朝起きたらパパの声が凄い事になってた。
どうやら風邪をひいちゃったみたい。
瀬衣名(以下瀬)「パパ、お粥作っておいたからね。お腹空いたら後で食べて」
城之内(以下城)「瀬衣名…。お前はこんな状態のパパを置いていくのか…」
瀬「うん。だって今日は克人とデートだもん」
城「うっ…。オレだって今日は海馬とデートの筈だったのに…っ」
瀬「久しぶりの休日だったのに残念だったね~。とりあえず海馬のおじさまには、さっき電話しといたよ」
城「サンキュー…。あぁ、このキャンセルの埋め合わせ…どうしよ…」
瀬「あ、ちなみにパパ。海馬のおじさまにしたのはキャンセルの電話じゃなくて、パパの看病をお願いする為の電話だからね」
城「な、なにっ!?」
瀬「多分もうすぐ来るんじゃない? んじゃ、私は行ってくるね~」
城「ちょっと待った瀬衣名! 前から一度聞いておきたいとは思ってたんだけど…。お前、克人君とはどこまで…」
瀬「あー…。うん、えっと、最後まで?」
城「はぅっ…!! ………。ですよねー。最近の子って早いもんねー…」
瀬「避妊はちゃんとしてるから安心してね」
城「当たり前だってば! 出来ちゃった結婚とかやめてよね…ホント…」
瀬「大丈夫だって。私の事より自分の事を心配したら? 今日だって久しぶりのデートだっていうのに、こんな事になっちゃって」
城「ですよね…。スミマセン…。ていうか、瀬衣名ちゃん…キツイ…」
瀬「別にパパを苛めてる訳じゃないんだけどなぁ? あ、そういえば海馬のおじさま! 最近凄く可愛くなってきたような気がするんだけど」
城「ちょっ! か、可愛いって…っ!! お前は四十越えた男相手に何を…っ!」
瀬「ホントだってば。あ! やだ、もうこんな時間。じゃあ私行くからね。お大事に、パパ」
最後に振り返って見たパパの顔は真っ赤だった。
多分熱のせいだけじゃないと思う。
何だ、パパも可愛いとこあるじゃない。
そう思いながらマンションの玄関を出たら、丁度入り口に黒塗りのリムジンが到着したところだった。
車の中から出てきた海馬のおじさまは、とてもじゃないけど四十過ぎた子持ちの男の人には見えません。
あんなおじさんをこれだけ可愛くしたのは一体誰なのかしらね~?
とりあえず海馬のおじさまにはパパの事をお願いして、私は自分の恋を優先する為に待ち合わせ場所に向かって走り出した。