2010年6月アーカイブ

この物語は...

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『あの夏の日の君へ』のページにようこそ~!
ここは、『ちょっと不思議な夏を体験した城之内君』を中心にした物語のページになります。
注意書き…という程のものはありませんが、一応少しだけこの物語の特徴を書き出してみます。
 

  • 城之内×海馬で、城之内の一人称です。
  • 舞台は『現実の童実野町』ですが、分類分けとしてはパラレルファンタジーになります。
  • ついでに言うと、パラレルワールドものです。
  • 非ィ科学的な事象が蔓延してます。
  • 『主に出てくる海馬』が、城之内より年上です。


以上の事を踏まえた上でそれでも「読んでみたい!」と思われた方は、城之内と海馬が織りなす『非ィ科学的な物語』をどうぞ見守って下さいませ~!

こんなん出来ました~♪

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SAI勉強中の二礼です、こんばんは。

さてさて、この土日もお絵描きの勉強をしておりました。
小説を書きながらですのでそればっかりに集中する訳にはいきませんが、それでも何となくSAIに慣れてきたような気がします。

REMS』の散たんのブログを読んで下されば分かると思いますが、実は散海馬×しげみ之内(決して海城という意味では無くw)というW城海の絵に挑戦しておりました。
これです(クリックで大きくなります)↓

 jkw5.jpg

左が散たんの海馬、右が私の城之内です。
私と散たんの、色の塗り方の違いが分かりますでしょうか…?
まだ雑なんだなぁ…私;

絵の描き方やSAIの使い方にまだまだ慣れていないので物凄く時間が掛かるのですが、それでも何とかここまで塗る事が出来ました…!!
ふぅ~!! やれやれだZE!!
でも自分がどんどん慣れていくのを実感しますし、お絵描きはやっぱり楽しいのですv
気分転換にもなりますしね~!
今は同じ絵で別の塗り方に挑戦しています。
散たんの社長も、自分の線でなぞり直してやっています。
今週中…は無理かもしれませんが、来週には出来上がるといいな~(´∀`)

最近色んな事が出来るようになってきて、凄く楽しいです♪
勿論小説を疎かにしたりしないように、これからも頑張っていきたいと思っています!


長編『あの夏の日の君へ』に第一話をUPしました。
久しぶりの本格長編の始動です。
長編のネタは色々と書き留めてあったのですが、その中でも随分前からずっと温めていたネタをちゃんと形にする事に決めました。

舞台は一応『現実の童実野町』ですが、分類分けとしてはパラレルファタジーになります。
あと注意書きを見て頂ければ分かると思いますが、実はパラレルワールドものです。
以前も短編で『To you…』というパラレルワールドを題材にした話を書いたり、『Lost World』という城之内誕の長編でパラレルワールド的な何かを臭わせたりもしていましたが、今回はハッキリと『もう一つの城海』をテーマにした物語を書いていこうと思っています。
結構自分でも「難しいテーマかもしれない…」と思っていますが、何とか最後まで書き上げるつもりでいますので、生温く見守っていて下さいませ…w

それにしてもプロット…壮大になり過ぎたな…。
ちゃんと小さく纏めよう…;

第一話

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 その日、オレは酷く苛ついた気分で夕方の街を歩いていた。梅雨も終わり漸く夏らしい爽やかな天気が続き、更に夏休みまであともう少しだっていう一年中で一番楽しい時期の筈なのに…。それなのにオレの気分は最低最悪のままだった。いや、オレだって最初から気分が悪かったという訳では無い。つい先頃まではいい気分だった。ところがそのいい気持ちを恋人…海馬が台無しにしてくれやがったのだ。
 今日は金曜日で、明日は土曜日。珍しくオレのバイトのシフトが入って無かった事もあり、放課後まで学校に残っていた海馬にその事を話してみたんだ。明日は一緒にどこかに出掛けるか、もしくはオレん家かお前の屋敷でずっと一緒にいないかって。ところが海馬の奴は、突然とんでも無い事を言い出しやがった。

「残念だが、明日からアメリカ出張だ。今日の夜には出発しなければならん」
「………え?」
「戻ってくるのは一ヶ月後だな」
「はい? 一ヶ月…?」

 寝耳に水とはまさにこの事で、オレはそんな事全然知らなかったから唖然としてしまった。海馬が自分の仕事に関してオレに何も言わない事は知っていたし慣れっこだったけど、いくら何でもこういう話くらいはちゃんと伝えて欲しいと思う…。
 こんな事を考えてしまうのは、果たしてオレが贅沢だからなのだろうか?

「ちょっ…! 出張って…オレ何も聞いてねーよ!」
「そうだろうな。オレも何も話していないからな」
「そんな事いつ決まったんだよ! 突然か?」
「突然な訳無かろう。もう数日も前から決まっていた事だ」
「数日前!? 数日って突然じゃねーかよ!!」
「そうか?」
「そうだよ! 出張が決まっちまったモンは仕方ねーけどさ、でもどうしてそれをオレに言わないんだ!!」
「言ってどうするのだ。オレの仕事に貴様が口を挟む事など出来無い癖に」
「オレ達って…恋人同士だろ!?」
「恋人だからと言って、オレの仕事とお前とは何も関係が無い」

 聞けば聞くほど海馬の口から出る言い分に、オレは腹が立って仕方が無かった。

 分かって無い! コイツは本当に分かって無い!!

 オレが言ってるのはそういう事じゃ無いんだよ。お前の仕事にオレが口を挟めないなんて、そんなの当たり前だろう? 仕事の事で何かを言いたい訳じゃ無いんだよ。オレが言いたいのは、オレ達は恋人同士なのにどうしてそういう大事な予定を教えてくれないのかって事だ。
 オレ達は赤の他人ではない。友人同士でも無い。そのくらいの関係だったら、オレも煩くは言わなかったさ。でも縁あってオレ達は恋人同士になった。…まぁそれも、ほんの数週間前の事だけど。でも恋人には違い無い。キスもセックスもまだしてなくても、オレ達は間違い無く恋人同士だ。恋人ならば時間の許す限り側にいたいと思うし、相手の顔を見ていたいと思う。他愛の無い事でも色んなお喋りを楽しみたいし、出来れば少しでもいいから相手の身体に触れてみたいと思う。嬉しい事も悲しい事も好きな相手と共有出来ればと…オレなんかは常にそんな風に考えているというのに。

 海馬はちっともその事を分かってくれなかった。



 オレが海馬に告白したのは、梅雨に入った直後くらいだった。じとじとした気持ちの悪い日が続いていたんだけど、その日は朝から爽やかに晴れていた。そんな日にたまたま海馬が学校に来たのを見て、オレは何だかとても良い気分になったんだ。今だったら海馬に告白して振られても、大したショックにはならないだろうと…そう思った。
 心に決めたら即実行がオレの信念だから、早速行動に移す事にする。昼休みに海馬を誰も居ない校舎の外れに呼び出して、オレはそれまでずっと抱えていた気持ちを告白した。
 告白したからと言って、別に海馬と恋人として付き合いと望んでいた訳では無い。男が男に告白されるなんて普通は気持ち悪いと思うし、二度と近寄りたく無いとも思うだろう。オレだって海馬を好きになるまでは、男に対してこんな気持ちになるなんて全然思わなかった。海馬を好きになったのも別にオレが同性愛者になった訳では無くて、海馬が『海馬瀬人』という一人の人間だから好きになっただけだ。もし今オレが他の男に告白でもされたら、きっと凄く気持ちが悪いと感じると思う。
 だから海馬に振られるのは、ある意味仕方の無い事だと思っていた。しかも同じ男に告白されるだけならまだしも、相手がこのオレだ。海馬が常日頃から「負け犬」やら「馬の骨」やら「凡骨」やら馬鹿にしている相手からの告白なんて、絶対受け入れられる筈が無い。そう思っていたから、オレ自身は至極気楽なものだった。
 振られてもいい。ただこの気持ちを知って欲しい。そしてオレ自身、海馬を想うこの気持ちから解き放たれて楽になりたい。
 そう思っていただけだったのに…。

「分かった」

 海馬は一言ハッキリそう言って、驚くオレの前で「では付き合うという事でいいのだな?」と確認してきたのだ。オレが驚きの余り固まっていると「付き合うのか、付き合わんのか、どっちだ。ハッキリしろ!」と逆に怒られたので、オレはその場で何回もコクコクと首を縦に振るハメになった。



 そういう事でオレと海馬は『恋人』としてお付き合いする事になったのだが、その後オレ達の間に何か新しい展開があったのかというと…特に何も無いというのが事実だった。
 キスも無し。セックスも無し。それどころが手も繋いだ事も無し。ただたまに…本当に時々一緒に帰ったり、お互いの家に遊びに行ったりはした。その時に海馬に襲いかからなかったオレの忍耐力は、自分で自分を褒めてあげたいと思っている。
 そりゃーキスだってセックスだってやりたいよ。でも、そういうのを無理矢理やるのは趣味じゃないんだ。海馬が自分で欲しがって…は無理だと思うから、少なくても嫌がられない程度にまで距離が縮まったらでいいと思っていた。それまではとにかく一緒にいる時間を増やして、どこかに出掛けたり出来ればいいな…と、そう考えていた。

 でも海馬は…たったそれだけのオレの望みも、全く理解出来無かったんだ。

 自分から「付き合うのか?」と問い掛けてきた癖に、海馬は恋人らしい事には全く興味を示さない。たまに一緒にいる時も酷く面倒臭そうにし、少しでも仕事の情報が入るとすぐにそっちの方に興味が行ってしまう。オレがその事に文句を言うと「オレにとっては、この仕事は幼い頃からの夢なのだ!」と怒鳴られて、強制的に会話を終了させられた。
 そりゃーオレだって、海馬のやっている仕事があいつにとってどんだけ大切な事なのか分かっているつもりだ。だから本当に仕事に忙しそうな時は邪魔しないし、そっと見守るだけにしている。
 だけど二人っきりでいる時くらい、仕事の事を忘れても罰は当たらないと思うんだ。そう思って愚痴を吐いても、海馬の心には全く届かない。それどころかオレは嫌な事に気付き始めていた。

 もしかしてコイツ…。仕事を口実にしてオレから離れたがってる?

 考えたくなくてもついそんな風に思ってしまうくらい、海馬の仕事への逃げは素早かった。
 最初は疑問だったその考えも、やがて時が経つにつれて確信へと変わっていく。二人きりでいる時に限って、海馬は自分から仕事を探しにいくのだ。持ち歩いている資料を見たり、パソコンや携帯でメールをチェックしたり、新しいアイデアをメモしたり…。オレ以外の奴が一緒に側にいる時(例えば弟のモクバとか、たまたま一緒に遊びに来ていた遊戯とか、磯野さんとか、メイドさんとか)は、決してそんな事をしない。海馬が無理して仕事を探すのは、決まってオレと二人きりの時だけだった。
 海馬のそんな行動は、オレの自信と幸せな気持ちを少しずつ削り取っていく。それでも何とか関係を修復したくて、オレはオレなりに努力していた。今度の土日のバイトの件だってそうだ。その日は海馬の仕事が無い事は、本人及びモクバや磯野さんからの情報で習得済みだった。だからオレはその日に一緒に出掛けたいと思って、無理してバイトのシフトを交代して貰ったんだ。
 それなのに結果は…見ての通りだった…。



 結局「飛行機に遅れるから、オレはもう行くぞ」と冷たく言い残して、海馬は学校まで迎えに来ていたリムジンに乗ってさっさと姿を消してしまいやがった。それを見送った後、オレは酷くムカついた気分で帰路についた。
 最初は物凄く頭に来ていただけのオレだったんだけど、歩いている内にその怒りが哀しみに変わっていくのを感じ取っていた。何だか真っ直ぐ帰る気もしなくて、当てもなくグルグルと遠回りをしてブラブラと歩く。そんな事をしていても家は確実に近付いて来て、気が付いたらオレは自分が住んでいる団地の目の前まで来ていた。
 そのまま帰れば良かったものの、何だか素直に家に帰るのも馬鹿らしくなってしまった。仕方が無いので少し戻って、団地の脇にある児童公園の中で一休みする事にする。

「はぁー…」

 溜息を吐きながら公園の入り口の自動販売機で冷たい炭酸飲料を買い、誰もいない公園に入り込んだ。日はもうすっかりと暮れ、辺りは真っ暗になっている。空を見上げるとそこは今まさに、群青色から漆黒の闇へと移り変わろうとしていた。
 最初はベンチに座ろうと思ったけど、無意識に目に付いたブランコに引き寄せられるように近付いて行った。子供用に作られているために大分窮屈に感じる板に無理矢理座ったら、両側から板を支えている鎖がガシャンッと鳴った。昼間の公園で聞くなら、きっととても楽しい音なんだろう。だけど誰もいない夜の公園で聞くその音は、酷く物悲しく聞こえる。それどころかジュースを飲む為にプルトップを引いたときのプシッという音でさえ、今のオレには悲しく聞こえた。

「もう…限界かな…」

 甘ったるいソーダ水を飲みながら、オレは夜空を見上げてボソリと呟いた。
 今だ藍色がかってはいるものの、空にはもう夏の星座がポツポツと輝き始めている。とても綺麗な星空…でも決して手の届かない星空。まるで海馬みたいだと思った。
 星は星らしく、ただ黙って遠くから眺めていれば良かったのだろうか? あんなに明るく輝いているのだからきっと暖かいのだろうと、勇気を振り絞って触れたそれは…酷く冷たい氷の星だった。オレがどんなに頑張っても、あの氷は溶ける様子を見せない。それどころかドンドン冷えて硬く固まっていく。

「こんなに…好きなのに…っ。どうしてダメなんだろうな…!!」

 本当に本当に悲しくなって、年甲斐もなく泣きたくなって来てしまった。じわりと溢れて来た涙で夜空の星がぼやけていく。スンッと鼻を啜りながら制服の袖口で涙を拭い、缶の中に残ったジュースを一気に飲んだ時だった。

 ドガガガガッ!! ガシーンッ!! バチバチバチッ!! ガサガサガサッ…ドサッ!!

 目の前で何かが爆発したみたいに夜空が明るく燃え上がり、それと同時に激しい音が辺りに響き渡った。突然の閃光にオレの目はチカチカと光を放電し、暫くの間は何も見る事が出来無い。慌てて両目を擦り、何度も瞬きを繰り返しながら辺りを見渡して見た。
 あんなに大きな音と光が出ていたというのに、公園はもういつもの静かな空間に戻っていた。近くで事故があったのかもと思って道路に出て見るも、そこも静かで誰もいない。一体今のは何だったんだ…と首を捻りつつ、最後に聞こえた音が妙に気になりだした。

「何か…落ちてきたよな…?」

 最後に聞こえたガサガサガサッ…ドサッ!! という音は、上空から何かが落ちてきて公園に生えている木や生け垣にぶつかり地面に落ちた音だ。
 何だかよく分からないまま、オレは自分の直感を信じてそれを捜してみる事にした。何故だかは分からないけど、その音を無視してはいけないと思ったんだ。
 先程の記憶を頼りに音がしていたと思われる方向へ歩いて行く。躑躅の生け垣を越え、金木犀が密集して生えている公園の裏側の方へ。真っ暗な中、鬱蒼と生える木の間を枝を避けながら奥へと進んでいくと、やがてオレの耳に「うぅっ…!」という何かの呻き声が聞こえて来た。
 最初は犬か野良猫だと思った。だけど側に近付いていくにつれて、その声が人間の声だという事が分かる。

「なぁ…。そこに誰かいるのか?」

 心臓がドキドキと高鳴る。沢山の興味と好奇心と…そしてほんの少しの恐怖感がオレの足を震えさせていた。だがその足は止まらない。確実に呻き声がする方向へと進んでいく。

「誰かいるなら返事してくれよ」

 問い掛けに応える声は無い。ただし呻き声はどんどん大きくなっていき、やがて大きな欅の木を抜けた先にオレは『それ』を見付けた。

「え………?」

 枯れ葉が積もった柔らかな土の上に、その人間は俯せで倒れていた。白くて長いコートのようなものを羽織っているが、それが暗い中でも酷く汚れているのが分かる。最初は土や泥の汚れだけかと思った。だけどその人に近付くにつれて、それだけじゃない事が分かる。
 そのコートは…あちこちが焼け焦げていた。そして土や泥の汚れに混ざって、所々に真っ赤な液体も付着している。それが何なのかなんて考えなくても分かった。

「それ…血…っ!? お、おい…アンタ大丈夫かよ!? どうした…!? 事故か…!? それとも誰かに襲われたのか…!?」

 倒れ伏したまま呻き声を上げるその人の側に駆け寄って、跪いて肩を揺さぶった。近くに来ればその人間が男だという事が分かる。何度も揺さぶったり背中を叩いたりしてるのに、その男は「うっ…!」と呻くだけで返事をしない。流石にこれは大事だと思って、オレは力を入れて俯せの身体を仰向けに引っ繰り返してみた。
 そしてその瞬間、オレは死ぬほど驚く事になった。

「なっ…!? か、海馬…っ!?」

 目に入ってきたその顔は、何故だか妙に大人びて見える『海馬瀬人』…その人だった。

視力が合わないと頭痛くなるよね?

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相変わらず眼鏡な二礼です、こんばんは。

結膜炎が治りません…;
眼鏡生活にも大分慣れましたが、やっぱり外に行くと視力が足りなくて疲れます。
遠くの物が完全にぼやけてしまっていて、それをしっかり見ようとすると段々と目が疲れて来るんですよね~。

前の日記でも言いましたが、今私が使っている眼鏡は室内用なんです。
家の中という狭い範囲で視力を補うなら、このくらいが丁度良いだろう(逆に見え過ぎると疲れるだろう)という事で作られた眼鏡でした。
視力を数値に置き換えるなら、0.6~0.7くらいでしょうか。
確かに家の中ならコレで充分なんです。

しかし外に出るとなると…そういう訳にはいかないんですよね…。
0.7くらいの視力で外の世界を歩くのは、本当に辛いw
しかもその状態で仕事するとなると…ほんっとに目が疲れるんです。
頭痛くなりますもん…。

普段からこの眼鏡で生活してればまだしも、今まではコンタクトだったもので、『見える』世界に慣れちゃっていたんですよね…;
早くコンタクトに戻したいと眼科に行くのですが、その度に先生から「もうちょっと様子を見ようね」と笑顔で言われる始末…w
取り敢えず来週一杯までは眼鏡生活が続くそうですw
はぁ~…面倒臭いよぉ~!!
でも結膜炎はちゃんと治さなくてはいけないので、我慢して眼鏡生活を続ける事にします。

うぅっ…!! 早くコンタクトに戻したい~…;


僕らシリーズに『不健全な僕ら』をUPしました。
長らく放置していた『~~な僕ら』のシリーズでしたが、今回続きを書いたのを機に纏めてみました。
シリーズ物もどんどん増えて来ましたねぇ…。
『夫婦城海』もシリーズとして纏めたいし、ちょっと整理した方がいいのかもしれませんね。

それにしても…今回の話を書くにあたって久しぶりに読み返してみたのですがね。
ウチの城海シリーズにしては、この子達は本当に平和に事を進めていますねぇ…w
本来の意味での青春って感じで、何だかこっちが恥ずかしくなりますなw

余りにも淡々過ぎて「本当にコレをシリーズ物にして良いのだろうか…」と一瞬悩みましたが、まーいいやと思って纏めちゃいました(´∀`)
シリーズ物なのでしょっちゅう更新する事はありませんが、思い出した時に平和に青春してる城海を書いていこうと思っていますv


あ、そうそう!
球形ラピスラズリ』の桜井至さんから素敵なイラストを頂いてしまったので、我慢しきれずにPresent ページに載せてしまいました…w
至さんのものごっつー素敵なイラストを、是非皆様も御覧になってみて下さいませ~!!(*´∀`*)

至さん、本当にありがとうございました&ご馳走様でした~!!

*不健全な僕ら

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城之内×海馬。海馬の一人称。
恋人として身も心も結ばれた後に、初めて迎えた梅雨の時期を乗り越える城海の話です。
うん、青春だねぇ~! 不健全ですけどw

 




 学校という場所は確か…勉学に勤しみ、友人と戯れる場所だったとオレの脳は記憶している。少なくても授業をサボり、誰もいない屋上で不純異性交遊ならぬ不純同性交遊をする場所では無かった筈だ。だがそんな事はお構いなしに互いの身体に触れるのが、オレと城之内の日常になっている。
 日常と言っても毎回そんな事ばっかりしている訳では無い。オレと城之内の距離がいつも以上に近くなったのは六月に入ってから…つまり梅雨に入ってからだった。それがどういう事かなんて事は今更言うべき事では無いと思う。

 オレ達は、お互いに雨が苦手だった。

 雨とは言っても激しい雨とかは結構平気なのだ。オレと城之内が苦手なのはこういう梅雨や、春雨や秋雨と言ったシトシトと静かに降るタイプの雨だった。
 静かな雨音。朝からどんよりと薄暗い空。雨の日独特の世界はオレ達に孤独感を倍増させ、嫌な思い出を甦らせる。そして曰く『アンニュイ』な気分になって、二人して落ち込んでいたのだ。
 そんなオレ達がお互いの気持ちに気付いて近付き始めたのは、丁度一年前の梅雨の頃だった。今にも雨が降り出しそうな曇天を二人で眺めつつ、お互いにこの寂しさを紛らわすにはどうしたら良いのかと話し合った。そしてその結果、雨の日は二人で過ごす事を決め…気が付いたらオレ達は恋人同士になっていたのである。
 城之内と正式に恋人同士になったのは、去年のクリスマスの時だった。それまでも結構身体の関係を持っていた為(最後まではしていなかったが)今更だという気持ちも無くは無かったが、それでもやはり自分達の関係性をハッキリと決めておく事は必要だったのだと思う。
 後に城之内は「実はオレ…お前ときちんとした関係に収まる事が怖かったんだ」と、しっかりとした声で打ち明けてくれた。恋人になったら別れる時に辛くなる。曖昧な関係なら別れる時も辛くないだろうと、そう思っていたらしい。
 城之内のその気持ちはオレにも良く分かった。何故ならオレもそう思っていたからだ。
 だがそれと同時、このまま曖昧な関係を続けていても無意味だろうという気持ちも湧き上がって来る。そしてその先に進みたいという前向きな気持ちも…。その気持ちの発現はオレだけじゃなくて、城之内も同じ事を考えていたらしかった。

 二人して同じ事で悩み、そして湧き上がる気持ちについに我慢出来無くなったのが、去年のクリスマスの頃だったのだ。

 そんなオレ達が初めて身体を繋げたのは、年が明けて暫く経ってからの事だった。
 まだ寒い冬の最中、その日は朝から霙交じりの雨が降っていた。身体の芯まで凍えるような空気の中、オレは学校帰りに城之内の家に招かれて…そのままセックスをしてしまったのだ。
 城之内の部屋は寒かった。帰って来て早々布団の中に連れ込まれた為に、ストーブすら点いていない。我が家の軽くて温かい羽布団とは全然違う、重くて湿った木綿布団。その中でゴソゴソと服を半脱ぎにされ、この寒さの中でも全く熱を失わない熱い指先で肌を辿られた。

「海馬…。お前、肌…冷たいな」

 首筋に押し付けられる唇がくすぐったくて肩を押し返したら、その手をギュッと掴まれた。冷たく冷えた指先が城之内の熱で温められ、急激に血が通ってジンジンと痺れ出す。それが何となく心地良くて、オレは全く抵抗出来なくなってしまった。
 狭い布団の中は段々と熱が籠もって心地良くなっていく。布団の外の空気は冷たくて、そこから出ようとは思わない。着ている服もお互いに最低限捲し上げる程度で、全裸になる事は無かった。布団の中でカチャカチャとベルトを外され、ズボンを下着ごと降ろされて片足だけ抜かれる。その状態で足を開かされて、性急に体内を慣らされた。
 実はそこを弄る程度だったら、既に何回かやられていた。オレの身体は入り込んできた城之内の指を素直に受け入れて、柔らかく解けさせていく。熱くなる体内に限界を訴えたら、城之内はそこから指を引き抜き代わりに硬く勃起した自分のペニスを押し付けた。入り込んでくる熱を身体の力を抜く事で享受し、そしてオレ達は…一つになった。



 随分と余裕無く終わらせてしまった初めてのセックスに、その後暫く城之内は反省しまくりだった。オレとしては、アレはアレで有りだと思っていたので、城之内が何に落ち込んでいるのか全く理解出来ない。ただ事ある毎に「もうちょっと余裕を持ってやりたかった…。初めてだったのに…」とぼやいている事から、城之内が望んでいたセックスの形はああいう物では無かったのだ…という事だけは理解出来た。
 その所為なのだろうか? それからの城之内のセックスは随分としつこい…いや、丁寧な物に変わっていった。そしてそれは、今まさに行なわれていて…。

「んっ…!」

 既に真っ赤に張り詰めた乳首を爪先で弄られて、オレは思わず声をあげてしまった。

「ゴメン…。痛かった?」
「ん…ぁ…。だ…大丈夫…だ…」

 痛いのは事実だ。だが微かに感じる痛み以上に、湧き上がって来る快感の方が数倍も大きい。男として一生使う事の無い予定だった乳首をここまで敏感に開発させられたのも、この城之内の所為だ。城之内は何故か、オレの乳首を弄るのが好きだった。確かに他の皮膚の部分よりは多少敏感だとは思うが、以前はこんなにも感じる事は無かった筈なのに。

「あっ…あっ…」

 コリコリと弄られるその感触に耐えきれなくて、思わず大きな声で喘いでしまう。その途端、今自分がいる場所を思い出して、オレは慌てて自分の口を掌で覆った。城之内の部屋や自分の寝室なら、そんな我慢をする事は無い。オレが必要以上に周りに気を遣っている理由…、それはこの場所が学校の屋上だからだった。
 授業中の学校の屋上は、当たり前だがオレ達以外の人間はいない。校庭で体育をしている生徒の声と教師の笛の音以外は、とても静かだ。
 貴重な梅雨の晴れ間。今日は朝から気持ち良く晴れ渡り、太陽はじりじりとアスファルトを焼く。少し強い生温い風が吹いてきて、汗を掻いたオレ達の身体をほんの少しだけ冷ましてくれた。
 こんなに気持ち良く晴れていても、今日の夜には再び梅雨空に戻ってしまう。明日からはまた連日の雨だ。それが分かっているのか、城之内はますますオレに引っ付いてくるのだ。
 これだけ熱い空気の中、ただでさえ自分より高い体温の男に引っ付かれるのは正直熱いし何よりウザイと思う。だがオレは、それが決して嫌では無かった。それどころか自分の方からその熱を求めたりしているから、言い訳のしようも無い。
 先程も言ったが、雨という天気で気分が落ち込むのは城之内だけではない。オレもなのだ。

「はっ…あぅ…っ」

 ボタンを外したカッターシャツの隙間から、熱い掌が差込まれる。乳首を掌で転がし、胸や腹を撫でられた。その度に身体の中心からじわりと熱が生まれて来て、頭の先から足の指先までが一気に熱くなる。首筋から胸元にかけて汗がつつーっと流れていくのを、大分ボーッとしてきた頭で感じ取っていた。

「汗…掻いてるな」

 城之内がそう言って、オレの首元に顔を寄せた。耳のすぐしたの辺りに鼻を突っ込んでクンクンと匂いを嗅ぎ、流れて来た汗をペロリと舐め取られる。

「っう…ふっ!」
「海馬の匂いがする…。汗しょっぱい」
「馬鹿…舐めるな…。匂いも嗅ぐな…」
「何で? 美味しいよ? 匂いもいい匂いだし、気にしなくていいよ」
「お前が気にしなくてもオレがするわ…馬鹿が」

 そう言ってオレの胸元を舐め続ける城之内の髪に手を差込んだら、そこも汗びっしょりになっていて驚いた。汗を吸ってしっとりと重くなっている髪を、指先で何度も梳く。するとそれが気持ち良かったのか、城之内がウットリとした顔でオレの事を見詰めて来た。

「あ、それ気持ちいい。もっとやって」
「そうか…?」
「うん。髪掻き上げられた時に風が通って涼しい」
「オレを便利屋扱いするな。それにしても…凄い汗だな」
「そりゃそうだ。暑いし…興奮してるからな」
「こんなところで最後まではしないぞ?」
「分かってるよ。続きはお前ん家でやろうな。涼しい場所でゆっくりじっくりセックスしましょ」

 相変わらずオレの首筋やら胸元やらを舐めながら、城之内はニッコリ笑いながらそんな事を言う。「だけどその前に、ここ可愛がらせてね?」と言ってオレの胸に顔を埋め、すっかり真っ赤になった乳首をペロペロと舐め始めた。

「ふぁっ…!?」

 途端にジンッ…と痺れるような快感が伝わってきて、オレはここが屋上だという事も忘れて甘い声で喘いでしまった。汗でじっとり湿った城之内の頭を両腕で抱え込んで、湧き上がる快感に耐える。

「こっちも辛そうだな。一回出しちゃおうか」
「っ…!? あぁっ…!」

 胸への愛撫に夢中になっている内に、下半身の方も反応してしまっていたらしい。カチャカチャと音を立ててベルトが外されるのと同時に、前を寛げられて下着の中に手を入れられた。熱い掌で勃起したペニスを掴まれて、途端に感じた快感で腰に震えが走ってしまう。

「もうこんなになってる。そんなに気持ち良かった?」
「ば…馬鹿っ…!」
「馬鹿とは何だよ、酷ぇなぁ…。オレは嬉しかったんだぜ? お前がオレでそんだけ感じてくれてるんだなって」
「………うっ…」
「ほら、オレのも触ってみる? 興奮して凄い事になってるから」

 城之内はそう言って、オレの手を掴んで自分の股間を触らせてきた。触れたそこはズボンの上からでも、もう熱く硬くなっているのが分かる。そのまま掌で押し付けるように愛撫をすると城之内が苦しそうな呻き声を出したので、無言でベルトを外してそこを寛げ、硬く勃起したペニスを取り出した。

「何…? やってくれるの?」
「いつもの事だろ…」
「そうだな」

 オレの返答に城之内はニッコリと嬉しそうに笑って、オレの身体を自分の方へ引き寄せた。そして二つのペニスを重ね合わせるようにして一緒に握る。ゴリッ…と先端が擦られる感覚だけで、気持ち良過ぎてイッてしまいそうだ。

「あっ…ん!」
「ちょっと我慢しろよー。お前あんまり耐えられねーからなぁ…」
「う、煩い…!!」
「あーはいはい。黙ってこっちに集中してねー」
「やっ…! んぁっ…!」

 城之内の手が上下に動き出して、快感が一気に背筋を駆け上がる。自分も負けじと同じように手を動かしながら、城之内の肩口に顔を埋めて何とか声を我慢した。声を出さないように城之内の肩に口を押し付けている為に、思ったように呼吸が出来ない。代わりに鼻で空気を吸い込むと、首筋から城之内の匂いが胸一杯に広がって充たされた。
 汗臭い匂い。だが先程城之内が言ったように、とてもいい匂いだった。あぁ…城之内が言っていた事はこういう事だったのだな…と、今更のように理解出来る。頭の芯が痺れるようなその匂いに夢中になって、オレはますます興奮していった。

「あっ…ぅ…はぁっ…!!」
「海馬…! かい…ば…っ!」
「じょっ…ぅちぃ…っ! も…ダメだ…っ!」
「っ…! イキ…そ…?」

 腰から下が、まるで別の人間の部位のように鈍く痺れて感じられる。グチュグチュという音を立てて上下に擦られる度に湧き上がる甘い甘いその痺れに、オレはもう我慢の限界を超えた。

「あっ…あっ…!! っ…あっ――――――っ!」
「かい…ばっ…!!」

 背筋をビクビクと痙攣させて、迫り上がってきた熱い欲望を放ってしまう。ペニスを掴んでいる掌の上に自分の欲望が流れ落ちるのを感じた途端、更に続けて熱い粘液がどろりと降りかかってきた。見なくても分かる。城之内も達してしまったのだ。ヌルヌルになった手をそのままに、暫く二人で抱き合いながら息が落ち着くのを待つ。
 身体は酷く熱かった。夏の太陽と内側から発熱している体温とで、オレも城之内も汗だくだ。ただ屋上に通り抜ける温い風だけが、とても涼しくて心地良かった。

「気持ち…いいな…」
「あはは…。それはどっちの意味で…?」

 分かっている癖にそんな事を言ってくる城之内に、流石に少しムッとして強く睨み付けた。オレの視線を受け取った城之内は一瞬困ったように肩を竦めはしたものの、全く反省している素振りを見せない。それどころか顔を近付けて、少し尖らせた唇に軽くキスをしてきた。こんな事では誤魔化されないぞ…と思いつつも、やがてねっとりと深くなっていくキスに流されていく。

「海馬…好きだよ?」

 濡れた唇も繋がった唾液もそのままに、無邪気な顔でそんな事を言ってくる城之内を無視出来る筈も無く…。やれやれといった感じで再び顔を近付けて、オレは熱を持った城之内の唇にキスをした。そして「オレもだ…城之内」と低い声で囁いてやる。



 通り抜ける風が大分湿ってきた。今夜にはまた雨だ。
 だがオレ達はもう雨に寂しくなる事は無い。お互いの存在があればそれでいい。きっと大丈夫だと…そう信じている。

 学校の屋上という場所で学生にしては少々不健全な事をしながら、オレ達は今日も絆を深めていくのだった。

僕らシリーズについて...

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この場所は、

『シトシトと降る雨が苦手な城之内と同じ悩みを抱えた海馬による、ラブラブな青春物語のシリーズ』

のページとなっております。
他のシリーズ物や長編のように特に目立った事柄も無く、ただ淡々と城之内や海馬が高校生らしいお付き合いをしたり、自分の悩みを相手と共有したりしているだけでございます。
たま~に思い出した時にしか更新しませんが、こんな青春も有りかな~という気持ちで書いております(´∀`)
まったりと高校生らしい城海をお楽しみ下さいませ~!

そんな高校生な二人を読んでみたい方は、下の『青春の1ページへ…』から先にどうぞ~!

絵描きさんってすげぇよな!

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続お絵かき練習中な二礼です、こんばんは。

慣れていない内は苦痛のペンタブも、慣れてくるととっても楽しいです!
ただしやっぱりまだ微妙な感じですね~。
年齢的に(笑)基本アナログ人間の私は、絵は紙に鉛筆で描く物だと思っていました。
なのでお絵かきする時も、まず紙にガリガリと下絵を描いて、次にそれをスキャナーで取り込み、SAI上でその取り込んだ画像を呼び出してからペン入れしていたんです。

そんな二礼でしたが、ちょっと今回、アナログを通さないで直接ペンタブで下絵から描く事にチャレンジしてみました。
グリグリと下絵を描いていくのは確かに楽しかったのですが…これがまた難しいの何の!!
実際に目の前の紙と睨めっこして鉛筆で落書きするのと、モニターを見詰めながら描くのでは、全然感覚が違うんですよね。
ラフ画だけでもレイヤー3枚とか…どういう事なの?www
絵描きさんはそういう下書きも一発でシュッと描く事が出来るそうです…。
凄いなぁ…羨ましいなぁ…!!

絵の練習をする度に、絵描きさん達への尊敬の念が湧き出してきます!
世の絵描きさん達!!
これからも頑張って下さいませ~!!(><)


Rising sun』に番外編:雷鳴の子守歌をUPしました。
夏がやって来ましたね~。
去年の夏はずっとこの作品を書くのに夢中だったので、それを思い出して番外編を書いてみました。
自分で書いてて何ですが、この二人が幸せそうにしていて良かったです…w
何だか色々ありましたが、まさに雨降って地固まるって奴でしょうかね?

城之内を癒す事に幸せを感じている海馬と、そんな海馬を信頼して甘える事を覚えた城之内。
強い絆で結ばれたもうこの二人は、きっと何が起こっても大丈夫なんだと思います。
幸せそうで良かったな~(´∀`)

やっぱり平和でラブラブっていいですよね~!!(*´д`*)

番外編:雷鳴の子守歌

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『Rising sun』の番外編で、海馬の一人称です。
あの波乱の夏から、丁度一年が過ぎました。
今は幸せな恋人同士の、城之内と海馬です。

 




 それまで気持ち良く眠っていたのに、突然部屋にムッとした湿気が雪崩れ込んできて、その余りの不快感にオレは目を覚ましてしまった。目に入るのは漆黒の闇、耳に入るのはバタバタという大粒の雨音。そして肌に感じる生温い風…。身体に巻き付くタオルケットもそのままに、オレはゆっくりと布団の上で身を起こした。
 重い瞼を何度か瞬きをし、部屋の中をキョロキョロと見渡す。すると東側の窓が大きく開かれており、そこに見知った影が窓枠に寄り掛かって外を眺めているのが目に入ってきた。声を掛けようとした瞬間、夜空が真っ青に光る。そして数秒後、鋭い轟音が辺りに響き渡った。雨は時間が経つ程に強くなり、段々と豪雨になっていく。

「城之内…?」

 漸く暗闇に慣れた目でじっと城之内を見詰めながらそう声を掛けたら、奴はゆっくりと振り返り…そしてニコリと微笑みを浮かべた。

「何をしているのだ?」
「あぁ…ゴメン。起こしちゃったか」
「いや、それはいいのだが…」
「雷を見てた」
「雷?」
「あぁ。今年の夏の、一番最初の雷雨だ」

 そう言って城之内は再び外へと視線を戻した。そして夜空に走った稲妻に感動して「おぉっ!」と声を上げる。その声が余りに楽しそうで、オレも雷雨が見たくなってきた。
 タオルケットを身体に巻き付けて、そろそろと城之内の側へと近寄っていく。そして裸の背中にピッタリとくっついて、城之内の逞しい肩越しに外を眺めた。視線を空に上げると、ピカピカと稲妻が走る。そして窓ガラスが震える程の轟音。

「近付いてきたな」
「そうだな」

 何とは無しにそんな会話をして、オレ達は真夜中だというのにじっと夜空を眺めていた。雨が吹き込むのも構わずに窓を大きく開け放って、雨と大量の湿気が吹き込んで来ても全く気にせずに、ただただ黙って雷雨を見続ける。
 どちらも何も言わなかったが、きっと二人とも同じ事を思っているに違い無い。

 まるであの日の再来だと………。



 オレと城之内が恋人になってから一年が経とうとしていた。
 恋人同士になってからのオレ達の関係は至極良好で、全く問題の無い付き合い方をしている。学生らしく健全なデートをする事もあれば、曰くお年頃らしく身体を重ねる時もある。大抵はオレの屋敷に城之内が来るというスタイルだったが、たまにこんな風にオレが城之内の家に泊まりに来る事もあった。ただしそれは、コイツの父親が帰って来ないという確証がある時にしか出来無い事だったが…。


 アル中の父親が無事に退院出来たという話を城之内から聞いたのは、もうその年の秋が終わろうとしている頃だった。肝臓の数値も大分良くなり、入院中の事故(と言っても、この父親の所為なのだが…)で骨折した腕も無事に治ったという事で、漸く退院する事が出来たらしい。
 退院出来た事については素直に嬉しいと思っているし、それについては城之内もホッと安心していたらしいのだが、奴はまた新たな心配事に頭を悩ませていた。
 要は、父親のアルコール中毒の問題だ。

「せっかく肝臓良くなっても、また酒を飲むようじゃ事態は全く変わらない」

 二人きりで昼休みを過ごしていた学校の屋上で、城之内はオレを抱き締めながら不安そうに心の内を吐露した。

「そしたらまた同じ事の繰り返しだ。入院して…退院して…酒飲んで…また身体を悪くして入院して」
「城之内…」
「今はまだ退院したばっかりだから、親父も酒をやめると宣言して我慢してるからいいけどさ…。でも…」
「そうだな。アルコール中毒者が酒を完全にやめるのは、地獄の苦しみを乗り越えないといけないらしいからな」
「うん…そうなんだ。だからオレはまだ安心出来無いんだ」

 あの夏の日。自分の悩みを誰にも何も相談する事が出来無かった城之内は、ついに心が壊れて凶行に走った。オレの身体をいたぶり…そして犯す事で、揺らぎ続ける自らの心を安定させようとしていた。
 最初はそれで快感を得ていた城之内も、やがて自分がしでかした事に対する罪悪感で押し潰されそうになり、その内自らの心の内で葛藤する事になる。そして自分が酷い事をし続けたオレから罰を受ける事を望むようになった。
 だがオレは…その罰を授けなかった。何故ならばこれは、オレが甘んじて受け入れた状況だったからだ。自分で望んで城之内の牙を受け入れたというのに、それに対して罰を与えられる筈が無い。だから、その代わりにオレは城之内を許し…そしてその全てを受け入れたのだ。

 そう。丁度こんな嵐の晩だった。

 近くに雷が落ちて停電になり、真っ暗な部屋の中には雨と風と雷鳴…そして壁に掛けられている時計の秒針の音しかしない。そんな静かな闇夜の中で、オレは全身全霊を掛けて城之内の心を癒していった。
 お互いに裸のままで抱き合い、城之内にオレの心臓の音を聴かせる。
 怯えなくていい…怖がらなくていい…。お前は安心していいのだと、ずっと耳元で囁き続けた。

 そして一晩掛けて漸く安心しオレの愛を信じた城之内は、翌日の朝日を見て救われたのだった。
 それ以来城之内は、どんな些細な悩み事も決して自分の内に溜める事無く、オレに相談してくるようになった。それは間違い無く城之内のオレに対する信頼の証であったし、オレ自身もそれを心から嬉しく感じていた。だからオレはこの時も、城之内の背を優しく撫でながら耳元に囁いたのだ。

「そうだな、心配だな。なら…少し手伝ってあげたら良い」
「手伝う…?」

 心配そうにオレを見上げる琥珀の瞳に、オレはコクリと頷いてみせる。

「この童実野町からそう遠く無い場所に、アルコール依存症に苦しんでいる人達の為の病院がある。何度か短期入院を繰り返しながら、少しずつ身体と…そして酒に頼らざるを得ない精神を治していくのだそうだ。その病院を紹介してやるから、今度父親を連れて行ってみるが良い」
「病院…か…」

 オレの言葉に城之内が顔を曇らせた。
 コイツの言いたい事はよく分かる。せっかく退院したばかりなのに、すぐにまた別の病院に入れる事や、その事で父親がまた暴れる可能性を心配しているのだろう。そして多分、お金の問題も。
 だがここで立ち止まっては、それこそ城之内が自分で言っていたループに巻きこまれる事になる。

「入院と行っても短期入院の繰り返しだ。一~二週間入院しては退院し、家での様子を見守りながら治療を続けていくらしい。アルコール依存症専門の病院だから、中毒症状で暴れたり問題行動を起こす患者への対応も完璧だ」
「うん…。それは分かっているんだけど…」
「お金の面も心配するな。この間資料を見たがそんなに悩むような治療費では無いし、どうしても足りないというのだったら、オレが融資してやる事も出来る」
「そ…そんな…っ! それはダメだ!!」
「………? 何故だ?」
「だ、だって…。恋人から金を借りるなんて…。しかも自分の事じゃなく、親の事でなんて借りられないよ」
「あげる訳では無い。貸すだけだ」
「でも…」
「ちゃんと返してくれるのだろう?」

 そう言って顔を覗き込んでやったら、城之内は暫く考えた後に渋々といった感じでコクリと一つ頷いた。
 こうして数日後、オレの紹介を受けた城之内はそのまま父親を連れてその病院へ赴き、父親のアルコール中毒の治療を始めたのだった。あれから暫く経ったが、城之内がオレに金を貸してくれと言ってくる気配は無い。治療の方も思った以上に順調に進んでいるらしく、城之内も今は大分安心してきているようだった。暴れて殴ってきたり蹴ってきたり、汚い言葉を吐かれるような事も無くなったという。
 その報告を城之内の口から聞く度に、オレも同じように安心して息を吐くのだった。



 城之内は元々優しい男だったと思う。だが父親の問題で心を痛める事が無くなった今、その優しさは更に増したように思われた。
 オレを見詰める強い眼差し、オレに向けて囁かれる言葉、オレに触れる指先…そして唇。それら全てが優しくて…本当に心地良いのだ。そしてその優しさは、肌を合わせる時にも発揮される。
 オレの身体のあちこちを愛撫する指先と唇と舌が、優しい熱をじわりとオレの肌に刻み込んでいくのだ。耐えようとしても、声は勝手に漏れ出てしまう。自分の声とは思えないくらいの甘い声に恥ずかしくなって、口元に手を当てて何とか喘ぎを我慢しようとすると、城之内はすぐそれに気付いて手を退かしてしまう。そして至極優しい声で「お前の声が聞きたい。頼む…聞かせてくれ」と耳元で囁くのだ。
 その城之内の声にオレは逆らえない。口元に当てていた手を城之内の首に回し、背中に爪を立てながら口を大きく開けて喘ぐしか無いのだ。やがて優しい熱がオレの体内にジワリと広がっていって、二人揃って脱力する。
 その瞬間に感じる幸せは…例えようも無い物だった。



「あ、また光ったぜ」

 城之内の驚いた様な声と共に、耳を劈くような轟音が鳴り響く。窓ガラスがビリビリと震え、心なしか部屋全体が揺れたような気がした。雷はいつのまにか、自分達のほぼ真上にまで来ていたのだ。

「近いな…」
「オレ達の頭上だよ。ほら、光った」

 今度は城之内の放った「光った」という台詞と共に轟音が鳴り響いた。時差が無い。雷雲は本当にオレ達の真上にいるらしい。
 雨も風も酷くなって、冷たい大粒の雨が容赦なく部屋の中に吹き込んでくる。仕方無く窓を閉め、オレ達は湿った布団の上に寝転がった。一枚のタオルケットを二人で被る。少し冷たい夜の空気も、城之内がいれば全然平気だ。常人より少し熱い体温を求めて擦り寄ると、首の下に腕を回されてそのまま肩を抱き寄せられた。途端に熱い体温に身体全体が包み込まれる。

「まるで…あの日みたいだな…」

 しっかりと筋肉の付いた胸元に頭を載せて深く息を吐くと、城之内がオレの頭を撫でながらそんな事を言ってきた。その言葉にクスリと笑いつつ、オレも口を開く。

「やはりな…」
「ん? 何?」
「いや。やはり同じ事を考えていたのだなと…そう思っただけだ」
「そっか…。お前も同じ事を考えてたのか」
「あぁ…」

 窓の外は未だに青い稲光が輝いている。その光が余りに美しかったので思わず「綺麗だな…」と声に出したら、すかさず城之内も「うん。綺麗だ」と賛同してくれた。胸元に頭を載せている為に、その声は直接耳に響いて聞こえる。鼓膜を震わせるその声に、オレは嬉しくなった。
 低くて深くて…そして何より優しい城之内の声。その声に至極安心して、オレはウトウトと眠たくなってきた瞼を閉じる。頭上では既に規則正しい寝息。どうやら城之内も眠りの世界に落ちたらしい。


 人によっては恐怖の対象である雷も、オレ達にとっては心から安心出来る子守歌のようだ。
 青光りする稲妻と響く轟音の子守歌に見守られながら、オレ達はゆっくりと眠りに落ちていった。

お絵描き修行中

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お絵描き練習中の二礼です、こんばんは。

最近時間のある時に、お絵描きソフトのSAIを使って絵を描く練習をするようになりました。
難しいですけど元々絵描き(…だったのですよw 驚くべき事にw)だったので、絵を描く事自体は凄く好きなので、楽しくて仕方ありませんw
小説で煮詰まった時なんかは良い気分転換になりますし、自分のイラストがキチンと出来上がる様はある意味快感です(´∀`)

そんな風に土日にせっせとお絵描きをしていたのですが、実は少し前に「塗り絵に使って!」と散たんから貰ったブツがある事を思い出しました。
散たんとこで6月に出た新刊『 海馬君の飼い方30の基本』の表紙絵なのですが、このイラストの線画を貰っていたんですね。
早速色塗りの練習をせねば!! という事で、この線画を使わせて頂く事にしました。

…で、出来上がったのがこちらでございます…w(イラストクリックで、大きく見られる筈です)
 

kaiba_c3.jpg


何か凄く申し訳無い出来になってしまったのですけど、今の私ではこれが精一杯!!
もうちょっと上手になったら、是非リベンジしたいと思っています!!

ちなみに自分の絵もちょろっと描いてみました。
ツイッターのアイコンをずっと『たこルカ』にしていたのですが、思い切って自分絵にしてみる事にしたんですね。
その為に描いた絵がこちらなのですが…興味のある方だけリンク先で見て下さいませw
お目汚し、大変失礼致しました。

それにしても、絵を描くって楽しいですね~!
今年は小説だけでなく、色んな絵を描きたいと思っています。


短編に『あの夏空へ』の後編をUPしました。
最後が有耶無耶になっていますが、アレはわざとです。
海馬と城之内がどのように成仏したのかは、読んで下さった方達の想像にお任せしようと思っています。
キッパリサッパリ成仏させるも有りですし、成仏させないで霊体のまま仲良く二人で過ごすのも有りだと思います。
城之内が死神にならないのも有りですし、死神になって先輩役として海馬が付き従うというのもまた面白いんじゃないですかねぇ…?w
死後の世界は誰も見た事が無いので、ここはやはり各人のご想像でお楽しみ下さいませ~。

こんなん書いていて何ですが、実は二礼…死にネタが苦手でございます。
だからこそ敢えて死にネタを書こうと思った時に、悲しいだけの物語は書かないようにしようと決めたんですね。
間違い無く死にネタであるのに、何だかこう…ほのぼのするような話にしたかったんです。
で、その結果出来上がったのが、『片方が死んで、残された方が悲しむ』という話では無く『城海で死後の世界を楽しむ』という、今回のお話だったんです…w

賛否両論ありますでしょうが、これが二礼の書く『死にネタ』です。
表現の仕方によっては、悲しい題材もほのぼのになるって事ですね~!
(何度もしつこく言いますが、このお話は『ほのぼの系』ですwww)

慣れないネタは難しかったですけれど、書いててとても充実致しました。
さて…次は何を書きましょうかね?(*'-')

あの夏空へ(後編)

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 オレの身体は救急車で病院へと運ばれ、そこで緊急の手術が行なわれた。だけど勿論オレが蘇生する事は無かった。死神である海馬があの大鎌でオレの魂の紐を切ってしまったので、オレの死は最初から確定的だったんだ。
 手術室の前でほぼ同時に駆けつけて来たモクバと静香が肩を寄せ合って泣いている。…ああいう姿を見ると、やっぱり死んだ本人としてはちょっと辛い…というかキツイ。あの二人をあんな風に悲しませたいなんて思った事も無かったし、特にモクバに対しては申し訳無く感じて仕方が無い。一度ならず二度までもこんな目に合わせてしまうなんて…。しかも海馬の命日に…なんて。

「お前も…こういう気分だったのか?」

 後から駆けつけて来たオレの母親も含めて三人で泣き崩れるその姿に、胸がズキリと痛む。その様子を海馬もオレの背後で見守りながら「そうだな…」と小さな声で一言呟いた。

「何か…申し訳無いな」
「あぁ」
「だからこそ…早死にしちゃったのが悔しいな」
「あぁ…そうだな」

 落ち込んで俯くオレの頭を、白く細い指先がサラリと撫でてくる。その手はもう…冷たくも何とも無かった。完全に死んでしまったオレの体温が、海馬と同化しているからだ。

「なぁ…海馬。オレこれからどうなるの?」

 その手を掴んでオレの頭から離し、そっと振り返って海馬に尋ねた。海馬はオレの瞳をじっと見詰め、何度か瞬きをしてからゆっくりと口を開く。そこから零れ落ちてくる言葉は、まるで静かな音楽のようだ。

「これから貴様は四十九日の間、この地上に留まる事となる。その間は何をしてても自由だ。遺族の側にいても良いし、どこかに出掛けても良い。ただしお目付役として常にオレが側にいるし、自分の遺骨から遠く離れる事は出来無いがな」
「ふーん…四十九日ねぇ…」
「四十九日後、貴様は納骨される事となる。骨を墓に納められるという事は、そこで初めて完全に彼岸の人間となる事を示している。そうなったらもう、貴様はもうここにはいられない。オレが上に連れて行くだけだ」
「なるほどね。ちなみに今どこかに出掛けても良いって言ってたけど、それってどこでもいいのか?」
「あぁ、行ける範囲内ならばどこでも良い」
「山でも?」
「あぁ」
「海でも?」
「勿論だ」
「遊園地でも?」
「遊園地は…どうだろうか…。微妙だな」
「行けないのか?」
「行けなくは無いが、行ってどうするのだ。オレ達は死者だぞ? 物にも触れないし、遊具にも乗れないし、自分に供えられた物以外は食べる事も出来無いのに」
「それでもいい! オレはお前と行きたいんだ!」

 海馬の目の前に立ち白い両手をギュッと強く握り締め、オレはドキドキしながら言葉を放った。
 十三年前に言えなかった言葉。言おうとして届かなかった言葉。まさか自分が死んでから言う嵌めになるとは思わなかったけど、伝えられるなら今しか無いと思った。

「これから四十九日間…オレと一緒にデートしてくれよ。現世での最後の思い出に…協力してくれ」

 オレの言葉に海馬は目を丸くする。けれどオレは臆することなく言葉を放ち続けた。

「この事は、本当は十三年前にお願いするつもりだった。お前の事が好きだから、オレと色んな所に行って欲しいって…デートして欲しいって言うつもりだった。山にも海にも遊園地にも…全部お前と一緒に行きたいって伝えるつもりだった。でもその言葉は…届かなかったけどな」
「………」
「でも…今なら届くから…。だから…」

 もう死んでいるというのに、オレはそれこそ必死だった。何とか震える声で告白すると、海馬は少し考え込むように目を細め…そして次の瞬間にふわりと微笑んでくれる。十三年前にオレがあれ程見たいと望んでいた…優しい優しい海馬の笑みだった。

「届かなかった言葉を後悔しているのは、貴様だけでは無いのだ…城之内。あの青い夏空を背景にオレを覗き込むお前とモクバに、何も伝える事が出来無いまま命を失うしか無かったあの瞬間…。オレがどれだけ絶望し…そして後悔したか、今思い返してみても辛くなる」
「海馬…」
「あんな辛い想いをお前にだけはさせたくなかったのだがな。だが…結局こうなってしまった。運命とは…残酷なものだ」
「そうだな…。でも、そのお陰であの時言えなかった告白が出来た。たった四十九日でも一緒にいられる事が出来るんだ」

 そう、これから四十九日の間、オレは海馬とずっと一緒にいる事が出来る。最初で最後の蜜月。もう二度とやって来ない幸せな日々。
 まさかそれを死んでから味わう事になるとは思わなかったけどな。

「好きだ…。ずっと好きだったんだ…海馬」

 冷たい身体を強く抱き締めながらそう言ったら、耳元で「オレもだ…」と小さな声で囁かれる。
 十三年前のあの日、海馬が死ぬ直前にモクバがオレに放った一言が脳裏に甦って来た。

『兄サマが…何とも思って無い奴を側に置いたりするもんか! 兄サマは自分が本当に『好き』だと思う人間以外は、絶対側にも寄せ付けないんだ!』
『だからオレは、お前に兄サマへの告白を勧めたんだ…。兄サマも…絶対お前の事が好きだって言う確信があったから』

 あぁ、そうだな。やっぱりモクバは分かってたんだな。オレと海馬が両思いだった事を。だからモクバは海馬が死んだ後、オレの事をずっと気に掛けてくれてたんだ。自分だってたった一人の兄貴を失って辛かった筈なのに、『弟』としてもう一人の『兄』を心配してくれてたんだ。
 それなのにオレは…そんな『弟』に再び悲しい想いをさせる事になっちまった。物凄く罪悪感を感じる。

「モクバなら…大丈夫だ」

 そんなオレの気持ちを見透かしたように、海馬はオレの背中を撫でながら優しい声で語りかけてきた。

「あいつももう二六歳だ。来月に誕生日を迎えたら二七歳になる。もうあの頃の小さなモクバでは無い」
「だけど…」
「貴様の妹も一緒だ。見ろ」

 海馬に指を指されて、オレはそっと振り返って後ろを見てみた。そこには涙で目を真っ赤に腫らしつつも、これからどうすべきかを話し合っているモクバと静香の姿があった。今だ泣き崩れているオレの母親を、二人が慰めたりもしている。
 そう言えば海馬が死んだ時もそうだっけか…。いつまでも泣いていられないと、強い気持ちで立ち直ったような気がする。

「城之内。貴様の現世の身体の事はあの者達に任せるとして…お前はお前のしたいようにするが良い」

 海馬の言葉にオレはコクリと頷き、差し出された白い手に自分の右手を載せた。



 その後、オレの通夜や告別式がモクバや静香の手で無事に行なわれた。場所は童実野町内にあるちょっと品の良い斎場。本当はモクバがもっと良い会館を紹介してくれると言ってくれていたんだけど、流石に悪いからと静香が断わっていたんだ。

「あんまり凄い場所だと、お兄ちゃんもビックリしちゃうだろうから」

 そう言って苦笑する静香にモクバも納得してくれて、それならば普通より少し見栄えのする場所をという事でこの斎場に決まったらしい。
 モクバと静香が二人で話し合って執り行なってくれた通夜や葬儀は、死んだ当人でさえ感心する程立派なものだった。親戚の他にも、遊戯や本田や漠良や杏子等の昔馴染みの友人も一杯来てくれて、何か嬉しいやら…申し訳無いやら…情けないやら、とにかく微妙な気持ちで自分の葬儀を見守っていた。
 途中、何となく喉が渇いたり腹が減ったりしたので「どうしたらいいんだ」と海馬に訴えてみたら、祭壇に供えてある物なら食べられるという事を教えてくれた。実際に祭壇に置かれていた水を飲み、飾られていた饅頭やバナナや林檎等を頬張ると、それだけで充たされていくのを感じる。海馬に言わせると、仏壇や墓に供えられた物も自由に食べられるのだそうだ。
 アレってただの飾りじゃ無かったんだと、改めて感心させられた。


 葬式が無事に終わった後はオレの身体は荼毘に付され(流石に自分の身体が焼けるのは見られなかった…。だってホラーだろ)、遺骨は静香が自宅に持ち帰ってくれた。オレの遺骨を守る静香と、度々線香を上げに来てくれるモクバの様子を見守りつつも、オレはそれから海馬と一緒に度々出掛けるようになった。
 山に行って盛りの紫陽花を見て回り、海に行って沈みゆく夕日を眺める。そしてこの十三年の間に大分大きくなって様変わりした海馬ランドにも足を伸ばした。

「凄いだろ! これ、全部モクバがやったんだぜ!」
「ほう…これは見事だな。素晴らしい」

 オレも海馬も、モクバの功績をまるで自分の事のように嬉しく思った。
 死んだ兄貴の夢を引き継ぎ、世界中の子供達の為に日々立派になっていく海馬ランド。それは海馬とモクバと…そしてオレの夢でもあるんだ。
 まだ工事中の新しいアトラクションの現場を上空から眺めながら、オレは満足して大きく息を吐く。ここからまた新しい夢が生まれるんだ。モクバが紡ぎ出す…子供の為の優しくて楽しい夢だ。その夢を一緒に見られなかったのはとても残念だけど、でもきっと…その夢は成功するって信じてるから。だから何も心配してないよ。

「安らかだ…」
「………? 城之内…?」

 オレがボソリと囁いた一言に、海馬が気付いてオレの顔を覗き込んでくる。

「死んだ直後は悔しくて悔しくて仕方なかったけど、今はとても安らかだ。なぁ…海馬。お前もこんな気持ちだったのか?」
「そう言われると…そうだな。死んだ直後はお前と同じでとても悔しくて…。やがて自分の死に諦めがついて、そして段々と安らかな気持ちになっていったな。丁度このくらいの時期だと思う」
「やっぱりなぁ…。そういう気持ちの整理的な意味でも、四十九日ってのは重要なのかもしれないな」

 海馬ランドから帰って来たら、オレの遺骨の前でモクバと静香が何かを話し合っていた。机の上に資料やパンフレットが広げられている。どうやらオレの墓の相談らしい。「まさか三一で死ぬとは思って無かったから、自分の墓の事なんて何にも考えて無かった」と呟いたら、すぐに海馬から「そんな事を言ったら十八で死んだオレはどうなる」と怒られた。
 うん、そうだった。ゴメン。
 カレンダーの日付は六月を過ぎ、七月へと入っていた。あと一週間もすれば、もうモクバの誕生日だ。こんな気持ちで二七歳の誕生日を迎えないといけなくなったモクバに心底済まないと思いつつ、だけどすぐに立ち直ってくれるだろうという気持ちが湧き上がってくる。
 大丈夫。信じてる。モクバは強いからオレも安心だ。静香は…立ち直るまでに少し時間が掛かるだろうな。でも静香の事も大丈夫だって信じてるから。それに何より…モクバが側にいてくれるだろうしな。

「四十九日が終わったら、オレどうなっちまうのかなぁ…。やっぱりお前みたいに死神になるんだろうか?」
「馬鹿言うな。貴様はそこまでの罪を犯していない」
「そう? 中学時代は結構悪さしてたんだけど」
「貴様のはただ荒れていただけだろう。人を死に追いやった事などあるまい」
「………人を死に…? あぁ…そうか。お前の犯した罪って…親父さんの…」
「………」

 海馬が若干引っ掛かったと言っていた罪。それは自分の義父という一人の人間を死に追いやった事だったんだ。それが故意であろうとなかろうと、罪は罪に違いない。その罪の所為で海馬は十三年間死神として働かなければならなくなり、そして最後にオレの魂を迎えに来てくれたのだった。
 海馬にとっては物凄く辛い十三年であっただろうけど、実はオレはその事にほんの少しだけ感謝をしていた。だってそのお陰でオレは長年の想いを海馬に伝える事が出来たし、今もこうして一緒にいられるんだ。それがたった四十九日の間だったとしても、これを奇跡と言わずして何と言うんだ。

「でもさ、お前もこれで死神しなくてよくなるんだろ?」
「あぁ、その通りだ」

 そっと身体を寄せながらそう言ったら、海馬もオレを抱きとめつつ答えを返してくれた。じっと顔を見詰めたら、青い瞳が同じように強く見返してくる。

「そしたらさ…一緒に成仏出来るって事なのかな?」
「さぁな…。流石にここから先の死の世界は、オレでも知らん。自分がどうなるかは…分からないのだ」
「そっか…」
「しかし…悪い事にはならないだろうな」

 そう言った海馬の顔は随分と晴れ晴れとしている。その笑顔に安心しつつ…オレも『その日』がくるのをコイツと一緒に大人しく待つ事に決めた。



 今モクバと静香が相談しているオレの墓は、どうやら海馬の墓のすぐ隣に建ててくれるらしい。その墓が出来上がって、そこに自分の遺骨が納められた時。オレは空へ還らなくてはならない。だけどちっとも寂しいとは思わなかった。
 現世に残す人々の事は、もう何も心配していない。自分の逝く先も…万事受け止める覚悟がある。
 あとはもう、海馬と一緒に空へ還っていくだけだ。
 
 そう…あの青色の濃い夏空へ。

 覚悟を決めたオレの目の前を通り抜けて行った夏風は、この季節にしてはとても爽やかだった。

ある意味開眼!

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引き続き結膜炎な二礼です、こんばんは。

昨日眼科に行って『結膜炎』という診断を下されてから、目薬を処方されていました。
実は二礼…今まで自分で目薬を差すのが物凄く下手だったんです。
ちゃんと目の上に標準を当てているつもりでも、瞼の上とか頬とかにポットポットと落ちてしまって、5~6滴程無駄にしてからやっとこさ目に入るというザマでした。
何度練習してもダメだったので、自分でも「もうこのままでいいや」と諦めていたのですが…。
ところがこの間たまたま見たTV番組で、正しい目薬の差し方をやっていたんですよ。
私は今まで上の瞼と下の瞼を、親指と人差し指でグッと開いて目薬を差していました。
ところがその番組では下瞼だけを指先で下げて(つまりアッカンベー状態)、その下瞼の内側に目薬を差していました。
何でも眼球に直接目薬を差すよりも、その方がずっと効果的なのだそうです。
で、それを思い出したので、私もアッカンベー状態でやってみる事にしました。
結果は…

見事一発OK!!

凄い! 滅茶苦茶楽に目薬が差せる!!
今までの苦労は何だったのかと思うくらいに、ホールインワンですよ!!www
目薬を差すのに慣れてらっしゃる方にとっては「何だそれくらい大袈裟な」と思われるのでしょうが、私にとっては画期的な発見でした…w

そんな訳で今日も度々目薬を差しつつ、結膜炎治療をしている二礼でございます。
早くコンタクトに戻した~い!!
(眼鏡じゃ視力が足りなくて、外出すると辛いんですよ…;)


短編に『あの夏空へ』の中編をUPしました。
どうですか? パロディっぽくなってきたでしょ?w
一応真面目な物語なので笑って読めるとかでは無いのですが、こういうほのぼのしている死にネタも有りだと思っています。

………というか一応念の為確認しておきますけど、コレ…ほのぼのなんですよ?
二礼的にはほのぼのを目指して書いた死にネタなんですが…どうでなんでしょね?
ちゃんとほのぼのしてますよね? してませんか? してませんかぁ~~~っ!?

自分的にはほのぼのだという事にして、このまま後編を書いていこうと思っていますw
さて、頑張ってちゃんと纏めていくぞ~!!


あ、そうだ。
何か昨日大ボケかましたらしくて、『あの夏空へ』の前編が短編として上がって無かったらしいです。
一応リンクから直接飛べてはいたようですが、短編の方に表記されていなかった事をこの場でお詫び致します。
大変申し訳ありませんでした~!!
(今は直っている筈です)

あの夏空へ(中編)

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 腹の中が痛くて痛くて堪らなかった。咳き込む度に血泡が迫り上がって来て、口の中が鉄錆臭い。喉が渇いて水が飲みたいと思った。
 そうだ…水が飲みたい。一口で良いんだ。水が飲みたい。飲むのがダメなら唇を濡らす程度でいい。ほんの少しの水があれば、それだけでオレは安心出来るのに…。
 そう思った時、頭上から一粒の水滴が落ちて来た。それはオレの唇に落ちて、薄く開いた口の端から口内へと入り込んで来る。ほんのちょっとだけ塩辛いその水を飲んで、オレは至極安心した。

 良かった…。もうこれで大丈夫だ…。

 口の中が潤った感触に安心した途端、オレの身体は急に軽くなった。



 気が付いたらオレは自分の身体を上空から見下ろしていた。アスファルトの上に大の字になって寝転がっているオレの身体。側には子犬を抱き締めたまま泣いている男の子と、その子を抱き締めている母親らしき人物。大勢の見物人が遠巻きに様子を見守り、煩いサイレンの音と共に救急車とパトカーがやって来て、当たりは騒然としていた。
 これって…オレは死んでしまったって事なのかな?
 そう思ったら先程まで感じていた腹の痛みがぶり返してきたように思えた。思わず片手で腹を庇い、もう片方の手で口元に手を当てる。痛みと同時に、噎せ返る血の臭いと喉の渇きも思い出したのだ。

 腹…すげぇ痛ぇ…。水が…飲みたい。

 思わずその場で屈み込んで「うぅっ…!」と唸っていたら、自分の背後に誰かが立つのが分かった。その人物はじっとオレの事を見詰め、やがてシュルリという衣擦れの音を立てながら緩やかに動く。そして手を伸ばしてオレの頭をそっと撫でてきた。
 頭皮に触れたその手は、背筋がゾッとする程冷たかった。全く血の通っていない、まるで氷で作られた手に触れられているのかと思うくらいに冷たい。それなのに何故か…その冷たさが不快では無かった。それどころか不思議と優しく感じる。
 思わず後ろを振り返ったら、黒く長いローブを羽織った男が目に入って来た。手には漫画やゲームの中でしか見た事が無いような大鎌を持っている。逆光で顔はよく見えなかったけど、被っているフードの影の中で光る青い目が物凄く印象的だった。

「もう苦しく無い筈だ」
「………え?」
「だからもう苦しくも何とも無い筈だ。貴様は死んだのだからな、城之内」

 黒いローブの男の言葉に、オレは心底驚いた。彼の放った『オレが死んだ』という言葉では無い。オレの耳に入ってきた、余りにも懐かしいその声に驚いたのだ。
 深く澄んだその声は、確かにオレが知っている声。オレが大好きだったあの声に間違い無い。だけどこの声は…十三年前に途切れてしまっている筈なのに…何故…?

「海…馬…?」
「………」
「お前…海馬…なのか?」
「………。そうだな…。生きていた頃は、確かにそういう名前だった」

 震える声で絞り出したオレの質問に、ローブの男はそう答えて被っていたフードを取り去った。目の前に現れた顔に息を飲む。そこにいたのは…間違い無く十三年前に死んだあの…海馬瀬人だった。
 全く予想していなかった海馬との再会。目の前に愛しい人が存在するその事実に心底感動し、そしてそれと同時に首を捻った。
 何でコイツ…こんなところにいるんだろう。だって死んでからもう、十三年経ってるんだぜ? それってつまり…。

「お前まさか…成仏出来無かったのか?」

 頭に思い浮かんだ疑問をそのまま口に出すと、途端に眉根を寄せられて「馬鹿者が!」と窘められてしまった。
 あ…何かこの感じ、凄く懐かしい。まだお互いに童実野高校に通っていた頃の、仲良く成り立ての頃の海馬の雰囲気そのままだ。

「オレをそこいらの浮遊霊や地縛霊と一緒にするな! この世に未練など微塵も無いわ! 成仏出来るのならとっくにしている!」
「だ…だってさ…。今もまだ成仏してねーって事は、結局そういう事なんだろう!?」
「違う。生きていた時の業が若干深くて、仕事をしなければならなかっただけだ」
「へ? 仕事?」
「そう。死にゆく者の魂を回収する…つまり『死神』の仕事だな」
「………はい? し、死神ってお前…」

 海馬の口から放たれた意外な単語に、オレは言葉を無くした。
 海馬が生きていた頃、コイツは『非科学的』な事に対して非常に否定的だった。ちょっとでも摩訶不思議な現象の話をしたりすると「オレはそんな非ィ科学的な事には興味が無い!」と言って、過剰なまでに拒否していたのだ。その否定具合は今考えても、かなりヒステリーちっくだったと思う。
 そんな海馬の口から出た『死神』という単語に、オレが呆気に取られるのも仕方無いと思うんだ。

「死神って…。お前マジでそんな事言ってるのか?」
「当たり前だ。事実オレは今、死神だろう?」

 確かに見た目は死神のイメージそのまんまだ。
 長ったらしい黒いローブにでっかい鎌。そしてまるで体温を感じさせない…冷たい手。試しにそっと手を伸ばして触れた頬も、ヒヤリとして氷のようだった。その冷たさにオレが微妙な顔をしたのを見て、海馬がクスリと微笑んだ。
 あ…この笑顔には覚えがある。コイツがオレに優しくする時の笑顔だ。

「冷たいだろう?」
「うん…」
「もう死んでいるからだ」
「うん」
「お前はまだ死んだばかりだからな。まだ温かいが、その内オレと同じくらい冷たくなる」

 頬に当てられていたオレの手を取って、海馬は氷のような冷たい手でオレの掌を握り締めた。まるで去りゆくその熱を惜しむかのように。

「オレはやっぱり…死ぬんだな」
「あぁ、そうだ。お前の魂の紐は、オレがこの鎌で切ってしまったからな。もう蘇生するのは無理だ」
「お前…本当に死神になっちまったのか…」
「そうだ」
「でも何でだよ…。お前はさっき生きていた時の業がどうとかこうとか言ってたけど、何か悪い事でもしたのか? オレにはお前がそんな罪を背負っていたとは考えられないんだけどな」
「何だ…忘れてしまっているのか。あの冥界に去った遊戯に精神を砕かれる前のオレの所行を、お前も知っているだろう?」
「だ…だってアレは…! お前の所為じゃないだろう!?」
「そうだな。確かにオレがあんな風に壊れた原因は、オレ自身には無いのかもしれないし、仕方の無い事だったのかもしれない。だがな、罪を犯した事には変わり無いのだ」

 未だに温かい熱を持っているオレの手を愛おしそうに撫でながら、海馬は言葉を紡ぎ出した。

「せっかくだから、貴様に死神の理を教えてやろう」
「………理?」
「死神というのはな、元は死んだ人間の魂だ。人間というのは少なからず生きている間に罪を犯す。それは万人共通だ。だがその罪がある一定の値を超えると、死んでもすぐには輪廻の輪に戻して貰えないのだ。余りに酷い場合は地獄と呼ばれるような場所に落とされるが、多くはそこまでの罪を犯している訳では無い。だからといって無罪放免に出来る訳でも無いので、そういう魂が死神に選ばれるのだ」

 海馬の話に、オレは思わずゴクリと生唾を飲んだ。
 漫画とかゲームとか小説とか、そういう物でしか知らなかった死後の世界が、あの海馬の口から淡々と語られている。これって実は凄い事なんじゃないかと思ったら、耳を傾けずにいられなかった。

「オレはその規定にほんの少し引っ掛かってしまった。だから死んでから十三年間だけ、死神をする事になったのだ」
「十三年も…? 引っ掛かったのはほんのちょっとなのにか?」
「最短期間が十三年なのだ。それは仕方なかろう」

 そう言って海馬は、死神の事を色々教えてくれた。
 罪を犯して死神に選ばれた魂は、死んでから十三年を一区切りとして死神としての仕事をするんだそうだ。最高は一六九年。それ以上は絶対に無い。何故ならば、一六九年の死神業でも支払いきれない罪を持っている場合は地獄に落とされるからだ。そう考えると最短の十三年で済んだ海馬は、ある意味ラッキーだったんだって事が分かる。

「最初に決められた期間を死神として真面目に勤め上げた者は、褒美として最後に狩る魂を選ぶ事が出来る」
「普段は選べねーの?」
「選べない。ランダムだからな」
「ふぅん。でも選ぶってどうやって?」
「リストがあるのだ。今後数日の間に死を迎える者のリストが。そのリストの中から自分で自由に選ぶ事が出来る」
「そっか。リストがあるのかって…え? ちょっと待ってくれよ」
「………」
「海馬…。お前確か死んでから、今年で丁度十三年だよな。そうだ。だって今日はお前の十三回目の命日だしな…」
「………」
「それでお前は死神になって、期間は最短の十三年で…。という事は…お前…」
「………」
「わざわざオレを選んで…迎えに来てくれたって事か…」
「………そうだ」

 苦しげな溜息と共に吐き出された海馬の言葉に、オレは全身から力が抜けていくのを感じた。

「ヤベー…。何かちょっと…嬉しい…」
「嬉しいものか!! この大馬鹿者が!!」

 気の抜けたまま口に出したオレの言葉に、海馬はキッと瞳を吊上げて大声で怒鳴った。綺麗な青い瞳が怒りで揺らめいている。いや、怒りだけじゃない…。浮かんでいるのは怒りと、そして哀しみだった。

「オレが最後の仕事の為にとリストを渡されたのは、今から丁度十日前の事だった。その中に城之内…お前の名が記されているのを見て、オレがどれだけ絶望したか…お前には分かるまい」
「………海馬…」

 手をギュッと強く握り締め、怒りと哀しみでブルブル震えている海馬に、オレは何も言う事が出来無かった。

「何とかならないのかと、上層部に掛け合ってみたりもした。だが返って来る答えは全部NOだった。リストに名が載った時点で、お前の死は確定だったのだ…」
「………」
「それならば…せめてお前の魂は…オレが狩ろうと…。そう…思って…」

 最後の方はもう言葉になってなかった。澄んだ青い瞳からボロボロと涙を零し、海馬は悔しそうに下唇を噛む。
 そうだ…悔しかったんだ。死ぬ瞬間に流した涙は、哀しみの涙じゃ無かった。アレは志半ばで愛しい人を置いていかなければならないという、悔しさの涙だったんだ。
 海馬が死んだ時、ほんの一粒流れ落ちた涙をオレは哀しみの涙だと思っていた。だけどそれは間違いだったという事に漸く気付いた。よりにもよって、自分の死でそれを思い知ったのだ。
 死は悔しい。置いていく方も、置いて行かれる方も。そして…迎えに来なければならなかった者も…。

「ゴメンな…海馬。本当に…ゴメン」

 俯いて静かに泣き続ける海馬を、オレはギュッと抱き締めた。厚いローブの布越しにも、冷たい氷のような体温が伝わってくる。今は体温に差があるようだけど、その内オレもこうなるんだと思うと…何だかやるせなかった。

「死んじまって…ゴメン。こんなに簡単に死んでしまって…本当にゴメン。オレは本当は…もっと長生きしたかった。たった一八歳で死んでしまったお前の分まで、もっとずっと長生きするつもりだった。七十になっても八十になっても九十になっても…それこそ百歳まで生きるつもりだった」
「………っ! 城之内…っ!」
「それでずっとモクバを支えるつもりだった。二番目の兄貴として…あの弟を守るつもりだった。それが出来無くて…約束を守る事が出来無くて…本当に済まなかった。ゴメンな…海馬」
「城之内…っ!!」

 二人で強く抱き締め合って、ただただ泣き続ける。
 十三年前のあの時、海馬もこんな気持ちで泣いていたのかと思うと、本当に心が痛んだ。その時の海馬は今のオレとは違って、たった一人でこの苦難を乗り越えなければならなかった筈だ。それがどんなにか辛かっただろうと思うと、可哀想で堪らなくなる。
 そしてオレは唐突に思い出した。意識を失う直前にオレの唇を濡らしたあの水滴が、涙の味だった事を。きっとあの涙は…死にゆくオレに対して海馬が流してくれた涙だったんだ。


 やがて…散々泣いた後に海馬はゆっくりとオレから身体を離した。そして胸元から手鏡を取り出してオレに手渡してくる。

「何…?」
「顔を…見てみろ」

 手鏡の意味が分からなくて首を捻ると、海馬がそう言って鏡に顔を映す事を促して来る。理解不能のまま渡された鏡で顔を映し込んでみて…オレは心底驚いた。
 そこにいたのは三一歳のオレでは無かった。海馬が死んだあの時の…一八歳の頃のオレの姿だったのだ。
 その姿を見て、オレは悟った。自分が今、完全に死んでしまったという事を。

 手鏡を手渡す時に触れた海馬の手は…もう冷たくも何とも無かった。

コンタクトの所為じゃ無かったのね...w

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結膜炎になった二礼です、こんばんは。

今週の火曜日頃からですかねぇ…。
何かコンタクトを付けると、左目だけボヤ~ッと曇ってしまっていたんですね。
私が使っているのはソフトコンタクトレンズなのですが、もう随分長く使っていたのでその所為だと思ったんです。
(ちなみにソフトコンタクトレンズの寿命は約2年前後。私はもう4~5年くらい使っていましたw)
そこでツイッターで相談を仕掛けたら、何名かがワンデーアキュビューをオススメしてくれたんです。
お値段を聞いたらそこそこだったので、早速地元の眼鏡屋さんで購入。新しいのを付けて「これで安心」と思っていたのですが…。
やはり曇る左の視界!!
これはもうコンタクトが原因じゃないだろうと、仕方なく地元の眼科へ行きました。
そして下された結果が…。

結 膜 炎 !\(^o^)/

軽度の結膜炎にかかり、粘性の高い涙が出てレンズが曇っていたそうなんです。
いや~。ちょっと目が痒いくらいだから、全く何とも思わなかったよ。
そういう訳なので、暫くはコンタクト禁止です…w
家の中用の眼鏡はあるのですが、外だと若干視力が足りなくて辛い罠…;
来週のバイトまでに治るといいんだけどなぁ…;
困ったね(´・∀・`)


短編に『あの夏空へ』の前編をUPしました。
禁断の死にネタにチャレンジです…w
まぁ死にネタと言っても余り悲壮感漂う物語は自分が苦手なので、ちょっとパロディっぽくしてみました。
パロディって言ってもギャグでは無く、一応真面目なお話ですけどね…(´∀`)
最期は「これはこれでハッピーエンド」ってのを目指しています。

今年はとにかく自分の可能性にチャレンジ…というか、「こればっかり」というのを無くす為に色々な小説を書いていこうと思っています
読み手さんにとっては苦手なシチュエーションもあったりするでしょうが、その辺は華麗にスルーして下さいませ~!


以下は拍手のお返事になります。


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました(*'-')

コメントの件は了承致しました。
苦手なネタは無理して感想を書く事も無いと思います。
確かに城海でやるネタでは無かったかもしれませんが、私としては「はやぶさネタを城海でやるとどうなるか」という事に重点を置いておりましたので、敢えて小説にさせて頂きました。
また時事ネタというものは「その時に何があったか文章からわかる」だけであって「その事象を理解していないと楽しめない」ものでは無いんですよね。
一応そこら辺を目指して小説を書いていたんですが、やっぱり興味の無い方には難しかったのかもしれません。

というか、やっぱり微妙に凹むんですよね~。
分かってやってる事なんですが…w
マイナスの感想は見ると更新意欲の減退に繋がりますので、出来ればスルーして下されば幸いです。

それでは今日はこの辺で失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ

あの夏空へ(前編)

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城之内×海馬。城之内の一人称。
禁断の死にネタでございます…(´∀`;
あ、でもでも! そんなに悲壮感は無いと思うし、ちょっとパラレルチックなので、気軽に読めると思います。
ある意味ハッピーエンド…かな?

 




 目に入ってきたのは、梅雨の晴れ間の青い青い空だった。
 どこまでも澄み渡った夏の青空に、オレは一筋の涙を零す。空にポッカリ浮かんだ白い雲が、瞳を覆った水滴でじわりと歪んで見えた。夏空特有の濃い青空が、どこまでもどこまでも広がっている。このまま吸い込まれてしまいそうだ…。

 そうか…。あの時のお前は、こんな気持ちでこの美しい空を見ていたのか…。

 十三年前のあの夏の日を思い出して、オレは思わず二粒目の涙を零した。



 海馬が死んだのは、今から十三年前の六月の事だった。
 丁度梅雨の最中、それまで何日も降り続いていたジメジメとした雨が上がり、その日は朝から爽やかな日差しが降り注いでいた事を覚えている。
 その年の春先にオレ達は童実野高校を卒業したばかりで、二人ともまだ十八歳だった。オレ達の間柄は『犬猿の仲』としてちょっとした名物になっていたのだが、ところが意外にも本人達はその仲を友好的な物に変えていっていたのだ。
 アメリカから帰って来た海馬は以前ほど激しくオレを拒絶しなくなったし、オレもそんな海馬に惹かれて一緒にいる時間が増えていく。遊戯や本田から「いつからそんなに仲良くなったんだ?」と言われる位にオレ達の間は近しくなり、やがてそんな時間を長く過ごしている内にオレの気持ちは友情から全く違う方向へと向かっていく事になった。

 曰く『恋』…だ。

 流石にこの気持ちを素直に海馬に打ち明ける事は出来無かったし、だからと言って離れる事も出来ずにオレ達は側に居続けて、ズルズルと『親友』っぽい関係を続けていたのだ。
 そんな調子で高校を卒業してもずっと側にいたある日の事、オレは自分の気持ちを海馬の弟のモクバに見抜かれてしまった。その頃には大分海馬邸にも入り浸っていたし、兄貴と違って聡い弟にはオレの気持ちが丸見えだったんだろうなぁ…。たまたま海馬が二週間の海外出張に行っている間に海馬コーポレーションの本社ビルへと呼び出され、オレはモクバと対面した。

「城之内は兄サマの事が好きなの?」

 直球で向かってくる質問に苦笑する。

「好きだよ。好きだからよく一緒にいるんじゃねぇか」
「そうじゃなくて。そういう好きじゃ無くってさ」
「お前の言いたい事はちゃんと分かってるよ。要するに、オレがお前の兄貴に恋してないかっていう事なんだろ?」
「うん」

 コクリと頷くモクバに笑って、オレは自分の気持ちを素直に打ち明けた。
 海馬がアメリカから帰って来た時、以前ほど嫌だという気持ちが湧いて来なかった事。当たり前だけど最初からこんな気持ちでは無かった事。だけどいつの間にか好きになっていた事。海馬を傷付けるつもりなんて一切無い事。出来ればこの先も側にいたい事…。
 それら全てを丁寧に話して聞かせた。モクバはただ黙って頷きながら話を聞き、やがて最後にニッコリと笑顔を見せてくれる。絶対怒られると思っていたオレは、その笑顔で随分と拍子抜けしてしまった。

「怒らないのか…?」
「なんで? オレお前なら別に構わないと思ってるよ」
「………オレ、男なんですけど…」
「うん。それはまぁ…困るとこだけど、でもオレは別に関係無いって思ってる。兄サマが幸せならオレはそれでいいんだ。そして城之内、お前ならきっと兄サマを幸せにしてくれると思ってるから」
「モクバ…」
「ところで城之内、兄サマに告白するつもりは無いの?」
「え…っ!? あ…いや…その…っ」
「せっかくなんだから告白しちゃえばいいのに。いつまでもこのままでいる訳にはいかなないだろ?」
「そうだけど…でもさ…」
「実は今日の朝に、兄サマ帰って来たんだよ。少し休んで昼過ぎに出社するって言ってたから、そしたら一緒に昼飯を食おうぜぃ! オレ途中で会社に戻るから、その後は二人でゆっくり話をすればいいよ」

 目の前で得意げに言葉を放つ小さなモクバが、妙に頼りがいのある大きな人間に見える。オレは何度も頭を下げながら、モクバに「ありがとう…! ありがとう…!」とお礼を言っていた。その度にモクバは擽ったそうに「やめろよ、城之内!」なんて言って照れていたけどな。



 そしてあの日、オレとモクバは海馬コーポレーションの本社ビルの前で海馬を迎えたのだ。
 黒塗りのベンツから降りてくる、白いスーツを着た海馬。オレとモクバに気付いて、微笑して右手を挙げた。夏の日差しはとても眩しくて、海馬は顔の前に掌を翳して影を作る。そして澄み渡った空をチラリと見上げた。その瞬間、側の植込みから飛び出して来た人の影。ボロボロのTシャツと薄汚れたジーンスに伸び放題の髪の、細い身体付の男。何か訳の分からない事を叫びながら、海馬に何かを向けている。事態を把握して黒服のSP達が動いたその時、夏空の下でクラッカーが破裂した。

 パンッ。

 たった一発、余りにも軽いその音を、オレは本当にクラッカーだと思った。誕生日やクリスマスのパーティーの時に使われるあのクラッカーだと。でもその男が持っていたのはクラッカーでも何でも無かった。
 黒光りしている銃。銃口から吹き上がる硝煙。一瞬驚いた様な顔を見せて、次にふっと力を無くして地面に倒れ伏す海馬の姿。SP達に取り押さえられながら、未だに訳の分からない言葉を吐き続ける細身の男。絶叫しながら倒れた海馬に駆け寄るモクバ。
 それら全てが…まるで映画のように見えた。

「か…海馬…っ! 海馬っ!!」

 オレもモクバの後を追って、地面に倒れている海馬に駆け寄る。モクバによって身体を仰向けにされた海馬の身体からは、ドクドクと血が流れていた。真っ白いスーツは鮮血に染まり、アスファルトの上にも血溜まりが出来ている。何とか止血をしようと傷口を押さえているモクバの手も真っ赤だった。
 どう考えてみても…助かる見込みは無かった。
 海馬は何も言う事が出来ず、ただ綺麗な青い瞳で真っ直ぐに空を見ていた。前日までずっと雨模様だった空は、その日は朝から晴れ渡って美しい夏空が広がっている。やがて青い瞳がゆらりと揺らぎ、眦から一筋の涙が零れ落ちて…アスファルトに小さな染みを作った。

 それが…海馬の最期だった。

 想いを告げる事無く、愛しい人は死んでしまった。その事実がどんなにオレを打ちのめしたか分からない。
 やがて数日後。海馬コーポレーション社長の死を悼む為に会社で大々的な葬儀が行なわれた。部外者であるオレは勿論それに参加する事は出来無かったんだけど、その後内輪で行なわれた小さな葬儀にモクバはオレを呼んでくれた。喪服を着込んで海馬邸に赴き、本当にシンプルな葬儀に参加する。式が終わった後、海馬の遺影の前で二人で少し話をした。モクバはすっかり窶れた顔でオレに事件の顛末を話し出す。

「アイツ…兄サマを撃ったあの男。外国人だったんだ。家が貧しくて日本に出稼ぎに来たものの、悪徳業者に騙されて余計に借金塗れになって…。そんなアイツに目を付けたライバル会社に大金をちらつかされて、それで兄サマを撃ったんだってさ」
「………」
「オレはあの男の処分は、法に任せようと思ってる。でもあの男を雇った会社だけは別だ。絶対に報復してやる」
「モクバ…」
「これからオレは色々と汚い事をするけど、城之内にはそんな事をして欲しく無いと思ってる。城之内には…何も関係無い事だから」
「関係無い筈無いじゃないか。オレだって好きな人を殺された憎き相手なんだぜ」
「そうだよな。でも兄サマがそれを望まないだろうから、だからオレはやっぱり城之内には関わって欲しく無いと思ってるんだぜぃ」
「海馬はオレの事なんか、そんな風には思って無いよ。だってオレの気持ちも知らなかった訳だし…」
「そんな事無いぜ!」
「モクバ…?」

 突然大きな声を出したモクバに、オレは本気で驚いた。疲れ切ったこの小さな身体のどこに、それだけのパワーが隠されていたんだろう。

「兄サマが…何とも思って無い奴を側に置いたりするもんか! 兄サマは自分が本当に『好き』だと思う人間以外は、絶対側にも寄せ付けないんだ!」
「モク…バ…?」
「だからオレは、お前に兄サマへの告白を勧めたんだ…。兄サマも…絶対お前の事が好きだって言う確信があったから」
「………っ」
「それなのに…こんな事になっちゃって…。兄サマもお前も…どっちも不幸になっちゃって…。オレ…どうしたら…っ!」
「モクバ…っ!!」

 小さな肩を震わせてボロボロ泣き始めたモクバを、オレはそっと抱き締めた。そうする事しか出来無かった。ただ今は無性にモクバを守ってやりたかった。

「なぁ…モクバ。お前は今『兄サマもお前も』って言ってくれたけど、その不幸になった人間の中にはちゃんとお前も含まれているんだぜ? 分かってるよな?」
「っう………!」
「お前が汚い事をして海馬を殺した会社に復讐するってんなら、オレはそれを止めない。だけど、オレにも協力させてくれ。一緒に海馬の仇を取らせてくれ」
「城之内…っ」
「オレ…お前の兄貴になるからさ」
「兄貴…?」
「そう、兄貴。海馬に比べたら随分と頼りない兄貴だろうけど、それでもお前を支えててやるから。だからオレをお前の兄貴にしてくれ」

 腕の中のモクバを強く抱き締めながらそう言ったオレに、モクバは泣きながら何度も頷いてくれた。
 こうしてオレは、その時からモクバのもう一人の『兄貴』になった。



 それからオレ達は友人同士として、そして『兄』と『弟』として仲良くやっていた。毎年六月にやってくる海馬の命日には、二人揃って墓参りに行く。この頃にはオレも立派な社会人になっていたから、命日が平日に当たると墓参りには行けない。そこで、命日に近い方の土曜日か日曜日に約束をして、二人で墓参りに行くのが常だった。
 モクバと二人でそんな風に海馬の死を悼むようになってから十三年。今年も海馬の命日がやって来た。今年はたまたま日曜日にその日が当たり、二人で朝から一緒に行く約束をしていたのだ。

「これからバイクでそっちに行くから」
「うん、分かったぜぃ。気を付けて来いよな」

 数年前、オレは思い切って大型自動二輪の免許を取った。大型のバイクを乗りこなすオレを、モクバは当初余り良い顔をしなかった。顔を合わせる度に「事故ったらどうするんだ」「オレに兄を二人も失わせるつもりか」と説教をされ、オレ自身としてもその気持ちが分からなくも無いので聞く度に胸が痛くなったものだった。でもオレがずっと無事故無違反で運転し続けている内に、ようやっと認めてくれたらしい。…諦めたとも言うんだろうけどな。
 モクバとの通話を終えて、携帯のフリップを閉じ鞄に仕舞う。バイクに跨がってフルフェイスのヘルメットを被り、エンジンを蒸かしてアクセルを踏んだ。いつも通り滑らかに発進した機体に満足して、オレはそのままスピードを上げて走り続けた。
 今日はまるであの日の再現のように、朝から爽やかに晴れ渡っていた。梅雨の時期だから仕方ないけど、あの日以降海馬の命日はずっと雨か曇りだったように思う。今日は暑くなりそうだなぁーなんて思いながら、四車線道路から二車線道路へと移行する。
 二車線道路と言っても、ここは主要道路の一つだから道幅もありスピードも出せる。オレはいつも通り指定されている法定速度を若干上回る程度のスピードで、その道路を走っていた。
 もう数十メートル走れば幹線道路を逸れて住宅街に入る事が出来る。そこから少し走れば海馬邸は目の前だ。海馬邸に着いたらこのバイクは敷地内に置かせて貰って、後はリムジンで二人一緒に墓参りに行く予定になっていた。それがいつものオレ達の、お決まりのコースだった。

 それにしても今日は暑いな…。そうだ。墓参りが終わったら、モクバと二人で冷たい珈琲でも飲みに行くか。墓地から少し離れた場所に、お洒落な喫茶店があるんだよな。いつも食事奢って貰ったりしてるから、たまにはオレの奢りでお茶するのも悪く無い。うん、そうだ。そうしよう。

 そんな事を思いつつ住宅街に入る為のカーブを目に捉えた時だった。
 突如目の前に飛び出して来た茶色い固まりが目に入って来る。尻尾を振って道路の真ん中で動きを止めたそれは、小さな子犬だった。そしてそれを追いかけてきた五~六才くらいの男の子。足元に纏わり付く子犬を抱き上げて、そしてゆっくりこっちを見た。その顔が笑顔から驚愕へと移り変わる。
 咄嗟にブレーキを掛け、大きくハンドルを切った。とにかくあの子供に当てちゃいけない! …と、もうそれしか頭に浮かばない。無茶な行動の果てに自分がどうなるかなんて…全く考えられなかった。



 そして気が付いたらオレは、無様に地面に転がっていた。腹の中が滅茶苦茶痛い。喉に迫り上がって来る血泡に、内臓破裂してんだなぁ…とまるで他人事の様に思ってしまった。フルフェイスのヘルメットはオレの頭を守ってくれたようだったけど、今は呼吸が苦しくて物凄く邪魔くさく感じる。震える手で何とかヘルメットを脱ぎ捨てて、そのまま地面に大の字に寝転がった。
 遠くで子供の泣き声が聞こえる。あと子犬の鳴き声も。良かった…無事だったんだな。怪我は無いかな? 泣いてるだけならいいんだけど。目の前でバイクがすっ転んだなんて、怖い物を見せちゃったな。
 激痛が襲う腹を掌で覆いながら、オレは瞼を開けて空を見上げる。そして目に入ってきたのが…恐ろしい程美しく晴れ渡った夏空だった。

 十三年前、海馬が見ていたこの夏空。そうか…あの時のお前はこんな気持ちだったんだな。

 涙が一粒零れる。そして二粒目も。
 ゴメンな…モクバ。あんなに注意されてたのに、オレはお前に二人目の兄貴まで失わせるハメになっちまった…。
 でもこの子供は悪く無いから…。ちょっとスピード出し過ぎてたオレが悪いんだから…。だからあの時のような復讐はやめてくれよ。
 まぁ…モクバの事だから、子供相手にそんな残酷な事はしないだろうけどな。ちょっとしたジョークだから忘れてくれ。

 薄れゆく意識の中でそんな馬鹿な事を考えながら、オレはゆっくりと瞼を閉じた。完全に視界が暗闇に覆われる直前、真っ青な空をバックに随分と懐かしい顔が自分を覗き込んでいる事を不思議に思いながら。

 

申し訳ございませんが...

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大変申し訳ございませんが、本日の更新はお休みさせて下さいませ。
夕方頃からちょっと頭痛がしているので、上手く集中出来無い状況となっております。
この状態で小説を書くのは辛い物がありますので…スミマセンがお休みさせて頂きます。ご了承下さいませ。
また、今日の更新分及び日記や拍手のお返事等も、明日UPする予定です。
ご迷惑お掛けして大変申し訳ありませんが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。

オーラだだ漏れ

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雰囲気だだ漏れの二礼です、こんばんは。

昨日のイベント中の事でした。
散たんと色々話していた時に、ふと「ネット上でのイメージと、リアルに会った時のイメージが全く違う人っているよね~」という話に発展しました。

例えばこの散たん。
ネット上ではとても大人しくて優しそうなお嬢さんに見えますが、実は結構キャピキャピしている御方なんですよw
逆にネット上ではとても元気な方でも、実際にお会いしたら随分とおしとやかな方だったりした事もあります。
で、そういう話をしていたら、勿論自分のイメージも気になってくる訳ですよ。
なので思い切って散たんに聞いてみました。

し「ちなみに私のイメージってどうだった?」
散「しげりんは全く変わらなかったwww」
し「え? マジでか!!」
散「だって初めて会った時、話しかけられる前からしげりんだって分かったもの~」

って、おい…!
話しかける前から雰囲気だだ漏れってどういう事なんだ…!!

散たんと初めて直にお会いしたのは去年のスパコミの時だったのですがね。
その時に、少し離れた場所で差し入れの準備をしてから、スペースに行って散たんに話しかけていたんですよ。
で…散たん曰く、そのゴソゴソとしている姿が目に入って来て「何かしげみさんっぽい…」と思ったそうです…w
どんだけだよwww どんだけなんだよ、私のオーラwww

そういう訳で、リアルの私もこんな感じです…w
今後もし私に会われるかもしれない御方は、リアルのテンションもこんな感じですので驚かないで下さいませ…w


短編に『大気になった流星』をUPしました。
はやぶさたん、お帰り企画です~!!(><)

いや~本当に昨夜は感動のしまくりでした。
PCでずっとネット中継を繋ぎつつ、相棒と二人でガン見状態。
ツイッターでも興奮気味に呟きながら、最後は感動の余り二人してボロボロ泣いていました。
はやぶさたんの最後の勇姿…本当に美しかったです!!

七年の歳月の果てにやっと地球に帰って来たはやぶさたんが、大気圏内でバラバラになって燃え尽きたあの姿…。
本当に涙無しでは見られませんでした。
その時に私の頭に浮かんで来たのが、小説内の海馬のあの考えだったんです。
はやぶさたんは消えて無くなった訳では無い。
地球の大気の一部となって、今でも私達のすぐ側にいると…そう信じたいですよね?
そんな願いを込めて書いた一本でした~!

ていうか時事ネタで申し訳ございません…w
数ヶ月後に読み直して「あぁ! そういやそんな事もあったな~!」と思い返して頂ければ幸いです(*'-')


以下は拍手のお返事になりますです~(´ω`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(゜∇゜)

『Kiss&Kiss』と日記の感想をありがとうございますv
まったりラブラブ城海は、やっぱりいいですよね~!
私も書いててとても幸せな気分になりました(´∀`)

Rosebank様もおっしゃっている通り、いくら『結婚』をしたとしてもやっぱり男同士ですからね。
こういう積極的なラブコミュニケーションは必要なんだと思います。
多分馴れ合いだけでは長く付き合っていけない事を、城之内も海馬もよく知っているんだと思います。
でもこの二人は、決して無理をしてこういう事をしている訳では無いんですよね。
むしろもう自然な行為になっちゃっているところがラブラブでいいなぁ~と、書いてて自分で思ってしまいましたw

それから海馬の「いい匂い」ですが…。
人が発する匂いというものは、対する人間によって変化が生じるそうです。
弟であるモクバに対する時の匂いと、恋人…じゃなかった夫である城之内に対する時の匂いは、やっぱり若干変わっているんでしょうね。
城之内はその匂いの変化を、敏感に嗅ぎ取っているんだと思いますw
流石犬…じゃなくて旦那さんですよね!www

日記の方にもコメントどうもでした~!
はい。お客様は某Cたんでした…w
こんなお客様を迎える機会が無いと、しっかりお掃除しないんですよ…w
普段から綺麗にしとけって事ですね、はい。

あとイラストにもコメントありがとです…w
せっかくsaiを入れたので、今年はイラストにも挑戦していきたいと思っているんですが…。
まだまだ勉強が必要ですね(´∀`;

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

大気になった流星

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城之内×海馬。海馬の一人称。
『はやぶさ』の地球への帰還を祝して、一本短編を書いてみました。
コレが二礼の『はやぶさ』への想い…かな?

 




 六月十三日深夜。日本中が宇宙事業による人類初の偉業に夢中になり、その結末に注目していた。それは勿論我が家も例外では無く、リビングの大画面モニターにインターネット中継を繋いで、オレとモクバと…そして城之内の三人でじっと最後の瞬間を見守っていた。


 小惑星探査機『はやぶさ』。マイクロ波放電型イオンエンジンを使い、地球から約三億㎞離れた宇宙空間に存在する小惑星『イトカワ』にまで探査に行き、その表面に存在する岩石や砂を地球に持ち帰る事を目的として作られた工学実験探査機だ。様々なトラブルに見舞われながらも、約七年の歳月を掛け、何とか地球に帰還する事が確定的となっている。今まで他の天体に降りたってから地球に帰還出来た探査機は存在せず、もしこれが無事に成功すれば、人類史上初めての偉業となる筈だった。
 その『はやぶさ』がついに地球に到達する事になり、意外と祭り好きのモクバや、あからさまにこういう派手なニュースを好む城之内に頼まれ、オレ達は三人揃って『はやぶさ』の偉業を見守る事になったのだ。
 まぁ…正直に言えば、オレ自身も気になっていたから全く問題は無かったのだがな。


 そして六月十三日二十二時五十一分。南半球の夜空に一際明るく輝いた人工の流れ星を、オレ達は目撃した。
 目の前に映し出されたその美しい光景にオレは言葉を無くし、モクバは「凄いぜぃ!」と叫び大興奮している。立上がって大騒ぎするモクバに目を向け、だがその向こう側に座っていた城之内の顔を見た途端、オレは違和感を感じて首を捻った。
 城之内はこういう事に至極感動してはすぐに泣く癖がある。今回も確かに感動して涙ぐんでいるのは分かるのだが…何故かその顔は嬉しそうでは無いように見えた。
 本当は感動などしていないのだろうか…? いや、そんな筈は無い。普段はちょっとした事では全く心を動かされないオレも、今回ばかりは感動したのだ。あの感動屋の城之内が何とも思っていない筈は無い。だが…。

「本当に凄かったぜぃ! な、城之内! 最後綺麗だったよな!」
「あぁ…そうだな」
「何だよー。感動が薄い奴だなー」
「そんな事は無いぜ。滅茶苦茶感動してるよ。ただ…」
「ただ?」
「………いや、何でも無い」

 城之内の反応が思ったより薄かった事に、モクバは口を尖らせて不満を表している。ただ城之内は、そんなモクバに曖昧に笑って見せるだけだった。



 結局もう深夜だという事でその場はそれでお開きになり、オレと城之内は揃って自室に赴いた。インターネット中継に齧り付いていた為に入りそびれていた風呂に一緒に入っても、城之内はどこか上の空だった。一緒に風呂になんぞ入れば、いつも何かしらの理由を付けてオレに触れてくるというのに…。
 これには流石のオレも驚いた。

「おい、城之内」
「んぁー…?」
「どうしたのだ」
「………別に」

 湯船に二人で浸かりながら問い掛けてみても、返ってくるのはどこか気の抜けた返事ばかり。試しに近寄って湯船の中で身体を触れ合わせてみても、城之内はボーッと呆けたままだった。

 これは…どうしたらいいのだ…。遂に城之内がおかしくなった!

 なんて流石にちょっと失礼だと思うような事を考えてしまう程、城之内の態度はおかしかった。
 結局その後も城之内は何もせず、パジャマに着替えて共にベッドに入っても何のアクションも起こさない。ただボーッと目を見開いたまま暗闇を見詰めているだけだ。

「お、おい…城之内。本当にどうしたのだ…。変だぞ貴様」

 流石に心配になってそう声を掛けたら城之内はゆるりと顔を動かし、ようやっとオレの方を見てくれた。その目が酷く寂しそうに見えて、途端に心配になる。

「海馬…」
「何だ…城之内?」
「『はやぶさ』は…どうしても燃え尽きなければならなかったのかなぁ…。あのまま地球の周りを人工衛星として回らせるんじゃ…ダメだったのかなぁ…」

 ボソボソと呟かれた台詞に、オレは漸く城之内がどうして沈んでいるのかが理解出来た。
 なるほど。そういう事か。コイツがすぐに他人の気持ちと同化する事を忘れていた。それは人間や命を持った動物だけかと思ったが、どうやら命を持たない機械にも有効だったらしい。
 命を持たない…。そういう風に自分で考えて、何故か心臓が微かに痛んだ。
 ん…? 何だ今のは? 何故胸が痛んだのだ。

「だって何か…可哀想だ。七年も掛けてやっと地球に帰って来て…。それなのに二度と地面に降り立つ事無く、簡単に燃え尽きちゃっただなんて」

 完全に『はやぶさ』を擬人化して考えている城之内に、オレは呆れつつも何となく同意せざるを得なかった。

 あぁ、そうだな。そう考えると確かに可哀想かもしれない。だが…。

 城之内が先程から何を考えて落ち込んでいたのかが分かったと同時に、オレの中に城之内とは別の考えが沸き起こってくる。『はやぶさ』の本体が大気圏で燃え尽きてしまった事は、事実だけを見れば確かに可哀想な事なのだろう。だがしかし、『はやぶさ』にとってはそれが本当に不幸な事だったのだろうか? いや、そんな事は無い。もしオレが『はやぶさ』だったのら、むしろ…。

「再び地球の大地に降り立つ事だけが、幸せな事とは限らんぞ」

 闇の中からじっとオレを見詰めてくる琥珀の瞳を見返して、オレは微笑みながらそう言った。

「どういう事だよ、それ」
「良く考えてみろ。『はやぶさ』が燃え尽きたのは、大気圏内だ」
「うん。それが何…?」
「地面よりももっと我々に近しい存在…。つまり大気の一部になったと考えられんか?」

 熱く冷たく、地球上に存在する全ての物を包み込む、大気という存在。大地と海を風となって吹き抜け、酸素は全ての生き物の身体に入り込み命を輝かせ、オゾン層は太陽から放出される危険な放射線や紫外線をカットして我々を守ってくれる。地球上に生きる物達にとって、絶対に無くてはならない大事な存在。それが大気だ。

「もしあの『はやぶさ』が、そんな大気の一部になったと考えれば…。どうだ? もう不幸な事では無いだろう?」

 もしオレがあの『はやぶさ』だったのなら、地球の大気になる事はちっとも悲しい事では無い。それどころか嬉しいと思うだろう。大気の一部となって愛しい人を守れるのならば、それこそがオレの本望だ。
 そんな事を考えながら、我ながら随分と珍しい思考パターンだという事に気付いて、何だか照れ臭くなって苦笑してしまった。
 今日はオレも城之内も本当にオカシイ。どうやらあの美しくも少し寂しい光にやられてしまったらしい。だが何故か悪い気はしなくて、オレはこのままでいいと思うようになっていた。

「あぁ…それいいな。うん、凄くいい! それならオレももう寂しく無いな」

 オレの言葉に城之内はウンウンと何度も頷いて、ベッドの中でオレの身体にピッタリとくっ付いて来た。その表情はもう寂しそうでは無く、何だかとても嬉しそうに見える。気持ちの切り替えが早いのはコイツの長所だが…、それにしても現金な奴だ。

「七年掛けて宇宙から帰って来て…。今度は地球の大気になってオレ達を見守ってくれているんだな。『はやぶさ』って凄ぇなぁ…! 格好いいなぁ…!!」

 ニコニコと本当に嬉しそうに笑いながら、城之内がオレを抱き寄せてきた。その優しいだけの手付きに、今日のコイツは何もするつもりが無い事を知り、オレも安心しながら城之内の背に腕を回して抱き締める。そして、城之内の肩越しに窓の方に視線を向けた。
 少し開いたカーテンからは、モニターで見ていたような晴れ渡った夜空は見えない。残念ながら梅雨入りをしたこの地方では、先程からパラパラと雨が降っている。だがあの厚い雲の向こうには、美しい星空が広がっている事を知っている。『はやぶさ』が旅してきた星々の海が…広がっているのだ。

「今夜は…良い夢が見られそうだな」
「うん、そうだな! きっと良い夢が見られるよな!」

 温かい熱を互いに分け与えながら、オレ達はそっと目を瞑り眠りへと落ちていく。
 やがて数刻後、目に入って来たのは美しくも愛しい星々の海と、闇の中に青く輝く宝石のような惑星…だった。

散大先生のお絵かき教室

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大先生にお絵かきの仕方を教えて貰った二礼です、こんばんは。

本日、チタナイ我が家に『REMS』の散たんが遊びに来てくれました~!
散たんがウチに遊びに来るのは、去年の9月以来だから…約9ヶ月ぶりかな?
ちょくちょくイベントで会っているので、何だか久しぶりな気が全くしない罠w
しかもこの御方…。私のPCを使い、ツイッターで成り済まししやがりました…w
まぁ、某方にはとっくにバレバレだったみたいですけどねー(´∀`)

で、二人で『ゲゲゲの女房』を観て、その後は私と散たんと相棒の三人で仲良くお昼御飯を食べる事に。
梅干し入り三角お握りと味噌汁とだし巻き卵焼きは私が用意して、メインは散たんがお土産に持って来てくれた高級牛肉を焼肉にして食べました~!

もう…もう…すっごい美味しかっです!!

良いお肉は油がトロトロなんだよね~!
お口の中で蕩ける牛肉…最高でした!
散たん、美味しいお肉をどうもご馳走様でした~!!(*´д`*)

お昼御飯の後は以前から使い方が良く分からなかったsaiを散たんに教えて貰う事に。
下書きは以前に描いていたものの、色塗りの上手なやり方がイマイチ分からなかったんですよね。
「教えて下さい」とお願いしたら、散たんは快く了承してくれまして…。
そして、全くもって容赦の無いスパルタ教育でガシガシと色塗りをやらされました…(´_ゝ`;
そういう訳で、何とか一枚のイラストを無事に完成させまして…。
せっかくなのでこの場でご披露してみたいと思います…w

↓コレです。
seto04.jpg


うん…微妙だな。
まだまだ勉強が必要なようですね…;

ついでですので、散たんに一言書いて貰いました~!
以下、散大先生の御言葉ですw


こんな所にこんにちは。散です。
本日も再びしげりんのお宅に遊びに来て、昼飯をかっくらった挙げ句絵描きでもないのに色塗り指導なんぞをしつつ、大変楽しい休日を過ごさせて頂きました。
つーか人様の家に来て一体何をやってるんだ(笑)いやーしかし私は大変優しくお教えしたつもりだったのに「スパルタ」とか言われたよ!そんな事ないのに!(笑)
でもしげりんはすっごく飲み込みが早かったので今や絵描きマスターだね!私も練習しなくっちゃ。
毎度遊んでくれて本当にありがとう!お邪魔様でしたー!



だそうです(*'-')


さて、明日はイベント本番です!
浮かれた気持ちを引き締めて、しっかりと売り子をやって来ようと思っています。
頑張ろう!! おー!!


以下は拍手のお返事でございまっす~!


>Rosebank様


拍手とコメント、どうもありがとうございました(*'-')

コメントの件、了承致しました。
忙しい時や具合が悪い時などは、決して無理しないで下さいませね。

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

押し入れはネ申空間!

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お掃除が全く進まない二礼です、こんばんは。

ヤベー。やる事一杯でお掃除出来無いw
これはもう、汚いお家でゴメンナサイするしか無いわ…w

ていうか自分だけの部屋だったら、こんなに苦労しないのになぁ…:
相棒の私物は、捨てていいものなのかかどうなのかが分からないから、手の付けようが無い。
しかもこういう時に限って仕事が忙しくて、帰りは真夜中になる罠。
ちくしょ~! どうすればいいんだ!!
………。
よし、全部押し入れに入れてしまおう。そうしよう。

と、心に強く決めた二礼でした。
誤魔化す事に関してだけは、超一流なんですwww


短編に『Kiss&Kiss』をUPしました。
久々の短編です~!
何だかほんわかした城海が書きたくて、例の夫婦城海の設定で一本書かせて頂きました。
うん。思ったより良い出来になった…と思います(´―`)

普段長編で波瀾万丈な城海ばかり書いているので余り信じて貰えないのですが、二礼が大好物なのは、普通に平和に恋愛を楽しんでいる城海のお二人さんなんですよ~!
相手に好意を持ったのも『普通』なら、付き合う事も『普通』。恋人としてするキスもセックスも『普通』だと感じている城海が好きです。
恋愛は何も、特別な事でも何でもありませんからね。
そういう風に『普通』に恋愛してる城海が、二礼の最終目標だったりします。

でも長編でこれをやると、メリハリが無くてすぐに飽きちゃう罠…w
ほんわか幸せ城海は、やっぱり短編で書くのが丁度良いのかもしれません。

ていうか…。
夫婦城海(『夫婦』と書いて『めおと』と読む)は、シリーズ化した方がいいのかしらん?
ちょっと考慮してみよう。


以下は拍手のお返事でございまっす~!


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!(´∀`)

『Lesson』と日記の感想をありがとうございま~すv
最後まで読んで下さって、どうもありがとうございました。
私もお初物は大好きです~!!(><)
なのですが、何度書いても一番気を遣うのもお初物なんですよねw
お初物もそうでない物も、城之内と海馬を幸せにする為に書いている事には違いありません。
でもやっぱり受け身である海馬の負担を考えると、お初物はそう気楽には書けないんですよ…w
何せ男が男に抱かれるという事実は、この先の海馬の人生を大きく左右する程の一大決心ですからね!
そう言う気持ちで小説を書いていたのですが、どうやらその気持ちが城之内先生にも伝わってしまっていたみたいですね…w
『Lesson』では私自身も「今回の城之内は気を遣い過ぎだなぁ…」と思っておりました(´∀`;
うん、ちょーっとウザかったかな?w
でもまぁ…最後は城之内先生も反省致しましたし、無事にラブラブハッピーエンドを迎える事が出来て良かったですv
海馬が城之内先生にフェラーリ出来るのも、多分もうすぐだと思いますよ~(*´∀`*)

日記についてもコメントどうもでした~!
書き直しは本当に大変でした…w
一度形になりかけた物をもう一度というのは、なかなか骨の折れる作業なんです。
でもそのお陰で、『Lesson』の最終話のボリュームが増したのも事実なんですよね。
多分何のトラブルも無かったら、あの2/3程度で終了していたと思われます。
怪我の功名というか何というか…分からないものですねw

それからRosebank様の体調が回復したとの事で、こちらも安心致しました。
何かと体調の崩しやすい季節ですので、お互いに気を付けましょうね~w
完全に夏になってしまえばまだ良いのでしょうけれど…変わり目は安定しなくて嫌ですよね。

素質シリーズについては、いずれまた書くと思いますよ~w
でもそればっかりという訳にはいきませんので、今年は色々なタイプの城海をじっくり書いていこうと思っています。
城海の幸せこそが、私の目標ですからね!(*'-')

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

Kiss&Kiss

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城之内×海馬。城之内の一人称。
『鎮魂歌(前編)(後編)』や『ブランチ』と同じ世界観の、結婚(形だけですが…)をしている城海のお話です。
幸せまったりな二人をどうぞ~(´∀`)

 




 疲れ切ってボロボロになって目の下に真っ黒な隈を作っている海馬を抱き締めてマッサージを施し、顔や身体のあちこちにキスの雨を降らしリラックスさせるのは、間違い無くオレの役目の筈だった。オレは海馬を癒せる自分を誇りに思っていたし、海馬だってオレに癒される事を気に入っている。だからこの関係性はずっと変わらないと…そう思っていた筈だったのに。

「いって…」

 ベッドの中で寝返りを打って、突如ピリリと感じた背中の痛みにオレはビクリと反応した。慌てて手を背中に回してピリピリと痛む場所を指先で撫でる。
 今日は夕方くらいからずっとこんな感じだ。激痛では無いんだけど、何とも言えない鋭い痛みが気になって仕方が無い。酷い痛みでは無いけれど、放置出来る痛みでも無くて…。オレはさっきから何度もこうやって、指先で背中を撫でていた。

「城之内?」

 身体を横に向けてパジャマの上から背中を擦っていたら、反対側に寝ていた海馬がモゾリと動いてオレの名を呼んだ。背中を向けているから分からないけど、掛け布団が動いた気配から、どうやら上半身を起き上がらせてオレの事を見ているらしい。

「どうした? 背中が痛いのか?」
「うん…。ちょっと…な」

 ベッドヘッドのランプを点けて、海馬が心配そうにオレの顔を覗き込んできた。目に入ってきたその顔は、いつもと違って健康そうに見える。
 ここ最近、海馬コーポレーションの方の仕事は至極安定していた。社長業を続けている海馬も今までのような無理な仕事ぶりはせず、いつも余裕を持って帰って来てくれる。その所為か、海馬の体調は随分と回復していた。顔色も凄く良い。
 対してオレは…何故だかとても仕事が忙しくなった。毎晩午前様になる事も珍しい事じゃ無くなって、せっかく海馬が早くに帰って来てくれてるっていうのに、ゆっくり顔を見る暇も無い。
 疲れてクタクタになってマンションに帰って来て、海馬が用意してくれていた夕飯を食べて、風呂に入ってベッドに直行。勿論セックスする時間も余裕も無くて、朝までぐっすり。で、朝起きたら短い会話を交わして、二人別々に会社に行くと…。そんな毎日がずっと続いていた。
 別にセックスしたいって思ってる訳じゃ無い。
 海馬と形だけの『結婚』をしてから数年。お互いの左手の薬指に揃いのプラチナリングを嵌め、同じマンションに暮らし、それなりに『夫婦』として仲良くやって来た。一緒の空間にいられるという安心感がオレと海馬を充たしている。昔ほど身体の関係を必死に求める事も無くなって、オレはそれでも心から幸せだと思っているし、海馬も同じように思っているって事をちゃんと知っている。だから別に無理してセックスしようとは思わないし、必要も感じないけどさ…。
 でも、このすれ違いばかりの生活は、やっぱりちょっと寂しいって思うんだ。でも仕事だし、どうにもならないし…というジレンマばかりが募って行く。

「っ…! いってーな…もう」
「城之内…?」

 そんな悩みを抱え忙しい毎日を送っていたオレだったんだけど、遂に身体の方にも影響が出てくるようになってきた。
 最初は酷い肩凝り、そして腰痛。毎日ちゃんと風呂に入って湯船の中で揉み解しても、肩は硬くなっていくばかりだった。そしてその肩凝りで血行が滞り、目眩と頭痛がするようになってきた。それも何とか誤魔化しつつも仕事をしていたのだが、遂に今日謎の痛みが背中に走ったという訳だ。
 ピリピリと何か尖った物に突かれているような痛みは辛い。何度そこを擦っても、痛みは内側からやってくる。

「いてて…」
「どうした…城之内。背中がどうかしたのか?」
「さっきから何か痛いんだよ。ちょっと見てくれる?」
「あぁ」

 オレが背中を擦っていたら、流石に心配したらしい海馬が完全にベッドの上で起き上がって、オレの背中に手を当てた。そしてパジャマを項の辺りまで捲り上げる。

「どの辺が痛いのだ?」
「左肩胛骨の…すぐ下辺り」
「ふむ…。傷か湿疹か何かが出来ていると思ったのだが…何も無いぞ?」
「え…? そんな筈は無いんだけどなぁ…。すっげーピリピリして痛いんだよ」
「どれ…ここか?」
「ん…もうちょっと上…」
「ここ?」
「もうちょっと左…」
「ではここか?」
「ぐっ…!? いってえええ!!」

 海馬の指先がその一点を押した時、想像もしなかった激痛がオレを直撃した。他のところは大した事無いのに、その場所だけがまるで神経が剥き出しになっているかのような痛みを感じる。途端に暴れ出したオレを体重を掛けて押さえ付けながら、海馬は至極冷静に「ふむ」と言って頷いた。

「神経痛だな」
「神経痛…?」

 余りに酷い痛みで涙目になって見上げれば、海馬はクスッと微笑んで今度はその場所を優しく撫で始めた。痛みはまだ感じるけれど、さっき感じた程じゃ無い。

「城之内…。お前ここのところずっと忙しくしていたから、身体のあちこちが凝っているのでは無いか?」
「う…うん。肩とか首とか…凄いけど。それが何かあるのか?」
「その所為だ。血行が悪くて神経が圧迫されているのだろうな」
「あぁ…なるほどね…」
「自分では分かっていないだろうが、背中が冷たくなっているぞ。どれ…少し揉んでやるから、俯せになれ」

 そう言って海馬はオレの身体を俯せにすると、オレの背中全体に両手を当ててマッサージし始めた。背中から腰へ、腰から背中へ。そして更に上に移動して、肩や首筋も揉んでくれる。途端に背面全体がポッと暖かくなって気持ち良くなってきた。
 このマッサージは、いつもはオレが海馬にやってあげているものだ。風呂上がりに疲れ切った身体をベッドに横たえて、こうやって背中や肩や首を揉んでやると、海馬はリラックスしてやがてゆっくりと眠りに落ちていく。
 いつもはオレがやって上げている方だから分からなかったけれど、やられる立場になってみると、予想以上にこのマッサージが気持ちいい事が分かって幸せな気分になった。

「う~…気持ちいい…」
「そうか」

 枕に顔を埋めて素直な感想を吐き出したら、頭上から随分と嬉しそうな海馬の声が返って来た。
 その声を聞いてオレも思い出した。疲れた海馬にこうやってマッサージしてやって、コイツがリラックスして気持ち良さそうにウトウトするのを見てるのが本当に嬉しく感じていた事を。

「やって貰うと…やっぱ気持ちいいな」
「そうだろう。オレもいつもそう思っているぞ」
「え? マジで?」
「何故疑うのだ。気持ち悪いとか止めろとか…そんな事一度も言った事は無いだろう?」
「あ…そりゃそうだけどさぁ…」

 海馬はいつも何も言わない。勿論気持ち悪がっているとは思って無い。だって気持ちいいのなんて顔見てりゃ分かるし。
 でも、そっかー。お前もちゃんとそういう風に思っててくれたんだな。
 そういう海馬の気持ちが分かっただけでも嬉しいし、充分だと思う。

「ありがと。もういいよ」
「もう…いいのか?」
「うん。背中熱くなって来たし」

 海馬に探り当てられたあの一点はまだ痛かったけれど、ピリピリする痛みは大分マシになった。笑顔で振り返りつつそう言ったら、海馬は少し考え込むようにしてオレの顔をじっと覗き込んでくる。そして徐ろに両頬に手を当てられ、今度はゆっくりと顔が近付いて来た。唇に柔らかい感触を受けつつ、オレはそっと瞼を閉じる。

 そっか…。それもしてくれるんだ…海馬。

 マッサージを終えた後に顔や首筋や胸元等、とにかく色んな場所に軽いキスを落として相手を安心させるのも、オレが良くやるリラックス方法の内の一つだった。別に深い性的接触は一切無い。ただ繰り返し何度もキスをするだけだ。優しい接触を繰り返していく内に、キスをする方もされる方もとろとろに良い気分になって来て、やがて安心しきってその後はぐっすり眠る事が出来る。
 だからオレは海馬によくキスの雨を降らせてあげてたんだけど、まさか自分がそれを受ける事になるとは思わなかった。

「ん…海馬…」
「くすぐったいか?」
「いや、全然平気。もっとやって」

 ふぅ…と気持ち良く息を吐き出しながら、降ってくる唇を受け止める。
 最初オレの唇に落ちてきたそれは、少し移動して唇の端へ、そして頬へ。こめかみに押し付けられたと思ったら、今度は閉じられた瞼の上に降って来て、そのまま前髪を掻き上げられて額にもキスをされる。
 海馬の唇の柔らかい感触に夢中になる。キスってこんなに気持ち良くって安心するものだって事を、改めて知った気分だった。
 額から今度は顔の反対側にも同じようにキスをされ、顎の先をちろりと舐められ唇は首筋に移動してくる。髪の生え際や喉元にそれはやってきて、ちゅっという軽い音と共に離れて行く。そして仰向けに寝転がっている所為で目立っている喉仏にも辿り着いて、キスでは無くそこを舌先でペロリと舐められた。唾液に濡れてひやりと感じた喉仏を、唇全体で押し包まれて軽く吸われる。

「うっ…。ちょ…海馬…っ」

 そんな事されたら別の場所が元気になるじゃないか…と思ったけど、残念な事に疲労困憊の身体は大人しいままだった。

「ちぇっ…惜しいな。今度は疲れて無い時にそれやって欲しいんだけど」
「馬鹿言うな。貴様が疲れてヤル気が無いからやっているのだ」
「ですよねー…」

 いつもはムカッとする海馬の強がりも、今日は何にも感じない。それどころか何か幸せに感じる。
 海馬を好きな事に関しては…本当に重傷なんだな、オレ。

「あー気持ちいいな」
「…そうか。それならばいいのだ」
「眠くなってきた…」
「眠いのなら、そのまま寝てしまえばいい」
「うん…寝るわ…」
「腕枕してやろうか?」
「いいの?」
「いつもして貰っているからな。たまにはいいだろう」

 何だか妙に嬉しそうに笑って、海馬は自分の腕を伸ばしてオレの頭をその上に載せてくれた。いつもだったら『夫婦』の立場上情けない姿は見せられないと思っているオレだけど、今日ばかりは素直に従ってしまう。少し硬い腕の上に頭を載せたまま海馬に擦り寄ったら、海馬の腕がそっとオレを抱き寄せてくれた。顔を埋めた場所が海馬の脇の下から胸にかけての部分だった為、オレしか知らない海馬のいい香りが鼻孔を擽ってくる。それに至極安心して、オレは重い瞼をそっと閉じた。



 それからいつ眠りに落ちたのか…オレは全く覚えていない。気が付いたら朝になっていて、隣には少し微笑んでいるかのような寝顔の海馬がぐっすりと眠っているのが目に入ってきた。
 何となく…本当に何となく、幸せってこういう事なんだろうなって事を思う。
 海馬と激しく愛し合っている時も、勿論幸せだなって思うんだけどさ。でもたまにはこういうノンビリした幸せもいいんじゃないかって思うんだ。

「ありがと、海馬。お陰で今日も頑張れそうだ」

 そう言って薄く開いた唇にキスを落としたら、閉じていた瞼がゆっくりと持ち上がって澄んだ青い瞳がオレを見た。そしてニッコリと微笑まれて「オレもだ…城之内」と返される。
 お互いに寝起きの少し掠れた声で愛を囁き合い、キスを交わす。

 それがオレ達の幸せなんだと…そう思った。

良かった良かった(´∀`)

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自分が修羅場だった訳でも無いのに、妙に安心した二礼です、こんばんは。

この金土日は、散たんの修羅場デーでした。
ツイッターで逐一呟かれる修羅場の状況。
やがて見ているこちらが爆笑…いえ心から心配する程の壊れっぷりに発展し、嵐のような意味不明の発言を残して散たんは力尽きていきました…。
本当にもう…あの発言は酷かったwww

で、結局どうなったかと言いますと…。
無事に脱稿したそうです~!!(*´∀`*)

わ~いv やったね!!

何だか色々大変そうでしたけど、何はともあれ無事に修羅場を乗り越えられて良かったと思います(´∀`)

散たん、お疲れ様でした~!!


さて、散たんの新刊も無事何とかなりそうですし、私は私でやらなきゃいけない事があります。
来週末に、とても大事なお客様をお迎えする予定がありますからね~。
ガッツリお掃除をしてお出迎えせねば!!

基本、面倒臭がり屋の私ですので、こういう機会が無いと本気でお掃除したりしないんですよね…w
いつも適当ですwww
いけない事だとは分かっているんですけどねぇ…(´・∀・`)
ちゃんとお掃除が出来る綺麗好きな人が羨ましい今日この頃です。


以下は拍手のお返事になりま~す♪(・∀・)


>ねこま様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´ω`)

『Lesson』の最終話を読んで下さって本当にありがとうございます!
無事にラブラブハッピーエンドを迎えられて、私も肩の荷が降りました~。
比較的短い連載の中で、あのマニアックエロをハッピーエンドに収めなければなりませんでしたからね~。
なかなか骨が折れる作業でしたw
ていうか前回の日記でも書きましたが、流石の私もお腹一杯ですwww
暫くエロは控えよう…うん。
美味しいご馳走も食べ過ぎると良く無いですしね~(´∀`;

それにしてもねこま様は、毎回私が「そうなんですよ! そこなんですよ!」と言いたいところのツボを、見事に抑えて来ますね~!
ずっと受け身だった海馬が、トラウマを克服して自らも積極的になれるところ。
実は『Lesson』の実質的ゴールは、あの部分だったりします。
本当はあのまま朝チュンしても良いくらいだったのですが、流石にそれでは消化不良…というか何て言うか…w
とにかく気持ちが治まらなかったので(笑)、ちゃんと最後まで書く事にしたんです。
でもしっかりとラブラブエロを書いた事によって、ねこま様を始め色んな方に喜んで貰えたので、今では書いて良かったなって思っています(´∀`)

他人を愛する気持ちって、凄く大事ですよね~!
やっぱり愛されるだけではダメなんだと思います。
そういう意味で、私はこれからも愛し愛される城海を書いていこうと思っています(・∀・)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、ありがとうございます~!(・∀・)

体調不良との事…大丈夫でしょうか?
心配しております。
コメント等は無理なさらないで下さいね~!(><)
どうかお大事になさって下さいませ~。

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

保存は大事だよ~♪ ...orz

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昨夜はガックリショックを受けた二礼です、こんばんは。

Lesson』の最終話という事もあって、久々に超ノリノリで小説を書いていたのですが…。
突然PCケースの中から異音がしたと思ったら、目の前のモニターが真っ暗に…;
どうやら部品の一部が落ちてしまったようで、モニターに画像が出なくなってしまったのです。
PCは起動しているのですが、真っ暗なモニターではもうどうにもならなくて…;
結局電源切ってふてくされ、相棒が帰って来てから直して貰いました。

小説?
ノリノリで書いていたので保存なんてしていなくて、案の定綺麗さっぱり消えましたが何か?


………orz

こうして落ち込みつつも何とか気持ちを持ち直し、昨夜は夜中まで書き直しておりました…w
どうせ書き直すんだったらもっと丁寧に書いてやれという事で気合いを入れたら、何だか妙に長くなった罠。
………ま、いっか(*'-') 最終話だしねw


という事で、長編『Lesson』にLesson10をUPしました。
最終話です。ラブラブHです(*´∀`*)
ふぃ~漸く終わってくれた~!
総合的に見ると確かに短期連載なのですが、途中で長いお休みを戴いたりもしてしまったので、何か随分長く付き合っていたような気がしますw
何はともあれ、無事に終わって良かったです。
これで一安心だ~!
こんなマニアックエロ満載の物語を読んで下さった方々、最後まで本当にありがとうございました~!!
大感謝です!!(`・∀・´)

それにしても…。
いや~久しぶりにエロばかり書いていたら、自分でもいい加減お腹一杯になってしまいました…w
次はもっとあっさりしたお話を書きたいな。
あっさり城海。何か美味しそうだ…w


あ、そう言えばですね。
昨夜上記のPCパニックがあった時に、余りのショックに携帯使ってツイッターでぼやいていたんですよ。
そうしたら櫻井鈴さんが素敵な城海イラストを描いて下さったんです~!
お陰で力が湧いて来まして、何とか最終話を書き上げる事が出来ましたw
鈴さん、本当にありがとうございました~!(´∀`)

という感謝の気持ちを込めて、Presentページにイラストを展示させて頂きましたw
凄く可愛い城海ですので、是非ご覧になってみて下さいませ~v


以下は拍手のお返事でございます(*'-')


>ねこま様

わ~! ねこま様、お久しぶりでございます~(*´∀`*)
拍手とコメント、ありがとうございました~!

社長のトラウマ解消にコメントありがとうございますv
そんな風に言って頂いて、社長も喜んでいると思いますよ~!
………うん、多分…w

日記にも書きましたが、本当は昨夜UPする予定の小説がPCトラブルで全て消えてしまいました…。
その所為で更新が今日になってしまった事を、深くお詫び致します。
せっかく楽しみにして頂いたのに…申し訳ないです。
でもお陰で最初に書いた奴よりずっと長いラブラブハッピーエンドエロが出来ましたので、これはこれで怪我の功名かなって思ってみたり…w
トラブルも考え方次第だって事ですね(´∀`)
如何でしたでしょうか?w

IXYのCMも御覧になられたんですか!
どうですか? どうですか~もう!!
本当に良いお声ですよね~!!(><)
あのCMを社長がやったら、本気で完璧だと思いますのに…。ねぇ?w
自社製品のCMに出る社長…! 最高です!!
もう全員TVの前に釘付けですよねw

そんな妄想に萌え萌えしながら、今日はこれで失礼致します~v
ではまた~(・∀・)ノシ



>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!(・∀・)

『Lesson』と日記の感想をありがとうございますです!!(><)
ていうか…昨夜は本当にスミマセンでした…。
本来はこまめに保存するのが大事だってのは、自分でもよーく分かっているつもりなんですけどねぇ…。
調子が良いというか、興が乗るというか、とにかくノリノリになるとつい保存無しでガシガシ書き進めてしまうのですよ。
その結果が…アレですw
まぁ…ちょっと反省致しまして、書き直した分は必要以上にチョクチョク保存入れていましたけどね…w
保存、トテモトテモ大事デス。

本編の方にも素敵なコメントありがとうございました。
海馬の最後のトラウマをどうするかは、プロットを作る段階からずっと悩んでいた部分でした。
最後のトラウマを解消してからラブラブHに入るか、それともラブラブHの最中にトラウマ解消させるか、どっちも捨てがたくて困っていたんです。
結局後者を選んだのですが、結果として海馬と城之内の絆がより深まった感じがしたので、これで良かったんだと思っています(*'-')
Rosebank様のコメントの中にあった葛藤シーン。海馬の心の中はまさしくそんな感じだったと思われます。
大好きな城之内に触れられて、嬉しくて気持ち良くて、でも幼い頃のトラウマがあって…。社長は辛かったでしょうね。
でも最後は城之内を信じて、自分でその殻を破ってくれました。
私の書く社長は乙女ですけれど、こういう『実は強い』社長も大好きなんですよ~!
無事に城之内とラブラブに結ばせる事が出来て、本当に良かったと思っていますv
城之内先生も漸く報われたようで、私としてもホッと一安心致しましたw

まぁ…もう知ってらっしゃると思いますが、私は『覚悟を決めて試練を乗り越える』ドラマティックな展開が大好物なんですよw
その方が盛り上がるからってのもありますが、全てが丸く収まった時の安心感というか…幸福感が好きなんですよね。
だからついつい短編より長編ばっかり書いてしまうのかもしれません。
短編も、もっと一杯書きたいんですけどねぇ…?

それから脱字の指摘もありがとうございました。
何で『シ』が抜けたし…w 多分余計に消しちゃったんだろうな(´_ゝ`)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*Lesson10

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 ベッドの上に仰向けに寝転がった海馬の足元に跪いて、オレは細い両足の間に入り込んだ。立てられている両膝に手を当てて、その足をゆっくりと左右に開いていく。目に入ってきたピンク色のペニスは既に緩く勃ち上がって、フルフルと震えながらオレの事を誘っていた。
 本当だったら今すぐにでもそのペニスに指を絡めて何度でもイカせてあげたかったけど、今オレが触れなければならない目的の場所はそこじゃない。ペニスの根本にある可愛らしい双球の更に下にある、普段は排泄にしか使われない器官。そこが今からオレが解してやらなくちゃいけない場所だった。
 レッスンの為に持って来ていたローションをたっぷり掌の上に出して、ぬるつく液体に塗れた指をそっと下肢に持って行く。

「それじゃ…触るからな」
「………あぁ」
「途中でどうしても耐えられなくなったり嫌になったりしたら、ちゃんとオレに言って…」
「嫌になぞならぬと、さっきから言っているだろう」
「でも…」
「大丈夫だから、続けてくれ…城之内」

 オレを見上げる海馬の顔は、緊張で少し強ばっている。けれどその青い瞳の中に浮かぶ意志の強さ揺らぎは全く無い。じっとオレを見詰め、やがてその青い目を閉じて身体の力を抜いた海馬に、オレ自身も覚悟を決めて先に進む事にした。
 掌の上で人肌に温まったローションを指先に集めて、一番奥まった場所にある…今まで一度も触れてこなかった場所にそっと触れた。その途端、海馬が身体をビクリと跳ねさせて反応したけど、再びシーツに落ち着いたのを見てそのまま触り続ける事にする。

「っ…ぅ…っ」
「大丈夫? 気持ち悪く無い?」
「へ、平気…だ」

 海馬の覚悟は知っていたけど、だからといってその覚悟が最後まで持つとは限らない。一応顔色を伺いながらヌルヌルと触っていくけれど、海馬が途中で抵抗する事は全く無かった。ビクビクと反応しながらも徐々に赤くなっていく頬や耳に、海馬も感じてくれているんだという事を知る。

「うっ…ん! あっ…」

 ローションを塗り込むように孔の周りを撫でていたら、やがてそこが赤く充血してぷっくりと膨れて来た。そこを指の腹でプニプニ押したり、爪先で軽く引っ掻いてやったりすると、その度に海馬はビクビクと震えて腰を浮き上がらせて喘いだ。

「あっ…ん! んっ!」
「海馬…。気持ち…いい?」
「ふぁっ…! へ…変な感じが…する…」
「うん」
「だが…不快では…無い」
「うん、良かった」

 海馬の返答にホッと一安心して、そして新たにローションを追加する為にボトルの蓋を開けた。トロリとした液体を掌の上に出しながら、オレは真っ赤な顔でハァハァと喘いでいる海馬の顔を見詰める。
 今はまだ気持ち良さそうだ。でもこの先は…この状態を維持し続けられるとは思えない。

「あの…さ、海馬…」

 ボトルのキャップを片手でパチンと嵌めながら、オレは海馬に語りかけた。

「これから…中も弄っていくんだけど…。耐えられそうか?」
「あぁ…。いきなりは…無理だろうしな」
「うん。それはそうなんだけど…さ。何かこう…オレがお前に触る事で、昔の嫌な体験とか思い出しちゃったりするじゃんか。それがちょっと心配で…」
「………? 何故だ?」
「いや、ほら、昔色々されたんだろ…? だからオレ…」
「お前は何を言っているんだ?」
「え…? 何って…。だってほら…」
「ここから先は、オレも未体験だぞ?」
「………? え?」
「だから、ここから先はお前が初めてだと言っている」
「え…? えぇぇっ!?」

 赤い顔で妙に真面目な表情をしながら、海馬がオレの顔をじっと見詰めながらそんな事を言って来た。
 初めて? え? 初めて? 初めてって事は…本当に初めてって事!?

「えーと…ちょっと聞きたいんだけど…」
「何だ?」
「凄く下世話な質問だと思うけど…いい?」
「だから何だ?」
「あ…その…何て言うか…。嫌な事されてた時にさ、ぶっちゃけ指突っ込まれたりとか…された事無いの?」
「無いな」
「一度も…?」
「あぁ、一度もだ」
「………っ!!」

 海馬の答えは、オレにとっては本当に予想外の言葉だった。
 海馬が幼い頃に性的虐待を受けていた事を知ってから、オレの心の中で覚悟が決まった。だから改めてその事実を突き付けられたりしても、一々傷付いたりはしなかった。だけど…やっぱり心のどこかで、オレはショックを受けていたんだって事を思い知らされた。
 愛する人に初めて触れたのがオレじゃないという紛れも無い事実。海馬の事が好きだからそんな事は関係無いって思い込もうとしてたけど、それでもやっぱり気になっていたんだろうな。分かり易く言えば、密かにヤキモチを妬いていたらしい。
 でもこればっかりは海馬に責任は無いし、オレにもどうする事も出来ない。だからなるべく気にしないように…その事実を考えないようにしていた。だからなのかな…。

 オレが初めてだって言われた事が、こんなに嬉しいなんて。

 こんなに心から幸せを感じる言葉は無いと思った。今までオレの心に巣くっていたモヤモヤが、一気に消え去っていくのを感じる。
 海馬の身体の中に触れられる人間がオレが初めてだという事実、そしてきっと後にも先にもオレだけだという確信が、オレを心から幸せにしてくれた。

「そっか…オレが初めて…か」
「そうだ。お前が初めてだ」
「そっか…そうだったのか」
「何ニヤニヤしているのだ…」
「へへへ。何でも無いよ。最初はちょっとキツイかもしれないけど…身体の力抜いててくれよな」
「あぁ、分かった」

 強い目でコクリと頷いた海馬を見て、オレは後孔の入り口に当てていた指先をそっと中に押し込めた。



「んっ…! あっ…んぁっ!」

 グチュグチュという濡れた音が海馬の足の間から響いている。海馬は潤んだ青い瞳から涙をボロボロ零しながら、ベッドのシーツに身体を押し付けて快感に耐えていた。
 最初はやっぱり痛みや圧迫感を感じていたらしい。眉を顰めて小さく呻き声を出す様は、見てて本当に可哀想だと思った。けれどそれから暫くすると体内の感覚に慣れて来たのか、甘い声を出して身を捩るようになっていった。

「うぁぁっ!!」
「あ、ここ?」

 更にある一点を指先が掠めた時、細い身体が大袈裟なくらいに跳ね上がって、海馬が悲鳴を上げた。試しに何度かその場所を押し込むように愛撫をすれば、その度に海馬は大きく目を見開いて喘ぎ声を上げる。自分の指先が触れているのが海馬の前立腺なんだと、オレは泣きながら喘いでいる海馬を見て気が付いた。

「ここ…気持ちいいんだ」
「くっ…あっ…! やっ…! な…何か…変だ…!」
「変? 気持ちいいんじゃなくて?」
「わ…わからな…い…」
「前で感じる快感と、ちょっと違う感じ?」
「………っ」

 オレの質問に、海馬はコクコクと何度も頷く。けれどオレが指を押し込む度にブルブル震える身体や、未だ紅潮したままの頬や耳が、海馬が間違い無く快感を感じてくれている事をオレに伝えていた。

「大丈夫だよ。これ…ちゃんと感じているから」

 海馬を安心させるようにそう呟いて、オレは温かい体内から指を引き抜いた。長い間海馬の中に収まっていた指は、すっかりふやけて皺になってしまっている。とろけそうな程に温められた指を口に銜えてしゃぶり、オレは一人幸せな気分に酔った。

「なっ…!? じ…城之内…っ!? 何をやっているのだ!」
「何って…お前の味を味わっているんだけど?」
「や、やめろ馬鹿! 汚いだろう!?」
「汚くないよ。お前のなら平気だ」
「っ………!!」
「今は分からないかもしれないけど…その内お前にも今のオレの気持ちが分かるようになると思う」

 ニッコリ笑ってそんな事を言ったら、海馬は目をウロウロさせてプイッと横を向く。その反応にクスリと笑みを零せば、海馬はオレの方に視線を戻して「いや…それならオレにも…分かる」と小さな声でボソリと呟いた。

「幼い頃に無理矢理やらされてから…オレは…その…フェラが苦手になった。今でもあの醜い形状とか…感触とか味とかを思い出すだけで、酷い吐き気がする」
「うん。まぁ…そりゃ仕方ねーよ」
「だが…。お前のなら…出来るかもしれないと…思っている」
「うん…って、はいっ?」
「今はまだ…無理だが…。だがきっと…近い内には…」

 ほんの少しだけ困ったように笑いながら、海馬はオレに向かってそんな事を言って来た。
 海馬が何の戸惑いもなくオレの身体に触れられるようになるのは、もう少し時間が掛かるだろう。だけどオレはそれをもう辛いとは思わないし、きっとその日はすぐにやってくるだろうとも感じていた。

「うん、そうだな。お前がそれを出来るようになったら…やって貰おうかな。でも今日は…」

 汗を吸って大分湿っぽくなった栗色の髪の毛を優しく撫でつけながら、オレは現れた白い額に唇を押し当てた。
 もう待たない。待たなくて良いんだという想いで、心臓が痛みを感じる程激しく高鳴っていく。

「今日はもう…とにかくお前が欲しいから…」
「………」

 オレの言葉に海馬は何も応えなかった。その代わり、細くて白い腕がオレの首に回されて強く引き寄せられる。そして耳元で小さく「オレもだ…」と囁かれた。熱い吐息と共に吹き込まれた海馬の言葉にオレもしっかり頷いて、温かな白い身体を強く抱き締め返した。



「ひっ…いっ…! あっ…っぐ…う…あぁっ!!」
「海馬…っ。ゴメッ…!」
「い…いいか…ら…っ! そのまま…っ…うぅっ!」

 さっきまで柔らかくなるまで解していた海馬の体内だったけど、やっぱり初めてだという事もあって、オレのペニスを受け入れるにはまだ大分キツイままだった。細腰を掴んで、なるべくゆっくり奥まで押し込めていく。何とか最奥に到達すると熱い内壁がきゅうきゅうとキツク…そして柔らかく締め付けてきて、それだけで充分気持ちが良くて頭の芯がクラクラと揺らめいた。

「ヤベ…。超気持ちいい…」

 自分のペニスを全部海馬の中に収めきって、オレは体重を掛けて海馬の身体にのし掛かった。裸の胸から海馬の暖かい体温がじんわりと伝わってくる。それが本当に幸せだと思った。

「ゴメンな…。痛いし…苦しいだろ?」

 宥めるように身体のあちこちを掌で撫でながらそう問い掛けると、海馬はフルリと首を横に振った。
 馬鹿だな。こんな時にまで我慢する事無いのに。初めての挿入で、痛くも苦しくも無い筈が無い。現に海馬の額や首筋には玉のような汗が浮かんでいる。快感による汗もあるだろうけど…多分これ、冷や汗だ。
 指先で流れる汗を拭ってやりながら、オレは海馬の頬や額やこめかみやに優しく口付けを落とす。そして海馬の身体がオレに馴染むのをじっと待った。

「大丈夫…か…?」
「も…だ…じょ…ぶ…」
「慣れるまで…もう少し待つから…」

 心配しながら放った言葉に、海馬は首を振って応えた。そして背に回した腕を強く引き寄せながら、痛みに涙を滲ませた青い瞳でオレを見詰める。

「も…う…嫌だ…」

 放たれた言葉に、オレはかなりショックを受けた。
 そうか…。ここでギブアップか…。でもまぁ…仕方が無いよな。だって初めてだもんなぁ…。今日はオレの全てを受け入れてくれただけでも充分だ。
 そう思って「うん、分かった」と答えて身を引こうとしたら、海馬が物凄い力でしがみついて来た。そしてブンブンと激しく首を横に振る。何だか自分が伝えたい事が上手く伝わらないジレンマに苛まれているようだった。

「海馬…?」

 恐る恐る呼びかけて見れば、海馬は「違うんだ…!」と泣き声で必死に訴えてくる。

「違う…! そういう…意味じゃ…無い…!」
「海馬…どうした…?」
「違うのだ…! オレが嫌だと言った…のは…っ」
「うん…?」
「オレは…もう…これ以上…は…待ちたくは無いと…。お前にも…我慢させたくない…と…。だか…ら…っ!」

 海馬の叫びは、最後はもう言葉にならなかった。けれどオレには、海馬が一体何を言いたいのかがちゃんと伝わって来た。
 やべー…どうしよう…。滅茶苦茶嬉しいんだけど…!!
 本気で感動して、また泣きそうになって来る。迫り上がる衝動を何とか我慢しつつ、オレはうんうんと頷きながら泣きながら自分の意志を訴える海馬を強く抱き締めた。

「分かった…もう分かったよ。ゴメンな、海馬。そんな事まで言わせちまって」

 心からちゃんとゴメンと謝って、オレは海馬の唇にキスをする。
 あー失敗したな。確かに好きな相手を心配するってのは大事なんだろうけどさ、あんまり気を遣い過ぎてもいけないって事…忘れてた。まだトラウマが解消してない状態ならまだしも、今の海馬はもう完全に『普通』に戻っている。そんな海馬相手に余計な気遣いをする事は、却って失礼な事だったんだって…気が付いた。

「ゴメンな…ほんとにゴメン」
「っふ…ぁ!?」

 何度も何度も柔らかな赤い唇を啄みながら、オレは海馬の片足を担ぎ上げてゆるりと腰を動かした。ジュク…と濡れた音がして、海馬の身体がビクリと跳ねる。

「お前の事…好き過ぎるってのも考え物だなぁ…。どうしても無理しないで我慢しなくちゃって思っちゃうんだ」
「あっ…! ひゃっ…あぁ…っ!」
「でも…お前がそこまで覚悟してるなら…オレも我慢しなくても…いいよな? お前を貰っちゃっても…いいんだよな?」
「あっあっ! くっ…ふぁっ!!」
「貰っちゃうからな…お前を。最後まで…全部…貰っちゃうからな…」
「うぁっ!? んっ…やっ…あ…あぁっ…ぁ!!」

 グッチュグッチュといやらしい水音が鳴る程に腰を激しく動かして、オレは海馬の体内をじっくりと堪能した。
 海馬の中はとにかく熱くて…狭くて…柔らかくて、押し入れば何処までも道を開き、腰を引けばまるで行かないでとでも言うように内壁が強く吸い付いてきて、どこまでも淫らにオレを翻弄する。
 さっき海馬が感じた場所に先端を押し付けて強く擦ったら、それだけで海馬はブルブルと胴体を震わせて甲高い声で喘いでくれた。青い瞳を充血させて涙を流し、喘ぎと呼吸の為に閉じる事の出来無い口の端からは、トロリとした涎がだらしなく垂れている。そんな海馬の全てが綺麗で…可愛くて…愛しくて。オレは気が狂いそうな程に幸せだと感じていた。

「海馬…海馬…っ! 好きだよ…愛してるよ…海馬…っ!」
「ひぁっ…!! あっ…あぁんっ!!」
「本当に好きなんだ…!! お前を愛してる…!!」
「あ…あぁっ…! じ…城之…内…っ!!」
「海…馬…っ!!」
「オ…オレも…だ…! オレも…愛して…る…っ!!」

 お互いの身体に腕を回して、強く強く抱き締め合う。
 相手の熱が…呼吸が…言葉が…心が…、そして何より相手の全てが愛しくて愛しくて堪らない。
 オレ達は今…愛し合っている…と。それを何よりも強く感じていた。

「海馬…オレ…幸せだよ…」
「ふっ…あっ! あ…オレも…だ…城之内…」
「お前を感じて…オレ…凄く気持ちがいい…」
「あぁ…オレも…気持ちが良い…」
「え…? 海馬…?」
「気持ちが良いのだ…城之内」

 ハァハァと苦しそうに喘ぎながら、だけど海馬はふわりと微笑んでくれた。
 あ…今何だか胸の中心が、ポワッとあったかくなった…。あぁ、そうだ。幸せで嬉しいって、こういう感覚なんだな。

「ありがとな…海馬。オレを幸せにしてくれて…」
「馬鹿…。それは…こちらの台詞だ…」
「そっか。海馬は今…幸せなのか」
「あぁ…。お前もだろう、城之内?」
「うん。幸せだ」

 クスリと笑い合って、その後何度もキスをして、強く指を絡め合って…。

「うっ…ふぁ…! んぁ…あっ…あぁっ!! あぅ…っ!!」
「海馬…海馬…っ! も…イこ? な?」
「あっ…あっ…あっ…!! も…う…? あ、あぁっ!?」
「かい…ば…っ!!」
「ひっ…!! あ…あぁっ!? ああぁぁぁっ―――――――――――――っ!!」

 海馬が弓形に仰け反って達するのと同時に、下腹部に生温かい液体が掛けられたのを感じた。ビクリビクリと震えながら射精する度に、オレのペニスを包んでいる内壁も不規則なリズムで締め付けてくる。その刺激に耐えきれなくて、オレも海馬の最奥で欲望を放ってしまった。

「うっ…ぁ…! ゴメン…っ」

 数度に分けて射精しながら、オレは息も絶え絶えに海馬に謝った。初めてのセックスで中出ししちゃったのは本当に悪いと思ったけど、それ以上に最高に気持ちが良かったのもまた事実だからどうしようも無い。
 後で処理を手伝おうと心に誓いながらそっと身を引いたら、真っ赤に充血した後孔からオレが放った精液がコポリと溢れて来たのを見てしまって、また欲情しそうになってしまった。
 う…。いい加減にしろ、オレ。流石にセックス初めての奴相手に、二度目は無理だ。
 案の定、グッタリとベッドに伸びてしまっている海馬を見て、オレの欲望は素直に引き下がってくれた。

「海馬…? 大丈夫か…?」

 慌てて声を掛けたら海馬は重そうに瞼を開き、オレを見詰めてから何とか一度だけ頷いて応えた。

「身体…ベトベトして気持ち悪いだろ? 風呂入るか?」
「………。動け…無い…」
「じゃあ身体拭いてやるよ。ちょっと待ってて…」
「いい…から…。ここにいろ…城之内」

 身を起こそうとしたオレを掴まえて、海馬はオレの身体を抱き寄せて胸元に顔を寄せてくる。そして一度だけふぅ…と大きな息を吐いて、目を瞑った。

「………。海馬…?」

 すっかり静かになってしまった海馬を訝しんで名前を呼んでも、オレの呼びかけに応えは返って来ない。そっと顔を覗き込んでみると、そこにはすっかり熟睡している海馬の寝顔があった。

「可哀想に…。疲れたんだな。初めてだったんだもんなぁ…」

 散々泣いて充血して赤くなってしまった目元を撫でて、掠めるだけのキスを唇に贈った。緩やかに上下する肩を抱き寄せて栗色の髪を梳けば、やがてオレにも眠気がやってくる。その眠気に逆らわず、オレは海馬を抱いたままそっと瞼を閉じた。

「…の…う…ち…」

 眠りに落ちる寸前、腕の中の海馬がモゾリと動いてオレに擦り寄るのを感じた。次いで唇に何か柔らかな感触が押し当てられたのを感じたけれど、オレの意識は覚醒せずにそのまま眠りへと引き摺られていく。ただ夢か現か、これだけはハッキリ聞こえたんだ。

「レッスン…ありがとう。そしてご苦労だったな…感謝する」

 海馬の声で、オレの名前と…そして…。

「城之内…愛している」

 思わず泣きたくなる程の…嬉しい言葉が。



 その後、オレ達は何の問題も無く恋人として上手く付き合い、毎日を楽しく過ごしている。日々笑い合い、たまに喧嘩しつつもすぐに仲直りをして、甘い言葉とキスを交わす。とても幸せな毎日だ。
 レッスンは…もうしていない。あの日のレッスンを最後に、海馬はトラウマに捕われた弱い自分からの卒業を果たした。多分もう二度とする事は無いだろう。
 そう。もうそんな事をしなくたって、オレと海馬はいつでも愛し合っているからな。レッスンなんて必要無いんだ。

「海馬」

 笑顔で差し出した右手に、少し照れた海馬の細い指が載せられる。その手をキュッと強く握って、オレ達は並んで寝室へと歩いて行く。これからまた、お互いの愛を確かめ合う夜が始まるんだ。

 心からの愛と信頼と幸せと、そしてほんの少しの照れと疲れを伴って…オレ達の夜は更けていくのだった。

えーと...今日の更新は...

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スイマセン…。
せっかくノリノリで今日の分の小説を書いていたのですが、PCトラブルに巻き込まれてしまって、書いていた分が全部消えてしまいました…。
えぇ、全部ですwwww

うはwww やる気ナッシング!!www 笑うしか無い\(^o^)/

という事で何とか頑張ってみますが、更新は明日になるかもしれないです。
今日中の更新はちょっと難しいかもしれませんので、明日ゆっくり見に来て下さいませ~!