草臥れた二礼です、こんばんは。
やっぱ夏バテしてるんですかねぇ…?
疲れが取れなくて草臥れておりますw
給料日直後って事で本屋さんに来るお客さんが大勢で、その対応に疲れまくってるっていうのもあるんですけどね。
それにしても…この疲れ方は無いわー。
まぁそんな感じで疲れていても、PC中毒者なのでPCを触らないで過ごすって事は有り得ない訳なんですよw
そういう訳で今日もパソコン使って遊んでいた訳ですけど、PC部屋の暑さが半端無くて参りました。
私のPCが置いてある部屋は、私用のPCと、相棒のPCと、そしてサーバー用のPCと、三台並んで置いてあるんですね。
勿論全部相棒の自作のデスクトップタイプなので、大きくて場所も取るし、排熱量も凄いw
さらにでかいアンプも置いてあるので、その排熱も凄い事になっているんです。
クーラーを23度設定でガンガンに冷やし、オマケに部屋の空気を回す為に扇風機も活躍中だと言うのに、部屋の温度は30度から下にはなりません…w
これは酷い!!www
何かもう、黙って座ってるだけなのにじっとり汗掻くってどういう事なの…?
部屋の構造を知っている散たんには「あの部屋は酷い。冷房が可哀想だw」と言われる始末w
いや、でも…。纏めて置きたいんで仕方無いんですよ…(´∀`;
夏は何とか我慢するしか無さそうですねぇ~;
その代わり冬はいいんですよ?
結構暖かいのですw
長編『あの夏の日の君へ』に第十五話をUPしました。
ふぃ~!
漸く大人の城之内君を出せました~w
予定ではもっと早く出すつもりでいたのですが、気付いたら十五話とかになってたもんなぁ…?
おかしいわねぇ~(´・∀・`)
何はともあれ、これで安心して起承転結の『結』のターンに入っていけます!
ただ惜しむらくは…夏までに終わらなかったって事だよな…;
………。
……。
…。
ま、いっか!
こういうのは終わらせる事に意義があるんですもんね~!!
ね? ね? そうだよね~?
………続きも気を引き締めて頑張っていこうと思いまーす…(´∀`;
2010年8月アーカイブ
団地を飛び出して全速力で公園まで駆けていく。街灯に照らされてた児童公園の入り口を潜ると、そこはシンとして静かだった。
昼間は子供達で賑わっている公園も、夜はこんなにも静かだ。誰も遊んでいない遊具、風に揺れる木々の葉。走ってきた為にハァハァと荒い自分の呼吸音だけが耳に入ってくる。口の中に溜った唾液をゴクリと飲み込んで、オレは公園の中央に立ちグルリと周りを見渡して見た。ざっと見える範囲に見知った影はいない。だけどオレは確信していた。海馬は絶対この公園の中にいると…。
ふと思い立って、オレは大きな遊具で影になっている公園の反対側の方を覗き込んでみた。この公園の中では比較的集中して植木がされてある一角に、ベンチが一つある事を思い出したのだ。そのベンチはあの日…、あの大人の海馬と初めて出会った時に彼を介抱した場所でもあった。
ジャリジャリと公園の砂地を踏んで回り込んでみると、そこにはオレの予想通りに捜していた長身がベンチに腰掛けているのが見えた。海馬は携帯電話を片手に持ち、少し項垂れるようにしてベンチに座っている。
「海馬…っ!」
大きな声で名前を呼んで小走りで近付いて行くと、海馬がゆるりと顔を上げてオレを見た。そしてふっ…と小さく笑みを零す。街灯に照らされたその顔は、いつにも増して真っ青に見えた。
「城之内…」
目の前に立ったオレの名を呼ぶその声も震えている。具合が悪いのを我慢して、声を押し殺しているのがオレにもよく分かった。
「よく…ここにいると分かったな…。何も言っていなかったのに…」
「うん。何となくな」
「そうか…」
「それよりも大丈夫か? 頭痛いんだろ?」
「大丈夫だ…」
そう言いながらも海馬は、自らの額に掌を当てて険しい顔をしている。
多分本気で酷い頭痛を感じているんだろう。さっきまでその痛みを感じていたオレには、その辛さがよく分かる。
「なぁ…。頭痛くなり始めたのっていつからだ?」
海馬の隣に腰掛けて、手を伸ばしてそっと頭を撫でてやる。そんな事でこの痛みが取れるとは思ってないけど、それでも少しでも楽になるようにと願って…。
何度も何度も髪を梳いてやりながらそんな風に訪ねたら、海馬は目線だけでチロリとオレの事を見返した。青い瞳がユラユラと揺らめいて、何かを言いたそうにしている。だからオレは空気を読んで、ここは自分の口から答えを出してやる事にした。
「もしかして、この間オレと会った時からじゃないの?」
「………?」
「な、そうなんだろ?」
「何故…そんな事が分かる?」
海馬の答えに、オレはやっぱり…と内心で溜息を吐いた。
これは間違い無く、海馬はもう一人の海馬とシンクロしてしまっているんだ。さっきまでのオレと同じ。目覚める筈の無い能力が急に目覚めて成長しようとしている。こっちの世界では超能力とかそういう便利な物は一切無いから、自分達の脳もそういう不自然な強い力に耐えられるように出来ていない。だから脳がパニックを起こして、強い頭痛を発してしまっているんだ。
「うん、ちょっと…ね。話せば長いんだけどさ」
「………」
海馬は非科学的な物が大嫌いだ。その海馬に、超能力だとか、違う世界の自分達だとか、悪意の固まりの影だとか、そんな事を上手に教えてあげられる自信はオレには無い。さてどうしようかなー…と悩んだ時だった。隣から突然白い手が伸びてきて、膝の上に置いていたオレの片手をギュッと掴んだ。力の入るその指を見て、顔を上げてその手の持ち主を見返す。
海馬は…至極真剣な目付きでオレの事を見詰めていた。
「城之内…」
「海馬…?」
酷い頭痛で辛そうに顔をしかめながらも、海馬は低い声でオレの名前をハッキリと呼んだ。
「この間は…済まなかった…。あんな…あんな酷い事を言うつもりは無かったのだ…」
「い、いや、あれは…! あれはお前が悪い訳じゃないよ…。それよりもオレの方が酷い事してんじゃん。あの時はゴメンな? あんな事をするつもりなんて、本当に無かったんだ」
オレの言葉に海馬がフルフルと首を横に振る。頭痛を我慢している所為なんだろう…。こめかみや首筋から流れる冷や汗が量を増して、白い肌を濡らしていた。
「実はあの日の数日前…、オレは部下からある報告を受けていた」
「報告?」
「オレに良く似た人物が、貴様の家に出入りしていると…な…」
「………っ!?」
海馬の言葉に本気で驚いた。
オレは大人の海馬の行動については、一切関知していない。だからアイツがどういう風に行動して、どんな風に家に帰って来ているかなんて事は全然知らなかったんだ。勿論あの海馬は、一応周りに気を使って目立たないように行動していたに違い無い。それでも全てを隠しきるのは無理だったんだろうな。
だって現にほら…見られてるし。
でも何で見られちゃったんだろう…? まさか…浮気調査とかされてたんじゃないよな!?
有り得ない予感に一人で焦っていたら、海馬がオレの表情からオレが今何を考えているのか読み取ったらしい。重ねていた手をもう一度強く握り締めて来て、フルリと首を横に振った。
「オレの部下がそれを見たのは、全くの偶然だった…。たまたまこの近くに知り合いが住んでいて、休日にその人を訪ねた帰りに目撃したらしい」
「偶然…?」
「お前の家に入って行く人物が、余りにオレにそっくりで驚いたらしい。その頃オレは既にアメリカに行っていたから、ではあれは誰なんだ…という事になってな」
「あぁ…なるほどね…」
「その報告を受けたのは日本に帰って来てからだったのだが…」
「それが気になったんだな」
「………」
「だからオレの家に直接確かめに来たんだな」
「………そうだ。勿論その前から訪ねるつもりではいたのだが…」
海馬が額に手を当てながら、真っ青な顔をして頷いた。
あぁ…そうか、そうだったのか。それならあの時の海馬が、妙に苛々していたのが分かるような気がする。
気持ちの離れた恋人。自分とそっくりの人間がオレの家に出入りしているという事実。それなのに何も言わないオレ。そして大人の海馬と見間違った目線に気付いて…。
『貴様…。今誰か他の奴とオレを間違えただろう』
『今一体誰を思い描いた? オレがアメリカに行っている間に…いつ新しい恋人を作ったのだ!?』
『だから貴様は駄犬だと言うのだ! 誰か他の奴と一緒に過ごしている時点で、世間一般じゃそれを浮気と言うのだ…!!』
あの日の海馬の叫びが脳裏に甦ってくる。あの時はオレも苛々してて、海馬の本当の気持ちに気付けなかった。だけど今なら分かるんだ。アイツがどんなに悲しい気持ちで…そしてどんなに気持ちを焦らせてあんな事を言ったのか。
今まで見えなかった海馬の本当に気持ちが、今はこんなにハッキリと見える。
不安だったんだ。海馬もオレと同じくらい、不安に思っていたんだ…。
「ゴメンな…」
心からそう謝って、オレはそっと海馬の身体を抱き寄せた。その細い身体をオレの腕の中にスッポリ治めてしまっても、海馬は全く抵抗しようとはしない。それどころか、オレの肩口にポフッと顔を埋めてきた。その途端、フワリと何とも言えない良い香りがオレの鼻孔を擽る。その匂いと直に感じる体温が愛しくて、オレは栗色の髪の毛を何度も何度も優しく撫でた。
「海馬…ゴメン。不安にさせてゴメン」
「城之内…」
「でも、お前にそっくりな奴がオレの家にいる事は本当だ。それにも深い訳があるんだけど…」
「っ………」
「でも本当に浮気とかそういうんじゃ無いから…。だから安心してくれないか。色んな理由があるんだよ。お前にそっくりな奴がいる事も、お前が今感じている酷い頭痛の事も…」
「理由…?」
「うん。でもそれをオレの口から上手く言う自信が無い。やっぱり本人達から訊いた方が良いと思う」
「本人達…?」
「だから海馬、これから一緒にオレん家に来ないか? そうすれば全部分かるから」
「全部…分かるのか?」
「うん、分かる」
「本当か…?」
「本当だ」
海馬の質問に、オレはハッキリと頷いて答えた。揺らぐ海馬の青い瞳を真っ直ぐに見返せば、それだけでオレがどれだけ真剣なのかが海馬にちゃんと伝わったらしい。海馬は何度か瞬きをして、そして意志を決めたように瞳の光を強くする。そしてコクリと一つ頷いて「分かった」と答えた。
「よし。じゃあ行こう」
具合が悪い所為で上手く身体に力が入らない海馬を支えて、オレはベンチから立上がった。
家に帰ったら早速もう一人の海馬と、それから同じ世界から来た漠良に会わせてあげよう。そしてアイツ等の口から、今何が起こっているのか、どうしてこんな事になったのか、これから何をしなくてはいけないのか、そういう事を全てちゃんと話して貰おう。
いくら非科学的な事が大嫌いな海馬でも、実際に超能力を目の前で見せつけられれば、それを信じて貰えるに違い無い。
大丈夫。きっと分かって貰える筈。そして全ての話が終わったら、オレ達はきっと今まで以上に強く分かり合える筈だ。そうに違い無い。そういう自信がある。
そしたらオレはもっとずっと…今まで以上に海馬の事を好きになるに違い無い。それはどんなに幸せな事だろう。
それは幸せな予感だった。とても幸せで確信的な予感だった。
だから二人で公園の出口に向かって行った時、そこにまるでオレ達を待ち受けるように突っ立っていた人影に、ただ呆然とするしか無かった。
街灯の下に佇んでいた人影は、ジャリッ…と砂地を踏んで一歩だけオレ達の側に近付く。そしてクックック…と至極嬉しそうに笑い出して…口を開いた。
「あぁ…海馬…。やっと見付けた…」
今まで感じていた幸せな予感を全て粉々に打ち砕くような…恐ろしい声が辺りに響く。
その声には覚えがあった。大人になった所為か、オレの知っている声よりは幾分低いような気がするけど、でもよく知っていた。知り過ぎる程知っていた。
だってその声は…。
「待ってたんだぜ…お前に会えるのを…。オレはずっと待っていたんだ…」
その声は…オレ自身の声だったんだから。
微妙に夏バテな二礼です、こんばんは。
毎年しっかり夏バテして来た二礼ですが、どういう訳か今年は比較的元気でした。
いつもは全くご飯を食べられなくなってしまうのですが、この夏はちゃんとお腹が減るし、ご飯もしっかりと食べられていたんですね。
勿論今もちゃんと食事しているのですが、どうにも疲れが取れなくなって来ているみたいです。
ご飯も食べてしっかり睡眠も取っているのに、怠さが抜けないんですよ…w
これってやっぱり夏バテなんですかねぇ?
やりたい事とか一杯あるので、もっとシャッキリしたいのにぃ~!!
もしくは年…? もう年なの?w
そ…それは嫌だなぁ…w
長編『あの夏の日の君へ』に第十四話をUPしました。
何かダラダラと続いていますけど、一応纏めの作業に入り始めたと…思います(思っているだけですが…w)
でも多分、まだこれすぐには終わらせられないだろうなぁ…;
起承転結の『結』だけ物凄く長くなりそうな予感がして、今から微妙な気持ちです…w
なるべくなら格好良く終わらせたいんですけどねぇ…。
格好良いエンディングか…。
無理難題過ぎるw
あ、でもハッピーエンドはいつもの事なので、その辺はまぁ…ねw
こういうの書いてると、格好良いシーンを臨場感溢れる文体で書けたらいいのにな…と思います。
そしてそういう文章を書ける人を、本当に心の底から尊敬致します。
まだまだ力不足ですねぇ…;
日々修行あるのみって感じですかね?(´∀`;
頑張りまっす!
海馬が一体今どこにいるのか。
その質問を受けてから、オレは自分の携帯が気になって仕方無かった。ズリズリと這い出すように布団から出て、学生鞄の中に入れっぱなしだった携帯電話を手に取る。フリップを開けて待ち受け画面を見てみても、そこには着信履歴もメールの報せも何も入っていない。
でもまぁ、それは当然の事だ。だって海馬は今アメリカに行っている筈なんだから。オレの事なんか忘れて、あっちで仕事してる筈なんだから…!!
「海馬は今…アメリカに…いる筈だ。確か仕事が忙しくて…暫く帰って来られないって、そう言ってた…」
そうだ。一ヶ月の長期出張。思ったより長くなりそうだからっていうんで、この間一時帰国してきたばっかりだった。だから今は、間違い無くアメリカにいる筈。なのに何故…こんなに心が落ち着かないんだろう。心臓がドキドキしてるんだろう…。
「そっか。それなら安心かなー。流石にあの城之内君でも、海渡ってアメリカにまでは行かないでしょ」
「あぁ…。そうだよな…」
漠良の明るい言葉に返事をする。だけどオレの声は震えていた。
何だろう…。何だかとても嫌な予感がする。さっきまで感じていた頭痛とはまた違う感じで頭が痛い。ガンガンと内側から扉を叩かれているような振動を感じる。安心出来無い。大丈夫だって思い込もうとしても、全然安心出来無い。
手に持った携帯の画面をじっと見詰める。携帯電話はウンともスンとも言わない。言う訳が無い。そう…その筈だった。それなのに…。
「電話…っ?」
じっと見詰めていた待ち受け画面が切り替わって、着信を告げるアニメーション画面と共に軽快な音楽が鳴り出す。その着メロは、オレが海馬の為に設定したメロディーだった。つまりこの電話は海馬からの電話という事であって…。
暫し呆然とその画面を見た後、オレは震える指で通話ボタンを押した。そして携帯を耳に当てる。電話口から聞こえて来た声は、当たり前だけど海馬の声だった。
「もしもし…?」
『………城之内か?』
「うん…」
海馬の、オレの名を呼ぶ声が震えている…。いつもの自信に満ちた声とは少し違うと思った。まるで何かを深く考え込んでいるように、その声は慎重だった。
「今…どこにいるの? アメリカ?」
『………日本だ』
「日本…!? お前アメリカに戻ったんじゃねーの!? いつ帰って来たんだよ…!!」
『…戻っては…いない。こっちに残って色々考えていた』
ボソボソと呟かれる声。オレは海馬の、こんなに自信が無い声を聞いたのは初めてだと思った。それくらいに電話口から聞こえて来る海馬の声には覇気が無い。
いつだって自信満々だった海馬。オレと恋人になっても態度は一切変わる事は無く、それどころかそれまでと全く変わらずにオレの事を馬鹿にしていた筈なのに…。今聞こえる海馬の声からは、そんな雰囲気は一切伝わって来なかった。
『城之内…』
「ん? 何…?」
『少し…話がしたいのだ』
「話?」
『この間の事を…きちんと謝りたいのだ。電話では無くて、直接会って話がしたい…』
苦しそうな海馬の声。そしてその声を注意深く聞いていたオレは、ある事実に気付いていた。
電話口の向こうから、車が車道を走り去る音が聞こえて来た。そしてサワサワという、木の枝が風に揺らぐ音も…。そう言えば海馬の声も余りハッキリとは聞こえない。部屋の中から電話を掛けて来ているんだったら、もっとクリアに聞こえて来る筈なのに。
その事象でオレが分かった事。それは、海馬は今会社や海馬邸からでは無く、外からオレに電話を掛けて来ているという事だった。それも多分、すぐ近くから。
急いで立上がって窓を開け表を覗き見るけど、そこに人影は無い。でもオレはほぼ確信に近い想いで、海馬がこの近くにいるという事を感じていた。焦れったい想いでキョロキョロと辺りを見渡していると、突然電話口から『っ………!』という呻き声が聞こえて来る。かなり辛そうなその声に、オレは「おいっ!」と声を掛けた。
「海馬!? どうした!?」
『………っ!!』
「海馬っ!!」
『何でも…無い…』
「何でも無い訳ないだろ? そんな辛そうな呻き声…」
『………』
「もしかして…お前、頭痛いんじゃねーか…?」
『っ………』
「そうなんだな? 頭痛いんだな!?」
『耳元で喚くな…。ただの偏頭痛だ。最近少し頻発気味だがな…』
海馬の感じている頭痛がただの偏頭痛じゃない事くらい、今のオレには簡単に分かる。多分オレの予想が間違っていなければ、その頭痛はオレがさっきまで感じていた頭痛と同じ理由によるものだ。
シンクロ…しているんだ。間違い無く、ここにいる別世界の海馬と。
途端に背筋にゾクリとした寒気を感じた。嫌な予感がする…。途轍もなく嫌な予感が。海馬をこれ以上一人にさせられない。一秒でも早く合流しなければ…!!
「海馬。お前今…どこにいるんだ!?」
こめかみから冷たい汗が流れ落ちてくる。それを袖口で拭いながら、オレは海馬に居場所を問い掛けた。ここで焦っても仕方が無いと思うけど、心臓がドキドキして居ても立っても居られない。海馬の口から答えが返って来るのを、今か今かと待ちわびた。
『…公園だ』
やがて少し時間が経ってから、海馬の声で居場所が告げられた。
海馬の言う公園がどこの公園かなんて、そんなの細かい情報が無くたってすぐに分かる。多分オレの家のすぐ側の…あの大人の海馬と初めて出会った児童公園だ。
「分かった! すぐ行くから!!」
それ以上は何も聞かず、それだけを言って電話を切る。そして背後から心配そうにオレを見詰めていた大人の海馬と漠良に目を向けた。二人とも至極真剣な目をしてオレを見ている。
この海馬と漠良が言いたい事も、今のオレにはすぐに分かった。そして多分、その予想は当たっているんだ。
「城之内」
何かを言いたそうにしながらもなかなか口火を切れない漠良に対して、海馬はすぐに意志を固めたのがその表情で分かる。オレの名を強い声で呼び、目の前まで歩み寄ってきた。そして「すぐ側に来ているんだな?」と問いかけて来る。その問いに、オレはすぐに首を縦に振った。
「海馬が…日本にいたままだった。オレ、すぐに会いに行って来る」
「あぁ」
「オレがもう一人のオレから影響を受けているように、海馬にも影響が出てるって事が有り得るんだよな?」
「その通りだ」
「海馬…頭が痛いって言ってた…。偏頭痛だと言ってるけど、多分そうじゃないよな…」
「………確証は無いがな」
「もしそうだったら…オレはどうすればいい? どう説明してあげたらいいんだ?」
「その時はオレが協力するから安心するがいい」
「だけど…」
「お前も、そしてこっちの漠良も理解出来たんだ。『オレ』が理解出来ない筈は無いだろう?」
海馬の言葉に、後ろでオレ達を見守っていた漠良がクスクスと笑いながら「そうだね」と言葉を発する。「そうだね」と言ってる割には、何か微妙な顔付きなのが気になるけど…。
案の定漠良は、至極面白そうにしながら海馬の事を見上げて口を開いた。
「でも海馬君は非ィ科学的な事が大嫌いだからね。多分一筋縄ではいかないと思うよ」
「あのさぁ…。超能力を普通に使っている世界の人達に、そんな事言われたく無いんだけど…」
「こっちの世界では、超能力はもう科学的に証明されてるからいいの。それにボク達の世界にだって、科学で証明しきれない事は一杯あるんだよ。それに対しての海馬君の拒否っぷりを見てると、こっちの海馬君の反応も大体予想出来るもんね」
いつもの調子でニコニコ笑いながらそんな事言ってるけど、漠良が目で見える程安心していないのはオレにも伝わって来た。
多分本気で心配しているんだ。オレと海馬の事を。そしてこれから影響を受けるあろう、もう一人の自分の事を…。
「行っておいで、君の海馬君のところに。何かあったら助けに行ってあげるから。ね、海馬君」
「あぁ、勿論だ」
オレより少し年上の、大人の二人がオレの事を優しく見詰めてくれていた。何も心配はいらない、だから勇気を持ってアイツに会いに行けと…そう無言で励ましてくれている。
勿論行くさ! そんな事心配されなくても、海馬はオレにとって何より大事な恋人だ。どんなに無視されても馬鹿にされても、この気持ちだけは失う事は無かった。それはオレの真実の気持ちだから。海馬を好きだという…愛しているという本当の気持ちだったからだ。
そうだ。オレは海馬の事がこんなに好きだったんだ。それなのに恋人になった安心感から、ただ好きだというこの純粋な気持ちを忘れてしまっていたんだ…。
オレは一体今まで何を恐れていたんだろう。海馬の気持ちが見えなくなって、アイツの事が分からなくなって、不安で不安で仕方が無くて、オレに興味を見せないあの態度に苛ついていた。
でもよく考えてみろ。アイツが…あの海馬が好きでも無い奴と付き合ったりすると思うか? 自らの口から「恋人」なんて言葉を吐くと思うか? 自分がいない間に浮気されたんじゃないかと疑ったりするか? ましてや好きでも無い男に押し倒されて大人しく全てを諦めるなんて…アイツに限って絶対有り得ない!
そこまで考えて、オレは漸く悟った。
あぁ…そうか。あの行動の端々が、海馬の本当の気持ちの現れだったんだな。
駄目だな…。こういうところ、オレは本当に鈍いと思う。海馬の表面ばかり見ていて、奥に隠された気持ちに全く気付けなかった。
不安に思っていたのはオレだけじゃなかったんだ。多分…いやきっと、海馬だって不安で仕方無かったに違い無い。
素直に出せない気持ち。強がる海馬に苛つくオレ。離れる心。恋人なのに、お互い全く歩み寄る事が出来無かった。
海馬が素直になれないなんて、そんなの最初から分かってたじゃないか。それを知ってて、それでもオレは海馬の事を好きになったんだろ。だったら、海馬にばっかり気持ちを求めるのは間違いなんじゃないか? 海馬の方から歩み寄るのが無理なんだとしたら、オレの方から歩み寄ればいいだけの話じゃ無いか。
「うん。行って来るよ」
今まで溜まりに溜まりまくってた悩みは、一気に晴れていった。だからオレは海馬の元に行く。
海馬をもっと好きになる為に。そして不安なんて感じなくていいんだという事を教えてあげる為に。
玄関から飛び出して、オレは海馬の待つ児童公園へと全速力で走り出す。オレの胸の内は海馬に対する愛しい想いで一杯で、一秒でも早くこの気持ちを伝えてあげたくて堪らなかった。だからオレはつい忘れてしまっていたんだ…。
悪意の固まりである強い影に乗っ取られた…もう一人のオレの存在を。
落ち着くと日記ネタが無くなる二礼です、こんばんは。
いや…うん。特に何もしてないんですよ…w
微妙に夏の疲れが出ているらしくて、時間があってもウダウダしててやる気ゼロでございます。
いかん…! いかんなコレは!!
ただボーッと過ぎて行く時間が勿体無い!!
と、分かってはいるんですけどねぇ…(´∀`;
どうにもやる気が…出ない…orz
忙しい時は「あれやろう! これやろう!」とやる気満々なんだけどなぁ。おかしいですね…?
とりあえず今連載している小説の他にも色々纏めなくてはならない物もありますので、頑張って物書きしていこうと思っています!
無理せず、確実に、しっかりと…で頑張れるといいなぁ…w
長編『あの夏の日の君へ』に第十三話をUPしました。
前回短かったので、今回はじっくり腰据えて書いてみました。
腰据えたって言っても、まぁ…この程度ですがw
これで漸く事態が動き出した感じですかね?
後もうちょっとで起承転結の『結』に辿り着けそうな感じです。
それにしても…。
本当だったら夏中に終わらせる予定だったのですが、何か秋が来そうですねぇ…w
まぁ、関係無いかー!
細かい事気にしないで、しっかり終わらせる事に集中したいと思います!
違う世界から来た海馬の話を真面目に聞こうとしたけど、頭がズキズキと痛んで集中出来無かったので、オレは結局布団に横にならせて貰った。部屋の電気を付けて、オレが寝ている布団の脇に海馬と漠良の二人が座る。二人とも至極真剣な顔でオレを見ていた。
「まず…オレは、お前に一番重要な事を教えていなかった…」
海馬がそう口火を切ったのは、話をしようと決めて数十分経った頃だった。畳の上に正座をして、その上に拳を置いている。その手がギュッと強く握られるのを、オレは横目でしっかりと見ていた。
「こっちの世界に逃げて来た影…。その影に乗っ取られたオレの仲間というのは…実はオレ達の世界の…もう一人の…」
「オレ…なんだな?」
「………え?」
「オレなんだろ?」
海馬の言葉を遮って出した言葉に、海馬は本当に驚いた様に目を瞠ってオレの事を凝視した。
そりゃそうだよな。今までずっと黙って隠して来た事を、全く違う世界のオレが知っていたんだから。驚くのも無理は無い。
「実はさっき…夢で見たんだ」
「夢…?」
「そう…夢。前にも話したけど…、お前と一緒に暮らすようになってからオレは時々夢を見るようになった。夢の内容は、多分あっちのオレの夢なんだと思う。最初に見たのは、学校でお前も超能力者だという事に気付く夢だった。それは…話して聞かせたよな?」
「あぁ」
「実はそれ以外にも、色んな夢を見るんだよ。この間はお前から必死に逃げようとしている夢だった。空中に大きな穴を開けて…その中に逃げ込もうとしてた」
「………っ!?」
「それからついさっき見たのは…、影に取り込まれようとしているお前を助けて、逆に自分が乗っ取られる夢だった」
「城之内…っ!?」
「城之内君、それって…!」
オレの言葉に、海馬と漠良が同時に反応する。そんな二人を見ていて確信した。多分オレが見ていた夢はただの夢なんかじゃなくて、過去に実際に起こった事だったんだ。
影に染まった宿主にトドメを刺したのは海馬。だけど実際に乗っ取られたのはもう一人のオレの方だった。だから海馬は無茶しながらも、こっちの世界まで影を追って来たんだ。それが自分の失態であり…そして責任だったから。師匠であり恋人でもある…影に乗っ取られた『城之内克也』を殺す為に。
『やはりオレ達は…オレと城之内は、共に幸せにはなれないのかもしれないな…』
さっき思い出した海馬の台詞が、何度も脳裏に甦ってくる。悲しそうに辛そうに呟かれたその一言には、こんな重い意味があったんだ。
「やっぱり…オレが見た夢って、本当にあった事なんだな…?」
確認するように二人に問い掛けたら、海馬も漠良もしっかりと首を縦に振った。
「影に取り憑かれた城之内を追って、オレは奴と一緒にこの世界に来た。その時に何とかその場で決着を付けようとしたのだが、経験と力の差は歴然で…。結果は…お前の知っている通りだ」
「それであんな大怪我をしていたのか…」
「そうだ。オレは負傷し地面に落ちて、城之内はそのまま行方をくらませてしまった…。お前があの場にいたのは全くの偶然だったが、それにも何か意味があったのかもしれないな」
海馬の言葉に、オレもその場でコクリと頷いた。
あの公園でオレ達が出会ったのは、確かにただの偶然に過ぎなかったかも知れない。でもそれでも…間違い無く意味はあったんだ。だって現にこうして、オレは海馬から影響を受けている。
「そっか…。それでオレがお前の側にいるから影響されたって事で間違いないのかな」
話の流れ上そんな風に言うと、だけどオレの予想とは違って海馬は今度は首を横に振って否定した。その態度に「あれ?」って思う。
だってオレがそういう夢を見るのは自分が影響を与えている所為だと、海馬は以前ハッキリそう言っていた筈なのに…。
「お前の側にいるようになったから、オレがそういう夢を見るようになったんじゃないのか?」
「いや、それは違う」
「え…?」
「オレも最初はそう思っていた。オレの側にいるから、オレの記憶とシンクロしてしまったのだろうと。だがそれは間違いだという事に気付いたのだ」
「それ…どういう事…?」
海馬の台詞に首を捻る。オレが海馬に影響されてないんだとしたら、じゃあオレは一体誰に影響されてると言うんだろう。
そんな疑問が表情に出てしまっていたらしい。海馬はオレの目をじっと見詰め、そして小さく嘆息しながら口を開いた。
「お前は多分…こっちの世界に来た『城之内克也』とシンクロしてしまっていたのだろう」
「………はぁ?」
海馬の口から放たれた言葉に、オレは頭が痛むのも忘れてポカンと口を開けてしまった。そんな事を言われても、はいそうですかと簡単に納得出来る訳が無い。だってオレは、もう一人の『オレ』に出会っていないのだから…!
「オレ…もう一人のオレには会って無いぜ? 姿も見てないし」
「それでも…お前がシンクロしているのはオレでは無くて城之内だ。それは間違い無い」
「どうして…?」
「大体お前がオレにシンクロしているというのなら、お前が見る夢はオレの視点でなければおかしい」
「あっ…!!」
その一言に、オレは今まで見て来た自分の夢を思い出して唖然とした。
そういやそうだった…。今まで見た夢は全部、『城之内克也』としての視線であって、『海馬瀬人』としての視点で見た夢なんて一つもなかった。
「例え直接接触してなくてもね、波長がピッタリ合う人が近くにいるとシンクロする事もあるんだよ」
愕然としているオレに、漠良が助け船を出すように言葉を放つ。そして布団から出ていたオレの右手をそっと掴み、掌を合わせて来た。合わせられた掌が何だか熱い。まるでそこだけ激しく発熱しているようだ。
「な…何…?」
「怖がらないで。そこにある物を解放してごらん」
漠良の言っている言葉は何一つ理解出来ない。だけどオレは深く考えずに、そこにあるであろう物を解き放とうとしてみた。
上半身を布団から起こして、じっと自分の掌を見詰める。オレが意識を集中し出したのを見て、漠良がピッタリと合わせられた掌を少しずつ離していった。ゆっくりと掌が離れるに従ってその熱は強くなり、やがて完全に掌が離れた時、そこにはマッチを擦った直後のような…小さな小さな炎が生まれていた。
オレの掌の上でゆらゆらと揺らめく炎は確かに火そのものである筈なのに、その火を直に載せているオレ自身は熱さや痛みを何も感じていない。現に火の下の皮膚も火傷を負ったりせず、少しも赤くなったりはしていなかった。
「それは君の内側から生まれた炎。だから君が何かを燃やしたいとか攻撃したいと念じなければ、その炎は無害そのものなんだ。誰も傷付ける事は無いし、紙だって燃やせないよ。ちょっとやってみようか」
オレが掌の炎に注目していると、漠良はそんな事を言って枕元に置いてあるティッシュボックスからティッシュを一枚抜き取った。そしてそれを、揺らめく炎へ近付ける。普通だったらこんな薄い紙なんて即座に燃え上がる筈なのに、ティッシュには一向に火が付く気配が無かった。
「ね?」
ニコニコと微笑みながらオレに語りかける漠良に、オレは戸惑いつつもコクリと頷いた。頷いたはいいけど、どうして自分にこんな事が出来るのかが気になって仕方無い。
風に吹かれればすぐにでも消えてしまいそうな小さな火なのに、いつまでもチロチロと揺らめくそれをじっと凝視する。ふと、これを消すにはどうしたらいいんだ? という素朴な疑問が湧き上がって来た。すぐに海馬か漠良に尋ねようと思ったけど、ふいに頭に別のイメージ映像が浮かんで来たのに気付く。
それはアルコールランプだった。理科の実験の時によく使ったそのランプを消すのが、何故かオレは好きだった。キャップを横から近付けてカポッと嵌める。すると、それまで盛んに燃え盛っていた炎があっという間に消えてしまう。その炎が消える一瞬が、凄く楽しかったのだ。
試しに頭の中でアルコールランプを思い描いてみた。そして架空のキャップを掌の上の炎に被せてみる。するとその炎は、あっけない程簡単に消えてしまったのだ。
「あっ………!」
「凄い! もう消しちゃった! 消し方教えてあげようと思ってたのにー!」
オレの行動に、漠良が心底驚いた様に身を乗り出して叫ぶ。凄いねーと感心する漠良の横で、海馬は黙ってオレの事を見詰めていた。そしてふいに手を伸ばして来て、前髪を掻き上げてオレの額に掌を当てる。少し冷たい体温がヒンヤリとして気持ちが良かった。
「海馬…?」
「城之内…頭痛はどうだ?」
「え…? 頭…?」
「そうだ。さっきまで酷い頭痛がしていただろう」
そう言えば…と考えて、オレは自分の頭に手を載せる。さっきまでガンガンと痛んでいた頭痛は、今はもうスッカリ引いていた。まだ少し頭が重いような気はするけど、我慢出来無い程じゃ無い。
「痛く…無い…? 何で…?」
「やはりな…」
オレの答えに、海馬がふぅ…と大きく嘆息した。そしてきちんと座り直して、オレの顔を真っ直ぐに見詰めて来る。
「お前が先程まで感じていた頭痛はな…、お前の中の超能力が目覚め急激に成長した為に起こったのだ。普通はゆっくりと成長していくそれが、お前の場合は急に目覚めて、しかも成長が異常に早かった。多分オレ達の世界の城之内にシンクロしていた所為だと思うが…」
「え…? え? えぇっ!? これが超能力なの!?」
「そうだ。そしてお前の場合、超能力が余りに突然発露して成長した為に、脳がそれを留め置く事が出来無くなった所為で酷い頭痛を起こしていたのだ」
「ボクらの世界のランク的には、まだまだだけどねー。良くてEランク程度かな?」
「だがしかし、こちらの世界では超能力など有り得ない物だからな。本来だったら存在しない物に突然目覚めてしまったのだから、脳に負担が掛かりパニックを起こすのも仕方の無い事だ」
途中で会話に割り込んで来た漠良を少しキツク睨み付け、だけど海馬は冷静にそう言っていた。
「むしろこの程度で済んで良かったと思わねばな…。あちらの城之内並みの力を持ってしまったら、取り返しが付かない事になる」
「そうなるとさ、やっぱり心配なのはこちらの世界のもう一人の海馬君とボクだよね」
「そうだな」
「え…何で…?」
海馬の冷静な言葉に、今度は漠良も心配そうな声を出してそんな事を言い出した。何でそこで海馬と漠良の名前が出てくるんだ?
キョトンとしているオレの横で、海馬が漠良の方に視線を移す。
「まぁ…もう一人のボクの事は特に心配いらないけど」
「何故だ?」
「実はこっちに辿り着いたのは昨日の夜中だったんだよ。でも夜遅かったし疲れてたし、君に会うのはまた明日でいいかなって思って。でも野宿するのは嫌だったからどうしようかなーって思ってたら、偶然にもこっちのボクに出会ってしまったんだよね」
「こちらのお前に…?」
「うん。最初はビックリしてたみたいだけど、事情を話したらすんなり理解して貰えた。そこら辺は流石ボクだよねー」
「………」
「で、早速家に泊めて貰っちゃった。そういう事だから城之内君、ボクまでココに泊めてくれなくていいからねー」
ニコニコしながら明るく話す漠良の横で、海馬は真剣な表情を崩さない。そしてオレもまた一つの予感に縛られていた。
あの日…海馬が海外から一時帰国して、オレの部屋の前で待っていたあの時。オレの恋人の海馬と、この別世界から来た海馬は至極近距離に存在した。直接会う事は無かったけど、こちらの海馬は廊下でオレに組み敷かれ、目の前にいるこの海馬は奥の部屋で様子を伺っていた。
「それって…もしかして…」
一気に青冷めたオレに、海馬はコクリと一つ頷く。
「そうだ。『海馬瀬人』にも、オレとシンクロした可能性がある」
「っ………!!」
海馬の言葉に二の句が継げなくなったオレの横で、漠良が身体を乗り出して口を開いた。
「それからもう一つ、物凄く重要な事があるんだ」
「重要な事…?」
「うん、実はね…。影に乗っ取られた人物って意識は完全に影に明け渡してしまうんだけど、その人の好みや趣向が変わったりする事は無いんだよ。こっちに来る前に色々調べたんだけど、やっぱり例の影も例外じゃ無くてね。乗っ取られた人物は、自分の好きな物や人に惹かれる性質があったんだ」
「好きな…人?」
「そう。その影の犠牲者の多くは、乗っ取られた宿主と親しい関係を結んでいた人が多かった。家族とか友人とか恋人とかね。という事は…今あの影に乗っ取られているのは城之内君で、その城之内君が大好きな人物って誰かというと…」
「海馬…!!」
オレと漠良と、二人揃って海馬の顔を凝視する。だけど海馬はその話は事前に聞いていたらしく、特に驚く事は無かった。驚きはしなかったけど、何故かそれ以上に顔を強ばらせている。
「そうだ…。あの城之内が惹かれてやって来るとしたら、オレの筈なのだ。実際オレもこの世界にいるのだし」
「でも…お前はずっともう一人のオレを捜しているよな…? それってオレが見付からないって事だろ?」
「あぁ。だからオレは心配している。あの影に乗っ取られた城之内が、冷静な判断を下せるとは思えない。もしオレではなくて、別の人物を標的に選んでしまっていたら…。そしてその人物が、オレとシンクロして似たようなオーラを発してしまっていたら…」
「ま…まさか…っ。海馬…!!」
脳裏に海馬の姿が浮かぶ。
オレに廊下に押し倒されて、目を瞠って身動きが取れなかった海馬。耐えきれずに涙を流して、顔を背けて諦めた海馬。半ば放心状態のまま帰っていった海馬…。
「ねぇ、城之内君」
それまで浮かべていた笑顔を消して、漠良が真剣な表情でオレに迫る。
「今こっちの海馬君は…どこにいるか知ってる?」
漠良の言葉を聞きながら、オレは収まった筈の頭痛が再びガンガンと響き出すのを感じていた。
落ち着きモードの二礼です、こんばんは。
お盆も夏コミも終わり、大分落ち着いて来ました。
ふぅ…。漸くオタク作業に集中する事が出来るな…w
それはそうと、夏が終われば秋ですよね!!
秋と言えば、10月の社長オンリーですよね!!
いきなり何を言うのかと思われるでしょうが、そろそろ10月の社長オンリーに参加される方々が動き始めているのが見えて、今からwktkが止まりません…!!
つい最近まで「10月か~。遠いな…」なーんて思っていた筈なのですが、気付いたらあと一ヶ月半くらいしか無いとか…!
時が経つのは早いですねぇ…w
今から秋が楽しみで仕方有りませんが、10年来の友人が仕事の関係で札幌に引っ越す事が決定したりと、少し寂しい秋にもなりそうです。
数少ない異性のオタ理解者だったのに…。
東方だって熱く語り合える仲だったのに…。
コミケの時期には帰って来いよぉ~!!(>д<)
まぁ…w 今はネットがありますからw
いつでも連絡取れるんで問題無いんですけどね~w
飲み会で会えなくなるのが、ちょっと寂しいかな~って感じです(´・∀・`)
長編『あの夏の日の君へ』に第十二話をUPしました。
今回ちょっと短いですけど、丁度良い場所でしたのでここで区切らせて頂きました。
前回に引き続いて伏線回収の回なので、書いててとても楽しかったですw
今まで内緒にしていた内容を晒け出す瞬間って、どうしてこんなに快感なんでしょう…!!www
これがあるから長編は止められない!!
勿論短編も好きですけどね~(´∀`)
これから内容が少しずつ濃くなっていくと思いますが、ノンビリ続きを書いていきたいと思っています。
以下は拍手のお返事でございまっす!(´ω`)
>ねこま様
わーいv
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!!
子連れ城海SSを読んで下さってありがとうございます(*´д`*)
あのシリーズはかなりオリジナル色が強いので、そうしょっちゅう更新する事が出来無いのですが…。
それでもねこま様のコメントのように感想を頂けると、本当に嬉しくて仕方無いのです…!(><)
かなり自分勝手な設定で書いている事もあって、たまに「本当にコレ…いいのかなぁ?」と自信を無くしちゃう事もあるのですが、今回もねこま様のコメントを読んで心から励まされました。
素敵なコメント、本当にありがとうございます!!
これでまた自信が湧いて来たので、子連れの世界もチョコチョコ書いていこうと思っています。
おっさん同士の恋愛…いいですよねぇ~w
そうそう、瀬衣名ちゃんの事ですが…。
彼女は一応普通の娘さんです。
………なのですが!!
そこはほら…「ホモが嫌いな女子なんていません!」的なアレで、父親達の恋愛に興味津々なんじゃ無いでしょうか?w
おまけに私自身が、瀬衣名が早くに母親を亡くしているという事を考慮して、彼女を『年の割には精神的に大人』な女子高生として書いています。
それも、父親達の恋愛に対する理解力の一つなのでは無いでしょうか?
更に城之内に対しては娘でありながら母親としての役目も背負っていたりするので、母性本能的な想いで見守っているのだと思いますよ~。
まぁ…何にせよ、おじさん達はもう少し自重するべきですよねーw
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
追伸…『T田が見たら泣く』タグは、素晴らしいですよね…w 特に海馬ハードはいつ聞いても昂ぶります!w
それは真っ黒い影だった。
人の心に巣くう悪意は一様に『影』と呼ばれていたが、オレはあそこまで漆黒に染まった影を見た事は無かった。禍々しいまでに真っ黒に染まった、闇そのもののような影。その影が、青白く輝く聖なる光を覆い隠そうとしている。
海馬がトドメを刺した宿主は、もう半ば地面に崩れ落ちていた。胸から背中にかけて貫かれたその光る一本の剣が、宿主の身体からジワジワと這い出ている黒い影によって浸食されていくのが見える。慌てて剣を戻そうとした海馬だったが、その剣はまるで殺した宿主の身体に縫い止められているかのようにしっかり絡み付いていて、引き抜く事が出来無かった。海馬は何とか剣を抜こうと必死だったが、その間にも影は確実に浸食を進めている。青白い光が漆黒の影に覆われ、やがてその影が剣を握っている白い手にまで届こうとしているのをオレは確認した。
「海馬…っ!!」
強く叫んで、海馬の元へ駆け出す。オレは本能で、この影が通常の影とは全く違う、酷く危険な影である事を感じ取っていた。
今までオレ達超能力者が退治してきた影は、取り憑いていた宿主が命を落とすのと同時に、宿主と共にその存在が消滅してしまう物ばかりだった。だから今回もこれで終わりだと…オレを含め応援に来ていた能力者は皆そう思って安心していたのだ。
だけどそうじゃなかった。コイツはそんな生っちょろい相手じゃなかった。コイツは…この影がここまで力を増幅させ大きく成長した理由は、自分の宿主を殺した相手に取り憑き直す事で行なわれていたんだ。
今回、標的にした宿主は海馬が自分でトドメを刺した。そしてその所為で、新たな危険が海馬に迫っていたのだ。
「ひっ…!!」
自らの能力によって具現化した剣に纏わり付く黒い影に、海馬が青い目を大きく見開いて小さく悲鳴を放つ。ここに来て、この影の異常性に海馬自身も気付いたらしい。慌てて能力を解いて剣を消すが、その影は既に海馬の右腕に纏わり付いていた。
「海馬ぁーっ!!」
何か他の良い方法を考えている暇なんて無かった。そんな事をしている間に、海馬はこの影の新たな宿主になってしまう。だからオレは、考えるよりも先に手を出した。そうする事しか出来無かった。
「城之内…っ!?」
影が纏わり付く海馬の右腕を強く掴む。そして自分の重力操作の能力を使い、影をオレの方に引き寄せた。海馬の腕を掴んでいるオレの左手から、その真っ黒い影は一気にオレの中に浸食してくる。皮膚からじわりと染み込んでくる生温かい影の感触が、物凄く気持ち悪い…。
「っ…うっ…!!」
影の浸食は、思った以上に早かった。流石にここまで成長した影だけはある。強い能力を持っているオレでさえ、自分の中を駆け巡るドス黒い悪意には何の抵抗も出来無かった。
急速に身体の自由が奪われて、オレは耐えきれずにその場に蹲る。オレの中に入った影は、オレの血管や神経を伝い一気に脳を支配し始めていた。目の前がぐらりと揺れる。視界がぶれる。頭が重い。何も…考えられなくなる。心が…心が黒く染まっていく。
「じ…城之内…っ!! 城之内っ!!」
必死の形相でオレの名を呼ぶ海馬。愛しい愛しい海馬の顔が、ボンヤリ霞んで…見えなくなった。
目が覚めたら、そこは自分の部屋だった。布団に寝かされていて、オレンジ色の常夜灯を灯す天井の電気がボンヤリと目に入ってくる。
襖を隔てた向こうは台所と間続きになっている居間だけど、そこからボソボソと話し声がするのに気付いて、オレは布団から起き上がった。何だか重たい身体をゆっくりと起き上がらせると、途端にズキリと頭が痛む。
「っ………!」
前頭葉から脳の中心に掛けてズキズキと疼く頭痛に、思わず自分の額に掌を当てた。風邪を引いた訳でも無いのに、こんなに頭が痛む事なんて…今まで一度も無かった事だ。もう一度布団に倒れ込みたいのを我慢して、オレはそれでも何とか立上がった。喉も渇いていたし、何より襖の向こうの話し声が気になって仕方無い。
壁に手を付いて襖に近づくと、やっと向こう側の話し声がハッキリと聞こえてきた。
「どうしてこっちの城之内君に、ちゃんと教えてあげなかったの…」
最初に耳に入って来たのは、漠良の声だった。どうして漠良がウチに居るんだ…? と考えて、昼間の事を思い出す。
そうか…。今ここにいる漠良は、オレの同級生の漠良では無いんだ。この漠良はオレより少し年上の…あの別世界から来た海馬と同じ世界の漠良なんだ。…とそこまで考えて、オレは昼間の事を思い出した。
児童公園の入り口で大人の漠良に出会い、少し話をしてオレはあの海馬を傷付けた犯人が『もう一人のオレ』だという事に気付いてショックを受けた。全身から力を無くして、買って来たアイスが入っていたビニール袋を地面に落として…。あぁ、そうだ。だから慌てて落ちた袋を拾おうとしたんだ。
足元に半分溶けかかったカップアイスが転がっている。しゃがんで慌ててそれを拾ってビニール袋の中に入れ、そして立上がろうとした。だけどその途端、耐え難い頭痛に襲われてオレはその場に倒れ込んだんだ。
『え…? 城之内君…!? ち、ちょっと…!?』
突然倒れ込んだオレに漠良が焦ったような声をあげて、慌てて近寄って来てオレの身体を支えてくれた。腕を掴む腕力が意外と逞しいな…なんてそんな事を思って、それを最後にオレは意識を失ってしまったんだ。
それから先はどうなったのか分からない。ただ今家に居るって事は、あの漠良がここまで連れて来てくれたんだろう。もしくは海馬に連絡して、迎えに来て貰ったのかもしれない。どっちにしろ、ちょっと情けない姿を晒してしまった事には変わらないらしかった。
自分の不甲斐なさに頭を抱えつつも、オレはボソボソと続けられている会話に耳を傾けた。
「そこまで事件の詳細を打ち明けてた癖に、どうして肝心の犯人について言わなかったのさ。ボク、彼が自分で気付くような事を言っちゃったじゃん」
「スマン…。いつか…折を見て話すつもりでいたのだ」
「折りっていつ? 城之内君を見付けた時とか?」
「いや、流石にそれは…。だがせめて、貴様が来るまでは…と」
「そんなの隠してどうするのさ。いつかは知れる事なのに」
「だが…! もう一人の自分がそんな大変な事になっている等と…そんな簡単に言える訳無かろう!」
「それはそうだけどね。でもよく考えてもみなよ。世界は違っても、あの城之内君なんだよ? そんな事でショック受けたりすると思う?」
「そ、それは…」
「むしろ今まで隠されてた事の方がショックだったと思うよー」
「っ………!」
漠良の言葉に、大人の海馬が呻いて黙り込む。
オレは海馬が好きだし、この海馬はオレの恋人では無いけれど、大概の場合は海馬の味方をする事にしている。だけど今度ばっかりは、オレも大人の漠良の意見に心底同意せざるを得なかった。
「海馬…。余りオレを見くびるなよ…」
襖をスラリと開いてそう言えば、居間の真ん中で立ち話をしていた海馬は驚いた表情で振り返って、オレの顔をじっと凝視した。
グラグラと目眩がして真っ直ぐ立てなかったから、入り口の柱に凭れ掛かって海馬を軽く睨み付けてやる。頭がガンガン痛んで呼吸も荒くなり、冷や汗もだらだら出て来た。それでもオレは、海馬から視線を外す事はしなかった。
「城之内君…? 大丈夫? 顔真っ青だよ」
大人の漠良がオレの状況を見て、物凄く心配そうな顔をして近付いて来る。
「大分辛そうだね…。ちょっとそこに座ってくれる?」
「………」
漠良に言われて、オレは柱を背にしたままズルズルとその場に座り込んだ。少し項垂れてふぅ…と深く息を吐き出すと、額に温かい掌の感触を感じる。顔を上げると、漠良が真剣な目をしてオレの事を覗き込んでいるのが目に入ってきた。
「身体の力抜いててね」
優しい声でそう言われて、オレは素直に身体の力を抜いた。その途端、目の前が優しいクリーム色の光りに包まれて、同時に額がポワッと温かくなったのに気付く。頭の中は相変わらずズキズキと痛かったけど、どうやらそれが漠良の治癒能力なんだろうなぁ…と感じていた。
「どう…? 痛み取れた?」
オレの額を掌で押さえながら、漠良はそうオレに質問してきた。だけどオレは、その問いに静かに首を横に振って応える。優しい熱が額から頭の中に入ってきて、それで少し楽になった気がしたけど、痛みは一向に治まる気配が無かった。
漠良は暫くオレに光を当てていたけど、やがてスッと身を引いて至極真剣な顔をしてオレを見詰めた。
「やっぱりこれ…。病気とか怪我とか、そう言うんじゃないね」
ズキズキと激しく痛む頭を抱えつつ、オレは目の前の漠良をそっと見上げる。
病気でも怪我でも無い…? それじゃこの頭痛は、一体何だというのだろう?
余りの痛みに言葉を放つのも億劫で目だけでそう問い掛けたら、いつの間にか近くに来ていた海馬が「城之内」とオレの名を呼んだ。そして漠良の隣に座り込んで、オレに視線を合わせてくる。青い瞳が真っ直ぐにオレの事を見詰めていた。
「海…馬…?」
「城之内…。全てを話そう…。その頭痛の事も、オレの恋人の城之内の事も…。全て…話すから…」
オレを見詰める海馬の目はどこまでも真剣で、オレに語りかける声も低くて静かで…。
だからオレは、この海馬が本気で話をしようとしている事に気付いた。
「うん…分かった…」
痛む頭を庇いつつ、ゆっくりと首を縦に振る。
「全部…何でも話…聞くから…。だからお前も…全てを話してくれ…」
「あぁ」
オレの言葉にしっかりと頷く海馬を見ながら、オレは先程まで見ていた夢を思い出した。そして数日前、海馬が放った一言も…。
『やはりオレ達は…オレと城之内は、共に幸せにはなれないのかもしれないな…』
海馬のその台詞が、どんな意味を含んだ言葉かなんて…。何も聞かなくても、オレはもう完璧に理解していたんだ。
夏の予定終了の二礼です、こんばんは。
13日は横浜の実家に墓参りに、そして14日は夏コミ二日目に行って参りました~!
墓参りをした13日は非常に涼しくて過ごしやすかったのですが、14日にはまた暑さが戻って汗だくになってしまいました…w
流石にもう朝から並ぶような体力は無かったので、私は開場後にゆっくり行ったのですが、何人かの友人は朝8時くらいからもう既に並んでいたようです。
頑張りますよね~…本当に…(´∀`;
まぁ昔に比べると大分「同人誌を買い漁りたい!!」という気力が落ちて来ているので、私としては丁度良い時間帯に行ったと思っています。
11時過ぎに現地に到着して、待ち時間ゼロで入れましたからね~!
素晴らしい!!
ま さ に 勝 ち 組 !! (笑)
一応いくつか他ジャンルもチェックしていたのですが、買ったのは結局遊戯王関連だけでした~。
気力無さ過ぎ!!w 今までのコミケでの散財記録の、最低金額を樹立ですよwww
お陰でコミケ後だと言うのに、財布の中身は大層充実しております…w
あとは知り合いの所に差入れをポイポイ投げてきて、僅か一時間で帰って参りました。
うん、まぁ、こんなモンでしょ~!
でもコミケのあの雰囲気は大好きなんですよ~!
ゴミが人のようd…いや人がゴミのようですが、あのザワザワとした活気有る雰囲気が本当に「楽しいなぁ~!」と感じるんです(´∀`)
周りの人が楽しんでいるのが、自分にも伝わってくるという感じがするんですよ。
こういう所がやっぱり根っからのオタク気質なんでしょうねぇ~w
行く時間が遅くなっても、使うお金が減っても、あの楽しい雰囲気だけは変わらないのでコミケは止められません!
そんなこんなで、今年の夏も無事終了でございます(はやっ!!)
さて、次行くイベントは10月の社長オンリーですね~!!
今から凄く楽しみです!!♪
それから後は冬コミになるのかな。
………。
時が経つのは早いなぁ…;
もう今年も終わっちゃうじゃないか…orz
子連れ城海シリーズのSS集に『夏の夜の…』をUPしました。
久しぶりの子連れ城海です~!!
本当は日記だけの予定だったのですが、一日ゆっくり休んだら微妙にやる気が出て来たので、久しぶりにSSを書いてみました。
普段使う一人称は海馬か城之内のどっちかなので、高校生の普通の女の子の一人称が難しく感じました…w
ていうか、女子高生の一人称ってこんな感じでいいのか? 激しく自信が無いのですが…;
………ま、いっかー(´ω`)
それにしても…。
これを書いていて本気で社長の喘ぎ声が聴きたくなって参りました…w
普段男らしいだけあって、逆にこういう時に聴く声って物凄く熱っぽくて色っぽいと思うんですよ~!!
あぁ…一声…。一声だけでいいんだ…!!
社長の喘ぎ声プリィィィィーーーズ!!
城之内×海馬。
城之内瀬衣名ちゃん(17)の一人称です。
40歳過ぎたお父さん達の情事を目撃してしまうのは…非常に微妙な気持ちだと思います…w
ご愁傷様です…(´人`;)
夜中に喉の渇きを覚えて目を覚ました。
今日の夕飯のおかずは『茄子の辛味噌炒め』だった。夏だからっていうんでパパが濃いめに味付けをして、おまけに海馬のおじさまが出張お土産として持って来てくれた辛子明太子がとても美味しかったので、それもご飯のおかずとして一杯食べてしまったのだ。
それだけ辛くてしょっぱい物を食べれば、喉が渇くのも当たり前。私はむっくりとベッドから身体を起こすと、まだ眠気で重たい身体を引き摺って自分の部屋を出た。
廊下からキッチンの方に視線を動かすと、そこにはまだ明かりが付いていて、更に話し声が聞こえてくる。どうやらパパと海馬のおじさまはまだ起きているらしい。
二人の邪魔をするのは嫌だなぁーと思いながらも、喉の渇きには勝てなくてそっとキッチンに近付いて行く。廊下からキッチンに繋がるガラス戸は閉められていて、中の話し声はハッキリとは聞こえない。だけどドアの取っ手に手を掛けたその時、私はノブを回そうとしていた手を無理矢理押し留めて、ゴクリと息を飲んだ。
キッチンと繋がっているリビングには、大きな革張りのソファーが置いてある。そのソファーはこちら側に背を向ける形で置いてあるんだけど、その背からパパの金髪がチラチラと見えていた。それだけだったら別に驚かないんだけど、私が目を瞠った理由はソファーの端っこの方に見えた物の所為だった。
ソファーの背から、白くて細くて長い足が床に向かって零れ落ちていた。パパの金髪が何か上下に動く度に、その白い足もピクピクと動いている。それだけじゃない。今度は足とは逆の方から白い腕が上に伸びてきて、細い指先がソファーの背をキュッと掴んだ。まるで何かに耐えるように、その指先も細かく震えている。
そこまで見れば、このドアの向こうで何が行なわれているかなんて一目瞭然だった。つまりパパと海馬のおじさまは、ソファーの上で『致してしまって』いるって事なんだ。
もうっ!! パパったら娘がいるっていうのに何やってるのよ!!
パパも海馬のおじさまも四十過ぎの落ち着いた良い大人だ。だから普段は私が家にいる時には、絶対にこんな事はしない。私や海馬のおじさまの息子の克人がいくら二人の関係を熟知していても、それを余り深く感じさせようとはしなかった。それがパパや海馬のおじさまの、大人としての気遣いだって事は充分分かってる。
だからこそ…私がこんな場面を目撃してしまったのは初めての事だったのだ。二人がどんな関係かなんて嫌って程知ってるし、その…なんていうか変な想像をしちゃった事あるけど、それでも想像と実際目にするのとでは大きな違いだと…思うのよね。
「………」
でもそこまで考えて、私は「まぁ…仕方無いかな」と自分の考えを改めた。
パパも海馬のおじさまも、ここのところずっと忙しそうだった。特に海馬のおじさまは国内外問わずずっと出張ずくめで、パパとゆっくり電話する事すら出来無かった筈。私がぐっすり寝込んだのを確認して、我慢出来無くてついついヤり始めてしまったのも…納得出来る話ではある。
だって…もし私と克人がパパ達と同じくらい会えなかったり話せなかったりしたら、顔を見合わせた瞬間にきっと我慢出来無くなっちゃうと思うのよ。そういう自信もあるしね。
仕方無いなぁ…。お水は洗面所で飲もう…
流石に盛り上がってる最中の所を邪魔する勇気は無くて、私はクルリと方向転換した。そのまま足音を忍ばせて洗面所に向かおうとしたその時…。
「んあぁ…っ!!」
不意に大きくて艶めかしい喘ぎ声が聞こえて来て、一気に顔が熱くなっていくのが分かった。
もう!! 前言撤回!! やっぱ娘が家にいる時はそんな事しないで!!
だってだって、海馬のおじさまの喘ぎ声って…本当に甘くてやらしいんだもん!! こんな声聴かされちゃ、私だって我慢出来無くなっちゃうよーっ!!
洗面所で満足するまでお水を飲んだら、すぐに部屋に戻って携帯を取り出そう。そして今すぐ克人に「明日すぐ会いたい!!」ってメールしよう!
もう…もうもう!! 娘をこんな悶々とした気持ちにさせないでよ!!
パパ達の馬鹿ぁーーーーーーーーっ!!
予定一杯の二礼です、こんばんは。
世間はすっかりお盆ですね~!
私も明日は実家の墓参りに行かなくてはなりません。
そして14日はコミケです…w
自分の予定とは言え、やる事が一杯詰まっていると気が急いでダメですねぇ…(´∀`;
少し落ち着いて色んな事を片付けていきたいと思っているのですが…コミケwktkには敵いませんなw
…とは言っても、余り買う物は無いんですけどね~!
若い頃に比べて体力や気力が落ちてきたので、今は本当に厳選した物しか買いませんw
肩が抜けそうなくらいに重い荷物を担いでも、全然平気な顔をして一時間半以上の道のりを帰っていたあの頃が懐かしいですわ…w
今はもう無理ですねぇ…。
むしろ現地に行くだけで、疲れ果てます…w(どんだけだyp!!)
昔は「このままオタクが辞められなくなったらどうしよう…!!」とか本気で自分の将来を心配していたものですが、これなら何とかなりそうな予感がしますw
勿論腐女子は辞められないでしょうが、昔みたいに毎回イベント行って大金使ったりする事も無くなりましたしね。
年々購入する同人誌の量も減っていますし、このまま落ち着いた腐婆(笑)になりたいと思っています(*´д`*)フモー
長編『あの夏の日の君へ』に第十一話をUPしました。
起承転結の『転』に入って参りました。
うん…まぁそういう事なんですよw
どうして城之内君がそんな事になっちゃったのかとか、大人海馬君の本意はどこにあるのかとか、何で漠良を呼んだのかとか、そういうのは次回にじっくり書いていこうと思っています。
こういう長編を書いていると、毎回『転』のターンでは自分でも燃え上がってくるんですよね~!
それまで隠していたり、微妙に散らしていた伏線を回収し始めると、一気にやる気になってくるんですw
よっしゃ!! 楽しくなってきた!!
頑張って続き書こうーっと!!
その後、オレは結局海馬に手を出す事は無かった。海馬と全く同じ姿をしていてどんなに魅力的に見えても、コイツはオレの恋人の海馬じゃ無い。この海馬に手を出すという事は向こうのオレを悲しませるという事になるし、何よりこちらの海馬を裏切る事になる。それだけはどうしてもしたくなかった。何だかんだ言ってもオレは自分の恋人である海馬を一番に愛しているし、どんなに報われなくてもこの想いは大事にしたいと思っているから。
「ゴメン…。オレちょっとパニくってたみたいだ…」
「落ち着いたか?」
「うん」
「それなら良かった」
すっかり落ち着きを取り戻したオレに海馬はニッコリと優しそうに笑って、もう一度ポンポンと頭を撫でてくれた。その行為が本当に嬉しくて、オレは泣きそうになりながらも着替えを持って風呂場に向かう。ぬるめのシャワーを浴びながら、オレはさっきよりずっと心が和んでいる事に気付いていた。
交代で風呂に入った後、夕飯は簡単に済ませてしまおうという事で素麺を茹でて、作り置きのおかずと一緒に二人でもくもくと食べていた。海馬と素麺なんていう組み合わせなんて考えた事も無かったけど、白くて細い麺を啜るその姿が結構堂に入ってて微笑ましいと思う。
「なぁ…。向こうのオレってどんな力持ってるの?」
氷水で冷やした麺をズルズルと啜りながら、オレはふと…ずっと気になっていた疑問を口に出した。オレの言葉に海馬はピタリと止まり、素麺を半分つゆに浸したままキョトンとしている。
『ランクSS+(ダブルエスプラス)。史上最強の炎使い。名前を『城之内克也』という』
あの夜の公園で、この大人の海馬はもう一人のオレの事をそう言っていた筈だ。そして海馬の着替えの荷物が届いた朝には、向こうのオレには五つの能力があるとも言っていた。つまり生れ付き持っているという第一能力は、多分火とか炎を扱う能力で間違い無いだろう。そして四番目が後から人工的に付け足された治癒能力の筈。それから五番目が例のラック能力だ。
この時点で分かっているあちらの『城之内克也』の能力は三つ。五引く三は二。つまりあと二つ、このオレが知らない能力がある筈だ。
「炎と…ヒーリングと…あとラックだっけ? これで三つ。という事は、あと二つ能力があるという事だよな?」
「…そうだな」
「そのあと二つの能力って一体何だ?」
「…何故そんな事を訊く?」
「え…? 何故って…」
海馬は箸を揃えてテーブルの上に置き、黙ってオレの顔を見詰めていた。気のせいかもしれないけど、その顔は微妙に強ばっているようにも見える。
それはオレがこのもう一人の海馬と出会って、初めて目にした表情だった。何かを言いたいのに、上手く言う事が出来無い。言うか言うまいか迷っている。そんな風に見える。
「だって…ほら、やっぱ気になるじゃんか。もう一人のオレの話だしさぁ…」
「そう…だな」
オレの言葉に海馬が微妙に言い淀んでいる。何とも言えない空気が辺りを包んでいた。
本当にこんな事は初めてだった。いつでも色んな話をしてくれたこの海馬は、今は何も言いたくないと…言わせないでくれと無言で訴えている。
「あの、別に言いたくないんだったら…」
「第二能力は、確か重力操作系能力だった筈だ」
この重たい空気に耐えきれなくて話題を切ろうとした時だった。オレの言葉に被せてくるように、海馬が口を開く。まるで無理矢理零したかのような、ピリリとした空気を纏った言葉だった。
「重力…操作?」
「そうだ。重力を利用して相手の身体を重くして動きを遅くしたり、逆に自らの身体を軽くして身軽に飛び回ったり、そういう事が出来る能力だ」
「それが第二能力?」
「あぁ。城之内が持って生まれた…二つ目の超能力だな。結構便利だと言っていた」
「それじゃ三番目は?」
「三つ目は…」
第三能力。向こうの世界の、もう一人のオレが持って生まれた最後の能力。第一能力や第二能力よりは力は強くないんだろうけど、それでも重要な能力の筈だ。
海馬は何かを言い出しかけて、そして口籠もってしまった。その後少し考える振りをして、やがて苦笑しながら「何だったろうな…。他人の能力だからな、忘れてしまった」と言った。
虚空をゆらりと動いた青い視線が、海馬のその言葉が嘘だという事を知らしめている。恋人であり、超能力者としての師匠でもある『城之内克也』の力を、海馬が知らない筈が無い。ましてや忘れてしまう事なんて絶対に無い筈だ。それでも、そんな下手な嘘を吐いてでも隠し通そうとする海馬の意志が見えて、オレはもうそれ以上の追求をする事をやめる事にする。
海馬がこんなに必死になって隠し通そうとしているという事は、その第三能力に結構重要な秘密が隠されているという事だ。それが気にならないと言ったら嘘だけど、これ以上海馬を困らすのも嫌だった。
「そうなのか。残念だなぁー。思い出したら絶対教えてくれよ?」
仕方無いのでそう言ってその場は収めて、後は残りの素麺を無言で食べ続ける事に専念する。
今までこの海馬は、もう一人のオレの事を話す時は本当に幸せそうにして、綺麗な笑顔で教えてくれたものだった。それが突然怖いくらいに顔を強ばらせて口を噤んだ海馬を見た時、オレは何となく今回の事件に『オレ』が関わっているんじゃないかなぁ…と感じずにはいられなかった。
その晩、オレは夢を見た。
オレは高いビルの屋上にある給水塔の上に立っていて、すぐ下にたむろっている何人かの人間を見下ろしている。その中の一人が海馬で、オレを見上げて必死の形相で何かを言っていた。でもその声は全く聞こえない。耳元で吹きすさぶ風が強過ぎる…。
何だか良く分からなかったけど、オレはそこから一刻も早く立ち去りたかった。だから足元の給水塔を蹴って、ビルの外に飛び出した。身体は信じられないくらい軽くて、まるで空気を踏むように飛ぶ事が出来る。目の前には空中にポッカリと開いた黒い穴。確認しなくても分かる。この穴は…オレが開けた。
早く…早く早く早く、あの穴に入り込まなければ!
じゃないと捕まってしまう! 今度こそ…本当に殺されてしまう…!!
勢いを付けて穴に飛び込む。自分の身体が穴に入り込んだ事を確認して、直ぐさま穴を閉じようとした。…でもそれは出来無かった。オレの右手を…誰かが掴んでいた。
「海…馬…?」
振り返ると目に入ってきた海馬の顔。眉を寄せて…泣きそうな顔をして…それなのに青い瞳だけは強い光を宿して。
「城之内…っ!!」
強い叫びが聞こえて来た瞬間、夢はそこでプッツリと途切れた。
それから数日後。カレンダーはすっかり八月に入って、毎日暑い日が続いていた。
その日はバイトも休みで海馬も家にいた為、冷たいアイスでも買って来ようと昼下がりの街を一人で歩いていた。近くのコンビニで棒付きのとカップのとプラスチックケースに入っているアイスを吸い出すのと、それぞれを二つずつ買って溶けない内にと少し急ぎ足で家に帰る。途中、あの海馬を拾った公園の脇を通りかかった時、オレは何か白い物を見た気がして足を止めてしまった。
小さな児童公園の入り口に、だれかがフェンスに寄り掛かってこちらを見ている。夏の風に靡く真っ白の髪。あんな髪をしてる奴なんて、オレは一人しか知らなかった。
「漠良…?」
思わず頭に浮かんだ名前を口に出す。近寄っていってみると、そいつは確かに漠良だった。オタクで天然で…その癖美形で女の子にモテモテの漠良了。その漠良がオレを見て、ニコニコしながら細い手を振っていた。
そう、確かに漠良の筈だ。それなのに何故か違和感がある。その違和感には覚えがあった。今オレん家で居候している、ちょっと大人のもう一人の海馬と出会った時に感じた、あの違和感とそっくりだったんだ。
「お前…誰?」
「ボク? 漠良了だよー?」
オレの質問に小首を傾げて答える漠良は、まさにいつもオレ達と連んでいる漠良とそっくり一緒だ。だけど、コイツが『オレが知っている漠良了』では無いという事は明白だった。何故ならば目の前にいるその漠良は…オレより少し年上だったから。
「あのさぁ…。お前、どこから来たの?」
「あれ? 流石に勘が良いねー。もうバレちゃった」
全く悪びれずに大人の漠良はそう言うと、胸元から一枚のカードを見せつけてこう言った。
「どうも。『機関』から派遣されて来ましたヒーラーの漠良了と申します。初めまして、『こちら』の城之内君」
目の前に突き付けられたカードには、物凄く見覚えがあった。何故ならばそのカードは、もう一人の海馬を拾ったあの夜に見せて貰った物と全く一緒だったから。
NAME:Ryo Bakura
Blood type:AB(RH-)
Birthday:9/2
Ability: first/heal
Rank:S
おぉ…凄ぇ! Sランクだ!! とそんな事に感動して、でもその上の欄を見て首を捻った。
あれ…? アビリティが…一個だけ? 確かこの『heal』っていうのが治癒能力だよな? 海馬の三つ目の能力の所にも、そう書いてあった筈。でも何で一個だけ? だって海馬は三つあった筈だ。もう一人のオレに関しても四つだか五つだか持っている事は確定している。それなのに一つだけ? 一つだけなのにランクS?
「何? 何か変?」
さも得意げに掲げられたカードを訝しげにじーっと見ていたのが気になったんだろう。漠良がオレの顔を覗き込んできた。
「君がウチの海馬君と出会って、今は一緒に住んでいるって事はもう知っているんだよ? このカードだってもう見せて貰ったんじゃ無いの?」
「うん。見せて貰ったけど…」
「じゃー別におかしいところは無いでしょ?」
「おかしくは無いけど…。何でお前、能力一個しか無いの? それでSランク?」
「むっ…! 君は失礼だなぁ…」
オレの言葉に漠良は眉を顰めて不機嫌そうに睨んで来た。でも、大して怖く無いと感じるのはコイツが漠良だからなんだろうか…?
「能力が一個しか無くても、それが凄く強いから問題無いの! ボクは『機関』専門の超有能ヒーラーなんだから!」
「ヒーラー?」
「そう。生れつき強い癒し能力を持っている能力者なんだよ」
その言葉で思い出した。確か海馬も『主にヒーラーと呼ばれている能力者達は、自分の持っている第一能力にヒーリング能力…つまり自分や他者の怪我や病気を治せる能力を持っている人達が名乗れる称号だ』なんて事を言っていた。という事は…そのヒーラーがこの漠良って事か…。イメージ通りというか…逆にイメージに合わないというか…微妙な感じがする。
「で…? そのヒーラーの漠良がこっちの世界に何の用だよ」
「だから何でそんな可愛く無い事を言うの。ボクは海馬君に呼ばれて来たんだよ?」
「え…? 海馬に…?」
「そう。だから出張に行っていた時空系能力者が帰って来るのを待って、その人に協力して貰ってこっちの世界に飛んで来たっていう訳」
「時空系能力者…?」
「え? 何? そういう話聞いて無いんだ」
オレの疑問に、漠良はさも意外そうに大きな瞳を何度も瞬きしていた。
「時空系能力っていうのは、時間や空間を自由に飛び越えていける能力なんだよ。この能力が無いと、いくら強い力を持った超能力者でも他の世界に移動したりなんて出来無いの」
「そんな能力あるのか」
「そう。本当はもう一人強い時空系能力者がいたんだけどね。その人は…ほら、例の『影』に取り憑かれちゃって、こっちに逃げて来ちゃったからさぁー」
漠良の話を聞いている内に、オレは初めてもう一人の海馬と出会った時の晩を思い出していた。その時…海馬は言っていた。影に取り憑かれた能力者は、かなりの実力の持ち主だったと。そして自らの時空移動の能力を使って別世界に逃げたのだと…。
「そう言えば…そんな事言ってたな」
「でしょ? 大体ズルイんだよーっ! 第三能力の癖にそんな強い時空移動能力持ってるとかさ。第一能力だけでも化け物並みなのに! この事件の話聞いて、ボクを送ってくれた時空系能力者なんて物凄く落ち込んじゃったんだからね。自分だって何の用意も無しに、そんな簡単に空間飛んだり出来無いって」
「第三…能力…?」
あれ? 何だろう…。今なんか、ちょっと引っ掛かった。
数日前の海馬の顔が脳裏に浮かぶ。微妙に強ばった表情をしながら、忘れたと言い張ったもう一人のオレの第三能力。第一能力は炎。史上最強の炎使いと呼ばれているくらいの、強い超能力者。
思い出せ。初めて大人の海馬に出会ったあの晩、海馬がどんな怪我をしていたのか。剥き出しになった左腕。真っ赤に焼け爛れた…一回のヒーリングで治りきらなかった酷い火傷。あちこちに焦げ目が付いていたコート…。
「ま…まさか…っ!」
手に持っていたコンビニ袋がスルリと滑り落ちて、ガサリと音を起てて地面に落ちる。スッカリ溶けたアイスがグシャリと潰れるの音を…オレは信じられない思いで聞いていた。
花火疲れの二礼です、こんばんは。
土曜日は地元でやっている毎年恒例の花火大会に、今年も観覧しに行って来ました~!
この花火大会。少し前までは墨田に比べればかなり地味な存在だった筈なのに、打ち上げる花火がど派手な事もあって、その派手さで有名になって今や超大型花火大会になってしまいました。
10年前に初めて行った時は、当日の昼間に席取りしに行っても余裕だったのに、今は始発で行っても殆どが埋まっている始末…w
人増え過ぎwww 自重しろwww
まぁ…取り敢えず無事シートも貼り、一旦家に帰り(現地から20分程度)二度寝モードに。
昼くらいに起きてきて、お弁当を作って今度は自転車で出発しました。
何故自転車なのか…。
それはですね、電車だと檄混みで全く身動きが取れなくなるからなのです…w
人にギュウギュウ詰めにされて蒸し焼きになるくらいだったら、多少体力使っても自転車で颯爽と現地入りした方が楽なんですよ~w
ちなみに自転車と行ってもママチャリでは無くクロスバイクなので、スピードも結構出るのでそこまで大変では無いのです。
駅前の有料自転車置き場に入れて(無料だと盗まれる可能性が高い為。特にクロスバイクは本体がとても軽く、女性でも簡単に持っていけちゃうんです)、友人達と合流し後は徒歩で現場まで。
作ったお弁当やジュースを飲んで(本当はビールとかチューハイとかを飲みたいのですが、自転車で来ている為断念w ご存じの通り自転車は軽車両なので、飲酒運転が適用されます)、花火が打ち上がる瞬間を待ちました。
そして午後19時15分、打ち上げ開始!!
………。
いやぁ~!!
今年も本当に綺麗でした~!!(*´∀`*)
席取りやお弁当の準備等は本当に大変なのですが、それに見合う素晴らしい花火ショーを見られるので、苦にはならないんですよね~!
そういや去年も何枚か写真を貼っていた事を思い出したので、今年も何枚か貼らせて頂きます。
…全部相棒が撮った写真ですけどね…w
こんな感じです。
写真じゃ現地で見た時のど迫力具合が伝わらないので、軽くジレンマですね…w
ちなみに一枚目の写真、何だか鳳凰が羽ばたいてるように見えませんか?
個人的に物凄く気に入った一枚ですw
今年も色んな新作の花火や、新色を見られて満足でした~!!
今から来年が楽しみです(´∀`)
さて、花火も楽しんだし、木曜日は小説の続きを書かなければ…。
週末は夏コミもあるし、まだまだ忙しいぞ~!!
(仕事の忙しさとは違うので、心が楽です…w)
まったりモードの二礼です、こんばんは。
8月に入って何とかシフトが落ち着いて、それまでの『忙しくてカリカリモード』から『まったり落ち着いて過ごそうモード』にスイッチを切り替えました。
このモードは体力的にも精神的にも落ち着いて、非常に過ごしやすいのですが…。
如何せん、小説を書くという気力までゴッソリ持って行かれるから困りますw
何でこう上手く行かないかな~? この丁度中間のモードが欲しいのに…w
と言っても別にスランプとかでは無いので、8月は無理しないでまったり更新をしていきたいと思っています。
長編の続きも書きたいし、絵も描きたいし、短編エロネタも浮かんだのでそちらも書きたい…!!
やりたい事は一杯ありますけど、無理はいけませんよね~!
むしろやる気があるだけマシってものですw
長編『あの夏の日の君へ』に第十話をUPしました。
ね~? 大丈夫だったでしょ~。
海馬君へのレイプ未遂より、むしろ大人海馬君への浮気疑惑の方が問題だったりして…w
うん、これに関しても大丈夫ですよ~。
城之内君は浮気なんてしませんし、何よりあの大人海馬君がそんな事させないでしょう。
ただちょっと色んな事が重なって、混乱しちゃっただけだよね~。
ね、城之内君☆
………。
まぁ…混乱したからと言って恋人をレイプしようとしたり、恋人のそっくりさんに浮気しようとしたりするのはダメな事ですが…(´∀`;
ここまで来ると、二組の城海を早く落ち着かせてあげたいな~なんて思いますw
以下は拍手のお返事になりま~す!(´∀`)
>狭霧様
こんばんはです!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~v(*'-')
いつも誤字指摘ありがとうございます…w
お陰様でとても助かっています。
以前に言いました通り、自分じゃどんなに入念にチェック入れても目が滑って見付けられないんですよ…。
やっぱり読んで下さる人達の目って大事なんだなぁ~と、改めて強く思わされました。
長編『あの夏の日の君へ』も読んで下さってありがとうございます♪
コメントにあった大人海馬の「ああああ、待て待て!」の台詞には笑わせて貰いましたwww
何か一気にほのぼのとした感じになりますよね~!
実際にこうだったら、全てが丸く収まったんでしょうけどねぇ…(´・∀・`)
本当…自分で書いていて何ですが、とても残念です…w
ちなみに7月の更新スペースは、かなり遅かったんですよ~?
前半はそうでもありませんでしたが、後半は週に一度くらいしかしていませんでしたし。
まぁ…下手にやる気だけはあったので、気持ちが急いでいただけかもしれませんがね…w
何はともあれ漸く落ち着いたので、無理しないようにして頑張ります!
狭霧様も暑さと湿気には気を付けてお過ごし下さいませ~!
それでは今日はこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
去年の大晦日の時、ちょっと面倒臭くて廊下の電気はそのままにしておいた。古い電球は大分灯りが落ちていて、黒っぽく感じるオレンジ色の光が薄汚れた廊下を照らし出している。その薄暗い光の下に…海馬の白い肌が一際目立って浮かび上がっていた。
透き通るような白い肌に、桃色に染まる突起が目に付いた。ずっと見たかったその光景に思わずゴクリと喉を鳴らすと、下敷きにした身体がピクリと動いたのを感じる。押さえ付けている両腕が小さく震えている事に気付いてオレは視線を上げて…ギョッとした。
「か…海馬…?」
海馬は青い瞳を目一杯開けて、真っ直ぐにオレを見ていた。その瞳に浮かんでいるのは驚きと怯えの感情で、先程まで浮かんでいた怒りや蔑み等は一欠片も残っていない。白い顔を真っ青にして、ただ黙ってオレの事を見詰めている。やがて…その瞳にじんわりと涙が浮かんできた。涙に覆われた青い瞳から驚きと怯えが消えていき、やがて諦めの色が濃く浮かんで来る。そして海馬は…下唇を強く噛み締めて、ギュッと瞼を閉じた。溜っていた涙がボロッ…と眦から零れ落ちて、海馬はそのまま顔を横に背ける。押さえ付けていた腕からも、抵抗する力が徐々に抜けていったのを感じた。
「ばっ…馬鹿…お前! 何でそこで諦めちゃうんだよ!!」
完全に諦めてオレを受け入れようとしている海馬に、何故だか物凄く腹が立って、オレはそう怒鳴った。
恋人の癖に、オレになんて何の興味も無い海馬。オレの事なんて好きでも何でも無い癖に、自分勝手に突っかかってくる海馬。それなのに、どうしてこんな時ばっかり諦めが早いんだよ。嫌なら全力で抵抗すればいいじゃないか…っ!
「海馬…お前、このままじゃオレに犯られちまうんだぜ!? 分かってんのかよ!」
「………っ」
「嫌なら嫌ってちゃんと言え! 同じ男なんだから、死ぬ気で抵抗すればオレだってこれ以上は何も出来ねーよ!」
「………」
「なぁ…海馬…?」
「………」
「おい…? オレの言う事ちゃんと聞いてる? お前今…滅茶苦茶危険な目に合ってるんだって事…分かってるか?」
海馬が余りにも何も言わないので、オレは少し焦れてきた。それと同時にさっきまで脳内を真っ赤に染めていた衝撃は無くなり、少しずつ冷静になって来る。押さえ込んでいた腕を解放し、オレは身体を海馬の上から退けた。まるで床に引っ付いたかのようにびくともしない背に腕を差込み、そのまま海馬の上半身を起き上がらせてやる。浮いた背骨や肩胛骨が掌に触れ、そのまま持ち上げた時の上半身の余りの軽さにショックを受けた。
コイツがこんなに軽かったなんて…知らなかった。だって上背も結構あるし、手も足も長いし、いくら細身でも男だからそれなりに重いと思っていたのに。
でもそんなオレの予想に反して、今支えている海馬の背はとても薄く、そして驚く程軽かった。浮いた骨を労るように海馬の背を撫でながら、蒼白になっている顔を覗き込む。その途端…何だか良く分からない良い匂いが、ふわりと鼻孔を擽った。考えなくても分かる。それは…海馬自身が纏っている、コイツの体臭だ。
そのいい匂いに気付きながらも、オレはそれに夢中になる事は出来無かった。オレに背を支えられている海馬は相変わらず顔面蒼白で、口元を掌で覆いながらただ黙って俯いている。
「なぁ…おい…大丈夫か?」
ここに来て漸く頭が冷静になって、オレは心底心配になって来てなるべく優しく問い掛けてみた。ただ見ているだけじゃ分からないけれど、その肩に触れてみればよく分かる。細い身体は可哀想なくらいに小さく震えていた。
「ゴメン…っ!! 海馬…ホントにゴメン!!」
流石に反省して本気で謝った。
馬鹿だ…オレ。こんな事するつもりなんて無かったのに。今まで溜ってた鬱憤が海馬の言葉で刺激されて、一気に爆発してしまった。勿論それは今までオレに冷たく当たってきた海馬の所為もあるんだろうけど、だからと言ってこんな事をしていいという理由にはならない。
いくらなんでも…これはやり過ぎだ。
「ゴメンな。もうしないから…マジでゴメン」
一生懸命背中を撫でてやりながらそう言っても、海馬はウンともスンとも言わない。ただ俯いてじっとしてるだけ。仕方が無くオレはそこから離れて、台所と繋がっている居間に向かった。その部屋の端っこには海馬から送られた着替えの荷物がそのままの状態で置いてある。段ボールを開け、中から薄いブルーのカッターシャツを取り出した。そのシャツを手に、もう一度玄関に戻る。
「ほら、コレに着替えろ」
海馬が着て来た白いカッターシャツは、オレの乱暴の所為でボタンが全て弾け飛んでもう着られなくなってしまっている。そのままの状態で帰す訳にはいかないので、そっと目の前に新しいシャツを差し出した。
海馬は暫くそのシャツを眺めて、やがてのろのろと手を出してそれを受け取った。そして着ていた白いカッターシャツを脱ぎ、オレが持って来たブルーのシャツに着替える。小さなボタンが少しずつ嵌められていくのを見ながら、オレは小さく溜息を吐いた。
「なぁ…海馬。今日はもう帰れ」
オレの言葉にボタンを嵌めていた海馬の指がピクリと動き、そして止まった。相変わらず俯いたままだったけど、その肩や指先が震えているのが目に入ってくる。
「オレ達…恋人同士なのにちょっと離れ過ぎだ…。このまま一緒にいても上手くいくとは思えないし、オレも我慢出来そうに無いから…。だからもう帰れ」
玄関の扉に手を掛けながらそう言ったら、海馬は最後のボタンを嵌めてゆっくりと視線を上げた。未だ涙に濡れている青い瞳が、じっとオレの事を見詰めて来る。その瞳に浮かぶ感情に、相変わらず怒りは無い。ただ…オレにも上手く読み取れない複雑な感情が渦巻いていた。
「着替えは預かっておくから…。お前の仕事が一段落したら、少し話し合おう」
「………」
「今日無理に泊ってっても、お互い絶対後悔する事になるぞ」
「………」
「な、海馬。分かってくれ」
「………分かった」
漸くボソリとした声で一言答えた海馬は、その場でゆらりと立上がった。そしてオレの脇を通り過ぎ、フラフラと玄関を出て行く。本当は見送ってやりたかったけど、そんな事してもきっとお互いに気不味くなるだけだと思って我慢した。
階下から海馬が携帯で喋っている声が聞こえる。車を回すように命令しているから、迎えの車はすぐに来るだろう。暫くしてから聞こえて来た、如何にも高級そうなリムジンのエンジン音に安心して、オレはそっと扉を閉めた。
扉を閉めて振り返って、目に入ってきた惨状に頭が痛くなる。無残に破けた白いカッターシャツ。あちこちに散らばっている小さなボタン。全て集めて、ちゃんと縫い付けてやらないとなぁ…と深く嘆息した。
でも今日はもういい。バイトの事とか海馬の事で、物凄く疲れた。大人の海馬はまだ帰って来てないけど、今日はもう風呂に入って寝てしまおうと思った。
廊下から破れたシャツを拾い上げて、その足で台所と居間を通り、自室の襖の前まで歩いて行く。そしてすらりとそれを横に開いた途端、目に入ってきた光景に身体が固まってしまった。
バイトに行く時にきっちり閉めた筈の窓は全開に開いていた。吹き込む風で大きく揺らめくカーテンの脇に、見知った影が佇んでいる。
「海…馬…?」
「………」
それは今さっき見送った、オレの恋人の海馬では無い。最近ここに居候している、違う世界から来た大人の海馬だ。
「いつ…帰って来たの?」
「少し前だな…。丁度お前が帰って来る直前だ」
「何で…こんなところから…」
「仕方無いだろう。帰って来たら、玄関にこちらのオレが佇んでいたのだからな。その脇を堂々と通り抜けていく訳にもいくまい」
玄関に『こっち』の海馬がいたから、大人の海馬は窓から入って来たのだと言う。それってつまり…さっきまでの会話とか、廊下でのやりとりとかを全部聞かれてたって事じゃないのか…?
灯りの付いてない部屋で酷く複雑な表情でオレを見詰めるもう一人の海馬に、オレは自分の考えが杞憂では無い事を知った。
「話…聞いてたんだ…?」
オレの質問に、海馬は暫く考えて…そしてコクリと頷く。
「聞いていた」
「そっか…。オレが海馬に…自分の恋人に何しようとしてたのかも…分かった?」
「………あぁ」
返って来る声が重い。海馬も先程の喧噪が軽い問題じゃ無い事を感じているらしかった。時間が経つにつれて、目の前の海馬の表情はどんどん重く沈んでいく。青い目に浮かぶ感情は、複雑で上手く読めない。まるでさっきの…玄関でオレを見上げていた海馬と同じような瞳だった。
「笑っちゃうだろ…。オレ達は確かに恋人同士だけど…全然上手くいってないんだ。セックスどころかキスもまだとか…。手だって繋いだ事無いのにさぁ…」
「………」
「本当に…アンタ達が羨ましいよ。話聞いてるだけでも、ちゃんと上手くやってるんだなーって伝わってくるもんな。お前の…あっちのオレの事を喋っている顔は、凄く幸せそうなんだ。見ているだけでオレまで幸せになるみたいな笑顔なんだよ。…オレは、そんな笑顔をアイツに向けられた事が無い」
「………」
「辛くて…悲しくて…それでも大好きで。こんなに愛しているのに、別れが目の前に見えていて…。オレはもうどうしたらいいのか分からなくて…っ!」
生温い風が吹き込む狭い部屋。その中を一歩一歩進んでいき、窓枠に寄り掛かっている海馬の腕を掴んで…そして強く引き寄せて抱き締めた。背中に手を回すと、浮いた背骨と肩胛骨が触れる。その骨の感触までこっちの海馬と全く同じで、オレは滅茶苦茶泣きたくなってしまった。
「海馬…。海馬…っ!!」
細い身体を力一杯抱き締めて、そっと視線を上げてみる。目に入ってきたのは白い首筋。そこに鼻先を擦りつけると、ふわりと何とも言えない良い匂いが沸き立って来た。
これは…よく知ってる。さっき嗅いだばかりの…海馬の体臭だ。
今度こそその臭いに夢中になって、白くほっそりとした首筋に唇を押し付けた。軽く吸って舌を這わす。塩辛い汗の味が舌に乗って、頭がボワーッと熱くなる。
「海馬…。なぁ、オレを慰めてくれよ…」
舌先に感じる海馬の脈動が愛しい。何度もそこに口付けながらそう言ったら、細い手がゆるりと持ち上がってきてオレの頭をそっと撫でてくる。その動作はどこまでも優しい。けれど…それが余りに優し過ぎて違和感を感じ、オレはもう一度海馬の顔を見上げてみた。
その途端、真っ直ぐな青い瞳と目が合った。その視線の強さに、オレは自分の心臓がドクリと高鳴ったのを感じる。
「慰めるだけでいいのか?」
「え…?」
感情を全く感じさせない、冷静な声が狭い部屋に響いた。
「だから、慰めるだけでいいのかと聞いている」
「………。海馬…?」
「傷付いたお前を慰める為に、服を脱ぎ布団に横たわって足を開くのは簡単だ。オレもお前なら別に受け入れても良いと思っている。だがお前はそれでいいのか? 果たしてそれで満足出来るのか?」
「そ…それは…」
「問題を根本から解決しないと、いつまでもこのままだぞ。お前が愛しているのは『こちら』の海馬瀬人だろう? オレでは無いだろう?」
「海…馬…っ」
「それとも、お前はもう…幸せになる事を諦めてしまったのか?」
静かな問い掛けだった。真に心に迫ってくるような…そんな言葉だった。
海馬に告白する前のオレだったら、多分その問いには「絶対諦めない!」と強く答えていただろう。だけど今のオレは余りに自信を無くし過ぎてて…すぐには答える事が出来無かった。
「わから…ない…」
再び泣きそうになって、オレは目の前の海馬に強くしがみついた。優しい手がまたオレの髪を梳いてくれる。
「諦めたくは無い…っ。でも、どうしても自信が無いんだ…!」
「城之内…」
「どうしてこんな事になっちゃったのかな…。どうして幸せな恋人になれないんだろう…。こんなに…愛してるのに…っ」
「………」
「オレ達は…どうしたって幸せにはなれないのかなぁ…」
「そう…かもしれんな…」
「え………?」
突如返って来た答えに、オレは慌てて視線を上げた。目に入ってきた海馬は優しく微笑んではいたけど、その顔はどこか寂しそうに見える。
何でだ…? 何でコイツがこんな顔してるんだろう…。だってコイツは…コイツと向こうのオレは、物凄く仲が良い筈なのに。
「やはりオレ達は…オレと城之内は、共に幸せにはなれないのかもしれないな…」
オレの疑問を他所に、海馬はそう小さく呟く。
狭い団地の部屋の暗闇にすぐに溶けたその一言は、だけどオレの脳内に引っ掛かって消え去る事は無かった。
体力回復中の二礼です、こんばんは。
やっと連休が取れたこの週末、グッタリしながら過ごしておりました…。
本当はもっとやりたい事も一杯あったのですが、取り敢えずは体力回復が優先です。
あぁ…連続で休めるって…素晴らしい…!!
今週末は地元の花火大会に行ったりしてまた体力を使う予定なのですが(苦笑)、仕事じゃないので今からちょっと楽しみですw
疲れるのは分かっているのですが毎年恒例の行事なので、こればっかりは外せないんですよね~!
夏はやっぱり花火大会ですよ!!
花火大会と言えば、昨日の夜にあった江東花火大会をマンションの廊下から見ていました。
遠くから見ていたからでしょうか。
ポンポンと夜空に咲く色鮮やかな花火は、小さくて可愛くて本当に綺麗でした~v
勿論今週末にある地元の花火大会は、目の前で上がるのを直接見に行く予定です。
その迫力満点の花火大会は、最近ちょっと有名になって来ているらしいんですよね。
毎年モリモリ増える観覧者数に、地元民は逆に若干引き気味です…w
うん…まぁ…確かに物凄く派手な花火大会なんだよ…。
色んな意味でw
長編『あの夏の日の君へ』に第九話をUPしました。
ようやっとまともに出て来ましたね、『こちら』の海馬君…。
そして出て来た瞬間、何だか大変な目に合っています…w
一見凄い修羅場チックですが(一見というか…実際?w)、まぁ…酷い結果にはしませんのでご安心下さいませ~(´∀`;
ていうか城之内君も混乱気味で可哀想ですね…。
何とかしてやらねば!!
最近良く感じるのですが、二礼は幸せな社長を見るのが本当に好きなんですよ~!
幸せで幸せで幸せ過ぎて、思わずボロボロ泣いてしまう社長とかが書きたいです!!
………こんな事言ってるから、乙女海馬とか言われちゃうんだよなぁ…;
でも今更方向転換は出来無いので、自分が書きたい城海をバンバン書いていこうと思っていま~す♪
以下は拍手のお返事でございまっす!(*'-')
>yunoya様
こんばんは~! 初めましてです~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~♪(´∀`)
ウチの甘々城海小説を読んで下さって、本当にありがとうございます!
他所様のような格好いい海馬君じゃなくて乙女海馬ばかりですが、私はとにかく社長を幸せにするのを目的としているんですよね。
城之内君が大好きな海馬君と、そんな海馬君を滅茶苦茶大好きな城之内君のラブラブを、少しでも楽しんで頂けたら幸いです(*´∀`*)
お暇な時にでも、ノンビリ読みに来て下さいませ~!
お仕事の事でもコメントありがとでした~v
仕事は仕事として頑張ってこなしますが、やっぱり自分の自由な時間を奪われると、ちょっとストレス溜りますよね…w
更新したいのに思ったように小説が書けなくて苛々してたりしましたが、漸く落ち着いたのでホッと一安心しております(´―`)
余り無理しないように、ゆっくりじっくり更新していきたいと思っています。
応援どうもありがとうございました!
物凄く力になりました~!!
それでは今日はこれで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
違う世界から来た大人の海馬がオレの家に住むようになって二週間。オレ達は結構上手く一緒に生活をしていた。回復した治癒能力を使って身体の怪我を全て治した海馬は、次の日から度々出掛けるようになった。ちょっと悪いとは思ったけど、家に届いた海馬の荷物から着替えを拝借して(まぁ…思っていた以上に大量にあったから、ちょっと借りてもバレないとは思うけど)、早朝から夜中まで帰って来ないことも度々あった。
海馬自身からは何も言われて無いけど、オレにはよく分かっていた。多分逃げた『影』を捜し出そうとしているに決まっている。
『オレは必ず奴を探し出さなければならない。そして今度は確実に殺さなければならない…。それがオレの…使命だ』
『無理はしない。約束する。でもこれは…オレがやらなければならない事なのだ。それだけは分かってくれ…城之内』
別の世界からやってきて、それを追いかけてきた海馬に大怪我を負わせて逃げた『影』。海馬はその影を捜し出す事に躍起になっている。でもよく考えれば、その影が操っているのは海馬の仲間の身体の筈だ。話に寄れば、その取り憑かれた奴も結構な能力の持ち主らしい。最初に海馬を見付けた時の惨状を考えれば、再びあのような大怪我をする事になるのは簡単に想像出来た。
そしてもう一つ。その影の性質もオレの心配の種だった。
その影は、自分が取り憑いた宿主を殺した奴に取り憑き直すのだと言う。後日詳しくその話を聞き直した時、海馬はこんな事を言っていた。
「多分…その影の性質の一つなのだろうな…。トラブルを起こし、殺人を楽しみ、そしてその行ないに怒り狂った人の意識を自分に向けさせる。相手をも狂気に導き、そして自らの宿主に手を掛けさせるのだ」
「そんな事して…何の意味があるんだよ」
「多分意味なんぞ一つも無い。影という物はそういう物なのだ。奴らは自分の性質にただ素直に従っているだけ。あの影は『人の命を弄ぶ』という本能を、ただ楽しんでいるだけなのだ。だから質が悪いと…放って置けないと言っているのだ」
海馬は真剣な目をしてそう言い放ち、その日も逃げた影を見付ける為に出掛けて行った。
懸命の捜索にも関わらず、その影は一向に見付かる気配は無い。酷くがっかりした顔で戻って来る海馬を見る度に、だけどオレはほんの少しだけホッとしていた。影が見付からないのは海馬に取っては一大事なんだろうけど、オレはもうあんな風に大怪我した海馬を見たくは無かったんだ。治癒能力である程度早く治るとは分かっていても、やっぱりあの惨状は慣れるものじゃ無い。出来る事なら…もう無理はして欲しく無かった。
そんな事をつらつら考えつつ、オレはその日の夜遅く家に帰って来た。世間は夏休みに入っていて、オレもコレ幸いとバイトに精を出して稼いでいた。相変わらず影を捜し回っている海馬にはスペアキーを渡してあるし、オレがいない時にいつ帰って来ても問題無いようにしてある。だから帰って来た自分家の窓が真っ暗なのを見て、オレは小さく溜息した。
家の灯りが付いていない。それはつまり、海馬がまだ帰って来ていないという事を示している。
「アイツ…。今日はどこまで探しに行っているんだよ…」
影が見付かっていない為、海馬も怪我を負うような事は無い。だけど四六時中神経磨り減らして影を探し回っている所為か、帰って来た時は酷く疲れてグッタリしている事が常だった。
それにここは童実野町。海馬の顔を知らない奴なんている筈が無い。なるべく目立たないように、それでいて影の存在をしっかりと探らなくちゃいけないんだ。そりゃ海馬じゃなくなって疲れるってもんだろう。
現にここの所、海馬は帰ってくるなり黙って風呂に入り食事をして、その後はパッタリと倒れ込むように寝込む事が多くなった。心配して小言を言うと、ちょっとムッとした顔をして「オレの任務の邪魔をするな。いくらお前でもそれは許さない」と口答えをし、それ以降は何言っても無視し続ける。こういう無駄に頑固な所は、本当にオレの海馬と同じだなぁ…と思わずにはいられなかった。
「それでもなぁ…。やっぱり心配なんだよ…」
この気持ちは、やっぱりあの海馬がオレの海馬とよく似ているから湧いてくるんだろうか。それとも、あの海馬自身を想っているからこそ出て来るのかはオレには分からない。だけど…それでもどうしても心配だって言う気持ちは消えなかった。
なるべくなら無理して欲しく無いなぁ…と思いながら、団地の階段を一段ずつ上がる。そして…ドアの前に寄り掛かっている長身の影を見付けて驚いた。
「………っ? 海馬…?」
オレの呼びかけに、そいつは寄り掛かっていた身体を起こしてオレの方を見た。階段の灯りに照らされているその姿は、まさしく海馬だ。
何だ、お前鍵どうした。どこかで落としたのか…と聞こうとして、オレは慌てて口を噤んだ。今オレの目の前に立っている海馬は、あの別世界から来た大人の海馬じゃない。十七歳の…オレと同い年の…つまり今はアメリカにいる筈の『オレの恋人』の海馬だった。白いカッターシャツに、濃いグレーのスラックス。海馬が以前送って来た着替えと同じような私服だったから、最近その服を着ているあの大人の海馬と見間違えた。
………ほんの一瞬だけだったけど。
「海馬…? お前…何で…? 今アメリカにいるんじゃ…?」
オレの呟きに、海馬はフッと笑ってみせる。
久しぶりに見た、オレに『心を許していない』海馬の笑み…。
そんなオレの複雑な気持ちに気付かないまま、海馬は余裕の笑みを浮かべつつオレに一歩近付いた。
「この間電話しただろう。一度日本に帰ると」
あぁ、そうだ。確か二週間前のあの日、そんな電話を貰っていたっけ。その時は確かにそれを嬉しいと思っていたし、今も久しぶりに会えた海馬に素直に喜んではいる。でも、オレに何の連絡も寄越さず自分の都合だけで物事を勝手に進める辺りは全く変わっていないんだなぁ…と、ちょっと残念に思ったりもした。
「何だよ。帰って来るなら連絡してくれよ」
「オレもそのつもりだったのだが、忙しくてなかなか出来無かった」
「楽しみに待ってたんだぜ。電話の一本くらい出来るだろ?」
「お前が簡単に考える程、オレが今抱えている仕事は軽くは無い。電話一本だと? その一本の為に、どれだけの集中力が削がれると思っているのだ」
誰もいない夜遅くの団地の階段で、再会を喜ぶ声は途端に口喧嘩に発展する。
馬鹿だな…。本当に馬鹿だな…オレ達。どうして「ただいま」とか「おかえり」とか「久しぶりだな」とか、そういう温かい言葉でお互いの心を癒す事が出来無いんだろう。こんなに海馬の事を愛しているのに、二週間ぶりに出会えてこんなに嬉しいと思っているのに、会えばすぐ喧嘩になってしまう。
薄暗い団地の階段で、オレは真っ直ぐに海馬の顔を見詰めてみた。青い瞳がギラギラ光って、強くオレの事を睨み付けている。恋人の筈なのに…そこに愛は感じられなかった。あの大人の海馬から感じるような温かさとか安心感とか癒しとか…そういう物は一切感じられず、あるのは絶対に自分を曲げないという強い意思表示だけ。
「………はぁー…。取り敢えず…中入れよ」
深い溜息と共にオレはポケットから鍵を出して、玄関の鍵穴に突っ込んだ。こんな所で大声で喧嘩してても仕方無いし、何か冷たい物でも飲めばお互いに落ち着くだろうと思ったんだ。
鍵を回してドアを開き、オレは一歩家の中に入る。そのすぐ後から海馬もついてくるのを感じて、オレは背後に意識を向けつつ靴を脱いだ。家の中は真っ暗で人の気配はしない。もう一人の海馬は、やっぱりまだ帰ってはいないらしい。
廊下の電気を付けつつ振り返ると、海馬は何故か神妙な顔付きで玄関に突っ立ったままだった。その姿を見てオレは二週間前の出来事を思い出す。確かあの海馬も、こんな風に黙って玄関に突っ立っていたっけ。
「どうした。早く入って来いよ」
いつまでも黙って立ちっぱなしなので、オレは台所の電気のスイッチを押しながらそう話しかけてみた。だけどオレの言葉に海馬は眉を顰めるだけで、一向に入って来ようとしない。
何なんだよ…ったく…! 海馬の気持ちが何一つ伝わって来なくて、オレは少し苛々して来たのを感じていた。
「汚い家だとか思っているのか? 悪いけど、結構綺麗にしてるんだぜ」
「………違う」
「じゃー何? オレと一緒にいるのがそんなに嫌?」
「そうでは無い」
「それじゃ何だってんだよ。お前、オレん家に泊まりに来たんじゃねーの?」
「………そのつもりだった」
「じゃあ…」
「誰と間違えた?」
じゃあ一体お前は何をしたいんだ。そう言おうと思ったオレの耳に、妙にキッパリとした海馬の言葉が飛び込んできた。
え…? 誰とって…。コイツは今、一体何を言ったんだ…?
「貴様…。今誰か他の奴とオレを間違えただろう」
「………っ。え…? お前…何言って…」
「さっきのドアの前でもそうだ。貴様は一体誰とオレを間違えたのだ」
「っ………!?」
海馬の言葉に身体が固まる。
いや、誰とも間違える訳が無いじゃないか。オレは海馬は海馬としか見ていない。そう…オレはちゃんと海馬の事を…っ!!
そう思った瞬間、脳裏に大人の海馬の姿が浮かんだ。優しい笑みを浮かべて、オレと話をしてくれる海馬。オレを頼ってくれて、素直に好意を受け止めてくれる海馬。強い信念を持ち、オレを信じてくれる海馬…。
「ほら、まただ!!」
突如響いた強い叫び声に、脳裏の海馬がパッと霧散していく。
「今一体誰を思い描いた? オレがアメリカに行っている間に…いつ新しい恋人を作ったのだ!?」
「こ、恋人って…!! そんなんじゃねぇよ!!」
「ほう…。少なくても心当たりがある人物がいるようだな…」
「っ………!!」
「見損なったぞ城之内。たった二週間で早々に浮気とはな…。所詮は駄犬か。残念だ」
「………。な…何が…っ。何が残念なんだよ…!!」
狭い玄関で腕を組み、フフンとさも呆れたような顔付きをしている海馬を見ている内に、オレの方も腹が立ってきた。
恋人になって二ヶ月弱。オレは懸命に海馬を愛して来た。だけどその愛を足蹴にして、常に興味無さそうにしていたのは…海馬の方じゃ無いか…!!
「残念なのはお前の方じゃねーか!! オレの想いを全て無視しやがって…!! オレがどんだけ傷付いていたと思っているんだ!!」
「ほう…。たかが駄犬が良く吠えるでは無いか。貴様にそんな繊細な神経があったとは、驚きだぞ」
「巫山戯るなよ!! お前はいつもいつもオレを無視して…何でも勝手に決めて…好き勝手放題にしやがっている癖に…!! こんな時ばっかりブチキレやがって! オレが他の奴と過ごしていたら、何か悪いってのか!?」
「認めたな…! やはり浮気しているのでは無いか!!」
「馬鹿言うな!! 浮気じゃねーよ!!」
「だから貴様は駄犬だと言うのだ! 誰か他の奴と一緒に過ごしている時点で、世間一般ではそれを浮気と言うのだ…!!」
「アイツはそんなんじゃない!! 浮気じゃねーって言ってるだろ!?」
そこまで来ると、オレ達はお互いにほぼ掴み合う勢いで言い争っていた。とにかくもう腹が立って腹が立って仕方が無くて…。オレは怒りの余り、目の前がカッと真っ赤になっていくのを感じる。
どうしてこんな下らない事で言い争わなければいけないんだ。オレ達は恋人同士の筈なのに。恋人って関係はもっと甘くて温かくて気持ちが良くて…ふわっとした幸せを感じるものだろう? そう…あの海馬が浮かべる笑顔のような…。
バシッ!!
もう一度脳裏に大人の海馬の笑顔を思い浮かべた時だった。左頬に熱い衝撃が走ったのに気付いて、オレは意識を現実に戻した。ゆっくりと視線を目の前に戻すと、赤くなった掌を胸の前でグッと握り締めている海馬と視線が合う。どうやらオレは海馬に平手打ちをされたらしい。ジンジンと痛む頬を掌で覆いつつ、オレはマジマジと海馬の顔を見詰めてみた。
いつもは透き通るような白さの肌は今は仄かに紅く上気していて、それだけ海馬が本気で怒っている事が分かる。そしてオレを強く睨み付ける青の瞳は、じんわりと涙ぐんで濡れていた。
泣いて…いる? あの海馬が?
「かい…ば…?」
「………の…顔…だと…!」
「………?」
「その顔だと…!! その誰かを思い浮かべるその顔が気に入らないと…言っている…!!」
最後の叫びで、青い瞳に溜っていた涙がポロリと零れ落ちる。その涙を見た瞬間…オレは自分の理性の糸が、プッツリと音を立てて切れるのを…感じていた。
「………っ!?」
怒りに震える細い腕を強く掴み、玄関先の廊下に引き摺り入れた。体勢を崩した海馬が驚いたような顔をするのを確認して、そのまま床の上に押し倒す。
「じ…城之内…っ!?」
焦ったような海馬の声。途端に抵抗し出す白い腕を掴んで、頭の上に固定する。それを片手で纏めて押さえ付けて、自由になった方の手でカッターシャツの襟元に指をかけた。
「や…やめ…っ!」
オレが何をしようとしているのか悟った海馬が、首を振って弱々しく抵抗を始める。だけどそんな願い、訊いてなんていられない。だってもう無理だ。オレの身体は怒りと焦りと欲望で、既に暴走状態だった。
真っ赤に熱した本能に従って、掴んだシャツの合わせを思いっきり引っ張る。途端にブチブチと千切れた小さなボタンはあらぬ方向に飛んで行って、あちこちの方角からパラパラという軽い音を起てたのを…オレはどこか遠くで聞いていた。