*Rising sun(完結) - Sunrise - Act.0

 窓の外に一瞬白い閃光が走り、次いで空を引き裂くような雷鳴が鳴った。
 大粒の雨は激しく窓を打ち、今の轟音で窓ガラスがビリビリと震える。
 真っ暗な部屋の中にまた閃光が走り、壁に掛かった時計の針が夜中の十二時を指しているのが見えた。
 光は収まり部屋は再び暗くなり、そしてまたあの轟音が鳴り響く。
 外は真夏の激しい雷雨で非常に煩かったが、部屋の中は異常なほど静かだった。
 聞こえるのは二人の人間がたてる衣擦れの音と、吐き出される熱い息遣いだけ。
 この静かな空間で、オレは間違い無く彼を抱いていた。
 彼の体温を、彼の息遣いを、彼の鼓動を、全てをこの身に受け止めて、そして彼自身を愛した。
 あぁ、そんなに怯えないでくれ、震えないでくれ。
 オレはどこにも行きはしないから。
 ずっとお前の側にいるから。
 お前を永遠に愛すると、今ここで誓うから。
 だからもう泣いてもいいんだ。
 涙を流さず笑みさえ浮かべて心の中だけで泣く夜は、今日で最後にしよう…。
 恐怖に震える身体を力強く抱き締めて、顔中にキスの雨を降らす。
 どうかもう怖がらないで…。
 お前はもう…安心していいんだ。
 オレは優しく微笑んで、彼の耳元に愛を囁いた。
 これが自分の本当の気持ちなんだと…そう知って貰う為に。