*Lesson(完結) - レッスン開始! - *lesson6

 完全に勃起している綺麗なペニスが、先端から先走りの粘液を零して卑猥に濡れていた。プクリと膨れてツツーッと垂れてくるそれを指先で拭うと、海馬が「んっ…!」という甘い声を出して身体全体をブルリと震わせる。今まで訳の分からない感覚に翻弄されるだけだった海馬が、今はちゃんと快感を感じとってくれている事に、オレは心の中で深く感謝をした。
 良かった…本当に良かった。これで海馬も普通に戻る事が出来たんだ…と、安堵の息が零れる。
 この数週間、快感を感じられない身体を持て余して不安に感じる海馬は、きっとずっと大変な想いをしていたんだと思う。だけどそれと同じくらい、オレも不安になっていたんだ。
 レッスンだなんて大袈裟な事を言い出したはいいけど、コレで本当に海馬が何も変わらなかったらどうしよう…とか、レッスンによって余計にトラウマが酷くなったりしたらどうすればいいんだ…とか、最終的にしつこくし過ぎて嫌われたら泣ける…とか、とにかく色々思い悩んだ。
 だけど一番辛いのは海馬であってオレじゃないから、そこは自分の不安を押し留めて表には出さないようにしていた。なるべく海馬が不安にならないように…辛くないように…それだけを考えて過ごして来たんだけど…。

「良かった…。海馬…良かった…」

 ちゃんと感じてくれている海馬を見たら、不覚にも込み上げてくるものがあった。溢れてくる涙を無理矢理飲み込んだら喉が痛くなったけど、オレは嬉しくて嬉しくて堪らなかった。
 身体を起こしてそっと海馬を抱き寄せると、海馬は黙ってオレの胸に寄り掛かってくれる。だけど、嬉しいというよりは少し緊張した様に身体を硬くしているのが気に掛かった。顔を覗き込むと、半分安心したような、半分戸惑っているような表情をしてオレの事を見詰め返してくる。青い瞳が不安で揺らめいているのが印象的だった。

「海馬…? どうした?」
「じょ…の…うち…」

 海馬の様子が気になって、優しく名前を呼んで問い掛けてみたら、海馬は震える声で言葉を放った。

「オレは…どうなったんだ…?」
「別にどうもなってないよ。ただ普通に感じているだけだ」
「何か…変な感じがするのだ…。ムズムズして…耐えきれないような…じっとしていられないような…そんな感じが…」
「うん」
「怖い…」
「うん」
「どうしたらいいのだ…。凄く…怖い…」
「うん。気持ちは分かる。でも大丈夫だよ」

 オレに縋り付いてスウェットの布地を力一杯握り締める海馬の手を取り上げて、オレはその手をゆっくりと下半身へと導いてやった。そして硬く勃起してトロトロに濡れそぼっている性器に触れさせてやる。

「っ………!!」
「海馬、大丈夫だから…」

 驚いて慌てて手を引こうとする海馬を宥めて、オレはもう一度それに触れさせてやった。震える細い指を掌で包み、海馬の手ごと快感を待つペニスを握り込む。

「ほら…な? 大丈夫だろ? 何も怖くないぜ」
「うっ…! い、嫌だ…っ」
「お前が嫌だって言っても、身体は快感を求めてる。ちゃんと相手してやらねーと可哀想じゃんか」
「オ…オレは…そんな事は…っ」
「海馬…。頼むから感じる事を恐れないでくれ。何も悪い事してる訳じゃ無いんだからさ」
「だが…っ」
「大丈夫、普通だよ。これが普通なんだ。みんなこうなんだよ」
「あっ…! や…やめ…っ! 城之内…っ!!」

 未だに快感を感じる事を怖がっている海馬を宥めつつ、オレは握り込んだペニスを海馬の手ごと上下にスライドさせてみた。その途端に海馬は腰をブルリと震わせて、目をギュッと強く瞑り首を激しく左右に振る。
 多分今、海馬は物凄く快感を感じているんだと思う。オレだって初めてオナニーした時は、余りの気持ちよさに気が狂うかと思ったくらいだったから、今の海馬が感じている衝撃はそれ以上なんだって簡単に想像が付いた。そして…だからこそ、焦らないでレッスンを続ける事にする。
 怖くて緊張して動揺して、カチカチになった身体をもう一方の手で撫で擦りつつ、オレは海馬のペニスにゆっくりと優しい愛撫を繰り返した。掌を上下に動かす度に、溢れた粘液がヌチヌチと濡れた音を辺りに響かせる。海馬はその音だけで、このまま蒸発してしまいそうな程に顔を真っ赤にしていた。その反応に少し強めに握って愛撫するスピードを速めると、オレの肩口に顔を埋めて海馬がいやいやと首を振って喘ぐ。
 その様が…堪らない程可愛かった。

「うっ…! あっ…あぁっ…やっ…! 怖い…っ!!」
「大丈夫…怖くない…」
「やだ…! 嫌だ…っ!! な…何か変だ…っ!」
「変じゃないよ。それが快感って奴なんだ。気持ちいいだろ?」
「うぅ…んっ!! ふあぁっ!!」
「な? ほら…気持ちいい…」
「い…や…っ! 何か…来る…っ!! 嫌だ…何かが…!!」
「うん、いいよ。そのままイッちゃいな?」
「嫌だ…っ!! もっ…嫌だ…っ!!」
「いいから、イッちゃいなって。その感覚をそのまま受け入れればいいんだよ」
「怖い…っ! 城之内…っ!!」
「怖くないよ。オレちゃんとここにいるから。海馬の事抱いていてあげるから。だからもう…」
「ひぁっ…!? あっ…あっ…あぁっ…!?」
「イッちゃいな」
「や…あっ…っぁ―――――――――――っ!!」

 抱き込んだ細い身体がビクンビクンと大きく痙攣し、握り込んだペニスもブルブル震えたかと思うと、先端から熱い精液が溢れ出てきた。勢いはそうでも無かったけれど、トプトプとまるで泉のように白い液体が溢れてきて、オレと海馬の手を汚す。まるでポンプで押し出されるかのように長く吐き出される精液に、海馬は小さく「ぁっ…ぁっ…」と呻きながら、オレの腕の中でビクビクと震えていた。
 顔も耳も首筋も真っ赤で、眉根を寄せて必死な顔をしながら達してる海馬の姿は、本当に本当に可愛くて…!!
 オレはこのまま海馬を押し倒さないようにするのに、精一杯だった。

「ヤベー…。お前もう…本当に…最高だ」

 海馬の人生初めての射精。そこに立ち会えた事を、心から嬉しく思う。
 オレが導いた…オレの恋人。オレを受け入れてくれる…最愛の人。

「海馬………」
「んっ………!」

 初めての射精を終えて、腕の中でグッタリしている身体を強く抱き締めて、オレは海馬の頬にキスをした。そのままこめかみや瞼の上などにも口付けて、最後に唇に辿り着く。舌先で上下の唇をチロリと舐めると口を開けてくれたので、そのまま口内に舌を押し込んだ。触れた海馬の熱い舌を絡め取りつつ、そのままヌロヌロと口中を愛撫しまくる。
 海馬は息苦しそうに顔を歪ませながらも、オレの愛撫をそのまま受け入れてくれた。それが本当に嬉しくて、オレは今なら死んでもいいとさえ思ってしまう。

「海…馬…。好きだよ…。愛してる」

 長いキスを終えて顔を離して、未だ濡れた唇のままでオレは海馬にそう告げた。そして同じように唇を濡らしたままオレの顔をじっと見詰めて来る海馬に苦笑し、その唇を親指の腹で拭ってやる。真っ赤に充血した唇がフルリと震える様まで愛しかった。

「気持ち良かっただろ?」

 剥き出しの肩を掌で包み込みながらそう尋ねれば、海馬は暫く考え込んだ後ゆっくりと一つ頷いた。

「気持ちが良い…というか…何と言うか…。とにかく…我慢が出来無かった…」
「うん」
「胸が熱くなって…頭が真っ白になった」
「うん、そうだな」
「どうしたら良いのか…全く分からなかった」
「そうそう。そういうもんなんだよ。みんなそうなんだ」
「………」

 オレの言葉に顔を赤くしたまま俯く海馬にクスッと笑って、オレは枕元に置いてあったティッシュボックスを手元に持って来た。そしてそこから何枚かティッシュを抜き取って、そっと海馬の股間を拭いてやる。

「なっ…!? 城之内!?」
「拭いてやるから、大人しくしてろよー」
「や…やめろ…っ!」
「まーいいからいいから」

 途端に暴れる海馬を簡単に押さえ付けて、オレは濡れた股間をティッシュで綺麗に拭いてやった。そして汚れた紙をグシャグシャに丸めると、そのままベッド下のゴミ箱に投げ入れる。
 一連の動作を身体を丸めて見ている海馬が可愛くて、オレはついクスクスと笑ってしまった。

「な…何を笑っている…」
「ん? お前が可愛くてつい…な」
「笑うな…」
「ゴメンゴメン。もう笑わないよ」
「………」
「さて、普通に射精も出来るようになったし…。後はオナニーを覚えれば完璧か!」
「は…っ!?」

 信じられないような顔をしてオレを凝視する海馬に、オレはニヤッと笑ってみせた。

「オナニーだよ、オナニー。したくなったら、ちゃんと自分で抜くんだぞ」
「なっ…! む…無理言うな…!!」
「無理じゃない。オナニーなんてみんな普通にやってる事だ」
「オレは…やらない…!」
「やるの。溜まっちゃうだろ?」
「そんなもの…今までしなくても平気だった!」
「今まではな。でももう、『普通』に戻ったんだから、やってあげないと可哀想だろ?」
「か、かわっ…!?」
「さっきみたいに掌で握り込んで、上下に動かしてやればいいだけだから。他にも色々と触り方はあるんだけど…まぁ最初はそんなもんでいいだろ」
「っ………!」
「出来るよな? ちゃんとやってあげるんだぞ?」
「う………」

 何だか妙な呻き声を上げて蹲る海馬の頭をポンポンと撫でて、オレはそっとベッドから離れた。
 生まれて初めて完全勃起して射精した海馬は、今は少しパニック状態になっているように見える。こういう時は無理して先を急がずに、そっとしておいてやるのが一番だと思った。
 側にいて支えてやるのも大切な事だけど、一人で頭を整理する時間を与えてやるのも大事なんだよな。丁度良いし、オレはオレでいつも通りトイレに抜きに行くかーと思った時だった。

「城之内…っ!」

 ハッキリと名前を呼ばれて、思わず足を止めて振り返る。目に入ってきた海馬は、至極真剣な瞳をしてオレを見詰めていた。

「そ…その…っ」
「ん? 何?」
「し、しない…のか?」
「しない? 何を?」
「だから…その…っ。あ…あれ…を…」
「あれ?」
「だ…だから…っ。オレの…その…レッスンは、終わったのだろう…?」

 レッスン。その言葉でピンと来た。
 あぁ、なるほど。そういう事か。海馬の頭の中では、勃起して射精出来るようになればレッスンは終了だって事になっていたのか。
 うん。確かにオレも最初はそのつもりだったけど、今はそうでも無いんだよな。せっかくなら、やっぱり全部覚えて貰いたいじゃん?

「あぁ、セックスね。まだしねーよ?」

 ケロリと言い返すと、海馬は瞳を大きく丸くして固まった。

「だってレッスンまだ続くし。とりあえずお前がオナニーを覚えるまでは、次には進めないな」
「オ…オナ…ってお前…っ! 一体何を言っているんだ!!」
「さっきから言ってんじゃん。ちゃんと抜いてやれって。とりあえずオナニー出来るようになったらオレに教えてな」
「っ………!?」

 そう言って驚いたままの海馬にニッコリと笑いかけて、オレはそのままトイレに籠もった。
 身体は相変わらず辛かったけど、心は全然辛くは無い。むしろ余裕たっぷりだ。
 次に海馬にレッスン出来る事を心から楽しみにしつつ、オレはさっきからギンギンになっている息子を慰める為に下半身に手を伸ばした。



 余談だけど…。
 さっき目の前で見た、イク瞬間の海馬の表情を思い出しながらやったオナニーは、今までで一番気持ち良かった事だけは言っておく。