2009年5月アーカイブ

ぽっぴぽ~♪

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社長ネタで久々に爆笑した二礼です、こんばんは。

ニ/コ/ニ/コ/動/画で初/音/ミ/クが流行った時、彼女を3D化して歌わせたり踊らせたりする人達がいた事はよく知られていると思います。
その中の一つにMMD(ミクミクダンス)というのがありましてですね。
フリーソフトで扱いやすい上にモデルが可愛いので、ニ/コ/ニ/コ/動/画では幅広く使われていたりします。
で、最近そのMMDを使って、ボカロ以外にもモデルを作ってしまった人達がいるんだそうです。
基本的にMMDはニ/コ/ニ/コ/動/画出身なので、そういうモデルを作る人達もニ/コ/ニ/コ/動/画で有名なキャラクターを再現したりしてるのですが、その中にどうやら社長モデルがあるらしいとの噂を聞いてしまいまして。
それで早速検索してみたところ…、ありました!!
足長いっす!! カッコイイっす!! 再現率パネェッす!!
でも社長にぽっぴぽー♪を踊らせるのはどうだろう…。
はっきり言って、大爆笑しましたwwwww
ヤヴァイw ヤヴァイよアレwww 私の腹筋がもちませんwwwww
無駄に格好良いから余計に笑えるwwwww
興味がある方は是非ニ/コ/ニ/コ/動/画内で検索してみて下さい。
多分腹筋崩壊します(´∀`)
(凡骨モデルも出来ないかなぁ…(*'-'))


長編『奇跡の証明』の第十八話をUPしました。
え~、何て言いますか…。
長かったけど漸く落ち着くところに落ち着きましたねぇ…w
実質上ここがゴールになるようです(・∀・)
でも伏線はまだ残してあるので、それを回収するまでもう少し続きます。
真のハッピーエンドまであともうちょっと…。


以下は拍手のお返事になります~!


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

『奇跡の証明』の第十七話を褒めて頂けて感無量です!!
この回はとにかく気合いを入れて書いた話だったので、Rosebank様のお褒めの言葉は本当に嬉しかったです(*´д`*)
戦争という重い課題を取り入れていた為、その設定を有耶無耶にするのは絶対に嫌で、とにかく細かい設定にも凝って書き上げました。
敗戦後の冥龍国の国主をどう処理するべきかは、私も最後まで悩みました…。
第三話で瀬人が言っているように、戦争を仕掛けた方にも一応理由はあるのです。
(だからと言って、戦争を仕掛ける事を肯定している訳じゃありません。むしろ否定する意味でこの話を書いています)
『奇跡の証明』は、あくまで瀬人と克也の物語。
今回の戦争は、この二人の物語を邪魔しないように冥龍国の背景を細部まで書く事はしませんでした。
多分小説としての表現のみで語るならば、冥龍国が戦争を起こした背景を書く必要は無いと思われます。
読み手には全く必要の無い情報。だけど物語内の人物…特に克也は、皇帝として冥龍国の情勢をよく知っていました。
そこで克也になってみた時に、果たして戦勝国だからと言って簡単に相手側の国主を処刑してしまうだろうか…と考えてみたのです。
答えは『否』。
それで処刑では無く幽閉にしました。
読み手さんとしてもやっぱり幽閉の方が気持ち的に楽でしょうしね~(・∀・)

それから白龍国の属国解放について。
やっぱりRosebank様は凄いですね…っ!
推理は見事に大当たりでした~!(*´∀`*)
そうなんです。
白龍国が黒龍国の属国という背景が元からあるので、これを解消しないと真のエンディングには結びつかないのです。
Rosebank様が以前書かれたコメントを見たときに、「全部読まれている…っ!」と舌を巻きましたw
いや…本当に凄いですよ!

とりあえず今回で結ばれた二人ですが、伏線回収の為もう少し『奇跡の証明』は続きます。
青眼の白龍の事も含めて、もう少々お待ち下さいませ~(´∀`)

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*第十八話

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 天蓋付きの大きな寝台の上に、その細い身体をゆっくりと降ろす。
 部屋の隅に置かれた燭台の灯りだけのその部屋は、幻想的な雰囲気に包まれていた。
 仰向けに寝かされた瀬人は、頬を紅く染め静かに自分を見詰めていた。
 怒りに任せて乱暴に扱ってしまった三年前のあの日とは違って、今は優しい手つきで夜着を肌蹴けていく。
 相変わらず男性と女性の交わった複雑な身体だったが、それでもあの頃より少し身体の線が優しくなった様に感じる。
 自らも服を脱いで、その細い身体に覆い被さった。
「本当に…抱いてもいいのか…?」
 確認するように尋ねると、瀬人は強い決意を秘めた瞳でコクリと黙って頷いた。
 その瞳を見て、克也は荒れた暖かい大きな手を滑らかな白い肌に触れさせた。
 花の香りのする首筋に唇を寄せ、強く吸って赤い花びらを散らせた。
「ぁっ…」
 たったそれだけの刺激で瀬人が悩ましげに喘ぐ。
 その声がもっと聞きたくて、克也は白い肌のあちこちに花びらを散らして回った。
 まるで少女のような小さな胸にも掌を這わせ痛くないように優しく揉んで、先端に付いた桃色の乳首に吸い付いた。
 キュッと強めに吸って刺激すると、瀬人の身体がビクリと跳ねる。
「あっ…。かつ…や…っ」
 寝台のシーツを掴み必死で快感に耐えている瀬人を見て、克也はクスリと笑みを零した。
 そのまま胸を愛撫しながら下腹を撫でていた手を滑り落として、下半身で反応していた小さなペニスを握り込んだ。
「ゃ…うっ…!」
 思いもしなかった刺激に、瀬人は思わず自分の口に手を当てて喘ぎを飲み込んだ。だがその手を克也がもう一方の手で優しく掴み、顔の脇に降ろされてしまう。

「我慢しないで…。声を…聞かせてくれ…」
「いや…だ…。恥ずか…しい…から」
「それでも聞かせてくれ…。ずっとその声が聞きたかったんだ。恥ずかしいって言うならほら…オレだってそうだよ。こんなにお前を欲しがっているのを知られるのは…恥ずかしいよ」

 降ろした手を再び握られ、そのまま克也の胸へと移動される。
 左胸の上に当てられた手からは、克也のドクドクという通常より早い鼓動が伝わってきた。
「な?」と嬉しそうに笑みを浮かべられて、瀬人もそれに頷くことで答えた。
 パタリと再びシーツの上に手が落ちるのを見て、克也が少し身をずらす。
「多分…一回イッておいた方が楽だと思うから…」
 そう言って握り込んでいたペニスに顔を寄せて、そのまま口内に含んでしまった。
「あっ…! やぁ…っ」
 ビクリと反応し瀬人は思わず克也の髪を強く掴んでしまう。だけどそれ以上抵抗する事が出来なくて震える手でそのまま克也の頭を押さえ込んでしまった。
 克也はそれを感じながら、口内のペニスに優しく舌を這わせる。
 三年前のあの日、瀬人に痛みを感じさせるほど無理矢理弄ってしまった事を詫びるように、優しく丁寧に愛撫した。
 瀬人のそれは大人になっても思春期前の少年程の大きさしか無く、硬く勃起してもすっぽりと克也の口に治まってしまっている。
 克也はペニス全体を一度強く吸い上げてから口から出し、今度は先端の方だけに吸い付きながら根本と裏筋を親指の腹でゆるやかに撫で上げた。
「あっ…あぁ…っ。ゃ…っ! ダ…メ…っ」
 克也がちゅうちゅうと吸い上げる度に瀬人の身体に震えが走り、やがてくっと息を詰めるとそのまま克也の口中に甘い精液を放ってしまった。
「ふぁ…。はぁ…は…ぁ…」
 荒い息をつきながらシーツに身体を沈める瀬人に満足気に笑うと、克也は瀬人の長い両足を膝立てて、ゆっくりと左右に押し開いた。
 皮膚の薄い内股に掌を這わせ、やがて身体の中心へと辿り着く。
 克也はそこでもまた、三年前のあの時の事を思い出していた。
 小さなペニスを弄りどんなに瀬人が感じていても、そこは濡れることすら無く完全に自分を拒絶していた。
 あの時の事を気にしながら恐る恐る指を這わせると、驚いた事にそこには既に熱い沼地が出来ていた。
 温かな粘液を指に絡みつかせながらゆっくりとその場所を撫でると、くちゅりと濡れた音がして瀬人が羞恥で顔を赤く染めてしまう。
「ちゃんと…濡れてるな…」
 感嘆しながらそう言うと、閉じていた瞼を開き潤んだ青い瞳を見せながら瀬人が恥ずかしそうに微笑む。
「お前の事だけを想っていたら…勝手に身体が成長した。だからもう…遠慮なんかしなくても大丈夫だから…」
 瀬人の言葉を受け克也はゆっくりと指を動かし始めた。
 柔らかな女性器の周りを探るように撫でて、男性器を受け入れる為に濡れそぼっている膣にそっと指を差し込む。
「っ………!!」
 その途端、小さな悲鳴を上げて瀬人の身体がビクリと跳ねた。
 突然感じた痛みに耐えるようにシーツを掴み、眉根を寄せて目をギュッと瞑り震えている。
 その顔を見てどうしても三年前のあの日と記憶が重なってしまい、克也はつい指を抜いて身を引いてしまった。
 急に克也の身体が離れて行った事を不思議に思い、瀬人は瞳を開き克也を見上げる。
 そこには明らかに戸惑いの表情を浮かべた克也の姿があった。

「克也…?」
「無理だ…瀬人…。オレはやっぱり…」
「何が無理なのだ…。オレの身体はもう無理なんかじゃないぞ…?」
「違う…。それは分かっている…。だけどオレはもう二度と…あの日のようにお前を泣かしたりしたくないんだ…。だから…」
「だからオレの事を一生抱かないつもりか? 巫山戯るな…っ! オレがどれだけこの日を待ち望んでいたのかお前は知っているのか…っ!? これ以上…これ以上オレを待たせるな…っ!!」

 瀬人の悲痛な叫び声が寝室に響き渡った。
 克也がそれに反応できずにいると、何時の間にか起き上がっていた瀬人に逆に押し倒される。
「お前がその気にならないのなら、オレがその気にさせるまでだ…」
 そう言うと瀬人は克也の身体に唇を寄せた。
 身体のあちこちにある古傷を辿って、暖かい柔らかな舌でまるで労るように舐めていく。
 少しずつ身体を下にずらしていって、やがて辿り着いたペニスに白く細い指を絡ませると、それにも唇を近付けた。
「せ…瀬人…っ!?」
 その行動に焦りを見せた克也に、瀬人はフッと笑ってみせる。
「克也…。お前、オレが半分男でもあるという事を忘れていただろう…。オレだってお前に触れたいとずっと思っていたのだ」
 瀬人の言葉に目を丸くしてしまった克也を見て満足し、瀬人は手の中のそれを躊躇せず口に含んでしまった。
 既に勃起していたそれは瀬人の小さな口に収まり切らず、硬く張り詰めた根本をやわやわと指で愛撫しながら先端部分に舌を這わせる。
 すぐに溢れてきた先走りの液をチュッと音を立てて吸い上げ、そのまま再び口中にペニスを招き入れると軽く歯を立てた。
「ぁっ…、瀬人…っ」
 余裕が無いように克也はビクリと身体を揺らし、栗色の髪に手を差し込み思わず強く押し付けてしまう。
 喉の奥を直接押され嘔吐きながらも、それでも瀬人は愛撫をやめようとはしなかった。
 熱く脈動するそれを愛しく思い強く吸引すると、やがてそれは喉奥で熱い精液を放った。
「んっ…く…、はぁ…」
 克也の荒い息を感じながら瀬人は大半は胃に流し込んだが、飲み込めなかった残りが唇の端から零れ落ちる。
 それを指先で拭ってついじっと眺めてしまった。
「瀬人…っ! ご、ごめん!」
 焦った風にシーツの端で瀬人の口元や手を拭う克也に、瀬人は嬉しそうに笑ってみせる。

「気持ち良かったか?」
「え? あ…あぁ…、そりゃまぁ…。凄く…気持ち良かった…」
「それは良かった。それにしてもお前のは…色も味も匂いも濃いのだな。驚いた」

 瀬人の台詞に克也の顔が一気に赤くなる。
 明らかに焦りの色を見せ始めた克也に、瀬人は笑みを浮かべたまま説明した。
「オレは奇跡の子だから、こんなに精液は濃くない…。普通の男の精液を見たのは初めてなのだ。そうか…、これが普通の男というものなのか…」
 そのまま未だ精液のついたままの指先をペロリと舐める。
「だが悪くないな。美味しくは無いが嫌ではないぞ。これからもこうしていいか?」
 瀬人の言葉に深く溜息をつくと、克也はその細い身体を抱き寄せてそのままシーツの上へと押し倒した。
 そして苦笑しながら少し乱れた栗色の髪を優しく梳き、小さくボソリと呟く。
「してもいいけど、程々にな…。オレにだって人並みの羞恥心はあるんだからさ」
 そんな克也に瀬人は肩が震えるほど笑ってしまい、それを誤魔化す為に自分にのし掛かる男の首に両腕を回し引き寄せる。
 熱い体温を直接自らの皮膚で感じ、瀬人は心の底から幸せを感じていた。
 瀬人が白龍国から黒龍国へ嫁いで来て三年半。朧気で見え辛かった幸せを、漸くその手ではっきりと掴んだ瞬間だった。


 克也の無骨な指が瀬人の胎内を少しずつ慣らしていく。
 まるで待ちきれないように愛液が次から次へと溢れてきて、指を伝って流れ落ちたそれはシーツをぐっしょりと濡らしてしまっていた。

「んっ…、ぁ…ぅ…っ!」
「瀬人…、お前凄いな…。内股まで垂れてベトベトになってるぞ」

 克也の熱の籠もった声に、瀬人は耳まで真っ赤に染めてしまった。
 欲情に潤んだ瞳で克也を見詰め、口を開く。
「仕方…あるまい…。さっきお前のを舐めて…興奮してしまったのだ」
 瀬人の言葉に克也は破顔して「今更照れてんのか?」と面白そうに聞き返すと、それに憮然とした表情で瀬人は反論する。
「男のアレを直接見たり触ったりしたのは初めてなのだ…っ。さっきはお前に触れる事が嬉しくて夢中でやったが…、今は…その…」
 尻すぼみになる瀬人の台詞に、だが克也はそれ以上馬鹿にするような事は言わなかった。

「そういうところは男なんだよな、お前。それに性格も少し男っぽくなったような気がする」
「そう…か…?」
「いや…違うな。男っぽくなったんじゃない。強くなったんだ。以前より…ずっと」

 そう言って克也は長い時間をかけて瀬人の中を慣らしていた指を抜き、そこに熱くて硬い塊を膣口に押し当てる。
「瀬人…」
 克也の呼びかけに瀬人はただ黙って頷く。
 その熱を全て受け入れる為に身体の力を抜くと、それを見計らって克也が身を進めてきた。
「ぁっ…ぅ…! あっ…ひぁ…っ!」
 狭い胎内をこじ開けるかのように進む熱に耐えきれなくて思わずその広い背に腕を回すと、その指先がぬるりと滑る。
 不思議に思って克也の背筋に反って指を這わすと、その背中は既に汗びっしょりで、窪んだその場所には流れ落ちてきた汗が水たまりのように溜まっているのを感じられた。
 あぁ…と思う。
 必死なのは自分だけでは無いのだ。
 克也もこんなに必死になって自分を愛してくれていることを知り、瀬人は嬉しさの余り泣きながら微笑んだ。
「瀬人…? 大丈夫…か…?」
 心配そうに覗いてくる克也にコクリと頷いてみせる。

「問題ない…。好きなように動いていいぞ」
「でも…お前辛そうだし…。最初は優しくしないと…」
「構わん。オレはそんなに柔ではない…」

 自分の身の内に全てを収めきってしまったあと、瀬人を心配する余り克也の動きは止まってしまっていた。
 だが瀬人が呼吸をする度に内部が柔らかく締め付ける為、動かずにいてもそれだけで感じてしまっているのだろう。
 眉根を寄せてその快感を無理に我慢しているのが分かる。
 瀬人はそんな克也の顔を引き寄せて、その唇に優しくキスをした。

「この瞬間を待っていたのはオレだけでは無い。お前もなのだろう、克也? だったら遠慮なんてしなくていい。オレもそんな事して欲しくない。例え壊れそうになったとしても、今お前と繋がっている事を強く感じたいんだ…」

 そう言ってわざと下腹部に力を入れ胎内のペニスをキュッと締め付けると、「ぅ…っ」と克也の小さな呻き声が聞こえた。
 してやったりと克也の顔を見上げると、そこに見えた瞳の色にドキッとする。
 そこに見えたのは、琥珀の中に潜む『赤』。
 だがそれは三年前に見た怒りの『赤』では無く、明らかな欲情の『赤』だった。

「お前…。オレをこんなに挑発しやがって…。どうなるか知らねーからな」
「望むところだ」

 ニヤリといやらしく笑う克也に瀬人も同じように笑い返して、動きの全てを享受するために瞳を閉じた。


「っ…! あっ…あ…んっ! か…つ…やっ…!!」
 まるで嵐のようだと思う。
 身体の外も中も酷く熱く侵されて、頭の中はぐちゃぐちゃだった。
 克也に貫かれているというこの現実が、嬉しくて愛おしくて気が狂いそうな程に幸せだと感じる。
 欲しくて欲しくて仕方の無かったものが今自分の胎内で暴れているのを感じ、それを逃がすまいと必死で締め付けた。
 痛みや苦しさを感じなかった訳ではなかった。
 克也が入って来た瞬間はやはり身の引き裂かれるような痛みに呻いてしまったし、今も内臓が直接押されるような感覚に翻弄されている。
 だが、そんな感覚全てを超越するような何かが、身体の一番奥深くから湧き上がって来ている事にも気付いていた。
「んんっ…! ん…ふっ、くぅ…!!」
 初めて感じるその感覚に耐えきれず、思わず目の前の逞しい肩に噛みついてしまう。
 克也はそれに一瞬反応したようだったが、だがその動きを止めようとはしなかった。
 瀬人の長い足を抱えたまま、自らのペニスで瀬人の身体の奥深くまで侵していく。
「んっ…! んんっ…ん…ぅ…うんっ…!」
 揺さぶられるまま鼻にかかった喘ぎ声を漏らし、襲い来る何かに耐えきれないように瀬人はギュッと強く目を閉じた。
「んっ…、んんっ! んうぅ――――――――っ!!」
 やがてそれは背筋を逆流し一気に頭の中心まで辿り着いて、瀬人は声にならない悲鳴をあげて達してしまった。
 甘い痺れが全身を駆け巡り、足の指先をピンと伸ばして、大きく身体を震わせながら何度も射精してしまう。
 克也は瀬人に強く噛みつかれたまま、自分の腹部に生温い液体が掛けられたのを感じていた。
「くっ…ぅ…っ」
 胎内に震えが走り今までに無いくらい強く締め付けられ、耐えきれずに克也も瀬人の最奥で熱を放ってしまう。
 身体の奥で感じた熱に瀬人は克也の肩から離れ、大きく息を吐き出しながらブルリと震えた。

「ぁっ…、あぁっ…。た…すけ…克也…っ。とまらな…っ」
「せ…と…?」
「熱…が…、止まらない…! どうし…たら…」

 瀬人の訴えに下半身を確認すると、射精したというのに小さなペニスはまた硬くなってフルフルと震えてしまっている。
 どうやら女性器の部分の絶頂がまだ続いていて、男性器にもそれが伝わってしまっているようだった。
 それに気付き克也はフッと嬉しそうに微笑むと、再び瀬人の足を抱えあげる。
 瀬人の痴態を見て、達した筈の自分のペニスも胎内に入ったまますっかり熱を取り戻していた。

「いいぜ。お前が満足するまで何回でもしよう…」

 乾いた唇をペロリと舐め、もう一度瀬人の胎内に熱を擦りつけ始めた。
「あっ! あぁっ! あぅ…ん、んあぁ―――っ!!」
 すっかり敏感になった内壁を再び強く刺激され、瀬人は大きな声で喘ぎを漏らしてしまう。
 結局二人はその後も抱き合い続け、やがて何度目かと知れない絶頂を迎えた後、瀬人は克也の熱い腕に抱かれながらゆっくりと意識を手放していった。

だ...誰か...私に萌えを...っ!!

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ちょっとだけ回復したような二礼です、こんばんは。

沈んだ気持ちは変わっていませんが、どうやら文字を書く気力は沸いてきました。
何かね-。コレって気候のせいじゃないのー?w
気圧が下がると、人間ってそれを敏感に感じ取って気持ちが沈むらしいですよ?
不思議だけど、確かに雨の日とかは、あんまり明るい気分にはなりませんもんねぇ…。
どうせならコレを利用するとかどうだろうか。
気分に任せて、何かもうすっごい暗い話を書いてみるとかwww
でもそんな事をすると余計に沈みそうなので、多分救出ポイントは作ると思いますけどねぇ~(´∀`;

ていうか、萌えが足りないよ~~~っ!!
滅茶苦茶ラブラブでイチャイチャしてる城海とか、読みたい(見たい)よ~!!
と、この間相棒に愚痴ったら「自分で書きゃいいじゃん」の一言で終わらせられました。
ちっがうんだよ!!
自分で書いたのじゃ意味無いんだよ!!
分かってないなぁ…ホント。

長編『奇跡の証明』の第十七話をUPしました。
よ…漸く…、漸くここまで来たよ!!
長かったよ~!!
あとはラブラブな二人の様子と、伏線回収をすれば終了です。
あ、そうそう。
実は今、番外編書いています。
それも含めてもうちょっとだけ続きますが、お付合い頂ければ幸いに思います~!

あと一応ご報告。
日曜日にちょっと用事があるのでUP出来なさそうなんですよ。
それでですね、日曜に上げる分を土曜に上げちゃおうと思います。
と言う訳で、今日の続きは明日UPしちゃいます。
まぁ、それだけなんですけど…(´∀`)


以下は拍手レスになります~(*'-')

>海鈴様

お久しぶりです~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
海鈴様は「たまにしかメッセージを~」と書いてらっしゃいましたが、何をおっしゃられます!!
こうやってコメントを書いて頂けるだけで、とても嬉しいしありがたいと思っております。
ですから余り気になさらないで下さいませ(´∀`)

『奇跡の証明』と『言葉の力』を読んで下さって、ありがとうございます(*´д`*)
二礼は基本的にラブラブ&イチャイチャが大好きな人間なんで、海鈴様のコメントのように『見てて恥ずかしくなりましたww』と言われると「やったー!」って思いますw
見てて恥ずかしくなるは、もはや二礼に対する褒め言葉ですよw
そんな事言われると調子に乗っちゃいそうです。
もっとラブラブでイチャイチャなの書いちゃおうかな~みたいな感じで。
何か海馬を恥ずかしがらせたいのか、読んで下さる方を恥ずかしがらせたいのか、訳分かんなくなってきました…w

そう言えば、日記の子連れ城海を気に入って頂けて良かったです~。
はっきりした形にするつもりはありませんが、今回みたいに煮詰まった時に気分転換でちょこちょこ書くかもしれません。
若い頃みたいにガツガツした関係じゃなく、結婚や別れを経験して、子供を持つ親という立場の、人生において落ち着いた彼等の恋愛がちょっといいなぁ…と思って考えた設定でした。
何て言うんでしょうねぇ…。
身体より精神の繋がりを、若い頃よりずっと大事にしてそうな雰囲気があるんですよ。
こういうおっさん城海もまた有りかなぁ~なんて考えてみたりしてますw

それからスランプを心配して下さってありがとうございます。
ご心配をおかけてしまったようで申し訳ないです…。
長編はですね、一応ネタがあるんです。
ただそれを纏めてプロットに起こす気力が無いだけで…w
二礼は基本プロットが無いと小説(特に長編)が書けません。
思いつきで書けないっていうか、多分書いてる途中で大事な部分を忘れてしまうんですw
だから早くプロットを起こしたいんですけどね…、どうにもこうにも…(´∀`;;;
でも長編書くのが好きなので、何とか頑張って気力回復をしたいと思います!

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

追伸…
海鈴様のところのブログコメントって、『公開しない』に設定すると海鈴様自身にも見えなくなっちゃうのでしょうか?
もしこの間書いたコメントが見えてなかったら教えて下さいませ~!
もう一度コメントを残したいと思います(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!

『奇跡の証明』の第十六話の感想をありがとうございます。
本来はもっと瀬人が願いの儀を行なっている描写を丁寧に書くつもりでしたが、何せ瀬人は毎日誓いの泉に来て名前を書くだけだし、克也は戦地で戦っているだけなので、余りにも内容の変化が無いのでやめましたw
それだったら、さっさと時間進めて戦争を終わらせた方がいいと思ったんです。
それにいい加減瀬人と克也を結ばせてあげないと、読んでいる方も(そして書いている方もw)苛々してしまいますしね~(´∀`)
という訳でちょっと性急過ぎたかな…? とは思いましたが、こうして三年後に駒を進めてみた訳です。
ちなみに今回は少し分かりにくい表現が一杯ありましたね…;
そこら辺はまだまだ二礼の力不足故、申し訳無く思います。
一応解説を致しますと…。

●真紅眼の黒龍の『我が子』発言について
真紅眼の黒龍が言った『我が子』という言葉は所謂一つの比喩的表現であって、実際に克也が黒龍の息子という訳ではありません。
真紅眼の黒龍はですね、黒龍国の大地に眠る護り神的存在なんですよ。
今は神聖な力の殆どを失っていますが、自分と同化した大地に住んでいる人間達(黒龍国の国民)は皆、自分の子供の様なものとして慈しんでいます。
その中でもやっぱり黒龍国そのものを統べる皇帝は特別で、黒龍にとってはまさに『我が子(のようなもの。又はそれと同一のもの)』であり、護り慈しむべき存在だと考えています。
そういう意味での『我が子』発言だった訳です。
ちなみに実際に姿を現わして守る訳では無く、戦場で克也の身を守っていた時と同様に、真紅眼の黒龍の『力』で無事に帰って来るまで克也の身を守り続けると瀬人に伝えたのです。

●瀬人への『褒美』について
これはまぁ…そのままですw
三年間もの長い間戦場で克也を守っていた黒龍の『力』は、それ即ち瀬人の祈りの『力』でした。
瀬人の祈りが無ければ、黒龍は『力』を出せなかったのです。
だけど三年間ずっと真摯に祈っていた瀬人のお陰で、黒龍は本来に近い力を取り戻しました。
真紅眼の黒龍はそれに感謝して、瀬人のお陰で甦った力を使って、克也の帰り道位は瀬人の祈りの力無しで守ってやろうと言った訳です。
本来、瀬人が願いの儀でかけた願いというのは『克也が無事に戻るまで守って欲しい』という願いでした。
ですから実際に克也が国に帰って来るまで、願いの儀は続けなければなりません。
でも黒龍は瀬人の祈りに感謝して「もういいよ」と言ったのです。

この辺りが文章の難しいところですよねぇ…;
自分の頭の中じゃ分かっていても、それを上手く文字で伝える事が出来ないのがもどかしいですorz
ちなみに、流石に黒龍に乗っては帰って来ませんよw
Rosebank様のコメントを見て、一気に頭に中に『日本昔話』のテーマソングが流れ出しましたw
ぼうや~良い子だ寝んねしな~♪のテーマソングにのって、片手にでんでん太鼓ならぬ大剣を持ち、黒龍に乗って帰って来る赤丸ほっぺの克也…w
ギャグ漫画になりそうですwww
あの頃の土曜夜7時は癒しだった…と書くと年齢がバレそうなので止めます(´・∀・`)
あ、そうそう。
青眼の白龍については…もう少々お待ち下さい(*'-')

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第十七話

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 克也が皇都に帰ってきたのは、戦争終結から二ヶ月後の事だった。


 西の大河沿岸部で三年もの長い間一進一退の攻防を続けていたのだが、その均衡状態が崩れたのは突然の事だった。
 何でも克也と同じように前戦に赴いていた冥龍国の国主が突然心臓の病で倒れ、それによって冥龍国の軍が統率力を失ってしまったのだ。
 それに乗じて黒龍国軍は直ぐさま大河を渡り敵の本陣へと直接乗り込み、僅か数週間で相手側を降伏させる事に成功。戦争は無事に終結したのである。
 その後は沿岸の町を拠点として、冥龍国側と和平交渉をし続けた。
 現在の国主を戦犯として幽閉し、新しい国主を選挙によって選出する事。そして暫くは黒龍国の属国としてその内政を常に監視される事を条件に、冥龍国は国自体を潰されることを免れたのである。
 本来であれば戦争を引き起こした国主の処刑は必要だったのであろうが、心臓を病みこの先長くないであろう身を考えると、本国での幽閉が最良の措置と思われた。
 判決を受けた国主は何も言わずその措置を受け入れ、冥龍国本隊とこれから冥龍国自体を監視する為に向かわせた黒龍国の軍隊に連れられて、自国へと帰って行った。
 この長い戦争に終止符を打てた直接の原因はこの国主の突然の病にあった訳だが、実は白龍国軍の働きも大きかった。
 西の大河沿岸を常に警備していてくれた白龍国軍は、時折諜報活動をする為に入り込もうとしていた冥龍国側の間者や逃げ出してきた兵士を捕らえ、その者から黒龍国側に有益な情報をいくつも吐き出させる事に成功していた。
 お陰で後半戦は常に黒龍国にとって有利な展開となり、件の国主の病を知ったのも実は白龍国軍の手柄だったのである。
 それを知った克也は未だ誰にも漏らしてはいないが、この先数年で白龍国を属国から解放する事を強く心に決めた。


 やがて全ての和平交渉が終わり、自分とそして兵達の疲れを癒す為に数日近郊の街で休暇を取り体力を回復した克也は、戦争終結から二ヶ月後、本部隊を引き連れて漸く無事に皇都へと帰って来た。
 本当だったら直ぐにでも瀬人に会いに行きたかったものの、一般兵士と違う身分の克也にはそれが許される筈も無く。一度別部屋で湯を使い身を清めた後は、今も謁見の間で留守を預かっていた大臣や神官の報告に耳を預けていた。
 それでもその報告を退屈せずに聞けていたのは、大臣や神官の各々が皇后である瀬人の功績を褒め契っていたからだ。
 皇帝が戦争で留守の間、皇后が如何にして黒龍国とその民の為に尽力してくれていたか、彼等は事細かに報告していったのである。
 夕日が完全に地平線へと没する頃、最後に報告を済ませた大臣が出て行って、克也は謁見の間に一人残された。
 久しぶりの玉座に深々と座りながら、先程誓いの泉でのバクラとの会話を思い出す。


 今日の午前中に皇都に帰ってきた克也は『戦果報告の儀』を行なう為、その足で誓いの泉へと向かっていた。
 地下へ続く階段を下りきった時、克也の到着を待っていたバクラが深く頭を下げて臣下の礼を取った。

「お久しぶりです、皇帝陛下。ご無事でお戻り何よりでした」
「あぁ、お前も留守中ご苦労だったな」
「戦果報告の儀…ですか?」
「その通りだ。いつものように服を預かっていてくれ」

 バクラの質問に答え、克也は慣れた風に身に纏っていた服を脱ぎ始める。
 露わになった克也の身体を見て、後ろでバクラが感心したように溜息を吐いた。
「随分と逞しくなられましたねぇ…。背も伸びたようですし、三年前とは筋肉の付き方が全然違います」
 その声に克也は振り返り苦笑して答える。

「そりゃそうだろうよ。戦地でずっと身体動かして来た訳だし、気付いたら二十歳になって肉体的にも大人になっていたしな」
「まぁ、そうですよね。でもその割りには傷が少ないんじゃないですか? 細かい傷は結構あるようですけど、それにしたって大きな傷が一つも無い。前戦で戦ってた割りには幸運だったのでは?」
「そうなんだよなぁ…。オレも不思議に思っていたんだが、まるで何かに守られているように致命傷を負うことは無かった」
「真紅眼の黒龍ですよ」
「え?」

 突如出てきた真紅眼の黒龍の名に、克也は思わず目の前のバクラの顔を凝視してしまう。
 そんな克也にバクラはクスッと笑って、面白そうに言った。
「真紅眼の黒龍が貴方を守っていたんですよ。間違いなくね」
 バクラの言葉に首を捻りながらも、克也は何となくそれに納得した。

「ま…まぁ…。こう見えてもオレは黒龍国の皇帝だからな…。自国の皇帝を黒龍が守ってくれるのは当然だろう?」
「そうですかね。真紅眼の黒龍はこの国の大地となった時、その力の殆どを失っている筈ですが…。それなのにその黒龍が貴方を守る程の力を得たのは何か理由があったのではないでしょうか?」
「何が言いたいんだ、バクラ?」
「さぁてね。オレが言えるのはここまでですよ。あとはご自身でお確かめ下さい」

 意味深な笑顔を浮かべたままそれっきり口を閉ざしてしまったバクラを多少不満に思いながらも、瀬人は儀式をする為に泉へと踏み込んだ。
 三年ぶりの黒水晶は相変わらず冷たい無機質な冷たさを克也に伝えていたが、何故かそこに伝わる微かな気配に覚えがあるような気がしてしまう。
「そうだ…。確かにオレはこの気配を知っている…。戦場にいる間、これはずっとオレの側に居て離れなかった…」
 思わず声に出して呟きながら、克也は何度も黒水晶の表面を撫で擦っていた。


 結局その後、泉から帰ってきた後もバクラは何も教えてはくれなかった。
 それに不満を持っていた訳では無いが、何となく居心地の悪さを感じずにはいられない。
 まず皇帝である自分ですら知らない何かを、守り人のバクラが知っているという事が気にくわない。
 もう一度誓いの泉へ行ってバクラに確かめてこようと玉座を立った時、不意に後ろから掛けられた声に思いっきり振り返った。
「陛下…っ!」
 そこにいたのはすっかり大人の女性として成長していたマナだった。
 久しぶりの乳兄弟の姿に、克也も顔を綻ばせる。

「マナ…っ! 久しぶりだな。元気にしていたか?」
「はい! 皇帝陛下もよくご無事で…っ!」
「オレが留守にしている間、ずっと瀬人の側にいてくれたんだってな…。大臣や神官達から聞いたぞ」
「勿論です。あの方は私の大事な主人ですから。それにしても本当に良かった…。瀬人様も私もこの三年間、ずっと心配していたのですよ…」
「瀬人…っ! そういえば…瀬人は…?」

 涙ぐむマナの言葉を聞いて、克也は慌てて周りを見渡した。
 だがそこにはマナが一人でいるだけで、瀬人の姿は無い。
 シンとした謁見の間の空気に当てられて、克也は深く溜息を付いて肩を落とした。
「そういえば…オレがここに帰って来てから一度も瀬人は姿を見せないな…。ついに嫌われてしまったか」
 本気で落ち込んで呟いた克也に、マナは目を大きく開き何度も瞬きを繰り返した。
 そして次の瞬間にはプッと吹き出してしまう。

「おい、マナ。いくらなんでもそれは失礼じゃないか…?」
「も…申し訳ありません。だって陛下がありもしないご冗談をおっしゃるものですから…」
「今のは冗談ではないぞ」
「いえいえ、まさかそんな事。瀬人様が陛下をお嫌いになるなんて事、ある筈がございません」

 マナは首を横に振りそう言うと、克也の正面に立ってその顔をじっと見詰め、そして優しげに微笑んでみせた。

「陛下…。瀬人様はこの三年間、戦地での陛下の身の安全を祈る為に、誓いの泉にて願いの儀を行なっておりました」
「………っ!?」

 その時克也を襲った衝撃は、冥龍国侵攻の報を聞いた時以上だったかもしれない。
 一瞬、先程誓いの泉でバクラが浮かべた笑顔を思い出した。
 あの意味深な笑顔はこういう事だったのか…と、漸く納得する。
 三年という時間が決して短いものでは無い事は、戦場で戦っていた自分が良く知っていた。
 その長い時間を瀬人は毎日毎日、自分の為だけに祈りを捧げ続けてくれていたというのか…。
 克也はその余りの驚愕と感動で腰が抜け、情けない事に力を無くし再び玉座に座り込んでしまった。

「瀬人が…? 本当に…?」
「はい。陛下が無事にお戻りになったのは瀬人様のお陰でございますよ? あぁ、それからこれを。アイシス様からお預かりして参りました」

 震える手でマナが手渡してきた書類を受け取る。
 捲ってみると、それは瀬人の診断書だった。
 自分が戦地に行っていた間の三年間の診断が、事細かに記されている。そしてその最後の頁に書かれていた診断に、克也は息を飲む。
 余りの嬉しさに大声で叫び出しそうになって、慌てて自分の口を掌で押さえた。むしろ、そうするので精一杯だった。
 何の反応も出来ず、ただ手に持った診断書を眺めながら嬉しさに震えている克也の姿を見て、マナが微笑んで静かに告げた。

「瀬人様は…。先程湯浴みを済まされて、今は私室にて陛下を待っていらっしゃいます。早く行って差し上げて下さい…陛下」

 そして深々と頭を下げたマナに、克也は笑みを浮かべ黙って頷いた。


 重厚な扉を開き克也が私室に入ると、灯りを落とし薄暗くなった部屋の奥に薄い夜着を纏った瀬人が立っているのが見えた。
 瀬人の方も克也に気付き、そっと膝を折って臣下の礼を取る。
「陛下…。ご無事でお戻り何よりでございました」
 そう言って深々と頭を下げる瀬人に、克也はゆっくりと近付く。
「瀬人…。オレの留守中色々とご苦労だったな。お前の功績については大臣達に聞いたぞ。お前がどんなにこの黒龍国と民の為に働いてくれていたか、オレもそれを聞いて嬉しかった。何か褒美を取らさないといけないな…」
 克也の言葉に瀬人は黙って首を横に振る。
「褒美なんて…いりません。それがオレの役目だったのだから…」
 頑なな瀬人の態度に克也は苦笑して、目の前に膝を付いて身を屈めた。

「瀬人…。お前やっぱり怒っているのか?」
「何の事でございましょう」
「何って…。だって態度とか言葉遣いとかがさ…。一人にさせて…悪かったよ」
「謝ってなど欲しくありません。貴方はこの黒龍国とそして白龍国を守る為に、皇帝として当然の事をしたまで…。そんな…そんな事で…オレが怒ったりする筈ないじゃないか…っ!!」

 顔を俯けたままの瀬人の肩が震えているのを見て、克也は慌ててその顎に手を伸ばしツッと上に持ち上げる。
 窓から入ってくる満月の月明かりに照らされたその顔は、涙で濡れそぼっていた。
 今まで無理に堰き止められていた想いが決壊し、濁流となって二人を襲っていく。
「瀬人…っ!」
 思わず強く名前を呼ぶと目の前の身体が突然動いて、気が付けば強く抱き締められていた。

「克也…っ!! 待って…いた…っ! オレはずっと…待っていたんだ…っ!!」

 身体を震わせ叫ぶ瀬人を、克也も力強く抱き締める。
 ずっとずっと待っていた。
 この刻を。
 この瞬間を。
 離れ離れになっていた三年という長い時間を埋め尽くすように、二人は力を込めて互いの身体にしがみついていた。
 泣き止むことなくしゃっくり上げる肩をそっと包み、克也は瀬人の身体を少し己から離した。
 そして涙で濡れるその顔に自らの顔を近付け、そのまま紅い唇に吸い付いた。
 少し冷たい柔らかい唇に何度か触れ合わせるだけのキスをし、そのまま薄く開いた唇の間から舌を差し込む。
 まるで三年前のあの別れの夜のように、互いが互いを求めるように舌を絡めていく。
 その間にも瀬人の涙は止まることはなく、口の中はすっかり涙の味になってしまっていた。
 腕の中の身体がカクリと力を無くしたのを感じて、克也はそっと唇を離す。
 潤んだ青い瞳で自分を見詰める瀬人に優しく微笑みかけ、克也はその細い身体に手をかけ横抱きにし立ち上がった。

「軽くなったな…。少し痩せたか?」
「お前が心配ばかり掛けさせるからだ…」
「そりゃ悪かった。で、寝室は東の部屋でいいのか?」

 顔を赤くしながらも頷く瀬人を見て、克也も嬉しそうに笑うとその足を東の寝室へと向けた。

巨匠逝く...

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とある方の訃報に大ショックの二礼です、こんばんは。

そうか…。
逝ってしまわれましたか…。
『グイン・サーガ』は遂に未完の大作で終わってしまうのですね…。
まだ56歳。早すぎる死でした。
小説『June』の立役者でもあり、今のBLというジャンルが確率されているのも、彼女の存在があってこその事だと思います。
彼女の小説にどれだけの人が影響を受けたのか、はかりきる事は出来ません。
それでもこれから先も、漫画や小説等の世界に彼女が残した足跡が消える事は無いでしょう。
改めてご冥福をお祈り致します。


長編『奇跡の証明』の第十六話をUPしました。
ここから先は『起承転結』の『結』に向けて一直線です。
この時点においてもまだ明かしてない秘密とかもありますので、もう少しお付合い願えれば幸いです(´∀`)
ていうか、もう十六話までUPしちゃったのか…;
は…早かったな…。
次の長編…全然手を付けてないのに…。
どうしよう…っ!!((((゜д゜;))))


以下は拍手レスになります~(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、いつもありがとうございます~(´∀`)
コメントは二つともちゃんと届いていましたから大丈夫でしたよ~!

初めての初モノHを最後まで読んで頂いて、そして更に褒めて頂いてありがとうございます~。
Hを最初から最後まで丁寧に書くと、あんなに長くなるのね…という良い例になってしまいましたw
私は小説を書く時、結構登場人物の気持ちに感化されてしまう事があるんです。
だから登場人物が悲しいとか辛いとか感じているときは、私も悲しいとか辛いとか感じてしまったりするんです。
お陰で『奇跡の証明』の前半部分はかなりブルーな気持ちで書いていましたw
今では笑い話にしかなりませんけどね~(´―`)
ですから今回の『言葉の力』は、自分自身も本当に幸せな気持ちで書かせて頂きました。
ラブラブっていいものですねぇ~…(しみじみ)
まぁそれ以上に、海馬を恥ずかしがらせたり泣かせたりするのが、楽しくて仕方無かった訳ですがw
顔を真っ赤にして泣きながら恥ずかしがる海馬は、超絶に可愛いと思います!!

話は変わりますが、子連れ城海の事ですが…。
今のところアレは、短編や長編としてのキチンとした形で出す事は全く考えておりません。
Rosebank様の仰る通り、克人×瀬衣名が城之内×海馬を喰ってしまいかねませんからね。
克人と瀬衣名はあくまでオリキャラなので、海馬と城之内を押しのけてまで出しゃばらせるつもりは無いんです。
まぁ…たま~に今回みたいに煮詰まったら、会話SSを日記で書くくらいでしょうかね~(´∀`)
オリキャラに関しては賛否両論ありますので、もし載せるとしたら一応反転させていこうと思っています。
なのでご安心下さいませ。

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第十六話

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「もう宜しゅうございますよ、皇后陛下」
 アイシスの声に瀬人はゆっくりと寝台から起き上がった。
 側に控えていたマナに夜着を整えて貰いながら、カルテに何かを書き込んでいるアイシスに「どうだ?」と声をかける。
 その声にアイシスは嬉しそうに振り返り、瀬人に向かって優しく笑いかける。
「はい、何も問題ございません。皇后陛下のお身体は女性としてもう充分に成熟なさったようですわ。半年前に私が下した診断は変わりません。これでいつ皇帝陛下が帰っていらしても安心ですわね」
 アイシスの言葉をありがたいとは思うものの、だが瀬人は寂しそうに微笑むしかなかった。


 西の隣国冥龍国との戦争が始まって早三年。戦争は一向に終わる気配を見せなかった。
 初めは攻め込まれた側の黒龍国が苦戦をしいられていたが、最近では黒龍国側が圧倒的優位に立っているらしい。
 だがそれでも戦争は終わらない。
 負傷兵や戦死者が増え、それに対する保証などで瀬人も毎日忙しく公務を行なう日々が続いていた。
 普通、戦争がこれだけ長引けば国内の物価指数も高くなり市民の生活にも影響が出てくるはずだが、そこは瀬人の手腕で戦争前とほぼ変わらぬ物価水準を守り抜いている。
 幸運な事に、この三年間は気候に恵まれ作物が豊富に取れた。その作物を白龍国に輸出し、代わりに鉄などの鉱物を大量に輸入する事によって戦争で使う武器や防具を精製し、それが間接的に前戦で戦っている兵士達の命を守る事にもなった。
 西の大河沿岸を警備する白龍国軍も、密かに忍び込んでこようとしていた冥龍国側の間者等を捕らえ、黒龍国側に有益な情報を吐かす事で戦争に一役買っていたと言える。
 更に不思議な事に、戦争に直接参加していない白龍国でもここ最近相次いで新しい鉱脈が発見され、そこから発掘される鉱物がまた国を守る為に使われるという好循環に恵まれていた。

「多分…もうすぐ戦争は終わりますよ」

 沈んでしまった瀬人を慰めるようにマナが呟く。
 その声に「だといいがな」と自嘲気味に笑って、瀬人は衣服を整え立ち上がった。
「瀬人様、誓いの泉に行かれるのですか?」
 心配そうに顔を覗き込むマナに安心させるように笑って、瀬人は頷いた。


 三年という時間は決して短くはない。
 瀬人の身体に異変が起こったのは、克也が戦地へ行ってしまってから僅か半年後の事だった。
 身の内から流れ出る血液に戸惑いマナに助けを求めたのだが、それを知ったマナが嬉しそうに笑ったのをよく覚えている。
 それから少しずつ少しずつ、瀬人の身体は成熟していった。
 皮肉にも克也と離れる事により、女として愛する男を想う気持ちが強まって、瀬人の女性部分が急激に成長していったのだ。
 最初は不定期だった月経も、その後はきちんと定期的に訪れるようになり、今ではアイシスが自信を持って許しを与えるほど瀬人の身体は成熟した。
 だというのに、肝心の克也がまだ帰っては来ない。
 真紅眼の黒龍の守りがあるからか、戦場にいる克也が重篤な傷を負ったという話はついぞ入っては来なかった。
 だが最後まで気は抜けないと、瀬人はこうしてきっちり三年間、毎日黒水晶に祈りを捧げている。


 誓いの泉へ行き、臣下の礼を取り出迎えたバクラに脱いだ服を預ける。そしていつものように冷たい水に分け入り、中央の小島の柔らかい芝生を踏んだ。
 真紅眼の黒龍の幻は、あの最初の日以来、瀬人の前に現れることは無かった。
 だがそれでも瀬人は黒龍を信じ、ただひたすら毎日祈り続けた。
 今日もいつもの様に祈りを捧げようと黒水晶の表面に触れると、ふとそこが温かいのに気付く。慌てて掌を押し当てると、確かにあの日と同じように鼓動を感じる事が出来た。
「真紅眼の黒龍…?」
 思わず名前を呼ぶと、途端に目の前の風景がぐにゃりと歪み、次の瞬間には目の前にあの黒龍の姿があった。

『久しぶりだな…、白龍の子よ』

 相変わらず精神に直接語りかけてくるその声に、瀬人は慌てて膝を折った。

「お久しぶりでございます…、真紅眼の黒龍よ…」
『白龍の子よ。この三年間、よくぞ耐えて毎日我の元にやってきた。そのお陰で我も我が子を守る事が出来たのだ』
「は…? どういう事で…ございますか…?」
『気付かなかったのか。我が力は願いをかける者の祈りの力。祈る力が無くなれば我も力を充分に奮うことが出来ない。だから毎日祈り続けなければならないのだ』

 黒龍の言葉で瀬人は漸く長年の疑問が晴れたような気がした。
 何故願いをかける者が毎日かかさず祈り続けなければ願いが叶わぬのか。これは一種の生け贄の儀式と同等だと思っていたのだが、黒龍の言葉で漸く納得する事が出来る。

『我は三千年前、この地と同化して以来神聖な力の殆どを失ってしまった。故に、人の祈りの力を借りねば願いを叶えることは出来ぬ。言い換えれば、人が願えば願うほど、我は力を使うことが出来るのだ。白龍の子よ、そなたは本当に立派であった。そなたの祈りは実に真摯で、我に多大な力を与えたのだ』

 黒龍はどこか遠い目で地下洞窟の天井を見上げ、懐かしそうに言った。

『今から三百年前…。白龍の地から連れて来られた一人目の皇后が、皇帝のかかった難病を治癒させようと祈りを我に捧げる為にやって来た。あの時の祈りはそなたの祈りとよく似ていた…。お陰で少し力を取り戻した我は時の皇帝を救うことが出来たが、結局それ以来誰一人として我に祈りを捧げ続ける事を為し得た者はいなかった。そのせいでまた力を無くしてしまってたのだが、そなたの祈りのお陰で再び本来の形に近い力が戻ったようだ。感謝するぞ、白龍の子よ。よってもう祈りを捧げる事はしなくてもよい…』

 黒龍の言いたい事がよく飲み込めなくて瀬人が首を捻ると、黒龍は嬉しそうにバサリと音を立てて両翼を大きく広げてみせた。

『願いの儀は終わりだ、白龍の子よ。褒美として帰り道くらいはそなたの祈りによって甦った力を使い、我が子を最後まで守ってみせようぞ。今日は『感謝の儀』を行ない、後は戻って夫を迎える準備をするがよい』

 瀬人には黒龍の言った事がよく理解出来なかった。
 褒美…? 帰り道…? 感謝の儀…? 夫を…迎える準備…?
 気付けば黒龍の姿は無く、瀬人は黒水晶に縋り付くように座り込んでいた。
 ふと、泉の向こうからマナが大声で叫んでいるのが聞こえ、そちらの方に視線を向ける。

「瀬人様ぁ―――――っ!!」

 マナは泣きながら満面の笑顔を浮かべ、こちらに向かって両手をブンブンと振っていた。

「瀬人様ぁーっ!! たった今…知らせが参りました…っ!! 戦争が…、戦争が終わりましたっ!! 我が軍の勝利で戦争が終わったそうです…っ!! 勿論陛下はご無事だそうです!! あぁ…これで陛下が…、皇帝陛下が…戻っていらっしゃいます…っ!!」

 瀬人はマナの叫びを聞き、漸く事態を飲み込む事が出来た。
 戦争が終わった…。克也の身は無事…。そして真紅眼の黒龍は感謝の儀を行なえと言っていた。

「真紅眼の黒龍よ…。ありがとう…ございます…っ! 本当に…っ!」

 瀬人は黒水晶に縋り付いて崩れ落ちる。
 感謝の涙は暫く止まる事は…無かった。

気分転換...したいなぁ

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スランプ絶賛続行中の二礼です、こんばんは。

本気で焦ってきた…;
マジで何も書けません…。
日記ネタですら…はぅん…orz
あ、でも会話SSくらいだったら…何とかなるかも…。
と思って書いてみました。
5月10日の日記で書いた子連れ城海の会話SSです。
城之内の娘(瀬衣名ちゃん・17歳)の目線で少しだけ。
興味のある方だけどうぞ~。

(一応反転させます)

朝起きたらパパの声が凄い事になってた。
どうやら風邪をひいちゃったみたい。

「パパ、お粥作っておいたからね。お腹空いたら後で食べて」
「瀬衣名…。お前はこんな状態のパパを置いていくのか…」
「うん。だって今日は克人とデートだもん」
「うっ…。オレだって今日は海馬とデートの筈だったのに…っ」
「久しぶりの休日だったのに残念だったね~。とりあえず海馬のおじさまには、さっき電話しといたよ」
「サンキュー…。あぁ、このキャンセルの埋め合わせ…どうしよ…」
「あ、ちなみにパパ。海馬のおじさまにしたのはキャンセルの電話じゃなくて、パパの看病をお願いする為の電話だからね」
「な、なにっ!?」
「多分もうすぐ来るんじゃない? んじゃ、私は行ってくるね~」
「ちょっと待った瀬衣名! 前から一度聞いておきたいとは思ってたんだけど…。お前、克人君とはどこまで…」
「あー…。うん、えっと、最後まで?」
「はぅっ…!! ………。ですよねー。最近の子って早いもんねー…」
「避妊はちゃんとしてるから安心してね」
「当たり前だってば! 出来ちゃった結婚とかやめてよね…ホント…」
「大丈夫だって。私の事より自分の事を心配したら? 今日だって久しぶりのデートだっていうのに、こんな事になっちゃって」
「ですよね…。スミマセン…。ていうか、瀬衣名ちゃん…キツイ…」
「別にパパを苛めてる訳じゃないんだけどなぁ? あ、そういえば海馬のおじさま! 最近凄く可愛くなってきたような気がするんだけど」
「ちょっ! か、可愛いって…っ!!  お前は四十越えた男相手に何を…っ!」
「ホントだってば。あ! やだ、もうこんな時間。じゃあ私行くからね。お大事に、パパ」

最後に振り返って見たパパの顔は真っ赤だった。
多分熱のせいだけじゃないと思う。
何だ、パパも可愛いとこあるじゃない。
そう思いながらマンションの玄関を出たら、丁度入り口に黒塗りのリムジンが到着したところだった。
車の中から出てきた海馬のおじさまは、とてもじゃないけど四十過ぎた子持ちの男の人には見えません。
あんなおじさんをこれだけ可愛くしたのは一体誰なのかしらね~?
とりあえず海馬のおじさまにはパパの事をお願いして、私は自分の恋を優先する為に待ち合わせ場所に向かって走り出した。

まぁ…こんな感じで…。
ちょっと気分転換になったかも…?


短編『言葉の力』の後編をUPしました。
初めてのHに恥ずかしがる海馬を書きたくて起こした小説だったんですけど、海馬が予想以上に恥ずかしがりまくって大変でした。
今回は海馬の一人称だったので、海馬側の気持ちで書いていたのですが、余りの駄々っ子ぶりに一度全部消しかけました…w
でもまぁ、Hに初々しい海馬を書いたのは初めてだったので、ちょっといやかなり楽しかったです(´∀`)
やっぱりラブラブはいいですなぁ…(*´д`*)


以下は拍手のお返事でございます~!


>発芽米子様

ようこそいらっしゃいませ~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

『言葉の力』に萌えて頂き、ありがとうございますw
あ、ちなみに私も、恥ずかしがったり困ったりする社長は大好物ですよ~!!
変態くさくて申し訳ないです(´∀`;;;

そうそう。
メールに書かれていた『1///6』(検索避けの為にスラッシュ入れたら、妙な表記になった…w)なんですけど、私もアレは城海ソングとして聴いています!
本当にいい歌ですよね~!
何でも6月7日になったら、UP主が動画消しちゃうみたいで…。
あんなに素敵な曲を消すなんて、勿体ないと思います(´・ω・`)
他には『相/愛/性/理/論』(sm/6/7/4/3/2/9/1)なんかも、私の中では城海ソングになっております~。
やっぱボカロはいいですよねぇ~。
時折城海ソングにしか聴こえない曲があったりして、ネタを貰ったりもしてますw

それではこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ



>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!(*´∀`*)

『言葉の力』を読んで下さってどうもありがとうございます!
Rosebank様もおっしゃっておられますが、三分割にしたら本当に丁度良い長さになってくれて助かりましたw
初めての初モノ城海だったので今回は乙女海馬を全面に出してみましたが、男らしい格好いい海馬の初モノもいいかもしれませんねぇ…。
でも無理に格好良くさせようとすると、ウチの海馬は何かと無茶をしてしまいそうですw
下手をすれば流血沙汰になりそうな予感が…w
で、今回は海馬を乙女全開にした分、代わりと言っては何ですが城之内をエロ格好良く(?)書いてみました。
格好良いかどうかは別にして、海馬を本当に大事に思っているという描写はところどころに入れてあります(*'-')
その事に関しては、Rosebank様もちゃんと気付いてらっしゃるみたいですね~。
ローションの描写とかに関して「流石」と言ってらっしゃいましたしね(´∀`)

そうそう。
Rosebank様のコメントを読んで後からチェックしてみたのですが、確かにあの「混乱~」の描写は少し変でしたね…。
今ちょっと修正案が思い付かないのであのままにしておきますが、その内こっそり直しておこうと思いますw
そしてスランプに関して心配して下さってありがとうございます~(*´∀`*)
久々に酷い精神状態に陥ってしまって混乱気味ですが、暫くはゆったりする事にします。
まぁSS程度だったら何とかなりそうですので、更新スピードは暫くこのままの状態でやっていこうと思っています。
『奇跡の証明』の番外編も書きたいですしね~!

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*言葉の力(後編)

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「ふっ…うっ…! あふっ…!」
 ローションでたっぷり濡らされた城之内の指が、オレの後孔の入り口を弄っている。
 ぬるぬると暫く入り口を馴染ませていたかと思ったら、ツプリと中に入ってきた。
 ローションのお陰で痛みはさほど感じはしなかったが、それでも異物が入り込んでくる違和感は何ともしがたく、オレはつい呻いてしまう。
「海馬、痛い?」
 城之内が心配そうに尋ねてくるのに、フルフルと首を振って答えを返す。
 別に痛くは無い。
 だけど…少し気持ちが悪い。
 グチュグチュと音を立てて指が何度も往復し、慣れてきた頃を見計らって更に指がもう一本追加された。
 オレの体内の粘膜を慣らす為に、城之内の指は何度も撫でたり擦ったり押さえつけたりを繰り返す。
 その何とも言えない違和感に耐えきれず、思わず身を捩った時だった。
「………っ!!」
 突然背筋から脳天までを貫く雷のようなものが突き抜けて、オレは無意識に背を反らせてビクリと跳ねてしまった。
 何だ…? 今のは一体何なんだ…っ!?
 はっきりとしない快感に半勃ち状態だったオレのペニスも、その刺激で何時の間にか完全に勃起してしまっている。
「海馬…? ここ…なのか…?」
 オレの変化に目聡く気がついて、城之内がある一点を重点的に攻めだした。
 そこに城之内の指先が触れる度、耐え難い快感がオレを攻め立てる。
「あぁっ…! や…だ…っ!」
 快感の波がオレを飲み込むのと同時に、それまで忘れていた羞恥心が戻って来た。
 男相手にこんなに大きく足を開いて、普段自分ですら見ないような場所を晒けだして、あり得ない場所を弄られて快感に咽び泣いて、涙と涎で顔中グシャグシャにして、直接触られてもいないのにペニスを勃起させて、先走りの液を自分の腹の上にポタポタ垂らして、それを城之内にしっかりと見られて…。
 それが全てがいたたまれなかった。

「いや…だぁ…っ! もう…恥ずか…し…い…、城之内…っ」
「うん。分かってる。でも、もうちょっと我慢して」
「やだ…っ。もうやだぁ…っ!」
「落ち着いて…。ホントにもうちょっとだから。ね?」
「も…ちょ…っと…?」
「うん、そうだよ。だから大人しくして…。良い子だね、海馬」

 パニックに陥りかけたオレを、城之内が優しい言葉で落ち着かせる。
 城之内の言葉は魔法みたいだ。
 彼の放つ言葉は全て信じられる。
 さっきからずっとそうだ。
 城之内の言葉に一々反応して否定して、だけど最後には言いくるめられてしまう。
 奴の放つ言葉には何か強い力が働いていて、その言葉に嘘は無いのだと、オレの心がそれを認めてしまっていた。

「んふっ…。ふぁ…ん! じょ…ぅ…ち…っ」
「良い子…。そう…良い子だ…」

 優しい声で宥めながら、城之内の指がオレの内部を解いていく。
 最後に体内で指を開き一際大きく粘膜を広げるようにすると、城之内はオレの中から指を引き抜いた。
 そして身体をひっくり返されて、腰だけを高く掲げるような格好にさせられる。
「な…なに…?」
 その突然の行動にオレは怯えた。
 今までどんなに恥ずかしい思いをしても必ず視界の中にいた城之内が見えなくなって、奴の次の行動が全く読めなくて怖い。
 声の震えからオレの恐怖が伝わったのだろう。
 城之内が安心させるように囁いてきた。

「大丈夫…。酷いことはしないから、安心して」
「いや…だ…。怖い…っ」
「最初だから、なるべく自然な体勢をとってるだけだ。多分バックからの方が楽だから」
「やだ…やだ…。顔が見えない…っ! 怖い…っ!」
「オレもお前の顔見てたいけどさ…。最初から正常位は辛いぜ、きっと」
「それでもいい…っ! 顔が見たい…っ! 怖いのは嫌だ、城之内…っ!!」

 こればっかりは譲れない。
 いきなり後ろからだなんて怖過ぎる。
 その体勢の方が楽なのはよく分かるけど、それでもオレは嫌だった。
 持ち上げられた腰をヘタリと落として断固拒否していたら、頭上から「はぁ~」と深い溜息を吐く音が聞こえた。
「仕方無いな…。なんだかんだ言っても、オレは結局お前には勝てないんだよなぁ…」
 城之内の熱い手が、オレの身体を再びひっくり返す。
 パサリとシーツの上に仰向けに転がされて、オレは改めて城之内の顔を見上げた。
 城之内はいつもの飄々としている表情とは全く違う、どこか焦ったかのような余裕の無い顔で苦笑している。
 そのまま無言で枕を掴むと、オレの腰の下に差し入れてきた。

「これで少しはマシになると思うけど…な。辛いと思うぜ、多分」
「構わない」
「自分で言い出したんだからな。ちゃんと我慢しろよ」
「わかっている」

 城之内がオレの開かれた足の間に入ってきた。
 先程散々慣らされて後孔に、城之内の熱いペニスの先端が押し付けられるのを感じる。
 いよいよだ…と思ったら、途端に心臓が高鳴った。
 緊張感に耐えきれず目を強く閉じたら、城之内に優しく頬を撫でられる。
「挿れるから…力抜いて」
 興奮で微かに震えている声でそう言われて、オレは深く息を吐いて、城之内の全てを享受する為に力を抜いた。


「あっ…! ぐぅ…んっ!!」
 城之内がオレの体内に入ってくる。
 指とは全く比べものにならないほど熱くて大きくて、まるで身体が真っ二つに引き裂かれそうな程の痛みと内臓が圧迫される苦しみに、耐えきれずに呻きを漏らしてしまう。
「っ………。きっつ…っ」
 オレが上手に力を抜くことが出来ないので城之内自身も痛みを感じているらしく、オレの耳元で辛そうな声をあげる。
 それでも少しずつ少しずつ、オレの粘膜に馴染ませながら城之内は腰を進めて、やがて根本まで辿り着いた。
 城之内のペニスがオレの体内でドクドク脈打っているを直に感じるが、だけどそんな些細な刺激でさえも今のオレには苦痛でしかなかった。
 せっかく城之内と結ばれようとしているのにそんな呻き声なんて聴かせたくなくて、なるべく声を出さないように我慢する。
 だけど感じている苦痛が全て表情に表れていたようで、城之内が心配したように声をかけてきた。

「海馬…。ちゃんと息して。深呼吸するみたいになるべく大きく…」
「む…無理…だ…っ。っう…!」
「ゴメンな。やっぱ痛いし…苦しいよな」
「い…痛…くなんて…ない…。苦しく…も…ない…っ」
「嘘ばっかり。強がっちゃって」
「嘘じゃ…な…い…っ!」
「素直になれよ、海馬。それとも何か? 痛いとか苦しいとか言ったら、オレがやめちゃうとか考えてる?」
「………」
「大丈夫、やめないよ。ここまできたんだからちゃんと最後までやるよ。それからお前にも気持ちいいって感じて貰えるようにするから…」

 シーツをギュッと握っていた手を持ち上げられて、城之内は俺の手を自分の首に回させた。
 城之内の熱い体温を感じて、オレは少し安心してその首に縋り付く。
 その行為に満足気に笑って、城之内はオレの耳元で優しく囁いた。
「うん、そう…。そうやってしっかり掴まってて」
 城之内がオレを気遣うような言葉を紡ぎ出したのは、それが最後だった。


 城之内の腰がゆるゆると動いて、オレの中を翻弄する。
 最初は痛みや苦しみだけしか伝えて来なかったそれも、やがて慣れてくるにつれて違う何かを感じ始めた。
じわりじわりと身体の奥深くから熱が生まれて来る。
 身体全体が痺れてきて既に息は荒く、肺に取り込むべき酸素が足りなくて苦しいくらいだ。
 城之内もオレが慣れてきたのに気付いたのだろう。
 いつのまにかゆるやかだった腰の動きが激しくなってきて、やがて先程感じた一点にグリッと強くペニスを押し付けられた。
「あぁんっ…!!」
 途端にビリビリと走った快感に、思わず甘い声で喘いでしまう。
 そんな女みたいな声は出したくないのに、オレの意志に反して鼻にかかった喘ぎ声は勝手に漏れ出してしまうのだ。

「ひぁっ…!! や…んっ! あ…あぁっ!」
「あ…。やっぱココ…気持ちいいんだ? 可愛いなぁ…海馬」
「ふぅ…んっ。はぅ…っ!」
「海馬…。我慢するなよ? 声出していいんだからな?」
「うぁっ…! やっ…、声…でちゃ…っ」
「うん。だからいいんだってば」

 頭の中は既にグチャグチャで、何も考えられなかった。
 今夜の出来事の中で一番恥ずかしいと感じ、それでも声を止める事が出来ない。
 城之内の与える快感に翻弄され、何とかこの感覚から助けて貰おうと必死にそれらに縋り付いて、自らの熱を高めていく。
 身体を密着させ腰を振られる度に、城之内の鍛えられた腹筋に自分のペニスが擦られて、その刺激にまたビクビクと身体が震えてしまう。
 快感が強すぎて、涙が止められない。
 こんなに一晩中泣かされたんじゃ明日は目が腫れて外出どころじゃないな…と、頭の片隅でちらりと考えた。
 だけどそんな他のことを考える暇なんて本当に一瞬しかなくて、両足を更に大きく左右に広げられ、城之内はオレの最奥まで犯してきた。
「っ…ひっ…! くっ…、あぁぁっ!!」
 途端に指先まで伝わった快感の痺れに身を竦ませる。
 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
 死にたい程恥ずかしい。
 それなのに…それ以上に幸せだった。
 痛みもあるし苦しみもあるけど、大好きな城之内が体内にいるのを感じて溜まらなく幸せだった。
 誰かと身も心も結ばれるのがこんなに幸せな事だなんて、オレは知らなかった。
「好き…」
 そんな言葉が自然に漏れる。
「好き…。城之内…、好き…だ…っ」
 熱に浮かされたように告白をすると城之内が一瞬驚いたようにキョトンとし、次の瞬間にふわりと嬉しそうに微笑んだ。

「オレもだよ、海馬。オレも大好き」
「城之内…っ。好きだ…、本当に…大好きだ…っ」
「うん、知ってる。オレも大好きだよ…。愛してる、海馬」

 好き、大好き、愛してるとお互いに囁きあいながらキスをする。
 入り込んできた城之内の舌に、己の舌を夢中で絡ませた。
 唇の端から飲みきれなかった唾液が零れ落ちても、そんなもの何の気にもならない。
 舌も腕も足も、まるで二度と離れられないようにお互いに強く絡みつかせて、オレ達は共に高みへと昇っていく。
 余計な事なんてもう何一つ考えられない。
 汗に塗れた城之内の逞しい身体に強くしがみつき、オレはついに快感を耐える事をやめた。

「あっ…! あ…あぁっ! も…出…る…っ! 出る…っ。出ちゃ…っ。じょ…の…ちぃ…っ!!」
「いいよ…っ。出して…。オレも…もうイク…っ!!」
「ふぁ…っ!! あっ…うぁっ…! い…あっ! あっあっ、あぁぁっ―――――っ!!」

 互いにまるで相手を絞め殺すかのように強く抱き締め合って、オレ達は共に昇天を迎えた。
 一気に頭の中が真っ白になって、だけど下半身から伝わってくる熱だけは妙にリアルに感じていて。
 城之内がオレの体内で精を放ったんだと知って、知らず笑みを浮かべてしまっていた。
 ゼーゼーと二人共気管が鳴るほどの荒い呼吸をし、重なった胸からは互いの心臓が破裂しそうな勢いで動いているのを感じる事が出来る。
 それが少しずつ治まるにつれて脱力し、城之内が体重をかけてオレにのし掛かるのを感じて、オレもその身体を受け止めながらベッドに沈み込んだ。
「だ…大…丈夫…か? 海馬…?」
 掠れた声で聞かれた問いに、僅かに頷くことで答える。
 正直、指一本動かすのだって辛かった。
 ぐったりしながら寝転がっていると、やがて先に体力を回復した城之内が半身を起こす。
「ぅ………っ」
 力を無くしたペニスをズルリと引きずり出されて、その感触に小さく呻く。
 中に注ぎ込まれた精液がトロリと溢れ出るのを感じて、また顔が熱くなった。
 結局、最初から最後まで恥ずかしいままだ。

「悪い…。中に出すつもりは無かったのに…出しちゃった…」
「別に…いいんじゃないか? オレは男だし…妊娠なんて…しないし…な…」
「そうじゃなくて。多分…腹壊すから。後で風呂入って処理しような」
「な…なに…っ?」
「あれ? 知らなかったのか」

 額の汗を拭いながら、城之内が顔を上げてオレを見詰めてきた。
 し…知らないぞ! そんな事は聞いてないぞ!!
 途端にサーッと青冷めるオレを見て、城之内はニヤリと悪そうな顔で笑った。
「出しちゃったのはオレのせいだからな。ちゃんと責任とって綺麗にしてやるから安心しろよ、海馬」
 明るい風呂場で体内に注ぎ込まれた精液を城之内の指で掻き出されるのを想像して、その余りに卑猥な映像にクラリと目眩がする。
 セックスが終わってもまだ恥ずかしい思いをしなければならないなんて…。
 他人と愛し合うというのは本当に大変な事なのだ…と改めて思う。
 だけど城之内はもうすっかり落ち着いてしまって、真っ赤になってしまったオレを安心させるように笑って頭を撫でてくれた。

「大丈夫。その内慣れるから。最初は恥ずかしいのは仕方無いんだよ。だけど、そういうのも二人で乗り越えていくって決めたんだろ? だから大丈夫だよ。安心してオレに任せとけって」

 またこれだ…。
 何を根拠に大丈夫などと言っているのか分からんが、何故か城之内の言葉なら信じられる。
 これは城之内が持っている言葉の力なのか。
 不思議な感覚に捕われながらも、その言葉を信じて黙って頷くしかなかった。
 まぁ…。脳も身体も初めての体験に疲れ果てて、ただ流されただけかもしれないがな…。

久々のスランプ状態にすっかり混乱気味の二礼です、こんばんは。

前回の日記で『やる気の出ない病再発』と書きましたが、やる気が出ないと言うよりはスランプに陥っていたようですw
ずっと書きたかった三つの長編を仕上げてしまった為に、どうやら気が抜けてしまったようですね…(´∀`;
文字書きを再開したのが7年ぶりなら、スランプに陥るのも7年ぶり…;
7年も経つとスランプがこんなに辛いモノだと言う事を、すっかり忘れておりました。
う~~~ん…;;;;; 参ったのぉ…;;;;;
ただ長編ネタは纏められなくても短編ネタは何とかなりそうなので、暫くは短編を書いて過ごそうかと思っています。
本当に困ったもんだ。
今までとは全く違う長編を書きたいと思っていたのになぁ…;

今日は短編『言葉の力』の中編をUPしました。
長くなったHシーンを一度に上げようかと思っていたのですが、コメントで「分割するのも一つの手」とアドバイスを頂いたので、思い切って分割上げする事にしました。
うんうん。
確かにこちらの方が丁度良い量になって読みやすくなっているようです(´∀`)
どうでもいいけど、本当に気合い入れて書き過ぎですw
せっかくの初モノ城海だからで少しでも丁寧に…と描写していっただけだったのになぁ…。
後編は火曜日の夜にUPします。
『奇跡の証明』の続きは水曜日になるかな~。


以下は拍手レスになりますです。


>Rosebank様

二度の拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)

『奇跡の証明』の第十五話と『言葉の力』の前編の感想を、どうもありがとうございます。
『奇跡の証明』の方はですね、せっかくのファンタジーなので思い切った演出をしてみました。
ファンタジーパロだと銘打っていた割りには、今まで『魔法』や『摩訶不思議な現象』等の演出を一切出してこなかったので、いきなり黒龍を出現させることで違和感が出ないか心配だったのですが…。
まぁ、こういうのも有りって事でお願いしますw
それにRosebank様の推理もバッチリ当っていましたしね~(・∀・)

それから『言葉の力』ですが、萌えて下さって嬉しいですw
コメントで『誘い受け海馬が格好良い!』とおっしゃっておられましたが、残念ながら格好良いのは前回までです…。
ここから先は乙女全開ですw
初めての初モノ城海という事で思いっきり乙女モードにしちゃったので、注意書きに『当社比1.5倍』と書きましたが、実際はもっとかもしれません…(*´∀`*)フヒヒ
格好良い受け海馬でなくてスミマセンでした…;

Rosebank様が以前書かれたコメントにより初モノ城海を書くと決めた時、確かに『Hypnotism』の続きも考えたのですが、何故か一番最初に脳裏に浮かんだのが『酒の力』の二人でした。
いきなり付き合うことになった『Hypnotism』の二人よりも、今までずっと付き合ってきたのに未だ結ばれていない『酒の力』の城海の方が気になったらしいです。
性格の違いで見ても『Hypnotism』の方は落ち着いたらさっさとH出来ちゃいそうですけど、『酒の力』の二人は状況が好転する気配が全く見えなくて…w
セックスに恐怖感を持っている海馬と、そんな海馬を大事に思って手が出せない城之内。
これは何とかしてやらねば!! …と思い、『言葉の力』を書く事にしました(´∀`)
気合い入り過ぎて無駄に長くなってしまいましたがね…w

あ、長くなったといえば。
『言葉の力』のUPは、Rosebank様のご意見を取り入れて三つに分けてみる事にしました。
Rosebank様の最初のコメントを読んだ時「おぉ! それでもいいのか!」と思いまして、書いてあったものを早速三分割にしてみたんですよ。
そしたら結構いい感じのところで三つに分かれてくれたので、「よし、これでいこう!」と決めたのです。
これでダラダラと長い文章を載せずにすみました…(´∀`;
アドバイス、どうもありがとうございました~!!

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*言葉の力(中編)

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 城之内の熱い唇が、オレの肌の上を辿っていく。
 時折痛みを感じるほどに強く吸われて、だけどその度に身体の奥がじわじわと熱くなっていくのを感じてしまっていた。
 着ていた服を全部脱いでしまった城之内と素肌で触れ合って、それが溜まらなく恥ずかしい。
 恥ずかしいのにそれと同時に気持ちいいと感じてしまって、それがまた羞恥心を生んでいく。
 きっとオレの顔は今、真っ赤に染まってしまっているだろう。
 それを見られたくなくて両手で顔を覆ったら、頭上からクスリと城之内が笑った気配がした。
 何か揶揄されると覚悟をしたが、城之内はそれ以上何も言ってはこず、またオレの肌に充血痕をつける作業に戻っていく。
 肌を吸われる気恥ずかしさに耐えていると、突然胸の突起に吸い付かれた。
「んぁ…っ!?」
 突然身体の奥から湧き上がってきた快感に耐えきれず、変な声を出してしまう。
 初めて出した自分の喘ぎ声は嫌になるほど甘く聞こえて、オレは咄嗟に自分の口を掌で押さえつけた。
 だけど城之内はそんなオレを無視して、そのまま乳首を舌で舐め回し強く吸い付いてきた。
「ぁ…っ。ふぁ…んっ。っう…っ!」
 身体の奥からジンジンとした快感の波が絶えず押し寄せてくる。
 城之内の唇はいつの間にかもう片方の乳首に移っていて、最初に嬲られて唾液に塗れた乳首は今は指でコリコリと苛められていた。
「あっ…! んっ…んっ…」
 出したくないのに勝手に声が出てしまう。
 男なのに乳首を弄られて女みたいに喘いでいるなんて、みっともなくて仕方が無い。
 だけど今はそれに耐えるしかない。
 城之内を…受け入れると決めたのだから。

「海馬…。乳首…気持ちいい?」
「…っ!! そ…そんな事…聞くな…っ!!」
「でも気持ちいいだろう?」

 本当は首を横に振りたかった。
 だけど城之内に嘘だけは吐きたくなくて、素直にコクリと頷く。
 城之内の掌で唇で舌で、オレの身体はおかしくなっていく。
 まるで発熱したかのように身体が熱くなって、快感の波にブルブルと震えるのを止められない。
 片手を乳首に残したまま、城之内の唇は少しずつ下へと移動していった。
 鳩尾にキスを落とし、浮いた肋骨をペロリと舌で舐められて、臍の穴に唾液に濡れた舌を入れられた。
「はっ…あっ…! っう…!」
 どこもかしこも、まるで火がついたように熱い。
 だからオレは失念していた。
 城之内がそこまで顔を下げているという事は、臍の下にあるオレのペニスを目の当たりにしているだろうという事を。
 熱い掌がペニスを握りしめてきて、そこでオレは漸くそれに気付いた。
「やっ…! あぁっ…!」
 城之内の掌に包まれたオレのペニスはもうすっかり腹に反り返るほど硬く勃起していて、その事実にオレは愕然としてしまう。
 先走りの液が先端からポタポタと流れ出て、それが城之内の手を汚しているのを見て泣きそうになる。
「っふ…! っ…う…。 いや…だぁ…っ」
 恥ずかしくて耐えきれなくて、思わず顔を覆っていやいやと首を振ると、その手を優しくどけられた。

「いやって言わないで。オレを否定しないでくれ…海馬」
「だって…、いやだ…っ」
「何がいやなの? こんなに可愛いのに」
「いや…、やっ…。恥ず…か…しい…っ」
「恥ずかしいのがいやなの?」

 優しく尋ねられて、オレは何度も頷く。
 頭の中がまるで子供に戻ってしまったかのように、単純な思考しか出来ない。酷く混乱してしまって、もう何が何だか分からなかった。
 だけどそんなオレに対して、城之内は決して焦ることは無かった。

「大丈夫。恥ずかしいのは悪い事じゃない。これから一杯触ってあげるから。だから海馬も一杯気持ち良くなって。そしたら恥ずかしいのなんて忘れちゃうからさ」

 そう言って欲情した男の顔で微笑んだ城之内は、熱い掌でオレのペニスを上下に擦り上げだした。
「っ…! あっ…あぁぁっ!!」
 幾筋も流れた先走りの液が、城之内の掌と摩擦してニチャニチャと音を立てる。
 それがまた耐えられなくて泣きながら「もう許してくれ」と懇願したけど、城之内は許してはくれなかった。
 オレの足の間に屈み込んだ城之内は、そのまま根本を扱きながらオレのペニスの先端を口に含んでしまう。
「ひぃっ…! やっ…やめっ…! 城之内ぃ…っ!!」
 ぬるりとした感触に、思わずビクリと腰が浮いてしまう。
 熱い粘膜を直に感じて、腰がズンと重くなったように感じた。
「あっ…! うぁっ…あっ…、くぅっ!」
 引き剥がそうと城之内の頭に手をやって荒れた金髪を握りしめるけど、先端の敏感な部分に舌先でグリュッと弄られて、その余りの快感に結局自分の股間に頭を押し付けるだけの結果に終わった。
 城之内によって急速に高められていく熱に頭は朦朧とし、もはやまともな思考など出来る筈もなく、ただただ無様に喘ぎ続ける。
「んぁっ…! はぁ…あぁんっ!! あっ…っあ―――っ!!」 
 そんなオレに気付いたように、それまで焦らすような愛撫を施していた城之内が急に追い上げてきて、オレはそれに耐えきれずそのまま奴の口の中に射精してしまった。
 頭が真っ白になりびゅくびゅくと吐き出される精液を、城之内は黙って飲み込んでしまう。
「にが…」と呟かれた一言で、オレは城之内が自分の出した精液を飲んでしまったと知って、恥ずかしさの余り再び泣き出してしまった。

「そんな…もん…飲む…な…っ。この…馬鹿が…っ!!」
「何で? 美味かったよ?」
「嘘言うな…っ! あんなもの美味しい訳ないし、貴様だって苦いって言ってたじゃないか…っ!!」
「確かに苦かったけど。でも美味かったぜ? ちゃんとお前の味がしてたしな」

『お前の味』とか言われたのがまたショックで、オレは泣きながら何度もフルフルと首を横に振る。
 そんなものを大好きな城之内に味わわれるのが辛くて、オレはいい加減羞恥で死ぬんじゃないかと思いだした。
 今日だけで何度恥ずかしいと感じたのだろう。
 泣き続けるオレに苦笑しながら、城之内はゆっくりと身を起こす。
 一度ベッドを降りて自分の鞄を取りに行き、手に何かを持って戻って来た。
 そして再びベッドに戻りオレの足に手をかけて膝を立てると、そのまま左右に割り開く。

「可哀想だとは思うけど…。そういう姿がまた可愛くて、オレも止められそうに無いんだ。だからもう少し我慢…な?」

 城之内の手に握られていたのは、小瓶に入ったローションだった。
 いつの間にそんなものを…と思っていたら、まるでオレの考えを見透かしたように城之内が微笑む。

「あのさ。何を勘違いしてたか知らないけど、オレだってお前を抱くのを諦めてた訳じゃないんだぜ? お前の恐怖心が消えていつOKが出てもいいように、準備はしてたんだ。だってオレ、待つって言っただろ? お前の事抱けないからって、諦めたり呆れたりするなんて一言も言ってないよな?」

 城之内の優しい…けれど余裕の無い笑みを見ながら、オレはただ呆然としていた。
 そうだ…。城之内は待っていてくれたのだ。
 オレが城之内を受け入れていいと思うまで、ずっと…何も言わず…待っていてくれた。
「すまない…」
 思わず謝罪の言葉を口にすると、笑みを浮かべたまま城之内は首を横に振った。

「謝る事なんてない。お前は何も悪くないよ」
「だが…お前を待たせてしまった…」
「待つのも結構楽しかったんだぜ、海馬。それにこれくらい待てる男じゃないと、お前にふさわしくないだろ?」

 ははっと軽く笑って、城之内はオレの髪を優しく撫でてくれた。
 さらりと前髪を掻き上げられて、チュッと額にキスされる。
 次いでこめかみに、頬に、鼻先にキスをされ、最後にそれは唇に辿り着いた。
 何度も啄むような軽いキスを繰り返し、最後に深く唇を合せて舌を絡ませる。
 くちゅり…と濡れた音が響いてオレはまた顔に血が昇ってしまうが、それでもキスを止めようとは思わなかった。
「ふ………っ」
 つーっと唾液の糸を引きながら城之内が離れていく。
 それをペロリと舌先で舐め取って、城之内は少し真面目な表情でオレを見詰めた。

「これから先は少し痛いと思うけど…。オレは絶対止めないからな。だからお前も頑張って耐えてくれ」

 城之内がこれから何をしようとしているのかは、オレだってよく分かっている。
 だから黙って頷いた。
 これ以上この男を待たす訳にはいかなかった。
 オレだって…待ちたくはなかったから。

やる気が出ない病再発の二礼です、こんばんは。

そろそろ新しい長編のプロットとかを作りたいのに、それすら起こす事が出来ません。
う~ん…; 困ったなぁ…。
ネタはあるんですけどイメージがぼやけてて、まだしっかりとした形になってくれないんです。
今まで長編は『~の証明』と名付けたものばかりだったので、そろそろそこから脱却したいのですが、新しいものとなるとやっぱりイメージの凝固が難しいです。
エロ神様も帰ってしまわれたしねぇ…w
あ、でもエロ神様はちゃんとやるべき事はやっていってくれましたw

と言う訳で、短編『言葉の力』の前編と、長編『奇跡の証明』の第十五話をUPしました。
今回UPする長編の方が短かったので、短編と同時UPです。
短編の『言葉の力』の方は、とある御方のコメントとエロ神様のお陰でネタを思いつき、気合い入れて初モノ城海を書いたんですけど…。
気合いが入り過ぎて凄く長くなってしまいました…w
とりあえず今日は前編だけをUPしたのですが、後編はこれの2倍くらいありそうな気がしますw
気合い入れ過ぎたwwwww 反省はしていないwwwww
丁度半分で切るとヤッてる最中で切ることになってしまったので、いくらなんでもそりゃ無いだろうと思ったもので…(´∀`;
今までは火曜日の更新の時に短編をUPしていたのですが、たまにローテーションを変えるのもいいと思い、後編は日曜日の夜にUPしようと思っています。
これから修正作業に入るんですけど…。
本気で長い…; どうしようコレ…w


以下は拍手のお返事です~!


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございます~(*'-')

『奇跡の証明』十四話の瀬人を褒めて頂いて、ありがとうございました!
もうこの回は本当に苦心して、瀬人をどれだけ格好良く威厳高く見せるかに重点を置いたので、スカッとしたと言って頂けて嬉しかったです(*´д`*)
克也が戦争に行くことによって成された瀬人の覚醒を、どれだけ上手く表現出来るか心配だったのですが、これで安心致しました。
ふぃ~。良かった良かった…w

えーと、どうしようかな…。
もうココまで来たなら大丈夫でしょうから、一つだけネタばらしをしちゃいましょう(´∀`)
Rosebank様の推理の中でどうしても気になっていらっしゃる『ウサ耳スパイ説』ですが、今ココで「残念ながらそれはありません」とキッパリ申しておきます。
何か妙にやさぐれているのには彼なりの理由があるのですが、少なくても『敵』ではありませんのでご了承をw
でも、Rosebank様の推理は読んでて凄く面白かったです!
「なるほど。そういう考え方があったか…」と改めて深く考えさせられました。
そしてRosebank様のあの推理のお陰で、私は番外編を思い付く事が出来たのです。
元々裏設定としてはあったのですが、そのまま誰の目にも留まる事無くゴミ箱行きになる筈だった設定を、Rosebank様のお陰で救い出して一つの形にする事が出来そうです。
その事に改めてお礼申し上げます。
貴重なご意見をどうもありがとうございました~!!

あとは『蠍/火』のお話ですね!
ピアノとエレクトーンのコラボと、それを比較した動画は私も見ましたよ~!!
Rosebank様の「才能が才能を呼ぶ」というご意見には私も諸手を挙げて賛成ですw
動画内の「もうお前等結婚しろ」というコメントには笑いました…w
二礼も小さい頃にピアノを習っていましたが、今はもう全部忘れてしまって『ドレミファソラシド』くらいしか弾けないと思います。
音楽の才能は…皆無でした…w

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第十五話

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 冷たい水を掻き分けて、瀬人は一人中央の小島を目指す。
 そこに聳える黒水晶に、願いの儀として克也の身の安全を祈る為に。
 約半年ぶりに柔らかい芝生の上に上陸して、瀬人は相変わらず高く聳える黒水晶を下から見上げる。
 周りで発光している水晶の光を受け、それはキラキラと美しく輝いていた。
 無機質なその結晶を眺め、瀬人はそっと表面に手を当てる。
 だが、その途端…。
「………っ?」
 思いもしなかった温度を自らの手が伝えてきて、瀬人は一旦黒水晶から手を離した。
 半年前、結婚の儀をした時に触れた黒水晶はヒンヤリと冷たい感触だった筈だ。それなのにたった今触れた黒水晶はまるで人間の体温の様に温かかったのだ。
 恐る恐る、もう一度掌を黒水晶の表面にピタリとつける。
 その掌が伝えてくるのはやはり人肌の温度。そして微かに、ドクン…ドクン…と鼓動すら感じられる。
「どういうことなんだ…?」
 思わず口に出して呟いた瞬間、瀬人は突然激しい目眩に襲われた。
 立っている事が出来ずその場に崩れ落ちる。
 朝食を食べていなかったせいで貧血を起こしたのかと思ったが、その目眩は直ぐに治まってしまった。
「なんだったのだ…? っ…!!」
 頭を抱えふらりと立ち上がる。そして瀬人は、目の前に広がっていた光景に驚いて立ち竦んでしまった。
 目の前にいたのは先程まで高く聳え立っていた黒水晶ではなく、一匹の巨大な黒龍の姿。爛々とした真紅の眼がじっと瀬人を見詰めている。
「真紅眼の…黒龍…っ」
 その圧倒される巨大さと威圧感に足が竦んで動けない。
 ただ立ち竦む事しか出来ない瀬人に、目の前の真紅眼の黒龍はバサリと大きな翼を広げ、瀬人の心に直接話しかけてきた。

『ほう…、珍しいな。白龍の子がこの我に会いに来るとは…。しかもそなた、白龍の加護を受けているな。しかもそれは生まれつきのもの…。こんな強い加護を受けている者を見る事など、三百年前の皇后以来…。ますます珍しい事だ』

 目の前の黒龍は珍しげにしげしげと瀬人を見詰め、スッとその紅い眼を細める。
 その視線を受けて、瀬人も負けじと黒龍に視線を合わせた。

『さて、白龍の子よ…。我に何様だ…?』
「真紅眼の…黒龍…。貴方はこの黒龍国の守護龍であられる、真紅眼の黒龍であられるか…?」
『如何にも、白龍の子よ。そなたがここまで来たという事は、我に何か願いたい事があるのであろう…』
「その通りだ! 頼む、真紅眼の黒龍よ! 貴方も存じられていると思うが、我が黒龍国は隣国冥龍国との戦争に入った。その戦争に皇帝として前戦で戦う我が夫である克也の身を守って欲しいっ!」
『ふむ…面白い。この三百年間、何人もの女性が白龍の地からこの黒龍の地へ嫁いで来たが、そなたのように夫の身を案じて願いをかけに来た者は一番初めの皇后以外にいなかった。それ程までに夫を愛しているのか』
「当たり前だ…っ。克也は…オレの全てだ…っ! 克也がいなければ、オレがここにいる意味は無い!」
『ほう…。だがそなたは、我に願いをかけ続ける覚悟があるのか? 我に毎日会わなければならないという事だけではない。この国の為に生きる覚悟はあるのか』
「勿論だ!! この国に嫁いで来た時からその覚悟は常にオレの胸の内にある! オレの一生をこの国に捧げ、この国の為に生き、この国の土に骨を埋めよう! だがその為には…、その…為には…」

 瀬人は一旦言葉を句切り、強く拳を握りしめる。
 そして目の前の黒龍に向かって心の底から叫んだ。

「その為には我が夫である克也が側にいなければ意味が無い!! だから頼む真紅眼の黒龍よ!! どうか克也の身を守ってくれ…っ!!」

 瀬人の必死の叫びに黒龍は暫く何の反応も示さなかった。
 だがその大きな翼を再び閉じると、思いの外優しい声で瀬人の心に語りかけてきた。

『よく分かった…。ならば白龍の子よ、我に願いをかけよ。そなたが我との約束を守るなら、我もそなたとの約束を果たそう…』


「………?」
 気がつくと、瀬人は黒水晶の前で呆然と立ち尽くしていた。
 慌てて目の前の黒水晶に近付きもう一度その表面に触れてみるが、そこはもう無機質独特のヒンヤリとした冷たさしか伝えては来ない。
 今まで自分が見ていたものは幻だったのかと思う。だが瀬人は、どうしてもそれを信じてみたい気になってしまっていた。
「真紅眼の黒龍よ…。貴方を信じます。どうか我が夫を…克也をお守り下さい」
 瀬人は小さく呟くと、水晶の角で人差し指の先を切った。そして水晶の表面に『願いの儀』と書き、その下に自分の名前を書き込む。
 名前を書いた途端それらの文字はまるで水晶に飲み込まれるかのように消えていき、瀬人の指の怪我もあっという間に治ってしまった。

「克也の命が守られるならば…、オレは何十日でも何百日でもここに参りましょう。ですから…どうか…っ」

 真紅眼の黒龍に自らの強い祈りをぶつけるように、瀬人は黒水晶に向かって深く礼を取った。
 瀬人にとってはそうする事だけが、今出来うる全てだったのだ。

言葉の力(前編)

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城之内×海馬。
短編『酒の力』の続編になります。
初めて書く初モノ城海だったので、気合い入れすぎて妙に長くなりました…;
あと海馬の乙女化が、当社比1.5倍程増しております。
乙女海馬が苦手な人はご注意下さいませ(´∀`)

 




 大好きな城之内とセックスするのが怖くて仕方無くて、彼と結ばれたいと思っているのに実行に移す事が出来ない自分に焦れて。
 酒の力に頼れば何とかなるだろうという安易な考えの元、それを実行に移した花見で大層な醜態を晒してしまってから二ヶ月余り。
 オレ達は未だセックスまで辿り着いてはいなかった…。
 確かに、オレのセックスに対する恐怖心は未だ消えてはいない。
 それでも少しずつだが恐怖心は薄れてきて、今では城之内が行動に移すを待っているくらいなのだ。
 それなのに…だ。
 あの花見の夜の一件以来、城之内はオレに対してそういう行動を起こすのを止めてしまった。
 二人きりになれば優しく抱き締められる。
 じっと目を見詰めてきて、そして唇にキスをされる。
 だけどそれまでしてきたような、身体のあちこちを撫でたり首筋や胸元を吸われるような行為は一切やってこなかった。
 だからオレは今猛烈に焦っている。
 今はまだ恋人として優しく接してくれているが、もしかしたら既に呆れられてて、その内本気で捨てられるのでは無いかと。
 城之内に捨てられる恐怖に比べたら、セックスの恐ろしさなんて大した事は無い。
 目の前で食後のコーヒーを飲んでいる城之内をチラチラと見ながら、オレは今夜こそ…と決意を固めた。
 壁に掛かっている時計を確認すると、もうすぐ夜の十時。
 土曜の夜はこうして邸に夕食を食べに来てくれるのだが、城之内は十時を過ぎると自宅に帰ってしまう。
だから引き留めるのなら今しかないのだ。

「じ…城之内…っ」
 意を決して呼んだオレの声に、城之内がコーヒーカップをテーブルに置いて「ん?」と顔を上げる。
「明日は…バイトはないのか?」
 オレの何気ない質問に城之内はパッと嬉しそうに笑うと、コクリと頷いた。
「あぁ、明日は一日休みだぜ。天気が良かったらどこかに行こうか? 昼前に迎えに来るから、一緒に昼飯食べたら出掛けようぜ」
 城之内の答えに、オレは胸の中でガッツポーズをする。
 チャンスだ! 今を逃しては、こんなチャンスは二度と来ないかもしれない…っ!!

「迎えに来るって…。貴様、帰るつもりか?」
「ん? あぁ、もう時間が時間だしな。帰るよ」
「明日休みなら…泊っていけばいいではないか! どうせ明日一緒に出掛けるのだろう?」
「あ…うーん。だけどなぁ…」
「昼食を一緒に食べるのだったら、朝食も一緒に食べればよかろう。その方が無駄がない」
「でも…なぁ…」
「頼む! 泊っていってくれ!!」

 オレの剣幕に城之内が目を丸くして固まった。
 焦りの余り思わず「頼む」なんて言ってしまったが、オレの思惑がバレてしまっていないだろうか…?
 出てしまった言葉を撤回する訳にもいかずワタワタしていたら、目の前の城之内がクスッと笑った。
「分かった分かった。お前には負けたよ。泊ってってやるから、着替え貸してくれよな?」
 城之内の言葉にオレはホッと安心して頷いた。
 お前用の着替えなぞ、疾うに用意してあるわ。


 先に風呂に入った城之内と交代で風呂に入り、オレは身体の隅々までを綺麗に洗った。
 身体についた泡をシャワーで流して、入浴剤を溶かしたバスタブにゆっくりと身体を浸す。
 暖かいお湯に肩まで浸かりながら、オレは襲い来る不安感と戦っていた。
 今更ながら緊張してきた…。
 心臓がドクドクと音を立てて鳴り響いて、頭にカッと血が昇る。。
 大体にして今夜確実にセックス出来るとは限らない。
 もしかしたら城之内は本当に呆れてしまって、オレに興味を無くしてしまっているのかもしれないのだ。
 当たり前だ…。あんなにオレの事を抱きたがっていたのに、結局最後までオレが拒み通してしまったのだ。
 それで呆れられない筈が無い。
 だけど、オレはその時唐突に思い出した。
 城之内は…待つと言ってくれたのだ。
 オレが怖くなくなるまで待つと…そう言ってくれた。
「今が…その時だ」
 誰にも聞こえないように小さく呟くと、オレは湯船の中から勢いよく立ち上がってバスルームを後にした。


 バスローブを羽織って風呂から上がってくると、城之内はベッドに腰掛けて雑誌を読んでいた。
 乾いた喉にミネラルウォーターを流し込みながら、ゆっくりと近付いていく。
「海馬、あがったのか?」
「あ…あぁ」
 まだ何も進展していないのに、恥ずかしくて堪らない。
 真っ直ぐにこちらを見詰めてくる城之内の視線が耐えきれず、思わずスッと横を向いてしまった。
 ミネラルウォーターのボトルをサイドボードに置いて、オレは城之内の横に腰掛ける。
 ふと、オレと城之内の間の拳一つ分空いた距離が気になった。
 思い切って腰を上げてその距離を詰めようとすると、逆に城之内がその分横にずれてしまった。
「………?」
 気のせいかと思ってもう一度詰めてみても、城之内は同じように横にずれてしまう。
 無意識なのか、それとも意識的なのか。
 城之内のそんな行動に少し悲しくなった。

「城之内…」
「な、何?」
「何で逃げるんだ」
「え? べ…別に逃げてなんかないぜ?」
「逃げてるじゃないか!! そんなにオレに触れるのが嫌なのか!?」

 オレから逃げてるのは明白なのに、それを言い訳する姿にも悲しくなって思わず大声を上げてしまう。
 だけど城之内はそんなオレの台詞に「はぁ?」と間抜けな声を出しただけだった。

「触れるのが嫌って…。そんなのある訳ないだろう?」
「あるじゃないか! オレの事なんてもう呆れてしまったのか!?」
「呆れるって…っ。何で唐突にそんな話になるんだよ!」
「唐突じゃない! ずっと思っていたのだ! 何で貴様はオレに触らなくなったんだ…。確かにあの時みっともない姿を晒したとは思っているが、そんなにオレに幻滅してしまったのか…?」
「あの時ってどの時よ…?」
「花見でオレが酔っぱらった時だ…っ! 大体そんなにセックスしたければ、あの時に遠慮無く襲えば良かったではないか! オレとてそれが本意だったから、別に怒りもしないし嫌いになったりもしない。なのに貴様はそんなオレに呆れて…ついに手を出さなくなって…。オレは…オレは…待っていたのに…っ」

 言っている内に何だかとても情けなくなってきた。
 この二ヶ月間、ずっとずっと胸の内に溜め込んで来た悩みや愚痴が、ボロボロと口から零れ落ちていく。
 情けなくて苦しくて悔しくて、城之内が愛しくて欲しくて欲しくて欲しくて…。
 じわりと瞳の奥が熱くなって、自分が泣きそうになっている事を知る。
 泣きたくは無かったけれど、だけどそれを押し留める事が出来ない。
 緩んだ涙腺から溢れでた水滴は、あっという間に涙となってオレの瞳から流れていった。
「か…海馬…っ!?」
 オレの涙を見て、城之内が慌ててオレを抱き寄せる。

「ど、どうしたんだよ…っ! 泣くなよ…海馬…。頼むから…」
「だ…って…。貴…様…が…逃げる…から…っ」
「だから逃げて無いってば…」
「嘘…だ…っ」
「嘘じゃないよ。だってほら…あんまりくっつくと…したくなっちゃうから…。だからオレはお前とはなるべく接触しないようにだな…」
「それを…逃げて…ると…言うのだ…っ! 馬鹿者…っ!!」

 しゃっくり上げながらギュウと力を入れて城之内の身体を抱き締め返す。
 セックスに対する恐怖心なんていつの間にかどこかに行ってしまって、今は城之内の事だけしか考えられない。
 今この腕の中にいる男の事が愛しくて愛しくて、コイツを本気で欲しいと思っていた。
 涙をバスローブの袖でグイッと拭い去り、オレは城之内の顔を見詰めた。
 困惑の表情を浮かべる城之内に、オレの言葉を一言一句聞き逃されないようにゆっくりと言葉を紡いでいく。

「オレは…もう…大丈夫だから…。だから…してくれ、城之内」

 オレの言葉に城之内がピクリと身体を揺らして反応したのが分かった。
 いつも優しい色を称えている琥珀の瞳には、動揺と情欲の色が混ざり合ってゆらゆらと動いている。

「そんな事言われたら…オレ本気にしちゃうよ?」
「すれば…いい」
「本気で抱いちゃうよ…? いいの?」
「いいと言っている」
「後悔しない? 怖かったんじゃないの?」
「くどいぞ、凡骨!!」

 叫んで目の前でバスローブを脱ぎ捨ててやった。
 こうでもしないとオレの言葉を本気にしないだろうと思ったから。
 案の定、裸になったオレを見て城之内がゴクリと喉を動かした。
 オレの裸を見て興奮されたんだと気付いて、カーッと顔が熱くなる。
 真っ赤になったまま黙って俯いていたら、城之内の腕が伸びてきて、そのままベッドの上に押さえ込まれてしまった。

「分かった…。じゃぁもう、遠慮しないからな…。お前を抱くよ?」

 熱の籠もった声でそう言われて、オレは目をギュッと強く閉じてコクリと一つ頷いた。

夏到来!!

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これからやって来る夏にうんざりな二礼です、こんばんは。

ここ何日かで、すっかり夏らしくなりましたねぇ…。
冷え性なんで冬は大の苦手なのですが、同時に汗っかきなので夏も苦手なのです(我が儘)
汗アレルギー持ちなんで、ウェットティッシュとかで腕を常に拭かないとすぐに赤いブツブツが出来て、熱くて痛くて痒いという最悪の三重苦に陥ってしまうのです。
何かこんなん書いてたら、自分が物凄く病弱キャラのように感じてきましたw
実際は凄く元気です(´∀`)
(まぁ、常用している薬を一ヶ月以上飲まないでいたりしたら死ぬらしいけどw でも、そんなに飲み忘れたりしないしねぇ(´・∀・`))
そんなこんなで本日は夏服をごっそり出したり、扇風機を出して掃除したりしてました。
はぁ~…。
夏がやって来る…(´_ゝ`;

長編『奇跡の証明』の第十四話をUPしました。
この十四話と前回の十三話は、克也の演説とか瀬人の命令形とかで酷く悩んで書いた覚えがあります。
自分自身が偉い立場に立ったことがないので、こういう言い回しやっぱりは難しいんですよね…(´∀`;
偉い立場の人は大好物ですがw
(二礼が好きになるキャラは昔から、偉かったり責任ある立場に就いていたり何かに選ばれていたり何かのリーダー格だったり上位ランクの強い人だったり、そういう人が多い傾向にあります)
少しでも瀬人のカリスマ性が出てるといいんですが…。
でも、イマイチっぽ(・3・)
以下は拍手のお返事になります~!


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)

『伝線クォリティ』の感想を書いて下さってありがとうございます~!
Rosebank様の城之内に対するエロ親父発言で笑ってしまったのですが、でも多分私もそんなつもりで書いていますw
前に日記か何かでちょろっと書いたのですが、私の中の城之内君って年相応に凄くエロイというイメージなんですよね。
焦らしプレイとか言葉責めとかが凄く好きで、多分あのまま年を取ればまさしく『エロ親父』になってしまうと思っていますw
まぁ自分がそういう風に攻めるのが好きというよりは、そういう攻め方をされて相手が恥ずかしがったりするのを見るのが好きって感じですかねー(*´∀`*)
う~ん、まさしくエロ親父!w
でもこういう城之内を書いてらっしゃるサイトさんって余り見ないので、たまには新鮮でいいのではないでしょうか?
………と、自分を正当化してみたり(´・∀・`)

あと『蠍/火』のお話ですが、早速聴いて頂けたのですね-!
わーい! 嬉しいです~!
私もあの曲を初めて聴いた時は「これはどこかの偉い人が作ったクラシックをアレンジしたものじゃないの!?」と驚きました…。
でもアレ、本当に音ゲー用の曲なんですw
実際にゲームに使われていたのは3番目のショートヴァージョンなのですが、ロングヴァージョンを聴くと普通のクラシックと何の遜色もありません。
改めて凄い曲だと思います。
ニ/コ/ニ/コ/動/画には実際にあの曲をピアノで弾いてみたりしてる人とかいるので、そういう方々もまた人間じゃな…素晴らしいと思います!!w
弾いてる指が残像で見えるんですよw
指が攣りそうで怖いです…w

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第十四話

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 小一時間後、瀬人が書状を手に謁見の間に入ると、そこには既に白龍国の軍務大臣と副将軍が跪いて待っていた。
 早速皇后として席に着くと、目の前に座っている二人に「面を上げよ」と命ずる。
 顔を上げた大臣と副将軍の二人は瀬人を見て、再び深々と頭を下げた。

「お久しぶりです猊下…いえ、皇后陛下。お元気そうで何よりでございます」
「回りくどい挨拶などどうでもいい。さっさと話を進めるぞ。お前達も知っての通り、我が黒龍国は西の隣国冥龍国との戦争状態に入った。そこでお前達に問う。今回の戦争で白龍国はどういう立場を取るつもりか?」

 瀬人の質問に大臣と副将軍は顔を見合わせる。
 まだ瀬人が白龍国の法皇であった頃、この様に彼の前に跪き何度も報告や相談毎をした事があったが、こんなに威風堂々とした態度で迎えられた事はなかったのだ。
 瀬人がこの黒龍国に嫁ぎ早半年経ったが、その間に一体何がこの方の身にあったのだろうかと首を捻る。
 そうこうしている間に痺れを切らしたのか「返事はどうした?」と尋ねられたので、慌てて軍務大臣が口を開く。
「法皇猊下にあらせられては静観せよとのお言葉でございます。我が白龍国にも軍隊はございますが、皇后陛下もよくご存じの通り、まさに形ばかりの軍隊でございます。この黒龍国の軍隊と比べれば、我が国の軍隊は子供のようなもの。とても此度の戦争に役立てるとは思いません」
 大臣の言葉に瀬人は「ふん、そんな事だろうと思った」と小さく呟いた。
 三百年前のあの七年戦争以来、白龍国はなるべく『戦争』というものから距離を取ってきた。
 再びあの悲劇を繰り返さないという意味では殊勝な心構えだが、今回の戦争は侵略戦争ではなくあくまで自国を守る為の戦争。こんな大事な時にまで引き籠もって貰っては困るのだ。
 瀬人は顔を上げて凛とした声で言い放った。

「では黒龍国皇后として白龍国に命ずる。直ちに軍隊を編成し、黒龍国と冥龍国の国境である西の大河沿岸の警備にあたれ」
「そ…そんな…っ! 皇后陛下は我ら白龍国に戦争に参加しろとおっしゃられるのですか!? 元白龍国の法皇であった瀬人様がおっしゃられるようなお言葉とは思いません…っ!」
「何も直接戦争に参加しろと言っている訳では無い。白龍国の軍隊が戦争に参加したとしても、戦果なんぞは期待しておらぬ。オレが言っているのは国境の警備だ。冥龍国側から来る兵士や間者を見付けたら即刻捕らえ、拷問にかけてでも情報を吐かせろ。戦争は黒龍国軍隊に任せ、白龍国はとにかく国境警備に徹するのだ」
「国境警備とは申しましても…、結局戦争に荷担する事と同じ事では…?」
「貴様等、もし万が一黒龍国が此度の戦争に負けることがあってみろ。次に狙われるのは白龍国だ。黒龍国でさえ負けた国相手に白龍国が勝てるとでも思っているのか? だったら少しでも黒龍国がこの戦争に勝てるように同盟国として援助するのが、白龍国の役目ではないのか?」
「し…しかし皇后陛下…。そんな事を法皇猊下がお許しになる筈は…」
「モクバに対する書状ならもう書いてある。これを持って直ぐに白龍国に帰り、命令を遂行させろ。とにかく西の大河の向こうから兵士一人猫の子一匹渡らせることを許すな!! 絶対にだ!!」

 瀬人の剣幕に大臣と副将軍は慌てて頭を下げ、そして書状を持って謁見の間を急いで出て行った。
 二人が出て行ったのを確認し、瀬人は立ち上がり側に控えていたマナに声をかける。

「マナ、付いて来い」
「瀬人様…、次はどこへ行かれるのですか…?」
「誓いの泉だ」

 瀬人の言葉にマナが目を丸くする。
 というのも、瀬人が誓いの泉に行く意味が無かったからだ。
 戦争が起こった際の『戦勝祈願の儀』は、通常皇帝一人が行うもの。皇后が行う儀では無い。
 ならば瀬人は何の為に誓いの泉に行こうとしているのか…。
「…っ! 瀬人様…っ!!」
 マナはある一つの仮説が脳裏に浮かび、思わず大声で前を歩く瀬人を呼び止めた。
「瀬人様はもしや…っ」
 驚いた表情のまま動きを止めてしまったマナを振り返り、瀬人は「マナ」と優しく呼びかける。

「マナ、オレは先程自分にしかやれない事をやると言っただろう? そしてオレがこれからやろうとしている事は、多分オレにしか出来ない事なんだ。頼む…。これからオレがする事を信じて、ただ黙って見守っていてくれないか?」

 マナは恐る恐る瀬人の顔を覗き見る。そこにある瞳には揺るぎない意志が宿っていて、とてもじゃないが自分の力ではその意志を動かすことは無理だと思われた。
「分かりました…」
 諦めた様に頷くマナに瀬人は微笑みかけ、再び足を誓いの泉へと向けた。
 中庭を抜け神殿に入り、そこから地下に踏み入る。水晶の洞窟を抜け地下広場に降りると、人の気配にそこに佇んでいたバクラが慌てて振り返った。

「バクラ、久しぶりだな」
「え…? 皇后サマ…?」

 バクラは余りに予想だにしなかった人物の来訪に本気で驚いていたらしい。
「皇后サマ…? 一体何しにここへ来たんですか? 戦勝祈願の儀ならば昨日皇帝陛下が行なって、皇后サマの出られる幕はありませんが…」
 慌てるバクラを一瞥して、瀬人は「ふん」と鼻を鳴らすと自らの服に手をかけ始めた。
 金や銀の糸で刺繍の入った帯をシュルリと解きマナに手渡すと、今度は服の合わせ目の紐を解いて豪華な衣装を脱ぎ始める。
「え…、ちょっと…。何やってるんですか皇后サマ!! っ…! うぷ…っ!」
 突然の瀬人の行動に大声を出すバクラに、瀬人は脱いだ上等の絹の衣装を頭の上から被せる事で黙らせる。
 纏わりつく長い衣をどけようとバクラがあたふたしている内に、瀬人は他の衣類や髪飾りも全部脱いでマナに手渡してしまっていた。
 漸く衣を頭上から除けたバクラが見たのは、すっかり全裸になって泉を見詰めている瀬人の姿だった。
「皇后サマ…。もしや貴女は…」
 バクラの戸惑ったような声に瀬人が振り返る。

「もしや貴女は、『願いの儀』をするつもりじゃないでしょうね…?」
「流石守り人。察しがいいな。その通りだが?」
「その通りじゃないですよ!」
「何を怒っているのだ? 皇后として戦争に赴いた皇帝の身の安全を黒水晶に祈ることは、そんなにおかしい事なのか」
「別におかしくは無いですけどね…」

 バクラは深く溜息をつきつつ、瀬人を何とか思い留まらせようと必死に言葉を紡ぎ出した。

「皇后サマ、貴女は知らないんだ。願いの儀は本気で大変な儀式なんだ。一日だって休むことは出来ない。たった一日祈りを途切れさせただけで、その願いは永久に叶わなくなる」
「そんな事は覚悟の上だ。オレは戦争が終わり克也が無事に帰ってくるまで、毎日祈りに来る自信がある」
「だから…っ。今度の戦争はそんな生易しいものじゃないんだって! 相手は冥龍国…この黒龍国以上の軍国だ。とてもじゃないが二~三ヶ月で終わるような戦争じゃない。下手すりゃ一年…いや、それ以上かかる可能性だってある。ただでさえ三百年前の七年戦争並になると言われているんだ! そんな長い時間を、貴女は毎日祈り続けられるってのか!?」

 何とか瀬人を止めようと頑張っているバクラを見て、それでも瀬人はその意志を崩すことは無いと胸を張る。
 バクラから視線を外し一歩泉に向かって歩き出した瀬人に思わずバクラが詰め寄るが、皇族の身体に指一本触れることが出来ないしきたりの為、伸ばしかけた腕を止めてしまった。

「どうした、バクラ。オレを止めるのではないのか」
「出来るわけないだろ…。オレは守り人だ。皇族の身体に触れる事は許されていない」

 悔しそうに俯くバクラに、瀬人は「そうだろうな」と言い放った。

「お前達守り人が皇族の身体に触れられないのは、今回のように皇族の願いの儀を邪魔される事の無いようにする為だ。例え儀式が成功しようと失敗しようと、皇族が自らやると決めたその願いを、たかが臣下が邪魔する事は許される事では無い。その為のしきたりだ。違うか?」

 瀬人の言葉にバクラは悔しそうな表情をしたまま「その通りです…」と呟いた。
 そして今度は後ろに向き直り、そこに控えていたマナに詰め寄った。
「おい、マナ! いいからお前が皇后サマを止めやがれ!」
 焦った風なバクラの言葉に、マナは静かに首を横に振った。
「私には…出来ません…。瀬人様を信じるとお約束したのです…」
 マナの言葉にバクラが力を無くしてその場に座り込んでしまう。
 そして項垂れながら諦めたような声で呟いた。

「はぁ…。分かりましたよ、皇后サマ…。もう好きにして下さい。ただしここから先の責任はオレは持てませんよ? それだけはご理解下さい」
「分かっている。お前が心配するような事は何も無い」

 バクラの言葉にしっかりと頷くと、瀬人は振り返って泉へと歩いて行く。
 ただ克也の無事を願う為だけに、これから自分は毎日ここへ来て祈り続けるのだ。そうする事で克也が無事に帰ってくるのなら、そんなもの…大した苦労ではない。
 瀬人は己の胸に再び決意を固め、冷たい泉の中へと踏み込んでいった。

スコーピオン

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好きな曲が出来るとついついそればかり聴いてしまう二礼です、こんばんは。

ビーマニ系の曲で『蠍/火』というピアノ協奏曲があるんですけど、最近それが凄く気に入ってしまって、そればかり聴いています。
とりあえず気に入った曲が出来ると、脳が満足するまで繰り返し聴いてしまう癖があるようですw
(人、それを中毒と呼ぶ…)
で、この曲を聴きながら、短編書いたり日記を書いたりプロットをグシャポイしたりしていたせいでしょうか…。
何か段々頭に社長の幻想が浮かんできたんですw

『蠍/火』といえば蠍座…。
蠍座と言えばスカーレットニードル…じゃなくて(今時の若い人で知っている人いるんかね?w)、そう言えば社長は蠍座だったよなぁ…。
つーことは『蠍/火』って意外とイメージに合うんじゃないの?
そういや『蠍/火』は静と動のバランスがとても良くて、それが社長の波瀾万丈の人生と上手く重なるというか何ていうか。
とか考えてたら、次々と妄想が頭の中で繰り広げられていきました…w

幼い頃に孤児院でモクバと語った夢と約束。
海馬家に養子に入ってからの苦難。
義父の死によりついに精神が壊れてしまってからの王様との出会い。
そしてマイクラをくらってから、精神世界で一つずつ組みあげた心のパズル。
モクバとの絆によってついに心のパズルを完成させ、本当の意味での復活を果たす海馬。
生涯最大のライバルと認めた王様と向き合う為に開催したBC。
怒りと憎しみでは勝つことは出来ず、義父の死を乗り越え憎しみを捨て去る為の動揺、そして新たな道への決意。

『蠍/火』のクライマックスの激しさと、その後打って変わったかのように穏やかなメロディーで締めくくられるエンディング…。
それら全てが海馬の今までの人生をなぞっているかのようで、一人で感動していました…w
いやぁ~、実にピッタリでしたよ!(二礼の中でだけですけどね~(´・∀・`))
ニ/コ/ニ/コ/動/画とかにもいくつか動画が上がっているので、聴いたことない方は是非聴いてみては如何でしょうか?
(個人的にはsm/6/9/1/4/0/5/4とかがオススメです)
社長のイメージとは別にしても凄く良い曲なので。
(本当にDDRとかビーマニとかは、良い曲に恵まれていますよねぇ…。自分じゃプレイ出来ませんが…w)
まぁ『蠍/火』だけに限らず、社長にはピアノ曲が似合うような気がします。
静と動を両方現わすことの出来るピアノは、まさに社長にピッタリの楽器ではないでしょうか(´∀`)


話は変わりますが、最近凄く厄介なウィルスが流行っているそうですねぇ…。
えーと、GENOウィルスでしたっけ?
気になったんで一応チェックしてみたんですけど、ウチのPCはまだ正常でした。
なので今のところは心配無いのでご安心下さいませ。
ただ何時引っかかるか分からないので、戦々恐々としております…w
対策が見つからない程難しいウィルスって…やっぱ怖いですねぇ…(´_ゝ`;;;


短編『伝線クォリティ』をUPしました。
久々のにょた海馬で、一応『真実の証明』の後日談になります。
と言っても別に単体でも大丈夫ですので、わざわざ長編を読む必要はございません。
にょた海馬を書いたのは久しぶりだったので、凄く楽しかったです(´∀`)
貧乳可愛いよ貧乳…(*´д`*)ハァハァ
でも巨乳も好き…v
(変態でサーセン…)


以下は拍手レスでございます~。


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございます!!

『奇跡の証明』の第十三話も読んで下さってありがとうございます!
あの十三話は、出陣式の様子とか克也の演説とか瀬人の覚醒とかでかなり表現方法に悩みながら書いた回だったので、Rosebank様に「良かった」と言って頂いて嬉しかったです(*´д`*)
守られる存在の弱い海馬も大好物ですが、ここは敢えて強い海馬(瀬人)を出して色々と守って貰おうと思っています(`・∀・´)
じゃないとせっかく法皇やらせていた意味が無いので…w
それから克也の出番が減ってしまうのは…仕方無いのです…。
だって戦争行ってしまったし、それにこれはあくまで瀬人の物語なので(´∀`)
ここは敢えて脇役に徹して貰おうと思いますw
あとですね、残念ながら『奇跡の証明』は全26話弱になりそうです。
話のスジの流れ的には半分だったのであんな書き方をしてしまいましたが、最近Rosebank様のコメントのお陰で番外編を思い付いてしまったので、もしかしたら本編にプラスしていくつか話を書くかもしれませんw
ボツにした設定がいくつかあるので、それを引っ張り出そうと考えています(´―`)
(本編で使う余地が無かったのでボツにしたのですが、番外編となると話が違ってくるものでw)

話は変わりますがニ/コ/ニ/コ/動/画の『遊/戯/王/で/RPG』を見て下さったのですね~。
私もあの動画に気付いたのは20話を過ぎた辺りからだったんですが、ストーリーの内容が余りに面白くて一気見してしまった思い出がありますw
役に立たない王様と意外に可愛い顔芸を、まるで保護者のようにフォローするバクラと社長がいい味出過ぎてて笑えますw
ホントいいPTだと思いますよ(*´∀`*)
OPの流れ的に城之内君がいないのは仕方無いと思いますが、この4人の組み合わせは結構面白いので、これからも見ていこうと思っています。
(最近は一ヶ月に一回程度しか進まないのが残念なんですけどね…(´・∀・`))

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*伝線クォリティ♀

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城之内×海馬(♀)
城之内の一人称です。
『真実の証明』の後日談となっておりますが、これ単品でも全然大丈夫です。
かなりマニアックなプレイとなっておりますので、読まれる際はご注意下さいませ(´∀`)

 




『久しぶりに時間が取れそうだ。今日から暫くはゆっくりと過ごせると思う』

 約二週間ぶりに海馬から貰ったメールを見て、オレはバイトが終了したのと同時に急いで海馬邸に向かっていた。
 急ぎ過ぎた為か着いた時はまだ海馬は帰っていなくて、オレはメイドさんに案内された海馬の私室でゆっくりと待つ事にする。
 柔らかいソファに座りながら、オレはにやけた顔を止められなかった。


 男だと思っていた海馬が実は女の子だと判明して、紆余曲折の末にオレと恋人として付き合うようになってから数ヶ月が経っていた。
 日に日に可愛らしく可憐になっていく海馬にオレは至極満足していたけど、それでもやっぱり海馬の周りの状況が変わった訳では無く。
 彼女は海馬コーポレーションの女社長として忙しい毎日を送り、更に今回のように仕事が立て込む時期になると、二人で過ごす時間が完全に無くなってしまう事も日常茶飯事だった。
 オレは基本的に好きな子とは何時でもどこでもイチャイチャしたいタイプだったから、それに不満が無かったと言えば嘘になる。
 だけど海馬の事情も嫌と言うほど良く知っていたから、それを直接相手に伝えるほど馬鹿じゃないし、アイツを待てないほど愚かでもない。
 という訳で海馬が仕事に追われていたこの二週間程、オレは黙ってじっと待っていた。
 こっちからは時々メールを送っていたものの、それを返す時間も惜しかったらしく、海馬と連絡を付けることは叶わなかった。
 ただし、海馬がオレの送ったメールをちゃんと見てくれている事だけは分かるようになっている。
 メールを送った後、オレの携帯にワンコール分だけかかってくる海馬からの着信。
 それがオレからのメールを見たという海馬からのサインだった。
 メッセージがきちんと届いていると理解出来る分、精神的には安定していたと思う。
 でも、オレは今超健康的な十七歳の高校男子で。
 精神的には安定していても、別のところ…つまり肉体的には滅茶苦茶不安定になっていた。
 二週間もお預けくらうと、流石のオレもそろそろ限界な訳で…。
 最初はそれなりに我慢出来ていたんだけど、最後の方になったら海馬とセックスしてる夢まで見ちゃったりして…。
 結果、中学生以来ご無沙汰だった夢精などというものをやらかしてしまい、朝から落ち込んだりもした。
 だけど、そんな日々も今日で終わりだ!
 とりあえず今日は一発ヤラせて貰って、明日からは普通の恋人のようにゆっくり過ごそう。うん、そうしよう。
そう心の中で決めた時だった。
 部屋の扉が開いて、海馬が帰って来た。


「城之内? もう来ていたのか」
 上下グレーのスーツに身を包んだ海馬は、すっかり疲れた顔をしていた。
 その目の下に浮かんだ隈の濃さと顔色の悪さに、オレの『今日こそ一発!』という意気込みがどんどん小さくなっていく。
 オレが健康的な十七歳の男子であるならば、同い年のコイツはまだ十七歳の女子高生だ。
 一般の女の子だったら可愛い服を着て軽く化粧をして、放課後や休日には街に出て買い物だ食事だと友達同士でキャイキャイ楽しんでいる事だろう。
 だけどコイツはキッチリした地味なスーツに身を包み、睡眠時間を大幅に削り濃い隈を作ってでも、自分の会社の為に日夜必死で働いている。
 それが何だか可哀想に思えて、オレは何も言えずに疲れた顔の海馬を見続けた。
「どうしたんだ? 今日は何か変だな、城之内」
 スーツの上着をハンガーに掛けて、海馬がオレの隣に腰掛けてきた。

「いや…。何かゴメンな。お前疲れてるのに無理に来たりして…」
「ん? 別に構わないぞ。そういうつもりでメールも送ったのだしな」
「でもさ…、今日くらいはゆっくりさせてやった方が良かったのかも…って、今思ってたりして」
「珍しく殊勝だな、凡骨。どうしたんだ」

 疲れた顔にフワリと笑みを浮かべ、海馬が面白そうに言った。
 オレはそんな海馬をそっと抱き寄せて、白いブラウスの小さな胸の上にポフリと顔を寄せる。
 海馬はその行動にクスリと笑って、オレの髪の中に優しく手を差し入れてきた。

「らしくないな。何かあったのか?」
「いや、別に何も無いけど。むしろ今日は何かしたいと思って来たんだけどね」
「すればいいじゃないか。オレは別に構わんぞ。恋人だろう?」
「そうなんだけどさー。何かお前すっげー疲れた顔してるし。逆にオレは溜まりに溜まりまくって我慢出来そうにないし。きっと疲れてるお前の事なんか無視して、無茶しちゃうと思うし」
「だから別にいいと言っているのだ。溜まっているのはお前だけでは無い」

 オレの頬を白くて冷たい手が包み込んで、そのまま上に持ち上げられた。
 見上げた視線の先に優しく笑っている海馬がいて、その顔がそのまま近付いて来てチュッと軽くキスされる。
 何度も何度も啄むようにキスをされ、最後に柔らかい舌で唇をペロリと舐められた。
「流石のオレも二週間放置されていたのでな。そろそろ寂しくなっていたところだ。今夜は…抱いてくれるのだろう? 城之内?」
 潤んだ青い瞳の中に明らかな情欲の色を見付け、オレはゴクリと生唾を飲む。
 あぁもう、何でそんなに挑発するんだよ…っ!
 萎んでいた意気込みがむくむくと復活するのを感じて、オレは海馬の細い身体をソファに押し倒した。
「あーもう! 我慢するとか無理だわオレ。お言葉に甘えて頂かせて貰います」
 オレの言葉に海馬が嬉しそうに微笑んだのを、オレは血が昇った頭で冷静に捉えていた。


 ブラウスのボタンを全部外して、現れた白い肌に赤い花びらを散らしていく。
 掌で撫でたあばらに浮いた骨が触れて、オレは眉を顰める。
 コイツ…また痩せやがった…。
 元々食が細い海馬は、仕事が忙しくなると更に食べなくなる。
 通常の食事を一切しなくなり、ブロック系やドリンク系等の栄養補助食品で済ませてしまうからだ。
 普段でさえ絶対カロリー足りないのに、こんなに痩せてどうするんだよ。
「お前…、また痩せただろ」
 睨みを効かせてそう言うと、海馬が「しまった」という顔でオレを見返した。

「べ…別に…。食事はちゃんと取っているぞ」
「嘘だね。またカ○リーメイトとかそういうモンで済ませてるんだろ? オレには分かってるんだからな」
「うっ…」
「年頃の女の子なんだからさ、ちゃんと食べないとダメじゃん。良い事なんて何もないぜ? 生理も止まるし肌荒れもするし、それに…」

 背中に回した手でパチンとホックを外し、そのまま可愛いレース柄のブラを上にずらして小さな胸を露わにする。
 ピンク色の乳首が可愛いその胸は、相変わらず小さいままだ。

「おっぱいも成長出来ないぜ?」
「………っ!!」

 オレの言葉に心底ショックを受けた様な顔をした海馬に苦笑して、オレはその可愛い乳首に唇を寄せた。
「んっ…っ…」
 優しく揉みながらペロペロ舐めていると、やがて蕾が硬くなってくる。
 それを口に含んでちゅうちゅう吸いながら、空いた左手で海馬の細い足をゆっくりと撫でた。
 膝上のタイトスカートから出ているスラリとした長い足は黒いストッキングで覆われていて、その柔らかい布地の感触は結構好みだった。
 膝頭から足の付け根までを何度も往復しながら撫でていたら、オレの荒れた指先に繊細な布地が引っかかる感触を覚える。
 慌てて手を引こうとしたら、ピッ…と黒いストッキングに伝線が走ったのを見てしまった。
「あ、ゴメン」
 思わず謝ったら、海馬も何事かと起き上がって自分の足元に目を向ける。
 そして走っている伝線を見付けると、ふぅ…と小さく溜息を吐いた。
「まぁ…仕方あるまい。換えならいくらでもあるから大丈夫だ」
 そう言いながらストッキングを脱ごうとした海馬の手を、オレは慌てて押し留める。
 頭の上に?マークを浮かべている海馬に、オレは以前からやってみたかったプレイを言い出すなら今だと思っていた。

「か…海馬さん。あのですね、お願いがあるんですけど…」
「何だ? 畏まって」
「えーと…。ストッキング…破かせて貰えませんか?」

 オレの申し出に海馬がパチパチと大きく瞬きを繰り返す。

「………? それは構わないが…。そんな事して面白いのか?」
「面白いと思います。オレ的には…凄く」

 オレの答えに海馬は「ふむ」と考え込み、やがてその身を再びソファに沈めた。
「どうせ捨てるものだから、好きなようにすればいい」
 海馬の許しにオレは心から感謝して、彼女の前で思わず手を合わせてしまっていた。
「アリガトウゴザイマス。では…早速…」
 左足の太股部分に走った伝線に、恐る恐る手を伸ばす。
 指先を入れてぐいっと力を入れると、ピピピッとそれは簡単に破けてしまった。
 うっわ…。今凄いゾクゾクってした…。
 黒いストッキングの破れた箇所から、海馬の白い内股がぽっかり顔を覗かせている。
 その黒と白の対比がまた綺麗で、それはそのままオレの性的興奮に繋がった。
 その穴を広げつつ、更に全くの無傷だった右足や脛の方のストッキングにもわざと指を引っかけて破いていく。
 薄い黒い布地で覆われていた足は、今やすっかり黒と白の斑模様になってしまっていた。
 うわ…なんだコレ。まるでレイプしてるみたいで、妙にドキドキする…。
 一通り足の部分を破って満足したオレは既にヨレヨレになっているタイトスカートを腰までずり上げて、最後まで手を付けていなかったとっておきの場所に手を伸ばした。
 ブラジャーと揃いのレース地のショーツを覆い隠している部分に指をひっかけ、足の付け根の部分から一気にビリッと裂いた。
 黒い布地にあっというまに大穴が空いて、そこから白い可愛らしいショーツがお目見えする。
 こ…これは…っ! これはマズイ…っ!!
 想像以上の興奮に自身が押さえきれなくなってくるのを感じる。
 少し落ち着こうと何となく海馬の顔を覗き込むと、そこに見えた光景にオレは絶句してしまった。
 オレがストッキングを破っている間、海馬は何の反応も返してはこなかった。
 何も言わないし少しも身体を動かさなかったので、だからオレは気付けなかった。
 海馬がまるで茹で蛸みたいに真っ赤になってしまっている事に…。
 よくよく見てみたら、身体も小さく震えてしまっている。
 ストッキングを破かれて少しずつ暴かれていくという羞恥と、その行為をオレにされているという興奮に、海馬も感じてしまっているらしかった。
 内股をもじもじと摺り合わせて、海馬は涙目でオレを見上げてくる。

「じょ…の…ち…」
「海馬…?」
「続…き…は…?」

 まるで縋るような視線でそんな事を言われて、オレは自分の心臓が口から飛び出そうな位に激しく高鳴ったのを感じた。
「あ…うん。今! 今するから…っ!」
 慌てて海馬の足元に身体を屈める。
 摺り合わせる為に閉じてしまった足をもう一度優しく開いて、白く柔らかい内股に吸い付いた。
 薄い皮膚にはあっという間に充血痕が残り、それだけでも海馬は気持ち良さそうに甘い吐息を零している。
 少しずつ足の付け根へと移動していって、やがて辿り着いた白いショーツの上から舌で震える秘所をザリッ…と舐めた。
 なるべく唾液を布地に染み込ませるように、クリトリスの辺りとか蜜壺の周りとかを丹念に舐めていく。
 勃起したクリトリスが舌に引っかかって、それを押し潰すようにクリュクリュと舌を動かすと、ビクンッと海馬の身体が大きく跳ねた。
「っあ…! じょ…のう…ちぃ…っ。そ…それは…っ」
 フルフルと首を横に振ってオレの髪を掴んでくるけど、本気で抵抗してるんじゃないって事くらいオレにも分かる。
 海馬の秘所を覆っている布地は、既にオレの唾液と海馬自身が出した愛液によってグッショリと濡れてしまっている。
 足の付け根の隙間からそっと指を差し入れてみたら、もうそこは熱くてぬるぬるの体液で溢れていた。
 それを指先でグチョグチョ音がするように掻き混ぜて、更にもう片方の手でそっと布地をずらすと、まるでずっと待っていたかのように赤く充血したクリトリスがピクピクと震えてオレを誘っているのが見えた。
 誘われるままにオレはそれを口に含んで、一気に強く吸い上げた。
「あっ! あっ! あぅっ!! ああぁっ―――――――っ!!」
 その途端、海馬はビクビクと痙攣しながら達してしまう。
 新たに溢れ出た愛液が乳白色に濁っていて、海馬が本気で限界を迎えている事をオレは知った。

「本気汁出てるぜ…? 海馬、もう限界…?」
「ひぁっ…ん! もっ…、あっ…あぁっ…!」
「もう…何? ちゃんと言って?」
「も…もう…っ! 欲しっ…!!」
「何が欲しい…? ちゃんと言わないと分からないぜ…?」

 本当は自分だってもう限界の癖に、二週間放って置かれたせめてもの腹いせにとオレはそんな意地悪を言ってしまう。
 そんなオレを潤んだ青い瞳で睨み付けた海馬は、片足を上げて膝でグリッとオレの股間を刺激してきた。
「っ………!」
 突然の刺激に思わず呻くと、それに余裕無さげに海馬が叫ぶ。

「早く…っ! コレ…ッ。コレが欲しい…っ!! 早くぅ…っ!!」

 海馬の必死の叫びに、オレの我慢パラメーターは余裕で針を振り切った。
 早く早くと急かす海馬に「ま、待って。いいからちょっと待ってて」と宥めて、オレはストッキングとショーツを一緒に掴むとスルスルと長い足から抜いていく。
 水気を吸ってぐっしょり濡れたショーツは重みを感じる程で、それだけでどれだけ海馬が追い詰められていたか感じる事が出来た。
 それを傍らに投げ捨てて、更にソファの上でぐったりしている海馬の身体を下に降ろして、毛足の長い絨毯の上に仰向けで寝かせた。
 白い素足に戻った足を改めて左右に押し開くと、そこに現れた光景にオレはグラリと目眩を起こす。
 煌々と光る電灯の下、オレの唾液や自身の愛液で濡れた海馬の秘所は、てらてらと光って淫猥だった。
 普段セックスをする時は海馬が恥ずかしがる為に、部屋の灯りは落として枕元のランプだけ点けるというのがオレ達の常識だった。
 だからこんな明るい場所で海馬の痴態を存分に眺めた事などある筈も無く、その上二週間ぶりのセックスでこの光景は余りにも刺激が強過ぎるというもんだ。
 慌ててベルトを緩めてジーンズのファスナーを降ろし自身を取り出しながら、ついでにポケットからコンドームも取り出して袋を切った。
 海馬もそうだけど、オレ自身も興奮し過ぎの為呼吸が上手く出来なくて苦しい。
 興奮と焦りと緊張で震える手で何とかゴムを装着して、改めて海馬の足を抱えあげると、オレは暖かい体液でぐっしょり濡れている膣に自分のペニスを押し付ける。
「ぁ…っ」
 その感触に海馬が期待に震えるように小さく喘いだのを聞いて、オレはそのままペニスを奥深くまで一気に押し込んだ。

「ひゃぅっ…!! うぁ…あぁっ! やっ…あぁぁ―――――っ!!」

 溜まってた涙をボロボロ流して、海馬は目を一杯に開けて悲鳴を上げた。
 一瞬意識が飛んだらしく、瞳を開けたままビクビクと痙攣を繰り返す。
 普段だったらそんな海馬が落ち着くまでオレも待つんだけど、悪いけど今日はそんな余裕はどこにも無い。
 そのままガツガツと腰を振り続けた。
 ペニスに押し出されて溢れ飛んだ熱い愛液が、ピシャリとオレの下腹部にかかるのを感じる。
 海馬の胎内は熱くて狭くてウネウネと動いていて、とにかく最高だった。

「んあぁ…っ。やぅ…っ、じょ…う…ちぃ…!!」
「凄い…な…お前…。イキっぱなしじゃねーか…」
「あっ…んん!! ふぁっ! あっ…あぁぁっ!! あぐぅ…っ!!」
「気持ちいい? 海馬…気持ちいいのか?」
「くぁんっ! あぅ…ち…いい…っ。気持ち…いい…っ!!」
「どこ? どこが気持ちいい? 教えて…?」
「奥…いい…っ! もっと…奥ぅ…きてぇ…!!」
「うん、いいよ。奥にあげるから…」

 海馬のリクエストに応える為に抱えていた足を更に大きく開く。
 一度抜けきる寸前までペニスを引き抜いて、息を詰めてグプッと最奥を一気に突いた。

「っぁ―――――――!!!」

 その衝撃に海馬は背を弓形に反らし声もなく昇り詰めて、やがてガクリと力を失った。
 昇天した海馬の痙攣し続ける内壁に痛いほど絞られて、オレもそのまま達してしまう。
 幾度かに分けてゴムの中に大量の精を放って、オレはこんなに死にそうな程気持ちの良い射精は初めてだ…とどこか冷静に感じていた。
 胸が痛むほどの荒い呼吸が落ち着くのを待ってそっと海馬の身体から自分の身体を起こすと、絨毯の上で海馬はすっかり気を失っていた。
「しまった…。無茶し過ぎた…」
 思わず声に出して呟いた。
 元々仕事で疲れていた身だったのに、途中で制御が出来なくなってかなり無茶なをしてしまった事を反省する。
 とりあえず自分のペニスからゴムを取り去って処理をすると、ガクガクする腰に喝を入れて二週間前より幾分軽くなった細い身体を抱き上げた。
 そのままベッドルームに連れて行って、大きなキングサイズのベッドの上に海馬の身体を優しく横たえた。
 次にシワクチャになってしまったブラウスやスーツを脱がせて、湯で濡らしたタオルで綺麗に身体を拭いてやる。
 よっぽど疲れていたんだろう。
 オレがどんなに身体を拭いていても、一向に起きる気配はなかった。
「ゴメンなぁ…。ここまでするつもりは無かったんだけどなぁ…」
 目の端に残る涙の後に、そっと唇を寄せてペロリと一舐めする。
 塩辛い涙の味に胸が痛んだ。
 ずっと溜まっていたものを放出したせいか、身体はすっきりとしていたが心は未だモヤモヤとしている。
 原因は分かっている。

「結局…あんまりイチャイチャ出来なかったなぁ…」

 セックスしたかったのは紛れもない事実だけど、ただ身体を抱き締めあったり甘い言葉を囁き合ったりするのも好きなのだ。
 すっかり綺麗になってブランケットの中で眠る海馬の隣にオレも潜り込んで、暖かい身体を優しく抱き締める。
「イチャイチャするのは明日でいっか。でも、その前に目覚めた瞬間怒られそうな気もするけど」
 でもきっと本気では怒られないだろう。
 だって海馬もあんなにノリノリだったし。

 久々に幸せな気分に浸りながら、オレは朝までぐっすり眠る事にした。

悪役は悪役らしく

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RPGが大好きな二礼です、こんばんは。

ニ/コ/ニ/コ/動/画に、RPGツクールで作った遊戯王RPGの動画を上げている方がいるんですけど、それがシステム的にもストーリー的にも凄く面白くてハマっています。
配信されたら是非とも自分でプレイしたいと思ったくらいですw
ただ人数制限の問題もあってか、残念ながら城之内君の出番はありませんけどね…(´・∀・`)
出来る事なら、社長と凡骨と同じPT(パーティ)で敵と戦って欲しかった…。
(そしてその動画のせいで二礼の中では、社長は一流ピアニストだって事になってしまいました…w)

RPGと言えば、二礼は大のFF好きです。(興味無い人、ゴメンナサイ~!)
ファイナルファンタジーシリーズ、いいですよねぇ~(´∀`)
登場キャラクターの中では、男性キャラも女性キャラもお気に入りが一杯いるので話しきれませんw
(男性キャラの一番はⅥのエドガー、女性キャラはⅦのエアリスですが)
なのでお気に入りのラスボスなどを…。
歴代ラスボスの中でも、特にⅥのケフカは大のお気に入りなんですよ!!
FFシリーズには、結構厨ニ病的なラスボスが一杯います。
世界は汚いとか混沌としているとか、自然を守る為には人間は要らないとか、醜い争いを続ける自分勝手な人間達が許せないとか。
そういうアレ的な理由で「じゃあ世界を滅ぼしましょう」とか「自分が一から世界を作り替えてやる」とか、みっともなくグダグダ言う奴が多いんですよね。
そんな同情を誘うような理由付けで世界を滅亡させられてしまっても困りますし、何か悪役としてもパッとしないのでイマイチ感が残るんですよ。
そんな中、Ⅵのケフカさんだけは一味違います。
若い頃に受けた魔力注入実験のせいで冒頭から頭がイッてらっしゃってて、とにかく破壊が好きだから世界を滅ぼす(全部壊す)という明確な意識の下、最初から最後までとにかく大暴れして下さいます。
この聞いている方がまどろっこしくなるような下手な理由付けのない清々しい程の悪役っぷりは、まさに素晴らしいの一言に尽きるというものですw
世界を救う為に旅をしているこちらとしても彼に対する同情の余地等全く無く、力一杯ラスボス戦に集中出来ますしね(´∀`)
そんな訳で歴代FFシリーズの中でもⅥは特に大好きなのですが、皆さんの好きなFFは何でしょうか?
やっぱりポリゴンが確立したⅦ以降が人気がありそうですね。
二礼はⅦ以降だとⅨが好きだなぁ~。
ビビ可愛いよビビ…(*´д`*)

さて、FF話はこの辺にしておいて…。
長編『奇跡の証明』の第十三話をUPしました。
この話から瀬人様覚醒のターンでございます。
ていうか、もう十三話なのか…。は、早いな…;
これで丁度半分位なのですが、次の長編のネタが何も思い浮かばなくてストックは減るばかり…w
ヤヴァイわ~…(´∀`;;;;;


以下は拍手レスになりまっす(`・∀・´)


>海鈴様

こんばんは、お久しぶりです~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!

『Hypnotism』と長編を両方読んで下さったのですね。ありがとうございます(´∀`)
『Hypnotism(後編)』の社長がデレて見えたのは、もしかしたら漠良の「素直にな~れ♪」という催眠術が効いていたからかもしれませんね。
でも、本当に漠良の催眠術が効いていたかどうかというのは、読み手さんに任せる事に致します(*'-')
実際に催眠術が効いて社長も城之内も素直になっていたかもしれないし、逆に全く効いていなかったのにも関わらず、たまたま素直になっていただけかもしれませんし(´―`)
何はともあれ上手くいったというのが、この小説の趣旨なのですw

あと『奇跡の証明』の死亡フラグですが…。
よく考えてみると瀬人に国を任せている時点で死亡フラグ満々ですねwww
いや、大丈夫ですよ! フラグは立てていませんから!!
あと原作の神官セトが残した詩って言うのは、石版に残されたあの詩の事ですか?
『屍は横たわる。器は砂となり塵となり―』
って奴ですね?
神官セトが王様の為に残したあの詩は、本当に素晴らしい詩だと思います(*´д`*)
その詩の能力を海馬も受け継いだのか、社長は言う事がいちいち大げさで格好いいような気がしますw
そういう意味では、海馬は確かに詩人ですね。

最後にカマイトのお話をw
あの動画がUPされて直ぐに総合ランキングでも結構上位に上がっていたので、私以外にも誰かが見ているだろうなぁ~とは思っていましたが…。
海鈴様も見ていらっしゃったのですね(´∀`)
無駄に調教上手いし更に時々動くしで、半分萌えてそして半分笑いながら見てましたw
KAITO兄さんは右側仲間が増えて、私も嬉しいです(*´∀`*)

それではこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました!(・∀・)

Rosebank様に瀬人が国政を任せられる事について「上手い」と言って頂いて、凄く嬉しかったです(*´д`*)
わーい! ありがとうございまっす!!
瀬人を白龍国の法皇とした背景には、今まで国のトップにいたのにその全てを捨てて皇帝に仕えなきゃいけないという理不尽さを表現したかったのもありますが、克也が戦争へ行ってしまったあとに国政を仕切る不自然さを無くす為にも必要な設定でした。
これだけは最初から決めていたので、それを「上手い」と言って頂いた事が、まるでRosebank様からご褒美を頂いた様で感動致しましたw
はぁ~良かったぁ~(´∀`)

話は変わりますが、Rosebank様に「バックヴァージンの話が無い」と言われて「あれ?」と思い見直しました。
「確か書いたような気がする…」と思って確認してみたら、城海じゃなくてヘルクリでした…orz
本当だ…っ!! 全然書いて無い…っ!!www
実際にヤッてるのは経験済みばかりだし、一度も経験の無い海馬の話は寸止めばかり…。
こ、これは…っ!! これはいけない!!
自分自身ではお初ものを読むのが大好きなのに、何故(なぜと書いてなにゆえと読む)自分じゃ書いてなかったのか…w
とりあえず寸止め話から一話引っこ抜いて書いてみることにします(´∀`;
………。
そっかー…、書いてなかったか…。
そう思ったら急に書きたくなってきたなぁ…w
よし、書こう!!

あと、KAITO兄さんの曲を聴いて下さったんですね~!
良い曲だと言って下さって、私も嬉しいです(*´д`*)
KAITO兄さんはその声質等から、他のボカロが歌っているようなロックやテクノポップじゃなくて、どちらかというと民族音楽系のゆったりとした美しい曲調の歌が多いんです。
ただでさえ旧作で扱いが難しいのに、それをまるで本物の人間が歌っているかのように調教なさっているKAITOマスターの方々は、本当に凄いと思います。
ネタも楽しいですけど、たまには真面目な曲を聴いて感動に浸るのもオツなものですよ(´∀`)

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第十三話

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 その日は朝から快晴だった。
 窓から見える高く澄んだ空を見上げて、瀬人は「酷い天気だな…」と自嘲気味に呟く。
 部屋にやってきたマナによって朝食を勧められたが食欲が無く、結局お茶だけを飲んで瀬人は式典の準備に取りかかった。
 マナや女官達の手に寄って豪華な絹の衣装を身に纏われ、金銀の髪飾りを付けて化粧を施して貰う。
 程なくして皇后として威厳のある眩いばかりの姿に仕上げられ、瀬人はマナによって皇宮広場が見渡せるバルコニーへと案内されていた。

「陛下や兵達はもう既に皇宮広場に集まっています。瀬人様のご到着を待って式典が始まる予定でございます」
「そうか」
「とても綺麗でございますよ、瀬人様。そのお姿を見たら陛下もどんなに喜ばれるでしょう」
「………」
「瀬人様…。どうか笑ってさしあげて下さい。戦場に行かれる陛下に、瀬人様の笑顔をいつでも思い出して貰えるように」

 マナの言葉に瀬人は下唇を噛み締める。
 果たして自分にそんな事が出来るのだろうか?
 克也は昨晩、自分は絶対に生きて帰って来ると瀬人に約束してくれた。
 だが、克也が戦死しないという保証はどこにもない。ましてや皇帝として兵を率いて前戦で闘うのだ。敵に真っ先に狙われるのは間違い無く克也であろう。
 克也が戦場で倒れる様を想像すると、途端に涙腺が緩んでくる。
 慌てて首を振りその映像を消し去って、瀬人はバルコニーに通じる小部屋へと入っていった。
 女官によって開かれたガラスの扉を潜り抜けバルコニーに出ると、途端に物凄い歓声に迎えられる。
 広場には皇帝と幾千の兵士達、更に黒龍国の大臣や神官達以外にも、戦争が開始されるかもしれないと数日前から黒龍国にやって来ていた白龍国の軍務大臣や副将軍などの姿も見えた。
 皇帝や皇后を称える声に鼓笛隊の奏でる勇猛な音楽が奏でられ、皇宮広場には紙吹雪が舞い放された白鳩が飛んでいたが、それら全てが瀬人の目や耳には何も入っては来ない。
 ただ眼下に見える幾千もの兵士達と、そしてすぐ下にいる黒馬に乗った克也の姿を見ている事しか出来なかった。

「聞け!! 我が国の勇敢なる兵士達よ!!」

 皇宮広場に克也の声が大きく響き渡り、途端に兵士達の声が止む。

「西の隣国冥龍国が愚かにも我が国を乗っ取ろうと大河を渡って攻め込んできた。我々は我が祖国と愛する家族を守る為、直ちに西の大河に向かいそれを迎え撃たなければならない! 我らが行かねばこの黒龍国はおろか、東の兄弟国である白龍国さえも冥龍国の手に落ちる事になる! それらはこの大陸の平和を揺るがす大罪だ!!」

 馬上で背筋を真っ直ぐ伸ばし、克也は腰元の剣を抜いて高々と天に掲げた。

「勇気ある者は我についてくるがいい!! 恐れることは何も無い!! 我らには守護龍『真紅眼の黒龍』がついているぞ!!」

 克也の言葉に皇宮広場が揺れ動くような歓声が轟く。
 兵士一人一人が武器を天に掲げ、皇帝と皇后、そして祖国『黒龍国』に万歳を声高に唱えていた。
 その歓声の中、克也が一度だけ振り返り、バルコニーにいる瀬人を見詰めた。
 そして優しく微笑み口の形だけで何かを言うと、再び兵士達に振り返り西に向かって「出陣!!」と持っていた剣を振り下ろした。
 それが合図となって軍隊が一斉に動き出す。
「瀬人様」
 後ろに跪いていたマナの合図により、瀬人はのろのろと右手を挙げて手を振り出した。
 果たして自分はちゃんと出来ているのだろうか?
 手は振られているか? きちんと笑顔を浮かべられているか? 涙を流してはいないか?

「マナ…。これでいいのか…? ちゃんと出来ているか…?」
「はい…。それで宜しゅうございます」

 後ろに控えているマナに小さな声で尋ねると、静かな声で答えが返ってきた。
 不安感に震え今にも崩れ落ちそうになる身体を何とか支え、瀬人は自らの役目を果たす為に無理矢理笑顔を作り手を振り続けた。
 皇宮広場の先にある凱旋門から兵士達と共に克也の姿が消えていく。ゾロゾロと長い列が次々と門の向こうに飲み込まれ、やがて全ての兵士達が皇宮広場を出て行った。
 凱旋門は大きな音を立てて閉じられ、街中の歓声も遠くに聞こえるだけとなる。
 だが瀬人はその右手を降ろすことが出来なかった。まるで身体が固まってしまったかのように自由が効かない。
「皇后陛下…。もう…宜しゅうございます…っ」
 後ろから涙を堪えたマナの声が聞こえ、それで漸く瀬人は身体の力を抜くことが出来た。
 右手を降ろしガクリとその場に崩れ落ちる。マナは慌てて瀬人に近寄り、その身体を支えて抱き締めた。

「オレは…ちゃんと出来たか…? ちゃんと笑って克也を見送れたか…?」
「はい…、はい…っ。ご立派でした…っ。瀬人様…っ」

 涙ぐんでいるマナに強く抱き締められながら、瀬人は呆然と先程の光景を思い出していた。
 克也は行ってしまった。
 最後に一度だけ振り返った時のあの口の形が「いってくる」と言っていたのを思い出して、また悲しくなる。
 彼は戦争に行き戦地で戦って、自分はこの皇宮で待っている事だけしか出来ない。
 だけど…本当にそれしか出来ないのだろうか…?
 皇宮に残っていながら自分にしか出来ない事があるのではないか…。
 そこまで考えて、瀬人は何かを思いついた様に顔を上げた。
 泣いている暇なんかない。事は急がねばならない。
 強い決意を抱いて、瀬人は自分に抱きつくマナの身体をそっと引き剥がした。

「マナ、先程の式典に白龍国の軍務大臣と副将軍が来ていただろう。今すぐそいつらを謁見の間に待機させろ」
「瀬人様…?」
「オレは一旦部屋に戻って書状を書いてくる。すぐ行くから謁見の間で待っていろと伝えておけ」
「せ…瀬人様…っ!? 一体何をなされるおつもりですか?」

 立ち上がり小部屋を出て行こうとする瀬人に、マナは焦って声をかけた。
 今の瀬人に今までの弱々しい雰囲気はどこにも見られない。それどころかその青い瞳は強い決意を秘めていた。
 マナの問いに瀬人は立ち止まり、振り返って微笑んだ。
 その微笑みを見てマナはハッとして胸を押さえる。瀬人の顔に浮かんでいた笑みは二年前、マナが白龍国で見た法皇であった頃の瀬人の微笑みそのものであった。

「オレはオレにしか出来ない事をする。それが黒龍国と、そして我が祖国白龍国を守る事だと信じている」

 マナにそう言うと、瀬人は意気揚々と小部屋を出て足早に私室へと向かった。

エロ神様滞在中

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エロ神様に脳内を占拠されている二礼です、こんばんは。

相変わらず降臨中のエロ神様。
どんなネタを考えても全部エロ方面に持っていきやがります。
お陰で、にょた海馬のエロ話が一本出来ましたw
『真実の証明』の後日談としてのお話ですけど、別に短編のみでも全然OKです。
少し手直しを入れて、来週にはUPしたいなぁ…と思っています。
さて、このエロ神様は一体いつまで居て下さるんだろう?
彼(彼女?)がいる内に、エロイのもう一本書いておくべきなんでしょうかね?w

長編『奇跡の証明』の第十二話をUPしました。
海馬って本当に苛つくと物にあたるイメージがあるのは二礼だけでしょうか?
何か手元にあるものを片っ端から投げて壊して、最終的に投げ疲れてゼーハーしながら偏った方向に結論を出して落ち着くみたいなw
人はそれを癇癪といいます。
で、そのイメージに乗っ取って癇癪を起こさせてみました。
自分で書いた事ながら、お茶…勿体ないね(´・∀・`)
どんなに苛ついても他人に物投げたりしちゃダメナンダヨー!


以下は拍手のお返事でございます~!!


>ミナ様

初めまして~! 二礼しげみと申します(*'-')
拍手とコメント、どうもありがとうございました!

城海に萌え萌えして下さって、どうもありがとうございます(*´д`*)
やっぱいいですよね~、城海!!
私も他のサイトさんの城海で萌え萌えが止まらなくなってしまい、悩んだ末に結局自分のサイトを作ってしまったのですが、イマイチ城海の素晴らしさを伝え切れていないのがまた悔しいところですw
それでも、これからも幸せになる二人を頑張って書いていこうと思っていますので、お暇な時にでも見に来て下さると嬉しいと思います。

それから『奇跡の証明』を気に入って下さって、どうもありがとうございます~!
妄想は大歓迎(w)なので、これからも色々な想像して楽しんで頂ければ幸いです(´∀`)
長くなってもいいという事なので、安心して連載を続ける事にしますねw

それではこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、いつもありがとうございます~!!(*´д`*)

Rosebank様のコメントで、第十一話の克也の怖さがちゃんと伝わっていたようで安心しております。
どんなにいつも優しくても、皇帝としての克也は本気でキレたら手が付けられないほど怖いんだZE!! というのを表現しようとして書いた第十一話だったのですが、きちんと伝わるかどうかイマイチ不安だったんですよね。
Rosebank様は本当に細かく感想を伝えて下さるので、小説を提供している私の方も受け手の気持ちがよく分かって助かっています(´―`)
いつもありがとうございます!
大感謝です!!

あ、そうそう。
昨日の日記で書きたいと言っていたにょた海馬ですけど、Rosebank様の仰るとおり『真実の証明』の後日談にしました。
新しいにょたを書いてもいいんですけど、個人的にあの二人は二礼のお気に入りなのでw
男海馬のエロも書きたいですねぇ。
単品でもいいですけど、他の短編の続きとかでもいいかもしれませんねぇ…。
悩むところですw

話は変わりますが、『ロ/ミ/オ/と/シ/ン/デ/レ/ラ』のKAITOヴァージョンも見て下さったのですねw
アレも結局はネタですけど、実はKAITO兄さんは結構いいオリジナル曲とか出して貰ってたりするんですよ~?
声も澄んでいて綺麗なので、後から火がついた感じですね。
オススメは『千/年/の/独/奏/歌(sm/3/1/2/2/6/2/4)』とか『カ/ゲ/フ/ミ(sm/3/1/4/5/8/0/0)』とか、カヴァーなら『白/虎/野/の/娘(sm/2/3/5/2/0/9/5)』なんかもいいと思います。
お暇な時にチラッと聴いてみて下さいませ(*'-')
多分イメージが変わると思います。
………まぁ、ネタが多いのは事実なんですけどね…www

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第十二話

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 突然の報告から一夜明けた皇宮は騒然とした雰囲気に包まれていた。
 克也は夜が明ける前から既に軍関係者との軍務会議に出ており、一度も部屋に戻ってきてはいない。
「瀬人様…」
 私室にて椅子に座り込んだまま青冷めた顔をしている瀬人に、マナが気遣うように声をかける。
「瀬人様、暖かいお茶を持って参りました。これを飲めば少し落ち着かれますよ」
「いらん」
 マナの優しい心遣いも、今の瀬人の心には何も届かない。
 暖かな湯気をたてるお茶のカップに目もくれず、瀬人は膝の上で拳を握りしめ襲い来る不安感と闘っていた。
 皇宮の最奥にあるこの部屋には何の音も届かないが、瀬人には皇宮の、そして街中の興奮と悲哀に満ちた声が聞こえていた。
 ただ一点を見詰めて己と闘っている瀬人を見て、マナは静かに息を吐く。
「瀬人様…。取りあえずお茶をお飲み下さいませ。そして飲み終われたら…明日の式典の衣装合わせを行いますから」
 マナの言葉に漸く瀬人が振り返り視線を寄越した。

「式典…?」
「はい。先程軍務大臣様から、黒龍国軍本隊の出陣は明朝執り行われるとの知らせが参りました。瀬人様は皇后陛下としてその式典に顔を出さねばなりません」
「明日…? 明日の朝に…もう…?」
「はい…。皇帝陛下はもう甲冑の合わせも終えて、今頃は誓いの泉にて『戦勝祈願の儀』を執り行なっておられる筈です」

 まるで身体中の力が抜けきってしまったようだった。ガクガクと震える己の身体を抱き締めて、椅子に座っていなければ倒れてしまっていただろうと瀬人は頭の片隅で考える。
 青い顔をしてショックを受けてしまっている瀬人を悲しそうに見ながら、マナは自分の役割を果たす為に言葉を続けた。

「黒龍国本隊の出陣式は、明日の午前中に皇宮広場にて行われます。瀬人様は皇后陛下としてその式をバルコニーの上から見守らなければなりません。式が終わって本隊がいざご出陣なさる時は、皇后陛下は手を振ってそれを笑顔で見送られ…」

 ガシャーン! と、突然カップが床に落ちて割れる音が辺りに響く。
 マナの言葉を聞いていた瀬人が突然立ち上がり、テーブルの上に置いてあったカップを手で払った為であった。
 余りに突然の行動にマナも驚き、目の前の瀬人に視線を向ける。
 立ち上がった瀬人は怒りの余りに握りしめた拳をブルブルと振るわせていた。

「なん…だと…? マナ…今何と言った…?」
「瀬人…様…」
「手を振って笑顔で見送れだと…? 愛する夫が死地へ赴くというのに、それを笑って見送れと言うのか…っ!? 巫山戯るな!!」

 瀬人の怒声にマナは慌てて膝を折り、その場に顔を伏せた。
 しかしだからと言って、ここで瀬人にそれをさせない訳にはいかないのだ。
 マナは勇気を振り絞って、皇后付き女官としての努めを果たす為に声を張り上げる。

「ですが…、ですが瀬人様…っ! それが皇后陛下としてのお役目でございます!!」
「………っ!!」

 マナの跪いているすぐ側に今度はポットが投げ付けられる。大きな音を立ててそれは、その場に陶器の破片と中に入っていた茶葉を散らした。
「うっ………! ふっ…!」
 瀬人の怒りが収まるまではじっとしていようとそのままの体勢でいると、次の瞬間には頭上から必死で嗚咽を耐える声が聞こえてくる。
 その声が収まるまで、マナは顔を上げることが出来なかった。


 その日の夜遅く、約一日ぶりに漸く克也は自室に帰って来る事が出来た。
 扉を開け薄暗い部屋に足を踏み入れた瞬間、それはピタリと止まってしまう。
「瀬人…?」
 薄暗い部屋の中で俯いたまま立っていた瀬人が、その声にゆっくりと顔を上げる。
 泣き腫らした目と青白い顔色が、瀬人の精神状態の悪さを示していた。
「克也…」
 部屋の入り口でじっと立っている克也に、瀬人は静かに近付いた。そして克也の大きな手を自分の白い手でそっと包み込む。
「克也…。戦争に…行くのか…?」
 その問いにもう一方の手で瀬人の肩を抱き寄せ、その細い身体を力強く抱き締めると、克也は肩口で頷いた。

「それが皇帝としてのオレの役目だ…」
「オレが行くなと言ってもか?」
「オレが行かないと前衛の志気が上がらない。黒龍国の皇帝は代々こうして自らの存在によって軍の志気を高めて、戦争に打ち勝って来たんだ」
「ならばオレを共に連れて行け…っ!! 自分の身を守る体術くらいなら身に付けている!」
「無理だ…。戦場に妻は連れて行けない…」

 克也の答えに瀬人はギュッと目の前の身体に抱きついた。
 克也は行ってしまう。多分意志は変わらない。それならば…。

「だったら…尚更だ。今夜は…オレを抱いてくれ、克也…っ!」

 必死に紡ぎ出した言葉に対しても、克也はゆるりと首を横に振る。

「ダメだ。出来ない」
「何…故…っ、何故なんだ…っ!? やはりオレは形ばかりの妻なのか…っ!?」
「違うっ! お前はオレの…最愛の妻だ! だからこそ…自分の欲望でお前を傷つける事だけは出来ない…っ!!」

 腕の中の細い身体をかき抱く。
 苦し気に顔を上げた瀬人を見詰め、そしてそのまま唇を重ねた。
 柔らかい唇を舐め上げて舌をそろりと口中に押し込むと、まるでそれを待っていたかのように瀬人の舌がそれに絡まった。
 お互いに愛しい思いを少しでも相手に伝えようと、必死になって唇を舌を擦りつけ合う。
 やがてカクリと力を無くして崩れ落ちる身体を支え、克也が愛おしそうに腕の中の瀬人を見詰めた。

「瀬人、お前に頼みがある」
「なん…だ…?」
「軍国主義の冥龍国との戦争は直ぐには終わらないだろう。戦争が長引けば長引くほど国も人心も荒れていく。戦地での負傷者も増え、戦死者も沢山出てくるだろう」
「………」
「そうやって荒れていくこの国を、お前が支えていて欲しいんだ。負傷した兵士や戦死者の家族には保証をし、高くなる物価を上手く操作し、荒れていく国民の心を導いて欲しい。これは他の誰にも出来ない。白龍国の法皇として長年民を率いてきたお前だからこそ出来る事なんだ」
「克…也…っ」
「信じているよ、瀬人。お前が立派にこの国を支えてくれると。オレはそんなお前を妻に出来たことを、生涯最大の誇りだと思っている」
「克也…っ。頼む…、絶対に生きて帰って来てくれ…っ! このオレの元に…絶対に…っ!!」
「あぁ、約束する。絶対に生きてお前の元に帰って来るよ。だからお前もこの国の事を頼むな」

 優しげに微笑む克也に瀬人はもう何も言えず、ただ力強く頷くだけだった。
 夜空には細い細い月がかかり、別れの時間は刻々と近づいていた。

兄さんは右側希望

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VOCALOID中ではお気に入りはKAITO兄さんな二礼です、こんばんは。

最近ニ/コ/ニ/コ/動/画で絶大な人気を誇っている名曲『ロ/ミ/オ/と/シ/ン/デ/レ/ラ』。
それの兄さんヴァージョンが出たので見てみたのですが…。
色々とヤヴァいwwwww
何だあの流し目w 色っぽ過ぎるw
カマイト可愛いよカマイト(*´д`*)ハァハァ
………。
スイマセン、取り乱しました…;

最近ちょくちょくと上げてる短編なんですが…。
長編の二人がなかなか結ばれそうにないので、その代わりに短編の方にエロ神が降りてきているようです。
エロイ話しか思い付きません…(´∀`;
この間UPした『Hypnotism』も結局寸止めで終わらせてしまったので、余計フラストレーションが溜まってしまったようです…w
久しぶりに、にょた海馬も書きたいしなぁ…。
いっちょ本格的にやってみっかー。

長編『奇跡の証明』の第十一話をUPしました。
うん。結局こういう結果になりましたね~w
と言う訳で、むしろここから先が本番なのです。
瀬人さんには今後必死で頑張って貰います!(`・ω・´)
しかし本当に長いお話になってしまいました…;
大丈夫ですか? もう飽きてはいませんか?
不安になってきました…w


以下は拍手レスになります~(´∀`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

『Hypnotism』の最後も気に入って頂けて良かったです~。
確かに私も最近ラブラブな話に飢えていたので、上手い具合にこういう話が書けて良かったです。
試練ものは試練もので、ラブラブはラブラブで、それぞれにまた違った面白みがありますよね~(*'-')
そういうのを考えて形にするのも、また楽しい作業だと思っていますw

それから日記のおっさん城海ネタの事なのですが。
おぉー! これはいい洞察力!
確かに子供がいると、主人公達の目線より子供目線にした方が自然なので、どうしてもそっちが主体になってしまいますねぇ。
私が最初にこの話を考えた時も、子供達が親達のフォローをするという話だったので、あながちそれは間違いじゃないのかもしれません。
それから相手の子供に対しての嫉妬という点ですが、確かに相手にしか子供がいない場合はそういうパターンもあるのかもしれませんね。
まぁ、それを阻止する為に両方に子供を設定したのですが…w
でもウチの海馬は、余りそういう部分で嫉妬しなさそうです。
一度静香を交えた話を書こうとした事もあったのですが、静香に対しても嫉妬どころか余り深い興味を持って貰えず、それもお蔵入りになってしまいましたw
ウチの海馬が気になるのは城之内本人だけで、むしろ他の人間はどうでもいいみたいです(´∀`;
あと結構父性が強いので、女性や子供に対しては無条件に優しいんじゃないかな~と思ってみたり。
ウチの場合は、むしろ城之内の方が嫉妬しそうな感じがしますw
モクバに対してでも、ライバル心が剥き出しなんでw

あと採血の話ですね~。
やっぱり見ちゃいますよね?w
注射針が苦手な人は刺さる瞬間が怖いとよく言いますけど、いつ来るかいつ来るかとガクブルするよりは見ていた方が断然いいと思います(´―`)
それに採血用の注射針なんて、別に対して痛くもありませんしね~。
筋肉注射に比べたら、採血なんて蚊に刺されたようなものですw

あぁ、そういえばソ/ウ/ル/イ/ー/タ/ー/OPパロは私も見ましたよ~!
アレ凄いですよねぇ…。
一年もの長い時間をかけてあそこまで完成度の高い作品を作るなんて…っ!!
本当に凄いとしか言いようがありません!
作者の遊戯王に対する愛を見たような気がしました(*´∀`*)

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*第十一話

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 その日の夜、克也は自分の寝室でまた新しい報告書に目を通していた。
 謁見の間では瀬人に「心配するな」とは言ったが、克也には開戦間近な状況がありありと見えていた。
 戦争に行かねばならないと、克也は密かに覚悟を決める。
 心配事はただ一つ、白龍国から嫁いで来てまだ半年の瀬人の事だけ。
 ただその瀬人にもマナが常に付いているし、身体の事もアイシスが居るから大事ないと安心する。
 貰った報告書を文箱に戻した時だった、突如部屋の扉がノックされた事に気付く。
 この寝室は外の廊下と直接は繋がっていない。東にある自分の寝室と西にある瀬人の寝室との間には夫婦で使えるプライベートルームがあり、そこを通らないと直接ノックは出来ない筈であった。
 ならば今この扉をノック出来る人物はただ一人しかいない。
 克也はドアに近付き、ゆっくりその扉を開けた。
「どうした、瀬人? 眠れないのか?」
 案の定そこには瀬人がいて、真剣な表情で自分を見詰めている。
 そして克也と目があった瞬間、突然その身体に縋り付いてきた。
「瀬人…っ!?」
 慌てた克也が瀬人の肩に手を置き引き剥がそうとするが、瀬人はますます力を込めてその身体にしがみついた。

「克也…っ! オレはもうこんなのは嫌だ…っ!! こんな待っているだけの状況は嫌なんだ…っ!! いつまで待てばいい…? いつになったらお前に抱いて貰える…? アイシスの許可なんてもう待っていられない! 無理でもいい…オレを抱いてくれ!!」

 必死な形相でそう訴える瀬人に、克也は静かに首を横に振る。

「ダメだ。出来ない…」
「克也…、何故だ!?」
「お前を傷付ける事だけは出来ない」
「傷付いても構わない! オレがいいと言っているんだ…!」
「それでも出来ない。聞き分けてくれ、瀬人…」
「っ…!! こ…この…意気地無しが!!」

 突然寝室内にバシッ! と乾いた音が鳴り響く。
 頬を打たれ傾いでいる克也の顔と自らの熱い掌に、瀬人は無意識に思いっきり克也を殴ってしまった事を知った。
 殴られたことにより乱れた前髪の隙間から、スッと琥珀色の瞳が自分を見たのを感じる。
 いつもは優しい色を称えているその琥珀が、今はうっすらと赤みを帯びていた。
「あ……」
 その無意識の恐怖に思わず一歩後ろに下がるが、突然腕を掴まれて逃げ場を失った。
 そのまま無理矢理引っ張られ、寝台の上に投げ飛ばされる。
「っ…!」
 いきなりのことで身動きすら出来ずにいると、瀬人の細い身体の上に克也が乗りかかってくる。
 そして逃げられないように強い力で身体を押さえつけると、今まで瀬人が見たことが無いような恐ろしい表情でニヤッと笑った。

「そうか…。お前の考えはよく分かった…。ならばお望み通り抱いてやろう」
「い…いや…だ…っ」

 瀬人が恐怖からフルフルと首を横に振っても、克也はそれを無視して瀬人の夜着に手を掛けた。
 絹で出来た薄い夜着は力を入れれば簡単にビリビリと裂けてしまう。
 燭台に灯された寝台の上に、瀬人の白い身体が浮かび上がる。
 現れた白い身体に無遠慮に手を這わし、足の付け根にある小さなペニスに指を絡めた。
「っぁ…! いたっ…!」
 萎えたままのそれを乾いた指で無理矢理上下に擦ると、やがてそれは少しずつ硬くなり始める。
 男性機能は成熟している為、それはやがて先端から先走りの液を出し、克也はそれを全体に塗り付けるように刺激する。
「あっ…。っ…、あぁ…っ!」
 無理矢理与えられる快感に、それでも身体は反応してビクビクと震えだした。
 だが克也のもう一方の手が瀬人の膣口に触れると、身体に溜まっていた熱はすぐに冷めてしまう。
 未熟な女性器は自らの身体を守る為の潤滑液を出すことは無かった。
 乾いた粘膜に直接克也の指が触れて、それはただ痛みだけを瀬人に伝える。
「あっ…! いやぁ…っ! い…いた…っ、痛い…かつ…や…っ!」
 下半身から伝わってくる痛みと快感に、瀬人は目を強く閉じて涙を零す。
 そんな瀬人の訴えを聞いてくれたのか、克也の指が膣から抜かれる。そしてそのまま前方のペニスの愛撫に集中すると、やがてそれは限界を迎え、瀬人の白い腹と胸の上に薄く濁った精液を吐き出した。
 射精の余韻でヒクヒクと震えながら、瀬人は半ば呆然としながら涙を流し続けていた。
 目の前の克也の事を初めて本気で怖いと感じ、恐怖で身が震えるのを止められない。
 自分の上に乗っかっている克也が身動きするのを感じて思わず「ひっ!」と小さな悲鳴を上げると、まるで今までの行為が嘘のように優しく頬を包まれる。
「かつ…や…?」
 覗き込まれた琥珀の瞳に、もうあの『赤』はどこにも無かった。

「済まない…っ!。良し無い事をしてしまった…。どこか痛んではいないか? 気分は…悪くなってはいないか?」

 自分を気遣う克也の声色に、瀬人は何も言えずただコクリと頷く。
 無理に触られた箇所がまだズクズクと痛みを訴えていたが、それについて攻め立てる気は全く無かった。
 克也に支えられて貰いながら、ゆっくりと上半身を起こす。破れた夜着の代わりに克也が自分のローブを羽織らせてくれた。
「本当に済まなかった。こんな事をするつもりじゃなかったのに…」
 心から心配そうに謝罪する克也に瀬人は小さく首を振る。
「いや…オレも…悪かった…。お前を怒らせてしまったのは、紛れもなくオレのせいだ…」
 羽織られたローブを強く握りしめ、瀬人は涙を流す。

「でも…この状況に我慢が出来なくなったのは本当だ…。オレはお前の妻なのに、いつまで経っても名前ばかりの皇后で…。それが…すごく嫌だったのだ…。何故ならオレは…お前の事が…好きなのだ…。好きだから…本気でお前に抱かれたいと思った…。それだけなのに…」
「瀬人…っ!」

 身を震わせ静かに泣く瀬人を、克也は強く抱き締める。
 心から互いに相手のことが愛おしいと思った。
 こんなに心が通い合っているのに瀬人の身体は克也の身体を拒絶する。それがたまらなく悲しかった。
 泣き続ける瀬人の身体をもう一度強く抱き締め直した時だった。突如廊下に面した部屋にノック音が響き渡る。
 ドンドンドンッ! と強く叩かれる扉に軽く溜息を付き、克也は寝室を出てその扉に近付いた。

「陛下! 皇帝陛下! 起きていらっしゃいますか!?」
「こんな夜中に何事だ?」

 扉を叩いているのが女官ではなく兵士の声であるのに多少驚き、克也は嫌な予感がしつつも声をかける。
 その克也の声に、扉を叩いていた兵士は更に声を大きく張り上げて叫ぶように告げた。

「陛下…、戦争です! 冥龍国軍の本隊が動き出しました…っ! 戦争が始まります…っ!!」

 兵士の声に克也も、そして寝台の上にいた瀬人も固まってしまう。
 廊下の兵士に「そうか」と静かに伝え、克也は窓際に寄って夜空を見上げた。
 月の無い…静かな夜の事だった。

久々に血を抜いてきた二礼です、こんばんは。

まぁ、献血じゃなくて採血なんですけどね。
二礼は三ヶ月に一度必ず定期検診に行かなくてはならないんですけど、その検診で採血は必要不可欠なのです。
ちなみに二礼は注射系が全然平気な人なんですけど、やっぱり世間的には苦手な人の方が多いんですかねぇ?
採血室でよく自分の腕から思いっきり顔を背けてる人がいますけど、アレってやっぱり針が刺さる瞬間がダメなのかなぁ?
自分的にはむしろ、いつ針が刺さるか分からない方が怖いと思うんですけどw
という訳で二礼はいつも、針が刺さる瞬間から抜かれるまで、ひたすら凝視しています(´∀`)フヒヒ
あと血管が太くて採血に失敗した事が無いっていうのも、恐怖心が無い理由のような気がします。
(友人が血管が細くて、よくペチペチ叩かれてから採血を受けていました。一度で良いからやられてみたい…w)
余りに太い血管と強い血流に、担当医に「二礼さん、事故とかで万が一大きな怪我したりしたら、出血多量ですぐ死んじゃうから気をつけてねwww」と笑顔で言われた事があるくらいですw
すぐ死んじゃうとかwww 酷いwwwww
まぁ担当医なりのギャグなんだろうけどw
最近のお医者さんって結構お茶目さんなのね~(*'-')

話は変わりますが、先日の日記のおっさん城海ネタについて、様々なご意見を頂きました。
賛否両論ございましたが、その全てを貴重な意見として真摯に受け止めております(・∀・)
やっぱり同じ城海好きでも、一つのお話を「萌える!」と思う方から「萌えない…;」と感じる方まで色々いらっしゃるんですねぇ…(しみじみ)
十人十色とはまさにこの事ですねw
あ、ついでだから坊ちゃんとお嬢の名前を晒しておきます。
坊ちゃんは克人。お嬢は瀬衣名。
海馬と城之内は、自分達の子供に昔の恋人の名前から一文字取って名付けていました。
(城之内なんて、自分の娘に海馬を重ねて見ていたくらいです。何せ『瀬』を『被(衣)』る『名』ですからw 後にその意味を知った海馬が、いい年こいて照れて真っ赤になっちゃったりしたら可愛いと思いますw)
この克人と瀬衣名は中学~高校生くらいになってから父親達の事情を知って、それを暖かく見守ってくれればいいと思います。(生暖かくじゃなくて、あくまで暖かくw)
そして将来結婚して、二人で父親達に「自分達も結婚して独立するんだから、お父さん達ももう一緒になってもいいんじゃない?」と言って欲しいと思います。
そんだけ。うん、そんだけ。
ただの自己満足でしたw
あぁ、それでもやっぱり、おっさん城海は書きたいなぁ…。
年取って肉体的に衰えた身体を城之内に晒して年甲斐もなく恥ずかしがる海馬とか…、萌えません?
「子供もいるのに…っ!!」みたいな(*´∀`*)

短編『Hypnotism』の後編をUPしました。
実は海馬も城之内も最初から好き合っていたので、催眠術なんて意味無かったんだよ~というお話でした(´―`)
この『実はホニャララでした』という展開は、二礼が一番良く使うパターンだったりします。
二礼は本当に天の邪鬼なので、伏線は山程張る癖にヒントは少しずつしか出さないで、最後の最後でドーンと種明かしをするのが大好きなんです(´∀`)
まぁ、そういう構成を好む理由は分かっています。
実は二礼は高校生時代から専門学校時代にかけて、周りの友人達と一緒によくTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム。漠良がやってたアレですね)をやってたんですね。
そのゲーム上でマスターとしてシナリオを作っていた時の癖が残っているせいだと思うんです。
ゲームをクリアする為のヒントをあちこちに配置し、こちらの思惑に気付かれないようにプレイヤー達を上手く誘導してヒントを回収させ、そして最後に種明かしをしてクリアさせるという流れでした。
こういう流れは作る方も読む方も大好きなんですけど、たまには最初から最後まで開けっぴろげな話を作るのもいいかもしれませんねぇ…w
何かタダの馬鹿話になっちゃいそうな気がしなくもないですが(´∀`;


以下は拍手のお返事になります~!
(返信不要の方も、コメントどうもありがとうございました~(*´д`*))


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございます!!

『奇跡の証明』の話が進んできて、そろそろRosebank様の本領発揮ですね~w
本当にRosebank様の推理は凄いとしか言いようがありません。
もうね、凄く言いたいんです!
あの事とかこの事とか、滅茶苦茶ネタバレしたいんです!
でも、ココは心を鬼にして黙秘権を発動致します!!(`・ω・´)
少しずつ明かされるストーリーを、Rosebank様の目で楽しんで頂けたら良いと思います(´―`)

それから短編『Hypnotism』の方も気に入って頂けたようで良かったです~。
これは今日後編をUPしたので、Rosebank様の推理が当っていたとはっきり言うことが出来ますw
Rosebank様の「実は海馬も心の奥底では城之内に好意を抱いていたというパターンですかね」という予想は、見事に大当たりでした~!!
おめでとうございます~(´∀`)
それにしても、この推理には流石としか言いようがありません。
何か…、推理力が上がって来てませんか…?w

最後に、先日の日記の事ですね。
そ…そうか…。海馬と城之内とお嬢の三角関係とは…。
その発想には気付きませんでしたw
私的にはこの二人の子供の存在は、むしろモクバや静香と同じような立場で設定していたのです。
自分の大切な存在として守るべき相手ではあるけれど、それは海馬が城之内に、そして城之内が海馬に抱くような気持ちとは全く別次元のものです。
むしろこの子供達を通して、改めて海馬(城之内)がこの世界で唯一無二の存在なんだと気付くような話に持っていきたかったのです。
結局ボツにすると決めちゃって、あらすじのみをパパッと書いただけだったので、伝えたい部分が見事に省かれてしまっていましたね…(´∀`;
でもまぁ、城之内が自分の子供を大事にするのは目に見えているので、そういう捉え方も充分有りだと思います(*'-')

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*Hypnotism(後編)

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「ふぃ~! 助かったぜ、海馬」
 オレの部屋の風呂場からシャワーを浴びた城之内が頭を拭きながら出てくる。
 帰って来て早々オレがした事は、びしょ濡れの城之内を自分の部屋に連れ込んで、いの一番で風呂場に押し込んでやる事だった。
「とりあえずその泥水で濡れた身体を何とかしろ。服は風呂に入っている間にクリーニングに出してやるからそこに置いておけ」
 オレの言葉に城之内は少し困ったような顔をして言った。

「え…? でもオレ着替えとか持ってない…」
「風呂から上がったらそこのバスローブでも羽織ってろ。オレの部屋は冷暖房完備だから別に寒くは無い」

 風呂場の奥に消えていく城之内を見送って、オレは内線をかけ使用人を呼んだ。
 シャワーの音が聞こえて来た風呂場から奴の汚れた制服を持って来て渡し、直ぐにそれをクリーニングするように命じる。
 使用人が部屋を出て行くのを見て、背広を脱いでネクタイを解き、やれやれとソファに落ち着いた所でふと考えた。
 こんな風に城之内に親切にしているオレをみたら、きっと遊戯や漠良は「やっぱり催眠術が効いたんだね!」みたいな事を言って喜ぶんだろうなと。
 だが、別にこれはあの催眠術が効いたからこんな事をしている訳ではない。
 あんな催眠術など効く筈が無いのだ。
 城之内に好意を持つように…だと?
 そんなもの…そんなもの…。
 そんなもの、最初から持っている。
 だから今更あんな催眠術など効く筈が無いのだ。
 現に催眠術を受ける前と今じゃ、気持ちは全く変わっていない。
 ずっと…今までと同じように城之内を好きなままだ。
 だけどアイツとオレはとことん性格が違い過ぎて、仲良くなるなんて夢のまた夢だった。
 あの催眠術が効いて欲しいのはオレじゃない。
 城之内の方だ…っ!!
 なのにあの稚拙な催眠術は、オレはおろかあの単細胞のアイツにだって全然効いてなんかくれないじゃないか…っ!!
 ワイシャツの一番上のボタンを外して首元を楽にしながら、オレは深く溜息をつく。
 天井を見上げてやるせない思いに捕らわれていた時、丁度風呂から出てきた城之内が放った一言が先程のそれだった。


 オレの隣に腰掛けながらニッカリと笑う城之内に、オレは呆れたように苦笑する。
「あんな目に合ったのに、貴様は元気だな。何か飲むか?」
 立ち上がって自室に備え付けてある冷蔵庫に向かうオレに、「冷たいもの!」と城之内が元気に答えを返してきた。
 冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターのペットボトルを取り出して放り投げてやると、それをキャッチして笑顔で「サンキュ」と笑う。
 喉が渇いていたのだろう。ボトルのキャップを外して、そのまま一気に半分程まで飲んでしまっていた。
「プハ~! 水美味ぇ~!!」
 嬉しそうにそんな事を言われるからオレも嬉しくなって、思わず微笑んだら城之内に気付かれた。
 何だかジロジロと顔を見られて、途端に居心地が悪くなる。

「な…なんだ?」
「いや…お前でもそんな顔するんだなって思ってさ」
「悪かったな。こういう顔が似合わなくて」
「そんな事思ってねーよ。いいからこっち来いって。こっちこっち」

 パンパンとソファーの隣の席を手で叩いている。
 仕方無く側に近寄って隣に腰掛けると、ずいっとまるで密着するように近寄ってきた。
「じ…城之内…。近いぞ、何やってるんだ」
 思わず立ち上がろうとしても、伸ばした手に腰を掴まれて叶わない。
「海馬…。オレ…さ」
 城之内は何だか妙に熱っぽい目でオレを見詰めていた。
 その視線にオレは本能的な危機感を感じてしまう。
 この目は…この目は…。
「オレはさ…。この一週間、ずっと海馬とこんな風に二人きりになるチャンスを待ってたんだよ…」
 この目は…、ま…まさか…。
「今日で一週間経っちゃうから諦めてたんだけど。まさかこんな風にチャンスが来るとは思ってもみなかった」
 な…何て単純な男なんだ!!
 効いているじゃないか!! しかも思いっきり!!
 ソファの背にオレを押し付けるよう力を掛けられて、それに動揺している内に城之内の顔が近付いて来ていた。

「海馬…。オレ…さ。ずっとお前の事が好きだったんだよ…。急にこんな事言っても信じて貰えないかもしれないけど…」
「信じられる訳…ないだろう? 顔を合せれば喧嘩しかしていないような関係で…。大体お前はオレを嫌っていたんじゃないのか?」
「それは…っ! だってお前がオレに突っかかるような事ばっかり言うから…」
「人のせいにするな…っ! だから貴様は凡骨だと…っ」
「あー、もう煩い!! 少し黙ってろ!!」
「んぅ………っ!!」

 全てを吹っ切ったように叫んだ城之内が、オレに口付ける。
 冷たい水を飲んだばかりなのに妙に熱っぽい唇が、オレの唇に強く押し付けられていた。
 やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ!
 手で奴の身体を押し返そうとしても、手首をギュッと掴まれてソファに押し付けられてしまう。
 城之内の舌がオレの唇を舐めてくるのが分かって、せめてもの抵抗に唇に力を入れて歯を食いしばった。
 だけどそれを全く気にしないように城之内はしつこくキスを続けて、やがて息が苦しくなったオレは呼吸をする為に思わず口を開いてしまい、その瞬間を見逃さずにぬるりと押し入ってきた熱い舌の感触にゾワリと肌が泡立ってしまう。
 口内の隅々まで城之内の舌に犯されて、オレは頭の芯がボーッとしてくるのを感じていた。

「催眠術が効いている内に…なんて卑怯だと思うけど…。ゴメンな、海馬」

 チュッと口の端に零れた唾液を吸い取りながら、城之内がそんな事を言って離れていった。
 いや、離れていったのでは無い。
 一旦離れた身体を再びオレに押し付けて、城之内はオレの首筋に吸い付きながらワイシャツのボタンを外していた。
 ボタンを全部外されて重力に従って肌蹴たシャツの中に熱を持った手が差し入れられて、胸や腹を撫で回される。
 その熱が余りに心地よくて、オレは何だかどうでもいい気分になってしまっていた。
 城之内の指先がオレの乳首に辿り着いて、キュッと捻られるように摘まれる。
「っ………!」
 微かに感じた痛みにビクリと反応すると、慌てた風な城之内に優しく頭を撫でられた。
「ゴメン。今のは痛かったよな。ちゃんと痛くないようにするから…」
 謝りつつ今度はオレの胸元に顔を寄せて、城之内は紅くなったオレの乳首に唇を寄せた。
 唾液でぬめる舌で先端をペロリと舐められて、オレはそれだけでジンッ…とした快感に襲われる。
「ぁっ…!」
 思わず小さく喘ぐと、城之内がフッと笑ってオレの乳首を口に含んだ。
 口中で唾液を塗り付けるように舐め回され、溢れた唾液ごとジュッと強く吸われる。
「ひぁっ…!」
 その途端、胸の奥から脳髄にかけて熱い刺激が走り抜けて、オレは耐えきれずに悲鳴を上げてしまった。
「ふぃっ…、ぁ…ん!」
 全身が甘い痺れに満たされて、気持ち良すぎて意識が遠くなる。
 あぁ…ダメだ…このままでは…、このままでは…流されてしまう…。
 城之内に触れられて、身体は歓喜に震え続ける。
 だけど、オレはどうしても嫌だった。
 オレを組み敷く単細胞のこの男は、見事に漠良の催眠術に脳を乗っ取られて、好きでもない男を好きだと思い込んで抱こうとしているのだ。
 催眠術に操られている今はいい。
 だけど明日になって正気に戻ったら…?
 正気に戻って、城之内がオレに対して施した全ての行為を思い返して、それに愕然としてしまったら…?
 それを考えたらオレは耐えきれなくなった。

「やめろ! 城之内…、貴様は漠良の催眠術に操られているだけだ…っ!!」

 力ずくで奴の身体を押し返すと、城之内は不満そうな顔でオレを見詰めた。

「操られてなんかいねーよ…っ」
「馬鹿が…っ! 実際に操られているじゃないか! いいから落ち着け、冷静になれ! 明日…催眠術が解けたらお前はきっと後悔する!!」
「後悔なんかしねーよ!! する訳がない!!」
「どうしてそんな自信満々に言えるんだ!?」
「催眠術なんか最初から効いてねーからだよ!!」

 城之内の叫びにオレは固まってしまう。
 一瞬城之内の言うことが理解出来なかった。
 催眠術が効いていない…? 何を言っているんだコイツは。現に今…効いているじゃないか…。
 オレの戸惑いを見て今までの積極さはどこかに行ったのか、城之内は項垂れてしまっていた。

「あんなもの…効く訳がない…。だって…だってオレは最初から…」

 何時もの城之内とは全く違う、小さなそして自信の無い声で、だけどはっきり。

「お前の事が好きなんだよ、海馬」

 オレの身体にのし掛かったままボソリと呟かれたその言葉を、オレは信じられない思いで聞いていた。

「本当に強い奴なんだなって思って憧れて。憧れて憧れて、気付いたら好きになってて。もうずっと好きだったんだよ…。なのにお前と顔を合せる度にオレ達は喧嘩しか出来なくて…。そんな事したく無いのに止められ無くって。だから漠良が催眠術の話をした時、これが最初で最後のチャンスだと思ったんだ」

 城之内の熱い手が、オレの頬に降りてきた。
 優しく包み込むように撫でて、そのままオレの髪を撫で上げて回り込んだ後頭部を包み込んで抱き寄せられる。
 大きくて熱い手は、少し震えていた。

「でも…、こんな風に催眠術にかけられてるお前を利用するのは…やっぱり卑怯だったよな。ゴメンな、海馬。もう…何もしないから」

 まるで泣いているかのようなか細い声に、オレは不安になる。

 そんな声を出さないでくれ。
 そんな顔をしないでくれ。
 そんなに震えないでくれ。

 すっかり意気消沈した城之内を安心させるように、オレはその背に自分の腕を回し強く抱き締めた。
「海馬…?」
 驚いて離れそうになる身体を離すまいと、オレは力を入れる。

「オレも同じだ、城之内」
「え…?」
「あんな催眠術なぞ、オレにだって効いてはいない」
「でも…お前…」
「そんな風に思っているのはお前だけではない。オレだって…お前の事が最初から好きだった。だから催眠術など意味が無いのだ」

 オレの告白に城之内が心底驚いたように目を丸くする。
 信じられないような顔をした城之内に、オレは微笑んでやった。

「だから…もうそんな顔をするな、城之内。オレ達の一週間は永遠なのだ」
「か…海馬…っ!」
「何だ? まだ信じられんのか? それとも不満なのか?」
「ま、まさか!!」

 慌てた城之内が強くオレを抱き締めてきた。

「どうしよう…!! オレ、今すっげー幸せだ…っ!!」
 本当に嬉しそうな声でそう言った城之内に「オレもだ」と小さく告げて、オレ達は強く抱き合った。
 何だか余りに幸せだったので、すっかり心が満たされてしまったオレ達は、結局その後行為の続きをする事はなかった。
 まぁ急いでいる訳ではないから別に構わない。
 オレ達の一週間は永遠に終わりそうにないのだからな。


 後日。
 オレ達の関係に見事催眠術が効いたと思い込んでいる遊戯と漠良に、オレ達はそんなものは最初から効いていないと告げてやった。
 だが、それに対して返って来た漠良の言葉に、オレ達はまた舌を巻くことになる。

「実は君達にかけた催眠術は相手に好意を持つ事だけじゃなくて、相手に素直になりますようにっていう願いも含まれていたんだよ。気付かなかった?」

 き…気付く訳なかろうが、この大馬鹿者共め!
 この催眠術が本当に効いていたのかそうでないのかは…かけた本人しか分からぬのだからな!!

たまにはネタバレ(ただしボツ案)

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実は色気のあるおっさんとか大好きな二礼です、こんばんは。

この間、短編とか長編とかのプロットが詰まっているフォルダを一挙に整理したんですよ。
何かオチが見出せなかったり弱かったりしてボツにしたプロットがいくつもあったもので。
で、その中の一つに海馬と城之内のおっさんネタがありましてね…。
オチは弱いし途中がダラダラし過ぎたので、速攻ボツにしたんです。
でもどうせボツにするならネタバレしちゃっていいんじゃね? と思いましたのでちょぴっと書こうと思います。
興味のある方だけどうぞ~。


お互いまだ相手の事が大好きな癖に、世間の常識に負けて結局別れる事になった城之内と海馬。
海馬はその後有名企業の娘さんとお見合い結婚をし、一人息子(以下坊ちゃん)をもうけます。
だけどこの嫁さんが年下な上に超我が儘で、更に城之内の事を忘れられない海馬との間はまさに冷戦状態。
嫁さんはやがて自分と同年代の若い男の子と恋愛関係になり、不倫の末に海馬と坊ちゃんを残して駆け落ち、そして離婚。
海馬は、嫁さんが出て行ったのは彼女を愛せなかった自分のせいだと後悔し、結局男手一つで坊ちゃんを育てて行く事になります。

城之内の方はと言えば、海馬の結婚と同時期にバイト先で知り合った年上のお姉さんと結婚します。
城之内はこのお姉さんには最初から「自分は別れた元恋人の事がまだ大好きで、きっと一生忘れられない」という事を言ってあります。
だけどこのお姉さんはそれを承知で城之内と結婚してくれたのです。
心穏やかで優しいお姉さんとの結婚生活は結構幸せで、やがて二人の間に一人娘(以下お嬢)が生まれます。
このまま親子三人で仲良く暮らしていこうと思った矢先に、お姉さんは病気(もしくは事故)で突然亡くなってしまいます。
このお姉さんの死に関して城之内は、自分が彼女を本当に愛する事が出来なかった罰が当ったのだと悔やみ、お嬢を自分一人で育てて行く覚悟をします。

お嬢の為に必死で勉強して働いた城之内は、やがて個人のオフィスを持つまでに成長。(多分ウェブデザイナーか何かで設定していました)
お嬢の事は溺愛で、彼女が行きたいと言うところにはどんなところでも連れて行ってあげていました。
海でも山でも川でも公園でも遊園地でも動物園でも水族館でも、どこへでも。
でも、一つだけお嬢が「行きたい!」とお願いしても、どうしても連れて行ってくれない場所がありました。
それは『海馬ランド』。
城之内にとっては海馬ランドに行けばどうしても海馬の事を思い出してしまう為、いくらお嬢の頼みでも連れていく訳にはいきませんでした。
だけどそんな大人の事情はお嬢には分かりません。
どうしても海馬ランドに行きたかったお嬢は、意気地無しのお父さんに愛想を尽かしてついに家出をし、一人で海馬ランドに忍び込んでしまいます。
丁度その時、海馬家の坊ちゃんは海馬と一緒に海馬ランドの視察に来ていました。
海馬に「側を離れるな」と言われていたのにも関わらず、好奇心旺盛な子供はやがて黒服達の注意を逸らして脱走。
逃げ回っている内に城之内家のお嬢と出会い、子供二人だけで夜の遊園地を駆け回って遊ぶことになります。(二人の年齢は九歳~十歳くらい)
だけどそれを見咎めた海馬によって二人は保護され、お嬢の口から彼女が城之内の娘だと言うことが判明し、海馬から城之内に連絡が入ります。
閉園した海馬ランドに車で駆けつけてお嬢を迎えに来た城之内と、それを待っていた海馬は、そこで十数年ぶりの再会を果たすのです。
その後、家出して心配をかけさせたお嬢を叱ろうとした城之内を坊ちゃんが止めたり、逆に「パパ、ごめんなさい!」と抱きつく城之内とお嬢を見て、海馬が何とも言えない気分に陥ったりと色々ありまして。
そこから四十近いおっさん同士の再恋愛が始まる…というお話でした。


つまんない!!
つまらない上に長い!!
大体この話の主人公は、もはや海馬と城之内じゃなくて、坊ちゃんとお嬢の方じゃないか!!
メインがおまけになってどうするよ!!
と、一人で憤慨した結果、見事にボツになりました。
あぁ…でもなぁ…。
おっさんになった海馬と城之内の話は、いつか書いてみたいんですよねぇ…;
若い時は勢いだけの関係も、おっさんになるとまた一味違うと思うんですよ。
そういうのにもまたキュンキュンしちゃうので、もうちょっと簡潔に纏めた話を考えてみようと思います。


長編『奇跡の証明』の第十話と、短編『Hypnotism』の前編をUPしました。
今回UPする長編の方の話が少し短かったので、短編と同時UPです。
『奇跡の証明』の方は辛い展開が続いている上に、何だか嫌な予感がプンプンする話で申し訳ないです。
その代わり今日UPした短編は幸せ展開なので、それで許して下さいませ(´∀`;
(いや、長編も一応幸せ展開なんですけどねw)
短編の後編は火曜日辺りにUPしようと思っています。
あ、忘れてた。
ついでに『奇跡の証明』の考察ページにも用語を足しておきました。
これで自分用メモにあった単語は全て載っけてあります。
多分。忘れていなければ…w


以下は拍手レスになりま~す(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!

しまった…;
余りの欝展開にRosebank様が沈んでいらっしゃる…((((゜д゜;))))
いや、あの、その、うん、大丈夫ですよ?
今は辛くても、その内きっと報われる日が来ますので…。
瀬人がこんなに辛い試練を味わ無ければならないのには、ちゃんと理由があるんです。
今この場でその理由を言う訳にはいきませんが、この試練を乗り越えればその先に待っているのはハッピーエンドです。
これは間違いありません。
ですので、もうちょっと待ってて下さいませ(*'-')
(あ、でも、あんまり辛かったら後で纏め読みするという手もありますよ…?w)

でも、自分で書いた小説ながら、Rosebank様が本気で瀬人の事を心配して下さるのが凄く嬉しいんです。
こんな風に心配して貰えたりすると、私も彼等の物語を生み出して本当に良かったなぁ~と感じます。
瀬人は本当に果報者ですね。
だからもうちょっと頑張ってね、瀬人(´∀`)←鬼畜

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

Hypnotism(前編)

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城之内×海馬。
海馬の一人称です。

 




「ねぇねぇ、海馬君~!」

 久しぶりに学校に来てみれば、遊戯を中心とした例のお友達連中が何やらまたくだらない事をやっていた。
 窓際の席でわいわいと騒いでいるのを横目に、オレは何時も通り鞄に入れてきた書類に目を通す。
 重要な案件とそうでないものとに分けながら、この後の自分の予定にも頭に張り巡らす。
 今日は午後から会議があるから学校には最後までいられない。
 昼休みに入ったら速攻下校して、そのまま会社に行って会議の準備だ…とオレが考えていた時だった。
 遊戯のお友達連中の一人で、あの漠良とかいうオカルト男がオレに向かって話しかけてきた。
 返事をするのも鬱陶しいので無視していたら、それでも漠良は「ねぇ~、海馬君ったら~」としつこく話しかけて来ていた。
「何だ? オレは今忙しいのだが」
 余りにしつこいのでついそう反応してしまったら、漠良はオレの目の前で嬉しそうに顔を綻ばせた。

「ねぇねぇ、今みんなで催眠術やってるんだけどさ。海馬君も混ざらない?」
「催眠術…? ふん、くだらん」

 流石オカルト男。やる事が本当にくだらない。
 オレはそんなものには興味も何も無いし、ましてや信じてもいない。
 プロの精神科医がそういう手を使って患者を治療するという話もあるから、この世に催眠術というものが無いとは言い切れないが、少なくてもオレはそんなものには引っかからない。
 あんなものは頭の構造が単純な人間がかかるものであって、オレには何の関係も無い筈だ。
 ましてやそういう人間の精神に深く関わるような術は卓越した精神科医や精神学者がやるべきものであって、こんな一介の高校生が出来るような簡単なものでもない。

「オレは貴様等のごっこ遊びに付き合っているような暇なぞ無い。あっちへ行け」
「そう言わないで、ちょっと付き合ってよ~。僕結構上手なんだよ~」
「しつこいぞ、漠良!」
「あ、やっと僕の名前呼んでくれたね~。ありがと、海馬君」
「っ………」
「ねぇ、五分だけでいいんだよ~。お願い、海馬君!」

 笑顔で手を合わせて深く頭を下げる漠良を見て、オレは深く溜息をついた。
 どうあってもこのオカルト男は諦めるつもりは無いらしい。
 どうせ手元の書類を見るのにも飽き始めていた頃だったし、仕方無くオレは書類を机の上に放り出して立ち上がった。
「五分でいいんだな?」
 そう言ったオレに、漠良は至極嬉しそうに微笑んで頷いた。


 漠良に連れられて窓際まで連れて来られたオレは、まるでそれを待っていたかのような遊戯に椅子を勧められそこに座った。
「協力ありがとうね、海馬君」
 ニコニコと笑いながらそう言う遊戯を軽く睨み付ける。
 だが奴はオレの睨みなどまるで意に関せず、オレの椅子と向かい合うように置かれた椅子に城之内を座らせていた。
 ん………? 城之内だと…?
 何故城之内なのだ?
 ていうか、何故城之内と向かい合わせに座ってなどいるのだ?
 奴らのやっている事の意味が分からずに頭に疑問符を浮かべて眉を顰めたオレに気付き、遊戯がゆっくりと説明を始めた。

「実はね~。漠良君が最近催眠術に凝ってるって話を聞いた時からやろうと思ってたんだけどね。君達って凄く仲悪いでしょ? だから催眠術でもやって無理矢理にでも好意を持って貰えば、その内本当に仲良くなってくれるかな~って思って」

 ゴメンね海馬君などと言いながら、遊戯はエヘヘと笑っていた。
 エヘヘではないわ、この馬鹿者が!!
 このオレが凡骨と仲良くなるだと!?
 夢物語もいい加減にしろ!!
 憤慨して立ち上がろうとしたオレの肩を、遊戯が上から押さえつけてもう一度椅子に座らせられてしまった。
 くっ…! コイツ…小さい癖して結構力がある…っ!
 それでもこんな茶番劇には付き合いきれないと、せめてオレと同じように思っているであろう目の前の人物に助けを求めた。
 凡骨に同意を求めるなど癪だが、奴だってきっとオレと仲良くしたいなんて思ってないに決まっている。
 だが意外にも、凡骨は渋い表情をしたまま大人しく椅子に座っているだけだった。

「おい、どうした凡骨! 貴様も何とか言え!!」
「別に…」
「別に…?」
「別にオレは構わない」
「何を言っている? 貴様はオレの事なんぞ嫌いな筈だろう? 嫌いな相手と無理矢理仲良くさせるなんて、馬鹿げていると思わんのか!?」
「あのな、何を勘違いしているか知らねーけど、オレは別にお前の事嫌いな訳じゃないんだぜ? ただちょっと気にくわないだけでさ…」
「それを嫌いと言うのではないのか!?」
「嫌いじゃない! 気にくわないだけ!! あとちょっとムカつくだけだ!!」
「だからそれが嫌いなのだ!! 貴様も分からないヤツだな!! 自分の感情すら理解出来ないのか、この凡骨が!!」
「凡骨って言うなよ!! 分かってないのは海馬の方だろ!? 大体オレの感情をお前が勝手に解析するなよな!!」

 いつもの通りギャーギャーと言い争いを始めてしまったオレ達を、遊戯と漠良が慌てて止めに入った。
 こんな調子で顔を付き合わせれば喧嘩ばかりしてしまって、こんなオレ達が仲良くなんてなれる筈が無いじゃないか。
 この関係性に関しては、オレはもう諦めてしまっている。
 多分オレと城之内は、根本的に合わないのだ。
 オレが白と言えば城之内は黒と言い、オレが右と言えば城之内は左と言う。
 合う筈が無いのだ、最初から。
 すっかりむくれて睨み合っているオレ達を呆れたように見ながら、遊戯が口を開いた。
「まったく…。そんな君達だから僕らは催眠術を使ってでも仲良くなって貰いたかったんだよ。はい、手貸して」
 そしてオレと城之内の手を取って、お互いに両手で握手させるような形に触れ合わせた。
「これで少しでも喧嘩が減れば、僕達も安心するんだよ。だからちょっとだけ協力して。ね?」
 こちらの方の遊戯にこう言われてしまうと、断わるに断れない。
 コイツはそれを知っていてわざと利用してくるのだから、始末に負えないのだ。
「んじゃ、二人とも目を瞑って~。黙って僕の言葉を聞いてね?」
 漠良の暢気な声にチッと小さく舌打ちをして、オレは渋々目を瞑った。


 瞳を閉じた闇の中に、漠良の声が深く響いてくる。
 コイツの声は不思議と脳内に響くような不思議な性質を持っていた。

 海馬君。城之内君。
 一週間だよ。この効き目があるのは今から一週間だけ。
 一週間だけ君達は互いに好意を持つ事が出来る。
 僕が植え付けたこの偽物の好意を足場に、一週間過ぎたら君達は本当の好意を相手に持つ事が出来るんだよ。
 それは絶対に不可能じゃない。
 今握り合っている手から伝わる体温の様に、きっと気持ちも伝わる事が出来るよ。
 次に目を開けたら、目の前にいる相手に好意を持ってる筈。
 だからその気持ちを忘れないで。
 一週間過ぎてもきっと好きでいる筈だから。
 自分の持っている本当の気持ちを相手に伝えてあげて…。

 ゆらゆらと重い水を掻き回すような言葉の羅列に、オレは次第に意識を捕らわれていく。
 あぁ、確かにこのオカルト男には催眠術の才能があるようだな…と、オレはどこか冷静な気持ちでそんな事を考えていた。
 城之内の手と絡み合っている己の手が熱い。
 これは、普段他の人間より体温が低いオレの熱ではない。
 この熱は…城之内の体温だ。
 じわりじわりと浸透してくる熱に、奴の脈動まで聞こえて来そうだった。
 その熱にこのまま意識が持って行かれそうになったその時、突然『パンッ!!』という音がしてオレは思わず目を開けた。
 目の前には同じように驚いた表情のまま固まっている城之内の姿。
 目を強く瞑っていた為に世界が若干青みがかって見えて、その青い世界に鮮やかな金髪の男が黙ってオレを見詰めていた。

「どう? 少しは効いたかな?」

 両手を合掌した時のように合せている漠良を見て、さっきの音はコイツが手を打ち鳴らしたんだと気付く。
 漠良にそう言われて改めて城之内を見てみるが、どうやらオレの気持ちは先程と全く変わってはいないようだった。

「別に。何も変わっておらん」
「え~? ちょっとだけでも変わってたりしない?」
「しないな」

 呆れたように言い捨てて、オレは椅子から立ち上がった。
 丁度それを待っていたかのように始業のチャイムが鳴ったので、オレはそのまま振り返ることもなく自分の席へと帰って行く。
 くだらん。本当にくだらない事に貴重な時間を潰してしまった。
 オレは机の上に放り出したままだった書類の束を鞄に突っ込むと、授業の為に入ってきた教師と入れ替わりに教室を出て行く。
 本当は午前中はきちんと授業に出るつもりだったが、あの連中のせいで興が削がれてしまったので、もう授業を受ける気持ちは無くなってしまっていた。
 携帯電話で運転手を呼び出しながら、オレは先程の漠良の言葉を思い出す。
 何が一週間だ。
 丁度良いことに今日から一週間、オレは凄く忙しいのだ。それこそこの先の一週間は学校にすら来られない程に。
 それが分かっていたからせめて今日だけは…と学校に来てみたのに、それがあんなくだらない事に付き合わされて。
 踏んだり蹴ったりとはまさにこの事だ。
 大体あんな稚拙な催眠術でこのオレの心を動かそうなどと、おこがましいにも程がある。
 オレには催眠術など効きはしないし、大体あんなもので長い時間を掛けて今の今まで培ってきたオレの気持ちが変わる筈なかろうが。
 くだらない、くだらない、くだらない。

 オレがその時感じた微かな苛立ちは、一週間の間消え去る事は無かった。


 あのくだらない催眠術を施された日から丁度一週間目。
 オレは漸く忙しい日々から解放され、珍しく定時で会社を上がり屋敷へと向かっていた。
 外はこの季節には珍しい強い雨が降っていて、リムジンのワイパーが忙しなく水滴を払っている。
 そのワイパーの動きを何となく目で追っていると、ふと前方に見知っている人物が歩いているのが見えた。
 透明のビニール傘から透けて見える髪の色は鮮やかな金色。
 あんな分かりやすい髪をしている奴なんて、オレは一人しか知らない。
 城之内だ。
 ふと一週間前のあの出来事を思い出すが、残念ながらオレの気持ちは些かも変わってはいないようだった。
 いくら才能があろうとも、所詮高校生の施すごっこ遊びに過ぎなかったらしい。
 徒歩で下校している城之内と、道路を走るリムジンとの差は確実に近付いている。
 だが、突如目の前の信号が青から黄色になって、ゴールド免許を取得している真面目な運転手は静かにブレーキを踏みゆっくりと停車した。
 そうする事でまた城之内との距離が離れていく。
 奴はこちらには全く気付かずに一人で歩いて行ってしまった。
 離れて行く金髪を何とは無しに見ていたら、突然隣の車線から派手な外車が猛スピードで通り抜けていった。
 多分信号で止まりたくなかったのだろう。信号が黄色から赤に変わる直前に交差点をありえない速さで走り去って行く。
 ふん、愚か者が。
 あぁいう馬鹿は人様の迷惑にならない所で勝手に壁にでも激突して一人で死ぬがいいと思った時だった。
 馬鹿の運転する派手な外車が、道路際を歩いていた城之内に思いっきり泥水を掛けて行ったのは。
 離れた場所にいる為に声は聞こえないが、驚いた表情の城之内が「げっ!!」と言っているのが聞こえたような気がした。
「おい」
 信号が赤から青に変わって走り出した運転手に、オレは身を乗り出して告げる。
「あの金髪の学生の脇で車を止めろ」
 オレの言葉に運転手は「畏まりました」と頷いて、リムジンを歩道に寄せつつスピードを落としていった。


「げ~!! さいっあく!!」
 リムジンを降りてまず最初に聞こえて来たのは、そんな城之内の悪態だった。
 後ろから近付いて来たオレにはまだ気付いていないらしい。
 泥水でビショビショになった制服を指先で摘んでいる城之内に、オレは声をかけた。

「おい、城之内」
「ん…? げっ! 海馬…っ!!」
「見ていたぞ。災難だったな」

 ニヤリと笑ってそう告げると、城之内は心底嫌そうな顔をした。

「ったく…。嫌なところを嫌な奴に見られたもんだぜ…」
「これはもうダメだな。早く家に帰ってクリーニングにでも出すがいい」
「それが出来れば苦労しないっつーの。今は月末で余分な金なんてないし、大体このオレに代わりの制服なんかあるわけないじゃん」
「では、これを着て明日も学校に行くのか?」
「それしか無ぇだろうなぁ…。まぁ拭けば何とかなるか」

 ふむ…と唸って、改めて城之内の制服を眺めてみる。
 すっかり泥水を吸って汚れた制服は、ちょっと拭いただけで何とかなるような代物ではなかった。
「仕方無いな」
 オレは城之内の手を取って引っ張る。
 それにギョッとした顔をされたが、そんな事を気にしている場合ではなかった。
「オレの屋敷に来い。クリーニングくらいすぐにしてやる」
 オレの言葉に城之内の顔が途端に明るくなった。
 何故そこでそんな表情が出来るのだ…? 理解出来ん。

「マジで?」
「冗談で言っていると思うか?」
「え? マジで海馬ん家行っていいの?」
「しつこいぞ。来るのか来ないのか」
「行く!! 行くってば!! あ、でもこれで車乗ったら汚しちゃうぜ?」
「構わん。いいから早くしろ」

 うだうだ言っている城之内をリムジンに押し込み、オレもその隣に乗り込んで運転手に出発するように告げる。
 そろそろと走りだしたリムジンの中で、隣にいる城之内が妙に嬉しそうな顔をしていたのが印象的だった。

第十話

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 瀬人が黒龍国に嫁いで来て、早半年が経っていた。
 月に一回のアイシスの診断の度に彼女に許可を求めるが、その度に首を横に振られ落胆する日々が続いていた。
 未だ克也と身を繋げる事が出来ず名ばかりの皇后である自分に、瀬人は苛立ちを隠せない。
 更に間の悪いことに、国家間の情勢も余り芳しく無かった。


 黒龍国は二国に挟まれる形で存在している。
 東の山脈を国境として隣接しているのは、瀬人の出身国である白龍国。
 対して西の大河を国境として存在しているのは、『冥龍国』という五十年ほど前に出来たばかりの新生国家だった。
 元々は西方の荒れ地や砂漠の向こうの国々で傭兵として雇われていた者達が集まり出来た集落で、それが集まってやがて小国として成り立つようになった。
 やがてその国は、太古の昔から存在していた白龍国や黒龍国を真似て『龍』の字を使い冥龍国と名乗りを上げた。
 国土や人口は先の二国と比べものにならないほど小規模なものである。だがその武力は『武の国』として名を立てる黒龍国ですら一目置く程凄まじいものだった。
 そして以前から冥龍国は、黒龍国の肥沃な大地を狙っているという報告が幾度もなされていた。
 その冥龍国が最近西の大河の沿岸で要塞を築き上げ、更にその要塞に兵を集め出しているという。
 黒龍国の国境警備兵も常に監視を行っている状況ではあるが、もういつ戦争が起きても可笑しくない状況にまで追い込まれていた。


「………。ふぅ…」
 今朝も謁見の間にて西の国境付近からもたらされた報告書が届き、それに目を通して克也は溜息をついた。
 状況は刻一刻と悪くなる。
 こちらも沿岸警備兵を増やし、更に主力軍隊を現地に派遣して様子見をさせているが、これではいつ攻め込まれるか分かったものではない。
 何とか戦争を回避しようと使者や書状を送ってみるも、その全てが門前払いにされてしまっていて全く話にならない。
 仕方無く皇都に在駐する軍関係者や兵士達にも非常事態宣言を発動し、何が起きても直ぐに出撃できるように準備が為されている為、市民の不安感も最大限に高まっていた。
 午前中の謁見を終えて兵や使用人を全て下がらせても、克也は玉座に深く腰を沈めたまま立ち上がろうとはしなかった。
「克也…」
 真剣な顔をして物思いに沈んでいる克也に近づき、瀬人は小さく声をかける。
「戦争が…始まるのか…?」
 心配そうな顔でそう訪ねる瀬人に、克也は慌てて笑顔を浮かべて手の中の報告書を握りしめた。

「いや、まだ分からない。もしかしたら向こうもこっちを恐れて沿岸の警備を固めているだけかも知れないし。まだ何とも言えないな…」
「もし…、もし戦争が起きてしまったら…お前はどうなるのだ?」
「瀬人…。いいから落ち着けって。まだ戦争が起きると決まった訳じゃ無い」
「白龍国にいた頃、歴史書で読んだことがある。黒龍国の皇帝は自らが最前線に赴き、陣頭指揮を執ることを定められていると…! もし戦争が起こったら、お前も行ってしまうのか…っ!?」

 克也は興奮した瀬人を落ち着かせるように冷たい手をギュッと強く握りしめ、なるべくいつもの笑顔でゆっくり言葉を紡ぐ。
「大丈夫だ。お前が心配する事は何もないよ」
 その言葉に瀬人はまた少し苛立ちを深めてしまう。
 皇后として皇帝を支える為に自分は存在するのに、全く役に立っていない気にさせられた。
「お前は…いつもそうだ…! いつだって自分一人で何とかしようとして誰の助けも求めようとしない…! 結局オレの事なんてどうでもいいと思っているんだろう!?」
 怒りにまかせて握られた手を振り解き、瀬人はそのまま自室へと帰っていく。
 その背を見送って、克也はフッと苦笑した。
 そんなつもりは無かった。だが、瀬人の言うように無意識にそうなるように仕向けている感もある。


 十六歳で父親が病死し、この若さで大国『黒龍国』の皇帝を継ぐことになった。
 その重責は想像以上で、皇帝就任当時、克也は何度もその重苦しい責任感に押し潰されそうになった。
 だけどその度に、白龍国にいる瀬人の事を思い出しては自らの力と変えてきたのだ。
 その事がどんなに克也を救ってきたのか…、言葉にしても伝えきれるものでは無い。

「愛しているんだ…瀬人」

 誰もいない謁見の間でボソリと呟く。
 本当だったら今すぐにでも瀬人を抱きたい。
 だが未成熟な瀬人の身体の事を考えた時、それだけは決してしてはならないと自分自身に固く誓いを立てた。
 瀬人がその事で焦っているのは知っている。だが…。
「オレは…、それでもお前を守りたいと思っているんだ」
 誰もいない空間に向かって、克也は更に強く誓った。

天国への架け橋

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凄く綺麗な虹を見て本気で感動した二礼です、こんばんは。

ずっと降っていた雨が夕方近くに一瞬上がって、夕焼けが差し込んで来たんですよね。
その夕焼けを見ようとベランダに出たら、逆側の東の空にでっかい虹が!!
いや~、本当に綺麗でした…(*´д`*)
あんな美しい虹を見たのは、本当に何年振りなんだろう…。
薄曇りの空にかかる大きなアーチに心癒されました。
お向かいのマンションの人なんて、カメラで写真撮ってましたよw
しかもうっすらと二重の虹!!
十分程で消えてしまいましたが(日が沈んでしまいました…w)、本当にいいものを見たと思います。

長編『奇跡の証明』の第九話をUPしました。
自分で書いておいて何ですが、瀬人が痛々しいですなぁ…;
二礼は好きなキャラを追い込んで最後に救うパターンが大好きなんですけど、これはちとやり過ぎたか。
ていうか、私はガキ大将か!!w
長編ではしばらく痛いターンが続いてしまうので、次回の短編ではラブラブなの書きたいと思っています。
ラブラブで甘いのも大好きなんで(*'-')
(むしろ、本当はこっちが本業。でもラブラブしか無いと長編にしづらいんですよ…w)


以下は拍手のお返事でございます~!


>散様

拍手とコメント(お返事)、どうもありがとうございました~!!

実は私も基本ヒッキーなんで、他の人の事は何も言えないのですw
現にあのパニくりようは、救いようがありません(´∀`;
客商売をしているので仕事だと割り切るとそうでも無いのですが、プライベートになっちゃうと途端にダメになっちゃいますねw
今度は…もうちょっと心に余裕を持てたら…いいなぁと思っています(´・∀・`)デッキルッカナ♪ デッキルッカナー♪

細かいお返事はそちらの方に直接致しますですw
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、いつもありがとうございます~(*´∀`*)

この『奇跡の証明』は今までの長編の中で一番重い試練を持って来ているので、Rosebank様が辛いと思われるのは仕方ありません。
ていうか、私も辛いです。(本当ですって!!)
でも、最後は絶対この二人を幸せにしたいと思っていますので、それを信じて見守っていて下さると嬉しいです。
あとこの『奇跡の証明』はどちらかというと瀬人の物語ですので、この先彼(彼女)がどんな風に成長していくのかという部分にも注目して頂けたらな~と思っています。
瀬人を弱いままで終わらせたりはしません。
だって瀬人のモデルはあくまであの海馬なのだから!!

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第九話

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「どういう事だ…?」
 余りのショックで震える声を何とか抑えながら、瀬人はアイシスに向かって言葉を絞り出す。
 それに対してアイシスはカルテを横目で見ながら、淡々と説明を続けていた。

「今私が言った通りでございます。皇后陛下の女性機能は余りに未熟でございます。この状態で男に抱かれると言うことは、まだ年端もいかない小さな少女が無理矢理犯されるのと同じでございます。医者としてもそれをお許しする訳には参りません」
「だが…オレはもう小さな子供ではない。歳も十七になっている」
「いくら御身は大きくなられましても、皇后陛下の女性としてのお身体はまだまだ未熟なのに変わりはございません。今のままでは無理なのです。お聞き届け下さいませ」

 せっかく射した希望の光が、目の前で突如消えてしまったかのようだった。
 瀬人の中では、診察が終われば身体に問題無い事が分かり、今夜にも克也と一緒になれる筈だった。だが、下された決断は瀬人の願いを全て裏切る結果となっている。
 余りのショックに目の前が真っ暗になって身体が揺らぐ。
 そのまま倒れる…っ! と思った時、その身体を力強く支えた腕があった。
「瀬人! 大丈夫か!?」
 叫ばれた声に顔を上げると、そこには心底心配そうな顔をして瀬人を支える克也がいた。
 大きな手で優しく頬を包み、瀬人の顔を覗き込む。
「顔色が真っ青だ…。アイシス!」
 呼ばれたアイシスが慌てて瀬人を寝台に寝かせ、その脈を取る。
 心配そうに自分を見ている克也に何か言いたかったが、突如襲った吐き気にそれも叶わない。
 慌てて両手を口に当てて寝台から飛び起き浴室に向かおうとするが、診察を受けたばかりの下半身がツキリと痛んで思わずその場にしゃがみ込んでしまった。
 こんな場所で吐きたく無いのに、胃がひっくり返りそうになっているのが嫌でも分かる。
 それでも必死に我慢していると、克也がその肩を抱き込んで背を撫でてきた。

「瀬人…っ? 気持ち悪いのか? 我慢出来ないならここで吐いてしまえ」

 それにフルフルと首を振るが、身体はもう限界だった。
 逆流してくるものを押さえる事が出来ず身体をくの字に曲げて、ついにそのまま吐瀉してしまう。
「うっ…ぇ! げぇ…っ! ゲホッ…!」
 飛び散る吐瀉物に衣装が汚れるのも厭わず、克也は瀬人を支えその背を撫で続けていた。
 呼吸が上手く出来ない辛さで涙が滲み、潤む視界の端にそれを見て取って、瀬人は苦しい息の下から何とか言葉を絞り出す。

「か…つ…や…。服が…汚れ…る…か…ら…、もう…」
「こんなもの気にしなくていい。いいから全部吐いてしまえ…っ!」

 暖かい手で優しく優しく背を撫でられる。
 そのお陰であらかた吐いて楽になった瀬人は、掠れる声で「もう…大丈夫…」とそれだけを口にした。
 吐く為に身体全体に力を込めていた為、脱力した身体は微かに震えてしまっている。
「マナ!」
 その身体を抱き寄せながら克也が強くマナを呼んだ。
「今すぐ湯の用意をしろ! それから着替えを! アイシスは引き続き瀬人を頼む。薬の用意もしてくれ」
 克也の命令で周りが一斉に動き出す。
 マナは急いで他の女官に声を掛け風呂の準備を始め、アイシスは「畏まりました」と答え薬剤が入った自分の鞄を取りに行った。
 それを全身で感じながら瀬人は克也に全身を預け、そしてゆっくりと気を失っていった。


「慣れない環境に連れて来られた上、今の診断結果が相当ショックだったようです。多分許容量を超えたストレスに身体が耐えきれなかったんですわ」
 診断を終えたアイシスが瀬人に掛布を掛けてやりながら、痛々しそうに呟く。
 寝台の中で死んだように眠る瀬人の顔を見て、克也が辛そうに眉を寄せた。
 栗色の髪をサラリと掻き上げ、未だ顔色の冴えないその頬をそっと包み撫でる。
 汚れた身体を湯で綺麗にし清潔な夜着に着替えて今は眠っているその身体は、無理に吐いた為に体温が上がらず、その手に伝わる温度はヒンヤリと冷たかった。
「急に無理をさせ過ぎたな…。瀬人…済まなかった…」
 心から済まなさそうに謝るその声は、今の瀬人には聞こえない。
 克也にしてみれば今までの行動は全て瀬人の為に他ならなかった。だがその行動の一つ一つが、瀬人の心を傷付けていたのもまた事実である。
 マナとアイシスを部屋から下がらせ、克也は一人瀬人の眠る寝台に腰掛け、ずっとその寝顔を見続けていた。
 目覚めれば辛い現実に打ちのめされる。せめて眠っている間だけは優しい幸せな夢を見ていられるようにと、ただそれだけを願う。
 冷たい頬にそっと唇を寄せると、その感触に瀬人が目覚めた。
 睫をフルリと震わせて、ゆっくりと瞼を開いていく。青く輝く瞳が克也の視線と交わった。

「克…也…?」
「起きたか、瀬人。気分はどうだ…?」
「大丈夫…。もう悪くは無い…。部屋が暗いが今は何時だ…?」
「さっき日が落ちたところだ。疲れていたんだろう、随分とぐっすり眠っていたな」

 優しく微笑んで克也は寝台から立ち上がろうとすると、瀬人にその手を強く掴まれてしまう。
 驚き振り返って瀬人の顔を見ると、何も言わずとも瀬人が不安になっているのが見て取れた。
「大丈夫。どこにも行かない。何か温かい飲み物を貰って来るだけだ」
 瀬人を安心させるように暖かな笑顔でそう告げると、掴まれた手をそっと外して克也は部屋から出て行った。
 隣室に控えていたマナに瀬人の部屋に灯りを点すように命じ、他の女官に飲み物を持ってこさせる。
 程なく女官の手によって運ばれてきた飲み物を受け取り、克也は瀬人の部屋に戻っていった。
 明るくなった部屋の中でマナに肩から上着を掛けて貰いながら、瀬人は寝台の上で状態を起こしてこちらを見ていた。
「もう起きても大丈夫なのか?」
 そう問いかけると、瀬人はしっかりと頷いて答える。
 持って来た温かいレモネードを手渡しながら、克也は寝台ではなく側の椅子に腰掛け、未だ顔色の冴えない瀬人の顔を心配そうに眺めた。

「瀬人、アイシスが何日かしっかりと休めと言っていた。疲れが溜まっているらしいから暫くは何もせず休養に専念しろ。公務をこなすのはこの国に慣れてからでいいからな」

 克也の言葉に「しかし…」と反論しようとすると「これは命令だ」と告げられ、逆に何も言えなくなってしまった。
 本来の瀬人だったら頑固な性格故にこんな事を言われても簡単に諦める事は無いのだろうが、流石に自分の身体が予想以上に疲弊している事に気付いてしまい、仕方無くその好意を素直に受ける事にする。
 貰ったレモネードを一口ずつ飲むと、冷えた胃がゆっくり暖かくなっていくのを感じる。
 それに漸く一息ついて、横に控えている克也の顔を盗み見た。
 相変わらず優しく微笑んでいるものの、その顔はずっと心配そうな表情が張り付いたままだ。
 それを見て、瀬人はまた自責の念に駆られてしまう。
 克也の為にこの国に嫁いで来たのに、自分は全く役に立っていない。それどころか障害は次々と壁となって、自分達の前に立ちはだかっていくばかりだった。
 余りの情けなさに涙が溢れてきて、留められなかったそれがつーっと一本頬を伝う。
「瀬人…? どうした…っ! また苦しくなったのか…?」
 慌てて自分を心配し背を擦る克也に首を振り、だが瀬人はその涙を止めることが出来なかった。

年は取りたくないものだ

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幸せなのはいいが体力が戻らない二礼です、こんばんは。

今のところ通常体力の六割くらい…かなぁ?
こういうの感じると年取ったな~って思いますよね。
まぁその代わり脳内が元気百杯なんですけどwww
スパコミに行ってた間に溜まってた家事とか色々やってたら意外と時間が取れなく、まだ殆どの本に手つけてないんですよねぇ…。
楽しみを長く持続出来てるのは良い事ですけど…。
う~ん! 早く読みたいよ~!!
あ、ちなみに遊戯王関連はもう全部読みました(*´∀`*)トウゼーンデス

長編『奇跡の証明』の第八話をUPしました。
何かちょっとエロっぽい気がしますけど、ただの診察ですからね? コレwwww
最後まで*マークどうしよう…と悩んだ末に、上記の理由で外しました。
この回を書いていた時に一番ニヤニヤしていたのも秘密なんですお(´∀`)
楽しいなぁ…。
半陰陽…楽しいなぁ…(*´д`*)
(おまわりさぁ~ん!! 変態がココにいますぅ~!!)


以下は拍手のお返事になります(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!

ヘルクリのパターンにすぐ気がつかれるなんて…Rosebank様は流石です!!
私もワザと意識して題名を付けているのですが、そうやって気付いて貰えると本当に嬉しいです(´∀`)
この二人の事は可愛くて仕方が無いので、またいつか後日談でも書きたいな~と思っています。
次はまた城海を絡めても面白いかもしれませんね~。
ちなみにいきなりバックでヤらせちゃったのには理由があるんです。


理由その1:ヘルクリがあくまで『交尾』に拘っていた事。(ただ単に『SEX』という単語を知らないだけなんですが、精霊である彼等には動物的感覚の意識の方が強いんじゃないかという二礼の独断)

理由その2:実は男同士のSEXはバックからの方が楽。(特にクリティウスは社長と違って『性欲』というものを感じる事すら初心者なので、一応そこら辺を配慮しとこうかなぁ~と…)

理由その3:単にヘルモスに余裕が無かったw(クリティウスの身体ひっくり返して許可を貰って余韻を楽しみつつ…なんてものは無かったと思われますw もう彼も限界状態でしたw)


理由としては、その3が一番濃いような気がします…(´∀`;
あとRosebank様がおっしゃった「アドバイスを受けたご近所の熟年カップルに報告に行く新婚カップル」には笑いましたw
広い精霊界のお話が、一気に狭いご近所物語に…。
何か社長とクリティウスを団地妻にして、隣同士に住まわせたい気分になってきましたw
旦那達が仕事に出掛けた昼間にどっちかの部屋に集まって、お茶を飲みつつスーパーのチラシの安売りに赤丸をしながら、「最近夜の方どうよ?」みたいな話をすればいいと思います。
考えただけで微笑ましい…(´―`)

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第八話

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 アイシスとマナに連れられて自室に戻ってきた瀬人は、診察を受ける為に全ての服を脱ぎ、前を合わせるだけの簡単な夜着に着替えていた。
「こちらへ」と手招きするアイシスに従って、寝台の縁に腰掛ける。
「まず…少しお身体を見せて下さいませね」
 アイシスの手が夜着の合わせを開いて、露わになったその身体に目を走らせる。
 相手が医師だということで昨夜程の羞恥は無かったが、それでも瀬人は他人に身体を見られるという行為がやはり恥ずかしいと感じてしまう。だがこの診察が終われば克也と一緒になれると信じ、大人しくその身を任せる事にする。
 そんな瀬人の思いとは裏腹に、その身体を検分しているアイシスの表情は冴えなかった。

「これは…。典型的な奇跡の子の身体付きですけれど…。何と言いますか、成長具合にバラツキが見られますね」
「バラツキ?」
「はい。どうやら見た感じだと、男性としての成長は年相応に順調なのですけれど、どうも女性としての成長が著しく遅れているようでございます」

 そこまで言ってアイシスは手元のカルテに何かを書き込んでいた。
 カリカリとペンを走らせながら「皇后陛下」と瀬人に呼びかける。
「これからいくつか質問致しますけれど、正直にお答え下さいませ。陛下にとっては少し恥ずかしいかもしれませんけど、そこは陛下の御為ですので…」
 それに仕方無いと頷くと、アイシスは真面目な顔で瀬人に向き直って口を開いた。

「まずは男性機能の事を質問致します。陛下は射精なさった事はございますか?」
「…っ!? しゃ…っ!? な…な…っ!」

 驚いて二の句が継げなくただパクパクと口を開け閉めするしか出来ない瀬人に、それでもアイシスは焦ることなく淡々と質問を繰り返した。

「陛下。これはとても重要な事なので質問に答えて下さらないと」
「い…いや…その…、わ、わかっている!」
「で、なさった事は?」
「あ…ある…。何度か…」
「その時の精子の色を覚えていらっしゃいますか? 普通の男性のような白色…ではありませんよね?」
「白…では無かった…」
「薄く濁ったような半透明でございましたか?」

 余りの恥ずかしさに顔を真っ赤に上気させながらも、瀬人はコクリと頷く。
 そんな瀬人にアイシスは優しげに微笑んで、相手を安心させようとしていた。
「皇后陛下、そんなに恥ずかしがらないで下さい。年頃の人間でしたら誰でも体験している事でございます。精子の色に関しましても、他の奇跡の子と何の変わりもございません。色が薄いのは通常の男性のような正常な精液では無いので致し方無い事なのです。とは言え、少なくても射精機能が安定しているというのは良い事ですわ。やはり男性機能に関しましては何の問題も無いようですね」
 アイシスは再び手元のカルテに何かを書き込み、そして軽く溜息をつく。
「それにしても…、問題は女性機能の方ですわね。陛下、初潮はもう迎えましたか?」
 その質問に対しては、瀬人も首を横に振るしかなかった。
 瀬人の答えを見て、アイシスの表情がまた少し暗くなる。
「どうやら皇后陛下は、今まで法皇として気張ってきたせいで男性機能ばかりが先に成熟してしまわれたようですね…。奇跡の子の成長は、その者が持っている精神と深く関わっている事が多いのです。法皇として男性である部分が早くに目覚めたのはよろしいのですが、肝心の女性機能がとにかく置いてけぼりにされているようですね」
 アイシスの言葉で、瀬人は自分が重大な問題に直面している事を知ってしまった。
 今までは法皇として『男』として生きていれば良かったものの、これから先は黒龍国の皇后として『女』として生きねばならず、その事に身体の成長が全く追いついていないのだ。
 もしかしたらこれは物凄く致命的な欠陥なのでは無かろうか…と、初めて真剣に考え出す。
「少し女性器を調べたいので…寝台に横になって頂いてもよろしいですか?」
 自分が直面している問題にやっと気が付き、瀬人は大人しく寝台に身を横たえた。
 膝を立て足を広げる。とんでも無く恥ずかしい格好だと思ったが、瀬人にはもはや抗う気持ちなど無かった。
「器具を使って中を拝見させて頂きます。少し痛いかもしれませんが、すぐ終わりますので…」
「いい。はやくしろ」
 冷たい器具が足の内側に触れて思わずピクリと反応してしまうが、それでも黙って事が終わるのを待つ。
「ぅっ…!」
 未熟な膣に器具の先が差し込まれる時、微かに感じた痛みに思わず呻き声を上げてしまう。
 この先暫くはこの痛みに耐えなければならないと身体を硬くするが、アイシスは手際良く膣内を観察すると、さっさと使っていた器具を抜いてしまった。
 最後に外側の女性器や男性器を軽く触診すると、「もうよろしいですよ」と瀬人に告げそこから離れていった。
 想像していたのと違う余りに簡単な診察に、瀬人は拍子抜けしてしまった。側に控えていたマナに夜着を整えて貰いながら、水の入った桶で手を洗っているアイシスに声を掛ける。

「おい…。もう終わりなのか?」
「はい。終わりですよ」
「たったこれだけの診察で、オレがどんな状態か分かったのか?」
「勿論です。私は専門医ですよ? あぁ、マナ。ちょっと陛下を呼んできて頂戴。多分隣の部屋で待ってるだろうから」

 自信に満ちた顔で瀬人に答えると、アイシスは手を拭きながらマナに言葉を掛ける。
 それににこやかに答えたマナが部屋を出て行った。アイシスの言う通り何時の間にか隣室に戻って来ていた克也は、マナと共にこちらの部屋に入ってくる。
 寝台に腰を下ろしている瀬人をちらりと見遣ると、克也はその脇にしつらえられた椅子に腰を下ろした。
 アイシスの表情でこれから下される診断結果が余り良いものでは無い事に気付いたのだろう。妙に緊張している克也と瀬人を前にして、アイシスも真剣な表情で二人に向き直る。
「さて、両陛下。早速結果報告から致しますと…」
 アイシスは一旦言葉を句切り、そして医師としての意見を冷静に述べた。

「皇后陛下の今のお身体の状態では、お二人が身を繋げる事は到底無理でございます」

 余りに無情なその宣告に、瀬人は背筋にゾワリとした悪寒が走ったのを感じた。

スパコミ二日目

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スパコミ後の余韻で幸せ一杯の二礼です、こんばんは。

もうね、ダメです。
沢山買えた社長受け本は元より、ずっと大ファンだった方達とお話出来たり握手しちゃったりして、嬉しくて死ぬかと思いましたw
何なのもう、十代の乙女じゃあるまいしwww キモチワルイwwwww
(ていうか、帰り際にもう一度挨拶してから帰ればよかったな…。失敗したわ…orz)
社長本もね~、本当に素敵な本ばっかりでヤヴァイくらいに萌えまくりですよ…(*´д`*)
これでまた現実を生きられます。
本当にありがとうございましたw

いや~、それにしても実に楽しいスパコミでした。
久々にいいストレス解消が出来たような気がします。
そう言えばヘ/タ/リ/ア本はですね、鉄の意志で一切無視したんですよ!
すっごい買いたかったんですけど、何とか我慢しましたw
お陰で色々助かりました。
財布の中身とか、肩の負担とかwwww
遊戯王以外は結構厳選して買ってたつもりだったんですが、気付いたら荷物を背負っていた自分の右肩が『粉砕! 玉砕! 大喝采!!』状態になっておりまして…(´_ゝ`;
帰って風呂入ろうと服脱いだら、右肩に鞄の取っ手の形に痣が出来ていたのには笑いましたw
年だわぁ…もう…orz
昔はもっと重い荷物を持っていても何とも無かったのになぁ…;
で、帰りは一緒にスパコミに行っていた友人達と一緒にカラオケへ。
ゴメン社長…。
『冷/静/に/な/れ』をチャレンジしてみたけど、難しくって歌えなかったよ…。
こりゃ暫く練習しないとな…。

今日は短編『月の光に導かれて』をUPしました。
久しぶりのヘルクリです。
しかも夜這いです。
そういやコイツ等最後までヤッてなかったよなぁ…とずっと気になっていたので、これでスッキリしました(´∀`)
クリティウスはアレですね、社長と違って素直そうですよね~。
だからこの子達の話は何も考えなくてもラブラブに書けて、凄く楽なんです。
社長ももっと素直になればいいのに…とここまで考えて、どっちも素直じゃない城海も萌えると思いました。
よし! 今度そういうの書こう!! そうしよう!!


以下は拍手レスになります~!


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございます~!!

『奇跡の証明』の第七話を楽しんで下さったようで、何よりです(´∀`)
私もこの回は個人的に気に入っているので、「とても良かった」とおっしゃって下さって嬉しいです!
Rosebank様のコメントにもありましたが、確かにアイシスはイシズ姉さんより穏やかな印象があります。
私もそう言われて初めて「そういえばどうしてイシズ姉さんにしなかったんだろ…?」と思ってしまったんですが、多分何となく無意識にベストキャストを探していたんでしょうねぇ…。
改めて今アイシスとイシズ姉さんを並べてみても、やっぱりこの役はアイシスの方が適役に思えます。
それからRosebank様の予想は大当たりでしたね!!
前にそのコメントを見たときに思わずニヤリとしてしまったのですが、Rosebank様の推理は流石です!
これの他にも色々推理されていますが、その当たり外れはまた今度ということで…(´∀`)ムフフ
こういうやり取りもまた楽しいですよね~w

あと克也の瀬人への気遣いなのですが。
作中では直接表現したりしませんが、克也は瀬人が嫁入りする前からかなりアチコチに手を回したりしていたようです。
半ば無理矢理嫁に来させた状態ですので、せめて少しでも瀬人が過ごしやすいようにと考えていたようですよ?
まぁ…モデルはあの城之内君なので、不器用で少々空回りしてる部分はあるみたいですけどねw
皇帝とはいってもまだ十七歳ですしね~。
人生経験の浅い彼が、大人のように上手く立ち回れないのは仕方ないのかもしれません(*'-')

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

*月の光に導かれて

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ヘルモス×クリティウス。
随分かかったけれど、これで漸くゴールです。

 




 澄んだ天空に白い満月が一つ浮かんでいる。
 ヘルモスは自室のテラスからそれをずっと眺めていた。
 強い月光は真夜中だというのに、地上に存在するありとあらゆるものの影をくっきりと映し出している。
 その光はまるでクリティウスのようだ…とヘルモスは思った。


 現実世界にいる二人のマスターのお陰で自らの欲を正面から捕らえられるようになったヘルモスは、こうしてクリティウスやティマイオス達と住む館に戻って来ていた。
 欲望に従順に従うことにしてからは、よくクリティウスと共に交尾の真似事をするようになった。
 二人のマスターの交尾を見せて貰ったお陰で、それなりに形になっている幸せな時間を過ごす事は出来ている。
 しかし未だ真の交尾を行なえてはいない。
 互いの身体に触れ合う事はとても気持ちが良くて、それはそれで良いと思うのだが、やはり彼の身体の中に入り込みたいと思ってしまうのだ。
 月光に照らされながらそんな事を考えていたら、ふと自分に組み敷かれるクリティウスの姿を思い出した。
 白い身体は上気してうっすらと紅く染まり、潤んだ紫紺の瞳がまるで縋るように自分を見詰めている。
 そして荒い吐息の中から熱っぽくヘルモスの名前を呼ぶ紅い唇。
『ヘルモス…』
 まるで幻聴のように頭の中に響いたクリティウスの声に、途端にドクンッ…と心臓が高鳴るのを感じた。
 ヘルモスの中に、普段は忘れている欲が甦ってくる。
 それにやれやれと深く溜息を付きながらも、口元に浮かぶ笑みを止められない。
 そのままテラスから斜め下の部屋のテラスを覗き込むと、窓からカーテンが閃いているのが見えた。
「窓は開けっ放しか…。不用心だな、クリティウス」
 乾いた唇を舌でペロリと舐めると、ヘルモスはテラスの柵を乗り越えてフワリと宙に浮かんだ。そしてそのままクリティウスの部屋のテラスへと飛び降りた。


 はためくカーテンを避けて、キィ…という微かな音を立ててガラス戸を開き部屋の中に入り込む。
 なるべく足音を立てないように窓際のベッドまで近付くと、そこにクリティウスが静かに眠っているのが見えた。
 薄い掛布を身体に巻き付けるようにして、規則正しい呼吸を繰り返している。
 金糸の髪が月光を反射して、その姿は幻想的な美しさに彩られていた。
「窓を開け放したまま寝るからだぞ、クリティウス。寒そうじゃないか…」
 クスッと笑みを零しながらヘルモスはその薄い掛布を捲り、そのままベッドに乗り上げて、薄く開いた唇に自らの唇を押し付ける。
「んっ…」
 眠り込んでいるクリティウスが微かな呻き声を上げるが、ヘルモスはそれを無視して薄い夜着の上からその細い身体を撫で回した。
 さわさわと脇腹から胸までを掌で撫でつけ、やがて胸の尖りに到達すると、それを親指の腹で捏ねるように愛撫する。
「ふっ…ぁ…、んぅっ…」
 クリティウスが突然の刺激に微かに喘いだ瞬間を見逃さず、ヘルモスは開いた唇の中に舌を押し込んだ。
 奥に引っ込んだ柔らかい舌を追いかけて無理に絡め取り、溢れる唾液毎吸い上げて夢中で口内を犯す。
「んっ…! んん…ぅ…んっ」
 口中を深く犯されて、その息苦しさにクリティウスが漸く目を覚ました。
 キスに夢中になっていた為暫く気付けなかったが、何時の間にか本気で抵抗されていた為、仕方無く唇を離し身体を起こす。
 ヘルモスに吸われていた為真っ赤になった唇で荒い息を吐きながら、クリティウスは潤んだ紫紺の瞳でヘルモスを見据えた。
「ヘル…モス…? 何だ…突然…」
 絶え絶えの息で尋ねて来るクリティウスに、ヘルモスはフッと笑ってみせる。

「今宵は満月でな…。美しい月の光を見ていたら、急にお前が欲しくなった…」
「何だそれは…。私は月では無いぞ…?」
「いや…お前は月だよ。放つ光は清らかな癖に、その光で俺を常に誘惑する魅惑の月だ」

 にやりと笑って放たれたヘルモスの台詞にクリティウスは暫くきょとんとしていたが、やがてプッと吹き出した。
 肩を奮わせクツクツと笑いながら、涙目でヘルモスを見上げる。

「臭い台詞だな、ヘルモス。いつも直情的なお前には似合わない」
「………。悪かったな…。でも今夜そういう気分なのは本当なんだぞ」
「分かっている。私を欲しいなら欲しいとそう言えばいいのだ。こんな風に求められたら私だって…欲しくてたまらなくなる…」

 紫紺の瞳に欲を滲ませ、クリティウスはヘルモスの首に両腕を掛け顔を近付けた。
 そして柔らかな唇をそのままヘルモスの唇へと押し付ける。
 次いで忍び込んできた熱い舌に再び欲を煽られ、ヘルモスは目の前の細い身体を力強く抱き締めた。
 自らの口の中に引っ張り込むほどクリティウスの舌を強く吸い、それにクリティウスがビクリと反応したのに気を良くして唇を離す。
 そしてそのまま額や頬や目元などにキスを落とし、やがて金糸の髪を掻き上げて現れた耳元に唇を寄せてボソリと囁いた。

「では言わせて貰うが…。俺は今お前が欲しいんだ…。貰っても構わないか?」

 低く囁かれたその声にブルリと身震いをし、クリティウスはコクリと頷くと自らの夜着に手を掛けた。


「あっ…、んんっ…! ふぁ…っ、はぁ…」
 夜更けの部屋にクリティウスの喘ぎ声が響く。
 ベッドの上で俯せにされたクリティウスは、上半身をシーツに付け腰だけを高く掲げる格好で、ヘルモスが施す愛撫に翻弄されていた。
 体内には既にヘルモスの指が三本も入っており、それが規則正しく時にはバラバラに動かされ、そこから生まれる熱と快感に耐えきれないとクリティウスは首を振る。
「ゃ…っ! あっ…も…もう…っ。あんっ…イキ…そ…」
 身体を震わせギュッとシーツを掴み限界を訴えると、ヘルモスがクリティウスの前立腺をまるで引っ掻くように刺激してきた。
「んぁっ…! あ…あっ…ひゃうっ!! うぁ…っ! 何…で…ヘルモス…っ!?」
 いつもの通り彼の施す愛撫に身を任せ達しようとしていたクリティウスは、ヘルモスが突然ペニスの根本を強く握って来た事で達することが出来ず、その事に驚愕して思わず後ろを返り見た。
 そこには欲に浮かされたヘルモスが荒い息をつきながらクリティウスを見詰めている。
 少しでも手の力を弛めればイッてしまいそうにパンパンに膨らんだペニスを、ヘルモスは更に力を入れて握り込んだ。
「くぅ…! い…痛…い…ヘルモ…ス…ッ!!」
 達したいのに達せられないもどかしさと、ヘルモスに施される快感と痛みに、クリティウスはシーツを掻き集めるように身悶える。
 月光が差し込む薄明るい部屋にクリティウスの白い背中が鮮やかに浮かび上がり、それがまるで何か別の生き物のようにうねる様を見ていたヘルモスは、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
 指を差し込んでいる秘所がヒクヒクと動き、まるでもっと欲しいとでも言うようにその先の行為を促している。

「クリティウス…今…どうしても…」
「ん…ふっ…。ヘル…モス…?」
「どうしても…欲しい…」
「な…に…? っぁ…!」

 突然ズルリと音を立てて、ヘルモスはクリティウスの体内に入っていた指を引き抜いた。
 指がいなくなった事により、物足りなさそうにひくつくクリティウスの後孔にヘルモスは自らの熱く滾った自身を押し当てる。
 先走りの液を馴染ませるように何度か擦りつけて、そしてそのままクリティウスの体内に入り込んだ。
「っ…!! ひっ!! あ…あぁっ!!」
 予期していない突然の痛みと圧迫感、そして驚きと恐怖感にクリティウスはまるで助けを求めるように腕を伸ばす。
 既にグシャグシャになっているシーツを掴み無意識に身体を上にずり上げてさせてしまうが、だがヘルモスは それを許さないかのようにクリティウスの細腰に腕を回し強く引き寄せた。
「あぁぁっ…!!」
 そのせいでより深くまでヘルモスを銜え込まされ、クリティウスは高く悲鳴を上げてしまう。
「っ…!」
 長い時間をかけて漸く全て収めきってしまうと、熱い息を吐き出してヘルモスはクリティウスの身体を見下ろした。
 闇夜に浮かぶ白い身体が震えている。
「すまない…クリティウス…。痛かったか…?」
 白い背中を優しく撫でながらそう尋ねると、暫くしてから微かにコクリと首が縦に動いた。
 身体の震えは止まらず、今も微かに呻き声が聞こえている。
 先程まで熱く勃ちあがっていたペニスも、今は力を無くしてしまったかのように萎えていた。
 どうしても我慢出来ずに無理に挿入してしまったが、流石に少し可哀想になってくる。
 熱く狭くヘルモスを締め付ける内部はまるで溶けてしまいそうなくらい気持ちが良くて、出来る事ならばずっと埋まっていたいと願ってしまう。
 だけど自分一人だけがそう思っていてもダメなのだ。
 何よりそんな自分を受け入れてくれるクリティウスこそが気持ち良くなってくれないと、こうして二人で繋がっている意味が無い。
 苦し気に身体を硬くしているクリティウスに、ヘルモスは気遣うように優しく話しかけた。
「いきなりで悪かったな…。お前が本当に辛いなら、もう抜くが…」
 そう言って腰を引こうとすると、クリティウスが慌てて首を横に振った。

「い…いい…っ。このまま…で…いて…」
「だがお前…、苦しいんだろう?」
「痛くても…苦しくても…いい…。だって…ずっとこうしたかったんじゃないか…っ」

 シーツを必死で掴み大きく息を吐き出してなるべく身体の力を抜こうと努力しながら、クリティウスは震える声でヘルモスに訴える。
「今も…凄く…嬉…し…い…。やっと…一緒になれ…た…」
 青冷めた横顔に嬉しそうな笑みが浮かぶのを見て、ヘルモスも覚悟を決める。
 クリティウスの覚悟と勇気を無駄にする訳にはいかなかった。
 ヘルモスはその白い背を抱き込むように前に倒れ、汗ばんだ掌を脇腹に這わせた。
 荒い息を付き呼吸音が感じられるほど上下する腹や胸を優しく撫でて、やがて胸の突起に辿り着く。
 先程、まだ眠っていたクリティウスに仕掛けた悪戯と同じように、既に硬くなっているその蕾を丁寧に指先で捏ねる。
「ぁっ…! ふぁ…んっ」
 乳首への愛撫に弱いクリティウスは、途端に力を無くしてベッドに沈み込んだ。
 へたり込みそうになる腰は片手で支えつつ、ヘルモスは胸への愛撫を続ける。
 ひくりと動く背中の筋肉に惹かれ、そこに唇を寄せ強く吸い上げてやるとピクッ…と微かに反応を返してきた。
 それに気を良くしてちゅっちゅっと音を立てながらゆっくりと上へ移動し、やがて辿り着いたうなじを強く吸い上げる。
「あっ…ん!!」
 その途端、ビクリとクリティウスが背を反らして反応し、それと同時に内部が淫らに動いてヘルモスのペニスを締め上げた。
 明らかな反応にヘルモスは胸を愛撫していた手をクリティウスの股間に移動させる。
 そっとペニスを探ると、無理な挿入のショックで萎えてしまっていたそれが再び熱を持って勃ち上がっているのが確認出来た。
「クリティウス…、気持ちいい…のか?」
 小さく尋ねると、クリティウスはコクコクと夢中で首を縦に振る。
 クリティウスが漸く快感を感じ始めてくれた事に安堵し、ヘルモスはその細腰を両手でしっかりと支えた。
「それじゃ…動くから…。そのまま力抜いててくれ」
 ヘルモスの言葉に、クリティウスはただ黙って、そしてしっかりと頷いて答えた。


 月の光が見守るベッドの上で、二つの影が一つになっていた。
 部屋にはベッドの軋む音と肉のぶつかる音に粘着質な水音、そして荒い吐息とクリティウスの喘ぎ声だけが響いている。
「はっ…ん!! あぁっ…ひぅっ! やっ…んぁ…っ!」
 火傷しそうな程の熱の塊が何度も身体の奥を突いて来て、その感覚にクリティウスは夢中になっていた。
 最初はただ闇雲に出し入れしているだけだったそれが、やがて自分が感じるポイントを的確に突いてくるようになり、今は襲い来る強烈な快感に翻弄されている。
 ヘルモスに突かれる度に身体の奥がジンッ…と痺れ、熱が逆流する。
 目の奥がチカチカと光り出し、クリティウスは己の限界が近い事を悟った。

「ヘ…ヘル…モス…ッ! も…う…ダメェ…ッ」
「クリティウス…? イキそう…?」
「あっ…う…っ。イ…キそ…。もう…無理…っ!」

 目の奥の光はもう既に脳髄にまで届き、そこで一気にスパークした。

「ふぁっ…! あ…あっ…あぁっ!! あぁぁっ―――――!!」

 背を大きく仰け反らせて達してしまう。
 目の前が真っ白になり、ただただ身体の欲求に従って熱を放出した。
 ビクビクと身体を痙攣させながら何度かにわたって精液を吐き出し、そしてその度に体内のペニスをギュッと締め付けてしまう。
 それに「くっ…!」と苦し気な息を吐きながら、ヘルモスもクリティウスの体内に熱い精を叩き付けるかのように射精した。
 お互いに気が狂いそうな程の絶頂から解放されて、共に力を無くしベッドに倒れ込む。
 未だ息荒くピクピクと小さく痙攣しているクリティウスの身体を抱き寄せ、ヘルモスは満足気に大きく息を吐く。
 汗に濡れた金糸の髪を掻き上げ、こめかみにそっと口付けた。
「大丈夫か…? クリティウス…」
 心配して問いかけると、濡れた紫紺の瞳がちらりとヘルモスを見遣って、やがて静かに頷いた。
 未だクリティウスの体内に入ったままだった自身をズルリと抜き去ると、眉根を寄せて「んっ…」と軽く呻く。
 その様がまた美しいと感じ、ヘルモスはクリティウスを強く抱き締めた。

「クリティウス…。やっと…一緒になれたな…」
「そう…だな…」
「身体、大丈夫か…?」
「あぁ…。思ったよりも平気みたいだ…」
「そうか。良かった…」

 ヘルモスは心底安心して安堵の溜息をついた。
 その溜息にクリティウスも微笑んで、気怠い腕をヘルモスの身体に回し擦り寄っていく。

「なぁ…ヘルモス…」
「ん?」
「ありがとう…」
「ははっ…! それは俺が言うべき事だよ。ありがとうな、クリティウス…。俺を受け入れてくれて」

 ヘルモスの言葉にクスリと笑い、クリティウスは幸せな気分で口を開いた。

「ヘルモス…。マスター達にお知らせしないとな。ちゃんと上手くいきましたよって」
「そうだな。また夢を利用して会いに行くか?」
「ふふっ…。いい加減にしつこいと叱られたりしてな」
「ありえそうだ」

 二人で顔を見合わせて、幸せそうに笑い合った。
 それから数日後、二人は夢を使って現実世界のマスター達に報告をしに行った。
 前回のしつこさ故にまた叱られるのでは無いかと戦々恐々としていたヘルモスとクリティウスであったが、彼等の二人のマスターは報告を聞くと顔を綻ばせた。
 そして怒るどころか、まるで自分の事のように喜んでくれたという。
 そんな二人のマスターの反応を見て心から感謝した精霊達は、改めて互いのマスターに忠誠を誓ったのであった。

崩れる?

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本日二礼のPCで自分のサイトを確認したところ、何だか時々妙に崩れる現象が起きています。
相棒のPCでは確認出来なかったので、これが起きるのは二礼だけかもしれませんが、もし画面表示が崩れた方がいらっしゃったら一度リロードを試してみて下さい。
ていうか、何故急にこんな事が…;
リロードすれば正しい位置に戻るものの、原因が分からないので手が付けられない状態です。
気になった方がいらっしゃったらゴメンナサイ!!

スパコミ一日目

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気合いで熱を下げ無事スパコミ一日目を堪能してきた二礼です、こんばんは。

妙に暑かったけど、いい買い物一杯してきました(^o^)ホクホク
憧れのサイトの管理人さんとも少しお話しちゃったりして、実に良い日でした~!
熱下がって良かったぁ~!! ホントに良かったぁ~!!
た だ し、本命は明日ですよ、明日!!
素敵な社長受け本、一杯買いますよ~ヽ(´∀`)ノヤッホーイ!!

実は二礼にとって、熱は大敵なんですよ。
『甲状腺機能低下症』という何だか凄く厄介な持病を持っている二礼は、ばい菌やウィルスに対して凄く弱いんです。
普通の人だったら大した苦労もなく退治してくれるであろう兵隊さん達が、二礼の場合は余り働いてくれません。
つか、悪いのは兵隊じゃ無くて、司令官(甲状腺)なんだけどねw
司令官が怠けている為に、兵隊も出陣したくても出来ない状態なのです。
このぐうたら司令官のせいで、健康な人が2~3日で完治するような風邪も、二礼の場合は完治までに一週間以上かかったりするんです。
なので、今回熱出した時には、かなりビビっておりました…w
スパコミが目前に迫っているのに一週間も寝てられるかyp!!…とw
結果的に無事熱は下がりまして、元気バリバリでスパコミを楽しむことが出来ました(´∀`)
気合いってすげーな…w

スパコミと言えば、昨夜からニ/コ/ニ/コ/動/画のランキング上位に入っている『バ/行/の/腐/女/子』の替え歌…。
アレ凄いですねぇ…w
彼女達の替え歌は以前から大ファンでよく聴いていたんですが、スパコミ前にUPするのは流石だと思いましたwww
「あるあるw」ネタが多過ぎて、笑うに笑えないwww
それにしても歌詞も歌も上手過ぎです!
私もアレくらい歌が上手になりたいわぁ…(´・∀・`)
(カラオケ大好きなんだけど、音痴なんだよね…w)

長編『奇跡の証明』の第七話をUPしました。
個人的に、この回の克也さんはお気に入りです。
皇帝としての威厳や威圧感とか、瀬人に対する思いやりとか、思った以上に表現出来たと思っています。
思っているだけですが…w
あぁそうそう。ついに医者が登場しましたけどね。
今後出てくるであろう医学的知識とか診察の内容だとかは、完全に二礼の妄想の産物なので、そこんとこ宜しくです(´∀`;
(本気にしないでおくれ~!)


以下は拍手レスでございまする。


>海鈴様

拍手とお返事、どうもありがとうございます!

『素質』の海馬のドMっぷりを気に入って頂けたようで良かったですw
でもいいんですか…?
『素質』の海馬は本気で変態ですよ…?w
自分でも書いてて海馬のド変態っぷりに辟易する事があるくらいですw
いくらS気質があるとはいえ、城之内君が可哀想かもしれませんねぇ…(´∀`;
反省は全くしていませんがwww フヒヒwww

それでは今日はこれで失礼致します。
リクエストの方は海鈴様のサイトからしたいと思っています(*'-')
(まだ考え中ですが…w)
ではまた~(・∀・)ノシ


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました(*'-')

『奇跡の証明』の感想なのですが…。
初夜はお預けなんです、ごめんなさい!(´∀`;
昔から二礼は天の邪鬼で焦らすのが凄く好きなので、長編小説ではキャラクター達を簡単に結ばせない傾向にあるんですよねぇ…。
ワンパターンだとは常々感じているのでたまーに違う展開を書いたりしますが、Rosebank様が仰る通りこれは『証明』シリーズの内の一つなので、似たような展開でもいいかなぁ…と自分なりに納得してやってみる事にしました。
まぁこれもいつものパターンなのですが、悲しい結果にだけはならないと思います(´∀`)
ていうか多分、悲しい結末の話を書けないんですよね…。
妙に登場人物に感情移入してしまう部分があったりするのでw
前のジャンルでは初期の頃に良くそういうの書いていましたが、後期になると全く書かなくなりました。
多分無理だったんでしょうねぇ…、悲哀系がw
という訳で、ハッピーエンド目指して頑張りまっす!!

あとは側室についてですが。
側室の件に関しては、多分瀬人も克也も色々と考えているところがあるようです。
二人がどう考えているのかは、今後出てくるかと思いますので、それを待っていて下さい(*'-')

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第七話

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 窓の外が明るくなり小鳥の声が騒がしく聞こえ始める頃、瀬人は寝台からそっと起き上がった。
 前日の疲れは抜けきって無かったが、一晩中悩んでいたせいもあり余りよく眠れぬまま朝を迎えてしまった。
 取りあえず水浴びをしてさっぱりしたいと思い、夜着を脱ぎ捨て、瀬人は部屋付けの浴室に足を進める。
 本当だったら湯を使いたいところだったが、こんな早朝に女官達を起こして湯を沸かして貰うのは気が引けた。
 浴槽に貯められていた水を桶に汲み、頭から思いっきり被る。
 冷たい水だったが、お陰で頭の中がすっきりとしてきた。
 何度も何度も水を被っていると、突如部屋の扉が開き誰かが急ぎ足で入ってくる気配がした。

「瀬人様! 何をしていらっしゃるのですか!!」
「マナ…?」

 手に身体を拭う為の布を持ったまま浴室内に入ると、マナはそのまま瀬人に駆け寄り布地を瀬人の身体に巻き付けた。
「こんな早朝に水浴びなど…! お身体が冷えてしまわれます。早く上がられて下さい」
 マナに連れられて部屋に戻ると、丁度他の女官が暖炉に火を入れている所だった。
 女官は瀬人とマナの姿を見ると一礼をし、部屋から出て行った。
「瀬人様…。どうしてこの様な事をなさったのですか…」
 瀬人を暖炉の前まで連れてきて、心配そうに訪ねるマナに瀬人は瞳を伏せた。
 水浴びのお陰で頭の中はすっきりしたが、浴びた水が予想以上に冷たくて、身体は寒さでカタカタと震えてしまっている。

「汗をかいたので…さっぱりしたかったのだ」
「それならば直ぐに私どもを呼んで下されば良かったのです。直ぐにお湯を用意致しましたものを…」
「こんな早朝だったから起こすのはどうかと思ってな…」
「瀬人様…。お気遣いは嬉しいですけれど、それでは何の為の女官か分かりません。今度からは直ぐにお呼び下さいませ」

 乾いた布で瀬人の髪の毛を拭きながら、マナは心底心配そうに瀬人に語りかける。

「初日からこんな事をしでかすようでは先が思いやられますね。殿下…じゃなくて陛下も先程から心配なさっておりましたよ」
「克也が…? 何故克也がこの事を…?」
「瀬人様の部屋から聞こえる水音に最初に気付いたのは皇帝陛下でございます。慌てて隣室に控えておりました私の所まで知らせに参られたのですよ」

 マナからの言葉を、瀬人はどこか信じられない思いで聞いていた。
 瀬人に全く興味が無い筈の克也が、何故そんなにも自分を気に掛けているのかが理解出来なかったのだ。


 暖炉の火で身体の水気をすっかり乾かしてしまうと、マナや他数人の女官によって高貴な衣装に着替えさせられた。
 上等な絹の衣装に身を包み、髪を梳かして貰い、薄く化粧を施して貰って部屋から出る。
 すると、そこにはもう皇帝としての衣装に身を包み、椅子に座って優雅にお茶を飲んでいる克也の姿があった。
「おはよう、瀬人。朝から大変な騒ぎだったな」
 満面の笑顔を浮かべ茶化すようにそう言われて、瀬人は思わずむくれてそっぽを向いてしまう。
 その動作に苦笑すると、克也は「朝食にしよう」と椅子から立ち上がった。
「食事は食堂で食べるか? それともここに運ばせた方が良いか?」
 克也の提案に瀬人は少し考えて、「ここで静かに食べたい」と小さく漏らす。それに克也は頷いて、側の女官に指示を出していた。


 部屋に備え付けられているテーブルの上に、豪華な朝食が並ぶ。
 柔らかいパンが入ったパン籠に火を通した肉や魚が並び、野菜や果物の盛り合わせの皿もいくつも置かれていた。
 質素な食事に慣れていた瀬人は朝からそんなに大量に食べる気にならず、パンとスープ、それにヨーグルトと果物に少し手を付けただけで食事を終えてしまう。
 それを見て克也が眉を顰める。
「お前、それだけしか食べないのか? 身体が持たないぞ?」
 心配そうに訪ねる克也に「余計なお世話だ」と辛口で返すと、克也はまた苦笑しただけでそれ以上は何も言わなかった。
 食後のお茶を飲みながら、瀬人は密かに心の中で自分の気持ちを切り替える事を決意した。
 普通の女性のように『妻』としては愛されないかもしれない。
 だけど克也が浮かべる微笑みは本物で、幼馴染みとして好いてくれているのは間違い無かった。
 例えそれが『友情』に過ぎなくても、克也が自分を心から心配してくれて白龍国から連れ出してくれたのは紛れもない事実。
 どうせこの国には側室制度があるのだ。自分に跡継ぎが産めない以上、克也はその内側室を娶ってその女性を愛する事になるだろう。
 愛は貰えなくても幼馴染みとして心を通わせて、常に側に居て皇帝である克也を支える事は出来る。
 だからもう、それでいいと思ったのだ。

「ところで瀬人、昨日会わせたいと言っていた人物なんだけど」

 瀬人と同じように食後のお茶を飲んでいた克也が、急に思い出したかのように話し始めた。

「このお茶を飲み終わったら謁見の間で会わせてあげよう。どうやら向こうはもう来ているらしいからな。相変わらず気の早い女だぜ…」
「女…? 女性なのか…?」
「あぁ。お前の主治医になる女だよ」

 突然『主治医』など言われて、瀬人は一瞬きょとんとしてしまう。
 確かに奇跡の子である自分は通常の人間より身体が弱いが、それも大人になって大分マシになってきた。医者にかかることもめっきり少なくなっていたので、医者と言われても実感が湧かなかったのだ。
 ただ皇族のような高貴な人間には専属の主治医がつくという話しも聞いたことがあったので、どうせそのようなものだろうと納得する事にする。


 お茶を飲み終わりもう一度衣装を整えて貰って、二人は揃って謁見の間に赴く。
 廊下に控えていた兵士が謁見の間前方の扉を開き、そこから中に入って玉座に向かうと、昨夜は一つしか置かれて無かった玉座の脇に皇后用の椅子が新たに用意されているのが見えた。
 戸惑うように克也を見ると、克也は視線で「そこに座れ」と指示して、自分はさっさと玉座に腰を下ろしてしまう。
 指示に従って隣の席に座り周りを見渡す。
 何故か兵士が一人もおらず、目の前には既に一人の若い女性が居て膝を付いて頭を垂れていた。

「久しぶりだなアイシス。こんな朝早くからご苦労様」
「皇帝陛下もこんな朝早くだというのにご機嫌麗しくあられるようで何よりです。新しい皇后陛下に早くお会いしたかったので、ついこんな時間に来てしまいました」

 随分と和やかに話し始めた二人に瀬人はついて行けずポカンとしてしまう。
 驚きの表情を隠せない瀬人に対して、横から克也が嬉しそうに話す。
「アイシスはオレの幼馴染みなんだ。彼女の父親が前皇帝の主治医でな、昔から良く一緒に遊んだりしてたんだ。オレより少し年上なだけなのに今じゃすっかり有名な医者になっててさ。天才って本当にいるもんなんだなぁ…」
 克也の言葉に瀬人は驚きを隠せなかった。
 目の前にいる女性はまだうら若く、どう見てもそんな高名な医者には見えなかったのだ。
 何も言えずじっと自分を見詰める瀬人に、アイシスはにっこり笑いかけ再び頭を下げる。

「初めまして皇后陛下。今日から陛下の主治医となりましたアイシスと申します。以前は内科と産婦人科の医師をしておりましたが、今は『奇跡の子』の専門医をさせて頂いております。今日は皇后陛下のお身体をお調べする為に参りました」

 その言葉を聞いた途端、瀬人はガタンッと音を立てて椅子から立ち上がった。
 そして隣で何食わぬ顔をして座っている克也に怒鳴りつける。

「奇跡の子の専門医だと…っ!? 一体どういうつもりだ!!」
「落ち着け瀬人。いいから座れ」
「今更オレの身体など調べてどうするつもりだ!? 研究材料にでもする気か!!」
「そんな事しねぇよ…。いいから座れって」
「克也…っ! オレは御免だぞ、そんな…っ」
「座れ!!」

 厳しい声での一喝が謁見の間に響き渡る。
 その声に本能的な恐怖を感じて、瀬人は震える身体で再び椅子に腰を下ろした。
「皇后陛下…」
 すっかり青冷めてしまった瀬人を気遣うように、アイシスが優しく語りかける。
「我々黒龍国の奇跡の子の専門医は、決してそのお身体を研究材料にする為に悪戯に調べるような事は致しません。信じて下さいませ」
 信じろと簡単に言われても、瀬人にはそれを信じる事など出来なかった。
 今から九年前、自分が白龍国法皇になったばかりの頃。白龍国の医師達の手によって何時間も拘束され、身体の隅々まで調べられた事があったのだ。
 一日では終わらず、その後何日にも渡って興味本位で診察という名の辱めを受けた。
 流石に法の国である為に、性的な目的で触られたり身体の中にまでその手が伸びる事は無かったが、その時の恐怖と嫌悪は瀬人の心の傷になってしまっている。
「皇后陛下、どうかご安心なさって下さい…」
 いつの間に近くに寄っていたのか、足下に跪いたアイシスが瀬人の震える手を優しく包み込んでいた。

「皇帝陛下は皇后陛下のお身体が未熟なのをご心配なさって、このままでは身を繋げる事が出来ないと思ってらっしゃるだけなのです」
「………? なん…だと…?」

 慌てて隣の席を見ると先程までの威厳はどこにいったのか、顔を真っ赤にして他所を向いている克也の姿があった。
「克也…」
 思わず呟くと、克也がそれに合わせたかのようにゴホンとわざとらしく咳払いをする。
「とにかく…。今日はこのままアイシスの診察を受けて、これからも月に一回診察を受け続けるように。これは命令だ、瀬人。質問は受け付けない。以上だ」
 照れ臭そうに早口でそう言い切ってしまうと、克也は玉座から立ち上がり謁見の間を出て行ってしまった。
 瀬人は克也を誤解していた事に気付いた。
 昨夜の行動でてっきり自分の身体には興味が無いものだとばかり思っていたが、そうではなく、少なくても夫婦として身を繋げたいと克也が思っていた事を知る事が出来た。
 寝室を別にしたのは、多分診断が下るまでは自分に手を出さない為の克也なりの苦肉の策であろう。
「かつ…や…」
 扉の向こうに消えていく背を見送って、瀬人は嬉しさの余り自らの身を強く抱き締めた。

マグカップ...(´;ω;`)

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漸く気候が安定してきたというのに妙に具合が悪い二礼です、こんばんは。

風邪…ひいたか…?
いやいやいや、スパコミ前にそれはあり得ないでしょ!!
気合いだ!! 
こんなものは気合いで何とかなる!!
今日は…早く寝よう…orz

そう言えば昨日ですね、誕生日のお祝いに相棒に食事に連れて行って貰ったんですよ。
んで、帰りにアキバの有隣堂に寄ったら、何と遊戯王フェアをやっているのを発見!!
うひょ~♪ ラッキ~♪ と喜び勇んで、とりあえず社長キーホルダーを二個購入。
ついでに社長マグカップにも手を伸ばしたら、相棒に止められました…。

相棒「マグカップなんて買ってどうするの! 使わないでしょ!」
二礼「そりゃ使わないけど…」
相棒「使わないものは買わない!」
二礼「え~…; でも…飾るだけでもいいじゃん…」
相棒「飾ってどうすんの。大体また棚の上とかに飾って落として割るんでしょ?」
二礼「うっ…!」
相棒「社 長 を 割 っ て も い い の か い ?」

良く無いです…;
ということで泣く泣くマグカップは諦めました…orz
あぁ…でも欲しかったなぁ…。ちぇ~(´・3・`)

長編『奇跡の証明』の第六話をUP&考察ページに用語を追加しました。
とりあえずファンタジーだという事を利用して、儀式に関しては好き勝手にやってみました。
ちょっとはファンタジーっぽくなってるかな?
そして…、結婚したからといって何でもかんでも上手くいくとは限らないんだZE!! という事で試練を一つ用意してみました。
………いや、普通は上手くいくと思います。
二礼が天の邪鬼なだけです…w
ごめんなさい\(^o^)/←反省ゼロ。


以下は拍手のお返事になります。


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!

Rosebank様の推理は、本当にいつも楽しく読ませて貰っています(´∀`)
あ、でもバクラの推理に関しては今は何も申しません…w(´m`)フフフ…
ちなみに二礼はヴィジュアル的には盗賊王の方じゃ無くて、ウサ耳の方をイメージして書いてあります。
ウサ耳バクラは何か陰鬱な感じがして、地下のイメージによく合うような気がするんです。
地下ということで最初はマリクでもいいかな~と思っていたんですけど、最終的にバクラにやって貰う事にしました。
パロディはこうしたキャスティングも楽しみの内の一つなんですよね~。
書いてて凄く楽しいですw

あと考察のページをちゃんと読んでて下さっていらっしゃるみたいで、私もアレをUPした甲斐がありました。
ありがとうございます(´∀`)
元は自分用のメモに過ぎなかったんですけど、やっぱり読んで下さる方が途中で訳分かんなくなった時の手助けになればいいなと思って上げてみたのです。
役に立っているようで嬉しいです。

それと…エロの事ですね…。
「二次創作でこれだけ詳細にエロ小説を書ける方は少ないと思います」なんて…w
いやいやいや、もっと素晴らしいエロを書いてらっしゃる方は一杯いますからw
いやもう何ていうか、ド変態で申し訳ないです(´∀`;;;
『尿道プレイ』も少し考えたんですけど、流石にちょっと止めときました。
だってそれやっちゃうと*マークが三つになりそうな勢いだったもので…(´_ゝ`;
エロでも基本的に表に上げて、裏ページは作らないっていうのが二礼のスタンスの一つなので、あんまりエロ過ぎるのもどうかな~? と思っているのです。
まぁ…充分裏レベルな話も書いていますけどね…www

それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ

第六話

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 呆然と事の成り行きを見届けることしか出来ない瀬人の前で、克也はバクラの用意した籠の中に脱いだ服をポイポイと入れてしまっていた。
 思わず一歩後ろに下がると、背後で控えていたマナにぶつかってしまう。
「いけません瀬人様。儀式はちゃんとなさって頂かなくては…」
 マナの言葉に瀬人はフルフルと首を横に振った。

「む…無理だ…。全裸なんて…っ! だって他の人間もいるというのに…っ!」
「陛下は瀬人様の旦那様で、私は瀬人様付きの女官に過ぎません。守り人は皇族の儀式を見守るのが務めなので、そこは我慢して下さいませ」
「いや…だって…オレの身体は…」
「瀬人様のお身体の事に付きましては、私もバクラも既に存じ上げております。とにかくお早くなさいませんと。殿…陛下はもう脱いでしまわれましたよ?」

 マナの言葉に思わず後ろを振り向くと、そこには全ての衣を取ってしまった克也の姿があった。
 後ろ向きであったが、その男らしい直線的な身体のラインやほどよく付いた筋肉などを直視してしまい、瀬人は慌てて視線を外した。
 まるで、昔美術の講習で見た時の彫像のようだと思ってしまう。
 自分自身の身体が中途半端な為、こんな間近で完成された男性の裸体など見たことは無かったのだ。
 戸惑っている内に「瀬人様」ともう一度マナに呼びかけられ、瀬人は仕方無く自らの衣装に手を掛けた。
 慣れない衣装を手間取りつつ全て脱いで現れた肉体に、目の前のマナが小さく息を飲む。
 その身体は余りに中途半端だった。
 上半身にあるのはまるで少女のような微かに膨らんだだけの乳房、そして下半身に付いているのはまるで少年のような小さな陰茎。身体のラインは男性の直線的なものでも無く、女性特有の曲線でも無い。
 身体全体が既に大人として成長している為、その小さな乳房や陰茎の付いた身体付きは実にアンバランスな印象を受けた。
 克也もその身体をじっと見ていたようだったが、顔色一つ変えず瀬人に手を差し出す。
「こっちへおいで、瀬人。今から一緒に泉を渡るから」
 緊張と羞恥で震える手を差し出して、その熱い手を握りしめた。


 克也と共に冷たい泉の中に入っていく。泉は結構深く、水は腰の上まであった。
「今からあの小島に渡って、あの黒水晶に名前を書く」
 克也の言葉を瀬人は黙って聞いている。
「名前を書くと言っても、ペンで書いたり表面を削ったりする訳じゃないぞ? あの黒水晶の尖った部分で指先を切って、その血文字で自分の名前を書くんだ。少し痛いだろうけど、すぐに傷口は塞がるから我慢してくれよな?」
 返事は何も返って来なかったが、水の中で繋いでいた手が強く握りかえされたのを感じて克也は安心する。

「こういう通常の儀式の他にもさ、『願いの儀』ってのがあるんだ。皇族の身の安全や国の行く末とか、そういう重要な願いに関してだけ出来る儀式なんだけどな。オレは余りオススメ出来ない。だって、一度儀式をやり始めたら願いが叶うまで何があっても毎日やんなきゃなんないんだぜ。一度でも止めてしまうとその願いは永久に叶わないんだとさ。無事願いが叶えば『感謝の儀』として最後にもう一度名前を書けば終了らしいけど、なるべくならやりたくないよなー」

 緊張して黙りこくってしまった瀬人を気遣って、克也はなるべく明るい声で話しかける。

「現にこの願いの儀は三百年前の皇后が試して成功させたきり、それ以来誰一人として成功させた奴がいないんだ。皆途中で諦めてしまって、祈りを止めてしまうんだってさ。それだけ大変な儀式だから別に気にしなくてもいいけど、まぁ、これからこの国で生きていくんだったら知識として覚えている程度でいいと思うぜ」

 ザバザバと水を掻き分けてやがて小島までやってくると、小さな石段を上がり小島に上陸する。
 柔らかな芝生の上に白い足を踏み出し、はぁ…と一つ大きく息を吐き出すと。瀬人は再び黒水晶を見上げてみた。
 見れば見るほど巨大な水晶だと感心する。
 黒く輝くその表面をじっくりと眺めていて、何か不自然な事に気付いてしまった。
 克也やマナの話しによればこの儀式は黒龍国創世記から脈々と続いているはずなのだ。それなのにその水晶の表面には名前一つ見つけ出すことが出来ない。
 何百年前、何十年間の名前ならまだ知らず、ついこの間『皇帝即位の儀』や『成人の儀』をやった克也の名前さえ見あたらない。

「克也…。書かれた名前が見あたらないんだが…」
「ん? あぁ。やってみればすぐに分かるよ」

 そう言うと克也は直ぐに水晶の角で人差し指の先を切ると、流れ出た血で『結婚の儀』という文字とその下に自分の名前を書き込んだ。
 同じようにやってと言われ、瀬人も指先を軽く切ると、その血で自分の名前を書き込む。
 二人の名前が並んで書き込まれた瞬間、その血文字はまるで黒水晶に飲み込まれるかのようにスーッと消えていった。それと同時に指の傷も消えていく。

「文字が…消えた…? それに傷も…」
「そう。こうやって文字が消えていく為に名前が残らない。何故かは知らないが名前が取り込まれれば傷も消える」

 克也の説明に瀬人はもう一度自分の指先を眺める。
 通常あれほど深く切った傷ならば、何日も傷口が塞がらず痛みも残るはずなのだ。それなのに今自分の指先には、まるで何の跡も残っていない。
「さて、儀式は終了だ。帰ろう瀬人」
 驚きの表情を隠せない瀬人に優しく微笑むと、克也は再びその手を取り泉へと向かう。
 そして向こうに顔を向けたままボソリと小さく囁いた。

「これで…お前はオレの妻なんだからな」

 聞こえるか聞こえないか微妙なほどのその小さな呟きは、だけど瀬人にはしっかり届いていた。


 儀式を終え皇宮に戻って来た瀬人は、マナにこれから夫婦で過ごす部屋に連れて来られ、新たに湯浴みをし夜着に着替えて克也を待っていた。
 夫婦として初めての夜を共に過ごすという事はどういう事か、瀬人にはそれが良く分かっていた。
 果たしてこの中途半端な身体で克也を満足させられるのか…と、そればかりが気になってしまう。
 だがそれと同時に期待も大きかった。
 克也と結婚した事により昔抱いた小さな恋心が再び芽を出し、克也に抱かれる事を嬉しいと思う自分がいる事に気付く。
 今瀬人の心は、不安と期待と緊張とで一杯になってしまっていた。
 窓際の椅子に座り手をギュッと強く握って襲い来るあらゆる感情と戦っていると、突如部屋の扉が開いてすっかり寛いだ格好の克也が入って来た。
 その姿に瀬人は慌てて膝を付き臣下の礼を取る。
 それを見て克也がまたクスリと笑った気配がした。
「瀬人、お前も頑固だな。いいから立ちなさい」
 克也が瀬人の腕を取って立ち上がらせる。
 目の前に立った克也の顔を、瀬人は改めてまじまじと見詰めた。
 精悍なその顔は見れば見るほど男らしく成長したと感じさせる。二年前に白龍国から帰って行った時の、まだ幼さの残った顔とは比べものにならなかった。
 克也の琥珀色の瞳がスッと細められて、その男らしい大きな手が瀬人の白い頬を包み込んだ。
「…っ」
 恥ずかしさに耐えきれなくて思わず眼を瞑ると、その唇に触れるだけのキスが振ってくる。
 だが克也が瀬人に施したのは、それだけだった。
「瀬人、これを」
 身を固くしている瀬人に安心させるように呼びかけ、克也は服の内側から何かを取り出す。
 それは銀色に輝く一つの鍵だった。

「これは…?」
「これはお前の寝室の鍵だ。この部屋を挟んで東がオレの寝室。そして反対側の西の部屋がお前の寝室だ。合い鍵は専属女官のマナしか持っていないし、内側から鍵が掛けられるようになっているから安心して眠るといい」
「え…?」

 瀬人には克也が何を言っているか分からなかった。
 先程『結婚の儀』を執り行なったからもう二人は夫婦の筈だ。それなのにこの結婚初夜に、目の前の男は夫婦の寝室を別にしようと言っているのだ。
「克也…? 寝室は一緒では…無いのか…?」
 恐る恐るそう訪ねると、克也は少し複雑そうな顔で笑うばかりで答えを返さない。
 それどころか西の寝室に瀬人を案内すると、自らその扉を閉めようとしていた。

「今日は長旅の末に色々あったし疲れただろう? ゆっくりお休み。明日は会わせたい人物がいるからそのつもりで…」

 それだけ言ってパタリと扉を閉めてしまった。


 瀬人の頭は混乱してしまっていた。
 自ら望んで瀬人を正妃にした癖に、克也はまるで瀬人に興味が無いように振る舞われたのだ。
 確かに幼馴染みとして奇跡の子である自分を心配してくれて、あの冷たい国から救い出してはくれたんだろう。
 だけど夫婦というのは友情の延長線上にある訳では無い。
 少なくても、克也に対しての小さな恋を思い出した瀬人は、先程の克也の態度にショックを受けていた。
 それと同時に、あの誓いの泉で自分の裸体をじっと見詰めていた克也の姿を思い出す。
 きっとあの時に自分の身体を改めて見て、その気持ち悪さに絶望したのだろう。何だかんだ言っていたって、結局克也もあの白龍国の大臣や神官達と一緒なのだ。中途半端な身体をした奇跡の子など、気持ち悪くて抱く気にはならないのだ。


 言われた通りに扉に鍵を掛け、天蓋付きの寝台に潜り込んで掛布を頭から被り身体を丸める。
 瀬人は余りの寂しさと悲しみに、白龍国を出てから初めて涙を流した。