城之内×海馬。
城之内瀬衣名ちゃん(17)の一人称です。
40歳過ぎたお父さん達の情事を目撃してしまうのは…非常に微妙な気持ちだと思います…w
ご愁傷様です…(´人`;)
夜中に喉の渇きを覚えて目を覚ました。
今日の夕飯のおかずは『茄子の辛味噌炒め』だった。夏だからっていうんでパパが濃いめに味付けをして、おまけに海馬のおじさまが出張お土産として持って来てくれた辛子明太子がとても美味しかったので、それもご飯のおかずとして一杯食べてしまったのだ。
それだけ辛くてしょっぱい物を食べれば、喉が渇くのも当たり前。私はむっくりとベッドから身体を起こすと、まだ眠気で重たい身体を引き摺って自分の部屋を出た。
廊下からキッチンの方に視線を動かすと、そこにはまだ明かりが付いていて、更に話し声が聞こえてくる。どうやらパパと海馬のおじさまはまだ起きているらしい。
二人の邪魔をするのは嫌だなぁーと思いながらも、喉の渇きには勝てなくてそっとキッチンに近付いて行く。廊下からキッチンに繋がるガラス戸は閉められていて、中の話し声はハッキリとは聞こえない。だけどドアの取っ手に手を掛けたその時、私はノブを回そうとしていた手を無理矢理押し留めて、ゴクリと息を飲んだ。
キッチンと繋がっているリビングには、大きな革張りのソファーが置いてある。そのソファーはこちら側に背を向ける形で置いてあるんだけど、その背からパパの金髪がチラチラと見えていた。それだけだったら別に驚かないんだけど、私が目を瞠った理由はソファーの端っこの方に見えた物の所為だった。
ソファーの背から、白くて細くて長い足が床に向かって零れ落ちていた。パパの金髪が何か上下に動く度に、その白い足もピクピクと動いている。それだけじゃない。今度は足とは逆の方から白い腕が上に伸びてきて、細い指先がソファーの背をキュッと掴んだ。まるで何かに耐えるように、その指先も細かく震えている。
そこまで見れば、このドアの向こうで何が行なわれているかなんて一目瞭然だった。つまりパパと海馬のおじさまは、ソファーの上で『致してしまって』いるって事なんだ。
もうっ!! パパったら娘がいるっていうのに何やってるのよ!!
パパも海馬のおじさまも四十過ぎの落ち着いた良い大人だ。だから普段は私が家にいる時には、絶対にこんな事はしない。私や海馬のおじさまの息子の克人がいくら二人の関係を熟知していても、それを余り深く感じさせようとはしなかった。それがパパや海馬のおじさまの、大人としての気遣いだって事は充分分かってる。
だからこそ…私がこんな場面を目撃してしまったのは初めての事だったのだ。二人がどんな関係かなんて嫌って程知ってるし、その…なんていうか変な想像をしちゃった事あるけど、それでも想像と実際目にするのとでは大きな違いだと…思うのよね。
「………」
でもそこまで考えて、私は「まぁ…仕方無いかな」と自分の考えを改めた。
パパも海馬のおじさまも、ここのところずっと忙しそうだった。特に海馬のおじさまは国内外問わずずっと出張ずくめで、パパとゆっくり電話する事すら出来無かった筈。私がぐっすり寝込んだのを確認して、我慢出来無くてついついヤり始めてしまったのも…納得出来る話ではある。
だって…もし私と克人がパパ達と同じくらい会えなかったり話せなかったりしたら、顔を見合わせた瞬間にきっと我慢出来無くなっちゃうと思うのよ。そういう自信もあるしね。
仕方無いなぁ…。お水は洗面所で飲もう…
流石に盛り上がってる最中の所を邪魔する勇気は無くて、私はクルリと方向転換した。そのまま足音を忍ばせて洗面所に向かおうとしたその時…。
「んあぁ…っ!!」
不意に大きくて艶めかしい喘ぎ声が聞こえて来て、一気に顔が熱くなっていくのが分かった。
もう!! 前言撤回!! やっぱ娘が家にいる時はそんな事しないで!!
だってだって、海馬のおじさまの喘ぎ声って…本当に甘くてやらしいんだもん!! こんな声聴かされちゃ、私だって我慢出来無くなっちゃうよーっ!!
洗面所で満足するまでお水を飲んだら、すぐに部屋に戻って携帯を取り出そう。そして今すぐ克人に「明日すぐ会いたい!!」ってメールしよう!
もう…もうもう!! 娘をこんな悶々とした気持ちにさせないでよ!!
パパ達の馬鹿ぁーーーーーーーーっ!!