2009年11月アーカイブ

ちょろ出しゴメンナサイ!!

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なかなか調子が戻らない二礼です、こんばんは。

日記は元より、小説を書くのもちょっと辛い…です…orz
せっかく新しい長編をスタートさせたので、なるべく途切れないように書いていきたいのですが、こういうのはなかなか難しいんですよね…;
疲れが溜まって元気が無くなるのと同時に、どうやら本格的なスランプへと発展しているような気がします。
参ったなぁ…こりゃ;
つー訳で、今までみたいにガッツリ書く事が出来なくなっていますので、ちょろ出しが続くと思いますが、どうぞご了承下さいませ。


話は変わりますが、散さんのところで温泉城海終了記念のシム日記見てきました~!
ヤヴァイ…。畳に布団でのHって、あんなにエロかったのか…っ!!
実際に画像として目の前に見せつけられてしまうと、やっぱり物凄く萌えますよね~(*´д`*)ハァハァ
ていうかガン見しているプックルに爆笑でしたw
可愛いなぁ…あの子w


長編『無限の黄昏 幽玄の月』に第一夜をUPしました。
一応『第一夜』としましたが、未だ過去のお話でございます。
ただこの『見届けの巫女』の過去語りがこの後の展開に深く関わってくる為に、敢えて本編の一部とさせて頂きました。
ちなみにこの『見届けの巫女』様…、誰の事だか分かるよね?(´∀`)


あと火曜日の更新の事なのですが、その日も一応病院に行かなくてはならなくなったので、お休みさせて頂きます…;
本当に…申し訳ないです…。
火曜日に休む分、今日はガッツリ書きたかったのに…orz
早く調子を元に戻したいです…;


以下は拍手のお返事になります(´―`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(*'-')

『無限の黄昏 幽玄の月』と日記の感想をありがとうございます。
いや~凄いですねぇ…!
第零夜時点での予想で、既に及第点ですよw
流石に細かいところは違っていたりしますが、大体は…当っています(・∀・)
あとRosebank様がコメントに書かれていた『酷い食人描写は無いと思いますが…』との御言葉ですが…。
……………(´∀`)エヘ
いや、ほら…ね? 酷い描写を書く予定が無ければ、予め『エログロスプラッタ系』とは言わない訳でして…w
あ、でも一番はエロですよ?
エロ>グロ=スプラッター って感じかな? かな?www

以前からRosebank様のコメントを読んで、Rosebank様がこの物語を凄く楽しみになさっててくれた事は知っていました。
それから今日のコメントを見ても、それが伝わって来て、読んでいてとても嬉しかったです。
ただ上記の日記にもあります通り、如何せん身体が言う事をきかない状況が続いております…;
今までのような読み応えのある区切りが出来なくて申し訳ないのですが、全体を通せばかなり壮大な物語になる予定ですので、その辺りはどうかご了承下さいませ。
それから特別にこれだけはお伝えしておきます。
海馬の能力についての見解は、大当たりでした~(´∀`)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第一夜

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 今から約千年前。
 哀しい哀しい出来事があった。
 村と村人を守る為に、深い傷を負いながらも黒炎を纏う神刀を振るい、勇敢にも食人鬼と闘った神官と。
 自分達の命を守る為に、神官を裏切り彼の恋人を食人鬼に差し出した村人と。
 全ての悲劇を目の前で見ておきながら、結局何も出来なかったと今も後悔している巫女と…。
 今もこの地に伝わる哀しい哀しい物語。
 けれどもこれはただのお伽噺では無く、実際に起こった出来事だったのだ…。

 




 海馬瀬人が『見届けの巫女』と呼ばれる少女と初めて面と向かって出会ったのは、彼が十三歳になったばかりの冬の事だった。
 幼い時分から度々出会っては声をかけて貰ってはいたが、前もって約束して出会ったのはこの時が初めてだったのである。
 この時は自分だけでは無く、『贄の巫女』候補と呼ばれていた武藤家の遊戯と、漠良家の了も一緒だった。
 本家の奥の座敷で対面し真向かいに座っている女性の見た目は、どう見ても自分達と同じくらいの年齢にしか見えなかった。だがこの女性こそが見届けの巫女と呼ばれ、実は千年以上もの長い刻を生きているのだという。
 とてもじゃないが信じられる事では無かったが、彼女の醸し出す雰囲気が確かに僅か十三~四歳の少女が出せるものではなく、否応なく信じる他は無かったのである。

「今日はよくいらっしゃいましたね」

 一族の間では一番有名な見届けの巫女に優しく微笑まれて、海馬と遊戯そして了は緊張で身体を硬くしながらも、その場で深く頭を垂れた。

「あぁ、頭を上げて。そんなに緊張しないで下さい。今日は貴方たちにお教えしたい事があるだけなのです」
「僕達に…教えたい事?」

 見届けの巫女の言葉に頭を上げた遊戯が、不思議そうにそう聞き返した。その言葉に目の前に座っていた少女は少し哀しそうに微笑んで、コクリと頷く事で答える。

「今日…貴方達に教えたい事とは、今から約千年前にこの地で起きた、忌まわしくも哀しい出来事についてのお話です。貴方達ももう十三歳ですから、そろそろ真実をお話しておいても良いと判断致しました」

 少女の口から発せられた『千年前』の一言で、そこに座っていた三人に嫌な緊張が走った。
 詳しい話はその内見届けの巫女様直々にお伝え下さると言われ、今まで千年前の哀しい事件の詳細等は聞いては来なかったのである。だが、幼い頃から贄の巫女としての修行をしてきた三人にとっとは、『千年前』という言葉が一体何を指しているのかが嫌でも分かってしまったのだった。
 背筋を伸ばし真っ直ぐに見届けの巫女を見詰める三人全てに視線を走らせて、少女はゆっくりと口を開いた。

「今から約千年前…。この地がまだ黒龍村と呼ばれ、百人程の人間で構成されていた小さな村落であった頃。突然この地に、西の方から悪質な食人鬼がやって来ました。食人鬼とは…どういう人間がなるか…知っていますね?」

 見届けの巫女の質問に、三人は揃って首を縦に振った。そして真ん中に座っていた遊戯が、おずおずと手を挙げて口を開く。

「確か…、一晩で百人の人間を自らの手で殺して、その返り血を全身に浴びた者がなると教わりました」
「その通りです。千年前に西からこの地へやってきた食人鬼も、まさにそのような悪党でした。当時自分が住んでいた村で百人以上の人間を殺し食人鬼になり果てたその鬼は、行く先々で人を食べながらこの地まで移動してきたのでした」

 少女は当時を思い出すかのように空を仰いで、小さく溜息を吐いた。

「食人鬼が来るまでの黒龍村は平和そのものでした。黒龍神社を中心として、その神社と祭られている『真紅眼の黒龍』を守る巫女・神官の一族と、その黒龍を信心する慎み深い村人達…。当時はまだ三大分家は無く、本家である城之内家だけが黒龍神社を守っている状況でした。そんなある日の事、黒龍に愛された兄妹が城之内家に生まれる事になります」

 用意されていたお茶を口に含み当時を懐かしむように微笑んだ少女に、「兄妹…ですか?」と了が質問をする。
 見届けの巫女はその質問に笑顔で頷き、湯飲みを茶請けに戻しながら視線を元に戻した。

「妹とはこの私の事です。私は物覚えがついた頃から、一族の誰も聞く事が出来なかった真紅眼の黒龍神の御言葉を直接聞く事が出来ました。黒龍神が告げる御言葉を私は巫女としてそのまま周りの人間に伝える事によって、村は今まで以上に発展する事が可能となったのです。そしてもう一人…黒龍神に愛される子として生まれてきた兄は、城之内家の初代以外は誰も扱えなかった御神刀を扱う事が出来たのです」
「神刀『黒炎刀』をですか…っ!?」

 見届けの巫女の言葉に、いつも本殿の祭壇の奥に飾られている美しい刀を思い出し、海馬は思わず身を乗り出して口を挟んでしまった。
 そんな海馬に対しても少女は少しも焦る事無く、海馬の方に顔を向けて微笑んだままコクリと頷いて答える。

「そうです。あの黒炎刀を…です」
「あの刀は確か…黒龍神に選ばれた者が扱えば、あの美しい刃に黒炎を纏わせて異形の者を祓う事が出来ると言われている伝説の刀なんですよね?」
「えぇ、その通りです。兄はこの黒龍神社の神官でもありましたが、黒炎刀を使える事によって、主に剣術によって異形の者達をこの村から退ける役目を負っていました。そう…あの時も…西の地からやってきたあの食人鬼を追い払う為に立ち向かっていったのです」

 浮かべていた微笑みを一転して悲しみの表情に変えた見届けの巫女は、膝の上に置いた手をギュッと強く握りしめて続きを口にする。

「闘いは三日三晩に及びました。初めは互角に見えた勝負も、やがて黒龍神の御力を授かっている兄の方に分が傾いて参りました。瀕死の重傷を負い自分の負けを悟った食人鬼は、三日目の夜にその場で土下座して兄に命乞いを始めたのです」
「命乞い…をしたと? 鬼がですか?」

 海馬と同じように身を乗り出して聞いていた遊戯が、訝しげに聞き返す。遊戯の質問には、隣に座って話を聞いていた了や海馬も同意見であった。
 自らの手で百人の人間を殺し食人鬼となり、この地にやって来るまでに幾人もの人間を食い荒らしてきた鬼がそんなに簡単に命乞いをする事を、狡猾な罠だと思ったのである。
 三人が三人とも睨み付けるように見詰めてくる視線に、だが少女は真っ直ぐにそれを捉えて、首を縦に振った。

「そうです、命乞いをしたのです。もう二度と人は食わない、故郷に帰って大人しく暮らすと何度も頭を下げたのです。勿論今聞けばそれはただの罠であると理解出来るのですが、兄は優しい心根の持ち主でした。無駄に命を奪う事を良しとしなかったのです。悩んだ末に結局食人鬼を許す事に決めた兄は、村の外に鬼を追い出してすっかり満足してしまいました。それが自らの悲劇を招く事になるとも知らずに…」

 少女は悲痛な顔をしながらも、溢れ出そうになる涙をぐっと堪えて、口を開いて続きを話し始めた。

「当時、兄には恋人がいました。村では比較的裕福な家の跡取りとして生まれた方でした。名を…せと様といわれます」
「え………?」

 突然、自らの名前が出て来て海馬は瞠目した。
 驚いている海馬に気付いている筈なのに、少女はそのまま話を続ける為に口を開いて言葉を紡ぎ出す。

「村と村に住む人々を守る為に決死の覚悟で三日三晩闘い抜いた兄は深い傷を負い、次の日からはまるで死んだように眠ったまま床から起き上がる事さえ出来ませんでした。その隙を突いて一旦村の外に追い出された食人鬼がこっそりと戻って来て、村人達を甘言で惑わし始めたのです。酷い怪我をしているように見えるが、本当は自分はこんな傷は大した事は無い。食おうと思えば今すぐにでもお前達を全員食ってやる事が出来る…と」

 当時の悲劇を思い出したのか、ついに耐えきれなくなった涙に頬を濡らしつつも、少女は気丈に背筋を伸ばしたまま続きを口にした。

「そして食人鬼は、食われたくなければ兄の恋人をここに連れて来いと村人達に命じました。自らの命の危機に村人達は震え上がり、直ぐさま総出でせと様を誘拐し食人鬼の元へと連れていってしまいました。それから丸二日後、漸く目を覚ました兄が異変に気付きせと様を助けに向かいましたが、食人鬼はまるでそれを待っていたかのように…」

 そこまで話して、見届けの巫女の口から突然言葉が途切れてしまった。少女の握り拳も、桜色の唇も、細い肩も、怒りと悲しみで小さく震えてしまっている。
 黙って話を聞いていた三人は、その様相だけで当時の悲劇が直接伝わってくるような感じに苛まれていた。
 やがて覚悟が決まったのか、涙に濡れた目元をグイッと手の甲で拭い取ると、見届けの巫女は再びその口を開いて言葉を発した。

「兄がせと様の救出に向かった時…、食人鬼はまるで兄に見せつけるようにせと様を辱めている最中だったそうです。その状況をその目で見てしまった兄の気持ちを思うと…今も胸が痛んで仕方ありません。目の前で異形の者に犯されている自分の恋人と、そして食人鬼の口から告げられた…今まで自分が必死に守って来た村人達の裏切りという行為に…兄はついに自らの理性を手放してしまったのです…」

 見届けの巫女が告げた最後の一言で、本当の悲劇はここからなんだと、三人は否応なく思い知らされたのだった。

ピザまん

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「いらっしゃいませー。お弁当温めますか? あぁはい、畏まりました。千円お預かり致します。はいこちら四百五十円のお返しですー。ありがとうございましたー!」

 人の良さそうな笑顔を満面に浮かべて客の応対をしている城之内は、まるでこちらには気付いていないようにも見える。だが時折こちらに視線を寄越すところを見ると、やはり気付いているのだろう。一通り客の対応が済んだ後、城之内は手に小さなビニール袋をぶら下げて、コンビニの入り口付近に突っ立っていたオレの側に近寄って来た。
 その顔は今まで他の客に見せていたものとは違い、随分と困惑した表情になっている。

「何? どうしてこんなところまで来たの…」

 呆れたように溜息混じりで呟かれた一言に、流石のオレもムカッとした。

「どうしてでは無い。貴様が約束の時間になっても来ないから、こちらから迎えに来たのだ」
「悪いけど今すぐには帰れないぜ。あと一時間は無理」
「何故だ。今日の仕事は七時まででは無かったのか」
「その筈だったんだけどね。オレと交代する予定だった人が急用が出来たとかで、二時間遅れるって連絡が来たんだよ。だからその人が来るまで、オレ離れられねーの」
「何だと…? だったら何故その旨をメールして来ないのだ」
「夕方は忙しくて連絡メール打つ暇なんて無いの。今漸く客が捌けたとこなんだよ」
「せっかく…久しぶりに一緒に夕食を楽しめると思ったというのに…」
「うん、ゴメン。食べずに待っててくれたんだよな。だから腹減って余計に苛々してるんだよな」
「………」
「大体いつものお前に比べたら、こんなの可愛いもんだろ? 残業だ何だっつって、いつも約束破るのはそっちじゃねーか」
「そ、それは…っ!」
「ほらほら、そんなにむくれた顔しないで。あと一時間したら速攻帰るからさ」
「本当だな…」
「本当だってば。だから先に邸に帰っててよ。お腹空いてるならコレでも食べて我慢して」

 そう言って城之内が差し出した小さな袋を、オレは何気なく受け取ってその中身をマジマジと覗いてみた。
 何か白い紙に包まれた丸い物が一つ入っていて、触れてみるとホカホカと温かい。

「何だ…これは…?」

 袋の中身の正体が本気で分からなくてそう尋ねると、城之内は一瞬驚いたような顔をした後に苦笑して「ピザまんだよ」と教えてくれた。

「ピザ…まん?」
「うん、ピザまん。肉まんの洋風ヴァージョンって感じかな。お前チーズ好きだろ?」
「チーズは好きだが、こんな庶民の食べ物に興味は無い」

 肉まんという食べ物がある事は知っていたので、袋の正体が分かったオレはすかさず城之内にそれを返そうとした。だが、再び城之内の手によって、それはオレの手元に返って来てしまう。

「いいから食べてみろって。美味いから。食わず嫌いはいけないぜ、海馬君」
「貴様…っ。オレを馬鹿にするのか!?」
「馬鹿になんてしてないから落ち着けって。てか、マジで腹減って苛々してんだな。どうせ車で来てんだろ? 悪い事言わないから、車ん中でコレ食いながら帰りな」
「じ…城之内…っ! オレは本当にこんなものいらな…っ」
「はいはい。マジでいい加減帰って下さい。仕事の邪魔ですから」

 すっかり仕事モードに入ってしまった城之内に背を押され、オレは無理矢理店の外に追い出された。慌てて振り返ってみても既に城之内の姿は無く、店の奥の方で何か尋ねている客に笑顔で応対している。
 仕方無く道路脇に待機していたリムジンに乗り込んで、邸に向けて発進させた。
 滑るように走り出したリムジンの中で、オレはしぶしぶといった風体で城之内に貰ったビニール袋の中に手を突っ込んだ。カサカサと音を起てて取り出した温かい物を包んでいる紙を剥いて、中から現れた白いホカホカの固まりにかぶりつく。
 途端に爽やかなトマトソースの酸味と濃厚なチーズの味が口の中に広がって、租借したそれを飲み込むと、空腹を訴えていた胃が至極満足するのを感じた。

「ふむ…。確かにこれは美味いな…」

 窓の外の流れる景色を何となく見ながら、結局城之内に貰ったピザまんを全部食べてしまった。
 勿論これだけで空腹が収まる訳では無いが、お陰であと一時間くらいなら余裕で我慢出来そうだ。

「ふん…。仕方が無い。これで我慢してやるから早く帰って来い」

 ピザまんを包んでいた紙をクシャクシャに丸めながら満足げに呟いて、オレは一時間後に思いを馳せる事にした。

 




城之内君が渡したピザまんは、多分廃棄品w

ダメだこりゃ。次行ってみよう~!

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引き続き調子が悪い二礼です、こんばんは。
ていうか今日の題名、元ネタが何なのか知っている人ってどれくらいいるのかなぁ…?www

いつもだったら嬉々として日記を書いているというのに、調子が良く無いので日記を書くのもちょっと辛い状況です…(´∀`;
つー事で暫くの間は、日記の方も簡単になってしまうと思うのですが、どうぞご了承下さい。
(外出する元気も無いので、ネタが無いとも言う…w)
あと結構本気で具合が悪かったらしくて(本人はギリギリになるまで気付かず…;)、未だにホルモンバランスが崩れている状況は変わらず、万全の体調には戻っておりません。
なるべく頑張りたいとは思っていますが、また突然お休みを頂く事も出てくるかと思います。
その辺もご了承下さいませ。
申し訳無いですが、どうぞ宜しくお願いします。

う~ん…;
早く元気になりたい…っ!!


長編『無限の黄昏 幽玄の月』に第零夜をUPしました。
曰く序章って奴ですね。
この第零夜を読んで分かったと思いますが、この長編は現代版和風パラレルエログロスプラッタファンタジー(長い!!)になります。
今はまだそんなシーンは出て来ませんが、間違い無くその内出て来ますので、グロいのが苦手な方は読まれない方が宜しいかと…(´―`;
あと注意分にも書いてありますが、この長編は以前書いた『奇跡の証明』を和風版に組み直したものです。
内容や結末は全く違う物語ですが、ストーリーを構成するピースが同じなので、『奇跡の証明』を読まれた方はたまに既視感を感じる事があるかもしれません。
兄弟作品とか姉妹作品…と言えば分かり易いかなぁ?
まぁ…とりあえず「ん?」とか思っても、「兄弟なら似てても仕方無いな!」と軽くスルーして貰えれば幸いです。
あと、『奇跡の証明』繋がりで今回も『設定と考察のページ』を作ろうと思っていますが、まだ序章ですのでもう少し物語が進んでからにしたいと思います。
じゃないと色々とネタバレになってしまうものもございますので…w
ちなみに大変分かりにくいと思われますが、一応設定時代は『現代』です。平成の世です。
大昔の話とかじゃありません…w

ほんじゃま、以上の注意点を踏まえた上で、新しい長編をお楽しみ下さいませ~(´∀`)


以下は拍手のお返事でございます~(゜∇゜)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)

『メビウスの帯』と日記の感想をありがとうございます。
それと、誤字の指摘をありがとうございましたw
それでよろしく無いんですw 早速直しておきました…w
どうやら具合が悪くて集中力も欠けているようですね。
見直しも思ったように出来なくて、ジレンマばかりが溜まっていきます…(´―`;

今回海馬の出番が無くて確かに少し寂しい感じがしますが、これは表君の一人称になっているからなんですよね~。
これが城之内視点とかだったら、まず間違い無く海馬の姿が出て来たんだと思います。
…のですが、今回は表君に頑張って貰ったので、海馬君には控え室で待っていて貰いましたw
たまにはこんな視線のお話も良かったのではないかと思います(*'-')

それから体調の方についても、ご心配をおかけして申し訳無い限りでございます。
上記でも書いてあります通り、実はまだ本調子では無いんですよ…w
この先暫くは、突然お休みしてしまう事があると思いますが、その辺りはどうぞご了承下さいませ。
本当にもう…参っちゃいますね…orz

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

第零夜

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 一晩で百人の人間を自らの手で殺し、その返り血を浴びた者は、人を食らう鬼へと変化するという。
 太古の人々はその鬼を『食人鬼』と呼んで恐れた。
 だけれども、現代に生きる者にとっては、それはただの伝説上のお話。ただの御伽話に過ぎない。
 そう…一般の人々にとっては。
 まさか今も十年に一人、食人鬼に食われる人間がいるだなんて…考えもしない事だろう。
 考えもしないだけで、確実にそれはそこにあるのだ。
 確実に…。

 




 冬至。
 一年で最も日中の時間が短いこの特別な日の太陽が、漸く中天に差し掛かる頃。
 どこまでも澄み切った冬の青空の下、白い着物に青い袴姿の男性が一人、自宅の中庭に立ち尽くしていた。
 その格好は神社に仕える神官としての格好で、晴れ渡った冬の空をそれと同じくらい澄んだ青い瞳で見上げるその人物の名は、海馬瀬人と言った。
 薄衣の着物だけでは冬の風は冷たいだろうに、海馬はまるで何も感じぬようにただ青空を見上げて黙って突っ立っている。
  まるで冬の空に溶け込んでしまいそうな海馬の希薄な気配に気付いたのだろうか。近くの空を飛んでいた雀の群れが突如方向転換をし、すぐ近くの椿の木に舞い 降りた。チュンチュンと騒がしく鳴く雀に気が付き、海馬は美しい紅色の花を咲かせている椿の木に向かって腕を伸ばす。すると、まるでそれを待っていたかの ように雀達が一斉に飛び上がり、しなやかに伸びた腕や指先、そしてなだらかな肩などに舞い降りて翼を休めた。
 普段、人間を警戒して近付いて来ようともしない雀がこうも簡単に自分に懐く事に苦笑しつつ、海馬はもう片方の指先で雀の小さな頭をそっと撫でた。


 海馬が住んでいるのは黒龍町という人口二百人程度の小さな山間の町だった。
 町になったのはほんの二~三十年前の出来事で、それまでは黒龍村という村であった。町の中心から少し南側に行った処に黒龍神社という大きな神社があり、町の住民は皆その神社に祀られている『真紅眼の黒龍』という龍神を信仰し、日々慎ましやかに暮らしている。
 この黒龍神社は、神官や巫女の家系である四つの家によって守られていた。
 一つはこの黒龍神社の敷地内に住み、神事祭事一切を取り仕切る本家…城之内家。そして神社自体と南を守る城之内家を支える為に、他の三つの分家が各方向を守っていた。
 一つ、北を守る『闇』の武藤家。一つ、西を守る『冥』の漠良家。そして最後の一つが、東を守る『光』の海馬家である。
 それぞれの分家は自らの担当する方角の町の端に家を持ち、海馬家も町の東側の端に立派な純和風の邸を持っていた。海馬が今いるのは、その邸の中庭である。
 辺りには他に人家も道路も無く、この邸の周りだけは静かな空気に包まれていた。町では数日後に控えたクリスマスの陽気に沸き立っているというのに、まるでここだけ別世界のようだった。
 聞こえるのは冬の風の音と、鳥達の鳴き声だけ。
 そんな静かな空間を、海馬は心から好んでいた。


 そんな風に海馬が気に入っている静かな中庭は、先程よりずっと賑やかな様子に変貌していた。
  雀と戯れている内にいつの間にかヒヨドリや烏、果てはそこらに住み着く野良猫まで集まって来てしまい、海馬を中心として一風変わった光景が繰り広げられて いる。本来だったら異種族間の生き物が同じ場に揃えば、一方が逃げたり果ては喧嘩なりと起こるものだが、何故か海馬がその場にいる限りそんな事は起きな い。
 これは海馬の持つ不思議な力の内の一つだった。
 幼い頃より、余り人には好かれる事は無かった。特に理由も無いのだが、何故か 「取っつきにくい」「あの子の側には近寄りたくない」という曖昧な理由で、彼は常に独りぼっちだった。例外として、五つ年下の自分の弟や、同じ分家の神官 である武藤家の遊戯や漠良家の了は海馬に対してそんな気になったりはしない。ただどうしてか、他の人間は彼に近寄る事を「気持ち悪い」と感じてしまうよう だった。
 その代わりと言っては何なのだが…海馬は鳥や動物にはよく好かれた。別に海馬が動物を意図的に慣らした訳では無い。自分が特に何もしていなくても、向こうの方から勝手に近寄って懐いてくるのだ。
 他の神官も同じだと思って遊戯や了に聞いてみても、彼等にはそのような能力は全く無いらしい。
 初めは何故自分にこのような能力があるのか全く意味が分からなかった海馬であったが、本家と分家の秘密と役割を知った今は、自らの身に何が起こっているのか完全に把握出来ていた。


 肩に留まった雀がまるで遊びに誘うように海馬の栗色の髪の毛を啄むのを優しく諫めて、その温かな身体にそっと指を触れさせた時だった。

「兄サマ」

 突如背後からかけられた声に海馬はゆっくりと振り返り、縁側に正座している人物に優しげに眼を細める。
 そこにいたのは海馬の弟のモクバであった。いつも明るく優しく自分に懐いてくれる賢い弟は、何故か今は哀しそうな目で真剣に自分を見詰めている。
 だが海馬には、弟がそんな目をしている理由が分かっていた。

「どうした、モクバ」

 なるべく優しく尋ねると、モクバは哀しげな表情をさらに深くして、膝の上に置いた手をギュッと強く丸め俯いてしまう。そして震える声で「先程…本家から連絡がありました…」と海馬に告げた。

「そうか…。それで?」
「今朝『見届けの巫女』様に、黒龍神様からお告げがあったそうです。第百代目の『贄の巫女』…、預言されていた『救いの巫女』には兄サマの名前が挙がったそうです…」
「………。やはりそうか…。では一年後に向けて早速準備せねばいけないな」
「兄サマ…?」
「今日からオレは一年の潔斎に入る。オレの食事には、肉や魚を一切入れないように。夏至を迎えた日からは五穀も抜かなくてはならないから、食事係にそう伝えておいてくれ」
「それだけ…? それだけですか…!? 兄サマ!!」

 思いがけないモクバの大声に、海馬の身体に留まっていた鳥や足元に寝転がっていた野良猫が一斉に四方に散っていく。空中に舞い散る様々な鳥の羽毛を溜息混じりに眺めながら、海馬は弟を諫めるように少しきつい声を出した。

「余り大声を出すな。皆が驚いていただろう」
「今は鳥とか猫とかはどうでもいいでしょう!? 『贄の巫女』に選ばれたという事は、兄サマは…兄サマは…っ。死ななきゃならないんだから…っ!!」

 弟の大きな瞳から涙がボロボロと零れ落ちていく。
 止めどなく流れる涙に流石の海馬も心を痛め、ジャリ…と庭の玉石を踏んで縁側に座っているモクバの側まで歩いていった。そしてそのまま縁側に腰掛け、小さな頼りない身体を抱き寄せる。
 小さな…温かくて愛しい、たった一人の弟の身体。
 一年後にはこの熱とも永久に離れなければならないという事実は、確かに海馬の心を打ちのめした。
 だが…海馬はもう覚悟していたのだ。『約束の刻』が近付くに従い神官として様々な事実を知った今、その覚悟は揺るがない物となっている。代々の『贄の巫女』が自分と同じような能力を持っていた事を知ってからは、きっと自分が選ばれるであろうと確信していたのだ。

「どうして…っ。どうして兄サマなんだよ…っ! 漠良でも武藤でもいいじゃんか…っ!!」
「漠良家は無理だな。先代の『贄の巫女』…、つまり今『贖罪の神域』にいる方は漠良の叔母にあたる方だ。同じ家から二度続けて『贄の巫女』が出る事は無い」
「じゃあ武藤家はどうなんだよ…!」
「武藤も無理だろう。武藤家が有する力は『闇』だ。もし千年前の預言が本当なら、百代目の『贄の巫女』は『救いの巫女』となる筈。闇に落ちた食人鬼を救い出す巫女が、同じ闇属性の筈は無いだろうな。となれば、残るは『光』の海馬。オレしかいない訳だ」
「兄サマ…っ。ねぇ…どうして? どうして兄サマはそんなに冷静なの?」
「もう既に知っていたからな」
「知って…?」
「モクバ、オレが余り人には好かれず、その代わり鳥や動物に異常に好かれる事は知っているだろう?」
「う…うん…」
「色々調べた結果、どうやら代々『贄の巫女』に選ばれる者は同じような能力を持っていたらしい。漠良の父親に聞いたら、先代も小さい頃から同じような力を持っていたと教えて貰った」
「そんな…っ」
「そういう訳で、オレはもう知っていたのだ。自分が第百代目の『贄の巫女』…曰く預言された『救いの巫女』になる事を。だから特に驚いてはいない。それが必然だと理解しているからな…」

 ボロボロと涙を流し続けるモクバの頭を優しく撫でながら、海馬は愛しい弟の身体を強く抱き締める。そして慈愛に満ちた声でこう伝えた。

「モ クバ…、今だけは泣いてもいい。だが明日からはもう泣くな。いつかこんな日が来るだろうと、オレはお前に当主としての心づもりを教え込んで来たのだから な。オレが『贖罪の神域』に去った後は、今度はお前が当主としてこの海馬家を支えていかなければならない。いいな、モクバ。それがお前に課せられた役目だ と、しっかり心得てくれ」

 覚悟を決めた兄の言葉にモクバはひたすら何度も頷きつつも、今は目の前の身体に力一杯しがみついて泣く事しか出来なかった。


 この時、海馬瀬人十六歳。
 十七歳になった来年の冬、彼は自ら死地へと赴かなくてはならなくなったのだった。

ここは『無限の黄昏 幽玄の月』を書くに至って、物語に深く関係する用語を解説する為に纏めたページになります。
一応あいうえお順に並んでいますが、物語が進んで行くにあたって用語や解説も少しずつ増やしていく予定です。
ていうかですね…。
ここ…他の方の為というよりは、むしろ自分の為のページなんですよね…w
用語を纏めとかないと分からなくなるのは、間違い無く二礼本人です。はい(´∀`;
興味のある方だけ御覧になって下さい~!

 




【あ~お】

 




【か~こ】

海馬家
三大分家の内の一つ。
黒龍町(旧黒龍村)の東を守り、『光』の力を有する。
始祖は城之内静香が黒龍心の力を借りて産んだ三番目の子供。


海馬瀬人
海馬家出身の神官で、第百代目の贄の巫女。
弟に海馬モクバがいる。
見届けの巫女によれば、千年前に亡くなった筈の城之内克也の恋人「せと」に外面も内面も良く似ているらしい。
千年前の悲劇の話を聞くと、たまに過去の映像や音声が脳裏で甦る事がある。


海馬モクバ
海馬瀬人の実弟。
今は贄の巫女になってしまった兄の代わりに、幼いながらも海馬家の当主を努めている。


黒炎刀
城之内家の選ばれた神官のみが使える神刀。
今までこの刀を使えたのは、城之内家の初代当主と、悲劇時に活躍した城之内克也の二人だけだった。
見た目はただの日本刀だが、選ばれた者が使うと刀身に黒炎を纏い、その炎によって異形の者を浄化すると言われている。
柄に二対の鈴が付いていたが、その内の一つは行方不明になってしまった。


黒龍神
黒龍神社に祀られている龍神。
炎を司る神であるが、龍神らしく神聖なる雨を降らす事も出来る。
千年前、二人の人間の子供を心から愛してこの世に生まれさせたが、(ある意味)どちらにも裏切られてしまった。
神としての自分の声をはっきり聞く事が出来るのは、見届けの巫女である静香一人だけである。
千年前の悲劇を良しとはせず、首謀者である城之内克也と、その妹の静香に罪を課せた。
特に城之内の身柄に限っては、未だに自らが作った贖罪の神域に幽閉したままである。


黒龍神社
黒龍町(旧黒龍村)の中心から少し南に行った場所にある神社。龍神である黒龍神を祀っている。
元々は、本家と呼ばれる城之内家だけがこの神社での神事を預かっていた。
現在は三大分家と、城之内家に縁が深い者達で神社を守っている。
黒龍町(旧黒龍村)に住む人間にとっては、まさに生活の中心となっている神社で、未だにこの神社を中心として町(村)は動いている。


黒龍町
旧黒龍村。現在は総人口200人ちょっとの小さな山間の町。
町の中心地から少し南に行った場所に黒龍神社を抱え、その神社を中心として町は動いている。
千年前の悲劇の舞台となった場所。
現在は一部の人間を除いた殆どの町民は、例の千年前の悲劇はただのお伽噺だと信じている。


黒龍村
現在の黒龍町。千年前の悲劇が起こった場所。
当時の総人口は100人を少し超える程度。それが悲劇によって20人弱まで一気に人口が減ってしまった。
悲劇の後は生き残った者が子孫を増やしたり、外部からの移民を受け入れたりして村を復興させていったらしい。
また黒龍神直々に繁栄を約束された三大分家も、村の人口回復に尽力したと思われる。

村の中心地から少し南に行った場所に黒龍神社を抱え、その神社を中心として村は動いていた。
悲劇前は三大分家は存在せず、本家である城之内家が神事を司る一族として黒龍神社を守っていた。

 




【さ~そ】

三大分家
黒龍神社を守る本家・城之内家を支える一族。
武藤・漠良・海馬の三つの家により成り、それぞれ守る方角や有する力が違う。
(武藤が北と闇。漠良が西と冥。海馬が東と光)
始祖は黒龍神に力を授けられた見届けの巫女により生まれた三人の子供。
十年に一度、贖罪の神域へと送られる贄の巫女が生まれるのも、この三大分家である。


城之内家
黒龍神社を守る本家と呼ばれる一族。
元はこの城之内家だけで、黒龍神社の神事一切を取り仕切っていた。
千年前の悲劇が起きてから暫くは、この城之内家の人間から贄の巫女が選出されていたが、100年後からはその役目は三大分家へと移っていった。
その頃から本家では子供が生まれなくなり、やがて全ての人間が寿命によって息絶えた。
今現在の生き残りは城之内克也と城之内静香の二人だけである。
ちなみに神刀である黒炎刀が使えるのは、この城之内家の初代と、城之内克也の二人だけであった。


城之内克也
千年前の悲劇によって食人鬼に堕ちた神官。
黒龍神に愛されて生まれて、城之内家の初代以外誰も扱う事が出来なかった黒炎刀を使う事が出来た。
元々はその黒炎刀を使って黒龍村とその村に住む人々を異形の者達から守っていたが、今まで守って来た村人の裏切りと、恋人である「せと」が食人鬼に犯されている姿を目撃して、その精神的ショックに耐えきれず理性を手放してしまった。
その結果、黒炎刀を使っての村人の虐殺という行為に走ってしまう。
更に暴走したまま実の妹を殺そうとしたところ、その妹を庇った「せと」を自ら首を跳ねて殺してしまった。
皮肉にも恋人である「せと」が100人目の犠牲者となり、本人はそのまま食人鬼へと身を堕とす事になる。
黒龍神が降らせた神聖なる雨に打たれて何とか理性を取り戻したが、そのまま黒龍神が造った贖罪の神域へと幽閉されてしまった。
悲劇から千年経った現在も、罪を償う為に幽閉されたままである。


城之内静香
千年前に黒龍神に愛されて生まれて来た巫女。
黒龍神の言葉を直に聞く事が出来る、ただ一人の人間。
千年前に罪を犯した兄・城之内克也の罪を共に償う為、黒龍神の力を借りて男性を知らないまま三人の子供を産んだ。
その子供が現在の三大分家の始祖となる。
その際に黒龍神の力により不老不死となり、事の成り行きを最後まで見届ける身届けの巫女となった。


贖罪の神域
黒龍神が食人鬼に堕ちた城之内克也を幽閉する為に作り出した神域。
基本的に外部からの接触は一切出来ないが、十年に一度の冬至の日だけ、日の出と日の入りの二回門が開く。
昼間はずっと、まるで日が沈んだ直後の夕闇のような薄闇に包まれているが、夜だけははっきりと空が見えるという。


食人鬼
文字通り、人を食べる鬼の事。
一晩で100人の人間を自らの手で殺して、その返り血を浴びた者が堕ちる鬼。
例え人間としての理性を保っていても、新月の晩だけは飢餓を抑える事が出来ない。
鬼の様相は様々だが、まるで獣のような細い瞳孔と鋭い犬歯が特徴。
城之内克也の場合は、髪の色も金色に変わってしまった。


新月
聖なる月の光が一切無い夜の事。
普段は理性によって食欲を抑えている食人鬼も、この日に限っては飢餓を抑える事が出来ない。
贄の巫女はこの新月の晩に鬼に食される事を目的として、現世より送られている。



黒炎刀の柄に付いていた鈴。
元々は二つの鈴が対になっていた。
赤い組紐が付いた方はそのまま黒炎刀の柄に結ばれたままで、青い組紐が付いた方は、城之内が恋人であるせとに想いの証として渡していた。
今は第百代目の贄の巫女である海馬瀬人が持っている。


鈴の音
第百代目の贄の巫女に選ばれた海馬瀬人が、千年前の悲劇を耳にすると時に脳裏に響く音。
この音を聴くと当時の映像や音声が、妙にはっきりと見えたり聞こえたりする。
原因は不明。


せと
千年前に城之内克也の恋人だった人物。
黒龍村でも比較的裕福な家の跡取りだった。
食人鬼の甘言に騙された村人によって誘拐され、食人鬼に引き渡されてしまう。
更に城之内を闇に堕とす為に利用され、自分を助けに来た城之内の目の前で食人鬼に犯されてしまった。
食人鬼の本当の目的が自分を犯す事では無く、城之内を自分と同じ食人鬼に堕とす事だと気付いたせとは、傷付いた自らの身体を返り見ず必死になって黒龍神社まで赴いた。
そこで城之内の妹である静香に逃げるように進言するが間に合わず、狂気に暴走した城之内と鉢合わせしてしまう。
妹の事が分からず他の村人と同じように殺そうとする城之内に、彼に妹殺しをさせる訳にはいかないと、せとは静香を庇う為に二人の間に割って入った。
結果、城之内が持っていた黒炎刀の刃によって首を跳ねられ、皮肉な事に彼が100人目の犠牲者となってしまったのである。
跳ねられた首は城之内によって贖罪の神域に持ち去られてしまった。

せとが千年前に見たり聞いたりした出来事は、現代の第百代目の贄の巫女である海馬瀬人の脳裏に鮮やかに甦る事がある。


千年前の悲劇
千年前に黒龍村で実際にあった悲しい事件。遠く西の地から食人鬼が黒龍村にやって来た事が全ての発端。
異形の者を成敗する為に神官であった城之内克也が三日三晩闘い抜いたが、途中で瀕死の重傷を負った食人鬼が降参。
城之内に対して許しを請う。
その許しを聞いて城之内は食人鬼を村から追い出すが、鬼は村に密かに戻って来て村人を甘言によって騙し始めた。
自らの命の危機感から村人はそれまで自分達を守ってくれた城之内を裏切り、食人鬼の命令通り彼の恋人である「せと」を誘拐。鬼に引き渡してしまう。
怪我のせいで意識を失っていた城之内は事態に気付くのが遅れ、事件から丸二日後、恋人を救い出す為に食人鬼の元へと駆けつけた。
そしてそこで食人鬼によって村人の裏切りを知り、更にその鬼に犯されている恋人の姿を見て、ついに理性を手放してしまう。
城之内によって瀕死の重傷を追っていた食人鬼は、復讐の為にせめて城之内を自分と同じ闇に堕とそうとしていたのだが、その呪いは不運にも成就してしまった。
狂気に暴走した城之内はまずその場で鬼の首を跳ね、更に自らを裏切った村人を黒炎刀を使って次々と虐殺していったのである。
そして最後に自らの恋人までもその手で首を跳ねて殺してしまい、食人鬼の呪い通り、闇へと身を堕とす事になってしまったのだった。
この事件により村の総人口は100人ちょっとから20人弱まで一気に減り、更に黒炎刀の炎によって村の殆どの家が焼失。
村として立ち直るまで長い時間がかかった。
更に罪を犯した城之内の為に三大分家が発足し、贄の巫女が贖罪の神域へと送られる事になり、それが現在まで続いている。

 




【た~と】

冬至
一年で最も日中の時間が短い日。
十年に一度、この日だけ贖罪の神域への門が開く。
日の出に一回、日の入りに一回の合計二回開き、門が開いている時間は一分に満たない。
日の出の門が開く時にそれまで贄の巫女を現世に還し、代わりに日の入りの門が開く時に新しい贄の巫女を受け入れる。

余談だが、日本ではこの日に湯船に柚子を浮かべた風呂…つまり柚子湯に入るという習慣がある。
とても良い香りがしてリラックス出来るのが特徴。

 



【な~の】


贄の巫女
千年前の悲劇により食人鬼へと変わってしまった城之内克也の飢えを満たす為に、十年に一度、生け贄として贖罪の神域へと送られる巫女。
三大分家のそれぞれの家の候補から、見届けの巫女を通じて黒龍神からのお告げにより選ばれる。
巫女とは本来女性に使われる言葉だが、相手をする者が男性の為、男でも女でも一様にこの名で呼ばれる。
食人鬼にその身を食されても、神域の力により一晩で怪我は全て直り、傷が残る事も無い。
ただしその回復は自らの生命力を最大限に高めて行なわれているものである為、どんなに丈夫な者でも十年も経つ頃には生命力を全て使い切ってしまって、やがて死に至る事になる。

基本的に肉や魚、五穀を食べない。
贄の巫女に選ばれた者は一年前から肉や魚を食事から抜き、更に半年前の夏至の頃から五穀も食べなくなる。

更に隠れた能力として、獣や鳥などに異常に懐かれるというものがある。
本人が意識していなくても、向こうの方から勝手に懐いてしまうのだ。
その代わり、他の人間(家族や、同じ贄の巫女候補は除外される)には余り好かれない傾向にある。
特に問題がある訳ではないが、何故か近寄ってはならないと感じるらしい。


【は~ほ】

漠良家
三大分家の内の一つ。
黒龍町(旧黒龍村)の西を守り、『冥』の力を有する。
始祖は城之内静香が黒龍心の力を借りて産んだ二番目の子供。


本家
城之内家の事。
元々黒龍神社での神事一切を取り仕切る、巫女・神官の一族であった。




【ま~も】


満月
聖なる月の光が最大限に満ちる夜の事。
この日に限っては、贖罪の神域に幽閉されている食人鬼・城之内克也と、現世にいる見届けの巫女・城之内静香との心が通じ合い、ほんの少しだけ精神内で会話をする事が可能になる。
この会話によって、この兄妹はお互いの世界の情報を交換していると思われる。


見届けの巫女
城之内静香の呼称。
千年前の悲劇の時、罪を犯した兄と共に贖罪する事を黒龍神に誓い、三大分家の為に龍神の力を借りて三つ子を産んだ。
その時に身に受けた黒龍神の力により不老不死となり、以後、全てを見届ける為に千年以上の時を生き続けている。


武藤家
三大分家の内の一つ。
黒龍町(旧黒龍村)の北を守り、『闇』の力を有する。
始祖は城之内静香が黒龍心の力を借りて産んだ一番目の子供。

 




【や~よ】


 




【ら~ろ】


 




【わ~ん】

補足説明

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城之内×海馬。
 パラレルファンタジー色の強い長編となっております。
以下に注意点を纏めておきましたので、本編を読まれる前に目を通しておいて下さいませ~。


★注意点
 

  • この物語はファンタジーパロディになります。パロディ作品が苦手な方はご注意下さい。
  • 以前に『奇跡の証明』という長編を書きましたが、この話は現代版和風『奇跡の証明』として新たに組み直した物語ですので、多少設定が被っている部分があります。似通ったシチュエーションを目にしても「またコレか…」といった感じで軽く流して頂けると幸いです(´―`)
  • エログロ系城海です。ついでにかなりスプラッターです。流血とか悲鳴とか痛い描写が多々ありますので、グロイ系が苦手な方はご注意下さい。
  • 舞台背景を活かした表現方法の一つとしてキャラクターの口調が変わっていたり、他キャラに対する呼び方が違っていたりします。特に静香ちゃんが城之内の事を「お兄様」とか呼んでいますが、表現の一つとして華麗にスルーして下さいませw
  • この物語の海馬は、海馬家の実子です。ついでに非ィ科学的な事象についても職業柄、全く抵抗感無く受け入れています。
  • 物語の傾向として神道や神社についての表現が多く出て来ますが、二礼は神道関係者では無いので、はっきり言って捏造に過ぎませんw 「妄想乙」という温かい心で見守って下さいませ。
  • その他ツッコミ処満載な辺りも、表現方法の一つとしt(ry


以上の注意点を読んでも「全然OKだZE!」という方は、以下の『黄昏の入り口』からどうぞ先にお進み下さいませ。

やれやれ参った...;

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何か調子が悪い二礼です、こんばんは。

いや~…、久しぶりに点滴を受けてきました…;
疲労が溜まるとこんな風に体調不良になったりするのですが、流石にここまで具合が悪くなったのは久方ぶりですわ…。
季節の変わり目&仕事と日常で忙しい日が続いた&瀬人誕企画が無事終わって気が抜けたのトリプルコンボで、私の身体のスイッチが切れてしまったらしいですw
悪化する一方の体調に常飲している薬だけでは補えなかったらしくて、ついにヤバイ症状が出始めたので慌てて病院に電話したら「今すぐ点滴してやるから、さっさと病院に来やがれ」と言われ、そのまま病院へ…(´―`;
点滴して貰って少し身体は楽になったのですが、結局昨日は元気が出ずお休みさせて頂きました。
日曜日に続き火曜日もお休みしてしまって、本当に申し訳ありませんでした…。
医者にも「疲労度パネェ。余り無理するな」と言われたので、暫く無理しない事にします…orz


短編に『メビウスの帯』をUPしました。
珍しく表君視点で、軽く書かせて頂きました。
ウチの表君は相変わらず城海のキューピッドというか何て言うか…w
良い奴だよね、ホント。友達になりたいwww
この話を書く為に実際にメビウスの帯を作って遊んでいたのは内緒です。
本当に不思議ですよねぇ…。
何で半捻りしただけで、裏と表がくっ付くんだろう…?(←くっ付けているからだろうという野暮なツッコミは無しでw)


以下は拍手のお返事になります(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

体調の事をご心配下さって、本当にありがとうございます~。
まさにRosebank様の仰る通り、季節の変わり目&仕事と日常で忙しい日が続いた&瀬人誕企画が無事終わって気が抜けたの見事なトリプルコンボで、敢えなくダウンしてしまいました…orz
見た目はすご~く丈夫そうに見えるのですが、実はかなりの虚弱体質なので、こういう時はすぐに寝込んでしまってダメですね…(´∀`;
もう若くは無いんだと反省しつつ、ゆっくり身体を休める事にします…w

まだ本調子ではないので暫くはまともな更新が出来ないとは思いますが、エログロスプラッタ系城海も大分形になってきたので、ぼちぼちやっていこうかな~と思っています。
なるべく無理しないように頑張りますねw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

メビウスの帯

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城之内×海馬。
珍しく表君の一人称です。

 




「なぁ、遊戯…。オレ…どうしたらいいかなぁ…?」

 始業ベルが鳴る数分前、城之内君から発せられた一言に僕は笑って頷いて、机の中から筆箱とノートを取り出した。


 城之内君と海馬君が付合っている事は、もう随分前から知っていた。
 ただし清く正しいお付合いでは無く…不純異性交遊ならぬ不純同性交遊というか何て言うか。つまりただのセックスフレンドとしての付き合いだという事にも気付いていた。
 城之内君と海馬君は…違うようで全く同じだった。
 僕から見てもこの二人は良く似ていると思う。完全に正反対に見えて、実は根本が全く一緒なんだ。
 だからそんな二人が自分達の欠けている部分を相手に求めても仕方無いとは思っていた。
 怒りとか哀しみとか悔しさとか、自分の力だけではどうにもならなかった運命に必然的に積み上がって覆い隠されてしまった大事な部分。そんな友情や家族愛だけではどうにもならなかった部分を、二人はお互いに求めて身体を重ねる事で消化している。
 だから僕は何も言わなかった。例えそれに対して決して良い感情は持っていなくても…。
 実は城之内君や海馬君からそういう話を聞く度に、僕が微妙な顔付きをしている事を二人はよく知っていた。僕が二人の関係を快く思っていないという事を知ってからは、城之内君も海馬君も僕に自分達の話をする事は少なくなったんだけど、今日の城之内君は敢えてそんな僕に対して答えを求めて来ている。

 多分…もう限界だったんだろう。

 いつかこんな日が来るんじゃ無いかと思ってた僕は、特に驚くような事はしなかった。
 だって…今までの二人の関係は余りにも不自然だった。第三者の僕の目から見ても、その不自然さは際だっていたから…。
 それに気付かなかったのは本人達だけで、長い時間をかけて漸くそれに気付いてくれたようだった。それだけでも随分成長したんだなぁーと感心しつつ、僕は城之内君の問いに答える為に筆記用具を机の上に並べた。

「どうしたらって、何が?」

 完全に主語が抜けている問いではあったけど、僕には城之内君が一体何を言いたいのかよく分かっていた。分かっていたけど、敢えて細かく聞いてみる。

「それは…その…海馬との事を…だな…」
「うん。それは分かってるけど、城之内君は何をどうしたいの?」
「だからそれが分からなくて困ってんだろ」
「自分自身が分からないものを、第三者の僕が分かると思う? 大体そういう関係を望んだのは、城之内君と海馬君だったんでしょ」
「いや…それは…っ」
「答えは城之内君が自分で導き出すべきだと思うよ。でもまぁ…そのヒントくらいはあげるから、ちょっと待ってて」

 僕はそう言って城之内君を黙らせると、ノートを開いて使わないページを切り取った。そして筆箱の中から定規とカッターを取り出して、約一センチくらいの幅でノートの端を細長く切り落とす。次にピンクと水色の蛍光ペンを取り出して、ピラピラの帯になった紙片の片面にまずはピンク色のマーカーで真っ直ぐにラインを引いた。綺麗に引けたラインに満足して、また紙片を裏返すと今度は水色のマーカーでラインを引く。最後に細長い紙片の端と端をセロハンテープでくっ付けてリングにしてみせた。

「はい、出来上がり」

 出来た紙の輪を掌の上に載せて見せると、城之内君は腕を組んで盛大に首を捻っていた。

「これが…何だって?」
「この輪っかはね、今の城之内君と海馬君を表したものだよ。この外側の赤いラインが城之内君の道、そしてこっちの内側の青いラインが海馬君の道。今二人は同じ土台に立って同じような道を歩いているけど、その道が交わることは決して無い。今のままじゃ城之内君と海馬君はこのまま別々に生きるしか無いんだよ」

 薄い紙の土台の上を、外側と内側でグルグルと歩き続ける二人。紙自体は薄くて破れやすくて、会おうと思えばすぐにでも会えそうな距離にあるというのに、その実二人は決して会う事は出来ない…。
 そう、このままでは。

「これが今の城之内君と海馬君。でも、城之内君はこの状態ではダメだと…そう気付いてくれたんだよね?」

 僕が念の為にそう強く尋ねてみると、城之内君は押し黙ったままコクリと頷いて僕の言葉を肯定してくれた。
 良かった…。だったら答えまであともう少しじゃないか。

「城之内君。実はこの紙の表と裏にいる人物が、同じ道を歩ける方法が一つだけあるんだよ」
「え………?」
「ちょっと見ててね。今やってみせるから」

 驚いた表情の城之内君に微笑みかけて、僕は一度留めたセロハンテープを丁寧に剥がし始めた。セロハンテープが剥がれて再び細長い一枚の紙片になった紙切れを今度は半捻りし、もう一度端と端をセロハンテープでくっ付ける。
 出来た輪っかをもう一度掌の上に載せて、僕は城之内君の前に差しだした。

「ほら、もう出来た。城之内君。この輪っかが何て言うか…知ってる?」
「いや…?」
「これね、メビウスの帯っていうんだ。ほらよく見てみて。さっきと違って赤い道と青い道が繋がってるでしょ?」
「あ…ホントだ…」
「指で辿ってみると良く分かるよ。たった180°回転させただけで交わらなかった道が繋がるなんて凄いよね」
「うん、凄ぇ」
「城之内君が目指しているのは…こういう事でしょ?」

 メビウスの帯を手に取って心底感心したように眺めている城之内君にそう問い掛けてみれば、城之内君はこっちを向いてしっかりと頷いてくれた。
 あぁ…やっぱり、そういう事だったんだね。
 きっともうこの二人は、身体だけの関係じゃ満足出来なくなってしまったんだ。自分の怒りや悲しみを慰める為だけの行為から、相手の怒りや悲しみを癒す為の関係へと心が成長していった。自分の事は全て後回しにしてでも…相手に少しでも楽になって欲しいと、幸せになって欲しいと願っている。

 知ってる? 城之内君。人はそれを…恋と呼ぶんだよ?

 初めての恋に、城之内君がそれに気付いているとは思えなかった。だけど僕は、今はそれでいいと思っている。
 大丈夫。すぐに気付けるよ。
 君がその気持ちを大事に持ち続けているならば…。

「ね、城之内君。よく思い出してみて。このメビウスの帯がただの紙のリングだった時…、僕はどうやってこの紙の輪をメビウスの帯にした?」

 赤と青のマーカーが繋がった部分をじっと見ていた城之内君が、僕の声に驚いたように顔を上げた。

「え…? どうって…?」
「試しにもう一度やってみようか。それ貸して?」

 僕は再び城之内君からメビウスの帯を受け取ると、端を留めてあるセロハンテープを外して、元のピラピラの紙片に戻してしまった。そして今度は捻らないで、そのまま普通のリングにしてしまう。

「これが普通の紙のリング。これからあのメビウスの帯にするには、どうしたらいいと思う?」
「それは…こうやって…」

 城之内君がボソボソ呟きながら僕の掌から紙のリングを受け取って、くっ付いていたセロハンテープを綺麗に剥がした。

「まず、こうやって端っこを切り離して…」
「うん、そう。輪になったものは、一旦そうやって切り離さないとメビウスの帯には出来ないよね。それから半分捻ってくっ付け直せばメビウスの帯には出来るけど、何にせよまずは端を離してあげないとどうにもならない」
「遊戯…? 一体何が言いたいんだ…?」
「分からない? そんな事は無いよね。城之内君にはもう分かってる筈」
「………」

 今城之内君が手に持っているのは、端と端を切り離されてピラピラの紙片になってしまった一枚の紙帯。表には城之内君の道を表した赤いマーカー、裏には海馬君の道を表した青いマーカー。
 城之内君は暫くその紙片を見詰めたあと、半捻りして端と端をくっ付けて、それをメビウスの帯に仕立て上げる。

「一度…離れなきゃダメって事か…」

 出来上がったメビウスの輪を大事そうに見詰めながら、城之内君は深い溜息と共にそう呟いた。

「うん。僕は二人は一度離れるべきだと思ってる」
「やっぱりそうか…。オレも海馬もお互いに甘え過ぎたって…事かな」
「何だ。城之内君はちゃんと分かっているんじゃない。それなら大丈夫だよ」
「そうかな…?」
「うん、大丈夫。今はまだ二人ともあやふやな気持ちしか持っていないんだろうけど、暫く離れていれば自分の気持ちがしっかり見えてくると思うから…。だから暫くは離れて自分の事と、それから相手の事をよく考えてみて」
「あぁ…そうだな。分かった、そうしてみるよ。ありがとな、遊戯」

 僕の言葉に城之内君は何か決意を固めたらしく、顔を上げて見せてくれた笑顔にもう迷いの色は無かった。
 その直後、始業のベルが鳴って城之内君は自分の席へと戻っていき、机の上にはメビウスの帯が残された。赤と青のラインが繋がるその紙の帯を持ち上げて、僕はホッと安堵の溜息を吐く。

 まさか…まさかとは思ったけど…、君が海馬君と全く同じ答えを出すなんてね…。
 やっぱり凄いよ、城之内君。


 たまたま学校に来ていた海馬君が、放課後一人でいた僕に城之内君と同じ問いかけをしてきたのは、今から一週間前の事だった。
 頭の良い海馬君の事だから僕が作った紙の輪がメビウスの帯である事にはすぐに気付いたようだったけど、自分達がこれからどうしなければならないのかという答えを出す時間は、城之内君と余り変わらなかったように思う。
 多分…これから城之内君と海馬君は一度離れる事になるだろう。けれども僕は心配なんて全然していなかった。だってそうでしょう?

 お互いをお互いの半身として支え、導き出す答えも全く同じ二人に、本当の意味での別れが訪れるなんて考えられもしない事だ。

 これから二人は少し寂しい思いをしなければならないだろう。それは自分勝手な気持ちで互いを利用し合って心の伴わないセックスをしていた、ちょっとした罰って奴だ。
 でもきっと、その直ぐ後には最高の幸せが待っている。
 それは僕の願いなんかじゃなくて、もはや確信に近い何かだった。

「お幸せに…」

 至極幸せな気分でそう呟いて、僕はセロハンテープを外してただの紙切れになった二つ目のメビウスの帯を、大事にクリアファイルに挟んで置いた。
 いつか再び城之内君と海馬君の道が繋がった時、お祝い代わりに二人にこれを返してあげようと…そう決意して。

ごめんなさい!!

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スミマセン…っ!!
本日体調が悪いので、更新をお休みさせて下さい…っ!!
日曜日もお休みを頂いているというのに、本当に申し訳無いです…;
全くもって…不甲斐ない…orz
今日はゆっくり休んで、明日は何か短編でも上げられればいいなぁ…と思っております。
本当に…スミマセンでした…っ!!

おでん美味しいよおでん

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ボッケボケの二礼です、こんばんは。

相変わらず気が抜けた状態から元に戻りません…w
頭の中はやりたい事で一杯なのに、気力が沸かないというか何て言うか…;
祭りの後の後遺症って奴ですね、こりゃw
まぁ…焦らないでのんびりやっていこうと思います(´∀`)
という事で今日の日記は簡単なもので失礼致しますね。

11月も後半になってきて寒い日が増えてきましたね~。
暖かい日と寒い日が交互にやってきて、体調崩しそうです…;
寒いなら寒いで統一してくれればいいのに~。
そんな訳で最近の夕食は、お鍋とかおでんとかばっかりになってきました。
おでんと来れば社長の嫌いな物として有名ですが、お鍋はどうなんだろうね…?
ていうか、社長が何でおでんが嫌いなのか未だに理解不能ですw
本当に何がダメなんだろうなぁ…?
出汁の匂いとか…あとは安っぽい感じがするところとか?
でもおでんって具沢山にすると、結構材料費かかるんだけどなw
対して城之内は、おでんとかお鍋とか、大好きそうですよね~。
眉根を寄せて微妙に嫌がる社長とお鍋を突っつく城之内とか、考えると凄く萌えますw


以下は拍手のお返事になります~(´∀`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)

御言葉に甘えて今日は簡単な返信で失礼します。
何だかんだ言って、エログロスプラッタ系城海のプロット製作は進んでいるんですよ~。
ただ…いつもに比べて執筆スピードは格段に遅いですけどね…w
長編は元より短編ネタもいくつか温めているので、その辺もちょろちょろと書いていこうと思っています。

あ、そうそう。
例のフェラフラグですが、実に惜しかったです!!
答えはかなり後半の、『騒ぐほど不味いものでも云々』の辺りでした~v
アレを見た時に、不味くない=別にフェラする事に対して抵抗がないと勝手に脳内変換し、「あぁ、フェラしろって事なんだな(´_ゝ`)」と解釈してしまったのですw
で、結果が朝風呂Hだったと…そういう事でしたw
あんな風に他の方からインスピレーションを貰って書くエロってのも、またオツなものです(´―`)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

二つの誕生日

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ホッと一安心して気が抜けた二礼です、こんばんは。

社長!! 改めてお誕生日おめでとうございました~!!

いつまでも城之内とお幸せにw


瀬人誕企画の温泉城海が無事に完結致しました~!!
感無量です…っ!!
更新履歴を見返してみたら、散さんが第一回目の『愛の楽園にご招待』をUPしてから丁度一ヶ月目だったんですね。
別に計ってやっていた訳では無かったのですが、面白い偶然に思わず感心してしまいました…w
何はともあれ、無事に完結出来て一安心です。
良かったぁ~!(´∀`)

この瀬人誕企画については、本当に色々な方にお礼を申し上げたいです。
まずはこの企画の発案からバナー製作、更新等々全てを一手に引き受けて下さった散さんに、心からの感謝を申し上げます。
それから連載中に沢山の温かい拍手やコメントを下さった方々にも感謝致しております。
本当にどうもありがとうございました~!!

こんな素晴らしい企画で社長の誕生日を祝う事が出来て、私も本当に幸せでした(*´д`*)
一ヶ月続いた物語が終わってしまって少し寂しい感じがしますが、この気持ちを糧にしてまた頑張っていこうと思っています。
温泉城海を読んで下さった皆様、本当にどうもありがとうございました! 感謝感激でございます!!

ちなみにTOPのバナーの方は、11月一杯まではそのまま置いておく事にします。
それ以降はProjectページに収納しますので、12月からはそっちの方からどうぞ~。


さてさて、今日は別の話題でも…。
本日11月20日は、二礼の前ジャンルのハニーのお誕生日でした。

カイ・キスクたん! 誕生日おめでとう!!(あ、名前言っちゃった)

ちなみにこのカイの声を宛てている草/尾さんの誕生日でもあるのですが、それはまぁ…こっちに置いといて…と。
今は城海を一番に創作活動をしているのでこの子の話は一切書いていないのですが、それでも未だに大好きなキャラなのですよ。
金髪碧眼(正しくは青緑色)の超美形の癖にバリバリの武闘派(しかも天才で英雄)で、実は戦災孤児というハードな過去を持っている故か他人には凄く優しくて、その割りにくそ真面目で頭が硬くて融通が利かなくて、いい加減な性格の主人公(人外)にライバル意識を持っているのに本気で相手にされないから大嫌い(公式プロフィールの嫌いな物の項に、主人公の名前を書くくらい嫌いw)で…と、今で言うツンツン具合が物凄く可愛かったのですよw
という訳で久しぶりにハニーの萌え語りをしたいので、以下反転させますw


二礼の愛するハニーのカイたんは、『Guilty Gear』という格闘ゲームから発生したキャラクターです。
近未来SFファンタジーという異色の格闘ゲームで、美しいグラフィックやハードロックのBGM等が当時話題になっていました。

最初は主人公ソルさん(人外)が普通(化け物と対等に闘える力量を持っている辺り、普通とは言い難いですが…w)の人間と信じて疑わなかったカイたん。
ソルさんとは昔、聖騎士団というところで一緒に闘った同僚だったのですが(ちなみに団長はカイたんなので、年下の上司と年上の部下の関係)、後にソルさんが国連が補完していた特別な武器を借りパクして逃げてしまったので、それからまた彼に対する苛々が溜まっていく事になります。
でもこの武器…実は大昔にソルさんが自分で開発し造ったものの内の一つなんですけどね…。(つまり、自分の武器を取り戻しただけ)
こうしてカイたんはソルさんの事を「いい加減な奴だから大嫌い」とか思ってずっとコンプレックスを抱いていたのですが、彼が実は人外で複雑な過去を持っている事を知ると、途端に迷いが発生します。
その後ソルさんの遺伝子を引き継いだディズィーたんという人外の娘さんに出会ってみたり、沢山の人間を殺した化け物と同族であるソルやディズィーたんを本気で憎みきれなかったり、それどころかディズィーたんに恋して後に結婚しちゃったりと、物語は意外な方向に進んでいきます。
最新作では一国の王様になってたり、ディズィーたんとの間に息子をもうけたりしているのですが…。
この息子がまた人外の血をひいている為に、普通の人間の子供よりずっと成長が早かったんですよね。(ディズィーたんも3歳くらいでもう成人体型になってました)
モリモリ成長していく息子を周りの人間の目から守る為に、何とカイたんはあんなに嫌っていたソルさんに自分の大事な息子を預ける事にしたんです。
こうしてソルさんはカイたんの息子の育ての親となる訳なんですが…。(遺伝子的には孫の養育を任された感じw)

何かここまで来ると、もうお前ソルの事嫌ってないだろ! むしろ好きだろ!! と思っちゃうんですよw
だって普通大嫌いな奴に、自分の息子預けたりしますかね?w
しかも自分が尤も嫌う「いい加減な性格」であるソルにw
おまけにあれだけ嫌っていたというのに、自分がピンチになるとソルを呼び出す始末w(この呼び出し方がまた凄くて、ソルが普段どこにいるのかが分からない為、ソルの指名手配書をバラまきます。酷いw)
もうコレはデレだよね? ツンデレだよね?(未だにプロフィールの嫌いな物の項にソルの名前が書いてあるんですけど…w)
しかもソルの遺伝子を引き継いでいるディズィーたんと結婚した辺りで、この二人は義理の親子関係になっちゃってるんですよ~(´∀`)
(公式ではカイたんの嫁さんはディズィーたんとは明記されていませんが、状況証拠からファンの間ではほぼ公式化しています)

何という萌え!! これで萌えずに何に萌えよと!!
昔はソルさんとカイたんが啀み合っていた為に険悪な仲のサイトしかありませんでしたが、最新作の驚くべき展開により、最近はかなり甘々なサイトも増えてきているんですよね~!
今でもたまにそっちの方のサイトをグルリと回って見たりしますが、その度に城海とは違う萌えを吸収して自分の活力にしていますw
本当に…萌えっていいものですねぇ…(*´д`*)


ちなみにカイたんは未来の人間ですのでまだ生まれていません。
正確には誕生予定日…という感じでしょうかw
まぁ…そんな事言ったら二次元のキャラクターの誕生日なんて、全部妄想に過ぎないんですけどねーwww(←それを言ったらアカンw)


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯8』をUPして貰いました。
これでラストです。
もう何も言う事はありません。
ラブラブの城海に仕上げる事が出来て心から満足しております(´―`)
またこういう企画が出来たらいいなぁ~と思いつつ、この物語を閉じようと思います。
今まで読んで下さって、本当にありがとうございました~!!


最後にちょっとお知らせを~!

お知らせその①
瀬人誕企画が無事に終わって気が抜けてしまいました…w
次の長編の準備とかもありますので、日曜日はお休みを頂きたいと思います。
申し訳ありませんがご了承下さいませ。
(日記は…書くかもしれません。かもだけどw)

お知らせその②
来週の25日の夜中に、二礼が住んでいるマンションで電気工事による停電が執行されます。
別にウチが停電になったからと言ってどうなるという事では無いのですが、困った事が一つだけあるんです。
以前日記にも書きましたが、実は二礼が使っているサーバーは相棒お手製の自宅サーバーなんですよ…w
勿論電力はウチの電気。
つー事は…だ。マンションが停電になるという事は、ウチのサーバーも落ちるという事で…(´∀`;
という事ですので、25日の午前零時から朝方まではこのサイトは見る事が出来ません。
繋がらなくても閉鎖した訳では無いので、ご安心下さいませw


以下は拍手のお返事でございます~(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます!
一ヶ月もの長い間、温泉城海を読んで下さってありがとうございました~!
何とか綺麗に纏められた事に、私もホッとしております…。
自分一人の小説ならここまで緊張はしなかったのでしょうが、今回はやっぱり散さんとのコラボという事で、全てにおいて納得の出来る形で終わらせたかったのです。
最後の最後まで手を抜かずに書ききる事が出来て、本当に良かったと思っています。
この結末には私自身も非常に満足しています(*'-')
改めて社長に「お誕生日、おめでとうございます!」と言いたいですね~!
やっぱり城海っていいですねw
幸せな二人に幸あれ!!

と、こんな感じで一ヶ月にわたって続いた物語が終了した為に、今少し気が抜けてしまっています…w
申し訳ありませんが日曜日はお休みを頂いて、エログロスプラッタ系城海へと頭を切り換えていきたいと思います。
プロットの作成はもう始めていますが、これがなかなか纏まらなくて苦心中なんですよ…w
ちょっと難しい物語になりそうです。

それとフェラフラグに関しましては、残念ながらハズレでございます(´∀`)
もうちょっと後半かな~?
多分じっくり目を通せばすぐに分かりますよw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

電子音中毒

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ハウスとトランスが好きな二礼です、こんばんは。

二礼はBGMをかけながら小説を書く人です。
無音でも勿論書けるのですが、音が無いと文字に飽きるのが早いので、なるべくBGMをかけながら作業する事が多いです。
ただしボーカル無しに限りますが…。
絵を描くときはボーカル有りでも良いのですが、流石に文章を書く時はボーカルが邪魔(歌詞が頭に入ってきて、文字の発生を阻害しますw)なので、基本的にインスト系ばかり聴いています。
その中でもハウスやトランスなどはリズムも良いし、同じようなメロディーを繰り返したりするので、あまり作業の邪魔にならないんですよね。
ようは脳がリズムに乗って集中力を持続させてくれればいいので、もっぱらハウスやトランスばかりを聴きながら小説を書いています。
最近はニ/コ/ニ/コ/動/画でもハウスやトランスの良曲集なんかが一杯あるので、作業用BGMとして活用しまくりですよ~。
本当に助かります(´∀`)
ちなみにここ何日かのお気に入りは、東方風神録のハウスリミックス集(sm8806452)ですかね~。
これがまたいい出来なんですよ!!
東方を知っていらっしゃる方は、是非是非聴いてみて下さいませ!!


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯7』をUPして貰いました。
朝風呂で体内処理は散さんのリクエストだったので、頑張って書いてみましたw
嘘じゃないっすよ! 本当っすよ!! 本当だってVAーっ!!
あと散さんの『愛の楽園でお戯れ』のところで、どう読んでもフェラフラグが立っていたようにしか見えなかったので、そっちも入れてみました(´∀`)
どこの部分かは…多分『お戯れ』をじっくりと読んで頂ければ分かる筈です…w うふふ…(´m`)
ここまで書いたら後はもう帰るだけですね。
ちょっと寂しい気もしますが、最後まで手を抜かないで書いていこうと思っています。
頑張るぞ~!!


以下は拍手のお返事になりまっする!(`・∀・´)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます~!
早朝露天エロは…下手すれば夜の部よりイヤらしくなってしまったような気がします…w
だってお天道さんの元、全部が全部丸見えですからねぇ…(´∀`;
そんな中でガッツリフェラってくれた海馬はやっぱり男らしかったのでは無いかと…そう思います。
思うだけですがw
何はともあれ、ラブラブな二人を書けて私も幸せでした~!
あとはラストに向けて一気に頑張りたいと思います。

という事で、残念ながら『Special holiday』は次回がラストになります~。
上手い具合に纏まって来ているので、これ以上は延びないでしょうね。
後日談も書かないです、多分。
これが私一人がやっている企画ならまだしも、今回は合同企画なので、この物語はこれで綺麗さっぱり打ち止めですw
後日談やその後の彼等がどうなったかは、読んで下さった方達の頭の中にあるんだと思いますよ(*'-')

あと四十八手SSの事なんですが、『石清水』は確かに表現しやすい部類の体位ではありますねw
考えておきますwww

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

あれ? 何か寒くない?(´∀`;

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突然の寒さにビックリな二礼です、こんばんは。

明日は病院だ何だとちょっと時間が取れそうにないので、今日はずっと暖かい部屋に籠もって温泉城海をモリモリ書いていました。
珍しく半端無い集中力を発揮し(いつもはちょろっと書いて休んで、何か別の事して遊んで、また小説書きに戻る…とかそんな感じで書いていますw)日が沈んでいる事にも7時過ぎてから気付く始末…。
どんだけだよ…w
で、さっき部屋の空気を入れ換える為に窓を開けてみてビックリ!!
何だコレ!! 超寒いじゃんか!!
ど…どういう事なの…っ!?(゜д゜)
空気の入れ換えをする為に開けた窓を即閉めしたのは秘密です。
今日はお鍋だなこりゃ…。


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯6』をUPして貰いました。
ちょっとしつこかったかな。
…まぁいいやw
せっかくの和室エロという事で、初めて松葉崩しにチャレンジしてみました。
松葉崩しっていいよね! 足が交差してピッタリお股くっ付け合って奥の奥まで入り込んで行ける辺りがエロくていいよね!
あと名前が凄いよね! 実際松葉で遊んだ方はよく分かると思いますが、まさしくあのまんまなんだよなぁ…w
ていうか四十八手の技名はどれも凄過ぎる。
いつか四十八手SSとかやってみたいけど、あのアクロバティックな体位を文字で表すのは…ちと無理だわ…。
今回のあの松葉崩しのシーンだけでかなり時間かかったのに、アレ以上の体位とか無理ですw 絶対無理ですw

あ、そうそう。
温泉城海は金曜日の更新分で最後になる予定です。
予定は未定と言いますから断言は出来ませんが…w
頑張って最後まで書いていこうと思っています。


以下は拍手のお返事でございま~す(´∀`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(゜∇゜)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます~!
松葉崩し…頑張ってみました…w
四十八手の中でも松葉崩しは比較的表現の簡単な体位だと思いますが、それでもやっぱり難しかったです。
以前頂いたRosebank様の四十八手コメントは、私もよく覚えていたんですよ~。
あの時からいつか四十八手SSとかやってみたいなぁ…と思っていたんですけど、上記にも書きました通りあのアクロバティックな体位を文字で表現するのは、並大抵の難しさでは無い事を知りました…orz
本当に奥が深いな…四十八手…;
今の私には、あの松葉崩しが精一杯ですw

あと海馬が素直になり過ぎてしまった辺りは、実は密かに反省しているところなんですよ…w
以前の日記でも書いていましたが、散さんのあの格好いい海馬をなるべく崩さないように気を付けていたつもりだったんです。
ところが…いつの間にかウチの乙女海馬さんが出しゃばってきてしまって…あんな風になってしまったんですよねぇ…w
海馬が寂しかったと泣いてしまった辺りで、私自身ももう無理するのは止めてしまったのですが(笑)、それがいけなかったのかあっという間に大暴走を始めてしまいました…(´∀`;
でもまぁ…ここまで来てしまったので、諦めてこの状態のままラストまで持っていく事にしますw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

体力回復デー

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お疲れモードの二礼です、こんばんは。

今週は何だか色々と忙しい日が続き(セブンが700円くじなんかするから…っ!)昨日辺りからちょっとぐったりと凹んでおりましたので、本日は体力回復の為にダラダラしていました。
せっかくの日曜日、しかも凄くいいお天気だったのに勿体無い…とは全く思わず…w
基本的にインドア派の私にとっては今日は最良の日曜日となりました(´∀`)
ついでに疲れが溜まっていると愚痴を零していたら、相棒が焼き肉に連れていってくれましたw
ポン酢カルビが美味しかったな…。
意外にさっぱりとしていて、ポン酢がお肉に非常に良くマッチしていました(´¬`)
贅沢してしまったので、また来週から質素な御飯に戻しておきますw


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯5』をUPして貰いました。
うふふ…、エロ…頑張ったよ~…(´∀`;
せっかくの企画物だと言う事で無駄に気合い入れて頑張ったら、一話分やそこらじゃ終わらなくなったんだね~…w
散さんが「どうせ長くなるだろうと思ってw」と気を利かせて分割してくれたのが、ありがたいやら情けないやら申し訳無いやら…orz
ゴメンナサイね、本当にゴメンナサイね~。
せめてラブく書くので、もうちょっとお付合い下さいませ。
(でも基本的に私はエロい人種なので、書いている間は楽しくて仕方無いですw こんなんだからエロ神なんて言われるんだwww)


以下は拍手のお返事になりますお!!(´ω`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(・∀・)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます~!
畳を引っ掻くのは和室の基本です!! …と私は勝手に思い込んでいるのですが、如何でしたでしょうか?w
まぁせっかくいつもの洋室&ベッドでは無く、和室&畳に布団というシチュエーションを頂いたので、それを最大限に利用させて頂きました(*'-')
洋室と和室では、セックスに対するイメージが全然違いますよね~。
これは私のイメージですが、洋室でのエロって少し派手だと思うんですよ。
ベッドはスプリングが効いていますから動けばギシギシ鳴るし、如何にもセックスしてますって感じがするのが萌えポイントでは無いかと…。
対して和室の場合は畳に布団を直に敷いていますからね。動いてもそれに伴う音がしないんですよ。
部屋に響くのはセックス自体の音(息遣いとか水音とか喘ぎ声とか)だけで、それがまた静かで地味なエロを演出しているのがいいんですよね。
そんな訳で普段書かない和室エロに自然に気合いが入って、長々と書いてしまう事になりました…(´∀`;
Rosebank様の仰る通りじっくり責める結果になってしまって、せっかくの誕生日(過ぎたけど)に海馬が壊れないかどうか心配ですwww(自分で書いておいて…w)

あと寂しい病に対してもコメント頂いて、どうもありがとでした~!
ていうかもう毎年の事なので、あんまり気にしない事にしていますw
それでもやっぱり寂しいと感じてしまうんですよね~。もう分かりきっている事なのに。
四季の移り変わりって人の心まで変えてしまいますから、不思議ですよね~。
日本人が情緒深いのは、四季のお陰かもしれませんね(*'-')

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

焼き芋屋のメロディーも悲しい

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ちょっと寂しい病にかかっている二礼です、こんばんは。

毎年11月は寂しい病の月です。
夏が終わり秋に入って一気に日が短くなって、北風が吹き寒さが堪えるようになって、美しく紅葉していた葉も全部落ち切ってしまって…と、それら全てに哀愁を感じます。
この季節になると、日が暮れてから灯油屋さんのトラックなども行き来するようになるのですが、その灯油屋さんが流している音楽がまた悲しい。
12月に入ってクリスマス色一色になれば気分一新出来るのですが、毎年この季節だけはアンニュイとしてしまいます…(´―`;
と、落ち込みがちな気持ちを何とか持ち上げつつ、今日もエロに励んでいましたw
エロ神様はまだ御在宅のようですが、エロ書き過ぎて何だか頭が痛いですwww
挿れて出しましただけじゃダメか?
………ダメか…やっぱw
引き続き頑張ってきます…。


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯4』をUPして貰いました。
社長誘い受けです。しかもマッパで(´∀`)
自分から城之内の布団に潜り込ませるのは既に予定に入っていた為、この部分は凄く書きやすかったですw
どうでもいいですけど、和室って何かエロいですよね?
洋室よりも和室の方が艶やかっつーか、いけない雰囲気がしてドキドキしますw
という訳で今回は完全に趣味に走りましたが、あの行燈は電気です。至極残念ながら電気式行燈です。
流石の高級老舗旅館も、今更蝋燭使った行燈は置いてありませんでしたw
これが時代劇パロだったら、感じている海馬が行燈蹴っ飛ばして、倒れた行燈から蝋燭の火が引火、そのまま火事って話を書くのにな~w
(笑い事では無い。つか『吉原炎上』の見過ぎだwww)


以下は拍手のお返事でございます~(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます~!
下着…? 下着…。下着か…!
何という事でしょう…っ!
わたくし、下着の存在をすっかり忘れてました…!!www
あー、そういえばあの後どうしたんだろうなw
まぁ計画的犯行(海馬談)なので、きっと城之内が何枚か持って来ているんだと思います。
…そういう事にしておいて下さいwww

あと流石Rosebank様!
私が和室エロに拘って書いていた事を、すっぱり見破ってきましたね~w
和室って良いですよね。
上記にもありますが、洋室に比べて怪しい艶やかさっていうか、いやらしい雰囲気がバリバリなような気がします。
個人的に花魁ネタとかも大好きなので、ついついこんな描写になってしまいました…w
この後も和室を活かしてエロを書いていこうと思いますので、そのままマッタリとお待ち下さいませ(*´∀`*)

あと黒子特集の事を知らせて下さってどうもありがとうございました。
ただ残念な事に…わたくしその時間帯は買い物に行っておりました…orz
普段から余りテレビを見ない生活をしているので、全然気にしていませんでした;
せっかく知らせて下さったのに、本当に申し訳無かったです。
あーでも、もうちょっと続いたらアニメ化とかにならないかなぁ…。
なったらちゃんと見るのになw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

温泉4-2

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 泣き腫らした顔を恥じて「顔を洗いにいく」と行って洗面台に消えていった海馬は、それから暫くしても帰って来なかった。
 深夜のテレビ番組を眺めながら海馬が戻って来るのを待っていたんだけど、普段見ない時間帯の番組は何一つ面白く感じられない。結局オレはテレビの電源を落として立ち上がり、奥の寝室へと向かって、敷かれていた布団の片方に潜り込んだ。
 高級そうな羽毛布団に首まで埋めながら、オレは少し落ち込んでいた。
 海馬を泣かすつもりは全く無かった。あのネタバラシの瞬間は、オレの中ではもっと幸せな瞬間だった筈だったのに。
 いつも仕事仕事でオレの事を邪魔者扱いするから、海馬があんなに寂しがっているなんて思いもしなかったんだ。むしろ仕事の邪魔をされなくて清々しているんだとばっかり思ってた。
 だけどそれは…オレの考え違いだったんだ。
 海馬と付合って丸三年経つというのに、オレは全然アイツの事を分かってあげられなかった。海馬の事ならもう何でも理解出来るつもりでいたのに、それはただの自意識過剰なだけだったんだ。
 結局オレは何一つ成長しちゃいない。ずっとあの頃の…海馬と付合い始めた頃の凡骨のオレのままだ。
 恩を返すつもりで企画したこの誕生日プレゼントが、心ならずもアイツを苦しめる結果になった事に、オレは大きなショックを受けていた。

「はぁ~…」

 大きな溜息を吐いて、オレは隣の布団をチラリと見遣る。ただ顔を洗いに行っただけなのに、海馬はまだ戻ってきていなかった。
 もしかしたらまだ怒っているのかもしれないと思ったら、海馬が来る方向を見ているのも辛くなる。空の布団に背を向けるように、オレはごそりと向きを変えて、布団の中で身体を丸めた。そして、もう眠ってしまおうと目を瞑る。
 本当は…この後も海馬を抱くつもりでいた。この後もっていうか、むしろこの後がメインだった筈なんだけど。
 庭でのセックスはちょっとした事故みたいなもんだ。我慢出来なくてついつい手を出しちゃったけど、むしろあの事故が救いになっている。
 望んだ場所でのセックスは出来なかったけど、少なくても海馬を抱いた事には違いない。実際すっげー気持ち良かったしな。それに風呂上がりの海馬のリラックスっぷりを見ていたら、もうそれだけで十分なような気がしてきた。
 もうこれ以上自分勝手な行動で海馬を困らす事は出来ないと、少し意識が遠のいてきた頭で考えていた時だった。
 遠くの方でバタンと扉が閉まる音が聞こえ、次いでペタペタと裸足で畳を踏む足音が近付いてくる。パチンという音と共に瞼の向こう側が少し暗くなったのを感じて、海馬が居間の電気を消したんだな…と思った。
 ペタリと寝室に入ってくる気配と共に、シュッと襖が閉められる音がする。そしてその後は何の音もしなくなった。

 見られている…。

 何故か確信的にそう思った。オレは海馬がいる方向には背を向けているし、目も瞑っているから状況が目に見えている訳じゃない。でも背後からの視線を痛い程に感じていた。
 海馬は随分長い事オレの事を見詰めていた。視線は感じるけど、海馬が何を思っているのかまでは分からない。
 寝ないのか…?と訝しげに思い始めた時、背後でシュルッと衣擦れの音がした。ついでにパサリと大きめの布が畳に落ちる音がする。
 タオルでも落としたのかと思いつつ気配を探っていたら、背後の空の布団に海馬が膝を付くような動きを感じた。あぁ漸く眠るのかと少し安心する。海馬が本当にまだ怒っていたのなら、眠っているオレを叩き起こしてでも怒鳴るだろうと覚悟していたから。
 そのまま大人しく眠るという事は、もう海馬の怒りは解けたという事だ。
 良かった良かった。オレのせいとは言え、せっかく温泉旅館にまで来たのにいつまでも怒っているのは馬鹿らしいからな。だから海馬が隣の布団ではなく、こっちの布団を捲ってオレの背後に潜り込んで来ても何の不思議も…。

 って、えええぇぇぇぇぇーっ!?

 ゴソゴソとオレの背後に潜り込んで来た海馬は、オレの背中にピッタリと張り付き、更に横向きに寝ていたオレの腰に手を回しギュッと力強く抱き寄せてきた。背中からじわりと広がる熱が妙にリアルで、眠気は一気に覚めて心臓がバクバクと煩く高鳴りだす。

「な、な、な、ななな…何だっ。どうした海馬…っ?」

 余りの予想外の展開にしどろもどろしながら問い掛けても、背後からの答えは無い。その代わり、オレの肩口に強く額が押し付けられる。
 こんな海馬の態度は初めての事だった。丸三年間付合ってきて、オレが海馬のベッドに忍び込む事は何度もあっても、その逆をされた事は一度も無い。
 普段とは真逆のシチュエーションにオレの緊張はMAXで、心臓の高鳴りは治まる事を知らず、激しい血流に手指の先まで震えてきた。その震える手で腰に回る海馬の手に触れ、滑らかな肌をそっと上へと辿っていく。手首から腕へ、尖った肘を撫でて上腕へ。そして少し無理な姿勢で肩まで辿りついた時、オレはとんでも無い事実に気が付いた。
 な、何で…。

 何でコイツ何にも着てないんだよ…っ!?

 余りの事にオレの目はついにバッチリと開いてしまう。
 オレの腰を抱き締めている手を強く掴みそこから引き剥がして、そのままくるりと身体を回転させる。柔らかい布団の上に縫い留めて上から見下ろしたその身体は…素っ裸だった。念の為布団の中で海馬の腰の辺りを探ってみたけど、予想通りというか何て言うか…下着も着けていなかった。

「っ………!」

 白い布団の上に同じくらい白い肌をした細い身体。薄闇に包まれた寝室は、枕元に置いてある行燈の柔らかいオレンジ色の光だけが照らしていて、海馬の肌がそのオレンジ色の光を受けて白く浮き上がっている。
 海馬を見下ろすこの光景は至極見慣れたものだったけれど、いつものベッドとは違う畳の上に直に敷かれた布団だとか、洋風のサイドランプでは無く行燈だとか、側に脱ぎ捨てられているのが白いパジャマでは無くて浴衣だとか、そういうものがいつもの雰囲気とまるで違って、それら全てがオレの興奮材料になっていた。
 更にオレに違和感を感じさせたのが、海馬の表情だった。
 いつもはまるでオレに挑むように鋭く睨み付けてくるその視線が、今は目元を赤くして熱っぽく潤んでいる。
 余りのその色っぽい姿態に、思わずゴクリと生唾を飲んだ。

「何…?一体どういうつもり…?」

 そのまま有無を言わさずがむしゃらに抱き締めたいのを何とか我慢してそう問い掛けると、海馬は顔を真っ赤にしてプイッと横を向いてしまった。

「どういうつもりとは…?」
「だ…だから…その…、お前がこんな事してる意味を聞いてるんだけど…」
「そういう貴様こそどういうつもりなのだ。いくら凡骨でも、オレがここまでする意味を悟れない程馬鹿ではあるまい」
「うん…分かってるよ。だからそれを素直に受け止めてもいいのかって意味で聞いたんだ」
「では逆に聞くが、これを素直に受け止めなくて、一体どう受け止めろとでも?言っておくがオレは裸で寝る癖は無いし、何の用もないのに他人の布団に潜る趣味も無いぞ」

 横を向いたまま、視線だけでチラリとオレを見詰めてくる。目元とこめかみと頬が真っ赤に染まっていて、それがとても綺麗だった。
 再びゴクリと喉を鳴らして、オレはもう何も言わずに海馬の身体に覆い被さる。その白い身体に体重を載せると、首元に長い腕が絡まってきた。晒された細い首元に軽く唇を寄せただけで敷いた身体がビクッと震え、喉元がコクリと動くのが見える。
 はっきり言って、もう我慢の限界だった。
 せっかく人が黙って眠ってやろうと思っていたのに、この罪作りな恋人は一体どこまでオレを翻弄すれば気が済むのか…。余りの嬉しさに、にやついた笑みが止まらない。

「もう止まれないからな。覚悟しろよ…」

 興奮し過ぎて乾いてきた唇を舌で舐めながらそう囁いたら、上気した頬を更に真っ赤にさせて海馬が瞳を閉じた。

「分かっている。好きにするがいい…」

 まるで自棄を起こしているかのような海馬の言葉に、オレはクスリと笑ってしまった。
 何が好きにしろだ。巫山戯んな、いい加減にしろ。お前だってオレと同じくらい相手の事を欲しがっている癖に、本当に素直じゃないんだからな。
 小憎たらしい…だけど世界で一番大事なオレの恋人。愛しい愛しいオレの海馬。
 そんな最愛の恋人と深く愛し合う為に、オレはその身体に深く身体を沈めていった。
 



 「んっ…。ふっ…ぅ…っ」

 静かな寝室にピチャピチャという濡れた音が響いている。激しく舌を絡め合いながら、オレは海馬の開かれた足の間に身体を割り込ませた。そして片膝でグイッと股間を刺激してやると、途端に「んっ…!」という余裕の無い声をあげてビクリと反応する身体に、更に深く欲情を煽られていく。
 熱く濡れた口内を一通り舐め回して一旦唇を離すと、まるで離れたく無いとでもいうように、互いの舌先からとろりとした粘液が繋がっていた。それをもう一度キスをして舌に絡め取り、チュッと吸い取ってしまう。
 散々吸い付かれて真っ赤に腫れ唾液に濡れた唇を開いて、海馬はハァハァと呼吸を荒くしていた。

「熱い………」

 まるで譫言のように紡がれたその言葉に、オレもいい加減邪魔になっていた上掛けを剥いでしまう。途端に目の前に美しい白い裸体が現れた。枕元のオレンジ色の光を浴びて、身体全体が幻想的に浮かび上がる。
 思わず「綺麗だな…」と呟いたら、白い身体がサーッと桜色に染まっていった。

「嘘だ…っ」
「嘘じゃないよ。何で嘘だって思うんだ?」
「オレは…女じゃない…。男だぞ…」
「男でも綺麗なもんは綺麗なんだから仕方無いだろ?」
「だ…だが…」
「ストップ!それ以上下らない事言ったら許さないぜ。どうせお前の事だから、胸が無いだとか余計なモノが付いてるだとか言うつもりだったんだろうけど」
「っ………」
「図星だった訳ね。まだそんな事気にしてたのかよ」
「城之内…」
「ホント…困った奴だね。でもお前にそんな不安な気持ちを抱かせてしまったのはオレの責任だから、これ以上は何も言わないでおくよ。だからお前も余計な事気にしないで、こっちに集中してくれるかな?」

 そう言って、オレンジ色の光に浮かび上がる真っ赤な乳首に指を這わせると、海馬がビクッ…と大きく身体を跳ねさせる。
 そこはもう硬くしこっていて、勃ち上がった乳首を押し潰すように愛撫していると、海馬がイヤイヤをするように首を左右に振っていた。

「いっ…!痛…い…っ」
「ん…?痛い?」

 潤んだ瞳で睨み付ける海馬の視線を受け止めて、オレは改めて赤い乳首をじっと見てみた。さっき庭で散々弄った乳首は、確かにいつもより赤く染まってぷっくりと腫れてしまっている。
 うーん…、確かにこれじゃちょっと痛いかもしれないな…。慣れない環境に興奮して、やり過ぎちゃったのかもしれない。

「ゴメンゴメン。優しくするから」

 慌ててその場所から手を除けて、代わりに顔を近付けた。硬く勃ち上がった乳首にさっきと同じようにフッと息を吹きかければ、またピクリと身体が反応する。
 その敏感さに嬉しさを感じつつ、硬い突起を舌で柔らかく舐め上げた。唾液を擦り付けるように乳首や乳輪を丁寧に舐めて、灯りに反射する程濡れた乳首を口に含んで、ジュッと軽く吸い上げる。

「っ…!ふぁ…っ!」

 途端に仰け反って甘い声をあげる海馬に、オレは乳首を口に含んだまま笑みを浮かべた。
 何だかんだ嫌がってる割りに、やっぱり胸は感じやすいらしい。ビクビクと震える身体を押さえつけて胸への愛撫を続けていると、「あっ…あっ…」と断続的に喘いでくれた。
 その姿に心底可愛いなぁ…と感動しつつ、空いている手を下方に伸ばしてスラリとした足をそっと撫でる。膝頭をつっと撫でると、まるでそれが合図のようにゆっくりと片膝が立てられた。その一連の動作にニヤリと笑いつつ、掌を内股へと滑り込ませる。滑らかな肌をさわさわと撫でただけで、海馬の腰が揺らめいた。
 多分自分の腰が勝手に動いてしまっている事に、海馬自身は気付いていないんだろうな。オレが「腰、動いてるぜ」と指摘すると、途端にハッとした顔をして身体の動きを止めてしまった。それでもしつこく内股を撫でていると、またユラユラと腰が浮いていく。
 身体はこんなに正直なのに、御本人はどうして素直になれないのかねぇ…。
 でも、そんなところも可愛いと思ってしまうんだから、オレの方も重病だ。そんな事はとうに分かっている。そうなる事を選んだのは、他でもないこのオレだったから。

「海馬…、可愛い…」

 柔らかい内股の皮膚を撫で擦りながら囁いたら、海馬が潤んだ瞳を開けてオレを見た。その瞳が「もっと」と言っているのに気付きながらも、敢えてそれを無視してもどかしい愛撫を続ける。
 海馬の股間のモノは、もうとっくに硬く勃ち上がってしまっていた。海馬が腰を動かす度にユラユラと揺らめいて、先端からはトロトロと先走りの液を零れさせている。だけどオレは敢えて肝心な場所には触らずに、わざと際どいところを指や掌でスッと軽く撫でるだけの愛撫を続けていた。

「あっ…、っう…!」

 その度に海馬は首を振り、大事なところをオレに触って欲しいと腰を持ち上げて意思表示する。
 その余りの淫らな痴態に、こっちがどうにかなりそうだった。

「はっ…ぅ…っ。あぁっ…!」

 根本の辺りを指の腹で擽るように撫でていると、グイグイと海馬が腰を押し付けて来る。そして日本人離れした長い腕が布団から投げ出され、いつ見ても綺麗な形をした爪でカリリと畳の縁を引っ掻いた。
 いつもはベッドのシーツを掴む長い指が畳を引っ掻くその妖艶な様に、ドキリと胸が高鳴り頭にカッと血が昇っていく。

「海馬…。触って…欲しい?」

 興奮に震える声でそう尋ねたら、海馬がコクコクと頷くのが見えた。
 本当は言葉にして言って貰いたかったけど、流石にこれ以上の意地悪をするつもりは無い。今日は(正しくはもう昨日だけど)海馬の誕生日だから、なるべく優しくしてやりたかった。
 トロトロの粘液で濡れまくっているペニスに手を伸ばし掌で軽く握ると、それだけでヌルリと指が滑った。

「うぁっ………!」

 待ち望んだ刺激に海馬の身体が大きく跳ねる。強く瞑った眦から、涙がホロリと零れ落ちた。ゆっくりと手の中の熱を握り込むだけで、海馬の身体はピクピクと震え、口からは甘い喘ぎが漏れていく。
 ペニスを握ったまま先端にくちっ…と人差し指の爪を差し込むと、海馬はまた身体を跳ねさせて、涙で濡れた瞳でオレをじっと見詰めて首を振った。

「やっ…!それは…もう…嫌だ…っ」
「何で?気持ちいいんでしょ?」
「い…痛い…っ」
「だからさっきも言ったけど、お前は少し痛いくらいの方が気持ちいいんだってば」
「ち…違っ…!あぁっ…!」
「ほら、感じてる…」

 ぱっくり割れた先端に爪を深く食い込ませて、ぐちぐちと音を起てて刺激する。その度に海馬はビクビクと大きく身体を震わせて、畳をガリッと引っ掻いた。
 その様は至極色っぽいんだけど、口の方は余りにも「痛い」「止めろ」と騒がしい。本当は泣く程気持ちがいい癖に、困った奴だ。
 仕方が無いからペニスを弄る手を一旦止めて、溜息混じりに問い掛けてみた。

「しょうがないなぁ…。じゃあ海馬、お前に選ばせてやるから」
「っ………?」
「このまま爪でイかされるのと、舐められてイかされるの。どっちがいい?」
「は………?」
「ね、どっち?」
「お…お前…、何を言って…」
「二択だよ。ほら海馬、どっちがいい?」
「うっ………!」

 海馬の答えを促すようにペニスをギュッと強く握ると、手の中の熱がヒクヒクと震え海馬が苦しそうな声をあげる。
 ほらほら、どっちだ?お前がもう限界なのは、オレにもよーく分かっているんだからな。
 オレが答えを求めてじっと見詰めていると、海馬もオレが本気なのを感じ取ったらしい。顔を真っ赤に上気させ、ブルッと大きく身体を震わす。そして細かく痙攣する口で、辿々しく答えを導き出した。

「つ…爪は…嫌…だ…っ」

 半分泣いている声でそんな可愛い事を言われて、聞いた瞬間に全身がカーッと発熱したのを感じた。
 潤んだ目元を紅く染めて、しゃっくり上げながら告げられた言葉に、息が苦しくなる程の興奮を覚える。何て言うかもう、想像以上の破壊力だ…。
 本当は「舐めて欲しい」とちゃんと言葉で言わせたかったんだけど、これでも十分過ぎるというか、これ以上興奮させられたらオレの方が先に参ってしまいそうだった。
 恥ずかしい言葉を言わされて、羞恥心に耐えきれなかったんだろう。充血した青い瞳から涙をボロボロ零しながらオレを見ている海馬にコクリと頷いて、オレは自分の身体を下方にずらした。

「舐めてあげるから、ちゃんと足開いて…」

 小さな膝頭に掌を載せてそう言ったら、その足は自らの意志でそろりと左右に開かれた。白い足の間にそそり立つペニスが、快感の期待にフルリと震える。
 グショグショに濡れているそれを手に取って、竿の部分をキュッと握り顔を近付けた。相変わらずトロトロといやらしい粘液を零している先端をそっと舐め取ると、それだけで海馬の腰がビクリと跳ね上がる。

「あっ………!」

 張り詰めたペニスを口に含んで、さっきまで爪で弄っていた先端に舌先を潜り込ませると、海馬の腰がブルリと震えて甘い声をあげてくれる。ヒクヒク震える下腹部を見ながら丁寧に舌を這わしていたら、畳を引っ掻いていた指がオレの頭に伸びてきて、髪の毛をギュッと強く掴まれてしまった。
 ちょっ…!い、痛い…っ!止めて、マジで止めて。そんなに引っ張らないで…っ!抜けちゃうから…っ!髪抜けちゃうから…っ!!
 感じ過ぎて訳分かんなくなってるのは仕方の無い事だけどさ、髪の毛掴むのだけは本当に止めて欲しい。爺になったら禿げるのは仕方無いとしても(ほら、オレ無駄にエロイしさ)、こんな若い内から禿げたくは無い。

「海馬…。ちょっと髪…痛いんだけど…」
「くっ…。はっ…あぁっ!」

 くびれの部分を指先でグリグリと刺激し、裏筋を根本からつつーっと舐めながらそう伝えてみたら、どうやらオレの意志は伝わったらしい。髪の毛を掴んでいた指がそっと離れていき、畳の上へと戻っていった。
 再びカリカリと畳が引っ掻かれる音がするのを聞きながら、オレはもう一度手の中のペニスを口に含む。パンパンに膨らんだペニスはもう達するのは時間の問題で、射精を促すように先端に軽く歯を当てれば、それはオレの口の中であっという間に弾けてしまった。

「ひぁっ!あっ…ぁ…ん…っ!あぁっ…あ…う…ぁ…っ…あ……ぁ………」

 細く長く悲鳴を伸ばして、海馬が果てる。布団の上にぐったりと身を横たえ、達した余韻でピクピク震えるその姿はとんでも無く淫らで…そして本当に美しかった。
 口内に溜まった精液をゴクリと飲み込みながら、目の前で繰り広げられている海馬の痴態に感動した。
 ヤベーよ、これ…。マジで超興奮する。
 ドキドキしながら横たわっている海馬を眺めて…、そしてオレは大事な事に気が付いた。

「あ、しまった。失敗した」

 オレの素っ頓狂な声に、ぐったりとしていた海馬が瞳を開けて訝しげに見詰めてきた。「何…だ…?」と少し掠れた声で尋ねてくるその声に、オレは頭をガシガシ掻きながら『失敗』の内容を告げる。

「ゴメン。後ろ慣らすのにお前が出したのを使おうと思ってたんだけど…。全部飲んじゃった」

 オレのその言葉に海馬は一瞬時が止まったかのように動きを止め、やがてみるみる顔を赤くしていった。そして畳の上に落ちていた手が動いて頭上の枕を掴むと、それをオレに向けてぶん投げて来る。バフンと枕がオレの顔にクリーンヒットすると同時に「この痴れ者が!!」という怒鳴り声が聞こえてきたけど、余り気にしない事にした。
 海馬が怒りではなく羞恥でこういう行動に出ている事はよく分かっているし、それに一々こんな事を気にしていたらコイツとのセックスなんて出来やしねーからな。
 トサッと海馬の下腹部に落ちた枕を除けつつ、オレはニヤリと笑ってみせる。

「飲んじゃったものは仕方無いしさ。それじゃぁ舐めて慣らしますかね」

 オレの笑顔と言葉に海馬がヒクリと頬を引き攣らせるのを見て、ますます興奮してくるのをオレは感じていた。
 



 顔を赤くして睨んで来る海馬を無視して、オレはその細い身体を布団の上に俯せに寝かした。そして膝を立てさせて腰だけを高く上げさせる。白い双丘を両手で割って、現れたピンク色の蕾にそっと唇を近付けていった。

「じ…城之内…っ」

 戸惑ったような海馬の声が聞こえたけど、それを無視してひくつく後孔にキスをする。そしてねっとりと盛り上がった穴の縁に舌を這わせると、海馬はそれだけで甘い声を漏らし身体をビクリと震わせた。
 後孔全体に唾液を擦り付けるように舐め回して、やがて綻んできたのを見計らって体内に舌を進入させる。
 そこはもう…発熱したかのように熱く濡れていた。

「あっ…、くぁ…っ!」

 じゅくじゅくとわざと濡れた音が鳴るように舌を出し入れするたびに、海馬が布団のシーツを力強く握ってブルブルと震える。いつもだったらこんな事をしようものなら「止めろ」とか「死ね」とか罵詈雑言が飛び出してくる筈なのに、何故か今日に限って海馬は大人しかった。
 白い身体を羞恥で紅く染め、ビクビクと震えながら強く瞑った目から涙を幾筋も流している。その光景が枕元の行燈の優しい光に照らされて、余りの扇情的な姿にオレの下半身もギンギンだ。
 幸い、既に一度挿入済みのせいか、海馬の後孔はあっという間に柔らかく綻んでくれた。すんなりとオレの二本の指を受け入れて、奥を探れば熱を持った襞が柔らかく締め付けてくる。その度にオレの股間も心臓もキュッと握り潰されるような痛みを感じて、自然に息が荒くなっていった。

「今日は…随分大人しいんだな…」

 体内でグリッと指の向きを変えれば、上手い具合に海馬の前立腺を刺激したらしい。「あぁっ!」と甘い悲鳴を上げて、海馬が背を反らせてブルリと震えた。
 そのままグプグプと前立腺を撫でるように愛撫を続けていたら、緊張していた上半身をへたりと布団に落として、海馬が泣きながら「あっあっ…あんっ…」と甘く喘いだ。オレの指の動きに合わせて揺れる腰がいやらしくて堪らない。

「いつもの威勢はどうしたの?」
「うっ…!あぅ…っ」

 ググッ…と更に奥の方に指を押し込みながらそんな事を聞いたら、海馬は充血した青い瞳を開いてこちらに視線を向けた。

「もしかして…プレゼントのお礼?だから大人しく我慢してるの?」
「ち…違…う…っ」
「じゃあ何で?お前ココ舐められるの嫌いだったよな。舐めればいつも酷い文句ばっかり言ってくるのに、今日は一体どうしたの?」
「っ………!えを…が…ったら…、しいの…か…?」
「え?何て言った?」
「オ…オレ…が…っ。オレが…お前を欲し…がったら…、おかしいのか…と…言っている…っ」

 ハァハァと苦しげに息を吐き出しながら、肩越しに振り返ってそんな事を言う海馬に、オレは完全にノックアウトされた。
 身体中の血液が全て頭に昇ったような感じがする。こめかみがピクピク動く程の血流を感じ、頭の奥ではザーッという血が流れる音さえ聞こえるようだ。
 慌てて海馬の体内から指を引き抜き、未だ羽織っていた浴衣も下着も乱暴に脱ぎ捨てて、もう一度両手で双丘を割り開いた。真っ赤に充血してヒクヒク震えながらオレを誘っている後孔に、完全に勃起したペニスの先端を押し当てる。先走りの液でヌルリと滑る先端に海馬が一瞬ビクッと反応したけど、もうそれに気を遣ってあげる余裕すら無く、オレはそのまま先端を押し込んでいった。
 いつもだったら海馬の体内をゆっくり慣らしながら挿入していくんだけど、悪いけど今回は無理だ。もうこれ以上一秒だって待ちたくない。少しでも早く海馬の体内に入り込んで、熱く蕩けたその熱を直に感じたかった。

「ひっ…あっ…!あぁぁっ―――――!!」
「くっ………!!」

 グググッ…と一気に最奥まで入り込んだら、海馬が激しく痙攣して悲鳴を放つ。オレを迎え入れた海馬の体内は期待を裏切らず、熱く柔らかくそして強く、ペニスを絞るように締め付けてきた。あんまり気持ちが良くてそのまま達してしまいそうになるのを、下唇を噛んで何とか我慢する。
 襲い来る射精感と闘いながらズクズクと腰を動かしたら、海馬の背筋が大きくうねって深く息をするのが見えた。
 オレンジ色の光に照らされて蠢く筋肉を見るだけで、その色っぽさに激しく興奮する。

「あー…、もうお前…ホント凄ぇ…っ」

 熱い体内に翻弄されながら熱っぽく囁いたら、海馬が喘ぎながら首を振って泣いていた。

「やぁ…っ!あっ…あぁ…っ!」
「何が嫌…?何にも嫌じゃないだろ?」
「うっ…くぁ…!あっ…ふ…深い…っ!奥…苦し…い…っ」
「あぁそっか。お前バック苦手だったっけ」

 喘ぐ声は甘いし、前もしっかり勃起して先走りの液をポタポタと布団に零している。だから決して気持ち良く無い訳じゃ無いんだろうけど、どうやら深く入りすぎて苦しいらしい。
 せっかくの誕生日に嫌な体勢を強いるのもどうかと思って、オレは半分だけ自分のペニスを引き抜いた。そして海馬の左足を持ち上げて、一旦身体を横にさせる。

「な…何…?」

 不安がる海馬に「いいから」と宥めつつ左足の膝裏に手を入れて、長くしなやかなその足を折り曲げてオレの身体の前から引き抜いた。抜いた足をオレの右肩にかけると同時に海馬の身体も仰向けに転がして、未だ不安そうな顔をしている海馬にニヤッと笑ってみせる。

「はい、これで松葉崩しの完成です」
「は…?ま…松葉…?」
「そう、四十八手の内の一つ。このまま出し入れすると、奥の奥まで入って気持ちいいと思うよ?」
「なっ…!!や…やめ…っ!ふあぁぁっ…っ!?」

 オレの左腿の下に敷いた右足はそのままで、オレは担ぎ上げた左足だけを支えて再び腰の動きを再開させる。グリッと奥の壁に当る程深く入り込んだオレのペニスに、海馬が目を大きく見開いて身体を仰け反らせていた。
 そのままグイグイと最奥を突いていると、海馬の下腹部がブルブル震えてギューッとオレのペニスを締め付けてくる。

「あっ…と…。まだダメだってば、海馬」
「うあぁぁっ!!」

 慌てて射精しそうになっていた海馬のペニスを強く掴むと、見開いた瞳からボロボロと涙が零れ落ちていった。
 
「いやぁ…っ!じょ…の…うちぃ…っ!!」
「うん…ゴメン。だけどもうちょっと待って」
「嫌だ…っ!もう…イキたい…っ!!」
「海馬、我慢出来るだろ?」
「む、無理だ…っ!奥…深く…て…っ!あっ…あぁっ!も…ダメ…っ!!」
「仕方無いなぁ…」

 仕方無いとは言いつつも、素直に自分の限界を伝えて来た海馬に嬉しくなって、オレは思わず笑ってしまっていた。もうこれ以上意地悪するつもりは無かったので、一旦身体の動きを止める。そして未だオレの左腿に敷いたままだった海馬の右足を持ち上げて、さっきの左足と同じようにゆっくりと引き抜いてやった。持ち上げた右足を左足と共に肩に担ぎ上げれば、これでいつもの正常位の完成だ。

「ほら、これでいいだろ?」

 優しくそう囁いてやれば、海馬が濡れた瞳でオレを見上げる。オレンジ色の柔らかい光に照らされた白い顔をクシャリと歪め、震える両腕をオレに差し出してきた。身体を少し屈めてやれば、それはオレの首元に絡まっていく。
 そしてギュッと力を入れて抱き締められて、耳元で荒い吐息と共に「もっと…」と囁かれた。
 海馬にそんな風にされてしまえば、もはやオレが遠慮する理由も無い訳で…。

「海馬………っ!!」
「ひっ…!うあぁぁっ………っ!!」

 オレはそのまま身体を押し倒し、熱の籠もった海馬の体内を強く抉っていった。
 



 外は深まる秋の夜に吐く息が白くなる程寒いというのに、狭い寝室は二人分の熱が籠もってじっとりと熱いくらいだ。
 ハァハァという二人分の熱い吐息、ポタポタと流れて布団のシーツに染み込む汗、快感に耐えるオレの呻き声と、快感に翻弄される海馬の喘ぎ声。
 熱と快楽と相手に対する愛しさで頭の中は一杯で、もう気が狂いそうだった。

「あっ…!いっ…あっ…あぁんっ…!!」
「海馬…っ!海馬…っ!!」
「じょ…う…ちぃ…っ!!ひぁっ!はっ…あぁぁっ!!」

 海馬が強くオレに抱きついて、背中にガリッ…と爪を立てる。皮膚を抉られるその痛みすら、今は快感にしかならない。
 激しい動きに揺さぶられていた海馬の右足が、汗で濡れたオレの肩から滑り落ちて布団の上に落ちた。そしてそのまま無意識に膝を立てて、耐えきれぬ快感に足の指先をきゅうと丸めて布団のシーツに皺を作るのを、横目で確認する。
 余りに強くシーツを掴む足の指先が白く…そして細かく震えているのを見て、オレの興奮も最高潮に達した。ゾクゾクとした快感が下半身から湧き上がってきて、全身に広がっていく。
 海馬と繋がっている下半身が快感に重く麻痺して、もう自分の身体じゃないみたいだ。
 強く強く抱き締め合って、もう目の前に見えてきた頂点を海馬と共に越える事だけしか頭には無い。

「あぁっ!じょ…の…ちぃ…っ!!も…無…理…っ!!うっく…っ!うっ…あっ…ああぁぁぁ――――――――――っ!!」
「ふっ…!くぁ………っ!!」

 海馬がビクンッと大きく身体を震わせて、一足先にイッた。ビュクビュクとオレの下腹部に叩き付けられる生温い精液を感じながら、オレも狭くなった肉筒の最奥を一気に突く。途端に強く締め付けられる襞に限界を迎えて、そのまま海馬の体内で達してしまった。

「あ…あぁ…ぁ…ぅ…っ」

 海馬の内部に熱を放出するたびに細い身体はビクビクと震え、掠れた吐息で小さく喘ぐ。そして全ての熱を出し切ったオレがガクリとその身体にのし掛かるのと同時に、海馬も深く布団に沈み込んで大きく息を吐いていた。
 海馬の肩口に顔を埋めてゼェゼェと必死に呼吸をしていたら、背に回った手がそろりと動いてオレの頭に移動し、汗に濡れた項から後頭部の辺りを優しく撫でられた。その余りの心地良さに心からの幸せを感じて思わず泣きたくなってしまう。鼻の奥がじわっ…と熱くなって来たのを何とか我慢して、滑らかな肌に頬ずりをした。
 途端に香る海馬の身体から立ち昇る汗の匂い。それはいつも使っているバスオイルの爽やかで甘い花の香りでは無くて、心安らぐ温泉の微かなお湯の匂いだった。
 自分の身体と全く同じ匂いがする海馬に満足して、顔を上げてニッコリと微笑みかける。

「ちょっと…頑張り過ぎちゃったな。大丈夫だったか?」

 オレの質問に海馬は気恥ずかしそうに視線を彷徨わせていたけれど、微かにコクリと頷くのを見て安心した。

「ゴメン。嬉しくてつい張り切り過ぎた」
「っ………」
「どこか痛くしてない?奥とか…平気?」
「っ………!へ…平気だ…っ」
「そりゃ良かった。せっかく温泉旅館に来てるってのに、怪我なんかして帰った日にゃモクバにも叱られ…」
「そ…そんな事…今はどうだっていいだろう…っ!さっさと抜け…っ!この馬鹿!!」

 羞恥で顔を真っ赤に染めた海馬にそう怒鳴られて、オレは漸く自分がまだ海馬の体内に居座っていた事を思い出した。慌てて「ゴメン」と謝ってズルリと引き摺りだしたら、海馬が「んっ…!」と呻いてピクンと跳ねる。
 そんな事をされればまた欲情してしまいそうだったけど、残念ながら今夜はもう打ち止めだ。
 ここ一ヶ月の間、このプレゼントの為に無理して働きまくった身体はもう限界らしくて、流石のオレも今は性欲より睡眠欲を優先させなければいけないらしい。
 脇に除けておいた掛け布団を引っ張って来ると、それを裸のまま横たわっている自分と海馬の上に被せた。そして裸の身体をそっと寄り添わせ、海馬の身体に腕を回して優しく抱き締める。肩胛骨の浮き出た背中を掌で撫でながら、擦り寄る海馬の額に唇を押し当てた。

「とりあえず…今日はもう眠ろうぜ。色々あって疲れただろ」
「色々あったのは全て貴様のせいなのだが…」
「まぁ、そう言わずに。オレも眠たいし、これ以上はもう何もしないから安心して」
「………」
「おやすみ、海馬」
「………」

 海馬からの答えはすぐには返って来なかった。
 こういう何気ない一言を素直に言えないのは海馬の悪い癖だけど、それもまぁ…仕方無いかな。結果的には海馬を騙した事になっているし、さっきのセックスでもちょっと激しくし過ぎたから、それで拗ねているのかもしれない。
 それでも抱き寄せた身体が素直にくっ付いたままになっているのを感じて、心から安心すると同時に物凄く幸せだと感じた。

「好きだよ…海馬。おやすみ…」

 眠気で重くなってきた口で何とかそれだけを伝え、身体の疲れに任せてそのままウトウトと眠りに落ちようとした時だった。

「オレも…好きだ。おやすみ、城之内」

 オレの耳に至極優しい声が降りて来る。それと同時に唇に柔らかな感触を感じたけど、オレが覚醒出来ていたのはそこまでだった…。
 



 翌朝、窓の外で鳴いている鳥の声でオレは目を覚ました。
 東側の窓の障子が明るく染まっていて、丁度朝日が昇って来ている事を告げていた。枕元に置いてあった携帯を取り上げてフリップを開けてみると、もうすぐ六時になろうとしている。
 朝風呂に入るのはいい時間帯だなと思いつつ、自分の腕に抱いている海馬の顔を覗き見てみた。
 目覚めたオレがゴソゴソ動いていたのにも関わらず、海馬はぐっすりと熟睡している。いつも気難しそうな表情をしている顔は今はただあどけなく、まるで子供の様な顔をして安らかな寝息を立てていた。
 オレが携帯を弄った時に布団が捲れたせいで、肩が少しはみ出てしまっている。朝の冷たい空気が直接触れて寒かったんだろう。少し震えてゴソリとオレに擦り寄ってきた。肩口にぺったりと頬を擦り寄せ大きく息を吐くと、安心したかのようにまた寝息を立てる。
 その一連の行動の可愛さといったら…もう何物にも代え難かった!

「海馬…?」

 そっと耳元で名前を囁いてみても、海馬が起きる気配は無い。温かな熱を持ったその身体に掌をそっと這わせてみても、規則正しい呼吸を繰り返してピクリとも動かなかった。
 肩から背中へ、脇腹を通って腰へ…。尻の割れ目に指を差し入れれば、濡れた感触と共にくちゅりと粘着質な音が鳴る。
 それが昨夜海馬の体内にたっぷりと注ぎ込んだ自分の精液だという事に気付いて、ドキリと胸が高鳴った。そのまま指先で後孔をゆるりと撫でながら、もう一方の手を海馬の前面に回してそろりと下腹部に移動させる。

「勃ってる…」

 オレが後ろに触れたからか、それとも元々朝勃ちしていたかは分からないけど、そこは確かに硬く芯を持って勃ち上がっていた。
 根本からつつーっと指を這わすと、それだけでそこがフルリと震えて反応する。堪らなくなってキュッと握り込んだら、海馬が「んっ…」と微かに呻いて身動ぎした。

「可愛い…。起きないとこのまま悪戯続けちゃうぞ…」

 握り込んだペニスをゆっくり上下に擦りながら、後ろの入り口に宛てた指先を少しだけ潜り込ませる。予期せぬ異物感に身体が自然に反応して、熱い襞にキュウッと指が締め付けられた。

「うわ…。凄ぇ…」

 指先が熱くてとろけそうになるくらいの熱を感じて、それが気持ち良くて堪らない。その熱をもっと感じたくて更に奥に指を潜り込ませようとした時だった。突然ペニスを弄っている方の手を強く掴まれてハッと我に返った。慌てて海馬の顔を覗き込むと、鋭い視線で睨んでいる青い瞳とかち合ってしまう。

「貴様…っ。朝っぱらから一体何をしている…っ!!」

 ドスの効いた声に思わず頬が引き攣った。
 あー、そりゃそうですよね…。ただでさえ低血圧で朝は機嫌が悪い海馬君なのに、寝起きにこんな事されたら怒っちゃうよね…。
 冷や汗を流しながらも何とか笑顔を保ちつつ、オレは海馬の体内から指を引き抜いた。

「ゴ…ゴメン。あんまり可愛かったから…つい…ね?」
「ついでは無いわ…っ。貴様…昨夜あれだけヤッておいて、まだ足りないのか!」
「まだ足りないっつーか、オレはいつでも足りてませんけど。どんなに抱いても、オレがお前に満足するなんて無いんだからな」
「なっ…!こ…この…変態が!!偉そうに言う事か!!」
「変態とか言わないでよ。それだけお前の事を愛してるって事だろ?」
「どの口がそんな事を言うのだ!!」
「この口が言ってます。ていうか朝っぱらから喧嘩するの止めようぜ。せっかくの温泉旅館での朝だろう?」
「そのせっかくの朝を貴様が台無しにしているのだ!!」
「はいはい。どうでもいいけど起きたんなら朝風呂入りに行こうな。朝日の中の露天風呂もきっと気持ちがいいぜ」

 海馬の身体から腕を放して、オレは「よっと」とかけ声をかけながら腹筋だけで起き上がった。そしてぐぐーっと背を反らせて伸びをする。眠っている間に固まっていた筋肉が解れていくのが分かって気持ちが良かった。
 オレが立ち上がって脱ぎ捨てた浴衣を身に着けている間、海馬もモソモソと起き上がって浴衣を手に取り袖を通していた。帯を締めてゆっくり立ち上がり風呂場に向かって歩いて行く後ろを、オレも黙って付いて行く。風呂場の扉を開けて脱衣所に一緒に入り込んだ辺りで、海馬がくるりと振り返った。

「城之内…。少しの間…」
「お断りします」
「………。は…?」

 海馬が何を言い出すのかなんてとっくに分かっていたオレは、最後まで言葉を続けさせずにそれを拒否してみせた。

「中の処理するからここで待ってろって言うんだろ?嫌です。一緒に付いていきます。ていうかオレがやります。やらせて下さい」
「き…貴様…っ!突然何を言い出すのだ!」
「突然じゃねーよ。本当はいつもオレがしてやりたかったんだ。昨日は黙って待ってやったけど、もう日が変わって誕生日じゃ無いからな。もう遠慮はしないから、そのつもりで」
「ちょ、ちょっと待て…っ!城之内…!!」

 ぎゃーぎゃー騒ぐ海馬を無視して、オレは自分の浴衣をさっさと脱いでしまうと、ついでとばかりに海馬が羽織っていた浴衣も剥いでしまう。そして細い腕を掴んで、ずかずかと風呂場に入り込んでいった。内風呂の洗い場をさっさと通り抜けて、露天に繋がる扉に手を掛ける。キィ…と音を起てて扉を開くと、外から冷たい秋の早朝の空気が流れ込んできた。
 思わず「寒っ…!」と口に出しながら外を覗くと、そこには昨夜の光景とは全く別の世界が広がっていた。
 明るい朝日に照らされたどこまでも高い秋の空、澄み渡る朝の空気、色とりどりの紅葉、そんな空気の中で相変わらずたっぷりの温泉を貯えている檜の風呂桶。
 余りの景色の美しさに一瞬足が止まってしまう。

「うわ…っ!すげー綺麗だな!早く入ろうぜ」

 心から感嘆して掴んでいた腕をグイッと引っ張ると、何故か抵抗を感じた。訝しく思って振り返ったら、顔を真っ赤にしている海馬と目が合ってしまう。「何?どうした?」と問い掛けてみれば、赤い顔を俯かせて内風呂に戻ろうとしていた。

「い…いきなり露天は…その…」
「何で?朝日が昇ってて綺麗だぜ。一緒に朝風呂を楽しもうよ」
「だ…だから…っ。中を…洗いたい…のだ…っ。そ、その…、もう…垂れ…て…気持ち悪い…から…」

 最後の方は尻窄みになってよく聞こえなかったけど、ようは中を綺麗にしてから露天に行きたいらしかった。若干引き気味の腰が気になって視線を下に向ければ、白い内股にトロリとした粘液が伝わっているのが見える。
 あーうん、なるほど。言いたい事はよく分かった。
 だけどせっかくの朝日を見逃すのも嫌だったから、オレは無理矢理腕を引っ張って露天まで海馬を連れてきてしまう。

「城之内…!!」

 多分「分からないのか!」とでも言いたいのだろう。オレを非難するような目で見ている海馬に振り返って、オレはわざとニヤッと笑ってみせた。
 もう遠慮はしないって言っただろ?分かってないのはお前の方だぜ、海馬?

「とりあえず露天入って」
「な…に…?」
「オレが中で処理してあげるから」
「は………?」

 目を瞠ってオレを見詰める海馬にクスッと笑って、オレは海馬の腕を引いて共に檜の湯船へと足を突っ込んだ。
 



 一緒に檜の湯船の中に入り込んで、オレは海馬の身体を引っ繰り返して湯船の縁に手を付かせ、少し前屈みで腰だけを突き出すような格好にさせた。白い身体が朝日に染まって本当に綺麗だ。
 こんな明るい場所で、しかもいくら周りの目が無いとは言え外で全身を晒している事に、海馬は本気で恥ずかしがって震えている。その様子に、オレはまた至極興奮してしまった。

「すぐ終わるから…」

 粘液で濡れた内股に指を這わすと、海馬がビクリと身体を震わせる。それを宥めるように滑らかな背中に唇を落としながら、熱くひくつく後孔に指を差し入れた。

「あっ…ん!」

 意表を突かれた海馬の口から、思わずと言った感じで甘い声が漏れ出た。慌てて片手で自分の口を押さえる海馬を見つつ、体内に入れた指をグリッと回して中の粘液を指に絡めて抜き取る。たっぷりと指に絡みついた粘液を温泉のお湯で外に流してしまうと、もう一度指を埋め込んだ。
 なるべく奥の方まで指を押し入れて、少しずつ体内を綺麗にしていく。その度に細かく痙攣している上半身がだんだんと落ちていって、まるでそれに比例するかのようにオレに弄られているお尻が高く上がっていく。多分無意識の行動なんだろうけど、まるで昨夜の囁きのように「もっと」と言われているようで、頭に血が昇って身体が熱くなって来た。
 とは言っても、流石にもう最後までやるつもりは無い。朝日に照らされているせいで、指で弄っている海馬の秘所が赤く腫れているのがハッキリと目に見えている。指程度だったらまだしも、流石にもうオレのペニスを受け入れるのは無理だろう。
 抱いても抱いても海馬の事が足りないと感じるのは本当だけど、海馬に無理させてまで抱きたい訳じゃ無い。オレだってそれくらいの分別ってものを持っているんだ。
 だからと言って海馬のこの状態を放っておく事も出来なくて…。
 体内を弄られて感じてしまったらしい海馬のペニスは、もうすっかり硬くなって頭を擡げていた。じわりと滲む先走りの液を見て思わず可哀想になってしまい、片手を前に伸ばしてペニスに指を絡めてしまう。

「なっ…!?城之内…っ!」

 慌てた風に肩越しに振り返った海馬に微笑みかけて、オレはそろりと掌を動かした。

「んぅ…っ。や…やめろ…っ」
「いいから…。気持ちいいんだろ?一回イッちゃいな」
「やっ…嫌だ…っ。こんな…場所で…」
「大丈夫。誰も見てないし聞こえないから。それにこのままでいたって苦しいだけじゃん。さっさと出しちゃいな」
「あっ…!や…め…っ!!」

 なるべく早くイかす為に、体内に埋め込んでいる指で前立腺を刺激しつつ、ペニスを擦る掌も激しく上下させる。海馬は自らの掌を強く口に当ててくぐもった悲鳴を漏らしながら、オレの手の動きに翻弄されてブルブルと身体を震わせていた。
 昨夜と違って性急にイかされる動きに耐えきれなくなった海馬は、やがて声にならない声をあげつつオレの掌の中に射精した。ドロリと纏わり付く海馬の熱い精液。それを今までと同じようにお湯で流してしまうと、同時に体内の指を引き抜いてしまう。
 ガクガクと震える腰を綺麗にした手で支えてやりながら、ふぅ…と軽く息を吐いた。

「これで…終わりかな」

 くちっ…と濡れた音を起てながら引き抜いた指にもう何も付いていない事を見て取って、オレは今にも崩れ落ちそうだった海馬の腰を支えていた手を離し、そっと小さな頭を撫でてやった。
 その途端に海馬はガクリと膝から落ちて、バシャ…ッと温泉の中に沈んでいった。上半身を湯船の縁にダラリと預けて、真っ赤な顔でハァハァと荒く呼吸している。
 「よく頑張ったなー」と頭をグリグリ撫でていると、今にも泣きそうな顔で睨み付けて来る。だからいつ罵詈雑言が飛び出してもいいように心の準備だけはしておいたんだけど、いつまで経っても海馬の口からオレを非難する言葉は出て来なかった。その代わり、潤んだ瞳でオレの下半身へと視線を移していく。
 まぁ…あんだけの事をしていたんだから当たり前の事だとは思うけど、オレのペニスはすっかり成長してしまっていた。

「あ、これ?」

 余りにじっと見詰めてくるもんで下半身に指を指してそう聞いてやれば、海馬はコクリと頷いて答える。

「これは…まぁ…しょうがない。朝からお前の色っぽい姿見ちゃって興奮したし。ゆっくり風呂に入っていれば、その内収まるよ」

 もうこれ以上『そういう事』はしないという意味を含めてそう答えてやったら、何故か海馬は眉根を潜めてオレを見た。その如何にも「心外だ」と言わんばかりの表情に、こっちの方が首を捻る。
 いや…オレは間違ってないよな?ちゃんと海馬の事を思いやった行動をとったよな?だって流石にこれ以上の性行為は無理だろうし…海馬だって嫌なんじゃないの?
 そんな風に思ってたら、海馬が自分が寄りかかっている湯船の縁を叩いてこっちを見た。

「ここ」
「え…?」
「いいからここに寄りかかれ」

 意味が分からず、それでもギッと睨み付けて来る海馬が怖くて大人しくその場所に寄りかかったら、湯船の中に身を沈めたままの海馬が近寄って来て、細い指で徐ろにオレのペニスを掴んできた。
 思わずギョッとしてマジマジと海馬の顔を見詰めたら、赤く上気した顔で海馬がオレを見上げて「フン」と鼻を鳴らして口を開く。

「こんな状態で辛くない筈があるまい。オレだって同じ男だからそれくらいの事は理解出来る」
「か…海馬…っ!?」
「今回の礼だ。抜いてやるから大人しくしてろ」

 海馬の言う『今回』がどの『今回』なのか、血が昇りきった頭では理解できなかった。
 それは高級老舗旅館に招待した誕生日プレゼントの事なんだろうか。それとも昨夜の最高に気持ち良かったセックスの事なのか、もしかしてさっき体内を綺麗にしてやった事だったりして?…いや、それは無いか…。
 そんな事をグルグル考えていたら、両手でオレのペニスを握っていた海馬の顔が近付いてきて、小さな口を目一杯開けてオレのペニスをパックンと咥えてくれた。
 口内の熱とヌルリとした粘液に包まれて、下半身にブルリと震えが走る。
 思わず「うっ…!」と呻き声を出したら、ペニスを口に含んだまま海馬がオレを見上げて視線だけで嬉しそうに微笑んだ。
 こういう瞬間に、海馬も男なんだなーと感じるんだよな。相手に快感を与えて、それで向こうがちゃんと感じてくれているのを知ると嬉しくなる。そう感じているのがオレだけではなく海馬も同じなんだと知れば知るほど、ますますコイツの事が愛しくなっていった。

「んっ…。ん…ぅ…っ。ふぅ…っ」

 チュクチュクと卑猥な水音を起てながら必死でオレのペニスをしゃぶる海馬に嬉しさを隠しきれず、オレは朝日に照らされていつもより明るく見える栗色の頭に手を伸ばし、サラサラな髪の毛にそっと指を通した。そしてそのままゆっくりと優しく頭を撫でていく。
 たまに潤んだ青い瞳が「どうだ?」とでも言うように見上げてくるのに、安心させるように頷いてやった。

「うん…、大丈夫。気持ちいいよ…」

 眼を細めて上がる息を耐えながらそう伝えてやったら、その返答に満足したらしい海馬はまたオレのペニスへの奉仕へと戻っていった。
 口に銜えきれない根本は掌で強く握って上下させ、裏筋とくびれの部分を親指でグリグリと刺激される。鈴口に強く舌先を押し込まれて、堪らずビクリと腰が浮き上がった。海馬の唾液と先走りの液でグッショリ濡れた茎を片手でグチュグチュと擦りながら、もう片方の手はオレの内股に潜り込んで袋まで揉んできやがった。
 海馬がオレのを舐めたり擦ったりする卑猥な水音に耳まで犯されながら、一体そんなテクニックをどこで覚えたのかと、変なところで感心してしまう。強い快感に「はぁー…」と深く息を吐き出せば、その吐息でオレが感じている事を知った海馬がますます本気で挑んできた。

「んっ!ん…んふっ…!」

 先端から溢れる先走りを必死で舌で舐め取りながら、海馬がまた深くまでペニスを咥えて鼻にかかった喘ぎ声を漏らした。
 海馬にフェラをして貰うのは、別にこれが初めてという訳じゃ無い。今までも何回かやって貰った事はある。
 けれど…こんな明るい場所でして貰った事はないし、ましてやしゃぶって貰っている光景をこんなにハッキリ見た事も無い。
 朝日に照らされて、オレのペニスを咥えて恍惚とした表情を浮かべている海馬の顔がよく見えた。その表情にまたゾクリ…と、下半身から背筋を伝わって脳天まで快感が駆け上がっていく。

 ていうか…っ。オレは今までコイツにこんな顔させてしゃぶらせてたのかよ…っ!!

 今まで考えもしなかった事実に快感が最高潮に達して、急に我慢が出来なくなる。慌てて海馬の顔を掴んで離そうとしたけど間に合わなくて、海馬の口からペニスを引き抜いた瞬間にそれは暴発してしまった。

「ん………っ!!」

 白い精液が海馬の綺麗な顔にビシャリとかかるのを、オレは呆然としながら眺めていた…。
 



 オレの精液塗れになってしまった髪と顔を洗ってから出るという海馬を残して、オレは一足先に部屋に戻ってきた。
 冷蔵庫に入っていた瓶牛乳を腰に手を当てて飲んでいると、部屋の電話が鳴る音が聞こえる。慌てて受話器を取り上げたら、担当の仲居さんの声が聞こえてきた。
 『七時になりますが、朝食をお持ちして宜しいでしょうか?』という仲居さんの声に「はい、お願いします」とだけ答えて受話器を置く。
 そうか…もう七時か。一時間近く露天風呂でイチャイチャしてたんだな…。
 思い出したら急激に顔が熱くなって来た。昨日からちょっと色々ハメを外し過ぎたな…と少しだけ反省し、火照った顔を冷ます為に窓を開けて外の空気を吸い込んだ。
 山の冷たい秋の空気が肺一杯に入って来て、頭の中がスッとする。

「気持ちいいな…」

 朝の空気に映える紅葉を見ながら、そんな言葉が自然に口から漏れ出た。
 こんな満たされた気持ちになるなんて、一体いつ以来の事だろうか。
 海馬を愛して…そして海馬に愛されて、三年という年月を共に過ごしてきたけれど、オレ達はいつの間にか相手をただ純粋に『好き』だと感じる気持ちを忘れてしまっていたかのように思う。
 高校を卒業して大学に入学して、海馬は相変わらず海馬コーポレーションの社長と学生との二足草鞋だし、オレもオレでバイトに明け暮れて忙しかった。空いた時間を掻い摘むようにして海馬と会って、まるで義務のように愛の言葉を囁き合ってセックスをする日々。心から相手を愛しているのに、思うように愛せないジレンマ。
 今思うと何だか色々と履き違えていたような気がするけど、二人揃って忙しさにかまけてそれに気付けないでいた。いや…気付かないふりをしていた。
 けれど、オレは今回の旅行でその事実に気付いて、もう自分を繕うのは止めようと心に決めた。
 海馬もオレも忙しいのは、きっとこの先も変わらないだろう。それでも何一つ焦れるような事は無いんだ。思うように会えなくたって、言葉を交わす事が出来なくたって、海馬はちゃんとそこにいるんだから…。

「城之内…?何を考えている?」

 いつの間にか風呂からあがってきた海馬が背後に立って、不思議そうに首を傾げていた。
 その顔が余りに可愛くて幸せで仕方が無くて、オレは笑みを浮かべつつ海馬の腰を引き寄せた。そしてまだ温泉の保温効果でほんのり赤い頬に軽く唇を押し付ける。

「別に…何も」
「そうか?何だかニヤニヤしていたぞ」
「そうだな。強いて言えばお前の事を考えていた」
「オレの?」
「うん。オレさ、お前の事を本気で好きだなって思って」
「な…っ!な…にを…言い出すのだ…」
「照れてんの?可愛いなぁ」
「や、止めろ馬鹿…っ」
「あはは。でも好きなんだからしょうが無いだろ?」

 笑いながら風呂上がりの暖かい身体を抱き寄せたら、大人しく海馬がそのまま凭れ掛かってきた。背に回った手がオレの浴衣をキュッと掴む。

「好きだよ、海馬」
「………。あぁ」
「誕生日おめでとうな」
「あぁ」
「来年もこうやって過ごせるといいな」
「………。そうだ…な…」

 秋の冷たい空気が流れ込む中、オレ達は互いの体温を分け与えるかのようにいつまでも強く抱き締め合っていた。
 他にはもう何もいらない。海馬がいればそれでいい。
 全身で感じる海馬の熱が愛しくて、オレを抱き締めてくれる腕に力がかかるのが本当に幸せで、オレは少しだけ泣きそうになっていた。
 



 数刻後、仲居さんが純和風の朝食を持って来てテーブルに並べてくれた。
 お櫃に入った白い御飯に茸と根菜の味噌汁、焼き魚はカマスの干物、大根下ろしが添えられているだし巻き卵と温かい豆乳豆腐、青菜のおひたしにヒジキの煮付け、それに沢庵と梅干しの香の物に焼き海苔や納豆まで付いている。
 シンプルだけど物凄く食欲を誘う朝ご飯のラインナップにオレの胃袋はぐーぐー鳴りっぱなしだった。部屋の中にも味噌汁や出汁のいい匂いが充満していて、忘れていた食欲が甦ってくる。

「美味そぉー!!早く食べようぜ!!」

 いそいそと下座に座って箸を取ると、海馬も上座に移動して同じように箸を取り上げた。
 一応礼儀として二人で目を合わせてから「頂きます」とお辞儀をして、オレは早速味噌汁の椀を持ち上げてズズッ…と一口啜った。空っぽの胃の中に温かい味噌汁が落ちていく。昨晩は久しぶりにアルコールの摂取もしていたから、荒れた胃に具沢山の味噌汁が優しく染み渡っていった。
 炊きたての白い御飯も美味しくて、用意されたおかずはその御飯に対してどれもバッチリ合っている。焼きたてのカマスの干物も旨かったし、だし巻き卵も最高だ…っ!
 余りに腹が減っていた為に海馬の事も気にせずにガツガツ食べて、一杯目の茶碗を早速空にしてしまう。まだ口の中に残って居た御飯とおかずを味噌汁で胃の中に流し込んでしまって、早速二杯目を盛ろうとお櫃の方に目を向けた時だった。

「何だ?お代わりするのか?」

 丁度お櫃の蓋を開けた海馬が手を伸ばしてくるので、「あ…うん…」と頷きつつその手に茶碗を載せる。海馬は丁寧な動作でオレの茶碗に御飯を盛って、再びそれを返してくれた。それを「ありがとう」と受け取ってそのまま黙って見ていると、驚くべき光景が目の前で繰り広げられていく。
 海馬が…っ。あの海馬が…っ!

 お代わりをしている…っ!!

 余りにも意外な光景に目を離せないでいると、自分の茶碗に御飯を盛ってキチンとお櫃の蓋を閉めていた海馬が、オレの視線に気付いてこっちを見た。食事中にじっと見られる事が好きでは無い海馬は、訝しげに眉を寄せてオレに視線を寄越す。

「何だ、城之内。食事中にぶしつけに他人を見詰めるものではないぞ」
「ゴ…ゴメン…。ていうか…意外なものを見ちゃったなぁ…と思って…」
「意外?」
「うん。お前…今までお代わりなんてした事なかったじゃんか」

 オレの言葉に海馬は一瞬きょとんとし、そして左手に持っている茶碗に目を移した。その視線を再びオレに返して「あぁ…そういえば…と」と呟いた。
 いつも小食の海馬はあまり物を食べない。昨日の夕食だって全体の三分の一程度で食べるのを止めてたしな。夕食すら食べないのに朝なんかはもっと食べなくて、酷い時には珈琲一杯だけって日も少なくない。
 だからこそ、オレは今自分が見た光景が信じられなかった。

「えーと…珍しいというか…信じられないというか…」
「何をそんなに驚いているのだ。昨夜は自分で三杯飯を食えと言っていたではないか」

 海馬の言葉に「いや、そうだけどね」と頷きつつ、それでもオレは未だに目の前の光景が信じられずに目を瞠っていた。
 確かに昨日大浴場でコイツを無理矢理体重計に乗っけた時、余りの悲惨さに「明日の朝は飯三杯食え」とは言ったけどさ…。まさか本当にお代わりしてくれるとは思わなかった…。
 「お腹空いてたの?」というオレの質問に、海馬は素直にコクリと頷いて、新たに盛った御飯を箸で掬って口に運んでいた。
 多分慣れない環境と旅先での色々な出来事に、少しストレスがかかったらしい。
 ストレスとはいってもこれは悪い意味ではなくて、どちらかと言うと普段の凝り固まった生活を一旦リセットするという意味での良いストレスだ。現に普段の朝だったら全く湧かない食欲を感じて、海馬はいつも以上にしっかりと食事を摂っている。
 御飯や味噌汁や様々なおかずを美味しそうに食べている海馬を見て、オレは至極満足していた。
 やっぱり海馬をここに連れてきて良かったと…心底そう思いつつ笑みを浮かべる。

「何だ?食事中にニヤつくな」

 沢庵をパリッと囓った海馬がオレの笑顔に気付いて不機嫌そうにそう言ってきたけど、本当に機嫌が悪い訳でもなさそうだから「ゴメン」と一言謝って、自分も目の前のおひたしに箸を伸ばした。
 あとは会話も無くお互いに黙々と食事を続ける。至極静かな朝食だったけど、そんな時間もまた幸せだと感じたんだ。
 



 朝食を済ませた後は身支度を整え、あとは帰る準備をするだけになった。
 計画的に海馬を呼び寄せたオレは、勿論自分の分だけじゃなくて海馬の着替えも用意してある。せっかく温泉でゆっくりしたというのにスーツで帰らせるなんて野暮な真似は出来なくて、海馬がいつも邸で寛いでいる普段着を持って来ていた。
 「ほら、これに着替えて」と差し出すと、海馬もオレの意図を組んだのか、黙って私服に着替えてくれる。

「チェックアウトは十時だから、それまで珈琲でも飲んでようか」

 荷物を全部纏めて旅行鞄のファスナーを締めながらそう話しかけたら、海馬が「珈琲?」と少し嬉しそうな顔をして食いついてきた。
 ったく、コイツは…。本当に珈琲が好きなんだなぁ。分かりやす過ぎだ。

「本館の中庭が見えるところに、午前中だけやってる喫茶店があるんだって。美味しい珈琲煎れてくれるらしいから、そこ行って少し休もう」
「ふむ…いいな。お茶だけでは少し物足りなかったところだ」
「そう言うと思ってた。あとついでだから、本館の売店行ってお土産買おうぜ。モクバと磯野さんの分」
「お土産…?モクバは分かるが、何故磯野の分まで?」
「お前は関係無いかもしれないけど、オレには関係あるの。計画に協力してくれたんだから」
「………。三人揃ってオレを騙しおって…」
「もう怒らないで機嫌直してよ。モクバも磯野さんも十時のチェックアウトに間に合うように迎えに来るって言ってるし。その後皆で少し観光とかしような。で、お昼を食べたら帰ろうぜ。オレ達の童実野町に」
「ふん…。まぁ…いいだろう」
「じゃ、行こうか」

 旅行鞄を手に持って、海馬の背を押して部屋を後にした。玄関から外に出て一度だけ振り返る。
 オレ達に夢のような時間をくれた特別な離れ。ちょっと値段がお高くて財布の中は空っぽになっちまったけど、それに見合う…いやそれ以上の幸せをくれた離れだった。
 ついさっきまではまるで自分達の家のようにのんびり寛げていたというのに、また明日からはオレ達の知らないどこか別の誰かが利用するなんて…想像出来なかった。
 ここに連れて来られたばかりの海馬が苛つきに任せて掌で叩き、その後は夕食や朝食を摂ったあのテーブルも。リラックスした海馬と共にニュースや深夜番組を見ていたあのテレビも。夜は二人で月を眺め、朝は朝日を浴びて海馬の白い身体を輝かせたあの檜の露天風呂も。そして濃密な空気の中で熱く抱き合って、共に幸せな朝を迎えたあの寝室も。
 明日にはオレ達じゃなく他の誰かが使うんだ…。
 その事実に、ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ寂しさを覚えた。

「城之内?」

 数歩先を行っていた海馬に心配そうに呼びかけられて、オレは慌てて「今行く」と行って歩き出す。
 何となくサヨナラを言いたくなかった。だから「また来るから」なんてちょっと格好いい事を心の中で呟きつつ、あとはもう振り返らずに海馬と共に本館へと向かっていく。
 海馬と共にまたここに来られる確証なんて何一つ無い癖に、何だかそう言いたかったんだ。



 本館の売店で温泉饅頭と名物の最中とサブレを購入して、オレ達は中庭が見渡せる喫茶店に腰を落ち着かせていた。
 晴れ渡った秋空に鮮やかな紅葉が美しい。ただこの場所からじゃ、昨夜散歩の途中に愛し合ったあの場所は見えなかった。本当に絶妙な場所でしてたんだなって思ったら、何だか可笑しくなって吹き出してしまう。
 オレがクスクス笑い出したというのに、海馬は何も言わなかった。ただ眉間の皺を深くして、無骨な焼き物のカップに入った珈琲を黙って啜っている。
 多分オレが考えている事を見抜いたんだろうなって思ったら、また可笑しくなって笑ってしまった。

「いい加減にしろ。みっともないぞ」

 カチャリとカップをソーサーに置きながら、海馬が不機嫌そうな顔でオレを諫めた。
 怒っている風に見せているけど、頬が赤く染まっているから迫力なんて全く無い。
 まぁ…見た目程機嫌は悪くないんだろう。この珈琲も如何にも海馬が好きそうな味の濃さで、凄く美味しかった。

「珈琲、美味いな」

 海馬の機嫌をこれ以上損なわないように、『そっち』方面を意識しないで別の話題で話しかける事にする。
 オレの意図が伝わったのかどうかは分からないけど、海馬は至極満足そうに「ふぅん」と呟いた。

「さすがは老舗旅館というところだな。和食だけでなく珈琲もこれだけ美味いとは…感心したぞ」
「そりゃ良かった。オレも無理してお前をここに連れてきたかいがあったって事だな」
「勘違いするなよ、城之内。オレが感心しているのはこの旅館であって、お前自身では無い。このプレゼントを選んだセンスは認めてやってもいいが、その前段階が頂けない」
「あぁ、一ヶ月間無理して働いて、お前を完全無視してた事ね…。よく考えたら確かにアレは無いな。悪かったよ。もうしないから」
「分かればもう良い。次からはもっと計画的に動くんだな」
「………。え?何が…?」
「何だ。分からんのか?」
「へ?は?何…?」
「来年もここでいいと言っているのだ」

 ニヤッと笑ってそう告げた海馬に、オレは二の句が継げなかった。完全に驚いてしまって、だけど次の瞬間に天にも昇りそうな程の嬉しさを感じる。
 だって、海馬のその言葉は今回の出来事全てを認めてくれた証拠だから。
 オレの計画を、オレの努力を、オレのプレゼントを、海馬は全て認めてくれたんだ…っ!!
 海馬の為にオレが用意した全てを認めて貰えて、心底嬉しくて仕方が無い。

「海馬…っ!サンキューな…っ!オレ、来年も頑張るから…っ!!」

 感動の余り思わず素直にそう伝えたら、海馬は「礼を言うのはこちらの方だろう?変な奴だな。まぁ…せいぜい頑張って金を稼ぐがいい」と言って、眼を細めて幸せそうに笑っていた。


 窓の外は美しい秋景色だ。どこまでも澄み切った高い青空と、鮮やかな紅葉と、眩しい程の陽の光。
 来年もこの景色を海馬と見られる事を願って、オレはカップの底に残っていた珈琲を飲み干した。

 とりあえず次回は、夏くらいから計画立てとけば…大丈夫だよな?

他人事では無かった

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秋は深まって参りましたが懐はいつでも真冬な二礼です、こんばんは。

どんなに懐が寒くても、借金だけは致しません。
先日、相棒のお母さんのところに変な電話がかかって来たそうです。
曰くアンタの息子が借金をしてて、その金を返してくれなくて困っていると…。
「息子を出せぇーーーーっ!!」と怒鳴る893にすっかりビビり信じてしまったお義母様。
借金なんてするなんて…! と怒り心頭でウチに電話をかけてきました…。
電話口で「qあwせdrftgyふじこlp;@!!」とお怒りになるお義母様に、こちらも一体何の事やらと首を捻る始末。
何とか落ち着かせてよーく話を聞いてみれば、まぁ…上記のような事だったと。
「お義母さん、それ詐欺です。ウチは借金なんてしてません」と何とか宥めたものの、嫁の話では完全に信用出来なかったご様子。
その後、相棒の会社に直接電話をかけたり、義妹に相談したりと、ちょっとした騒ぎになってしまいました…。
幸いまだお金は振り込んでおらず事無きを得たのですが、やっぱりこういう電話口の詐欺って怖いですよねぇ…;
お義母様はとても気の弱い方なので、よく考えれば分かるような事でも、あんな風に乱暴に怒鳴られて冷静な判断を失ってしまったみたいなのです。
これが詐欺の怖いところ。
普段「そんなものには引っかからない」と思い込んでいても、いざ自分が当事者になると慌てふためいてしまうんですよね。
こういう時に如何に落ち着いて物事を考えられるかっていうのが、一番大事な事なんだなぁ~と改めて思いました。
そうね…、とりあえずは…。
非通知電話を取らない事から教えた方が良さそうです…(´―`;


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯3』をUPして貰いました。
日が変わってもUPされないので、どうした事かと心配していたら…。
案の定お疲れでダウンしていたみたいです。
こういう時に自分で更新出来ないというのは、心苦しいものがありますよね。
迷惑かけっぱなしで、本当に申し訳無いです;

あとですね…。
今回散さんとの合同作品って事で、なるべくウチの乙女海馬を表に出さないように頑張っていたのですよ。
散さんところの海馬は、とにかくクールで格好良い人ですから!!
ですから私も、なるべく格好良い海馬を心がけて書いていたのです。
いたのですが…やっぱりダメでしたねぇ…(´∀`;
スイマセン…乙女海馬…やっぱり出て来ました…orz
お前…何で出て来たんだよ…;
2ターン目までは上手い具合に引っ込んでいたじゃないか…;
どこですり替わったんだよ~!! うわ~ん!! 散さんの海馬を返せぇ~!!ヽ(`д´)ノ
………と反省しつつ、続きを書いている日々でございます…。
ホント…マジでスンマセンでした…;


以下は拍手のお返事になりますです~(・∀・)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(*'-')

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます~!
うはは…;
やっぱりと言うか何て言うか、出て来ちゃいましたねぇ…乙女海馬。
何とか散さんのところの格好良い海馬に合わせて書こうと努力していたのですが、いつの間にかすり替わってしまったようです…;
2ターン目を書き終わった辺りまでは姿を隠していたのですっかり安心していたのですが、我慢出来なくて出て来ちゃったみたいですね。
何だかんだ頑張っても、やっぱりウチの海馬は乙女なんですね~;
もうホント、ガッカリですw
でもこうなったからには開き直って、乙女海馬全開でのラブラブエロを書こうと思っています。
やりたい事はまだまだ一杯あるので、頑張っていきますよ~(´∀`)

日記の方の感想もどうもでした~!
確かに看病系城海は私のやりたいネタの内の一つですが、今はまだ他にやらなくちゃいけない事が一杯あるので、とりあえずはお蔵入りですw
先日の日記で言いました通り、瀬人誕企画の方もかなり長くなりそうですし、例のエログロスプラッタ系城海の方も、プロットを作っているだけでもとんでも無い長さになっているんですよ。
長い物語を少しずつ消化していくのは大好きな作業の一つではありますが、あんまり長いと気が急いでしまうのもまた事実でして…w
難しい問題ですねぇ…w
とりあえずはあんまり焦らないで、落ち着いてゆっくり作業していきたいと思います(´―`)

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

支えて支えられて

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秋は深まって参りましたが脳内はいつでも春な二礼です、こんばんは。

先日ボクシング妄想をぶちかましましたが、あんな感じのシリアス風味でラブラブな雰囲気の城海が大好きです。
どちらか片方がもう片方の人物を支えているというシチュエーションが好みなもので、ついついあんな妄想になってしまいましたw
同じ立場で共に高みを目指すという物語も素敵ですが、違う立場で共に高みを目指すっていうのも、またオツなものなんですよね~(´∀`)
でも後で読み返してみたら、あのボクシング話の城海は恋人では無くてただの親友同士ですよね…w
いや、大丈夫! きっと付合ってる!!
肉体的な繋がりより、精神的な繋がりの方が深いだけなんだ!! …と力説してみる罠。
あとあの妄想で、網膜剥離により選手生命を絶たれたのが城之内では無くて海馬だったのは、ただ単純に二礼自身が『城之内を支える海馬』という構図に弱いからというだけの事でしたw
でも実際のところ、海馬は選手として頑張るよりマネージャーとしての裏方作業に徹する方が力量が発揮出来ると思うのですが…どんなもんでしょう?
記録付けたりデータをはじき出したりするのとか、好きそうだもんなぁ…w
脳内で描いた紺のジャージ姿も結構似合っていて、一人で萌え萌えですよw
こういうのって文字だけだと上手く伝えられないんですよねぇ…。
絵心が無いって…悔しい…っ!!ビクンビクン。


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯2』をUPして貰いました。
えーと…、先に言っておきます。
この最終章、多分ものすごーく長くなると思います…w
散さんのターンで萌えに萌えまくってしまったので、その間に蓄積した妄想が半端無い量になってしまったんですよ…w
自分のターンが来るまでの間にアレもコレも入れようとメモ書きしていたら、高級フランス料理もビックリなくらいのフルコースっぷりに…;
つー訳で暫く終わりそうにありません。
気長に読んで下さいませ…(´∀`;


以下は拍手のお返事でございまっす!(´―`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

瀬人誕企画と日記の感想をありがとうございます~!
大人な城海を書きたくて、最初にこの企画を立ち上げた時に「二十歳の誕生日にしよう」と散さんと決めたんですよ。
基本的な性格は何一つ変わっていませんが、読んで下さる方達に、城之内が時々見せる大人としての成長具合に「お?」と感じて頂きたかったんです。
Rosebank様のコメントを読んでそれが上手く伝わっている事を知り、とても嬉しく思いました(´―`)
でも、いくら大人になったからといってもあの城之内ですからねぇ…w
しかもこの先はずっと私のターンなので、どうなるかは…分かりませんなw

海馬が思った以上にリラックスしている様子も感じ取って頂けたようで安心しました。
温泉旅館という非日常の空間で、普段は見られない海馬の様子を描くというのも、この企画の目的の一つだったような気がします。
最初に企画を打ち出したのがかなり前の事なので、もうあまりよく覚えていないんですけど…w
でも座布団に座ってテーブルに肘を突き、テレビを見ながらダラダラしている海馬も、それはそれで萌えますよね~(*´∀`*)
やっぱり温泉って…いいものですなぁ…。

あと日記の事ですが、網膜剥離はキツ過ぎましたか?
網膜剥離したと言っていますが、別に海馬は失明した訳では無いんです。
発見が早ければ手術で元通りに治りますからね。日常生活上は何の不自由も無いんですよ。
ただボクシング選手って殴られるのが仕事じゃないですか。
いくら元通りに治ったとは言っても、何度も何度も同じ事を繰り返せば、その内本当に失明してしまうような事になってしまいます。
特に網膜剥離は繰り返せば繰り返すほど、癖になっていきますからね。
だからプロのボクシング選手は一回網膜剥離をやってしまうと、自分の眼を守る為にそのまま引退しなければならないんですよ。
………という基礎知識の元、考え出した妄想だった訳です(*'-')

確かに完璧な海馬が事故や病気で不自由な身体になるのは辛いとは思いますが、海馬もまた普通の人間ですからねぇ…。
長く生きていればそういう場面に遭遇する事もあるかもしれません。
そういう時に問題になってくるのはそこで落ち込む事ではなく、ここから先をどう生きるか…という事なんだと思うんですよ。
海馬は精神的に凄く強い人間ですからね。自分が怪我の一つや二つしても落ち込む事無く、ただ真っ直ぐに前を向いて生きて行くのではないでしょうか。
そういう強い海馬と、そしてそんな海馬の側にいる城之内というのも、また二礼が描いてみたいと思っているネタの内の一つなのです。
とりあえず瀬人誕企画と、次のエログロスプラッタ系城海が待っているので、書く予定には入っていませんけどねw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

ボクシングで妄想万歳

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妄想が爆発した二礼です、こんばんは。

今朝、変な夢を見ました。
城之内がプロボクサーになってて、海馬がその専属マネージャーになっている夢でした。
多分寝る前に『はじめの一歩』のサイト巡りをしていたせいだと思いますが…w(一郎可愛いよ一郎)
夢の内容はそんなに凝ったものではなくて、リング上で城之内が試合をしているのを、上下紺のジャージに身を包んだ海馬がそれを見守りながら、手に持ったファイルに何か記している…という感じでした。
二礼が見た夢はここまでだったのですが、こんな夢を見てしまえば妄想してしまうのが腐女子というものです。
という訳で、以下妄想。


童実野高校のボクシング部に所属している城之内と海馬。(階級は違います。多分身体の大きさから、海馬の方が一段階重い階級にいるんじゃないでしょうか)
二人揃ってその実力は折り紙付きで、アマチュアボクシング界においては共に名を馳せるくらいの有名人でありましたが、何せ性格が正反対の上に当然の如く気が合わないので、毎日のように喧嘩ばかりする日々が続いていました。
ある日ついに収拾不可能な程の大喧嘩をした二人は、他の部員達が見守る中、部室のリングにて決着を付けようとします。(階級違うのにw)
暫くガチンコの撃ち合いを続けていたのですが、たまたまそこを通りかかった遊戯に「止めてよ、二人共!!」と駆け寄られて、二人揃ってそれまで持続していた集中力が切れてしまいます。
この結果、城之内は目測を外して海馬の側頭部に思いっきりストレートをぶち込み、同じく一瞬遊戯の方を見てしまった海馬は反応が遅れてそれを避けきれず、城之内のパンチをまともに貰ってしまいます。
脳震盪を起こした海馬が倒れ込んで試合は中断。
その後、顧問の教師にたっぷりと叱られる二人でしたが、それどころでは無い大変な状況が海馬の身の上に起きていました。
試合の直後から自分の眼に異常が起きている事を悟った海馬は、直ぐさま病院へ向かいます。
そして診察した医師から、左目の『網膜剥離』を告げられるのでした。
処置が早かった為失明は免れたものの、コレが原因で海馬はボクシングを辞めざるを得なくなり、城之内は海馬の選手生命を奪った自分の愚かさを激しく後悔する事になります。
それでもそこで自分がボクシングを辞める事は、それまでボクシングを続けてきた自分に対しても、そしてそんな自分と『ライバル』でいてくれた海馬にとっても失礼だと気付き、城之内はプロを目指す事を決意します。
そして海馬は本気でプロを目指す城之内を影から支える為に、彼の専属マネージャーになるのでした。


以上妄想終わり。
まず海馬とボクシングを結びつける辺りでツッコミ処満載ですが(城之内は似合いそうだよね)、マネージャーになった海馬は色々と凄そうなのでこれも有りかもと思ってしまいました。
試合前に城之内の減量メニューを作成して徹底させる海馬とか、練習後とかに筋肉マッサージしてくれる海馬とか、河原をジョギングする城之内に自転車で付き添う海馬とか、考えたらちょっと萌えません?w
筋肉マッサージとか絶対手加減無しなんですよ、きっと!
城之内が「いててててっ!! ギブ!! 海馬!! ギブギブ!!」と叫んで暴れても、それをガッチリ抑えて無理矢理筋肉を解してくれるんです。
普段の練習メニューも勿論海馬が計画的に組んだもので、ストップウォッチ片手に容赦の無い鬼コーチっぷりを披露してくれるんじゃないでしょうか。(ただのマネージャーなのにwww)
試合前の減量に苦しんで「無理だよ。もうこれ以上1gだって落ちねーよ…」と弱音を吐く城之内に、「そんだけの口がきけるなら、あと500gは余裕だな」とか平然と言い放ったりとかね(´∀`)
あ、ちょっと萌えてきた…w ただの妄想なのにwww
でもこんな話は書きません。
だってボクシング詳しく無いですからね(*'-')


瀬人誕2009企画にてAct4『愛の楽園で祝福を♯1』をUPして貰いました。
何とか…前回の散さんの分から繋げる事に成功致しました…が、やっぱりちょっと苦しい罠w
うんまぁ…仕方が無い。
私 の 実 力 で は こ れ が 精 一 杯 で す !!
もう…無理w 無理ですw
今も続きを書いているのですが、キャラクターは勝手に暴走し、せっかく散さんのターンで格好良かった海馬は乙女化し…で散々ですたいwww
早くエロまで辿り着きたい今日この頃です…。


以下は拍手のお返事になりま~す!(´―`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(*'-')

瀬人誕企画の感想をありがとうございます~!
あははw 確かにあの後は結構凄い事になっちゃってるとは思いますが、それなりにちゃんと拭いといたんで大丈夫じゃないですかね?
ていうかですね…。
あのゴム無しエロを書かれたのは散さんなので、それを私に言われてもどうしようも無いのです…w
という訳で、説教は散さんところの城之内へどうぞwww

あとデリカシーの問題ですが、確かに城之内はそういうものとは縁遠そうですよね~。
多分ちゃんと恥ずかしいという事を伝えても、どうして恥ずかしいのかさえ余り理解出来なさそうですw
他のサイトの城之内がどう思っているのかは分かりませんが、少なくてもウチの城之内は「もっと恥ずかしい事一杯してんじゃん。恋人なのに恥ずかしがるとか…意味分かんね。ていうか恥ずかしがる必要無くね?」みたいな事を思っています。
こういう部分が海馬にとってはイラッと来るのでしょうが、そこは性格の違いだと思って諦めるしかないでしょうね(´∀`;
でも城之内のこの考えは、自分と海馬が恋人同士であるというのが前提の上での考え方なのですよ。
もし二人の関係が恋人同士でも何でもなくて、例えばただのセックスフレンドだった場合。
海馬が体内の処理を見られる事を恥じらっても、城之内はそれを全く疑問には思わないんじゃないでしょうか。
例えどんなに身体を繋げていても精神的な繋がりが全く無い為、『他人』には見られたく無い行為があるという事を、この場合の城之内はちゃんと理解しているんだと思います。
だけどそれが『他人』から『恋人』になった時、城之内の中ではその垣根は綺麗さっぱりと取り払われ、『他人』には見せられなくても『恋人』なら大丈夫という風に変換されちゃうんじゃないかと…そう思うんですよ。
少なくても私の中ではねw

という訳でウチの城之内は、海馬に対してはデリカシー0なんですw
対にょた海馬の時に限っては少し発動するっぽいですが、それ以外は多分無理でしょうねぇ…。
これはもう「ココの城之内はこういう奴なんだ」と諦めて貰うしか無いですね…(´―`;

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

温泉4

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「っ…ぁ……!」

 息を詰めて達し、脱力した細い身体をオレは強く抱き留めた。首筋も背中も汗びっしょりで、オレに全体重をかけたままハァハァと荒い呼吸が止まらない。「大丈夫か…?」と声をかければ、微かに頷く気配がして安心した。
 そのまま二人して抱き合って息を整えていると、そこに冷たい秋風が吹いてきた。火照った身体には丁度良い冷たさだけど、このままここにいればあっという間に身体が冷えてしまう。温泉に来て風邪引いて帰ったとか洒落にならねーとか思いつつ、慌てて海馬の肌蹴けた浴衣を直してやった。
 ていうか…海馬のこの惨状をどうするべきか…。
 前はコイツが放ったもので、後ろはオレの放ったものでドロドロだ。とりあえず身を引いて海馬の体内から自らのモノを引き摺り出すと、案の定、そこからドロリとした粘液が零れ出てくる。
 残念ながらタオルとかハンカチとかそういう便利な物は持って来て無かったので、浴衣の裾でおざなりに拭っておいた。
 あ、結構濡れちゃった。これは…もう着れないなぁ…。後で換えの浴衣を持って来て貰おう。
 とりあえずぐったりしたままの海馬をオレの上から降ろして脇に座らせる。次に未だ怠さを訴える腰を叩いて立ち上がると、オレは地面に脱ぎ捨てられていた下駄を手に取って揃えて置いてやった。

「ほら、下駄履いて。とりあえず離れに戻ろう。このままここにいたら風邪ひいちまう」
「………」

 オレの言葉に海馬の答えは無いが、どうやら答えないのではなく答えられないらしい。未だ赤味を差したままの顔でコクリと頷くと、震える足でゆっくりと下駄を履いていた。そしてそのまま立ち上がろうとして…ぐらりと蹌踉めいてしまう。慌てて海馬の身体を抱き寄せたら、まるで甘えるように寄りかかってきた。支えている腰がガクガクしている。
 うーん…。ちょっと無理させ過ぎたか…?

「おい…、マジで大丈夫か?」
「………。だ…だいじょ…ぶ…だ…」
「そんな事言っても、足も腰もガクガクじゃん」
「う…煩い…っ。貴様が仕掛けた癖に…っ」
「うん、そう。オレのせいだ。だから心配してんじゃん。離れまで歩ける?」
「余計な世話だ…っ」

 余計な世話だと言う割には自力で立てないらしく、海馬はオレの腕を掴んで離さなかった。仕方無く…というよりはむしろラッキーと思いつつ、海馬の腰を支えつつゆっくりと離れへと歩いて行く。
 こんな風にヨレヨレになった海馬に頼られると何となく嬉しいというか…やっぱり守ってやりたいって思うんだよな。普段が守る必要が全く無いヤツだから、余計そう思うのかもしれない。まぁ、ヨレヨレにしたのは誰でもない、このオレなんだけど。
 あんまり嬉しくてニヤニヤしていたら、いつの間にかその顔を海馬にじっと見られていた。心なしか睨んで来ているような気はしたけど、今は幸せ一杯だから敢えて気付かないふりをする。試しに「何?」って聞いてやったら、海馬も「別に」と言って自ら視線を外していた。

「身体冷えてきたから、離れに着いたら風呂に入ろうな。さっきも言ったけど、離れにも個別の露天風呂が付いてるからさ」
「………」
「何?どうしたの?そんな難しい顔して」
「何が露天風呂だ。どうせ貴様も入ってくるのだろう?」
「うん、入るよ。当然じゃん」
「っ………!」
「ちょっと…何でそんな嫌そうな顔してんのよ。あ、あれか!風呂でオレが何かしてくるのを心配してるとか?」
「良く分かっているではないか」
「大丈夫大丈夫、風呂では何もしないよ。一緒に仲良く温泉に浸かるだけだって」
「………。信用出来んな…」
「本当だってば。約束するから安心して」

 そんな事を話している間にオレ達が泊まっている離れへと着く。
 ガラスの扉を開けて玄関に入り込み、部屋には行かずそのまま風呂場に直行した。汗が冷えて大分身体が冷えていたので、早く風呂に入ろうと脱衣所で一緒に浴衣を脱ごうとしたその時。海馬の手がオレの手を掴んで止めた。

「ん?何?」
「五分…、いや十分待て。先に入って身体を洗うから…」
「………。あぁ、なるほどね」

 海馬の言う身体を洗うって言うのは、ようは体内の処理をするって事だ。
 海馬は自分で処理をしている場面をオレに見られるのを極端に嫌う。オレ的には別に見ていても構わない…っていうか見ていたいんだけど、それを言うと泣く程怒るから敢えて言わない事にしている。
 つーか、そんなに怒る事かねぇ?入り口どころか、中身までバッチリ見られてるっていうのにさ。ホント今更だよなぁ。
 そう思いながらも仕方無く頷いて、海馬が浴室に入っていくのを黙って見送った。やがて内風呂の方からお湯を被る音が聞こえてくる。
 どうせこの後風呂に入るから部屋に戻るのも面倒臭いと、オレは脱衣所に備え付けられていた椅子に座ってずっとバシャバシャとお湯が流れる音を聞いていた。結構待ったからそろそろ大丈夫かと思って、オレもさっさと浴衣を脱ぐと内風呂に続く扉を開け放つ。
 ズカズカと入り込むと、身体中泡だらけにした海馬が驚いた表情でオレの事を見詰めていた。

「なっ…。き、貴様!十分待てと言っただろう!」
「十分かどうか分からないけど、結構待ったぜ。いいじゃん。どうせ中の処理は終わって、今身体洗ってただけなんだろ」

 未だ文句を言いそうな海馬を無視して隣に腰を下ろし、オレも桶にお湯を汲んで肩から浴び始める。身体はさっきの大浴場でしっかりと洗っていたから、ざっと流すだけにする事にした。
 ちらりと隣を見ると、神経質そうにスポンジを身体に滑らせている海馬の姿が目に入ってくる。
 ったく…。普段はおざなりにしか洗わない癖に、セックスの後だけはしっかりと身体を洗うんだからなぁ…コイツは。何か如何にも「意にそぐわない事をされました」って言われているみたいで、微妙にショックを受ける。
 勿論海馬がそんなつもりでいる訳じゃないって事は分かってる。でもさぁ…、せっかくオレが付けた匂いや痕跡を、まるで親の敵みたいにガシガシ洗われたりするとさ、そんなに嫌だったのかって思いたくもなるよな。海馬としてはただ汗とか唾液とか精液なんかの汚れが嫌なだけなんだろうけど。

「はぁ………」

 暖かいお湯を被りながら深く溜息を吐いたら、同じようにお湯を被って身体の泡を流していた海馬と目が合った。

「何だ?」
「何が」
「今溜息を吐いただろう」
「あぁ、コレは気にしなくていいよ」
「そう言われると余計に気になるのだが」
「別に大した事じゃ無いから。ただちょっと…世の無常を感じちゃっただけ」
「はぁ………?」

 全く意味が分からないらしい海馬は、オレの言葉に不思議そうな顔をしてちょこんと首を斜めに傾げた。その動作が凄く可愛らしくて、単純なオレの脳みそは即座に欝から躁へとスイッチを切り替える。
 うっ…!この罪作りな男め…っ!とそんな事を思いつつ、オレは何でも無いような顔をして立ち上がった。
 結局海馬には勝てないんだよなぁ…。ま、そんな事分かってて恋人やってんだけどさ。
 



 内風呂で身体を綺麗にして露天風呂へと続く扉を開くと、目の前に現れたのは立派な檜の浴槽だった。
 外から見られないように木の板で囲いがしてあって、周りの木々が美しく紅葉している様は下からのライトアップで美しく映えている。
 全風呂掛け流しの温泉の為、勿論離れの個人風呂も掛け流しだ。こんこんとお湯が溢れている浴槽に手を入れてみると、少し熱めの温度が指先から伝わってくる。心なしか先程の大浴場よりお湯の温度が高いような気がする…と思って、背後にいる海馬を振り返った。

「何かあっちの風呂より熱いような気がするんだけど」

 腕を肘まで入れてお湯を掻き回しながらそう言ったら、海馬が「ふむ」と言って同じように湯の中に手を差し入れた。そして合点がいったように軽く頷く。

「なるほど。源泉の温度は変わらないからな。大浴場よりこちらの風呂桶の方が小さいだろう? その分湯温が下がりにくいんだ。まぁこの程度だったら入っていればすぐに慣れる」

 そう言って海馬はさっさと足を突っ込んで、その場にゆっくりと身を沈め始めた。海馬の体積の分のお湯が檜の風呂桶から盛大に流れ出す。
 ある程度まで入り込んで深く息を吐き出した海馬を見て、オレも風呂桶の中に片足を突っ込んだ。やっぱり先程の大浴場より大分熱く感じて、時間をかけてじっくりと身体を湯温に慣らしていく。

「あちち…。お前よくこんな熱い風呂に肩まで入っていられるな…」
「別に。慣れれば大した事は無い」
「意外だなー。お前は絶対温い風呂の方が好きなんだとばっかり思ってた。普段だってシャワーだけで済ませたりしてるしさ」
「疲れが溜まった時は、よくこうして熱い風呂に入ったりしてるぞ。お前が知らないだけだ」

 檜の風呂桶に半分寄りかかって、海馬は実に気持ち良さそうに溜息を吐いた。そうこうしている内にオレ自身も大分湯温に慣れてきて、上半身までしっかり温泉に浸かる事に成功する。ザバリと再び大量の湯が風呂桶から零れ落ちた。と、その時…。

「っ…!いって…っ」

 湯に浸かった途端に、鎖骨の辺りに鋭い痛みを感じて飛び上がった。熱いお湯がじわりと浸みるようなそんな痛みに慌てて視線を下に向けると、そこに見事な歯形があるのに気付く。
 こ、これは…、さっき外でヤッた時の…。

「痛いなぁ…コレ。超浸みるんですけど…」
「煩いわ。自業自得だな」

 恨みがましく視線を向けても海馬は素知らぬふりで温泉に浸かり、こちらを見ようともしない。まぁあんな場所で無理させちゃったのは間違い無くオレのせいなので、ここは大人しくお湯に浸かる事にする。
 今度はいきなり身体を沈めないで、なるべくゆっくりと肩までお湯の中に入り込んだ。胸元の傷は相変わらず痛みを訴えるけど、さっきよりは酷く無い。最初は熱いだけだったお湯も、長く浸かっていればだんだんと身体に馴染んできた。
 うん、確かに慣れれば大した事ないな。外気温が冷たいから意外と長湯出来そうだ。
 そう思いつつ空を見上げたら、そこには白く清らかな美しい月が輝いていた。空気の澄んだ秋の夜空に輝く月は本当に綺麗だって思う。月って何か海馬に似てるしな。あの白さとか、一瞬冷たく見えるところとかさ。
 でも実は月光がとても優しい事をオレは知っている。太陽みたいに直接的で攻撃的なギラギラした光じゃなくて、もっと間接的で優しい癒しの光ってヤツだ。
 海馬が放つ光は一見すると太陽の光に見える。直接的で攻撃的でギラギラしていているから。でもそれは海馬が放つ本当の光じゃないって事を、オレはコイツと付合って初めて知った。
 太陽の光はタダの虚構。がむしゃらに直進する海馬の姿勢に隠されて見えない本来の光は、優しく辺りを包み込むような柔らかい月光だ。海馬が心から気を許した人間にしか差し込まないその光は、いつしかオレの全身を照らしていた。
 だからオレは愛した。オレを愛してくれるその光を、心から愛しいと思ってより愛した。

「海馬。ちょっとこっちに来てよ」

 風呂桶に凭れかかっていた身体を引き寄せて背後から抱き締めると、海馬が一瞬慌てたように肩越しに振り返った。オレはそんな海馬になるべく安心させるように微笑むと、海馬の身体を抱き締めたまま反対側の風呂桶に寄りかかって軽く息を吐いた。再び空を見上げると、そこには変わらず白く輝く月がある。柔らかな月光の下、温泉の温かな湯気が夜空に消えていく様も風情があってとても綺麗だった。

「あぁ…。本当にいい月夜だな」

 オレを警戒して身体を硬くしている海馬をギュッと抱き寄せて、夜の空気に冷たくなった栗色の髪に頬を寄せる。

「そんなに警戒しないでよ。ここじゃこれ以上何もしないから」
「それを安易に信じろと言うのか…? 何もしないと言って酷い目に会った事ならいくらでもあるのだが」
「あはは、ゴメンゴメン。でも本当に何もしないから。実はさっきので結構満足しちゃったし」

 オレの言葉で先程の行為を思い出したのだろう。サーッと首筋まで赤くした海馬は、そのまま黙って俯いてしまった。
 この赤味は…温泉に浸かっているからってだけじゃないよなぁと思いつつ、目の前に晒された綺麗な項をじっと見詰める。お湯と…それから汗と。まるで玉のような水滴が白い肌に浮かんでいた。男にしては細い首筋と、俯いている為に皮膚の上に現れた頸椎の形の色っぽさに、ドキリと胸が高鳴る。周りの汗と融合した大きな水滴が形を保てなくなってつつーっと流れ出したのを見て、思わずそれをペロリと舐め取ったらビクリと反応された。
 あ、ゴメン。何もしないって言ったのにやっちゃった…。

「き、貴様…っ。何もしないと言っただろう!?」

 案の定怒られちゃったけど、あんな色っぽい光景見せられちゃったら…仕方の無い事だよな?
 むしろ男としてあんなものを見せられて何も出来ないようじゃ、そっちの方が健全じゃないような気がするんだけど。

「ゴメン。ついやっちゃった」
「ついって…お前は…っ。だから信用ならんのだ」
「悪かったって。もうこれ以上はしないから。あ、でももうちょっとだけ項触ってもいい? キスだけでもいいから」
「こ、こら…城之内っ! っ…ぁっ…」

 腕の中に細い身体を抱き締めて、目の前に晒されている項にオレはそっと唇を寄せた。今にも流れ落ちそうになっている水滴を吸い取るようにチュッと音を起ててキスをして、浮かんでいる丸い骨に軽く歯を当てる。
 普段から首筋への刺激が弱い海馬だけど、さっき野外でしたせいで大分感じ易くなってるみたいだ。頸椎の形に添って舌で舐め上げるだけで、フルリと震えて小さな声を漏らす。
 せっかくだからこのまま露天風呂エッチとかもしてみたいけど、でも今日は海馬の誕生日だから。オレの欲望だけに走らずに、ここは余り無理しない事に決める。
 首筋どころか耳まで真っ赤にしてる海馬を抱き締め直して、オレは再び風呂桶に上半身を預けて空を仰いだ。
 温泉に浸かりながらオレが黙って月を見ている事に気付いたらしく、オレの腕に抱かれたまま海馬も同じように空を見上げてくれた。

「静か…だな」
「あぁ…」
「月も…綺麗だな」
「そうだな…」

 交わした言葉はたったそれだけ。後は二人して黙って湯船に浸かっていた。
 見えるのは秋の澄んだ夜空、白く輝く月、ライトアップされた紅葉、海馬の白い項と栗色の後頭部。聞こえるのは木々を駆け抜ける冷たい風の音と、秋の虫が奏でる音色。湯口から檜の風呂桶に温泉が注ぎ込まれる音と、風呂桶から溢れ出た湯が排水溝に流れていく音。そしてオレや海馬が身動きするたびにチャプチャプと温泉の水面が起てる水音…。
 美しい夜だった。こんな静かで美しい夜をオレは知らない。こんなに静かで美しくて…そして幸せな夜を味わえた事に心から感動する。
 多少懐が寒くなったりはしたけどさ。たった今、この一ヶ月の苦労が全て報われたような気がしたんだ。

「ありがとう…海馬」

 白い首筋に顔を埋めてそう囁いたら、海馬が不思議そうに少し首を傾げるのを感じた。

「何がだ、城之内?オレはお前に礼を言われるような事は何一つしてないぞ?」
「そうでもないんだよ。オレ、来年も頑張るからな」
「は………?貴様、何を言っているんだ?」

 この期に及んで未だ何も気付いていない海馬に苦笑しつつ、オレは細い身体に回した腕に少し力を込めた。
 



 それから数刻後、まだゆっくり風呂に浸かっていたいという海馬を残して、オレは先に風呂から上がった。備え付けられていたバスタオルでざっと身体を拭いてしまうと、浴衣を羽織って部屋の中に戻って来る。そしてそのまま内線電話へと手を伸ばした。
 受話器を取ってフロント宛ての番号を押し、受話器を耳に当てたらワンコールで向こうと繋がる。

「どうなさいました?城之内様」

 間髪入れずに聞こえて来た丁寧な声に、オレは心底感心した。
 かかってきている部屋番号から、誰が電話をかけてきているのか分かるらしい。こういうところが素晴らしいというか…、流石老舗旅館ってヤツなんだろうな。

「スイマセン。さっき庭を散歩していたらちょっと浴衣を汚しちゃって…。換えの浴衣を持って来て欲しいんですが。あの…二人分」
「畏まりました。サイズの方は城之内様がご指定されたものと同じで構いませんか?」
「あぁ、はい。お手数かけますが宜しくお願いします」
「承りました。すぐにお持ち致します」

 フロント係の優しい声にホッと一安心して受話器を置く。
 うん、大丈夫。嘘は言ってないぞ、嘘は。『庭を散歩してたら汚しちゃった』事に間違いは無いからな。
 だって流石にさぁ…、この浴衣を着て眠るのはちょっと無いよなーとか思っちゃうんだよね。アレでかなり濡れちゃった浴衣は、未だにあちこちが冷たく感じる。まぁ殆ど海馬が出したヤツなんだけどさ。
 本当はオレは別に構わないんだよ。そんな細かい事気にする性格してないし。でも海馬は絶対嫌がるだろうしさ。今日は海馬の誕生日なんだから、少しでも快適に過ごして貰わないとな。
 そう思いつつ備え付けの冷蔵庫からコーラの缶を取り出して一口飲んだ時だった。玄関のガラス扉が数度叩かれた音に気付く。そのままいそいそと玄関に向かって鍵を開けたら、扉の向こうから現れたのはこの離れを担当している仲居さんだった。

「お待たせ致しました、城之内様。こちらが換えの浴衣でございます」
「ホントすいませんでした。ありがとうございます」

 差し出された浴衣を受け取りながらペコペコと頭を下げたら、仲居さんはオレを安心させるようにニッコリと笑ってくれた。

「いえいえ、とんでもございません。汚れた浴衣は脱衣籠の中にでも入れておいて下さいませ」
「はい、そうしときます」
「それではごゆっくりお寛ぎ下さいませ。何かございましたらいつでもお呼び下さい」

  仲居さんはその場で深々とお辞儀をすると、ガラス扉を丁寧に閉めながら帰って行った。仲居さんの気配が遠ざかるのを確認しながら、オレはガラス扉の鍵を閉 める。そしてそのまま浴室に戻り、海馬の脱衣籠に新しい浴衣を入れて置いてあげた。ついでに自分も新しい浴衣に着替えてしまう。
 浴室の扉の向こうからは、未だにザバ…とかバシャリ…とか不規則な水音が聞こえて来ていた。
 つーか長ぇな…。いつまで入っているつもりだよ。
 そんな事を思いながらも、海馬がこの温泉を気に入ってくれた様子が手に取るように分かって、何だか嬉しくなってきてしまった。
 まぁいいさ。そんなに気に入ったのならゆっくり入っているといいよ。今日はお前の誕生日なんだから、好きな様に過ごせばいい。
 上機嫌で温泉に浸かっている海馬を想像しながら、オレはとても幸せな気持ちで部屋に戻っていった。


 冷蔵庫の上に置きっぱなしだったコーラの缶を手に取って中身を飲みながら奥の部屋を覗いたら、そこには既に布団が敷かれていた。寝室の電気は消されていたけど、枕元に置いてある電気式の行燈が暗闇の中で優しいオレンジ色の光を放っていて、それがとても幻想的だと感じる。

「お、凄い。もう布団敷かれてるじゃん」

 ズカズカと奥の部屋に入り込んで上から布団を眺めてみると、二つの布団の間に隙間が空いていて思わず笑ってしまった。
 そりゃそうだよなー。男二人の『友人』同士の旅で、布団はくっつけないよな。
 うん。仲居さんは悪くない。という事でオレがくっつけておこう。
 片方の布団をズリズリ引き摺って隣の布団とピッタリくっつける。
 並んだ布団に「よし、これでオッケー」と満足して振り返ったら、丁度海馬が風呂から上がってきたところだった。首にかけているタオルで汗を拭いつつ、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出している。
 熱い湯温だったのに無理して長風呂したらから喉が渇いているんだろうな。キャップを外して凄い勢いでゴクゴクと冷たい水を飲んでいた。

「スッキリした?」

 そう声をかければペットボトルから口を外した海馬は、オレの方をちらりと見遣った。その瞳が何か言いたそうなのにわざと気付かないふりをして、テーブルの上に置いてあったテレビのリモコンを手に取って電源を入れる。
  テレビ画面では丁度十時のニュースが始まったところだった。普段のオレだったら即バラエティにチャンネルを変えるところだったけれど、そろそろ海馬も ニュースを見たがるだろうと思ってそのままにしておく。思った通りテレビ画面に視線を移した海馬は、ペットボトルを持ったまま座布団の上に座り込んでテー ブルに肘をついた。
 そんな海馬を見つつ、オレは至極珍しい光景に感心してしまう。
 海馬はいつでも姿勢が真っ直ぐだ。テレビを見たりしている時でさえ、こんな風にテーブルに肘をついたりする事は無い。いつもの洋風リビングとは勝手が違うっていうのもあるんだろうけど、それにしたって貴重な光景だと思う。
 ここに着いたばかりの頃はあんなに警戒していたというのに、いつの間にかすっかりリラックスしているのだ。ペットボトルの水を一口ずつ飲みながらニュースに見入っている海馬の顔に、いつもの眉間の皺は見当たらない。
 そうだ。オレが望んでいたのは、こういう時間だった。
  つまらない事で言い争いをする時間でも、反対に激しく愛し合う時間でも無い。ただ海馬と共に同じ空間で息をして、ゆったりと流れる時間を楽しみたかったん だ。そしていつも生き急いでいる海馬にもそんな時間を望んで欲しい、そして楽しんで欲しいと願って用意したのが、今日のこのプレゼントだったって訳だ。
 だからといって激しく愛し合う時間を望んでいないかというと、そういう事でも無いんだけどな。
 ゆったりと、そして激しく海馬と共に愛し合いたい。両極端な愛をどっちも欲しがるなんて、オレは何て欲張りなんだろうと思う。
 だけど…仕方無いじゃないか。それだけコイツに惚れちまっているんだからさ。
 出来ればずっとこのまま…この時間を楽しみたいと思った。明日になったらまた日常に帰らなくてはならないと分かっていても、そう願わずにはいられなかった。

「好きだよ」

 飲み終わったコーラの缶をテーブルに置きながらポツリとそう囁いたら、海馬が一瞬だけこちらを向いてくれる。そして僅かに頬を染めながら「知ってる」と言って再びテレビに視線を戻してしまった。
 そんな素直じゃない海馬の態度にクスクス笑いながら、オレもテレビ画面に目を向ける。経済ニュースが終わった画面では、新しくスポーツニュースが始まっていた。日本シリーズの劇的な結果を伝えるアナウンサーの声が興奮気味に流れてきたが、オレの耳にはよく届かない。
 興味も無いスポーツニュースを必死に見ているふりをしている海馬を見詰めるのに、全神経を集中していたからだった。
 



 最後の天気予報のコーナーが終わって、見ていたニュース番組が終わってしまう。手元に持って来ていた携帯のフリップを開いてみると、ディスプレイに表示されている時計はそろそろ十一時になりそうだった。

(あと一時間…)

 そう、あと一時間で十月二十五日は終わる。そうしたら海馬にこのプレゼントのネタバラシをしてやろう。
 その時の海馬の顔を楽しみにしつつ、少々ニヤつきながら携帯を閉じた時だった。「城之内」と至極真面目な声でオレを呼ぶ声が聞こえて、そちらの方に視線を向けた。そこには青い瞳を真っ直ぐにこちらに向けている海馬がいる。その真剣な瞳に漸く気付いたか?とも思ったけど、どうやらそうでは無いらしい。
 テレビは番組が変わって、深夜の海外ドラマが流れていた。声を宛てている有名声優の声を聞きながら、じっと海馬が何かを言い出すのを待つ。暫く黙ってオレを見詰めていた海馬は、やがて小さな溜息と共に口を開いた。

「少し…聞きたい事がある」

 来た…っ!と思いつつも、オレはなるべく平静な顔をしながら首を傾げてみせた。

「何?」
「今日…オレがここに連れて来られた事に関してだ」
「うん」
「さっきからずっと考えていたが、どうやらこれは計画的な犯行だという事までは理解した。ついでに言うと、お前やモクバや磯野がグルだという事もな」
「犯行って、お前なぁ…。別に法に触るような事はしてないつもりだけど。うん、まぁ…それで?」
「その目的がオレに休養を取らせる為だという事も…何となく分かった」
「あぁ、そこはちゃんと理解してくれた訳ね」
「まぁな。だが…だがそこから先が分からない。どうして急にこんな事をした?何故突然拉致して連れて来るような乱暴な真似をしなければならなかった」
「急に…ねぇ」
「そうだ。さっきも言ったが、これは計画的に企てた事なんだろう?だったら予めオレにもそう伝えてくれれば、こちらもそれ相応の準備が出来た筈なのに…。どうして伝えてくれなかった?」
「予めっていうか、伝えてたら全く意味が無かったんだけどな」
「とにかくだ!オレをここに連れてきた理由を話せ、城之内!」

 オレを見詰める海馬の視線は至極真剣だ。まぁ確かに突然拉致されてこんな所に連れて来られれば、不信感も抱いてしまうのも仕方が無いんだろうけどな。
 それにしたって…鈍過ぎるだろ。自分の誕生日があと一時間程で終わってしまうというのに、この聡明な恋人はその事に全く気付いていない。普段は余計なくらいに回転する頭も、自分の事に関してはオレ以上に鈍感になってしまうのだ。
 本当に…困ったヤツだなぁ…。

「参ったね、こりゃ」

 苦笑しつつ、手に持っていた携帯のフリップを再び開く。そこに記された時間は十一時十五分。日付が変わるまで…あと四十五分だ。
 パチリと音を起てて携帯を閉じ、オレは真っ直ぐ海馬の瞳を見返した。そして笑みを浮かべたまま、なるべく真面目な声を出す。

「海馬。教えてやってもいいけど、もう少し自分で考えろ」
「何だと…?」
「今の時刻は十一時十五分。零時まであと四十五分。この四十五分で答えが出なかったら、教えてやってもいい」
「な…何だそれは…。そんな事に何か意味があるのか?」
「勿論。意味があるからしてるんだよ。とにかく自分で考えてみな。それまではオレは何があっても答えは言わねーから」

  そこまで言って、あとは海馬を無視する為にテレビに視線を移してしまった。普段は見ない海外ドラマだから、一体どういう展開になっているのかさっぱり分からない。だけどオレはそこから視線を外す事はしなかった。少しでも視線をずらしてしまえば、睨むようにオレを見詰めている海馬に気付いてしまうから。
 オレの頑なな態度に海馬も無理だと気付いたんだろう。結局はそれ以上は何も言わずに、深く考え込み始めた。

 そうそう、よーく考えな。無事に答えが出たら何かご褒美をあげよう。出なくてもあげるけどな。

 全く理解出来ないドラマの展開を見守りつつ、オレはそっと携帯を開いた。浮き出た時間は十一時二十分。あと…四十分。
 四十分後を楽しみにしつつ、オレはそっと笑った。
 何だかとっても…幸せだったんだ。
 



 携帯の時計が十一時五十五分を表示した辺りから、オレはずっと携帯と海馬の顔を交互に見ていた。海馬は顎に手を当てて、更に眉間に皺を寄せて必死に考えているようだけど、答えは一向に出て来ないらしい。
 ていうかさ、これって普通の人間だったら考える間もないくらいの簡単な問題だよな。でも自分の事に全く興味の無い海馬に取っては、この上もなく難しい問題らしかった。どんだけ考えても答えは出て来ず、時間だけが無意味に過ぎていく。

「あと一分」

 唐突にオレが告げたその一言で、海馬が慌てたように顔を上げた。

「ま…待て、凡骨! あともう五分くれ…っ」
「凡骨って言うな。あとそのご要望は承りかねます。あと四十五秒」
「せめてヒントを…っ!」
「ノーヒントです。あと四十秒」

 最初は渋々考えていたらしい海馬も、時間が経つに連れて本気で考えるようになっていた。どうやらこの真相当てが一種のゲームみたいになってたらしい。オレが決めたタイムリミットまでに答えが出なければ、それ即ち海馬の負け…という事になるらしくて、負けず嫌いの海馬が本気で焦っているのが目に見えるようだった。
 何とかしてタイムリミットを伸ばそうとした海馬の最後の足掻きも、オレには全く届かない。順調に進んでいく携帯の時計を見ながら、オレは淡々と口を開いた。

「ほら、もう時間がないぜ。あと三十秒」
「今考えている最中だ!くそっ…!」
「文句言ってる暇無いと思うけど?あと二十秒」
「わ、分かっている…っ!」
「マジで何も浮かばない訳?あと十秒」
「っ………!」
「あと五秒。さーん、にー、いーち、終了ー」

 終了の合図と共に、携帯にセットしてあったアラームが鳴る。ディスプレイに表示されている日付が十月二十六日になったのを見たら、何だか自然と笑えてきた。
 全くコイツときたら…。マジで自分の事には無頓着なんだからなぁ。
 海馬は結局タイムリミットまでに答えを出すことが出来ずに、悔しそうにこちらを睨んでいる。その顔にニッと笑いかけて、オレは身を乗り出して話しかけた。

「残念だったな。マジで全然分かんなかった?」
「くっ…!」
「そんな悔しそうな顔しないで。ちゃんと答え教えてあげるから。ほら」

 本気で苦虫を噛み潰したような顔をしている海馬に、オレは手に持っていた携帯のディスプレイを見せてやった。
 海馬に見せてやりたかったのは今日の日付。けれど海馬はそっちじゃなくてオレが設定している壁紙に注目し、「あぁ、KCで配信している『真紅眼の黒龍』だな」と見当違いの事を言ってのけた。
 違う違う。確かにこの壁紙はKCの公式サイトからダウンロード出来るヤツだし、凄く格好良くてオレのお気に入りだけどさ。オレが見せたいのはそこじゃねーっての。

「で?これが何だと?」
「違うって海馬。壁紙じゃなくて日付を見てくれよ」
「日付だと?確かに今日は十月二十六日で、貴様の携帯も狂っていないようだがな」
「ちょっ…お前…。本当に分かってないんだな」
「だから何をだ」
「今日が二十六日って事はだ…。昨日…つまりさっきまでは何日よ」
「さっき…?二十六日の前日は二十五日だろう?そんな当たり前の事が何だというのだ」
「そう、二十五日だ。十月二十五日。この日が何の日なのか、お前本当に分からないのかよ?」
「十月二十五日…?」
「そう、十月二十五日」
「そんなもの決まっているだろう。十月二十五日と言えばオレの…。オレの…。オレ…の…誕生日…?」

 気難しい顔から一転して驚きの表情に変わった海馬は、丸い目をキョトンとさせてオレの事を見ていた。その顔が予想外に幼く見えて、心の底から愛しく思う。
 全く…。ここまで来るのに、どんだけ手間かけさせやがるつもりだ。

「やっと気付いた?」

 少し呆れたように問い掛ければ、目を丸くしたまま微かに頷いた。

「まさか…。まさかとは思うが…城之内」
「ん?何?何か思い付いた?」
「思い付いたというか…。これは…まさか…」
「だから何?頭に浮かんだ事を言ってみろって」
「まさか…これは…誕生日プレゼント…だったのか…?」
「そう、大当たり。ちょっとしたサプライズってヤツかな」
「サプライズって…っ。こんな立派な旅館、一体誰の金で…。あぁ、もしかしてモクバか?」
「違う。ここを予約したのも、その代金全部用意したのもこのオレだ」
「お前が!?」
「そう、オレが用意した。これはオレからお前への誕生日プレゼントだよ」
「だ…だが…、そんなお金一体どこから…」
「うん、金は無かった。ものの見事に全く。だからこの一ヶ月一生懸命バイトして、何とか金貯めてたんだよ。お陰でこんな立派な旅館を予約出来たし、モクバに金借りるなんて情けない真似をしなくても済んだ。自分で自分を褒めてやりたいくらいだぜ」
「………。そうか…」
「ん?」
「それで貴様…、この一ヶ月間全く顔を見せなかったんだな…」
「そういう事」

 やっとネタバラシ出来た安心感でオレは上機嫌だった。唇を硬く引き結んで俯いた海馬に何を勘違いしたのか「何々?もしかして照れてんの?感動しちゃった?」なんて軽口を叩きながらその顔を覗き込む。だけど次の瞬間、オレは酷く後悔した。
 海馬は…何故か怒っていた。いつもは静かな青い瞳が熱く揺らめいている。

「か…海馬…?」

 理由は全く分からないが、海馬が酷く怒っている事に気付いてオレは狼狽した。
 何でこんなに怒っているんだ?オレ何かしたか…?何か変な事でも言っちまったのか…?
 どんなに考えても答えは出て来ず、焦りばかりが募っていく。

「えーと…、何で怒ってるのかな…?」
「………」
「このプレゼント、気に入らなかった?」
「違う」
「それともここの旅館がイマイチだったとか?」
「それも違う。オレが言うのもなんだが、ここは最高だ」
「あぁ、じゃあもしかして、オレの金なんかで温泉を楽しむ事自体が嫌だったとか…」
「そんな訳ある筈ないだろう!!」

 熱を持った青い瞳からじわりと大粒の水分が盛り上がって…、そしてポロリと零れ落ちた。その瞳からは怒りだけではなくて、悲しみや寂しさや悔しさや…とにかく色んな感情が見えている。
 海馬がこんな複雑で混乱した表情をオレに見せるのは、初めての事だ。
 溢れ出た涙を鬱陶しそうに浴衣の袖で拭いながら、海馬は怒った口調のままでオレに怒鳴った。

「感動なんかするものか!馬鹿者が…っ!この一ヶ月間、全く姿を見せなくなったお前を、オレがどれだけ心配していたのか分かっているのか!!」
「え………?」
「父親の事で何かあったのだろうかとか…借金がまた増えたのだろうかとか…働き過ぎで病気にでもなったのだろうかとか…、遂にオレに愛想を尽かしたのだろうかとか、色々心配しただろうが!!」
「なっ…!!ちょ、ちょっと待って!それは無い…っ。それだけは絶対無いから!オレがお前に愛想を尽かすなんて…、逆はあってもこっちからは絶対無ぇよ!!」
「分からんぞ。キスをしようがセックスをしようが、所詮オレ達は男同士だ。貴様の目の前に好みの女性でも現れたりすれば、そっちを選ばないとどうして言える!!」
「何で今更そんな事を言い出すんだ!!ずっとお前の事だけを好きだって、言ってるじゃんか!!オレを信じてないのか!?オレの気持ちを疑うのか!?」
「信じさせてくれないのは貴様の方だろう!?いつも巨乳のエロ本を持ち歩いて、街を歩けばケバイ女に振り返り、その度に好みだ何だと鼻の下を伸ばす癖に…っ!!しかも今回は何も言わずに突然一ヶ月も無視されて…っ!これでどうやってお前を信じればいいと言うのだ…っ!!」

 青い瞳からは絶えず涙が零れ落ち、せっかく温泉に入ってスッキリした顔はグシャグシャになっていた。
 こうやって二人きりで会えたのも一ヶ月ぶりなら、こんな派手な喧嘩をするのも一ヶ月ぶりだ。いや、もっとかな。最近はオレも海馬も大人になって、ここまで酷い喧嘩をするような事はすっかり無くなっていた。
 だからかな。久々に大声で怒鳴り合ったせいか、オレは海馬が本当に訴えたい事に気付く事が出来たんだ。

 そうか…。そうだったんだな。何で気付けなかったんだろう…。

 海馬の本心に気付いたオレは速やかに立ち上がって、テーブルの向こう側まで歩いて行く。そして未だ声を奮わせて泣き続けている海馬の側に膝を付いて、細い肩をそっと抱き寄せた。大した抵抗もなく引き寄せられる身体をギュッと強く抱き締めて、栗色の髪を優しく撫でる。

「ゴメン…ゴメンな…。お前、寂しかったんだな…」
「っ………!」

 海馬の身体がビクリと揺れて、オレの言葉を肯定する。
 滑らかな髪を撫でながら、オレは最初にこの部屋で顔を合わせた時の海馬の事を思い出していた。
 海馬は…ずっと苛ついていた。
 オレはそれを、何も知らされずに突然こんな場所に連れて来られた不安から来ているもんだとばっかり思ってた。だけど本当は違ってたんだな。いや、勿論それも関係あったんだろうけどさ。
 多分海馬は…ここに来る前からずっと苛々していたに違いない。
 他人の干渉を拒絶していつも胸を張って一人で頑張っている癖に、妙なところで寂しがり屋の海馬。寄るな触るな邪魔するなと酷い事を言ってくる癖に、本当に放っておかれると拗ねる海馬。
 そんな海馬が一ヶ月もオレに無視されて、不安にならない訳が無かったんだ…。

「心配かけてゴメン…。ホントにゴメン」

 海馬の胸の内を支配していた不安を消し去る為に、心から謝罪の言葉を述べた。

「海馬…。ゴメンな…」
「オレが…どれだけ…っ、不安…だったか…っ」
「うん…、ゴメン」
「もう…呆れられたのかと…そう…思って…」
「そんな事はしねーよ。呆れるなんてある訳ない」
「けれど…オレは…ずっとそう…思ってて…。いつかきっと…こんな日が来るんじゃ無い…かと…。それがいよいよ…来てしまったのか…と…っ」
「大丈夫だよ。そんな日は絶対に来ないから、安心して。約束するからさ」
「それを…信じろ…と…?」
「うん、信じて。ホントにゴメンな…。お前の為に良かれと思ってやった事が、却ってお前を不安にさせちまった。もうこんな寂しい思いはさせないから…」

 腕の中の海馬を心から大事に想って、そしてその想いを込めて強く強く抱き締めた。ただ為すがまま抱かれるだけだった海馬の腕がそろりと動いて、やがてオレの背に回って同じように強い力で抱き締め返してくれる。腕の中と、それから背中から感じる熱が愛しくて堪らない。

「好きだよ海馬、愛してる。オレはただお前に喜んで欲しかっただけだったんだ…。それがお前をこんなに寂しがらせる事になるだなんて…思いもしなかったんだよ。本当に…悪かった」
「もう…いい…」
「でも…っ!」
「もういいから…。本当は…嬉しかった。お前がオレの為にこの旅館を用意してくれたんだって知って…嬉しかった。凄く嬉しくて…幸せだと思った。だからもういい。もういいんだ…城之内」

 オレの背に回した腕をギュッと押し付けて胸元に頬をすり寄せた海馬は、至極幸せそうに微笑んでいた。泣いたせいで目元は真っ赤だったけど、涙はもう零れていない。それを見てオレは海馬の両頬に手を当てて少し上に向けさせ、自分の顔をそっと近付けた。痛々しく赤く腫れた目元に舌を這わせ、塩辛い涙の痕を丁寧に舐め取る。そしてこめかみや頬に軽いキスを幾度も落とし、やがて辿り着いた耳元で祝福の言葉を囁いた。

「海馬、誕生日おめでとう」

 そのたった一言で、海馬は今まで以上に身体を密着させてきた。そしてオレの胸元に顔を埋めている為にくぐもる声で「ありがとう…」と呟く。

「もう…こんな思いはさせないでくれ…。ただ側にいてくれるだけでいいんだ…城之内」
「うん、約束するよ。ずっと側にいるからな」

 外はもう、秋の夜の空気でしんしんと冷えている。けれどここはとても暖かかった。それが暖房のせいだけじゃない事はよく分かっている。
 触れ合う場所から感じるお互いの体温、そして大好きな相手と想いを分かち合うという暖かさに、オレ達は随分長い事浸っていた…。

バトンタッチ

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いよいよバトンタッチされた二礼です、こんばんは。

あぁ…とうとうバトンタッチされてしまいました…;
散さんの素敵で可愛らしい海馬からウチのダメ之内へ視点が変わってしまいます。
ていうかね、もうアレ以上のクォリティでエロを書ける自信が無いんですよwww
完璧じゃん! だってアレ完璧じゃん!!
もう本当に素敵でエロくて、何より素直な海馬が可愛くてドキドキしました(*´д`*)
そんな訳で自分のターンの再来にガッカリしつつ、散さんが書いた部分と自分が書いておいた部分をくっつける作業をしています。
あーもう…テンション下がるわぁ~…www


という訳で、瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯7』がUPされました。
昨晩は素直に城之内を欲しがる海馬に萌え過ぎて、もうどうなるかと思いました…w
とりあえず散さんの海馬に「欲しい」と言わせただけで、私の功績は金メダルもんだと思います!!
思うだけですよ~、思うだけ~(´∀`)
うん、もう満足です!!
散さん、ありがとうございました~!!&お疲れ様でした~!!
後は私が最終ターンをヌルヌル書いていきますので、期待しないで待ってて下さい…w
だがしかし…。これ以上のエロとなると…難しいぞ?
ホント…マジでどうすっかなー…(´―`;


以下は拍手のお返事でございます(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´∀`)

日記の感想をありがとうございます~!
いや、現人神ってどうなんでしょう?(´∀`;
大体エロ神様はある日突然ポッとやって来る存在であって、私自身がエロ神様な訳じゃないんでwww
むしろなれるものならなりたいですよ~!!
エロを書きたくても全く何も浮かばない時とかもありますからね。
そういう時は本当にエロ神様の存在が恋しくてなりません…w
常時居てくれれば、私ももっとエロ書きとして頑張れるんですけどねぇ~…(´―`)
難しいところですねw

あとエログロスプラッタ系のお話ですが、今時間を見付けてプロットを纏めている最中です。
…なのですが、瀬人誕企画の方がついにバトンタッチされてしまったので、ここから先は最終ターンを完結させる為にこっちの方を優先的に頑張っていこうと思っています。
しかし…、アレを越えるエロか…;
また難しい問題だなぁ…w

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

どこまで行くんだyp!!

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仕事に行くたびに笑いが漏れる二礼です、こんばんは。

皆様はセブンプレミアム商品ってご存じですか?
知らない方はお近くのセブンイレブンを覗いてみて下さい。
セブンが無い場合はイトーヨーカドーでもいいです。
ヨーカドーも無い場合はググって下さいw
ようは7&Yが出しているオリジナル商品なのですが、これが結構お値段が安くて使える商品が多く、最近凄く人気なんですよ~。
最初はお菓子とか調味料だけだったんですけど、それがポンポン売れたのでつい調子に乗っちゃったんでしょうね。
最近は何でもかんでもセブンプレミアムになりつつあります。
お菓子、調味料、パスタソース、レトルトカレー、サラダ、インスタントラーメン、おでんパック、電池、ワイン等々…。
もう何でも有りです。

ちなみにちょっと話が変わるのですが、コンビニやスーパーには万引きという犯罪がつきものだったりします。
御本人達は「これくらい大した値段じゃないじゃない」とか言い訳致しますが、大した値段じゃないならちゃんと金を払って買えばいいんじゃないでしょうか?
とは言ってもあーいう方達って殆ど病気みたいなものなので、「止めろ」と言っても素直に止めてくれる方は極少数なんですよ。
大した値段じゃ無くても窃盗は窃盗なので、前科が付くだけなのにね~。馬鹿だね~。指が無くなればいいのにね~。
という事で店側としては、盗まれない努力をしなければならない訳です。
大方どこのコンビニ(又はスーパー)でもやっている事だと思いますが、万引きされやすい商品は逐一チェックを入れているんです。
大体が化粧品や電池などの細々した商品なんですが、何故かその中にコ○ドームが入っているんですよね。
買うのが恥ずかしいのか何なのか知りませんが、コンドー○も万引き率が高い商品の一つです。
二礼が働いているセブンでは、こういう万引き率が高い商品を記した表を作って、決まった時間事に数が合うかどうかのチェックを入れているのですが…。

で、話は戻るのですが、先日そのチェック表に変なマークが書かれていました。
ウチのセブンでは○ンドームを二種類扱っています。
ベネトンとミチコってヤツですが(知らない方はググ…らなくてもいいですw)、その内ミチコの方の表記に斜線が引かれていて、代わりに⑦って書いてあったのですよ。
⑨なら某お馬鹿な氷の妖精なのに(分からない方はググれば一発で出てくる…筈)⑦とはなんぞや? と不思議に思いながらチェックに行くと、そこにあったのは何とセブンプレミアム製のコン○”ームでした…www
お菓子は分かる。調味料も分かる。食い物系は仕方無いし、電池も何となく分かる。ワインも…少しやり過ぎだと思ったけど分かるっちゃー分かる。
でもコンド○ムは無いだろう!!wwwww
昼間働いている人達は全て既婚の奥様連中だけなので、もう全員で爆笑していましたw

「コ○ドームwww よりによってコンドー○www ゴムは無いだろうw ゴムはwww」
「ミチコが消されたって事はどういう事ですか?w もしやミチコより使い勝手が良いって事ですか?www」
「セブンプレミアム…、どこまで行くつもりだよwwwww」
「どうする?w 本体に⑦マークがプリントされてたらwwww」
「使いづれぇぇぇーーーwww マジ使いづれぇぇぇーーーっっw」

使うって言っても自分達で装着する訳では無いので、言いたい放題ですwww
お客さんがいない時間帯で良かった…w
それ以来チェックを入れにいくたびに笑いが収まらず、思わずプッと吹き出してしまう訳なんですよ(´∀`)
本当に…どこまで行くつもりなんだ? セブンプレミアム…;


瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯6』がUPされました。
………エ、エロイ…ッ!! マジでエロイ…ッ!!(*´д`*)ハァハァハァハァ
ヤッベ。萌えてきた。すっげー萌えてきた!! 超絶に萌えてきた!!
どうしようコレ! もうどうすればいい!? むしろどう繋げればいい!?(聞くなw)
散さんは受け視点のエロは難しいって言ってますけど、全然普通に…つか完璧に書けてるじゃないですか!!
余りの海馬のエロさに、萌えを通り越して狼狽しています…w
何かもう…いっその事ココで終わらせちゃっていいんじゃない? 的な勢いなんですけど、コレ言うと散さんが怒るので言いません(´―`)
(言ってるって? 言ってないよ? 言ってないじゃんね)
何かそう言えば散さんは、受け海馬を生け贄にエロ神を召喚するって言ってました。
エロ神って誰よとか思っていたら、どうやら二礼の事らしいです。
最初は「エロが書けません、先生」とか言っていたのに、最近は「エロが難しいです、神様」とか言いやがるんですよ。

何 故 神 に 昇 格 さ せ た し !!

別にそこまでエロイ話を書いた覚えは無いんですがね~…(*'-')
相棒にこの事を話したら「じゃあ、現人神だね」と言われてしまいました。
こんな現人神は嫌です…orz


以下は拍手のお返事になりま~す(´∀`)


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(*'-')

『素質Ⅶ』と日記の感想をありがとうございます~!
言葉責めってやらしいですよね~w
このプレイの良い所はですね。受け側のキャラクターは勿論の事、読んで下さっている人達にも同じように想像して貰う訳ですから、いつも以上にプレイ内容を頭に描き易いって事なんですよ。
普通のエロ小説の場合、実際にプレイしているキャラクターと、その行為を文字で読んで想像している読者との間には、一種の『壁』があるんですよね。
同じ文章を読んでいても、人によっては自分とは全く違う想像をしている可能性もあります。
ただこういう言葉責めの場合、言葉だけで誘導させられて無理矢理エロイ想像をさせられるという点では、実際にプレイしているキャラクターと読者は同じ立場になれるんですよ。
いつもはある筈の『壁』が取り払われる事によって、より臨場感が増すっていう感じですかね。
だからこそ二礼は、言葉責めというプレイは普通のセックスに比べて断然エロいと思うんですよ~w

大体普通のセックスの場合、実際に身体に触られれば気持ち良くなるのは当り前だし、「相手に触られてるからこうなるのは仕方が無い」という気持ちも働いて、そこまで恥ずかしいとは感じないって思うんですよね。
だけど言葉責めの場合は、実際に相手には触られてない癖に自分の想像だけで気持ち良くなっちゃいますから。
それが例え相手の計画的な誘導によるものだとしても、淫らな想像で興奮してしまった自分に対して情けなくもなっちゃうし、相手に対する羞恥心も半端無いでしょうねぇ…w
そこがまたいいというか、萌えるというか…w
堪らんですよねぇ…www

それから、変な文章を見付けてくれてありがとうございます。
多分表現方法を変えた際の消し忘れだと思います…(´∀`;
早速直しておきました~。
あと、「別次元」に爆笑しましたwww
そうか…。あの二人はもう違う次元に行ってしまったんだな…(´―`;
戻ってくるのは…無理そうだねw

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

暑いと思ったら寒いっつーの...;

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異常な寒さにガクブルな二礼です、こんばんは。

いや~…; 昨日今日と滅茶苦茶寒かったですねぇ…;
冬に入ればこんな寒さなんて当たり前なんですけど、まだ11月の上旬にこんな風にドッカンとやって来られると、こちらも対処出来なくて困ります。
もっとこうさぁ…、じわじわと来てよ! じわじわと!!
大体まず日曜日の気温がおかしかった。
何だよ25度って…。夏日じゃねーか…っ!!
その25度の後に6度って…。
馬 鹿 じ ゃ ね ー の !?
前日との気温差19度とかって、マジで馬鹿じゃねーの!?
余計な体力使って風邪ひくじゃねーか!!
幸いまだ風邪の症状は現れていませんが、この時期は気温の上下幅が大きいので、皆さんも体調を崩さぬように気を付けて下さいませ(*'-')

という訳で見事に寒さに負けてしまったので、本日久々に暖房を付けたのですが…。
何か部屋が暖かいと頭がボーッとするっていうか…、眠たくなりますねぇ…w
さっきまで瀬人誕企画の最終パートをちょっとだけ書き出していたのですが、ウトウトしながら書いていたので、多分後で見直したら酷い事になっていると思います。
まぁどうせ散さんのパートが終わったら大幅な修正を入れる予定なので、構わないっちゃー構わないんですけどねぇw
これからの時期は寒さと眠気にどう勝つかが問題になってくるな…(´_ゝ`;


瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯5』がUPされました。
やっばいよねぇ…コレ…w
読んでいるだけでドキドキしてくるんですが、どうしましょう(*´д`*)ハァハァ
まず海馬が素直になっちゃってる辺りで萌え萌えです!!
こんなに素直に応じられたら、城之内じゃなくたってやる気になるってものですよ!!
あと城之内がエロ格好良いよね!!
「海馬」って低い声で一言だけ名前呼んで、そのままキスだなんて…っ!!
シチュエーション的に完璧過ぎます!!
ウチの城之内は確かにエロ之内ですけど、こんなに格好いい事してくれませんw
どうすんだよコレ…;
最終パートの城之内Verへの緊張感が俄然高まって参りました…;
が、頑張りますよ~…www


あと先日の日記で宣言した通り、今日は『素質シリーズ』に素質ⅦをUPさせて頂きました~。
今回は個人的趣味を満載に詰め込んでみたのですが、予想以上にエロくなってしまって思わず苦笑です…(´∀`;
実際にHしてるシーンなんて、最後にちょろっとだけしか無いのにねぇ。
不思議だw

まぁ…以前から二礼のエロを読んで下さっている方達の中には既に気付いてらっしゃる方もいると思われますが…。
二礼は…アレです。
言 葉 責 め が大好きですwwwww
アレとかコレとかソレじゃなくて、卑猥な言葉を直接言う又は言わせるのって、プレイ的に凄いと思うんですよ!!
だって実際にあれこれしてる訳じゃないのに、その気になってきちゃうんだからね!!
これぞ言葉の不思議! 言葉マジック!! 言葉責め万歳!!
………。
……。
…。
えーと…、何か濃ゆい趣味で大変申し訳なかったです…;
『素質シリーズ』は、ほぼ二礼の趣味で出来ておりますw サーセンwwwww
さて、次は何をさせよう…(*´∀`*)フヒヒ

*素質Ⅶ

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素質シリーズの第七弾。
今回は城之内の一人称でございます。
言葉責めプレイが苦手な方は、ご注意下さいませ(´∀`)

 




 女を言葉の誘導とそれによる想像だけでイカせられたら最高だと思わねー?

 というのは先程までだべっていた悪友の談。
 勉強しなければいけない筈の学校でこんな話をしている時点で色々ツッコミ処があるけど、それが健全な男子高校生ってもんだから仕方が無い。
 ていうか…本当に言葉と想像だけでイカせられるもんなんかな?
 この時点でやる気になっているオレもどうかと思うけど。でもなぁ…、海馬は女じゃなくて男だしなぁ…。いくらドMでも、流石にどこにも触られなければイキようが無いんじゃないか…?
 あーでもでも、あの海馬だしなぁ…。やってみたら意外とイケたりしちゃったりして…。
 うん。コレはアレだな。試してみるしかないってヤツだ。


「という訳で、こういう事になっているんですよ。海馬君」
「何が『という訳』だ!! 貴様…っ、巫山戯るなぁー!!」

 深夜の海馬邸に海馬の怒声が響き渡る。
 昼間の学校でいいネタを仕込んできたオレは早速それを実行すべく、バイトが終わると同時に真っ直ぐに海馬邸へとやって来ていた。残念ながら海馬はまだ会社から帰って来ていなかったけど、これ幸いとオレは勝手にクローゼットの側に置いてあった姿見の鏡を持って来て、ベッドのすぐ脇にへとセットする。そして自分でベッドに座ったり立ったりしながら角度調整をしていたら丁度海馬が帰って来たので、部屋に入って来た直後にあっさりと捕獲した。
 海馬が突然の襲撃に反応出来ない内に慣れた手つきでさっさとスーツを脱がせてしまい、抜き去ったネクタイで後ろ手を一つに縛って寝室へと連れて行く。ベッドの上に放り投げた辺りで漸く我に返ったのか、海馬が慌てて抵抗し始めたのでその身体を押さえ込みつつ、ベルトを外して下着ごとスラックスを抜き去った。そして、混乱する海馬に昼間の悪友との会話を話して聞かせたら、返って来たのが先程の怒鳴り声という訳だ。

「貴様…っ! どこにも触らないで言葉だけでイケる筈なかろう! それでイケれば何の苦労もしないわ…っ!!」
「うん、オレもそう思うんだけどな。お前ならやれそうな気がするんだよね。だからちょっと協力してよ。…よいしょっと」
「うわっ…! じ…城之内…、何をしている!!」
「何してるって…。お前をオレの膝の上に載せているんですよ? ほら、前見てみ?」
「なっ…!? この姿見、一体どこから持って来た!?」
「クローゼットの所にあったヤツだよ。そのまま前見ててね。はい、開脚ー!」
「や、やめろ馬鹿…っ!!」

 オレは丁度鏡の目の前になるようにしてベッドの端に座り、Yシャツ以外の全ての衣服を脱がせた海馬を自分の膝の上に載せた。そして海馬の両方の膝裏を掴んでガバッと左右に割り開いてやる。本当は全部脱がせたかったんだけど、先に両手を後ろに縛っちゃったからYシャツが脱がせられなかったんだよね。残念だけど、まぁいっか。
 ていうか…ちょっと凄い光景が目の前に広がっちゃってるんですけど。
 いつも背面座位をやる時は、当然の如く海馬の前面は見られない。項に口付けたり、快感に震える背筋を見るのが楽しかったりするからそれはそれでいいんだけど、こうやって鏡に映った姿を見ると破壊力抜群っていうか…。滅茶苦茶エロイ!!

「うわ…凄い格好…。全部丸見え」
「何が凄いだ…っ。貴様がやらせているのだろう!! 早く降ろせ!!」
「嫌です。今日はこのままだって決めたからな」
「なっ…何だと…っ!? いい加減にしろ…城之内!!」
「またまた、そんな事言っちゃって。本当はオレにヤラシイ事されるのが好きな癖に。海馬はドMだもんなぁ」

 暴れる海馬の耳元でわざと低く囁いてやったら、ピクリと反応して急に静かになった。顔を近付けている為に、海馬の喉がゴクリと鳴る音もはっきり聞こえて、前の鏡を見るとその顔に朱が差しているのもよく見える。
 うーん、これはまた…何て言うか…。マジで言葉と想像だけでイケるかもしれない。

「今…さ。ヤラシイ事されるの…想像しただろ」

 意地悪げにそう聞いてみれば、赤い顔のままコクリと頷く。
 よしよし。これは完全にスイッチが入ったな。良い調子だからこのまま続けてみよう。

「へー。やっぱり想像しちゃったんだ。どこをどうされるのを想像したのか、オレに教えてくれる?」
「ど…どこって…っ」
「オレSになっちゃったからさ。ドMの海馬君の考えている事なんてよく分からないんだよね。だからちゃんと教えて?」
「そ、そんな…事…、言える訳ないだろう…っ」
「何で?」
「何でって…っ。い…いつも通りの事しか…考えていない…っ!」
「ふーん。いつも通り…ねぇ。オレいつも何してるっけ?」
「ま、まず…キス…を…して…」
「うん、キスだな。口ん中にベロ入れて、一杯舐めてやってるもんな」
「っ………!」
「海馬は舌先と上顎とベロの付け根が弱いんだっけか。そこ舐めてやると、口の端からダラダラ涎垂らしちゃってさ」
「っ…ぅ…っ」
「垂れたそれを舐められるのも好きだよな。あと首筋? 歯を立てて噛みつかれるのもお気に入りだよねー。鎖骨の辺りとかも歯を立てて痕が残るくらい吸われると、堪んないって顔するもんな」
「あっ………」

 海馬の背がビクリと反応して、薄い背中がオレの身体に強く押し付けられた。目の前の鏡を見ると、丁度海馬のペニスがくくっ…と動いて頭を擡げたところで、予想外の好反応にこっちが嬉しくなってしまう。
 何だか凄くワクワクしてきた。これは多分…イケる!

「それから? いつもはそれからどうするっけ? 海馬…教えて」
「そ…それから…っ」
「うん?」
「それから…、その…あ…あの場所を…っ」
「あの場所? ダメだよ海馬。ちゃんと言葉で言ってくれなくちゃ」
「あぅ…っ。胸…を…」
「胸じゃないでしょ。海馬の気持ちいいところをちゃんと教えて」
「っ…うっ…! ち…乳首…を…っ。な、舐めて…っ」
「そうそう。乳首を舐めてあげるんだよね。歯を当ててちゅっちゅって吸ってあげると、可愛い声出してくれるんだもんな」
「ふぁう…っ!」

 膝の上に載せている海馬の身体がビクビクと痙攣し始めた。鏡に映っている海馬の顔はもう真っ赤に上気していて、青い瞳は情欲でうるうると潤んでいる。今日は全く触ってないっていうのに、いつも可愛がってあげている乳首が硬く勃っているのが目に見えた。目線を下にずらすと、完全に勃起しているペニスの先端から、じわりと先走りの液が溢れているのも確認出来る。乳首もペニスも先っぽがフルフル震えてて、その可愛らしさにオレは完全にノックアウトされた。
 ヤベー、超可愛い!
 というか、言葉責めの予想外の楽しさに、オレは完全にハマりつつあった。
 海馬の魅惑的な身体に直接触れないのはつまらないし、こっちもそれなりに辛いんだけどさ。でもそれ以上に海馬の反応が凄く良くて、見てるだけでも楽しくて仕方が無い。
 これはまた新しい楽しみを見付けちまったな…。

「ほら、海馬。ちゃんと目を開けて鏡を見てみ? もうこんなに大きくなってんじゃん。ガッチガチだし」

 言葉だけで責められて感じている事が恥ずかしいんだろう。目をギュッと強く瞑って震えながら耐えている海馬の耳に、熱い吐息と共にそう吹き込んでやった。
 オレの言葉にブンブンと首を左右に振ってたけど、オレが「いいから見ろってば」と強く言えば、観念したようにそろそろと濡れた瞳を開けてくれた。
 今現在、海馬を支配しているのはこのオレ。ドMの海馬は支配者のオレの言葉には絶対に逆らえないように出来ている。
 いや、そうなるように仕向けたのは海馬自身なんだけどな。

「っ………!!」

 鏡の中の自分の痴態に大きく目を瞠って、海馬は真っ赤な顔で俯いてしまった。
 まぁ…仕方無いよな。全然どこにも触られて無いのに、完全勃起しちゃってるんだもんなぁ。そりゃ海馬で無くても恥ずかしいわな。
 経過は順調ってところだけど、勿論オレはコレで許してやるつもりなんか無い。最終的には想像だけでイッて貰わなくちゃね。

「下向くなよ。ちゃんと見ろって」
「む…無理だ…っ」
「何でだよ。自分の身体だろ? いつもは自分から大股開いてオレの事を誘う癖に」
「それ…は…っ」
「こんなに硬くさせて、ヤラシイ涎までダラダラ流しちゃってさ…。本当に海馬は好き者だなぁ」
「っ…くっ…!」
「素直になれよ。足開いてさ、オレがそこに顔埋めてさ、お前のアレをベロベロすんの…。好きだろ?」
「っ…! ぁっ…!」
「先っぽに舌先入れてグリグリーってすると、ビクッて腰跳ねるよな? アレ、そんなに気持ちいいの?」
「っ………!」
「かーいーばー?」
「…ぃ…ち…いぃ…っ」
「んー? よく聞こえないんですけどー」
「き…気持ちいい…っ!」
「そっかー。気持ちいいのか。んじゃさ、ペニスしゃぶられるのと、後ろの穴舐められるの、どっちが気持ちいい?」
「なっ………!?」
「ね? どっちが気持ちいい? ていうかどっちが好き?」

 オレの意地悪な質問に、海馬は開けていた目を再び強く閉じてしまった。顔はもう真っ赤っ赤で、瞑った目の端からは涙がボロボロと零れ落ちる。
 一瞬やり過ぎたかなとか思ったけど、どうやらそうでもないらしい。ペニスはもう硬く勃ち上がって先端から先走りの液をダラダラに垂らしていたし、腰は独りでにユラユラと揺れてしまっている。
 あーこれ、マジでよがってんだな。この調子なら、もうちょっと…かな?

「ねー? どっち? 海馬」

 少しずれてきた身体を抱え直しながらそう言ったら、海馬がふるりと睫を震わせて細く瞳を開ける。涙で濡れそぼった青い瞳が宝石みたいで綺麗だった。
 ハァハァと上がってきた息を苦しげに吐き出しながら、海馬は半開きの唇から震える声で答えを紡ぎ出した。

「ど…どっち…も…好きぃ…っ」
「そっか。海馬はどっちも好きなのか。お尻の穴もべちょべちょに舐められて、ゆるゆるにされるの…気持ちいいんだな?」
「はぅ…っ! き…気持ちいい…っ!」
「そこに指入れられて前立腺グリグリされるのも好きだよな? 気持ち良過ぎて、アンアン言っちゃうもんなぁ」
「くふっ…! はっ…あぁっ! 好…き…っ! グリグリ…好きぃ…っ!」

 快感に負けて素直になった海馬に感動しつつ、オレは海馬の顔の前に右手を差し出した。人差し指と中指と薬指の三本を綺麗に揃えて、敢えて目の前でクイクイッと動かしてやる。

「ほら、見て。いつもこんな風に動かしてやってるんだぜ。こうやって指先でお前のイイ場所を…こうグリグリって」
「あっ…! あぁっ…!」
「そのたびに海馬は身体ビクビクさせて跳ね上がるもんな。なぁ…いつもどんな気分なの?」
「ひゃぅ…っ! あっ…! じ…じゅわっ…て…する…っ! あ…熱いの…が…っ、頭に…届いて…っ。ビリビリッ…って…っ!」

 ビクリビクリと海馬が快感に震える度に、オレの膝の上から身体がずり落ちる。それを何とか支えようとして、オレは持っていた膝裏を抱え直して元の位置に戻してやった。その時、思った以上に足を高く抱えあげてしまって、向かいの鏡に海馬の後孔が丸見え状態になる。
 今日は全然弄ってないそこは、だけど既に柔らかく綻んでいて…。真っ赤に熟しながらヒクヒクと痙攣していた。更にペニスから溢れた先走りの液が竿を伝ってそこまで流れ着いていて、卑猥に滑る様が本気で厭らしい。
 それを見た瞬間に、オレの脳裏に「触りたい…っ!」という欲求が生まれてしまった。けれどそこはぐっと我慢をする。
 触った途端にいつものセックスになだれ込んでしまうのは目に見えていたし、それは非常に魅力的な誘惑ではあったけど、本来の目的では無いからな。

「そうだよな。海馬はここを触られると、頭ヘンになっちゃうんだよな」

 異様な興奮にオレ自身の呼吸も荒くなっている。口内に溜まる唾を何度もゴクリと飲み込みながら、海馬の耳元での囁きを続けた。

「それでさー。指でグリグリされるのと、オレのアレでグリグリされるのと、どっちがヘンになっちゃうの?」
「あふぅ…っ! あ…ぁ…っ! ア…アレが…いい…っ!」
「やっぱアレがいいんだ?」
「っ………!!」
「コクコク頷いてないでさ、ちゃんと言葉で言ってよ。お尻の穴にオレのアレ挿れられるの…好きなんだよな?」
「す、好き…っ! 一杯…一杯入るの…気持ちいい…っ!!」
「オレも好きだよ。お前の狭くて熱い肉を押し分けて奥まで入るの…。気持ちいいもん」
「はっ…! やっ…! あぁん…っ!!」
「ぐっちょぐっちょの穴ん中、死ぬほど突いて擦ってさ。その度にヤラシイ音がして…」
「ひぁ…っ! あっ…くぁっ…!!」
「じゅっぷじゅっぷって。時々空気が抜ける音もするよな? ぐっぷぐっぷって感じでさ」
「あっ…あっ…あぁっ…!! やぁっ…!! ダ…メ…っ!!」
「ジュプジュプのグチョグチョ。身体の奥をオレので突き上げられるのも大好きだもんなぁ。ゴツゴツッて」
「ひっ…うっ…! あ…あぁっ…!! 好…き…っ。好きぃ…っ! 城之内…っ!!」

 オレの言葉に翻弄されてひぃひぃ喘いでいる海馬の姿は、はっきり言って最高にエロかった。オレのペニスも完全に勃起していてジーンズなんかパンパンに膨らんじゃってるけど、ここはとにかく我慢するしかない。
 腰を浮かせて硬くなった勃起を海馬のお尻に押し付けて「ほら、こんな感じで。ゴツ…ゴツ…って」なんて言いながらゴリゴリしてやったら、「いやあぁぁ…っ!!」なんて可愛い悲鳴を放ってくれた。
 海馬もそろそろ限界らしくて、膝の上に載っているお尻が快感を求めて浮き上がり、持ち上げている足なんてもうガクガク震えっぱなしだ。喘ぎ続けて閉じられない口の端からは唾液がトロトロと流れて、顎の先からポタリポタリと落ちまくっている。
 うわ…もう…。これは本格的にマズイ事になってきた…。
 海馬を責める言葉が止まらない。止まらないっていうよりは、止まれない…っ!!

「やらしいなぁー海馬は…」
「うっくっ…! んっ…はぁ…はふっ…!」
「それでさ、いっちばん奥で射精されるともう堪らないでしょ? 中のお肉にオレの精液をビューッてかけられると、頭おかしくなっちゃうんだよな」
「やぁぁっ…!! な…るぅ…っ! も…おかしく…なるぅ…っ!! 熱いの…が…欲しい…っ!!」
「そうだよな。中で出されて、熱いのでお腹一杯になるのが大好きなんだもんな」
「あひぃ…っ! あっ…も…もう…っ! やっ…やめてぇ…っ!!」
「お? イキそう? 海馬?」
「はぅ…っ!! ふぁ…っ!! ダ…メェ…っ!! も…出るっ…っ!!」
「うん。いいよイッて。海馬が白いの一杯出すの、ちゃんと見ててあげるから」
「やっ…!! やだぁ…っ!! 見るなぁ…っ!!」
「やだじゃないの。本当は見てて欲しいんでしょ? いい加減素直になって、ちゃんとお願いしなきゃね」
「くぁ…っ!! あっ…うぁあっ…!!」
「ほら、海馬。イクから見てて下さいは?」
「あっあっあっ…!! じょ…う…ちぃ…っ!!」
「海馬…言って?」
「あっ…! も…もう…イクッ…!! イッちゃう…か…ら…見て…て…っ!!」
「うん、見ててあげるよ。だからもう…イッちゃいな」
「ひぃっ…! ひゃぁ…っ!! ひああぁぁぁぁっ――――――――――っ!!」

 次の瞬間。オレの膝の上で思いっきり身体を仰け反らせた海馬は、ガチガチになっていたペニスから凄い勢いで射精をした。ビュクビュクと溢れる白濁液が飛び散って、海馬自身の下半身やオレの膝を汚していく。
 鏡越しに見るその光景がどれだけ凄まじかったか…っ!! その破壊力たるや想像を絶するってヤツだ。
 数度に分けてたっぷりの精液を放った海馬は、今はぐったりとオレの膝の上で脱力している。ゼェゼェと荒い呼吸をしているところ大変申し訳無いとは思ったけど…、オレの我慢も限界だった。

「海馬…っ。ゴメン…っ!!」

 とりあえず先に謝っておいて、ぐったりしている身体をベッドの上に放り投げる。手早く自分の衣服を脱いでベッド下に投げ落とし、射精した余韻で全く動けない海馬の足を肩に担いで、そして先程から厭らしくヒクついている後孔にペニスを宛がった。
 そしてそのまま体重をかけて、海馬の体内に一気に押し入った。

「うぁっ…! ひっ…! あぁぁっ―――――っ!!」

 入り込んだショックで海馬がまた軽くイッたようだけど、もうそれを気遣う余裕はオレには無くて…。
 結局オレは朝方まで海馬を解放する事が出来なかった。



 次の日の朝…って言っても眠ったのが明け方だったからもう昼近くになってたけど。オレは海馬のベッドで目を覚まし、怒られるのを覚悟で自分の隣で熟睡している海馬の肩を揺さぶって起こす事にした。
 とりあえずやり過ぎた事をちゃんと謝らなきゃなぁ…とか、珍しく人が殊勝な事を考えてたってのにさー。
 目覚めた海馬は不機嫌どころか、至極上機嫌で。それどころか裸の身体をすり寄せて、ピッタリくっついて甘えて来た。そしてトドメの一言が…。

「昨日のアレ…。凄く良かったぞ…。たまには…あぁいうのもいいな。またやってくれ…」

 だもんだ。
 流石ドMの海馬君です。オレの予想の遙か斜め上を行ってくれました。
 そこはこういう恋人を持ててホッと一安心するべきところなんだろうか、もしくはさめざめと泣くところなんだろうか…。
 海馬の調教によってドSにはなったけど、まだ人としての良心は捨てきっていない為、時々こんな風に海馬の言動に悩まされてしまうのが玉に瑕ってヤツなんだろうなぁ。
 でもまぁ…いいか。
 幸せな事には変わり無いし、何より頬を染めて擦り寄ってくる海馬が可愛くて仕方無いからな。
 そういう訳で、オレは朝…じゃなかった昼間っから再び頑張る事に決めて、可愛い海馬の上に覆い被さった。
 ただし今回は普通のセックスだ。
 毎回あんなんじゃ、こっちの身が持たないっつーの。

喉...枯れた...w

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飲み会で騒ぎ過ぎた二礼です、こんばんは。

金曜日の夜に、久々に地元のネトゲ仲間達と一緒に飲みに行きました。
このメンツとは2~3ヶ月に一度の割合で集まって飲みに行くのですが(しかもいつも同じお店w 仲間の一人が顔見知りのお店なのですが、もう他のメンバーもすっかり覚えられちゃってますw)、ここ最近は不況だの何だので皆の時間が取れずなかなか集まれなくて、実に半年ぶりの飲み会でした。
という訳で久しぶりに飲み仲間に会ってしまうとハメを外してしまうのもまた当然…という事でw
いやぁ~。もう騒ぎに騒いじゃったねぇ…(´∀`;
喋りすぎて、次の日喉ガラガラだったものw
やっぱり気の知れた仲間と飲んで騒いで笑い合うっていうのは、いいストレス解消になるんだね~v
あぁ、楽しかった~!!

ちなみにこのネトゲメンツ、完全に男性の方が多いです。
女性はたった3人。その内2人が腐女子wwww(私とこの間中止イベントに巻き込まれた腐友)
もう8年近くの付き合いになるので、腐女子共の萌え話にも周りが普通に付いて来られちゃうんですよ。
例えば私の事なんですけど、自分のサイトを始めた辺りから、小説を書く為に余りネトゲにログインしなくなったんですね。
(それでもミクシィ等で連絡は普通に取れる。隣で相棒もやってるしw)
それ以来会う度に「しげみさん(仮。ネトゲ内では違う名前)、たまにはログインしてくれよ~」と言われますが、その度に「今はサイト運営が一番大事ですw」と答えてやんわりと拒否。
そしてそのたびに「そんなに社長が大事か!! そんなに愛しちゃってるのか!!」(私が社長にハマッている事は、去年の今頃にネトゲ内で熱く語っていたので、とうに知れ渡っています)とツッコミを入れられる始末w
ていうか、最近はその遣り取りが快感になってきています…w
腐女子2人によって萌え話が盛り上がるたびに「洗脳された」だの「腐ってやがる…っ。遅過ぎたんだ!!」だの色々言われますが、当の腐女子共は痛くも痒くもございませんのよ(´_ゝ`)
最終的には「腐女子、恐るべし…」という結論に達して落ち着きますw
周りを巻き込むって…面白いなぁ…www(ヲイッ!!)


瀬人誕2009企画にてAct3『愛の楽園でお戯れ♯4』がUPされました。
ドキドキしてきました…っ! 滅茶苦茶ドキドキしてきました…っ!!
風呂上がりの海馬なんて絶対色っぽいのに決まっているのに、それが更に浴衣姿なんですよ…っ!?
これに萌えずに一体何に萌えよと!!
しかも段々と素直…っつーか、デレてきましたしね~(´∀`)
これは続きが楽しみで仕方ありません!!
散さんの書かれる続きを楽しみにしつつ、私も自分のパートの為にメモ書きを続行していこうと思います(*´∀`*)


そう言えば昨日はハロウィンでしたね~v
この期に私も何かハロウィン話を書こうと思っていたのですが、何か普通の小説を書く程の気力は無かった模様。
でも何かやりたい。
せっかくのハロウィンだもの! 短くてもいい。私も何かやりたい!!
つー事で、子連れ城海シリーズのSS集に『Happy Halloween』をUPしました。
今回は城之内父娘の会話になります。
父と娘の仲が良いと、なんだかほんわかしますよね~(´∀`)


以下は拍手のお返事になりますです(*'-')


>Rosebank様

拍手とコメント、どうもありがとうございました~(*´д`*)

『果汁クォリティ』と日記の感想をありがとでした~!
わかめ酒には笑わせて頂きましたw
そうね~、確かにこの城之内ならそれくらいの事はやりかねませんw
Rosebank様も仰っていますが、この二人はウチでは一番幸せなカップルなんだと思います。
男女である事から恋愛関係になる事は何ら不自然でも何でも無く、その内結婚して家庭を築いて行くのでしょうね。
それにコメントにもあった通り、この城海はもうお互いに遠慮無く愛し合えるような関係になっちゃっているんです。
だから今回の葡萄プレイの後、海馬は怒って城之内をぶん殴ったりしていますが、それが原因で嫌いになったりとかはしてないんですよ。
怒る…というよりは、恥ずかし過ぎて殴ったようなものですからねぇ…w
何て言うか既に馬鹿っプルっぽいですよね、コレw
ぽいっていうよりは、馬鹿っプルそのものなんでしょうけどwww
まぁ、幸せそうで何よりなんじゃないでしょうか(´∀`)

日記の方の感想もどうもでした~。
素質Ⅶは只今見直し中なので、もう少々お待ち下さい(´―`)
今回は前後編では無くて一話きっかりで纏めたんですけど、私の趣味丸出し…ていうか予想外にエロくなってしまってどうしよう…みたいな感じで仕上がっていますw
エロ神様って偉大だな…っ!!
でもこのパワーは分け与える事が出来ませんからねぇ…w
そこだけが残念ですwww

それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ

Happy Halloween

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ハロウィンの朝、城之内邸の台所にて。

城之内(以下『城』)
瀬衣名(以下『瀬』)

 




瀬「パパー! Happy Halloween~♪ あ~んどTrick or Treat~♪」
城「何がトリックオアトリートだ。それは夜にやるものだろ? 何で朝からそんな事やってるんだ」
瀬「ダメよパパ。これを言われたらお菓子を渡さないと、悪いお化けに悪戯されちゃうんだからね。脇腹擽っちゃうぞ~」
城「や、やめろってコラ!! 台所に立っている時は擽るなって言ってるだろ!? 夜まで待ちなさい!」
瀬「それがね、夜はダメなの。今日の夜は克人と一緒に、海馬ランドのハロウィンフェスに参加するんだもの」
城「あー…、なるほどね…。それじゃダメだな。仕方が無い。可愛いお化けさんには、パパ特製のスイートポテトをあげよう」
瀬「わーい! ありがとパパ♪ コレ大好きなんだー」
城「瀬衣名はママの手作りのスイートポテトが大好きだったもんなぁ」
瀬「うん♪ あ、克人の分も持っていってもいい?」
城「あぁ、いいぞ。8個焼いたから、残りの7個も全部持っていきなさい」
瀬「あら、それじゃダメよ。海馬のおじさまの食べる分が無くなっちゃうじゃない」
城「海馬には…。コレは食べさせないからいいんだ」
瀬「えっ!? コレって海馬のおじさまには食べさせてないの?」
城「………。あぁ…食べさせてない」
瀬「えーっ!? 何でーっ? コレはパパの得意料理じゃない」
城「うん…まぁ…。オレにも色々あるんだよ…」
瀬「勿体無いなぁ…。こんなに美味しいのに。どうして食べさせてあげないの?」
城「………」
瀬「これがママの得意料理だったから?」
城「そ…それは…」
瀬「そうなんでしょ?」
城「………。あぁ…そうだ。このスイートポテトは死んだママのレシピそのものだ。コレを食べさせるのは、何だか海馬に失礼なような気がして…」
瀬「そうかなぁ? 私は全然そんな事無いと思うんだけど」
城「………」 
瀬「あのね、パパ。ママが死んだ時私はまだ2歳だったから、正直ママの事はよく覚えていないの。でもママが作ってくれたスイートポテトが凄く美味しかった事だけはちゃんと覚えてる。大好物でよく食べさせて貰ってた事も」
城「そうそう。お前は他のおやつには見向きもしないで、ママに強請ってコレばっかり食べてたな」
瀬「うん。だからママが病気で入院した時、スイートポテトを食べたがっていた私の為にパパがママからレシピを聞いてきて、台所で一生懸命作ってたのも覚えているのよ」
城「瀬衣名…」
瀬「最初は焦げ焦げで苦かったスイートポテトも、作る度に美味しくなってきて…。気が付けばプロのパティシエ顔負けの出来映えになったよね。正直言えば、私はパパのスイートポテトは、もうママの味を越えたと思っているわ」
城「え………?」
瀬「ママが死んでから、パパはずっと私の為にスイートポテトを焼いてくれたよね。確かに基本のレシピはママのだろうけど、長い間に少しずつ味も変わって来て、今ここにあるスイートポテトは間違い無くパパだけのスイートポテトよ」
城「オレだけ…の…?」
瀬「そうよ。娘の私が言うんだから間違いないわ! このスイートポテトはパパの味。パパにしか作れない特別なお菓子なのよ」
城「オレの…特別…」
瀬「だからもっと自信を持って、パパ。この美味しいスイートポテトを、海馬のおじさまにも食べさせてあげて? 海馬のおじさまだってきっと食べたいって思っているもの」
城「それはどうだろう? だってオレがこんな物を作るなんて、アイツは知らない筈…」
瀬「う~ん、その事なんだけど…。実はねパパ。海馬のおじさまはこの事…もう知ってるのよ」
城「へ? はぁっ!? 何で!?」
瀬「実はこの間海馬のおじさまと二人きりでお話しする機会があって…。その時につい話しちゃったの。誕生日とかハロウィンとかクリスマスとか、そういう特別な時には、絶対パパが最高に美味しいスイートポテトを焼いてくれるって…」
城「な…な…っ。そ、そんな事…アイツ一言も…」
瀬「うん。多分ちょっとショック受けてたんだと思う。この話した時『オレはそんなもの、一度も食べさせて貰った事無い』って凹んでいたもの」
城「マ…マジか…」
瀬「更にその時に、このスイートポテトはママのレシピが元になってるって事も教えてあげちゃったら『あぁ、なるほど』って一人で納得しちゃったみたいなのよね。多分その『なるほど』は、パパがママの味を海馬のおじさまに食べさせたくないって意味での『なるほど』なんだと思うんだけど…」
城「そ、それは誤解だ…っ!! オレはそんなつもりで海馬にコレを食べさせなかったんじゃない!!」
瀬「うん、完全に誤解してるよね。だからその誤解を解く為にも、ちゃんとこのスイートポテトを食べさせてあげてね。海馬のおじさまの分とパパの分のは残しておくから。その代わり残りの5個は私に頂戴♪ 海馬ランドで克人と一緒に食べるんだ~v」
城「瀬衣名…」
瀬「ん? 何?」
城「ありがと…。本当はずっと気になってたんだ。コレを海馬にも食べさせてやりたいなって…」
瀬「うんうん、やっぱりそうだよね。あ、お礼はいいよ。もう美味しいお菓子を貰ったから。今度はみんなで一緒にこのスイートポテトでお茶しようねv」
城「そうだな」