2009年10月アーカイブ

しつこいようですが相変わらずエロモードな二礼です、こんばんは。

エロ神様が帰ってくれません。
いや、いい事なんですけどね…w
有り余るこのエロパワーを某Cりさんにも分けてさしあげたいくらいだわ…(´∀`;

例の瀬人誕企画は今週は自分のターンでは無いので、凄く楽させて貰っています。
時間に追われずにゆっくり過ごせるのとエロ神様がいらっしゃる事で、二つ程エロ話を書いてみました。
一つは今日UPする分のにょた海馬の話。
もう一つは素質ネタ。
まだ見直しをしていないので、来週の火曜か水曜くらいに上げられればいっかな~って思っています。
ていうかかなり余裕しゃくしゃくでいるんですけど、最終ターンがまだ来ていないって事を忘れていますね、コレw
後から大変な事になるのは自分だというのに…www


瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯3』がUPされました。
内心凄く怒っているのに、ぐっと我慢をしている城之内にメチャ萌えです!!(*´д`*)
ホント、よく我慢出来たなぁ~。
普段だったら絶対口論になってるね! 感心感心(´―`)
そして、その城之内の意図に全く気付かずに、天然具合をいかんなく発揮しまくる海馬にも萌え萌えでしたw
やだわーもうこの二人。何て可愛いんだろう~!!
ていうか、おい謎の外人!!
ちょっとそこ替わってくれや!!


ほいほい。
あと先日の日記で予告した通り、ウチの方にも『果汁クォリティ』をUPしました~。
久々の城之内(♂)×海馬(♀)のエロになりまっす!
(つーか、また阿呆なタイトルでスマンです…;)
女体化は人を選ぶので余り沢山書くつもりはありませんが、それでもたまに書くとやっぱり楽しいって思いますね~。
ていうか最近吹っ切れて来ました…w 書きたい物を書けばいいんじゃね? 的な感じで(´∀`)
最近はイラストなり小説なり、女体化を扱って下さるサイトさんも凄く増えましたしね~。
素敵な瀬人子さんを見付けるたびに、一人でウハウハしています(*´∀`*)
やっぱり瀬人子さんは可愛いなぁ…。大好きです!!


よし! それじゃぁ飲み会行ってくるぜ!!


以下は拍手のお返事になりま~す!(・∀・)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

日記の感想をどうもです~v
本当に時が過ぎるのが早いですよね~。
Rosebank様にはかなり初期の頃からコメントを頂いていたのですが、そうですか…。初コメントは2月26日でしたか。
サイトを本格的にオープンさせたのは2月21日だったので、本当に始まってすぐにコメントしてくれたのですね~。
最初のコメントは確かヘルクリの話だったような気がしますw
あのコメントを読んで、意外とヘルクリの需要がある事に気付いて嬉しく感じた事を思い出しました(*'-')
あれから色々な事にチャレンジしてきて、私もそれなりの小説を書いてきたとは思いますが、やっぱりまだまだ書き足りませんw
やりたいネタがいくつもあるんですよね。
それが他の人に受け入れられるかどうかは分かりませんが(Rosebank様も例のシリーズが苦手ですものね…w)、とにかく自分の書きたいものを沢山書いていこうと思っています。
とりあえず目先の目標は、プロットを纏め始めたスプラッタ系エログロ…でしょうかね?
瀬人誕企画が終わったら始めるつもりでいるので、今からじっくりとプロットを練っていきたいと思っています。

話は変わりますけど、そう言えば確かに某巨大匿名掲示板には城之内関係のスレは見当たりませんね…(´∀`;
社長関係はあんなにあるのに!!
実際城海より海城の方が多い現状を目の当たりにしているだけに、城之内のスレが無いのが不思議でなりません…w
本当に不思議だなぁ…?
どういう事なんだろう?

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*果汁クォリティ♀

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城之内×海馬(♀)
城之内の一人称です。
『真実の証明』ベースのお話になりますので、女体化が苦手な方はご注意下さい。

 




 秋も深まってきた週末のある夜の事。オレは海馬の邸へと急いでいた。
 海馬との約束は午後九時だったけど、今オレが着けている腕時計は午後十時を指している。
 何でいつもはすぐに帰らせてくれる筈のバイトが、今日に限って追加の仕事を押し付けられたんだか…。世の中って理不尽過ぎるよな。
 仕事が終わった時点で九時半だったから、それから慌てて海馬に電話した。不機嫌になっているんだろうなぁ…とばっかり思っていたら、意外と平静な声で「仕事なら仕方無いな。待っているから早く来い」とそれだけが返って来て、逆にこっちが拍子抜けしちまった。
 海馬は時間に煩い方だ。いや、むしろ煩い。
 女子高生でありながら大会社を経営する身としては当然だと思うし、元からのきっちりとした性格を考えれば言わずもがな…ってヤツだ。だからこっちが寝坊した等の下らない理由で約束の時間に遅れたりすると、海馬はとんでもなく怒る。その恐ろしさは筆舌に尽くしがたい。
 オレも何度この世の地獄を見たか分からないくらいだ。
 まぁそれからというものオレも反省して、余り下らない理由で時間に遅れたりはしなくなった。
 ただ時々、こちらの予期しない遅れが生じたりするのもまた事実であって、特にこういうバイト関係の時はオレとしてもどうしよう無いってヤツなんだよな。だからその度にビクビクしながら海馬に連絡するんだけど、そういう時の遅れに限っては海馬は絶対に怒らないんだ。
 最初は不思議だったけど、今ならその理由がよく分かる。
 海馬は、働く事の大切さを誰よりも良く知っているんだ。
 だから海馬は怒らない。けれどちょっとは寂しいと思っているらしい。先程の会話の中の「待っているから早く来い」を思い出して、オレは思わずニンマリと笑ってしまった。
 そういうところが物凄く可愛いと思ってしまうのは、オレが彼氏だからなのかなぁ? 寂しいなら寂しいって、素直にそう言えばいいのにな。
 長引いたバイトで凹んでいた気持ちが一気に上昇するのを感じて、オレは軽いステップと共に海馬邸を目指した。


 勝手知ったる何とやらで海馬の部屋まで赴くと、海馬はソファーに座って何かを食べている最中だった。髪がしっとりと濡れ、既に白いパジャマに着替えている辺り、もう風呂には入ってしまっていたらしい。
 扉を開けて部屋の中に入ってきたオレを見て、海馬は「漸く来たか。遅かったな」と何気なく呟いた。
 まぁ…どんなに冷静っぽくしていても頬にサッと赤味が差したのを見て、オレが来て嬉しいんだなってのは分かったけどな。可愛いね、本当に。

「ゴメンな。バイトで余計な仕事が入っちゃって…」
「構わん。仕事の事に関しては、あれこれ言うつもりは無い」
「うん、悪かった。ていうか美味しそうに何食べてるの? 葡萄?」

 ガラステーブルの上に置いてある皿の上には、大粒の紫色の葡萄が一房載っていた。海馬はその内の一粒をプツンともぎ取ると、そのまま口へと運んでいく。皮ごと口の中に入れて中身をチュルリと吸い出して、ついでに皮の裏に付いた果汁もチュッと吸い取ると、残った皮を側のゴミ箱に捨てた。
 零れた果汁が付いた指先をペロリと舐めるその仕草に妙に興奮してしまうのは…男としては仕方無いよな。

「何コレ? 巨峰? 美味い?」
「ピオーネだ。しかも最高級の種無しのヤツだぞ。甘くて凄く美味しい」
「へー。オレも食べていい?」
「いいぞ。ほら」

 オレが来た事で上機嫌になったんだろうな。自ら一粒もぎ取って、海馬はオレの目の前に葡萄の粒を差しだしてきた。
 オレはそれに遠慮無く顔を近付け、海馬の指ごと口の中に含んでしまう。細い指を噛まないように気を付けながら果実に歯を当て、中の実を潰さないように吸い出した。その途端口中がヒリヒリする程の甘い果汁が溢れ、その美味さにマジで驚いた。
 葡萄ってこんなに美味しい食べ物だったんだなと感嘆しながら、皮もチュッと吸って果汁を飲み込む。
 オレが葡萄の実を食べたのを確認したんだろう。海馬がオレの唾液に塗れた指を口中から引き抜いて、中身の無くなった皮をゴミ箱にポイッと捨てた。そして濡れた指先をまたペロリと舐めるその様が、オレの目には至極扇情的に映った。

「どうだ?」
「うん。マジで美味い。オレこんな美味しい葡萄食った事ない。感動した」
「そうだろう」
「種無し葡萄なんてデラウェアしか食った事なかったけど、こんな大粒で種無しのヤツなんてあったんだな」
「種無しのはニューピオーネというらしいがな。オレもこれが結構好きなのだ。この季節にはついつい食べ過ぎてしまう」
「ふーん」
「何房かあるから、気に入ったのならもっと食べていいぞ」
「うん、それじゃまぁ遠慮無く…」

 海馬の言葉にオレは今度は自分で葡萄の実を一粒もぎ取り口の中に入れた。皮から実を吸い出して、それをそのまま租借しないで海馬に近寄りその頬に両手を当てる。

「城之内…?」

 不思議そうな顔をして見上げた海馬にニッコリと微笑んで、オレはそのまま口付けた。
 遠慮しないで食えと言われたのは嬉しいけど、オレが今本当に欲しいのは葡萄の実じゃなくてこっちの方の果実だからなぁ。

「むぐっ…!」

 ちょっと開いた唇の隙間から舌ごと葡萄の実を押し込んでやったら、海馬が驚いたように目を丸くした。そのまま果汁で甘くなった口内を舌で縦横無尽に舐め取っていると、丸くした目を今度はギュッと強く瞑って海馬がオレにしがみついてくる。
 オレが舌を入れているせいで葡萄を租借出来ないのだろう。苦しげに睫の端に涙を耐えながら、海馬は再びオレに葡萄の実を押し返してきた。
 海馬の口中ですっかり生温くなった葡萄はそれでもまだまだ十分に甘くて、オレはその甘さを一通り楽しむとまた海馬の口中に押し返す。

「んっ…! んん…っ!」

 随分と長い時間をかけて葡萄の実を行ったり来たりさせ、やがてその遣り取りに耐えきれなくなった海馬がオレの舌が口外に逸れたのを見計らって、奥歯で強く実を噛み潰した。
 どちらの物とも知れない唾液と共に甘い果汁が溢れて、海馬の紅い唇の端からトロリと流れ落ちる。
 それを見て取って、オレは慌ててその場所に舌を這わせた。顎下から唇の端へとベロリと舐め取ると、芳醇な葡萄の香りが口の中一杯に広がっていく。

「ん…。やっぱり甘くて美味しいな」
「と…突然何をする…っ!!」
「何ってナニですけど? 今オレはものすごーくヤリたい気分なんですけどね、海馬さんはどうですか?」
「どうですか…って…。べ…別に…オレは…」
「この葡萄も凄く美味しいけど、オレとしては海馬の持つあっちこっちの実の方がずっと魅力的なんだよね。そっちの方を食べていい?」
「実…?」
「うん。海馬を…食べたいなぁ」
「っ………!」

 わざと低い声のまま耳元でそう囁いてやると、途端に白い顔がサッと赤くなる。
 薔薇色に染まった頬にチュッとキスをすると、海馬は顔をますます赤くさせて俯いた。けれど嫌がっている訳でも無いらしくて、数秒後に「もう…! 勝手にしろ!!」という照れた叫びと共に自ら寝室に歩いていってしまったのを見て、オレは顔を綻ばせた。
 何て言うか…本当に可愛いよな。素直じゃないところが、海馬らしくていいと思う。
 クスクス笑っていると寝室の方から「ヤルなら早く来い!!」という焦れた声が聞こえてきて、オレはますます笑ってしまった。けれど余り焦らすと本気で機嫌が悪くなってしまうので、ここらで海馬の言葉に従ってやる事にする。ガラステーブルの上に置かれたままだった葡萄の皿を持ち上げて、オレは寝室へと足を踏み入れた。



 薄暗い寝室に衣擦れの音が響く。
 お互いに全ての衣服を取り去って、今は全裸で向かい合っていた。オレが細い首筋に唇を押し付けるたびに海馬はくすぐったそうに身を捩り、その都度白い肌とシーツが擦れる音を出す。

「あっ…。うっ…ん…」

 喘ぎながら海馬が目を開けて、ベッドサイドに置かれているものをちらりと見遣った。
 そこにあるのはオレが先程リビングから持ってきた葡萄の皿。不安げな視線をこちらに寄越したのを見て、どうやら「何の為にコレを持ってきたのだ?」と言いたいのが分かった。
 それにニッコリと微笑んで見せると、オレはわざとらしく葡萄の実を一粒もぎ取り目の前に持ってくる。

「何? コレが気になるの?」

 そう言うと海馬はコクリと頷いた。
 ずっと不安な表情をしたままの海馬にオレは笑みを崩さず、目の前で葡萄の実を口に入れた。そして中の実を吸い出すと、今度はそのまま掌の上に吐き出して摘んでみせる。

「これはね、遊ぶ為に持って来たんです」
「ひゃっ…!!」

 持っていた葡萄の実を海馬の白い肌の上で転がしたら、海馬が可愛い声を出して跳ね上がった。やめろ…っ! とか声が聞こえるけどそれを無視して、オレは葡萄の実を海馬の乳房へと持っていく。そして真っ赤な乳首の上でそれをわざと押し潰し、たっぷりの果汁をその辺に塗りたくった。
 甘い香りが辺りに広がって、鼻孔が麻痺しそうだ。

「ふぁっ…! あぁん!!」

 果汁でビショビショに濡れた乳房を両手で持ち上げて、つんと立った乳首にむしゃぶりついた。甘い果汁を全て舐め取って飲み込むように舌で愛撫していたら、海馬が可愛い声で喘ぎながらビクビクと痙攣し始める。

「はぁー。超甘い。甘くて滅茶苦茶美味しい」
「いやっ…! やめて…っ!」
「何で? おっぱい凄く美味しいよ? この赤い乳首もマジで食べちゃいたいくらい」
「やっ…! いやぁ…っ!! 城之内…っ!!」
「あはは、食べないから安心して。でもマジで美味そうだ…」

 甘いおっぱいを夢中になって味わいながら、オレは片方の手で葡萄の実をもう一粒もぎ取った。今度はそれを指だけで中の実を押し出し、出て来たそれを摘んで足の間へと持って行く。

「ひぁ………っ!」

 たっぷり果汁を纏ってほんのり冷たい葡萄を、硬く勃ち上がっているクリトリスに押し付ける。その途端海馬がビクリと大きく跳ねて背を逸らせた。恥ずかしさの余り弱々しく抵抗してくる細い身体を難なく押さえつけて、オレはさっきみたいにわざと果実を押し潰して、潰れた果実ごと果汁を下半身に塗り付けていく。

「あっ…! あぁっ! や…嫌だ!」
「はいはい、ちょっと大人しくしててね。今甘く美味しくしてあげるから」
「や…やめろ…馬鹿! 葡萄をそんな事に使うなんて…っ!! 食べ物を粗末にするな…っ!!」
「大丈夫。使った葡萄は後でちゃんと食べるから、安心して」
「あ、安心出来るか…っ!!」
「もうー…。大人しくしててって言っただろ。舐めれないじゃん」
「なっ………!」

 快感ですっかり力が抜けた海馬の抵抗なんてあっても無いようなもんで。オレは簡単にその動きを封じてしまうと、そのまま白い足の間に入り込んだ。膝に手を当ててそこをゆっくりと左右に開くと、葡萄の果汁と海馬の愛液によってびしょ濡れの秘所が現れる。
 綺麗なサーモンピンクの秘所がトロリとした液体に濡れそぼる様が本当に厭らしくて、オレは思わず喉を鳴らした。
 クリトリスがピクピク動いているのに誘われて、そっとそこに唇を寄せる。チュッと吸い上げるようにキスをしたら、海馬の身体がブルリと震えた。

「あっ…んっ!!」

 顔を真っ赤に上気させてシーツを強く掴みながら快感に耐えている海馬は、心の底から綺麗だと思える。でもオレはそれ以上に、余りある快感に打ち震えて咽び泣いている海馬も好きなんだ。
 震える内股にべろりと舌を這わせ、再び硬く勃起しているクリトリスに吸い付いた。葡萄の果汁と海馬の愛液が入り交じった、甘酸っぱい汁が口中に溢れていく。

「んあぁぁっ!! あっ…! ダ…メェ…ッ…!!」
「何で? 気持ちいいでしょ?」

 唇に付いた甘い汁を舌で舐め取りながら、今度は指でクリクリとそこを弄る。その度に海馬は首を左右に振って、涙を流して甘く喘いでいた。その泣き顔に満足しながら、オレは更に葡萄の房から実をもぎ取っていく。三つほど手に取って、その内の一つを口に含んで中の実を吸い出した。そしてそのまま海馬の秘所に顔を寄せて、膣に直接唇を押し付ける。溢れる愛液にニヤリとほくそ笑みつつ、舌で口中の葡萄の実を海馬の胎内に押し入れた。

「っ…あっ!? な…何…っ!?」

 その感触に、海馬が信じられないような顔をしてオレを見詰める。その視線に敢えて気付かないふりをして、オレは二個目の葡萄も中の実を吸い出して、同じように舌で海馬の中に押し込めた。

「あぁっ…! や…やめて…っ!」
「んー? やめないよ。あと一個だから我慢してね」
「いや…だ…っ! 怖い…っ!!」
「怖い? あぁ、取れなくなったらどうしようって事? 大丈夫。後でオレがちゃんと掻き出してあげるから」
「や…やだぁ…っ! ふっ…あぁっ!!」
「ほら、ちゃんと入った」

 三つの葡萄の実を収めたそこから溢れてくる愛液をペロッと舐めると、途端に舌の上に広がる甘い味に至極満足した。すっかり真っ赤に充血しているそこに指を二本揃えて差し込んで、中の葡萄の実を探る。コロリとした触感を指先に感じて、それを二本の指で摘んでその場で潰してやった。

「あっ…ぅ…! はぁ…んっ!」

 冷たい果汁が胎内で溢れたのを感じたんだろう。海馬がビクビクと反応しながら身を捩った。
 そのままグチュグチュと指で胎内を擦っていると、海馬の喘ぎも段々と高く大きくなってくる。どうやらもうそろそろ限界らしいけど、そこでオレはふと考えついた。
 いつもだったらこの時点で自分のペニスを突っ込んでいるけど、今海馬の胎内には葡萄の実が入っている。最初はちゃんと取り出してからヤッてやろうと思ってたんだけどさ…。何か面倒臭くなってきちゃってた。
 トロトロに熱くなっていた胎内から指を引き抜くと、そこには白く濁った本気汁が纏わり付いている。それを口に銜えて綺麗に舐め取ると、甘い葡萄の香りが鼻孔を抜けていった。
 その甘い香りは確かに葡萄の実の香りなんだけど、海馬の淫らな肢体に完全に興奮状態に入っていたオレにとっては、それはまさしく海馬自身の香りとなっていた。

「ゴメン、海馬。このまま挿れさせて」
「え………? あっ…ちょ…ちょっと待て…っ!! あぁっ…! ダ…ダメだっ…て…っ!! ひぁっ…! あぁぁっ!!」

 抵抗する海馬の身体を無理矢理押さえつけて、オレはガチガチに硬くなっている自分のペニスに用意してあったコンドームを被せる。そしてそれを思いっきり海馬の胎内にズプリと突っ込んだ。甘い果汁で溢れた膣内はいつにも増して熱くてビショビショで、途端に背筋を駆け上がった快感にブルリと身震いしてしまう。

「うっわ…。気持ち…いい…っ」
「くぁ…っ! や…やめ…っ! 抜いて…っ!」
「ヤダね。こんなに気持ちいいのに…」
「お…奥に…来過ぎてて…っ」
「奥? いつもと変わらない長さだと思うけど…」
「こ…この…馬鹿が…っ!! 葡萄の事だ…っ! いい加減にしろ…っ! この…凡骨が…っ!!」
「へ? あぁ葡萄か。大丈夫。後で何とかしてやるから」
「ふぁ…! あっ…! も…もう…やめ…っ!! んあぁぁっ!!」

 とりあえず文句ばかり言う口を黙らせる度に、激しく腰を打ち付けてやった。ついでに身体を押し倒して、憎らしい事ばかり言う可愛い唇を塞いでやる。

「んっ…! んふっ…!! ん…んんっ!!」

 興奮と快感で発熱して熱くなっている口中を舐め回すと、海馬もそれに応えて自ら舌を絡めてくれた。そのままお互いにきつく抱き締め合いながら、夢中で海馬の胎内を抉る。

「んっ…! あぁっ…! いやぁ…っ! じょ…ぅ…ちぃ…っ!!」
「くっ…う…っ。ヤベー…。気持ち良過ぎ…て…保たない…っ!」
「あぁん!! も…もう…イク…ッ! イッちゃう…っ!!」
「海馬…っ! オレ…も…もう…っ!!」
「あっ…! ふあぁぁっ!! くっ…あぁぁぁ――――――――――っ!!」
「っ…! 海…馬…っ!!」

 二人してビクビク震えながら、共に達してしまう。オレも大量の精液をゴムの中に放出して、深く息を吐き出しながら海馬の身体に覆い被さった。身体全体が心地良いだるさで満たされている。海馬も肩で息をしながら、真っ赤な顔でぐったりしていた。
 ガクガクする腰に何とか鞭打って、ズルリと海馬の胎内からペニスを引き出す。すると一緒になって半分潰れた葡萄の実が引き摺られて出て来た。

「お、一個出て来た」

 何気なくそう口にしたら、真っ赤な顔を更に赤く染めながら海馬が潤んだ瞳で睨み付けて来た。

「凡骨…っ! 貴様ぁ…っ!! オレがあんだけ嫌だと言ったのに…っ!!」
「ゴメンゴメン。ちゃんと取ってあげるから、そのまま足開いて大人しくしてて」

 泣きながら怒る海馬を何とか宥めて、再びそこに顔を近付ける。行為の直後で充血して真っ赤になっているそこを両手で広げて見ると、すぐそこに二個目の葡萄があるのが見えた。そっと指を一本突っ込んで、その粒を掻き出す。
 グチュリ…という音が酷く卑猥だと感じた。

「んぅっ…!」
「あ、感じちゃった? もう一回やる?」
「ふ…巫山戯るなぁー!! 貴様…真面目にやれ!!」
「悪かったよ…。ちゃんとやるからそんなに怒んないで」

 ちぇ、残念…とは思ったけど、そんな事を今口に出そうものなら、次の瞬間には絶対殺されてしまうと思うので黙っておく。
 とりあえず最後の一つを何とかしようとそこを覗き込むと、奥の方に三つ目の葡萄があるのが目に見えた。けれど困った事に随分奥に入り込んでいて、指が届きそうにない。そりゃそうだ。ペニスで奥の方まで押し込んじゃったんだもんなぁ…。

「ゴメン。何か奥の方に入り込んじゃって、指じゃ届かなさそう」
「な…何っ!?」

 困ったように謝ったら、途端に海馬がサーッと青い顔になった。

「あぁ、大丈夫。取れないって意味じゃ無いから安心して」
「大丈夫って…。一体どうするつもりだ」
「ん? 吸い出せばいいだろ?」
「は………?」

 頭の上にクエスチョンマークを浮かべている海馬にニッコリと笑いかけて、オレは膣の入り口に唇を押し付けた。そしてそのまま強く吸い上げる。

「っ………!! ひっ…!!」

 その途端に海馬の身体がビクビクッと反応したけど、オレはそのまま吸い上げ続けた。ジュルルルッ…という酷く厭らしい音が辺りに響いて、葡萄の果汁で甘くなった愛液がたっぷり口中に溜まって来る。オレはそれをゴクリと喉を鳴らしながら飲み込んで、更に舌を突っ込んでそこを強く吸ってやった。

「あっ…! いや…や…っ!」

 海馬がイヤイヤしながらオレの髪に指を絡めて来るけど、全然本気じゃないのは分かっている。ていうかオレに葡萄を取って貰わないと困るのは海馬の方だしなぁ…。
 何度かに分けて強く吸っていたら、やがて舌先に葡萄の実が当ったのを感じた。それをそのまま吸い上げて、最後は自分の口の中に収めて、オレはその場から離れる。涙で濡れる瞳でオレを見上げている海馬の前で、口の中の葡萄の実を租借してやったら、途端に耳まで真っ赤にしてくしゃりと表情を歪めてしまった。

「あ…もう…っ。馬鹿ぁ…!!」

 ボロボロと激しく泣き出した海馬の頭をよしよしと撫でながら、オレは甘い葡萄の実をゴクリと飲み込む。そして細い身体を抱き締めて、耳元で「でも、甘くて美味かったぜ?」と囁いてやった。
 途端に激しい罵声と共にグーで殴られたけど、オレは後悔していない。
 甘くて美味かったのは本当だし、セックスも最高に気持ち良かったしな!


 それにしても…。
 食べ物を粗末にするなって言ったのは海馬本人だろう? 何でそこであんなに怒ったのか…意味分かんねーな。

寒くなってきましたね~(´・∀・`)

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既に冷え性が発症している二礼です、こんばんは。

最近めっきり寒くなっちゃいましたねぇ…。
ついこの間までは普通に薄着で過ごせたのに、今じゃ上着は必須です。
手とか足の指先が既にヒンヤリ冷たいので、これからやってくる冬に憂鬱な気分でいます…w
それにしても…一年って早いですねぇ…。
去年の今頃は海馬オンリーで購入した同人誌や、新しく出会った城海サイト等を眺めつつウハウハしていた時期でした。
多分この同人誌や出会ったサイトから刺激を頂いて、11月の半ばくらいに「自分でもサイトを作ろう」と決意したんだと思います。
思います…と書いたのは、それが定かでは無いからですw
でも12月入った時点では既に『勇気の証明』の執筆を初めていましたし、海馬オンリーが終わった直後くらいに相棒や友人に「そんなに社長が好きなら自分でサイト作ればいいじゃない」というアドバイスも貰っていたので、多分この時期なんだろう…と(´∀`)
懐かしいなぁ…。もう一年経つのかw
時が経つのって本当に早いです!


瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯2』がUPされました。
風呂場でイチャイチャ、マジでテラカワユス!!(*´д`*)ハァハァハァ
しかも海馬ったらおじさんにモテモテw
それに気付いているのが城之内の方で、海馬本人じゃ無いってのがまた萌えポイントですね!!
でも確かに同じ男でも、あんな綺麗な男が風呂場に入って来たら目が行っちゃいますよね?w
同じ女でも物凄くスタイルの良い人が入ってきたら目が行っちゃうのと同じ事なのかしら?(違うと思う…)

あと散さんとこの日記読んで、吹き出しましたwww
何だよw あのSげみってのはwww
伏せてないよ! 散さん、全然伏せってないよ!!
一瞬『i』を打ち損じたのかと思ったじゃないのwww
うん、まぁ…実は同年代なんですよ(´∀`)
だから昔のアニメや漫画やゲームの事に関しては、凄く話が合うんです。
虎王可愛いよ虎王!!(>_<)(私も虎王好きでしたw)
でも今の若い方もワタルを知っていたなんて驚きです。
本当にいい作品なんで、ワタルを知らない方はコレを期にご覧になっては如何でしょうか?(*'-')


それと散さんとの瀬人誕企画をやっている間は、基本的にはあちらでの更新のみにしようと考えています…と以前の日記でも書きましたが…。
でもまぁ、時間があったらこちらでの更新もしようと思っているんですよねー。(これも書いたと思います)
今日少し時間があったので、久しぶりににょた海馬のエロなんてものを書いてみました。
(百合城海じゃなくて、『真実の証明』ベースの城之内(♂)×海馬(♀)の方です)
まだ書き上がってないのですが、金曜日にはUP出来るかと思います。
そうそう、それとですね。
金曜日は個人的に飲み会があるので、多分いつもより早い時間でのUPになりそうです。
多分夕方17時くらいには上げちゃうかもしれません。
たまには早く更新したっていいよね~w


以下は拍手のお返事でございまっす!


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)

日記の感想をどうもありがとうございました~!
茨道はですね…。
私はどうやら昔からマイナーCPにハマりやすい体質のようなんです…w
キャラ単体でなら人気のあるキャラクターにハマる事はよくありましたが、CPとなるとまた話は別でして…(´∀`;
例えば今回書いた黄緑の場合。
黄瀬や緑間は単体では凄く人気があるんです。CP萌えも結構沢山ありますしね。
ただこの二人をくっつけるという選択肢がまず少なくて(苦笑)、しかも黄瀬より身体の大きい緑間の方が右側ってなるとまた少なくなる訳なんですw
城海にハマった時も同じような感じで、海馬と城之内という組み合わせなら、あきらかに海城の方が多い事を知って愕然としたりとか…w
あとは珍しくメインCPにハマっても、個人の性格や状況から殺伐とした雰囲気のところしか無かったり…;
(前ジャンルがコレだったんですよ。当時から甘々好きだった私はその状況に愕然としまして、誰もやらないんなら自分がやってやろうと一人で甘々CPでやってたんです(´―`) お陰で随分沢山のリピーターが付いてくれましたが…w)
私のオタク人生、こんなんばっかりですw
でもまぁ…お陰で色んな素敵な出会いがあったりしてますけどね(*´∀`*)
マイナーにはマイナーの良さがあるって事で、今は納得していますw

それと、自分で書いた文章って、やっぱり誤字脱字は見付けにくいですよね?
多分書いている内に脳内補完しちゃってるからだと思うんですけど。
そういう場合は少し時間を置いてから見直すといいらしいんですけど、すぐにUPしなくちゃいけない時は、そんな事言ってられませんもんねぇ…w
難しいところですw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

祭りが終わってもーた...

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祭りの後は寂しくなっちゃうよね病の二礼です、こんばんは。

社長誕の本番が終わってしまったので、ちょっと脱力気味です…w
祭りの後ってどうしてこう力が抜けるというか…やる気が無くなっちゃうんでしょうね?
エロ神様は相変わらず居座ってらっしゃいますが、今日は指が全く動かなくて参りました…;
小説とかプロットとか書きたかったのになぁ。
でもまぁ…今週はゆっくり出来そうなので、焦らずやる気が戻って来るのを待つ事にします。
社長の誕生日は過ぎちゃいましたが、瀬人誕企画の方はこれからが本番ですものねw

あ…っと。今気が付いた…。
ウチの社長誕企画の『社長と執事の奮闘録』の方、*マーク付けるの忘れちゃってるね…w
………。
……。
…。
ま、いっか(´―`)


という訳で(どういう訳だ)、たまには遊戯王以外のお話でもちょいちょいと…。
ネタが分からない人の為に反転させますので、興味のある方だけ読んで下さい。

二礼は毎週ジャンプを購読しているのですが、その中でも最近『黒/子/の/バ/ス/ケ』という作品がお気に入りなのは以前の日記でも書いたと思います。
(最近は人気も出て来て順位も落ち着いてきた様子。良かったぁ~(*´д`*))
その中でも元キセキの世代であり現ライバル校のエースでもある緑間君が、今一番のお気に入りなんですよ~! …という所までは既に日記で書きました…が。
最近緑間君単品だけじゃなく、ついにCP萌えが始まったようです。
でもね…。CP萌えするのはいいんだけどさー…。
どうやらまた茨道のようですよ?www
ただでさえデカイ緑間君を受けにするってだけでも(例え下睫がビシビシに長かろうが!)無理があるってーのに、その相手役に選んだヤツにまた無理があった…;
いや、ね。緑間君受けは結構あるんです。
サーチサイトで検索してみてビックリしましたもん。こんなにあるんだってw
問題なのは相手の方なんですよ。
そう…。緑間受けの場合、殆どの相手は高尾君でした…orz
よく考えてみれば当たり前なのよね~。
だって現チームでの女房役(という名の攻め)なんだからさ。
でもね。でもねー!!
私が求めているのは高尾君じゃないの!!

黄 瀬 君 な の !!

黄緑!! 黄緑最高!! 黄緑が見たい!! 黄緑が読みたい!!
例え今は違う高校に行っていようと、ライバルチームのエース同士だろうと、私が求めているのは黄緑なの!!
捜してみたらメインでやっていらっしゃるところが一つだけありました…。
貴 女 が 神 か !?
本当に…ありがとうございます…っ!!
お気に入り?
そんなもの、初見で入れてあります!!

黄緑…増えないかなぁ…(´・ω・`)
私? 私はやりませんよ?
城海で手一杯ですwww


瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯1』がUPされました。
今週は散さんのターンなので、私もwktkしながら続きを楽しみにしている状況です。
ていうかもう初っ端から素敵過ぎて鼻血が出そうだわ…っ!!
た…体重計に載せられる社長…っ!! 何て可愛いの!!(*´д`*)ハァハァ
いやもうホント堪りませんよね…!!
想像すると滅茶苦茶可愛いw
何だかんだ言ってた割りに、数値が出るまで大人しくしてたのかyp!! みたいなw
この二人にはこれから温泉に浸かって貰いますが、その様も想像するだけで萌え萌えです…w
はぁ~んv 温泉っていいねぇ~(´∀`)



以下は拍手のお返事になります~(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(゜∀゜)

社長誕生企画の『社長と執事の奮闘録』と日記の感想をありがとうございます。
何て言うか…凄いですね!!
その手の雑誌か何かに載っている、エロゲのレビューみたいだと思いました…w
こんな風に書かれるとチョット…いやかなり照れますね…(´∀`;
せっかくの社長誕なので何か特別な事をやりたい! と思って本気でシナリオ作ってやってみたのですが、出来上がってみたらイマイチな結果でまさに残念賞ですw
でもRosebank様のコメントを読む限り、結構楽しんで読んでくれたみたいなので、一安心しております(*'-')
頑張った甲斐がありました~!
でも思った以上に大変だったので、もう暫くはこの手のスタイルはやりたくないですw

日記の方の感想もどうもでした~。
ていうか、良くあれだけの情報で私の前彼(笑)が分かりましたね~!!
そう、そうなんです! まさしく『彼』です!!
あの白いロングコートのビラビラ具合が、私の好みにドンピシャだったんですよね~w
前彼って言っても愛が冷めた訳ではなくて、勿論今でも愛しています。
ですが、今は社長で手一杯…というか社長への愛がとんでも無く増幅しちゃってるもんで…w
とりあえずこのまま社長一本でやっていこうと思っています。

あと、すてっぷえいとの文章の指摘もありがとうございました~。
本当だ。『残る』という表現が重複してますね。
早速直しておきました。
一応見直しは何回もやっているのですが、自分の文章ってなかなか間違いを見付けられないんですよね…。
他人の文章ならすぐに見付けられるのに。
不思議ですw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

社長~!! おめでとう~!!

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お祝いムードの二礼です、こんばんは。


社長!! お誕生日おめでとうございます~!!


(社長誕なので青で祝辞を…w)
いや、ホント嬉しいです(*´∀`*)
まさか二次元の人のお誕生日にこんだけ嬉しい気持ちになるとは思いませんでした…w
前ジャンルの好きキャラの誕生日(11/20)に体調を崩して会社でぶっ倒れたのは今となっては良い思い出ですが、社長誕にはそんな事にならずに済んでホッとしていますwww
ありがとう社長! ひいていた風邪も既に完治済みで、万全の体制でお祝いが出来ますよ!!
つー訳で今日はご馳走です!!…という訳にはいかなくて、昨日に引き続いて肉じゃがです…orz
ケーキだけ買ってこようかな…(´―`)
(30分後の追記)
買って来ましたw


社長誕当日に、瀬人誕2009企画にてAct2『愛の楽園でご接待♯3』をUPして貰いました。
温泉と言ったら…やっぱり『アレ』ですよねぇ?
もう『アレ』に関しては当初から「私やります!!」と言うくらい拘っていたので、しっかりと形に出来て凄く満足です(´∀`)
ていうか今考えたら、枕投げも『アレ』もそんなに変わらない気がする…w
滅茶苦茶本気でやってたしな!!w
まぁ…重要文化財の建物を壊す事をしなかっただけマシってヤツなのかしら…?


あと自分のところでは、Projectページに社長誕企画『社長と執事の奮闘録』をUPさせて頂きました。
最初の題名は『城之内君の執事奮闘録』だったのですが、よく考えたら奮闘しているのは城之内ではなくて 社 長 でした…w
という訳でこんな題名に落ち着いたのですが…。
もっとマシな題名は無かったのかと少々凹み気味ですw
でも、どれだけ考えてもまともなのが出て来ない(つーか、コレが一番まとも)ので、こんなんで失礼致しますね(´_ゝ`;
ちなみにエンディングは全部で6種類あって、多分どこに辿り着いてもラブラブな結果には変わりありません。
はてさて、皆さんは一番最初にどのエンディングにゴールなさるんでしょうね…(*'-')


以下は拍手のお返事になりますよ~(´∀`)


>10月24日21頃にコメントを下さった方へ

こんばんは、初めまして~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!(・∀・)

ウチの小説を読んで下さって、本当に嬉しいです~v
『Rising sun』はそれまで自分でやっていた物語とは少し毛色の違う物をやってみたくて書いた物語でした。
精神的に追い詰められていく城之内を書くのは非常に難しかったのですが、それ以上に慈悲深くて格好いい海馬を書くのが凄く楽しかった思いがあります(*'-')
ちょっとリバっぽい感じも出してみたかったので、そういう意味では自分でもとても思い出深い小説になりました。
個人的にもかなり気に入っているんですよね~w
その『Rising sun』を褒めて頂けて、物凄く感動しています!!
本当にありがとうございました~!!
これからも幸せな城海を目指して頑張っていきますので、お暇な時にでも目を通してやって下さいませ(*´∀`*)

それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ



>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(>_<)

瀬人誕企画とすてっぷえいと日記の感想をありがとうございます!
すてっぷえいとの初Hがご期待に添えたようで良かったです~w
実はですね、二礼は初Hシーンが少々苦手なんですよ…w
初めてという事は二人ともそれなりに気を遣うでしょうし、キスしてからフィニッシュを迎えるまで物凄く丁寧に事を運ぶと思うんですよね。
そういう優しくて丁寧なセックスは、読む分には私も大好物です! ていうかそういうエロが一番だと思っていますw
でも困った事に書き手に回るとそうも言っていられなくて…。
この丁寧さ具合が、なかなか書き進めない原因になったりするんですよね…w
これが普段からセックスしている二人だと、あんまり悩まずにエロシーンに持っていけるんですよ。
多少丁寧じゃ無かったり、するべき行程の一つや二つをすっ飛ばしたとしても、全く問題無く進められますからねーw
でも流石に初めてでそれはマズイ…とw
そういう訳で今回はじっくりと考えつつ、すってぷえいとを書かせて頂きました(´∀`)
お陰でRosebank様にも褒められるような内容になったようで、ホッと一安心していますv

あ、そうそう。
ウチの海馬が乳首責めに弱いのは、私のキャラクター設定に弱点として書かれているからですw
『小春日和』というサイトを開設する時に、自分なりにイメージを統一しようとキャラクター設定を纏めたメモを作っておいたんですよ。
基本的な性格とか、相手の事や他の人間の事をどう思っているのかとか、生活スタイルや行動パターン等をちょこちょこ書いただけのヤツですけどね。
何故それにそんな事を書いたのか今ではもう思い出せないのですが、メモにはしっかりと「乳首が弱点。攻められると抵抗出来なくなる」と書いてあるんですよwww
今思うと物凄くアホなコトしてました、私www
でもまぁ…設定は設定なので。それを有功に使ってエロシーンを書いているという訳なんです(*'-')
という事で、ウチの海馬さんは乳首が弱いんです(*´д`*)
(何となく『乳首=おっぱい』って事で、乳首って女の人の性感帯って感じしませんか? 女でも無いのにそんなところを弄られて○×▲ってのが、私の萌えポイントの一つのようですw)

あと瀬人誕企画の方の感想もどうもでした~!
今回、散さんと温泉企画の話をしだした時から、私はピンポンの真剣勝負が書きたくて仕方が無かったんです(´―`)
浴衣の袖を捲り上げて白い腕を晒しながらピンポンをする海馬は、想像するだけでエロイと思うんですよ~!!
脇の下とかチラチラ見えちゃうし、それを見ている城之内も堪らないでしょうね(*´д`*)
そんな訳で、今回あのピンポン勝負を書けて本当に満足したんですw
あー、楽しかった!!www

今日は海馬のお誕生日なので、私も色んなところで開催されているお祭りを楽しもうと思っています(*´∀`*)
海馬、お誕生日おめでとう!!

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

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企画

ここは企画で興した作品を収納するページになります。
個人的に何か特別な事をした時や、他の方とコラボをさせて頂いた作品なんかもこちらに収納します。

 




社長と執事の奮闘録

『小春日和』の2009年海馬誕生日企画でございます~!
エンディングは全部で6種類。どこに辿り着いても基本的にはラブラブですw

 



焦土の足跡


『REMS』の散さんとのコラボで、昭和臭のするパラレル城海になります~!
散さんの素敵なイラストに感化されてSSを書いたら、とんでもない事になりました…w
ちょっと全体的に暗い雰囲気ですので、苦手な方はご注意下さいませ。




2009年海馬誕生日記念合同企画部屋。完結致しました。

 
『REMS』の散さんとのコラボで、社長の御誕生日を祝ってみました~(´∀`)
ちょっと大人な城海の、素敵で味わい深い小旅行をお楽しみ下さいませ!
 


 


2010年エイプリルフール企画の偽合同サイトですw


『REMS』の散さんと私とで製作した、エイプリルフール用の偽サイトの跡地です(*'-')
たった一日の春の夢の為に、2ヶ月間頑張りました!(阿呆だ…w)
サイトは偽物ですが中にUPされている小説は本物ですので、時間のある時にでもお楽しみ下さいませ~。

 




*Birthday present(2010年瀬人誕小説)

2010年の海馬誕の企画小説です~!
分岐とかは一切無いただのラブラブエロ小説ですが、社長をお祝いする気持ちはたっぷり入っておりますw

執事11

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 鍵を開けろと大騒ぎしている声を、オレは敢えて無視を続けていた。
 オレの誕生日を祝おうという気持ちに免じて許してやろうと一瞬思ったが、やっぱりダメだと首を振る。これで少しでも同情して部屋の鍵を開けてみろ。雪崩込んだ城之内に何をされるか分かったものじゃない。
 ドンドンと強く叩かれるドアに背を預けて、オレは城之内が諦めてくれるのを辛抱強く待ち続ける。
 やがて…。気が付いたらドアの向こうが静かになっている事に気が付いた。ドアに耳を当てて向こう側を探ってみるが、何故か人の気配すらしない…。そっとドアを開けて廊下を見てみても、その向こうには誰もいなかった。ガランとした薄暗い廊下が長く延びているだけ…。

「城之内…?」

 一応名前を呼んでみても、オレの問い掛けに返ってくる声は無い。
 シンとした廊下に、オレは一気に背筋がゾワリと寒くなった。何だかとんでも無い事をしてしまったような気がする。
 城之内は…ただオレの誕生日を祝いたかっただけだった。オレの為に色んな事をする為に執事になり、ただオレを喜ばせようとしていただけだった。
 それなのにオレは意固地になって城之内を拒否して…、怒らせて帰らせてしまった…。

「や…やり過ぎた…のか…?」

 後悔しても後の祭りとはこの事で、どんなに必死に探っても城之内の気配は感じられない。
 流石のオレもこのままではいけないと思い始めて、とりあえず城之内に連絡を取ろうと部屋の中へ戻る。そしてデスクの上に置いてあった携帯を取り上げた時だった。

 ギィ…ィ…。

 非常に厭な音が背後から聞こえて来た。そして先程まであんなに必死になって捜していた気配が後ろから感じられる。気配だけでは無い…。何だか身震いするような怒りのオーラまでもが漂ってくるようだった…。
 私室のデスクの後ろにはバルコニーがある。そこに繋がる大きなガラス扉が勝手に開き、そこからヒンヤリとした風が室内に入り込んできていた。美しい刺繍が施されている遮光カーテンとレース地のカーテンが、冷たい風にバサバサと揺らめいている。
 視界の端に入るその影に、オレは恐る恐る振り返った。

「ひっ………!!」

 そこにいたのは城之内だった。
 どこをどう走ってきたのか、黒い燕尾服は泥だらけであちこちに枯れ葉まで付いている。更に窓の外に生えている木からここまで昇ってきたのだろう。実に酷い様相だった。

「かー…いー…ばー…」

 まるで地を這うような恐ろしい声に、オレは金縛りにあったかのように動けなくなる。そんなオレに城之内はニヤリと笑いかけると、ゆっくりと近付いてきてガチガチに固まったオレの肩を掴んだ。そしてそのまま無理矢理デスクに俯せの状態で押し付けられてしまう。

「やっ…! 止めろ…っ!! 何をする…っ!!」
「そうかそうか…。お前の考えは良く分かったよ。人の好意も素直に受け取れない頑固者には、少々手荒なおもてなしが必要だよな」

 身の危険を感じたオレが慌てて暴れ出しても、本気で押さえつけに来ている城之内はびくともしない。それどころか片手で器用にオレのベルトを抜き去ると、そのままスーツのズボンも下着ごと降ろされてしまった。

「いやっ…! 止めろ…城之内っ!!」
「止めません。お断りします」

 そう言って城之内はオレの下半身に手を伸ばしてきた。ひやりと濡れた指先が直接後孔に触れて、思わずビクリと身体を跳ねさせてしまう。

「ちょっと指先舐めただけだから、滑りが足りないかもな。まぁ…止めるつもりは無いから身体の力抜いてて」
「やっ…! やだぁ…!!」

 背後から攻められる事が怖くて、それ以上に本気で怒っている城之内が怖くて、オレは首を左右に振りながら何とか抵抗しようとした。それなのに身体の自由は全く効かず、無駄に暴れた為に開いてしまった足の間に城之内の身体を入れられて、余計に身動きが取れなくなる。
 そうこうしている内に体内に無理矢理指を差し込まれて、下半身から走った痛みに背を反り返らせた。

「あぅ…っ! 痛っ…!!」
「力抜いてろって言っただろ」
「やめ…っ! もう…嫌だ…っ! 城之内…っ!!」
「何言ってもダメだよ。もう絶対挿れてやるからな」
「っ…! ひぁ…っ!!」

 かなり乱暴にグリグリと体内を弄っていた指が早急に抜けていき、代わりに熱くて硬いペニスを押し付けられた。思わず「待て…っ!」と制止したが、それは止まる事無く奥深くへと入り込んでくる。

「うっ…あっ…! くあぁぁぁ………っ!!」

 余り慣らされていない体内に入ってきた楔に、オレの身体は悲鳴を上げた。セックスには慣れて居る為切れて血を流すような事はなかったが、それでも無理矢理こじ開けられた痛みに呻いてしまう。
 ズクズクと遠慮も無く体内を抉られて、痛くて苦しくて涙が出る。

「ひっ…うぅ…んっ! あぅっ…! ぐっ…っ…あぁっ!!」

 無意識だったのだろう。デスクの上に置いてあった書類を力一杯握りしめて、オレは泣きながら耐えていた。
 何故こんな事になったのだろう。今自分はどうしてこんな目に合っているのだろう。一体何が城之内に起きたのだろう。
 涙で潤んだ目を開けて、デスクの上に置いてあった電子卓上カレンダーに目を向けた。そこに記されていたのは十月二十五日。そう…オレの誕生日。

「あっ…! ふあぁ…っ!!」

 そうだ…。城之内は…オレの誕生日を祝いたかっただけだったのだ。プレゼントを贈る代わりに、オレの為に何かしたかっただけ…。それだけだったのだ…。
 それなのに…。それなのにオレはその想いを拒絶した。自分の事ばかりを考えて、城之内を傷付けた…。

「すま…な…い…っ」

 苦しげな息の下から小さく謝罪の言葉を吐く。半ば喘ぎながらだったからきちんと伝える事が出来なかった。
 だが…、それでも城之内には届いていたようで…。

「海馬…っ?」
「すまな…い…っ! 本当…は…、こんな事…するつもり…じゃ…無かった…っ!!」

 ひくひく震えながら何とか伝えると、いつの間にか動きを止めていた城之内に強く抱かれる。熱い腕が至極優しくて…安心した。

「海馬…っ。オレの方こそゴメン…っ。お前の誕生日なのに…オレ…こんな酷い事して…っ!」
「もう…いい…。オレも悪かった…」
「で…でも…っ!」
「しつこいぞ…っ! もう両方悪かった…で良いではないか!」
「それって…あいこって事?」
「あぁ。もうそれで良い」
「もうって…」
「それで良いと言っているだろうっ!? 大体貴様! 人の体内に入ったまま喋るな…っ!! 響いて…感じるではないか!!」
「えっ………!?」

 思わず漏れ出た本音に、言った自分が赤くなって俯いてしまった。
 背後の城之内は暫く固まっていたようだったが、やがてそろりとペニスを抜いて身体を離す。

「っ………!」

 ふいに解放されてガクリとその場で崩れ落ちると、城之内の力強い腕がオレを支えてくれた。そして軽々と抱き上げられて、寝室へと連れていかれてしまう。足で器用にドアを開き寝室内に入ると、そのままベッドに近寄って優しくシーツの上に落とされた。

「全く…。あんな事言ってくれちゃって…」

 呆然と見上げるオレに楽しそうに微笑みつつ、城之内はオレのスーツとYシャツのボタンに手を掛けて一つずつ外していく。締めたままだったネクタイも、首元に指を入れてシュッと解かれてしまった。

「あんな可愛い事言われたら、オレだってもう我慢出来なくなっちゃうんだけど?」

 何がもう我慢出来なくなる…だ!! 貴様が我慢出来なくなるのはいつもの事だろう!!
 嬉々としてオレの服を脱がす城之内に軽く溜息を吐きつつ、だがオレは抵抗しようとは思わなかった。
 それはオレの誕生日を祝おうとしてくれていた城之内を傷付けてしまった謝罪の意味もあるし、素直に城之内の行為を受け取れなかった自分に対する反省の意味もある。
 それに…、困った事にオレは城之内とのセックスが嫌いでは無いのだ…。
「もう色んな事やっちゃうよ?」という城之内に、オレは溜息と共にぶっきらぼうに答えてやった。少しくらい不機嫌そうにしていた方が城之内が燃えるのを知っていたから、わざとそっぽを向いて頬を膨らませる。
 お陰でその後散々な目に合ったが、まぁ…これはこれで構わないと思う。
 城之内がオレの誕生日を心から祝ってくれた事だけは…真実だからな。
 



END6『勝手にしろ…』

もう一度最初からやる?

執事10

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 ドアの前でオレが鍵を開けるか否か迷っていると、廊下側がいつの間にか静かになっている事に気付いた。でもドアの前には間違い無く城之内の気配が感じられていたので、オレは恐る恐る鍵を開けてドアを開いてみる事にする。
 ギィ…という音と共に重厚なドアを開けると、瞳を真っ赤にした城之内が立っているのが目に見えた。オレと目が合うとみるみる内に琥珀の瞳に涙が盛り上がってきて、やがて表面張力に耐えきれなくなったそれがボロボロと頬を零れ落ちる。
 ………。こ…これは…っ。オレはもしかして…、いやもしかしなくても…っ。

 城之内を泣かせてしまったのか…っ!?

 うっくえっくと嗚咽を漏らしながら涙を流し続ける城之内にこちらの方が呆気に取られてしまい、何だかとんでもない罪悪感に襲われてしまう。
 こんなところをメイドにでも見られたら事だと、オレは慌てて城之内の腕を掴み部屋の中へ強く引き込んだ。
 袖口で涙を拭いながらそれでも泣き続けている城之内は、オレの手に引かれ黙って部屋の中まで付いてくる。そして部屋の中央まで辿り着いて正面から見合った途端、強く抱き込まれてしまった。肩口に顔を埋められてえぐえぐと激しく泣かれてしまう。

「うっ…えっ…! か…海…馬…っ!! ぐすっ…!」
「泣くな…。馬鹿が」
「海馬…っ、ゴ…ゴメ…ッ!!」
「泣くなと言っているのに」
「そ…それでも…ゴメン…ッ! オレ…ハメ…外し…過ぎて…っ! お、お前に…嫌われた…かと…思…って…っ!!」
「嫌ってはいないぞ。呆れてはいるが」
「オ…オレは…ただ…っ。誕生日…だか…ら…っ。お前…に…喜んで…欲しくて…っ。お祝いが…したく…て…っ!」
「あぁ…。それは何となく理解したが…」
「ゴメン…っ! マジで…ゴメンな…っ! お前…が…こんなに…嫌が…る…なんて…っ。お…思わなくって…っ!」
「城之内…。もういいから、いい加減泣くのを止めろ」

 そっと身体を離して涙でグシャグシャになってしまった顔を正面から見据えた。頬も目も鼻の頭も真っ赤に染まって、涙と鼻水で顔中大変な事になってしまっている。
 本当にコイツは…と深く溜息を吐きながら、ポケットから取り出したハンカチで顔中を少々乱暴に拭ってやった。グイグイと結構力を入れて拭っているというのに、城之内は目をギュッと強く閉じて黙ってオレに全てを任せている。その様子が何だか小さな子供の様で、オレは知らず知らずの内に笑みを浮かべてしまっていた。

 本当に馬鹿な奴だが、それがまた愛おしいというか何というか…。
 どうしても憎めないのだから参ってしまう。

 クスリと微笑み、オレは塩辛い眦に唇を押し付けた。そして涙に濡れたそこをペロリと舐め上げる。
 その感触に城之内が瞳を開き、じっとオレの事を見詰めてきた。いつも明るい琥珀色の瞳がまだ涙で濡れている。

「海…馬…?」
「もう泣くな…。オレはもう怒ってはいない」
「本当…?」
「本当だ」
「でもオレ…。お前に迷惑をかけて…」
「別に迷惑だとは思っていない。ただちょっと…身の危険を感じただけ…というか…。いや、何でも無い」
「………?」
「とにかくもう泣くな。いい男が台無しだぞ」
「え………?」

 キョトンとした顔でオレを見ている城之内に苦笑して、オレは着ていたスーツに手を掛けた。上着を脱いで側のソファーの背に掛けて、ネクタイも指を差し入れて解いてしまう。そしてYシャツのボタンを自らいくつか外して城之内に向かい合った。
 呆然と突っ立ったままのその手を握って、優しく引き寄せて抱き締める。

「か、海馬…っ!?」
「仕方が無いな…。不器用で優しい恋人が用意してくれたプレゼントには、オレもお礼をしなければならん」
「えーと…。な…何…を…言って…?」
「執事だ何だという煩わしい三文芝居はもう終いだ。どうせならもっと分かり易い愛情表現をしろ」
「はい…?」
「オレの誕生日を祝ってくれるのだろう? だったらいつも通りのお前のやり方でオレを愛せばいい」
「………っ!!」

 腕の中でビクリと身体を震わせた城之内は、慌てたようにオレの顔を凝視していた。それにわざとニヤリと笑ってやって、ポカンと開いている唇に自分から口付ける。唇を啄むようにキスをしてチュッ…という音と共に離れると、次の瞬間には城之内が嬉しそうに満面の笑みを浮かべてくれた。
 全く…。こういうのを何て言うんだったか…。

 泣いた烏がもう笑った

 …だったかな…?
 何はともあれ幸せそうにオレに抱きつく城之内の背を抱き締めポンポンと叩いてやり、オレは小さな溜息を吐きつつ苦笑した。
 仕方が無い。自分でも理解出来ない程にコイツの事を愛してしまっているのだから。いくら常に冷静なオレだとて、愛した男に本気で泣かれるのは辛いのだ…。
「海馬…海馬…っ」とオレの名前を呼びながら嬉しそうに擦り寄る城之内の耳元に、オレは自らの本心を打ち明けた。この後はベッドの上で酷い事になるのだろうが、まぁ…構わないだろう。
 こんなに幸せな気持ちを恋人と分かち合えるのならば…な。
 



END5『愛しているぞ…』

もう一度最初からやる?

執事9

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 扉はドンドンと強く叩かれ、今にも無理矢理こじ開けられそうになっている。「海馬っ! 海馬…っ!!」とオレを呼ぶ城之内の声に軽く溜息を吐いて、オレは扉に近寄って声をかける事にした。

「落ち着け、城之内…」
「ちょ…っ! 何が落ち着けだ! あんな状態のお前見せられて、落ち着いてなんかいられねーよ!!」
「あぁ、分かっている。自分の身体がどんな状態かも、それを見て貴様がどう思ったのかもちゃんと…分かっている」
「だったら…っ!」
「城之内、後で行くから…」
「え………?」
「とりあえずシャワーを浴びてすっきりしたいのだ…。後で行くから向こうで待っててくれ」

 上がる息を抑えつつなるべく落ち着いた声でそう伝えたら、扉の向こうの城之内も大人しくなった。そして小さな溜息と共に返事が返ってくる。

「本当に…。後でこっち来るんだな?」
「あぁ」
「分かった。じゃ、大人しく待ってる…」

 諦めた様な声色の後に扉の前から城之内の気配が去っていって、オレは漸く一息つく事が出来た。
 城之内を欲しいという気持ちは変わっていない。多分シャワーを浴びて落ち着いても、結局は城之内を求めてしまうのだろう。
 けれどあんなに見境無く欲情した状態で、城之内を求める事だけは出来なかった。いや、別に求めても良かったのかもしれない。何だかんだ言ってもオレ達は恋人同士だからな。
 だが、それはオレのプライドが許さなかった。我を忘れて快楽に溺れるより、きちんと理性を保った状態で城之内と愛し合いたいと…オレは常々そう思っていたのだから。

「ふぅ………」

 シャワーのコックを捻り熱い湯を頭から浴びながら、オレは大きく息を吐き出す。
 風呂から上がったらちゃんと城之内に抱いて貰おうと、強く心の内で思っていた。


 風呂から上がりバスローブを着てリビングに戻ると、城之内はオレに言われた通りに大人しくその場で待っていた。ソファーの近くの絨毯の上で、何故か正座している。
 何もそんな格好で待っていなくてもいいのに…とオレは苦笑しながら、ヤツの側へと近付いていった。

「何故そんな格好で待っているのだ。普通に座っていればよかっただろう?」

 ソファーに深く腰を下ろして足を組みながらそう言うと、城之内は珍しく神妙な顔つきでオレの事を見上げて口を開いた。

「何か…ちょっと…色々と反省しまして…」
「反省?」
「お前の誕生日に何かしてやりたくって…。でもなんかはっちゃけ過ぎちゃったみたいで…。お前に余計な迷惑かけちゃったんじゃないかなって…そう思ってさ」
「貴様にしては殊勝な心構えだが、そこまで本気で大人しくされると、こちらとしても気持ちが悪いな」
「酷いなぁ…海馬」
「ふぅん…。まぁ…貴様にしては悪く無いアイデアだったぞ。マッサージも上手だったしな。という事で褒美をくれてやろう」
「褒美?」
「あぁ。主人の命令をきちんと聞いて大人しく待っていた下僕に対しての褒美だ」
「下僕じゃなくて執事なんだけど…」
「相手が貴様なら同じようなものじゃないか」
「うっ…! 本当に酷い…っ!!」
「まぁそう言うな、凡骨」

 話をしている内に何だか楽しくなってきてしまって、オレは組んでいた足をそろりと動かした。そして爪先でソファー下に座り込んでいる城之内の顎を持ち上げる。オレをじっと見詰めていた城之内がその途端にビクリと反応して、視線をオレの顔から足へと下げていくのが分かった。
 オレは今バスローブを着ているが、実は下着を着けていない。城之内の顎に足をかけ、くいっと上に持ち上げれば必然的にバスローブは捲れ上がり、ヤツの視線の先には…オレの足の付け根が丸見えになるだろう。
 案の定、見えた『何か』に城之内がゴクリと喉を鳴らしたのを、オレは爪先の振動で知った。

「褒美を…欲しくはないのか…? 凡骨」

 目に見えて城之内が欲情してきているのを感じて、オレ自身も興奮してしまう。シャワーを浴びて一旦落ち着いたものの、マッサージで火の付いた欲情はまだ消えてはいなかったのだ。
 自然に上がる息に唇はすっかり乾いてしまい、舌で舐めて濡らしていると、城之内がゆっくりと身動きをした。そして膝の上で丸めていた手を持ち上げてオレの足を支えると、そのままオレの爪先に唇を寄せる。親指の爪や足の甲に何度もチュッチュッと軽くキスをされ、そして熱い舌でねろりと足の指を舐められた。

「っ………!!」

 城之内の舌が足の指の間を這う度に、ゾクリとした快感が背筋を襲う。それでも深くソファーに座ったまま、特に抵抗することなく好きな様にやらせていたら、オレの足の指を口に含んだまま城之内が徐ろに視線を上げた。その目線が問い掛けるものに気付いて、オレは笑みを浮かべつつ肯定の意を表す言葉を吐いた。
 城之内…。セックスをしたいと思っているのは、何もお前だけでは無いのだぞ…。
 オレだって常日頃からお前の事が欲しいと…、そう思っているのだというメッセージを込めて…。
 



END4『好きにするが良い…』

もう一度最初からやる?

執事8

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 城之内の言葉に素直になって、オレは快感で震える手で浴室のドアの鍵を開けた。途端に乱暴に開かれたドアの向こうから、複雑な表情をした城之内が顔を覗かせる。
 オレを心配していながらも欲情を抑えきれないその顔は、もう真っ赤に染まっていた。

「海馬…。大丈夫か…?」

 素っ裸のオレの身体を見ながらゴクリと生唾を飲み込むつつ、城之内は低い声でそう尋ねてきた。自分も明らかに興奮してしまっている癖に、オレの肩に触れる掌は至極優しく感じる。ただ、やはり微かに震えてしまっているようだったが。
 城之内の質問には、オレは何とかコクリと頷く事で答えた。だが大丈夫では無いのは城之内にも分かっているのだろう。目線を下げて、すっかり形を変えているオレ自身をじっと見詰めていた。
 そして徐ろに手を伸ばし、先端からぷくりと溢れて一筋流れ出した透明な粘液を指先でつっと拭われる。

「っ………!!」
「可哀想に…。こんなになっちゃって…」
「はっ…、あ…ぁ…っ」
「今楽にしてあげるから。ちょっとそこに座って…」

 城之内に促されて浴槽の縁に腰掛けた。ガクガクと震える腰を支えてくれる城之内の掌の温度が、余計にオレの情欲を誘ってやまない。僅かに開かれた足の間に入り込んで、城之内は熱を持った掌でオレのペニスを握り込んだ。

「あっ…!!」

 途端に背筋に走った快感にビクリと反応すると、慌てて城之内がオレの背後に手を回して反った背を支えてくれた。

「あぶね…っ!! あんま後ろに反り返るな。ひっくり返るぞ」
「はぁ…っ! 城…之…内…っ!!」
「ちょっと前屈みになってくれる? オレの肩掴んでていいから。そうそう、そのまま大人しくしてて」

 城之内に言われたとおりに少し前に屈んで、奴の肩に両手を置いた。オレの体勢が変わったのを確認して、城之内は握り込んでいたオレのペニスに顔を寄せる。そしてそのまま熱い口内の奥深くまで含まれてしまった。
 ぬるりとした感触に包まれて、一気に頭の中が白く染まっていく。

「あっ…んっ!」

 耐えきれずに城之内の肩を強く握りしめたが、城之内は全く気にもせずにオレのペニスにゆるりと舌を這わせていた。身体をビクビク震わせて快感に耐えていたら、一旦口を離した城之内に「気持ちいい?」と聞かれ、その声に必死になって首を縦に振る。
 余りの快感に、もうどうにかなってしまいそうだった。

「あ…はっ…! あぁっ…!」
「お? もうイキそう?」
「うっ…ふぅ…っ! も…っ…ダメ…っ!」
「うん、オッケー。飲んでやるからこのまま出しちゃいな」
「ふぁっ…!! あ…んっ…! いっ…あっ…!! あぁぁっ…!!」

 オレの限界を見極めた城之内がペニスの根本を強く擦り、先端を甘噛みする。その刺激でオレはあっという間に達してしまい、城之内の口の中に欲望を全て放ってしまった。
 城之内は一瞬眉を顰めたものの、瞳を細めて口内の精液を喉を鳴らして飲み込んでしまう。ゴクリ…という音が、妙に生々しく浴室の中に響いた。
 その音で改めて恥ずかしくなってしまい、オレは顔を赤くして俯いてしまう。けれど城之内は優しく微笑みながらオレの顔を覗き込んできた。弧を描く口の端に白い液体が零れて付いているのを見て、居たたまれなくて仕様が無い。

「っ…と。随分と濃かったなぁ。暫くしてなかったし、もしかして溜まってた?」
「そ…そんな事を…聞くな…っ!!」
「あはは、照れてやんの。こんなん、いつもしてる事だろう?」
「それは…っ。そう…だ…が…」
「でもこれでちょっとマシになったかな。気持ち良かっただろ?」

 ニコニコしながらオレを見詰める城之内に、オレはまたドクリと心臓が高鳴るのを感じていた。
 確かに城之内の言う通り、大分『マシ』にはなった。でも、だからと言って決して満足している訳では無い。むしろ中途半端に触られたせいで、オレの欲情は先程より明らかに燃えてしまっていた。
 未だに唇の端にオレの精液を付けたままの城之内をじっと見詰め、そしてオレは自らの欲求にしたがって顔を近付けた。
 自らが放った白い液体をペロリと舐め取り、城之内の首に強く抱きつく。そして熱い吐息と共に囁いてやった。
 オレの言葉に城之内は一瞬驚いたように目を瞠って、だが次の瞬間、ニヤリと厭らしく笑ってみせる。そして「ご主人様のご要望のままに…」と低い声で答えてくれた。
 再びオレの身体に伸ばされる熱い掌に、高鳴る期待を隠しもせずに、オレは全てを任せる事にした。
 



END3『足りない。もっと欲しい…』

もう一度最初からやる?

執事7

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 すっかりしょぼくれた城之内の側に、オレは苛立たしげに近寄っていった。そしてダラリと下がったその腕を取って、そのまま廊下に繋がる扉へと引き摺っていく。

「か、海馬…っ!?」

 慌てたように抵抗してくるその身体を廊下に押し出して、オレは勢いよく扉を閉めた。そしてそのまま鍵をかけてしまう。
 勿論そのまま城之内が本気で諦めるとは思っていない。案の定、廊下側から拳で激しく扉を叩き始めた。

「海馬…っ!! え…? ちょっと…っ!! ここ開けろよ!!」
「断わる!! 貴様を部屋に置いていたら一体何されるか分からん!!」
「別に変な事しようとしてる訳じゃないって言ったじゃんか!!」
「信用出来ん!!」
「そんな事言わずに信用してよ…っ!! オレ、お前の誕生日に何かしてあげたくて…っ!! ただお前の役に立ちたかっただけなんだ…!!」

 最初はただの怒鳴り声だった城之内の声も、段々と悲痛な叫びへと変わっていく。
 どうやらオレの為に何かをしたいという気持ちは本物らしい。
 でもだからといって簡単に城之内を部屋に入れてしまうと、何だかとても酷い事になるような気がしてならないのだ。いつもがいつもだから、オレのこの予想はほぼ100%の確率で当るだろう。
 更に言えば今日はオレの誕生日。一年に一度しかない誕生日に、そんな酷い目には合いたくなかった。
 だけれども…。

「海馬…っ!! 頼むよ…っ!! 開けてくれ…っ!!」

 扉の向こうから響いてくる必死な声に、オレの心は確実に揺さぶられていた。
 そうだ。オレだって城之内の事を愛しているのだ。心から愛している男を好き好んで悲しませたくは無い。ましてや城之内はオレの為を考えて色々な事をしようと考えていたのだ。その気持ちに嘘は無く、城之内なりの優しさを感じる事が出来る。

 ここはやはり…城之内を許すべきなのだろうか?
 



A・許して扉を開けてあげる

B・嫌な予感がするからやっぱり開けない

執事6

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 完全に俯いて落ち込んでいる城之内にオレは軽く溜息を吐くと、仕方無いと言った感じで声をかける事にした。
 やれやれ…。本当はこういうのは本意では無いが、少なくても愛していると思っている男を本気で悲しませる程、オレは外道では無いのだ。

「分かった…。では何かして貰おう」

 オレの言葉に城之内がパッと顔を上げる。その顔に浮かんだ鮮やかな笑みに、こちらはつい苦笑してしまった。
 本当に分かり易いというか何というか…。そういうところが憎めないんだと思う。

「ただしマッサージは無しだ。やるなら何か別の事だな」
「うん。何でもやるよ。オレは今日はお前専属の執事なんだから。何でも言ってくれよな」
「そうだな…。では熱い珈琲でも煎れて貰おうか。そのくらいなら貴様でも出来るだろう?」
「オッケー! 任せとけって」

 心底嬉しそうな顔で返事をした城之内は、そのまま部屋に置いてあるコーヒーサーバーの前まで意気揚々と歩いていった。燕尾服の上着を脱ぎ袖を捲り上げて、下手な鼻歌を歌いながら楽しそうに珈琲を煎れる準備を始める。
 珈琲好きなオレの為に常に部屋に置いてあるコーヒーサーバーは、城之内も何度か使った事があるので使い方は熟知していた。
 棚から珈琲豆を取り出してきちんと秤で量って、手引きのミルでガリガリとグラインドし始めた。次にお湯で暖めた器具に紙フィルターをセットし、そこに挽いた豆を煎れて器具を軽く叩き平らにならす。沸騰したお湯を珈琲用の先が細い薬缶に入れ替えて、少量のお湯を注ぎ入れて蒸らし始めた。挽いた豆がむっくりと膨らんでくるのを見て、様子を見ながら弧を描くようにお湯を継ぎ足していく。ある程度注ぎ入れたら器具を外して、サーバーに溜まった珈琲をお湯で温めておいたカップに注ぎ、それを盆に載せて持って来た。

「おまたせ」

 にこやかな笑顔で持って来た珈琲を、城之内はテーブルの上に丁寧に置いた。辺りに芳ばしい珈琲の香りが漂う。
 城之内の一連の動作をソファーに座って見ていたオレは、手際の良さに思わず感心してしまっていた。
 最初の頃は「珈琲なんてインスタントでいいんだよ!」なんて言っていた城之内だったが、一度オレが本格的に煎れてやった珈琲を飲ませてみたところ、そんな暴言は二度と吐かなくなった。そのかわり器具の使い方を教えろとしつこく詰め寄るようになり、気が付いたらプロ並みに珈琲を煎れられるようになっていたのだ。
 テーブルに置かれた珈琲をソーサーごと持ち上げて、カップの取っ手に手を掛けた。一口飲もうとカップを持ち上げたところで、目の前に突っ立っていた城之内と目が合ってしまう。
 妙に期待に満ちた目を爛々と光らせているのを見て、意図せず緊張してしまった。そのせいで加減が出来ずに、まだ熱い珈琲を思いっきり啜ってしまう。

「あつっ………!」

 途端に舌に感じた熱さに、急いでカップをテーブルに戻した。
 口元に手を当てているオレに、城之内が慌てて近寄って来る。

「海馬…っ? どうした!?」
「だ、大丈夫だ。ちょっと…火傷した」
「うわ…大丈夫かよ。ちょっと舌見せてみな?」

 城之内の言葉にオレは素直に舌を出してみせた。ヒリヒリと痛む舌先が、冷たい空気に触れて気持ち良く感じる。
 出された舌をじっと見ていた城之内は、顎に手を当てて「うーん…」と唸っていた。

「先っぽちょっと赤くなってるな…。でも別に大した事なさそうだ。痛い?」
「いや…、特には」
「でも一応消毒しておこっか」
「え…?」

 気が付いたら城之内の顔が近くに寄ってきていて…そのままキスをされる。少し開いていた口の中に城之内の熱い舌が入ってきて、未だにヒリヒリと痛みを訴えるオレの舌先をねろりと舐め取った。

「んっ………!」

 火傷をしているせいなのか、いつも以上に過敏に感じる快感に、思わず城之内が着ている燕尾服のベストを強く握りしめた。城之内もオレが感じている事に気付いているようで、そのまま深く唇を合わせたまま舌で口内を蹂躙し続ける。

「ふっ…ん! んんっ…!!」

 どのくらいキスを続けていたのだろう。随分長い事舌を絡ませていたオレ達は、互いに息苦しくなって顔を引き離した。てろりとお互いの舌先から唾液の糸が零れ落ちて、その間を細い糸が繋いでいる。
 それを指先で拭いながら上がった息を整えているオレに、城之内は至極男臭い顔をして笑って言った。

「どうしよう、海馬。オレ…今もの凄くヤリたくなってきちゃった」
「………。ふぅ…」
「何でそんな呆れたような顔してんの」
「ような…では無い。呆れているのだ。どうせこうなるんだろうなとは思っていた」
「うっ…! ゴ…ゴメン…」
「まぁ構わん。好きにすれば良い」
「え? マジで!?」
「あぁ。あ、でもまだ珈琲を飲んでいなかったな…」
「そんなもん! オレがまた後で煎れてやるよ!!」

 慌てたようにオレを抱き寄せた城之内は、耳元で小さく言葉を紡ぐ。その台詞に余裕が全く感じられなくて、オレはついつい笑ってしまった。
 本当に…何というか…。憎めないとはこういう事なのだな。
 



END2『珈琲はまた後で…』

もう一度最初からやる?

執事5

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 城之内の熱を持った掌がオレの身体に触れる度に、体内の熱はどんどんと増していく。首筋や額からもポタポタと汗が流れ落ち、身体は快感を求めて震えだした。
 オレはもう…我慢するのは限界だった。

「城之内…っ!!」
「うわ…っ!」

 丁度首筋を揉んでいた手を掴んで、オレは思いっきり城之内の身体を引っ張り込んだ。毛足の長い絨毯の上に仰向けに転がった城之内の上に乗りかかるように、オレもソファーの上から転がり落ちる。そしてなるべく身体を密着させるようにして、城之内をギュッと抱き込んだ。

「な、何…!?」
「城之内…っ! オレは…もう…っ!!」
「え…? あ、お前…。もしかして…」

 城之内の太股に自分の欲望を擦り付けるように腰を動かしたら、それで気付いた城之内がゴクリと生唾を飲み込んだ。
 期待に満ちた目で城之内の顔を見詰めると、オレの視線に気付いた城之内も同じような目をして視線を返してくる。そして上に乗りかかるオレの身体を抱えていた腕が、そろりと下部に移動し始めた。
 背中から腰に移動し、辿り着いた臀部を優しく揉まれる。

「んっ…!」

 ズクンと腰が重くなるのを感じて少し身体を浮かせたら、それを見計らってもう一方の手がオレの下腹部へと伸びていった。そして服の上から勃起したペニスをグリグリと刺激される。

「あっ…!」
「凄いな…。何でこんなになっちまってるんだよ」
「何で…なんて…っ。そんな事一々聞くな…っ!!」
「あ、ゴメン。野暮だったか」
「あ…ぁ…っ。うっ…!」
「気持ち良さそうだな。直接触って欲しい?」

 その言葉にコクコクと頷くと、城之内は両手でオレのベルトを外してスラックスから抜き去った。そしてボタンを外しファスナーを降ろして、その隙間から手を差し入れられる。下着をずらされるとすっかり硬くなった自分のペニスがプルンと弾け出てきて、余りの恥ずかしさに死にたくなった。

「おー! 凄い。元気一杯じゃん」
「やっ…! 変な…こ…と…言うな…っ!」
「あはは。ゴメンゴメン。んじゃ一発抜いておきましょうかね」
「うぁ…っ!」

 城之内の右手がオレのペニスを掴んで、優しく上下に擦りだした。左手は再び背後に回り、オレの臀部を揉みしだく。
 仰向けに寝転がっている城之内の上に四つん這いで覆い被さるようにしている為、視界はいつもとは逆だった。いつもは見上げている城之内の顔が今は真下にあって、欲情に濡れた瞳でオレを見上げている。
 その見慣れぬ光景に…オレは至極興奮してしまった。

「あっ…あっ…あっ…! ふあぁぁっ………!!」

 腰をガクガクと震わせながら、オレはあっという間に達してしまう。城之内が着ている黒い燕尾服のベストの上に白い欲望が飛び散るのを、どこか夢見心地の気分で眺めていた。

「はっ…あ…っ」

 全ての欲を出し切って脱力してしまい、そのままガクリと崩れ落ちたオレの身体を受け止めて、城之内が耳元でクスリと笑った。そして耳元に熱く唇を押し付けられ、酷く低い声で囁かれる。

「で…? 続きはどこでする? 海馬」

 今達したばかりだというのに再びズクリと重くなる腰に、オレは思わず苦笑した。
 あぁ…けれど、今のオレにはその言葉を無視する事なんて出来はしない。
 だからオレも同じように、低く濡れた声で城之内の耳元に囁いた。
 これからたっぷり可愛がって貰う為に…。
 



END1『ベッドへ…』

もう一度最初からやる?

執事4

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 何とか我慢して城之内のマッサージを受けていたが、身体はどんどん熱くなり、下半身も明らかに変化を見せるようになってしまった。
 城之内のマッサージは相変わらず普通に続けられていて、性的な接触は一切無い。だが、それがまた無駄に欲情を誘って、オレは完全にリラックスなど出来る状態ではなくなってしまう。
 せめて声だけは出さないように下唇を強く噛みながら身体を硬くしていたら、背後の城之内に「海馬…?」と声をかけられた。
 どうやらオレの様子がおかしいのに気付いたらしい。その声は酷く心配そうだった。

「どうした? 何か汗びっしょりになってるぞ…?」
「っ…! な、何でも無い…っ」
「でもお前、顔も真っ赤になってるし…。具合悪いんじゃないの?」
「いいから…っ。変な心配をするな…っ!!」
「ゴメン! オレがきっと無理させたから…っ!」
「違う!」

 もうこれ以上城之内に触れられているのが辛くて、何も考えずにその場で勢いよく起き上がった。
 背後にいた城之内を押しのけるように突き飛ばして、オレはソファーの上で座り込んで自らの身体を強く抱き締めた。身体の内側から「もっと城之内に触れて欲しい」という欲求が聞こえてくるような気がする。首を左右に振ってその欲求を何とか退けようとしていると、突き飛ばされて絨毯の上に尻餅を付いていた城之内が、目を丸くしてオレの事を見ていた。
 どうやら…、漸くオレがどういう状態に陥っているのか理解したらしい。

「海馬…。お前…」

 城之内が何かを言おうと口を動かしたのを見て、オレは慌てて立ち上がった。そしてそのまま浴室へと向かい、勢いよくドアを閉め鍵をかけてしまう。
 好きでこんな状態になっている訳じゃないのに、その事を城之内に揶揄される事だけは嫌だった。

 大体オレの身体がこんな風になってしまうのは、オレのせいではない! 城之内が…、城之内がそう作り上げたのでは無いか!!

 苛立つ気持ちと欲情する身体を鎮める為に、オレはシャワーを浴びようとその場で服を脱ぎだした。それと同時に浴室に繋がるドアが勢いよくノックされる。そこにいるのが誰かなんて考えるまでも無い。案の定、ドアの向こうから城之内の叫びが聞こえてきた。

「か…海馬! ちょっとここ開けて…っ! 顔見せて…っ! ていうか、そのままじゃお前が辛いだけだし…って、オレは何を言っているんだ!! もういいから!! ここ開けろよ!!」

 派手にノックされる扉を見詰めながら、オレは深く溜息を吐いた。自分の口から出たその吐息は熱くて、確かに自分一人だけでは辛いだけかもしれないが…。
 どうすれば良いというのだろうか…?
 



A・扉の鍵を開けて城之内を迎え入れる

B・とりあえず部屋で待っているように告げる

執事3

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 肩に置かれた手が無遠慮に動くのに、オレは慌ててソファーから立ち上がって城之内と距離を置いた。
 マッサージなど飛んでも無い! そんな事を好き勝手にやらせていたら、いずれ襲われるのが目に見えている!

「やめろ! オレに触るな!!」

 極力嫌そうに睨み付けながらそう言ったら、城之内は酷く悲しそうな顔をしてオレを見返した。オレに伸ばしかけた手は空中で固まり、眉は下がってその下の目は泳ぎ、何かを言いかけた口もポカンと中途半端に開けたままになっている。
 その顔は何かに似ていた…。
 そう…叱られた犬の表情そのものだ。
 城之内に耳と尻尾が付いていたら、そのどちらもシュンと垂れ下がってしまっているだろう。
 というか…。

 そんな顔をするんじゃない!! そんな何かを訴えかけるるような悲しげな瞳でオレの事を見つめるな!!

 何故か自分が悪い事をしたような気分になって、オレは無意識に小さく舌打ちをした。その舌打ちは城之内の耳にもしっかり届いたらしく、奴は更にしょぼくれた顔をしながらがっくりと項垂れる。

「別に…オレ…。お前に何かしようって思ってた訳じゃねーんだけどな…。いや、何かはしたいとは思ってたけど、そういう事じゃ無くて…。お前が今警戒してるような事をするつもりなんか全然無かったのに…」

 すっかり落ち込んだ城之内は大きな溜息を吐いて、小さな声でオレにそう告げてきた。表情はくしゃりと歪んで、まるで泣く一歩手前の表情になっている。むしろ今にも泣きそうになっている。
 そんな城之内の姿を見て、オレは改めて考えてみる事にした。
 城之内を無駄に甘やかすのは趣味では無いが、本気で泣かれるのもまた困る。

 やれやれ…。一体どうするべきか?
 



A・マッサージは嫌なので代わりに他の事をして貰う

B・いや、やはり甘やかしてはいけない!

執事2

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 真剣な城之内の瞳に情欲の色は全く見えなくて、オレは諦めたように嘆息した。

「わかった…。では少しやって貰おう」

 そう告げると心底嬉しそうな顔をして城之内が笑う。こういう瞬間が本当に犬みたいに見えて、オレは思わず吹き出してしまった。クスクス笑っていると、城之内が背後から覗き込んでくる?

「何? 何で笑ってるの?」
「別に…何も」

 一瞬訝しげな顔をしたものの、城之内はそれ以上何も言わず、オレにスーツを脱いでソファーに俯せになって寝っ転がるように指示をした。それに素直に従って、スーツの上着を脱ぎネクタイも解いて城之内に手渡す。城之内は受け取ったそれを丁寧にハンガーに掛けて、自分も燕尾服の上着を脱いで近寄って来た。

「首、苦しいかもしれないから…。Yシャツのボタン、首元だけ外しておいて」
「分かった」

 オレは城之内の言葉に、Yシャツのボタンをいくつか外して首元を楽にすると、そのままソファーに俯せに寝っ転がった。身体を伸ばして急に楽になった為、オレは深く息を吐き出して手元にあったクッションに顔を埋める。クッションの柔らかい感触に癒されて再び大きく息を吐くと、頭上からクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「大分疲れてんな、海馬」

 笑いながらもどこか心配そうに吐かれた台詞に、だがオレは答えない。何故ならばその言葉と同時に、城之内の熱い掌がオレの背中に降りてきたからだ。
 Yシャツの上から城之内の掌が背中を上から下へ、そして下から上へと撫でていく。暫く背中を撫でていた手が肩に絡まり、そこをゆっくりと強く握ってきた。何度かギュウギュウと筋肉を揉み解され、そして両手の親指が首の後ろを解し始めた。項から肩まで筋肉の筋にそって、何度も上下してそこを揉み解す。そしてまた掌は背中に戻っていって、背筋を丁寧にマッサージされた。

「気持ちいい?」

 優しく尋ねて来るその声に、オレは素直にコクリと頷く。首から肩、そして背中にかけての筋肉が懇切丁寧に解けていって、心底心地良いと感じる事が出来た。ソファーに身体を預け、城之内のマッサージに完全にリラックスして全てを任せる。本当に幸せだと思った。
 だが…頭のどこかで何かが足りないと訴えかけているものがある。
 最初はそれに気付かなかった。だが時間が経つに連れて、その思いがどんどん強くなってくる。その思いの正体が何なのか、オレは気付きたくは無かった。だけど…気付いてしまった。気付かざるを…得なかった。
 この頃オレも城之内も仕事に忙しくて、二人きりで会う事が全く無かったのである。電話やメールで連絡は取っていたものの、この様に互いの身体に直接触れ合う事は久しぶりだった。この久しぶりの結果が何を招いたのかといえば…、つまり…どういう事かというと…。そうだ、そういう事なのだ。
 オレは城之内のマッサージを受けながら、欲情してしまっていたのである。
 一度その欲求に気付いてしまえば身体というのは簡単なもので、先程までは全くそんなつもりは無かったというのに、あっという間にその気になってくるから不思議なものだ。
 自分より体温の高い城之内の掌が首筋や肩や背中を這う度に、オレの身体も熱くなってくる。それを無理して我慢しているから、汗までかいてきてしまっていた。
 はっきり言って、もうこれ以上我慢するのは限界だった。
 だが一体どうすれば良いと言うのだろう?
 この状態を素直に城之内に伝えてみるか…。さもなくば何とか我慢するか…。
 



A・やっぱり我慢を続ける

B・我慢しないで素直になってみる

社長と執事の奮闘録

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「お帰りなさいませ~ご主人様」

 十月二十五日日曜日。今日はオレの誕生日だ。日曜日だったがどうしても片付けてしまいたい仕事があったので、午前中だけ会社に行き、昼食を済ませて屋敷に帰って来たところだったのだが…。何故城之内が黒の燕尾服なんぞを来てオレの部屋に待機していたのか、全く理解が出来なかった。
 しかも何だ先程の挨拶は。誰がご主人様だ。

「貴様…、人の部屋で何をやっている。全く意味が分からないぞ」

 腕組みをして睨み付けつつそう言うと、それでも城之内は全く懲りない顔をしながらニッカリと笑って口を開いた。

「ハッピーバースデー海馬!」
「あぁ、そうだな。今日はオレの誕生日だ。で?」
「で? じゃねーよ。つまらない奴だなぁ…。誕生日プレゼントなんだから、ありがたく受け取ってくれなくちゃ」
「は…? 何だと?」
「だから誕生日プレゼント。オレさ、月末だから今金無いの。だからちゃんとしたプレゼント買ってやれないんだよ。お前の恋人として滅茶苦茶情けないって落ち込んだりもしてさ。だけどな。その代わりと言っては何だけど、この身体を使えばいいんだって事に気付いてさー! つー事で今日のオレはお前の一日執事だぜ。お前の為なら何でもやってやるから! な、超名案だと思わねー?」
「何が名案だ…。ウザイだけだ。しかもその燕尾服、一体どこから持って来た?」
「コレ? あぁコレはオレが執事やりたい! って言ったら、モクバがくれた」

 モクバのありがたくも迷惑な対応に、オレは心底疲れを感じて深く溜息を吐きつつ項垂れてしまった。そのまま側にあったソファーまで近寄って腰を下ろしてしまう。
 まったく…。城之内一人だけならまだしも、あの賢い弟までがこんな馬鹿げた計画に協力するとは思わなかった。
 とは言っても…。確かに見慣れない姿の城之内が格好良く見えてしまうのも事実であって…。
 頭を抱えてそんな事をブツクサ言っていたら、突然背後に回った城之内に両肩を掴まれる。慌てて振り返ると、キョトンとした城之内のアホ面が目に入ってきた。

「何?」
「何…ではないわ! いきなり触るな、馬鹿者が!」
「いや…何か疲れてるみたいだったし、マッサージでもしてあげようかと思って」
「マッサージだと? 余計な事はするな!」
「えーでも。オレ、結構上手いんだぜ? そういうバイトもした事あるし。やってみない?」
「断わる! お前にマッサージなんかされたら、どうなるか分かったものじゃないわ!」
「そんな事言わずに。何もしないからさ。マジでマッサージだけだって。な? いいだろ?」

 マッサージか…。確かに今は酷く疲れていて、身体を揉み解して貰う事はありがたい。
 けれど素直に城之内に身体を預けたら、どうなるか分かったものじゃないのも確かだ。
 さて…どうしよう?
 



A・マッサージして貰う

B・断わる!

星10個!!

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ノンビリエロモードの二礼です、こんばんは。

最近マジでエロしか書いていません…w
でも今週はゆっくりさせて貰ったので、余り追い詰められている感は無いんですよね。
お陰でエロ神様は未だ在籍中です。
うん。この調子でこのまま居着いておくれ。


さて、知っている方も多いと思いますが、二礼は今コンビニで働いています。
コンビニには色々な物が置いてありますが、カードゲームのパックなんかも商品の内の一つですよね。
先日の事。小学校高学年くらいの男の子がお小遣いを握りしめて、遊戯王カード(遊星編の2かな?)を買いに来ました。
4パックを購入しその場で開封。最初の3パックには大した物は入って無かったらしかったのですが、最後の4パック目を開けた瞬間

「うおぉぉぉぉっーーーーーっ!! やったぁぁぁぁーーーーーっ!!」

という物凄い絶叫と共に飛び上がりましたw
思わずレジ前で作業していた二礼が「何かいいの出たの?」と話しかけてしまったところ、彼は私にカードを見せてくれました。
ちらっとしか見せてくれなかったので確かではありませんが、何と星が8~10個(ちらっと見だったので正確な数を確かめる事は出来ませんでしたが、とにかく一杯)付いたモンスターカードでした!!
一緒にいた店長は「ふーん」という感じでしたが、遊戯王を知っている私はそれどころじゃありません!!
「凄ぇ!! マジ凄ぇ!! マジパネェよ!! 超レアカードじゃん!!」と心の内側で叫びつつ、にこやかに「良かったね」と返していました…w
これが同年代の子供だったら一緒に喜ぶ事が出来るのに…w
大人は辛いやねwww

この話には続きがあって、調子に乗った男の子はその場で更に2パック購入してくれました。
同じようにその場で開封していましたが、中身はさっぱりだった模様。
あのね、坊や。
そういうのは欲を出したら負けなのよ(´∀`)
お店的には全然構いませんけどねーw
毎度ありがとうございました~!!


本日はウチの更新日なので、瀬人誕2009企画に、Act2『愛の楽園でご接待♯2』をUPして貰いました。
散さん忙しいのに、マジでスンマセン…っ!!
ていうかですね…。
拍手数がとんでもない事になってて、今マジでビビっています…w
こ、こんなに貰っちゃって…いいのかなぁ…;
これも忙しい時間を縫って相手してくれた散さんのお陰だと思っております!!
もう本気で感謝しています!
ありがとうございました~!!
私のターンはあと1回残っていますので、来週からは散さんのお話が読めると思います。
私も今からwktk感が止まりません…(*´д`*)ハァハァ
散さんの素敵で格好良い城海を読んで、ラストターンに備えたいですwww


ついでに自分のところでも、長編『STEP』にすてっぷえいとをUPしました。
漸く…出来たね…(´―`;
ウチの城海は普段から甘々なんですけど、今回は当社比1.5倍くらいの甘さで、書いている最中からずっと砂糖吐いていました…。
何だこの二人は…w
もう一生イチャついてろwww
という訳で何とか結ばれた二人ですが、『STEP』はもうちょっと続けていきたいと思っています。
目標は海馬と城之内の気持ちを同等にする事です!!


以下は拍手のお返事でございます~(・∀・)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´―`)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます!
城之内と海馬を大学生にしたのは、なるべく大人の雰囲気を出したかったからでした。
まぁ…お酒を飲ませたかったのもありますがw
私の中の城之内と海馬はですね、高校卒業後はもう普通にお酒は飲んでいるんだというイメージがあるんですよ。
城之内は余りそういうのに拘らなさそうですし、海馬は会社関係の付き合いとかもありますしね~。
特に大学に入ってしまえば周りの人間との飲み会とかもあるでしょうし、一応自分達が未成年だとは思っていても、酒の味は覚えてしまっているのではないでしょうか?
ちなみに成人式はまだやってないんじゃないかなぁ?
海馬はこの時点でやっと二十歳になっているので、成人式をするならば年が明けてからになるんじゃないでしょうか?
(成人式はその『年度』で二十歳になる人達が参加するものなので、海馬は約二ヶ月後、城之内は自分の誕生日の直前ってところかな)

今回コラボをして面白いな~と思ったのは、海馬の性格がいつものウチの乙女海馬と全然違うところなんですよ。
Rosebank様もコメントで仰っていますが、騙されて半ば拉致される形で温泉に連れて来られた事に、海馬は納得がいっていないんですよね~。
これがいつものウチの海馬だったら、意外とすんなり気持ちを切り替えて温泉を楽しむ方向に走っちゃうのにw
この辺のツン具合が散さんの海馬っぽいと思うんですよ~w
私もそんなツン海馬をウチのデレ城之内で宥めるのが楽しくて仕方無かったりして(*´∀`*)
こういうのがコラボならではの楽しみって奴なんでしょうねv

あ、そうそう。
城之内と海馬が泊まっているこの温泉旅館は、実はモデルが存在するんです。
私と相棒が時々泊まりに行く老舗温泉旅館なのですが、私の風景描写が活きているのはそのせいだと思われます。
(実際に泊まりに行く時の事とかを思い出しながら書いているので…)
イメージを統一する為に散さんにも一応旅館のサイトを紹介したりもしているので、多分どちらの話を読んでもイメージが違ったりはしないと思います(*'-')
あとは城之内の受験勉強を見てあげてた海馬の事ですが…。
う~ん? 至れり尽くせりは…どうなんだろうwww
まぁ…アレです。その辺りは読んで下さった方のご想像にお任せしますって事でw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*すてっぷえいと

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 十月二十四日二十二時。
 赤いペンで十月二十四日の日付に×印を付け、オレは軽く溜息を吐いた。
 今日の夜…城之内が邸に泊まりに来る。いや、多分もう来ているだろう。一時間ほど前に『先にお前ん家行ってるから』というメールを貰っていたのを思い出した。机の上に置きっぱなしだった携帯を取り上げて、中身を開いてもう一度メールに目を通してみる。
 件名は『待ってる』。中身は『先にお前ん家行ってるから』と、それだけの一文。
 たったそれだけのメールなのに、ちょっと見ただけで一気に顔が赤くなり、頬が緩んでにやけてしまうのを止められない。
 そう…。オレは今夜、城之内に抱かれるのだ。念願のセックスをして、そして誕生日の朝を城之内と共にベッドの中で迎えるのだ…っ!!
 途端に脳裏を駆け巡る様々な妄想に、オレはゴンッと机に頭を打ち付ける事で全てを消し去った。額が少々痛いが、そんな事に構ってはいられない。
 オレがこれから体験するのは、夢にまで見た城之内との現実のセックスなのだ。妄想などと言うつまらぬ物で、この幸せな気持ちを昇華させたくは無い。
 手に持っていた携帯に映し出されているメールから『返信』を選び、オレは「もうすぐ帰るから」と短い文章を打って送信ボタンを押した。そしてそのまま帰り支度をする為に立ち上がる。クロークの中に収められていたジャケットを羽織りながら、オレは自分の掌をじっと見詰めてみた。
 数時間後に体験する事への期待なのか、それとも戸惑いなのか。その手は微かに震えていている。

「けれど…怖くは無い…」

 そう。手は震え心臓はドクドクと煩いくらいに高鳴っているというのに、恐怖は微塵も感じていないのだ。代わりに感じるのは期待感と高揚感。そしてやっと城之内のものになれるのだという幸福感と安心感。
 震え続ける手をギュッと強く握って、オレは城之内の待つ場所へ帰る為に一歩を踏み出した。



「おかえり」

 自室でオレを出迎えてくれた城之内は、既にTシャツとスウェットという格好だった。髪が濡れているのを見る限り、どうやらもう風呂は済ませてしまったらしい。

「ゴメン。風呂先に頂いちゃった」
「構わん。オレもすぐに入ってくるから…」
「飯は? 腹減ってないの?」
「いや。社で簡単な夜食を食べて来たから、もうこれで充分だ。貴様の方は? 夕食はもう食べたのか?」
「うん。家で済ませてきちゃったから大丈夫」

 一見、他愛の無い会話にも見えるが、お互いにそれとなく緊張しているのが分かる。会話がどこかギクシャクしているのだ。その証拠に、普段だったら真っ直ぐ人の目を見て会話をする城之内が、読みもしない経済誌なんかを広げながらチラチラと視線を行ったり来たりさせている。
 だが今だけは、そんな城之内の態度がありがたかった。これで真っ直ぐに見詰められたりしてしまったら、きっと恥ずかしくて堪らなくなっていただろうから…。

「で…では、風呂に入ってくる」
「う、うん」

 二人っきりの空間にいよいよ押し迫った時間を感じて、お互いに目も合わせる事も出来ないくらいに緊張してしまっていた。だがこの緊張感は嫌いでは無い。向こうも同じ事を考えているのだろう。理解出来ない経済誌を読みながら、幸せそうに笑っているのが目に入ってくる。
 その笑顔に何となく安心して、オレは風呂に入る為に浴室へと向かっていった。


 風呂から上がりパジャマに着替えて、オレ達は明かりを落とした寝室で何気ない話を続けていた。すぐに事に及んでも良かったのだろうが、何となく二人して日付が変わるのを待っていたのである。
 そして数分後…。枕元に置いてあるデジタル時計の表示が十月二十四日から十月二十五日へと変わっていった。

「海馬。誕生日おめでとう」

 会話をしながらも何気なく時計を気にしていた城之内が、日付が変わった瞬間にオレにそう言ってくれた。その穏やかな笑顔に嬉しくなって、「ありがとう」と素直に返す。
 暫くお互いに黙って見つめ合って、そしてゆっくりと城之内が動いた。自らの身体をオレにピッタリと寄せ、更に背中に回した腕でオレの上半身を引き寄せる。近付く顔に瞳を閉じると、そのまま唇にキスをされた。
 最初は触れ合うだけの軽いキスを何度か受け、その後深く唇が合わさってくる。下唇を舐め上げる熱い舌に促されて口を開くと、途端にそれがヌルリと入り込んできた。奥に引っ込んだままだったオレの舌に激しく絡みつかれる。ピチャピチャという濡れた音が、静かな寝室に鳴り響いた。

「ふっ…ん! んっ…んんっ…ぅ…っ」

 ゾクゾクと背筋を駆け上がる快感に、城之内の着ているTシャツを強く握りしめる。鼻から漏れ出る声が自分でもいやらしいな…と思った時、突如視界が反転して、次いで背中に柔らかなマットの感触が感じられた。一瞬何が起きたのか分からなくてキョトンとするオレを、城之内が酷く男らしい顔をして覗き込んでくる。
 その体勢で、オレは漸く自分が城之内にベッドに押し倒されたんだと知った。

「怖い?」

 心配そうな城之内の質問に、オレは首を横に振って答えた。
 怖くなんてない。恐怖心なぞ微塵も感じていない。

「怖い筈…なかろう。こうなる事は、オレが最初に望んだ事だ」

 そう告げると、城之内は「そうだったな」とクスクス笑いながら答えた。

「でもさ、いざってなると…っていう事も考えられるじゃんか。オレ…お前の事を本気で愛しちゃったからさ、お前が嫌だなーとか思う事をしたくないんだよね」
「嫌なら嫌と最初から言っておるわ」
「うん、そうだよな。お前はそういう奴だ。だから…さ。だからオレももう遠慮したりしない。欲しいものはちゃんとこの手に入れる事にする。お前と一つになる為に…、今日はずっとお前と一緒にいるから」
「城之内…」

 もう一度キスをする為に近付いてくる顔を、オレは自ら引き寄せる為に城之内の後頭部に手を差し入れた。柔らかく重なる唇に、自分の心が甘く解けていくのを感じる。
 もうこの熱は…手放せないと思った。


 数刻後。城之内の手によって、オレはすっかりあられも無い姿にされてしまっていた。パジャマのズボンは下着ごと足から抜き去られ、上着も前面のボタンを全て外されている。今は肩も剥き出しになり、パジャマは何とか腕に引っかかっているだけの状態だ。
 そんな格好で、オレは身体のあちこちに押し付けられる城之内の熱い唇を受け止めていた。
 城之内自身は既に全裸になってしまっている。彼の熱い体温がオレの肌に直に触れる度に、じわりと体温が上がる気がした。

「あっ…! んっ…ぅっ」

 首筋辺りを彷徨っていた唇が降りてきて、突如乳首を強く吸われてしまう。途端にジンッ…とした快感が脳裏に辿り着いて、オレは我慢出来ずに声をあげてしまった。自分でも信じられないような甘い声が辺りに響き渡る。
 そんなオレに城之内は満足そうに笑い、指先でピンッと硬くなった乳首を弾く。またそれだけでも酷く感じてしまって、オレは相次いで甘く喘いでしまった。

「あっ…やっ…」
「あぁ、やっぱりココ感じるんだな…。そんなに気持ちいいの?」

 城之内の言葉に必死になってコクコクと頷く。
 まるで胸の内側から炎が燃え立つようだった。

「もっと…して欲しい?」

 熱っぽく囁かれたその声に、オレは素直に頷いて答える。
 オレが頷いたのを確認した城之内の顔がゆっくりと自分の胸に落ちてくるのを見て、オレは瞳を閉じて身体の力を抜いた。熱を持った掌がオレの肩を押さえつけるのを感じて、そして…。

「んぁっ…!」

 チュクッ…という音と共に乳首を舐められて、途端に駆け巡った快感に思わず高い声が出てしまった。
 指先まで痺れる程の快感に身を捩らせていると、オレの乳首を甘噛みしていた城之内がクスクスと笑い出す。そして肌を撫で擦りながら左手を下に移動させつつ、「今からそんなんじゃ、先が思いやられるな…」と熱っぽく囁いた。その声が微かに震えているのが気になって、そっと目を開けて城之内の顔を盗み見てみる。自分の胸に顔を埋めている城之内の表情を見て…、そしてオレは後悔した。
 そこにいたのはいつもの城之内では無かった。潤んだ瞳と上気した頬とにやけた口元。荒い呼吸が『男』を感じさせて、オレは思わず目を逸らしてしまう。

 こんな…こんな男に…っ。こんな格好良い男にオレは抱かれようとしていたのか…っ!!

 城之内の格好良さに改めて気が付いて、身体全体が発熱したかのようにカーッと熱くなった。あれ程求めていたというのに、一気に恥ずかしくなって耐えられなくなる。
 思わず腕で顔を覆い隠したら、その手はあっという間に優しくどけられてしまった。

「海馬…? 何? どうしたの?」
「あ…っ。城之…内…っ」
「嫌になっちゃった?」
「ち、違…う…っ」
「じゃ、恥ずかしくなっちゃった?」
「っ………!!」
「あはは。ビンゴ!」
「っ…んっ。ふっ…!」
「でも悪いけど、もう止めてあげられないから…」
「分かって…い…る…っ」

 顔の上に腕を置くと城之内によってどけられてしまう為、オレはシーツを強く握って顔を背けた。そんなオレに城之内はクスリと笑うと、左の腰を掴んでいた手を再び移動させる。そしてそれは程なくオレの下半身へと辿り着いた。
 指先で内股をそろりと撫で上げ、そのままペニスをやんわりと握られてしまう。

「あっ………!!」

 その刺激に身体が勝手にビクリと跳ね、目をギュッと瞑った拍子に涙が一粒眦から零れ落ちた。
 快感に震えるオレの身体を自分の身体を使って押さえつけながら、城之内はペニスを握った手を優しく上下させる。既に先走りの液で濡れていたのだろう。すぐにグチュグチュという濡れた音が辺りに響いて、恥ずかしくて死にたくなった。

「あぁっ! ふぁ…あっ…!」
「凄い…お前…。滅茶苦茶気持ち良さそう…」
「やっ…! ダ…ダメだ…っ!!」
「何がダメ? 気持ち良いんだろ?」
「だって…っ! もう…っ!」
「もう…?」
「も…う…っ! あっ…! ふあぁぁ…っ!?」

 急激に高められていく快感に、オレは耐える事が出来なかった。何とか我慢しようと思ったものの、それはあっという間に弾けて城之内の手にドロリとした精液を吐き出す。ビクビクと身体を震わせて達する事の気持ち良さと、城之内の手を自分の精液で汚してしまった罪悪感で、オレの頭はグチャグチャだった。知らず流れてくる涙でぼやける視界をボンヤリと天井に向けたまま、オレはグッタリとシーツに沈み込む。

「大丈夫?」

 城之内が心配そうに声をかけてくるけれど、反応すら出来ない。どこか夢心地な気分で荒い呼吸を整えていると、突然下半身にヌルリとした触感を感じて再び跳ね上がってしまった。

「ひゃっ…!?」
「あ、ちょっと大人しくしてて」
「やっ…! な…何…っ?」
「いいからそのままじっとしててな。これから慣らしていくからさ…。いきなりは無理だろ?」

 城之内の台詞で、彼が手に付いたオレの精液を使ってこれから後ろを慣らしていこうとしている事が判明し、その事実に思わず血の気が引いた。
 男同士のセックスでは『そこ』を使う事は既に調べは付いている。いきなりの挿入は難しく、しっかり慣らさないと双方共に痛みを感じてしまう事も、更に受け止める側には酷いダメージが残る事も…知っている。
 けれど頭で理解している事と実際にやられる事とでは、全く印象が違うのだという事に、漸くオレは気付いたのだ。
 ヌルヌルとオレの後孔を探る指先に、とんでも無く羞恥心を感じてしまう。探るように蠢いた指がやがてツプリと体内に入ってきて、オレは耐えきれずに悲鳴をあげてしまった。

「い…やぁ…っ…!」
「あ、こら! 暴れんなって! ちょっとの辛抱だから…」
「いや…っ。もう…嫌だ…っ! も…もういいから…っ! 早く挿れて…くれ…っ!」
「何言ってんの。まだダメだって。初めてのセックスで怪我したいの?」
「そ、それは…。嫌…だ…が…」
「な? だからもうちょっと我慢して。悪いようにはしないから」

 城之内はなるべく優しい声でオレを宥めてくれた。その声に何とか落ち着いて、オレは深呼吸と共に身体の力を抜いてベッドに沈む。
 体内に入れられた指はいつの間にか二本になっていて、それが蠢く度に不自然な圧迫感がオレを襲う。その度に軽く呻いてしまっていたのだが、突如今まで感じた事の無いような刺激が背筋を物凄い勢いで駆け上がっていった。

「ひぃっ…!?」

 一体何が起こったのか分からなくて混乱してしまう。
 前には触られていない。触られているのは後ろだけ。なのに何故急激な射精感に襲われたのか理解出来なかった。
 どうしたらいいのか分からなくなって助けを求める為に城之内に視線を向けたら、城之内の方は特に焦った様子は見受けられなかった。それどころか静かに優しく微笑んで、オレの事を見詰めている。

「あっ…! うんっ…あぁっ!」
「見付けた…」
「な…何…を…? あはっ…んっ!!」
「お前の前立腺。ここ…気持ちいいだろ?」
「あっ…あっ…。や、やめ…っ!」
「男はね、ここが気持ちいいんだってさ。オレはやられた事が無いからよく分からないけど、でもどうやら正解だったみたいだな。良かった」
「あっ…うっ…! やぁ…っ! 変に…なりそ…っ!」
「これなら…大丈夫かな…」

 激しい快感に身悶えていると、突然体内から指が引き抜かれてしまった。圧迫感から解放された安心感と、体内から去ってしまった熱を惜しむ気持ちが綯い交ぜになってしまう。どうしたらいいのか分からなくなって、恐る恐る目を開けてみると…。丁度城之内がオレの足を抱えあげているのが目に入ってきた。

「そのまま…力抜いてて」
「え…?」

 何を…? と聞こうと思って、だがそれは出来なかった。
 熱くて硬いモノが自分の入り口に押し当てられたのを感じて…、その正体が何であるのか、一気に理解したからだ。
 慌てて意識的に身体の力を抜くと、それを見計らった城之内がぐっと腰を進めてきた。

「ひぐぅっ…!!」

 途端に感じる強い圧迫感と激しい痛みに、思わず息が詰まる。シーツを力一杯掴んで痛みに耐えていたら、その手を熱っぽく汗に湿った手が優しく取り上げてくれた。そしてそっと城之内の背中へと導かれる。
 汗でびっしょりの背中に触れて、オレはゆっくりと目を見開いてみた。その途端、眉根を寄せ辛そうに何かに耐えている城之内の顔が目に入ってくる。
 その表情の色っぽさに、ドクン…ッとオレの心臓が一際高く鼓動した。

「城…之…内…っ」
「ゴメン…。痛いし…苦しいよな? でも、もうちょっとだけ頑張って。オレの背中に爪立ててもいいから…」
「っ…! ふぅ…っ!」
「なるべく身体の力抜いて…楽にしてて。とりあえず全部挿れちゃうからな」
「あっ…! くっ…あぁっ!!」

 ググッ…と押し入って来た熱の固まりに、耐えきれずに悲鳴を放つ。痛いし苦しいし辛かったけれど、それでもオレは逃げ出す事だけはしなかった。どんなに苦しい思いをしても、体内にあるこの熱を手放そうとは微塵も考えつかない。むしろこの熱が自分の体内にあるという事実が、オレは愛しくて堪らなかった。
 カリリと背中に爪をたてながら、オレは身体を密着させ城之内の首筋に顔を埋めた。そしてその場所で思いっきり息を吸い込む。汗に塗れた城之内の男らしい体臭が胸一杯に広がって、それだけで安心してしまう自分が酷く単純だと感じて、妙におかしくなってきてしまった。
 堪らずふふっ…と笑みを零すと、それに気付いた城之内が訝しげに覗いてくる。

「何? どうしたの? 笑っちゃったりなんかして…」
「いや…別に…」
「オレなんか変な事…した?」
「そうではない…。ただ…ちょっと…」
「ちょっと?」
「いや、かなり…。幸せだな…と…思ってな…」

 体内にある熱の固まりは、未だその衰えをみせない。それどころか少し体積を増やしているような気さえする。だが随分長い事じっとしていた為に、オレの身体の方も段々と慣れてきたらしい。もう余り辛いとは感じなかった。
 背に回した腕をギュッと力を入れて抱き締めて、そしてオレは城之内の耳元に囁いた。

「城之内…。もう…動いて…」

 なるべく低く、なるべく濡れた声で、城之内の劣情を刺激するように意識しつつ言葉を吐く。
 案の定、顔を埋めている喉元からゴクリという音が響いて、途端に強く抱き締められてしまった。余りに強く抱擁された為に、一瞬息が出来なくなる。それでもオレは城之内を拒絶するような事はしなかった。
 その腕の強さそれこそが、城之内の想いの深さだと…そう感じたから。
 あとはもうなすがままに揺さぶられるしか、オレに道は残されていなかった。


「あぁぁっ…!! ひぁ…っ!! あっ…あぁっ!!」

 聞こえるのはギシッ…ギシッ…というリズミカルなベッドの軋み。肌と肌がぶつかる音と、同時にジュップジュップという卑猥な水音。耳元にかかる城之内の熱い吐息と荒い呼吸音。そして自らの喘ぎ声。それら全てが今、オレの全身を支配していた。
 最初に感じていた痛みや苦しみは、途中から全く感じなくなっている。その代わり感じているのは、先程指で後孔を解かれている時に感じていたあの耐え難い感覚だった。しかも指で触られていた時の比ではなく、今はもっと強い刺激に翻弄されてしまっている。そこを城之内のペニスで強く突かれる度に、脳裏が真っ白になり身体が痙攣する程の快感に襲われた。

「ひっ…! あっ…あぁん…っ!! あぅ…っ!!」
「気持ち…いい…? ここ…?」
「うっ…! あぁ…っ! そこ…が…いい…っ!! お…かしく…なるぅ…っ!!」
「うん…分かった…。それじゃ…一緒に…、おかしくなろう…か…?」
「はっ…ぁ…! ひゃあぁぁ…っ!!」
「海…馬…っ!!」

 足を高く持ち上げられ城之内の肩に担がれて、更に深く身体を重ね合わされる。途端に奥の奥まで入ってきたモノにあの場所を強く擦られ、駆け上がってきた強烈な快感にオレは耐えきれなかった。

「うっ…あっ…ああぁぁぁ―――――――――――――――っ!!」

 もう何も考えられない。頭どころか自分の身体の中身全てが真っ白に染まって、空っぽになってしまったかのように感じてしまった。激しい痙攣が全身を襲い、大量の精液を吐き出しながら達してしまう。
 必死で目の前の身体にしがみついて数度に渡って射精をしていたら、自分と同じように城之内が痙攣しているのに気が付いた。それと同時に体内の最奥で感じるペニスの震えと温かな熱の広がりに、彼もまた達したのだという事を知る。
 途端に胸に広がった幸福感に、オレは深く深く息を吐き出した。
 城之内がオレで感じてくれた…そしてオレで達してくれたという実感が湧き上がる。
 幸せだった…。好きな人と結ばれるというのは、こんなに幸せな事だったのかと改めて強く感じさせられた。

「海馬…っ! 大丈夫…か…?」

 いつの間にか軽く意識を飛ばしていたらしい。ペチペチと軽く頬を叩かれて、オレは重い瞼をそろりと持ち上げた。目の前には心配そうな城之内の顔があって、真剣に自分を見詰めている。オレはそんな顔に微笑みかけて、「大丈夫だ」と安心させるように口を開いた。

「もう…平気だ…」
「ゴメン…。少し無理し過ぎた…っ」
「そうか…? セックスとはこれくらいが普通なのではないか…?」
「いや…それは慣れてればの話だろ? オレ達は初めてだったんだからさ…。ホントに大丈夫か? 痛いところ無い?」
「………。あ…あそこ…が…、少し…痛い…くらいだ…」
「あ、ゴメン! まだ入れたままだった!」
「っ………!!」

 オレの訴えに城之内が身を引いてペニスを抜いていく。圧迫感が消えると同時に、内股にトロリとした液体が零れるのを感じて、オレはまた顔に血を昇らせてしまった。
 よく考えてみなくても…その液体は多分…城之内のアレであろう。
 本当に城之内が自分の体内で達したという事を強く感じさせられて、改めて恥ずかしくなってしまった。

「何だ、また恥ずかしくなってるのか…。ホントにもう…可愛いな」

 すっかり顔を赤くして顔を逸らせたオレに城之内は苦笑して、けれども愛しそうに頬にキスを落としてくれた。チュッ…という軽いキスの音が、今は余計に羞恥を誘う。
 口元に手を当てて恥ずかしさに耐えているオレに、城之内はするりと身を寄せてきた。そしてギュッと強く抱かれる。まだ熱い胸元に抱き込まれ、オレは城之内の胸に耳を当て彼の心音を聞いていた。ドクン…ドクン…と強く打ち付ける城之内の心臓の音。少し落ち着いて大分リズムは穏やかになったようだったけど、それでもまだ少し早いような気がしてならない。
 それは彼もまた、未だ興奮から覚めていないからなのだろうか?

「好きだよ…、海馬」

 静かに告げられたその言葉に、オレは城之内の胸元でコクリと頷いて答えた。

「オレ今すっげー幸せ感じてる…。人を好きになってこんなに幸せになれるだなんて…知らなかった」
「オレもだ、城之内…。オレも…幸せだ」
「海馬、大好きだよ。愛してる」
「オレも…愛してるぞ、城之内」
「お前を抱けて…本当に良かった…」
「オレも…だ…。オレも…お前に抱いて貰えて…嬉しかった…」

 顔を上げれば、穏やかな瞳をした城之内と目が合う。その瞳が優しく細められて、そして顔が近付いて来た。

「んっ………」

 オレの唇を啄むように繰り返される優しいキスに酔いしれる。どちらかともなく抱き合って、何度も何度も甘いキスを繰り返した。
 何度目かのキスの後、城之内が耳元で「誕生日おめでとう」と囁いてくれた。それがどんなに甘美にオレの耳に届いたか。多分城之内には分からぬであろう。
 だがきっと、城之内にも分かる時が来る。三ヶ月後の…彼の誕生日には…きっと。

「愛してるよ、海馬」
「オレも…愛してる…、城之内」

 お互いに強く抱き締め合いながら、クスリと笑い合った。


 その後、オレの隣でぐっすり熟睡している城之内の顔を見ながら、オレは幸せに浸っていた。
 ありがとう、城之内…。お前のお陰で、オレは初めて自分がこの世に生まれてきた事を、見えない何かに心から感謝する事が出来たんだ。
 オレがこの世に生まれて来た事。そして三ヶ月後に城之内が生まれて来た事。そしてこうして出会えて、身も心も結ばれた事。
 それら全てを感謝しながら、オレは眠りにつく為に瞼を降ろした。
 愛しい人の熱をすぐ隣に感じながら…。

ノンビリやりますよ~v

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まったりモードに突入の二礼です、こんばんは。

とりあえずいつも以上にノンビリとやっています。
お陰で少し気持ち的には楽ですw
多分精神的に不安定になっていたのも、先日言ってた例の検査の事が気にかかっていたからだと思うんですよね~。
検査自体は辛かったし、その後身体も疲れ果ててしまいましたが、無事にやり遂げる事が出来たので今は一安心しています。
つー事で気持ちを切り替えつつ、気の向くままに執筆活動しております(*'-')
金曜日辺りには『STEP』のすてっぷえいとがUP出来るかもしれません。
コイツ等も早く幸せにしてやらなくちゃね!


はい! 昨日に引き続いて瀬人誕2009企画に、Act2『愛の楽園でご接待♯1』をUPして貰いました。
城之内視点は私のターンという事で、暫くは二礼の文章にお付合い下さいませ。
この温泉企画を打ち出した時、最初に散さんと決めたのは二人の年齢の事でした。
当初はいつもの城海…つまり高校生の二人でやろうと言っていたのですよ。
でもね? 高校生だと宿泊出来る場所に限りが出て来ちゃうんですよ。主に金銭的に…w
それこそ大手の観光ホテルとかになっちゃう。
社長の誕生日に温泉旅行をプレゼントするというのに、観光ホテルとかあんまりじゃね?って話になって、それで二人の年齢を上げる事になったんです。
あとは城之内に大人の対応をさせたかった…ってのもあるんですよね~。
高校生城之内だと、多分必要以上にはっちゃけちゃうと思うんですよw
二人しかいないのに枕投げ等の無茶な事とか…ね(´∀`;
社長の誕生日にお前がはっちゃけてどうすると小一時間(略)
そういう事で多少大人になって頂きました。
はてさて、散さんの素敵な社長相手に城之内のこの大人ぶりが一体いつまで持つか…w
楽しみデスね!!


以下は拍手のお返事になりま~す!!(´―`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')

日記の感想をありがとうございます~。
体調の事でご心配をおかけしてスミマセンでした。
先日受けた検査については先生にも看護師さんにも再三「ちょっと辛いかも…」と言われ、更にはネット上の情報でも『痛い』『辛い』という言葉が羅列していたので、ここ暫くはずっとウンザリしていたんですよね…;
案の上の激痛っぷりにすっかり体力を消耗してしまって、おまけに具合まで悪くなる始末;
いやホント、情けないの一言です。
時間が無ければまだ言い訳がたつのですが、時間は無駄に『有る』状態なので、これがまた勿体無いって感じてしまうのですよ。
もう本当に…頭で考えている事がそのまま小説になればいいのにって思いますw

あと今回の自サイトでの企画の事ですが、Rosebank様は散さんとの合同瀬人誕企画と『STEP』のすてっぷえいとだけで良いと仰って下さいますが、自分の企画は以前からずっと「やりたい!」と思ってた奴なので、多少無理してでもやり遂げたいんですよね~。
25日本番には間に合わなくてもいいや~ってな気持ちでやっていますので、まぁ…気長に見守っててやって下さいw

それからイメージソング聴いて下さったのですね~!
ありがとうございます(´∀`)
克美の方は「コレダ!!」という曲が見付からなかったので暫定に過ぎないのですが、瀬人子の方はもうアレ以外考えられません!!
一応相手が男性の曲な筈なのですが、『彼』とかいう言葉の代わりに『君』という言葉を使っているので、百合曲でも十分考えられるのが良いんですよ~w
いやもう、本当に素敵な曲ですよね~v
大好きです(*´д`*)

最後にコメントについてですが、日記に関しては結局いつも通りの時間に更新する予定なので、コメントする時間に関しましてもいつも通りで宜しいかと…。
まさかこんなところで朝型(散さん)と夜型(二礼)の弊害が出てくるとは思いませんでした…w
午前中は何となく家事をして、PCを付けるのは大体お昼からなんですけどね。
(PC付けるとそこから動けなくなるもんで…;)
気が付いたらもう更新されてるんだもんなぁ…www
心底感心しますねw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

下がって上がった

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テンションだだ下がりの二礼です、こんばんは。

実は昨日今日と二日続けて検査デーでした。
昨日は造影剤を体内に入れてレントゲン写真を撮り、今日は昨日体内に入れた造影剤がどの程度散らばっているか調べる為にもう一度レントゲンを撮るという、ダブルで疲れる検査でした…。
まぁ…今日はまだ良かったんですよ。
普通にレントゲン撮るだけだったんで。
昨日がねー…ちょっと…痛かったの…orz
検査やって痛くて涙が出たのなんて、初めての経験でした…。
(ショックでパニック状態になる人もいるらしいので、心電図まで付けられる始末です)
もう二度とやりたくねぇぇぇぇーーーっ!!

つー事で、テンションがガッツリ下がってしまった訳なのですが…。
瀬人誕企画での散さんの分の話を読んで、あっという間にテンションだだ上がりしましたwww
もうマジでウナギノボリって奴ですよ!!

ウッヒョ~!! 凄ぇ!! 萌える!! マジで萌えまくる!! 萌え萌えDAッ!! 萌え萌えだよぉぉぉぉーーーーっ!!(落ち着け)
社長視点いいよね? 可愛いよね? 最高だよね?(落ち着k)
もうこんな社長見ちゃったら、城之内で色々やるしかないよね!?(落ちt)
あの社長がウチの凡骨にあんな事やこんな事をされるだなんて、考えただけでも○■※●△×◆▽◎ッ!!(おt)

ハァハァ…。ご馳走様でした…っ(*´д`*)
もうマジでホントに可愛い…っ!!
こうなったら私も続き頑張るしか無いですね~!
や っ て や り ま す と も !!


という訳で、瀬人誕2009企画に、 Act1『愛の楽園へご招待』をUPして貰いました。
貰いましたっていうのは、更新に関しては全て散さんにお願いしちゃっているからです。
ページ製作とかも結局全部お任せしてしまったので、心苦しい事この上ない…っ!!
スイマセン…散さん…;
宜しくお願いします…っ!!(>_<)


あと、本当は今日『STEP』のすてっぷえいとをUPする予定だったのですが…。
上記の理由により体調がよろしく無いので、こちらの更新に関しましてはもう少々お待ち下さいませ。
近い内にはUP出来るかと思います…;
それから瀬人誕企画をやっている間は、基本的にはあちらの更新のみでやろうと考えています。
なのですが…、時間があれば時々自サイトでの更新もしようかなぁ…なんて思ってたりして…w
日記のみでしたら通常通りにやろうと思っていますので、その辺りはどうぞご了承下さいませ。
それと25日の社長誕本番では、一応自分だけの企画もやるつもりですw
大した事はしませんけど…ね(´∀`;
まぁとにかく、無理しない程度に色々やろうと思っていますので、その為の時間を下さいませ。
(実は合同瀬人誕企画の方も、まだ全然終わってないんですよね~www)


あ、そうそう。
ついでに先日UPした百合城海の瀬人子さんのイメージソングも紹介しちゃいます。
相変わらずボカロで申し訳無いのですが…w
克美は…どうしようかなぁ?
元ネタが既に百合のアレとかでもいいかもしれない…。
イメージチョット違うけどw
他に何かいいのあったら、誰か教えて下さいませませ(´∀`)


瀬人子さん
『朝/焼/け/、/君/の/唄/。』(sm6179041)

克美たん(仮)←笑
『S/w/e/e/t/i/e/x/2』(sm4408384)←元ネタが実話の百合なんですよ~w 興味がある方は是非元ネタを読まれるといいかもしれません。実にいい話なのでv


以下は拍手のお返事でございまっす!(・∀・)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)

『Friend…?』の瀬人子ヴァージョンと日記の感想をありがとうございます。
克美と違って、瀬人子はまだ何も気付いてない状態ですからね~。
『親友』の克美を独り占めしたくて、知らず知らず抱いてしまう『嫉妬』の感情に苦しむ瀬人子を書くのは…。

非 常 に 楽 し か っ た で す www

瀬人子はとても賢いので、恋愛にしろ友情にしろ、相手を100%束縛するのは間違いだという事はよく理解しているんですよ。
でも感情が言う事を聞いてくれない。
普段理性的な瀬人子だからこそ余計『嫉妬』という感情に振り回され、その事に苦しんで辛い想いをしている。
その辺りを文章で表すのに、かなり気を使って書き上げました。
克美の苦しさとはまた別種の悩みですよね、コレ。
二人とも同じように悩み苦しんでいるのですが、思惑は全く違う方向というのも、百合城海で書きたかったイメージの一つでした。
一方は恋に気付いて相手を諦めようとし、もう一方は恋に気付かないまま相手を手に入れようとしていますからね~。

『Why...?』を書いた辺りでは、まだ百合城海のイメージは朧気でした。
なのに日が経つに連れてどんどん形がしっかりしてしまい、ついに『Friend…?』を書いてしまったのです。
しかも『Friend…?』を書いた事によって、更に二人のイメージがクリアになってきてしまいました…w
こうなったらもう最後まで書くしか無いですよね…?(´∀`;
次回からはシリーズ物として纏めて、キチンと最後まで書き上げる事に決めましたw
目指すはハッピーエンドです!!

あと『文字恐怖症』についてもご心配下さったようで…申し訳無い限りです。
別に小説が書きたく無い訳では無くて(むしろ小説は書きたくて仕方無いんですが)、何て言うか…文字を書く(打つ)事に飽きてしまった感があるんですよ…w
いや~…参りました…w
という訳でちょっとノンビリさせて頂く事に致しました。
丁度良い時に瀬人誕企画も動き出しましたしね~!
この時間を有効に使って、長編のプロット製作なんかもガッチリやりたいと思っています。
なるべく早く復帰出来るように頑張りますね!!

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

文字が...;

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文字恐怖症な二礼です、こんばんは。

うん。何か思った以上に大変な事になってしまっています…。
何が大変かというとですね、つまり抱えているものが多過ぎるんですよw
まずは…先日の日記で発表した『REMS』の散さんとの合同作品でしょ。
次に自分の分の社長誕企画。←困った事に、コレが全然進んで無い。
更に通常UP分の小説。
で、ラストがこの日記。
ここ何日かはもうずーっと文字ばっか書いていて、そろそろ文字恐怖症になって参りましたw

うおぉぉぉぉーーー!! もう文字書きたくねぇぇぇーーーー!!

小説を書きたく無い訳じゃないんです。

文 字 を 書 き た く 無 い んですwww

小説は文字を書かなきゃ成り立たないっつーのに、一体何を言っているんだか…;


先日、散さんと雑談している最中の事。
彼女はこんな事を申しておりました。

「考えている事が勝手に小説になってくれたらいいのに…」

はい。激しく同意します…(泣)

ともあれ社長誕まであと一週間…。
何とか頑張りますよ~!!
えぇ、頑張ってみせますとも!!(;д;)


短編に『Friend…?』の瀬人子ヴァージョンをUPしました。
纏めるのは次でいいや~って事で、そのまま短編上げしてしまいました。

実はこの話、前回の克美ヴァージョンで終了の筈だったんですよ。
ところが何を間違ったか、突然瀬人子ヴァージョンの方を思い付いてしまいまして…。
我慢出来ずについつい書いてしまいました。

何かこういうドロドロした感情は、女の子ならではですよね~。
普段の海馬(♂の方)はこういう感情とは無縁っぽいですけど(むしろ城之内なんかは、もっと嫉妬して欲しいとか思ってそう…w)、この話はあくまで 百 合 なんで、敢えて女の子らしく嫉妬して貰いましたw
でもその嫉妬心に自ら気付いて、何とか我慢しようと奮闘している辺りが、瀬人子さんの可愛いところだと思います(*'-')
瀬人子さん可愛いよ瀬人子さん(*´д`*)ハァハァ
更に自分のそんな感情が『間違い』だという事にも気付いているので、無駄に葛藤させちゃってみたりしてw
うひひw 百合は楽しいなぁw

何か思った以上に需要がありそうなので、もう少し続けてみたいと思っています(´∀`)


以下は拍手のお返事になります~(*'-')


>発芽米子様

お久しぶりです~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

夢のコラボとはまさに私が言いたい事ですよw
何でまたこんな事になったんだか…w 人との繋がりって不思議ですよね~。
あ、ちなみに涎は全然OKですよ!!
私もアチラの方の書かれる分を、涎を拭きつつ正座して待っているもんで…w

百合城海を読んで下さってありがとうございます~!!
ふひひw 百合いいでしょ~?www
何かこう…お互いに手探りで恋愛している感じがとても好きなので、前々から書きたいと思っていたんです。
(普段書いている城之内(普通に♂の方ね)は恋愛慣れしているのがウチのデフォルトなんで、手探りせずにいきなり中央突破してしまうんですよ…w 楽っちゃ楽なんですがw)
でも女体化は人を選びますし、ましてや百合は両方が女体化ですからね。
ずっと迷っていたんですよ。
でもまぁ…結局自分のやりたい事をやるのが一番だって事に気付きまして、思い切って書いてしまった訳です。
そうしたら思った以上に反響があったので、逆にこっちが(゜д゜)ポカーンとしちゃったりなんかして…w
本当にありがたい事だと、しみじみ感じちゃいましたv

それから風邪の件についてですが…。
実はもうとっくにひいてしまったので大丈夫でっす(´∀`)b
くしゃみと鼻水が大層辛かったのですが、今はもうすっかり治って通常体に戻っていますのでご安心を~。
最近めっきり寒くなってきたので、米子さんも風邪には気を付けて下さいませね!!
一番心配なのはインフルなんですが…。
気にしてたってかかるもんはかかるんだから、心配するだけ損だよネ!! て事で、余り気にしていませんw
それもどうかと思いますけどね…(´∀`;

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(・∀・)

『Friend…?』と日記の感想をありがとうございます。
克美が「瀬人子の体内に入ることは云々」と言っている表現は、まぁ…実際に入れるか否かって事じゃ無いんですよね~。
確かに指入れれば何とかなりますがw
でも悲しい事に克美は非常にセックス慣れしてしまっているので、『セックス=ペニスの挿入』と考えている部分があるんですよ。
あとこれでも一応女子高生なので、男女のセックスの知識は豊富に持っていても、同性愛の知識は殆ど皆無だと思うんですよね。
普通にPCで調べたりも出来るんでしょうが、克美(城之内)の家は貧乏ですしね…w
まぁもっと本格的に気になり始めたら多分携帯か何かで調べはするのでしょうが、この時点ではまだ瀬人子を諦める事しか考えていないので、調べようという気さえ無いのだと思います。
という事で、今の時点での克美の知識は「お互いに触り合えば気持ち良くなるだろうけど、それで終了。それ以上には進めない」という事になってしまっているんですよ。
故の『瀬人子の体内には入れない』という結論なんです。

でもまぁ…天の邪鬼の私の事ですから…w
どうなるかは分かりませんけどねー(´∀`)
それに今回の瀬人子ヴァージョンのお話の事もありますしねw
いやぁ~。本気で楽しくなって参りましたwww

あと社長誕企画を楽しみにして下さったようで、どうもありがとうございます~。
そうですか…。あのブログで既に感付いていらっしゃったとは…っ!!
流石Rosebank様ですね!
つー事で、何とか頑張りますよ…w
私自身もアチラの方がどう動くのか、楽しみで仕方ありませんしね(*´∀`*)
ていうか、リードされているのはむしろ私の方だと思うのですが…w
何故エロ魔神にしたし!!

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

Friend...?Ver.瀬人子♀

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『Friend…?』の瀬人子ヴァージョンです。
まずは克美ヴァージョンを読まれた方が分かり易いと思いますので、まだの方は先に克美の方の話を読んで下さいませ~。

 




「城之内!!」

 元彼と共にホテル街へと歩いて行く克美に、瀬人子は必死になって彼女の名前を叫んで呼んだ。
 オレを置いて行くな! 振り返れ…戻って来い! そいつを捨ててオレと共にいてくれ…!!
 克美に対する想いを強く胸に抱いて名を呼んだというのに、それなのに彼女は振り返らない。それどころか、そのまま元彼と一緒に雑踏の中に紛れて消えてしまう。
 一人残されたその場所で、瀬人子はまた少し…自分の心が黒く染まっていくのを感じていた。


 一体いつからこんなに克美に執着するようになってしまったのだろう…と、瀬人子は深く考え込む。
 高校に入学してからずっと、瀬人子と克美は親友だった。だがいくら親友と言っても常に一緒にいた訳では無い。瀬人子には瀬人子の、克美には克美の生活があったのだ。
 特に瀬人子は海馬コーポレーションの社長という役職を負っている為、克美のようにしょっちゅう登校する事が出来ずにいる。だから克美が自分以外の人間と交友を深めてしまうのは致し方無い事だった。
 そう…。その事はよく分かっているのだ。自分には自分の、克美には克美の付き合いがあるのだと頭では理解している。
 だが、いつの頃からか…。克美が自分以外の誰かと仲良さそうに喋っていたり、自分には分からない話題で盛り上がっていたりするのを見る度に、瀬人子は自分の胸の内に何かよく分からないムカムカとしたものが湧き上がって来るのに気が付いていた。
 それを遠目に見るだけならまだしも、自分という存在がそこにいるのにも関わらず、急に横から入り込んできた友人が克美と共有している秘密について話しているのを見た時なんかは、自分の腸が煮えくりかえるような思いをした事もある。


 更にこの想いを強めたのは、数週間前のお泊まり会での出来事だった。
 ずっと親友として信じてきた克美が、実は中学時代には彼氏がいたのだという事実を知ってしまったのである。普通に中学生らしい付き合いをしていたならまだしも、既にセックスまで経験していると打ち明けて来たのだ。
 克美が既にヴァージンでは無いという事だけでも十分過ぎる程ショックだったというのに、更に後日、克美から彼女の男関係は一人だけでは無かったとまで告げられてしまったのである。
 瀬人子には、その事実は強烈過ぎてすぐには受け入れられなかった。
 だから咄嗟に拒絶してしまった。
 克美に対して「不潔だ」「淫乱だ」と口汚く罵ってしまったのである。
 本当はこんな事を言うつもりなんてなかった。だが…どうしても克美を許せなかった。
 例え過去の出来事であろうとも、瀬人子は克美に裏切られたように感じてしまったのである。
 言ってしまった後で「しまった」とは思ったが後の祭りとはこの事で、出てしまった言葉はもう取り返す事は出来ない。
 一瞬怒られるかと思って身構えたが、克美は一向に瀬人子に怒りをぶつける事はしてこなかった。それどころか「だって…仕方無いだろ…」と力無く呟き、落ち込んで俯いてしまう。
 その姿に瀬人子の胸がズキリと痛んだ。慌てて彼女の側に近付き、自分とは違って綺麗な小麦色に焼けた健康そうな肩に手を置いて「スマン…」と謝ったのである。


 その一件以来、瀬人子はなるべく克美の交友関係について口出す事を止めたのだ。
 克美が誰とどう付合おうとそれは彼女の勝手であって、決して自分が口出す事では無いと理解したからだった。
 友人との関係もそうだが、特に男関係については本気で自分は何の関係も無い。克美が誰を好きになってどんな男と付合おうと、そしてその相手とどんな事をしようと、それはあくまで克美自身が決めた事であり、自分が口を出す事では無いのだ。
 そのように頭ではキチンと理解している筈なのに…心はそれに付いては来ない。
 相変わらず自分以外の友人と克美が仲良さそうに喋っていれば胸がムカムカするし、昔の性行為の話を聞く度に吐き気を催す程の嫌悪感を感じてしまう事も少なくなかった。
 だが一旦もう『気にしない』と決めたからには、瀬人子はその感情に気付かないふりを続けるしか道は残っていなかったのである。

 そう…。もう『気にしない』と強く心に決めたのだ。

 確かに自分は克美の親友ではあるが、克美は自分だけのものでは無いのだ。克美は克美だけのもの。彼女がどんな交友関係を持って、それを楽しもうと。彼女がどんな男を好きになって、その人と幸せになろうとも。それは克美が選択した結果であって、自分の出る幕では無い。
 むしろ『親友』という位置を独占出来ているだけでも幸せというものだ。克美がどんなに他の友人と仲良くしようと、その中に『親友』は誰一人としていないのだ。
『親友は』あくまで自分ただ一人。海馬瀬人子という人間ただ一人だけが、城之内克美の『親友』なのである。
 そうだ…。克美にとって自分は特別な存在の筈だ。克美の『親友』という特別枠の中にいる…。だから自分はきっと幸せなのだ…。
 なのに…。それなのに…どうしてなのだろう。どうしてこんなに酷く暗い気持ちに陥ったりしてしまうのだろうか…。


 瀬人子は気付いていなかったのだ。
 その感情が『嫉妬』だという事に。


 知らず知らずの内に抱えてしまった『嫉妬』という感情に苦しんで、それでもそれに気付かないふりをして、瀬人子は克美の『親友』を続けていた。どんなに心が醜く歪んでも、涼しい表情をして何食わぬ顔で振る舞い続ける。
 それは時間が経つにつれて、確実に瀬人子の心を黒く染め上げていった。
 黒く黒く醜くなっていく自分の心に、瀬人子は打ちのめされる。だが…もうどうしようも無かった。
 自分の心を解放する為には克美から離れる事しか無い。けれど、瀬人子の選択肢の中にそれは入っていなかったのだ。
 克美から離れる事も出来ず、だからといって『嫉妬』の感情から解放される事も無く、ただただ黒くなっていく心を見詰め続ける日々。
 それは酷く瀬人子の精神を疲弊させた。


 克美に置いて行かれた路上で、瀬人子はトボトボと手芸屋に向かって足を進める。どんなに歩みを遅くしても店が遠くなる事は無く、あっという間に目的の場所に着いてしまった。
 店の中からはオルゴール系の有線がかかっていて、それが入り口から流れ出て瀬人子の耳にも届いていた。
 客が落ち着いて買い物出来るようにとの店側の配慮なのか、その店は決して流行のポップス等は流さず、いつもオルゴールのメロディーが静かに流れている。
 克美とこの店に買い物に来ようと決めた時、瀬人子は一回だけ下見に来た事があった。そしてそんな店の雰囲気と品揃えに至極感心して即気に入ってしまい、今度は絶対克美と共に来ようと強く決めたのだった。
 こうして今日は克美と一緒にここまで来たというのに、何故か今、瀬人子の隣に克美は存在しない。一人で買い物しろとは言われたが、どうしてもそんな気にはなれず、瀬人子は店の脇の街灯に身を寄りかからせて俯いた。

「城之内…」

 思わずポツリと名前を零す。
 名前を呼んだからといって克美が来てくれる訳でも無い。現に目の前の通りを行き交う人々は、皆瀬人子の知らない人間ばかりだった。
 ザワザワという街の中独特の雑音の中、全ての人が右へ左へと瀬人子の前を急ぎ足で通り過ぎて行く。まるで瀬人子一人だけがこの世界の中で、ポツンとそこに取り残されているように思えてならなかった。
 日は傾き、辺りは暗くなっていく。気温が下がり肌寒いと感じたが、瀬人子はそこから動く事は出来なかった。ずっと立ち尽くしていた為にローファーを履いている足が痛みを訴える。それでもそこから動けない。
 ここに居れば克美が来るとは限らなかった。生地を買う事自体を諦めて、そのまま真っ直ぐ自宅に帰ってしまう事も考えられる。
 それなのに、瀬人子はそこから動けなかった。どうしても今克美に会いたかった。会って黒く染まってしまった心から解放されたかった。


 どのくらい時間が経ったのだろうか。
 手芸屋のシャッターがガラガラと閉まる音で瀬人子は我に返った。思わずそちらの方を見ると、店の従業員らしき女性と目が合ってしまう。ずっと同じ場所で立ち尽くしていた女子高生に向こうも心配していたのだろう。「買い物するの?」と優しく声をかけてきた。
 だが瀬人子はそれにフルフルと首を横に振って答え、再び俯いて黙り込んでしまった。女性の心配そうな視線はまだ感じてはいたが、敢えてそれに気付かないふりをする。
 そんな自分に瀬人子は自嘲気味に笑った。
 また気付かないふりをする自分がとても情けなく感じる。どれだけの事に気付かないふりをし続けていれば、この心は楽になるのだろうか。
 本当は苦しくて苦しくて仕方が無いというのに…。

「助けて…」

 雑踏のざわめきを聞きながら、瀬人子は小さく呟いた。

「苦しい…。助けてくれ…城之内…っ」

 ふいに泣きそうになって肩を落とした時だった。

「海…馬…?」

 突如聞き慣れた声が瀬人子の耳に入ってきた。その声に慌てて顔を上げると、今の今まで心から待ち望んでいた人物がそこにいるのが見える。
 その姿に心から安心して…そしてずっと抱えていた感情がグチャグチャに湧き上がって、瀬人子はつい泣きそうになって顔を歪めてしまった。
 そんな瀬人子に驚いたのだろう。克美が慌てて近寄って来て、肩を強く掴まれる。

「お前…何でこんなところに…。ていうか、買い物しなかったのかよ」

 克美の問い掛けに瀬人子はフルフルと首を横に振る事で答える。
 そうだ…、約束していた。一緒に買い物をすると約束していたのだ。
 その約束を克美は破った。一方的に破って、自分の知らない男とどこかへ消えてしまった。
 ずっと我慢していた怒りがふつふつと湧き上がるのを感じて、それでも何とかそれを押さえつけながら瀬人子は小さく声を出す。

「約束した…」
「え…?」
「一緒に買い物するって…。一緒に生地を選ぶって…約束した。だから…待ってた」
「待ってたって…。でもお前、もう店閉まっちゃってんじゃん。一人で買い物しろって言ったじゃないか」
「………」
「明日どうすんだよ。お前までオレと一緒に怒られちゃうじゃん…」
「それでも…約束だから…」

 爆発しそうな感情を無理矢理抑えつけ、瀬人子は俯いて身体を震わせた。こんな醜い感情を抱いている自分の顔を見せたくないと思い、深く俯いていたのだが、突然克美に抱き寄せられて驚いてビクリと跳ね上がってしまう。だけど抱き締めてくる腕の中が至極温かくて…。冷えた身体に熱が戻るようで、瀬人子はそのまま克美に抱かれたままじっとしていた。
 そして大人しくしている瀬人子に対して、克美が心から済まなさそうに謝ってきた。

「ゴメン…。オレが悪かったな…」
「あぁ、そうだ」
「全肯定かよ」
「当たり前だ。全部貴様が悪い」
「う…うん…。まぁ…そうだよな…」
「貴様が約束を破ったから、オレは生地を買えなかった。貴様が勝手にどこかに行ってしまったから、オレは明日教師に怒られるんだ。反省しろ。そして責任を取れ」
「わ…分かったよ…。どうすればいい?」
「今度の連休は初日の朝から邸に来い。今日オレが一人ぽっちでいさせられた分、連休中はずっと側にいろ。ずっとだ。離れる事は許さないぞ」
「あ…う…っ」
「返事は?」
「はい…。分かりました…」
「あと」
「うん?」
「もう二度と約束は破るな。それからむやみやたらに性行為したりするのも、オレは好きじゃない。オレと親友でいたいのなら、もう他の男に抱かれたりするな…っ!!」

 本当は…最後まで我慢しようと思っていた。だがもう我慢出来なかった。
 数時間前、元彼と一緒に雑踏に消えていった克美の背中が脳裏に甦る。
 それを見て、どれだけ自分がショックだったか。どれだけ自分が悲しかったか。どれだけ自分が怒りを覚えたか。
 抑えきれない感情の正体を、瀬人子は漸くこの場で理解した。

 そうか…。自分は『嫉妬』していたのだ…。

 克美の元彼。克美の友人。自分の知らない克美を知っていて、尚かつその克美から愛情を貰える人々。
 それらの人々に対して自分が『嫉妬』している事に、瀬人子は漸く気付いたのである。
 だから瀬人子は、わざと克美に対して『オレと親友でいたいのなら』という表現を使ったのだ。克美に、自分との関係を一番に考えて欲しいと…そう思って。
 それがどんなに醜く卑怯な感情であるか、瀬人子にはよく分かっていた。
 だけど…止められなかった。止められる術を持たなかった。

「うん…分かった。約束するよ」

 瀬人子の自分勝手な言い分に、だが克美は何も言い訳する事も無く真摯にそう約束してくれる。そして再び強く身体を抱いてくれた。

 済まない…、城之内…。本当に…済まない…っ!

 醜く真っ黒に染まった自らの心に自己嫌悪しつつ、瀬人子はそれでも克美の熱を拒絶出来なかった。
 その熱が余りに甘美で優しく気持ち良かったから。そして彼女の熱に心から安心してしまったから。

 自分が何故そんな心を持つに至ったのか…。
 瀬人子がその真実に気付くのは、それから間もなくの事であった。

誰かアレを止めてくれ!

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マイムマイムMADの止め場所が分からない二礼です、こんばんは。

誰かあの動画の上手な止め方を教えて下さいw
下手すりゃ30分くらい流しっぱなしになっちゃうんですけど…w


さて、以前から地下でモソモソと動いていた企画がいよいよ本格的に始動しだして、俄然やる気になって参りました。
実は『REMS』の散さんと前々から「社長の誕生日には合同で何かしよう!」と話していたんですよね。
で、何をしようかと色々相談した結果、交代形式で小説を書いていこうじゃないか…と決まった訳です。
三人称だと面倒臭いので(主に私がw)一人称形式にし、それぞれの得意キャラクターで書くという事で、散さんが社長視点を、私が凡骨視点を担当する事になりました。
文字書き二人なので好き勝手に出来ない辺りが難しいところではありますが、これはこれで向こうがどう動いてくるのか全く分からないので、そこら辺が物凄く面白かったりもするんですw
あ、ちなみについこの間やった『焦土の足跡』というコラボも存在しますが、あちらよりはこちらの方が先に動いていたんですよ?
散さんのブログにも書いてありますが、アレはもうホントにお互いに好き勝手に書き散らかした結果なので…w
ていうか何の相談も無しに見事に纏まっている辺りが怖いですw
妄想って凄いな…っ!!

あとさ…散さんとこのブログ見てきたんですけど…。
これじゃまるで私が、エ ロ 魔 神 のようではないか!!
違うよ散さん。
私自身がエロの神様なんじゃないのよ。
エロの神様は、自 ら の 脳 に 降 ろ す も の なんだよ\(^o^)/
多分額に『エロ』とか書いてあります。
ううん、知らないけどきっとそう。

つー訳で、社長の誕生日である10月25日前後に更新していきたいかな~なんて思ってたりして。
ちょっと忙しくてすぐには無理ですが、ウチも日曜日辺りには企画ページを作ってそこに纏めていこうかと予定しております。
多分自分の社長誕企画もそこにぶっ込んで、あと嫁に出した『焦土の足跡』のリンクも貼らせて頂こうかな…と(´∀`;
やる事が一杯だお…www


短編に『Friend…?』の後編をUPしました。
恋愛と友情の両立って難しいやね~。
まして相手があんだけ鈍感だと、克美も自暴自棄に走るってモンです。
つー訳で話の展開上、元彼とヤらせてしまった訳ですが、不快に思われる方がいましたらゴメンナサイ!!
しかも微妙にオチが暗くなっちゃったりしていますが、これでも一応続きは考えているんですよ?
もう既にご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、二礼は基本的にハッピーエンド信者なもんで…w
そんな訳でご多分に漏れず、コレに関しても最終的には納得の出来る形に持って行こうと思っています。
ていうか百合城海でハッピーエンドって…。
キワモノ過ぎるwww

次書く時は、コレもシリーズ物に纏めちゃった方が良さそうだな…。
こうやって抱えるシリーズが増えていくんですね、分かります。


以下は拍手のお返事でございま~す(´∀`)


>飛香莉様

こんばんは、お久しぶりです(´∀`)
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!

百合城海が好きな方がいてくれて、本当に良かったと思いましたw
ホントにね、女体化って難しいんですよ~。
片一方(大体においては受け側)が女体化するだけでも人を選ぶというのに、百合の場合は両方ですからね!
基本的な受け攻めは決まっていますけれど、女であるからには攻め側が『受ける』表現も必要になってきちゃったりもしますし、そうなるとそこでまた人を選び、同士がどんどん少なくなっていく訳ですw
だから飛香莉様の「女体化百合が好き」というコメントを読んで、心から嬉しいと思いました~(*´д`*)
時間があったらまた続きを書こうと思っていますので、気長に待っててやって下さいませw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')

『Friend…?』と日記の感想をありがとうございます。
あははw やっぱり一発で『Why…?』の続編だと分かっちゃいましたかw
私の方も敢えて意識して題名を付けているので、こうやって分かって貰えると嬉しいですv

今回の予想は惜しかったですね~!
1~4の中には無くて、その後に書かれた予想の方が正解でした(´―`)
今回は克美サイドで書きましたが、今度は瀬人子サイドで書けるといいなぁ~と思っています。
Rosebank様もコメントで仰っていますが、これはあくまでも『克美と瀬人子の物語』ですからね。
両方の視点から禁断の百合恋愛を表現出来ればいいな…とか思っていますw
うん、考えてたら段々楽しくなって参りましたwww

そうそう。
私が日記で書いた『友情と恋愛の境界線は男同士より女同士の方が緩い』という点ですが、確かに私が女子校出身だというのが強く出ているんでしょうね。
男性と違って女性は『受ける』事が前提ですからね~。
相手の想いを『受け入れる』という点では、女性の方が許容しやすいかな~と考えた訳ですよ。
でもよく考えれば男性も男性で『攻める』のが普通ですから、相手に想いを『受け入れて貰う』という点では、立つ側は違えど女性と条件は一緒なんですよね~(´∀`)
その辺をすっかり忘れておりましたw
そっか。結局は一緒の事なんだな(*'-')

それと日記の『マヒナ号泣事件』に反応して下さってどうもですw
いや~余りに強烈な事件だったもので、今でもハッキリ覚えているんですよ。
大人の男性が号泣する姿を見たのも初めてだったので、よっぽど印象深かったんでしょうねぇ…w
まぁ泣くのは勝手ですが、授業はしっかりやって貰いたかったです(´∀`;
(その後ヤングに促されて授業は再開したのですが、結局グダグダのまま終わってしまいました…w)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

Friend...?Ver.克美(後編)♀

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 克美が元彼と共にラブホテルに足を踏み入れてから数時間後。
 事の終わったベッドの上で、克美は俯せのままぼんやりと小野寺の事を見ていた。
 小野寺は使い終わったコンドームの口を縛り、それをポイッとゴミ箱に投げ入れる。そして汚れた陰部をティッシュで拭うと、それもクシャクシャに丸めて同じようにゴミ箱に投げ入れ、脱ぎ捨てた自分の制服に手を掛けた。下着とズボンを身に着けて、ベルトを通して金具を留める。

「それにしても」

 小野寺は上半身裸のまま俯せで寝転がっている克美の側に近付き、ベッドに片足を載せて克美の耳元で囁いた。

「『久しぶりにラブホでセックスでもしない?』というオレの提案を、まさかお前が聞いてくれるとは思わなかった」
「別に…。オレも欲求不満だったし。あ、でも金は置いて行けよ。オレ今マジで金欠で、余計な金一切使えねーから」
「分かってるよ。だからホテル代は奢るって言ったんじゃん」

 そう言って小野寺は再び克美の身体に手を伸ばしてきた。シーツと身体の間に手を差し込んで再び豊かな胸を揉んでくるその手を乱暴に払うと、克美は反対側にゴロリと寝返りを打つ。
 セックスはもう終わっている。もうこれ以上無駄に身体を触られたくは無かった。

「なんだよ、素っ気ないなぁ。もうちょっとイチャイチャさせてくれたっていいじゃん」
「何がイチャイチャだ。もう恋人でも何でもないだろ?」
「そりゃそうだけど。相変わらず大きなおっぱいで気持ち良かったです。ごちそうさまでした」
「それは良かったですね。お粗末様」

 何だか酷く疲れてしまって、克美は大きく溜息を吐いた。シーツを首元まで引き寄せながら身体を丸めて瞳を細める。
 瀬人子を…裏切ってしまった…。
 例えどんな理由があろうとも、瀬人子を裏切る事だけはしてはいけなかったのに。
 きっと瀬人子は自分を許さないだろう。けれど克美にとっては、それはまさに好都合だった。
 もうただの親友でいる事に…限界を感じていたのだ。

「ていうかさ、お前やっぱいいな!」

 すっかり落ち込んでいる克美の状態に全く気付いていないのか、突然小野寺が明るい声を出してベッドの脇に座り込んだ。

「オレさー。いかにも女の子っぽくしてる子より、お前みたいなサバサバしたタイプの方が好きなんだよな。な、もう一度付合わない?」

 肩を掴まれて揺さぶられる感触に不快感を示しながら、克美は肩越しに振り返って小野寺を睨み付ける。

「何がサバサバがタイプだ。オレが何も知らないとでも? 向こうの学校で滅茶苦茶可愛い子とお付合いしてるって、この間先輩んとこの学校に行った奴が教えてくれたぞ」
「げ…。知ってたのか…」
「なのにこんなとこで浮気しやがって…。オレは今付合ってる奴がいないから別にいいけど、先輩はバレたら大変なんじゃないの?」
「いやぁー、大丈夫だろ」
「何? その自信」
「何て言うかねー、そういう事に全然興味が無い子なんだわ。興味が無いっていうか、無知って言うの? このぐらいの年の男が毎日何考えて過ごしてんのか、全く理解してくれようとしないんだよねー。だから一年近く付合ってきても、まだキス止まりなんだぜ? ホントに参っちゃうっていうかさー。男の事情も分かって欲しいってもんだよな」
「何言ってんだか。文句たらたらのわりには、別れるつもりなんて全然無さそうに見えるんだけど」
「あ、バレた。やっぱ分かる?」
「バレバレなんだよ、先輩」
「うーん、まぁな。顔はすげー可愛いし、制服の上からでも胸大きいの分かるしさ。実際のところ、やっぱ好きだって思うしなー。克美とは全然タイプ違う子なんだけどさ、プロポーションはお前とタメはれるかもしれない。ホントもう、マジでいい胸してんだわ」
「別にタメはっても嬉しくも何とも無い。興味無いし」
「そう言うなって。それにサバサバがタイプなのは本当なんだぜ? そういえばさっきお前の隣にいたお友達。あの子もサバサバタイプだよなー。一人称もお前と同じ『オレ』だったし。胸は小さそうだったけど、スレンダーなのもなかなか…」
「………を…出…すな…」
「ん? 何?」
「アイツに…手を出すな…って言っているんだ…っ! もしアイツに手を出すような事があったら、オレがお前を許さないからな!!」

 それまで黙って聞いていた克美が突然起き上がって、小野寺の首に手を掛けてギラギラとした視線で睨み付けて来た。普段は穏やかな琥珀色の瞳が、何故だか赤く光って見える。克美の長い爪が皮膚に突き刺さって、首に鋭い痛みを感じた。その豹変振りに小野寺は二の句が継げなくなる。自分が今、克美の地雷を踏んだのだと…否応なく理解したのだ。
 この状態に入った克美がどれ程恐ろしいのか…。小野寺は少なくても中学生時代を恋人として共に過ごしていた為、嫌と言う程知っていた。慌ててその場から後ずさり、床に落ちていた残りの制服を拾って身に着け始める。

「う…うん、分かった。冗談だってば。本気で怒るなよ。じ…じゃあ…オレ帰るから…。あ、お金ここに置いておくね? オレが全額奢る約束だもんな? 余りは好きに使っていいから、何か買ったりすればいいと思うよ。それじゃまたな…。あ、お前の友達には間違っても手出したりしないから、安心してくれよな。オレはまだお前に殺されたくないしさ」

 冷や汗をかきつつ笑顔でそう言った小野寺は、サイドボードの上に一万円札を一枚置くと、そのまま逃げるように部屋を出て行った。それを横目で見てとって、克美はのろのろと身体を起こしてベッドから離れる。
 足元のゴミ箱に目を向けると、中には丸められたティッシュと使い終わったコンドームが捨ててあった。
 いかにもセックスをしましたという痕跡。だがこの痕跡を、自分は瀬人子に対して残す事は決して出来ないのだ。
 何も無い女性としての自分の身体。どんなに瀬人子に欲情しても、彼女を愛する事は出来ない。どんなに瀬人子に恋焦がれても、彼女の体内に入る事は不可能だ。瀬人子を…真に手に入れる事は永久に出来はしない。
 それがどれだけの絶望を克美に与えたのか…。

「セックスなんて、するんじゃなかった」

 踵を返し浴室に向かいながら、自嘲気味に克美はボソリと呟いた。
 セックスさえしなければ、この事実に気付く事も無かった。いや…本当はもうとっくに気付いている。それに気付かなかったふりをしていただけ…。
 浴室に行き、コックを捻って熱いシャワーを頭から浴びる。久しぶりのセックスだったというのに、ちっとも気持ち良く無かった。むしろ虚しくて仕方が無かった。この虚しさには覚えがある。自分で自分を慰める時の感覚と全く一緒だったのだ。
 どうしてこんな気持ちになるのか。克美にはよく分かっていた。

「海馬…っ」

 シャワーに打たれながら親友の名前を呼ぶ。
 そう、瀬人子で無ければダメなのだ。どんなに自分で慰めようと、他の男に抱かれようと、瀬人子で無ければこの胸にポッカリ空いた穴は埋められないのだ。
 それが分かっているからこそ…克美は辛くて仕方が無かった。


 数刻後。綺麗に身支度を整えて、克美は一人でホテルを出て来た。そのまま帰る訳でも無く、本来今日行くべきだった手芸屋に向かって歩いて行く。久方ぶりの性行為でヒリヒリと痛む下半身が、酷く不快で苛々した。
 ふと思い立って手元の腕時計を見る。針は夜の九時を過ぎていた。

「あぁ…。そう言えばあの手芸屋って、閉店時間九時だったっけかな…」

 ポツリと呟いて角を曲がり、視線に入って来た手芸屋を見ると、案の定しっかりとシャッターが閉まっていた。
 店の前に立って大きく溜息を吐く。
 生地を買い損ねてしまった。明日の授業はどうしよう…。
 そう克美が思いつつ辺りに視線を巡らせた時だった。店の脇の街灯の下に、見知った人影がいるのに気が付いた。力無く街灯に身体を寄りかからせ、学生鞄を両手で持って俯いている。その手に手芸屋の袋は見当たらない。

「海…馬…?」

 思わず呼びかけると、俯いていた顔が上がって克美を見上げる。そしてクシャリと泣きそうに顔を歪めた。
 その顔に慌てて側に駆け寄って、細い肩を掴む。

「お前…何でこんなところに…。ていうか、買い物しなかったのかよ」

 克美の問い掛けに瀬人子はフルフルと首を横に振った。

「約束した…」
「え…?」
「一緒に買い物するって…。一緒に生地を選ぶって…約束した。だから…待ってた」
「待ってたって…。でもお前、もう店閉まっちゃってんじゃん。一人で買い物しろって言ったじゃないか」
「………」
「明日どうすんだよ。お前までオレと一緒に怒られちゃうじゃん…」
「それでも…約束だから…」

 瀬人子が再び俯いてしまった為に、その表情は分からない。けれどその細い肩が震えているのを感じ取って、克美は無意識にその肩を引き寄せてギュッと抱き締めてしまった。瀬人子の細い身体は一瞬ビクリと反応したものの、抵抗らしい抵抗もせずに大人しく克美の腕の中に収まっている。

「ゴメン…。オレが悪かったな…」
「あぁ、そうだ」
「全肯定かよ」
「当たり前だ。全部貴様が悪い」
「う…うん…。まぁ…そうだよな…」
「貴様が約束を破ったから、オレは生地を買えなかった。貴様が勝手にどこかに行ってしまったから、オレは明日教師に怒られるんだ。反省しろ。そして責任を取れ」
「わ…分かったよ…。どうすればいい?」
「今度の連休は初日の朝から邸に来い。今日オレが一人ぽっちでいさせられた分、連休中はずっと側にいろ。ずっとだ。離れる事は許さないぞ」
「あ…う…っ」
「返事は?」
「はい…。分かりました…」
「あと」
「うん?」
「もう二度と約束は破るな。それからむやみやたらに性行為したりするのも、オレは好きじゃない。オレと親友でいたいのなら、もう他の男に抱かれたりするな…っ!!」

『オレと親友でいたいのなら』
 その一言で克美の胸はまたズキリと痛みを訴える。だがもう瀬人子を悲しませる事をするのは…嫌だった。
 それに克美も今回の事でよく分かったのだ。自分の欲求を解消する為だけに本意では無いセックスをしても、心は決して軽くなりはしないという事を。

「うん…分かった。約束するよ」

 心から真摯にそう告げて、克美は腕の中の瀬人子の身体を強く抱き締める。
 この想いは決して届かないだろう。それでももう…瀬人子にこんな辛い想いはさせたく無いのだ。

 瀬人子を守る為に自分の想いは殺してしまおう。

 愛しい身体を抱き締めながら、克美はそう心に強く誓っていた。

歴史漫画大好きv

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相変わらず懐古ブームな二礼です、こんばんは。

歴史が大好きなので、同等に古い時代の事を書いた物語とかも大好きです。
フィクションでもノンフィクションでもどちらでも良いのですが、当時の時代考証をしっかりと裏取ってるノンフィクションものは結構燃える(いつもの『萌える』じゃない方)ものがあります!
最近ハマっているのが、よ/し/な/が/ふ/みの男女逆転大奥なのですが、これがまたノンフィクションながら当時実際にあった事件や事柄などを上手く絡ませているので、歴史ファンとしては堪らない出来になっているんですよ!
元々江戸時代の事を調べていた時に、実際の大奥が非常にドロドロしていた事を知り、それが妙に気に入ってしまって(笑)色々調べてたりした時期があったんですよね。
しかもここ何年かで何回かドラマ化したりもしたので、すっかり大奥ファンになってしまった訳なんですよ。
そこに来て男女逆転大奥とは…っ! まさに私に読めと言っているようなものじゃないですか…!! ねぇ?(聞くな)
ちなみにもっと古い時代のノンフィクションなら、『源氏物語』が大好きです!
といっても流石に原文は読んでいません。
私が『源氏物語』ファンになった切っ掛けは、大/和/和/紀の『あさきゆめみし』を読んだ事だったんですよね~。
あの漫画は本当に凄い…っ!!
コマの一つ一つが、もう絵画そのものなんですから…っ!!
美し過ぎて言葉になりません。
そうそう、大/和/和/紀と言えば『はいからさんが通る!』も代表作品として有名ですが、アレもまた素敵な漫画でした…。
私の大正時代好きは、この漫画のお陰ですw


短編に『Friend…?』の前編をUPしました。
ぬるいけど一応『*』マーク付きです。
『Why...?』の続きという事で、久しぶりの百合城海ですね。

同じ同性愛でも、男同士と女同士って微妙に違いますよね?
何せ持っているモンとか使うモンが正反対な訳ですから…w
いつもは男同士を書いている訳ですけど、たま~にこうして女同士を書くと凄く楽しいですw
自分が女だから、男同士よりは表現しやすい部分とかもありますしね~(*'-')
ちなみに友情と恋愛の境界線が、男同士より女同士の方が緩いような気がするのは、二礼だけでしょうか?
………。
……。
…。
うん。私だけだな、きっとw

あ、そうそう。
克美の元彼の小野寺君ですが、彼の名前に特に重要な意味はありません。
オリキャラの名前考えるの面倒臭かったので、親戚の名前を借りてしまいました…w
全国の小野寺さん、ゴメンナサイです!!

後編は金曜日に上げまっする~!

*Friend...?Ver.克美(前編)♀

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城之内克美×海馬瀬人子。
両方女の子の百合城海です。
『Why...?』の続きになりますので、先にそちらを読まれた方が設定が分かり易いと思います。

 




「城之内…。オレを好きにしてくれ…」

 呆然と立ち竦む克美の前で、瀬人子は自ら制服を脱ぎだした。そして下着だけの姿になると、ベッドに仰向けになって足を開く。淡いブルーのシルクの下着が、瀬人子に良く似合っていて綺麗だった。
 ゴクリと生唾を飲み込むと、その音に気付いたように瀬人子が手招きをする。

「はやく…城之内…」

 その色っぽい声についに我慢が出来なくなり、克美は瀬人子が待つベッドに乗り上げた。ギシリ…とベッドのスプリングが鳴る。

「本当に…触っていいの…?」
「あぁ、構わない…」

 何かを期待しているかのような潤んだ瞳で、瀬人子は克美にそう言った。その言葉に克美は頷いて、そっと掌を瀬人子の内股に這わしてみる。滑らかな白い肌が掌に吸い付いてくるようで、知らず知らずの内に興奮してしまう。
 擽るようにサラリと撫で上げて、そしてシルクの下着へと手を伸ばした。布の上から割れ目を探るように指を潜り込ませる。そこはしっとりと柔らかく、どこまでも深く克美の指を飲み込んで…。

「あっ…! 城之内…っ」

 瀬人子が可愛らしい声をあげたと思った瞬間、克美は唐突に現実に引き戻された。


 部屋の中はまだ薄暗い。外では小鳥が鳴いている。
 自室の固い布団の上で、克美は目を覚ました。夢から覚めたばかりで未だ呆然とし、心臓もドクドクと激しく鳴っている。ゆっくりと身体を起こして枕元の目覚まし時計を確認してみると、起きるにはまだ全然早い時間だった。その事実に舌打ちをする。
 今日は連休明けの休刊日だった為、新聞配達のバイトは休みだった。それ故、せっかくだからギリギリまでゆっくり寝ていようと決めていた克美は、ポッカリと目覚めてしまった事に酷く腹を立ててしまう。だからと言ってこのまま起きるのも何なので、再び寝直そうと体勢を変えた時だった。

「っ………」

 先程まで見ていた夢の影響なのだろう。身体が妙に熱くなっている事に気付いてしまう。要は興奮…していたのだ。
 慌てて身体を強く抱き締めて我慢しようとするが、どうにもこの熱は収まってくれそうにない。
 仕方無く克美はパジャマのズボンと下着を少しずらし、自分の足の間に手を差し込んだ。そして自らの性器に指を強く押し当てる。

「あ…、かい…ば…」

 頭の中には先程まで目の前で展開されていた瀬人子の姿があって、自分の指の動きでイヤイヤと可愛らしく喘いでいる。頭の中の瀬人子の快感と、現実の自分の快感が重なった時…。

「っ………!!」

 克美は軽く身体を硬直させて達してしまう。後に残るのは異常なまでの背徳感と虚しさだけ。上がる息を飲み込んで、克美は深く深く嘆息した。


 克美の頭の中では、今とんでも無い異常事態が発生していた。高校に入ってからずっと親友だと思って来た瀬人子に対して、『あらぬ』想いが湧き出していたのである。
 きっかけは数週間程前に海馬邸でお泊まり会をした時の事。風呂場でじゃれて瀬人子の小さな胸を巫山戯半分に揉んだ時、克美は自分の中に今までとは違う何か別の感情が生まれたのに気付いたのだ。
 最初はただの勘違いだと思った。同じ女の子である瀬人子にこんな想いを抱くのは間違いだと。
 それなのに日々想いは膨らんでいく。既に恒例となってしまった週末のお泊まり会で、瀬人子と一緒に着替える度に、一緒にお風呂に入る度に、そして同じベッドで共に眠りにつく度に、瀬人子の存在は克美の心に深く根付いていったのだった。
 その想いの正体に、克美はもう気付いていた。だが気付いたからといって、一体どうしろというのだろう。相手は男では無い。自分と同じ女の子なのだ。想いを告げたからといって、結ばれる事は決して無い。しかも自分達は大の親友である。親友として自分を好いてくれている瀬人子の想いを、克美は傷付けたくは無かった。
 そう思って今まで必死に自らの感情を押し隠して来たが、既に生まれている感情を消す事等出来ず、その想いを我慢する事もそろそろ限界に近付いている。
 夢を…見るのだ。眠る度に瀬人子と結ばれる、現実では決して有り得ない虚しい夢を。もうずっと毎晩のように見続けている。

「海馬…、苦しい…。助けてくれ…」

 ポロポロと流れる涙をパジャマの袖で拭いながら、克美は枕に突っ伏して漏れ出る嗚咽を無理矢理飲み込んだ。


 結局克美はその後まともに眠る事もなく、寝不足のまま学校に行く事となった。寝不足でグラグラ揺れる頭を抱えて机の上で項垂れていると、流石に心配したのか、瀬人子が近寄って来て克美の肩を叩く。

「具合が悪そうだな。大丈夫か?」

 心配そうな瀬人子の声に克美も漸く顔を上げた。眠気で重い瞼をゴシゴシ擦りながら瀬人子に答える。

「いや、大丈夫」
「しかし顔色が悪いぞ。隈も出てるし、よく眠れて無いんじゃないか?」
「あー…正解。最近チョット悩み事があって…」
「ほう、貴様でも悩み事などするのだな」

 普通に受け答えしてくれる克美に安心したのか、瀬人子がわざと馬鹿にしてそう言った。その言葉に「お前の事だよ」とは言えず、克美は曖昧な顔をして笑うしかない。

「ところで今日は、帰りに一緒に買い物に行けるのか?」

 どうやら瀬人子は、具合の悪そうな克美を心配し、以前からの約束を守れるかどうか不安になったらしかった。期待を一心に載せて自分を見詰めてくる瀬人子の青い瞳に、一瞬克美は約束を反故にしようかとも考えてしまう。だが以前からしていた『親友』との約束を破るのは本意では無く、大体その為に今日はダルイ身体を叱咤して学校まで来たのだ。
 それに…瀬人子を悲しませる事だけは…したくなかった。
「うん」と頷いて答えると、瀬人子は至極嬉しそうに「そうか。では放課後に」と言って自分の席に戻っていく。その無邪気な姿を見送って、克美はまた頭を抱えるのだった。


 克美と瀬人子がしたい買い物とは、明日の被服の授業で使う生地だった。
 今学期から新しい課題に入った家庭科では、自分達のオリジナルパジャマを作る事になっていたのだ。そのパジャマで使う生地を以前から二人で買いに行こうと約束していたのだが、瀬人子の仕事や克美のバイトなどでなかなか二人の時間が合わず、結局ギリギリ前日の放課後に時間を合わせ買い物に行く約束をしていたのである。
 午後の授業が終了した後、二人は揃って学校を出て童実野駅の辺りまで来ていた。
 実はこの近くに、比較的有名な手芸専門店があるのだ。扱っている生地や小物も上質な上、値段もリーズナブルなのでこの辺りの女の子達の御用達の店となっているところだった。
 克美や瀬人子も、二人揃って大股で歩きながらその店を目指す。

「城之内、どんな生地にするつもりだ?」
「オレ? オレはそうだなぁ…、自分が似合う色ならなんでもいいや。お前はどうせ青とか白とかだろ」
「どうせとか言うな。青と白が好きなんだ」
「知ってるよ」
「そういうお前は黒か赤だろう? よく似合うしな」
「うん…まぁ…、どうせそうなっちゃうかなー」
「一緒に選ぼうな」
「勿論」

 一人でいる時は狂おしい想いに辛く感じてしまっていても、こうして二人で喋っていると不思議と心は軽くなっていく。決して想いが届いている訳ではなかったが、自分を心から信頼してくれているだろう瀬人子の笑顔や言動の端々に、小さな幸せを感じる事が出来るのだ。
 襟の形はどうだ、ボタンの種類はどうだと二人で楽しく喋りながら道を急ぐ。だから克美は背後から自分の名前が呼ばれている事に気付けなかった。
 先に気付いたのは瀬人子の方で、一瞬足を止めて後ろを振り返り、そして何も気付かずに前を行く克美の腕を慌てて掴まえて引き留める。

「海馬? 何だ突然…」
「呼んでる」
「へ?」
「誰かがお前を呼んでいる」

 瀬人子の台詞に、そこで漸く克美は振り返った。そこにいたのは他校の制服を着た一人の男性だった。「よっ! 克美!」と馴れ馴れしく克美の名を呼びながら、右手を挙げてにこやかに突っ立っている。
 その姿に克美は思わず目を瞠った。

「小野寺…先輩…」

 驚いたように呆然と立つ克美の側に、その男性が近付いてくる。

「久しぶりだな、克美。元気だったか?」
「うん…まぁ…元気…だけど」

 未だ驚愕から抜けていないのか、どこかしどろもどろな受け答えをする克美に、目の前の小野寺と呼ばれた男は豪快に笑ってみせた。そして克美の頭に大きな手を載せ、その髪をぐしゃぐしゃと掻き回す。

「な、何すんだよ!!」

 慌てて克美が一歩下がると、小野寺はまた嬉しそうに笑って口を開いた。

「そうそう。お前はそうでなくちゃな。それにしても相変わらずの猫っ毛。可愛いなぁ」
「余計なお世話だ!」
「そう噛みつくなよ。久しぶりに会った元彼だろ?」

 小野寺の言葉に、隣にいた瀬人子が慌てて克美の顔を覗き込んだ。だが小野寺はそんな事は構わないと言わんばかりに、突然克美の肩を抱き寄せるとその耳に何かを囁いた。ボソボソとした声は聞こえるものの、瀬人子の耳には小野寺が何を言っているのかは分からない。ただ何か嫌な予感がして、瀬人子は不安そうに克美の顔をじっと見詰めていた。
 それは小野寺の言葉を聞いている克美の顔が、驚愕の表情から何かを思い詰めたようなものに変わっていったからでもある。
 やがて一通り何かを伝えた小野寺が克美から身体を離した。ニヤニヤしながらその場所から動かないところをみると、どうやら克美の返事を待っているようだった。

「城之内…?」

 相変わらず何かを深く思い悩んでいるような克美に、瀬人子は恐る恐る声をかける。

「城之内…、どうしたんだ?」
「海馬…。あの…さ」
「何だ?」
「悪いけど…、買い物は一人で行ってくれないか?」
「は? 何だと?」
「オレちょっと…その…、今日はこの人と…用事というか…。一緒に行きたい場所が出来ちゃって…」
「城之内…! それはダメだろう! 約束はオレとの方が先の筈だ」
「うん…。そうなんだけど…。でも…オレ…どうしても…」
「貴様…っ! オレとの約束を破るつもりか!?」

 至極真剣な瞳で見詰められて、克美は思わず身体を硬くした。
 青い瞳が怒っていた。そしてその怒りの中、押し隠した悲しみが見えた。
 瀬人子を悲しませる事だけはしたくないと思っている。だけれども…あのお泊まり会の時から数週間、ずっと悩んで苛々していた気持ちが爆発しそうなのもまた事実であった。
 このままだと、きっといつか瀬人子本人に手を出してしまう事になるだろう。そうなる前に…この欲情を発散させなければいけない…。
 克美の脳裏に、今朝方の夢の瀬人子が甦ってきた。
 あれはただの夢。自分の願望が見せた夢。現実では絶対に有り得ない。あれを現実にしてはいけない。瀬人子は…守らなければならない。

「オレ…セックスがしたいんだ」
「え………?」

 突如放たれた克美の言葉に、瀬人子が信じられないような顔をして首を傾げた。

「暫くしてないから、そろそろセックスがしたくなっちゃったんだよ。何か丁度良いし、これから元彼と一緒にラブホに行って来ようと思ってる。だからお前がいると邪魔なんだよ」
「ラブ…ホ…?」
「ホテルだよ! ラブホテル!!」
「なっ………っ!!」
「そういう訳だから、今日はお前と一緒に買い物行けない。生地は一人で買いに行ってくれ」

 直接的な表現に言葉を無くして唖然としている瀬人子に背を向けて、克美は小野寺の元に歩いていった。そして共にホテル街へと進んでいく。スタスタとなるべく足早に歩いていき、脇道に足を踏み入れた時だった。突然背後からまるで悲鳴のような呼び声がかかる。

「城之内…っ!!」

 必死な叫び声。だけど克美は振り返ることはしなかった。「お友達が呼んでるよ。いいの?」という小野寺の声にも「いいから」と低く呟き、ひたすらホテル街に向かって足を進める。
 それ程克美は…追い詰められていたのだった。

戦争で授業中断

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懐古ブームな二礼です、こんばんは。

『REMS』の散さんにネタSSをサルベージして貰ってから、すっかり戦中戦後ブームに突入してしまいましたw
大正から昭和初期にかけてのあの混沌とした時代って、何か浪漫があっていいですよねぇ~(´∀`)
歴史大好き人間なので、今凄く楽しいですw
で、戦争で思い出すのが『マヒナ号泣事件』です。
これだけ出されても一体何の事か分からないでしょうから、ちょっと詳細を書いてみますね。


登場人物その1『マヒナ』♂:その年の春に大学を卒業したばかりの、新任の国語の教師。優しくて思いやりがある良い先生でした。本名W田。
登場人物その2『ヤング』♂:自らを『ヤングT中』と名乗る、チョット…いやかなりオカシイ社会の教師。スマートで格好良かった。この時30歳前後だった筈。


これは二礼が中学一年生の時の話です。
一学期の終わり、梅雨が終わる頃に国語の授業は戦争話へと進みました。
確か戦争中にまだ幼い赤ん坊の弟が栄養失調で死んでしまう…というようなお話だったような気がします。
その課題に入ったのは、二礼のクラスが一番最初でした。
ある夏晴れの日、いつも通り授業を進めていたマヒナは「それじゃ、最初は僕が一通り読んでみせるから」といって、静かな教室内で一人教科書を読み始めました。
最初は普通に朗読していたマヒナ。
ところが途中から度々朗読が止まるようになりました。
そして最終的には「グスッ…! ふっ…グスッ…!」と鼻を啜り始めたではありませんか。
最初は夏風邪でもひいているのかと思っていたクラスメイト。
だがしかし、やがて衝撃の事実がクラス全体に知れ渡りました。

マヒナ…、教科書読んで泣いていました…;

顔を見れば一目瞭然、もうメッチャ泣いています。
ポケットから取り出したハンカチを握りしめて泣いています。
ついには全く朗読できなくなり、授業は一時中断。
更には生徒達の前で泣くのが恥ずかしかったのか、「ゴメン…、ちょっと…」と言い残し廊下へ出る始末。
ピシャリと教室のドアが閉められるのと同時に、廊下から「ふぉぉぉぉーーーーん!!」という大音響が聞こえてきました。

コレが俗に言う『マヒナ号泣事件』の真相です。

国語の教師という事もあって感受性が人一倍高かったんでしょうねぇ…。
それは分かるのですが、授業は続けて欲しかったw
ていうか事件はそれだけでは終わらず、マヒナの泣き声を聞きつけて隣のクラスで授業をしていたヤングが飛び出して来たのです。
ヤングは廊下で大泣きしているマヒナを見て、直ぐさまこっちの教室に入り込んで「W田先生を泣かしたのは誰だ!!」と叫びやがりました。

誰も泣かしてねーっつーの。

先輩教師のヤングはマヒナの事を心配してそう言ったらしいのですが、濡れ衣を着せられた我がクラスの名誉はがた落ちです。
全員が必死になって、「マヒナは朗読中に勝手に泣いた」とヤングに訴えかけました。

このクラスがここまで一致団結したのは、この時が一番でした。
(その後、球技大会でも体育祭でも文化祭でも合唱祭でも、大した一致団結は出来ませんでしたw)

こうして我がクラスの誤解は解け、マヒナはヤングに促されて鼻水啜りながら授業を進めました。ちゃんちゃん。


この事件は二礼の脳内に強烈に残ってしまい、未だに戦争系の話が出るとコレを思い出してしまいますw
今考えても凄い事件だよ…。
大の大人(しかも男)が「ふぉぉぉぉーーーーん!!」ってwwwww
いや、それ以来ウチのクラスのマヒナ好感度が大幅にUPしたのも確かなんですけどねwww


子連れ城海シリーズの短編集に『再熱』の後編をUPしました。
大人のエロを目指して、なるべくネチっこく…ネチっこく…とブツクサ言いながら書いていたら、大分時間がかかってしまいました。
ていうかエロを書くの自体久しぶりだったので、ちょっと色々手間取ったのも事実です(´―`;
しかも思ったよりネチっこくならなかった…orz
大人のエロって難しいんだな。

あ、あとついでにSS集の方にも、会話SS『猫の爪痕』をUPしておきました。
息子と娘の会話SSですが、微妙に『再熱』と繋がっています。


さて、エロリハビリも済んだ事だし、社長誕企画がんばるおー!!\(^o^)/

猫の爪痕

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克人(以下『克』)
瀬衣名(以下『瀬』)
 



克「いたた…」
瀬「どうしたの、克人?」
克「どうしたのじゃないよ。思いっきり背中に爪立てただろ…瀬衣名」
瀬「あ、ゴメンね。つい」
克「ついじゃないよ。これ結構痛いんだからな」
瀬「ちょっと見せてみて。あ、ホントだわ。凄い事になってる」
克「お風呂…染みるだろうなぁ…」
瀬「男の子が何言ってるのよ。あ、でもコレ見て思い出したわ」
克「何を?」
瀬「私がまだ9歳の頃の話よ」
克「9歳というと…」
瀬「確か家出してすぐの頃だったかなぁ」
克「あぁ、やっぱり。あの頃の事か」
瀬「久しぶりにパパと一緒にお風呂に入った時にね、背中に引っ掻き傷があるのを発見しちゃって…」
克「………。え…、それって…」
瀬「そうなのよ。今考えればそういう事なんだって分かるんだけど、その時は全然分かんなくってね」
克「………」
瀬「で、思わず聞いちゃったの」
克「誰に!?」
瀬「パパに」
克「な、何てっ!?」
瀬「その引っ掻き傷どうしたのって」
克「そ…そうしたら…?」
瀬「そしたらパパ何て言ったと思う?」
克「さぁ…?」
瀬「滅茶苦茶綺麗な猫に引っ掻かれたんだって誤魔化したのよ~!」
克「ね…こ…」
瀬「それもすっごい嬉しそうな顔しながら。その時はそれで納得したんだけど、今考えるとおっかしいわよね~!」
克「………;」
瀬「やだ~! 思い出したら笑えてきちゃった! キャッキャッ!」
克「………。父さん…;」
 



父親達の関係を全面的に認めている瀬衣名にとってはタダの笑い話ですが、微妙に複雑な感情を抱いている克人にはキツイ話だったようです…w

*再熱(後編)

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 浴室の方から響いていた水音が消えた。
 リビングのソファーに座り、手持ち無沙汰気味にラックに入っていた冊子を眺めていた海馬は、冊子を目の前のテーブルに置いて顔を上げる。案の定、バスローブを羽織った城之内が浴室から出て来た。バスタオルで髪の毛をガシガシと拭きながらドアを閉め、そして視線をこちらに向ける。海馬と目が合うと嬉しそうに笑い、大股で近付いてきた。

「おまたせ。お前もシャワー浴びるだろ?」
「あ、あぁ…」

 城之内の言葉に頷きつつ海馬は僅かに視線を逸らす。久しぶりに見た城之内の身体は、随分と男らしく逞しく成長していて、海馬の目には眩しく移っていた。
 スーツを着ていた時には気付かなかったが、胸や腕の筋肉やガッチリした肩幅や首筋や背中の厚み、十三年前より明らかにしっかりと整った城之内の身体の全てに魅了されてしまう。
 海馬は、それがとても気恥ずかしかった。
 二十歳の青年から三十三歳の大人の男性に成長した城之内は、思った以上に男らしくなっている。それに比べて自分は十三年前と余り変わってはいない。力はあると自負しているが、それにしたって体型が全く変わっていない。腕も足も腰も首筋も細いままで、胸や背中は相変わらず薄っぺらいままだ。それが若い頃ならいざ知らず、年だけはしっかり取ってしまっているのだ。
 こんな身体で抱いて貰うなんて…と頭の片隅で考えた。城之内がシャワーを浴びている間に、やはり帰ってしまおうとも。
 だが、そんな事は出来なかった。
 本能が…、城之内を求める海馬の本能がそれを押し留めた。

「シャワーを…浴びてくる」

 そう言って海馬が立ち上がったその時、突然腕を引かれ、気が付いたら城之内の腕の中にいた。ギュッ…と力を入れて抱き締められる。
 シャワーを浴びたばかりの熱い身体。頬に感じる濡れた髪の感触。自分を抱き締める力強い腕。首筋に感じる荒い息遣い。思わず手を当てた胸から聞こえる心音。

「好きだ…。お前が…好きだ…」

 熱い吐息と共に耳元に囁かれる。その声にドクンと海馬の心臓が高鳴った。
 未だスーツを着たままの自分の服をゆっくりと脱がされていく。上着はバサリと床に放り投げられ、ネクタイも首元に指を差し込まれシュッと取り外されてしまう。そして震える指がYシャツのボタンにかかった。一つ二つと外され、現れた首筋に口付けられる。キュッと強く吸い付かれ、そして熱を持った舌でザラリと舐められた。

「ま…待て…っ!!」

 海馬は慌てて城之内の身体を押し返し、一歩後ろに下がった。

「何? どうした?」
「ま、まだ…っ。シャワーを浴びていない…っ!」
「んー…、何かもうどうでも良くね? このままでもいいと思うんだけど」
「良くはないっ!」
「何で? オレお前の汗とかの臭い嗅ぐの、結構好きなんだけどなぁ…」
「や…嫌だ!」

 若い頃なら何も怖くは無かった。ただ勢いに任せて汚れた身体のままで抱き合う事も厭わなかっただろう。だがもう…自分はあの頃の若い自分では無い。何も恐れるものが無く、全て勢いで前進していたあの頃とは違うのだ。
 先程の城之内の言葉が甦ってくる。
 思い切った事をするには、もう大人になり過ぎていた。
 顔を真っ赤にして俯く海馬に城之内はその内面を感じ取って、仕方無くといった感じで苦笑してしまう。

「ん、分かった。じゃ待ってるから早く行って来い」

 にこやかな笑顔の城之内に漸く安心して軽く溜息を吐くと、海馬は浴室へと向かっていった。


 数刻後、丁寧に身体を洗い海馬は浴室から出て来た。備え付けのバスタオルで身体の水気を拭いながら、ふと洗面台の鏡に映った自分の姿を見詰めてみる。改めてじっくりと見てみると、やはり十三年の月日は自分から若さを奪い取っていたらしい。一見すると二十歳のあの頃と変わっていないようにも感じられるが、良く見ると年月の爪痕は至る所に残されている。鏡の自分に指を伸ばして、そしてフッと自嘲気味に吹き出した。

「顔色が…酷いな」

 疲れが色濃く残っている。昔は何日も徹夜で作業したとしても、少し眠ればその疲れはあっという間に取り除く事が出来たというのに。それなのに今の自分の姿はどうだ…。張りを失った肌、真っ白で不健康そうな顔色、目の下には色濃く残っている隈。
 こんな顔をして、十三年間恋を抱き続けた男に抱かれるというのか…っ!
 けれど…もう二度と逃げ出したくは無かった。あの日、城之内を『捨てた』十三年前のあの日から、海馬はずっと後悔し続けてきたのだ。
 もう二度とこんな日は来ないと思っていた。それなのに何の因果か、再びやり直す道が今目の前に見えている。どこまでもどこまでも真っ直ぐに。十三年前のあの頃、行き止まりの見えていた道とは全く違う新しい道。もうあの頃のように自分の進むべき道に怯える必要も無い。

「城之内…。今…行く…」

 用意されていたバスローブを羽織り、海馬は胸を張って浴室から出ていった。


 リビングには既に城之内の姿は見えなかった。ぐるりと視線を巡らせて、海馬は寝室に繋がるドアを開ける。そこはもう薄暗く、丁度ヘッドライトの明るさの調整をしていた城之内が海馬に気付いて振り返ったところだった。

「おかえり」
「あぁ」

 ベッドサイドに立っている城之内が右手を差し出して来る。海馬はゆっくりと近寄って、その手に自分の右手を載せた。

「後悔…しない?」
「何の後悔だ」
「オレともう一度やり直す事に関しての」
「そんな後悔するくらいなら、あの時点でオレはとっくに帰っている」
「あはは! そうだよな。でも今のオレ達は『あの頃』とは全然違うから」
「子供か…?」
「うん…そう。多分あの若かった頃みたいに、自分達本意での恋愛は出来ないと思う。あの頃はこの身一つだけだったから何も怖いものなんて無かったけど、今はオレもお前も抱えるものや守るものが…多いもんな。オレはお前だけを、お前はオレだけを…っていうのはちょっと無理だと思う」
「それでも…道はそこにある」
「え………?」
「例えこの先、お互いの存在以上に優先しなければならない事柄が出て来たとしても、それでもオレはもうお前と離れるのは嫌だ…っ。どんな困難な事があったとしても、オレはお前と一緒なら平気だ。お前となら歩いていける。少なくても今見えている道は、オレとお前の二人だけの道だ…っ」
「海馬…」
「ずっとお前が好きだったんだ…城之内。忘れた事なんて一度も無かった。だから…オレを愛してくれ…城之内。もう二度と…離れたく無い…っ!」
「うん…うん…。オレもずっとお前が好きだったよ。もう二度と手放さないから…っ。だからもう一度…やり直そう!」

 城之内が海馬の腕を引いて、ベッドに押し倒した。仰向けに寝転がった海馬の上に、城之内が体重を掛けて乗り上げてくる。ギシリ…とベッドのスプリングが鳴ったのを聞いて、海馬はそっと瞳を閉じた。


 お互いに一糸纏わぬ姿になって、直接体温を預け合う。城之内の顔が近付いてきてその唇が自分の唇に触れた時、余りの幸福感に海馬は泣きそうになった。女性特有の柔らかな唇とは違う、荒れて固い熱い唇。けれどその唇からのキスを、自分がどれ程待っていたのか…。余りに嬉しくて海馬は城之内の首に両腕を絡め、無我夢中で吸い付いた。自分から舌を差し出して、絡まったそれを強く吸い上げる。
 舌の付け根が痛くなる程絡み合った後、漸く顔を離した城之内が困ったように微笑むのが見えた。

「焦るなよ海馬。そんなに必死にならなくても、まだまだ時間は一杯あるぜ?」

 その余裕たっぷりな城之内の態度に、海馬はまた一つ、城之内が大人になった事を知る。若い頃の城之内はとにかく必死で、抱き合う度にがむしゃらに自分を求めてきていた。今思えば、城之内にも道の終わりが見えていたのだろう。だから容赦が無かった。全身全霊をかけてまるで殺し合うように抱き合った。
 そう…別れを決めたあの時も…そうやってセックスをしたのだ。
 ふと、思い立って海馬は城之内の背中を撫でてみた。「何…?」と訝しむ城之内に、背を撫でながらキョトンとした顔を覗きこむ。

「背中を…傷付けただろう」
「背中? あぁ、『あの時』か」
「そう。結構深く傷付けた筈だが…」
「はは…。確かに血だらけになってたな。今でも一本だけ爪痕残ってるよ」
「何? 本当か?」
「うん。ほら」

 城之内が振り返って背中を見せる。広い男らしい背中の中に一筋だけ、薄く白い傷痕が残っていた。海馬はその傷痕にそっと手を伸ばし、指先でつつーっとなぞってみせた。そして自らの顔を近付け、下から上に向かって舌を這わす。その感触に、広い背中がビクリと反応するのを感じた。

「海馬…?」

 城之内の呼びかけにも反応せずに、海馬は懸命に城之内の背中を舐めた。じわりと滲んだ汗の味がする。十三年間、焦がれに焦がれ続けた城之内の味を舌先に載せ、その味を覚えるのに夢中になった。
 背中から肩胛骨、そして首筋にまで辿り着いてそこを舐めていると、ふいに視界が反転する。自分が再びベッドに押し倒されたのだと知ったのは、自分を見下げる城之内の興奮した顔が目に入ってきたからだった。

「随分と…大胆な事をしてくれるな、海馬」

 ニヤリと笑って乾いた唇を舌で舐め取っている城之内に対して、海馬もまたいやらしく笑ってみせた。

「オレも色々と経験してきているのでな…」
「へー…この色男が。一体何人の女や男を抱いて来たんだか」
「何人もなんて抱いていないぞ。オレが今まで抱いた事のある人間は、離婚した元妻だけだ」
「ふーん。じゃぁ抱かれて?」
「まさか。あんまり失礼な事言ってると怒るぞ」

 海馬は自分を見詰めている城之内の頭を抱え込んで、そしてその濡れた唇を挟み込むように熱烈なキスをした。そして繋がった唾液の糸もそのままに、フワリと微笑んで口を開く。

「オレを抱いた人間は、後にも先にも一人だけ…。お前だけだ、城之内」

 敢えて低く押し出したような声で漏れ出たその言葉に、城之内の喉がゴクリと鳴ったのを海馬は聞いた。


 静かな寝室にピチャピチャと濡れた音が鳴り響く。

「っ…! ぅ…んっ…」

 城之内が先程までのお返しとばかりに、海馬の全身を舐めていた。首筋をねろりと舐められ、震える頬に口付けられたと思ったら、今度は耳を唇で挟み込まれる。外耳に反って温かな舌が擽るように舐めていって、その度に海馬は小さく身震いした。大きく息を吐き出すと、今度は手を持ち上げられて指先に口付けられ、そのまま口内に含まれてしまう。全ての指をしゃぶった後、今度は肘の内側から脇の下までをつつーっと舌先で辿られて、更に脇腹に強く吸い付かれいくつもの紅い痕を残された。そのまま両足の間に入り込んだ城之内は、内股にも同じような痕を付けて、今は海馬の足を持ち上げて踵から土踏まずまでを舌で辿り、そして足の指を一本一本口に銜えて嬲っている最中だった。
 足を高く持ち上げられている為に、場所的に海馬の秘所は城之内に丸見えの状態だった。それなのに城之内はさらけ出されている場所をじっと見詰めるだけで、敢えて感じやすい場所への愛撫は避けている。それは先程胸を舐められていた時も同じで、城之内は脇腹や臍などへは遠慮無く吸い付き舐めていったというのに、海馬が弱い乳首への愛撫は遂に何もしないままだった。

「くっ…! っ…!」

 足の親指の爪をカリリと噛まれて、海馬はビクリと跳ね上がり声を漏らす。けれど若い頃のように無遠慮に喘ぐのも気恥ずかしくて、直接的な声をあげるのを我慢してしまっていた。

「何で我慢してんの? 苦しかったら声出せばいいのに」
「っ…。ふっ…ぅ…っ」
「久しぶりだし、ちゃんとお前の声が聞きたいなー?」
「いや…だ…っ」
「何でよ。可愛いのに」
「三十過ぎた男に可愛いも何も無いだろう…っ? うっ…んっ…。貴様こそ…もう…しつこい…っ!!」

 握りしめていた羽根枕を持ち上げて城之内に投げ付けながらそう言うと、だが城之内はそれをあっさり躱してクスクスと笑い出した。

「いやいや、そこはオレも大人になったんだって褒めてくれよ。昔みたいにがっつかなくなっただけ、マシってもんじゃない?」
「何がだ…っ! 焦らすだけ焦らされて、受ける方の身にもなってみろ! こっちだって久しぶりなんだぞ…!!」

 海馬の叫びに城之内が「おや?」という顔して、次の瞬間に破顔する。
 つまり海馬の言っている事は「もう待てないから、早く何とかして」と言っているも同然だったからだ。

「あぁ、ゴメンゴメン。ちょっとしつこ過ぎたか」
「分かっているなら…っ。ひっ…!」

 全く何の反省もしていないように謝ってきた城之内に対して文句を言おうとした時だった。突然強く乳首に吸い付かれて、海馬は悲鳴を上げてビクリと身体を跳ね上げさせた。固くなった乳首に舌を絡ませて強く吸われ、もう片方の乳首は指でこねくり回される。

「あっ…! 城…之…内…っ!」

 自分の胸に吸い付く頭を抱き締めて、海馬はフルフルと首を横に振った。
 久しぶりの感触に、身体は怖いくらいに素直に反応する。内側からビリビリと電気ショックのような刺激が駆け抜けて、身体の痙攣が止まらない。身体全体が熱く痺れて、呼吸もまともに出来なくなった。

「海馬…。気持ちいい?」

 熱く濡れた城之内の問いに、海馬は必死でコクコクと頷いて答える。

「気持ち…いい…っ」
「そうか、良かった。十三年も経ってるってのにな…。オレはお前の感じる場所をちゃんと覚えてた事に、今自分でビックリしてる」
「オレも…っ」
「ん?」
「オレも…だ…。んっ…! どうやらオレも…お前から与えられる刺激を…。あぁっ! 覚えて…いたようだ…っ。あふっ…!」

 ビクリビクリと身体を震わせながら、海馬が鳴くのを城之内は聞いていた。その顔はもう涙でグシャグシャだ。顔を真っ赤にして青い瞳を涙で濡らし、ハァハァと喘ぎながら城之内を見詰めている。
 こんな顔は子供には見せられないよなぁ…。お前の息子にも…オレの娘にも…。
 そんな事を頭の片隅で考えつつ、城之内は海馬を再び自分の手に入れる為に、その細い両足に手をかけた。


 海馬の両足を大きく開かせ、そこに顔を埋め込んだ城之内は、これから使う後孔を丁寧に舌で舐めていた。最初は海馬もローションでいいと抵抗していたものの、「久しぶりだからそんなもの忘れた」という城之内の言葉に諦めて、今は大人しく愛撫を受けている。
 城之内がローションを忘れたというのは、勿論真っ赤な嘘だった。予め海馬とこうする事を目的にセミスイートルームを予約していたのだ。何の準備も無しに事に及ぶ訳が無い。だが城之内はローションを使う事を止めてしまったのである。
 十三年ぶりの海馬の身体。自分以外の誰にも抱かれた事が無いというその身体は、勿論長い年月の間にすっかり『元』の身体に戻ってしまっている。
 だが城之内は焦らなかった。いや、十三年ぶりに抱くからこそ、その全てを自分自身で愛そうとしたのである。

「あっ…んっ! も…もう…いいから…っ!」

 細い指先が髪の毛を強く掴んできて、城之内をそこから引き剥がそうとする。けれど城之内はその手を優しくどけると、再び顔を埋めながら言った。

「まだダメだよ、海馬。ほら、まだこんなに固い」

 濡れた後孔に中指を押し当て、ぐいっとなかに押し込んでみせる。何とか指一本を飲み込んだものの、そこはギチギチと固いままで海馬を苦しめるだけだった。苦しげに息を吐く海馬を見つつ、城之内は指を押し込んだまま再び後孔の淵に舌を這わせた。そして唾液を擦りつけるように、丁寧に舐め回す。

「久しぶりだから、無理はさせたくないし傷付けたくも無い。もうちょっと我慢して…」
「いやだ…っ! もう…はやく…っ!! あぁっ!」
「我が儘言わないで、もうちょっとだから。ほら、二本目が入った」

 海馬の体内に押し込めた二本の指を、城之内はゆっくりと動かし始める。ぐちゅり…と大量の唾液で濡れたその場所から卑猥な音が聞こえて、海馬は余りの恥ずかしさに目をギュッと瞑り顔を背けた。
 城之内はそんな海馬に何も言わずに、ただ薄く微笑みながら海馬の体内を解いていく。

「何だろ…。まるで初めての時みたい。あんなに一杯やったのに」
「離れていた十三年の間に…身体が忘れてしまっていただけだろう…? くっ…!」
「そうなんだけど。何か初めてお前を抱いた時の事を…思い出した。今もあの時みたいにすげー胸がドキドキしてるんだ…。めっちゃ緊張してる。お前の事が好き過ぎて。お前の事が大事過ぎて。そんなお前をもう一度この手に入れられる事が凄く嬉しくて…。だから緊張してるんだよ。オレの手…震えてるの分かる?」

 城之内の質問に海馬は首を横に振る事で答えた。はっきり言って城之内の様子を気にする余裕なんか無かった。嬉しさと緊張で身体全体が震えているのは…自分の方だったから…。


 身体の方は既に限界に近付きつつある。すっかり固く勃ち上がった海馬のペニスは、自らの腹の上にポタポタと粘液を垂らしてしまっていた。おまけに物覚えの良い城之内の指が、海馬の体内の弱い場所を遠慮無く突いてくるので堪らない。別れてから十三年も経っているというのに、その場所を的確に覚えていた城之内に驚きを隠せず、それ以上にそこへの刺激の気持ち良さを覚えていた自分にも驚愕する。

「あっ…! あぁっ…! くぁ…っ…やっ…!」

 あれだけ恥ずかしいと我慢してた声が、今はもう勝手に漏れ出てしまう。強くシーツを掴み、ヒクヒクと下腹を痙攣せて喘ぐ海馬に、城之内も己の限界を悟ったようだった。

「海馬…」

 熱の籠もった声で名前を呼ぶと、海馬が潤んだ眼差しで城之内を見詰めてきた。そしてシーツから手を離し、震える腕を持ち上げて城之内へと伸ばしてくる。

「はや…く…きて…くれ…っ!」
「うん…っ」

 海馬の誘いに、城之内も頷いてその細い身体を抱き寄せた。


「ひっ…あぁぁぁ―――――っ!!」

 熱の籠もった寝室に、海馬の叫び声が響き渡った。
 入り込んでくる熱に怖じ気づく身体を宥めつつ、城之内はゆっくりと身を進めた。初めて結ばれた時の事を思い出しながら、なるべく海馬の身体を傷付けないように慎重に体内を浸食する。やがて全てを収めきって、城之内はふぅ…と安堵の吐息を吐き出した。

「海馬…。全部入ったぜ…。大丈夫…か?」

 もう既にグシャグシャになったシーツに横顔を押し付け、痛みと苦しみに耐えて震えている海馬が城之内の声にそろりと瞳を開けた。そして城之内に視線を合わせ、コク…と小さく頷く。

「へ…き…だ…っ」
「でも大分苦しそうだ。久しぶりだからもうちょっとこのまま待とうか」
「それは…嫌だ…っ!」

 海馬が大きく首を横に振って、そして目の前の城之内に強くしがみついた。自らの想いの強さを知らしめるように、力を入れて逞しい身体を引き寄せる。

「はやく…っ! はやく…お前を感じさせて…くれ…っ! 痛くてもいい…っ! 苦しくても…辛くても…いいんだ…!! 城之内…お前が欲しい…っ!!」

 海馬の心からの叫びに、城之内は耐えようも無い程の幸福感を感じていた。
 自分が心底惚れている相手にここまで強く求めて貰えるなんて…、この世の中にこれ以上の幸せなんてある筈が無い。

「海馬…っ! オレも…っ! オレもお前が欲しいよ…っ!!」
「城之内…っ!! あぁぁっ!!」

 強く強く抱き締め合って、城之内は海馬の身体に楔を穿った。十三年という長い年月をこの一晩で埋め尽くす為に、その熱を、愛を、想いを、海馬の中に全て注ぎ込む。

「あっ…! も…もう…ダメェ…っ!! あぅ…っ! もう…イク…っ!! 城之内ぃ…っ!!」
「うん。オレも…もうイクから…。だから一緒にイこう…。海馬…っ!!」
「うぁっ!! やっ…あっ…あぁぁっ!! うっ…あぁぁぁぁ――――――――――っ!!」
「海馬ぁ…っ!!」

 お互いに最後の力を出し合って、最愛の者を強く抱き締める。城之内は海馬の肌に痣が残る程力強く腰を掴み、海馬は余りの快感に我を忘れ城之内の背に爪痕を残した。
 だがそれは、二人にとっては必要な痕跡だったのだ。離れていた十三年間を忘れ、今日から再び共に歩く為に。そして…もう二度とこの手を離さない為に…強く…強く…。


 二人揃って熱を吐き出した後、城之内と海馬はいつまでも抱き締め合って動く事が出来なかった。やがてじっとりと汗に濡れた城之内の掌が持ち上げられ、同じように汗まみれの海馬の額に伸ばされて、しっとりと重くなった前髪を掻き上げる。現れた白い額に唇を寄せながら、城之内は幸せそうに微笑んだ。

「幸せだよ…海馬」

 心から嬉しそうな城之内のその言葉に、海馬も同じように微笑んだ。

「オレもだ…」
「もう離れないでくれ…」
「分かっている。もう二度と離れない」
「愛してるよ…海馬」
「あぁ、城之内。オレも愛している…」


 冷たく凍り付いていた『幸せ』が、今やっと溶け出した。
 再び燃え上がる熱を感じながら、二人は強く手を握り合う。
 もう二度と…この手を手放さない為に。

ありのままに(以下略)

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自分の理解の範疇を超えた出来事に唖然としている二礼です、こんばんは。


あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

『イラストを見て思い付いたネタをSSにして送ったら
いつの間にかフラッシュになっていた』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

(以上ポルナレフAAより。AAは崩れるので却下w)


えーと…。何が言いたいのかといいますとね。
つまり『REMS』の散さんがブログに載せていた絵にインスピレーションを起こしまして、何も考えずに突発ネタとしてSSを書き、それを安易に差し上げたらいつの間にかフラッシュになっていたと…、そういう事でございますw
「このSSの題名を考えておくれ」と言われた時はマジでどうしてくれよう…じゃなくて、どうしようかと思いました(´∀`;
ていうか本当に突発で思い付いたネタをSSにしただけだったんで、題名とか全然考えていなかったんです…w
ウンウン唸って捻り出した結果が、あの題名です。
考えた割りには大した題名で無くて申し訳ありませんでした…orz

ていうか、ど う し て こ う な っ た ?

余りに突然の展開にポカーンとしておりますw
あ、でもあんな拙いSSを立派なフラッシュにして頂けて、本当に凄く嬉しく思っております…(*´д`*)アハン
散さん、どうもありがとうございました~!!


子連れ城海シリーズの短編集に『再熱』の前編をUPしました。
お互いの娘と息子による遊園地騒動の後に、再びやり直す事にした三十三歳の城海の物語です。
いつも思いますが、大人の恋愛って落ち着いていていいですよね~。
子供には子供らしいがむしゃらな恋愛が熱くて良いと思いますが、大人には大人の地味な良さがあるというものです。
この雰囲気を残したまま、後半の大人のエロを書こうと思っていますw
大人のエロもいいよね~!
ネチっこくてwww


以下は拍手のお返事になりま~す(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(・∀・)

『STEP』の『すてっぷせぶん』と日記の感想をありがとうございます。
そうそう、今回のお話はズバリ『視姦プレイ』のお話でしたw
特に何をやっている訳ではありませんが、こういうのもまた直接セックスしているのとはまた違うエロさがあると思ってやってみました。
Rosebank様も仰っておられますが、『俎板の上の鯉』状態の海馬はエロくて良いですよね~(*´д`*)ハァハァ
自分で書いておいて何ですが、やっぱりあのシーンは特別エロイと感じましたw
恥ずかしさを耐えながら全てを晒け出す海馬って…何であんなにエロいんだろうなぁ…v
ちなみに卓上カレンダーに赤ペンで×印のあのシーンは、お馬鹿乙女海馬を強調する為にわざとあんな風にしました。
確かに普段の海馬なら、全て電子スケジュール帳に記載するのだとは思いますけどね。
ただあの海馬に限って言えば、ふと目に付いた時に確実に誕生日までの日数が目に入ってくる事を優先して、あのように卓上カレンダーを使ったのだと思います。
そうやって目に入ってくる度に、自分の誕生日に待っているであろう幸せを噛み締める為にも、最良の選択だったのではないでしょうか?(´∀`)
こう考えると、本当に乙女だなぁ~w

それから日記のエログロ系に関してですが、まぁ…はっきり言ってしまえば『スプラッタ系』です。
『逆転系城海』は今一番書きたいネタでもありますが、これがまた本当に難産で…;
今もまだ何とか導き出したラストに納得がいっていない状態なんですよ。
本人が納得していないラストを読んで下さる方が納得出来る筈も無く、そう考えるともう少しゆっくりと確実にネタを練っていきたいと思っているんですね。
んで、Rosebank様の仰る通りに『逆転系城海』を必死に考えている最中に横から飛び出て来たのが、先日の日記でエログロ系と言っていたネタだったんです。
しかも困った事にこのエログロ系のネタ、後から出てきた癖に妙に形がしっかりしてやがる…っ!!
プロットの方も非常に書き易く、本格的に纏まってきちゃいましたので、もしかしたらこっちの方を先にやってしまうかもしれません。
本来だったら先にネタとして上がっていた『逆転系城海』の方を優先するべきなのでしょうが、上記の理由にもある通り、自分自身で納得出来ていないラストを持っていきたくは無いんですよね。
そういう訳で順番が滅茶苦茶になってしまいそうですが、そこはご了承下さいませ~!

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

再熱(前編)

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城之内、海馬共に33歳。
瀬衣名が家出した『遊園地騒動』の後に、再び恋人としてやり直す事にした城海の物語です。

 




『この間は娘が世話になったな。お礼がしたいから、今度一緒に食事でもどうだ?』


 城之内から海馬の元に、そういう旨の連絡が入ったのは数日前の事だった。家出した城之内の娘を海馬ランドで保護した時から、いつかこのような展開になるとは思っていたものの、余りにアッサリと連絡が来た事に海馬は拍子抜けしてしまう。だがその連絡を無意識に待っていたのも確かで…。結局海馬は二つ返事で、城之内の申し出を了承して電話を切った。


 数日後の夜七時。約束していたホテルに海馬が姿を現わしたとき、既にロビーで待っていた城之内が立ち上がってにこやかな笑顔で近付いて来た。目の前に立って、改めて十三年ぶりにお互いの姿を確認する。
 十三年前に別れた時、二人はまだ二十歳になったばかりの若々しい青年だった。だが今お互いの目の前にいるのは、三十三歳になって分別のついた大人である。互いに仕事を持ち、子供を抱えて、すっかり落ち着いてしまっていた。二人揃って上質のスーツを身に纏い、大人の男の色香というものが目に見えるように感じる。

「久しぶり」

 スッと大人の男らしい笑みを浮かべて、城之内がそう海馬に告げる。海馬もそれに「あぁ、本当に」と笑顔で答える。

「子供は?」
「お前の言う通り、今日はモクバに預けてきた。アレの妻がかなりの子供好きなのでオレも安心なのだ。お前の娘はどうした?」
「オレも静香に預けてきたから大丈夫」
「そうか」
「それより腹減っただろ? このホテルの五階にちょっと良い和食の店があるんだ。酒も料理も美味しいし、石版の上でステーキ焼いてくれたりするんだぜ。お前、肉好きだっただろ?」
「まぁな。そんな事、よく覚えていたな」
「馬鹿にすんなよ。お前の事ならオレは全部覚えている。忘れた事なんて、一度たりとも無かった」

 それまで笑顔で受け答えしていた城之内が、一瞬笑みを収めて真剣な顔でそう海馬に告げた。その表情に、海馬はコクリと喉を鳴らす。
 お前の事なら全て覚えている。忘れた事が無いのはオレも同じだ…。
 そう思いつつ、海馬はそれを口に出す事は出来なかった。
 娘がいるという事は、城之内はもう既に結婚しているという事。妻がいる男に、海馬はそんな事を言う事はどうしても出来なかったのだ。


 城之内が紹介してくれた店は品の良い落ち着いた感じで、海馬はこんな上等な店を知っていた城之内に素直に感心した。しかも城之内はこの店の常連らしく、城之内が店に顔を出した瞬間に入り口に立っていた従業員が奥から女将を呼び出し、現れた女将は城之内に対して深々とお辞儀をする。そして上品な笑みを浮かべつつ「城之内様、いつもありがとうございます」と城之内に告げると、そのまま奥の個室へと連れて行かれた。
 一連の店の対応に驚きつつ、通された個室でテーブルに着き、海馬は思った事をそのまま口にする。

「凄いな、VIP対応じゃないか。ここには良く来るのか?」
「ん? あぁ、よく大事な商談とかで使ったりするんだ。品の良い店だから、向こうも大概気に入ってくれるしな」
「商談…?」
「あれ? 知らなかったっけ? オレ今ウェブデザイナーやってて、数年前から独立してんだよ。これでも結構人気デザイナーで、引く手あまたっていうの? お陰様で年末までオレのスケジュールはギュウギュウだ」
「本当か…? 信じられないな」
「いやいや、そこは信じとけよ。お前んとこの仕事だって色々やってんだからさ」
「何だと…!?」
「一番最近の仕事だと…半年前かな? この間海馬ランドで新しい水上コースターが出来ただろ? ブルーアイズとレッドアイズの。アレの公式ポスターと宣伝用のウェブページ作ったの、オレだぜ?」
「は………?」

 海馬は広報の仕事には一切関わっていない。そこは自分よりずっとその手の才能がある弟に一任しているからだった。だからあのポスターやウェブページを作ったのが誰なのかは知らなかったが、その見事な出来映えに感心していた事を思い出す。
 そしてその事を思い出すと同時に、十三年という年月が思った以上に長かった事を海馬に知らしめた。自分が知っている城之内は未だ人生経験が未熟な二十歳の青年で、別れた当時は貧乏学生だった。その後学校を卒業後、どこかの中小企業に就職したとの連絡を遊戯から一度貰ったきり、城之内に関する情報は全て途絶えてしまっていた。調べようとすれば調べられた筈だが、その頃にはもう自分も結婚していたし、何しろ形式的には自分から城之内を『捨てた』事になっていた為、自分が知りたい為だけに一方的に城之内を調べるのは間違いだと気付いていたのだ。

「オレは…今のお前の事を何一つ知らない…」

 俯いて静かにそう告げると、だが城之内はあっけらかんとした顔で運ばれて来た酒に手を付けながらニッコリと優しく微笑んだ。そしてまるで十三年前に戻ったかのような若々しい声で、海馬にこう告げる。

「それじゃ、今から知ればいいんじゃないの?」

 城之内の言葉に海馬は素直にコクリと頷き、差し出された酒を受ける為に杯を持ち上げた。


 出された料理はどれも美味だった。高級な酒を酌み交わしつつ、上品な料理を楽しむ。そして少しずつ互いの事を知っていく。その度に心が温かくなっていくのを、城之内も海馬も感じていた。十三年の間に凍り付いてしまった大事な何かが、少しずつ解けていくようだった。

「もう何年前だったかな? 海馬コーポレーションの社長が電撃離婚っつーニュースを見た時は、オレも驚いた」
「そんな事もあったな。もう三年…いや四年経ったか」
「もうそんなに経つのか。元奥さんは? 今何してんの?」
「さぁ? 再婚した相手とでも上手くやっているのでは無いか?」
「あ、もう再婚してるんだ」
「もうというか…。離婚した原因が、オレの部下との駆け落ちだったからな」
「えぇぇーーーーっ!? マジで!? お前…奥さんに逃げられてたの!? しかもお前の部下と!?」
「まぁな。そういう貴様はどうなんだ? 娘がいるって事は、奥さんもいるのだろう?」
「うん…まぁ…いるっつーか、いた…だけどね。もう七年も前に死んでる」
「え…?」
「癌だったんだ。気付いた時にはもう手遅れだった」
「それは…何というか…。辛い事を聞いてしまったな…」
「別に、そんなに気にしなくていいよ。オレも娘も、もうとっくに立ち直ってるしな」
「でも大変だったんじゃないか? 七年前といったらあの娘さんもまだ小さかっただろうし」


 海馬の脳裏に、小さな少女の姿が浮かび上がる。
 息子の克人と共に現れたその少女は、意志の強そうな大きなアーモンド型の目をして海馬の事を見上げていた。そのキツイ瞳とフワフワの茶色の髪が、誰かを思い起こさせて思わずドキリと胸が高鳴る。子供特有の柔らかな白い頬が、海馬ランドの閉園前の花火に彩られて美しかった。

「名前は?」

 身体を屈めて努めて優しく尋ねると、一瞬の迷いの後に少女は桜色の唇を動かして自分の名を名乗った。

「せいな…」
「名字は? 上の名前は言えるか?」
「えーと…その…。じょうのうち…です」
「………っ!?」

 小さな少女の口から漏れ出たその名前に、海馬がどれ程驚いたか。海馬はあれ程の衝撃を、今までの人生で一度も感じた事は無かった。自分の妻が部下と駆け落ちした時でさえも、ここまでの衝撃は無かったと思う。それ程までに目の前の少女の正体は、海馬の理解の範疇を超えていたのだ。
 だがそこに『運命』というものを感じてしまったのも確かである。目で見られず手で確かめる事も出来ない、自分が尤も嫌っている筈の不確かなもの。それでも嫌と言う程それを感じて、心臓が高鳴ってしまうのをどうしても止められなかったのだ…。


 城之内という名前だけでは、本当に彼女があの城之内の娘かどうかは分からない。だが海馬はどこかで確信していた。何よりその少女の容貌が、あの城之内を強く思わせていたから。

「運命…かな?」

 長く考え込んでいた海馬の耳に、突然城之内の声が入り込んでくる。それにハッとして顔を上げると、視線が合わさった城之内が柔らかに微笑んで口を開いた。

「やっぱ運命なのかなーって思って」
「運…命…?」
「そう、運命。別れてから十三年も経つのに、お互いに結婚して子供までもうけたっていうのに。二人揃ってこうして独り身に戻って、そして再び出会う事が出来た…。これが運命じゃ無いなら一体何が運命だというんだ?」
「そ…それは…オレには良く分からないが…」
「あぁ、お前はずっとそうだったよな。自分自身の目や耳や手で確かめる事が出来ない物は、認める事が出来ないんだったっけ。でもオレはそういうのも信じてる。だからこの運命をもう逃したくは無いと思った」

そう言って城之内はスーツの内ポケットから何かを取り出した。そしてそれをテーブルの上に置いてスッと海馬の方へ差し出してくる。城之内の指が離れていってその場に残されていたのは…一枚のカードキーだった。

「これは…?」
「これ? ここのホテルの部屋のキーだよ」
「1207号室…。十二階!? スイートがある階じゃないか!!」
「流石にオレはお前程金は持ってないから、残念ながらスイートじゃなくてセミスイートの方だけどな」
「それで…。このキーが何か…」
「分からないの? マジで?」
「だから何…っ!?」

 カードキーを持ったまま訝しげに城之内を見詰めていた海馬は、だが次の瞬間、驚きの表情を顔に浮かべてしまう。カードキーを持った方の手を、大きくて熱い手が強く握り込んだからだった。城之内は掌に力を込めて、白くて細い、そして相変わらずヒヤリと冷たい海馬の手をキーごと握り込んでしまう。そして驚く海馬に視線を合わせ、低い声で自分の想いを告げた。

「海馬、二択だ。今ここで決めろ」
「な…、何…を…?」
「このままこのオレの手を振り払って自宅に帰るか、それともこのキーを持ってオレと共に今夜はここに泊まるか。今ここで、はっきりと決めてくれ」
「………っ!?」

 今日はこのまま平穏無事には帰れないだろう事を、海馬は何となくだが予想していた。だが余りに突然の、そして余りに計算され尽くした城之内の行動に、驚いて二の句が継げなくなる。カードキーを持った自分の手は未だに城之内の熱い掌に包まれたままで、その熱がじんわりと自分の中に染み込んでくるように錯覚してしまう。
 今ここでこのキーを捨てて、店を飛び出して帰る事は、至極簡単に出来るであろう。だが、海馬はそれが出来なかった。自分の手を包み込むその大きな手が、微かに震えているのを感じ取ってしまったから。そしてキーを持っている自分の手も、同じように震えてしまっているのを知っていたから。

「オレの言っている意味が分かるな…? 海馬?」

 低く告げられる城之内の言葉に、海馬はただ黙ってコクリと頷く。

「オレは…ずっとこうする事を夢見ていた。結婚して娘が産まれて、好きだった女が死んでも…。それでもお前の事が忘れられなかった。ずっと…ずっとだ…海馬」
「………っ」
「オレはお前とやり直したいと思っている。間違った道を元に戻したい。もうオレ達の間を遮るものは、何一つ無い筈だ」
「城之…内…っ」
「お前を帰したくは無い。本当だったら無理矢理にでも部屋に連れて行きたい。だけどオレ達はもう子供じゃないから、そこまでは出来ない。そんな思い切った事をするには…オレもお前も大人になり過ぎた」
「………」
「だから今お前に聞いているんだ。さぁ…海馬、答えてくれ。帰るか。それともオレと再びやり直すか」

 城之内の言葉が深く深く心に突き刺さる。この甘い誘惑を振り切る術を、海馬は全く持っていなかった。
 何故ならば…、この誘惑を待っていたのは自分の方だったから…。
 手の中にあるカードキーを再び強く掴んで、海馬はスッと顔を上げる。その表情にもう迷いの色は見られなかった。

「オレも…オレもそう思っていたんだ、城之内。もう一度…お前と共に歩きたいと…」

 それが海馬が出した答えだった。

やる気はあれど...w

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色々と下準備している二礼です、こんばんは。

芸術の秋と言いますが、何かいつの間にかスランプから脱していたらしくて(スランプだったんですよw)、創作意欲がモリモリでございますw
十月に入って社長の誕生日も近付いて来た事だし、何か企画もやってみようと考えていますし、久しぶりに長編の連載とかもしてみたいんですよ。
(『STEP』もまぁ…長編ですけどw アレは不定期連載だからなぁ…)
で、今日嬉々としてやってみたい事をメモ書きしてみたのですが…。
一つ問題が持ち上がりました。
えぇ、物凄く重要な問題です。

時 間 が 足 り な い … っ !!

やりたい事は多々あっても、一日はどう数えても二十四時間以上は無くて、そして日数も増える訳じゃありません。当たり前だけどw
ていうか大体一気にやろうとするからいけないんだよね?
別に十月にやらなくていい事は、今やらないで先延ばしにすればいいんじゃないの?
…という事に、つい先程気付きました…www
アホ過ぎる。

あとね、もう一つ困った問題が浮上しました。
以前からプロットを纏めていた逆転系城海(城之内が海馬を金で買ってペットにするネタ)なんですけどね。
どうしてもラストが決まらなくてかなり難産してたんですよ。(出ない時は本当に出ない)
それが最近上手い具合で固まって来たのは良いんですけど、何か同じくらい書きたいネタが出来ちゃいましてね…。
しかもそのネタってのがファンタジーパロな上にエログロ系(ココ重要)なんで、どうしようも無いったらありゃしない;
まぁ…どっちかをガッチリ固めて、もう一つは保留にしつつ片方を連載しちゃえばいいんでしょうけど、困った事はこれだけじゃ無かった。
何と微妙にネタが 被 っ て い る … www
マジでどうしようかと今日一日ウンウン唸っていたのですが、それも先程結論を出しました。

ど っ ち も や っ て や る … !! …とwww

こうして自分の首を絞めていく訳ですね、分かります。
まぁそれは良いとして(良いのかyp!!)、問題は目の前に迫りつつある社長誕なんだよねぇ…(´∀`;
最愛の人の誕生日なので、多分何かしますw
さて…何をしよう?(*'-')


長編『STEP』のすてっぷせぶんをUPしました。
書いてみたら思ったより大した試練ではありませんでした。
まぁ…この物語は基本的にラブコメなんで、あんま殺伐とした雰囲気を出すつもりは無かったんですけどね~。
ていうかコレも社長誕に引っ掛けちゃったなぁ…;
社長の誕生日にどれだけの事をやろうとしているのだ…私はwww


以下は拍手のお返事でございまっするv


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)

『STEP』の『すてっぷしっくす』と日記の感想をありがとうございます。
せっかく設けた試練ではありましたが、Rosebank様の仰る通りに重くも暗くもならずに、あっという間に解決してしまいました…w
まぁこの物語の城海は二人の気持ちの大きさに多少の違いはあれど、基本的にラブラブですからねー。
誤解が解ければこんなもんですよw

さて、Rosebank様のコメントを見て気付いたのですが、確かにウチの遊戯(表)や杏子は城海の相談役や仲介役などのポジションにいる場合が殆どですね。
殆どっつーか、余り出番が無いのでほぼ全部そうな訳ですが…w
あ、ちなみに余り出て来ないので印象は薄いと思いますが、モクバや乃亜(『勇気の証明』のみですが)なんかもそうです。
やっぱり長編における第三者の存在ってのは大きいですよね。
物語に深みを出すという意味では、主人公達以外の人物の存在は必要不可欠だと思ってます。
そういう意味では確かに『Rising sun』はほぼ城之内と海馬だけの物語でしたが、やっぱり仲介役として小さい城之内を登場させているので、純粋に二人だけの物語という訳では無いんですよね~。
あの子がいるといないじゃ全く結論が変わって来てしまうので、何だかんだいってやはり第三者の存在は大切なのだと思います(*'-')

それから『聖/闘/士/☆/矢』の話が通じて良かったですw
腐女子っつーか、オタク道に入るきっかけになった作品なので、やっぱり思い出深いんですよ~!
ちなみに私はあまり青銅にはハマらずに、最初から黄金一筋でしたw
(青銅のみで考えるなら…一輝だったかなぁ…?)
そのころから美形好みっつーか、ミーハーだったんです…w
いやはや、三つ子の魂百までとは申しますが、本当に何にも成長しておりません(´―`;

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

すてっぷせぶん

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 呆然と立ち竦んでいるオレと遊戯を、城之内はどこか遠い目で見詰めている。だが、その眦が吊り上がって、口元に引き攣った笑みを浮かべるのにそう時間は掛からなかった。はぁ…と大きく息を吐き出すと、城之内はオレを睨み付けて恐ろしい程の低い声で言葉を発する。

「へぇ…。暫く連絡が無いと思ったら…、こういう事だった訳ね」

 城之内の言葉に含まれている意味に気付いて、オレは慌てて首を横に振る。城之内の身体から迸る怒りのオーラが、この目にも見えるようだった。もし自分が本当に間違いを犯していたなら、ここまで怒られても仕方が無いと思う。だがオレ自身は間違い無く潔白であったし、ただの誤解で最悪の結果など迎えたくは無かったのだ。

「違う!!」

 叫ぶように言い放った反論に、だが城之内は疑いの目しか向けない。

「何が違うの? どう見たってそういう事じゃん」
「だから違うと言っている! オレと遊戯とは何でも無い」
「本気で言ってんの? 悪いけどオレ、今日お前等が一緒に帰ってんのも教室の窓から見てたんだよ。それでこんな時間まで遊戯ん家で何してた訳? しかも玄関先で仲良く抱き合っちゃったりなんかして、どう見たって出来てるとしか思えないだろ?」
「それが誤解だと言うのだ…っ! オレはただ遊戯に悩み事の相談にのって貰っていただけだ。やましい事なんて何もしていない! おい、遊戯! お前からも何とか言ってやってくれ!」

 オレの隣で呆然と成り行きを見ていた遊戯に声をかける。オレ一人の言葉では届かなくても、親友の遊戯の言葉なら城之内に届くと思ったからだ。だが遊戯はそんなオレの言葉に、肩を竦めて呆れたように溜息を一つ吐く。そして小さな身体を真っ直ぐに伸ばして腰に両手を当て、そして凛とした声ではっきりと言い放った。

「城之内君。僕と海馬君が、君が思わず誤解するような形でいた事は、僕らが浅はかだったとは思ってるよ。だけど海馬君の言う通り、僕達は別に何もしていない。ただ普通に話しをしていただけだ。それでも城之内君が僕の事を信じられないというのなら、それはそれで仕方が無い。だけど、海馬君に対してのさっきの言葉だけは凄く失礼だと思う。海馬君の言っている事は本当だよ。だからさっきの言葉は訂正して、海馬君にだけは謝って」

 遊戯の強い言葉に、城之内は一瞬怯んだようだった。だがその瞳からはまだ疑惑の色が抜けていない。強気の遊戯に対して驚いた表情をしていたが、またすぐに引き攣った笑みを浮かべて言葉を放つ。

「それを…信じろってか…?」
「信じて貰うしか無いね」

 怒りと疑惑に震える声で放たれた問いに対しても、遊戯はキッパリと答える。先程オレに対して睨み付けられていた城之内の鋭い視線は、今や遊戯に向かっていた。暫く二人で睨み合っていたが、突如城之内の瞳がこちらを向いた。そして何かを決心したようにツカツカと歩み寄ると、グイッとオレの腕を掴んで引っ張っていく。

「な、何…!?」
「いいから来い」

 怒りを静かにはらんだその声に怯えつつ、力強い腕に引っ張られて引き摺られるように歩くしか出来ない。慌てて遊戯の方を振り返ると、先程までの威勢の良さはどこにいったのか。眉を下げて酷く心配した顔でオレの方を見ていた。だが、城之内に無理矢理連れて行かれるオレを助けだそうという様子も無い。そして心配そうな表情の中に薄く笑みを浮かべて、口の形だけで「頑張って!」と言っていた。
 おい、待ってくれ…っ! 何が頑張ってなのだ!! 城之内が今どれ程怒っているのか分からないのか!!
 普段城之内がギャーギャー騒がしく怒っている時は、彼が本気で怒っている時では無いのだ。怖いのは、むしろ今のように静かに低い声で落ち着いている時だった。城之内が静かに見えるのは、自分の怒りを爆発させないように我慢しているから。逆に言えば我慢しなければならない程の怒りを身の内に溜め込んでいるという事で、オレはそれが何よりも恐ろしかった。
 遊戯も少なからず城之内の親友であるならば、その意味は十分に分かりきっている筈だろう。なのに遊戯はオレの事を助けようとはしなかった。それはただ単に本気で怒った城之内が怖いからなのか…。それとも別の意図があるのかは…、今のオレには判断が付かなかった。


 酷く熱を持った熱い手で腕を引かれ、オレ達は特に何かを話す事も無く、そのまま城之内の住んでいる団地の部屋へと連れて来られる。ポケットから鍵を取り出し扉を開けている城之内を呆然と見ていると、そのまま真っ暗な部屋の中に押し込まれてしまった。パチンと音がして玄関が明るくなる。戸惑ったように壁を背にして立っているオレを余所目に、城之内はさっさとスニーカーを脱ぎ捨てると部屋に上がり込んで、あちこちの電気を点け始めた。そして部屋の向こうから「早く上がってこい」と声が掛けられる。
 本当は…怖かった。今すぐにでも逃げ出したかった。だが城之内に誤解されたままにする訳にはいかないと、オレは革靴を脱いで恐る恐る部屋に上がり込む。居間を抜け奥の部屋に視線を移すと、どうやらそこが城之内の私室らしく、既に上着を脱いだ城之内が敷きっ放しの布団の上に胡座をかいていた。手招きをされ「こっちに」と言われたので、オレはゆっくりとその部屋に足を踏み入れ、布団の脇の畳の上に正座で座り込む。オレを見詰める城之内の視線は相変わらず鋭い。未だに誤解が解けてないんだと理解して、オレは冷や汗で濡れる掌をギュッと握り込み膝の上に置いた。
 お互いに俯いて何も話さない時間が無意味に過ぎていく。だが突如、顔を上げた城之内が口を開いた。

「今日はウチの親父帰って来ないから。だからゆっくり話し合いたい」

 城之内の言葉にオレはコクリと頷く。今はただ城之内の誤解を解く事さえ出来ればどうなろうと構わなかった。

「証拠は?」
「え…?」

 突然放たれた城之内の問いが理解出来なくて、オレは思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。だがその直後に、それがオレと遊戯の事にかかっているんだと知って、慌てて首を振る。

「無い…。だけど、本当にオレと遊戯は何もしていない…っ!」
「証拠が無いのに、どうやって信じればいいんだよ」
「それでも信じてくれ! 何にも無かったんだ! 遊戯に対して特別な感情なんてこれっぽっちも無い! 何故ならば…オレが…オレが好きなのは…!!」

 まるで初めて城之内に告白した時のように心臓がドキドキした。だけれども、これだけはしっかり伝えなければいけないと、本能がオレに語りかける。

「オレが好きなのは…、城之内! お前だけだ!!」

 余りに大声で叫んだ為、城之内は一瞬驚いたようだった。だが暫くしてまた表情を歪めてしまう。こんなに心の底から絞り出して告白したのに、それが城之内に届いていない事が…悲しかった。
 これ以上どうすればいいのか分からなくて、再び俯いて黙りこくっていると、城之内が歪んだ表情のままボソリと言葉を放つ。

「お前の言いたい事は良く分かった。だけどオレはやっぱり信じられない。半月もの間、オレはずっと海馬からの連絡を待ち続けた。なのに二学期が始まるまで、ついにお前からの電話もメールも一度も無いままだった。だからオレはもう諦めようと思っていたんだ。きっと他に別に好きな奴が出来て、オレの事なんて無かった事にしちまったんだろう…って」
「そ、そんな事は…無い!」
「お前はそう言うけど、何の連絡も無かったのにどうしてそれを信じられると言うんだ? 現に諦めようと心に決めた途端に見ちまったのがアレだ」
「っ………!」
「これでお前と遊戯の間に何も無かったと? そんな事を…簡単に信じられる訳が無いだろう!?」

 まるで泣き叫ぶように放たれた一言。その城之内の叫びでオレは理解してしまった。
 城之内は怒っていたんじゃない。本当は泣きたかっただけなんだ…と。
 それを理解した途端、オレは城之内の事を怖くも何とも無くなってしまった。ただ愛しさだけが胸の内に溢れてくる。
 あぁ…。オレは本当にコイツの事を愛しているのだなぁ…と、心から感じて安心した。

「城之内…」

 オレはその場でスッと立ち上がって、自分の制服のボタンに手を掛けた。そして上着を脱ぎ捨て、更に中に着ていたYシャツのボタンも外しながらニッコリと微笑みかける。

「オレの…。オレの身体を見れば納得出来るか? もし今遊戯と何かをしてきたばかりだったのなら、オレの身体に何かしらの痕がある筈だ。男同士でしていたのなら尚更、普通の男女の営みのように何の証拠も残さず抱き合う事は不可能だ。その痕が何一つ見付からなければ…お前はオレを信じる事が出来るのか?」
「え………?」

 驚いたように見上げる城之内に優しく微笑みつつ、オレはベルトに手を掛け下着毎ズボンも降ろしてしまう。煌々とした電気の下、オレは一糸纏わぬ姿になって城之内の目の前に立ち尽くした。そして城之内の目の前に座り込み、そっと両手を差し伸べる。
 もう恐ろしくは無い。あるのは城之内に対する愛しさだけだ。

「さぁ、お前の手で隅々まで調べてくれ。それでお前の誤解が解ければ、オレはそれで本望だ…」

 ただ微笑んで城之内を待っていると、驚愕した表情のまま城之内の手がこちらに向かって伸びてきた。そして肩を押されて布団の上に押し倒される。肩を押さえつけていた手が、そろそろと肌の上を辿っていった。指先が少し震えている。明るい光の下、城之内に全てを見られている事に今更ながらに羞恥心が芽生え、熱い指先の熱を感じる度にゾワリと肌が粟立った。けれどオレはそのまま瞳を閉じて、全てを任せる事にする。瞼の向こう側で電気の光がボンヤリと見えていた…。


 城之内はその後、オレの腕や足を持ち上げたり身体を引っ繰り返したりして、あちこちを確認しているようだった。最初は黙って城之内のする事に任せていたオレも、流石に俯せにされ双丘を割られた時は身体を固くしてしまう。一度は自分の裸を全て見せた事があるとは言え、あの時は薄暗い部屋の中での出来事だった。こんなに明るい部屋の中で、しかもそんな場所をじっくりと見られた事は無い。途端に羞恥で身体が細かく震え出す。だけど抵抗する気は全く無くて、オレは瞳をギュッと閉じながら布団のシーツを強く握って何とか耐えていた。
 やがて納得出来たのか、城之内の身体がオレから離れる気配がする。恐る恐る肩越しに振り返ると、城之内は酷く泣きそうな顔でオレを見詰めていた。「納得…出来たのか?」そう尋ねると、コクリと小さく頷いてみせる。

「海馬…。ゴメン…海馬。オレ…オレ…」

 先程までの恐ろしさはもう既に何も感じられない。鋭い視線もどこかに行ってしまったようだった。ただ今は、泣きそうに震える声で小さく謝る城之内の声が聞こえるばかりだ。
 胸に愛しさが込み上げる。ゆっくりと起き上がって、震える城之内をそっと抱き締めた。

「もういいから…」
「でも…オレ、お前に酷い事を…」
「いや、オレも悪かったのだ。お前が一度オレを気遣うメールを送ってくれたと言うのに、つまらないプライドに邪魔されて返事を返す事が出来なかった。それで何の連絡も無かったのに、突然遊戯とあんな風に抱き合っていれば…お前が誤解するのも仕方が無い。すまなかった…」
「海馬…」
「悲しかったのだ…。あの時…オレは悲しかったのだ。お前の事が好きで…大好きで…、なのにお前には何も伝わって無かったんだと思い込んで…悲しかった」

 黙ってオレに抱き締められていた城之内の腕が、オレの背に廻ってギュッと抱き締め返してきた。その熱を直に感じながら、オレはポツリポツリと口を開く。

「あの時…オレはお前と一つになりたかった。なのにお前が逃げ出してしまって、それが酷く悲しかったのだ。まるで自分一人が恋をして、空回りしているようだと…そう思って。だから凄く悲しくて…悔しくて…辛かったのだ。お前の気遣いを無視してしまう程に…」

 いつの間にか涙が零れ落ちていた。それを城之内のTシャツに擦り付けるように肩口に顔を埋める。

「でも…本当は…会いたかった…。会ってちゃんと話しがしたかった…。お前の気持ちがオレの後から付いて来ている事なんて、もうとっくに知っていた筈なのに。それでちゃんと納得していた筈だったのに…。だけど…オレの気持ちはもうとっくにそこを乗り越えてしまっていて、それが何より辛かった…。お前の事が好きだから…辛かった」

 あの日からずっと胸の内にあった言葉を城之内に直接告げる。重くて悲しくて辛かった想いが、少しずつ消えていくようだった。そして城之内は、そんなオレを更に力を入れてギュッと抱き締めてくれた。温かな掌が剥き出しのオレの背を撫で擦る。それがとても心地良くて、何だか妙に安心した。

「うん…ゴメンな…。オレも意気地無しだった」

 やがて、オレの話しを全て聞き終わった城之内が耳元でそう囁いた。

「自分の気持ちがまだそこまで辿り着いていないと気付いていたのに、急に海馬を抱く機会が目の前に降りてきて…焦ったんだ。本当は凄く海馬の事を抱きたかった。だけどこんな中途半端な気持ちを抱いたまま海馬を手に入れる事なんて…どうしても出来ないと思った。あの時も言ったけど、それはお前に対して凄く失礼な事だと思ったから」

 城之内がオレの身体をゆっくりと引き剥がす。そして畳みの上に落ちていたオレのYシャツを手にとって、それを肩に羽織らせてくれた。城之内に促されてしぶしぶ腕を通すと、今度は一つ一つボタンを留めてくれる。

「この半月間、こんなオレでも自分なりにじっくり考えてみたんだよ。でも出てくる結論はいつも一つだけ。それはオレもお前の事が好きだって事だけだった。考えれば考える程、お前の事が好きになる。そして気が付いたら、死ぬ程お前の事が欲しくなっていた」
「な…んだ…と…?」
「だからお前がいつまで経っても連絡一つ寄越さない事が、凄く悲しかった。もしかしたらあの時に呆れられちゃって、もうダメなのかもしれないって諦めかけてた。今日だって学校に来てたのに全然話しかけてもくれなかったし、目も合わせてくれなかっただろ? だからいよいよ覚悟しなきゃいけないんだなーって…そう思ってたら…。そしたら偶然お前と遊戯が抱き合ってるのを見ちゃって…」

 最後のボタンを留め終わって、今度は腕を取られた。Yシャツの袖をピッと伸ばしつつ、袖のボタンを留め始める。

「それ見た途端、頭にカーッて血が昇っちゃってさ。お前と会えなかった半月間、オレはこんなに悩んでいたというのに、お前は遊戯と一体何してたんだって思ったら歯止めが効かなくなっちゃった。お前や遊戯がどんなに『違う』と言っても、どうしても信じられなくて…。それが悲しくて辛かった」

 片側のボタンを留め終わった城之内は、もう片方の腕も取って同じようにボタンを留め始めた。

「いや…本当は、心の底ではちゃんとお前の事を信じていたんだ。だけどオレも意地っ張りだから、自分の本心すらも素直に認められなくて…。それで結局お前にも遊戯にも酷い事言っちまって…。本当に…悪かったと思ってる」

 袖のボタンを留め終わった城之内はオレの腕をそっと放し、そして目の前にいるオレと真っ直ぐに視線を合わせてニッコリと微笑んだ。

「好きだよ、海馬。オレ…お前の事を心底欲しいって思ってる」
「城之内…っ。ならば…」
「でも、今日はダメ」
「何故だ? 今日は貴様の父親は帰って来ないのだろう? だったら邪魔は入らないではないか」
「うん、まぁそうなんだけど。でも今オレが言ってるダメってのは、そう言う意味じゃ無いの」
「………は?」
「こんな事があった後に、済し崩しにセックスとかしたくない。やっぱりちゃんと気持ちが完璧に通じ合った状態でしたい」
「だ…だが…、気持ちならもう十分に通じ合っているではないか…」
「うん。でもオレ、セックスして仲直りとかってしたくないんだ。分かってよ…海馬」
「………っ」
「そんなに落ち込まないで。あのさ、それで相談なんだけど…。来月ってお前の誕生日があるだろ? 十月二十五日」
「そうだが…。それが?」
「だからお前の誕生日に…とかどう?」

 城之内のその言葉に、オレは慌てて顔を上げた。目の前には優しい笑顔を浮かべた城之内の顔があって、その琥珀の瞳が余りにも愛しげにオレを見詰めているのに、思わず赤面してしまう。

「オレの…誕生日に…?」
「うん、そう」
「抱いて…くれるの…か…?」
「うん」
「本当に…?」
「嘘は吐かないよ。もう逃げたりもしない。約束する」

 そのはっきりとした答えにオレは嬉しさの余りにじわりと涙を滲ませつつ、目の前の愛しい男に力強く抱きついた。


 次の日、オレは仕事の関係で学校には行けなかったが、城之内はちゃんと遊戯に謝って無事に仲直りしたらしい。城之内と遊戯の両方から報告のメールが来ていたから、間違い無いだろう。
 そしてオレはというと、とても他人には見せられないような笑顔を浮かべながら、卓上カレンダーに赤ペンで×を一つ書き足した。赤い×印はまだ一つ。けれどもこれは日が経つに連れていくつも増えていくだろう。そしてこの×印が十月の二十四日を消した時…。その日がオレにとって真の幸せが訪れる日なのだ。
 その日を密かに楽しみにしつつ、オレは今日の分の仕事をさっさと終わらせてしまう為、目の前の書類に取り掛かる事にした。

泣いた...っ!!

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久々に大泣きした二礼です、こんばんは。

いや別に欝っぽかったから泣いていた訳では無く、大泣きするくらいの感動小説に出会ったからですw
気分が落ち込んでいたので、久しぶりに前ジャンルを含めた遊戯王以外の他ジャンルのサイト巡りをしていたんですね。
ここのところ暫く遊戯王オンリーでしたので、他ジャンルのサイトには行っていなかったのですよ。
それが久しぶりに巡ってみたら、あちこちのサイトで新しいお話が一杯更新されていて、久しぶりに小説の纏め読みが出来て幸せでした(*´∀`*)
あぁ…暫く離れていたけれど、やっぱりあのジャンルもこのジャンルも最高に良い…っ!!
特に今回力を入れて廻ってみたのが、私の腐女子人生の原点でもある『聖/闘/士/☆/矢』です。
以前からずっと大好きだった小説サイトさんを覗いてみたら…、やっぱり一杯増えている!!
wktkしながら色々読んでいたら、とある小説で感動しまくり、ついに涙腺崩壊しました…w
あーもう、涙と鼻水が止まりませんwww
せっかく風邪の方も治ってきて、漸く鼻水も止まったと思ってたのに、また例の保湿ティッシュが大活躍ですよ(´∀`;

保湿ティッシュ<何勘違いしているんだ! オレのターンは(以下略

というティッシュの声が『クリティウスの牙』と共に聞こえた気がしましたw
それにしても羊一家はいいなぁ…。
もうホント…泣けて仕方が無い…(;∀;)イイハナシダナー
(分かる人だけ同意して下さいwww)


長編『STEP』のすてっぷしっくすをUPしました。
試練です。コレが当初から予定していた試練の正体です。
浮気(してないけど)現場を恋人に見られるというのは、修羅場のセオリーですねw
『STEP』はこの間ちゃんとプロットを纏めましたので、これで大分書きやすくなりました。
やっぱ私はちゃんとプロット製作をしないとダメみたいです…(´∀`;
もっとこう、頭に浮かんだものをパパッと書けるようになりたい! 凄くなりたい!!
だってプロット作る時間って、余裕で短編一本書けるくらいの時間なんですよ~。
もしこの時間を節約出来ていたら、もう一本小説書けるじゃんねーって思いません?
でもまぁ…そう思って簡単なプロットでいいやと思っていたら、あっけなく敗北した訳なんですがねw
これからはどんな話しでも面倒臭がらずに、真面目にプロット作ってから長編に手を付ける事にします…w


以下は拍手のお返事になりますです!(>_<)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')

『寂しがり屋の黒兎』と日記の感想をありがとうございます。
あーそうですね!
今回の乙女度は海馬じゃなくて、完全に城之内でしたね~(´∀`)
多分気分が欝モードに入っていたからだと思いますが、たまにはこんな城之内もいいのかもしれませんw
ていうかよく考えたら、またヘタ之内か!!
最近ホントにヘタレ城之内が多いですねぇ…;
そろそろ格好良い城之内も書きたいところですw

感情移入の話しについては、以前もRosebank様から同じようなコメントを頂いた事がありましたね(*'-')
その時も申しましたが、私は海馬よりも城之内の方が『理解し易い』んですよ。
一番に愛しているのは間違い無く海馬なんですがね~w
だから海馬sideのお話より城之内sideのお話の方が多くなってしまうんだと思います。
でもRosebank様の『城之内になって海馬を愛したい』は上手いと思いました。
別に城之内になりたいとは思っていませんが、城之内をけしかけて海馬を幸せにしたいとは思っているかもしれませんw

ちなみにセックスシーンについての描写は敢えて全くしませんでしたが、多分Rosebank様がご想像なさっている通りの展開だと思われますv
必死な城之内を黙って受け入れる海馬って…想像するだけで色っぽくて最高ですよね~!(*´д`*)ハァハァ
何か想像したら、このセックスシーンだけ抜き取って別書きしたいと思ってしまいました…w
(シ、シマセンヨ!! シナインダカラネ!!)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

すてっぷしっくす

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 お盆のセックス未遂事件から半月。夏休みは終了し、学校は二学期に突入していた。久しぶりの登校にオレは酷く重苦しい気持ちで一杯で、廊下を歩きながら深く溜息を吐いた。


 あの日、オレの部屋から逃げ出して客室で一夜を過ごした城之内は、次の日の早朝には新聞配達のアルバイトの為に早々に邸を出ていった。まだ夜が明けきっていないのに門が開く音が外から聞こえてきて、余りのショックに眠れずにいたオレはそっとベッドから這い出して窓から覗き見てみた。丁度城之内が門を開けた守衛にお礼を言いながら外に出て行くのが見える。一瞬だけ後ろを振り返ったようだったが、こちらに気付いた様子はなかった。そして城之内は…そのまま去って行ってしまった。
 あの日から、オレ達の間は酷く疎遠になってしまった。オレの仕事や城之内のバイトが忙しくなった事もあるが、あの日の屈辱がどうしても忘れられず、オレは奴に連絡を取る事が出来なかったのだ。城之内もオレを傷付けたという自覚があったのだろう。あの日から数日後、一通だけオレを気遣うメールが届いたが、まだ怒りが収まらなかったオレはそれを無視してしまった。一度無視をすれば改めてこちらから連絡する事は難しくなる。城之内もメールの返事が届かなければ、オレがまだ怒っているのだとして再びメールを寄越す事も無い。
 こうしてオレ達は互いの声や姿を目や耳にする機会が全く無くなってしまったのだった。それは酷く重く…そして憂鬱な気持ちをオレに残す事になった。


 そんな重い気持ちを抱えたまま迎えた二学期。登校すれば同じクラスに在籍している城之内には、嫌でも会わなくてはならない。好きな人間に会うのにこんな酷い気持ちになるなんて思った事も無く、オレは少なからず動揺していた。その動揺を極力表に出さないように教室に入ると、案の定窓際の席に座している見慣れた金髪が目に入ってくる。だが奴は机に突っ伏したまま、こちらを向こうともしなかった。

「あ、海馬君だ! 久しぶりだね、元気だった?」
「あ…あぁ…」

 目聡くオレの姿を見付けた遊戯がそう言って近寄って来る。遊戯の明るい声に城之内の肩が一瞬ピクリと反応したが、結局奴は机に突っ伏したままだった。
 つまり…オレの存在に気付いているのに無視されたという…事である。
 途端に目の前が真っ暗になった。胸の内がザワザワして落ち着かない。頭の芯がじんわりと熱くなっていった。
 これは…きっともう…ダメなのだろう…。あの日を境に運命が変わってしまった。オレは…間違い無く道を誤ってしまったのだ。一度だけ送られてきたオレを気遣う城之内のメール。あれが間違った道を修正する為の最後のチャンスだったに違いない。なのにその最後のチャンスすらも、オレは自らの手で放棄してしまったのである。

「海馬君…?」

 耳元で心配そうに名を呼ぶ遊戯の声が聞こえてくる。だがそれに反応する気力は…最早オレには残されていなかった。


 結局そのまま城之内と目を合わせる事も無く放課後を迎え、オレは帰り支度を整え昇降口へと歩いていた。何となく胸の内ポケットに入っていたプライベート用の携帯電話を取りだして見てみるが、電話やメールの着信は無い。どんなに必死に弄ってみても、最後に届いたメールはあの時の城之内からのメールに過ぎなかった。

「ふぅ………」

 思わず立ち止まって溜息を一つ落とす。
 こういうのは…いつまでも有耶無耶にしていてはいけないな…。帰ったら城之内にメールを打とう。同じ男でありながら俺の気持ちを受け止めてくれた事と、短い間だったけど恋人として楽しい期間を過ごせた事を感謝する別れのメールを。
 オレがそう心に決めて携帯を再び内ポケットに収めた時、突如背中の下辺りを誰かにポンと叩かれた。慌てて振り返ると、そこには遊戯がニッコリと笑ってオレを見上げている。

「遊戯…?」
「海馬君、今帰り? たまには一緒に帰らない?」
「いや…オレは…」
「ね、時間があるんだったら、これから僕の家に遊びに来ない? お茶も出すよ」
「遊…戯…」

 ニコニコと笑ってはいるが、その顔には有無を言わせない強い意志が見え隠れしている。その表情に何だかムキになって拒絶するのも馬鹿らしくなって、オレは渋々頷いて遊戯と共に学校を出る事にした。


 特に何の話をする事も無くそのまま亀のゲーム屋に連れて行かれたオレは、相変わらずニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべている遊戯に促されて奴の部屋に上がり込んでいた。少し席を外した遊戯を待っていると、やがて紅茶と菓子が入った籠を載せた盆を持った遊戯が姿を現わした。「はい、どうぞ」と置かれたマグカップに手を伸ばして軽く礼を言い、まだ少し熱い紅茶に口を付ける。案の定安いティーパックの味だったが、それでも胃の中が温まって心地良く感じた。
 オレがマグカップを両手で包み込むように持って掌に伝わる熱を感じていると、向かい側に座った遊戯がクスリと笑みを零す。

「ちょっとは落ち着いた?」

 突如放たれた遊戯の言葉に、オレは顔を上げた。

「落ち着いた…とは?」
「何だ。海馬君ったら気付いてなかったんだ。あんなに思い詰めた顔してたっていうのに」
「は…? 何だと…?」
「ね、一つ聞いていい?」
「………?」
「もしかして城之内君と喧嘩でもしちゃったの?」
「………っ!!」

 遊戯の質問に危うく手に持っていたマグカップを落としそうになり、慌ててそれをテーブルの上に戻す。だが勢いをつけて置いた為に、中の紅茶が飛び上がってオレの手に掛かってしまった。

「あつっ!」
「か、海馬君! 大丈夫!?」

 慌てた遊戯がハンカチを取り出してオレの手に当てる。幸い紅茶が大分冷めていた事もあって火傷にはならなかった。そのまま借りたハンカチで濡れた袖口を拭きつつ、軽く遊戯を睨み付ける。だが目の前の小さな男は、全く怯える事無くオレの事を優しく見詰めていた。

「ゴメンね。ちょっと突然過ぎた?」

 まったく悪びれる事の無い言い様に、オレは呆れたように深く溜息を吐いた。

「何で貴様がそんな事を聞いてくるんだ…」
「あーうん、そうだよね。突然僕がこんな事を聞いてきたらびっくりしちゃうよね。でもね、僕はずっと気付いていたんだよ」
「気付いて…?」
「うん。はっきり言っちゃうけどさ。一学期からずっと…海馬君と城之内君って付き合ってたよね?」
「………っ!!」
「あぁ、やっぱり」
「な…な…っ! ま、まさか…っ! 凡骨が貴様に言ったのか!?」
「ううん。城之内君は何にも言ってないよ。僕が勝手に気付いただけ。気付いたのは一学期の終わり頃だったけどね」

 遊戯は自分のマグカップに手を伸ばして、中の紅茶を一口飲んだ。そして優しく微笑んで再び口を開く。

「知ってた? 海馬君がたまに学校に来るとね、まず最初に城之内君の方を見るんだよ。それも凄く幸せそうな顔で。二人とも学校では何でもないようにしてたけど、お昼休みとか一緒に屋上でお弁当食べてたのも知ってるし、あぁ…そういう事なんだなーっていつの間にか気付いちゃったんだよね。でも今日の海馬君はちょっと違ってた。城之内君を見る目が凄く悲しそうで、城之内君も全く海馬君を見ようとしてなかった。それで僕、二人は夏休み中に何かあったんじゃないかって…そう思って心配になったんだよ。本当は城之内君に最初に聞こうかなって思ってたんだけど、どうしてもそんな事聞ける雰囲気じゃ無かったしさ。だから海馬君に聞こうって…そう思ったんだ」

 遊戯の言葉に、オレはもう何も言う事が出来なくなっていた。余りに的を射過ぎてて、反論する余地が無かったからだ。
 すっかり俯いて黙りこくってしまったオレを遊戯は心配そうに見詰めてくる。そして優しい声で尋ねかけてきた。

「ねぇ、海馬君。良かったら君達に何が起こったのか…聞かせてくれないかな? 僕の力じゃ何も出来ないかもしれない。だけどもしかしたら何か出来るかもしれない。悩みがあるなら他人に打ち明けるだけでも楽になる事はあるんだよ」

 心配そうに、そして優しく微笑んでそう言う遊戯に、オレは思い切って顔を上げた。
 遊戯の言う通り、この悩みを打ち明けたとしても何にもならないかもしれない。だがもしかしたら、ほんの少しだけでも状況は変わるかもしれない。だとしたらそのほんの少しだけの可能性にかけてみる価値はあるのではないか…と、そう思った。


 その後、オレは恥を忍んでオレと城之内の関係を全て包み隠さず遊戯に話して聞かせた。オレの話が終わるまで遊戯は黙って何度も頷き、男同士の恋愛を馬鹿にする事も横やりを入れてくる事もせず真面目に話しを聞いてくれた。そしてあの夏休みの一件を話し、それ以来まったく会っても居ないし話もしていない事を伝えると、遊戯は「そっか」と一つ頷いてニッコリと微笑む。

「うん。それはちょっと気不味いかもね。でもね、そう思ってるのは海馬君だけじゃないと思うよ。きっと城之内君もそう思ってる。だから今日顔を合わせる事が出来なかったんだよ」
「そう…なのか…?」
「きっとそうだよ。だから大丈夫。少し時間が必要かもしれないけど…きっと城之内君は海馬君の事が嫌いになった訳じゃないと思うよ」
「だが…っ。もし城之内がとっくにオレに呆れてしまっていたら…」
「海馬君、そんな風に悪い方にばっかり考えない方がいいよ? 自信家でいつも胸を張って前に進む君はどこに行っちゃったの」
「それは…っ!」
「海馬君でも自信を無くしちゃう事ってあるんだね。でもあの海馬君がここまで本気で城之内君を好きになってくれただなんて…。城之内君の親友として何だか凄く嬉しいなって、そう思う」

 そう言って遊戯は、オレが今まで見た事が無い位の極上の笑顔で微笑んでいた。


 結局それからオレは一時間程遊戯を自分の悩み相談に付き合わせ、何となく胸が軽くなったオレは今日のところは帰る事にした。すっかり日が落ちて真っ暗になった表に遊戯と共に出る。外に出て夜空を見上げるオレを見て、遊戯が安心したように息を吐いた。

「良かった。少し楽になったみたいだね」
「あぁ、そうだな。ありがとう」
「海馬君に素直にお礼言われると、何だかくすぐったいな」
「オレだってたまには礼くらい言う」
「うん、分かってるよ。どういたしまして」

 肩を竦めつつクスッと笑って、遊戯が手に持っていたオレの学生鞄を手渡してくれた。

「それじゃ、今日は帰ったらちゃんと城之内君にメールするんだよ」
「分かっている」
「別れのメールじゃないよ? ちゃんと仲直りしたいってメールを送るんだよ?」
「分かっているというのに!」
「本当かなぁ…。僕、何だか心配だ」

 本気で心配しているような遊戯にオレは呆れたように笑ってみせ、そして身体を屈めてそっとその小さな身体を抱き締めた。別に深い意味は無いが、何となく感謝の気持ちを身体で示したかったのだ。遊戯もそれを分かっているらしく、クスクス笑いながらオレの背をポンポンと叩いてくれる。

「今日は本当に済まなかったな、遊戯。感謝している。仲直りのメールの件は約束しよう。別れのメールなぞ絶対に送らないから安心するがいい」
「うん、信じてるよ。海馬君の事も…それから城之内君の事も、両方僕は信じてる」

 一度ギュッと力を入れて抱き締め合って、そしてゆっくりと離れた。目を合わせてお互いにクスリと笑い合う。そして何気なく脇の小道に視線を移動させ…。その途端、オレは心臓が止まる程の衝撃を受けた。温かい気持ちに満たされていた体温が一気に下がり、背中に冷や汗が吹き出して流れ出す。
 オレが固まってしまったのに気付いて、遊戯もオレの視線に合わせてそちらを向いた。そして、直ぐさま同じように固まってしまう。
 日が沈んだとは言え、時間はまだ宵の口。すぐ側の幹線道路では何台もの車が走っており、そのエンジン音やブレーキ音が喧しく鳴り響いている。歩道を歩いている人の足音や話し声、背後の店で付けっぱなしになっているテレビから流れてくるニュース等、周りの世界は煩い程だ。それなのに…。

「お前等…。何してんの…?」

 城之内のその呟きだけは、妙にクリアにオレの耳に届いていた。

凹んでいたらしい

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どうやら欝っぽい二礼です、こんばんは。

季節の移り変わり、急な葬式と不慣れな親戚とのお付き合い、無理な長距離移動の為の疲労、そしてその疲労の為にひいてしまった風邪。
それら全てが原因となって、どうやらここ暫くの間凹んでしまっていたらしいです…。
そりゃ楽しい童話の筈が暗く重い話になる筈だわ…w
何で分かったかって言いますとね、今朝物凄く嫌な夢を見たんですよ…。
自分が好きな人や普段から親しくしてる人達に無視をされ、自分の存在意義を完全に拒絶される夢です。
昔から自分が精神的に参ると嫌な夢を見たりするんですが、この夢はよっぽど極限状態にまで追い込まれないと見たりしません。
それを見たって事はよっぽど参っているんだなぁ…と、しみじみ感じてしまいました(´∀`;
と言いましても、こうなった時の対処の仕方は熟知してるんで別に大丈夫です。
余り周りの世界の事を気にし過ぎないで、気持ちを落ち着かせれば良いのです(*'-')
(引き籠もり期間に入る…とも言いますがw)

実は二礼は以前、メンヘラだった事があります。
丸4年かけて通院と投薬治療をして、今はもうすっかり完治しているから大丈夫なんですけどねー(´∀`)
でも精神的に脆いという根っこの部分はまだ残っているらしく、たまーにこんな風に凹んじゃったりしちゃうのです。
特に冬から春、又は夏から秋にかけての季節の移り変わりは鬱病患者にとっては環境の変化に付いて行けず、落ち着いていた症状が悪化する時期でもあるのです。
私自身はもう治っているから多少気分が落ち込む程度ですけど、未だ闘病中の方にとっては今の時期は辛いでしょうね。
もし皆さんの周りにいつも以上に凹んでいる方がいたとしたら、無理に励ましたりせずにそっと側で見守っていてあげて下さいね~。

あ、ちなみに二礼も基本寂しがり屋です…w
普段はすっかり忘れていますが、こういう時は身に染みますね(´∀`;;;


短編『寂しがり屋の黒兎』の後編をUPしました。
ふぅ…。何とか纏まりました。
何だか物凄く暗くて重い話になってしまって申し訳無い限りですが、こういう気分の時でも無いとここまで暗い話は書けないので、ある意味「ラッキー♪」と思う事にしましたw
まぁどんなに暗いお話でも最後はハッピーエンドにするというのが二礼の信条なので、結末はこんな感じです…w
あ、ちなみに凄く分かりにくいと思いますが…。
城之内を助けた時、社長はたまたまその場所を通りかかっただけでした。

社長、リムジンでたまたま例の踏切の側を通りかかる。

城之内ダイブ寸前。

慌てて車を停めさせ、後部座席から飛び出してダッシュ!

城之内のダイブを阻止。

勢い余って一緒に地面に転がる。

という流れでした。
日記なんかで説明してないで本文で何とかしろっつー話ですが、もう書き直す気力が無いのでこちらで失礼致します…(´∀`;;;
気分が上昇したら書き直す か も しれません…www


以下は拍手のお返事でございま~す!(*'-')


>10月6日0時台にコメントを下さった方へ

こんばんは~! 初めまして~(´∀`)
『伝線クォリティ』を気に入って下さって、ありがとうございますw
アレはかなり本気で書いた女体化エロだったんで、気に入って下さる方がいて私も嬉しいです~v

女体化いいですよね~!
私も大好きです!!www
『真実の証明』を元ネタとした城之内(♂)×海馬(♀)や、今新たに考えている百合城海など、私としてもまだまだ女体化は一杯書きたいと思っています(*´∀`*)
時間が出来たらまた女体化エロ書こうと思っていますので、その時は生温かい目で読んでやって下さいませ~w

それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*´д`*)

『寂しがり屋の黒兎』と日記の感想をありがとうございます。
この話が必要以上に暗い話になってしまった理由は、多分Rosebank様の仰る通りだと思います。
こういうのってどうしても書く側の内面に影響されてしまうので、仕方無いっちゃー仕方無いんだとは思いますけどね…(´∀`;
逆にこういう時に無理して明るい話を書こうとすると必ず失敗してしまうので、もうこれでいいやと諦めましたw
しかし改めて読んでみましたが…本当に暗いですね…コレw

あ、ちなみにですね。
私が城之内の父親を死なせたのはコレが初めてではありませんw
確か『七年目の桜吹雪』で一回死なせちゃっているんですよ~。
城之内にとっては決して良い父親で無くても、一応血は繋がっていますからね…。
全く関わりが無いように思えても、やっぱり親子っていうのは何かしらの繋がりがあるんですよね。
その繋がりが一方的に途切れてしまった時、そして知らず知らずの内にその繋がりに強く依存してしまっていた時、果たして強い気持ちを持ち続けられるかという事も一つのテーマとさせて頂きました。
そのまま古い絆にしがみついて壊れていくか、はたまた別の絆を見付けて新しい人生を切り開くか、結局それら全ては己の気持ち一つにかかっているんですよね(*'-')
今回のお話は、そんな新しい絆によって救われる城之内の話でした(´∀`)
童話の締め括りと同じように『めでたし、めでたし』で終わらせたかったので、あのラストは自分でもそれなりに満足していますw

あとモクバが『童話=一年前の実話』だと気付いているかどうか…ですが、私自身は余り気にしないで書き進めていました。
ですがRosebank様の『だからこそ、自分の身の上話と重ねて語っている城之内に童話の結末で「幸せに?」と問いかけたのだと思います。』というコメントで、逆に私自身が「あぁ、モクバは気付いていたのか」と感じる事が出来ました。
多分、この解釈で大正解なのだと思います(´―`)
そう考えると…やっぱりモクバは凄い子だな…w

それでは今日はこれで失礼致します。
大型台風は順調に北上中ですので、お互いに気を付けましょうね~w
ではまた~(・∀・)ノシ

寂しがり屋の黒兎(後編)

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 一瞬何が起こったのか分からなかった。
 突然腕を引っ張られたと思った瞬間、轟音を立てて特急電車が目の前を通り過ぎていく。そしてそのまま後ろに引き倒され、慌てて振り返って見たのは、必死な形相で自分の腕を掴む海馬の姿だった…。

「貴様…っ、何をしている!! 死ぬ気かっ!?」

 城之内が見たのは、高校卒業以来久しぶりに見た海馬の姿だった。だがその表情は、今まで見た事も無いような怒りの形相で染まっている。ゼーゼーと荒い息を吐きながら自分の腕を痛い程に掴んでいる海馬に城之内は首を捻った。何故海馬がこんなに必死になっているのか、全く検討が付かなかったのである。

「え…? 何…? 海…馬…?」

 突然の展開に頭が付いていかず思わず素っ頓狂な声をあげると、目の前の海馬がギリッと睨み付けてきて「何…ではないわ!! この馬鹿者が!!」と大声で怒鳴ったのが聞こえた。その怒鳴り声で城之内は漸く目が覚めたような気がして、改めて海馬の姿をじっと眺めてみた。
 きっちりと着込んだスーツは城之内と共に地面に倒れ込んだ為、土や埃で汚れてしまっている。そのまま海馬の背後に視線を向けると、数メートル先の道路脇に一台の黒塗りのリムジンが停まっており、いつもはきちんと閉められる後部座席のドアが開けっ放しになっているのが目に入ってきた。リムジンの脇では海馬邸の運転手がオロオロとした表情で突っ立っているのも見える。
 一体何が起こったのか、城之内は未だに理解出来ていなかった。頭が混乱して整理が付かない。

「何だ…? え…? 今…何が起こったんだ…?」

 自問自答するようにそう呟くと、相変わらず怒ったままの海馬が強く胸ぐらを掴んでくる。そして更に大きな声ではっきりと叫んだ。

「何…だと…? そんなものオレが聞きたいわ!! 何故自ら死を選ぶような真似をした!!」
「死って…。え? マジで? オレが?」
「他に誰がいるのだ!! 今自分から踏切内に立ち入ろうとしただろう!!」

 そこまで言われて、漸く城之内も数秒前に自分が取ろうとしていた行動を思い出す事が出来た。
 別に死のうとした訳では無い。自ら命を捨てよう等と思った事もない。ただ少し…今現在自分を包むこの辛い状況から…逃げ出したかっただけだった。
 東の空に輝きだした赤い満月に誘われるように踏切へと近付いていく。頭上には酷く耳障りな警告音。それを無視して遮断機に手を掛けて、それを乗り越えようとした。線路の向こうから特急電車が近付いて来ているのは分かっていた。それに跳ねられれば自分がどうなるかという事も…よく分かっていた。なのにその足は止まらなかった。ただ逃げ出したい…その一心で線路内に踏み込もうとした時、白く冷たい掌が城之内を止めたのである。

「そっか…。オレ…死のうとしたんだ…」

 半ば呆然としたように呟くと、漸く腕の力を抜いた海馬が深い溜息を吐きつつ呆れたような顔で城之内を見詰めた。

「漸く…理解したか…」
「あぁ…うん…。でも…」
「でも…?」
「でもオレ…本気で死にたいって思ってた訳じゃ…無いんだ…。ただ…ちょっと…逃げ出したくて…。今の状況を変えたくて…ただそれだけで…」
「それで電車に飛び込もうとしたのか」
「うん…。信じては貰えないだろうけど…本当に死を選んだ訳じゃなかった…。ただ『今』から逃げ出す為に、手段を選ばなかっただけというか…何というか…」
「貴様は本当に大馬鹿者だな。それを…『自殺』というのだ…」
「うん、そうだな…。ゴメン…」

 城之内自身も、もはや誰に言い訳しているのか分からなかった。目の前の海馬に言い訳しているような気もするし、自分自身に『死ぬつもりは無かった』のだと言い聞かせているような気もする。

「ゴメン…っ! オレ…オレ…本当に…っ!!」

 目の前が激しく歪んで、そして熱い涙が頬を零れ落ちてゆく。慌てて手の甲で涙を拭っても、それは後から後から溢れ出て止まらなかった。地面に座り込んだまましゃっくりあげていると、フワリと城之内の身体を海馬の腕が包み込む。そしてギュッと力を入れて抱き締められた。後頭部に長い指が這わされて、そのままグッと肩口に顔を押し付けられる。
 海馬は何も言ってはいない。だが城之内には、まるで自分が泣く事を許して貰えたような気がしていた。

「っ…! うっ…!! ふ…ぅ…っ!!」

 土埃に塗れた高級なスーツに涙を吸い込ませながら、城之内は声を殺して泣き続けた。


 その後、城之内をこのまま一人にしておけなかった海馬によって、城之内は海馬邸へと連れていかれる事になった。さらにリムジンの中で城之内が発熱している事に気付いた海馬は、邸に着くと同時に使用人達に指示を出し、客室に連れて行くのも面倒臭いと城之内を自分の部屋に招き入れた。直ぐさま城之内を熱い風呂に入れて身体を温まらせたあと、予備のパジャマを着せて自分のベッドに寝かしつける。一見乱暴に見える行動の端々に、自分に対する労りと優しさが見えて城之内はまた泣きそうになった。ベッドの中でこっそり涙を拭っていると、それを目聡く見付けた海馬に苦笑される。

「何だ…。また泣いているのか?」
「な、泣いてない!」
「意外と泣き虫なのだな、お前は」
「泣いてないって言ってんだろう!? 大体…こんな事する海馬が悪いんだよ…」
「は? 何故だ?」
「一度フッた相手にこんな事するなよな…。こんだけ優しくされると勘違いするだろ…?」
「フッた? 誰がだ?」
「お前がだよ! オレ一度告っただろ!? だけどお前は…っ!」

 高校三年生の頃。一度だけ「付合わないか?」と口に出した告白は、「傷の舐め合いは御免だ」という海馬によってあっさりと退けられた。城之内がその事を海馬に告げると、海馬は「あぁ」といって漸く合点がいった顔をする。だがその表情は全く納得していなかった。

「悪いが城之内。オレは貴様をフッたつもりでは無かった」
「へ? どういう…事…?」
「あの時オレは言った筈だ。『傷の舐め合いは御免被る』とな」
「うん…。だから…」
「だが、オレの話はそれで終わりでは無かったのだ。話を続けようとしたオレの言葉を遮って勝手に逃げたのは、城之内…お前の方だっただろう?」
「あっ…! それは…そう…だけど…」
「あの時…オレが一体何を言いかけたのか…。聞きたくはないか、城之内?」

 一見意地悪そうな声で質問される。だが城之内を見詰める海馬の視線はどこまでも優しくて、だから城之内も素直な気持ちでコクリと頷いた。
 海馬の本音が…聞いてみたかったのである。
 城之内が頷いたのを見て、海馬は小さく嘆息した。そしてゆっくりと口を開いた。

「ただの傷の舐め合いは御免被る。だけどもしお前がオレの事を本気で好きならば。そしてもしお前がどうしてもオレ自身を必要だと思っているのならば。それならば…お前と付合ってやってもいい。オレもお前が…好きだからな…」

 じっと自分を見詰める海馬の瞳を、城之内は驚いたように見返した。海馬の口調が妙に確信に満ち、そしてそれが的確に城之内の心を突いて来たからである。

「お前は…、どこまで知ってる訳?」
「どこまでとは?」
「その…。オレの事…を…」
「あぁ、そういう事か。それならば全て…だ」
「全て?」
「そう、全て。好きな相手の事というのは…、普通気になるものだろう?」

 海馬ははっきりとした答えを避けている。だけど城之内は気付いていた。
 海馬は…今まで自分がどのような状況に置かれているか…もう既に知っていたのだ。一年前に父親が死んだ事も、今は働きながら一人で暮らしている事も、多分全てを。城之内が精神的に追い詰められていた事までは知る事は出来なかったのであろう。ただ、常に気にはしていたに違いない。何となくだが、城之内はそう感じていた。
 漸く城之内に本心を打ち明ける事が出来て安心している海馬の顔が、そこにはあったから。

「海馬…」

 震える手を掛布から出して、そっと海馬へと伸ばした。その手を白く冷たい掌が優しく握ってくる。
 自分を死の淵から救い出してくれた力強く優しい掌。この救いの手を…城之内は二度と手放したくないと願った。

「海馬…。オレの…生きる意味になってくれ…」
「城之内…?」
「今までのオレは…生きる意味を見失っていた…。だから安易に楽になろうとしてしまった…。だけどお前がいるのなら…、どんなに辛くて寂しい世の中でも、お前がいてくれるのなら。それがオレの生きる意味になる。だから…オレの生きる意味になってくれ。オレの側に…いてくれ。オレには…お前が必要なんだ…っ!」

 冷たい掌を熱を持った熱い掌でギュッと力強く握る。ややあって、その掌を同じくらい強い力で握り返されたのを感じて、城之内はその掌を強く引き寄せた。
 身体は熱で気怠く辛かった。だけどもう…心はちっとも辛くは無かった。

 その夜、少し無理をしながらも、二人はそのまま結ばれたのである。


 夜遅くになって海馬が仕事から戻ってきた時には、モクバはもう既に眠りについていた。静かになった邸を歩いて自室まで戻って来て重厚な扉を開け放つと、温かな筈の部屋の奥から秋の冷気が通り抜けてくる。訝しく思いながら部屋に足を踏み入れると、バルコニーの扉が開けっ放しになりレース地のカーテンがひらひらと揺らめいているのが見えた。そのカーテンの向こうに見慣れた後ろ姿を見付けて、海馬はゆっくりと彼に近付いていく。

「何を見ている?」

 海馬の気配には既に気付いている筈なので遠慮も無くそう問い掛けると、城之内は振り返る事無く空を見上げたまま穏やかな声で応えた。

「月…見てた」
「月? あぁ、今日は中秋の名月だったな」
「うん。すっげー綺麗な満月だぜ」
「知っている。帰って来る途中に見えていた」
「移動しながら見る月より、こうして落ち着いて見上げた方がずっといいぞ」
「そうか」
「うん」
「そうだな…。本当に綺麗だ…」

 天空の一番高い場所から眩しく輝いている白い満月は、静かに二人が寄り添う姿を照らしていた。二人が見上げるその月に、一年前のあの時のような禍々しさはどこにも無い。それどころか清浄な空気さえも感じる程だ。

「なぁ、海馬」

 月を見上げていた視線をゆっくりと海馬に移して、城之内はニッコリと微笑んだ。

「オレを幸せにして?」
「…っ! な、何だ突然…っ」
「オレはさ、お前と…それからモクバと一緒に幸せにならないといけないんだ。じゃないとこの物語は完結しないんだよ。だからお願い。オレを幸せにして?」
「貴様が何を言っているのか、全く理解出来ないぞ」
「うん。別に理解して貰わなくてもいい。ただ幸せにしてくれるだけで…それだけでいい」

 そう言って城之内は、未だ高級なスーツに身を包んだままの身体をそっと抱き締めた。

「オレはすっげー寂しがり屋だからさ…。一人にされると寂しくて寂しくて、辛くなって死んじゃうんだよ。だからオレの側にいて。ずっと…離れないでくれ」

 夜風に紛れて囁いた言葉は、だけどしっかり海馬に届いていたらしい。あの時自分の命を救ってくれた白く冷たい優しい掌が城之内の背に回り、そしてギュッと抱き締めてくれたから…。


 昔々ある小さな森の中に、兎が三羽住んでいました。
 寂しがり屋の黒兎とその恋人の白兎、そして白兎の弟兎の三羽です。
 三羽はいつでも仲良く協力して、森の中で楽しく幸せに暮らしていました。やがて弟兎が大きくなってお嫁さんを見付け、自分の縄張りに住むようになっても、三羽はいつでも仲良しでした。
 特にずっと一緒に暮らしていた黒兎と恋人の白兎は、二人きりで暮らすようになっても幸せ一杯だったのです。
 黒兎はとっても寂しがり屋でした。だけどもう二度と、寂しいなんて思う事はありませんでした。寂しがり屋の黒兎の側には、いつでも白兎がいてくれたからです。
 時々喧嘩する事もありましたが、それでも黒兎と白兎はいつでも一緒にいました。黒兎にとってはそれが何より一番幸せだったのです。
 秋が深まってくるこの時期。夜の冷え込みから身体を守るように、黒兎と白兎の二羽は今夜も仲良く寄り添って、柔らかい下草の上で眠りにつきます。天空には美しく真っ白な満月が、そんな二羽を見守るように優しく輝いていました。

 丁度、中秋の名月の頃のお話です。
 めでたし、めでたし。

十五夜お月さん、見られました~♪

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くしゃみと咳のし過ぎで肺が痛い二礼です、こんばんは。

喉の痛みは治まったのですが、まだくしゃみの連発と咳及び鼻水ズルズルは続いていましてね…;
何て言うかもう…辛いわぁ…(´∀`;
でも最近は保湿ティッシュと言う素晴らしいアイテムもありますから、鼻の下が痛くならずに済んでいますw
ていうかマジで保湿ティッシュ凄いわ…っ!!
鼻炎持ちでも無いし花粉症でも無いので、今まで保湿ティッシュのありがたみを全然分かっていませんでした。
いやホント、保湿ティッシュすげーっす!!
「鼻をかむくらい、普通のティッシュでもいいんじゃな~い? お値段高いし」なんて言っていた私死ねマジで死ね。
これなら少々お高いのも納得ですwww


短編『寂しがり屋の黒兎』の中編をUPしました。
本当は前後編にするつもりだったのに…なんか中途半端だったので中編にしてみました。
それにしてもおかしいな…?
最初はリハビリがてら軽いお話でも書こうかと童話風にしたんだけど、何でこんな暗い話になってしまったんだか…w
まさに「どういう事なの…?」状態です(´―`;
しかも城之内×海馬と言っているのにも関わらず、全然海馬出て来ないしなーwww
今回は一応回想シーンでちょろっと出て来ましたけれど、現実の海馬の登場は後編になりそうです(*'-')

そういえば、関東では無事に中秋の名月を拝む事が出来ましたー!!
昼間はずっと雨だったのに夕方になって雨が上がって、夜は雲の切れ間から綺麗な満月が覗いていました(*´∀`*)
天気も空気を読むんだな~と、ちょっと感心してみたりw
綺麗なお月様が見られて、本当に良かったですv


以下は拍手のお返事でございまっす!(・∀・)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(*'-')

『寂しがり屋の黒兎』と日記の感想をありがとうございます。
一週間近く小説を書いていなかったので、リハビリとして軽く童話ちっくなのを書こうとしたのですが…。
何を間違えたかこんなに重い話になってしまいましたw
しかも当初の予定より大分書き足した部分があるので長さが中途半端になってしまい、ご覧の通りの三分割ですよ…w
三分割なんてしたの『言葉の力』以来ですねぇ…。
参った参った(´∀`;

本格的に遊戯王の小説を書き始めてからそろそろ10ヶ月くらいになりますが、未だに色々と模索中なんですよね~。
前ジャンルでは若さにかまけて(笑)勢いだけで小説を書いていたのですが、結婚してそれなりに人生経験も深まってくると、どうもそれだけじゃダメなような気がしてならないのです。
なので今色んな事にチャレンジしつつ小説を書いているのですが、未だに100%満足するような物語は書けていません。
それなりに満足した作品はいくつかありますけどねー(´∀`)
今回チャレンジした童話調のお話もその内の一つなのですが、どうしてこうなったやら…w
書いた本人が首を捻っていますw

そういえばモク静っていいですよね~!!
モクバの方が年下ですが、それでも大人になればそんなのは関係無いし、あの二人はお似合いのカップルだと思います(*'-')
城海とモク静でダブルでお付合いとか…理想ですよねv
あとKC出版からの童話発行には笑ってしまいましたw
そうか…その手があったか…w
別に絵が上手じゃなくても、原作者になればいいんだしね!
城之内はさっさと今の会社を辞めて、KCと契約して創作活動を始めるべきだと思うヨ!!

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

寂しがり屋の黒兎(中編)

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 別に死ぬつもりなんて無かった。
 だけど、その時自分を取り巻いていた状況から逃げだそうとした事は…確かだった。


 城之内の父親が亡くなったのは、本当にあっという間の出来事だった。
 あれは城之内が高校三年生の秋の事だった。高校を卒業した後は就職して働こうと、進学組が受験勉強に必死になるのと同じように城之内も就職活動に必死になっていた。見てくれは一見いい加減なものの、あちらこちらで真面目にアルバイトしていたのが良かったらしい。童実野町内では城之内の働き具合は実に高評価で、この調子なら高卒でも結構いいところに就職出来そうだと安心しかけた時だった。突然…父親が倒れた。
 朝起きて、冷蔵庫に常備してあった缶コーヒーを取り出そうと少し屈んだ瞬間、城之内の父親は軽い呻き声と共にその場に倒れ込んでしまった。慌てて近寄って声を掛けてみるも、父親は城之内の声に全く反応しない。それどころか激しい鼾をかき出したのを聞いて、城之内は慌てて電話に駆け寄り一一九番通報をしたのである。
 その後父親は救急車ですぐに病院に運ばれ適切な処置が行なわれたが、結局意識が戻る事無く、倒れてから三日後に息を引き取った。城之内は何の波形も示さなくなった心音計を呆然と見詰め、そして窓の外に視線を移した。東向きのその窓からは、今昇ったばかりの真っ赤な中秋の名月が輝いているのが見えていた…。


 父親が亡くなったからといって城之内の生活が変わる事は何一つ無く、その後童実野町内では比較的有名で優良な中小企業の内定を貰った城之内は、高校卒業と共に社会人として働き始めた。朝から晩まで懸命に働き続ける日々。朝起きて会社に行って働いて、疲れた身体を引き摺ってその日の夕食の材料をスーパーで購入し、誰もいない真っ暗な部屋に帰るという繰り返しに、城之内の心は少しずつ疲弊していった。
 まだ高校三年生の頃、一度だけ父親が亡くなった直後にたまたま学校に来ていた海馬に話しかけた事があった。
 城之内は海馬の事が気になっていた。エジプトでもう一人の遊戯ことアテムを送った直後に海馬がアメリカに旅立ってしまった時は非常にがっかりしたものだったが、高校三年生に進学した時に同じクラスに海馬の姿を見付けて、何気なく日本に戻って来たのを知って心から嬉しく思っていたのである。

「なぁ。オレ達…付合わないか?」

 城之内の父親が亡くなった時は、丁度海馬も業務に追われていた時期で、彼は全く学校には来ていなかった。だから海馬が城之内の父親の訃報を知っていたかどうかは分からない。だがその時海馬は、酷く不快そうな顔をして首を横に振った。

「傷の舐め合いを望んでいるのなら、そんなものは御免被る」
「あ、やっぱり気付いてた? オレそんなに必死な顔してる?」
「そんな顔をして迫ってきておいて、気付かない方がどうかしている。今のお前はただ一方的に自分の欲求を、オレに押し付けたいだけだ。そんなものは対等な関係では無い。だから断わる」
「あー…やっぱりね。うん、そうだな、分かってたよ。困らせてゴメンな、海馬」
「城之内…。ただ…お前がもし…」
「いや、いいよ。マジでゴメン。じゃ、オレ行くから…」
「………っ! 城之内…っ!!」

 あの時の海馬は確かに何か言いかけていた。だが城之内は、続きを聞くのが怖くて逃げ出してしまったのである。結局、海馬との付き合いはそれきりになってしまった。それから先は当たり障りのない関係を続け、そしてそのまま卒業してしまったのである。
 卒業後は就職して、単調な毎日を繰り返す日々。疲れた身体で帰って来て、電気の付いていない真っ暗な自宅の窓を見る度に、城之内の心は重く沈んでいった。
 誰もいない真っ暗な部屋に帰るのは、とっくに慣れていたと思った。父親が生きている時も、彼は好き勝手にいつも放浪していたので、自宅にいる時の方が少なかったからである。
 だが一~二ヶ月に数日程度、たまに先に帰っていた父親が自宅の電気を付けている事があった。当時の城之内はその灯りを見る度に「また殴られるのか…」と憂鬱な気持ちになったりもしたが、それでもそここそが自分の帰る場所なのだと改めて教えられたような気がして、ほんの少しだけ嬉しく感じていたのである。
 ほんの時たま輝く自宅の灯り。それは城之内の癒しだった。真っ暗な部屋には慣れていたが、たまに遠目に確認出来た小さな窓のその灯りが、どんなにか城之内の救いになっていたか知れない。だけど社会人になった今は、決してその灯りが点る事は無かった。いつ帰ってきても部屋は真っ暗なまま。僅かな灯りさえ点る事は無い。それは城之内に絶望感をもたらした。どんなに必死に孤独に抗って生きてみても、結局自分は一人ぽっちなんだと指をさされて言われているようだった。


 あれは去年の秋の事。体調を崩した城之内は、その日は会社を休んでいた。身体も気持ちも怠く感じて夕方まで家で寝ていたのだが、城之内がどんなに塞ぎ込んでも身体は馬鹿正直に生きようとする。空腹を覚えた城之内は気怠い身体を起こしてノロノロと着替えをし、駅前のスーパーまで買い物に出掛けた。
 簡単に作れる物を買って、元来た道を辿り始める。駅前のスーパーから城之内の住んでいる団地に戻るには、一回線路を越えなければならない。スーパーを出てすぐ先には大きな踏切があった。だが城之内はその踏切が好きでは無かった。いや、昔は好きだった。まだ自分が学生で、父親が生きていた頃は好んでその踏切を使っていたのである。
 そこは駅に尤も近い踏切で、勿論そこを通り抜ける人も多かった。遠くの駅から地元の駅に帰って来た学生や社会人、それにすぐ側のスーパーで夕食の材料等を買い込んだ主婦などが、急ぎ足でその踏切を通り抜ける。誰もが疲れた顔をしていた。だが、誰もが幸せそうな顔をしていた。家に帰れば家族がいる。親がいて兄弟がいて子供がいるのだろう。疲れる外の世界から安全な自宅へと戻って行く安心感とそれによる幸福感が、人々の顔には溢れていた。
 昔の城之内は、そんな人々の顔を見るのが大好きだった。だから好んでその踏切を使っていた。だが今の城之内は…その顔を見るのが辛かった。自分の家には自分一人だ。安全な自宅へと帰っても誰もおらず、幸せなんてあれから一度も感じる事は無い。だから城之内は人の波に逆らうように、少し離れた踏切までわざわざ遠回りするようになった。


 その踏切は見通しが悪い事で有名だった。側に小さな稲荷神社が建っていて、その社を守るように鬱そうとした竹林が線路にそって生えていた。しかもその直前で線路が緩くカーブしているせいで、過去何度か事故が起こった事もある。側には『事故多し! 注意!!』や『危険!!』等の看板が立っていて、そのせいでこの踏切を使う人は殆どいなかった。
 だが今の城之内にとっては、この静けさが酷くありがたかった。夕食の材料が入ったビニール袋をガサガサと鳴らしながら踏切に近寄ると、それまで静かだった踏切の警報機が突然鳴りだし遮断機が下り始める。
 平日の夕方。これから先は帰宅ラッシュに入る為に電車の数も多くなる。一旦遮断機が閉まるとなかなか開く事は無い。城之内は軽く溜息を吐くと、側の電柱に寄りかかった。やがて駅の方から電車がやってくる。これから家に帰る沢山の人々を乗せている電車。城之内はその人々の顔を見たくなくて、そっと電車から視線を外した。
 轟音と共に電車が通り過ぎる。だが案の定、警報機が鳴り止む事は無い。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン………。

 酷く耳障りな警告音に、城之内は眉を顰めて顔を上げた。体調が悪くてボーッとしている頭に、その音は些か煩さ過ぎる。警報機を睨み付けようとして…ふと、城之内の視線が一点で止まった。

「満月…」

 遠く線路の向こう。東側の地から赤く輝く中秋の名月が顔を覗かせている。その月を見て、城之内は漸く自分の父親が死んで一年が経っていた事を思い出した。


 そっか…。オレ一年頑張ったのか…。
 こんな寂しくて苦しい日々を…たった一人で一年…頑張ったんだな…。
 でも…あとどれくらい頑張ればいいのかなぁ?
 あと何年頑張ったら…オレは寂しくなくなるんだろう?
 ていうか、そこまで頑張れるのかな…オレ。
 出来ればもう…頑張りたくないな…。


 駅とは反対方向から特急電車が走ってくるのが目に入ってきた。この駅は通り過ぎる為に、スピードを緩める事も無い。
 別に死のうと思った訳ではなかった。ただこの状況から逃れたかっただけだった。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン………。

 頭上からは酷く耳障りな警告音が鳴り響いている。それを無視して、城之内はフラフラと踏切に近寄っていった。まるで赤い満月に誘われるように…。



 目を強く瞑って鳶が自分を捕まえるのを待っていた黒兎は、突然自分の長い耳を誰かが痛い程強く握ってきたのを感じました。驚いて思わず目を開けると、次の瞬間には力強く引っ張られ、元居た藪の中に引き込まれてしまいます。

「な、何…? 一体…っ!?」

 余りに突然の事に叫び声を上げそうになった黒兎は、けれど背後から誰かが自分の口を覆ったので声を出すことが叶いません。しかもその後思いっきり誰かにのし掛かられて、地面に這いつくばってしまいます。それでもモガモガと必死で抵抗していると「静かにしろ」という鋭い声が耳に入って来ました。その声には聞き覚えがありました。その声は…あの白兎の声だったのです。
 そのまま藪の中で二羽はじっと息を潜めます。獲物を逃した鳶は暫く上空を旋回していましたが、やがて諦めたのか遠くの空へと去っていきます。それを見て漸く安堵の溜息を吐いた白兎は、押さえつけていた黒兎を解放してあげました。そして白兎は驚く黒兎に対して、怒ったような嬉しそうな心配したような安心したような複雑な表情を見せながら叫びました。

「どうしてこんなに追い詰められるまで寂しい思いをしていたなら、それをオレに正直に言わなかったんだ!! 自分から鳶に食われようとするなんて見損なったぞ!! この馬鹿黒兎!!」

 本当に自分の事を心から心配してくれていた白兎に、黒兎は泣いて謝りました。そして自分が本当は一人ぽっちだという事、寂しくて寂しくて死んでしまいそうだったという事を打ち明けて、それから白兎の事が好きだから一緒に住んで欲しいという事をお願いしました。


「それから…?」

 モクバの心配そうな声に城之内は微笑んで口を開いた。

「それからは黒兎と白兎とその弟兎は、仲良く三羽で一緒に暮らしましたとさ」
「幸せに?」
「そう、幸せに」

 幸せに暮らせるかどうかは『こっち』ではまだ分かんねーけどなー…と心の中で呟き、城之内はモクバに優しく微笑みかけた。


 カン、カン、カン、カン、カン、カン………。

 あの日、あの踏切の耳障りな警告音が鳴り響く中、線路に踏み出そうとした城之内の腕を白く冷たい掌が引き留めた時。それが城之内と、そして海馬の本当の恋が始まった瞬間だった。

くしゃみが止まらない二礼です、こんばんは。

花粉症ではありません。
見事に風邪をひきました…orz
短い間に関東と北海道の間を片道7時間かけて往復し、さらに普段顔を合わせる事の無い親戚との付き合いに気疲れし、やっとのこさ地元に帰って来てからも突然気温が下がったりして、弱った身体に風邪菌のダイレクトアタックをくらったようです…。
喉が痛くてくしゃみを連発し鼻水が止まりません…w
酸素が足りない為頭がボワ~ッとして、もうダメぽ\(^o^)/
熱が出なかったのが幸いかなぁ? 持病の関係で一旦風邪引くとなかなか治らないのが困る;
ちなみに相棒と共倒れでした(´∀`;
何やってんだ…w

つー事で、先週は更新出来ずに申し訳ありませんでした。
こっから先は何とか時間が取れそうなので、通常更新に戻りたいと思います。
ていうか全然更新して無かったのに毎日拍手を頂いてしまいまして、本当に申し訳無かったというか…ありがたいと思う気持ちで一杯です!
心から感謝しております!!
拍手して下さった方々、本当にどうもありがとうございました~!!(*´∀`*)


短編『寂しがり屋の黒兎』の前編をUPしました。
皆さん、明日は中秋の名月ですよ!! お月見ですよ!! ちゃんとススキとお団子は用意しましたか? …雨みたいですけどね(´―`;
という訳で、ちょっと兎を使った童話風のお話にチャレンジしてみました。
一週間もお休みを頂いてしまったので、最初は軽い気持ちで「リハビリ代わりに童話みたいなの書いてみよ~」と書き始めたは良いんですが、何か思ったよりずっと暗い話になりそうですね…コレwww


以下は拍手のお返事になりま~す!(´∀`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)

『すてっぷふぁいぶ』と日記の感想をありがとうございます。
誤字の指摘ありがとうございます~! 早速直しておきました~!
携帯の方は大丈夫ですか? 3年もみっちり使っていると流石にボロが出てきますよね。
私は余り携帯に依存しないタイプなので(そのかわりPC依存型ですがw)、自機はまだまだ現役で頑張れるようですw

『STEP』の試練については、やっぱり他の作品に比べると軽い方になりますかね。
元々『STEP』自体がラブコメのつもりで書いているので、余り重々しくはしたく無いんですよ。
その代わり少女漫画的展開はあるかもしれませんがw
あと城之内が『いい男』と仰っておられますが、『いい男』具合で見たら『酒の力』の城之内の方が数段上かもしれませんね~。
『STEP』の城之内は確かに我慢の出来る『いい男』ではありますが、どっちかと言うとヘタレ具合が強いんじゃないかなーと思います。
つまり海馬の事を本気で好きかどうか自信が無い上に、この状態で最後まで結ばれる事に関して『恐れ』を抱いているんですよ。
これは『STEP』の城之内がまだ海馬の気持ちに追い付いていない事が最大の要因な訳ですが、海馬はそんな城之内の気持ちも含めて全部悲しかったんでしょうねぇ。
可哀想に…w
この城之内の気持ちの成長具合も、『STEP』の試練の一つとして見て頂ければいいなぁ~と思っています(*'-')
あ、でもRosebank様の仰る通り、『STEP』の城之内が海馬の事を大切に思っているのは他の作品と何ら変わりがありませんよ~!!
ただちょっとヘタレなだけで…www

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

寂しがり屋の黒兎(前編)

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城之内×海馬。
中秋の名月に合わせて、月と兎の童話っぽいお話を書いてみました。

 




 昔々ある小さな森の中に、一匹の黒兎が住んでいました。黒兎は最初家族と一緒に暮らしていましたが、お父さん兎が酷く乱暴者だった為に、ある日お母さん兎は身体の弱かった妹兎を連れてこの森から出ていってしまいました。残されたのは黒兎とお父さん兎の二羽だけ。乱暴者のお父さん兎に辟易としながらも、黒兎は頑張って家族の為にきょうもせっせと餌を集めていました。
 この小さな森の中には黒兎の他にもう一羽、とても綺麗な白兎がいました。お互いに縄張りを持っていた為に二羽は出会えば喧嘩ばかりしていましたが、それでも黒兎はその白兎の事を嫌いではありませんでした。それどころか、いつか一緒に暮らせたらいいなぁ…とまで思っていたのです。


 本格的に秋の空気が深まってきたある日の事。
 その日は少し肌寒い日でした。東の空には今昇って来たばかりの大きな中秋の名月が真っ赤に輝いており、西の空にはまるで紺色のキャンバスに筆でサッと掃いたような濃い茜色が今にも消え去ろうとしていました。
 黒兎の足元には、もう冷たくなったお父さん兎の身体が横たわっています。随分前から身体を壊していたお父さん兎は、黒兎が餌を探しに行っている間に遂にその命を終わらせてしまったのでした。
 余りに突然の事に泣く事も出来ず、黒兎は呆然とするばかりです。だけどこのままにしておいたら野犬や狐なんかにお父さん兎の身体を食べられてしまうので、仕方無く森の外れに深く穴を掘り、そしてそこにお父さん兎を埋めました。
 突然一人になってしまった黒兎は寂しくて仕方有りません。元々兎は寂しくなると死んでしまう生き物です。そこで黒兎は思い立ちました。次の日、森の反対側に住んでいる白兎を尋ねる事にしたのです。自分の縄張りを超えて白兎の縄張りに入り暫く歩いていると、やがて目の前に捜していた白兎が現れました。「よぉ!」と挨拶すると「こんなところまで何の用だ。ココはオレの縄張りだぞ」と冷たく言い返されます。黒兎はそれにもめげずに白兎に一緒に住まないかと提案しました。

「なぁお前。こんな森の中に一人でいて寂しくないのか?」
「なんだと…?」
「オレは寂しいと思ってる。だから一緒に住まないか? そうすれば縄張りも広がって一石二鳥だぜ?」

 お父さん兎の事を引き合いに出すのは何となく嫌だった為、黒兎はただ純粋に寂しいからという理由で白兎と一緒に住みたいんだと訴えました。ところが白兎は少し考え込んで、そして首を横に振ったのです。

「悪いがそんなに広い縄張りはいらない。オレは今のままも十分食べていけるからな」
「でも…一人ぽっちで寂しいだろ?」
「別に寂しくは無いし、オレは一人ぽっちでは無い。オレには弟がいるからな」
「え………?」

 白兎は驚いている黒兎に目配せをして、静かに藪の中へと入って行きます。黒兎もそれに習って付いていくと、やがて目の前に白兎の巣が見えてきました。白兎が「静かに」と言うのでなるべく物音を立てないように覗き込むと、柔らかな下草の上でスヤスヤと安らかな寝息を立てて眠っている小さな白兎の姿が見えました。お兄さん兎よりも毛並みがずっとボサボサしていましたが、良く見ると二羽は確かにそっくりです。振り返るとそこには慈愛に満ちた目で小兎を見ている白兎がいて、黒兎はこの白兎が本当に寂しくは無いんだという事を知ってしまいました。もし自分にも、今は遠く離れている妹兎が側にいれば、きっと毎日楽しく過ごせるだろうと思ったからです。

「お前…弟がいたのか」
「あぁ」
「それじゃ寂しくは無いよな」
「あぁ」
「良かったな」
「あぁ、そうだな」
「そっか…。そうだったんだ…」

 頷く白兎を見て、黒兎はまた静かに藪の外に這い出ます。そして見送りに来た白兎に、元気一杯に手を振りました。

「お前が寂しくなくて良かった。じゃ、オレはこれで自分の縄張りに戻るよ」
「おい…」
「ん? 何?」
「お前は…寂しいのか?」
「え………?」
「もしかして…お前は一人ぽっちなのか?」

 心配そうな白兎の質問に、黒兎はどう答えようか一瞬戸惑いました。だけどせっかく幸せに暮らしている白兎に変な心配を掛けさせるのはいけないと思い、黒兎はわざとニッカリと大きく笑って首を横に振って答えました。

「いや全然。オレも親父と一緒だから」

 黒兎の答えに白兎が安心したように微笑んだのを見て、黒兎はクルリと振り返って自分の縄張りへと戻って行きます。そして今日からは自分一人でしっかり生きていこうと心に決めたのでした。


 それからすぐに寒い冬が来て、やがて雪が解けて温かい春が来て、長い梅雨の後に暑い夏が来て、そしてまた秋がやってきました。
 小さな森の中で、黒兎は未だに一人ぽっちでした。この一年は何とか生きてきたものの、心の奥にポッカリと穴が空いてしまい、やっぱり寂しくて仕方ありません。一度だけ、遠くの森に去って行ってしまったお母さん兎と妹兎のところに行こうと思った事がありました。でもお父さん兎が残してくれたこの縄張りを捨てて行くのは忍びなくて、結局黒兎はこの場に居続ける事を選んだのです。優しいお母さん兎の顔も、まだ小さかった妹兎の顔も、今はもう朧気にしか思い出せません。東の空を見上げれば、あの時と同じ中秋の名月が赤く輝いています。

「疲れた…な…」

 藪の中から満月を見上げ、黒兎はポツリと呟きました。正直心がもう折れてしまいそうです。一人ぽっちで生きて行くのはもう限界でした。その時頭上で「ピーヒョロロー」と澄んだ鳥の鳴き声が聞こえてきました。高い空の上で上昇気流に乗りながら、鳶が今日最後の獲物を探し回って旋回しています。とっさに身の危険を感じ、黒兎は本能の命じるままに藪の中でじっと身を固くしました。だけれども…何を思ったか、黒兎は次の瞬間にその場ですっくと立ち上がってしまったのです。
 別に黒兎は死のうと思った訳ではありません。ただ凄く寂しかっただけです。寂しくて寂しくて仕方が無くて、だからこの寂しさから逃れる道を選んだに過ぎませんでした。
 あの鳶のお腹に入ったら少しは寂しくないだろうか。少なくても鳶の一部になれるなら、もう一人ぽっちにならなくて済む。痛いのは一瞬だけ。少しだけ痛いのを我慢すれば…もう寂しくない。
 ヨロヨロと藪の中から這い出て、見晴らしの良い広場に出ます。上空で旋回していた鳶が姿を現わした黒兎にいち早く気付き、やがてひらりと空中で一回転すると、そのまま黒兎に向かって急降下してきました。
 ちょっとだけ…。ほんのちょっとだけ我慢すれば…きっともう寂しくない。
 黒兎はそう思って強く目を閉じ、来るべき衝撃に備えました。


「それで!? まさか黒兎、そのまま食われちゃったのかよ!!」

 モクバに腕を掴まれてガクガクと前後左右に揺さぶられながら、城之内は「いや、ちょ、ちょっと待って。落ち着けって! まだ続きがあるんだから」と何とか宥めようとしていた。
 本日は日曜日。たまには休日をゆっくり過ごそうと城之内は恋人である海馬の邸にやって来ていたのだが、やっぱりというか何というか、海馬に突然の呼び出しが入り、そのまま会社に出向いて行ってしまったのだ。仕方無く残されたモクバと二人で色々なゲームをやって過ごしていたのだが、やがてゲームをする事にも飽きてしまったモクバが突然城之内に向かい「何か話して」と強請ってきたのだった。

「はい? 話? 何でオレが…」
「そんな事言って…オレは知ってるんだぜぃ。お前、創作話得意なんだってな」
「うえぇっ!? な、何でそれを…!!」
「実はこの間静香ちゃんに会ったんだぜぃ」

 得意そうに言い放つモクバを、城之内はただポカーンと見ている事しか出来ない。

「静香に…? 何でお前が…?」
「仕事の関係である会社に商談に行ったんだけどな。その会社がある街ってお前の妹が住んでる街だったんだよ。商談終わって会社から出て来たら、丁度病院の帰りだった静香ちゃんとバッタリ出会ってさ。で、せっかくだからってその後二人でお茶したんだ」

 モクバの誘いで近場の喫茶店に入った二人は、それから一時間程仲良くお喋りを楽しんでいた。そして静香の口から城之内の秘密が語られる事になったのである。


『お兄ちゃんってね、意外とお話し上手なのよ』

 信じられないように目を丸くするモクバにクスクスと笑い、静香は話し始めた。

『昔ね…まだ子供の頃、お兄ちゃんは寝る前によく私に絵本を読んでくれたの。その頃から目はもう悪かったから、余り字が読めなくて…。だから私の代わりにお兄ちゃんがいつも絵本を読んでくれてた。絵本の物語を聞きながら眠るのが凄く好きだったんだけど、家にある絵本なんてすぐに全部読み終わっちゃってね。しかもウチって余りお金が無かったから、新しい絵本なんてすぐに買える訳なくて…。でも元からある絵本はもう飽きちゃってたし…ね。思わず「新しい絵本が読みたいなぁ…」なんて言ってたら、ある日お兄ちゃんが自分でお話を作って、そしてそれを私が寝る前に話してくれたの』

 カラカラとアイスティーの中の氷をストローでかき混ぜながら、静香は当時を思い出しているのか、幸せそうな笑顔で口を開いた。

『そのお話が本当に面白くてね。もっとって強請ったら、それから色んなお話をしてくれるようになったの。本当に色んなお話だったわ。楽しいお話もあれば悲しいお話もあったし、最後はビックリするようなお話もあれば感動して思わず泣いちゃうようなものもあったっけ。ただ怖いお話だけは一度も聞いた事がなかったけれど』

 ニッコリと優しそうに微笑みながら当時の思い出をモクバに語って聞かせ、静香は最後に『絵が上手だったら絵本作家になれたのにね』と言って締めくくった。モクバは静香のその話をよく覚えていて、いつか城之内に創作話をして貰おうと心に決めていたのだ。そして上手い具合にチャンスが巡って来て今に至ると…そういう訳だった。
 急に創作話をせがまれた城之内は一瞬焦ったが、モクバの真剣な瞳を見て決心をし「十分! いや十五分待ってくれ!!」と叫び、腕を組みつつ真剣に考え始める。そして脳裏に浮かんだ『あの時』の事をデフォルメ化して童話にし、モクバに語る事に決めたのだった。


「それで? 黒兎はどうなったんだ…?」

 何とか落ち着いたモクバに苦笑しつつ、それでも自分の稚拙な創作話を真剣に聞いてくれている事に嬉しくなって、城之内は続きを話す為に口を開いた。


 カン、カン、カン、カン、カン、カン………。

 城之内の脳裏に『あの時』響いていた音が甦ってくる。あの時…あの場所で聞こえていた音は、高い空から響いてくる鳶の澄んだ鳴き声なんかでは無く、人工的で酷く耳障りな…踏切の警告音だった。