先日の日曜日に桜を見ようと、近くの川沿いを相棒と一緒に自転車で走ったんですけどね。
まーだ全然咲いてませんでしたね~。
今年は開花してから寒い日が続いたから、桜が長持ちしそうですよね。
いつもあっという間に咲いてあっという間に散ってしまうので、ちょっと楽しみです。
ちなみにその川沿いでですね、桜も咲いてないのに何か『桜祭り』みたいなのやってたんですよ。
自治会の屋台なんかも出て楽しそうな雰囲気だったので見学に行ったら、そこに『触れ合い動物園』みたいなのやってたんですよね。
結構動物好きなんで思わず見に行ったら、何とそこにカピバラがいました…。
カピバラとはアレです。世界最大のネズミです。
TVや本で見たことはあっても、生で見たのは初めてだったので滅茶苦茶驚きましたw
しかも動物園みたいに巨大な檻じゃなくて、何か犬を入れておくみたいな小さな囲いだったので、カピバラまで僅か50㎝の距離でじっくりと眺める事が出来ましたw
大きさを例えるならば、ラブラドールサイズの成犬と同じ位かな。
毛質が結構硬そうでしたね~。
流石に触れはしなかったんですけど、アレ刺さったら痛いんじゃないかな~?w
ちなみにスピスピいいながら寝てましたw 超可愛いw
長編『真実の証明』の『落涙』をUPしました。
海馬の涙は悔し涙です。
自分の身を自分で守れない悔しさ、守りたい相手を守れない悔しさ、状況を変えたくても変えられない悔しさ。
男であった時分それら全てを自らの力で出来ていた為、今はもどかしくて仕方無いんでしょうねぇ…。
でもね、守られる幸せというのもあるんだよ(´∀`)
本人にその気は全く無さそうですけどw
以下は拍手のお返事です~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
アクションシーンに全く自信が無かったんですけど、どうにか書きたかった事が伝わっていたようで安心しましたw
やっぱりこういう風に感想を頂けると、それが自分の糧となっていくんだなぁ~と心から感じました。
自分勝手に書き綴るのが一番楽なんでしょうけど、やはり良いところはより伸ばして、悪いところはなるべく修正していきたいと思っているので、コメントは非常にありがたいと思っています(´∀`)
Rosebank様のコメントを見るとやっぱりちょっと女体化は苦手なのかな? と感じちゃうんですけど、それでも「最後まで見守りたいと思います」と言って下さって勇気が出ました。
ありがとうございます!
これでまた頑張れそうです(*´∀`*)
話は変わりますが、ニ/コ/ニ/コ/動/画の『東/方/K/C/館』は私も見ました!
ていうかネタが詰まり過ぎでツッコミが追いつかなくて、思わず何度も見てしまいますw
うp主のブログを見に行ったのですが、何とまだ15歳の男性だとか…っ!!
嘘か本当か分かりませんが、もし本当だったら将来有望な気がプンプンしますw
(うp主が以前作ったMADも好きでよく見てたんですけど、株ネタとかもあって、とてもじゃないけどそんな年齢だとは思っていませんでした…w)
全てが笑いどころですが、特に最後の方の「Meなの!」が可愛くて仕方ありません(*´д`*)
ネタ満載なのに可愛い社長…。
やっぱり素敵です…w
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
2009年3月アーカイブ
気付いたら病院のベッドの上だった。
一瞬どこにいるのか理解出来なくてキョロキョロ周りを見渡したら、ベッド脇に泣き腫らした顔で海馬が座っているのが見えた。
「城之内…、目が覚めたか…?」
「海馬…? ここどこ…?」
「童実野病院の特別個室だ」
「個室って…? えぇっ!? オレ個室使うような金持ってねーよ!」
「安心しろ。この病院は我が海馬コーポレーションがバックについてるから、金の事は心配しなくていい」
慌てて起き上がろうとするけど、海馬に「もう少し寝てろ」と言われベッドに戻る。
そして改めて横にいる海馬の顔を見ると、本当に酷い顔をしていた。
泣き過ぎた為か目元は赤く瞼は腫れて、その顔色は真っ青だった。
顔も身体も砂と埃にまみれて酷く汚れている。
「大丈夫か? お前…」
思わずそう声をかけると、「何が?」と海馬が憮然とした表情をして答えた。
「何がって…。何か倒れそうに見えるから心配したんだけど」
「心配するなら自分の身体の事を心配しろ」
「あ、そっか。そういやオレの足どうなったの?」
「骨に異常は無い。ただ酷く捻ってしまっているらしいから、一週間は入院して安静が必要だそうだ」
「一週間か…。うっ…入院費どうしよう…」
「安心しろ。お前はオレのせいで怪我したんだから、治療費くらいは払ってやる」
海馬の言葉に「そっかー。そりゃ安心だ」なんて軽く言っていたら、突然目の前の顔が歪んでボロボロと涙を流し始めた。
オレはそれに驚いて思わず起き上がってしまう。
「すまない…城之内…。オレのせいでこんな…」
しゃっくり上げながらそんな事を言う海馬の頭を、オレはそっと優しく撫でた。
「オレが怪我したのはお前のせいじゃない。お前を危険な目に遭わせてる奴らがいけないんだ。だから海馬がそんな風に気に病む事はないんだぜ?」
「違う…っ! オレが…弱いから…っ」
オレの言葉に海馬はまたフルフルと首を横に振る。
その姿を見て「しょーがねーヤツ」と笑いながら、オレは起き上がってその細い身体を抱き寄せた。
海馬は両手を顔に当てて身体を震わせて静かに泣いている。何とかその涙を止めてやりたくて何度も背中を撫でてやった。
以前のコイツは例え自分のせいで誰かが怪我をしたとしても、こんな風に責任を感じて泣いたりなどしなかった。
やはり女に戻った事で感情面が特に影響を受けているらしい。
弱々しい海馬なんて見たくないけど、これは弱いから泣いているんじゃない。逆に自分やオレに対して強い気持ちを持っているから泣き出してしまっているんだ。
オレはそれが何だかとても嬉しかった。
やがてやっと泣き止んだのか、海馬がオレの胸から顔を上げた。
枕元に置いてあったティッシュで涙を拭い鼻をかんで、備え付けのパイプ椅子から立ち上がる。
「帰るのか?」というオレの問いに海馬は頷く事で答え、そして「今度…ちゃんと礼をするから…」と言い残し部屋を出て行った。
ドアが閉まる寸前、廊下に控えていた磯野さんの姿がちらりと見えて安心する。
やっぱり本物のボディガードは違うな…とオレは安心すると同時に胸に痛みを感じた。
怪我をした事は勿論ショックだったけど、それ以上に海馬を守りきれずあんな風に泣かしてしまった事が一番ショックだった。
丸々一週間入院して更にもう三日自宅安静にさせられて、オレが再び学校に来れるようになったのはあの事件から十日後の事だった。
海馬を執拗に付け狙っていたあのワゴンの正体については、オレが入院中に調査がなされてきっちり制裁を受けて貰ったらしい。
らしいというのは、あくまで見舞いに来てくれたモクバの口から語られた情報に過ぎなかったからだけど。
オレの怪我の事もどうやら海馬の方で情報操作がされていたらしく、帰宅途中に酔っぱらい運転の車に引っかけられた事になっていた。
そして今日、オレは久しぶりに学校に来たんだけど、放課後担任の教師に呼び出されて職員室にいた。
「大変だったな城之内。怪我の方はもういいのか?」
「はぁ、まぁもうすっかりいいですよ。ちょっと足捻っただけだったし」
「そうか。それは良かったな。ところでお前はただでさえ成績が悪くて落第しかかっているのに、こんなに休んで出席日数まで足りなくなるという事は…どういう事だかわかるな?」
「うっ…! そ、それは…!」
「という訳で、これだ。特に成績が最悪な数学と英語、それから古文。この三つのプリントを月曜までにやってこい」
「うげ…っ!」
「大丈夫だ、今日は金曜日。金土日の三日間あれば充分やれる量だからな。頑張れよ、城之内」
ポンと肩を叩かれ担任から渡されたプリントは、オレが最も苦手とする三教科で。ただでさえ教科書見ても暗号にしか見えない教科なのに、こんなのどうすんだよ…とオレが頭を抱えつつ職員室を出た時だった。そこで待っていた人物にオレは思わず足を止めた。
「海馬…?」
職員室前の廊下の壁に寄りかかってこちらを見ていた海馬は、その声で俺の前までやってくる。
そしていつもの調子で言った。
「プリントを貰ったのだろう?」
海馬の言葉にオレは苦笑してしまう。「何で知ってんだよ」と問いかけるオレに「プリント課題やる事でこの十日間の出席日数が足りないのを何とかしてやってくれと、オレから頼んだからだ」と事も無げに答えてみせた。
それにオレはハァ~と肩を落とす。
プリントだけで何とかして貰えるようにしてくれた海馬には感謝だが、そのプリントをやれる自信が全く無いのだ。
さてどうするか…と手の中のプリントを睨み付けていると、それを脇にいた海馬にヒョイと取られてしまう。取り上げたプリントにざっと目を通した海馬は、オレにとって魅力的な一言を放った。
「オレが教えてやろうか?」
「マジで!? いいの!?」
「構わない。これくらいだったら今日明日で簡単に終わるぞ」
「助かるぜ~! じゃ、これからお前ん家に行けばいっかな?」
「いや、貴様の家はどうだ?」
海馬の申し出にオレは目を丸くした。
まさか海馬の方からオレの家に来たいなんて言い出すなんて思わなかったんだ。
「何だ? 父親がいるのか?」
「いや…。親父は今丁度出稼ぎに出てて来月まで帰って来ないけど…」
「なら問題ない。すぐに帰るぞ」
そう言ってオレの手を掴んでスタスタと歩き出す海馬に、オレは翻弄されまくっていた。
日記ネタが何も無いと言うことは自分の周りが平和だと自分勝手に解釈している二礼です、こんばんは。
まぁ実際は、何の変化も無い毎日を惰性に任せてダラダラと過ごしているだけなんですけどねw
そういえば某長靴国家の南側のキャラソンが、さっきからずっと頭の中をグルグル回って消えません(´∀`)
ボーノ!トマト!ボーノ!トマト!ボーノボーノウー!トマト!
トマト食べたくなってきた…w
長編『真実の証明』の『覚悟』をUPしました。
こういう動きのある内容はもっと格好良く書きたいのに…、力不足を多大に感じられてますます凹みます…orz
女になっても誇り高く意志が強い海馬が書きたかったのですが…。
う~ん、どうなんだろう(´∀`;
と言う訳でさっさと布石回収です。
あとは成るように成れw
以下は拍手レスになりますです~!
>Rosebank様
こんばんは~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
今回は後ろ向きな感想で~とおっしゃられてましたが、全然そんな事無いので気になさらないで下さい(´∀`)
むしろ辛口批評どんと来い! な感じなのでw
こういう感想も後々の糧となる為、大変ありがたいと思っています。
海馬を泣かせた理由は、『女に戻りかけの情緒不安定』+『すっかり忘れてた生理に対してのパニック』を表現したかった為なのですが、今読み返したら確かに微妙でしたね…(ノ∀`;
保健体育並の知識は持っていても、まさかそれが自分に来るとは思っていなかった(というか、女としての日々を生きるのに必死で完全に忘れていた)ので、あんな風にパニくってしまった訳です。
はぅ…、やっぱり小説の表現は難しいですねぇ…;
もうちょっと上手く表現出来たら良かったと、今凄く反省しています…orz
あと城之内君が高校生の癖に携帯を持っていなかったのは金銭的な問題もありますが、ただ単に面倒臭かっただけだったりしますw
私の中のイメージでは城之内君は結構アナログな人間なんで、何か小さいボタンを押して電話を掛けたりメールをしたりするのが性に合わなかったりするんじゃないかな…と常々思っていました。
なので城之内君が携帯を持つ切っ掛けは、あくまで『海馬に無理矢理持たせられたから』という設定があるのですw
というか、多分自分と城之内君を重ねちゃってるんでしょうねぇ…。
私も携帯メールとか面倒臭くて返すの忘れてたりしますし(PCメールは全然面倒臭く無いのにw)、よく充電をさぼっては電池切れにしちゃったりしてますw
最近は携帯一本で電車に乗ったり買い物したりするので電池切れには気をつけていますが、未だに自分の携帯を使いこなせてはいませんw
若い子の携帯知識にはホントに感心させられます…;
前の日記でも言いました通り、『真実の証明』はこのままシリアス展開になります。
そして、多分この先も海馬が泣くシーンがちょこちょこ出てくるかと思います。
同性から見ると確かに泣き虫女はウザイですけれど、ここは城之内視点なのでご容赦下さい。
ただ私は海馬を、男に対して「弱い自分を守って!」という理由で泣く女にだけはするつもりはありません。
彼女が泣くにはそれなりの理由があるのです(*'-')
その辺を上手く表現出来るかどうか分かりませんが、最後まで見守っていて下さると幸いに思います。
それでは今日はこの辺で失礼致します~!
ではでは~(´∀`)ノシ
>イミフ メイ様
拍手とコメント、どうもありがとうございます!
そして、画像の利用を許可して下さってありがとうございました~!
いや本当にあんな綺麗なイラストを自分だけで眺めるのは勿体ないと思っていたので、これで心置きなく皆さんにも見て貰う事が出来ます(´∀`)
…と思っていたら、またイラストですと…っ!?((((゜д゜;))))
え、ちょ、これは…滅茶苦茶可愛いじゃないですか…っ!
何なのこの子…。超持って帰りたい…(*´д`*)ハァハァ
あぁん…、このにょた海馬も勿論飾らせて頂きます…っ!
(今少し忙しい時期なので、もう少し経ったら頂き物ページを作らせて頂きます!)
そう言えばメイ様のコメントを見て私も思わず文庫本10巻を取り出して読み始めたのですが、確かにあの城之内は格好良過ぎですよね!
もうすっごい男前!!
改めて城之内の格好良さを確認させられましたw
…そして、気付いたら一時間半経ってました…。
おい…私の貴重な一時間半、どこに行ったんだ…(;゜ロ゜)
やっぱり遊戯王は最高に面白いです!
読み始めたら止まらなくなりますもんw
(そしてイシズ姉さんのスルースキルの高さに笑いが…w)
それではこの辺りで失礼させて頂きます~!
ではでは~(・∀・)ノシ
学校を出て、暗くなり始めた道を一人で歩く。
ここ暫くは帰り道はずっと海馬と一緒だったから、何だか少し寂しく感じた。
ツマラナイ事で言い争っていても、昔みたいに本気で怒鳴り合う事は無くなっていた。むしろその後でお互いに顔を見合わせ苦笑してしまう事も多くて、そんな時間を本当に楽しいと思っていたのだ。
「つまんねーの…」
自然に口から出てしまった呟きに気づき、オレはそれに驚いた。
いつの間に海馬と一緒にいる事がこんなに自然な事になってしまったんだろう。
いつの間に海馬との会話が楽しいだなんて思うようになったんだろう。
いつの間に海馬の事が可愛いだなんて…感じるようになったんだろう。
オレはその場で足を止めて自分の気持ちを考えた。まだはっきりと答えは出ていないが、もしかしたら…と思う。
あの海馬に対して自分がそんな気持ちを持つなんて考えた事も無かったけど、オレは何となく自分の気持ちに気付き始めていた。
やっぱり海馬のところに戻ろうかな…と思った時だった。
前方からスモークシールを貼ったワゴンが学校の方向に走り去って行った。それを見てオレは何だか嫌な予感がした。何故ならその車をオレは前に一度見ていたから。
何日か前に住宅街を海馬と二人で歩いていて、後ろからやってきたあのワゴンに撥ねられそうになったのを思い出す。
もしかしたら違うワゴンかもしれない。ナンバープレートだってはっきりと確認した訳じゃないし。
でも、車体の色や車種がこの間のと一緒だったのを思い出す。
迷っている暇は無い。
踵を返すとオレは学校に向かって全速力で走り出した。
車が入れないような細い路地や公園や空き地を縫うように走って、ワゴンより速く先回りする。
何とか学校まで辿り着いて校門の方を見ると、入り口に海馬が立っているのが見えた。多分ちゃんと連絡をして迎えが来るまでそこで待っていたらしい。
「海馬!」
「城之内…?」
声をかけると海馬がこっちを見る。そして驚いた表情のままオレに向かって歩き出した時だった。
校門を挟んで逆側の道路から、煩いエンジン音と共にあのワゴンが猛スピードで突っ込んでくるのが見えた。
ヘッドライトに照らされて海馬の姿がシルエットになる。
「海馬ーっ!!」
振り返って固まってしまった海馬に飛びつくようにしてその細い身体を抱き込み、校門の中に二人して倒れ込んだ。
「ぐっ…!」
オレも必死だったから受け身なんて取れなくて、でも海馬に怪我だけはさせたくなくて無理な体勢で飛び込んだから、足首を変な方向に捻ってしまった。
幸い骨には異常無いようだったけど、余りの激痛に顔を歪めてしまう。
「じ…城之内…っ!?」
オレの呻き声を聞いて慌てて海馬が身を起こす。
「城之内…どうした!? 大丈夫かっ!?」
「足捻った…。超痛ぇ…」
「どうしてこんな…。っ!?」
海馬がオレの足を見て辛そうに顔を歪めた時だった。オレ達は再びあのワゴンのヘッドライトに照らされる。
逆光で車内の人間の顔は分からない。車体は完全にこちらに向いていて、オレ達を嘲笑うかのようにわざとエンジンを吹かしていた。まるで「こっちはいつでもお前達を轢きに行けるんだぞ」と言わんばっかりに。
「くそっ…! バカにしやがって…!」
オレが痛む足を庇いつつ何とか立とうとすると、海馬がそれを押し留める。そして泣きそうな顔をしてゆらりと立ち上がった。
「もう…いい…」
「海馬…?」
「城之内…お前はもう…いいから…。こんな怪我をしてまでオレに付き合わなくていい…」
「海馬? お前何言ってんだ…? 何するつもりだ!?」
「もういいんだ…。こんなになってまで…もう…っ! オレが…、オレがいなくなってしまえば…それで全てが丸く収まる…っ!」
「何馬鹿な事言ってやがる! やめろ海馬!!」
オレの叫びも無視して海馬はワゴンに向かって歩き出した。
「さぁ! オレはここに居るぞ!! もう逃げも隠れもせん! 轢くならさっさと轢くがいい!!」
ヘッドライトに照らされて仁王立ちになっている海馬の姿に圧倒される。
たとえ女になったとしても、目の前に居る海馬は依然と全く変わらない気高く高潔な人間だった。立ち姿は凛としていて、その余りの美しさに目眩がする。
ワゴンがより一層高くエンジン音を吹かしてギアが入る音がする。オレはその音で立ち上がり無意識に走り出していた。
足が死ぬほど痛かったけどそんな事に構っている暇は無かった。
ワゴンが走り出し海馬に到達する寸前に、もう一度その身体に腕をかけて横に飛ぶ。一瞬腕にサイドミラーが掠ったけど、直撃した訳では無かったから大した事は無い。
海馬と二人で校庭に転がった。抱き込んだ海馬がまた暴れ出すけれど、オレはもう腕を緩める事はしなかった。
「城之内…っ! は…離せ!!」
「嫌だ…っ。離したらまたお前…一人で轢かれようとするじゃんか…っ!」
「当たり前だ! こんな事までお前が付き合う必要は無い!! 離せ! 離せぇー!!」
暴れてボカボカ殴られて痛かったけど、オレはそれでも海馬を離す事はしなかった。
ワゴンは校庭内で方向転換をして、また車体をこっちに向けて一旦とまった。ヘッドライトが憎らしい程に眩しく感じる。
オレは腕に力を入れてギュッと抱き込んで、ワゴンに背を向けて海馬の身体を隠そうとする。
足はもう感覚が無いくらい痛くて、立ち上がる事さえ困難だった。
このままじゃ間違いなく二人纏めて撥ね飛ばされるだろうけど、それでもコイツ一人だけ轢かれるよりマシだと思った。
せめて最初の一撃をオレが受け止めるべく身体に力を入れる。
「嫌だ…っ! 城之内…っ。城之内…っ!!」
腕の中の海馬が必死にオレから離れようとするけどそれを許さず、いずれ来るであろう衝撃に備える。
ワゴンがまたエンジンを吹かしてギアを入れる音が聞こえた。それに思わず身を固くした時だった。
校門の方から新たなエンジン音が聞こえて、黒塗りのリムジンが猛スピードでこっちに突っ込んできたのが見えた。
「瀬人様ぁぁぁぁぁ―――――――――っ!!」
「磯野!!」
肩越しに叫んだ海馬の声で、オレは助けが来た事を知った。
多分帰宅する為に先程海馬が呼んでいた迎えが今来たのだろう。
ワゴンもそれに気付いたのか、慌ててリムジンとぶつかる勢いですれ違って校門から出て行った。
「………。」
それを見届けてオレは漸く安堵する。そして足の激痛と海馬が助かった安心感で、情けない事にそのまま気を失ってしまった。
久しぶりに毎週大河ドラマ見てる二礼です、こんばんは。
実は二礼は以前から北/村/一/輝さんの大ファンで、まぁ一/輝さん目当てで見始めたんですけど、やっぱり上杉はいいですよね~!
謙信公は二礼の好きな三大武将の中の一人です。
(後の二人は伊達政宗と石田三成。時点で真田幸村)
謙信公と言えば今年は阿/部/寛でしたね。
一昨年のG/a/c/k/tがエライ格好良くて萌えていましたが、阿/部ちゃんは阿/部ちゃんでいい味出してました(´∀`)
ホント、大昔に孔/雀/王をやってた頃に比べたら、いい俳優さんになりましたよね~w
(孔/雀/王の実写版は三/上/博/史派だったので、何かピンと来なかった思い出がありますw あの映画に出ていた緒/形/拳は超絶に格好良かった…)
そういや二礼は神奈川県出身なのですが、学生の頃に隣の山梨県出身の友人に「どうして甲斐の方が近いのに上杉なんだ!」と叱られた事があります。
いや…どうしてって言われてもねぇ…。
武田は好みじゃないんだ…w
(武田ファンの皆様、ごめんなさい!)
そんな事言ったら地元の北条氏は勿論のこと、今住んでいる江戸の町を作った某狸にも興味はありませんw
(北条及び徳川のファンの方もごめんなさい!)
あ、でも鎌倉まで自転車で行ける距離に住んでいたので、源家は好きです。
頼朝よりは義経派ですけど。
でもこれは時代が違いすぎるな…w しかも三代で滅んでるしw
長編『真実の証明』の『来訪』をUPしました。
フヒヒw 生々しいw
いやでもちょっとこういう海馬が書いてみたかったんで、後悔はしていません(´∀`;
最初に『軽くコメディも入れて~』なんて書いた覚えがあるのですが、この先ちっともコメディを入れられる場所が見あたりません。
あぁ…。もっとアホな海馬とか焦る城之内とか天然漠良とか一杯書きたいのに…;
どうやらコメディは前半で終了のようです。
以下は拍手のお返事でございます。
>Rosebank様
拍手とコメント、いつも本当にありがとうございます(*´д`*)
コメントを貰えるとやっぱりやる気が上昇しますし、貴重なご意見も聞かせて貰ってこれからの小説の為の勉強にもなります。
本当にありがたいと思っております!
あまり小説内では表現しませんが、『真実の証明』内の海馬は杏子と一緒にいる事に安心感を持っています。
元々杏子は裏表の無いこざっぱりした性格で、多分海馬もそんなところを気に入っていたと思うんですよ。
(勿論恋愛感情は抜きにしてですけどw)
そんな杏子が友人として自分に付き合ってくれるのに、悪い気はしないんじゃないでしょうか(・∀・)
杏子はねぇ…本当にいい子です。
女性独特のねちっこい部分が無くて、見ているこっちも気持ちいいくらいなので。
あんな親友がいたら幸せだと思いますよw
そういえばニ/コ/ニ/コ/動/画はやっぱり凄いですね~。
イチローのMADが急激に増えて、思わず笑ってしまいましたw
何なのこの才能の無駄遣いはw
これだからニ/コ/ニ/コ/動/画はやめられないんですよね~(´∀`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
海馬の送り迎えをするようになって二ヶ月ほどが経った。
早朝新聞配達を終えたオレは、その足で海馬邸に向かう。海馬の朝は早く、その頃には丁度目覚めてメールのチェックをしているので、とりあえず部屋に入って挨拶をする。その後モクバと一緒に三人で朝食を取って歩いて学校に向かうのだ。
そして帰りはどちらかが用事を済ますまで教室で待っていて、帰り支度が済むとオレが海馬邸まで歩いて送ってやった。
この頃になると海馬はちゃんとした一人の女の子になっていた。
女の子にしてはやや低いアルトも体格から考えればよく似合っている声だったし、背は高いが丸みを帯びた身体は如何にも健康そうな女性らしく、街ですれ違った男達が思わず振り返る程で。確実に元の姿に戻りつつある海馬に、オレは少々複雑な気分を抱いていた。
全てが順調のように見える。
だけどやっぱり海馬の周りには危険が付き纏っていた。
学校の行き帰りはまだオレがいるからいいにしても、流石に会社の行き帰りや視察の時まで一緒にいる事は出来ない。以前に比べて大分減ったにしろ、相変わらず海馬の身体には生傷が絶えなかった。
最近では登下校中でも気は抜けなくて。途中細い道を歩いていると、後ろから猛スピードの車がやって来る事も度々あった。
慌てて海馬の手を引き寄せ事なきを得るのだが、そういう車に限って窓にスモーク用のシールを貼ってあったりするのを見る度オレはゾッとする。
腕の中に抱き込んだ海馬も、その時ばかりは青ざめて小さく震えていた。
そう言えば海馬は最近、感情表現がとても豊かになった。
前はポーカーフェイスも上手く一体何を考えているのかよく分からない部分が多かったが、最近ではころころとよく表情を変える。
笑ったり怒ったり拗ねてみたりと、それはどこから見てもごく普通の女の子だった。
男に比べて女の方が感情の起伏が激しいと聞いた事があるけど、まさかここまでとは思わなかった。
笑っていたと思っていたら次の瞬間には怒ったり、拗ねていると思ったら実はただ照れていただけだったり、前の海馬に比べたら次の一手が全く読めない。
だけどそれがメチャクチャ可愛くて、オレはなんだか嬉しくなってしまう。
海馬がここまで感情豊かに接してくれているのは、オレを信頼してくれているからだってのが分かるからだ。
今日もこうして放課後の教室で海馬を待っている間、その事を思いだして一人でニヤニヤしていた。
海馬は帰る前に職員室に行くと行って教室を出て行った。多分もうすぐ帰ってくるだろうから、そしたらまた二人で仲良く帰ろうと考えていた時だった。突然制服のポケットに入れてあった携帯電話が震えて、オレは慌ててそれを取り出した。
オレが海馬と通学を一緒にすると決めた次の日、携帯を持っていなかったオレに海馬が突然コレをくれたのだ。
確かに一緒に帰るのにお互いの場所が分からないと不便だなと思ったオレは、ありがたくそれを貰う事にした。
それ以来、お互い別々の場所に居る時などは大いに役に立ってくれてる携帯だけど、今海馬が電話してきた意味が分からない。だって、オレはさっき「ここで待ってる」ってちゃんと言ったのに。
何か嫌な予感がして、震える携帯を取り出し通話ボタンを押して耳に当てる。
聞こえてきたのは…泣き声だった。
「っ…! ふっ…く。えっ…く」
「ちょ…。え? 海馬? どうした?」
「じ…じょ…の…ちっ…。ぅっ…く」
「どうした!? 落ち着け海馬! 何があった!?」
「ふぇ…っく。うっ…ぅっ…」
「海馬? 聞いてんのか海馬!? 今どこにいるんだ!?」
「さ…んか…いの…トイレま…え…。ぇっく…」
それは何となくだ。
どうして分かったのかって聞かれても、何となくとしか言いようがない。だけどオレは海馬の身の上に何が起こったのか分かってしまった。
もう高校生だから子供じゃないし、離れて暮らしているけど年頃の妹もいるからだと思うけど。
「今行くから! そこで待ってろ!」
電話口で叫んでオレは教室を出て廊下を全速力で走った。階段を一段飛ばしで駆け下りて、四階から三階へ下りる。そのまま廊下の端にあるトイレまで走り抜けた。
案の定、そこには座り込んでしまっている海馬がいた。
「海馬!」
オレが叫ぶと海馬は顔を上げる。その表情は困惑に満ちて、涙でグショグショだった。
慌てて近寄って抱き寄せると、海馬は強い力でしがみついてくる。
「ひっく…。ど…したら…わ…か…なくて…。んっく…。オレは…ど…したら…」
「大丈夫だから。今杏子呼ぶからな」
パニックに陥る海馬の頭を優しく撫でて落ち着かせる。片手で携帯を弄って杏子の番号を呼び出した。
数コールで電話が繋がる。
『城之内?』と電話の向こうで不思議そうな声でオレの名前を呼ぶ杏子に、なるべく落ち着いて今の状況を話す。
「杏子、今どこにいる?」
『今? まだ学校よ。図書室で調べ物してたから』
「悪いけど今すぐ三階の女子トイレの前まで来てくれないか? 海馬が…その…」
『わかった。直ぐ行くから!』
流石に少し言いよどんだオレの言葉に何かを察したのか、杏子はそう答えて直ぐに通話を切ってきた。
多分直ぐにここに来るだろう。
その間オレは胸に顔を埋めて泣き続ける海馬を、ただ抱き締めてやる事しか出来なかった。
「お待たせ、海馬君」
本当に直ぐに駆けつけてくれた杏子は海馬の側に膝を突くと、持っていた学生鞄から小さな袋を取り出した。
「いつか…こんな日が来るんじゃないかって思ってたの。だから私ずっと用意してたんだよ。もう大丈夫だからね」
海馬を安心させるように優しく微笑んで、杏子はオレの代わりに海馬を抱き締める。そしてそのまま海馬を抱き抱えるようにしてトイレの中に入っていった。
オレはこのままここで待っていようと思ったけれど、トイレの中から杏子が「城之内は教室で待っててだって」という声が聞こえて、素直に教室に戻る事にした。
海馬の身体に何が起こったのかなんて、男のオレでもよく分かる。
今まで摂取していた男性ホルモンが抜けて身体が女性に戻り、そして多分…月経が来たのだ。
初潮かどうかは分からない。だけど今までずっと男性ホルモンの注射を続けて男で居続けた海馬にとって、それは青天の霹靂だった筈だ。
夕暮れの教室でそんな事を考えながら一人で待っていると、ガラリと教室の扉が開く音がした。
振り返るとそこには海馬の姿。
「大丈夫か?」
心なしか沈んでいるその姿に、敢えて笑顔で呼びかける。
それにコクリと頷いてオレの側まで寄ってきた。泣き腫らした目元が夕日に染まってより赤く見え、それが痛々しいと思った。
「お前…には…迷惑をかけてばかり…だな…」
掠れた声で言ってくる海馬に、オレは「そんな事ないぜ」となるべく明るく答えた。
本気で落ち込んでいるらしい相手にそんな事しか言えない自分が情けなかったが、オレは男だしあまりこの事には触れない方がいいと思ったんだ。
海馬は俯いてしまっていてその表情がよく見えなかったが、オレはその頭を優しくポンポンと叩くと鞄を持って椅子から立ち上がる。
「もう平気か? なら帰ろうか」
そう言って歩き出し振り返ると、海馬がそのままそこから動かず、オレを見て首を横に振った。
「海馬?」
「悪いが…今日は一人で…帰る…」
驚いて呼びかけると海馬は突然そんな事を言い出した。
「一人でって…。お前、狙われてるんだぞ? 危険じゃないのか」
「分かっている。今日は迎えを呼ぶからお前は心配しなくていい」
「それならいいけど…。ホントに大丈夫か?」
「大丈夫…だ。頼むから…今日はもう一人にしてくれ…っ!」
オレはそれ以上言葉を紡ぐ事が出来なかった。海馬がオレの予想以上に混乱しているのが分かってしまったから。
こういう時は無理をさせちゃいけないと、今回はオレの方が引く事にする。
「分かった。じゃオレ帰るから、連絡してちゃんと迎えが来てから帰るんだぞ」
オレの言葉に海馬はまた無言で頷いた。それを見届けて教室を出る。
校門を出た辺りで一度教室の方を振り返る。
今回の事で落ち込んでしまっている海馬を何とか慰めたいと思ったけど、男のオレじゃ上手くはいかない。きっとこういう場合はオレよりも杏子の方がいいんだろうなと思い、オレは軽く溜息を吐いて校門を出た。
日記ってたまに書くネタがつきたりするよね。
今まさにそんな状態な二礼です、こんばんは。
あ、書くネタありました。
今更ですがサムライジャパン、WBC優勝おめでとうございます!
一時はどうなる事かと思いましたが、何はともあれ天晴れでございます(´∀`)
ていうかね、やっぱりイチローには何かが付いていますよ。
ヒーロー属性的な何かがw
もうイチローが主人公でいいです(´―`)
それにしてもあのヒーローインタビューには笑わせて頂きました…w
ちょwwwww 「イキかけました」って何よwwwwww
飲んでたコーヒーを思いっきり気管に入れてしまって、聞いていたこっちが危うく逝きかけたyp!!
流石二塁打一本で2ちゃんの鯖を五ついっぺんに落としただけの男ではある…;
長編『真実の証明』の『契約』をUPしました。
今回はいわゆる『布石』の回でございます。
ていうか、私昨日「~をUPしました」って書くの忘れてたねw
今更思い出してももう遅いっつーの。
そう言えば最近急に拍手数が増えまして…。
これは一体どういう事なんだぜ?
いやもう、本当にありがたい限りでございます!!
女体化海馬についても皆さんが暖かい目(もしくは生温い目w)で見守ってて下さるようなので、これから先も頑張ります!!
以下は拍手レスになりますです~!
>24日の23時台にコメントして頂いた方へ
拍手&コメント、どうもありがとうございました~!
面白かったと言って頂いて、こちらもホッと一安心しておりますw
漠良はやっぱり天然&最強だと思うんですよ(´∀`)
だから彼にあぁいう言動をさせてみましたw
ウチは城海サイトなんであんまり漠良の出番は無いんですけど、二礼は結構彼を気に入ってたりしてます。
よろしかったらこれからも遊びにいらっしゃって下さいね~!
>Rosebank様
いつも拍手&コメント、どうもありがとうございます(´∀`)
Rosebank様のコメントが、私の活動補給源になっていますよ~w
文字抜けの推理が当っていて良かったです!
ご丁寧に全文の再掲載までして頂いて、こちらこそお手数おかけして申し訳ありませんでした。
感想の方もありがとうございます。
凄く嬉しいです(*´∀`*)
私の中では漠良は超天然さんなんで、こういう事を最大限に楽しむイメージがあるんですよ~w
本人にそのつもりが無くても周りを引っかき回す天才ですよね、天然ってw
あと『ライカ』を聴いて下さったんですね~!
もう本当にアレは聴く度に涙が出ます。
あの明るい曲調がまたダメなんですよ~!!
いい曲だから何度も聴いちゃって、その度にティッシュで鼻をかむの繰り返しですw
あの曲を通じてもっとクドの事を知る人が増えるといいなと思っています(´;∀;`)
それでは今日はこの辺りで失礼させて頂きます。
ではまた~(*'-')ノシ
その後も杏子と海馬の中はすこぶる良好だった。
何だかもう旧来の親友のように過ごす二人の姿に、オレ達もようやくその状況に慣れてくる。
海馬の方も少しずつ変化が見られてきた。
まず最初に気付くのは声の高さ。遊戯の質問に答えていた時「徐々に高くなる」と言っていたが、その言葉通り海馬の声はテノールからアルトになった。
それから身体の丸み。前は男らしい鋭敏な印象のある身体付きをしていたが、今はどんどんと女性らしい丸みを帯びたものになっていく。
今や海馬が女である事に、誰も疑問を持たなかった。ピンクのブレザーも短いスカートもすっかり見慣れてしまい、学ランを着ていた頃の奴を思い出すのに苦労する位だった。
ある日の朝、何時ものように登校すると、杏子が海馬の手をとって何かやっていた。
気になって手元を覗き込むと、杏子が顔を上げて微笑んだ。
「なぁに城之内。気になる?」
杏子の言葉に漸くオレに気付いたのだろう。海馬も首を捻って後ろに立っているオレを見つめてきた。
「爪を磨いてあげてるのよ。海馬君ったらせっかく綺麗な指先してるのに無頓着なんだもん。女の子なのに勿体ないわ」
そう言うと「ほら」と言って海馬の手を持ち上げて見せた。
オレはその手を掴んで顔の前に持ってきてマジマジと見つめる。杏子が磨いた海馬の爪は、まるで光るマニキュアを塗ったかのようにピカピカに光っていた。
「へー、綺麗だなコレ」
「でしょう? 海馬君の爪って細長くていい形してるから、磨きがいがあったわ~」
偉そうに胸を反らしている杏子を余所に、オレは親指から小指までじっくりと眺める。
バイトバイトで荒れまくってささくれ有りまくりのオレの指とは違って、コイツの指は本当に綺麗だ。
爪だけじゃ無くて手の甲も綺麗だった。真っ白で血管が青く透けて骨が筋張ってて、「手のモデルってこんな感じ?」とか思いながらひっくり返す。
柔らかい掌は染み一つ無くて、ほんのり温かかった。
そういやコイツ人より体温低いんだなーとか思いながらすべすべの手の甲や指を撫でていると、「城之内、城之内」と杏子に呼びかけられる。
「何だよ、今いいところなんだから」
「いいところなのは構わないけど、そろそろ手を離してあげて? 海馬君困ってる」
「んぁ?」
一瞬何を言われたか分からなくて顔を上げると、まず苦笑している杏子の顔が飛び込んできた。次に真下に視線を向けると、真っ赤な顔をして眉根を寄せいかにも「困っています」という顔をした海馬と目が合った。
うわ、可愛い…そんな表情もいいな…。とそこまで思って、オレは漸く自分が今まで何をしてきたのか思い当たった。
「うわっ! ゴ、ゴメン!」
慌てて手を離すと、海馬は真っ赤な顔のまま無言で手を引き戻した。
その途端オレは自分の目に入ってきたものに過敏に反応する。引き戻された手をもう一度掴んで、袖を引き上げよく見てみた。
白い透けるような海馬の手首にある、そこに不似合いなどす黒い…痣…。
「海馬…? コレどうした?」
「な、何でもないっ」
慌てて俺の手から自分の手を引きはがすが、オレは更に目聡く見つけてしまった。膝小僧や腿にも青痣がある事を。
オレの目線に気付いた海馬はスカートの裾を引っ張って必死で隠そうとする。
「こ、これは…転んだんだ。女物の靴に慣れてなくて…」
言い訳としては充分だけど、海馬の目がそれを否定している。
そういえばコイツって、前々から嘘の吐けない奴だったっけか。
「城之内…?」
「杏子、悪いけどコイツちょっと借りるぜ。何もしないから大丈夫。ちょっと話しするだけだよ」
心配そうにしている杏子に安心させるように笑いかけると、オレは海馬の手を取って奴を立たせた。
オレの目を見て信じてくれたんだろう、杏子が静かに頷いた。
「一時限目始まるまでには戻ってくるから」と言い残し、オレは海馬を連れて屋上に向かった。
屋上は朝日で満ち溢れ、少し冷たいが爽やかな風が流れていた。
「な…何なのだ…突然…っ!」
少し急ぎ足で引っ張ってきたせいだろう。息を切らした海馬がオレの事を睨む。
残念だけどそんな目をして睨んでも怖くも何ともないんだよなぁ…と思いながら、オレはなるべく真面目な声を出した。
そうしないとコイツも真面目に答えてくれないだろうと思ったから。
「海馬、正直に答えろ。その痣、ただ転んだだけじゃそんなに酷くはならないぜ」
「…っ。こ…これは…」
「海馬!」
言い訳は許さないという思いを込めて見つめると、海馬は漸く観念したかのよう項垂れた。
「これ…は…突き飛ばされたんだ…。この間の海馬ランドの視察の時に、中央広場の大階段の上から…」
何度か海馬ランドに皆で遊びに行った事もあるから、中央広場の大階段ならオレも知っている。結構大きめの階段で、段差もあるから高さもそれなりにあるヤツだ。
「あんなとこから突き飛ばされたのか…っ!? お前よく無事だったな」
「伊達に身体を鍛えてはいない。何とか受け身を取れたから骨折は避けられたが…」
そこまで言って黙ってしまう。そして徐に長いソックスを下げ始めた。
そこに現れた酷い痣にオレは息を飲んだ。
ブレザーを脱いで袖を捲ると、腕にも痣がいくつもあった。
「この間だけじゃない。このところよく突き飛ばされたり、引き摺られたりして転んでいる。それだけならまだしも、最近は道をあるけばよくゴロツキに絡まれたり、車に轢かれそうになったりと忙しない」
ふぅと軽い溜息をつきながら何でもなさそうに言うが、オレはとんでも無い事態に陥っている事を感じていた。
「お前…それって狙われてるんじゃね?」
「どうやらそのようだな」
袖を元に戻し、下げてた靴下も上げながら海馬が答える。
「どうやら女に戻った事で周りに舐められ始めたらしい。直接命を狙ってくる事は無いが、それでも大けがでもさせて表舞台から引き吊り降ろしたいんだろう。魂胆が見え見えなのだ」
ブレザーを着込んで「フン」と面白くなさそうに鼻を鳴らす。そこでオレはまた気付いてしまった。
「そういや海馬、お前最近リムジンで通学してねーじゃん」
「あぁ…。せっかく女に戻ったのだから、普通の学生生活ってヤツを送ってみたくてな」
いかにも「悪いか?」という顔で見つめられる。
いや悪くは無いが、お前のネームバリュー考えたらすっげー危険なんだと思うんだけど。
悪い事言わねーからリムジンで移動しろって言ったオレに、海馬は首を振って否定した。
「こればっかりは譲れない」と頑固に言うもんだから、オレもちょっとイラッて来てしまう。
コイツ…、自分の身がどれほど危険に晒されているか全然分かって無いだろう…。
かと言ってコイツを甘やかしていても海馬が狙われ続けるのは変わらない訳だから、ここでオレは一つ提案をする事にした。
「わかった。もう車通学はいいから、誰かボディーガードに付き添って貰えよ」
驚いた事にその提案についても、海馬は異を唱えた。
「嫌だ。何故普通の女子高生が黒服のボディーガードと並んで歩かなくてはいけないのだ!」
「お前は普通の女子高生じゃないだろ!? 自分の身が狙われてるってホントに分かってんのかよ!!」
「嫌と言うほど分かっている! 心配せずとも自分の身ぐらい自分で守るわ!!」
「守れてねーからそんなんなってんじゃねーのか!!」
久しぶりに大声で喧嘩したオレ達は、ハァハァと肩で息をする。
たくっ! コイツ本当にとんでもねーヤツだ…! だからと言ってこのままにするつもりもないオレは、海馬が嫌がるあの指差しポーズでビシッと言ってやった。
「よーし分かった! ならオレがお前のボディーガードになってやる!! 朝と夕方の通学はオレを連れて歩け!! 言っとくがこれ以上は譲る気ないぞ!!」
絶対反論が返ってくる。そう思って身構えたが、反論は一向に来る気配が無かった。
それどころか今オレの前にいるのは、顔を赤くして棒立ちになっている海馬の姿。
「貴様…それは…本気か…?」
指差しポーズを言及するどころか、少し戸惑った風に訪ねてくる海馬に、オレは思いっきり首を縦に振ってやった。
「男に二言はねーぜ!」
「朝と…夕方も?」
「おうよ! 朝は新聞配達終わったらその足で海馬邸行ってやる。帰りもちゃんと送り届けてやるよ」
その答えに海馬は少し考えて、コクリと頷く。
「わかった。ではそれでいい。お礼に朝食くらいはご馳走してやろう」
海馬が何時も通りの高飛車な物言いで言った時、オレ等の耳に予鈴が鳴り響いたのが聞こえてきた。
慌てて二人して屋上から階段を駆け下りるが、その時オレは確かに見てしまったのだ。
妙に嬉しそうな…いや幸せそうな顔をしている海馬の顔を。
すっかり寒さが戻ってしまって、着る物も真冬使用に戻してしまった二礼です、こんばんは。
本格的に暖かくなるのはまだ先そうですね~。
今夜は久々に湯たんぽさんのお世話になりそうです(´―`)
(末端冷え性なので足先が特に辛いのですw 湯たんぽさんはそんな冷え性の心強い味方です!)
最近ボカロのとある曲を聴いては、その度に大泣きしています…。
ていうか、ライカ犬のエピソードはほんっとダメなんだよ!
可哀想過ぎて泣かずにはいられないんだよ!
この間も曲を聴きながら「ライカ犬エピは卑怯だ…っ!」「クドリャフスカァ-!!」と叫んでいたのにも関わらず、隣の相棒は「フーン(´_ゝ`)」と薄い反応。
「もしかしてライカ犬…知らん?」と振ってみたら「知らない」とのお答えが。
直ぐにググらせたけど、何かイマイチ良く分かってないらしい。
ていうか、男の癖に宇宙技術や技術開発の歴史に何の興味もないってどうなのよ…!ヽ(`д´)ノ
(ちなみに二礼はそれなりの宇宙オタ)
知らない方は一度ググって見ることをオススメします。
今も日本人が宇宙に行って仕事してたりしますが、あぁやって安全に作業できるのも、全ては一匹の雌犬のお陰なのですから。
以下は拍手レスになります~!
>イミフ メイ様
お久しぶりです~!
コメありがとうございました~!(´∀`)
そしてすっっっごく美麗なイラストを、どうもありがとうございましたぁー!!
もう萌えすぎて動悸が止まりませんよw
何か自分一人で楽しむのは凄く勿体無いので、その内サイトにUPしちゃってもいいですか?
あぁ…もう本当に美し過ぎてたまりません…w
女体化海馬…、やっぱり破壊力抜群でしたか…w
私もあのピンクブレザーはどうかと思ったのですが、制服なんて仕方無いですよね(*'-')
でも黒のハイソックスとローファーは意外と似合うと思うんですけど、どうでしょうか?w
その内絶対可憐な乙女に変身させてやりますので、乞うご期待です!
あ、ちなみにですね、私はモザイクでも全然構わないのですよ…(´m`)ムフー
メイ様のお好きなように描いて下されば、それが一番なのですから!
それではこの辺で失礼させて頂きます~!
ではでは~(´∀`)ノシ
>Rosebank様
拍手とコメント、いつもありがとうございます~!(*´∀`*)
あ、そうそうそれです。私が探し当てたサイトさんはそのサイトさんですw
結構読み応えのある小説を書かれているサイトさんなので、もうバッチリブックマークに入っていますw
ネタが被っていることで結構悩んでいたんですけど、Rosebank様の励ましもありましたので、気を取り直して頑張っていこうと思っています(´―`)
勿論私が書く小説ですので…最後はやっぱりアレですw
と言う訳でその辺は余りご心配なさらずとも大丈夫ですよ~!
ちなみにコメントの「女体化」を選べと言われたら~の後が文字抜けを起こしていて良く読み取れなかったのですが、
瀬人子さん→別物として楽しめる
薬とか魔法系→コメディ
男と偽っていた系→可哀想
で良かったですか?
瀬人子さん系は私も大好きですw
ただそれだと不自然さが無くなって長編にならなくなっちゃうので、今回は敢えて三番目でやらせて頂きました。
ただし上でも言っていますが、所詮私が書く物なので海馬を可哀想には出来ないのですw
必ずRosebank様が納得出来る形で収めたいと思いますので、ご安心を(*'-')
あと三番目の長編についてですが…。
バレテシマッタ…(ノ∀`)タハー
Rosebank様の推理力には本当に完敗ですw
まだ詳しい内容はお話出来ませんが、もうそちらの方にも手を付けちゃっています。
(ていうか、プロットと自分用の考察だけで短編二本分の容量に…; どんな壮大な物語を書こうとしてるんだ、私は…w)
設定を纏めるのが結構大変なんですが、そちらの方も頑張って書いていこうかな~と思っています(´∀`)
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ではでは~(´∀`)ノシ
四時限目の体育が終わった後、オレ達は着替えて屋上に向かった。
最近は天気のいい日は屋上で弁当を食うのが日常となっていたので、今日も上機嫌で屋上に続く扉を開く。
すると奥の方から話し声が聞こえてきた。声の感じから杏子と海馬であろう。
そう言えば女子は少し早めに体育が終わっていたなと思いながら二人に近付くと、突然杏子が海馬にビシッと指を突きつけて言い放った。
「なってない! なってないわ、海馬君!!」
おぉい!! あの海馬に指を突きつけるなんて…、杏子すげーよ! じゃなくて怒られるだろ!? 現にオレは朝怒られた…。
杏子の余りの剣幕にオレを含めた男連中は、思わず給水塔の影に隠れてしまう。
「あれ…杏子、やばいんじゃない?」
心配そうにボソボソと喋ってくる遊戯にオレは頷いた。
それに対して漠良が暢気に言い放つ。
「大丈夫じゃない? いくら海馬君でも学校の屋上で殺傷ネタとかやんないでしょー」
クスクスと笑う漠良に、それでもオレと遊戯と本田は冷や汗ダラダラだった。
いや…だってさほら、やりかねないじゃん! あの海馬なんだぜ!!
心配しながら耳を傾けていると意外にも何も問題は起こりそうもなく、それどころか杏子に返す海馬の声も穏やかだった。
「やっぱり…そうなのか?」
「勿論よ! 今時木綿のスポーツブラとショーツだなんて! 小学生だって着ないわよ!!」
杏子の爆弾発言に再び吹き出しそうになるのを、オレ達は互いの口を押さえる事で我慢した。
そう言えば四時限目は体育で、多分杏子は着替えの時に海馬の下着を見たのだろう。
いや、それは分かる。分かるんだが…。
杏子…凄過ぎだよ…お前…。
「結構着心地がいいんだが?」
首を傾げて海馬が反論するが、それに対して杏子はブンブンと激しく首を横に振った。
「ダメダメ! 海馬君、今度私がよく行く下着専門店に一緒に買い物に行きましょう! レースとかリボンとか可愛いの一杯あるから。女の子は見えないところのお洒落にも気を遣わなきゃダメなのよ!」
杏子の言葉に海馬が素直にコクリと頷く。
その姿にちょっと「可愛い…」とか思ってしまったオレは、自分の感情に酷く驚いた。
今まで男と信じて疑わなかった奴が突然自分は女だと暴露してちゃんと女の格好してるだけで、「可愛い」とか思っちゃうとか何だよ有り得ない。
今まで流れていた冷や汗とはまた別の汗が出てきて一人であたふたしているのを、遊戯が不思議そうに本田が可哀想に漠良がにこやかに見ていた。
すっかり出るタイミングを逃してしまったオレ達は、二人の会話が落ち着いたのを待ってわざとらしく出て行った。
そして皆で一緒に弁当を食べる。
海馬の手元を見ると女子らしい小さめの弁当箱に、本格的な和風のおかずが詰まっていた。
「すげーな、それ。やっぱ海馬家専用のシェフとかが作ってるのか?」
思わず覗き込んで軽い気持ちでそんな事を言うと、海馬が「いや」と否定した。
「この弁当は自分で作ったのだ」
実に簡単にそうに言った海馬を、全員が目を丸くして見つめてしまう。それを軽くあしらいながら海馬が続ける。
「女に戻ったからには料理や裁縫も出来なければならないだろう。かといってオレは常に忙しい身であるから、なかなか本格的に料理をする時間が無い。まぁ学校に行く時の弁当くらいだったら大した時間もかけずに出来るから、これ位は…な」
そう言って美味そうに焼けた卵焼きを自分の口に放り込んだ。
「あの海馬が…。嘘だろ…?」と完璧に固まってしまった俺達を余所目に、海馬は我関せずと口の中の卵焼きをもくもくと租借していた。つかコイツ、今日何回オレ達を固めれば気が済むんだよ…。
そうこうしている内に自分の弁当をさっさと食べ終わってしまった海馬は、丁寧に自分の弁当箱を専用の巾着袋にしまうと、スッと立ち上がりオレ達を見下ろして言い放った。
「早く食べろ凡骨共。貴様等男のくせにそれ位ちゃっちゃと食べれんのか。早くしないと五時限目が始まるぞ」
そして同じように弁当箱を仕舞った杏子に「真崎、教室に戻るぞ」と声をかけると、共に屋上から去っていく。
「じゃ、お先に~!」と嬉しそうに海馬と共に教室に戻っていく杏子を見送り、予鈴が鳴る中オレ達は慌てて自分達の弁当をがっついた。
先程の海馬の態度に複雑な気持ちを隠せないオレ達の中で、漠良だけが「凄ぉ~い海馬君! 女王様だ! アレって女王様だよね!」と異様に嬉しそうにしていたのが凄く印象的だった…。
ここ何日かちょっと忙しい日が続いて、今日はぐったりしてました二礼です、こんばんは。
短編の一本でも書きたかったのに、次の長編のプロット作っただけで一日が終わってしまった…orz
何か今日大荒れの天気だったし、気分が沈むのも仕方無いな…w
(気圧が低いと気分が盛り下がるというのも不思議だな…)
で、気分が盛り下がってた癖に、何か海馬の履いている下着は何パンツかなんて、エライくっだらない事を考えていましたw
一昨日UPした話の内容に『下着一丁』と書いたので、今更ながら考えてみた訳です。
城之内がトランクス派なのは原作で既に出ていましたので、彼はこれで決定です。
で、問題の海馬なんですけど、彼がトランクスを履いているのは全く想像出来ないのでw
無難なところでボクサーブリーフかなぁ~と思ってみたりしました(´―`)
ボクサーブリーフって格好良いよね。
ダサくも無く、セクシー過ぎる事も無く。
身体のラインが出るので、特にスレンダーな男性に良く似合う気がします。
そしてここまで書いておいてなんですけど、やっぱりくだらないな…w
長編『真実の証明』の『真実』及び『衝撃』をUPしました。
前に日記で書いた『あと二つ考えていた長編』の内の一つです。
前回の『勇気の証明』はがっつり書き込んだので、今回はコメディも入れつつ軽めに行こうかと思います。
なので、『勇気の証明』ほど長くはならないと思います。
ちなみに今回の海馬は、完全女体化です。
女体化って好き嫌いがはっきり分かれるので最後までどうしようか悩んだのですが、結局自分の書きたいものを書いてしまいました…(´∀`;
しかももう全体像を纏めちゃってるので、今更後戻りは出来ません…w
女体化…好きなんですよ…ごめんね…。
ご批判は覚悟の上です…orz
以下は拍手のお返事でございます~!
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございました(´∀`)
いつも大事に読ませて頂いております。
Rosebank様のコメントを見て、「まぁ! それはどこの素敵サイト!?」と思って色々探索した結果、多分Rosebank様がおっしゃっていたサイトを発見致しました。
いや~、思わず萌えてしまいましたw
あぁいうシチュエーションもいいですよね~(*´∀`*)
でもその後、表海の長編を見てしまって、今回のネタが思いっきり被っていることに気付き動揺する事に。
ど…どどどどどうしよう…と焦ったのですが、既に最後まで纏めちゃってる事もあり、思い切ってUPする事にしました…。
確かにこれだけ二次創作サイトがあればネタ被りは仕方の無い事とは言え、余りにそっくりだと悩んでしまいますよね…(´・ω・`)
(しかも自分が後出し。盗作では無いのですが、そう言われても仕方が無いかもしれません)
しかも何か凄い萌えてしまって、ますます自信がアポーンな状態に…w
まぁでも、気を取り直して頑張ります!
(しかし素敵なサイトだった…(*´д`*))
話は変わりますが、前回の団地の話を書くのを忘れてました。
他のサイトさんとか見ると、確かに城之内の家はアパートか団地かで意見が別れていますよね~。
私は最近ハマった組なんで文庫本しか読んでいませんが、確か一巻のP266~P267に団地の描写が入っているんです。
それで私の頭の中ではすっかり『城之内の家は団地』という事になったのですが、今読み返して見たら二階じゃなくて三階でした…orz
詰めが甘過ぎる!
二階なのはアレです…、私が小学校高学年まで団地の二階に住んでいたイメージが強かった為です…w
団地の描写が細かいのはそのせいですが、良くお分かりになりましたね~(*´д`*)
流石ですw
それでは今日はこの辺りで失礼させて頂きます~!
ではでは~(´∀`)ノシ
余りにも予想もしなかった事態が起こると、人はもれなく固まってしまう。
事実、今のオレ達の状況がまさにそれだった。
切っ掛けは朝のホームルーム。本鈴が鳴っていつものように担任の先生が教室に入ってきたのはいいが、その顔は普段とは違い困惑に満ちたものだった。
担任は冷や汗をダラダラ流しながらオレ達に向き直って口を開く。
「えー…、今日は皆に新しいクラスメイトを紹介しようと思う…」
その一言にクラス中がざわめき始め、女子の一人が「先生、転校生ですか-?」と質問するのに、担任は困った表情を深くした。
「転校生という訳ではなくて…今までこのクラスの一生徒だったんだが…、その…なんだ…、今までは性別を偽っていて漸く本来の性別に戻ったとか何とかで…、これからは対象性別が変わるというか何というか…」
額から溢れ出る冷や汗をハンカチで拭きながら辿々しく説明をしている担任を見ていると、突如クラス前方の扉が開け放たれ、一人の女子生徒がズカズカと入って来た。
そう…それはまさしく女子生徒だった…。我が校独特のピンクのブレザーと短いスカート。黒いハイソックスを履いた足は細長く、この姿をしていたのが普通の女の子だったらクラス中の男子は大いに騒ぎ立てただろう。
ただ残念な事に、そこに居たのは普通の女の子では無かった…。
「か、海馬ぁーっ!?」
「五月蠅いぞ凡骨。人に指を指すなんて下品な事をするな」
思わず指を指して椅子から立ち上がったオレに、海馬は涼しい顔で答えた。そして何時ものように偉そうに腕を組むと、呆気に取られているオレ達の前で勝手に自己紹介を始めたのだった。
「自己紹介が遅れたな! 諸処の理由で今まで男を名乗っていたが、今回とある目的で本来の性別である女に戻る事にした海馬瀬人だ! 一クラスメイトとしてこれからもよろしく頼む!」
そう高らかに宣言すると、海馬は己の腰に手を当て「ふははははは!!」といつもの高笑いを披露していた。
もうオレ達の頭は真っ白で、その後の一時限目の授業なんて全く頭に入ってくる筈もなく…。とてつもなく長く感じた授業が終わった後、オレや遊戯、漠良や本田といったいつもの面々は、クラス中から視線が集まっているのに気付いてしまう。
「早く本人に理由を問いただせ」という無言の圧力を感じ、オレ達は重い腰を上げて海馬の机の周りに集まった。
多分クラスの他の奴らも自分で聞き出したい気持ちで一杯なのだろうが、何しろ相手はあの天下の海馬瀬人様だ。とてもじゃないが直接口を訊く事なんか出来ないんだろう。それに対してオレ達は何だかんだと言ってヤツとは縁がある。まぁ一番大きな理由はM&Wのお陰だろうけど、最近はカードとは別に個別に親交を深めつつあるのは確かだった。
どう問いただそうかと悩んでいると、一番に口火を切ったのは何と杏子だった。
「ねーねー海馬君。何で女の子になっちゃったの?」
こういう時の女子の行動力って凄ぇよなぁ…と感心して見ていると、海馬はフンと鼻を鳴らした。
「女になったのではない。元々女だったのだ。海馬家の養子に入る時に欲しいのは跡取り息子だと言われ、今まで性別を偽って男として暮らしてきたに過ぎん」
「はい、僕質問があるんだけど!」
海馬の答えにツッコミ処が満載なのに気付いたオレが頭を抱えた時、隣で遊戯が手を挙げた。
「声は? 海馬君の声って完全に男の人の声じゃない。でもそれって女の子の声じゃないと思うんだけど…」
それだ、遊戯! オレがツッコもうと思っていた問題点の一つがそれだ!!
海馬の声は低いテノール。ドスの効いた声も出す事もあるし、それはまさしく男の声だった。
だがそれに関しても海馬はあっけらかんと言い放つ。
「今までは男性ホルモン剤を定期的に注入していたのだ。そのせいで声帯も男のように低くなってしまう。だがホルモン注射も止めてしまったので、これからは徐々に高くなっていくだろうな。では次の質問は?」
遊戯の問いかけに簡単に答えてしまうと、海馬は辺りを見渡した。
「じゃ、次オレ」と手を挙げた本田に、海馬は目線で先を促す。
「女にしちゃ背が高くないか?」
確かに海馬の慎重は186㎝もある。特別なスポーツをしている訳でもないのに、女にしてはちょっと高過ぎるだろう。
それに対しても海馬は全く動じなかった。
「先程言った男性ホルモン剤の作用だ。お陰で全く男である事を疑われた事は無かったがな。こればっかりは女に戻っても縮みはしないだろう。ま、仕方無いな」
そう言った海馬の表情はどこまでも飄々としていたが、どことなく寂しく見えたのはオレの気のせいだろうか…?
そんな海馬に何か話しかけたくて言葉を探していると、横にいた漠良が「はーい! 次僕ね~」と手を挙げて口を開いた。
「海馬君、おっぱいは? 女の子ならおっぱいあると思うんだけど、どう見ても胸真っ平らだよねー?」
漠良の突然の質問に海馬を除いた全員が吹き出してしまう。後ろを振り返るとこっちに注目してたクラスメイトも全員吹き出していた。
ば…漠良…お前なんて事訊くんだよ…。よりによっておっぱいとか無しだろう…。せめて胸とか言え…って違う!!
オレが頭を抱えて唸っていると、海馬は自分の胸に手を当て何てこと内容にしれっと答えた。
「あぁこれか? 成長期にサラシを強く巻いて成長を止めたのだ。その頃にはもう男性ホルモン剤の注射もしていたし、そのせいであまり成長する事が無かったな…」
海馬の言葉に周りが言葉を無くす。女なのにそうまでして男にならなくてはならなかったコイツの状況に、何も言えなくなってしまったのだ。
杏子なんて「海馬君…可哀想…」と呟き涙まで浮かべている。
「成長期なんてただでさえ乳腺張ってるのに…。それを無理矢理サラシで押さえつけたりしたら凄く痛かったんじゃない? 可哀想に…」
「まぁ…痛かった…かな。今はもう忘れてしまったが」
少し寂しそうな顔をした海馬の頭を、杏子がよしよしと撫でる。って、おい!! 杏子お前、海馬の頭を撫でるなんてそんな大胆な事を!!
どうなっても知らないぞ…と恐る恐る見守っていると、意外にも海馬は大人しくしていた。それどころか何だか気持ち良さそうにしている。
「海馬君、これからはいい友達になりましょう。私、貴女となら女の子同士のいい関係が結べそうな気がするの」
「そうか。オレも女に戻ったばかりで分からない事だらけなのだ。よろしくな真崎」
「うん! よろしくね海馬君! ところで女の子に戻っちゃったのならやっぱ海馬さんって呼ばなくちゃダメ? 海馬君の方が呼びやすいんだけど」
「勝手にするがいい。オレはどちらでも構わないが、慣れてる方がいいのなら今まで通りでいいんじゃないか?」
「あ、そうなの? 良かった-。じゃ、これからも海馬君って呼ぶね?」
すっかり周りを置き去りにして女同士でキャッキャっと盛り上がってしまった二人を、オレ達は呆然と眺めた。
打ち解けるの…早過ぎ。
女になるって、こんなとこまで変わっちゃうのかよ?
今まで何とか海馬に近付きたくてオレは頑張って来た。友人になるのは無理でも何とかオレの事を認めて貰いたくて、何よりその青い目でオレの事だけを見て欲しくて、その事だけに夢中になっていたのに。
何だかアホらしくなってガックリ肩を落とした時だった。その視線に気付いたのは。
いつの間に見られていたんだろう。その憧れていた青の瞳が真っ直ぐにオレを見つめていた。
「城之内…」
海馬の唇が何か言いたそうにオレの名前を呼ぶ。
「え? 何…」
それに答えようとしたが、無情にもその時二限目を告げるチャイムが鳴った。
皆で慌てて自分の席に戻っていきながら、オレは振り返ってもう一度海馬の顔を見た。
その顔は今まで見た事が無い、とても切ない表情をしていた。
その手紙には、
『自分の真実の姿を全て晒してしまえ。
そうすればお前は、お前の望む幸せを確実に手に入れる事が出来るだろう。
お前が本当の幸せを手に入れたその時、それこそが真実の証明となる。』
と、書かれていた…。
城之内×海馬。
城之内の一人称です。
今回はコメディを入れつつ軽めな感じになっております。
あと、海馬が完全女体化していますので、女体化等が苦手な方はご注意下さい。
むしろここで回れ右して頂いた方が良いかと思われます(´∀`;
お彼岸なので墓参りに行ったはいいが、頭の中身は煩悩だらけな二礼です、こんばんは。
それにしても今日はいいお天気でしたね~。
墓掃除してたら汗出てきましたw
午前中は大雨だったので心配していたのですが、こういう暖かい日を迎えると、もう春なんだなぁ~としみじみ感じます(´―`)
ていうか、年寄りくさいなw
あと久しぶりに弟に会ったら、何かおっさんになってました。
お互い年取ったな…orz
短編『素質』をUPしました。
ガッツリエロが書きたかったのでガッツリいってみました。
よりにもよって失禁ネタです。
読んで下さった方々がまるで小波の様に引いていくのが目に見えるようだわぁ…(´∀`;
でも一度ヤッテミタカッタンダ!
大はダメだけど小なら全然OKです。
ダメ過ぎる…w
以下は拍手レスになりますです。
>Rosebank様
こんばんは~!
拍手とコメント、いつもありがとうございます(´∀`)
そうですか。やっぱりあの夢は怖かったですか…。
実は私も読み返して、アレは完全にホラーだと思いましたw
脚色しすぎたかな…;
子供の頃って結構怖い夢見たりしますよね~。
大人になると夢自体余り見なくなって(多分覚えてないだけなんでしょうけど)、ちょっと寂しい気もします。
あ、でも、この間久々に城海のエロイ夢見ちゃったんで、ネタが出来たと一人で喜んでいます(´m`)ムフフ
それにしても『冷たい手』の海馬はツンデレだったとは…。
書いていた本人は全く気にしていませんでしたw
城之内を帰らせた後にやっぱり気になって見に行ったら、鍵は開けっぱだわエライ魘されているわで、放っておけなくなっちゃったんですよw
まぁそこで仕事を優先しないのは、やっぱり『愛』なんでしょうねぇ…w
あと描写が細かいと言って下さった事についてですが。
私は『誰』が『いつ』『どこで』『何をした時』に、その前後の行動に矛盾が生じていないか、結構細かく見直しながら書いてたりしてます。
好き勝手に書き綴ると、後から読んだ時に物凄い矛盾だらけな事に気付いたりするんですよw
ですからなるべくチェックを入れつつ書いて、書き終わった後も何度も読み返します。
まさに三歩進んで二歩下がる勢いで書いているので、いつまで経ってもスピードが上がらないんですよw
ホント…もっと早く小説が書けるようになりたいです…orz
それでは今日はこの辺りで失礼します(´∀`)
ではまた~!
城之内×海馬。
失禁ネタ有りなので、そういうのが苦手な方は要注意です!
何かもう20禁くらいな気がします…;
「…っ! …の…うちっ…! 城之…内…っ!」
さっきから海馬がしつこくオレを呼んでるけど、オレは無視してずっと雑誌を読んでいた。
ついでに喉が渇いたなーとか思って、部屋に備え付けられている冷蔵庫から勝手に飲み物を拝借して、アイツの前で美味しそうに飲んでみせる。
それを見て、また海馬がぶるりと身体を震わせた。
海馬は今後ろ手に縛られて、下着一枚でベッドに転がされている。
その体内にはローターが入れられていて、先程から震え続けるその小さな玩具に海馬は翻弄されていた。
もう一時間以上もそうやって攻められ続けているせいだろう。海馬はそろそろ限界が来ているらしかった。身体の昂ぶりと…あと多分別の限界が。
「城之内…っ。頼む…も…う…っ!」
「もう…何?」
「もう…ト、トイレに行かせてくれっ…!」
オレの意地悪な質問に海馬は顔を真っ赤にして懇願する。
先程からずっと尿意を訴えているのを、オレは敢えて無視していた。
だけどもう本当に限界なんだろう。
身体の震えは止まらず顔色も悪くなって来たので、オレはわざと大げさな溜息をついて立ち上がった。
「しょーがねーなぁ。ほら、立てよ」
海馬の細い腕を掴んでガクガク震えている身体を無理矢理持ち上げる。
そのまま洗面所に連れて行くが、トイレのドアは開けずに代わりに風呂場にコイツを押し込んだ。
「じょ…のうち…?」
不安そうな顔をしてこっちを見てくる海馬にオレは笑って見せた。そして海馬の肩を押してそのまま冷たいタイルの上にぺたりと座らせると、顔の前に半勃ち状態のオレ自身を差し出した。
「コレを上手くしゃぶれたらトイレに連れて行ってやってもいいぜ? 漏らしたくなかったらちゃんとイカせてみせな?」
「なっ…!」
途端に眉根を寄せてこっちを睨んで来るが、そんな顔したって怖くも何とも無い。以前有利なのはオレの方だからだ。
先端を海馬の口元にぐりぐり押しつけながら、オレはわざと冷たく言い放つ。
そして足で海馬の下腹をグイッと押した。
「出来ないんなら別にいいんだぜ? 漏らしたけりゃここで漏らしちまいな」
「あぅっ…! わ、わかった…から…っ! やるから止めてくれ…っ!」
慌てた海馬がそう言って身を捩った。そして恐る恐る舌を出して目の前のオレのペニスをペロリと舐める。
一旦触れてしまえば海馬も吹っ切れるらしく、暫く全体に舌を這わせるように舐めていたかと思うと首を伸ばして濡れたペニスを銜え込んだ。
「んっ…! ぐっ…。ふぅ…んっ!」
両手が縛られている為にいつもみたいに上手く出来ないらしい。それでも夢中になって顔を上下に揺らしてオレを刺激する。
時折感じやすい先端をチロチロと舌で擽って、そのままパクンと銜え直すと強く吸い上げられた。
相変わらずフェラが上手いなぁ…と思う。
溜まらなくなって海馬の頭を両手で掴むと、無理矢理腰を振って海馬の小さい口に自分のを出し入れした。
それと同時にもう一度足で海馬の下腹をぐっと押し込む。
「んっ…!! んんっ!! っ…ん―――っ!!」
目を一杯に開けて何か悲鳴を上げてるらしいが、オレのを口一杯に頬張っている為よく聞こえない。
「お前すげぇな~、こんな事されて感じてるなんてさ…。やっぱ素質あんじゃねーの? こういう事される素質がさ」
オレの言葉に海馬が目を細めて小さく喘ぐ。
その顔を見て急激にゾクゾクとした快感が背筋を昇ってきて、オレは耐えきれずに海馬の口から己のペニスを取り出すとその顔に向かって射精した。
途端に海馬の上気した綺麗な顔が、オレの精液で汚れてしまう。
「んっ…! ぁっ…! あっあっあぁぁ…っ。ひゃ…やぁっ―――!!」
目を一杯に開けてブルリと身体を震わせて海馬が喘いだ。
その瞬間にオレは自分の足が何か生温い液体に濡れたのを感じる。
体内から尿が漏れる独特の水音が響き、オレは海馬が失禁したのを知った。
「あーあ。我慢出来なかったのか。どうすんのよ、こんなに漏らして」
「んっ…ふっ! やぁ…んっ! んんっ!!」
オレが言葉でもなじるとそれだけでも感じてしまうのか、海馬がまた身体をビクビクと震わせる。
その震えに覚えがあって思わずしゃがんで海馬の下着を脱がせてみると、思いっきり中に射精してしまっていて下着が凄い事になっていた。
「おーい、漏らしただけでイッちゃったのかよ。すげーなコレ。ドロドロになってんぞ」
オレの言葉に海馬が真っ赤になって俯いてしまう。
それを見てオレはシャワーヘッドを取り上げて、コックを捻って水を出す。
「何かお前、色んな汁で汚れちまってんなぁ…。仕方ねーから綺麗にしてやるよ」
水がお湯になったのを手で確認して、海馬の頭の上から思いっきりかけてやった。
海馬の身体を伝って流れ落ちたお湯は、排水溝に小便やらオレと海馬の精液やらをゴポリと音を立てて流し去る。
暫くザーザーとしたシャワーの音だけが浴室に響いていたが、不意にタイルの上に座り込んだままだった海馬が何かを呟いたのが聞こえて来た。
「ゅ…ん…だ…」
「は? 何? よく聞こえないんだけど?」
とぼけた声で聞き返したオレに海馬はガバッと顔を上げ睨み付けて、浴室中に響く大音量で怒鳴った。
「五十点だと言ったんだ!! 貴様ーっ!!」
「えぇー!? そりゃ無いよ!! オレ頑張ったのに!!」
海馬の付けたあんまりな点数にオレも叫んでしまう。だがそんなオレの声に負けじと海馬が怒鳴る。
「何だ最後のシャワーは!! 貴様何で温度なんぞ確かめてるんだ!! お陰で今まで感じていたせっかくの屈辱感が全てパーだわ! むしろ何かキュンキュンしてきおったわ馬鹿者が!!」
「水なんかかけたら風邪ひいちまうだろー!? ていうかキュンキュンでいいじゃんよ! 何がいけないんだよ、もう~! こんなエッチしないで、もっとラブラブなセックスしようぜ~?」
「ラブラブなヤツなら普段からやっているではないか! たまにはオレの趣味に付き合えこのたわけが!!」
そうです。これが海馬と付き合って初めて知った事実。
実は海馬は…ドMでした…。
最初の頃は普通に甘いセックスを楽しんでいたんだけど、やっぱりそれじゃ物足りなかったらしく、最近ではこういうプレイを強要してくる始末です。
オレは海馬が望むほどSじゃないから、はっきり言ってこんな風に攻めるのは苦痛を覚える。
海馬が楽しんでるのは分かるんだけどさ、やっぱり苦しそうな顔見るとこっちが辛いじゃん…。
「だからさ、もっと普通のセックスしようよ~」
オレがそう説明すると、何を思ったのか目の前の海馬がニヤリと笑った。
「フン。安心しろ凡骨。貴様もなかなか素質があるぞ? こういう事をする素質がな」
さっきオレが言った台詞を捩って言い放つと、海馬はむき出しのオレの性器に頬ずりをする。
そして下からオレを見上げて誘惑してきた。
「さて凡骨。勿論これで終わりじゃないんだろう?」
ベロリと舌舐めずりをしながらそう言われて、オレの背筋にゾクゾクとした快感が走る。
確かに海馬の言う通りオレにも素質があるのかもなぁ…とか考えながら、オレは海馬の腕を掴んで無理矢理立たせた。
「わかったわかった。んじゃ、続きはベッドでどう? オモチャも取ってあげないといけないしな」
オレの言葉に海馬が上気した顔でフルリと期待に震えるのを見て、オレもまた興奮してしまう。
このままこの手のプレイにハマるのは嫌だなぁ…とか思いながらも、オレは次はベッドの上でどう海馬を虐めようかと、そればっかり考えていた。
漸く春が本格的にやってきたようで一安心している二礼です、こんばんは。
近所の庭に植えられているユキヤナギもポツポツ花開いてきて、あとは桜の開花を待つばかりです(´∀`)
早くお花見がしたいなぁ…。
そして冷たいビールが飲みたい…(´¬`)
花より団子ならぬ、花よりビール…。
って、どんなオッサンだコレw
短編『冷たい手』をUPしました。
この小説で城之内が見ている夢のモデルは、二礼が小さい頃実際見ていた夢そのものです。
家に帰ると誰もいない&何も無いというまさに廃墟の状態で、一人途方に暮れるという夢でした。
実はこの廃墟の夢っていうのは、家庭環境にストレスを抱いている子供が良く見る夢らしいですよ?
本来だったら自分を護ってくれる安全な場所の自宅が廃墟になっているというのが、そこに安心感を見出せて無いという事らしいです。
実は二礼の小さい頃の家庭環境は、何となく城之内家と似てました。(あそこまで酷くはありませんでしたがw)
という事で自分が見ていた夢を城之内にも見せてみた訳ですが…。
ゴメンw 脚色したらちょっとしたホラーになったwwwww
でも反省はしていないwwwww
最近切ない系が続いたので、そろそろガッツリエロが書きたい今日この頃です。
見て下さる方々が思わず引くぐらいのエロが書きたいわぁ…(*´д`*)
以下は拍手お返事でございます~。
>Rosebank様
こんばんは~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)
原作の『夢一夜』を読んで下さったんですね~。
『夢/十/夜』は本当に不思議なお話ばかりが載っているんですが、私はやっぱり『夢一夜』が一番好きです。
あんな短いお話なのに、その全てが美しく感じられる作品など、そうそう無いと思います。
やっぱり漱/石先生は凄いです!!
ミクの『夢一夜』もいいですよね~!
原作の雰囲気を壊すどころか、いい具合で盛り上げてますよね。
ちなみにRosebank様がおっしゃられている通り、私は結構切ないお話が好きだったりします(*'-')
それこそ自分で書くのもそうですが、他の方のを読むのも好きです。
まぁ、私が書くとどんなに切ないお話でも、結局最後には救済措置という名のラブっぷりが待っていますが…ねw
あぁそう言えば、確かにウチの城海は浮気しないかも…w
恋人として成立する前だったらお互い自由に遊んでいても、成立後は多分お互いしか目に入らないんだと思います(*´∀`*)
うははw ダメカップルだわw
それでは今日はこの辺りで失礼させて頂きます(´∀`)ノシ
曜日設定が分かりやすいとおっしゃって下さって、こちらも覚悟が出来ましたw
これからも頑張りますね~!
城之内×海馬。
弱っている城之内が見る悪夢の話。
優しい人ほど手は冷たいって言いますよね。
風邪をひいたんだと思う。
朝から何だか調子が悪い。頭がボーッとして食欲も無いし喉も痛い。どことなく熱があるような気がする。
普段だったら速効布団に潜り直して学校を休むオレだけど、今日ばかりは無理してでも登校しなくてはいけなかった。
というのも、今日の夜のフライトで海馬が二週間ほどアメリカに出張に行ってしまうからだ。
たかが二週間されど二週間。
友人同士だったらあっという間に過ぎる二週間という時間も、恋人同士となると途轍もなく長い時間に感じる。
だからこそ少しでもその顔を見ておきたくてこうして無理をして学校に来ているというのに、オレの額に冷たい手を当てた海馬は速攻「帰れ」と言いやがった。
「凡骨…、貴様熱があるぞ。どうりで朝から様子がおかしいと思っていたのだ。今日はもう帰れ」
「い…嫌だ」
「嫌だではないわ、馬鹿者が。無理をしてどうにかなる熱じゃないぞ」
「せめて一緒に昼飯は食いたい…」
「全く食欲が無さそうな顔をして何を言う。さっさと家に帰って寝ろ」
「嫌だってば。だってお前、今日の夜にはもうアメリカに行っちゃうんだろ? だったらもう少し側にいさせてくれよ…」
「二週間もすれば戻ってくると言っているだろうに。いいからもう帰れ。これ以上我が儘を言うようだったら、SPを呼んで無理にでも家に送り届けるぞ」
海馬の非常な最後通告に、オレは渋々早退する事となった。
大体アイツは全然分かっていない。恋人だったら常に側にいてベタベタしたいと思うのが普通じゃないのか? それなのに海馬は常にさっぱりし過ぎている。そのさっぱりさ加減といったら依然と全く変わっていない。
オレ達本当に恋人同士になったんだろうか…と、時々本気で悩んでしまう程だ。
発熱している為に重く感じる身体をふらつく足で支え、何とか自宅のある団地まで帰ってきた。
一階の部屋の前で箒をかけていた品の良いおばさんが、オレを見て軽く会釈をする。オレは同じように会釈で返して、階段を昇り始める。
昔、あの部屋にはギャンブル好きのお爺さんが住んでいた。
パチンコと競馬が大好きで、よく階段の踊り場で親父と盛り上がっていたのを思い出す。
パチンコで勝つと大体は現金に換えてしまうものの、たまにキャンディーやチョコレートやスナック菓子などを持って来てくれて、オレや静香にくれたりした。
基本的に明るくて人の良いお爺さんで、オレや静香はお菓子を貰う度に懐いていたものだった。
そのお爺さんも数年前に病気で入院したきり、戻って来ることは無かった。
亡くなる直前に故郷の病院に転院したらしくて、こっちで葬式をする事がなかったから詳しい最後は分からず仕舞いだ。
二階の自宅前に辿り着くと、向かいの部屋から若夫婦が揃って出てきた。
一階のおばさんと同じように軽く会釈して、二人で階段を下りていく。
今は若夫婦が住んでいるこの向かいの部屋は、昔は息子と二人暮らしのおばさんが住んでいた。
何でも息子さんがまだ小さい頃に旦那さんと死別したらしく、仕事をしながら女手一つで立派に子供を育てている凄い人だった。
オレと静香が子供の頃、そこの息子さんは既に大学生になっていて、おばさんは「漸く肩の荷が下りたわ」と良く笑っていたのを覚えている。
玄関の靴箱の上に水槽が一つ飾ってあって、その中に既に鮒サイズにまで大きくなった金魚が一匹泳いでいた。
白と赤の斑の金魚は、息子さんが小学生の頃、近所の祭りの屋台で取ってきたものだと言っていた。
何でも五匹釣ってきた内四匹は早々に死んでしまったが、これだけが大きく育ってしまったらしい。
おばさんはよく、オレと静香にこの金魚に餌をやらせてくれた。
オレの家ではペットを飼うことは禁止されていたから、生き物に餌をやるという行為そのものが凄く嬉しかった。
自分達の手で水槽の上から金魚の餌をパラパラと入れると、それをパクリと食べてくれて、その度に静香は声を上げて喜んだ。
懐かしい思い出だけど、そのおばさんも既にここにはいない。
去年の今頃、結婚した息子さんに連れられて遠くの地へ引っ越して行ってしまったからだ。
長く同じ場所に住んでいれば自ずと環境は変わっていってしまう。
一階のお爺さんも向かいのおばさんも、そしてウチも…。
鍵を開けて家に入ると、中には誰もいなかった。
親父はまたどこかにフラリと行ってしまったらしい。こんな風に突然いなくなるとなかなか戻って来ないが、具合の悪い今のオレには丁度良い。
台所に行ってコップに水を一杯汲んで、それを一気に飲み干す
制服を脱いで寝間着代わりのTシャツとスウェットに着替えると、そのまま敷きっぱなしの冷たい布団の中にくるまった。
布団に入ってから鍵を閉め忘れた事に気付いたけど、別に盗まれるものなんて無いし何だか面倒臭くなってそのまま目を瞑ってしまう。
本当は眠りたくなんてなかった。
こういう風に具合が悪い時や悩み事がある日など、決まって同じ悪夢を見ることが分かっていたから。
どういう内容かも覚えているし展開も全く同じだけど、夢の中のオレは違う行動を取ることが出来ない。
あの夢だけは嫌だった。起きた時凄く嫌な気分になるから。
だけど発熱したオレの身体は少しでも頭と身体を休ませようと、無理矢理眠りの世界へと引きずり込んでいった。
夢の中のオレは小学生で、親父もお袋も静香もまだこの部屋で一緒に住んでいた。
たまには家族四人で遊びに行こうと、オレ達は手に手を取り合って遊園地へ向かう。
今は海馬ランドが立っているあの地は、昔は市営の小さな遊園地があった。
海馬ランドに比べれば遊具もショーも大した事無いけど、それでもオレと静香にとってはまさに夢の楽園だった。
遊園地に着くと、オレと静香はまず中心部に立っている観覧車に向かう。
それに乗って遊園地全体や、童実野町を見渡すのが大好きだった。
親父とお袋は外で待っていて、オレと静香だけが観覧車に乗せて貰う。
頂上に近付くにつれ遠くの景色まで一気に見渡せて、思わず窓に張り付いて溜息を吐いた。
「ほら静香! アレ、ウチの団地だぜ! ここからでも良く見える」
「本当だね、お兄ちゃん。凄いね~」
観覧車の上からは何でも見えた。
自分達が住んでいる団地も、オレと静香が通っている小学校も、大きな船が泊っている童実野港も、遠くの山並みも、全て見えた。
観覧車は少しずつ高度を下げて、やがて地面が見えてくる。
残念に思いながらも係員のお兄さんがドアを開けてくれたのを見て後ろを振り返った。
「ほら静香、もう出るよ…。あれ? 静香?」
さっきまでオレと一緒に騒いでいたはずの妹が、何時の間にかいなくなっていた。
大変だと思い慌てて観覧車を飛び降りて、待っててくれた両親の元に行こうとすると…そこにも誰もいなかった。
妹や両親だけじゃなかった。
周りを見渡すと、さっきまであれ程沢山いた人達全員が消えてしまっている。
足下を見ると、さっきまで整然と並んでいたタイルのあちこちが剥げてしまって、名前も知らない雑草が何本も生えていた。
後ろからキィ…キィ…という耳障りな金属音がする。
何事かと振り返ると、さっきまで乗っていた観覧車が動きを止めすっかり錆び付いてしまっていて、外れかけた金属片が風に揺れて嫌な音を出していた。
それを見てぞわりと背筋が寒くなる。
自分はここにいてはいけないんだと強く感じて、慌てて遊園地の出口へと駆けだした。
誰もいないゲートを潜り抜けて街に出ると、そこは真っ白い霧で覆われていた。
勿論街の中にも人っ子一人いない。
慌てたオレはとにかく家に帰ろうと走り出す。
見覚えのある道を走って走って走って、何とか団地まで辿り着いて二階まで駆け上がり自宅のドアを開けた。
「父さん! 母さん! 静香!」
だけどそこには誰もいなかった。誰もいないどころか、何も無かった。
玄関に置いてあった靴箱も、みんなの服が入った洋服ダンスも、リビングに置いてあったテーブルも椅子も、親父がよく野球中継を見ていたテレビも、押し入れに入れてあった皆の分の布団も、全て無かった。
畳も全て剥がされていて板間が剥き出しになり、何に使うのか分からない材木が何本か壁に立てかけてあるだけ。
タンッ…タンッ…と規則正しい音がして思わず振り返ると、きちんと閉められていなかった蛇口から漏れた水滴がシンクに落ちていただけだった。
「父さん…? 母さん…? 静香…? どこに行ったの…?」
恐怖で身体がガクガクと震える。
震える足で後ずさりして部屋から飛び出した。
とにかく助けを呼ばないとと思って向かいの部屋のドアを夢中で叩いた。
「おばさん! おばさん助けて!!」
中から返事は無かったものの、オレは思い切ってそのドアを開ける。
するとおばさん家も何も無かった。
靴箱の上にはあの水槽がそのまま置いてあったけど中には何もいなくて、腐って濁ってしまった水がゆらゆらと揺れているだけだった。
慌ててそこも飛び出して一階へ駆け下りる。
一階のお爺さんなら何とかしてくれると思いドアを開けるけど、やっぱり誰もいなかった。
玄関にはお爺さんがよく持って来てくれた駄菓子の袋が散らばっているだけで、誰の気配もしない。
「………」
絶望感に打ちひしがれてノロノロと団地から出てくる。
外は相変わらず真っ白な霧で覆われ、何の音もしなかった。
ここは確かにオレの知っている街。だけど知っている筈の街でオレは一人迷子だった。
誰もいない、誰も助けてくれない。
みんなオレを置いてどこかに行ってしまって、この霧の街でオレはひとりぼっちだった。
「っ…! ひっくっ…! うぇ…っ! うわぁぁぁぁぁ―――ん!!」
耐えきれなくてついに大声で泣き出す。
誰か助けてと大声で叫んでも、助けに来てくれる人は誰もいない。
絶望感と孤独感に耐えきれなくなった時、普段だったらそこで唐突に夢が覚める筈だった。
だけど今日に限って夢は終わらない。
夢の中のオレはある人物を思い出していた。
「海馬…。海馬ぁ…っ」
海馬ならきっと何とかしてくれると、訳の分からない妙な自信が出てきて、オレは泣きながら童実野町の中心地へ走り出した。
独特な形状の海馬コーポレーションビルまで全速力で走っていって、三体のブルーアイズ像の間を抜けて入り口の自動扉に縋り付いた。
だけどそこも他と変わらずガラスの向こうには誰もおらず、自動扉も少しも反応しない。
「どうして…。どうしてだよっ…!」
オレはやりきれない思いで拳で扉を叩き、ついにしゃがみ込んでしまった。
もうこれで本当にダメだと思った。
顔を上げて周りを見渡す勇気も無くなって、ただしゃっくり上げて泣き続けるしかなかった。
ふと、突然目の前の自動扉が開く音がした。そして誰かが目の前に立ったのが雰囲気で分かる。
冷たい手がオレの頭に触れて、そして頬に流れ落ちた涙を拭った。
「海馬…?」
その手に導かれるように顔を上げると、確かに目の前にいたのは海馬だった。
大人の海馬が子供のオレに視線を合わせるように膝を付いて、こっちを見詰めて微笑んでいる。
「済まなかったな、城之内…。遅くなった」
その言葉を聞いた瞬間、オレはたまらなくなって目の前の身体に抱きついた。
普通の人間よりすこし体温は低いけど、確かに感じる体温と質感。そこにいたのは幻でも何でも無く、間違いなく海馬本人だった。
「海馬…っ、海馬…っ!」
「もう大丈夫だからな、城之内」
「お前…! もうどこにも行くなよ…! オレ…怖かった…っ!」
「あぁ、ここにいる。だから安心しろ」
海馬の冷たい手が優しく優しく頭を撫でてくれて、オレは漸く安心することが出来た。
「ん…? あれ…?」
頭を撫でられる感触が妙にリアルで目を覚ますと、何故かそこにも海馬はいた。
一瞬まだ夢を見ているのかと思ったけど、どうやらこっちは現実世界のようだ。
「海馬…?」
「目が覚めたのか? 城之内」
「今…何時…?」
「夜の八時だ。随分眠っていたな。具合はどうだ?」
「お前…何でここにいるの…?」
「駄犬が本気で具合悪そうだったからな。日程をずらして貰ったのだ」
酷いこと言ってる割には優しそうに微笑んで、海馬は一旦オレの側を離れた。
手に何かを持って直ぐに戻って来た海馬は、オレの側に膝を付いて背中に手を入れて上半身を起き上がらせてくれる。
「喉が渇いただろう。スポーツドリンクだ。飲んでおけ」
手渡されたそれを受け取って、素直に口を付けた。
汗をかいていたせいか、喉が腫れて痛かったけれど一気に半分近くまで飲み干してしまう。
それを見て思いの外大丈夫だと思ったらしい海馬は、そのままテキパキとオレの世話をし続けた。
熱いお湯で固く絞ったタオルで身体を拭いてくれて、新しいパジャマと下着を用意して着替えを手伝ってくれる。
さらにはオレが起きている内にとお粥まで作ってくれて、市販の薬を飲ませてくれた。
最後のトドメとばかりに冷却シートを額に貼られ布団に押し込まれる。
「サンキューな…」
再び布団に戻りつつ礼を言ったら、海馬は「フン、凡骨が」と鼻で笑っていた。
「礼を言う暇なんぞあったら、さっさと寝て良くなるがいい」
「嫌だ…。オレ、もう眠りたくない…」
「また嫌だ…か。余り我が儘を言うな」
「寝ると悪夢を見るんだよ。昔から具合悪い時とかによく見るヤツ。すっげー怖いんだ。実はさっきも見てた…」
「ふむ…。そういえば先程魘されていたな」
そう言うと海馬はそっとオレの頭を撫でてくる。
「約束する。お前の熱が下がるまではどこにも行かない、ずっとここに居てやろう。夢に魘されたらまた起こしてやるから…。だから安心してもう眠るがいい」
冷たい手で何度も何度も優しく髪を梳かれて、眠りたくないのにウトウトと意識が遠のいてくる。
眠りに落ちる瞬間、「おやすみ城之内」と頬に優しいキスの感触がして、オレは少し幸せな気分になりつつ意識を失った。
その後も何度もあの夢を見た。
だけどその度にあの冷たい手が現実に戻してくれて、その度にオレは安堵の息を吐く。
だから夢を見るのは嫌だったけど、どこか安心して眠りにつくことが出来たんだ。
海馬の看病のお陰で熱は収まり、次の日の朝には大分体調が戻っていた。
心配した海馬にその日もお世話になってしまい、結局海馬がアメリカに飛んだのは予定から二日も遅れての事だった。
二週間会えないのは変わらないけれど、オレはもう我が儘を言うつもりは無かった。
だってそんな事しなくたって、あの冷たい優しい手はいつだってオレに伸ばされてるんだと分かったから。
だからあの夢はもう怖くない。
だって最後にはお前がちゃんと助けに来てくれるって分かっちまったからな。
「早く帰って来いよな。オレお前に一杯お礼しなくちゃいけないんだから…」
あの冷たい手を思い出しつつ、オレはどうやってお礼してやろうかと二週間後を楽しみに待ち続ける事にした。
春からペースを落とすことにしたはいいけど、どう落としたらいいのか分からない二礼です、こんばんは。
とりあえず週に半分はお休みを貰って、小説を書き貯めようかなーと思っています。
(ストックがついに無くなりましたw 儚い命だった…orz)
んでどうしようかなーと考えた結果、月木土にしました。
何故月木土なのか。
それは二礼がお仕事の日だからですw
お仕事の日は更新はお休みって、自分で覚えやすいだけですw
と言う訳で、日火水金の四日間はなるべく更新したいと思います。
頑張りますけど、頑張りきれないかもしれません…(´∀`;フヒヒサーセン
そんな時は生暖かく見守って下さるとありがたいですw
短編『夢一夜』をUPしました。
かねてから書きたいと思っていた『死』についてのお話です。
元ネタは夏/目/漱/石の『夢/十/夜』の中の『夢一夜』です。
凄く儚くて綺麗な話で大好きなんですよ~。
そういえば『一夜』ってつい『いちや』って読んじゃうんですけど、本当は『ひとよ』なんですかね?
詳しい事知ってらっしゃる方がいたら教えて下さい。
あと、二礼の大好きなボカロにも、同名のオマージュ作品としての曲があります。
凄く美しい曲なので、是非聴いてみて下さい~!
以下は拍手レスになります~。
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございます~!
連日きちんと頂けて、本当に身が引き締まる思いでございます(`・ω・´)
『自慰』というマニアックプレイにも付いて頂けたようで、ホッと一安心していますw
まぁ何が書きたかったかと言うと、お互いが大好きな城海と過去を気にしなくなった海馬の二点だったんですが…、何かそんなのどうでも良くなってますよね? コレw
それにしても四十八手ですか…。
確かに萌える体位もありますが、中には「無理無理死んじゃうからコレ」みたいなアクロバティックなのもありますしねぇ…w
あ、でも海馬は身体が柔らかそうだから出来なくもないか…(´_ゝ`)
そう言えば四十八手って、一々技の名前が綺麗ですよね~。
この辺に日本人の風流さが現れているような気がしますよね。
やっている事はただのエロですがw
とにかくウチの城海にはこの先も色々やらせる(?)つもりでいるので、見守っていて下さると幸いに思います(´∀`)
それでは今日はこの辺りで失礼します~(*'-')ノシ
追伸…
風邪の事を心配して下さってありがとうございます。
関東に帰って来てゆっくり休んだら少し良くなってきました~。
やっぱアレですよ。
萌えが足りなかったみたいですw
城之内×海馬。
前々から書きたいと思っていた『死』についてのお話。
と言っても死にネタではありません。
例え普段から気に入らない相手とは言え、自分の会社に有益な相手なら仕方が無い事なのだ。
そういう心構えで気の乗らない接待パーティーを終えた海馬は、疲れた身体を引き摺るようにして帰って来た。
帰り際に何かを勘違いしているらしい件の相手から大きなカサブランカの花束を貰い、捨てる訳にもいかないのでそれを抱えてリムジンから降りる。
全く忌々しいと海馬は小さく舌打ちをした。
これを渡してきた時の相手の目付きが如何にも「貴方を狙っていますよ」と言っていて、それだけでも胸くそ悪くなったと言うのに、香りの強すぎるその花は海馬の神経を余計に苛立たせた。
玄関ホールに入って出迎えたメイドに「適当に活けろ」と言って、それを押し付けるようにして渡す。
自分でも使用人に当たるのは筋違いだと思っていたが、どうにもこの苛ついた気持ちを落ち着ける事が出来ない。
そんな海馬の気持ちを察したのか、メイド頭がそっと海馬に耳打ちした。
「先程から城之内様がお待ちでいらっしゃいますよ」
あぁ…と思う。
自分はたったこれだけの事で気持ちが安らぐんだと、他人事のように感心してしまう。
大分前から待っているらしい城之内に会う為に、歩きながらネクタイを解きつつ足早に私室に向かった。
ジャケットを脱ぎつつ部屋のドアを開けると、ソファに座って何かを読んでいる城之内の姿が見えた。
ドアが開いた音に気付いたのだろう。こちらに視線を向けると、嬉しそうに笑ったその笑顔が眩しかった。
「おかえり。遅かったな」
「…ただいま。何を読んでいるんだ?」
「ん? あぁちょっとね。杏子に借りたヤツ」
「貴様が読んでいるのが漫画か雑誌じゃないなんて珍しいな。明日の天気は大荒れだな」
「うるせーなー。オレだって漫画ばっか読んでる訳じゃねーよ。それよりもお前、何か疲れた顔してんなー。こっちへおいで」
城之内が手招きをするのに素直に近付き隣に腰掛ける。すると、それを待っていたかのように後ろから肩に手が回り、ゆっくりと胸元に引き寄せられた。
広い胸に頬を寄せて深く息を吸うと、嗅ぎ慣れた城之内の匂いが胸一杯に広がった。
それだけで先程まで溜まりに溜まっていたストレスが抜けていくような気がして、海馬は漸く安心出来る。
力の抜けた海馬の身体を抱き寄せ、栗色の頭を優しく撫でていた城之内が、ふと何かに気付きその動きを止めた。
くんっと鼻を動かして何かを嗅いでいる。
「何だ…?」
「いや…何かお前…、いい匂いしない? 何だろコレ? 香水みたいな感じ?」
「香水…? あぁ、アレか」
「覚えがあるの?」と聞いてくる城之内に海馬は頷いて答える。
多分もうすぐ答えが分かる筈だと答えると、いいタイミングで部屋のドアがノックされた。
海馬自らがドアまで行って、メイドが持ってきたそれを受け取る。
振り返った海馬が持っていたものは、花瓶に盛大に活けられたカサブランカだった。
「すっげー! 何ソレ!! でっけー百合の花! オレそんなの見たことない」
「カサブランカだ。今日のパーティーで貰った」
適当に答えながらガラステーブルの上にその花瓶を置く。
途端に部屋中に漂う花の香りに、城之内が納得がいったように手を叩いた。
「コレだ! さっきの匂いってこの百合の匂いだったんだ…」
鼻を近付けくんくんと匂いを嗅いでいる姿を見て、海馬は思わず笑ってしまった。
「そんなに嗅ぐな。本物の犬みたいだぞ」
鼻の頭についた黄色い花粉を指で拭い、ついでとばかりに唇に触れるだけのキスをする。
久しぶりに犬呼ばわりされて一瞬不機嫌になるも、そのキスで城之内はすっかり機嫌を直したようだった。
互いの唇や頬や額に軽いキスを何度も繰り返して、二人揃ってすっかりリラックスしてソファに寄りかかる。
海馬の栗色の髪を弄りながら、城之内がふと耳元で囁いた。
「お前ってさ-、恐ろしい程百合の花が似合うよな。綺麗だとは思うけど、ちょっと嫌だ」
言われたことが理解出来ず思わずその顔を見上げると、城之内は少し複雑そうな顔をして笑っていた。
その視線がちらりとガラステーブルの上に移るのを見て、海馬もその後を追った。
そこにあったのは一冊の文庫本。先程まで城之内が読んでいた本だ。
その本のタイトルと著者名を見て、海馬は漸く合点がいったと顔を綻ばせた。
「夏目漱石の『夢十夜』か。貴様が気にしてるのは『夢一夜』の事だろう?」
「あー、やっぱり知ってるのね」
「当たり前だ。オレとお前じゃ情報量が桁外れに違う」
「ひでー言い方…」
がっくりと項垂れる城之内を見て、海馬はクスリと笑った。
夢一夜とは、死んだ女性を墓の前で百年待ち続ける男の話である。
『百年待ってて下さい。必ず会いに行きますから』という言葉を信じて男はひたすら百年間待ち続けるのだが、やがて騙されたんじゃないだろうか…と疑いだした頃、墓から百合の花が生えて約束通り女性が会いに来てくれた事が分かるという内容だ。
悲しい話だと思う。
それでいて美しい話だと思う。
海馬は幼い頃この話を読んだ時、その儚い美しさに泣いた。
その頃既に海馬家に養子に来ていて、この小説に出てくる男のような人間には一生出会えることなど無いと、どこかで諦めてしまっていた。
けれど何の因果か、今自分の目の前にはそれを成し遂げてくれそうな男がいるのだ。
「待っていてくれるのだろう?」
突然発せられた一言に、城之内が驚いたように目を剥いた。
「もしオレが先に死んだら、お前は百年待っていてくれるのだろう?」
「そりゃ…、お前が待っててくれって言うなら待っててやらないでも無いけどさぁ…。百年だぜ? オレ自信ねーなぁ…」
後頭部をガシガシ掻きながらそう呟く城之内に、けれど海馬は自信を持って言い放った。
「いや、貴様は待っててくれる筈だ。百年どころか二百年でも三百年でも…。下手したら一千年でもな」
海馬の言葉に城之内が「勘弁してくれよ」と反論する。
「お前、『百』年で『合』いに来るから『百合』なんだろ? だったらちゃんと百年で会いに来いよな!」
言外に「百年ちゃんと待っててやるから約束は守れ」と言われているような気がして、海馬は嬉し過ぎてまた笑ってしまう。
でも海馬には、本気で城之内を百年も待たせる気は無かった。
「出来れば一緒に死にたいな」
「そうだなぁ。それが出来れば一番いいけど」
少し感傷的になった自分の唇に、城之内がキスを落とす。
先程より少し深いキスをして、そしてそのままベッドへと誘われた。
美しい話だと思う。
それでいて悲しい話だと思う。
好きな相手を百年も待たすなんて、自分にはとてもじゃないけど無理だと思った。
出来れば手に手を取って最後まで共にいきたいと思うのは、果たして後ろ向きな考え方なのだろうか…と海馬は悩んでしまう。
今は答えが出ずともいずれ時が教えてくれると、海馬は今だけは頭の中を空っぽにして、城之内の手に自らの身体を預けることにした。
北海道は吹雪いていました…orz
寒さにやられた二礼です、こんばんは。
北海道とはいえ目的地は道南の函館だったし、3月の半頃だという事で「たいした事ないでしょー(´∀`)」と甘く見てました…。
ごめんなさい。私が悪かったです。
すっげえー寒かったyp!!
翌日は晴れてくれたんで助かりましたが、一面の銀世界に…。
あと一日ずれていたら、吹雪の中を喪服で耐えなければならない事態になっていました…w(法事だったので)
そして案の定風邪は酷くなってしまい、くしゃみと鼻水が止まりませんがな(´∀`;
ちなみに下の写真は、泊っていた観光ホテルから写したものです。
まぁ…雰囲気だけ味わってくれればw
短編『熱情』をUPしました。
一応『勇気の証明』の設定がバックにありますけど、読まなくても大丈夫です。
旅先から帰ってきてすぐガッツリエロってどういう事なのよ…w
萌えに飢えていたんですね、分かります(´_ゝ`)
以下は拍手お返事でございます。
>Rosebank様
拍手とコメ、どうもありがとうございました(*´д`*)
Rosebank様にはどうも、私の頭の中はバレバレのようですね~w
私が小説を書く時、まず一番最初に自分が書きたいシーンが頭に浮かんでくるんですよ。
そのシーンに対して前後左右を肉付けしていくというスタイルなんですけど、この『Last Piece』はまさにあのシーンから始まったものでしたw
でもまぁ確かに、一番最初に出てきたシーンは『廃人社長を襲う城之内』だった訳ですけど、逆に一番書きたかったシーンは『途中で気付いて我慢する城之内』だったりするんです(*'-')
相手の事を考えて自分を自制できる男って格好良いよねってのが根本にありまして…w
なるべく城之内を格好良く書きたいと常々思っているんで、上手く伝わってくれてるといいなぁ…と思います(´∀`)
そう言えば二ヶ月も廃人状態だった人間が起きたら、医者…呼びますよねぇ…。
何か原作の海馬が起きて直ぐヘリでペガサス島へご出発だったんで、そんな事気にもしませんでしたw
社長の身体には自分が付けたキスマーク一杯で、もう城之内は居たたまれないでしょうねぇ…www
やらかしてしまったのは仕方無いので、密かに反省するといいと思います(´―`)
私の風邪の事や旅行先での事など、色々心配して頂いたようでありがとうございます。
お陰で無事に帰って参りました~!
これからも頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
それでは今日はこの辺で失礼しますね~(´∀`)ノシ
城之内×海馬。海馬の一人称。
一応『勇気の証明』の後日談みたいな感じで書いてあります。
設定としては『勇気の証明』の二人ですけど、別にあっちを読まなくても全然大丈夫です。そしてまたマニアックにエロイ…;
二週間にわたる過密スケジュールから漸く解放されて、オレは帰りのリムジンの中で一息つく。
ただでさえ世の中は不況だ何だと騒いでいるというのに、月末調整に合わせたかのような不渡りが発生し、オレとモクバはクレームの対応に追われた。
と言ってもまだ小学生のモクバに無理をさせる訳にはいかないので、必然的にその皺寄せがオレ一人の所に来ていた。
丁度その頃、城之内も友人のバイトの代わりを受け持ったりシフトが重なったりと、忙しい時期に入っていたようだった。
お互いにたまにメールをするくらいで、気付いたら丸々二週間ヤツの顔を見ていない。
だがそれも今日までだ。
オレも城之内も今日を最後に片が付くと知って、この後城之内はオレの屋敷を訪ねる約束になっていた。
腕時計を見るともうすぐ十時になりそうで、この分だと夕食を取った後は久しぶりに二人でゆっくり夜を過ごせると密かに期待する。
ところがオレがそう思った瞬間、携帯にメールの着信音が鳴った。
何故かとても嫌な予感がして携帯を開くとそれは案の定城之内からで、件名には一言『遅れる』と書かれていた。
『海馬、ゴメン! シフトで交代してくれるヤツが急に熱が出たとかで休んじゃって時間延長になっちまった。なるべく急いで帰るけど、そっちに着くの0時過ぎそうなんだよね。悪いけど先に寝てていいから』
書かれた内容に盛大に溜息をついてしまう。
せっかく一緒に夜を過ごせると思ったのに、そうは上手くいかないらしい。
それでも明日は予定も無いし夜中にはちゃんと来るらしいので、少々残念に思いながらもオレは諦める事にした。
屋敷に戻って軽く夕食を食べた後、オレは風呂に入ってさっさとベッドの中に潜り込んだ。
後で来る城之内の為に明るさを落としたヘッドライトだけを付けておく。
その時にちらりと枕元の時計を見遣ると『PM11:15』と表示された文字が見えた。
まだ暫くは来そうにないな…と、オレはくるりと背を向けてベッドの中で丸まった。
二週間も会っていないと流石のオレも寂しく感じてしまう。早く帰って来いと自分の身体を抱き締めると、妙に身体の奥が熱くなっているのに気付いてしまった。
「参ったな…」
思わず口に出して呟いて舌打ちをした。
この二週間ずっと会いたいのを我慢してた上にもうすぐ会えるという想いで、オレの身体はすっかり欲情してしまっているらしかった。
振り返ってもう一度時計を見ると『PM11:20』の文字。
それを確認して先程と同じようにドアに背を向け身体を丸めて、オレは自らのパジャマのズボンに手を掛けた。
多分城之内はまだ帰って来ないだろう。四十分もあれば充分誤魔化す事が出来ると信じて、オレは下着ごと太股の中程までズボンを降ろした。
忙しさにかまけて全然構ってやれなかった自身はすっかり勃ち上がってしまっていて、それに少し恥ずかしいと思いながらもそっと指を絡める。
以前までのオレは、こういう自慰という行為について夢中になる事なんて無かった。
たまに生理現象の一環として抜く事はあったが、こんなに誰かを想って身体が熱くなる程欲情した事なんて皆無だった。
全ては城之内と付き合いだしてから始まったのだ。
城之内の事を想うと途端に身体に熱が生まれて下半身がズンと重くなる。
ヤツがオレに触れる度に生まれる熱を思い出すと、心臓が高鳴って頭の中が熱くなる。
以前は数えるくらいしかしなかったこの行為を、城之内と付き合うようになってからは何度してしまっただろう。
誰も見てはいないのに妙に恥ずかしくて、それでもオレは自分の手の動きを止める事が出来ない。
「っ…。ぅっ…ん!」
声を抑えて夢中で自身を擦る。
濡れた水音が掛け布団の中から聞こえて来て、カーッと熱が上がってくるのがいやでも分かった。
「はっ…んっ。あっ…、じょ…ぅち…。じょうの…うち…っ!」
久しぶりに与えられた快感に、それが例え自分の手でものめり込んでしまう。
頭の中では城之内がオレのソレを触っていた。
男臭い笑顔を浮かべて、オレの耳元で愛を囁く。脳内のその言葉に応えるように、オレは城之内の名前を呼びながら少しずつ限界に近付いていく。
もう頭の中はそれで一杯で、だからオレは、背後の寝室に繋がるドアが何時の間にか開けられていた事に全く気付かなかった。
「城之内…っ! あっ…、あはっ…ん! あぅ…、城之内ぃ…っ!」
「何? 呼んだ?」
突然耳元で聞こえて来た声に身体が止まってしまう。
その声は脳内の声ではなく、自分の耳に直接吹き込まれた。
さっきとは別の意味で心臓が高鳴り嫌な汗が流れ落ちる。
恐る恐る後ろを振り返ると、ベッドに半ば乗りかかるように城之内がオレを覗き込んでいた。
「ただいま。何? 自分で慰めてたの?」
城之内の問いかけは、オレの右耳から入って左耳へと素通りしていく。頭の中の血管が破裂しそうにドクドクと脈打っていた。
掛け布団は被ってはいたが、同じ男としてオレのやっていた事に気付かない筈は無い。案の定掛け布団を捲られて、自分のペニスに指を絡めているオレの姿が晒されてしまう。
「やっ…! 嫌だ城之内…っ!」
「何が嫌なの? 続けていいんだぜ」
慌てて身体を隠そうとすると、肩を掴まれてそれを阻止されてしまった。
イク寸前だったオレのペニスはすっかり反り返り先走りの液でグショグショに濡れてしまっていて、それを誤魔化す事はもう出来なかった。
ギュッと両手で握りしめると、それだけの刺激でも感じてしまってペニスに震えが走る。
「ほら、早くイキたいって言ってる。イカせてあげなよ、海馬」
「っ…!!」
「何も我慢しなくていいんだぜ?」
「い…やだ…っ!」
「我が儘言わないで。ちゃんと見ててやるからさ」
恥ずかしくて耐えきれなくて、でも快感には抗えなくて、オレの手は勝手に動いてしまう。
顔も身体も熱くて仕方が無くて、貯まる熱を早く放出したくてたまらなかった。
グチュグチュという音が下半身から響いてきて、それを城之内も聞いているのかと思うと恥ずかしさで死にそうになる。
荒い息が止まらなくて苦し気に呼吸していたら、ベッドがギシッと鳴って城之内が半身を乗り出したのを感じた。
オレに指一本触ってない癖に背後の城之内の息も荒くなっていて、首筋に熱い吐息を感じた。
「あっ…! あぁっ…、んんぅっ…。も…う…っ!!」
イキたいのに城之内の事が気になってイケなくて、オレはもういい加減苦しくなって限界を訴える。
そんなオレの状態に気付いたのだろう。城之内がその顔をオレの耳元に近付け、わざと低い声でボソリと囁いた。
「いいよ。ほら、もうイッて」
「ひっ…! ぁ、ぁ…あぁ…っ! あっ―――!!」
その途端背筋にゾクゾクとした快感が急激に昇ってきて、オレは耐えきれずに達してしまった。
ビクビクと身体を震わせながら自分の手の中に大量の精子を放出する。
それを間近で見ていたのだろう。背後の城之内がゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。
次の瞬間には少々乱暴な動作で太股の途中に引っかかっていたズボンと下着を脱がされてしまう。そのまま俯せにされて、腰だけ高く上げる格好をさせられる。
オレは達したばかりで脱力していて、それに抗う体力が残っておらず、もはや城之内のなすがままだった。
ベッドサイドの引き出しをガサガサと探る音が聞こえる。多分そこに入っているローションを取り出したのだろう。案の定ローションでたっぷり濡らされた手で後孔を探られて、オレは小さく悲鳴を上げた。
「ゴメン。オレ優しくしてあげられないかもしれない」
城之内の言葉にオレは僅かに頷く事で答えた。
多分溜まっているのはオレだけじゃなくて城之内も同じなのだ。
性急にオレの中を慣らし終えた城之内は、素早く服を脱ぐとオレに覆い被さってきた。
そしてそのままオレの後孔にペニスを宛がうと、一気に貫かれる。
「ぃっ…!! いぁ…っ! くぅ…ああぁ―――っ!!」
二週間ぶりの性交にオレの身体は苦痛を訴える。だけどそれ以上の快感と充足感を感じて、オレはガクガクと痙攣してしまっていた。
精液で濡れた手でシーツを握りしめ、衝撃をやり過ごす。
そしてそれに気付いた城之内が、待ちきれないように腰を動かし始めた。
「あっ…、んぁ…っ! やっ…城之内ぃ…っ!」
「ゴメン…海馬…。気持ち…いい…っ!」
「うっ…! はぁ…っ! んっ…ダメ…っ! あっ…! あぅ…んっ!」
「海馬…。海…馬…っ」
「あっ!? あぁっ!! 城之内!!」
何時の間にか前に回った城之内の手が、達したばかりの敏感なオレのペニスを包み込んだ。そのままこびりついていた精液を塗り付けるように、上下に擦られてしまう。
城之内を銜えている後ろの穴からも、そしてペニスを握られている前からも、耳をふさぎたくなるようなヤラシイ水音が響いていた。
イッたばかりだと言うのに、身体は再び限界を訴えている。
「やぁっ…!! も…イク…、もう…無…理…っ!」
「うん…。海馬…一緒に…」
城之内がオレの奥深くに身を沈めながら、再びあの声でオレの耳元に囁いた。
「…イこう?」
「っ―――――!!! ひあぁ―――っ!!」
「ぅっ…!!」
駆け昇る快感に逆らわずにそれを享受する。背筋を弓形に反らしてオレは再び昇り詰めた。
同時に体内に熱い奔流を感じて、城之内もそのまま達した事を知る。
「ぁ…はぁ…」
力を無くしてベッドの上にガクリと崩れ落ちると、城之内もオレの上に覆い被さったまま共に寝転がった。
暫く二人して荒い息をつきながらじっとしていたが、先に復活した城之内がオレの体内から自身を抜きながら苦笑する。
「お前さ…。久しぶりだってのに、何て刺激的なモン見せんだよ」
「見せたくてしていた訳ではない…。自慰くらいお前だってするだろう?」
「一応ノックしたんだけどなぁ…。お前全く気付いてなかっただろ?」
「………っ」
城之内の台詞にオレは言葉をのむ。
確かにノック音にも気付かずに夢中に快感を貪っていたのはオレだから、言い訳など出来る筈もない。
「軽蔑…したか?」
ちらりと視線を上げて城之内の顔を見上げると、そんなオレに城之内はにっこり笑ってみせた。
「まさか。むしろ惚れ直した」
そう言って抱き締めてくる城之内の背中に手を回す。熱くて汗ばんだその身体はとても心地よかった。
「お前を軽蔑する何て事ねーよ。まだそういうの気になってるのか?」
「そういうのとは?」
「だから、自分の身体の汚れがどうとか…とかさ」
城之内の言葉にオレは「フン」と鼻で笑ってやった。
「心配しなくても、今のオレはもう貴様にどっぷり浸かってしまっている。今更汚れなど片腹痛いわ」
最近気付かされた事実。
オレはもうあの頃の事を何とも思ってはいなかった。
それは全て今目の前に居るこの男のお陰で、オレは漸く自身の黒い記憶から抜け出す事に成功していたのだ。
オレの言葉に城之内が至極嬉しそうに笑った。オレもつられて笑い返して、そしてそっと唇を合わせる。
お互いの吐息を奪うかのように舌を絡めるキスをして、角度を変える為に唇を一度離した隙に城之内が「もう一回いい?」と聞いてきた。
オレはそれに目の前の身体を強くかき抱く事で答え、二人でまたベッドに沈んでいく。
今夜は朝まで眠りにつく事は…出来なさそうだ。
前に日記に書いていた通りに、明日から北海道へ送還されます二礼です、こんばんは。
夏は涼しいし湿気が無くて気持ちいいですけど、この季節はやっぱり寒いですよね~…。
冷え性なんで、ちょっと辛いです…(´∀`;
しかもこんな大事な時期に相棒が風邪を移しやがった!!
明日からアンタの実家に行くというのに、私に風邪を移してどうするんだと小一時間(略)
という訳で、PC出来る環境じゃないので更新がストップします。
16日の夜には何か短いのを一本UP出来たら…いいなぁ…。
日記や拍手レスも16日の夜になってしまうのでご了承下さい。
短編『Last Piece』の後編をUPしました。
廃人社長書くの、超楽しかった~ヽ(´∀`)ノ
自分で書いといて何ですが、弱った社長は萌えますねw
まぁ社長もいいんですけど、弱った凡骨も書きたくなってきました…。
フフフ…いつかやってやろう…(´m`)
以下は拍手レスになります。
>Rosebank様
拍手とコメント、どうもありがとうございます~!
前半でプラトニックと見せつけておいて、後半はやっぱり濃くなっちゃいました…w
どうやら爽やか路線な小説は書けないようです。
自分では書きたいと思っているんですけど…ね…(´∀`;
そういえば、確かにウチの城之内は性行為を無理強いしてませんねぇ…。
おかしいな…。私のキャラメモの城之内の欄には『基本エロイ』と書いてあるのに…w
でもまぁ確かにウチの城之内は『海馬大好きっ子』なんで、無理強いして嫌われるくらいだったら自分の方が我慢してしまう部分があるのかもしれません。
ケンカップルも好きなんで、いつかチャレンジしてみたいですねぇ…(´―`)
あと昨日のMADの件なんですけど、抵抗が無かったようで良かったですw
『社/長/夜/行』もいいですよねぇ~。
あのマイクが秀逸ですw
あの走る社長が可愛い過ぎて、是非スクリーンセーバーに出来ないかとアホな事を考えてしまいます(´∀`)
それでは今日はこの辺で失礼します~(・∀・)ノシ
>イミフ メイ様
こんばんは~!
拍手&コメントありがとうございました(´∀`)
メイ様のコメントを見てまず最初に「ヘルクリ同士ゲットだZE!」と思った私は、もう病気だと思いますw
ゴメンナサイw
そうそう、『勇気の証明』を全部読んで下さったのですね!
本当にありがたいです、ありがとうございました~!
乃亜が救われたと書いて下さったので、それを意識して書いていたので凄く嬉しかったです。
ていうか、流石にこれ以上乙女にするのは無理ですw もう一杯一杯ですよw
これ以上乙女にするには本当に乙女にするs…いや、何でも無いです(´_ゝ`;
あと廃人社長についてですが、私も社長が意識を取り戻して車椅子から立ち上がる場面はエロイと思いましたw
何て言うかこう…いけないエロさがありますよね~。
今日UPした話で、城之内はそのいけないエロさに危うくハマりそうになった訳ですけどw
うん。途中で止めさせて良かったです。
最後までやっちゃったら大顰蹙ものでしたw
それではこの辺りで失礼します(´∀`)
週明けにもしかしたらメールでリクエストするかもしれません…(´m`)
ではでは~ノシ
*マークを付けるかどうか迷いましたが、一応そういう意図で行われているシーンがあるので付けておきました。
ちょっとマニアックな描写なのでご注意を。
海馬の心が再び砕かれてしまってから二ヶ月が経った。
アイツが戻ってくる気配は未だ無く、オレはそんな海馬をただ見守るだけの日々が続いている。
学校帰りやバイトが終わった後などはそのまま海馬邸に行って、何も見ず何も聞こえず何も喋らず何も感じず、ただそこにいるだけの海馬の側に付いててやる事しか出来ない。
今日もこうして学校が終わると同時に海馬の所に来ている。
オレの顔を見たメイドさんが「瀬人様は部屋で日光浴をしてらっしゃいます。モクバ様は仕事の都合で会社に行ってらっしゃいますけど、もう少ししたら帰っていらっしゃいますから」と笑顔で教えてくれた。
モクバを初めここのメイドさん達は、どうやらこの状況に慣れきってしまっているらしい。
そりゃ以前に半年も廃人状態だった海馬の世話をしていれば、たかが一ヶ月ぽっちじゃ何ともないんだろうけど。
でもオレは慣れていない。
毎日会いに行っているのに何の反応も返さない海馬を見る度、胸の奥が鷲掴みにされた様な辛さを感じた。
重厚な扉を開いて海馬の部屋に入る。
メイドさんが教えてくれた通り、海馬は車椅子に座った状態で窓辺に放置されていた。強い西日が差していて、ほんのり海馬の頬が赤くなっているのが見える。
オレはベッドの足の部分に学生鞄を立てかけると、海馬に近付いた。
「はは。お前、日光浴ったってこんな西日じゃ暑いだろうに。ただでさえ暑いの苦手なのになぁ」
前髪を片手で掻き上げると、案の定髪の生え際にうっすらと汗をかいている。
オレは車椅子を日陰に移動させると、水差しを取りに行く。冷たいミネラルウォーターを病人用の水差しに注ぎ入れ、それを持って海馬の所に戻って来た。
日陰に移動された海馬は、気のせいか少しホッとしたような顔をしている。
最初の頃は何も感じていないように思っていた海馬も、ここ最近は何となく表情ってヤツが分かるようになってきた。
どうやら意識は無くても、何か感じるものがあるらしい。
「暑くて喉渇いただろ? 今水飲ませてやるからな」
つっと顎を持ち上げて薄く開いた唇に水差しの注ぎ口を差し入れた。水差しを傾けてほんの一口分だけを流し込んでやると、コクリと喉が動いて海馬が水を飲んだのを確認する。
やはり喉が渇いていたんだろう。水を飲んだ海馬は、何となく安心したような表情をしていた。
こういう作業にも慣れてしまった。
最初の頃はどの程度傾ければいいのかさっぱり分からなくて、よく海馬の口から水を溢れさせてはパジャマを濡らしてしまっていた。
その度にモクバに謝ったけど、モクバは「城之内には慣れて貰わなきゃならないから」と言ってオレを怒る事はしなかった。
本当は海馬の世話に慣れたモクバがやれば全て上手くいく筈なのに、モクバは敢えてそういう世話をオレにやらせていた。
多分それがモクバなりの優しさだったんだと思う。
「海馬、もう一口飲むか?」
オレはそう言ってもう一度口に注ぎ口を差し込んで水差しを傾ける。だけどちょっと考え事をしていたせいか、先程より少し多めに注ぎ込んでしまった。
「あ、ゴメ…ッ」
慌てて謝ろうとしたオレは、目の前の光景に固まってしまう。
海馬の口に収まり切れなかった水が一筋、唇の脇から零れ出て顎を伝ってポタリと下に落ちていく。虚ろな表情のまま口の端から唾液を含んだ水をトロリと流している海馬の姿を見て、オレの中の何かがプツンと切れる音がした。
誘われるようにその水に濡れた唇に吸い付いた。
まともな食事をしていないせいだろう。海馬にしては少しかさついた唇を舌で舐め取って、そのまま口内に押し入る。
引っ込んだままの舌に無理矢理自分のそれを絡ませて、唇から新たな唾液を零れさせた。
顔を離すと、目の前の顔は上気して真っ赤になっていた。
多分呼吸が邪魔されて苦しかっただけだと思うけど、それがまたオレを誘惑する。
車椅子に座ったままの身体を抱き上げて、隣のベッドに運んで仰向けに転がした。
その身体の上に乗り上げて、震える手でパジャマのボタンを一個ずつ外していくと、目に眩しい真っ白な肌が目に入る。
オレはそれにゴクリと喉を鳴らし、喉元から順に唇を落としていった。
強く吸い付く度に赤紫の痣が残るのに気を良くし、オレは下へ下へとずれていく。
意識は無くても身体は間違いなく感じているんだろう。淡いピンク色の乳首に吸い付いた時に身体がビクリと跳ね、オレはそれにまた興奮してしまった。
夢中になって縦長の臍の脇にも吸い付きながら、オレは海馬のパジャマのズボンに手をかけた。下着ごとそろそろと引き下げる。淡い陰りがオレの目に入ってきたその時、まるで何かの警告音のように突然パタンと軽い音がして、オレはハッと意識を戻した。
恐る恐る振り返ると、ベッドの足に立てかけたままだったオレの学生鞄が倒れただけだった。だけどオレはそれですっかり正気に戻って、慌てて海馬の身体から己の身体を離した。
呼吸が荒く心臓がバクバクと煩く鳴り響いている。目の前に横たわっている海馬を見て、オレは頭を抱えたくなった。
そこにいた海馬はまるでレイプされた後のような情景だった。
肌蹴けられたパジャマ、散りばめられたキスマーク、そして投げ出されたままの手足と虚ろな表情。
未遂とはいえ意識の無い海馬にこんな事をするなんてと、オレは自分のしてしまった事に激しく後悔する。
「ゴメン…ッ! ゴメン、海馬! オレ…何て事を…っ!」
慌てて乱れたパジャマを元に戻した。そしてギュッと力強く抱き締める。
ずっと寝たきりの為痩せてしまった海馬の身体。薄い肩と浮き出た肩胛骨をそっと包み込んで、オレはついに泣いてしまった。
本当は海馬が目覚めるまで泣く事だけは絶対にしないと決めていたのに、どうしても我慢出来なかった。
オレの腕の中にいる海馬は、本当にただの大きな人形になってしまっている。
同じ人形ならまだ以前の方がマシだった。
話しかければ反応が返ってくるし、目の前にいれば視線をくれる。たとえオレの気持ちを理解してくれていなくても、微笑んだり怒ったり拗ねたりと色々な表情を見せてくれた。
だけどこの海馬は違う。生きてはいるが、生きていないも同然だった。
「海馬…っ、海馬…っ! オレもうダメだ…っ。早く戻って来いよ…っ!」
海馬の心が戻る前に、オレの心が崩壊しそうだった。
遊戯やモクバは絶対に海馬は戻ってくると言っているけど、そんな保証はどこにも無い。
以前半年かかって戻って来たのも、今思えば奇跡としか言いようがない。
ここ最近、オレはずっと「もしかしたら一生このままなのかも…」という恐ろしい思いに捕らわれていた。
それでもその思いを打ち消すように海馬に会いに来ていたけど、それももう限界に達している。
「っぅ…! うぅ…っ! 海馬…っ! かい…ば…ぁ…っ!!」
押さえようとしても嗚咽が出てくるのを止められない。薄い身体を抱き締めてオレはただ泣き続けた。
ずっと我慢していた絶望感に打ちのめされそうになった…その時。
海馬の肩口に顔を埋めていた俺の頭に、ふいにポンと手が置かれる感触がした。
オレ達以外誰もいないこの部屋で、一体誰がオレの頭に手を乗せたんだ…と混乱した頭で考えていると、ふいに耳元で掠れた声が響く。
「泣くな…城之内…」
オレは自分の耳を疑った。
二ヶ月ぶりに聞くその声は間違いなくこの腕の中の人物の声だったけれど、だけどまさかそんな筈は無いと慌てて身体を離して顔を見つめた。
そしてオレはそこで信じられないものを見る。
「か…海馬…」
それはまさに奇跡としか言いようがない光景だった。
濁った青い目に徐々に光が戻って来て、そしてその視線が強くオレを見詰めた。虚ろだった顔に表情が戻って来て、オレと視線が合うとふっと柔らかく笑ったのだ。
信じられない思いでそれを見ていると、ふいに目の前の人物が声を出す。
「城之内、泣くんじゃない。オレは…必ず戻ってくると言っただろう?」
そう言って痩せた顔で微笑んだ海馬に、オレはもう何も言えなかった。
呆然と目の前の海馬を見続けるオレの頬を、少し冷たい手が包み込む。
「あぁ…そうか…。こういう気持ちか…」
笑みを深くして海馬が安心したように言った。
「良かった…。漸く分かった…。そうか、オレもお前が…好き…だったんだな…」
そして海馬の方から触れるだけのキスをされる。
暫くそのまま唇を合わせたまま、オレは自分の頭の中を整理していた。そしてやっと脳内がスッキリしたところで、オレは目の前の海馬の肩を掴んでマジマジと見詰めた。
「海馬…、お前…」
「何だ…? 城之内」
「お前…戻ってきたのか…?」
「あぁ、戻ってきたぞ。捜し物も見付けて、今度こそきっちり組み込んできた」
「お前…お前…っ」
「だから今はちゃんと理解出来る。お前の気持ちも、自分の気持ちも…」
「海馬…っ!!」
「ただいま、城之内。遅くなってしまってすまなかった。心配をかけてしまったな…。それから…」
「っ…! か…い…っ!」
「愛してるぞ…城之内。オレはお前が…好きだ」
にっこり笑ってそう言った海馬にオレは漸く安心する事が出来た。そのまま海馬の身体を抱き締めて大声でワンワン泣いてしまう。
その声に驚いたメイドさんと丁度帰って来たモクバが慌てて部屋に入ってきて、それからちょっとした騒ぎになってしまったんだけど、そんな事オレにはどうでもよかった。
海馬が無事に戻って来て青い瞳を開けて、その優しい声でオレの事を好きだと言ってくれた。
それがどんなにオレの心に光を射したか、話しても説明出来るものじゃない。
「どうした? 何を考えている?」
あの時の思い出に耽っていたオレに、眠っていた筈の海馬が目を開けそう問いかけてきた。
腕の中の温かい身体をそっと抱き締めて、オレは首を横に振る。
「ん? いや、何でもないよ」
笑ってそう言ったら海馬は一瞬訝しげな顔をしたけど、それでも「そうか」と安心した顔で再び瞼を閉じた。
暫くして規則正しい寝息が聞こえて来て、オレも自分が眠る為に目を瞑る。
オレの気持ちを理解したい為だけに、取り零した最後のピースを自ら探しに行ってくれた海馬を、オレは本当に愛おしいと思う。
そしてちゃんと目的を果たして無事にオレの元に戻ってきてくれた海馬に、心から感謝した。
もしあのまま戻らなければ、こんな風に同じベッドで眠るなんて事も出来なかっただろうし、こんな幸せな気持ちを味わう事も出来なかったに違いない。
「ホントに…ありがと…。愛してるぜ、海馬」
すっかり眠ってしまった耳元に小さく囁いて、オレは幸せを噛み締めながら眠りへと落ちていった。
へんてこな生物が大好きな二礼です、こんばんは。
この間TVでバージェス頁岩の特集をちょろっとやってたんですよ。(確か世界遺産が関わっている番組だった筈)
発掘員達が岩を割ってそこから出てきたシルエットだけで「あ、ヨホイアたんだ」「ハルキゲニアかわゆす」「アノマロカリスたんキター(・∀・)-!」と言っていたら、相棒に「何でそんなん分かるんだよ…」と心底不思議そうに言われました。
いやいや、好きなものだったら普通分かるでしょ(´∀`)
例えそれが万人に受け入れられない生物だとしてもwww
カンブリア紀の生物…可愛いと思うんだけどなぁ…。
でっかくなり過ぎちゃった恐竜なんかよりよっぽど愛嬌あるし、何か試作デザインって感じがまた素敵v
と、熱く語ってみても全く理解されませんでしたw
あ、ちなみに深海生物も好きです(´・∀・`)
短編『Last Piece』の前編をUPしました。
ちょっとシリアスっぽい感じで書いてみました。
廃人海馬が書きたかっただけとも言います(´―`)
後編は明日にはUPする予定です。
以下は拍手のお返事になります。
>Rosebank様
こんばんは~! 拍手ありがとうございました(´∀`)
フフフ…濃かったですか?w
いやもうせっかくだし手取り足取り教えてやろうと思いまして、頑張っちゃいましたw
今後ご近所付き合いをするかどうかは分かりませんが、するとしたらお互いに良い刺激になりそうですね~。
そう言えばRosebank様に言われて初めて気付いたんですけど、ウチの海馬は確かに積極的ですね…。
全く自覚がありませんでしたw
まぁ海馬も男なんで、一人前に性欲があってもオカシクないとは思うんですけど…。
う~ん…; 何か奥手な海馬が凄く書きたくなってきましたw
話は変わりますが『ツ/ン/デ/レ/キ/ャ/ニ/オ/ン』、マイリスト数がついに1万超えましたね~!
いやいや、凄い人気ですw
ちなみに昨日のお返事で書いていた動画は、『カ/イ/バ/・/オ/ブ/・/ム/キ/ム/キ』(sm/4/7/1/5/0/5/5)という動画です。
ただしかなーりネタ色が濃い動画なので、かっこいい海馬のMADしかダメな場合はオススメ出来ませんw
海馬が格好悪くても気持ち悪くても全然おk! という場合のみご覧下さい(´∀`;
それでは今日は失礼致しますね~。
どもでした~(*'-')ノシ
城之内×海馬
城之内の一人称。
基本シリアスモードで。
今日も何事も無くバイトを終えて、オレはその足で海馬邸へとやって来た。
顔馴染みのメイドさんに連れられて海馬の私室の前まで行きノックをすると、中から入室の許可が下りる。
重厚なドアを開けて中に入るとソファーで洋書を読みながら寛いでいた海馬と目が合い、オレはにっかり笑って「よぉ」と右手を挙げる。
それに頷き返して、海馬は薄く微笑んだ。
オレが海馬に想いを告白して、こうして海馬邸に足を運ぶようになって数ヶ月が経つ。
こうやって毎日海馬の所に通い詰めて会っているからか、遊戯達にはオレ達が付き合っていると思われているみたいだが、残念ながらオレと海馬の関係は未だ恋人ではない。
その原因は海馬の心にある。
告白してオレの恋人になってくれと頼んだ時、コイツは何とも言えない複雑な表情をした。
「城之内、オレは他人を愛するという事が分からない」
一体どんな罵詈雑言で振られるのかと身構えたオレに海馬が放った言葉は、余りにも意外なものだった。
遊戯との決闘に負け一度心を砕かれた海馬は、自らの心を何とか組み直し今に至る。
昔の過激な頃に比べたら一応マシになった海馬は遊戯の周りのメンバーとも徐々に打ち解け、人間らしい表情も見せるようになってきた。
そのメンバーの中には勿論オレも含まれていて、ギャップに弱いオレがそんな海馬に恋をするのも必然といえば必然だった。
海馬の見せる表情は相変わらず怒りや蔑みなどが多かったが、時折ふいに見せる優しさがオレを惑わせた。
心を組み直した後に絆を深めた弟のモクバとは、見ているこっちが羨ましくなるくらい日々仲良く過ごしていて、だからオレは海馬の口からそんな言葉が出てくるなんて思いもしなかったんだ。
海馬曰く、弟を愛するという事は分かるらしい。
だが肉親以外の他人となると、途端にその気持ちが全く理解出来なくなるのだそうだ。
「理屈では無い。本当に分からなくなるんだ」
「それってさ。どういう風に愛したらいいのか分からないって事じゃなくて?」
「違う。気持ち自体が分からないのだ。相手がどんな気持ちなのか、それに対して自分の気持ちがどうなのか。どうしても理解する事が出来ない」
オレの脳の中では他人の愛を信じる回路がプッツリと切れてしまっているのだと、海馬はどこか寂しそうに呟く。
そんな海馬にオレは一つの提案をした。
「そんなに他人の愛が分からないのなら、理解出来るまでオレと一緒に過ごしてみない?」
オレの提案に、海馬はまた少し困った顔をする。
それでもオレがいつか絶対に分からせてやると力説すると、海馬は渋々ながらその提案を受け入れてくれた。
それ以来オレはこうして毎日のように海馬邸に来るようになった。
最初は俺が来る度眉根を寄せて渋い顔をしていた海馬だったが、最近はそれもすっかり慣れて、オレが来れば口元を緩めて微笑んでくれる。
残念ながらまだ恋愛感情にまでは到達していないみたいだけど、オレはそれでも充分だった。
海馬が座っていたソファの隣に腰掛けて、「ほら、もっとこっちにおいで」と両手を広げてみせる。
すると海馬は存外素直にオレに身体を寄せて体重を預けてくる。
ゆっくりと凭れてくる身体を後ろに回した手で抱き留めながら、オレはまた少し幸せな気分になった。
海馬がこうして素直に身体を預けてくれるっていう事は、それだけオレが信頼されているって事だ。オレの近くに来るのでさえおどおどしてた当初に比べれば、それは格段の進歩だった。
だけど、何となく感じる違和感は拭い切れない。
オレに全てを委ねる海馬は、まるで大きな人形のようだ。
そう感じるのは多分、海馬のその行動にオレに対する気持ちが少しも入っていないからだと思う。
オレの事を信頼しているのは分かる。だけどオレの気持ちを理解していない為、その行為に何の感情も付随していない。
本当にただ身体を預けているだけなのだ。
意志の無い行動は無意味なだけだ。
だからオレは今の海馬に人間らしさは感じられず、どちらかと言えば人形みたいな印象を受けるんだと思う。
それでもいつかはきっとオレの事を理解してくれると信じて、オレは凭れ掛かってきた海馬の頭を優しく撫でた。
「なぁ…城之内」
暫く静かな時間を楽しんでいたオレ達だったが、突然海馬に呼びかけられてオレは少し驚いた。
今までこういう時を過ごしていた時に、海馬の方から話しかけられると言う事は無かった。だから思わずビクリと身体を揺らして、マジマジと腕の中の顔を見つめた。
そんなオレに真っ直ぐな視線を向けて、海馬は静かに話し始めた。
「城之内、オレは少し捜し物をしに行きたいと思っているのだ。だから明日からこんな時間を過ごす事は出来ないかもしれない」
「捜し物って何? どこまで行くの?」
「近くて遠い場所…、遠くて近い場所だ。少しの間会えなくなると思うが…待っててくれるか?」
「お前が待ってろって言うんなら、オレはいくらでも待っててやるけどよ。ていうか、ホントにどこ行くんだよ。ちょっと心配になってきた」
「お前は何も心配する事は無い。なるべく直ぐ戻るから…信じて待っててくれ」
またあの複雑そうな顔で微笑む海馬に、オレはただ頷く事しか出来なかった。
だって、その時はそれ以外に何が言えたっていうんだ…。
その時は分からなかったけど、後でオレはそれを激しく後悔する事になった。
「城之内君、ちょっと一緒に来てくれないか?」
次の日の放課後、オレは突然遊戯に呼び止められた。
オレを誘ってきたのはいつもの遊戯じゃない。あの決闘王の方の遊戯だ。
何だか目の前の遊戯が妙に真剣な顔をしているから、オレも茶化す事が出来なくて黙って後を付いて行った。
黙々と二人で連れ添って歩いていると、オレはふと周りの景色に気付く。そして遊戯がどこに行こうとしているのか理解出来た。
「なぁ遊戯。海馬ん家行くのかよ」
「あぁ」
「何か海馬に用事? アイツに用事なら今日は居ないかもしれないぜ? 何か捜し物行くって言ってたから」
「そうだな」
「何だ、知ってたのか。んじゃモクバに用事か」
「いや、海馬に用事…というよりは城之内君を海馬に会わせるのが目的だ。海馬に対する用事はもう済ませてしまったから」
遊戯の言葉にオレは首を捻る。目の前を黙って歩いている男が、一体何を言いたいのか分からなかった。
だけどオレの疑問は、海馬の私室に入った瞬間に解けてしまった。
いつもの天蓋付きのベッドに虚ろな表情で横たわっている海馬を見た瞬間から。
「海馬…?」
その姿を見た時、身体に震えが走った。
頭の中が熱くなって心臓がヤバイ位にドクドクと鳴った。足がガクガクと震えてそれ以上近付く事が出来ない。
そんなオレを遊戯と、そしてベッド脇に座っていたモクバが黙って見ていた。
「何コレ? どういう事? 何で海馬こんな事になってんの?」
震える声でなんとかそれだけを絞り出したオレに、遊戯がまるで言い聞かせるようにゆっくりと答えた。
「俺が…マインドクラッシュした…」
その言葉を聞いた途端オレの頭にカッと血が昇って、気が付いたら遊戯の胸ぐらを掴んで床に押し倒していた。
「何でだよ!! コイツが何かしたっていうのかよ!!」
「じ…城之内君…っ!」
「そりゃ昔は色々あっただろうけど、今は何にもやってねーじゃねーかよ!! お前も海馬の事認めてたんじゃねーのかよ!!」
「城之内君…! 落ち着いてくれ…っ!」
「ふざけんな!! 遊戯、お前何でこんな酷い事…っ!」
「やめろよ城之内!! いいから落ち着けって!!」
「モクバ…!?」
慌てて止めに入ったモクバのお陰で、オレは漸く息を吐けた。怒りの余り呼吸をするのも忘れていたのだ。
まだ頭に昇った血が下がらず怒りで震えるオレの身体を抱き締めて、モクバが涙目でオレを見つめた。
「城之内…いいから落ち着いて聞いてくれ…。これは兄サマが自分で望んだ事なんだ…」
モクバの言葉にオレは信じられない気持ちで二人を見る。
そして遊戯とモクバの口から真相が語られ出した。
「兄サマはずっと、辛い…苦しい…って言ってたよ」
モクバがポツリと呟く。
「城之内の気持ちを理解したいのに理解出来ない、分からない。城之内と一緒にいると安心して気持ちがいいのに、自分の真意がどこにあるのか分からない。胸に引っかかるその気持ちを手探りで探すけれど、目の前は常に真っ暗で何も見つからない。それが辛くて苦しい…って、そう言ってた…」
「海馬は俺にもそう言ってた」
モクバの言葉を受けて遊戯も口を開く。
「城之内君を愛したいのに愛する事が出来ないと…。それが何より辛いとよく零していた」
遊戯は海馬に近付くと、虚ろな瞳のまま寝ている海馬の髪をそっと撫でた。
優しく優しく撫でつけるその行為に、海馬を思いやる気持ちはあれど憎しみ等は感じられなかった。
「昨夜遅く…海馬から突然連絡があった。どうしても頼みたい事があると。何事かと来てみれば、自分にマインドクラッシュをかけて欲しいと頼まれた」
「その場にはオレも居たんだ。あんまり突然の事でオレも遊戯もすげー驚いて、何とか兄サマを止めようと反対したけど、兄サマは絶対自分の意見を曲げる事は無かったんだよ…」
オレは二人の話を愕然とした気持ちで聞いていた。
意味がよく分からなかった。
海馬が自分の気持ちが分からなくて悩んでたってのは分かる。だけど何故それが自分にマインドクラッシュをかけて欲しいって事になるのかが分からない。
オレの疑問に気付いたように遊戯が答えを出した。
「城之内君、海馬はもう一度心のパズルを組み立て直すと…言っていた」
「え…? どういう事…?」
「海馬は一度俺にマインドクラッシュを食らって、バラバラになった心のパズルを組み立て直した事がある。その時に肉親…モクバに対する愛情のピースはちゃんと組み込んだものの、その他の人間に対するピースを組み込まないで完成させてしまったらしい。らしいというのは海馬が自分でそう言っていたからだが、俺もその説には同意した」
遊戯の言葉に、オレにも何となく海馬の言いたい事が見えてくる。
「何だ…? つまりその組み忘れたピースをちゃんと組み込む為に、もう一度心のパズルをバラバラにして一からやり直すって…そう言う事か?」
何となく怒りが収まってきて、オレは力を無くしてその場に座り込む。
そんなオレの側に膝を付いて、モクバが安心させるように微笑んでくれた。
「兄サマは…直ぐに戻るって言ってた。一度組んだ事のあるパズルだから、もう一度やり直すのなんて簡単だって。だからオレは最後は兄さまの意見に賛成したんだ。だって兄サマは嘘をつかないから。いつだってやるって言った事は絶対やり遂げてみせるから」
オレが目の前のモクバの顔を見ると、やっぱりじわりと涙ぐんでいた。
だけどその顔に絶望は見られない。兄を絶対的に信じている顔だった。
「だから城之内も兄サマを信じてあげて…。信じて待っててあげてくれよ。兄サマは絶対帰ってくるから…。オレと約束したんだから。城之内とだって約束したんだろう?」
モクバの言葉にオレは黙って頷く。
漸く冷えたオレの頭に、昨夜の海馬との会話が浮かんできた。
『お前は何も心配する事は無い。なるべく直ぐ戻るから…信じて待っててくれ』
今は海馬のその言葉に縋るしか出来なかった。
バイト先の仲間から貰った『宇治抹茶チョコ煎餅』が死ぬほど美味しくて感動した二礼です、こんばんは。
ネットで調べてみたら通販専用なので、自分で頼んじゃおうかな…と思ったんですけど…。
なんかHP見たら山ほど抹茶スイーツが並んでるしw
マジで全部美味しそう!
ヤヴァイ…これはヤヴァイものを見ちゃったよ…;
美味しい抹茶が飲みたい…(´¬`)
短編『夢の畔で戯れて(後編)』をUPしました。
う~ん…; この乙女は一体誰だい?w
でもまぁ、ここまで書けたので大体満足しています。
ヘルクリは機会があったらまた書きたいですねぇ…。
余り他所様では見られないので、自分で書くしか無いってだけなんですけどねw
でもさぁ…他の方が書かれた…何つーの? もっとシリアスで格好良くて渋い二人も見たいジャナーイ…orz
そんな二人がいるとこ知ってる方がいらっしゃったら、是非教えて下さい~!!
以下は拍手レスです~!
>Rosebank様
拍手どうもありがとうございました(*'-')
Rosebank様から提案して頂いた台詞を使ってみたんですけど、あんな感じで良かったでしょうか?
上手く雰囲気が伝わるかな…と思って不安だったんですけど、気に入って頂けた様で何よりです。
結局今回も最後まで出来なかった二人ですけど、きっとその内上手くいく事でしょうw
時間だけはたっぷりありますからね、あの二人は。
そう言えば、社長は男の人にも結構愛されてますよね~。
MADを見れば分かるんですけど、私のお気に入りの動画に社長とうp主が一緒に歌っているのがあるんですw
途中で「社長大好きだー!」「社長愛してる-!」と叫んでいるのがまた面白くて…w
(どちらかと言えば、アレは社長よりうp主に萌える動画だな…w)
ていうか今日、毎時じゃなくてついにデイリーで一位になってましたね~(´∀`)
皆どんだけ社長が好きなの?って話ですよw
この調子でグングン再生数を伸ばして欲しいところです。
そう言えば昨日はスミマセンでした。
私は各人のコメントを別々にメモ帳等に書いてから貼り付けてUPするという方法を取っているんですが、貼り付け終わる前にうっかりEnterキーを押してしまったのです…。
慌ててUPし直したんですが…間に合わなかったんですね…orz
ご心配かけて申し訳ありません。メッセージはちゃんと届いていましたよ~!
それでは今日はこの辺で失礼します。
ではでは~(´∀`)ノシ
>5時台にメッセージをくれた方へ
初めまして、二礼しげみと申します(´∀`)
何か自分でも「どうなのよコレ」と思うようなヘルクリを気に入って頂けた様で、安心しております。
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!
妙にマニアックな出来になってしまいましたが…大丈夫でしたでしょうか?w
ヘルクリ小説が初めでだとおっしゃっていましたが、私も他所様のところで見た事がございませんw
あんなに萌える設定の二人なのに、何故か人気が無くってですねぇ…;
やっぱりアニメオリジナルキャラクターっていうのと、人型として出てきたのがほんのちょこっとというのがネックになっているんでしょうかね…w
だって二人で∞ですよ?
あんな事されて萌えるなという方が無理ですよ(*´д`*)
という訳であの二人の地位を向上させる為にも頑張って書いてみたのが、あの三作品です。
これで少しでもヘルクリファンが増えるといいなぁ…と思っていますw
それではこの辺りで失礼します。
宜しかったらまた遊びにいらっしゃって下さいね~!
次の日の夜、オレ達はまた揃って夢を見た。
前の日の夜に約束したばかりなのにこれは一体どういう事だと憤慨していると、横にいた城之内がポツリと呟く。
「そういやオレ…昨日ちょっと気になった事があってさ…」
複雑そうな顔でオレを見るその顔に、オレもまた溜息を付いて答えた。
「クリティウスの顔色か?」
「あぁ。何か最後真っ青になってて、オレ心配になったんだ」
まぁ…性経験の無い奴がいきなりあんなもの見せられたんじゃ青くもなるだろう。ましてやクリティウスは多分オレと同じ受け側なのだ。急に現実を突きつけられて怖くなってしまったとしても仕方の無い事だ。
オレの予想を肯定するかのように、何時の間にか目の前に現れたヘルモスが申し訳なさそうにしていた。
それに気付いた城之内がヘルモスに近寄る。
「もう夢にはお呼びしないとお約束したのに…すみません…」
「何があったんだ?」
「実は昨日あれから二人で試してみたんです…。その…交尾を…。だけどクリティウスが泣いてしまって…」
「あ…やっぱ泣いちゃったんだ…」
「指だけでしたけど…酷く痛がってそれ以上先に進めなかったんです…。俺はどうしたらいいか分からなくなってしまって…」
まるで怒られた犬のようにショボンとしている伝説の剣士は、見れば見るほど哀れに見える。
周りを見渡すとそこは再び俺の私室になっており、いつの間に来たのか、ドアの側にクリティウスが立っていた。
「マスター…。申し訳ありません…」
クリティウスが青冷めた表情で謝ってくる。
「あんなところに…あんな…。わ…私には…無理でした…」
すっかり俯いてしまっている二体の精霊を交互に見て、オレと城之内は顔を見合わせて頷き合う。
まずオレが無言でクリティウスにズカズカと近寄り、その腕を掴んでベッドに向かって引っ張った。
「マ…マスタ-!? 何をするんですか!?」
オレの行動にクリティウスが抗議してくるが、そんなものは一切無視する事にする。
ベッドの上にクリティウスを放り投げると、それを見越したように城之内もヘルモスを引っ張ってきてその上に投げ出した。
慌てて起き上がろうとするクリティスを肩を押さえつけベッドに沈めると、そんなオレを見て城之内が「うん、よし」と言ってヘルモスの肩をぽんと叩いた。
「まずは中を慣らすところから始めようか、ヘルモス。突っ込むのはもっと後でも構わないから、とりあえず相手に気持ち良くなって貰わないとな」
自信の無さそうな顔で「でもマスター…」と反論するヘルモスに、城之内は続ける。
「最初は仕方無いんだよ。元々受け入れる場所じゃないしな。でも、だからこそ時間をかけて慣らさないといけないんじゃないか」
クリティウスはオレの腕の下で真っ青になって震えていたが、オレはそんな奴に微笑んで言ってやった。
「誰だって最初は痛いものだ。オレだって初めの頃は痛いわ苦しいわで暴れてまくって、城之内を困らせていたもんだぞ」
「マ…マス…ター…」
オレがクリティウスの頭を撫でながら安心させている内に、城之内はヘルモスにローションを手渡している。
クリティウスのローブを肌蹴けさせ肌を露わにさせると、羞恥の為かその白い肌がサーッと薄桃色に染まっていく。その光景は同じ姿をしたオレからみてもとても綺麗だと思えた。
それは多分城之内が普段オレに見ている光景で、改めて確認させられてしまうと何だかこっちも変な気分になってきてしまう。
そんなオレの思惑など知るよしもなく、ヘルモスが伸び上がってクリティウスにキスをしようとする。
自分達と同じ顔をした他人が舌を絡ませる程の深いキスをしているのを見るのは、何とも妙な気持ちだった。城之内も同じ気持ちらしく、何とも言えない顔でオレを見ている。
ヘルモスがキスを続けながら、右手をそろそろと下半身へと伸ばしていく。白く長い足の内側をなぞってやがて目的の場所に辿り着くと、今まで大人しく気持ち良さそうにしていたクリティウスが突然目を開けて暴れ出した。
「いやだっ…! 怖い…ヘルモス…っ!」
昨日した行為が余程痛かったのだろう、さっきまで感じていた快感は全てどこかに行ってしまったようだった。
「大丈夫だから…。落ち着けクリティウス」
オレはクリティウスの金髪をさらりと掻き上げその白い額に唇を落とした。
すると途端に大人しくなるクリティウスに安堵する。
城之内と付き合い始めた頃、初めてのセックスにパニックを起こしたオレに城之内はこうしてキスをくれた。恐怖が消えた訳では無かったが、何故かそれで落ち着いたのを思い出したのだ。
昨日の夢の中で、ただ見ているだけなのにオレと同じように感じていたコイツを思い浮かべる。
全く同じ姿をしているオレ達の事だ。もしかしたら感覚も同調しているのかもしれないと思い、自分がして貰って落ち着く行為をしただけだったのだ。
案の定それが効いているようで、それを見ていた城之内も何かに気付いたようだった。
「なぁ、ヘルモス。クリティウスは意外と優秀かも知れないぜ?」
そう言って城之内はヘルモスに対してニヤリと笑ってみせた。
「っ…! う…くっ! っい…!」
ローションでたっぷり濡らしたヘルモスの指がクリティスの体内を探っている。
クリティウスは相変わらず苦しそうな表情を緩めない。辛そうな顔で呻き声を上げる姿を見て、ヘルモスも戸惑いを隠せないようだった。
「マスタ-、やはり…」
城之内の方に振り返り指示を仰ぐヘルモスに、城之内は「いいから続けろよ」と先を促す。
「多分もっと奥の方…。うんそうそう、そこら辺…」
二人してクリティスの足の間を覗き込みながら色々試しているのを見ながら、オレはオレでクリティウスに助言をし続けた。
「いいからもっと力を抜け。悪い事にはならんからヘルモスを信じろ」
「マ…スター…、ぁ…ぅ!」
オレの言葉に何とか身体の力を抜こうと努力しているらしかったが、上手く行かないらしくまた身体を硬くしてしまう。
痛さと苦しさで涙をボロボロと流しているのを見て、流石のオレも可哀想に思えてきたが、だがここで終わらせてしまったらオレ達はまた夢の連鎖に捕らわれてしまう。
それだけはもう勘弁して欲しかった。
さてどうするか…とクリティスの身体を押さえつけながら考えた時だった、ふいに腕の下の身体がビクリと大きく撥ねた。
「ひぁっ…! あっ…な…に…?」
クリティウス自身にも今自分が感じた感覚が何だか分かってないらしかったが、オレにはその感覚に覚えがある。何となく下半身も確認するが、やっぱりそこはオレと一緒で萎えた状態のままだった。
普通だったらこの状態を見て感じてるなんて思わないだろう。だけどオレはよく知っていた。
「あ、やっぱり」
城之内がオレの方を見て核心めいた笑みを浮かべる。オレはそれに苦笑で返すしか無かった。
「ヘルモス、続けてやってくれ。多分もう少しでイクから。ほら、さっきクリティウスが反応した場所があるだろ? そこを重点的に突いてやって」
城之内の言葉に半信半疑のままヘルモスが指を奥に押し込み、先程クリティウスが感じたであろう場所をグリグリと押す。
その度に短い悲鳴を上げビクビクと痙攣していたクリティウスは、やがてそのまま達してしまう。
「やっ…! いやっ…! 何…? やだ…っ! あっ…ぁっ…あぁ…うあぁぁ―――っ!!」
性器は反応していないが、クリティウスは明らかに昇天してしまっている。
ギュウ…ッとヘルモスの指を締め付けて、痙攣し涙を流してイキ続けるその姿は壮絶極まり無かった。
その身体を押さえ込んでいるだけなのに、まるでオレ自身がイッているような感覚になって自然と息も上がってしまう。
やがて唐突に力を無くした身体は、ガクリとベッドに崩れ落ちた。
その姿を見て漸くクリティウスの体内から指を引き抜いたヘルモスは、混乱したように城之内の顔を見た。
「え…? い…今何が…?」
「あぁ、ドライでイッたんだよ。海馬もやろうと思えばそうやってイケるから、もしかしたらクリティウスもイケると思ったんだ。大正解だったな、なぁ海馬」
その言葉にオレは赤い顔で頷く。
流石に今ここでやる気は無いが、クリティウスのイク姿を見てオレの身体もすっかりその気になってしまっていた。
くそっ…! 明日屋敷に呼び出して朝までやってやる…と思いながら眼下に目をやる。
そこにはすっかり放心状態のクリティウスがいてオレを見上げていた。
「マスター…。うっく…。ひっく…」
初めての感覚に混乱したのだろう。突然泣き始めてしまう。
だけどオレはもうそんなクリティウスを慰める事はしなかった。何故ならそこから先はもうヘルモスの役目だから。
オレの意図が伝わったんだろう。城之内もすっとそこから離れる。
「じゃ、オレ等はもう帰るから。後は二人で仲良くやんな。あ、そうそう。お前等オレ達よりずっと寿命長いんだから、あんま焦って全部やろうとするなよなー。ゆっくりでいいんだからなー」
城之内の言葉にヘルモスが微笑んで頭を下げた。
クリティウスはまだオレを見て泣いていたが、オレは敢えて視線を合わせる事はしなかった。
もうオレ達の役目は終わったのだ。
お前が頼りにしていいのはヘルモスだけで、オレじゃない。
後は二人で何とかするのが、お前達の役目だ。
オレはそう心で呟き、城之内と二人で夢から脱出した。
それからのオレ達は、もうあの夢を見る事は無かった。
一度だけ遊戯が「昨日夢の中にティマイオスが出てきて、二人に礼を言っておいてくれって言ってたよ」と教えてくれたが、それきりだった。
毎夜安眠出来る事は嬉しいが、それはそれで少し寂しい気がするのは贅沢な悩みなのだろうか?
そう零すと横にいた城之内が「ははは。オレもオレも」と笑って答えた。
それでもまたいつかくだらない用事で呼び出されるような気がして、それはそれで悪くないと思いながらその日を待ちわびているオレ達だった。
某動画サイトのランキング上位に入っているツンデレ海馬が可愛過ぎてどうしようもありません。
こんばんは、二礼です。
「医療班を」の腹筋破壊力が凄まじ過ぎるwwww
ループし過ぎてPC固まったじゃないか!!ヽ(`д´)ノ
お陰で、聴きながら書いてた短編が全部見事に消えました。
(いつもは途中保存しながらやるのに、今日に限ってやってなかった…;)
やる気が…アポーンorz
短編『夢の畔で戯れて』の前編をUPしました。
城海+ヘルクリです。
マニアック過ぎて引く人多数と予想。
だけどキニシナイ(・3・)
後編は明日にUP予定です~。
以下は拍手レスでございます!
>Rosebank様
拍手やコメント、そして『勇気の証明』を最後までご覧頂いてどうもありがとうございました!!
本当にRosebank様のコメントが無ければ、こうやって最後まできっちりやり遂げる事は出来なかったと思います。
せかしたようだと気になされているみたいですが、そんな事は無いのでお気になさらないで下さい(´∀`)
今までの短編や長編をご覧になっていらっしゃるなら分かると思いますが、基本的に二礼はハッピーエンドが大好きです。
しかも甘ぁ~いヤツがw
ですので、多分これから先もそういうのしか書けないと思います。
渋くて格好良いヤツとかも挑戦したいんですけど、最後は絶対グダグダに甘くなってしまう自信があるので、最初に言っておきます。
そういうの無理ですわw
なので、次に書く予定の長編とかもメチャクチャ甘くなると思いますが、ヨカトデスカ?
春になって私も公私共に少し忙しくなる時期ですので、今までのように更新出来ないかも知れませんが、それでも書きたいものは全部書いてしまおうと思っていますので、気長に待って下さると幸いです(´―`)
では今回はこの辺りで~!
P・S…Rosebank様の意見を取り入れてヘルクリの続編を書いてみました。どうでしょうか…?w
>散様
再びのご訪問&拍手、どうもありがとうございました~!
拍手とコメントを頂けただけでも嬉しいのに、まさか毎日読んでいらっしゃったとは夢にも思いませんでした…(´∀`;;;
散様は『毎日集中して描き続ける事が出来ない』と言われますが、私は散様の書かれた長編が大好きなんですよ~!
初めて散様の書かれた小説に出会った時に、こんな格好良い城海が書けるようになりたいな…と思っていたんです。
(去年のオンリーで購入した本は、未だに愛読書になっておりますです(´ω`)ムフー)
結果、格好良いどころか何か乙女になってたりしますけど…;
何か色々と諦めの境地に入って来たので、このまま続ける事にしますw
それではこの辺りで失礼致します。
散様も原稿頑張って下さいね!
応援しております~!!
城之内×海馬+ヘルモス×クリティウス。
『草原の風に吹かれて』と『夜の帳に包まれて』の続編になります。
今回は海馬一人称。
クリティウスが…海馬以上に乙女になっていますので要注意w
ここの最近、オレは毎夜毎夜同じ夢を見続けて、その事で神経がかなり参ってしまっている。
見ている夢は特に悪夢という類のものではなかったが、ある意味悪夢になりつつあるのも事実だ。
お陰で熟睡する事が出来ずすっかり寝不足になってしまっている。
幸い会社の方も特に忙しい時期では無かった為業務に差し障りは無いが、学校ともなるとそうもいかない。
出席日数を稼ぐ為には暇を見付けて学校に行かねばならなくて、今日もふらつく頭を抱えつつ教室へと足を向けた。
扉を開け教室内に入ると、オレの恋人である城之内が机に突っ伏して眠っていた。近くに寄ると「う~…ん…」とか「く…」とか魘されているのが分かる。
オレはヤツの肩を掴むと少々乱暴に揺らしてやった。
「おい、起きろ凡骨」
「っ…!」
オレの声でハッと目を覚ました城之内は目の前のオレを見て、少しホッとした顔をした。
「海馬か…。起こしてくれたんだな、サンキュー…」
そして顔を見合わせて、二人揃って盛大な溜息をつく。
最近では向こうも焦れているらしく、夜だけではなくこんなちょっとした仮眠にまで現れる。オレも先程学校に行く途中の車の中で、余りの眠たさにほんの少しだけ目を閉じたその隙に、またいつもの夢が始まってしまっていた。
魘されていたオレに気付いて運転手がすぐに起こしてくれたから良かったものの、はっきり言ってこれでは身体が持たない。
寝不足の為少々ぼんやりしているオレ達のところに遊戯が来て、心配そうに顔を覗き込んできた。
「おはよう海馬君。ていうか、二人とも凄い隈出来てるよ。一体どうしちゃったの?」
「あぁ遊戯…。オレはもう…ダメだ…」
遊戯の問いに城之内がフッと自嘲気味に笑って、再び机に突っ伏してしまう。
「城之内君! しっかりして! どうしたっていうのさー!!」
城之内の肩を掴んでゆさゆさと揺らしている遊戯を見て、オレもまた現実逃避したい気分になっていた。
『どうして教えてくれないんですか? マスター!』
眠りに落ちて夢を見て、まず最初に耳に入る一言目がこれだ。
目の前には長ったらしいローブを纏ったクリティウスの姿。
髪と瞳の色は違うが、オレと全く同じ顔で必死の形相で迫ってくる。
『私はただヘルモスのマスターの城之内様と一緒に、マスター達がいつもしていらっしゃる交尾を見せて下さいって言ってるだけなのに…っ!』
余りの言いようにオレもキレて『巫山戯るな!』と怒鳴る。
『何が悲しくて他人に自分達の性行為を見せなくてはいかんのだ!!』
『どうせ見るのは私達だけなんですから、別に構わないじゃないですか』
『貴様いい加減にしろ!! 羞恥心と言う言葉を知らんのか!! この愚か者が!!』
『愛しい人と愛し合うという行為に恥ずかしがる意味が分かりません。マスターはそんなに恥ずかしい事を城之内様としてらっしゃるのですか?』
『き、貴様ぁ――――――――っ!! いい加減にしろぉ―――――――っ!!』
こんな感じでいつも堂々巡りで、やがて朝が来て唐突に目覚めるというのが最近の日常だった。
城之内の見ている夢の事は分からないが、多分オレと似たり寄ったりと言ったところだろう。
オレも城之内も体力的にはタフな方だと思うが、流石にこんな事が毎日続くと体力も無くなっていくというもの。
そういう訳でオレ達はもう限界寸前にまで追い込まれていた。
「えぇーっ!? それじゃ毎日出てくるの!?」
昼休みの屋上、結局オレ達はここ最近悩まされている現象について遊戯に相談する事にした。
他人に話すには少々恥ずかしい内容ではあったが、オレ達の関係を知っている遊戯に話すには何の問題もないだろう。
それに奴には少々期待している部分がある。
オレがクリティウスと、城之内がヘルモスと繋がっているように、遊戯はティマイオスと繋がっている筈なのだ。遊戯に頼めば間接的にティマイオスにあの二人の愚行を止めさせる事が出来るかもしれないと、オレはそう考えたのだ。
オレ達の話を聞いて遊戯が「う~ん…」と唸る。
「わかった。じゃ僕、今からちょっとティマイオスに会いに行ってくるね」
そう言って目を閉じて三秒後、奴は小さな寝息を立て始めた。
「すげーな…。三秒だぜ。ノ●太だ、ノビ●」
「静かにしろ凡骨」
オレ達はそのまま黙って目の前の遊戯を固唾を呑んで見守る。
五分後、ふいに眼を開けた遊戯は酷く申し訳なさそうな顔をして、オレ達に向かって手を合わせた。
「ゴメン…。ティマイオスも手が付けられないって泣いてた…」
遊戯の話によると向こうは向こうで大騒ぎらしく、流石のティマイオスもお手上げ状態らしい。
伝説の三剣士のリーダーを泣かすとは…、アイツ等はどれだけ暴れれば気が済むのだ。
「もうさー。いっそのことやってあげちゃえばいいんじゃない? そうすればもう二度と出て来ないんでしょ?」
絶望感に苛まれるオレ達に、遊戯がまるで他人事のように簡単に言い放った。
余りの物言いにオレは即座に反論しようとするが、隣にいた城之内の台詞に思わず固まってしまう。
「そうだな-。もう面倒臭いしなー…」
「城之内。貴様…何を考えている?」
「もうさー。いっその事パパッとやっちゃおうぜ海馬」
「な…な…ななな…何だとっ!?」
陸に上がった魚のように口をパクパクさせるオレの肩を掴んで、城之内は濃い隈を作った顔で迫ってくる。
「海馬…。オレはもう限界なんだ。もうこれ以上アイツ等の夢を見るのは嫌なんです。だから協力して下さい」
「い…いや…だが…しかし…っ」
「お前ももう限界なんじゃねーの? まだあの夢見てーの?」
「見たくはないが…だが…他人にその…あんなものを…」
「相手は人間じゃない。精霊だ。もうここは『見えるけど見えないもの』精神でいこうぜ」
「い…嫌だ…っ! 絶対嫌だ―――っ!!」
その後も何だかんだと拒否を続けるオレを城之内は説得し続けて、結局オレは渋々ながらもそれを了承せざるを得なかった。
複雑な気持ちを抱えたまま一日を終えて、夜を迎えてベッドに入る。
多分オレ達が決心した事は、向こうにはとっくに伝わっているだろう。
特に意識する事も無く眠りにつき夢を見ると、案の定隣には城之内がいた。
「よぉ、ご苦労さん」
「お前もな」
軽口を叩きつつも周りを見渡すと、そこはオレの私室だった。
どうやら普段オレ達が慣れた空間を作り出したらしい。アイツ等なりの心遣いなのだろうが、それがまた癪に障る。
現にドア付近に佇んでいる二人分の人影にオレはチッと舌打ちをした。
「「申し訳ありません! マスター!! 宜しくお願いします!!」」
二人揃って盛大に頭を下げるが、謝るくらいだったら最初からこんな事はしないで欲しいと思うオレは間違っているのだろうか?
せめて何か一言言ってやろうとオレが一歩踏み出した時、突如身体が浮いてオレは言葉を失った。
振り返ると城之内がオレの身体を持ち上げてベッドに向かって歩き出している。そのまま何時ものようにベッドに投げ出されオレの上に乗り上げた城之内は、二体の精霊に向かってビシッと指を射した。
「あのな、こういうのは普通他人には見せないもんなんだぞ。お前等はホントに何も知らないみたいだし、仕方無いから一度だけ見せてやるけど、これ見たらもうオレ達の夢に出てくんなよ」
「分かっています、マスター。本当に申し訳ありません…」
城之内の言葉にヘルモスが再び頭を下げる。
その言葉を聞いて城之内がオレの服に手をかけ始めたので、オレは目を強く瞑ってなるべくあの馬鹿精霊達の事を意識しないようにと自分に言い聞かせていた。
唇を合わせて舌を絡ませる。
互いに互いの服に手をかけ脱がせつつ、オレは城之内の背に腕を回し、城之内はオレの身体をまさぐるのに夢中になっていた。
そう言えば最近は夢に捕らわれて現実でセックスをする事が無かったな…と、熱くなってきた頭の中で考えた。
首筋から胸にかけて城之内の唇が落ちていく。胸の尖りをチュッと音を立てて吸われ、オレは小さく喘いで身体を震わせた。
じわりと身体全体が熱を帯びてくる。
「はぁ…」と熱い息を吐いて瞳を開けると、何時の間にか間近にクリティウスが来ていてオレの顔を覗き込んでいた。
「マスター…」
オレと同調でもしているのだろうか? 妙に上気した顔で耳元に囁かれる。
「マスター…綺麗です…」
「う…るさ…っ。黙れ…馬鹿者…が…っ。んっ!」
突如城之内に性器を握られ、オレの言葉が途切れる。
ゆるゆると上下に扱かれて、先端から溢れてきたであろう先走りの液でペニス全体が濡れていくのが分かった。
「はぁ…じ…城之内…っ!」
耐えきれなくなって城之内を呼ぶと、「分かってる」と返事が返ってくる。
いつの間に取り出したのか、いつも使っているローションと同じもの取り出して、オレの後孔に塗り付けていた。
入り口を馴染ませるようにぬるぬると探って、やがて中に指が入ってくる。
「あぅっ…!」
ビクリと撥ねたオレを宥めるように、城之内の指は優しくそれでいてしつこく内壁を探っていた。
「ここ…。こうやってちゃんと慣らさないと…痛いし傷つけるから…」
熱の籠もった声で城之内がヘルモスに説明している声が聞こえる。
返事は聞こえて来ないが、多分頷くので精一杯なんだろう。
頭の片隅で「フン、童貞め!」と蔑みながらも、オレは城之内が与えてくる快感に翻弄されていく。
シーツをギュッと握ってその快感に耐えていると、不意にその手に誰かの手が重ねられた。
目を開けると心配そうなクリティウスと目が合う。
「マスター、泣いてます…。苦しいんですか…?」
余りに心配そうな顔をしているので、何故だかオレはおかしくなってきた。
フッと鼻で笑って、サラサラの金髪に手を伸ばす。
「感じると…生理現象で涙が出てくる…。最初は苦しいが…慣れるとそうでもないぞ…?」
オレの言葉に安心したのか、漸くクリティウスが嬉しそうに微笑んだ。
オレの中を慣らし終わって、城之内が身の内に入ってくる。
流石にこの時ばかりは圧迫感に呻いてしまうが、それも直に慣れ、オレは城之内の与える快感に夢中になった。
「あっ…! あぁっ…、ひぁっ…!! うぁ…はぁ…ん!」
「海馬…っ! かい…ば…っ!」
城之内に激しく上下に揺さぶられながら、オレはその腰に足を絡めてより密着しようとする。そうすればより奥に城之内を感じられ、頭の中が真っ白になる程の快感が得られる事をオレはよく知っていた。
オレは元よりオレを抱いている城之内も、多分もう頭の中にはあの二人の精霊の事は存在しないに違いなかった。
感じるのは互いの熱と与えられる快感ばかりで、二人で一緒に放出する為に高みへと昇っていく。
「あぁぁっ…!! ぁ…城之内…っ!! もう…っ、あっ――――!!」
「海馬っ…! くぅ…!」
前立腺を熱くて固い塊で押され、オレは耐えきれずに射精してしまう。達したオレの内壁に絞られて、城之内もまたオレの体内に精を吐き出した。
ドサリと力を無くした城之内が体重をかけてきて、オレはそれに腕を回して深く息をつく。暫くそうやって互いの体温を感じつつ熱が冷めるのを待ってそろりと目を明けると、異様な形相でこちらを見ている精霊達に気付いてしまう。
あぁ…そう言えばコイツ等がいたんだったかと今更ながらに思い出す。
オレの身体の上ですっかり息を整えた城之内が起き上がって、二人に向かって「はい、コレで終わり。分かった?」と話しかけると、横にいたヘルモスが真っ赤な顔で首をブンブンと縦に振った。
「はいっ! あ…ありがとうございました!」
土下座する勢いで頭を下げるヘルモスに城之内が苦笑する。
「いや、いいから。その代わりもう夢には出てくんなよ」
「はい、お約束します」と言うヘルモスの答えにオレ達は漸く安心したのだが、オレはどうにも最後の光景が気になっていた。
オレ達の性行為を見て興奮したであろうヘルモスの顔は赤かったが、それとは逆にクリティウスの顔が真っ青だったのだ。
それを問う前に夢から覚めてしまったのでどうしようもなかったが、どうにもそれが気になって仕方が無い。
オレは何かもう一悶着ありそうな気がしていた。
そしてそういう予感に限って当たってしまうのも、また必然なのだ。
こんばんは、二礼です。
長編『勇気の証明』epilogueをUP致しました。
長いだけで取り留めもなくダラダラと書いてきたものが漸く終了して、ホッと安堵しています。
実はこの『勇気の証明』は、二礼の城海における基本スタンスを確立する為にプロットを組んだ所から始まっています。
えぇ。これが二礼の城海処女作でした(´∀`;
今だから言えますが、一話目をUPした時点で全体像は既に出来上がっていたんです。
それを加筆や削除等の細かい修正を入れながら毎日UPしていました。
長編を書くのは本当に大変でしたけど、凄く楽しかったです。
でも出来る事ならもっとスラスラと書けるようになりたいですw
世の長編小説を沢山書いていらっしゃる作家さん達が、本当に尊敬の対象です…!
凄いなぁ…ホントに凄いなぁ…。
と言っておきながら、実はまだ書きたい長編の案が二つもあるんですよ。
あんなにヒーヒー言ってたくせにまだ書きたいとか、私はどんだけMなんだと小一時間…(略)
上で基本スタンスを確立する為にプロットを組んだ云々と言っていますが、その時にもう二つ程、走り書きのメモで残したモノがありましてですね。
立場も周りの状況も違う三パターンの海馬を使って、似たようなタイトルで全く違う内容の長編を三つ書きたいと…思っている訳なんですw
ですので、多分その内『○○の証明』と名付けられた長編があと二つは出てくる筈…なんですが…。
腕が足らねーyp!!ヽ(;´д`)ノ(あと頭も足らない)
もうこの『勇気の証明』で出したいものを出し尽くしてしまった感があるので、次からの奴はもっと軽めになると思うんですけど、よく考えると何で自分自身にこんなマゾい課題を残したんだか…w
社長熱に浮かされていたとしか思えませんw(まぁ、現在進行形で浮かされているんですが…w)
怖いな社長…。流石だよ…;
でもこれで一つの長編をやり遂げたんで、少し肩の荷が下りたような気がします(´―`)
これからはもう少しペースを落とさせて頂いて、短編なり長編なり萌の赴くまま書き続けたいと思います。
そして、今までこんな乙女海馬満載の話を読んで下さった方々にも大感謝です!
日に日に拍手数が伸びて行って、こんな出来たばっかの駄文サイトにもいらっしゃってる方がいるんだと思う度、嬉しくて仕方ありませんでした。
本当にありがとうございました!
ウチの海馬は相変わらず乙女(よく泣くんだよ…)だし、城之内は海馬大好きっ子(よく惚気るんだよ…)ですけど、こんなサイトで良かったらこれからも遊びに来て下さると幸いです。
どうかこれからもよろしくです~(*´∀`*)
以下は拍手のお返事です~!
>Rosebank様
昨日は二度も拍手して頂いて、どうもありがとうございました~!
感動しましたと書いて下さって、私もRosebank様のその気持ちに感動致しました…(*´д`*)
長ったらしい小説をそれでも頑張って書いてきたのですが、その苦労が報われた瞬間でした。
こちらこそお礼を言わせて下さい。
本当にありがとうございました!
海馬のヴァーチャル内云々の台詞はですね、アレはアレで海馬なりの気遣いなんですよ。
なるべく城之内を汚さないようにっていう、とんでもなく方向性のズレた気遣いですけどねw
でもまぁ、それもその内治りますよ(´―`)
だって城之内が側にいますからね~。
あとエロシーンの海馬が可愛いと言って下さって、私も頑張って書いた甲斐がありました(´∀`)
城之内で感じちゃってる海馬を何とか表現しようとしていたら、案の定乙女になってしまいまして…;
でもAboutにも「ウチの海馬は乙女!」とハッキリキッパリ書いちゃってるんで、もう気にしないで乙女全開で行く事にしたんですw
で、あぁなりました。
ちょっと不安だったんですけど、Rosebank様が気に入って下さったようで良かったです(*'-')
『勇気の証明』はこれで終わりですけど、これからも短編とか長編とかちょこちょこと書いていこうと思っています。
今までのRosebank様の感想がどれだけ心の支えになったか知れません。
本当に感謝しております。ありがとうございました~!
それでは今日はこの辺りで失礼致します。
ありがとでした~(´∀`)ノシ
「よぉ乃亜、久しぶりだな~」
世の学生達曰く『期末テスト期間』が終了した次の日の午後、城之内は久しぶりに乃亜の前に姿を現した。
「久しぶりだね城之内。テストはどうだったんだい? 苦手科目は瀬人が教えてくれてたんだろ? ちゃんと出来たのか?」
「うっ…! うるせぇよ…」
ドッカリと据え置きの椅子に腰を下ろしながら、乃亜の遠慮の無い質問に城之内が言葉を濁す。それに思わず吹き出しながらも、ばつが悪そうな顔をしている城之内を微笑ましく眺めた。
海馬がヴァーチャル空間に捕われたあの事件からもう二ヶ月が過ぎようとしていた。
城之内が突然海馬の元にやって来たあの夜。二人の間にどんな会話がなされたかは知らないが、その後城之内と海馬の関係は極めて良好であった。最初の内はまだどことなくギクシャクしているように見えた関係も、最近はすっかり自然な形で収まっている。
そう、自然なのだ。城之内と海馬が共にいる光景がすっかり自然になってしまっているのである。
それは二人の間で交わされる会話であったり、交わる視線であったり、またはそこに流れる空気そのものの雰囲気であった。
「多分出来たと思うんだけどなぁ…」とブツクサ言いながら頭をガリガリ掻いている城之内に乃亜は問いかける。
「今日は? 瀬人と一緒に帰るんだろ?」
「あぁ、うん。思ったより急な仕事が無かったお陰で八時には終わるって言ってたぜ。まだ七時だから時間余っててさー。だから暇つぶしに来た」
「城之内…。僕は暇つぶしの道具じゃ無いんだけどね…」
少し恨みがましく睨み付けると、「悪い悪い」と言いながらも城之内は全然悪いと思っていない顔で笑っていた。
睨み付けていても乃亜とて本気で怒っている訳ではなかったので、直ぐにその表情を緩めてしまう。
「幸せそうだね、城之内」
不意にそうポツリと呟くと、城之内が振り返って微笑んだ。
「あ、やっぱわかる?」
「そりゃわかるさ。表情が全然違うしね。何より瀬人が随分と変わったから」
乃亜はここ最近の海馬の様子を脳裏に浮かべる。そこに居るのは随分と柔らかな雰囲気と優しい笑みを身に纏った海馬の姿だった。発する言葉も常に前向きで、もうあの見ているこっちが辛くなるような悲壮感を漂わせた海馬はどこにもいなかった。
直接訪ねた事は無かったが、きっと彼は今もの凄く幸せなんだろうと確信していた。
「ありがとうな、城之内。瀬人の事は僕も心配してたんだ。だけど最近はそんな心配全くする必要が無くってね。それも全部君のお陰なんだよな」
「礼を言われるような事は何もしてないぜ。俺はただ自分の気持ちを突き通しただけだしな」
礼を言った乃亜に城之内は満面の笑みを浮かべて得意そうに言った。
そんな笑顔を見ている内に乃亜も何だか可笑しくなって二人で笑っていると、突然入り口辺りの壁がコンコンと叩かれる音が響く。振り返るとそこにいたのは、すっかり帰り支度を終えた海馬だった。
「あれ? 海馬お前、仕事はどうしたんだよ?」
手元の時計を見るとまだ七時半を回ったところで予定の時刻ではない。時計と海馬を交互に見ている城之内に、海馬は憮然とした表情を崩さずに口を開いた。
「貴様が来ると言うから早めに終わらしたのだ。邪魔したようで悪かったな」
「いや、別に悪くは無いよ。後で社長室まで迎えに行こうと思ってたのに拍子抜けしただけ。んじゃ帰るかー」
城之内はそう言うと、鞄を持って椅子から立ち上がる。そして乃亜の方に振り返り、幸せ一杯な笑顔で手を振った。
「それじゃ俺等帰るから、またな乃亜!」
「あぁ、またな城之内。瀬人も気をつけて帰りなよ」
「余計な心配をするな。どうせ車だ」
フンと鼻を鳴らして踵を返す海馬の後を追って、城之内がその隣に並んで歩き始めた。城之内が嬉しそうに何かを海馬に話しかけると海馬もそれに答えたようだったが、やがてその姿は自動扉により見えなくなってしまった。
廊下から響き段々遠くなる二人の話し声に、静かな部屋に残った乃亜は一人優しく微笑む。
あぁ、どうか。
彼等がこれからも幸せでありますように。
ただのデータである自分には、神などという存在に頼るなどおこがましいが。
それでも僕は願わずにはいられない。
瀬人に言わせればこの世に永遠などという物は存在しないらしいが、それでも僕は思うんだ。
君達の絆はきっと永遠なんだろうなと。
その絆を勝ち取る為に、ありったけの勇気を振り絞った城之内に大いなる賞賛を。
その絆を得る為に、無い勇気を必死で掻き集めた瀬人に心からの抱擁を。
自動電源オフがはたらき暗くなる部屋の中で、満足気な笑みを浮かべると乃亜はヴァーチャル空間に戻っていく。
間違いなく、今ある絆はきっと二人の『勇気の証明』。
その絆はきっとこの先誰にも破られる事は無いだろうと密かに確信し、乃亜は電脳を休ませる為のしばしの眠りについたのだった。
一体何の事かと思うでしょうが、二礼の大好きなカルピスの牛乳割りの事です。こんばんは。
決してやらしい言葉じゃ無いのであしからずw
昨日行ってきた居酒屋は手羽先で有名な某山ちゃんだったんですけど、そこで出会ったこのドリンクが二礼の運命を変えました。
以来、もうカルピスは水では割れません。
牛乳です。
牛乳オンリーです。
カルシウムも取れて丁度いいしね(´_ゝ`)
昨日も周りのメンバーにお勧めしたのですが、女性陣には大好評でした。
ちょっと甘みの強いヨーグルトドリンクみたいになるんですよ~。
ポイントは水で割る時よりカルピスの原液を少なめにするのがコツです。
一度お試し如何かしら?(´∀`)
長編『勇気の証明』をUPしました。
せっかくの日曜日なので二話分をどーんと載せちゃったりします。
そして自分の首を絞めるんですね、分かります。
まぁ…でも…あと一回だから別にいいやw
以下は拍手レスになりまっす!
>Rosebank様
拍手ありがとうございました~!(*´д`*)
本当に毎日感謝です!
二礼の中ではですね、精神の強さでは城之内は最強なんですよ。
多分表君とタメはれるぐらいに。
殴られようが蹴られようが雨が降ろうが風が吹こうが、もう起き上がりこぼしの様に立ち上がって来るんですよw
特に自分が信じているものや決心した事に関しては、絶対に妥協を許しません。
そういう格好いい城之内君を書きたいと常々思っているんですけど…、どうだろうw
ちなみに海馬と王様はメンタル弱々です。
王様が豆腐メンタルなら海馬はガラスメンタルです。
叩いたらすぐ割れちゃう。割れなくてもヒビだらけ。
そのヒビを城之内君が修正してくれたらいいなぁ…と思って書こうと決心したのが、この『勇気の証明』でした(*'-')
この長編も多分明日の分で終わりになります。
今までお付合いしてくれて、どうもありがとうございました。
Rosebank様の感想が支えていてくれていたからこそ、ここまで書けたんだと思います。
最後の最後まで気を抜かずに頑張って書こうと思います!
それでは今日はこの辺りで~。
失礼致します~!(´∀`)ノシ
脱がせたバスローブをベッドの下に落とすと、そこに現れたのは余りにも白過ぎる身体だった。自らもさっさと服を脱ぎ捨て軽く唇にキスを落とすと、そのまま唇と舌を這わせつつ細い首筋に沿って身体を下げていく。
女のとは違う何の膨らみも無い胸に手を当てて、その余りの滑らかさに城之内は夢中になった。目にとまった薄桃色の突起に掌を這わすとそこは堅く芽を出して、それを指で摘んでコリコリと刺激すると海馬の身体がピクリと跳ねる。それに気を良くして顔を近付け舌でペロリと舐め、更に口に含んでキュッと吸い上げると海馬が「ぁ…っ」と小さな声を上げた。
その声に思わず顔を上げると、顔を真っ赤にした海馬と目が合ってしまう。気不味かったのかふいっと顔を背ける海馬に軽く笑って、城之内は行為を続ける事にした。
海馬の方はと言えば、今までに感じた事のない感覚に翻弄されていた。
男に性行為を目的に身体に触れられるのは慣れていた筈なのに、城之内の指や唇や舌の感触は、今までのどんな男とも違っていた。
何て事は無いただ皮膚に触れられているだけなのに、まるでそこに火を付けられたかのように熱かった。行為が進むにつれ身体の中にも熱が溜まり、じっとしている事が出来なくなる。自らの身体が自分の意志を無視してビクビクと跳ね、城之内が施す快感に耐え切れずにシーツの上で身を捩った。
余りの事に海馬は嫌々をするように首を振る。
こんな感覚は知らない。今まで何人の男に犯されようと、こんな風になった事は無かった。こんな感覚は…こんな快感は知らない…っ!!
熱くなっていく身体に焦りを感じて思わず目の前の身体を押し返すと、城之内は困ったように笑って海馬の手を取り指先にキスを落とし、それを邪魔にならないようにシーツに押しつけた。
「海馬、ちょっとコレ借りるぜ」
熱の籠もった声でそう告げると、城之内は枕を取り出すとそれを海馬の腰の下に押し込める。
「いきなりでローションも何も持ってきてないからさ。ちゃんと舐めて準備するから、大人しくしてて…」
「ゃっ…あっ。城之内っ…!」
抵抗する海馬を無視してそのまま太股を持ち上げると、それをグイッと左右に押し開く。目に留まったひくつく後孔にそっと舌を伸ばし、唾液を含ませるようにそれを舐める。やがて抵抗する力を失って緩くなったのを見計らうと、舌を中に押し込めて柔らかい内部を愛撫した。
「あっあっ…。ふぃ…っ、ぅ…んん! やぁ…っ!」
舌で腸壁をグイグイ押されるたび、海馬の身体は耐えきれないほど熱くなりビクビクと痙攣してしまう。まだ一度も触れられていないペニスも震え、堅くなり透明な先走りを自らの腹の上にポタポタと止めどなく流していた。
「っ…!! うぁ…っ…あぁぁっ!!」
城之内が指で後孔を左右に押し開き舌を更に奥へ進めた時、耐えきれなくなった海馬が身体を大きく震わせ悲鳴を上げてしまう。
驚いた城之内が慌てて目線を上に上げると、ピクピクと震えている海馬が自分の腹と胸の上に白い精液を放っているのが目に入った。
「お前…まさか、舐めただけでイッちまったのか?」
「っ…! ふ…ざけ…るな…っ」
「そんなに興奮してたのか」とキョトンとした顔で自分にそう尋ねてくる城之内に、海馬はキッと睨み付けると弾む息で何とか言葉を紡ぎ出す。
「好…きな…男に触れら…れて…、興奮しない…人間…が…いるのか…っ!?」
潤んだ青い瞳で睨み付けられて、城之内は思わず破顔してしまう。余りの嬉しさに身体を重ねると、ギュッと力を込めて抱き締めた。
「うん、そうだよな…。ゴメン、俺が悪かった」
汗で湿った首筋を優しく撫でながら耳元で囁くと、海馬が拗ねたような顔をしてすり寄ってきた。その顔をそっと包み込みもう一度瞳を合わせて深いキスをする。湿った水音をたてて舌を絡ませて海馬の口の中を堪能しながら、城之内は自分の腹に当たっている海馬のペニスに指を絡める。
「っ…、っん…!! ぅふ…!」
途端にビクリと身体を跳ねさせ逃げようとする海馬を宥めつつ、キスを続けながらも絡めた手をそっと上下に動かした。
先走りの液がペニスと指に絡みつきグチュグチュと厭らしい音を立てる。親指を尿道口に押し当ててグリグリと円を描くように刺激すると、くぐもった悲鳴を上げて海馬の身体が大きく震えた。
荒い息をつく唇を離すと、零れる唾液もそのままに城之内は身を屈め、今自分が握っている海馬のモノへと口を寄せた。くびれの部分を優しく舌で舐め、そのまま亀頭部分を口に含んでしまう。海馬の腰がビクリと跳ね頭上からは息をのむ音が聞こえたが、城之内はそれを気にせずに海馬のペニスを強く吸い上げる。
「ひっ…! んぁあっ! あっ…ダメ…だ…っ! やっ…!!」
海馬の細い指が城之内の金髪に絡んで何とかそこから引き離そうとするが、その度に軽く歯を当て手で強く扱くと力を無くし、逆に自らの股間に城之内の頭を押しつけてしまっていた。
その行為にクスリと笑いながら、城之内は空いている方の手を先程潤した海馬の後孔へと伸ばす。ヒクヒクしている穴の縁をなぞるように触れ、頃合いを見計らってツプリと指を押し込むと「っひ…!」という短い悲鳴が聞こえた。
「海馬…。お前のイイとこ教えてくれよ。なるべく気持ち良くなりたいからさ、俺もお前も」
「っ………!! し…知らん…っ!」
慎重に内部を解すように弄っていると、海馬が顔を真っ赤にしながら答えた。
「中で…んっ! 気持ちいい…と…ふぁっ…あっ…ん! 感じた事…は…無い…っ」
「そっかー。でも今は感じてるよな? ここか? 気持ちいい?」」
「ーーーっ!! っひぁぁ!!」
さほど痛みを感じていない事を確認しながら指をもう一本追加して内部を探っていると、突然海馬が大きく仰け反る。ここかと思い海馬が反応した一点を集中してグリグリと指を押しつけると、海馬は涙をボロボロ流しながらひっきりなしに悲鳴を上げ続けた。
「じ…城之内…っ! む…胸…っ!」
「胸?」
「胸の…奥…が、熱い…っ! あっ…も…ダ…メだ…ぁ…っ!」
まるで強いアルコールを飲んだ時みたいに胸の奥がカッと熱くなり、そんな身体の反応に耐えきれず海馬はシーツの上で激しく悶えた。
自らの指を噛み快感に耐える海馬の痴態に我慢が出来なくなって、漸く城之内が身を起こす。海馬の体内に入れていた指を引き抜くと頭上で小さな呻きが聞こえたが、それを無視してそのまま海馬の両足の間に身体を割り込ませると、濡れてひくつく後孔に硬くなった自らを押し当てた。
「もう…入れるから…力抜いて…」
熱い息を吐きつつ呟くと海馬がコクリと頷く。そのまま長い両足を抱え上げると体重をかけて熱いペニスを海馬の奥へと突き刺した。
「くぅっ…! ひっ! うぁ…っ!! あっあっあぁぁーーーーっ!!」
「ぅ…くっ…!」
海馬が城之内の肩に縋り付いて悲鳴を放つ。ギュッと閉じた瞼からは涙がボロボロと流れ落ちていた。城之内は狭い肉の抵抗に苦労しながらも己のペニスを無理矢理奥まで捻じりこませる。
「かい…ば…っ…! 大きく息…して…力抜いて…。大丈夫だから…」
身体を硬くして痙攣している海馬を安心させるように頭を優しく撫でると、城之内は少しずつ身を進めていく。
男の肉棒を受け入れる事なんて慣れきった事だと思っていたのに、海馬は何故か城之内相手だと上手く出来ない自分に苛立ってしまう。力を抜こうと思っても反対に身体全体に力が入って強ばってしまうし、深く息をしようと思っても浅く短い息しか出来ない。
痛くて苦しくて辛くて、嫌々をするように頭を左右に振り目の前の身体に強く抱きつく。そっと瞼を開けて潤んだ瞳で目の前の男を見ると、向こうもまるで余裕が無い必死な顔でこちらを見ているのが分かった。
海馬と目があった城之内はその途端フッと笑い、海馬の額や頬や唇に優しくキスを落とす。そして首筋に顔を埋めると嬉しそうにこう言った。
「そっかー。お前…初めてだもんなぁ…」
城之内の言葉に海馬は眉根を寄せると、荒い息を耐えながら反論する。
「ふざけ…て…るのか…。俺…は…こういう…のは…慣れてこそすれ…初めて…など…」
「いや、初めてだよ…。今までの相手は…さ、一方的にお前に性欲をぶつけてきただけだろ? そこには愛も何も無い。だけど今お前は、お互いに好きだと思ってる奴と初めて本気で抱き合ってるんだ。だから余裕が無いんだよ。だってこんなに感じた事…無いんだろ?」
城之内は気付いていた。
先日ヴァーチャル空間で海馬の過去の映像を見せられた時、彼はどんな男に抱かれようともただ虚ろな瞳を天井に向け、相手の動きに任せて揺さぶられているだけだった。
だけど今の海馬は全く違う。自分の施す愛撫に一々反応して、甘い声を上げ身を捩り涙を流している。それは間違いなく海馬にとって初めての経験だった筈だ。
「ちゃんと俺で感じてくれてるんだよな…。俺、嬉しいよ」
城之内の言葉に息をのむ海馬に気を良くし、目の前にある細い首筋に唇を当て強く吸い上げると、短い喘ぎと共にピクリと身体が跳ね力が抜ける。その隙を狙って漸く全てを飲み込ませると、城之内は熱い息を吐き出して身を起こした。
「全部…入ったぜ…」
狭く熱い肉筒に締め付けられ苦しそうに眉根を寄せながらも、海馬の目を覗き込んで優しく微笑んだ。その真っ直ぐな視線に耐えきれなくて、海馬は目をギュッと瞑ってしまう。
自分の身体の中に城之内がいて、ドクドクと熱く脈打っているのが分かってしまう。それだけでも恥ずかしいのに、とてもじゃないが彼の顔を真っ直ぐには見られなかった。手探りで自分の上に乗っている男の身体を探ると、首筋に両腕を絡めて引き寄せた。
「も…いい…から…っ! はや…く…っ!」
それに「わかった」と余裕の無い声が返って来たかと思うと、突然足を抱えあげられ強く腰を打ち付けられた。
「うぁ…っ!! ぁ…あぁっ…! んくっ…!!」
熱い肉棒がギリギリまで引き抜かれ、全てが抜けきってしまう前にまた強く奥に打ち付けられる。それを何度も何度もやられて、やがて苦しいだけだった内部に変化が現れてくる。先程指で刺激された場所にペニスが当たると、それだけでまるで身体に電流が走ったかのような快感がもたらされた。
「くっ…あっ…あぅぁっ!! う…はぅ…っ!! んっ…ひっ…ん…あぁん!!」
口から出るのは意味の無い喘ぎ声だけで、言葉を紡ぐなんて事は出来はしない。目をギュッと瞑り流れ出る涙や涎を拭う事も出来ずに、ただ目の前の身体に必死に縋り付いた。
ギシッギシッと規則正しくベッドのスプリングが鳴る。そのリズムに合わせて、海馬は城之内の腰にその長い足を絡めた。
「っ…!? か…海馬…!?」
「じょ…の…ぅち…っ!! も…っ! も…う…、イク…っ! イキそ…っ!!」
頭の奥が熱くなり目の前が白く染まっていく。城之内がもたらす快感に頭はもう何も考える事が出来ず、身体は既に限界を訴えていた。
「うん…。俺ももうイキそう…。いいよ…イッて…海馬…っ!」
「あっ…!! ダメ…イクっ! も…出る…っ!! も…あっ…あっ…あっ…ふぁ…っ! あぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
身体を大きく弓形に反らし、城之内の背に爪を立てて、海馬は達してしまう。腹に掛かる温かい液体を感じながら、城之内も海馬の身の奥に熱い精液を流し込んだ。
「っ…! んんっ…!!」
身体の奥深くで城之内のペニスがビクビクと震え、熱い精液が染みてくるのが分かる。だがそれを不快だとは全く感じなかった。
数知れない男達に抱かれていた時、あんなに嫌だと思う瞬間は無かった。生温い精液が自分の身体に染みて汚れが濃くなっていく感触が何よりも辛かったから。
だけど今は…この瞬間をとても嬉しく感じる。自分が大好きな城之内の色に染まった瞬間だったから…。
「じょ…の…うち…っ」
未だ達した余韻が残っている身体はだるかったが、その腕を伸ばして城之内の首を引き寄せた。そして感情の赴くままに強くキスをする。重ねた唇の隙間から舌を差し入れ熱い口内を必死で探り、それに城之内が答えて辺りには独特の水音と荒い息継ぎの音だけが響いた。
しばらくしてお互いに満足したのか、そっと唇を離す。どちらのとも知れない唾液が二人の間を結んで、城之内がそれをもう一度海馬の唇ごと舌で舐めとって飲み込んだ。そしてゆっくりと身を引いて、海馬の中から自分のペニスを引き抜く。
ズルリとした感触に海馬は一瞬眉を寄せて耐えるが、城之内が離れた後は、ふ~っと深く息を吐くとベッドに沈み込んだ。
身体の機能が全て麻痺してしまったようだった。指一本動かすのも億劫でそのまま横になっていると、隣に寝転んだ城之内にギュッと強く抱き締められる。
「海馬…ありがとう…。大好きだ…! 俺、お前が大好きだよ…!」
「城之内…」
抱き締めてくる熱い身体に海馬も腕を回した。
「礼を言うのはこっちだ…。ありがとう城之内…。俺もお前が大好き…だ…」
二人で視線を合わせてクスリと笑いあい、身体を重ねて指を絡め合って、やがて二人共に眠りの世界へと誘われていった。
…ン。…クン。ド…クン。
「………?」
どこか遠くで懐かしい音がしているのに気付いた。
ドクン…ドクン…ドクン…と、それは随分と規則正しく鳴っている。
昨夜無理をした身体は泥のように重く再び眠りの世界へと戻りかけたが、その懐かしくどこか優しい音がどうしても気になって、海馬は重たい瞼をそろりと開けた。
最初に目に入ったのは一面の肌色だった。
自分が普段眠っているベッドのシーツはいつも白だったため、その色には全く覚えが無い。
不思議に思ってぼやける視界をなんとか焦点を合わせると、今度は違うものが目に入ってくる。
自分のとは違う、健康そうな褐色の胸の飾りが規則正しく上下しているのを見て、それが人の胸なのだと言う事を理解した。そして自分が顔を押し当てているのもその人物の胸板で、下から聞こえてくる規則正しい音は彼の心音だという事も。
「っ…!!」
慌てて起き上がると、昨夜の久しぶりの性行為のせいか、下半身が酷く痛んで思わず身体の動きを止めてしまう。何とか痛みを逃しベッドの上を見ると、そこに寝ているのは城之内だった。海馬の身体に腕を回し幸せそうに眠っている。
その姿を見て、寝惚けていた海馬の頭が不意に覚醒する。
城之内の告白とそれに答えた自分。熱っぽい目線が自分を捕らえて身体に触れられ、泣かされて喘がされてイカされてそして…。
脳裏に次々と甦ってくる昨夜の情景にカーッと熱くなる両頬を押さえ、海馬はぎくしゃくしながらも何とかベッドから降りる。枕元の時計を見るともう朝の8時を過ぎていて、慌てて床に落ちていたバスローブを羽織りそっと後ろを伺う。
城之内はピクリとも動かずに熟睡していて、それに漸く安心して起こさないように慎重に彼の顔を覗き込んだ。
眠っている顔はまるで子供のようにあどけなかった。それが昨夜の男臭く熱っぽい表情と重ならなくてどうしても違和感を感じる。
「どっちがお前の本当の表情なんだ…」
それが何となくおかしくて、クスリと笑って城之内の頭を撫でた。そして少しだけ開いているその唇に、触れるだけのキスを落とす。
「昨夜は…本当にありがとう…。愛してるぞ、城之内…」
耳元で小さく囁くと、海馬は城之内を起こさぬようにそっと身を起こしバスルームに向かった。
部屋の向こう側でバスルームの扉がしまる音がし、やがてシャワーを流す音が聞こえ始めて、そこで漸く城之内がゆっくりと身を起こす。
口元を手で覆い、顔は耳まで真っ赤に染まっていた。
寝たふりをしていたお陰で貴重な体験をさせて貰ったが、顔がにやけるのを我慢するのにどれだけの集中力を強いられたか…。
「反則だろ…アレ」
そう言いつつも頬が緩むのを止められない。
やっと手に入った大事な大事な人。
片付けなければならない課題はまだまだ沢山ありそうだが、それでも二人でなら何とかなるだろうし、ここまで来たなら時間もかからないだろう。一つ一つ確実にこなしていけばいいだけの話だ。
「そうだな…。海馬が風呂から上がってきたら、まずは一緒に朝飯を食おう。それからこれからの事を話しながら今日はのんびり過ごそう。よし、そうしよう!」
今日の予定を勝手に決めてしまうと、城之内はベッドの上で思いっきり背伸びをする。そして勢いをつけて起き上がると、ベッド下に散らばった衣服を身につけてカーテンを開けた。
朝の強い光が差してきて、その眩しさに思わず目を閉じてしまう。強く眩しく優しいその朝の光は、まるで自分達のこれからを祝福しているかのようだった。
「今日もいい天気だ!」
そう呟いて振り返る。シャワーの音は何時の間にか止んでいて、もうすぐ海馬も部屋に戻ってくるだろう。戻ってきたら海馬を思いっきり抱き締めよう。それから自分が決めた今日の予定を伝えよう。
きっと海馬も同意してくれる事を確信しながら、城之内はその顔に笑みを浮かべた。
暫くして海馬の涙が漸く止まった頃、城之内はそっと身体を離して海馬の顔をもう一度見つめ直した。そしてそのままゆっくりと顔を近付けて海馬に口吻ける。
最初は軽く触れ合わせるようなキスも、段々と深くなっていく。
暖かい口内に舌を差し入れ、その柔らかい海馬の舌を絡め取って吸い上げた。
「っ…! んっ…ふ!」
零れる唾液を舐めて啜り上げて、力の抜けてきた身体をそのままソファに押し倒す。
そこで漸く海馬が城之内の身体を押しのけた。
「ま…待て! 城之内!!」
「ゴメン。急だとは思うんだけど、俺もう何か我慢出来無いっぽい」
「出来無いっぽいではないわ!! 俺にも心の準備ってものをさせろ!!」
そこまで言うと、城之内は至極名残惜しそうに身体を起こした。海馬も軽く息をつくと、真っ赤な顔でゆっくりと起き上がる。
「城之内…。俺はまだ自分の身体の事が気になって仕方無いのだ…。出来ればお前に触れさせたくないと…思っている」
「お前がそう思ってるのはもう嫌って程分かったけど、そればっかりは断わるぜ」
「わかっている。だから今からKCの本社に行かないか?」
「…は? 何で今からKC? もしかして社内プレイ? お前そりゃどんな趣味だよ…」
「違うわ馬鹿者!! ヴァーチャル内だったら綺麗な身体でお前の相手をする事が出来る。今まで誰とも何もしてこなかった身体をプログラムしてそれを使えば…」
「はい、そこまで!」
そこまで早口で捲し立てた海馬の口を慌てて手で押さえ、城之内は心底呆れたように深く溜息をつく。
「お前まだそんな事言ってんのかよ…。あのな、俺はヴァーチャル世界のお前じゃなくて生身のお前を抱きたいの。むしろ今は生身のお前以外には興味ないの。今、ここで、目の前のお前とセックスをしたいの。わかる?」
「それは…わかるが…」
「今度そんな事言ったら本気で怒るぜ。ていうかもうずーっと待ってたし、ホント我慢の限界なんです。セックスさせて下さい」
そう言いながらシャツのボタンを外してくる城之内の手を、海馬は慌てて止める。
「ま、待て! 待ってくれ!」
「悪いけどもう待てない」
「せめてシャワーを…っ! シャワーを浴びさせてくれ!」
その言葉に城之内の動きがピタリと止まる。
「もう…逃げないから…、だからシャワーを…」
懇願する海馬に城之内は「仕方無いなぁ」と苦笑する。そして漸くその身体を離してくれた。
「待ってるから。風呂行ってきな」
ソファにどっかりと座り込んでニコニコ笑っている城之内をチラリと見ると、海馬は顔を真っ赤にして急ぎ足でバスルームに向かった。
熱いシャワーを浴びながらスポンジにボディソープを含ませて十分に泡立たせ、身体の隅々までしっかり洗う。
なるべく綺麗に少しでも綺麗に…とそれだけを思い、肌が赤みを帯びるまで力を入れて擦った。
シャワーの湯で泡を全て洗い流して深く息をつく。湯を止めバスルームを出て、タオルで身体の水気を軽く拭いバスローブを羽織った。
そしてゆっくりと振り返って洗面所の鏡に映る自分を眺める。
見た目は綺麗に見えても、海馬の目にはまだ自分が汚れているような気がしてならなかった。
気にするなと自分に言い聞かせても感情は素直に言う事を聞いてはくれず、どうしてもそれが気になった海馬は再びバスルームに戻ろうとした。が、踵を返したところで突然背後から誰かに抱き締められてしまい、身動きが取れなくなってしまう。慌てて振り返ると、そこにいたのは痺れを切らした城之内だった。
「遅いよ海馬。何やってんの」
「じ…城之内…っ。離せ、俺はまだシャワーを…」
「シャワー、もう浴びたんだろ?」
「浴びた…が、まだ汚れが残って…」
「ん? 大丈夫大丈夫。身体も温かいし石鹸のいい香りしてるぜ? 充分綺麗になってるよ」
「だが…っ」
「なぁ海馬。あんまりグダグダ言ってるとここで犯っちまうぜ? もういいから向こう行こうって、ほら。寝室どこ? あっち?」
流石に洗面所で犯されるのは困るので、海馬は渋々洗面所を出て城之内を連れ自身の寝室に向かう。
まだ灯りの付いていない寝室をそのまま進み、ベッドサイドのランプだけを付けて振り返った。
「城之内…。お前はもう全てを知ってるから言うが、俺はこの行為に慣れてしまっている。だからその事で幻滅されてしまっても困るのだ。それだけは分かって貰いたい」
「慣れてるって言うなら俺だって慣れてるさ。変な事ばっか心配すんなよ」
苦渋の表情でそう言う海馬に城之内は笑顔で答えると、突っ立ったままの海馬に「ほら、こっちおいで」と手招きをする。素直に近付いて行くと城之内は腰を抱き寄せて共にベッドの縁に座り込み、そのまま海馬を優しくシーツに押し倒した。
未だ水気を含んだままの栗色の髪がパサリとシーツに広がる音に気をよくし、城之内はそっとその頭を撫でる。
「あんまり自分の事を汚いとか言うなよな。そんな風に言われると俺も悲しいからさ。でもそんなに気になるんだったらこれから俺と一杯セックスして、その跡を消してけばいいんじゃない? ていうか、全部俺が塗り替えてやるよ」
妙に自信たっぷりに言った後に「なんてな」と照れ臭そうに笑う城之内を見て、海馬の口元に小さな笑みが浮かぶ。
「そうか。ならば全部お前に任そう。俺を…塗り替えてくれ、城之内」
やっと自分の気持ちに正直になれた海馬が、緩やかに覆い被さってくる城之内の首に腕を回した。それに気持ちよさそうに吐息を漏らした城之内が、海馬を強く抱き締め返す。
「あぁ、任せてくれ」
城之内のその一言を最後に、二人の間に会話は消えた。
久しぶりに飲み会に行って手羽先を堪能してきた二礼です。こんばんは。
もう7年近くやっているF/F/11の仲間との飲み会だったのですが、今日は久しぶりに会った人達もいて楽しかったです(´―`)
流石に7年も一緒にやっていると、出てくる話題もゲーム内の事から世界経済の状況まで様々で…w
こういう色んな話をする事が出来る人達に恵まれているのは、本当に良い事だと思いました。
中には思わず考えさせられるような話題なんかも飛び出して、大人の友達付き合いって深いなぁ…としみじみ思ってしまった訳ですw
長編『勇気の証明』の続きをUPしました。
あっとすっこし! あっとすっこし!
ラストに向けて頑張ります(´∀`)
話は変わりますが、最近本当に沢山の拍手を頂いております。
もう言葉では言い表せないくらい、メチャクチャ感謝感激しています!
コメ有りの方も無しの方も、本当にありがとうございました~!
この気持ちを忘れずに、これからも頑張りたいと思います。
以下は拍手レスになりますです~。
>Rosebank様
こんばんは~。拍手ありがとうございました!
今日はお返事が遅くなってしまってスミマセンでした…。
海馬の潜在的Mについては、二礼もずっとそう思っていましたw
何か海馬が虚勢を張れば張るほど、酷く苛めたくなってきちゃうんですもの…。
屈服させて言う事を聞かせたい…みたいな。
ていうかあの人、もうMでいいですよね?
Mだって事を前提にして考えている話もあるので、二礼の中ではもうMって事にしちゃいますw
ちなみに苛めるとしても、あくまで愛の有る苛めなのであって、愛の無いただの苛めはよろしくない…と思います。
少なくとも私はそんな苛めは書けません…(´・∀・`)
(他の方が書いた小説や漫画を読む分にはOKですけど(*'-'))
そんなこんなでまた海馬を苛める事に精を出してしまいそうです。
ゴメンね、社長w
それでは今日はこの辺りで失礼しますね~。
ではでは~(´∀`)ノシ
自分の私室に城之内を招き入れソファに座らせて、海馬は部屋付きのポットでコーヒーを煎れた。それをガラステーブルの上に二人分置くと、自分も城之内の向かい側のソファに座り込んだ。
二人共暫く黙ってコーヒーを飲んでいたが、意を決したように城之内が口を開いた。
「海馬、俺あれからずっとお前と話をしたいと思ってたんだ。本当は見舞いにでも行ってすぐにでも話をしたかったけど、俺の方も混乱気味でちゃんと纏めないと何か滅茶苦茶な事言いそうでさ。それで今日まで時間がかかっちまった。見舞い…行けなくてゴメンな?」
心底済まなそうに謝る城之内に、「別に。気にしていない」と海馬を首を横に振る。
城之内が何を言いたいのか正直分からなかった。ただ彼は『混乱している』と言っていたから、多分自分との決別の話をしにきたのだろうと海馬は思った。わざわざそれを言いに来たのは予想外だったが、やはりこれで良かったのだと何度も心の中で反芻する。
「それでさ…。色々考えたんだけどさ」
やはり来た…と、海馬が密かに覚悟を決めた時だった。目の前の男は信じられない事を平気で言ってのけた。
「俺やっぱお前の事諦められきれないんだよねー。だってすっげー好きだし。だからやっぱり俺と付き合ってくれない?」
「…なっ!?」
余りの事に目を丸くして固まってしまっている海馬を気にせず、城之内はペラペラと喋りだした。
「大体お前は気にし過ぎなんだって。前にも言ったけど、俺だって昔は遊びまくって綺麗な身体してる訳じゃないんだぜ? この前あっちの世界でお前のあんな姿とか過去とか見ちゃったけど、それが何だってんだよ。そりゃまぁ…少しはショックだったけどさ。だからと言ってお前に対する気持ちが変わるって訳じゃ無いんだぞ? 人の気持ちなんてそんなに簡単に変わってたまるかっての」
「だ…だが俺は」
未だ言い訳をしようとしている海馬に、城之内は「ストップ!」と言って言葉を無理矢理止めさせた。
「なぁ海馬。せっかくだから、こっから先はルールを決めて話を続けないか?」
「ルールだと…?」
「そ。こっから先はどっちも嘘ついたらダメな?」
「か…勝手にそんな事を決めるな!」
「もう決めちゃったから。で、俺はお前の事好きなんだけど。お前は? もう俺の事嫌いになっちまったの?」
自分の反論も全く気にせず強引に話を進める城之内に、海馬は一瞬言葉に詰まってしまう。思いっきり睨み付けても当の本人はケロッとして「で、どうなんだよ?」と平気で聞いてくる始末だ。
誤魔化す事も出来るだろうに『ルール』という言葉に弱い海馬は、その言葉に縛られてしまい思わず正直に答えてしまう。
「嫌い…では…ない」
「そっかよかった。じゃ、好き?」
「な…何っ!?」
「俺の事嫌いじゃないんだったらさ、好きなの?」
「き、貴様! その質問は卑怯だぞ!!」
余りの意地の悪い質問に、流石の海馬も大声を上げてしまった。嘘を言ってはいけないというルール上『嫌い?』という質問に大して『嫌いではない』という答えはセーフなのだが、『好き?』という質問に大して『好きではない』という答えは完全にアウトだ。気持ちがバレてないのであればいくらでも誤魔化しようもあろうが、全てを知ってしまっている城之内に大してそれは有効ではない。だからといって素直に『好き』と言う事は出来ない。そんな事を言ったらそれこそ城之内の思う壺だ。
「ねぇ、どうなの?」と聞いてくる城之内に何も言う事が出来ず、海馬はまた俯いてしまう。
そんな海馬の様子に城之内は苦笑すると、立ち上がり向かい側のソファに座っている海馬の側までやってきた。そして足下に膝をつき、膝の上で固く握りしめていた海馬の手をそっと少し震えている暖かい手で包みこんだ。
側まで来られた事に気付いていなかったのだろう。ビクッと身体を揺らすと、海馬は慌てて手を引っ込めようとする。それをギュッと力強く握りしめることで逃げを許さず、城之内は真摯に話しかけた。
「なぁ海馬。俺、本当にお前の事が大好きだよ。好きで好きで大好きで、どうしてもこの気持ちを一人で抱えきる事が出来なくてお前に告白したんだ。本当はすっげー怖かった…。男同士だったし仲悪かったっつーか最悪だったしな。だけど俺はそこで諦める事がどうしても出来なかった。だから無い勇気を必死で掻き集めて、お前に想いを告げたんだよ。いやホントにすっげー勇気出したんだぜ? 今思ってもよく告れたなって自分でも感心するもん」
城之内は更にもう片方の手を添えて、海馬の細くて少し冷たい手を握りしめる。まるで自分の真剣な想いを少しでも海馬に移そうとしているかのようだった。
「お前も俺も色んなモン抱えてるけど、そんなもの二人でいれば何とかなると思わないか? 逆に考えればさ、一人じゃどうしようもならない事も二人なら大丈夫だって思うんだよ。俺はお前と一緒にいれば何も怖くないぜ? お前は? 俺と一緒にいてもまだ怖いものがあるのか?」
城之内のその問いに海馬はゆるりと首を横に振る。
その考えは前々から海馬も思っていた事だった。いつでもどんな時でも強く明るい城之内が側にいてくれれば、どんな困難な事でも乗り越えられると信じられた。けれどそう思うのと同時にそれは到底無理な事なんだと、海馬は自分の中で完全に諦めきってしまっていた。だが、それと全く同じ思いを抱いた城之内が、自分とは違って諦める事無く真っ正面から向かって来ている。その事に気付いた海馬は、いつの間にか自分の眼の奥がじわりと熱くなって来ているのに気付いた。
「実は今この瞬間だって俺は緊張しまくってんだ。心臓バクバクいってるし手も震えてるしな。でもどうしてもお前を諦めたくないから、こうして勇気出してんだ。なぁ、お前も勇気出してくれよ。俺と一緒に幸せになる勇気を」
城之内が強い意志を宿した瞳で真っ直ぐに見つめてくる。それを見返すと不意に視線が歪んで、海馬は自分が落涙した事を知った。
既に海馬の中では、城之内を拒否する気持ちは完全に無くなってしまっていた。どこまでも真剣に本気で熱く向かってくる目の前の男に、海馬は何時の間にか降参してしまっている自分の気持ちに気付いてしまう。
白い頬を伝って流れ落ちる涙を城之内の指がそっと拭い、伸び上がってその頬に柔らかく唇を押しつけてきた。そしてそのまま海馬の頭を抱き込んで耳元で囁くように問う。
「俺は海馬が大好きだ。愛してる。だからもう一度聞く。海馬…、俺の事が…好きか?」
止まらぬ涙を城之内の肩口に顔ごと押しつけ、その背中にそっと手を回してギュッと強くシャツを握る。そしてゆっくりと、だが確実に頷いた。
「………っ。好き…だ…っ」
それだけ言うのがやっとだったがどうやら城之内はそれで満足したらしく、耳元で安心したように笑うと海馬を強く抱き締め返した。
「海馬…。俺の恋人になってくれ。それで俺と一緒に幸せになってくれ。お前はもう、何も苦しまなくていいんだ」
栗色の髪を優しく撫でながらそう言う城之内に、海馬はただコクコクと頷く事しか出来なかった。
本日、二礼はこれから友人達と飲み会の為、更新が遅くなります。
多分日を跨ぐ頃になっちゃうかと…(´・ω・`)
拍手のお返事もその時に致します。
長編の続きを待って下さる方もいらっしゃるというのに、大変申し訳ありません~!
それでは…、イテキマース!
今更ながら『遊/戯/王/R』を読破しました二礼です。こんばんは。
アシスタントの方が書いているという事で読まず嫌いしてました。
反省してます。すっげ面白かった(*'-')
ていうか、海馬が負けるとどうしてこう萌えるんだろうなぁ…w
二礼的にはS気質は無い筈なのに、海馬相手だとどうしても苛めたくなってしまいますw
社長可愛いよ社長!!
長編『勇気の証明』をUPしました。
長男のターンです。
身体は子供でも流石長男。強いね乃亜!
そしていい加減焦れったくなってきました。
多分…もう直ぐくっつくと思います。
じゃないと終わらないしね~…(´∀`;;;
以下は拍手のお返事になります~!
>Rosebank様
連日の拍手ありがとうございます!
本当に感謝しております~!
そうそう。実は今回の乃亜の行動は、城之内に対しての『お礼』の一つなんですよ。
乃亜も瀬人には幸せになって貰いたくて、あぁしてわざと焚きつけているんですけど、それが上手く表現しきれないのが微妙なところなんですよね~(´―`;
あぁ…小説が上手くなりたいです…orz
長編の方は多分もうすぐ終わると思うので、最後までお付合い願えたら幸いです。
そう言えば…磯海もいいですよね…。
大きな包容力を持った磯野と誘い受けの海馬とか…萌えですよね~(´¬`)ウフフ
常に側にいて見守っているという立場もまた美味しいと思いますw
自分では余り書きませんが、余所様の所の磯海なんて見ちゃうと凄い萌えてしまう今日この頃ですw
(私自身あまりカップリングの浮気をしないというスタンスなので…。勿論他の方が描かれる別カップリングは大好きですよ!)
それでは今日はこの辺りで失礼します(*'-')
ではでは~!
一週間後、無事に退院したその足で海馬は会社に向かう。
ヴァーチャル空間に捕われていた三日間の間に溜まった仕事を片付けるのは勿論の事、先日の田崎との企画をまとめなければならなかったからだ。
それでも持ち前の要領の良さでさっさと仕事は片付けてしまえたが、弱ってしまった身体で無理をする事は出来ず、近頃は定時に屋敷に帰り執務室で残った仕事を片付ける日々が続いていた。
学校にはもうずっと行っていなかった。今、城之内に会う勇気は自分には無かったから、体調不良を理由にずっと休んでしまっている。
遊戯からは時々メールや電話で連絡が来ていたが、何だかんだ言い訳をして城之内との接触をなるべく避けてしまっていた。
その日もいつものように執務室でメールチェックをしていると、突然軽快な着信音と共にメッセンジャーが立ち上がる。
『乃亜:瀬人、今ちょっといいかい?』
現れたメッセージに海馬は眉を顰めると、それでも無言で執務室のソリッドビジョンシステムのスイッチを入れた。
柔らかな光が中央に集中して、やがてそこに乃亜の姿が現れる。
「何の用だ?」
「何って、この間のウィルスの事だよ。漸くサーバーデータの修復が出来たからその報告に来たんだ。ウィルスが残したデータの洗い直しも済んだし、結果聞きたくないのかい?」
憮然とした表情で問いかける海馬に、乃亜は大して気にも止めずそう述べた。
「さっきも言ったけど、データ修復は無事完了。ウィルスデータの洗い直しも完璧にこなしておいたから、後で報告書を確認してくれ。ちなみに、例のウィルスの出所もわかったよ。報告書にも書いてあるけど、どうやら犯人はS社のようだね~。僕をサルベージした時に放っておいた父…剛三郎のデータも拾い上げてダミーとして利用してたみたいだし、侮れないな。まぁ…現実空間の方の対応は瀬人の仕事だから、後はいいよね?」
「あぁ、構わない」
そう答えた海馬は既に乃亜を見ておらず、憮然とした表情で手元の書類にサインをしていた。
それを見て乃亜はやれやれと肩を竦める。
この優秀過ぎる弟は、どうやら本当に自分に気付かれてないと思っているらしい。大体データの世界に関しては完全にこちらの管轄だというのに、それでも素知らぬふりを通すとは大胆不敵であるとはこの事だ。
はぁ~、と盛大な溜息をつき、乃亜は瀬人に近寄った。
「ところで瀬人。一つ気になる事があったんだけど、聞いていいかい?」
「何だ? くだらない事だったらまた今度にしてくれ」
「くだらない事じゃないから聞いているんだけど? ね、瀬人?」
「だから何だ。用件なら手短にしてくれ」
「あ、そう。だったら単刀直入に聞くけど」
そう言って乃亜は海馬の目の前に顔を寄せて呟いた。
「あの扉のパスワード。後から城之内の個人認識記号に書き換えたのは何でなのかな?」
「っ!?」
乃亜の言葉を聞いた途端、海馬の手元がピクリと止まってしまう。
「パスワード変えたの瀬人だろう?」
「そんなもの…、俺は知らない」
「嘘ついたってダメだよ。データにはちゃんと残ってるんだから。データは嘘つかないんだからね」
「俺は知らないと言っている…!」
「相変わらず強情だなぁ…。だったら細かく教えてあげようか? 記録にはお前が捕まって二日後、ウィルス本体とダミーの目を盗んで瀬人自身が書き換えた事になってるんだよねぇ。それってさ、僕があの扉のパスワード変換を確認した時間と合ってるんだよね」
「っ………!」
「ねぇ、どうしてわざわざ城之内の記号なんかにしたのさ。本当に助け出して欲しかったら、素直にパスワードを解除してしまうか、もしくは僕の記号にすれば良かったのに。そんなに城之内に助け出して欲しかったの?」
「………。」
「それともそうまでして城之内に自分が犯される姿を見せたかったのか?」
「だ…黙れ!」
「黙らないよ。だってそうだろう? 城之内にあの悲惨な自分の姿を見せて、今度こそ本気で呆れさせてしまおうという魂胆だったんだろう?」
「き、貴様!! 黙れと言っているだろう!!」
激高のあまり大声で叫ぶと、海馬は手元にあったペン立てを目の前の乃亜に投げつけた。
だが、ただの3D映像の彼にそれがぶつかる事は無く、ペン立てはそのまま後ろの扉にぶつかり、中身の様々なペンを床に散らばせるだけだった。
それをじっとりと横目で眺めると、乃亜は多少呆れたように息を吐き出した。
「癇癪は感心しないな。瀬人はもう少し自分の感情を我慢する事を覚えた方がいいね」
「誰が俺を怒らせていると思っている!?」
「知らないよ。僕はただ事実を述べただけだ。事実を突きつけられて勝手に怒ったのは瀬人じゃないか」
腕を組み少し怒った風に言うと、目の前の海馬は黙り込んでしまう。
いくら睨み付けても、もう一言も喋らなくなった海馬に、乃亜はまた一つ溜息をついた。
「都合が悪くなるとだんまりを決め込む癖も治した方がいいね」
厳しい口調とは裏腹に、乃亜は優しく慰めるように海馬の頭に手を置いた。とは言ってもただのコンピューターグラフィックなので実際に触れる事は出来ないが、その乃亜の行動に海馬が視線を上げる。
「ねぇ、瀬人。どうしてそんなに城之内に諦めて貰いたいの? 瀬人も城之内の事が好きなんだろう?」
「………。だからこそ…だ。俺は城之内を汚したくない。それにもう決めた事だ。アイツが…剛三郎が死んだ時に。俺はもう誰も好きにはならない、なったとしてもその相手とは絶対に関わり合いにならない…と。この先も俺はずっと一人で生きていくと…決めたのだ」
「へぇ…なるほどね。それであんなに必死になって、自分が犯される姿まで見せてたわけだ」
「あんな姿を見れば、いくら楽天家の奴とはいえいい加減呆れてしまっただろう…。これでいい…。後悔はしていない」
「ふぅん? でもさ、瀬人。本当に城之内が諦めたと思ってるの?」
「当たり前だ! あんなモノを見ておきながら未だ恋愛感情を持ち続ける奴がいるなら、この目で顔を見てやりたいわ!!」
「あっそ。んじゃ、見てみればいいんじゃない? 丁度当の本人が来たみたいだし」
「何っ!?」
海馬が慌てて立ち上がり耳を澄ますと、確かに階下の方が少し騒がしくなっているようだった。常駐しているメイドの声と共にモクバの声も聞こえる。そして今話していた城之内の声も。
数秒後、今度はズカズカと遠慮のない足音が聞こえてきたと思ったら、それは海馬の居る執務室の前でピタリと止まる。そして続いて聞こえる控えめなノック音。
焦った海馬が声を出せずにいると、それを見越して乃亜が勝手に「どうぞ~」と暢気な声で答えた。
「乃亜っ!!」
慌てて海馬が止めるのも間に合わず、重厚な扉の向こうから城之内がひょっこり顔を出してきた。
「海馬…? あれ、乃亜もいたのか。ゴメン、何か大事な話してた?」
「いや。話はもう終わったよ。僕はもうヴァーチャル空間に帰るから、後は二人でゆっくり話でもすればいいよ。明日は休日だし、良かったら泊まってってもいいんじゃないかな?」
心配そうに訪ねてくる城之内に乃亜はヒラヒラと手を振ると、「じゃ、またね。瀬人」と意味ありげなウィンクをし消えていった。
後に残されたのは気不味そうな海馬と何かを言いたげな城之内の二人だけで、広い執務室は一瞬シンと静かになってしまった。
この状況を何とか打破しようと城之内はキョロキョロと辺りを見回し、机の上に広げられたままになっている書類に気付く。
「ゴメン! 仕事中だったのか。俺、お前に大事な話があって来たんだけど、仕事終わってないんだったら表で待ってるから…」
「いや…。これは別に急ぎの用では無いから、気にしなくていい」
ふぅと息を吐くと、海馬は机の上の書類を片付け始めた。そして改めて部屋を見渡すと、執務机以外に余分な机や椅子が無いこの部屋は、話をするのに向いていない事に気付く。現にドア付近で手持ち無沙汰気味に立ったままでいる城之内を見て海馬は言った。
「話があると言ったな。ここでは何だから、俺の私室にでも来るか?」
慌ててコクコクと頷く城之内を連れて海馬は部屋を出る。
後からよく考えれば、何故専用の応接室では無くて自分の私室に城之内を招いてしまったのか分からないが、この時自分でも気付けないほど海馬は混乱していたのだった。
ロングコートとかマントとかローブとか、何か長い服が似合う人が大好きです。
こんばんは、二礼です。
海馬のあの針金コートはいいですよねぇ~(*´д`*人)
普段は形状記憶合金のくせに、強い風が吹くと途端に柔らかくなって靡くって、一体どんな素材で出来てんのよって話しだw
後ろから見るとスカートっぽく見えるのもまた萌えですな(´_ゝ`)
そういえば、よく考えればそんなキャラばっかり好きになっているような気がします。
私がこの道に入る切っ掛けになった初恋の某黄金聖闘士様も、前ジャンルの某聖騎士団団長様も、声と容貌で一目惚れした某守護聖様も、来週から某週刊誌で連載再開(予定)する作品に出てくる某パッツンポニテ日本人も、ゲームキャラの中で一番愛している某砂漠の国の王様も、何か長ったらしいの着てたり羽織ったりしてたね、うん(*'-')
好みは変わらないって事でOK?
長編『勇気の証明』の続きをUPしました。
本当は今日は短編をUPしようかと思っていたんですが、あともう少しなので一気に上げていっちゃいます。
何か勿体無い気がする今日この頃。
長編書くのは楽しくて大好きなので、これ終わったらまた別なの書こうかな~。
以下は拍手のお返事でございます~。
>Rosebank様
拍手ありがとうございました~!
そうそう、乃亜はまだしもモクバにはとてもじゃないけど海馬のあんな姿は見せられませんよね…。
あれは城之内なりの最大限の気遣いなんですよ。
あまり描写する事は無いんですが、私の中では城之内とモクバはすごく仲良しです。
海馬を介してまるで兄弟のような感じでいます。
弟のように感じているモクバにショックを与えない為に、そして目覚めた後の海馬の心も傷つけない為に、あぁして配慮したんです。
自分で書いておいて何ですけど、こういう配慮が出来る男はかっこいいですよね~。
それでは今日はこの辺りで。
長編もヘルクリも頑張って書き上げます~(´∀`)
(実は大分形になって来てるんですよ~!)
>イミフ メイ様
ヒャッホ~イ! 拍手ありがとうございます!
乃亜は確かに海馬家の長男ですが、アニメを見る限りデータに囲まれた世界ですっかり精神的に成熟してしまっている感があったので、あんな風に妙にお兄ちゃんちっくになっちゃっていますw
そして多分この先、お兄ちゃんのターンがもう一度有ると思います(´∀`)
いいですよねお兄ちゃん。
私もあんなお兄ちゃん欲しいです。…欲しいか?(´_ゝ`;
台詞に関しては、頭の中でなるべくTさんとかTさん(あ、両方Tじゃん)の声を思い浮かべながら台詞を書くようにしているのですが…果たして上手く行っていますかね?
Tさん達(w)の声で聞こえるとおっしゃって下さったので、何かちょっと嬉しいです…w
では今日はこの辺りで~。
私の方こそまたメイ様のサイトに遊びに行かせて頂きます!
リクエストは…まだ暖めているのでまた今度お願いしますです(´ω`)
ではでは。
随分と長い間悪夢を見ていたような気がする。
ゆっくりと浮上していく意識の中、海馬はふとそんな事を思った。
どこか遠くで話し声が聞こえていた。
最初は何を話しているか理解できなかったが、意識がハッキリしていくにつれ会話の内容が聞き取れるようになっていく。
「どうして音声も画像も繋がらなかったんだよ! オレ心配したんだぞ」
「悪い悪い。どうせすぐ連れて帰るんだし、俺が乃亜に音声と画像繋ぐように言わなかったんだよ」
「乃亜がそんなミスするとは思えないんだけど…?」
「いやホントに。ホントだってばよ~、信じてくれよ」
聞こえてくる声で、その会話はモクバと城之内の二人だと分かる。
瞼が異様に重くまた意識が遠のいていきそうだったが、それでも海馬はゆっくりと目を開いていった。
目に入ったのは怒って城之内に詰め寄るモクバと、それに手を合わせて謝る城之内。
最初はボンヤリとしていた視界が、時間が経つとクリアになり焦点が合うようになる。
何度か瞬きをして身体を動かそうとすると、モクバがそれに気付いて駆け寄ってきた。
「兄サマ! 良かった、目が覚めたんだね」
心配していた表情から一遍、明るい笑顔を浮かべ海馬に縋り付いた。
「モクバ…? ここは…俺は一体…?」
「兄サマ、覚えてないの? KCのサーバーにウィルスが入り込んで、兄サマはそれを排除しにいって戻ってこれなくなって…。俺、心配したんだからな!」
心から安心したように抱きついてくる弟を片手で支えながら、もう片方の手で額に手をやり何とか記憶を取り戻そうとする。
気持ちを落ち着けると、事の全容が脳裏に甦ってきた。
乃亜からコンピューターウィルス襲撃の報を受け、自らヴァーチャル世界に降りた事。
パスワードのついた扉を抜けた瞬間、乃亜に連絡が付かなくなった事。
海馬邸を彷徨っていると突然目の前に剛三郎と幼い姿の自分が現れ、強い力で弾き飛ばされ意識を失った事。
気がついたら脱出防止用プログラムが付随した首輪を付けられ、身体の自由を奪われていた事。
思い出したくもない過去を無理矢理見せられ、精神的に追い詰められた事。
逃げる事も抗う事も出来ず、剛三郎の姿を模したウィルスのダミーにあの頃と同じように犯され続けた事。
全ての気力を削がれた頃に、城之内がこの空間に入って来たのを感じた事。
城之内を現実世界に返す為に、剛三郎と取引をした事。
「あぁ、全て…思い出した」
「兄サマ、あれからもう三日も経ってんだぜ。点滴してたけど、やっぱり身体は衰弱してるし脱水症状も起こしてる。今磯野を呼ぶから、すぐ病院行って入院しなきゃダメなんだからな」
海馬の記憶がしっかりした事でやっと安心したのか、モクバは懐から携帯電話を出すと部屋を出て磯野に連絡をしているようだった。
モクバが部屋を出て行ったのを見て、海馬はゆっくりと身体を起こそうとする。だが三日間眠り続けた身体は容易に言う事を聞いてはくれず、頭を起こした途端グラリと酷い目眩に襲われた。
再び倒れ込みそうになった時、その背を誰かが支えてくれたのを感じる。
ぶれる視界に逆らって何とか見上げると、そこに居たのは城之内だった。
「海馬…っ! 大丈夫か?」
心配そうに覗き込んでくる城之内に海馬は頷くと「あぁ…すまない」と短く返す。そしてそのまま城之内に支えられながら、何とか上半身を起こして深く息をついた。
自分の身体を支えてくれている城之内をもう一度見返すと、その身体はヴァーチャル空間と違って血で汚れてはいなかった。
それを見て漸く現実空間に戻ってきた事を実感する。
「すまないな…城之内。お前には迷惑をかけた」
「気にすんなよ。俺は当然の事をやっただけだ」
「不快なものも…見せてしまったな…」
「だから気にすんなって。俺は別に何とも思ってないぜ?」
「そんな訳無いだろう…? 悪い事は言わない。あんなの早く忘れてしまえ。俺に対する想い共々…な」
視線を合わせなるべく感情を表に出さず淡々と述べると、城之内が少し悲しそうな顔をした。
「お前…まだそんな事言ってんのかよ」
それに答えずグイッと城之内を押しやると、海馬は自分が寝ていたカプセルの縁に手をついてノロノロと身体を起こし始めた。
ぐらつく身体を叱咤し一歩一歩出口に向かって歩いていく。
「海馬…っ! まだ無理だって!」
背後からの叫びも無視して長い時間をかけ漸く出口に辿り着くと、丁度モクバに呼ばれた磯野と他の医療スタッフが到着したところだった。
「瀬人様…っ! よくご無事で…!!」
崩れ落ちる身体を磯野に抱き留められた辺りから海馬の意識は遠のいていく。医療スタッフが持ってきたストレッチャーに乗せられて運ばれて行く内に、海馬は完全に意識を失ってしまった。
気が付いた時は病院のベッドの上で、脇に控えていたモクバから一週間の入院を告げられた。
それからは特に変わった事はなく、入院中は持ち込んだノート型PCでメールのチェックをしたり新しい企画を考えたりと、それなりに有意義に過ごしていたと思う。学校には一時的な過労で倒れたと報告がなされており、それを心配した遊戯は友達を引き連れて放課後によく見舞いに来てくれた。ただそこに城之内の姿は無かったが。
入院最終日、帰り際の遊戯にそれとなく城之内について聞くと、彼は「う~ん…」と唸って困った顔をしていた。
「僕もね、城之内君に一緒に海馬君のお見舞いに行かない?って何度か聞いたんだけど、何かアルバイトの方が忙しいらしくって来れないんだって。城之内君の場合は生活がかかってるから僕も強くは言えないし…」
「ゴメンね?」と謝る遊戯に、海馬は「気にするな」と返す。
多分ヴァーチャル空間での自分の痴態を見て、漸く諦めてくれたのだろう。
一人残った静かな病室でそんな事を考える。
城之内はきっと自分に呆れてしまっている。
そうだ。それが当然だ。
あんな過去をみて、あんな姿を見て、あんな事をされて、それでも呆れない奴なんて居る筈が無い。
お前はそのまま好みの女とでも一緒になるがいい。
自分はまた一人で生きていく。
脳裏に女性と一緒に人生を歩んでいく城之内を思い描いて、少し安心した。そしてそれと同時にとても悲しくなった。
胸の奥が鷲掴みにされたように苦しくて仕方無い。
いつの間にか泣いている自分に気付いてしまう。これでいいのだと思っても、涙が溢れて止まらない。
自ら他人を引き離しておいて、こんなに辛いのは初めてだった。
「ふっ…! くっ…! ぅ…ぅっ…!」
嗚咽を無理矢理押さえ込む為に口に手を押し当てる。ベッドの中で身体を丸め、海馬は一人きりで静かに涙を流し続けた。
今年の春コミが14・15日だと今更気付いた二礼です、こんばんは。
ちっ…! 丁度その二日は相棒の実家に用事があって行かなくちゃいけなくて、今年は行けそうにありません。
残念だ…(´・ω・`)
こうなったらスパコミは絶対行ってやる!!
しかし三月半ばの北海道…。
まだ雪残ってんだろうなぁ…。
寒そうだから防寒対策万全で行かなければ!!
本日も頑張って長編『勇気の証明』をUPしました。
*マーク付けるかどうか迷ったんですけど、何か流血シーンがあるので付けてみました(*'-')
そしてようやく一段落付きました…。
あとはもう起承転結の結に向けて書くだけでございます。
読んで下さっている方々は、よろしかったらどうぞ最後までお付合い下さいませ~!
以下は拍手レスでございます。
>Rosebank様
拍手ありがとうございます~!
そしてお名前申し訳ありませんでした!!
本当だ…どこであの点々くっついて来ちゃったんだろう…;
人様のお名前を間違えるなんてとんでも無い事です。大変失礼致しました~!!
Rosebank様は感想を下さるだけでなく、今後の推理までして下さるのでこちらも頑張りがいがあります!
いやもう…そんな推理して下さる程大した小説じゃないんですけどね…(´∀`;
あぁそう言えば、ヘルクリの続きのプロットはRosebank様のご意見を取り入れて組み立ててみました。
完全にRosebank様のご意見全てを再現出来る訳じゃありませんけど、それでも何とかご期待に添えるように頑張りたいと思います。
あ…でもやっぱり…ちょっとギャグちっくになっちゃうかも…(´・∀・`) イイデスカネ?
それでは今日はこの辺で失礼しますね~。
「いってぇ…!」
ドサリと床に投げ出され、思わず頭を抱えて起き上がり周りを見渡す。
そこは一番初めに入った海馬の私室だった。
そして目線を前に向けると、座り込んでいる城之内の目の前に立っている人物が一人。
「お前…」
それは先程嫌というほど悲しい過去を見せ付けた、あの幼い海馬だった。
「城之内…克也…?」
「あ…あぁ…」
幼い声で名前を呼ばれて、思わず素直に頷いてしまう。
「どうして諦めないの?」
「え…? 何を?」
「海馬瀬人を」
「どうして諦めなくちゃなんねーの?」
「どうして? だって海馬瀬人は諦めて欲しいと思っているのに」
感情の篭ってなさそうな、それでいてどこか悲しそうな瞳で見つめられて、城之内は直感で感じた。
コイツだ。ウィルスの本体はコイツなんだ…と。
よく考えればすぐに分かる事だった。
このヴァーチャル空間に降りてから出会った人物は四人。乃亜と海馬は別にすると、残りはこの幼い姿の海馬と先程執務室にいた剛三郎の二人だけ。
剛三郎の方がダミーだとしたら、必然的にこの幼い海馬がウィルス本体となる。
「お前…だな? お前がウィルスの本体なんだろ?」
座り込んだままそう問い詰めると、目の前の海馬はコクリと静かに頷いた。
「海馬瀬人は自分の過去に君を巻き込みたくないと思っている。だから諦めて欲しいと思っている。なのにどうして諦めない?」
不思議そうに見つめてくる幼い海馬に、後頭部をガリガリ掻きながら城之内は答えた。
「それはアイツの意思であって、俺の意思じゃない。大体なんでお前がそんな事知ってるわけ?」
城之内の疑問に幼い海馬は少し考え込んだようだったが、また無感情に喋りだした。
「僕はこの世界に入り込んだウィルスの本体だ。最初この空間に入り込んだとき、僕はただのウィルスでしかなくて、こんな感情も知らなかった。だけどターゲットの海馬瀬人が入り込んで来た時、彼の中の色々なものが一気に溢れてきた。何故かは知らないけど彼の精神のガードが凄く緩くなっていて、精神データが全部筒抜けだった」
ポツリポツリと喋り始めた海馬は、そのまま座り込んでいる城之内に視線を合わせる様に膝をつく。
「ヴァーチャル空間に肉体はない。だから精神のガードが緩んでいると、人が内に秘めているものが簡単に出てきてしまう。大体においてそれはマイナス面の強いものである場合が多い。海馬瀬人においては先程君に見せた過去であり、それに伴う自己否定の精神だ」
そっと幼い手を城之内の頬に寄せて、何故かとても愛しそうに撫でてきた。
「だからそれを見せれば君は簡単に帰ってくれると思っていた。それなのに君は諦めない。ダミーを使って二人に酷いことをしてみせても、それでも君は諦めない。ねぇ…。どうしたら君は諦めてくれるの?」
もう片方の手も頬にあてて、そのまま滑り込むように城之内の首に抱きつく。
「ダミーを使って海馬瀬人に触れた時、その感情が余りに強すぎて僕は彼に感染してしまった。僕のプログラムが変わってしまった。だから今の僕に君を消す事は出来ない。彼が君を大事に思っているから、僕も同じ気持ちになってしまう。だから諦めて帰って欲しかったのに、どうして君は諦めてくれないの?」
抱きしめてくる幼い海馬の身体を、城之内はそっと引き離す。
大きな瞳を覗くと、無感情かと思われたその瞳は苦しみと悲しみを宿しているのが解った。
「諦められるもんかよ。俺は海馬の事が本気で好きなんだ。アイツを取り戻してちゃんと現実世界でアイツを抱きしめてやりてぇって、それだけなんだ。海馬を助け出すまでは、俺は何を見ても何をされても絶対に諦めねぇ!」
強い意志を瞳に宿し目の前の幼い海馬を見つめると、彼はコクリと頷いた。
「うん…、本当は分かっていたよ。君がここに入り込んで来た時、その強い意志に僕は圧倒されたんだ。だから海馬瀬人の過去の記憶を無理矢理見せて、その精神を脆くしようと試みたんだけど、上手くいかなかったようだね…。どうやら…もう…潮時みたいだ」
幼い表情に似つかわしくない苦笑を浮かべると、目の前の海馬はそっと両手を差し出した。
「ワクチンを…。大丈夫、僕にはそのワクチンを破壊する力は無いよ。よく出来てるねコレ。流石天下の海馬コーポレーションが誇るガーディアンが作ったワクチンだ」
少し逡巡した後、素直に城之内がその幼い両手に短剣型ワクチンを乗せてやると、彼はそれをギュッと握って首元に当てる。
「ねぇ、最後に約束してくれる? 僕はただのウィルスプログラムだけど、それでも海馬瀬人のあの精神データを見たとき愕然としたんだ。彼をこの世界に閉じ込めるのが僕に嫁せられた使命だった訳だけど、何故だかとても辛かった…。彼の精神に感染していたせいもあるけれど、本当は心の奥底で何よりも君と幸せになる事を願っていたんだ」
大きな瞳からポロポロと涙が零れ落ちて、幼い顔が酷く歪んでいった。
城之内は耐え切れず、目の前の小さな身体を強く抱きしめてしまう。
頭ではウィルスプログラムだと分かっていても、そんな事はもう関係なかった。
「約束して…。彼を救い出した後は、ちゃんと現実世界で海馬瀬人を幸せにしてあげると…。僕はもう…あんなものを見るのは…嫌だ…。あんな感情は…苦しい…」
「わかった、約束する。絶対に俺が海馬を幸せにする! 守ってみせる!」
瞳を合わせそう強く告げると、目の前の幼い海馬が漸く安心したように笑った。
「よかった…。これで安心して…」
そう言って、自らの喉に短剣を突き立てた。
「っ…!!」
ゴボッ…! と嫌な音と共に、目の前に鮮血が飛び散った。
突き刺した喉と口元から大量の血液が溢れ出す。
「海馬…っ!!」
この幼い海馬は海馬では無いと分かっていたが、それでもそう叫ぶ事を止められなかった。
倒れこむ小さな身体を抱きとめる。
城之内に抱きとめられて、幼い海馬はその血に濡れた小さな手でそっと城之内の頬を撫でる。
「ぼく…は…ウィルス…なの…に、きみは…ど…して…そん…な…かおを…するの…?」
血塗れの幼い身体を抱きしめて辛そうな顔をする城之内に、腕の中の海馬は薄く微笑んだ。
「あ…ぁ…、だい…じょ…ぶ…。これ…な…ら…きっと…。せ…と…」
ヒューヒューと苦しげな呼吸の中それだけを告げると、幼い海馬は満足そうにその瞳を閉じる。
そしてそのまま力を無くすと、次の瞬間にはまるで霧のようにデータが弾けて消えていった。
「っ………!!」
城之内は暫くそのまま動く事は出来なかった。
その腕の中にはもう誰もいない。僅かな温もりだけを残して、全て消えてしまった。
足元には血に濡れた短剣が落ちていたが、再びそれを拾う気にもなれなかった。
暫く俯いたまま動けなかった城之内だったが、やがて意を決してすっくと立ち上がり、そのまま真っ直ぐに執務室まで歩いて行くとその扉を開け放ち中に入って行く。
先程まで海馬を甚振っていた傲慢な人物はもうそこには居らず、床の上には気を失っている海馬が俯せに倒れているだけだった。
「海馬…」
「…ぅっ…」
そっと壊れ物を扱うように抱き起こすと、眉を顰め僅かに呻く。
それでも気付く事の無い海馬を優しく抱きしめ、栗色の髪を何度も撫でた。
やはりあの首輪が脱出防止用プログラムだったらしく、ウィルス本体が消えた今それも綺麗に消え去っていた。首に残った首輪の跡が痛々しいが、それでも現実世界の肉体には影響する事は無いので、城之内はホッと安堵の息を吐く。
とりあえず裸の身体を何とかしてやりたくて執務室の中を見渡すと、壁にいつも海馬が着ている白いロングコートがかかっているのが見えた。
それで海馬の身体を包んでやると、突然上空から声が響いてきた。
「城之内! 聞こえるか? 僕だよ、乃亜だ!」
「おー、聞こえるぜ。何だよ、通信出来る様になったのか?」
「お陰さまで妨害プログラムが消えたからね。君がウィルス本体にとどめを刺してくれたんだろ? よくやってくれたね、城之内!」
「あぁ…まぁな…」
少し沈んだ城之内の声に乃亜は疑問に思ったようだったが、それでもこれで漸く瀬人を現実世界に戻す事が出来ると喜んでいた。
「ところで乃亜。今そっちにモクバはいるか?」
「モクバ? 今はいないけど、もうじき様子を見に来るかもしれないな。それが?」
「頼む、モクバが来ても音声や映像はそっちに繋げないでくれ」
その言葉で乃亜にも何が起こっていたか分かったのだろう。
短く「分かった」と答えると、現実世界に繋がる通信を全て切ったようだった。
そしてその直後、目の前に降り立った乃亜は海馬の惨状を見て眉を顰めた。
「やっぱりね…。こんな事になってるんじゃないかと思ったんだけど…。ていうか城之内、君も酷い格好だな」
返り血を浴びて真っ赤に汚れている城之内を見て痛々しそうに乃亜が呟くのと同時に、海馬が軽い呻き声と共にうっすらと眼を開けた。
「海馬…! 気付いたか?」
「城之…内…?」
嬉しそうに覗き込んでくる城之内に、海馬は瞬きを繰り返す。
目に映るのは埃と返り血で酷く汚れた城之内の姿。笑顔を浮かべる頬には、血で付けられた幼い指の跡が残っていた。
「もう大丈夫だ。ウィルス本体は消えたから、現実空間に戻れるぞ」
「そ…か…」
安心したように話しかけてくる城之内に、海馬はそっともたれ掛かってきた。城之内もその細い身体をそっと抱き返す。
そんな二人を見て、乃亜も安心したように笑った。
「待ってて。今、直接空間を繋げるから。あー、帰ったら即入院だろうね~。現実の身体の方も大分衰弱してるようだし。あ、出来たよほら。コレ入ったらもう現実に出られるから」
目の前に不自然なドアが現れる。
乃亜が扉を開けてくれたのを見ると、城之内はヨイショと海馬の身体を横抱きにしてそのドアに近づいていった。
「あとの事はモクバと城之内に任せるよ。僕はもう少しここに残って、残留データを洗い直さなくちゃいけないからね」
「あぁ、任せろ」と力強く頷く城之内に乃亜は微笑んだ。
「本当に有難う、城之内。お陰で助かったよ。いつかちゃんとお礼をしなくちゃいけないな」
そのまま笑顔で手を振る乃亜に見送られて、城之内は扉を潜って行った。
雛祭りに雪マークってどういう事?
こんばんは、相変わらず末端冷え性で辛い時期が続く二礼です。
今年の冬は確かに暖かかったけど、去年より長引いている気がしてなりません。
気のせいか? ただの気のせいなのか?
どうぶつ村ではすっかり蝶々が飛んで春らしくなっているというのに…っ!!
早く暖かくなって欲しいものです。
長編『勇気の証明』の続きをUPしました。
今のところ順調にUP出来ていますけど、その内絶対息切れすると思います。
大体元からそんなに筆は早く無いんですよ。
相棒が隣にいると書きにくい部分とかも…あるしね? 流石に…ほらw
そう言う事でやれる時にやっちまいます。
さて…どこまで続けられるか…。(他人事)
以下は拍手レスです~。
>Rosebank:様
連日の拍手ありがとうございます!
Rosebank:様の感想は、本当に創作意欲の糧になっております(´∀`)
虐待シーンが台詞のみだったのは、アレはあくまで過去の出来事を城之内が見ているだけだったからです。
いや~流石に子瀬人のアレなシーンを詳細には書けませんでした…w
それから日記も見て下さって、ありがとうございます(*'-')
そうですそうです。私が言っていたのはその8分25秒のメドレーです。
遊戯王が旬な時期は、実は二礼は別のジャンルで同人活動をしていました。
だから他のジャンルに目を向ける余裕が無かったのもありますが、それにしても勿体無い事をしたと今では後悔しっぱなしですw
今は原作もアニメもとっくに終了しちゃっていますが(新シリーズはしていますが)、それでも遅くなっても社長に出会えた事に感謝しています(*´∀`*)
最近は二礼同様、ニ/コ/ニ/コ/動/画を見てハマった方が結構いらっしゃるみたいなので、こうやって仲間が増えて行けばいいなぁ…なんて思っております(´―`)
それではこの辺で失礼します。
続きも頑張りますね~!
自分の頬をバシバシと叩いて気合を入れると、部屋を出る為にドアノブを捻る。
その途端グルリと周りの景色が歪んで、次の瞬間にはまた海馬邸の二階の廊下に立っていた。
目の前には別の部屋のドア。
「この部屋は…。確か海馬邸の執務室のドア…」
ドアノブを回して部屋を覗くと、執務机の向こうに人影が見える。どうやら椅子に座って向こう側を向いているようだ。その後姿から、それは海馬剛三郎だとわかる。
そしてその剛三郎の姿の向こう側から長く白い足が揺さぶられているのが見えた。
「んっ…! はっ…ぁ…あっ! ひぁっ…!」
椅子に座った剛三郎が、膝の上に抱え上げてる誰かを揺さぶる度に、チャリチャリと耳障りな鎖の音と悲痛な喘ぎ声が漏れてくる。
部屋に入り呆然と立ち尽くすと、向こうを向いていた剛三郎がゆっくりと振り返った。
「やぁ…城之内克也君。待っていたよ。随分遅かったじゃないか」
「海…馬…?」
ニヤリといやらしく笑う剛三郎の膝の上には、自分がよく知っている海馬の姿があった。
身に纏っているものは首に括りつけられた鎖付きの首輪だけで、長く白い足を大きく左右に開かされて、後孔には剛三郎のモノを一杯に頬張っていた。
その白い身体には精液が飛び散ってこびりつき、海馬が既に何度もイカされている事を伺わせる。ハァハァと荒く息をつく顔は上気していて、涙でグシャグシャに濡れていた。
剛三郎は満足そうに城之内を見ると、海馬の顎を持って視線を上げさせる。
「ほら…瀬人よく見なさい。お前の大事な城之内君が助けに来てくれたよ…」
「は…ぁ…。じょ…の…ち…?」
虚ろな視線を城之内に合わせると、海馬はハッと目を見開いた。
慌ててフルフルと首を振り、手を上げて視線を遮ろうとする。
「や…やめろ…見るな…城之…内。俺を見るなっ…。見ないでくれっ…! 見るなぁーっ!!」
「くく…、恥ずかしいのか? 瀬人…。彼が好きなんだろう? もっとお前の淫乱な姿を見てもらいなさい」
身体を捩り必死に城之内の視線から隠れようとする海馬を見て、剛三郎は鼻で笑っていた。
「やめろよお前!! 海馬に何しやがるんだ!!!」
激昂して思わず殴りかかろうとした城之内の身体が、また先程の力で吹っ飛ばされた。
「がっ…!!」
今度は床に背中から叩きつけられると、また金縛りにあってしまう。
「うっ…! くそっ…!」
何とか動き出そうと無茶な努力をしていると、いつの間にか剛三郎が足元に立っているのが見えた。
手には鎖を握っていて、海馬の身体が無理矢理引き摺られる。
「ほぉら瀬人。愛しい彼を無事現実空間に戻してあげたかったら、ワシの目の前で慰めてみせるがいい」
「ぅ…。約束…は…、守るんだろうな…?」
「勿論だ瀬人。ワシがお前との約束を破った事があったかね?」
それを聞くと海馬はのろのろと四つん這いで城之内の足元までやってくる。そして震える手で城之内のジーンズのベルトを外し、ファスナーを下ろし始めた。
「か…海馬…っ!? お前! 何してんだよ!」
思わず焦ってそう声をかける城之内に、海馬は一瞬だけこちらに目線を向け低く呟いた。
「我慢しろ城之内。無事に現実世界に帰りたかったらな…」
潤んだ瞳を上げて城之内と視線を合わすと、海馬は安心させるように微笑した。そしてまるで自分に言い聞かせるように言葉を放つ。
「安心しろ…。こんな事でお前は汚れたりしない…。どうせここはヴァーチャル空間だ」
唖然としている城之内を余所目に海馬はトランクスの中から城之内のペニスを取り出すと、ゆっくりと顔を近づけソレを口に含んだ。
海馬の痴態を見て少なからず反応してしまっていたソレは、海馬に触れられてあっという間に硬くなってしまう。
海馬は根元を指で押さえて刺激しながら、最初は先の方だけをしゃぶって舌で先端をつつくように舐めまわす。やがて溢れてきた先走りを舌で舐め取るようにして、次に唾液を絡ませるように喉の奥までグッと飲み込んだ。
「んっ…。…っふ…ぅんっ…」
裏スジに舌を当てて顔を上下に振る。その度にジュプジュプといういやらしい水音が辺りに響いた。
「や…めろっ…! 海馬っ…!」
何とか身体を動かして海馬を止めようとするのだが、如何せん自らの意思とは逆に身体は全く動かなかった。
それを見ていた剛三郎は、四つん這いになってる海馬の白い尻をいやらしく撫で回す。
「んっ…!」
その度に震える海馬を剛三郎は面白そうに見つめる。
「どうしたのだね、城之内君? 瀬人の口は気持ちよくは無いかな? ワシ自らが仕込んだからそんな筈は無いと思うのだがねぇ…」
剛三郎はにやにやと厭らしく笑うと、そのまま海馬の白い双丘を割り開き自らのペニスを宛う。それにビクリと反応し身体を堅くする海馬を無視して、剛三郎はその赤黒い醜いものを一気に海馬の体内に差し込んだ。
「………っ!!! っ…ひっ! ひぁっ…!!」
「いっ…!!」
突然の衝撃に思わず含んでいた城之内のモノから口を外し、力を入れて握り締めながら海馬が悲鳴を上げた。
握り締められた痛みで城之内も思わず呻いてしまい、それに気付いた海馬がそれでも先程までの行為を続けようと震える唇を寄せて来る。
「ほらほらどうしたのかね瀬人。お口がお留守だよ。こんなでは約束は守れないぞ」
「はっ…ぁ…。わか…って…いる…!」
喘ぎながらも海馬は必死で体制を治すと、もう一度城之内のペニスを口に含み舌を絡め始めた。
静かな部屋の中に、自分の荒い息と海馬の喘ぎ声、淫猥な水音と肉を叩きつける音が響いて、その異様な光景に城之内は眩暈を覚えた。
一体どうしてこんな事になってしまったのか解らない。
ただ目の前に広がる光景と、下半身から海馬が伝えてくる感覚が、それを現実のものだと知らしめていた。
思わず自分の下半身に顔を埋めている海馬を見ると、その表情だけで射精感が湧き上がってくる。真赤に上気した顔、目元はうっすらとピンク色に染まり、青い目は濡れてゆらゆらと揺れていた。
「海…馬…っ! 俺…も…う…出そ…っ!」
ゾクゾクと背筋を駆け上ってくる快感に、城之内は限界を訴える。
それを聞いた海馬がとどめとばかりに城之内のペニスを深く銜え込み、敏感な肉に軽く歯をたてた。
「っ…! う…ぁ!!」
耐え切れずにそのまま口内に射精してしまうと、海馬は一瞬眉を顰めながらも、ゴクリと音をたてそれを全て飲みつくしてしまう。
そして次の瞬間には海馬自身も達してしまい、艶かしい悲鳴をあげ身体を震わせながら足元に精を放っていた。
海馬に覆い被さっていた剛三郎もその体内に精を注ぎ込んだらしく、自分のペニスをズルリと抜き去る。そしてそのまま荒い息をつきながら倒れこんでいる海馬の髪の毛を鷲掴みにし、力任せに持ち上げた。
「うっ…! ぃっ…!」
「瀬人、いつまで呆けているつもりだ。用が済んだのならさっさとどきなさい」
苦しそうな声を上げる海馬を無視して、剛三郎はそのまま海馬を床に叩きつける。
「て、てめぇ!! 何しやがるんだ!!」
余りの事に思わず立ち上がって叫ぶ。そしていつの間にか自分の身体が自由になっている事に城之内は気付いた。
「ほう…」と感心そうに呟いた剛三郎を、城之内は睨み付ける。
身体は怒りで震え、拳を強く握り締める事で何とか爆発しそうな感情を制御していた。
「そんなに憎いかね? 瀬人をこんなにしたワシが」
そんな城之内を余裕たっぷりに眺め、剛三郎は挑発するように言葉を続ける。床に倒れこんだままの海馬に近づくと、その首輪についた鎖を無理矢理グイッと引っ張り上げた。「ぐぅ…っ!」と苦しそうに海馬が呻くのを無視して、剛三郎は笑っていた。
「ほら見たまえ。ワシが付けてやったこれがある限りコイツは何も出来ん。本当はお前にもコレを付けてやろうと思ったのだが、瀬人がどうしてもダメだと言うから諦めたのだよ。その代わりこの余興を思いついたのだがね。いや、実に面白い余興だった。退屈しのぎには丁度良かったよ」
満足そうに高らかに笑う剛三郎に、城之内はもう我慢の限界が来ていた。
コイツは今、海馬の首に付いている首輪を自分が付けたと言っていた。
多分この首輪が乃亜の言っていた逃亡防止用プログラムなんだろう。
だったら今コイツを倒してしまえば、海馬を助ける事が出来る…!
乃亜から貰った短剣型ワクチンを取り出すために城之内が自分のベルト付近を探った時だった。
「違う…っ! コイツは違う、城之内!!」
苦しげな声で叫んだ海馬に、城之内はビクリと身体の動きを止めてしまった。
「コイツはダミーだ…っ! 本物は別に…うぁっ!」
「海馬…っ!! うわっ!」
最後まで言う事が出来ずに再び剛三郎に床に投げ出された海馬を見て、それを救い出そうと一歩踏み出した途端、城之内もまた何度目かの衝撃波によって弾き飛ばされていた。
「お前はもう用済みだ。瀬人の事は諦めてさっさと現実世界に帰るがいい」
「ふざけるな!! こんなところに海馬を置いていけるわけねーだろ!!」
「何を言おうともう無駄だよ。瀬人はこのままここでワシと共にいる。現実の身体など知った事か。ワシにはもう関係が無い」
頭に血が昇って再び怒鳴りつけようとした城之内だったが、先程この部屋の前に飛ばされて来たのと同じ眩暈に襲われ、言葉を紡ぐ事が出来なかった。
ずっと大好きだったMAD制作者さんが引退されて、制作された動画を全部自主削除されました…。
かっこいいMADも可愛い手書き動画もあったのに…。
めがっさショック…orz
あの方が制作したMADが無ければ、私が社長にハマる事もありませんでした。
感動を…ありがとうございました…っ!!(´;ω;`)
それはともあれ、長編『勇気の証明』の続きをUPしました。
ずっと凡骨のターン!!
そしてエロのターン!!
海馬のターンはもちょっと先になりそうです。
そう言えば…。ここ何日かは本当に沢山の方々に拍手を頂けて、大変ありがたく思っております。
コメ有りの方もコメ無しの方も、本当にありがとうございました~!
これを活力にして、また頑張りたいと思います(´∀`)
以下は拍手お返事になります~!
>Rosebank:様
わ~い! 連日の拍手、どうもありがとうございます(´∀`)
何か妙にRPGっぽくなったのはですね、二礼が元ファンタジー畑の人間だからですw
ヘルクリの短編の時もそうだったのですが、実は現実世界の設定よりファンタジー世界の設定の方が書きやすいんですよ、困った事に(´―`;
舞台がヴァーチャル空間に移ったので多少ファンタジーっぽくしてもいいかな~…と思い、こんな設定にしてみましたw
この先ちょっと過激な表現が続くかと思いますが、Rosebank:様が不快になられてしまわれたら、ホント申し訳ないです…;
でも、ちゃんと全部収集致しますのでご容赦を…(´∀`;;;
続きを楽しみにしてらっしゃるようで、そう言われると私も頑張るほかありません!
もう少し続いちゃいますが、お付合い願えれば幸いです。
それではこの辺で失礼します~。
飛び込んだ瞬間、何か気持ちの悪い電流のようなものが身体に流れたような気がしたが、次の瞬間にはもうその感触は無くなる。
地面に足がついた感触に恐る恐る目を開けると、そこはよく見慣れた光景だった。前に何度か遊戯と一緒に訪問した事のあるそこは…。
「ここは…海馬邸…?」
目の前にあるのは紛れも無い海馬邸。
周りを見渡してみるが、空間が歪んでいて気持ちが悪い。妙に現実感の無い世界に、海馬邸だけがしっかりと存在していた。
とりあえず呼び鈴を押してみるが、もちろん誰も出ない。早々に諦めて今度は表門に触れると、それはまるで誰かが来るのを待っていたかのように簡単に内側に開かれた。
ごくりと生唾を飲んで、城之内は一歩一歩中へ進んでいく。玄関のドアを捻ると、それも簡単に開いた。
「おじゃましま~…す」
恐る恐る中に入ると、正面の大階段のところに子供が一人居るのが見えた。今よりずっと小さいけど、城之内が見間違える筈はない。それは間違いなく子供の頃の海馬の姿だったからだ。
「海馬…!」
慌てて近寄ろうとすると、子供の海馬はそのまま階段を登って行ってしまう。
追いかけると、海馬はそのまま二階の自室に入っていった。
城之内は海馬の自室の前で立ち止まり暫く中の様子などを伺っていたが、何も聞こえないので意を決してゆっくりどドアを開けた。
中を覗くと部屋は暗く、ベッドの中には疲れたような顔をして眠る子供の海馬の姿。
「そういえばコイツ、何か無茶な教育受けてたんだっけな…。可哀想にな…、まだ子供なのにこんなに疲れた顔をして…」
ぐっすり眠る子供の頭を撫でようと手を伸ばした瞬間だった。
突然強い力で跳ね飛ばされ、ドア付近の壁に叩きつけられる。
「いっ…ってー!!」
すぐさま起き上がって何が起こったか確かめようとするが、身体がまるで金縛りにあったかのように動かなくなっていた。
「な…んだよ、これ…っ!」
何とか動こうともがくが身体は全く動けそうにない。
城之内が四苦八苦していると、突然横のドアが開いて誰かが入ってきた。
その人物を城之内はよく知っていた。
先代海馬コーポレーションの社長で海馬の養父の海馬剛三郎だった。
剛三郎はまるで城之内に気付いていないかのように真っ直ぐ海馬のベッドに近づくと、彼が纏っていた上掛けを乱暴に剥いでしまう。
『義父…さん?』
『起きなさい瀬人。これからお前には新しい仕事をしてもらう為に、教育を施さなくてはならん』
まだ眠りから覚めたばかりで自体が把握できない海馬に、剛三郎が手を伸ばす。
「何…だよ…。やめ…ろ…」
『義父さん…何…? やだ…やめて…』
『大人しくしていろ、瀬人。モクバに迷惑はかけたくないだろう?』
「やめろ…っ!」
『やめて義父さん!! い…嫌だ! 嫌だー!!』
『無駄だ瀬人。いい加減諦めなさい』
「やめろっ…! やめろよ!!」
『やめて…ひっ…! 怖い…! い…やだ…! 義父さん…助けて…!』
『ワシを受け入れろ瀬人。もうお前にはこうする道しか無いのだよ』
「やめろよっ!! やめろってばっ!!」
『痛い…! 痛ぁ…い! 義父さんや…めて…! 痛いよ…怖い…よ…! うっ…! あっ…! あぁぁーーー!!』
『いい子だ瀬人…。それでこそワシの息子だ…』
「もう…やめてくれっ…!!! 海馬を許してやってくれよっ…!!!」
城之内は目の前で行われた惨劇に無力だった。
何とかしてやりたくて懸命に叫ぶもその声は届かず、身体は固まってしまっていて指先一つ動かす事は出来なかった。
脳裏に先日の会話が甦る。そして自分は汚れていると言った海馬の声も…。
目の前で泣き叫ぶ海馬に何もしてやれなくて、城之内は悔しさの余り涙が零れた。
これが過去の映像だと分かっていても、助けてやりたかった。汚い大人の手から救ってやりたかったのに、自分は何もする事が出来ないのだ…。
やがて事が終わり剛三郎の姿が消える。
残されたのはベッドの上で放心状態のままの子供の姿の海馬だけ。
幼い顔に残った涙の跡が居た堪れなかった。
それでもようやく開放された海馬に安堵の表情が浮かんだのも束の間、ドアからはまた別の男が入ってきた。
その人間もまた何も出来ない幼い海馬を陵辱し、全てが終わると消えていく。
同じように何人も何人も入れ替わり立ち代り部屋に入って来ては、ベッドの上の幼い海馬を蹂躙していった。
その中には、暴れる海馬に薬を飲ませて無理矢理大人しくさせたり逆に昂らせたりしていた者や、鎖の付いた首輪や手錠などを使い拘束する者、時には鞭や卑猥な道具等を使い暴力じみた行為を強いている者もいた。
そんな行為の連続に、最初は泣いて暴れていた海馬もやがて何の反応も返さなくなっていく。
虚ろな青い目を天井に一点に向けて、自分を陵辱する男の動きに合わせてただ揺さぶられているだけなのだ。
ただ最後に、海馬に覆いかぶさった男がその幼い身体の中で達したであろうその瞬間だけは、ホロリと一筋だけ涙を流すのだった。
城之内の身体は相変わらずピクリとも動かず、その目を背けたくなるような酷い光景を延々と見せられ続ける。
「海馬…。ひでぇよ…こんなの…」
悔しさの余りに滲む涙を拭う事も出来ずその光景を見ていると、やがて全ての男達の姿が消えた。
そこで漸く子供の海馬はベッドからそろそろと降り、ベッドサイドの引き出しの中から剃刀を取り出すとぺたりと床に座り込んだ。そして剃刀の刃をゆっくりと自分の左腕の内側に当てる。
「海馬っ…!! やめろ! 何するんだ!!」
城之内が叫んでも、どうやらその声は聞こえてないようだった。
スーッと薄く剃刀を引く。
すると真っ白な子供の腕に、赤い線が一本引かれた。
『あぁ…よかった…。僕はまだ生きてる…。まだ痛みも感じる…。僕はまだ正常だ…狂ってなんかない…。僕はまだ大丈夫なんだ…』
蒼白な顔で乾いた笑いを浮かべる子供の腕には、同じような横一線の傷跡がいくつも残っていた。
「海馬っ…!」
城之内はそっと手を伸ばす。いつの間にか身体の拘束は解かれていた。
目の前で虚ろな表情で笑っている子供をただ抱きしめてあげたくて両手を伸ばすが、海馬に触れる寸前でその姿は消えてしまった。
暫く黙って立ち尽くしていた城之内は、突如後ろの壁を思いっきり殴りつけた。
「くそ…! くそっ…!! くっそぉーーー!!」
今見せられた映像が過去のものだと言う事は理解していた。だからもしここで助ける事が出来てもそれは全くの無駄だと言う事も。
だけどそれでも、何も出来なかった自分が悔しかった。
海馬が何故あそこまで頑なに自分自身を否定してたのか、嫌でも分かってしまった。
それでも…それでも…。
「海馬を…助け出さねーと…。海馬…俺の…。俺の海馬を!」
顔を上げ気持ちを切り替える。
もう城之内の中では何があっても、海馬への気持ちが変わる事はなかった。
自分には二次創作サイトなんて無理だ…。そう思っていた時期が私にもありました。
こんにちは、二礼です。
昨年の終わりには(´・ω・`)ショボーンとしていた二礼ですが、昨日は頭に花が咲きました。
現金な奴だと笑ってやって下さいw
やっぱ何事も挑戦してみるべきだと、しみじみ感じました…(´∀`)
長編『勇気の証明』をズドンと2話分UPしました。
本当は2-⑤だけの予定だったんですけど何か妙に短かったので、つい上げちゃったんだw
そろそろアレです。起承転結の転の部分です。
ていうか何でさー、始めたばっかなのにこんな長ったらしい話書いてんだよ…私…orz
以下は拍手レスになります~!
>散様
あわわ…っ! ようこそいらっしゃいませ~!
まさか散様からコメントして貰えるなんて思ってなかったので、ちょっと緊張気味ですw
コメントが下手だなんて…、そんな事全然ありませんよ~(*´д`*)
こうやって感想を頂けて、本当にありがたいと思っております。
いつもはピンポンダッシュならぬレス不可ダッシュをやっている私ですが、これで逃げられなくなっちゃいましたね…(´∀`;
小説に関しては私はどうもあやふやな文章しか書けないので、しっかりと全体的に纏めている散様の小説を読むと本当に感心致します。
城海は久々に愛が溢れる程(w)ハマったカップルなので、その熱意だけで書いているだけなので…w
私の方も、これからも散様のところに萌え萌えしに行きますね~(*´∀`*)
それではこれにて失礼致します~!
>Rosebank:様
こんにちは~。二度目のコメント、どうもありがとうございます(´∀`)
幼児性的虐待は…いけませんよねぇ…。
海馬のトラウマを最大限に全面に押し出す為に今回はこの設定を使いましたが、確かに見ていて辛い部分はありますよね。
ただ性的虐待を肯定的にではなくて、あくまで否定的な意味を出す為にも、この小説で表現したかったってのもあるんです。
この先海馬には色々な事がありそうですが、最後には幸せが待っているので大丈夫です(*'-') …多分w
そうそう、実はあのオッサン以外にも海馬に優しくしてくれた人達は何人かいたんですよ。
じゃないと海馬が可哀想過ぎますもんねぇ…。
これからも頑張って書いて、何とか海馬を幸せに導きますのでご安心をw
それではこれで失礼しますね~!
海馬に対する覚悟を決めた日から三日後。城之内は授業中にも関わらずチラチラと海馬の席を何度も覗き見るがその席はずっと空席で、あの日からの三日間、海馬は学校に姿を見せなかった。
どうせまた仕事が忙しくなってしまったのだろうと安易に考えていた城之内だったが、三日目の夕方、顔色を変えたモクバが突然やってきて事態は急変する事になる。
「兄サマが大変な事になってるんだ! 俺と一緒に会社まで来て!」
その日の放課後、校門を出たところにまるで待ち構えていたように現れたモクバに連れられて、城之内は乃亜のいるサーバールームまでやってきた。
「何だよこれ…。海馬どうしちゃったんだよ…!」
目の前の大きいカプセルの中には海馬が横たわっている。細い腕には水分補給と栄養剤の為の点滴の針が刺さっていた。
「海馬…? おい、海馬…!」
城之内が呼びかけても全く反応は無い。
焦る城之内をいつの間にか現れた乃亜が宥める。
「城之内、とりあえず落ち着いてくれないか」
「乃亜…! 何があったんだよ! 海馬は大丈夫なのか!?」
「瀬人は今のところは大丈夫。命に別状は無いよ。今から詳しい話をするから、とりあえず座って」
城之内は乃亜に進められ、用意された椅子に腰を降ろした。
モクバは傍についていたそうだったが、眠りから目を覚まさない海馬の代わりに業務を取り仕切らなければならないらしく、名残惜しげにサーバールームから出て行った。
直前に「兄サマの事を頼む」と城之内に言い残して。
「順を追って話すよ。まず事の始まりは三日前の深夜。突如海馬コーポレーションのサーバーにハッキングしてウィルス攻撃をしかけてきた奴がいたんだ」
二人きりになったサーバールームで乃亜が静かに話し出す。
乃亜の話によると、ウィルス攻撃は突然の事だったらしい。サーバーガーディアンである乃亜はすぐにウィルスの除去に向かったらしいが、相手が思ったより高性能であと一歩のところで逃がしてしまったそうだ。
「ダミーをいくつも巻き散らされてね。そっちに手一杯になってる間に本体には逃げられてしまった。迂闊だったよ」
悔しそうに乃亜は顔を歪ませた。
そこまで聞いて、城之内は三日前に社長室から聞こえてきた会話を思い出した。
(あん時、あのおっさんが言ってた話はこれの事だったのかよ…!)
乃亜は大きく息を吐き、続きを語りだす。
「ウィルス本体が逃げ込んだ先の空間にはパスワードがかけられてしまって、そのパスワードに該当する人物じゃないとその扉は潜れなかったんだ。ちなみに真っ先に僕が試してみたけどやっぱりダメで見事に弾かれたよ。そのパスワードってのが遺伝子情報を元にした個人認識記号だったんだけど、それに該当したのが瀬人だった」
「海馬が?」
「そう。その事を瀬人に報告したら自分の手でウィルスを除去してくるって、さっさとヴァーチャル空間に降りて行っちゃったんだよ。まぁ、そこまではよかったんだけどさ。途中まで音声や映像でコンタクトは取れたし。でも…」
言い淀んでしまった乃亜に、城之内は先を促す。
「例のパスワード付きのドアを潜った瞬間に、瀬人にアクセスが一切不能になってしまったんだ。ウィルスによる妨害プログラムが働いていて、それがどうしようも出来なくて…。それから三日間、瀬人は全く目を覚まさない。今もヴァーチャル空間に囚われたままなんだ…。おまけに昨日には件のパスワードも新しく書き換えられてしまって、打つ手が無くなってしまって…」
そこまで聞いて城之内はカプセルの中で眠り続ける海馬に目を向けた。
規則正しく呼吸はしているが、目を覚ます気配は全く無い。
「そこで、今度は城之内の話になるんだけど」
再び話し始めた乃亜に視線を向けると、彼は至極真剣な顔をしていた。
「さっき新しくパスワードが書き換えられたって話したよな? その新しい方が何故か城之内の記号だったんだ」
「…? えぇっ!? つーことは何か? 今度は俺がその扉潜れるって事か?」
「あぁ。だからこそお願いしたい。今からヴァーチャル空間に降りて瀬人を助け出してくれないか? これが出来るのは城之内だけなんだ」
乃亜の言葉を聞いて、城之内は勢い良く立ち上がった。
「そんなの聞くまでもねーよ! 俺が行かなきゃ誰が行くっつーんだ!」
それを聞いて安心したよと笑う乃亜にビッと親指を立てると、城之内はさっさと海馬の隣のカプセルに横になった。
カプセルの蓋が降りてくるのを見てゆっくりと目を瞑る。意識が遠のく瞬間軽く目眩のようなものを感じたがそれは一瞬の事で、気が付くと次に自分が居たのは美しい森の中だった。
「ここは…?」
とキョロキョロ周りを見渡していると、空から乃亜の声が聞こえてきた。
「城之内、僕の声が聞こえるかい?」
「おー、よっく聞こえるぜ。つーかココどこ?」
「ココはヴァーチャル空間の内の一つ。ここからいくつか空間を跨いで例の扉まで行くから、僕が途中までナビゲートするよ。とりあえずその小道を真っ直ぐ行ってくれるかい?」
城之内は乃亜に言われた通りに森の中の道を真っ直ぐに進み始める。
やがて目の前に突如現れた不自然なドアに「あー、なんか懐かしい感じ…」とボヤきながらもそのドアを開け次の空間に進む。
次に現れたのは夕焼けに染まる海岸で、そこも乃亜のナビゲート通りに進み次の空間に進む。
こうして次々にドアを開け別の空間に進み続けると、やがて目の前に今までとは雰囲気の違うドアが現れた。
それは真っ黒なドアだった。ドアの淵から紫色の靄が中から溢れ出して来ている。
「おーい乃亜、もしかしなくてもコレか?」
ドアを指差し嫌そうに言うと、「当たり」というそっけない返事が返ってきた。
「とりあえずここから先は僕は行けない。あとは城之内に頼るしかないんだ」
そう声が聞こえたかと思うと、突然目の前に乃亜が現れる。
「これから先は重要な作戦だからよく聞いてくれ」
城之内が黙って頷くと、乃亜はどこからか小さな短剣のようなものを取り出した。
「これは僕がウィルスを解析して作ったワクチンだ。これをウィルス本体に突き刺せば相手は砕け散って作戦は成功するんだけど、もちろんそんな簡単な事じゃ済まない」
乃亜はピッと人差し指を立てて「まず一つ!」と声高に言う。
「僕が調べたところによると、向こうの空間にはウィルス本体とダミーが一体逃げ込んだ。ちなみにこのワクチンには予備は無い。したがって間違ってダミーに騙されてこれを使ってしまうと、即作戦失敗となる」
「マ、マジでっ!?」
思わず城之内が叫ぶがそれを無視して「二つ目!」と乃亜は立てる指を二本に増やした。
「二つ目は瀬人の事。彼は何らかの手段で自ら逃げられない状況に陥ってると思われる。もし瀬人に会って彼が何か見慣れないものを装備していたら、多分それが逃亡防止用プログラムだと思う。だからと言ってそれを無理に取ろうとする事だけは絶対にやめてくれ。無理矢理外そうとすると瀬人自身のプログラムも気付けてしまう恐れがある」
「えー…と、じゃぁどうしたらいいんだよ」
「無視して」
「は?」
「だから無視して。多分そのプログラムはウィルス本体を倒したら勝手に消えると思う。だから君はウィルス本体とダミーを見分けて、本体のみを攻撃する事に集中して」
「無茶言うなよ…。ちなみに乃亜、一応聞くけどさー。その本体とダミーとの見分け方は?」
「勘」
「やっぱりね…」
キッパリと言い切ってしまわれて城之内はガックリと肩を落とし、はぁ~っと大きく溜息をつく。
だが次の瞬間には諦めたように乃亜から短剣型ワクチンを受け取りベルトに差し込むと、覚悟を決めてドアノブに手をかけた。
「わかった。んじゃ行って来る」
「くれぐれも気をつけて。君まで帰って来なくなったら本当に手詰まりになってしまう」
「任せとけって。ウィルスごときにやられる城之内様じゃないんだよ! 絶対海馬連れて帰ってくるから安心して待っとけって!」
もう一度大きく息を整えると、城之内は思い切ってドアを開け中に飛び込んだ。
とんでもない話を聞いてしまったような気がする…。
城之内は隣の部屋から聞こえてくる会話に、ただ身を硬くして聞き入るしか出来なかった。
海馬がどうしてそんなにも頑なに自分を否定するのかを、そして海馬の本当に気持ちを知ってしまった。
聞かされた真実は衝撃的なものだった。ショックを受けなかったと言えば嘘になる。
だが、だからといってそんな事で城之内の気持ちが変わる事はない。
ただ、胸が痛かった。
自分がショックを受けたからではない。海馬の気持ちが嫌というほど伝わってきて胸が苦しくて仕方無かった。
そしてそんな海馬を、話を聞く前よりもっとずっと好きになっている自分に気付いてホッとした。
結局城之内にとって、海馬が気にしている事などたいした事では無いのだ。
元々短絡思考的なところはあったがそういうのとは関係無しに、城之内はただ純真に海馬の事を想っていただけなのだ。
(へっ…! 障害上等! 何でも受け入れてやるぜ!)
扉の向こうで交わされている会話に、城之内は密かに決意を固めていた。
おろおろしている秘書を下がらせた海馬は、困惑した表情で自分を見ていた。
「なんて顔して見てんだよ」
苦笑して一歩海馬に近づくと、海馬は一歩後ろに下がってしまう。
「貴様…もしかして…話を…」
「うん。聞いちゃった。だってここ声だだ漏れなんだもん」
「ではもう貴様にはわかったな」
「ん? 何を?」
「俺が貴様と付き合えない理由だ」
「えっと、海馬が何を言いたいのか分からないんだけど。何で俺の事好きなのにダメって言うの?」
「貴様は話を聞いていたんじゃないのか!!」
一歩一歩進む度に同じだけ下がる海馬を追いかけて、城之内はついに壁際まで海馬を追い詰めてしまった。
背中に壁があたって海馬が一瞬慌てたように後ろを振り返り、逃げ場が無い事を確認する。
城之内は海馬の顔の両脇に腕を伸ばして壁に手を付き、完全に逃げ場を封じてしまう。
「俺の事好きなら逃げないでよ」
「貴様の事など…好きではない!」
「ウソウソ。俺聞いちゃったもん。アレどう考えても俺の事じゃん。ウチの学校にあんな特徴持った奴なんて俺しかいないよ? 他にいる? 言ってみろよ」
「や…やめろ城之内…。話を聞いていたならわかる筈だ…。俺は…ダメだ…」
「なんで? 汚れてるから?」
城之内の言葉に、海馬がビクリと身体を揺らす。
完全に俯いてしまってその表情は全く見えないが、きっと今凄く辛そうな顔をしているんだろう。
現に隠れた前髪の向こうから、透明な雫がポタリと一粒落ちてきた。
「悪いけど俺、お前が汚れてるなんてこれっぽっちも思ってないから。大体過去に誰かとセックスして汚れるっつーなら、俺だって中学時代色んな女の子とヤリまくったし、汚れまくってると思うんだけど? で、どうよ。俺の話し聞いて、俺の事汚れてるって思った?」
城之内の問いかけに、海馬は慌てて首を振る。
「お前は…違う。それは違うんだ。俺みたいに無理矢理身体を売らされていたわけじゃない」
「用途は違うけどセックスには違わないだろう? お前には自分の身体が汚れているように感じてるらしいけど、俺にはそんな汚れはひとっつも見えないぜ」
両手で頬を包み込み、海馬の顔を上げさせる。
澄んだ宝石のような青い瞳は、今は涙で濡れそぼり、瞼の周りは泣いている為かほんのり紅く染まっていた。
それをとても綺麗だと、城之内は心から感じた。
綺麗な綺麗な海馬。俺の大事な海馬。俺の大好きな海馬。
「お前を汚せる奴なんて、この世に一人もいやしねーよ。綺麗な海馬…。大好きだぜ」
涙を零し続ける仄かに紅い瞼の淵に、涙の跡を残す頬に、そして震える薄い唇に。
城之内は想いの丈を籠めてキスをした。
最初は触れるだけのキス。次にそっと舌を入れて、海馬の温かい柔らかな舌に自らのを触れさせた。
まだ涙は止まらない。角度を変える度に口に塩辛い涙の雫が入ってくる。
「っふ…! うっ…ん!」
触れさせるだけだった舌はやがて絡まり合うと耐え切れないのか、城之内は海馬にギュッとしがみ掴まれた。
やがて唾液の糸を引きながら城之内が離れると、海馬は目の前でずるずると座り込んでしまう。
座り込んでしまった事によってその表情はまた見えなくなってしまったが、栗色の髪から覗いている耳が真赤になっているのを見て、城之内は満足そうに微笑んだ。
その髪をさらりと撫でて、城之内は一旦海馬から離れる。
「とりあえず今日は帰るわ。お前も混乱してるだろうし、これ以上傍にいたら俺もヤバそうだしな~」
軽快な足取りで社長室の出口まで行くと、ドアノブに手をかけ振り返る。
「でも、これだけは忘れるなよ海馬。俺はお前が好きなんだ。過去に何があろうともその気持ちは変わらない。お前の本当の気持ちを知ったからには、俺はもう絶対諦めないからな。お前もそのつもりでいてくれよ」
返事は無かったが、いつの間にか顔を上げた海馬が潤んだ青い目で城之内を見つめていた。
その目に宿るのは迷いの色。だが今の城之内にはそれで充分だった。
少なくても、あんなに頑なに否定していたのに比べれば。
「じゃぁ、また学校でな」
ヒラヒラと手を振り社長室を出る。
エレベーターに乗って一階に降り、海馬コーポレーションのビルを出る。
道路に出て振り返り上を見上げた。
社長室の部屋の明かりはまだ点いていた。
「海馬、覚悟を決めたぜ。俺、絶対にお前を幸せにしてやるからな」
城之内はポツリと呟き、その胸に熱い決心を宿した。