『Lost World』のおまけ話。
初エッチをした時のお話です(*´д`*)
幸せ一杯のエロエロ城海をどうぞお楽しみ下さいませ~w
「海馬…っ! おい、海馬…っ!」
頭から掛け布団を被って丸くなっているオレの身体を、目を覚ました城之内がゆさゆさと揺さぶる。直接見なくても分かる、心から心配したような声。だがオレはその声に応える事が出来ないでいた。
というか…出来る訳が無かろう!! 昨夜のあの出来事からまだ数時間しか経っていないのだぞ!!
そんな状態で城之内とまともに目が合わせられる筈が無いというのに…っ!!
「おい、海馬。大丈夫か? 具合…悪いのか? まだ痛むのか?」
あぁ…頼むからそんな事をそんな風に訊いてこないで欲しい。昨夜の事を思い出すだけでも、身体がカッと熱くなる程恥ずかしくて堪らないというのに…っ!
ほんの少し布団から顔を覗かせれば、部屋の中はすっかり明るくなっていた。大きな窓から差し込む冬の朝日。それが心配そうにオレを覗き込む城之内の裸体を照らして、くっきりと見えた身体のラインにまた顔が赤くなる。
身体を使って働いているからだろうか。城之内の身体は思った以上にしっかりとしていて、筋肉質だった。十代後半でまだ成長途中であるにも関わらず、既に完成されたかのような男らしい身体つき。オレもそれなりにしっかりとした筋肉が付いているとは思っていたが、城之内と比べると自分の細身の身体に愕然としてしまう。
そして同時に思い出してしまった。
自分が昨夜、あの身体に抱かれたのだという事を…っ!!
「………っ!!」
「か、海馬っ!?」
再び布団を頭から被って潜り込んだオレに対して、城之内が焦ったように声を掛けてきた。
頼む城之内…っ。そんなに構わないでくれ…っ! もう放って置いてくれ…っ! オレは…オレは…っ。
恥ずかしくて堪らないんだ…っ!!
昨夜、城之内に手を引かれて寝室まで行ったオレ達は、暫くベッドの前で立ち尽くしていた。手を強く握ったまま、互いに互いの動向を探っている
これから何が起こるのかは分かっていた。ベッドの上に移動しなければならないという事も分かっていた。だが、どう行動したらいいのかが分からない。
とりあえずこの手を離した方がいいのだろうか…とか。ベッドの縁に座った方がいいのだろうか、それとももう寝っ転がってしまった方がいいのだろうか…とか。服は最初に脱いでおくべきなのだろうか、それとも行為と共に脱いでいくべきなのだろうか…とか。
とにかく色々な事が頭の中を駆け巡り整理が付かない。ただでさえこの状況が恥ずかし過ぎて、頭がグラグラしてまともな思考も出来ないというのに…。
「海馬…」
どのくらい時間が経った頃だろうか。城之内が遠慮がちにオレの名を呼んで、そっと手を引いてきた。その力に逆らわずにそのまま城之内の腕に抱かれると、数歩後ろに下がって…そしてベッドに押し倒される。
背中に慣れたベッドのスプリングの感触が伝わって来て慌てて視線を上げれば、真剣な光を讃えている琥珀色の瞳に出会った。
「本当に…いいの? 抱いちゃうよ?」
いつもの城之内からは想像出来ないような不安な声。そして震える声の中に、明らかな欲情も見え隠れしていた。
本当だったら今すぐにでもやりたいに決まっている。その証拠にオレの肩をシーツに押し付けている手がブルブルと震えていた。大きな掌がじわりと汗ばんでいるのが伝わって来る。
やりたければさっさとやればいいのに…。恋人なんだし事前承諾も得ている。ここで多少無理な行動に出ても、それはそれで当然だと思うし、オレも怒らない。
なのに城之内は我慢している。最後の最後までオレの意志を尊重するつもりなのだ。
そういう城之内の気持ちを…心から嬉しいと思った。そして城之内自身の事を愛おしいと感じ、そんな城之内に愛されているという事実を心底幸せだと思う。
「構わないと言っただろう?」
そっと手を持ち上げて、城之内の頬に掌を当てた。愛おしくて…ただただ城之内の存在が愛おしくて…。頬を辿って額から荒れた金髪までを優しく撫でる。
「好きに…するがいい。誕生日プレゼントだ」
「誕生日プレゼント?」
「あぁ、その通りだ」
「誕生日プレゼントかぁ…。という事は、誕生日以外は抱かせてくれないって事? それともセックス解禁がプレゼントって事なのかな?」
「どっちでも。お前の好きに取ればいい」
「そっか。じゃぁ『解禁』の方がいいな。誕生日だけなんて嫌だし。てか、オレ我慢するのなんて絶対無理だし」
まるで悪戯っ子のように城之内がニッと笑った。その笑顔が余りに幼く見えて、オレもプッと吹き出してしまう。
その後、暫く二人してクスクスと笑い合っていた。これから初めてセックスをしようとしている恋人同士にあるまじき状況。けれど異様に甘ったるく感じられるその雰囲気に流されて…、やがてそれは城之内のキスによって終わりを迎えた。
「んっ………!」
甘く深いキス。口の端から唾液が零れ落ちても、城之内はキスを止めようとはしなかった。
一月二十一日に初めてこのキスを施された時、オレは流れ落ちる唾液が気持ち悪くて、それを早く拭いたくて堪らなかった。けれど今は不思議な事に、そんな事は微塵も感じられない。それどころかもっと深くキスをして欲しくて、拙いながらも必死で城之内の舌を追った。
「んっ…んっ…」
舌を絡ませる度にクチクチと水音が鳴って恥ずかしい。それなのに止めたいとは思わない。温かい舌を夢中になって絡ませていたら、着ていたパジャマがハラリと肌蹴る感触に気付き、慌てて視線を下に向けた。
どうやらキスをしている最中に、パジャマのボタンを全て外されていたらしい。
一体いつの間に…。全く気付かなかった…。
「海馬…」
「ぁ…っ」
唇を外され、城之内に熱っぽく名前を呼ばれる。互いの唾液で濡れたままの唇が移動し、首筋をチュッと音を起てて吸われた。微かに感じたくすぐったさに小さな声を上げれば、城之内が満足げに笑う気配がする。
濡れた唇はそのままあちこちに吸い付いては離れ、離れては吸い付きを繰り返し、やがてオレの胸に辿り着いた。乳首の周りをチュッチュッとわざと音を起てて吸われ、そのせいで感じた気恥ずかしさに思わず目をギュッと瞑った瞬間、乳首自体を口に含まれてしまった。
「ふぁっ…!?」
敏感な先端を温かな口内に含まれて、舌で舐められて強く吸われる。途端にビリビリと感じた快感に、堪らず背を仰け反らせて喘いだ。
「気持ちいい?」
城之内は自分の唾液で濡れた乳首を指先で捏ねながら、もう片方の乳首も熱い舌で舐めていた。口に含まれた乳首を強く吸われ、同時に指で弄られている方の乳首をギュッと指先で押し潰されると、それだけで腰の辺りがゾワゾワとする耐え難い感触に襲われる。
フルフルと首を横に振りながら「分からない…っ」と告げると、何故か城之内は嬉しそうに笑っていた。
「分からないなら教えてあげる。海馬、これが気持ちいいって事なんだよ」
そう言ってニッコリと笑った城之内は、そのまま頭をずらして今度はオレの臍の辺りに吸い付いてくる。下腹部から感じる何とも言えない擽ったさにピクピクと跳ねていたら、突然パジャマのズボンの上から自分の大事な場所に触れられて驚いた。熱い掌でサワサワと股間を撫でられて、背筋をゾクリと駆け上がる何かに怯えて首を振った。
怖かった…。とても怖かった。あれだけ覚悟していたというのに、何故だか急に恐怖を感じて耐えきれなくなった。
「お、勃ってる…」
「っ…! あ…っ」
「良かった。ちゃんと気持ちいいみたいだな…って、海馬?」
城之内はそんなオレの気持ちに気付かずに、ズボンの上からオレのペニスを探ってキュッと握り込む。その途端、再びゾワリと背筋が震えて、訳の分からない恐怖に頭が混乱した。
ブンブンと顔を左右に振って、何とか城之内の身体を押しのけようとする。だが必死の抵抗も虚しく、オレの手は城之内に掴まれあっさりとシーツに縫い止められてしまった。
「どうしたんだよ急に…っ。海馬…?」
「やっ…! 嫌だ…っ! 城之内…っ」
「無理だよ海馬。今更嫌だって言われても、もう止まれない」
「嫌だぁ…っ! 怖い…っ!!」
「怖いのは分かってる。初めてだから仕方無いしな。でも…もう無理なんだ。ゴメン、分かってくれ」
「嫌…っ! 嫌ぁ…っ!!」
「ちゃんと気持ち良くしてあげるから…。だから大人しくしてて…な?」
そう言って城之内は、暴れるオレの両手を一つに纏めて頭上に縫い止めてしまった。そして左手だけでオレの両手を押さえつけると、空いてみる右手でもう一度股間を探ってくる。一旦腹部を優しく撫でて、そしてそれはズボンの中に入ってきた。熱い掌が直接オレのペニスに絡みついて、それだけで腰に震えが走る。
「あっ…!!」
恥ずかしさに堪らず目を強く瞑ると、溜っていた涙がホロリと眦から流れ落ちた。それを熱い舌でペロリと舐め取られ、同時に掌が緩やかに動き出す。
「うっ…ん…っ。あ…あぁ…っ。はっ…あ…ぁ…あっ…」
何度もペニスを上下に擦られて、やがてそこからはグチュグチュという濡れた音が響いてくるようになっていた。先端から溢れ出た液体を、城之内は親指の腹でクルクルと撫でるように擦りつける。その度にゾワリゾワリと背筋がざわめいて、腰がブルブルと痙攣した。
オレだって男だ。自分で自分を慰める事は何度もした事がある。けれど今感じている快感は、自分でしていた時よりも何十倍も強い快感だった。
腰から下が、まるで自分の身体では無いようだ…。快感に麻痺して、その他全ての感覚がずっと向こうへ遠ざかっていく。感じるのは快感だけ。頭に浮かぶのは、熱を吐き出したいという欲求だけ。
「あ…あぁっ! も…う…っ!!」
無意識に限界を訴えていた。快感に耐えきれず流れ落ちる涙に、周りの様子がよく見えない。ただ涙で滲んだ城之内の顔がニコリと笑って「うん。いいよ」と言ったのだけは理解出来た。
許しが貰えた…。それがとても嬉しくて…。
「っぁ―――――っ!!」
許しと同時にペニスの先端に爪が埋め込まれたのを感じ、オレは声も無く大きく弓形に仰け反りながら、城之内の掌の中に全ての熱を解き放ってしまった。
一瞬…何が起きたのか分からなかった。ただ頭の中が真っ白になって、身体が全ての力から解き放たれた事だけは分かる。
ぐったりと力を無くしたオレに、城之内は顔を近付けてキスをしてきた。チュッチュッと軽く吸われるように、顔の至る所に唇を押し付けられる。
「すっげー可愛かった…。気持ち良かった?」
「………?」
何を言われているのかよく分からなかったが、とりあえず気持ち良かった事だけは確かだったので、コクリと一つ頷く。城之内はそんなオレの答えに満足したのか、優しく微笑むとティッシュで綺麗に拭いた手でオレの頭をよしよしと撫でてくれた。
その感触に覚えがあって、そっと城之内の顔を覗き込んでみる。
「城之内…」
「ん?」
「撫でて…くれていたのだな…」
「………?」
「オレが…熱で意識を失っている間…。ずっと…こうやって撫でていて…くれたのだろう?」
「あ…あぁ…。確かにそうだけど、何で知ってんの?」
「感じていたからだ」
「え?」
「夢の中で…感じていたのだ」
あの冷たい世界の中。悲しい想いに泣きたくなる度に、城之内の掌を感じていた。ふわりと優しく頭を撫でるその感触に、あの世界の中のオレがどれだけ慰められたか分からない。
「ちゃんと…覚えているのだ…」
キョトンとした顔でオレを見詰めている城之内に微笑みかけて、オレは手を伸ばして目の前の身体に強く抱きついた。
愛しい愛しい城之内。もう二度と手放さない。後悔はしたくない…だから。
「続きを…してくれ」
オレの言葉に、城之内の身体がビクリと震えた。予想通りの反応に思わず苦笑する。
だがもう逃がさない。後悔しないと決めたから。
「城之内…。お前…ここで止めるつもりだっただろう?」
「う…。何で…分かった?」
「何となくだ」
「ったく…。何となくで分かっちまうのがお前らしいよな。でも確かに止めようと思ってる。ここで一旦区切るのがいいんじゃないかな…と」
「嫌だ…。最後までしろ」
「止めとけよ。お前さっき混乱してただろ。初めてなんだから無理すんなって」
「そっちこそ無理をするな! さっきから…そ…その…。か、硬いモノが当たっているぞ!!」
先程からオレの太股の辺りに感じる硬い感触に、恥を捨ててそう言い放った。視線を下に向ければ、スウェットの前面部分が大きく変化しているのが見て取れる。
オレの視線を追うように自分の股間を目にした城之内は、ややあってクックッと笑い始めた。
何故ここで笑うのか…。訳が分からない奴だな。人がせっかく心配してやっているというのに!
だが城之内は随分と余裕そうな表情で、オレの顔を見詰めながら口を開いた。
「そりゃ、お前のあんな姿を見せられれば…仕方無いって奴だよ」
苦笑しつつそう言う城之内に、思わず顔が熱くなる。
自分の痴態に欲情されるというのは、思っていた以上に恥ずかしい。だが、だったら何故途中で止めようとしているのか…。それが全く理解出来なかった。
「あんなの見ちゃったらさ、堪んないもんな」
「そ…そうだろう…っ。だったら早く続きを…っ!」
「うん。続きしたいよ。でもな、そこまで焦る必要も感じて無いんだ」
「な…何故だ…?」
「だってオレ達恋人同士じゃん。やろうと思えばいつでもやれるんだし…何も今夜に全部しなくても…」
「今夜で無いと駄目なのだ…っ!!」
城之内が優しく、オレを宥めるようにそう言うのに大声で反論した。
あの城之内が居ない冷たい世界…。あれはただの悪夢だったけれど、あの世界が絶対に来ない等と…どうして言えるのだ。もしかしたら明日にでも遣って来るかもしれないのに!
そんな時にまたあのような後悔をするのだけは…嫌だった。
「後悔したく無いのだ…っ! 今を逃して…そして二度と出来なくなってしまったら? そう考えたら…耐えられない」
「ちょっ…海馬。そりゃお前の考え過ぎだって…」
「どうしてそんな事が言えるのだ? オレが見ていた夢はそういう夢だった。気が付いた時には全てが遅く、何もかもを後悔する夢…。オレは…もう二度と嫌だ…。あんな後悔はしたくない…っ!!」
ギュウッと目の前の身体を強く抱き締めて耳元でそう叫ぶと、城之内が戸惑いつつもオレの身体を抱き返してくれる。
「そんな事言われたら…止まれなくなるじゃん」
「止まらなくていい…っ!!」
「最後まで…やっちゃうよ?」
「やれと言っている…!!」
「ははっ。男らしいなぁ」
少しだけ面白そうに笑った後、城之内はオレの身体を引き離して熱の籠もった瞳で見詰めて来た。琥珀の瞳がゆらゆらと揺れている。
「んじゃ、もう何があっても止めないからな?」
そう告げる城之内に強く頷いて、オレは身体の力を抜いた。