*子連れ城海シリーズ - SS集 - 父の日

瀬衣名「ねぇねぇ克人、『父の日』のプレゼント、何にするかもう決めた?」
克人 「いや…まだ」
瀬衣名「何にしようかしら? ネクタイとかハンカチとかだとありきたりだと思うし…」
克人 「普通のプレゼントを考えられる時点で、オレよりマシだと思うよ?」
瀬衣名「そうねぇ…。ウチのパパはともかく、海馬のおじさまにプレゼントするのって考えただけでも大変そう」
克人 「ネクタイやハンカチなんて山程持っているし、かと言って金に任せて土地とか車とかプレゼントしても怒られそうだしなぁ…」
瀬衣名「それ…、ご自身はモクバのおじさまの誕生日によくやってたみたいだけど?」
克人 「だからだよ。オレにはそういう事やって欲しくないんだそうだ。もっと庶民的に生きろとか…今更無理だろう。じゃあ見本を見せてくれって言いたくなるよ」
瀬衣名「ベルトとかは? 海馬のおじさまはいつもスーツ着てるから、意外と役に立つんじゃない?」
克人 「今更あのKCベルトを外すと思う?」
瀬衣名「思わない…」
克人 「いい歳して自社マークの入ったベルトってどうなんだろうと思うけど」
瀬衣名「似合ってらっしゃるからいいんじゃない?」
克人 「似合うのがまた問題だよなぁ」
瀬衣名「ねぇ。もう面倒臭いから、ウチのパパと海馬のおじさまのプレゼント、一緒にしちゃわない?」
克人 「いいねそれ。で、どうする?」
瀬衣名「ヒント。ここに某ネズミの国の割引チケットが二枚あります」
克人 「それ…学生割引パスポートじゃないか…。しかもウチのライバル社の遊園地なんて、父さんは絶対行かないと思うけど」
瀬衣名「違うってば。パパ達に行って貰うんじゃなくて、私達が行くのよ」
克人 「…?」
瀬衣名「もう、鈍いわね! 朝から夜まで一日中私達がいなかったら、パパ達はそれだけイチャイチャ出来るでしょう?」
克人 「なるほど…」
瀬衣名「今年の『父の日』のプレゼントは、パパとおじさま二人だけの時間。これでいきましょう! あとはお土産をちょっと買って帰れば充分だと思うわ」

 こうして今年の『父の日』は、海馬と城之内は二人っきりで過ごす事になりました。
 子供達が遊園地で遊んでいる間に父親達がどう過ごしていたのかは、それは大人の秘密だそうです。