克美の胸をガシッと鷲掴みにした。
「ぎゃあっ!」
これには流石の克美も悲鳴を上げてしまう。
「ちょっ、痛いって! 何やってるんだよ海馬!」
「これが…っ! この胸が…っ!!」
「ちょっと海馬サン!! 何やってんのよ! げっ…! そこお尻…って、うわわっ!!」
「この尻もだ…っ! 何で…こんな…っ!!」
「ちょっちょっちょっとやめて海馬!! やめてやめて! ぎゃあーっ!!」
湯船の中で暫く攻守攻防の争いが続き、数分後漸く離れた二人はゼーハーと肩で息をする始末だった。すっかり疲れ切って呆れた目で瀬人子を見詰める克美と違い、瀬人子は相変わらず睨み付けるような視線で克美を見ている。
「一体何だっての…。オレの胸と尻が何だって…?」
完全に疲れ切った声で克美がそう問いかけると、瀬人子は途端に目を吊上げて湯船の中から立ち上がり、壁に凭れ掛かっている克美にビシッと指を指した。
そしてバスルーム中に響く音量で盛大に言い放つ。
「何故貴様のはそんなに大きいのだっ!!」
「はい?」
言われた事が一瞬理解出来なくて間抜けな返事をしてしまったが、目の前に立ちはだかる瀬人子の裸体を見て克美は漸く納得がいったように「あぁ、なるほど」と頷いた。
男らしいサバサバした態度とは逆に、克美の身体は実に女性らしかった。出るとこは出て引っ込んでいる部分はキュッと引っ込んでいる。胸も結構大きくて、男子生徒曰く『グッドプロポーション』なのだ。
逆に瀬人子のプロポーションは…実にでこぼこが少なかった。男子生徒からは『モデル級のスレンダー美人』と言われて褒め称えられてはいるが、本人からしてみれば屈辱以外の何物でも無い。遠回しに『貧乳』だと言われているも同じだったからだ。
ウェストは克美より細いものの、胸と尻のサイズが何とも貧弱で、それが一種の真っ直ぐ体型を作り出してしまっている。
以前は全く気にしなかった自分の体型だが、克美と行動を共にするようになって段々と気になるようになってきてしまった。体育の着替えの際や、お泊まり会で一緒に風呂に入る時等、一度気になるとどうしても目線がそっち…つまり胸やら尻に行ってしまう。最初は憧れに過ぎなかった大きな胸や尻。それがいつしか憎しみの対象になってしまって、やがて突き刺さるような視線に変化していったのだ。
「何で貴様ばっかり…っ。ずるいぞ!!」
「ずるいって言われてもねぇ…。こればっかりはどうしようも…」
「大体そのでかい胸は何だ、けしからん!! 何カップだ!!」
「カップ? オレの?」
「他に誰がいる!!」
「思ったよりは大きくないぜ。Dだし」
「でぃっ…Dーっ!?」
Dカップという驚異のサイズに、瀬人子は思わず自分の胸に手を当てた。そこにあるのは酷くちんまりとしたギリギリAカップの自分の胸。
途端に傷ついた顔をした瀬人子に、克美は焦って近寄ってその身体を抱き寄せた。
「そ、そんなに落ち込むなよ。胸なんて揉めば大きくなるって言うじゃねーか! ほら、オレが揉んでやろうか?」
「やっ…! 止めろ馬鹿!!」
半分慰めるつもり半分巫山戯半分で、克美は瀬人子の小さな胸を優しく掴んだ。そしてそのままフニフニ揉んでみると、途端に腕の中の細い身体が暴れ始める。止めろ馬鹿巫山戯るないい加減にしろと文句を言う瀬人子に、克美もすぐに離れるつもりだった。本来は巫山戯半分のその行為。だけど自分の手がしっとりとその小さな胸に引き付けられてしまって、なかなか離れる事が出来ない。
「城之内!!」
耳元で自分の名を叫ばれて、克美は漸くハッとしたように身を離した。そしてじっと自分の手を見詰める。先程までずっと小さくて柔らかい瀬人子の胸に触れていた自分の手を。
(何で…オレ…。すぐに手を離せなかったんだろ…)
克美が理解出来ない感情に捕われていると、パシャリと小さな水音が響いた。そして「城之内…」と再度自分の名前を呼ばれて、克美は目の前に視線を向ける。そこには湯船に肩まで浸かった瀬人子が、真っ赤な顔で自分を見上げていた。
「貴様…。胸は揉めば大きくなるなどと…そんな嘘ばっかり…」
「え? あ…いや、嘘じゃねーぜ? オレだって昔はBカップしか無かったけど、揉まれたらこんだけデカくなったし…」
「揉まれた…? 自分で?」
「まさか。中学生の時に彼氏が…」
「かっ…! かかかかか彼氏ぃーーーーっ!?」
克美の衝撃発言に湯船に浸かっていた瀬人子が叫び、再びその場で立ち上がった。目の前に晒された細身の裸体に、ドキリと克美の心臓が鳴る。
(あ…あれ…? おかしいな…?)
ドキドキと鳴り続ける心臓に手を当てながら、視線はそこから外す事は出来なかった。
(え…? 何でだよ…。海馬の裸なんて見慣れている筈だろ…? なのに何でオレ、こんなにドキドキしてるんだ…?)
顔に手を当てると、そこがカッと熱くなっているのが分かった。自分の身体がどうしてこんな変化を起こしているのか分からない。いや、この感覚には覚えがあった。中学生時代、それこそ先程口に出した彼氏と付合っていた頃の…。だけど相手は男じゃない。自分と同い年の少女だ。なのに何故自分がこんな気持ちになっているのか、克美には理解出来なかった。
ただ掌にはあの柔らかい感触がいつまでも残って消えなかった。本能で、もっと触っていたかったと思ってしまう。
そんな克美の気持ちを知ってか知らずか、瀬人子は再びビシッと指を突きつけて大声で叫んだ。
「き、貴様ぁーっ! 彼氏がいたとはどういう事だっ!?」
「どうって…。そういう事だけど…」
「だ…だって…。まだ中学生だったんだろう…?」
「中学生だって彼氏はいたし、ヤル事は既にヤッてたの」
「やっ…!? やっ…やっ…やっ…っ!」
「あ? 何? オレの初体験聞きたい?」
「そんなもの…っ! 聞きたくも無いわ!!」
「まぁそう言わずに。あれは中二の夏休みの時でさー。彼氏と一緒に夏祭りに行ったんだけどな。その帰りに神社の裏の雑木林で…」
「もういい!! 聞きたくないと言っているだろう!! 大体中二って…貴様まだ誕生日来て無いではないか!!」
「そうだな。まだ十三歳だったなぁ」
「ふっ…不潔だっ!!!」
「へ?」
気付いたら瀬人子は湯船の端まで行ってしまい、自分の身体に腕を巻き付けて涙目でこちらを見ていた。ていうか…何だよその目は…と克美は多少苛ついてしまう。今瀬人子が自分を見詰める目線は先程までの攻撃的なものとは違い、酷く軽蔑に満ちていたのだ。
「あのなぁ…。海馬…」
「オレに近寄るな!!」
「っぶ!!」
その目線を何とかして欲しくて一歩近付くと、途端に持っていた湯桶で汲んだお湯を思いっきり掛けられてしまう。
「お前がそんな奴だとは思わなかった!! 不潔だ!! もう二度とオレに近付くな!!」
「おいおい…。セックスした女が不潔だっていうなら、全国の結婚している奥様に謝れよな」
「それは別にいいのだ。大人になってから真っ当な恋愛をして相手と結ばれるなら構わない」
「オレの恋愛が真っ当じゃ無いとでも?」
「この際恋愛云々は関係無いのだ! 問題はまだ十三歳でそこまで行ってしまった事にあるのだ、この淫乱が!!」
「ちょっ…! 淫乱とか言うなよ! 別にいいだろ…! 誰に迷惑掛けてる訳じゃないんだから…っ!」
「迷惑掛けてるとかそういう問題じゃない! オレが言っているのはモラルの問題なのだ!!」
瀬人子の叫びに克美はビクリと身体を揺らす。そして今までの態度はどこへやら、途端に小さくなった声で「だって…仕方無いだろ…」と呟いた。
中学時代の自分は本当に荒れていて、曰くド不良だったのだ。そういう大事な事を教えるべき親が既にモラルを無くしていて、モラルなどあって無い生活をずっと続けていたのだ。
あの時はそれでいいと思っていた。快楽に流されれば自分を取り巻く嫌な事を全て忘れられるから。克美にとってセックスは都合の良いストレス解消だったのだ。彼氏だけじゃなくて、不特定多数の人間と関係を結んだ事もある。そんな生活が自分には合っていると思い込んでいた。
勿論今はそんな事は思っていないし、反省も…そして後悔もしている。
でもどんなに後悔しても、失ってしまった大事なものは返っては来ないのだ。
だから普段はなるべくそれを忘れようとする。中学時代に経験した全ての事を『いい思い出』として、わざと明るく語ってみせるのだ。
他の友人達はずっとそれで騙されてくれた。克美が昔不良だった事も知っていたので、その事で敢えて突っ込んだり自分のモラルを押し付けたりする事は無かったのだ。
だけど…瀬人子は違った。
全ての事情を知っていながら、自分の考えをはっきりと克美に伝えたのだ。…多少過激ではあったが。
すっかり俯いて何も喋らなくなった克美に、瀬人子も漸く警戒を解いて逆にこちらから近付いていった。そして自分とは違って綺麗に小麦色に焼けた肩に白い手を置いて「スマン…」と小さく囁く。
「その…悪かった…。ここまで言うつもりじゃ…無かった…」
「いや、別にいいよ。お前の言う事は尤もだからな」
その後は二人揃って無言になり、ギクシャクしながら風呂場から出て着替え、そして寝室に向かった。
いつものようにキングサイズの瀬人子のベッドに共に入りながら、お互いに背を向けて「おやすみ」と言い合う。普段だったら向かい合って夜が更けるまで下らない話をしてから眠りにつくのだが、今日はどうしてもそんな気分にはなれなかった。
暗闇の中、どちらからも規則正しい寝息はいつまで経っても聞こえてこない。それでもお互いに眠ったふりをして身を強ばらせた。
温かなベッドの中で、克美はそっと自分の掌を握り合わせる。先程の柔らかい感触がどうしても消えない。
胸を揉む感触だけなら、自分の胸の方がサイズも大きいし柔らかいし弾力もあって、何より揉みがいがあるのだ。
それなのに…、あの心許無い小さな胸の柔らかさが掌にずっと残ったままになっている。
瀬人子は…綺麗なのだ。
身も心も綺麗なままなのだ。
だから瀬人子には自分のように汚れて欲しく無いと、克美はずっとそう思っていた。
それなのに…どうしてなのだろう。
同じ女の子なのに…自分の手で汚してしまいたいなんて思ってしまうのは。
彼女を自分と同じ所には引きずり込みたく無いのに…、一体この感情は何だっていうんだ!
結局克美は朝方まで眠れず、ずっと自分に自問自答していた。
「何故…?」と。
答えが出ることは…無かったが。
インフルにガクブルな二礼です、こんばんは。
どうやら自分が住んでいる東京都某区ではインフルエンザが大流行中らしいです。
二礼はコンビニ店員なので不特定多数の人間と相まみえる機会が多く、実にウィルスを貰い易い状況にあるんですよね~。
いつ貰ってしまうかとガクブルしながら、うがい手洗いは完璧にこなしています。
でもね、恐れていた事は確実に迫りつつあるんですよ。
7月14日の日記で書いた某中止イベントに巻き込まれたリアル腐友が、ウチから自転車で15分くらいの距離に住んでいるんですが…。
夏コミ直後のミクシィで「何か風邪ひいたらしい。39度なんて久しぶりに出したよw」という日記を書いていたんですよ。
ただの風邪で39度なんて出る筈無いと思い「今すぐにインフルっぽいと病院に電話して、それから指示貰って診察に行ってこい」とコメントを入れたところ、どうやらそれを見て医者に行ったみたいなんですよね。
で、結果は…。
見事にインフルエンザA型貰ってました\(^o^)/
怖ぇーって! マジで大流行じゃないか!!
本人は至って元気で「関節痛も無ければお腹の調子も悪くないし、喉が痛いだけで食欲もある」と酷く楽観的ですが、こちとら現在色々とやらなければならない作業を持っているんでインフルはやっぱり怖いです。
今大事な時期なんだyp-! ホント勘弁してくれ。
来るなら来月のオンリー終わってからにして(´∀`)
そんな風にインフルにガクブルしつつ、何だか妙に百合が書きたくて仕方ない今日この頃です。
ただの女体化じゃなくて、海馬瀬人子さんと城之内克美ちゃんの百合。
また引かれそうな内容ですが、もう書き始めちゃったもんねー!!
日曜辺りにUPしてやる!!
それから先に謝っておきます。
変態でサーセンwwwwww
長編『Rising sun』のAct.9(Ver.海馬)をUPしました。
『オレ』は海馬で、『彼』は城之内でした。
ちょっとリバにチャレンジしてみようとした結果がコレです。
性的接触はゼロですけど、ちゃんとリバっぽく見えるかなぁ? 見えないなぁ…w
まぁリバっていうか、海馬の懐の大きさと包容力を現わしたくて書いたシーンでした。
別に触ったり突っ込んだりしなくても、裸で抱き合うだけで満たされるものもあるんだよ~みたいなメッセージもあります。
読み直したらチョット恥ずかしくなったけど、まぁ…いいかw
あと二礼は実はB/U/M/P O/F C/H/I/C/K/E/Nの曲が凄く好きだったりするんですけど、今回作業しながら何気なくCD聴いてたら、妙にこの回にピッタリマッチする曲がある事に気付いてしまいました…。
CD自体は久しぶりに聴いたのでこんな曲がある事はすっかり忘れていたのですが、余りにピッタリだったもので思わずリピートして聴いてしまいましたw
その後ニ/コ/ニ/コ/動/画で検索するとやっぱりUPされていたので、一応紹介しておきます。
e/m/b/r/a/c/e(nm/3/9/4/0/9/8/0)
興味のある方だけ聴いて下さいませ~(*'-')
以下は拍手レスでございます~!!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます。
ダメンズ好きのコメントには思わず笑ってしまいましたw
確かに『Rising sun』の海馬はダメンズ好きっぽいですけど、どっちかっていうとダメンズが好きというよりは、好きな男がダメダメだったって感じなんでしょうね。
しかも元からのダメ男じゃなくて一時的に壊れているだけなので、海馬もこれだけ必死になれるのでしょう。
この『Rising sun』の海馬は、とにかく城之内の事を信じているんです。
だからアレだけ酷い事されても、それを「別に何て事無い」と言い切れるんですよ。
あの城之内が元からのダメ男だったらこうはいかないかと…w
Rosebank様が『Rising sun』の海馬の心情を理解しにくいのは仕方無いと思います。
とにかくこの話の海馬は、感情の起伏が少ないですしね~。
目的もとにかく「城之内を救いたい」の一方通行なので、他の事には目も向けません。
これで少しでも悩んでくれたりすればいいんでしょうけど、結局彼は一度も迷う事はありませんでした。
自分で書いておいて、本当にこの海馬は強いと思います。
結果的に『Rising sun』は海馬の一人勝ちになりそうですねぇ~w
あぁ、あとチョット気になるコメントが…。
>凌辱系の「Rising sun」では相思相愛の甘いエロは期待できそうにないですね。
そうですか…?(・∀・)ニヤニヤ
え? だって…ねぇ? 私が書く小説ですよ?
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
真っ暗な風呂場で、それでも何とか手探りでシャワーのコックを見つけ出して温かなお湯を浴びた。この所何回かこの風呂を使わせて貰っているから、どこに何があるのか大体分かっていたのでそんなに苦労はしない。冷えた身体が芯から温まっていくのを感じて、ホッと息を吐き出す。粗方身体が温かくなったのを確認して、湯を止めて風呂場を出た。
備え付けられていたバスタオルで身体を拭きながら居間の方の様子を探るが、どうやら城之内はそこにはいないらしい。外はまだ酷い雷雨で窓には時折閃光が走り、それに続いて轟音が鳴り響く。
電気はまだ…復旧していないらしかった。
身体の水気を拭い取り城之内に押し付けられた幅広のバスタオルを羽織って居間に戻る。懐中電灯を照らしてみても、城之内はそこにはいなかった。
(どこに…行ったのだ…?)
キョロキョロと辺りを見回していると、ふと懐中電灯の明かりの先にあの小さな城之内の姿が照らし出された。
(かいば。こっち…。こっちだよ)
小さな城之内が指差すのは、居間から続く襖の向こうだった。
その襖の先にあるのがどんな部屋なのか、オレはよく知っている。そこは城之内の私室だ。四畳半の狭い畳の部屋に古めかしい箪笥と本棚と机が置いてあって、いつ干したのか分からない煎餅布団がいつでも敷かれている。その布団の上でオレは何度も城之内に犯されていたから、部屋の構造はもうしっかりと目に焼き付いていた。
小さい城之内はオレと目が合うとにっこりと笑い、そして襖の向こうにスッと消えていった。オレもその後を追って襖に手を掛け、それをゆっくりと横に開く。
真っ暗な部屋の中に懐中電灯の明かりを当てると、煎餅布団の上で足を抱えて丸くなっている城之内の姿が見えた。オレが来た事に気付いているくせに、膝に埋めた顔を上げようとはしない。仕方無く「何しているんだ」と声をかけると、漸くピクリと反応した。
「お前こそ…何してるんだよ」
「何とは?」
「帰れって言ったじゃんか。何でわざわざオレの事待ってたりしたんだよ。ここに来れば何されるか分かっているんだろ」
「あぁ、分かっている」
「何で逃げないんだよ。何でわざわざ近寄って来るんだよ。そんなんだからオレに好き勝手にされるんだよ」
「…そうだな」
「でも…。もういいから」
「…ん? もういいとは…?」
「もういいんだよ。オレさ、お前の身体弄ぶのも飽きちゃったんだよね。だからもうオレに構う事ないぜ。明日になったら迎えを呼んでさっさと帰りな」
そう言って城之内は何かを投げて寄越した。足元に転がったそれを懐中電灯で照らして確かめてみると、それが城之内の携帯電話である事に気付く。拾い上げて開いてみると、そこに映し出されていたのは、あの体育館の用具室で撮られたオレの画像だった。
「これは…?」
「それ、もう必要無いからさ。お前の手で消しといてくれよ」
「城之内…」
「良かったな。これでもうオレに脅される事も無いぜ。あとは煮るなり焼くなり勝手にしな。お前の気が済むようにすればいいさ」
「オレはそれでいいとして…、お前はそれでいいのか? 城之内」
「別に? オレはあんだけの事してんだから、何の文句も言えないしな。お前の好きにすればいいんだよ」
城之内は相変わらず膝に顔を埋めたまま、ただ淡々とそうオレに告げる。だけどオレは気付いていた。
声が…震えている…。
携帯を持ったまま城之内に近付いて行くと「近寄るな!」と鋭い牽制の声があがった。そんな事を言われても、オレはそれに従う道理は無い。そのまま城之内の側まで近寄ってしゃがみ込んだ。そして膝を抱えている城之内の手を取って、持っていた携帯電話を無理矢理押し付ける。それに驚いたように、城之内が漸く顔を上げた。戸惑うように揺れる琥珀の瞳を見詰めながら、オレも視線の高さを合わせる。
「なんだよ…っ!」
「お前はオレに勝手にしろと言った。だから勝手にさせて貰う。携帯の画像を消せと言ったな?」
「あぁ。だから消せばいいだろ」
「嫌だ、断わる。これはお前の携帯だ。消したければお前が勝手に消せばいい。オレは知らん」
「な…何で…っ。何考えてんだよお前!!」
「朝日が見たい」
「は………?」
「お前はもう朝は来ないと言った。オレとお前の関係に夜明けが来る事は絶対にない…と。だけどオレは知っている。朝が来ない夜なんて無い。夜明けは必ず来るのだ。だからオレは朝日が見たい。お前と一緒に…朝日が見たい」
「海馬…。お前、何言って…」
城之内の質問には答えずに、手をあげてその頬にそっと触れた。城之内がビクリと震えて少し後ずさったのが分かったが、それでもオレは手を引っ込める事はしない。そのままもう片方の手も頬に当てて顔を覗き込んだ。
城之内の目は怯えていた。
あんなに今まで好き勝手放題にオレを嬲っていたというのに、間違い無く今の城之内はオレに怯えていたのだ。
いや…、正しくはオレに怯えている訳じゃ無い。城之内が怯えているのは、今まで自分が犯してきた罪に対してだ。
罪に怯え、後悔に震え、その対象であるオレを怖がっている。
その震えを何とか止めてやりたくて、オレは羽織っていたバスタオルをその場に落とし一糸纏わぬ姿になると、緩やかに城之内を抱き締めた。
「なっ…! な…に…っ!?」
「黙っていろ」
怯えて抵抗する城之内をギュッと抱き締める。そして着ていたTシャツを裾から捲って無理矢理脱がせた。次いでハーフパンツに手を伸ばし、前部のボタンを外しファスナーを降ろす。下着毎掴んでずり下ろし、足から引き抜いた。
「ははっ…。何だよ…。オレをヤルつもりか…?」
城之内が自嘲気味に笑って震える声でそう言ったが、オレはそれに応えずに裸にした城之内をそのまま布団の上に押し倒した。そしてそっとその頭を胸の内に抱え込んだ。一瞬逃げだそうとするのを許さずに、自分の胸にギュッと城之内の頭を押し付ける。心臓の音を聴かせる為に、左胸を城之内の耳に押し当てた。
途端に、城之内が大人しくなった。逃げる事を諦めたかのように、そのままズルリと力を無くしてオレに凭れ掛かる。その身体を支えて、オレも布団の上に横になる。安いシャンプーの香りがする髪に口付け、そっと掌を城之内の首筋に這わせた。
安心させるように何度も首筋を撫でる。もう片方の手もその広い背に回し、背筋にそって優しく撫で回した。
「はぁ………っ」
城之内が熱い吐息を吐き出して身動ぎをする。それに合わせてオレも身体を動かして、更に深く城之内を抱き込んだ。二人が動く度に布団のシーツが乾いた衣擦れの音をたてる。
周りは驚くほど静寂に満ちていた。
外界は真夏の大嵐で大粒の雨は激しく窓を打ち、時折空に閃光が走っては轟音が鳴り響く。
だけど…部屋の中は異常な程に静かだった。聞こえるのは二人の人間がたてる衣擦れの音と、吐き出される熱い息遣いだけ。
「何で…こんな事するんだよ…」
窓を叩き付ける激しい雨の音に紛れて、城之内がボソリと呟いた。
オレはそれにクスリと笑って答えを返す。
「始めに言っただろう…? オレはお前が好きだ。だからお前の為に何かしたいと思っただけだ」
「本当に大馬鹿野郎だな…お前は。オレはその想いを裏切ったんだぜ」
「裏切られたなんて思っていないぞ」
「裏切っただろ…っ!」
「別にお前は裏切っていないし、オレも裏切られたなんて思っていない。あの時のお前は、オレにああいう事をする以外に道は無かったんだ」
「っ………!」
「だからそんなに怯えるな…。震えるな…。オレはちゃんとここにいる。どこにも行かないから…」
荒れた金髪を優しく撫でると、窓の外に閃光が走る。その一瞬の光で、オレの胸に顔を埋めている城之内の表情が泣きそうに歪んでいるのを見てしまった。涙は相変わらず流れてはいない。城之内が本当に泣けるには、どうやらまだ何かが足りないようだ。
だけど今は…これでいい…。
明日から泣ければ…それでいい。
涙を流さず笑みさえ浮かべて心の中だけで泣く夜は、今日で最後にしよう…。
城之内の震えは止まらなかった。自分が犯した罪と、それに対する後悔と恐怖でガタガタと震えている。だけどその震えている手がそっと動いて、オレの背に回ってしがみついた。指先も震えている。だけどその手はそこから離れる事は無かった。
だからオレもその震える身体を力強く抱き締めた。
城之内の耳元に何度も「好きだ」と囁く。
「好きだ…城之内」
「………」
「愛している」
「………」
「この気持ちは本当だ。だからオレを疑うな」
「………」
「オレはどこにも行かない。ずっとお前の側にいる」
「………」
「だからそんなに怯えるな…。オレを…怖がらないでくれ…」
「………」
「もう…安心していいんだ」
金色の前髪をかきあげて、現れた額にそっとキスを落とした。
一つ…二つとキスをして、そのまま唇を下げていく。閉じられた瞼に唇を押し当て、震えるこめかみにもキスをし、掌で包み込んだ頬にも口付けた。
城之内が少しでも安心出来るように顔中にキスの雨を降らし、そして引き結んだままの唇にゆっくりと自分の唇を押し付ける。震える唇を覆うように何度も何度もキスを続けた。
嵐は一向に収まる気配を見せない。
相変わらず激しい雨が窓を叩き、暗闇の中に閃光が走り次いで轟音が鳴り響き窓を揺らす。
チラリと確認した壁の時計は夜の十二時を指している。
電気は未だに復旧せず、停電の続いているこの部屋は漆黒の世界だった。
この異常な程の静かなこの世界の中で、オレは確かに城之内を抱いていた。
性的な接触は一切無い。あるとすれば何度も落としているキスだけだろう。あとは首筋や背を優しく掌で撫でているだけだ。
それでもオレは城之内を抱いていた。そして城之内は黙ってオレに抱かれている。
彼の体温を、彼の息遣いを、彼の鼓動を、全てをこの身に受け止めて、そして彼自身を愛した。
「好きだ、城之内。愛している…」
この気持ちを知って欲しかった。信じて欲しかった。
震え続ける身体を抱き締めながら、オレは強く誓った。
「城之内、愛している。永遠に…お前だけを愛している」
これがオレの本当の気持ちなんだと、そう知って貰う為に。
窓の外に一瞬白い閃光が走り、次いで空を引き裂くような雷鳴が鳴った。
大粒の雨は激しく窓を打ち、今の轟音で窓ガラスがビリビリと震える。
それでも静かなこの部屋で、オレ達はただ抱き締め合っていた。
互いの体温を感じながら、ただ…静かに。
すっごい久々に映画を見てきた二礼です、こんばんは。
二礼は元々博物館とかが大好きな人間なのですが、それ繋がりで数年前に映画館で見た『ナイトミュージアム』が本当に面白くてすっかりファンになってしまっていたんですよねー。
その『ナイトミュージアム』の続きがロードショーされると知って、一ヶ月くらい前からずっとwktkしていたんです。
続編『ナイトミュージアム2』の番宣の為にTVで放映された吹き替え版もしっかり見て、先日、相棒と一緒に見てきました。
いやぁ~面白かったですよ~!
コメディ部分は勿論の事、シリアス部分も見応えがありました!
それに主役のベン・スティラーが本当に格好良くてね~(*´д`*)
(彼の事が分からない人は『ナイトミュージアム』でググればすぐに出てくると思います)
二礼は三次元に関しては昔から正当派二枚目より、二枚目半や三枚目の方に惚れる傾向があってですね。ベンはそんな二礼の心をガッチリとキャッチした訳です!
(よく考えると失礼な事言ってるな…w)
欧米の人としては小柄な人なんですけど、そんな人が本気走りしてくれちゃったりすると、余りの格好良さに胸がトキメクっつーもんですよ(*´∀`*)
ちなみに二次元に関しては正当派二枚目が好みなのですが、二枚目半や三枚目も勿論大好きでございます!
海馬は勿論、城之内にも本気惚れしてるのはそういうところなんでしょうね~。
(城之内…ゴメンw)
長編『Rising sun』のAct.8(Ver.海馬)をUPしました。
この話が、『起承転結』の『転』と『結』の繋ぎ目部分になります。
ふぅ…。漸く一番書きたかったシーン(Act.0)に近付いて参りました。
Act.0ではわざと『オレ』と『彼』がどっちがどっちだか分からない書き方してましたが、コレ…分かりますかね?(´∀`)
多分金曜日にUPする分で、『オレ』と『彼』がどっちだか分かると思います。
こういう曖昧な表現ってホンット楽しいなぁ~www ウヒャヒャwww
(いかん…。本音が出た…)
以下は拍手レスでございます~!!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')
『約束の熱』と日記の感想をありがとうございます。
あの話をちゃんと「不思議」と感じ取って貰えたようで良かったです~。
Rosebank様の仰る通りこれは『前世』の話では無くて、あくまで『生まれる前の世界』の話なので、そこら辺が凄く難しかったんですよ。
何せ生まれる前なもんで、彼等には決められた名前が無いんですw
名前を出さずにどうやって海馬を海馬らしく、城之内を城之内らしくするかで随分悩みました。
最終的には何とか形になって、ホッと安心しておりますw
それにしてもRosebank様は面白い事を考えられますね~。
確かにこの話を基点にして他の話に続く事を考えると、それはそれで凄く面白いと思いました。
今回は普通の(?)城海ワールドに生まれ落ちたようですが、これが『奇跡の証明』とかだと、更にその後に転生しなければなりませんからね。
物凄くキャパの長い話になってしまいそうですw
あと日記にも書いたプロットの話ですが、私は基本的に長編に関しては結構細かくプロットを作っています。
ちなみに今回の『Rising sun』のプロットは『真実の証明』のと同じくらいで、実はそんなに容量はありません。
今までで一番ガッツリ作り込んだのは『奇跡の証明』のプロットです。
何て言うかもう、短期集中連載並の容量がありますよw(今でも残っていますが…w)
設定が半オリジナルという事で、裏の細かいところまでも作らなくちゃいけなかったからなんですが、お陰で長く連載続けていた割りに一度も詰まった事はありませんでした。
本当にプロットって大事なんですよ~。
特に私のような不器用な人間には必要不可欠なものなんです。
(脳内に浮かんだものをパパッと書ける器用な人が羨ましいです…orz)
そういう訳で、改めて『STEP』のプロットを作り直していこうと思っていますw
海馬を幸せにしたいのは、『Rising sun』も『STEP』も全く同じなので(´∀`)
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
激しい雨に打たれながら、全身ずぶ濡れの城之内が呆然とオレを見ていた。
多分「来なくていい」と伝えたオレがこの場にいるのが信じられなかったのだろう。
だけどオレはこのまま帰る事なんて出来なかった。あの空き教室から出る寸前の城之内の顔が脳裏にこびり付いている。何かを言い出したくて、でも何も言えなかったその顔が、オレには助けを求めたくても求められないように映ったのだ。
あんな状態の城之内をそのまま放っておく事なんて出来はしない。
そう決めたオレは、学校を出てそのままここまで来てずっと待っていたのだ。
濃い雨雲のせいでまるで真夜中のように真っ暗になった世界で、街灯に照らされた城之内がギリッとオレを睨んだ。そしてそのままこちらまで近寄って来る。そして目の前まで来ると、今まで聞いたことも無いような低い声で「海馬」とオレの名前を呼んだ。
「何でこんな所にいるんだよ。来るなって言っただろ」
「来てはいけなかったのか?」
「いけないとかいけなくないとか、そういう問題じゃない! お前、オレのところに来れば何されるか分かっているんだろう!?」
「分かっている。だがそれは、オレがここに来てはいけない理由にはならない」
「っ………! 何言ってんだよ…っ! ホント大馬鹿野郎だな、お前は…っ」
「放っておけなかったんだ」
「………。何が…」
「お前が…だ。今夜は一人にさせたくなかった」
「何でだよ。親父の事でお前まで心配してるのか?」
「それもあるが、オレが心配してるのはお前の事だ。城之内」
「………っ!」
「全てにおいて…今のお前は放っておけないのだ。一人にさせたくない」
「………。お前には…関係ねーよ…。いいから帰れ」
「嫌だ」
「帰れよ…っ」
「嫌だ」
「帰れって言ってんだろ…っ!!」
城之内が大きく叫んで、びしょ濡れの冷たい手でオレの腕を掴んだ。そしてそのまま外に引き摺られ、地面の上に投げ出される。アスファルトの窪みに出来た水溜まりの上に倒れ込み、泥水で白いカッターシャツが茶色く染まっていった。
雨は激しく、全身を打ち付ける雨の粒が痛い程だった。耳元で聞こえるザーザーという雨音が酷く煩い。
水溜まりに半分浸かったまま上半身を起こし、目の前に立っている城之内を見上げる。降ってくる雨粒に邪魔されてその顔は良く見えない。それに城之内も既にずぶ濡れになっていて、顔に落ちる長い前髪が完全にその表情を覆い隠してしまっていた。
「城之内…」
それでも雨の音に負けないように声を張り上げて名前を呼ぶと、城之内がピクリと反応した。緩やかに片足が上がってオレの胸元を蹴ってくる。本気で蹴られている訳では無いので痛くは無かったが、反動で再びアスファルトの上に転がった。
「帰れよ…」
雨の音に紛れた小さな声。
ただその震える声は、確実にオレに届いていた。
「いいから帰れよ! そのまま帰れ!!」
最後は泣き叫ぶように大声でそう言い、城之内は踵を返すとそのまま自分の家へと入っていった。残されたのは地面に大の字になっているオレだけ。
ふぅ…と溜息を吐き、そのまま空を見上げた。
空は真っ暗だった。激しい雨が全身を打ち続ける。暗い空に度々閃光が走り、次いで大きな雷鳴が鳴り響いた。
やはり…もうダメなのだろうか…。
こんなに心から城之内を救いたいと思っているのに、この想いは一向に届きそうには無い。
ただ少し違和感を感じた。
先程の城之内の態度は、今までの自分勝手なだけの城之内とは少し違ったのだ。
その違和感の正体が分からずに少なからず苛ついていると、視界の端に小さな足が見えた。視線を動かして見上げると、そこにいたのは先程学校で見かけたあの小さな城之内だった。相変わらずグスグスと泣きながら手の甲で涙を拭っている。
(城之内…?)
思わず呼びかけると、真っ赤に腫れた目でオレを見返す。この暗い世界で明るい琥珀色の瞳が印象的だった。
(かいば…。ごめん…こんなことして…)
(いや…。それは構わないが…どうして…?)
(とにかくこっちへ…。そこじゃあぶないよ)
小さな城之内は団地の軒下まで駆けていくと、そこで手招きをする。その動きにオレも身体を起こし、雨で重くなった身体を引き摺ってそこまで歩いていった。オレがその場に到着すると、小さい城之内は更に階段を上がっていく。それに着いて行くと、三階の城之内の家の前で足を止めた。そのまま脇の階段に座り込んだので、オレもそれに習って隣に腰を下ろす。
オレが座ったのを確認すると、小さい城之内は至極申し訳無さそうにオレを見上げてきた。
(ほんとに…ごめんな…。どろだらけになっちゃったな…)
(別に平気だ。今は夏だしな)
小さい城之内を安心させようと笑ってそう言ったが、突然の雷雨で周囲の温度は極端に下がっており、雨に濡れた身体は寒さでカタカタと震えていた。腕を身体に巻き付けて暖を取っていると、小さな城之内が泣きそうな目で心配そうに見詰めてくる。
(いくらなつでも、このままじゃかぜひいちゃうぜ。はやくあったかいふろにでもはいって、きがえないと…)
(あぁ…。分かってはいるんだが…。もう少し…アイツを待ちたい)
(いつまでオレをまつつもりなの? もしかしたらこないかもしれないよ?)
(いや、オレは来ると信じている)
(どうしてそんなにしんじられるの? あんなにひどいこといっぱいされたのに…)
(確かに少々乱暴ではあったけどな。オレは酷い事をされたなんて一度も思った事はないぞ)
(うそだ…! ころされかけたくせに…!)
(あぁ、そう言えばそんな事もあったな)
城之内に首を絞められた時の事を思い出した。
確かに酷く苦しくて辛かったが、この小さな城之内が言う程酷い事されたとも思っていない。
あれは城之内の必死の叫びだった。言葉で助けを求める事が出来ないから、行動に移しただけなのだ。ただそれだけの事。
その事が良く分かっているから、別に何とも思わない。
それに…と、オレは胸ポケットを探ってタオルハンカチを取り出した。
先程、学校で城之内に貸して貰ったタオルハンカチ。精液で汚れた顔を拭く為にわざわざ城之内が寄越したハンカチだったが、勿体無くてそれを使う事は出来ず、結局オレは自分のハンカチを使って汚れを拭き取った。
嬉しかったのだ。あの極限状態で、城之内が垣間見せた小さな優しさがとても嬉しかった。
あのたった一つの何気ない行動が、オレの諦めかけていた希望を取り戻したのだ。
だからオレは信じられる。
これからも…城之内の事を信じられると強く思った。
(本当に…何とも思っていないんだ。城之内を信じているから平気なのだ)
(かいばは…つよいね…)
(別に強くは無い。ただアイツが好きなだけだ)
(ほんとうに…? オレがすき…なの?)
(あぁ。本当に好きだ)
(うそじゃない?)
(嘘なんて言う必要が無い)
(ありがとう…。でも…ほんとうにごめんなさい。こんなにすきだっていってくれるのに…。なんでオレはこんなことしか…できないんだろう…)
小さい城之内が膝を抱えて丸くなる。俯いているせいで表情は見えないが、身体が細かく震えているので多分泣いているのだろう。
半透明の彼に触れる事が出来ないのは既に学習済みだったが、それでもその小さな背を撫でてやりたくて己の手を伸ばした時だった。
突然目の前が真っ白に光って、次いで耳を劈くほどの轟音が鳴り響いた。
近くに落ちた…っ! そう思った次の瞬間、突如目の前が真っ暗になる。慌てて立ち上がって回りを見渡すと、街灯の明かりも消えている事から、この辺り一帯が停電になったんだと理解した。
(おい…っ! 大丈夫か…っ!?)
あの小さい城之内の事が心配になって足元を見るが、そこには暗闇が広がるばかりで何も見えない。急に不安になって立ち竦んでいると、ドアを隔てた部屋の中から足音が聞こえてきた。そしてキィ…という音を立ててドアが開かれる。
目線を向けるとそこには懐中電灯を持った城之内が覗き込んでいた。既に風呂に入ったのか、Tシャツとハーフパンツ姿で、首からタオルをかけている。
「何だお前…まだいたのか」
「城之内…」
「早く帰らないからこんな事になるんだぞ」
「城之内…っ。オレは…っ」
「話はいいから早く入れ。オレん家の風呂ガスだから、温かいシャワーくらいなら浴びられる」
そう言ってグイッと腕を掴まれて引き込まれた。
風呂に入った城之内の身体は既に温められていて、掴まれたその掌は心地良い程温かかった。同時に先程地面に投げ出された時に掴まれた掌の温度を思い出す。雨でびしょ濡れになった城之内の掌は酷く冷たかった。きっと身体全体も冷え切っていたのだろう。だが今の城之内は温かかった。それに凄く安心した。
先程とは逆にびしょ濡れになった自分の腕を、温かい城之内の掌が握っている。それが本来の彼の温度であるかのように感じられる。いつまでも握っていて欲しかった。だが幸せに感じたその時間はあっという間に終わってしまう。
風呂場の前まで連れて来られると、城之内は掌を離してしまった。仕方無いとは思いつつも、少し残念に思う。
そのまま呆然と立ち竦んでいると、目の前に幅広の大きなバスタオルを突きつけられた。
「これは…?」
「風呂入っても着替えが無いだろ? 出たらこれでも羽織っておけ」
何も言えずに立っていると、そのバスタオルと持っていた懐中電灯を一緒に押し付けられる。そして城之内は手探りで真っ暗な部屋の奥へと去っていった。
洗面所に残されたオレはふいに泣きたくなって、渡されたバスタオルに顔を埋めた。そうでもしないと本当に泣き出してしまいそうだった。たったこれだけの気遣いに心からの幸せを感じて仕方が無い。
だがまだ泣く訳にはいかなかった。
オレが泣けるのは城之内を本当に救う事が出来た…その瞬間だけ。
じわりと熱くなる目元に力を入れて涙を堰き止め、オレは冷えた身体を温める為に風呂場へと入っていった。
自分…不器用な人間ですから…な二礼です、こんばんは。
最近、プロット作りの重要さを再認識しています。
ウチでは今『Rising sun』と『STEP』という二つの連載(『STEP』は不定期連載ですが)をやっているんですが、プロットの作り込みが違う為に書きやすさが全然違うんですよね。
『Rising sun』の方はかなり本気でプロット作りをしてから連載を開始しました。
物語の進み具合は勿論の事、各場面での状況設定やキャラクターの心情、果てはその場で言わせたい台詞等々を結構細かく書き込んであります。
お陰で『Rising sun』の場合は、書き出すと比較的スムーズに書き進める事が出来るんですよね。
逆に『STEP』の方は最初から不定期連載にすると決めていた為に、実に簡単なプロットしか作っていませんでした。
何て言うか本当に「次はここまで」程度にしか書いて無いんですよw
最初の方はそれでも全然良かったのですが、話が進んできたら大分ツラクなってきましてね…w
書きにくいったらありゃしない!!
書き進めようとしても、途中で詰まっちゃうんですよね~…。
状況設定や心情等が皆無なので、書きながら考えなくちゃいけないんですよ。
二礼は非常に不器用な人間なので、その場で考えながら書く…という器用な事が出来ませんw
やっぱこの手の人間は予め用意しておかないとダメなんですねぇ…;
このまま放っておくと最悪飽きちゃう可能性が出て来たので、改めてちゃんと『STEP』のプロットを作り直したいと思っています。
個人的には『STEP』の海馬は、お馬鹿で乙女で凄く可愛くて大好きなんですけどね(´∀`)
短編『約束の熱』をUPしました。
久々の純正短編です。
(『酒の力Ⅱ』は続きモンでしたしね)
何かチョット不思議な話を書いてみたくて、実験的にやってみました。
不思議な話といえば同じく短編に置いてある『To you…』もそうなのですが、アチラより今回の方が難しかったです。
何せ前半は城之内と海馬の名前を出す訳にはいかなかったもので…w
更に敢えてイメージを固定しないように、前半部分はわざと曖昧なイメージで書いています。
頭の中の風景を敢えてモヤモヤなまま文章にするのは、思った以上に大変でした。
楽しかったけどw
個人的にこういう不思議系のパラレルは結構好きなので、今度またやってみたいと思っています。
話は変わりますが、実は8月18日と25日の両火曜日はお休みを頂きたいと思っています。
先日日記で病院に行った話を書いたと思うのですが、新しくお世話になる科の検査がこの両日に入っていまして…;
この間程時間を捕られる事は無いとは思うのですが、また具合を悪くして「今日はお休みします~…orz」なんて突然告知を出す事はもうしたくないんですよ。
なので予めお休みを頂く事にしました。
9月に入ったらまた通常更新に戻りますので、どうぞご了承下さいませ。
以下は拍手レスになります~(´∀`)
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(・∀・)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます。
やっぱキツかったのか…と心配致しましたが、立ち直ったようで良かったですw
流石にアレ以上のレイプシーンは無意味ですからね~。
ここらで打ち止めですw
Act.6とAct.7の城之内がまるで別人のようと仰っていますが、実はAct.6でもその片鱗がちょろっと垣間見えているんですよ。
海馬に後ろから突っ込んでいる時の「(自分と同じように)壊れろ…」という台詞だったり、最後の方で海馬がいつものように「泣くな…」と言って手を伸ばした時の表情だったり。
実はこの時点で、城之内は自分が壊れかけている事に気付き始めていたんですね。
だけどそれに気付きたくはなかった。
だから敢えて気付かないふりをして海馬の事を意識の外に追いやり、目の前の父親との関係修復だけに重点を置いていた訳です。
でも城之内の心の奥底に押し込められた彼の『本当の優しさ』がそれを許さず、Act.7で父親に本気で裏切られた事を切っ掛けにして完全に気付かされてしまったのです。
城之内と海馬、そして城之内と父親の関係性は、まさにRosebank様の指摘した通りです。
海馬が自分に対して持っている気持ちは、自分が父親に対して持っている気持ちと同じ(厳密に言えば種類は違うのですが)だと漸く気付いた訳です。
そこで自分が父親に暴力や暴言を奮われている時の気持ちを思い出して、城之内は海馬を解放する事を決めました。
だけど彼はまだ海馬の本意には気付いていないんですよ。
海馬の本当の目的は城之内から解放される事では無く、あくまで城之内を救う事ですからね~。
城之内が本当の意味で悟るのは、もう少し先になりそうです(´∀`)
それから城之内が熱いほうじ茶をかけられたシーンは、海馬が顔射された事への裏返しとの事ですが…。
スイマセンw そこまで考えていませんでしたw
でも二礼は、誰かから顔に何かをかけられるという行為は一種の屈辱的行為だと捉えています。
だからAct.6で海馬は顔射させられたし、Act.7で城之内は父親からお茶を掛けられているんです。
双方の関係性を明確に現わす為に無意識に同じような行為を受けさせていたので、多分Rosebank様のその指摘は当っているんだと思います(*'-')
『Rising sun』はもう少し続くと思いますので、どうか余り思い詰めないでまったりご覧になって下さいませw
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
海馬の一人称。
何かモヤモヤっとしたイメージの不思議な話です。
「なぁ…。本当に行くのかよ」
オレが旅支度をしていると、目の前の男がブスッとした表情でそう尋ねてきた。それに「あぁ、勿論だ」と答えると、眉根を寄せてますます不機嫌そうな顔になる。
だって仕方無いじゃないか。
いくらお前がそんな顔をしても、決定事項はもう覆される事は無い。
オレは、ここを出て行く事に決めたのだ。
「あっちに行ったって、幸せになれるとは限らねーぜ」
余りな言いぐさに思わず振り返った。
せっかく人が新天地への期待に胸を膨らませているというのに、酷い言い様だ。「そんな事を言うな」と注意すると、唇を尖らせて睨み付けてきた。
そんな顔したって怖くなんてない。お前の拗ねた顔なんて、もう見飽きているんだ。
「何が起こるかなんて分からないじゃないか」
「そんな事ないぜ。チラッと見た限り、あんま良い事書いてなかった」
「お、お前…っ! まさか管理官のデータを盗み見たんじゃないだろうな!?」
「盗み見ようと思ったら途中で見付かって追い出された。だからチラッとしか見てないんだけど」
全く反省していない顔に盛大に溜息を吐いてしまう。
コイツのこういう悪戯癖は昔からちっとも変わっていない。以前からこの手の悪戯をする度に酷く叱られているというのに、本当にどうしようも無い奴だ。
叱るつもりで腰に手を当て睨み付けても、目の前の男はオレをチラッと見ただけで、次の瞬間にはフイッとそっぽを向いてしまった。
本当だったらいつもの様にわざと耳元でガミガミと怒鳴り散らすところだが、コイツの気持ちも分からなくもないので、オレもこれ以上はもう何も言えなかったのだ。
今だって凄く寂しそうな顔をしている。
少し前までは、オレ達の周りにはもっと沢山の仲間がいた。それが時が経つにつれて、皆がそれぞれの居場所を求めて去って行った。一人減り、二人減り、三人減り…、そして今ここにはオレ達二人だけしか残されていない。その二人の内の一人までもが旅支度をしているのだ。そりゃ、いつも脳天気なコイツだって寂しくなってふて腐れるというものだ。
気持ちは良く分かるのだ。
だが…オレは自分の気持ちを変える事はしなかった。
ここで踏み出さなければ、何も変わらない日々が続いていくだけ。新しい人生を切り開く事が出来ないのだ。
「お前が何と言おうと、オレは行くからな」
いつの間にかその場に足を抱えて座り込んで顔を俯せているアイツにそう声を掛ける。
オレの言葉にピクリと身体を揺らしたが、顔を上げる事は無かった。
「………たら………が………っても…か…?」
「ん? 何だ?」
何か言っているようだが声が籠もって良く聞こえない。ブツブツ言っているアイツに「もっとはっきり言え」と言い放つと、それまで俯いていた顔をガバッと上げた。
みっともないな…。涙でグシャグシャじゃないか…。
ただその顔は至極真剣で、流石のオレもそれを茶化す事は出来ない。
黙って見詰めてやったら、震える声で目の前の男が叫んだ。
「向こうに行ったら…オレと険悪な仲になるとしてもか…っ!?」
「何だと…?」
思いがけない言葉に思わず目を剥いた。
驚いたオレに奴は次々と言葉をぶつけてくる。
「あっちに行ったら今までのように仲良くはなれない! お前はオレを憎むし、オレだってお前を憎む! 絶対にもう…こんな風には喋れなくなるんだ!!」
「ちょっと待て…。何でそんな事が分かるんだ」
「データに書いてあったんだよ…。このままで行くと、オレとお前は『天敵』になるんだとさ…」
「お前…」
「オレ…嫌だよ…。そんなのは嫌だ…っ!! お前とそんな風にはなりたくないよ…っ!!」
本格的に涙をボロボロ流して泣き始めた男を、オレはもう無視する事は出来なかった。丸まった身体をそっと抱き締めて、震える背を優しく撫でてやる。そうすると腕の中の男も手を伸ばしてきて、オレの身体にギュッとしがみついてくる。そのままオレの肩口に顔を埋めて、しゃっくりあげながら号泣していた。
「オレ…オレ…、お前が好きだ…っ! お前が大好きなんだよ…っ! 嫌いになるなんて嫌なんだよぉ…っ!!」
涙混じりの必死な声に、オレは「あぁ…」と小さく答える。
先程のコイツの言葉が、やはり少しショックだった。
オレだってコイツが好きだった。大好きだった。オレはコイツを憎みたくないし、コイツにだってオレを憎んで欲しくない。そんなのは…オレだって嫌だ!!
だけど…、やっぱりココに居続けてはいけないのだ。
不確定な未来を恐れて立ち止まっていては、更にその先にある希望に満ちた世界にも辿り着けない。
勇気を出さなければ…。
新しい人生を…歩む為の勇気を。
「一つ…約束をしよう」
オレが思い切ったようにそう告げると、腕の中の男はオレの肩口から顔を上げて、涙と鼻水でグシャグシャのまま首を傾げた。それに苦笑しながらポケットからハンカチを出して汚れた顔を拭いてやる。
綺麗になった顔に微笑みかけて、拗ねた唇にキスを一つ落とした。
「約束…?」
「そう。約束」
未だ不安そうなコイツに、オレは安心させるようにその手をとって小指を絡めた。それをキュッと力を入れて繋ぎ止める。
小指の先からコイツの熱い体温が伝わってくる。
いつもオレより少し高いその体温が、オレは大好きだった。心地良かったし、何より凄く安心出来たから。
だから…この体温を繋ぎ止めたまま、大事な約束をしよう。
「例えどんなに憎み合っても、オレは最後はきっとお前を好きになると誓う。だから安心しろ」
オレがそう告げると、目の前の男は心底驚いた顔を見せて何度も瞬きをした。
「好きに…? 本当に…?」
「あぁ、本当だ。嘘は吐かない。約束する」
「ちゃんと…今までと同じように好きになってくれる?」
「勿論だ。いや、今まで以上に好きになってみせる」
「………っ!」
「だから…、だからお前も誓ってくれ。お前もオレを憎むだろうが、その後はちゃんとオレを好きになってくれると…誓ってくれ」
「うん…。うん…誓うよ。オレもお前を好きになる。絶対だ…っ!」
「絶対だな?」
「絶対だ! 絶対お前を好きになってみせる!! 約束だ!!」
「あぁ、約束だ」
「約束だからな!! 絶対に守れよ!! 約束は破ったら針千本飲まなくちゃならないんだからな!!」
「そんなものは飲まない。守れない約束なんかしないからな」
「お前な…」
「大丈夫。そんな不安そうな顔をするな。お前との約束は絶対に守ってみせるから」
だから安心しろと囁きながら抱き締めると、向こうも同じように抱き返してきた。その身体はもう、震えてはいなかった。
暫くそのまま抱き合っていると、遠くからベルが鳴るのが聞こえて来る。
それは今日の出発を告げる合図。オレはもう、出発しなければならなかった。
「時間だ。もう行かなければ」
そう告げると、目の前の男は一瞬泣きそうに顔を歪めた。だが先程のように涙がボロボロ落ちてくる事は無い。
歪んだ顔を自分の両手でパンパンと叩くと、目の前の男は顔を上げて爽やかな笑顔を見せてくれた。
その顔はオレが一番好きだったコイツの顔。
どんな時でもオレを安心させてくれた、最高の笑顔だった。
「三ヶ月後だ」
「何が…?」
「実はオレもこの間出発が決まってさ。今日から丁度三ヶ月後なんだって。三ヶ月後にはオレもそっち行くから」
「お前…」
「だから先に行って待っててくれよ。必ず追いかけて行くから。いつまでもどこまでも、オレはお前を追い続けるから」
「………」
「だからさ。約束…忘れないでくれよな? オレ、信じてるからな?」
「あぁ、勿論だ」
最後にもう一度小指を絡ませて、そしてオレは踵を返した。
目の前には白いドア。これを開けて一歩踏み出せば、そこはもう新しい世界だ。
さようならは言わない。再び会えると信じているから。
後ろに突っ立っている男もそれを分かっているんだろう。いつまで経ってもさようならとは言わなかった。
「じゃぁ…行くから」
「うん。またな」
「あぁ、またな」
またな…と声を掛け合って、オレは扉を潜った。
そこに待っていた漆黒の世界の中で、意識がどんどん遠くなる。あちらの世界での記憶が少しずつ解けて消えていく。
アイツと一緒に過ごした日々。どこまでも広く続く花畑で走り回って遊んだ事も、青い空を眺めて交わした会話も、あの爽やかな笑顔も、優しい優しい記憶が全て消えていく。
だけどオレは感じていた。
最後にアイツと交わした約束だけは…絶対に消えない事を。
「約束だ…。絶対に好きになるから…」
消えゆく意識の中。ポツリとそう呟いてオレは全てを手放した。
代わりに見えたのは…明るい明るい光だった。
「オレ、お前の事が好きだ…!」
青い空が広がる学校の屋上。爽やかな風が吹く中、城之内はオレに対して真剣な目をしてそう言った。
余りに突然の告白に反応出来ずに戸惑っていると、城之内はズカズカとオレに近付いて来てオレの手を取りギュッと握りしめてくる。
その時、何だか妙にハッとした。
城之内とは今まで何度も下らない言い争いをしたが、これだけ近くに来られた事は初めてだったし、何よりその体温を直接感じたのも初めてだったのだ。
なのに…何故だろう?
その体温に馴染みがあるのは。その熱さに不思議な程安心してしまうのは。
「なぁ…。やっぱダメ…かな。お前…オレの事嫌いだもんなぁ…」
心から落ち込んだ顔をしてそう言う城之内にオレは首を横に振った。
そうだ、最初は嫌いだった。憎たらしいとさえ思っていた。
それなのに何故なのだろうか。いつの間にか心から愛しいと思うようになっていたのだ。
まるで最初から約束されていたかのように、その感情は当たり前に存在した。
「いや。オレも貴様が好きだ」
はっきりとそう告げると城之内は一瞬驚いた顔をしたものの、次の瞬間には本当に嬉しそうな顔をして笑った。
その爽やかな笑顔に胸がドキッと高鳴る。まるでずっと以前から知っていたかのような笑顔だった。
不思議な感覚に苛まれていると、突然身体が拘束される。それが城之内に抱き締められているんだと気付くのに少し時間がかかったが、身体を包み込む体温に安心してしまい、その腕を振り解こうとは少しも思わない。
そのまま大人しくしているとますます強く抱き締められる。それが本当に気持ち良かった。
「何だか不思議だな…。海馬がこうして大人しくオレに抱き締められているなんて」
「そうか?」
「うん。何だか随分前からこうなる事が約束されていたような…そんな気分だ」
「奇遇だな。オレもそう思っていた」
そっと腕を伸ばして城之内の背に絡ませる。
あんなに憎んでいた相手だったのに、今はもう、そんな気持ちは微塵も無い。
ただ腕の中にいる男が、愛しくて愛しくて堪らなかった。
そう…。まるで約束されていたかのように。
頭がピンク色な二礼です、こんにちは。
たった今、夏コミから帰って参りました~!
もう歳なので朝一からとか無理ですのでね。ゆっくりと10時20分頃に現地入りして、10時30分頃に列に並び始めました。
もっと暑いかと思って覚悟してきたのですが、今日の関東地方は曇りで直射日光も少なく、海からの風が涼しくて気持ち良かったです。
10時50分頃にはもう列が移動開始して会場内に入れたのですが、むしろ暑さの本場は中の方でした…。
蒸し暑かったよ~!!
人間の体温って凄いのね…;
湿気100%な上に風も通らないから、汗ダランダランでした…orz
こんな汗びっしょりなベトベトの手で『K.K.M.O』の橘ポチさんと握手してきちゃったり何かして…、物凄く申し訳無かっです…orz
ホントごめんなさい!! ホントすいません!!;
でも何か、スパコミの時より色んなお話出来て楽しかったです。
ありがとうございました~!!
来月もお会い出来ると思うので、そん時も宜しくお願いします(´∀`)
そういう訳で戦利品に囲まれてウハウハ状態なんですけど、これに目を通してしまうと時間を忘れてしまうので、その前にUPしてしまう事にします。
買って来た本は逃げないので、やる事先にやらないとねー。
長編『Rising sun』のAct.7をUPしました。
城之内君、漸く悟るの巻。
つか今気付きましたが、この連載で初めての*マーク無しなんですね、この話…w(Act.0は除く)
うわぁ~…。何て言うか…濃いな…w
*マーク無しより付いている方が多いってどういう事なのよw
好き放題にやり過ぎたか…orz
ま、いっか(´∀`)
以下は拍手のお返事になります~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます。
あー…、やっぱりそろそろキツクなってきましたかね…?
Rosebank様は海馬に感情移入してしまうので、連載始める前から「途中でキツクなるんじゃないかなぁ~」と思っていました。
でももう『起承転結』の『転』に入っているので、あとは『結』に向けて纏めていくだけなんですよ。
なのでもう少しの辛抱でございます!!
悪いようにはしませんので、ご安心下さいませ~!
何せ私が書くものですからねーw
あと、今回の話で城之内君も漸く気付いたみたいですしね? ね? ね?(´∀`;
ダ…ダメか…orz
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(´・∀・`)ノシ
追伸…
『奇跡の証明』の時も言いましたが、本当に辛かったら連載が終わってから読むという手もありますよ~(´∀`)
余り無理なさらないようにお願いしますw
『お父さんが階段から足を滑らせて…、今も意識が戻りません。腕も骨折していて…』
病院から掛かってきた電話を取ったら、相手は親父の担当の看護師だった。「いつもお世話になっています」とオレが答えるのを待たない内に矢継ぎ早に伝えられた事実に、オレは身体中から一気に血が引いていく。
とにかく早く病院に来て下さいと伝える看護師に「分かりました」と答えを返して、オレは携帯の通話ボタンを切った。それをズボンのポケットにしまいながら振り返ると、海馬が呆然とした表情でオレを見ているのに気付く。どうやらオレの会話を聞いていたらしいが、どうしてそれで海馬がそんな顔をしているのかが理解出来ない。
オレの親父がどうなろうが、お前には何の関係も無いのにな…。
「話、聞いてただろ?」
そう問いかけると、海馬はコクリと頷いた。
「悪いけどそういう事だから、今日は来なくていいからな。オレもいつ帰って来られるか分かんねーし…」
「………」
「何て顔して見てんだよ。お前には関係ねーだろ!」
「じょ…の…うち…」
「っ…! くそっ!」
海馬が真っ直ぐオレを見詰めてくる。オレはその視線が苦手だった。
どうしてそんなに真摯な瞳でオレを見詰められるんだ。こんなに酷い事をしているというのに、どうして…っ。
端正な顔にオレの精液をつけたまま黙ってオレを見続ける海馬に耐えきれずに顔を背ける。ついでにズボンの尻ポケットからタオルハンカチを出して、海馬に投げ付けてやった。
「そのままじゃマズイだろ。それで拭いとけよ。じゃオレは行くからな。後は勝手にしろ」
立ち上がって身なりを整えて、廊下に続く扉に手をかけた。一度だけ振り返ると海馬は未だ呆然と座り込んだまま、オレが投げ付けたハンカチを握って何かを考え込んでいるようだった。
一瞬…何か声をかけてやろうかと思った。だけど何と声をかければいいというんだ。オレはただ海馬の身体をストレス解消に利用しているだけなのに。
少し考えたけど結局かけるべき言葉は浮かんでは来なかったので、そのまま扉を閉めて歩き出した。
最近、海馬を犯すのが少し怖いと感じるようになっていた。本当に今更なんだけど、罪悪感を感じているらしい。少しでもアイツが抵抗したり復讐しようとしたりする素振りを見せ付ければそれでいいのに、海馬は決してそんな事をしようとはしなかった。ただいつも黙って…オレに従うだけ。
どうしてなんだ…っ! どうしてそんなにオレの為に犠牲になろうとするんだよ…っ!!
頭の隅で別のオレが小さく囁きかける。お前は本当はもう、その理由に気付いているんじゃないかって…。
だけどオレはそれに首を振り続けた。
知らない。分からない。そんな事考えたくも無いと。
靴を履き替えて昇降口から表に出ると、途端にむっとした空気に全身が包まれる。空を見上げると西の方から黒い分厚い雲が近付いているのが見えた。
そう言えば今日は夜から天候が崩れるって天気予報で言ってたっけ…とぼんやり考える。病院に向かって歩いていると、すれ違う人は皆急ぎ足だった。何となく巻き上がった埃の匂いも感じられる。雨が近いな…とは思ったけど、オレの足は重かった。そのままノロノロと歩いて行く。
親父が階段から落ちて怪我をして意識が無いと言われても、焦ったのは一瞬だけだった。その後は自分でも不思議なくらいに冷静で、今も別に急いで行こうという意思は無い。
何となく…親父がこのまま死んでも全然構わないような気がした。
あんな親父でもオレのたった一人の父親だ。死なれてしまったらやっぱり悲しいとは思う。だけど…それ以上に安心してしまうのはどうしてだろう。
親父が死んだらオレは自由になれる。そうしたらもうこんなに苛々する事も無く、誰も傷つける事も無い。
そう…海馬だって漸くオレから解放されるんだ。
そうなったら海馬はオレに復讐を始めるだろう。今まで苦しめられた分を倍にして。
もしかしたらオレは本当に殺されてしまうかもしれない。だけどオレはそれを待っていた。
海馬の手でこの苦しみから解き放たれるのを…いつの間にか一番に望んでいたんだ。
病院に着いてエレベーターに乗り、親父が入院している階まで上がる。チーンと軽い音がして開いた扉から表に出ると、聞き覚えのある怒鳴り声が廊下まで響き渡っていた。どう聞いても親父の声であるそれに首を捻りながら病室を覗くと、左腕を三角巾で吊された親父が側にいる看護師さんに大声で何か言っているのが見える。
なんだ…生きてんじゃねーか。
何だかんだ言ってもやっぱり心配していたらしいオレは少しホッとして、そのまま親父のベッドまで歩いていった。
「よぉ。意識不明だっていうからいよいよくたばったかと思ったら、生きてんじゃねーか」
「克也…っ! 巫山戯るな、この馬鹿息子が!! 大体コイツ等が…っ!!」
オレの顔を見た途端に大声で喚き散らされて、オレは思わず耳を塞いだ。ていうか、何言ってるか分かんねーよ…。
隣の看護師さんに腕を引かれて、オレ達は一回廊下に出る事にした。廊下に出たところで、担当の看護師さんが申し訳無さそうに頭を下げる。
「入院中にこんな事になってしまって…っ。大変申し訳ありませんでした…っ!」
あんまり本気で反省している顔をしているので、オレは慌てて手を横に振った。
「いや、別に構いませんよ。どうせウチの親父が何か無茶な事したんでしょ?」
「はい…。実は城之内さんが…その…。勝手に外にお酒を買いに行かれてしまって…」
「………は?」
「それで…それに気付いた私が思わず声を掛けてしまったんです。何しているんですかって。そうしたら城之内さんが逃げ出してしまって、追いかけたら廊下の奥の階段を凄い勢いで下り始めてしまって…。危ないから止まって下さいって何度も呼びかけたんですけど、そのまま逃げ続けてしまって…」
「ア…アイツ…。何馬鹿な事を…っ」
「そうしたら途中で階段を上がってきた別の患者さんに驚かれてしまって、そのまま足を滑らせて一気に下まで転げ落ちてしまったんです。呼びかけても返事が無かったので急いで先生を呼んで処置をして貰ったんですけど、左腕が骨折してしまっていて…。意識の方は軽い脳震盪ですぐに目を覚まされたのですが、本当に申し訳無い事を致しました…。全ては私の浅はかな行動故の…」
「いえいえ…っ! 別に看護師さんが悪い訳じゃないです!! あの親父が馬鹿な事をしたのがいけないんです」
「でも…」
「大丈夫ですよ。親父にとってもいい薬になったんじゃないですか?」
恐縮しっぱなしの看護師さんを安心させる為にニッコリ笑ってそう言うと、青い顔をしていた彼女は漸く安心したのか薄く微笑んでもう一度深く頭を下げた。
その看護師さんに後は任せてくれと伝えて、オレはもう一度病室に戻る。ベッドの前まで行くと、親父はブスッとした表情のままオレを睨み付けていた。それに呆れた様に溜息を吐きながら口を開く。
「何ふて腐れてんだよ…。自分が悪いんだろ? 入院中に酒とかありえないから」
「煩い! お前等が勝手にこんな場所に閉じ込めたんじゃないか!? 酒くらい自由に飲ませやがれ!!」
「その酒のせいで肝臓悪くしてブッ倒れたんじゃねーか。親父こそ自分の事ちゃんと分かってんのかよ!」
いつもの様にギャアギャアと騒がしく喧嘩していると、入り口から大きな薬缶をワゴンに載せたおばちゃんが入って来るのが見えた。
この病院はある一定の時間に、患者さんに無料でお茶を配るサービスがある。患者さんは自分が持って来た湯飲みやカップにそのおばちゃんから熱いほうじ茶を注いで貰うのだ。
おばちゃんは端から順々にお茶を配って歩き、やがて親父のベッドの前まで来た。オレはサイドテーブルに置いてあったマグカップを手に取っておばちゃんに差し出しすと、おばちゃんはにこやかな笑顔で「親子喧嘩も程々になさいね」と言いながらマグカップを受け取りほうじ茶を注いでくれた。
辺りにほうじ茶の香ばしい香りが漂って心が落ち着いていく。
オレはそれに「スミマセン。いつも迷惑をかけて」と言いながらカップを受け取ると、おばちゃんは「いいのよ」と笑いながら去っていった。
ほんの二言三言の短い会話。それでも今まで感じていた苛々がスッと治まって、オレは深く息を吐き出した。
親父の事はどうしようも無いとは思うけど、オレまでカリカリしてたら話にならない。ここはオレが一歩引いて落ち着いて言い聞かせないと…。そう思って笑顔を浮かべて振り返った。そして「ほら、これでも飲んで落ち着けよ」とほうじ茶の入ったマグカップを差し出す。
親父の右手が伸びてきて、オレの手からマグカップを受け取った。
そうだ…。親父がこれを飲んだらもう一度ちゃんと二人で会話しよう。骨折した事によって入院期間は伸びちまったが、落ち着いて話し合いをするには丁度良い。二人でちゃんと将来の事について話し合えば、きっと親父も分かってくれる。酒も止めてくれるし、仕事だってしてくれるだろう。そうしたら…今度こそ二人で仲良く暮らせるんだ…。
そう思って、親父がマグカップに口を付けるのを黙って見ていた。なのに突然…。
「………え?」
バシャリと突然熱い液体が顔に浴びせられた。一瞬何が起こったのか理解出来なくて呆然としてしまう。それが先程までマグカップに入っていたほうじ茶だと分かったのは、少し時間が経ってからの事だった。
「きゃぁっ! 克也君!!」
丁度様子を見に来ていたあの看護師さんがその現場を目撃して、慌てて駆け寄ってきた。
「大丈夫っ!? 火傷してない!?」
看護師さんの叫びにそろりと自分の顔に手を当ててみる。一瞬熱く感じたけど、マグカップが冷たかった為にお茶は大分冷めていたようで、幸い火傷はしていないみたいだった。
「大丈夫です」と答えながら顔を拭く為にズボンの尻ポケットを探る。だけどそこに入っている筈のタオルハンカチが見付からなくて首を傾げた。
代わりに看護師さんが貸してくれたハンカチで顔や髪の毛を拭きながら、再び暴れ出した親父を呆然と見ていた。看護師さんの呼びかけで他の看護師さんや、丁度診察に来ていた先生まで集まって来て皆で必死に親父を押さえつけていた。暴れて大声で喚く親父は、相変わらず何を言っているかサッパリ分からない。ただ時々「この馬鹿息子!」とか「役立たずが!」とか「恩知らず!」とか、そう言う言葉だけははっきりと聞こえてくる。
怒りはもう…沸いて来なかった。悲しくも…無かった。ただ、酷くむなしかった。
せっかく歩み寄って話し合いをしようと思ったのに…、それすら親父には届いていなかったんだ。
「克也君…? どこ行くの?」
看護師さんの心配そうな声が聞こえたけど、それに応える気力はもう残されてはいなかった。そのままフラフラと病室を出てエレベーターに乗り込む。一階に着いて出口へ向かい病院の外に出た。ポツッ…と額に何かが落ちてきて、何かと思って空を見上げた。
空はもう…真っ暗だった。
西の方角では既に稲光が発生してピカピカと何度も光り、それに続くようにゴロゴロゴロ…と遠くから雷鳴も聞こえる。未だ遠くにある雷雲も、もうすぐここまでやってくるだろう。通りを歩いている人も足早だった。
西から東に吹く生温い強風に押されるように歩いて帰る。この風の強さじゃ雷雲が運ばれてくるのも時間の問題だ。現に先に降り始めた雨は、既に傘が必要なくらいにまでなっている。だけどオレの足は未だに重く、走って帰ろうという気さえ起こらない。
今までのオレは親父の酒癖の悪さに呆れながらも、それでも何とか良好な親子関係を取り戻したくて頑張っていた。どんな酷い暴言や理不尽な暴力にも耐えて、本気で突き放したくなる一歩手前で何とか持ちこたえていたんだ。オレが耐える事で、いつかきっと親父の態度も改まるだろうと…そう信じて。
だけどそれも、先程の一件で全て崩れ落ちて消えてしまった。
親父の事はもう何も信じられなかった。いつかこの想いが親父に届くなんて…そんな甘い幻想はもう信じる事が出来なかった。
ふと…脳裏に一人の人物が浮かび上がる。
オレが親父に受けた以上に酷い暴言や理不尽な暴力にも耐えて、ただ黙ってオレを見詰めて従っている…アイツが。
「海馬…」
脳裏に描いた人物の名前をポツリと呟いた。
海馬は…オレ以上に酷い目に合っている。だけどどうして黙っていつまでもオレの言う通りに身体を差し出しているのか、理解出来なかった。
前にも思ったけど、アイツが逆にオレを黙らせる事なんて簡単なんだ。撮られた携帯の画像だって、KCの技術があれば即座に消す事が出来るだろう。
だけど海馬は何もしない。文句一つ言わず、オレに従うだけ。
それは一体何の為だ? 誰の為だ?
オレにはもう…答えが分かっていた。導き出された答えを無視する事は…もう出来なかった。
オレの為じゃないか!!
海馬はオレの為に、ずっと側にいてくれたんじゃないか!!
「っ…! 海馬ぁ…っ!」
今、無性に海馬に会いたかった。
だけど会ったとして一体どうすると言うのだろう。何も出来やしないじゃないか。何も言えないじゃないか。
目の前にいたらきっとまた手を出してしまう。だったら…オレに出来る事は一つだけだ。
海馬を…もう…解放しよう。
アイツが伸ばしてくる手を振り切って、もう二度と関わり合いにならない事。
それが海馬を自由にする唯一の方法だと、そう思った。
遠目に自分家がある団地が見えて来る頃には、もう雨は本降りになっていた。
発達した低気圧がもたらす雨は一粒一粒が重く大きく、ゆっくり歩いているオレの身体をあっという間にびしょ濡れにする。髪からも服からもボタボタと水滴が流れ落ち、余計に身体を重くした。
今だったら…泣いてもいいのかな…なんて事を思う。
雨にびしょ濡れの今だったら、きっと誰にも気付かれずに泣く事が出来るんじゃないかって。
だけどそんな考えは甘いんだと、すぐに思い知らされる事になった。
「なん…で…。海…馬…?」
やっとの思いで辿り着いた団地の軒下。
そこに見知った影が立ち尽くしているのが見えて思わず足を止めた。
そいつは青い透き通った瞳で、ただ黙ってオレを見詰めている。
泣く事は…出来なかった。
泣ける筈無いじゃんか。
オレが海馬の前で泣く事だけは、絶対に許されていない。
それがオレの身勝手で海馬を傷付け続けている…オレへの罰だから。
色々予定が詰まってきた二礼です、こんばんは。
お盆だ墓参りだ夏コミだと、今週はちょっと予定が多めです。
でも昨日夏コミのカタログチェック(ROM版なのですぐ終わる)をしていたら、普段二日目にあるジャンルとかが一日目に移動してたりして、逆に二日目に行くところが殆ど無くなっていました…。
本当に数える位しか無かったので、今回は思い切って一日目だけ行く事にしました。
もう大分歳取って来てねぇ…w 昔みたいな体力は無いんですよ…w
若い頃は朝一で現地まで行って開場までずっと並んでても全然平気だったし、その後十㎏を超える荷物を肩にしょっても余裕で家(当時は実家から行っていたので、片道一時間半の距離)に帰って、その後は夜中まで戦利品を読み耽っていてもちっとも眠くならなかったというのに…。
しかもカタログは冊子の奴を毎日持って行きましたw
凄かったな、あの頃の自分!!
今はもうダメっすね。
現地入りするのも開場した後からのノンビリコースだし、持って帰る荷物もガッツリ減ったし、何せ家に帰った後は眠くなっちゃって戦利品を読む間もなく眠ってしまいますw
若いっていいな…。
あの頃の自分はもう戻っては来ないのだ…w
長編『Rising sun』のAct.6をUPしました。
今回のお話で、起承転結の『転』の部分に入りました。
相変わらず酷い事されてますけど、一途な海馬を書くのは楽しくて仕方ありません。
普段一途なのは城之内の方なので、そのギャップがまた楽しいというか何というか…w
あと城之内の本心を語らせる為に、子供城之内を出してみました。
二礼の中では、子供=素直・率直 というイメージなので、思わずこういう出し方をしてしまうんですよね~。
そう言えば最初の長編の『勇気の証明』でも、子供海馬出しましたね。
あれはコンピューターウィルスの仮の姿でしたけど。
子供…可愛いですよねぇ…。
子供城之内と子供海馬でイチャイチャしてるのとか読んでみたいです(*´∀`*)
子供独特の柔らかい唇で、同じくらい柔らかくてふっくらしてるほっぺたにちゅうとか堪りませんwww
以下は拍手のお返事でございます~(´∀`)
>発芽米子様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')
『酒の力Ⅱ』の感想を、どうもありがとうございます~。
こちらこそお粗末様でした(´人`)
とりあえず首はくっつけといて下さいw
社長はやっぱりお酒には弱いイメージがありますよね~!
外見では分からなくても、実はベロンベロンになってるんだZE! みたいな(*'-')
そのイメージを増幅して、口調とかも酔っぱらい語に変換したのが『酒の力』だったんですけど、その酔っぱらい語にこんなに美味しい活用方法があったのは嬉しい誤算でした(*´∀`*)
お陰で私も書いてて凄く楽しかったですw
社長とは逆に、城之内君はお酒に強そうですよね~。
でも彼の父親が酒乱なんで、多分自分で量の加減をして飲んでいそうです。
発芽様の仰る通り、多分自分の適量っていうものもよく知っているんじゃないでしょうか。
でも社長から見たらその量も「十分じゃないか」と思えるような量だとは思いますけどねw
それでは今日はこれで失礼致します。
発芽様のところにもまた遊びに行かせて頂きますね~!
ではまた~(・∀・)ノシ
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『酒の力Ⅱ』と日記の感想をありがとうございます。
思った以上に変態な馬鹿ップルになってしまったのですが、気に入って下さったようで安心しましたw
私も久々に、甘々エロを書けて幸せでした…(*´д`*)
ちなみにやっぱりRosebank様は『花火が上がって消える瞬間=絶頂を迎えた瞬間』だと思ってらっしゃったんですねー!
遠慮なんてしなくて宜しいですのに…(´m`)
この次からはそのままのご感想をどうぞw
それと地震の事なんですが、私が住んでいる地域はそんなに揺れなかったので大丈夫です。
静岡の人達が大変なんだと思いますよ。
道路の復旧とかも時間がかかりそうですしね。
Rosebank様はあの阪神淡路大震災を体験なさっていたのですね…っ!!
私は関東住まいでしたのであの地震の揺れは知りませんが、朝起きてニュースを見て、全身の血の気が引いていった事だけはよく覚えています。
当時神戸に住んでいた友達がいるのですが、未だに小さい地震でも怖くて堪らないと言っています。
完全にトラウマになっちゃっているんですね…;
Rosebank様とは全く逆の意見で、同じ被災者でも受けた人によって感じ方が違うんだな…と思いました(*'-')
明日から墓参りだ夏コミだと色々と予定が詰まっていますが、健康に気をつけて頑張ろうと思っています(´∀`)
ご心配どうもありがとうございました~!
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
蒸し暑い夏の日の夕方。
放課後の誰もいない空き教室で、オレは今日も城之内に好き勝手に身体を使われていた。
自分で選んだ道だから最後まで耐えてみせるが、それでもやはり胸が痛む。
城之内がオレの事をただの性欲処理の道具としてしか見ていない事は、別に最初から分かっていた事なので平気だ。オレの心が痛むのは、城之内の心が全く救われていないからだった。
オレを犯す事で、怒りの衝動は抑えられている。だが…城之内の心は暗く重く沈んでいくばかり。
これではダメなのか? オレは間違っているのか? 合意の上でのこの行為は、お前に何の救いももたらさないというのか?
「何考えてんだよ。集中しろよ」
他の事を考えていたオレにむかついたのか、城之内が苛ついたように言った。
今オレは下半身だけを裸にされ、壁に手をついた状態で後ろに指を入れられている。行為に集中していなかった罰だとでも言うように体内の指をグリッと回転させられ、途端に感じた痛みに身体をビクつかせてしまった。
「いっ…! つぅ…っ!」
「ちゃんとオレに集中しろよ。じゃないとあの画像、どこに流れるか分からないぜ?」
「うっ…。んっ…!」
「あぁそれと。今日も九時にはバイトが終わるからな。いつもの時間にはオレん家の前にいろよ」
「わ…わかっ…た…。くっ…! あぅ…っ!!」
返事をすると唐突に指が引き抜かれ、代わりに城之内自身が無理矢理入ってくる。ガクガク震えて崩れ落ちそうになる足を何とか踏ん張って、背後の城之内の動きに耐えていた。
城之内はオレの腰を掴んで、いつものように闇雲に腰を振りオレの体内を抉っていく。荒い呼吸音が背後から聞こえ、それに合わせてずっと「壊れろ…っ。壊れろ…っ。壊れてしまえ…っ!」とまるで呪文のような呟きが漏れていた。
壊れろ…か。
城之内…。お前の壊したいものとは一体何だ?
それはお前が今犯しているオレの身体か? オレの心か? 何度も病院で暴れてお前に迷惑をかけ続ける貴様の親父か? それとも今の状況そのものか?
「うっ…! うぅ…っ! ひぐっ!」
快感なんて一度も感じた事は無い。痛みと苦しみに翻弄されつつ、空き教室の壁紙に爪をたてる事で必死に耐えた。
城之内とのこの行為は、いつも苦痛で彩られていた。気持ちいいだなんてただの一度も思った事は無いが、それでもオレも男だから、射精を促す触り方をされれば簡単に達してしまう。
快感の伴わない射精ほど辛く感じるものはない。だがオレのそんな姿を見て、城之内はいつも笑って揶揄した。
「イクって事は、やっぱりお前も気持ちいいって事なんだろう? 無理矢理犯られてイクなんて…この変態が!!」…と。
別にその悪態事態は不快に感じた事は無い。そう言う城之内が、何故か少し安心したように見えるから。
城之内は自分が壊れかけている事を、もう知っているのかもしれないな…と思った。
だからオレにも壊れて欲しいのだ。壊れろ壊れろと呪文のように何度も呟き、オレが少しでも壊れたように見えるとそれを喜ぶ。まるで同類を見付けたかのように。
それだからこそ、オレは城之内を見捨てられない。彼のその行為は、何よりもオレとの繋がりを求めているものだと知っているから。
城之内がオレに示すその執着心だけが、今のオレにとっての唯一の希望だったのだ。
前後に揺さぶられながら、霞んだ視界で教室を見渡す。
夕日の差し込んできたその教室には自分達以外誰の気配も感じられず、扉を隔てた廊下にも他の人間が通る事は無い。
校舎の一番端にある被服準備室。そこが今オレ達が使っている場所だった。
そういえば、城之内はこういう誰もいない場所を見つけ出すのが得意だったな…と、半分朦朧としてきた意識の中で考える。
元々城之内は、よく授業をサボる事で有名だった。どの時間帯のどの場所が安全なのか、完璧に熟知していたんだろうな。本来は授業をサボって眠る為のその能力は今や全く違う事に使われているが、お陰で誰にも知られる事無くこの関係は続いている。
「っ…! はぁ…っ!」
ガツガツとオレの体内を抉っている城之内がブルリと身震いするのを感じて、オレは慌てて振り返った。
城之内の限界が近い。だが今日は、中で出される訳にはいかなかった。
「城之内…っ! 中は…やめ…て…くれ…っ!」
「いやだね。何でお前の言う事訊かなきゃなんねーんだよ」
「頼む…っ! この場所じゃ中の処理が出来ない…っ! 頼むから…外で…っ!」
「うるせーよ!! 黙って犯られてろよ!!」
「頼む…城之内! お願いだから…外に出してくれ…っ!」
嫌々と必死で訴えかけると、背後で盛大な溜息を漏らした後、城之内がオレの体内から出て行った。
ホッとするのも束の間、髪を鷲掴みにされ床に引き倒される。何事かと思って見上げれば、目の前に先程まで自分の体内に治まっていた城之内のペニスが突きつけられていた。
「仕方ねーな。こっちで我慢してやるから、ほら口開けろよ」
城之内の言っている意味がよく分からなくて呆然と彼を見上げる。オレのその態度に苛ついたのか、顔を引き攣らせて城之内が吐き捨てた。
「中がダメなら口でやれって言ってんだよ。こんぐらい知ってんだろ」
「冗…談…なのだろう…? 城之内…」
「何で冗談なんだよ。オレは本気だぜ。ほら、さっさとやらねーと無理矢理突っ込むぞ」
「あ………っ」
「それとも何か? 今の今までテメェのケツの穴の中に入ってたモノなんて汚くてしゃぶれないってヤツか? 我が儘言ってんじゃねーぞ! ほら、早くやれってば!!」
濡れたペニスの先端を無理矢理頬に突きつけられ、オレは諦めて恐る恐る口を開けた。それを見て取った城之内がオレの口の中にペニスを押し込んでくる。
口一杯に熱い肉が入り込んで呼吸が出来なくて苦しい。仕方無く鼻で空気を吸い込むと、独特の生臭い匂いが鼻孔を刺して一瞬吐きそうになった。目を強く瞑る事でその衝動をやり過ごす。喉を強く圧迫されるのが辛くて、涙がボロボロと零れ落ちていった。
「ぐっ…! むぐぅ…っ!」
「吐くんじゃねーぞ。ちゃんと舌絡めて吸い上げな」
「ふぐっ…! んんっ!」
「あぁ、ついでだ。お前自分で扱いてイッてみな。頭はオレが支えててやるからさ」
「んっ…! むぅ…ぐっ…ん!!」
「やれって言ってんだよ! 出来んだろ?」
城之内の両手に頭を鷲掴みにされ、無理矢理前後に動かされた。喉奥にペニスの先端が突き刺さる度に嘔吐いてしまって涙が零れる。それでもオレは抵抗は一切せず、口の中の熱い塊を吸い上げつつ自分のペニスに手を伸ばし指を絡めた。
床に尻を直に付ける形でペタリと座り込み、上の口で城之内のペニスを銜え、自分のペニスを自分で慰めて擦る。その異様な事態にオレも少なからず興奮していた。
顔が熱くなったのを感じ、そんなオレの様子を見ていた城之内もその事に気付いたようだった。
「何? もしかして気持ちいいの?」
ニヤニヤしながらそんな事を聞いてくる。
厳密に言えば気持ちいい訳ではなかった。相変わらず口一杯に城之内のペニスを頬張っている為に呼吸はままならず苦しかったし、独特の匂いが吐き気を催す。自分自身への刺激だって自慰をしているのと同じだったから、そんなに気持ちいいという訳では無い。
それでもオレは興奮していたのだ。
快感と興奮は良く似ているけれど、やはり別物なのだな…と頭の片隅で冷静に考える。
口の端から大量の唾液を零しながら夢中になって城之内のペニスを啜っていると、オレの興奮を快感と勘違いした城之内が至極嬉しそうな顔をしながら笑って言った。
「ははっ…! 海馬が…あの海馬瀬人が…、自分でオナりながらオレのを口に銜えて…よがっているだなんて…っ。最高だ…っ! 本当に…最高の気分だ…っ!!」
そうか…最高か…。それは良かったな…。
だが嬉しそうなその表情の影に、いつもの悲しそうなお前が見えるのはオレの気のせいなのだろうか?
自分で扱いているペニスの限界が近付いてきて、嫌でも息が荒くなっていく。その結果、取り込む酸素が足りなくなって頭の中がクラクラし出した。
キーンと耳鳴りがし、そろそろ限界だ…と思った時だった。ふと誰かに呼ばれたような気がしてそっと目を開く。
霞む視界の先に捉えたのは、小さな子供の姿だった。城之内の身体の向こうの物陰に隠れるようにして泣いている。真っ赤な瞳を何度も手の甲で擦っているが、涙は止まらずふっくらした頬に幾筋もの涙の跡を残していた。
(城之内…?)
よく見たら、その子供は城之内そっくりだった。
小さな小さな城之内が、物陰で泣きながらオレを心配そうに見詰めている。
何故こんなものが見えるのか。
不思議に思ってもう一度しっかり見ようと思った時だった。
突然口の中に大量の精液が溢れて目を剥いた。思わず顔を引いて口からペニスを吐き出すと、残りの精液が顔にかかってくる。
生暖かくて生臭い白い液体を大量に浴びながら、オレも自分の精を解き放った。
「くっ…ぁ…っ! っ…! ケホッ…! ゲホッ…ゴホッ…!」
頭の中が真っ白になり、呼吸困難に陥ってオレは激しく咳き込みつつその場に倒れ込んだ。
心臓がバクバクと激しく鳴り響き、酸素を取り込もうとしている肺が痛い。
身体を横にしたまま荒い呼吸を続けていたら、視界の端に小さな足が見えた。視線だけでそのまま見上げると、先程の小さな城之内が泣きながらオレを見下ろしている。身体が半分透き通っているのが分かったが、何故が少しも怖くは無かった。
(お前は…誰だ…?)
心の中でそう問いかけると、小さな声で(じょうのうち…かつや…)と返事が返ってきた。
(何故…泣いているんだ?)
(だって…オレ…かいばにひどいことした…。いまだって…こんな…)
(オレを心配しているのか? 別にこんな事は大した事では無い。大丈夫だ)
(だいじょうぶじゃない。だってかいばはいつもないてる…くるしんでる…)
(お前…)
(ほんとうはこんなことしたくないのに…。かいばをなかせたくなんかないのに…。オレ…どうしてもとめられない)
(城之内…お前は…)
(おねがい…。オレをきらいにならないで…っ。オレをみすてないで…っ。オレを…たすけて…っ。おねがいだよ…っ!)
両手の甲で流れる涙を拭いながらわんわん泣く小さな子供を、オレは心から愛しいと思った。
彼を安心させたくてそっと手を伸ばす。半透明の彼に触れる事は叶わなかったが。
(大丈夫だからそんなに泣くな…。嫌いになんかならない。見捨てたりなんかしない。絶対にお前を助ける。約束するから…)
(ほんとう…?)
(あぁ、本当だ。だから…)
「泣くな…」
震える手を伸ばしながらそう呟く。
壁際に呆然と座り込んでいた城之内が振り返ってオレを見詰め、そしてクシャリと顔を歪めた。いつものように涙を流しはしなかったが、その泣きそうな表情はなかなか元には戻らない。
小さな子供の城之内の姿はもうどこにも見えなかった。
だがオレは知っていた。彼はちゃんとそこにいる事を。
もしかしたらアレは、疲弊したオレの心が見せたただの幻影だったのかもしれない。だがそんな事はどうでも良かった。何故かオレには分かっていたんだ。
城之内が心の底に押し込めてきた本音。それが多分あの小さな城之内の正体なのだろう。
今までは上手く隠してきたものが、もう隠し通せなくなってきている。それは城之内の精神が綻び始めた証拠でもあった。
もう少しだ…と確信する。
城之内自身も、このままではいけないんだと思い始めているのだろう。自分自身で変わろうとしている。その事に表の意識は気付いていなくとも。
「城之内…」
あの小さい城之内では無くて、現実の目の前で泣きそうになっている同い年の男へ手を伸ばした。
実体を持つ彼の身体に触れて、そして優しく抱き締めてやる為に。
だがオレの手が城之内に触れる直前に、突如部屋内に軽快なメロディーが流れ始めた。それが携帯の着信音だと気付いたのは、目の前の城之内がポケットから携帯を取り出して話し始めたからだった。
せっかく伸ばした手を引っ込めながら、それでもオレは焦ってはいなかった。
ここまで来ればもう大丈夫だ…。時間はたっぷりあるのだし、あとは少しずつ城之内の心を癒していけばいいだけ…。
そう思って城之内の電話が終わるのを待っていたのだが、突然耳に入ってきた会話に意識が持っていかれる。
「骨折って…っ。意識不明ってどういう事ですか…っ? 一体何があったんですか…っ!?」
城之内の悲痛な叫びが聞こえてきて、オレも身体を硬くしてしまった。
彼を抱き締める為の手は届かない。
せっかく縮んだ距離が再び開いていくのを感じて、オレは気が遠くなった。
地震が多くてガクブルな二礼です、こんばんは。
今朝は大変でしたね…。
静岡辺りにお住まいの方は大丈夫でしたでしょうか?
関東では日曜日の夜にも強めの地震があって、今朝も地震に起こされて思わず「またか…」と思ってしまいました。
日曜日の地震よりは揺れていなかったので、それで安心して寝直してしまったのですが…。
朝起きてビックリしました;
まさか静岡の方で震度6弱の大地震だったとは…;
高速道路とかも崩落してしまっているらしいし、お盆を前にしたこの時期ですので、お盆とか帰省とか旅行とか夏コミとかで移動する方は大変そうです。
なるべく安全面を優先して移動して欲しいと思います。
それにしても、最近地震が多くて怖いですねぇ…;
関東大震災も富士山の噴火も、もういつ起こってもおかしくない年代らしいので、今か今かとビクビクしています。
思わず今日は防災リュックの中身を確かめてしまいました(´∀`;
乾パン…賞味期限半年前に切れてた…orz
そろそろ入れ替えないとダメだな…こりゃ。
短編『酒の力Ⅱ』の後編をUPしました。
何か色々とやってみたかった物を詰め込んだら、酔っぱらい海馬がただの変態になりました。
いや、むしろこの場合は城之内が変態なのか…。
なんつーか…本当に申し訳無いです。
一度でいいから海馬に「おっぱい」とか「らめぇ…!」とか言って欲しかったんだ。ただそれだけだったんだ(´_ゝ`;
でもこの変態話は、個人的にいい気分転換になりました…w
最近はずっと『Rising sun』の方を書いていたので、シリアス展開にちょっと疲れてきていたんですよね…(´∀`;
いや、楽しいから別にいいんですがねw
たまにはこういう馬鹿ップル話も楽しくていいと思います!
以下は拍手レスになります~(*'-')
>8月10日14時台にコメントを下さった方へ
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『酒の力』を気に入って下さっていたようで、凄く嬉しいです!
どうもありがとうございます(*´∀`*)
ていうか、あんなお馬鹿なお話を好きと言って下さるなんて、こちらが恐縮してしまいます…。
今回も馬鹿ップル全開(しかもエロ有り)でしたが、大丈夫でしたでしょうか…?
呂律の回らない海馬を書くのは凄く楽しいので、私もお気に入りの話の一つなのですが、如何せん二人とも馬鹿過ぎるのが難点なんですよねぇ~w
こんな城海で良かったら、これからも読んでやって下さいませw
それではこれで失礼致します。
お暇な時にでもまた遊びに来て下さいませ~!
ではまた~(・∀・)ノシ
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')
『酒の力Ⅱ』と日記の感想をありがとうございます。
Rosebank様のコメントにもありましたが、この話は私にとってもまさにオアシスになりましたw
『Rising sun』は書いてて凄く楽しいんですが、やっぱりシリアスがずっと続くので疲れてきちゃうんですよね…。
そんな時に「呂律の回らない海馬をもう一回書きたい!」と思い立って今回の話を書いてみたのですが、思った以上に気分転換になって良かったです(´―`)
結果、いつも以上の馬鹿ップルになってしまいましたが、まぁ良しとしますw
楽しかったんでwww
それと小説内では敢えて書かなかったのですが、やっぱり童実野町で開かれる花火大会には絶対KCも協賛していますよねぇ~w
モクバの分だけじゃなくて多分海馬の分の特別席もしつらえてあった筈ですが、海馬はそれを蹴って敢えて城之内と二人で楽しむ道を選びました。
その結果が…アレだよ!!
(ちなみに空いた分の席には、モクバが友人を呼びました。勿論席数を大幅に増やしてw)
結果がどうであれ皆が幸せになったので、むしろコレで良かったんじゃないでしょうか?(´∀`)
次の日の朝に地獄を見た男が一人いたのは…まぁ仕方無いでしょうw
『Rising sun』の方も今頑張って書いています。
今回の海馬はとことん強いので、そこら辺に注目して頂ければ良いかと…。
『素質』シリーズもそろそろ新しい話も書きたいのですが、今週はちょっと…時間が取れないのが残念です(´∀`;
(お盆の墓参りとか夏コミとかが…w)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
「んっ…! はぁ…っ」
お互いに服を全て脱ぎ捨てて、ベッドの上で絡み合った。そして海馬の白い肌に、点々と紅い跡を付けていく。首筋と、胸元と、鳩尾と、下腹と、脇腹にも。
その度に海馬はピクピク震えて甘い声を出す。
可愛いなぁ…本当に。
感嘆しながら一旦身体を元の位置に戻して、再び滑らかな胸元を舌で優しく舐め始めた。窓の外ではまだ花火が上がっていて、赤や青や緑や黄色の鮮やかな花が浮かんでは消えていく。その度に海馬の白い身体にもその色が映えて、余計に艶めかしく見えた。
「あっ…! あぁっ!」
白い胸の上で一際強く自己主張している紅い突起に辿りつき、それを口に銜えて強く吸うと大きな声が上がった。反対側の乳首にも指を当てて押し込むように愛撫する。海馬の身体がビクリと大きく跳ね、それまで微かな愛撫に流されていただけだった身体のスイッチが入ったのを感じた。
気持ち良い? と訊けば必死にコクコクと頷いてくる。
乳首好きだもんなぁ…とか思いながらも下半身も愛撫したくて一旦そこから離れると、海馬の手が伸びてきて髪の毛を鷲掴みにされた。
「ちょっ…! いたっ! 痛いって!! 何すんだよ海馬…っ」
「やら…っ。むね…もっと…っ!」
「へ?」
どうやらオレが乳首から離れたのがお気に召さなかったらしい。涙目でオレを睨み付けている海馬を見て、思わず口元に笑みが浮かんでしまった。
いつもは恥ずかしがって何かを言わせようとしても何にも言ってくれない海馬が、これだけ素直になっているんだ。男だったら意地悪したくなるってもんだろ?
オレはフフンと笑ってわざと身体を起こし、余裕を見せながら海馬に言った。
「そっかー。そう言えば海馬はおっぱい弄られるのが好きなんだったな」
「やっ…! おっぱ…い…じゃ…らい…っ!」
「おっぱいでしょ? ここ吸われるの、好きだもんなぁ」
「んっ…!!」
直接的な表現に真っ赤になってしまった海馬にニヤリと笑って、固く立ち上がっている乳首を指先でピンと弾いてやった。途端に口から漏れた甘い喘ぎに、オレも腰がズンと重くなるのを感じる。だけどまだまだだ。ちゃんと言葉で言わせないと。
「ちゃんとおっぱい吸って下さいってお強請りしてみな? そしたらやってやるから」
「やっ…。やら…」
「なんで? ちゅうちゅうされるの好きだろ?」
「す…き…らけど…」
「じゃぁ出来るよな? 言ってごらん。ほら」
「う~…っ」
「海馬?」
「オ…オレ…の…」
「ん?」
「オレ…の…。お、おっぱ…」
「うん」
「オレの…おっぱい…、ちゅうちゅうして…くれぇ…っ!」
………って、おいっ!!
オレは「おっぱい吸って下さい」とお強請りしろとは言ったが、「おっぱいちゅうちゅうして」とお強請りしろとは言ってないんだけど!!
下手な挑発なんかよりよっぽど強烈なその一言で、オレの頭と下半身にも一気に血が昇った。心臓がバクバクして、激しい血流にこめかみがピクピク痙攣する。それでも何とか自分を抑えて「よく出来ました」と答えて、海馬の胸に唇を寄せた。
フルリと期待に震える乳首を口に含んで、海馬が好きな様に舌を絡めて強く吸い上げた。
「んぁっ! ふぁ…っ。あぁ…んっ!」
先程と同じように片方を吸いながらもう片方を指で愛撫すると、ひっきりなしに海馬が喘ぐ。ちらりと見上げると、眉根を寄せ目の縁を真っ赤にしてボロボロ泣いていた。
あーもうこれ、完全にスイッチ入ってるよねぇ…。すっげー気持ち良さそう。
そう思ってオレはふと悪戯な考えが浮かんだ。
せっかく海馬に恥ずかしい台詞を言わせたんだ…。実はもう一つ、一度でいいから海馬に言わせたかった台詞があったんだ。それを実行するのは今がチャンス! いや、今しか無い!
ちなみにオレが海馬に言わせたい台詞っていうのは…ほら、アレだよアレ。ネットとかで有名な「らめぇ…っ!」ってヤツ。
今までの海馬は勿論そんな事言ってはくれないけどさ。こんだけ酔っぱらって、しかも呂律が怪しい今なら何とかなりそうな気がした。
そうと決まれば即実行がオレの心情だ。乳首を吸いながら腰を撫でていたもう片方の手を前に移動させ、すっかり勃ち上がって先走りの液を滲ませている海馬のペニスをそっと掴んだ。ピクリと震えて海馬が反応したけど、オレはそれを無視して手の中の熱い塊を扱き出す。いつもみたいに無理矢理快感を引き出すような強い愛撫じゃなくて、溢れてくる先走りの液を塗り付けるように鈴口を優しくクルクルと撫でた。
「ひっ…! あっ…あっ!!」
案の定、海馬が背を反らして喘いだ。
実は海馬、同時責めが弱いんだよね。
「やっ! あぁ…っ。一緒…に…は…しらい…れ…っ」
「一緒にされると気持ちいいくせに」
「や…らぁ…っ! あっ…んっ! うぁ…っ!」
お、「やら」って言った。もうちょっとだな。
何とか海馬に「らめぇ」と言って欲しくてわざと微弱な愛撫を続けていたら、海馬が更に泣きながら細かく痙攣しだした。オレの二の腕に爪を立てながらビクビクと震えて、唾液を零し始めた口をパクパクと開閉する。
そして…。
「あっあっ…! やっ…らめ…らっ!! じょ…ろ…うちぃ…っ! あっ…ら…めっ。らめっ。らめぇーっ!!」
強く叫ぶと同時にオレの手の中に吐き出される大量の白濁液。ブルブルと震えながら絶頂を迎えている海馬を見ながら、オレはゴクリと生唾を飲む。
それは…想像以上の…破壊力だった…。
もうこれ以上一分一秒たりとも我慢するのが嫌で、手の中に残る海馬の精液を使って後孔を性急に慣らす。無理矢理指を押し込んでも酔っぱらっているせいなのか、そこは案外すんなりとオレを受け入れた。
もう既に熱を持って収縮を繰り返すその場所をグチュグチュと音を立てて指を出し入れしていると、海馬がオレに向かって手を伸ばしてくる。そしていつもより高い声で懇願してきた。
「じょうろ…うち…。は…はやく…っ。も…う…ちょうらい…っ!!」
あーもう! コイツはどこまでオレを挑発すれば気が済むんだよ…っ!!
海馬の体内から指を引き抜いて、ガチガチに固くなった自分のペニスをそこに押し当てた。そしてそのまま勢いを付けて押し込めた。
「ひぁっ!! うぁ…っ! あぁ―――――――っ!!」
ガクガクと震える身体を押さえつけて、何度も何度も腰を叩き付ける。
余りの気持ちよさに身体が止まらない。いつもの様に行為の最中に海馬を気遣う余裕はどこにもなく、とにかく目の前のこの身体を滅茶苦茶にしたくて堪らなかった。
それはどうやらオレだけじゃなくて海馬も同じだったらしく、背中に回った手が強く抱き締めて来てそこに爪を立てられた。まるで二度と離さないとでもいうかのように、長い足もオレの腰に絡みついてくる。
「うくっ…! あっ…あぁっ! じょ…ろ…うちぃ…っ!!」
「ふっ…! 海…馬…っ!」
「も…っと…っ! もっと…もっと…っ! ひゃぁんっ!!」
「海馬…っ! 海馬…っ!」
「あぅ…っ! あぁんっ! あっ…、ぅ…くぁ…っ! ひあぁ――――――っ!!」
「海馬………っ!!」
オレに力一杯しがみついて身体を硬直させ達し、そして海馬は射精した。それに引き摺られるようにして、オレも海馬の体内に精を放つ。
頭の中は真っ白だった。まるで何かの閃光が走ったかのように。
ふいに…脳裏に先程見た花火が甦ってきた。
そうか…と一人で納得する。
花火が弾ける様は、この瞬間に良く似ていたんだ。
二人で高く高く昇り詰めて、最後は全てを解放する。オレはその瞬間が一番好きだった。二人で生きて、二人で愛し合っているって事が強く感じられたから。
腕の中の海馬は既に気を失って規則正しい呼吸を繰り返している。その汗ばんだ額にそっと口付けを落として、ブランケットを掛けてやった。そしてそっとベッドを降りて窓辺に近付く。夜空に花火はもう見えなかった。
あーあ…。せっかく花火大会を海馬と二人で楽しめると思ったのにな…。
少し残念に思いながらも、窓に映った自分の顔は実に楽しそうに笑っている。
「明日は久しぶりに二日酔いの看病だな。無茶した事を怒られないようにしないと」
目覚めてすぐの海馬の顔が容易に想像出来て、思わず声に出して笑ってしまった。慌てて振り返って確認してみるけど、海馬は先程と変わらない体勢のまま熟睡している。その姿にホッと安心して、胸を撫で下ろした。
時計を見上げるとまだ二十一時を過ぎたところだった。
オレは思い立って、屋上で一人酒を楽しむ為に脱ぎ捨てたシャツに袖を通す。
だってせっかくの酒や料理が勿体無いもんな。
楽しみにしていた花火を中断させられたんだから、せめて料理は全部食わせて貰うぜ。
部屋を出る直前に見た海馬の顔は安らかだった。
おやすみ、海馬。良い夢を。
明日には地獄が待っているんだから、せめて今だけはゆっくり眠っておけ。
そう小さく呟いて、オレは苦笑しながら扉を閉めた。
ちょっとしたおまけ
朝が来れば、地獄が待っている。
「おはよう海馬! 今日も良い天気だな!」
「う…うるさ…っ。余りでかい声を出すな…」
「何? 相変わらず頭痛いの?」
「分かってるならわざわざ聞くな…」
「あ、そうだ。冷たいお水を持って来たんだけど、いる?」
「あぁ…済まない…」
「お強請りは?」
「は…?」
「お水が欲しいってお強請りは?」
「………」
「昨日はあんなに上手にお強請り出来たのになぁー」
「くっ…! おのれ…この…凡骨が…っ! 死ねぇ―――っ!! っ…!! くぅ~~~っ!!」
「頭痛いのに大声で叫ぶなよ、海馬」
「煩いっ!! …っ!! っ~~~!!」
お大事に。
疲れが溜まって抜けない二礼です、こんばんは。
ただ暑いだけならまだしも、湿気が強いとベトベトして嫌ですよねぇ…;
この湿気が体力回復を遅らせている原因だと思います!!
ちなみに体力回復は遅れていますが、食欲は大分戻って参りました。
最近のお気に入りはセブンプレミアムのいか明太子です。
これならホカホカ御飯も美味しく食べられるんですよねぇ…(´¬`)
ビールのおつまみにも丁度良いし、重宝してます。
今日8月9日は、私の遠い親戚の命日でした。
親戚と言っても私は直接『彼女』に出会った事は無いし、また『彼女』の顔も白黒写真でしか知りません。
『彼女』は私の義祖母の妹、つまり義大叔母にあたる人です。
(義祖母は私の父の養母にあたる人で、つまり私とは直接血が繋がっていません)
今から64年前。まだ日本がアメリカと戦争をしていた頃。
三人姉妹の末っ子だった『彼女』は、地元の福岡から長崎の軍需工場へと出稼ぎに行っていました。
まだ18歳だった『彼女』。家族と離れて朝から晩まで工場で働き続けなければならない毎日は、どんなにか辛かった事でしょう。
今日から丁度64年前の8月9日午前11時02分。
『彼女』が働いていた工場があった地域に、一発の原子爆弾が落ちました。
福岡にいた私の義祖母とそのすぐ下の妹(次女)は「長崎に新型爆弾が落ちた」という報せを聞いて妹の事が心配になり、居ても立ってもいられずに直ぐさま長崎へ出発。
そして次の日の10日の昼頃には、もう長崎に辿り着いたそうです。
一面の焼け野原で必死に妹を捜しましたが、結局遺体すら見付かりませんでした。
直撃は受けなかったものの、まだ強い放射能が漂う長崎で何日も妹を捜し回って居たため、義祖母と義大叔母(次女の方)は二次被爆してしまいました。
(私が小さい頃、義祖母に被爆手帳を見せて貰って事があります)
『彼女』の遺体は結局見付かる事は無く、仕方無く義祖母達は工場跡地から小さな石ころを一つ拾ってきて、それをお墓に収める事にしました。
今でも福岡にあるお墓には、長崎から拾ってきた石ころが眠っています。
小さい頃、この話を義祖母に聞いた時、私は今一ピンと来ませんでした。
その後実際に長崎に行って原爆資料館を見学した時もただ「怖い」としか感じられなくて、『彼女』の死について深く考える事はしませんでした。
だけど大人になった今、毎年8月9日には義大叔母の事を少し考えてみます。
昭和20年8月9日午前11時02分に、たった18歳でこの世から消えてしまった義大叔母。
たった一つの小さな石ころに姿を代えて故郷で眠っている義大叔母。
余りにも遠い昔の出来事だし、血縁関係も無いので、私自身は哀しいという気持ちはありません。
ただ、とても可哀想だと思っています。
一年にたった一日だけでも『彼女』の事を思い出して上げる事が、『彼女』に対しての何よりの供養だと信じています。
短編『酒の力Ⅱ』の前編をUPしました。
最近ずっと長編ばかりだったので、以前の短編を掘り起こして続編を書いてみました。
今回の城海は二十歳を超えているので、堂々とお酒が呑めます(´∀`)
まぁ未成年だろうが二十歳を超えていようが、海馬が酒に弱いのは変わりませんが…w
でも花見の頃よりはずっとマシになっている筈です!
………多分(´―`;
あと今更ですが、ちょっとサイトの色を変えてみました。
夏だっていうのにピンクは暑苦しかったので…w
秋になれば戻すのでちょっとだけですが、これで少しでも涼しくなればいいなぁ。
ついでに『シリーズ』もののタグを作って、そこに素質シリーズとヘルクリシリーズを押し込めました。
この二つは以降はこちらで書きます。
素質は続き書くつもりだけど…、ヘルクリは…あるのかなぁ?w
あと、思ったより金魚がウザかったですw
可愛いw ウザ可愛いw
以下は拍手のお返事でございます!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(・∀・)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます。
Rosebank様はコメントで『海馬が有り得ない程「聖人化」していて~』と書かれていらっしゃいましたが、この話の海馬に関しては私自身意識して敢えて聖人っぽく書いているので、そう受け取られた事は間違いでは無いんです(´―`)
この話は究極慈愛系海馬による崩壊系城之内の救出物語ですので、若干人間臭くないところには目を瞑って頂けると嬉しいですw
ていうかですね。いつものような人間臭い海馬だと、この話はとてもじゃないけど無理だったんですよ。
それこそストレスや何やらであっという間にダウンしてしまって、城之内を救うどころの話じゃ無くなってしまうんです。
怒りをぶつける相手がいなくなった城之内はどんどん壊れていってしまうだろうし、その報せを聞いた海馬はますます落ち込んでしまうだろうし…w
そうなると全く話が纏まらなくなるので、海馬にはいつも以上に頑丈になって貰いました(*'-')
体力的にも、精神的にもね。
あと今の状態で海馬に居なくなられる(Rosebank様曰く海馬が倒れたりする状況)と、城之内は反省するどころか、多分更に壊れていってしまうでしょう。
城之内が海馬の事を心配して反省出来るのは、その城之内にまだ理性が生きている場合に限ります。
ところが『Rising sun』のこの城之内は完全に壊れてしまっていて、理性も殆ど死んでいる状態なんですよ。
海馬が本気で倒れたりしたら、多分自分がやった罪に耐えきれなくなって押し潰され、それこそ本気で再起不能になってしまうと思います。
そういう結果は『Rising sun』の海馬の本意では無いんですよ。
彼の目的はあくまでも『城之内を救う事』なんで。
これがすごーく長い話だったらそういうのも有りだとは思うんですが、思ったよりコンパクトに纏めてしまったので決着も早々に付きそうです。
といっても、まだ暫くは続きそうですが…w
もうちょっとこの二人を見守ってて下さると嬉しいです(´∀`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
城之内×海馬。
城之内の一人称。
『酒の力』の続編になります。
『言葉の力』も前作にあたりますが、そっちを読んでなくても大丈夫なようになっています(´∀`)
大人になっても全く成長していない海馬を書いてみましたw
海馬が酒に弱いっていうのは、随分昔からよく知っていた。
まだ付き合い初めて半年くらいしか経っていなかった頃。怖くてなかなかオレとセックスを出来なかった自分に苛立った海馬は花見の席で無理に酒を飲み、そしてその結果、グデングデンに酔っぱらってしまった事があったのだ。
あの頃はまだ未成年だったし酒を飲み慣れていないというのもあったから、そんなものかと思っていたんだけどな…。
どうやら海馬は元々下戸だったらしく、二十歳を過ぎた今でも治ってはいない。食事の席に出される食前酒やワイン程度でもかなり酔っぱらってしまうのだ。
またコイツは質の悪い事に、酔っぱらっても顔に出ない。顔が赤くなったりすれば周りも気付くんだろうけど、少し目が潤むだけで一見すると素面に見えるから困る。
それでも酒を飲む機会が増えて大分慣れてきたんだろう。昔は酒を飲むと言葉の呂律が回らなくなっていたんだけど、最近は少しマシになってきた。海馬自身も自分が酒に弱い事はよく分かっているから、余り無理して飲まない事にしているらしい。
………の筈なんだけどなぁ。今、目の前にいる海馬は久しぶりにグデングデン状態になっていた。
今日は童実野港で行なわれる花火大会だった。
この辺り一帯でも特に大きな花火大会という事で、オレも毎年楽しみにしている行事の一つだ。いつもは朝早くから場所取りに行って、童実野港のど真ん中で友達と騒ぎながら見るんだけどさ。今年はたまたま海馬の仕事が手隙だった事もあって、二人で見る事にしたんだ。高台に位置する海馬邸の屋上は、童実野港を見下ろすのには最適な場所なんだ。会場からは少し離れてしまうけど、あの人混みの中で見るよりはずっと快適だったし、何より恋人である海馬と一緒に花火を眺められるのは最高の気分だった。
夕食やつまみは海馬邸のシェフが用意してくれるって言うから、オレは自分用の缶ビールを三本買って海馬邸に赴く。
メイドさんの案内に従って屋上に上がると、そこには既にテーブルと椅子のセットが置いてあって、美味そうな料理がいくつも並んでいた。
「遅かったな、凡骨」
日が落ちて辺りが暗くなっていく中、海馬はとっくにテーブルに付き何かを飲んでいた。って、どう見てもそれ…酒だよなぁ…。
「何飲んでんの?」
「ん? これか? シャンパンだ。アルコール度数はそんなに高くないから大丈夫だぞ」
「アルコール低くても何の関係もなく酔っぱらう奴が何言ってるんだよ」
「どうせ今日は他の人間には会わないんだ。別に構わないだろう」
「そういやモクバは? 一緒じゃねーの?」
「モクバは学校の友達と一緒に花火を見に行っている。特別に席を用意させたから、あっちも特に苦労はしていない筈だ」
「なるほどね」
オレはそう言って海馬の向かいの椅子に座り、持って来たコンビニ袋から缶ビールを取り出した。そこへすかさず海馬がグラスを差し出してくる。クーラーボックスの中に入っていたそれはキンキンに冷えていた。
本当にコイツは気が利くよなぁ…と感心しながらそれを「サンキュー」と言って受け取ると、プルトップを開けてビールをグラスの中に注ぎ入れた。泡が溢れるギリギリまで注ぎ入れて缶を置き、次いでグラスを掴んでグイッと一気に半分くらいまで飲み干す。日が暮れたといっても真夏の空気は生温い。じわりと汗を掻いていたその身体に、冷たいビールは最高に旨かった。
「くぅ~!! 染みるね~!! やっぱビールは旨いな!!」
「おっさん臭いぞ、城之内…」
「うるせーなぁ…。いいんだよ別に。旨いんだから」
テーブルの上にいくつも並べられた料理の中から枝豆を摘んで、鞘を半分口に銜えて中の豆を押し出す。絶妙な具合の塩加減が、ビールとマッチしていて最高に美味しかった。
美味い美味いと料理を楽しんでいるオレを横目に見ながら、海馬もシャンパンを片手にフルーツトマトのサラダを食べていた。暫く二人で飲み食いしていると、港の方から一発目の花火が上がる。それに続けとばかりに色とりどりの花火がいくつも夜空を飾って、オレ達は暫しその光景に見惚れた。
眩しい程の閃光が夜空に散って消えていく。その消える間際の光がどこかもの哀しく、それでいて人を惹き付けて放さない。それが何かに似ていると一瞬思ったが、何に似ているのかという事までは思い出せなかった。ただ目の前で繰り広げられる光のショーは、とても魅力的だった。
「綺麗だなー!」
「あぁ、そうだな」
二人して夜空にいくつも咲く大輪の花に目を奪われて、静かに言葉を交わし合う。視線はその美しい光景に釘付けだった。
だからこそ…オレは気付けなかった。
海馬が一本目のシャンパンを飲み干し、二本目のワインの瓶に手を伸ばした事を…。
夜空にはいまだに何発もの花火が上がっている。花火大会が始まってからまだ四十分程しか経っていないから、まだまだこれからというところだろう。だけど海馬は…既に限界を迎えていた。
一本目のビールを早々に飲み終わり、二本目も順調に空けて、三本目を手にする時にふと隣の海馬が妙に静かになっているのに気が付いて横を見たら…。
海馬君、テーブルに俯せになってウンウン唸っていました…。
「う~ん…。ちょっと…飲み過ぎ…た…」
「ちょっとって…。あーっ! お前このワイン!! いつの間に開けたんだよ!!」
「さっき…。シャンパンを飲み終わった時に…」
「うぇっ!? シャンパンもいつの間に飲んじゃったんだ…」
とりあえず完全に酔っぱらってしまった海馬をこのままにしておけなくて、部屋に連れて行こうと立ち上がって奴の側まで歩いていった。すっかり力を失ってダランダランになっている腕を掴むと、それを振り払おうとする。
「まだ…花火…見る…」
「うん、オレもまだ花火見たいけどさ。お前限界じゃん」
「限界じゃらい…。オレはまだいけるぞー!」
「うん、限界だね。呂律もオカシクなってきたしな」
掴んだ腕を首にかけてもう片方の手で海馬の腰のベルトを掴み、椅子から立ち上がらせる。何だかこの体勢が凄く懐かしかった。最初に海馬が酷く酔っぱらったあの花見の晩、オレはこうやってコイツを部屋まで連れて行った。そして辿り着いた部屋で、海馬は思いもしなかった行動に出たんだ。あの時は本当に驚いたけど、コイツのそんな行動がとても嬉しかったのを覚えている。
海馬が本当はオレとこういう関係になるのを望んでいないんじゃないかって、それまでは凄く不安だった。それが海馬のあの行動で、全ての不安は打ち消された。海馬のあの無茶な行動の裏にオレに対する気持ちが見え隠れしていて、それに気付いた時に心から幸せを感じたんだ。
あの時と同じように酔っぱらった海馬を部屋まで連れていって、そしてベッドに転がした。海馬が苦しく無いようにボタンを外してシャツを脱がせ、ベルトを取ってスラックスも足から引き抜く。
「今パジャマ持ってくるから、大人しくしてろよ」
オレは下着一枚になった海馬を放って置きつつ、勝手知ったる何とやらという感じでクローゼットからいつもの白いパジャマ一式を取り出した。それを持って戻って来ると海馬はいつの間にかベッドの上でボンヤリと座り込み、側に来たオレを黙って見詰めてきた。その目がかなり潤んでいるのを見て、オレは思わず苦笑してしまう。
「あーあ。ほら、やっぱり酔っぱらってるじゃんか。コレに着替えて早く寝ちまえ」
そう言ってパジャマを着せようと腕を取った時だった。その腕がスルリとオレの手から逃げていって、そのまま首に巻き付かれる。両腕でギュッと強く抱きつかれて、そのまま共にベッドに倒れ込んでしまった。
「か、海馬!? ちょっと…何してんの!」
「らいて…」
「はい?」
「したい…。らいて…」
そのまま酒臭い口が近付いて来て、無理矢理口付けられる。オレの口の中に少し冷たい舌が入り込んできて、口中を好き勝手にまさぐられた。
珍しく積極的な海馬のディープキスに翻弄されながら、オレの脳裏には再びあの花見の夜の出来事が浮かんでいた。
あの時、海馬はまだ未経験だった。だからどんなに誘惑されようとオレは流されず、そのまま海馬を眠らせて事無きを得たんだ。だけど今は事情が違う。あの花見の事件から三年以上の年月が経ち、オレ達はすっかり大人になった。恋人として過ごして来たこの三年間、セックスももう何度も経験している。だからオレは今、我慢をする必要が全く無いんだという事に気が付いた。
「あー…。ちょっと…海馬君? そんなに誘われたら、オレ我慢出来そうに無いんだけど?」
それでもそのまま襲うのは気が引けて一応そう言ってみるけど、海馬は潤んだ瞳でオレを睨み付けて来るだけだった。
「我慢するらー。わざわざこのオレが誘ってやっているんらぞー」
「それは分かっているんだけどね。お前今酔っぱらってるしさー、後で怒られるの嫌だもん」
「怒んらい!」
「本当に? 怒らない?」
「怒んらいから…して…」
そうかそうか。それなら安心してご要望に応えようかな。
オレは枕元の照明装置を弄り部屋を薄暗くすると、腕の中の白い身体をそっとベッドに横たえた。
ここは、城海を前提にしたヘルモス×クリティウスの為の連作ページです。
ヘルモスとクリティウスって誰? という方はこのままお帰りになるか、アニメのドーマ編を見てくる事をオススメします(´∀`)
この二人のラブラブっぷりが見てみたい! と仰る方は、このまま下の『読んでみる』から先へお進み下さいませ。
かなり甘いと思いますが…宜しいですか?
この『素質』というのは、ドM海馬によるドS要素を内包した城之内への逆調教シリーズになります。
他の話に比べて18禁要素がかなり高い上に、海馬がエロに対してかなり積極的です(´∀`;
そんな社長は嫌だぁー!! という方は、今すぐお逃げ下さいませ。
むしろ興味がありますと仰って下さる方は、ページを捲って次にお進み下さい。
心の準備は…宜しいですか?
目の前のマンションに落雷する瞬間を目撃した二礼です、こんばんは。
今二礼が使っているPCのモニターの向こうには窓があるんですが、道を挟んで建っているお向かいのマンションの避雷針に稲妻が落ちてくる瞬間を見事に目撃してしまいました…(´∀`;
二礼は昔から雷が全然平気な人なんですよ。
雷鳴とか稲妻とか、ワクワクしながらベランダから見るくらいなのでw
でも今回のは怖かったなぁ…。
空があっという間に暗くなったと思ったらバケツをひっくり返したような雨が降ってきて、天気が崩れるのは知っていたので余裕で見ていたら…。
ピガァッ!! ビシャァアァァッァン!!
だもんなぁ…w
目の前に落ちたから光と音の差が無くて響く響くw
ていうか目の前が真っ白になるというのを初めて経験しました。
雷すげぇーーー!!
やっぱ自然が最強だ!!
長編『Rising sun』のAct.5(Ver.海馬)をUPしました。
なるべく海馬を可哀想に書いているつもりなのですが、何だか全然可哀想に思えないんですよ。
別に海馬がこんな目に合っている事に「ざまぁw」とか思っている訳じゃなくて、劇中の海馬の意志が余りにも強くて、その強さに私自身が安心しているからだと思います。
とにかくこの話の海馬は鉄の意志を崩さず、城之内の事を「可哀想」だとは思っていても、自分の事はちっとも「可哀想」だとは思っていないんですよね。
これね、海馬が自分の事を「可哀想」だと思った瞬間、全てが終わってしまうんですよ。
だから『Rising sun』の海馬は、きっと最後までこの意志を貫き通すんだと思います。
それが決して自分を騙して無理をしている訳じゃなくて、ただただ城之内が好きで彼を救いたいという一心での行動だから、こっちも参っちゃうんですよねーw
何か今まで書いた海馬の中で、この海馬が一番格好良いような気がします…。
乙女なのは相変わらずですがw
以下は拍手のお返事になります~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます。
最初の長編『勇気の証明』や短編の『To you…』で城之内に言わせた「お前(海馬)を汚せる奴なんて~云々」という台詞は、私が海馬に思い描いていたイメージを台詞に現わしたものです。
海馬の物語を書こうと決めた時、彼は例えどんな困難にぶち当たったとしても、けっして汚れる事の無い高潔な魂の持ち主だと感じたんです。
一時期その歯車が壊れて上手く回らなかった時期もありましたが、それは決して汚れてしまった訳じゃ無いんですよね。
だからRosebank様がコメントで仰ってくれた『汚れなき乙女』というイメージは、まさしく私自身が海馬に抱いていたイメージそのものなんです(*'-')
何があっても、どんな事をされても、海馬はそのまま綺麗なままなんですよ。
『勇気の証明』はその事に気付いていない海馬に、城之内が気付かせて彼を救う話でした。
今やっている『Rising sun』はその事に気付いている海馬が、もう自分は真っ黒に汚れていると信じている城之内を救う話です。
あと『勇気の証明』では、城之内は海馬が自分で言っている汚れは全く見えないと言っていました。
逆に今回の『Rising sun』では、城之内が自分で言っている真っ黒な心は、海馬には見えていないんですよ。
海馬の存在性は変わらないのに、この二つの話は全くの正反対です。
似たような話なのに全く逆のパターンをやっているので、書いてて本当に面白いんですよね~(´∀`)
そう思って改めて見ると、『勇気の証明』って案外痛い&暗い話だったのね…と気付かされましたw
書いていた当時はそんな事思いもしませんでしたけどねw
それから日記ネタのコメントですが、『3時間待ちの3分治療』は上手い! と思いました…w
まさにそんな感じなんですよね…(´∀`;
確かに検査自体も面倒臭くて嫌なんですが、何が辛いって、その間の待ち時間が長いのが辛いんですよー!!
他の患者さん達に遠慮したり、自分の番号が映し出されるのを気にしてたりするので、ゆっくり休めませんしね。
まぁ定期的に自分の身体を調べて貰うという点では助かっているので、それ以上の文句は言えないんですけど(´―`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
>ラッコ様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')
どこかでお見かけしたと思ったら、発芽様のところだったんですね!!
言って下さってスッキリしましたw
私は基本的に甘々好きなので、どうしてもハッピーエンドの話ばかりになっちゃうんですよねぇ。
でも自分が好きでやっている事なので、これからも幸せ一杯なラブラブ城海を目指して書いていこうと思っています。
(今やっているのは微妙な感じですが…w)
お暇な時にでもいそいそと遊びに来て頂けたら幸せです~(*´д`*)
ていうかウチの社長はものすごーく乙女なんですけど…、こんなんで大丈夫ですか…?w
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
城之内の家の風呂場で温かいシャワーを頭から浴びる。深く息を吐き出して体内の処理をする為に、未だズクズクと痛みを訴えている場所に指を伸ばした。
あの体育館の用具室で城之内に犯されてから丁度二週間。
オレはあの携帯の画像をネタに、この狭い団地の一室に呼ばれては酷く犯される日が続いていた。
バイトや父親の見舞い等、城之内自身の予定もあるから毎日では無かったが、それでも既に何度も身体を貫かれている。
城之内のやっている事は決してセックスでは無い。
そこには愛の言葉も優しい気遣いも相手を思いやる気持ちも、何も無いからだ。あくまで合意の上での行為であるが、それでもレイプの一種である事は否めない。
風呂場に備え付けられている鏡を見上げる。頭上から降り注ぐシャワーの湯に全身びしょ濡れになっている己の姿が映っていた。その首には真っ赤な痣になってしまっている、城之内の指の痕。
くっきりと残っているその痕が、オレにはまるで助けを求めて必死に手を伸ばした城之内の深層心理そのものであるかのように感じられた。
そっとその痕を撫でながら瞳を閉じる。
モクバをアメリカに送り出しておいて良かったと心底思った。
一番最初に城之内に犯されたあの日、携帯に送られてきた画像を見てこんな事になるだろう事は既に予想が付いていた。
その日は何とか誤魔化しが聞いたが、聡いモクバの事だ。何度もこんな事になるようなら、いつかオレが置かれている状況を見破ってしまうに違いない。
この事がモクバにバレたらと思うと、オレは恐怖で身体が震えた。
オレが男に犯されている事実を知られる事が怖いんじゃない。それによってオレ自身が軽蔑される事も別に怖くは無い。むしろモクバの事だ…。オレの為を思って、オレを犯した相手を憎み、この状況を打破しようとするだろう。
オレが怖いのはそれだった。
モクバに…城之内を恨ませたくなかった。
オレと城之内がまだ犬猿の仲だった頃から、モクバは妙に城之内に懐いていた。当時のオレはそれを決して快く思って無かったのだが、今ならモクバの気持ちが分かる。
城之内の笑顔は…本当に救いだったのだ。
オレと同じ『兄』という視点でモクバを見ながらも、オレとは違う優しさと温もりと明るさでモクバの相手をしてくれていたのだ。
それがどんなにありがたかったか…。思えば城之内に対して恋愛感情を持つようになったのも、その頃からだったと思う。
オレとモクバに太陽をくれた城之内。
だからこそ、モクバにはこの事を知られる訳にはいかなかった。
丁度アメリカ支社で滞っていた業務があった為、その指揮を執る事を名目にモクバには一ヶ月間アメリカに行ってて貰う事にしたのだ。
小学校にはいつもの通りに長期の休学届を出し、信頼出来る部下とメイドを何名か付けてアメリカに送り出したのが十日前。お陰で今の状況をモクバに知られる事は無い。
それだけが今のオレの救いだった。
体内の処理を終えて、もう一度鏡を見る。
紅い指の痕は未だ首に残っている。
苦しかった。まさかあんな事をされるとは…思わなかった。
城之内の指が気道を締め付けるにつれ、頭の中心に流れ込む血流が大きくなる。
まるで全身の血管が破裂するかのように脈がドクドクと強く鳴り響き、こめかみが痙攣して自分の鼓動が煩く感じられた。
苦しくて、止めて欲しくて、思わず腕に爪を立てた時、城之内が何か言ったのが聞こえてきた。
「あぁ…締まってきた…っ。首を絞めるとアッチも締まるって本当だったんだな。ほら、もっと締め付けてみろよ。オレを気持ち良くさせてみろ…っ!!」
琥珀の瞳に狂気の色を浮かべて、城之内は笑ってそう言いオレの首を絞め続ける。だけど…何故なのだろうか…。彼の最後の叫びが必死に聞こえるのは…。
その叫びを聞いて、オレは抵抗する事を止めた。
どんなに口を大きく開けても酸素は入って来ず、頭の芯も指先も痺れ、激しい耳鳴りが不快だったけれど。
それでも霞む視界で自分を見下ろす城之内を精一杯に見詰めていた。
馬鹿だな…。
オレを殺しても何もいい事なんかありはしないのに。
お前を殺人犯にだけは…したくなかったんだがな。
大体この部屋はお前ん家だろう。
死体の処理とかどうするんだ。
オレは別にお前に殺されても構わない。
だが…それじゃダメだろう。
それじゃお前は救われない。
救いたい、救いたい、救いたい。
お前を…救いたい。
そう思ってずっと視線を外さずにいたら、城之内の顔がふいにグシャリと歪んだ。まるで泣き出す一歩手前のような顔で、必死な形相でオレを見て叫ぶ。
「そ…そんな…っ。そんな目で見るな…っ! そんな目でオレを見るなよ…っ!!」
あぁ…まただ…。また泣いている。
大丈夫だ…、そんなに怖がるな。
オレはお前を救いたいだけだ。
そう伝えたくて。でも言葉を発する事が出来なくて。
それでも涙も無く泣き続ける城之内を安心させたくて、口元に笑みを浮かべた。
メッセージが通じたのかどうか分からないが、城之内の手がオレの首からゆっくりと離れて行った。
喉を押さえつけていた圧迫感が無くなったというのに、オレの気道は呼吸の仕方を忘れてしまったかのようにそのままだった。
身体は既に酸素不足で痙攣を起こしているというのに、肺には一向に空気は送られて来ない。
苦しくて思わず口を開け閉めしていたら、城之内に顎を掴まれた。喉を開くようにグイッと上に向けられ、そして顔が近付いて来て唇が合わさる。
次の瞬間に肺に大量の気体が送られてきて、途端に麻痺した気道が己の役割を思い出した。
「グッ…! ガハッ…!! ッ…ゲホッ…!! ゲホゴホッ!!」
身体の要求に従って大量の酸素を一気に肺に取り入れた為、その衝撃に耐えきれなくて激しく咳き込んでしまう。
体内に城之内のペニスを入れたままだったので身体を丸める訳にもいかず、布団の上で身を捩りながら何とか衝動をやり過ごそうとした。
喉に手を当てて、敢えて意識的な呼吸を繰り返す。
そうする事で漸く落ち着いて来たオレを、城之内が呆れたような目で見ているのに気付いた。
「馬鹿だな…お前。ホント…何やってんだよ…」
城之内が小さく呟く。
だけどオレには分かっている。
この言葉はオレに向けられたものじゃない。
城之内自身に向けられた言葉だ。
城之内は自分が何をやっているのか、きちんと理解していた。ただ…その衝動が止められないだけだ。
誰にもぶつけられず、心の内に溜め込むだけだった怒りをオレに向ける事。それは今の城之内にとっては、何よりも必要な行為だった。
その事は…よく分かっている。
だが、一体どこまで耐えられるだろう?
現に今日、殺されかけたというのに…。
城之内を救えないまま、この役割を放り出す事だけはしたくなかった。
風呂から出てタオルで身体を拭き、脱ぎ捨ててあったシャツに袖を通す。洗面所の鏡を見れば、喉元に残った指型の痣が嫌でも目に入ってくる。鏡の中の自分に手を伸ばし、その紅い痣を指先で撫でた。そしてそのまま指を上に移動させ引き結んだ唇に辿りつき、左から右にかけてつっとなぞる。
あの時…初めて唇を合せた…。
厳密に言えばキスでは無かったが、その事に喜びを隠せない自分がいた。
「情けない…。あんな…事で…」
震えながら小さく呟く。
それでも嬉しかったのだ。
これから先も、何をされようと城之内の側を離れない自信が湧き出て来る程に。
洗面所から居間の方を覗き込むと。城之内が携帯で電話している姿が目に入ってくる。相手は多分アイツの妹だろう。
「うん。大丈夫だから」とか「お前も休めよ」とか「いつでも電話して来い」とか聞こえて来る。
何がいつでも電話して来いだ。そのせいで自分が参ってしまっては元も子も無いではないか。
未だ城之内に安らぎはやって来ない。彼を取り巻く状況は最悪なままだ。
救いは与えられず、このままでは城之内はまた壊れていくだけ。
だったら…。
「だったらオレが支えるまで」
携帯を片手に話を続けている丸まった背中に、誰にも聞かれる事の無い誓いを立てた。
城之内の明るい笑顔を、再び見られる事だけを信じて。
ヘトヘトな二礼です、こんばんは。
昨日は本当にすみませんでした…。
色々な方にご心配をおかけしてしまったようで…、何のUPもしていないのに大量に残された拍手数に涙が出そうでした…(⊃д⊂)
本当にありがとうございました~!
二礼は持病の関係で三ヶ月に一度の割合で大学病院に定期検診に行っているのですが、昨日はその検診日だったんです。
元々の病気の検査に加えて新規でお世話になる事になってしまった科に関しても検査が必要で、午前中から夕方までずーっと病院にいたんですよ。
全ての検査がパッパカ終わればこんなに疲れる事は無かったと思うのですが、一つ一つの検査の間にある待ち時間がまた辛くて…;
先生の診断→検査1→検査2→先生の診断→検査3→検査4→別の先生の診断→検査5→お会計
って感じで午前中の10時から拘束され、漸く全部終わったのは午後の3時半でした…orz
ちなみに→の部分には必然的に待ち時間が入りますw
わたしゃ人間ドックやりに来てるんじゃないんだyp!!
しかも研修生…。採血の跡が内出血してますよ? 勘弁して下さい;
そんな訳でヘトヘトになりつつ家に帰って来たのが、午後の5時過ぎの事。
帰りの電車に揺られながら「何か…気持ち悪い…(´_ゝ`;」と思っていたので、早速検温してみる事に。
結果。発熱…してました…orz
体調が良くなかったところに疲れが溜まって、熱を出してしまったようです。
これではまともな文章など書けないと諦めて、昨日は簡単な日記だけ書いてお休みさせて頂きました。
本当に申し訳ありませんでした。
ポンコツな身体が憎いです…(ギリギリ!)
でもお陰様で一晩ゆっくり寝たら熱が下がっていたので、今日は問題なくUP出来そうです(´∀`;
長編『Rising sun』のAct.4(Ver.城之内)をUPしました。
壊れた城之内君の凶行編です。
いや、一度首締めやってみたかっただけなんだ…w
せっかく陵辱系書いているんだし、普段やれない事をやってみたかったんです。
でもちょっと…暴力的過ぎたか…(´_ゝ`;
まぁいいや。書いてて楽しかったからw
以下は拍手レスでございます~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!
『STEP』と日記の感想をありがとうございます。
誤字の指摘、どうもありがとうございました。
全く気付きませんでした…w
『生徒』を『性と』とかって…。普段何打ってるかって話ですよね…(´∀`;
海馬が唐突に城之内とHしたい! と気付いたのは、地面に落ちたソフトクリームを見たからですw
多分本心では前々からしたいとは思っていたのでしょうが、彼はハグやキスが嬉しすぎて気付けなかったんでしょうね。
それがたまたま地面に落ちてデロ~ッと広がった白いクリームを見て、自分の本心に気付いてしまったと。そういう事なんです。
元々『STEP』は海馬の気持ちの先行で始まりました。
だから今やっと海馬がこの地点にいるという事は…。
城之内は一体どこら辺にいるんでしょうねぇ?(´―`)
そこら辺の話は次回に書きたいと思っています。
それから昨日休んだ事に対してのご心配の御言葉、ありがとうございました。
本当に嬉しかったです~!!(>_<)
何とか熱も下がりましたので、これからも頑張りますね!
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
>海鈴様
はぅ~!!
ご心配おかけして申し訳ありませんでした~!!(>_<)
元々夏バテで体調不良だった上に、上記のような事態が重なってしまってちょろっと熱を出してしまいました…(´∀`;
お陰様でゆっくり休めましたので、熱も下がりました。
ご心配の御言葉、本当に嬉しかったです~!!
どうもありがとうございました(*´д`*)
海鈴様の仰る通り沢山栄養をとって、これからも頑張っていこうと思っています!
やっぱり無理は…いけませんよねぇ…w
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
追伸…
以前セ/ブ/ン/イ/レ/ブ/ンのお好み焼きパンの話を日記で書いてらっしゃって、思わず笑ってしまいましたw
実は二礼、セ/ブ/ンの店員なもので…w
アレ、凄い人気なんですよ~!!
やっぱり美味しいですもんねぇ~(´¬`)
>ラッコ様
初めまして~! 小春日和にようこそです!!
拍手とコメント…というより、ご心配の御言葉どうもありがとうございました~!!
初めましてとご挨拶を致しましたが…。
多分私、ラッコ様のお名前はどこかでお見かけした事があります…w
私が具合が悪くなった経緯は上記に記した通りですが、一晩休ませて貰ったお陰で熱も下がりましたし、大分元気になりました(´∀`)
ご心配をおかけしてしまって、本当に申し訳ありませんでした。
これからも頑張って書いていきますので、お暇な時にでも遊びにいらっしゃって下さいませ~!!
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
「あっ…! つっう…。くっ…んっ!! うぁ…っ!!」
真っ暗な部屋の中で、肉と肉がぶつかり合う乾いた音と荒い息遣い、そして海馬の呻き声だけが響いている。
俯せになり腰だけを高く掲げた状態の海馬の体内を、オレはただ夢中で抉っていた。
ねっとりとした空気の中にパンッパンッという軽い音がリズミカルに響くのが、何だか妙におかしかった。
海馬はオレの布団の敷布を力一杯握りしめて、理不尽な性行為に黙って耐えている。
オレの暴力に対して海馬が何の抵抗も出来ないのには、一つの理由があった。
それはあの、体育館の用具室で撮った海馬の写真だ。
せっかく手に入れた脅しの材料を、オレが無視する筈なんてない。
今日もその画像を添付して海馬に送ってやった。
『九時にはバイトが終わるから、お前もそれまでには仕事終わらせてオレの家の前で待ってろ。無視したり逃げたりしようなんて考えるなよな。お前がそんな事しようとした日には、この画像を横流ししてやるからな。そのつもりでいろよ』
多少の文章の違いはあれど、オレはここ二週間程ずっとあの時の画像を利用して海馬を呼び出していた。
それに対して海馬から帰って来る返事はいつも『わかった』の一言だけ。
そしてオレが家に帰る頃には、海馬はいつもきっちりと玄関の前で待っていやがるんだ。これからオレに何されるのか分かっている筈なのに。
海馬は一度も逃げようとはせず、黙ってオレのストレス解消に付き合い続けている。
流石にここまで来るとオレは色々と違和感を感じ始めていた。
だってよく考えたら、コイツは海馬コーポレーションの社長なんだぜ。KCの技術力があればあんな携帯画像の一つや二つ、簡単に抹消出来る筈なんだ。それにオレの存在だって闇に葬る事くらい訳無いだろう。
なのに海馬はいつも黙ってオレに付き従う。
痛みに顔を歪め辛そうに涙を流しながら、オレが命令する事は何でもやった。
だからオレもそれを最大限に利用させて貰っている。
この行為が脅迫だと言う事は百も承知だ。こんな事を続けていたら、後々海馬に復讐される事も覚悟している。その復讐劇が今日か明日かと待ってはいるけど、未だにそれが実行された事は無かった。
今日も今日とて、海馬は黙ってオレに犯されている。
優しさも労りも何も無いやり方だから、オレを受け入れている海馬はさぞかし辛くて苦しいんだろうな。今も苦しげな呻き声を上げながら、歯を食いしばりつつ必死で耐えていた。
オレは海馬とこんな関係になって、今まで一度も奴の喘ぎ声というものを聞いた事が無い。海馬から聞こえるのは、ただ痛みや苦しみを耐える呻き声ばかりだ。
そりゃそうだ。気持ちいい事なんて何一つやってないんだから。
ただその呻き声を聞くと、重くのし掛かっていた重石が一つ一つ消えていく感じがした。
オレより苦しんでいる奴がここにいる。オレより酷い事をされている奴が目の前に居る。
そう思うと頭の中がスッとして身体が軽くなった。
海馬を犯す度に、オレはこれでまた自分の辛い状況と向き合えると感じていたんだ。
ただし心の中は違った。
それと反比例に黒く染まっていくのが分かる。
黒く黒く…ドス黒く、腐った血液のような汚い色に染まっていく。
オレの心はもう真っ黒だ。
海馬と関係を持つ度に黒く染まっていくオレ自身。
それなのに、そんなオレに犯されている海馬はいつまでも真っ白で綺麗なままだった。
グチャグチャに汚してやりたくて、オレと同じ場所まで堕としてやりたくて、黒い汚い手で白い綺麗な身体に何度も触れる。
だけど海馬の身体には何一つ汚れが付く事は無い。
ずっと…ずっと…綺麗なままなんだ。
「くっ…!! ひぁっ…!!」
一度海馬の体内からペニスを引き摺りだして、その身体を仰向けに転がした。
大きく足を開かせてその間に割って入り、もう一度ペニスを半開きの後孔に突き刺す。
その衝撃で海馬は悲鳴を上げて、ビクビクと大きく痙攣した。
瞼を開き、涙で濡れた青い瞳でオレを見上げている。
あぁ…綺麗だ…と思った。
潤んだ青い瞳も、強ばる白い顔も、紅潮した頬も、紅い唇も。
全部全部綺麗だった。
どうしてこんなに綺麗なんだ。こんなに必死で汚しているのに。何でコイツは汚れないんだ。どうしてオレのいる場所に堕ちて来ないんだ。
「じょ…の…うち…」
海馬が小さく囁きながら、オレの頬に両手を伸ばしてくる。
まただ。
海馬はオレと向かい合わせになると、いつもこうして頬に手を当てて優しく撫でてくる。そして息も絶え絶えの癖に、至極優しく「泣くな…」と囁くんだ。
泣いてなんかいない。何度も言うけど、泣いてんのはオレじゃなくてお前だから…っ!
そう言って拒絶するのに、海馬はオレの涙を拭おうとするその行動を止めようとはしなかった。
それに何故かオレは凄く苛立った。
海馬に泣くなと言われる度に余裕がなくなって、本当に泣きたくなってくる。
泣きたくなんか無い。涙なんて流したくは無い。
泣いたらもう…立ち上がれないような気がしたから。
今日はどうしてもその言葉が聞きたくなくて、オレはとっさに海馬の細い首に両手を絡みつかせた。そしてそのまま力を入れる。
「ぐっ…! っう…!!」
途端に目を大きく開き、信じられないような顔で海馬がオレを見た。
ざまぁみろ…!! これであの言葉は聞こえない。
流石の海馬もオレの両手首に爪を立てて抵抗してくる。
だけどそんなのは無視して、オレは更に両手に力を込めた。
「がっ…!! あっ…がっ…!!」
「あぁ…締まってきた…っ。首を絞めるとアッチも締まるって本当だったんだな。ほら、もっと締め付けてみろよ。オレを気持ち良くさせてみろ…っ!!」
叫ぶように言い放ってグイグイ首を絞めていると、ふいに手首に絡みついていた海馬の手がそっと離れていった。
その行動が理解出来なくて海馬の顔を覗き込むと、溜まった涙を幾筋も零しながら濁ってきた瞳でオレを見詰めていた。
空気を取り込もうと大きく開けた口からは大量の唾液が流れ落ち、いつもは透き通るような白目が紅く充血していく様が見えているのに。
青い瞳だけは綺麗なままで…まるでオレを慈しむかのように見詰めている。
「そ…そんな…っ。そんな目で見るな…っ! そんな目でオレを見るなよ…っ!!」
目線を外す事が出来ずに思わず叫ぶ。
だけど海馬はオレから視線を外さない。それどころか口元に微かに笑みを浮かべていた。
それを呆然と見ていたらその美しい瞳から光が消えかけていくのが見えて、ただのガラス玉になる直前にオレは慌てて両手を外した。
気道を塞いでいた圧力はもう無くなった筈なのに、目の前の海馬はまるで呼吸の仕方を忘れてしまったかのように息をしない。
ピクピクと震えて、まるで陸に上がった魚のように口をパクパクさせている。
青い瞳の縁に盛り上がった滴が再び眦から零れ落ちるのを見て取って、オレは海馬の顎を掴んでグイッと上に反らせた。
大きく息を吸い込んで開かれたままの唇に自分の口を合わせる。そしてフーッと海馬の肺に直接息を吹き込んだ。
「グッ…! ガハッ…!! ッ…ゲホッ…!! ゲホゴホッ!!」
衝撃に半身を捩りながら、海馬が激しく咳き込み呼吸を取り戻す。
海馬が咳き込む度にオレのペニスも不規則に締め付けられて快感を感じたけど、心はどこか冷めたままだった。
指の痕が真っ赤に付いた首筋に手を当てて、ヒューゼェーヒューゼェーとまるで喘息の時のような音を立てて必死で肺に酸素を取り込んでいる。
何やってんだよ…海馬。そんな苦しい思いしてまで我慢してんじゃねーよ…。意味分かんねー…。
海馬の行動が理解出来なかった。
オレにこれだけ酷い目に合わされても逃げようとすらせず、ただ黙って従う海馬の事が分からなかった。
「馬鹿だな…お前。ホント…何やってんだよ…」
本当は分かっていた。
馬鹿なのは海馬じゃない。このオレだ…。
でも、そう言わずにはいられなかったんだ…。
本日、朝から色々と予定が詰まっておりまして何も出来ませんでした…。
体調も余り思わしくありませんので、今日は無理しない事にします。
大変申し訳ありませんが、本日のUPはお休みさせて下さいませ。
明日はちゃんとUP出来ると思います!!
頂いた拍手コメントのお返事は明日改めて致します。
すいません本当にすいません…;
胸が痛い…(´;ω;`)
昨夜花火を見に行ってきた二礼です、こんばんは。
地元で結構大きな花火大会が行なわれていましてね、毎年楽しみにしているんです。
今年も相棒や友人達と一緒に見に行く事に。
朝一で場所取りも済ませてあったので(主に相棒がw)、バイトを早退してお握り握ったり枝豆茹でたり卵焼きを焼いたりして出発。
今年は本当に涼しかったので、待っている間も凄く楽でした~。
(むしろ、夜は半袖だと寒かった…;)
で、19時過ぎに問題無く始まり、期待通りの連射に大興奮!!
日本人はやっぱり花火ダネ!! と思いました(´∀`)
持って来た飲み物や食べ物を口にしながら花火を見ていたのですが、19時45分くらいに突然パッタリと上がらなくなり、その後約10分間に渡って中断してしまいました。
その場にいた時には何が起こったのか分からなかったのですが、帰って来てニュースを見てビックリ!!
花火の破片が客席の方に落ちてきて、ビニールシートが燃えたんだそうだ…w
でも、個人的にそのニュースを聞いたとき頭に浮かんだのは、「あーやっぱりね」という軽いものでした。
実は、その花火大会は打ち上げ場所が河原な為、凄く近くで花火が楽しめる事で有名なんです。
その迫力と演出(主に連射系)の素晴らしさで人気が高いのですが、打ち上げ場所がすぐ目の前の為、よく花火の破片が落ちてくるんですよね。
空中で破裂した際に真っ二つに別れた火薬を包んでいる紙の筒とかが、パッカーンと人の頭の上に降ってくるなんて、もはやいつもの事なんですよ。
花火が終わって家に帰ると、草履やサンダルを履いていた足が煤で真っ黒なんて事も常識です。
地元民や毎年見に来ている人はその事を良く知っている為、敢えて河原から離れて手前の土手や公園で見る事にしているんです。
なるべく近くで見ようとして河原にシートを貼るのは、殆どが初見の人達ばかりなんですよ。
軽い火傷をしてしまった方は可哀想だと思いますが、次からは手前で見る事をオススメします…(´∀`;
ついでに(相棒が)撮ってきた写真をUPします。
今年は風向きが悪くてすぐ煙ってしまって、余りいい写真が撮れませんでした…。
ちょっと連射すると空が真っ白になっちゃうんだもんなぁ…w
せっかくの連射も煙に半分埋もれてしまって、本当に惜しかったです。
来年はもっと綺麗に見られるといいな…(*'-')
長編『STEP』のすてっぷふぉーをUPしました。
本格的に城之内に恋愛し始めた海馬の話です。
今までは城之内を好きだと言っていても、半分は恋愛に憧れている感が強かったんだと思うんですよね。
それが今回の事件を切っ掛けに、城之内への気持ちが完全に一本になりました。
海馬はコレで本格的にスタートする事が出来ましたが、城之内は…どうなんでしょうねぇ?
その辺でちょっと色々やってみようと思っています(´∀`)
ちなみに今回は夏の情景を現わしたくて、なるべく淡々と書いてみました。
自分の頭の中に広がる風景を文字にするというのは、やっぱり難しいです…;
こういう情景を上手に読ませる事が出来る作家さんは、本当に凄いと思います!!
修行しなければ…っ!!
以下は拍手レスでございます~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!(´∀`)
『Rising sun』と日記の感想をありがとうございます。
フフフ…。
個人的には結局いつものパターンだなぁ…と思っていたですが、Rosebank様の推理の裏をかいたようでちょっと嬉しいと思ってみたりw
城之内に海馬をレイプさせる話を書こうと思った時に一番最初に気になったのが、事後の海馬の処遇でした。
城之内はレイプ犯(笑)なので傷ついた海馬を置いてそのまま帰ってしまうでしょうから、気にする事はありません。
問題は残された海馬をどうするか…だったんですよねー。
元々海馬が自分がレイプされる事を覚悟して城之内を呼び出すシーンは決まっていたんです。
だったら全てを覚悟した海馬が、その後も自分で何とか処理出来る場所が必要だって思ったんですよね。
だってあのまま帰ったりしたら、多分モクバや磯野なんかが大騒ぎして大事になってしまうと思うんですよ。
そうなると海馬の『城之内を救いたい』という目論見も全てパーになってしまいます。
海馬は城之内との事を表沙汰にはしたくないと思っていますからね。
なので真剣に色々と考えた結果が…体育館でした。
最終的には用具室という美味しい(笑)場所も提供出来ましたし、これで良かったと思っています(´∀`)
あと、夜明けは来ないと言っている城之内と、明けない夜は無いと言っている海馬は、今回やってみたかった対比の内の一つです。
レイプという一つの事柄を中心として、全く違う方向に向かっているベクトルを現わしてみたかったんです。
それがこの夜明けについての発言であり、夢や現実での相手の反応でした。
こういうのを上手く使って、最後まで書いていこうと思っています(*'-')
それから『ガ/ラ/ス/の/く/つ』をニ/コ/ニ/コ/動/画で聴いて下さったり、ピエタをググッて調べて下さったりしてありがとうございました~!
『ガ/ラ/ス/の/く/つ』は本当に素敵な曲ですよね~!
エロゲの曲ではありますが、元々存在したこの曲を元に後からゲームが作られたので、厳密に言えばエロゲの曲では無いんですけどねw
あとミケランジェロのピエタ像は本当に美しいです!!
学生時代に美術史で習いましたが、あのマリアの表情は慈悲そのものなんですよねー。
『Rising sun』では、そういう慈悲深い乙女海馬を書いていきたいと思っています。
どっちかって言うと、やっている事はマグダラのマリア(カトリック説)の方ですが…w
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
捲ったカレンダーに表示されているのは8月という大きな数字。
世間の学生達は夏休みの真っ最中だった。
とは言っても、夏休み中は全く学校に行かなくて良いという訳ではない。オレが通っている童実野高校の学生には、曰く『登校日』という至極面倒臭い行事が待っているのだ。
8月に入ってすぐの平日。予定通りに『登校日』は行なわれ、午前中だけの意味もない行事を終了させ、昼前には下校の許可が出て真夏の炎天下に放り出された。
この時間が一番暑いのにも関わらず…だ。
教師達は車で帰るから別に何とも思わないのだろうな。何が「寄り道せずに真っ直ぐ帰れ」だ。小学生でも無しに、そんなものは初めから無理な話というものだ。
それにしても今日は本当に暑い。
真夏の太陽がジリジリと地面を焼き、蝉の大合唱が耳に痛い程だ。
リムジンを呼び出せるオレは別に構わないが、徒歩で帰らなければならない一般生徒は大変だろうなと思う。
何故こんな暑い思いをしてわざわざ午前中だけの登校日に参加しなければならないのかと我ながら理不尽に思うが、まぁ無事に終わったので良しとしよう。
そう思って迎えの車を寄越す為に携帯を取り出した時だった。
「海馬、一緒に帰ろうぜ!」
オレと同じく真面目に登校日に来ていた城之内から、決して抗えぬ魅惑的な一言が投げかけられたのは…。
結局オレはリムジンで帰る事を諦めて、この炎天下の中、城之内と徒歩で帰っていた。
一瞬城之内と一緒にリムジンで帰ればいいのでは無いか…とも思ったが、それだと何故か物足りないような気がしたのだ。
真っ青な空、白い入道雲、灼熱の太陽、ぬるい微風、蝉の大合唱。それらを全身で感じながら、たわいもない会話をしながら日陰を選んで歩く。
暑くて仕方が無くて首筋や背中にビッショリと汗を掻きながら、それでもこの時間が楽しいと感じるのは何故なのだろうか。
それは今までのオレが知り得なかった、まったりと流れる時間を楽しむ行為だった。
ましてやその時間を好きな人間と一緒に楽しめるという事が、何より幸せだと感じる。暑いのは…少々辛かったが。
こめかみから流れてくる汗を手の甲で押さえながら「ふぅ…」と溜息をつくと、横にいた城之内が心配そうにして覗き込んでくる。
「辛そうだな、大丈夫か?」
「あぁ…大丈夫だ。少し暑いだけで」
「少し休憩すっか。すぐそこに小さな神社があって、裏の木陰にベンチがあるんだ。そこでアイス食おうぜ」
そう言って城之内はオレの手を掴み、主要道路から住宅地へ続く細い脇道へと入って行く。
少し歩くと小さな個人商店が見えてきて、城之内はそこの前で立ち止まった。そしてそのまま店の中に入って行き、冷凍ケースの前まで進むとその中を覗き込む。
ケースの蓋を開けて中からソーダアイスを取り出すと、後ろに立っていたオレを振り返る。
「奢ってやるよ。何がいい?」
何がいいと言われても…。アイスはクリーム系が好きなので、目に入った白いソフトクリーム型のアイスを指差した。
城之内は「オッケー!」と軽く答え、二つのアイスを持って奥に座っていた中年の女性に金を払い、再びオレを連れて店の外へ出た。
その個人商店の脇に伸びていた小道に入り更に進むと、奥に小さな裏山があるのが見えた。入り口に赤い鳥居があるのが見えるから、あれが城之内の言っていた神社なのだろう。
鳥居を潜り、二十段ほどの階段を上がって神社まで行く。周りにうっそうとした木々が生えている為、蝉の声が格段に大きくなった。
目の前に現れたのは、小さな無人の社だった。日陰に入った為にぬるい風も涼しく感じられ、他に人影もいないので落ち着いて過ごせそうだと安心する。
「海馬。こっちこっち」
手招きする城之内に着いていくと、確かに社の裏に小さなベンチが置いてあるのが見えた。
ベンチに座ってはぁ~っと大きく息を吐き出すと、城之内が持っていたビニール袋からガサガサ音を立ててオレのソフトクリームを取り出して「ほい」と手渡してきた。それをありがたく受け取って、透明なプラスチックカバーを外し口を付ける。
その途端、口の中に安いアイス独特の甘さが広がる。だけど少なからず疲労を覚えていたオレにとっては、その甘さが今は一番美味しかった。
シャクシャク音がするので横を見ると、城之内も既にソーダアイスを豪快に囓りながら食べていた。
「アイス、美味いな」
「そうだな」
「ここ、涼しいだろ」
「まぁな」
「オレのお気に入りの場所なんだ」
「そうか」
涼しい風に吹かれつつ、アイスを食べながら短い会話を繰り返す。他に聞こえて来るのは風が木々を揺らす葉擦れの音と蝉の唄だけだ。
「静かだな…」と思わず零すと「そうだな」と笑って城之内が返した。
城之内は既にソーダアイスを食べきってしまい、ベンチに背を預け手でパタパタと己の顔を仰いでいる。オレはそれを見ながら少しずつソフトクリームを食べていたのだが、やがて外の暑さに耐えきれなくなったのか、その形状が少しずつ崩れてきてしまった。
クリームの白い滴が流れ出し、持ち手のコーンの上を辿り、それを握っているオレの手に辿り着いて、まるで汗のようにツツーッと肘まで一気に流れていく。
それに気が付いて慌てて舌で舐めとると、斜めになったソフトクリームから滴がポタポタと零れ落ちた。
「あーあー、お前何やってんだよ」
それを見ていた城之内が呆れたようにそう言って、溶けかかったソフトクリームの上半分を一気に頬張った。「ほら、早く食っちまえ」という城之内に頷いて、オレは慌てて半分になったソフトクリームを食べ始める。
夢中でソフトクリームを頬張っていると、城之内がそれをじっと見詰めてくるのが目に入ってきた。
何だ? もう零してはいないぞ?
そう問いかけるつもりでこちらも視線を合わすと、目の前の城之内がゴクリと生唾を飲んだのが目に入ってくる。
「何だ?」
「何だって何が?」
「今じっと見ていただろう?」
「まぁな」
「ソフトクリーム、欲しいのか?」
「いや別に…。ていうか…クリーム付いてるぞ」
「ん? どこにだ?」
「下唇のとこだけど。あー、いいや。オレが取ってやる」
そう言うや否や、城之内はオレの顔を両手で包み込んだ。汗ばんだ手から体温がじんわりと伝わってきて、それが妙にドキドキする。
高鳴る心臓に全く対応出来ずにいたら、どんどん顔が近付いて来て下唇をベロリと舐められた。そしてそのまま深く唇を合せられる。
「んっ…! んぅ…ん…っ! ぅふ…っ!」
ソーダとクリームが混じったような甘い舌が入り込んできて、アイスのお陰で冷たくなった口の中を好き勝手にまさぐられた。
思わず手先から力が抜けて、殆どコーンだけになったそれをボトリと地面に落としてしまう。それを好都合とばかりに、オレはそのまま目の前の身体にしがみついた。
汗でしっとりと濡れた白いシャツを強く握りしめ、もっと欲しいとばかりに自分から城之内の唇に自らのそれを押し付ける。
一瞬強く風が吹いて、周りの木々がザワザワと音を立てるのが聞こえて来る。蝉の声もどこか遠くなったように感じた。
静かな神社の境内で、舌が絡み合う濡れた音と荒い息遣いだけが耳に入ってくる。
どれ位時間が経ったのだろうか…。城之内の顔がゆっくりと離れていった。全速力で走った直後のようにハァハァと荒く息をし、黙ってお互いを見つめ合う。
まるで口の中に残った味を確かめるように城之内がもう一度生唾を飲み込み、そして口を開いた。
「ソフトクリーム…落としちゃったな…」
「そう…だ…な…」
「勿体無かったな」
「いや…。別に構わない。殆ど食べたし…」
「また今度、買ってやるよ」
「あぁ…」
何だか妙に恥ずかしくて、城之内の顔をまともに見られない。口元に手を当ててベンチの下を見遣れば、落ちたソフトクリームには既に蟻が群がっていた。
地面に広がる白い液体があらぬ何かを想像させて、顔が一気に熱くなる。
今まではこれでいいと思っていた。
好きな人の側に恋人として寄り添って、抱き合って体温を確認して、そして深いキスをして愛を確かめ合える。それで十分だと思っていたのだ。
だがオレは、自分が本当に欲しいものが何かという事に唐突に気付いてしまった。
城之内が欲しかった。彼の全てが欲しかった。身体に纏わり付く全てのものを脱ぎ捨てて、彼と一つになりたかった。
そうか…。オレは城之内に…抱いて欲しかったのか…。
まるで夏の空気のような城之内の熱い掌に肩を抱かれながら、そんな事を考えている自分が恥ずかしくて堪らなくなった。
社の林を涼しい風が吹き抜ける。
だがその風は、上昇したオレの体温を下げる事は一向に出来はしなかった。