寒さでブルブルしてる二礼です、こんばんは。
な、何ですか…? この寒さは;
まだ10月末だというのに、真冬並みじゃないですか!!
余りに突然冬並みの寒さになってしまったので、身体の準備が全く間に合いません…w
もう寒くて寒くて…。
キーボードを打つ指先が氷のようです…;
元々末端冷え性なのですが、今までこの時期にこんな辛い想いをした事はありませんでした。
おい!! 気候!! いい加減にしろよ!!
4月に雪降ったと思ったら夏は記録的な猛暑で、そんで秋をぶっ飛ばしていきなり冬かいwww
もう…身体が付いていけません…orz
ちなみにコレ書いている今も、半纏と膝掛け付きです。
お陰で超あったかです。
でもコレ…真冬の装備なんだよね…;
今からこんなんじゃ、冬は一体どうなっちゃうんだろう…?
一抹の不安を覚えます…(´―`;
長編『あの夏の日の君へ』に最終話である第二十六話をUPしました。
本当は二回分くらいに分けようと思ったのですが、キリが良いので一話に纏めてしまいました。
これにて『あの夏の日の君へ』は完結でございます。
夏の初めから連載してきたので…ざっと丸四ヶ月ってところですか?
長い間お付き合い頂いて、本当にありがとうございました~!
今まで二礼が書く長編には、どこかに必ずエロシーンが入っておりました。
本来この作品もそうするつもりだったのですが、後半に入るにつれてその気持ちは薄れていきました。
話の内容が今まで以上に硬派(あくまで当サイト比w)だった所為も有るかもしれません。
まぁ…とにかくこの作品にあからさまなエロシーンは似合わないと判断した訳です。
そういう事なので、めでたく城海が結ばれたシーンも敢えてさらっと流してしまいました。
もしそういうシーンに期待されていた方がいらっしゃっていたら…本当に申し訳無いです…(´∀`;
この場でお詫び申し上げます。
エロ無くてスンマセンでしたーっ!!
何はともあれ、無事に終わって良かったです。
特に冬が来る前に終わらす事が出来たので、二礼が一番安堵しております…w
夏の物語なのに、冬まで延ばしたくはありませんでしたから…ねw
さてさて…。
連載物も一段落したので、暫くはゆっくりとネタの整理等を行ないたいと思います。
それまでは短編とかシリーズ物とかを中心にUPしていくと思いますが、ご了承下さいませ~!
以下は拍手のお返事になりま~す!!(`・∀・´)
>桜井至ちゃん
社長誕おめでとう!!
拍手とコメント、ありがとうでした~(*´д`*)
エロ厨結構www
こちらこそあのゲロ甘の小説を読んで下さって、感謝感激でございます!
どうもありがとうね~!
馴れ初めHはいいですよね~!
私も大好きですv
でも付き合いが長い二人のHも大好きです!!
要はHが好きです!!(あれ?)
とにかく久々のエロ小説で、大分精神力を使いました…。
社長の誕生日だからと気合いを入れて頑張って書ききりましたが、途中で息切れしてたのは内緒です…w
えぇ、私だって息切れするんですよw
でもウチのコンセプトは『幸せな社長』ですので、特に辛くはありませんけどね~(´ω`)
これからも幸せな社長一筋で頑張っていきますので、宜しくお付き合い下さいませ~!!
それではこれで失礼致します。
ではまたね~(・∀・)ノシ
>河田心緒様
うわぁっ…!!
な、何とわざわざこちらにいらしてのコメント…本当にありがとうございました…!!
リンクの件では大変失礼致しました。
ていうか、何言ってるか良く分からないコメントでスミマセンでした。
これからも宜しくお願い致します!(ペコペコ!!)
社長誕の小説も読んでくれてありがとうございます~!!
本当に…何て言うか…。
せっかくの社長の誕生日にあんなエロ小説で申し訳無いです…(´∀`;
でも愛はあるんですよ?
いやいや、本当にw
私の方も、これからも足を運ばせて頂きます~!
一気に寒くなってしまってもう既にガクブルしていますが、風邪等にお気を付けてお過ごし下さいませ。
私も頑張ります(*´д`*)
それではこれで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
2010年10月アーカイブ
結局その後、オレと大人の海馬は日が沈んでも公園で色んな話をし続けていた。オレが不安に思っている事や自信の無い事を相談しても、海馬は笑ったり馬鹿にしたりはしなかった。一つ一つ確実に答えてくれて、その度に慰めたり元気付けたりするようにオレの背を優しく撫でてくれた。そしてオレをギュッと抱き締め、頬に軽いキスをくれる。「唇にはしてくれないの?」と巫山戯て訊いてみたら、「それはお前の『オレ』にして貰え」と微笑みと共に軽く返されてしまった。
この優しい笑みが、大人の海馬の本当の姿なんだと思う。
数日前、影に乗っ取られたもう一人のオレを救い出せるかどうか分からない時に、コイツが浮かべた寂しそうな笑顔を思い出した。
『やはりオレ達は…オレと城之内は、共に幸せにはなれないのかもしれないな…』
そう言って浮かべた笑顔は、諦めの笑顔だった。だけど今の海馬が浮かべている笑みは違う。心から幸せを感じ、安心して、恋人を信じている…そんな笑顔だ。
大人のオレ達の事に関しては、きっともう何も心配要らないんだろう。問題は…こっちのオレ達の方だ。
それから二日後、別れの日は唐突にやってきた。
その日は朝から良い天気で、オレ達は四人でノンビリと気楽に過ごしていた。オレは海馬んところの屋敷に泊っていて、団地の部屋は大人のオレ達に貸し出していた。昼近くなって合流して、四人でブランチを楽しむ。この日は二人のオレで共同しながら、特製ペペロンチーノを作って食べた。サラダとスープも作って、至極満足な出来だった。
ご飯の後はゲームをしたり雑談をしたりしながらゆっくりと過ごす。余りに心地良い時間だったので、オレはこのままずっとこんな日が続けばいいなぁ…なんて思っていた。だけどその夢は、実に儚い夢だった…。
「ゲートの準備が出来たよ。今日の夜には帰れるってさ」
夕方になって大人の漠良が団地に尋ねて来て、にこにこしながら報告してきた。その報せに四人で一斉に顔を見合わせ、それぞれが複雑な表情を浮かべる。
元の世界に戻れるという事は、アイツ等にとっては願ってもいない事だろう。ましてや死を覚悟してこの世界にやって来ていたのに、自分も相手も、そしてこの世界のオレ達も全員無事という嬉しい報告付きだ。喜ばない訳が無い。
でも大人のオレ達は、何だかちょっと寂しそうだった。
「残念だったなぁー。せっかく仲良くなったのに。………なぁ?」
大人のオレがそう言いながら、すぐ隣に座っていた海馬の頭を優しく撫でた。その行動に、思わず「あっ!」と声をあげる。
だって大人のオレが頭を撫でている相手は、自分の恋人の海馬じゃなくて、オレの恋人の海馬だったからだ。そんな事されれば絶対嫌がると思ってたのに、オレの海馬は少し俯き加減になって頬を朱く染めている。罵詈雑言は一切飛び出して来ず、満更でも無い表情で大人しく頭を撫でられていた。
その態度に余計にムカムカとした気持ちが湧いてきて、急いで側に近寄って恋人の海馬の身体を奪い取るように抱き締める。
「な、何しやがるんだよ!」
取り返した海馬をギュウギュウと抱き締めながらそう叫んだら、大人のオレは一瞬キョトンとした顔をして、そして次の瞬間に吹き出した。そして腹を抱えてゲラゲラと笑い出す。オレがどんなにキツク睨み付けても、大人のオレは笑うのを止めなかった。
「趣味が悪いぞ…城之内」
流石に居たたまれなくなったのか、大人の海馬が溜息混じりでそう苦言を呈した。その言葉で漸く笑いを治めて、大人のオレは滲んだ涙を指先で拭いながら「ゴメンゴメン」と謝ってくる。
「悪気は無いんだ。ただちょっと…若いなぁーと思ってさ」
「若い…?」
「そう、若い」
完全に笑いを治めて、それでも優しそうな笑みを浮かべたまま大人のオレは口を開く。
「オレにも覚えがあるけど、やる事なす事が全部若いんだよ。自分の気持ちに振り回されているようじゃ、恋人関係なんて上手くいきっこ無いよな。なぁ、海馬?」
穏やかな声でそう語りかけて、大人のオレは少し首を傾げてオレの腕の中に収まっている海馬を見詰める。その視線に誘われるように腕の中に目を向けて…オレはそこにいた海馬の表情に酷く驚いた。
海馬の顔は真っ赤になっていた。真っ赤になってプルプルと震えて、それでも黙ってオレの腕の中に収まっていた。照れと怒りと動揺と我慢が全て入り交じったかのような複雑な顔をしている。オレはそんな海馬を驚いた気持ちで見詰める事しか出来無かった。
「そいつは今な、自分の気持ちを我慢してるんだ」
「え………? 我慢?」
「そ。恥ずかしくて恥ずかしくて今にも逃げ出したい気持ちを、ぐっと我慢してそこにいる。相手の気持ちに素直になるのも、恋愛には大事だって事を学んだからな」
大人のオレの言葉に、腕の中の海馬は何も言わない。ただ顔を真っ赤に染めながら、オレの胸に擦り寄ってきた。胸元に押し付けるようにして顔を隠してしまったが、オレのシャツを掴む細い指が相変わらず小さく震えているのが分かる。
オレと大人の海馬が公園で人生相談をしていた時、この団地の一室では大人のオレと恋人の海馬が同じような話をしていたのだろう。そしてさっき大人のオレが言った事を、コイツは直接学んだに違い無い。
「好きなんだったら、ただ受け入れればいい。相手の気持ちも、そして自分の気持ちも…な。素直になるのはいい事だよ」
「素直…」
「だからお前も、もっと素直にソイツの事を信じてやりな。大体さーよく考えてみろよ。元々仲悪かった上に、男同士だぞ? お前を好きじゃなきゃ、恋人関係になんてならねーだろ?」
「そうか…。あぁ…そうだったのか」
その言葉を聞いて、オレは自分の胸がホワリと温かくなるのを感じた。
ギスギスした恋人関係を不安に思っていたのは、オレだけじゃ無かったんだなぁ…。海馬もオレの見えないところで、一杯悩んだんだろう。そしてその気持ちを、大人のオレに打ち明けたんだろう。オレの為に…オレと上手くやっていく為に、思い切って素直に話したに違い無い。
自分の気持ちを素直に打ち明ける事…。それがコイツに取ってどんなに難しい事か、オレはよく知っていた。何でもかんでも素直に言葉に出すオレと違って、海馬は色んな事を内面に溜め込みやすい。それを素直に吐き出すには、どれだけの勇気が必要だったんだろうな。
「ありがと…海馬」
そんな気持ちを想像して、オレは心から嬉しくなって感謝した。抱き締めた身体を優しく擦って、栗色の頭を何度も撫でた。
海馬は相変わらず何も言わない。だけどオレの言葉に、一つだけコクリと頷いてくれた。
夜も更けて、オレ達はあの公園に集合していた。漠良が言っていた帰る為のゲートって奴が、この公園に作られたらしい。
見た目には特に何も変わった事が無いように見える公園だけど、丁度公園の中央にある時計台の辺りの空間が微妙に歪んでいるのが目に見えた。漠良曰く、それが違う世界を繋ぐゲートらしい。
「オレが夢で見たのは、もっと真っ黒い穴だったぞ」
そう問い掛ければ、大人のオレが「ゲートが開けば黒い穴になる」と教えてくれた。つまりアレは、まだ閉じている状態らしい。
「オレはまぁ…帰ろうと思えば一人で帰れるけどさ。でもオレの能力は基本お一人様用だし、こっちに来た時のように誰かが無理に割って入ったりすると、それだけでかなりの体力と能力を消耗するんだ。誰…とは敢えて言わないけどさ」
大人のオレの言葉にもう一人の海馬がジロリと睨んで来るけど、『オレ』は全く構わずに口を開く。
「だから普段はそれ専門の能力者が、何人か協力してゲートを作る。その方が安全だし、遙かに効率が良い。まぁこんな…別世界にまで繋がる大掛かりなゲートなんて、普段は全く作らないけどな。機関総出の大仕事だ」
それだけ今回は異様な事態だったんだなっていう事を、言葉裏に隠して大人のオレは教えてくれた。
確かに大変な事態だったんだろう。さっきちょっと大人の海馬が教えてくれたけど、機関と呼ばれている組織の人間が殆ど動いているらしい。まぁ…そうだろうな。何せ期待のエースが影に乗っ取られて、その弟子が自らの命もろとも処分しなくちゃいけないって事態になりかかってたんだからな。
じっとゲートを見詰めている大人の海馬の横顔を、オレは静かに眺めていた。その顔には、特に何の表情も浮かんでいない。クールそのものだ。
だけどオレは知っているんだ。アイツもオレと同じように、寂しがっている事を。
「ゲートが開いたよ」
やがて漠良の明るい声と共に、目の前に大きな黒い穴が開く。覗き込んでみても、その中には一片の光すら見えない。まるでブラックホールのようだ。でも超能力者であるコイツ等には、自分の帰る道がちゃんと見えているらしい。流石だと思う。付け焼き刃の能力者じゃそんな道筋なんて、これっぽっちも見えなかった。
ポッカリ開いたゲートの入り口に立ち、大人のオレ達は暫く黙ってその中を見ていた。やがて大人のオレが振り返って、にこりと笑う。
「海馬」
微笑みを浮かべたまま、手のヒラヒラと動かしてオレの恋人の海馬を呼んだ。その呼び声に、それまで黙って事を見詰めていた海馬が素直に近付いて行く。そして大人のオレは近付いて来た海馬に腕を伸ばして、キュッ…とその細い身体を抱き締めた。
本当だったらムカムカする筈の光景だ。でも何故か…そんな感情はこれっぽっちも感じられなかった。
大人のオレは海馬の耳元で、何かをボソボソと呟いている。海馬はその度にコクン…コクン…と頷いていた。目元がどんどん真っ赤になっていく。多分泣くのを堪えているんだ。
そんな海馬を心配しながらも何となく呆然と二人を眺めていたら、いつの間にか近くに寄って来ていた大人の海馬の存在に気が付いた。オレの事を穏やかな笑みで見下ろす大人の海馬に視線を返して、オレもその細い身体をそっと抱き寄せる。
「………ありがとう」
「それはこちらの台詞だ。本当に世話になったな…。ありがとう、城之内」
何も言う事が出来無くて、ただ一言だけそう言った。オレの言葉に海馬はクスリと微笑んで、オレの背中をポンポンと叩いてくれる。その手付きが余りにも優しくて、それだけでジワリと泣きたくなって来た。
「相談に乗ってくれて…ありがとな。オレ、海馬と幸せになるよ。約束する」
「あぁ。信じているぞ」
「愛してるのはこっちの海馬だけだけど…。オレ、お前の事大好きだ」
「オレも大好きだぞ、城之内」
「じゃあな…。元気で」
「お前も元気でな…」
最後に少し顔を離して、至近距離で美しい青い瞳をじっと見ながら「さよなら」と言った。その言葉に海馬も頷いて「さようなら」と返してくれる。泣きたいのを我慢して白い頬に唇を寄せ、一度だけ軽いキスを贈った。海馬は一瞬驚いた様な顔をして、でも次の瞬間にはクスクスと笑って口を開いた。
「唇にはしてくれないのか?」
「それはお前の『オレ』にして貰えよ」
昨夜の公園の会話を、立場を変えてそのままに言い合う。
もう…それだけで充分だった。
夏の夜の公園に、静けさが戻る。
別世界から来た大人のオレと海馬と漠良は、黒い穴に飲み込まれて消えてしまった。時計台の下の空間はすっかり元通りになり、今は何にも感じられない。試しに右手を持ち上げて見て炎を出そうと思ったけど、もうあの炎が現れる事は無かった。
「行っちゃったな…」
「そうだな」
サワサワと夏の風が揺らす葉擦れの音しかしない公園で、二人で呆然と突っ立ったままボソボソと会話した。
「なぁ…海馬」
「何だ?」
「今夜ちょっと…時間あるか?」
「あぁ、大丈夫だが」
「話したい事があるんだ」
「………。そうだな」
「今日…オレん家に泊ってかない?」
「構わんぞ」
ハッキリと答えを返した海馬は、黙ってオレを見詰めている。青く澄んだ美しい瞳が、真っ直ぐにオレの視線を射貫いていた。
そんな海馬にオレもコクリと頷いて、右手をスッと差し出した。海馬は迷い無くその手を取って、ギュッと力を込めて握ってくれる。
「帰ろうか」
「あぁ」
オレの言葉に海馬は力強く頷いて、そして二人で団地までの道をゆっくりと歩んでいった。
で、その後何をしたかって言うと…。ぶっちゃけ、何っていうかナニをしたんだけどさ。
本当はもっとちゃんと相手の意志を確かめてから事に及ぶつもりだった。とは言っても、別にオレが海馬に無理強いした訳じゃないぜ? 何て言うか「愛しているからお前が欲しい!」とか「お前が好きだから、セックスがしたい!」とかちゃんと言葉にして伝えるつもりだったんだ。
それを覚悟しながら海馬の手を握り締めて団地まで帰って来たんだけど…。家に帰り着いて、ドアを閉めて、薄明るい玄関の灯りの下で相手の顔をじっと見つめ合って…。気が付いたら互いに互いを抱き寄せて、熱烈なキスをしてた。んで急いで靴脱いで家に上がり込んで、オレの部屋まで縺れ合いながら辿り着いて、帰ったらすぐ寝られるようにと敷きっぱなしにしてあった布団の上に倒れ込んで…。後はご想像通りって感じです。
何て言うのかな。何かアイツ等がいなくなって、一気に気持ちが盛り上がったというか…そんな感じだった。正直無我夢中過ぎて、最中にどんな事してたのかって事を良く覚えていないんだけど、後日海馬にその事を聞いてみたら「オレもだ」という答えが返って来たので、余り深く気にしない事にした。どっちもどっちって奴だよな。
恋人としての海馬との関係が明らかに変わったのは、この日からだった。セックスはそんなに頻繁じゃないけど、これ以降も何度かしてる。勿論最初の時みたいじゃなくて、ちゃんと余裕を持ってやってるけどな。
そんな事をしている間に季節はあっという間に移り変わって、気が付いたら秋真っ盛りになっていた。あの公園の木々もすっかり紅葉して、冷たい風に赤や黄色の葉を散らし始めている。
オレはあの日以来、何の用事も無い癖にたまにあの公園に足を運ぶのが習慣となっていた。何の変哲もない公園だけど、ここに来ればあの夏の日の不思議な体験が色鮮やかに甦って来る。
怒りも、哀しみも、恐怖も、そして何より大事な人に対する愛しさも喜びも、全てあの夏の日に味わった。それは間違い無くオレの…そして海馬のかけがいの無い宝物となっている。感謝してもしきれないくらいだ。
「寒くなってきたなぁ…」
「………そうだな」
今日も学校帰りに二人で公園に立ち寄って、時計台の下で二人黙って辺りを見渡した。
時間的にはまだ夕方だけど、秋の日が落ちるのは早い。吹き付ける北風に、元気な子供達も遊ぶのを止めて家に帰ってしまったようだ。ブルリと身震いして、オレは公園の入り口にある自動販売機で温かい缶コーヒーを二つ買った。そして、海馬と二人であのベンチに座って一口ずつゆっくりと飲んでいく。コーヒーを飲みながらも、繋いだ手は決して離さないままだった。
「もうすっかり秋だなぁ…。桜の葉も全部落ちちゃいそうだ」
「そんな事を言っている間に、すぐ冬が来るぞ」
「今年の冬は寒いってな。覚悟しねえと…」
「寒い冬であればある程、春が来た時は温かいのだろうな」
「そうだなぁ。そしてすぐに夏がやってくるんだろうな」
「そうだな」
「来年の夏が、今から楽しみだな」
「あぁ」
秋が終わって冬が来て、春を迎えたら夏が待っている。
夏が来たら、オレ達は鮮明に思い出すのだろう。丁度一年前の…あの不思議な夏の日々。恋人なのにすれ違っていたオレと海馬の心を、再び一つにしてくれたちょっと変わった超能力者達の事を。
「アイツ等元気にやってんのかなぁ…」
「元気にしているに決まっているだろう」
「何でそんなに自信満々なんだよ」
「オレ達が元気だからに決まっているだろう?」
「………あ、そっか」
「そうだ」
「なら心配いらねえな」
「あぁ」
「寒くなってきたから、そろそろ帰る?」
「そうだな。そろそろ帰ろう。早く帰って、何か温かい物が飲みたい」
「カフェオレでも煎れる?」
「たまにはココアがいい」
「そっか。じゃあココアにしよう」
ニッコリ笑いながらそんな軽口を言い合って、オレ達は吹き付ける北風に負けないようにそっと肩を寄せ合った。
あの夏の日の君に伝えたい事がある。
何も心配しなくていいよ…と。君が呆れるくらいに、オレ達は幸せ一杯だよと伝えたい。
その言葉が届く事は無いけれど、この気持ちはきっとアイツ等に届いてくれると信じている。信じていると言うよりは…確信しているんだ。オレも海馬も、この気持ちがアイツ等に届くと知っているから。
腕の中にある恋人の温もりに泣きたくなるくらいの幸せを感じながら、オレはふと…そんな事を思っていた。
お祝いモードの二礼です、こんばんは。
社長!!
御誕生日、おめでとうございま~す!!
今年は色々と時間が無くて、余り大掛かりなお祝いが出来ませんでした。
でもまぁ…短編でも…と思って、頑張って一本書き上げてみました。
ずっと長編を書いていた為短編のペースが分からず、何か無駄に長くなってしまったのは内緒です。
そして久々にエロを書いたら、ゲロ甘にしつこくなってしまったのも内緒です…w
しかし一年が経つのは早いですねぇ…。
ついこの間2009年の社長誕を祝ったばかりだと思っていたのに…w
去年は自サイトを開いて初の社長誕だという事で、温泉城海を合作したり分岐小説を書いたりして張り切っていましたが、まぁ…こんな風にノンビリ過ごす社長誕もまたオツだという事で一つお願い致しますw
でも、久々にラブラブHが書けたので幸せでした~(*´д`*)
何度書いてもエロはエロ。
余り他のエロ作品との違いが出て来ないのがアレですけどね…w
という訳で、Projectページに『*Birthday present(2010年瀬人誕小説)』をUPしました~♪
この作品を持って、小春日和からの社長誕に対するお祝いとさせて頂きます!
社長!
本当におめでとうございました!
これからもどうぞ宜しくお願い致しま~す!!
城之内がオレの事を睨んでいる。それ自体はいつもの事だから、別に驚くような事でも無い。分かっている。オレ達の相性は最悪だ。お前がオレの事を気に入らず、心の底から疎んでいる事は、嫌と言う程知っているのだ。
オレもそうなれたらどんなに楽だろうか。いや、確かに昔はそうだった。そうだったのだが…どうしてその気持ちのままでいられなかったのだろう。どうして気持ちの変化などを起こしてしまったのだろうか。
後悔しても時既に遅く、オレの心は百八十度転換してしまっていた。
城之内は未だにオレを睨んでいる。決して焦ってはいけない。なるべく平常心を保ち、いつもと同じように何気なく話しかける。それが今のオレに出来る事。
「城之内」
ジロジロ睨む城之内に臆する事無く、オレは城之内の机の側に近寄って一言声を掛けた。
場所は学校の教室。時間は昼休み。同級生が声を掛けるならば、これ以上自然なシチュエーションは無いだろう。勿論それは、オレ達が普通の友達であるならば…だけどな。
大丈夫。声は震えていない。いつも通りの淡々とした自分の声だ。これならば誰にも気付かれる事は無いだろう。
「城之内、少し良いか?」
「………何だよ」
再度呼びかけた声に、城之内が不機嫌そうに応えて来た。
無視はされなかった…。それだけで随分とホッとする。
「少し訊きたい事がある」
「何?」
「二十四日の日曜日は暇か?」
「二十四日? 何でそんな事訊くんだよ」
「貴様に頼みたい事がある」
「………オレに?」
「あぁ、お前にだ」
「ふーん…。お前がオレに…ねぇ」
オレが城之内に頼み事をする。普段だったら決して考えられないシチュエーション。心臓は破裂しそうなくらいにドキドキしていたが、オレは表面上は努めて冷静に装っていた。
決して気付かれてはならない。いつも通りの自分を演出して、本意を悟られてはならない。
緊張で口の中が乾いて、オレは密かにコクリと喉を鳴らして生唾を飲んだ。そしてじっとオレの事を見詰めている城之内に視線を返して、「で、どうなのだ?」と答えを促した。
城之内は、先程よりは不機嫌そうな顔をしていない。むしろ珍しくオレが頼み事なんかをして来た事に驚いて、気分良くなっているらしい。
本当に単純な奴だ。だがその単純さに、今は心から感謝する。
「二十四日の日曜日…だろ。昼間はバイトで埋まってんなぁ…」
後頭部をガシガシと引っ掻きながら、城之内は満更でも無い顔でそう答えた。どうやら上手く乗ってきてくれたらしい。オレは内心でホッと安堵の息を吐いて、このまま計画を推し進める事にする。
だが決して焦ってはいけない。あくまでいつものオレを演出しながら、ゆっくりと…確実に事を進めなければ…。
「夜は? 空いているのか?」
オレの質問に、城之内はコクリと頷いて答えた。
「夕方六時までのバイトが終われば、後は特に何の用事も無いけどな」
「ならそれでいい。七時までにオレの屋敷に来い」
「は? 何で?」
「貴様に、今度我が社で出すゲームソフトやボードゲームのテストプレイヤーになって欲しい」
「テスト…プレイヤー?」
「そうだ。勿論バイト代も出すし、夕食も食べ放題だ。どうだ?」
キョトンとした顔で見返す城之内の真っ正面に立って、オレは真面目な声でそう伝えた。城之内は暫くの間黙って、じっとオレの事を凝視している。どうやら言われた内容を頭の中で反芻しているらしい。必死に考え込んでいる城之内を、オレはオレで固唾を呑んで見守る。
どうか断わられませんように…と願いながら、それでも外面だけは冷静な振りをして。
「それって…バイトなの?」
やがて自分の中で答えが纏まったのか、今度は逆に城之内が話しかけてきた。その問い掛けに「あぁ、そうだ」とサラッと肯定してやる。
「どうだ? 悪く無いと思うが…」
「そうだな。悪くは無さそうだ。けどオレでいいのか? 遊戯とかの方がいいんじゃないか?」
「それは勿論そうだがな。遊戯に関しては、先週にもうテストプレイして貰っているのだ」
「じゃあ別にオレ必要じゃ無いじゃん」
「馬鹿だな貴様は。こういうのは少しでも多くの意見を集めた方が良いに決まっているだろう?」
「そ、それはそうだけど…」
「とにかく、オレは貴様の腕を買っている。テストプレイヤーとして期待しているのだ」
最後にちょっと褒め言葉を吐いてやる。ここは持ち上げてやるのが重要だ。案の定、城之内はピクリと反応し、琥珀色の瞳をキラキラと輝かせた。その美しい色合いに思わず顔が綻びそうになって、慌てて引き締める。
「それ…本当?」
さっきまでの不機嫌さはどこへやら、分かり易い程嬉しそうな顔をして城之内が話しかけてきた。その顔に思わず赤面しそうになりながらも、それを何とか押し留めて冷静に対処する。
「オレは嘘は言わない」
「オレの腕を買ってるって…本当なんだ」
「だからそうだと言っているだろう。しつこいぞ凡骨!」
「じゃあやる!」
「………何を」
「テストプレイヤー! オレやるよ!!」
「もしかしたら深夜まで付き合って貰う事になるかもしれんが…いいのか?」
「いいよ。それは別に構わない」
「まぁそんな事になったら、屋敷に泊っていけばいい」
「マジで!?」
「少なくてもオレは本気だが?」
「やった! 俄然やる気になってきた!!」
城之内が本当に嬉しそうにガッツポーズをする。その姿を目に留めながら、オレは気付かれないようにそっと微笑んだ。
どうしてこんな事になったのだろうか?
オレと城之内は天敵同士だった筈だ。城之内はオレを嫌っており、オレも城之内のいい加減なところが気にくわなかった筈だ。それなのに…その気持ちはいつの間にかどこかに消え去ってしまい、残ったのはよりにもよって…城之内に対する恋心だったのだ。
恋は何回かした。そのどれも、当たり前だが異性が対象だった。自分はヘテロだと信じていたし、その内普通に見合いでもして有力者の娘と結婚し、それなりの家庭を築いていくのだと信じていた。信じていたのだが…そのイメージはあっという間に覆された。気が付いたら引き返す事が出来無い程に、ドップリと城之内に浸かってしまっていたのだ。
勿論そんな自分の気持ちに気付いたその場で、オレはその恋を諦めた。元々天敵同士だし、ましてやオレ達は男同士だ。恋だ愛だのと甘い展開を期待出来るような間柄では無い。
だからと言って、すぐに身を引くのも惜しまれる。それを踏まえて色々考えた結果、オレは一度だけ城之内と身体を繋げる事にしたのだ。
「うーん…。そろそろ眠くなってきたな…」
十月二十四日の日曜日、城之内は約束通り夜の七時に我が屋敷にやって来た。オレとモクバと三人で豪華な夕食を食べ、そしてそのまま城之内の為に用意した客室に案内して、その部屋でテストプレイをして貰った。夜が更けるまでは弟のモクバも相手になって至極和気藹々とゲームをし、モクバが寝付いた後はオレが相手になって様々なゲームを二人でプレイしている。
不思議な事に、ゲームをしている間は特に何も揉め事は起らなかった。いつものいがみ合いがまるで嘘のようだ。
「そろそろ寝るか?」
時計を見れば午前一時半。常に夜中まで仕事をしているオレとしてはまだ宵の口なのだが、肉体労働をしてきた城之内にとっては非常に遅い時間体なのだろう。実際目の辺りをゴシゴシと擦ってウトウトとしている。
「そうだなー。もっと遊びたかったけど、そろそろ寝たいかも…」
「ゲームはどうだった?」
「ゲームソフトの方も、ボードゲームの方もすっげえ面白かったよ。またやりたい」
「そうか」
「詳しい話はまた明日でいいか? 今はちょっと眠くってさ…。まともに答えられないかも…」
城之内の申し出に、オレは「分かった」と答えて頷いた。そして頷きながらも『明日』はきっとこんな風に和やかに喋る事は無いのだろうな…と、内心で深く溜息を吐く。
計画は今夜発動される。その計画を完遂してしまったら、きっと次は無いだろう。城之内は今まで以上にオレとの距離を取り、オレもそれを何事も気にしていないようにして過ごしていかなければならない。
分かっている。その計画が間違いだという事はよく分かっている。だがオレはどうしても自分の気持ちを留める事が出来無かった。
たった一度でいい…。一度だけでいいからお前に触れたいんだ…城之内。
「さっさと風呂に入って寝てしまえ。浴室はそこに備え付けられているから」
「うん。そうする」
「時に城之内。貴様、寝付きは良い方か?」
「ん…? 布団に入ったらすぐ寝ちまう方だけど…? 友達と一緒に寝泊まりとかすると、よく鼾が煩いって言われるぜ。………でも何で急にそんな事訊いてくるんだ?」
「いや、ちょっとな…」
「………?」
「気にするな。今日はご苦労だったな。ゆっくり休め」
不思議そうに首を傾げる城之内にオレは微笑みかけて、テーブルの上に開きっぱなしになっていたボードゲームを片付けて立上がった。そして「おやすみ」と声を掛けて、客室を出る。城之内は最後まで理解不能な顔をしていたが、ドアを閉める寸前に「おぅ。おやすみ」と言って手を振ってくれた。
本当はどうしようかと、ずっと悩んでいた。
相手が女性ならまだしも、こっちも向こうも同じ男だ。オレも最初は身体を繋げようと思った時は、男としての立場を取ろうと考えていた。だがオレは良くても城之内はどうだろう。たった一度しか身を繋げないというのに、それが女性の立場で行なわれたとしたら…身も蓋も無いに違い無い。どうせやるなら、突っ込まれる立場より突っ込む立場の方が傷も少ないだろう。
オレは別に城之内を傷付けたい訳では無い。ただ一度…、たった一度でいい。自分の誕生日プレゼントとして、愛しい男と身体を繋げたい…それだけなのだ。
「女役は…オレでいい」
バレた時の言い訳も既に考えてある。計画は完璧だ。
壁時計をチラチラと眺めて、オレが客室を去ってから丁度一時間後の午前二時半。自分も風呂に入りすっかり身体を綺麗にしたオレは、合い鍵を持ってバスローブを羽織ったまま再び客室に向かった。
なるべく音を立てないようにカチリと鍵を開け、そっと客室内に足を踏み入れる。部屋の中はもう真っ暗だった。手探りで常夜灯を灯し、足音を忍ばせて寝室へ繋がるドアを開ける。するとそこには意外な事に、ヘッドライトが付けっぱなしになっていた。ベッドは人型にこんもり盛り上がって、スースーと規則正しい寝息が聞こえる。
「ちゃんと寝ている…よな?」
小さな声でそう呟いても、その声に応える様子は無い。それはそうだ。城之内は熟睡している。
そろそろとベッドに近寄って、ヘッドライトの明かりを頼りに顔を覗き込んでみた。城之内は幸せそうな顔をして、ムニャムニャと何事か口を動かしている。
「悪く思うなよ…」
掛け布団からはみ出していた城之内の両手を頭上で一つに纏め上げ、持って来たタオル地の紐で結びベッドヘッドに固定してしまう。ゆっくりと掛け布団を捲っていけば、布団の中で温まっていた身体が夜の冷気に触れ寒かったのだろう。城之内は顔をしかめてブルリと身震いをした。
現れた城之内の姿は、半袖のシャツにトランクス一枚という非常にラフな物だった。その身体の上に馬乗りになって、トランクスに指をかけた。
「犬に噛まれたと思って諦めろ」
誰に言うまでも無くそんな事を呟いて、そっとトランクスを下げようとした時だった。
「はい、ストップ」
突然頭上から聞こえて来た声に、オレはビクリと反応して固まってしまった。心臓が破裂しそうなくらいに高鳴り、ダラダラと嫌な汗が流れてくる。そっと視線を上げてみれば、妙に怒ったような…それでいて何故か困ったような城之内の顔が目に入ってきた。
思わずゴクリ…と生唾を飲んでしまう。かなり焦っていたが、オレは自分に「落ち着け…落ち着け…」と言い聞かせていた。
バレるのは既に想定済みだ。その為の対応もバッチリ立ててある。
「お前…。何してんの?」
呆れたように声を出す城之内に、オレはフフンと開き直ったように笑ってみせた。
「夜這いだ!」
たった一言をズバリと言ってやれば、城之内はますます呆れたような表情になって「はぁー…」と深く嘆息した。
「夜這いって…お前なぁ…。そんな偉そうに言う事じゃないだろ。何が犬に噛まれたと思ってだよ。こんな大事件、早々忘れられるかってんだ馬鹿」
「いいから忘れろ。たった一回だ」
「そのたった一回が大問題なんだろ?」
「………」
「何でこんな事してんのよ」
「………」
「言ってみろよ」
「………言ったら…引くぞ」
「いいから言ってみろって」
言ってみろと言われて、少し決意がぐらついてしまう。けれどここで本当の理由を白状してしまったら、それこそ後戻りが出来無いくらいにドン引きされるだろう。だったら…用意していた嘘の理由を尤もらしく語った方がマシだった。
スゥ…と息を吸い込んで、なるべく淡々と口を開く。
「オレも大人になってきたし。そろそろ枕営業をしようと思ってな」
「………はぁ?」
オレの言葉に城之内が全く理解出来ないといった顔をして、すっとぼけた声を出した。
「だがいきなり見も知らぬ中年や老人に足を開くのは、このオレでも抵抗がある。だからせめて最初は、自分の知っている奴にしようかと思ってな」
「知ってる奴って…」
「貴様なら体格も丁度いいし、スタミナもありそうだ。どうせ突っ込んで出して終わりなんだから、文句を言うな」
「………あのなぁ…」
「煩い! もう黙っていろ!」
内心は焦り捲っていた。顔も真っ赤になって熱い位だ。でもそれを気付かせないようにしながら、思い切って城之内のトランクスを膝までずり下げた。そこにはまぁ…想像していた通りの物が存在していて、ほんの少しだけ頭を擡げているのが目に入ってくる。コクリ…と喉を鳴らして、そっとそれに触れてみた。
本当は恐る恐るといった風だった。緊張して手も震えている。もしかしたらそれに気付かれているのかもしれないと思いつつ、握ったそれを上下に擦ってみる。
「っ………! ちょっ…お前…!!」
その途端、城之内がビクリと身体を揺らして文句を言った。眉根を寄せてオレの事を睨んで来るが、そんな事に構う余裕はこちらにも無い。
「くそ…っ。手ぇ冷たくて気持ち悪いんですけど…」
「だから文句を言うなと言っている」
どんなに抵抗したって所詮男だ。刺激を与えれば簡単に勃起する。すっかり硬くなった城之内のペニスに満足して、オレは今城之内の腕を縛っている紐と一緒に持って来た小瓶を取り出した。その中には、曰くローションと呼ばれる物が入っている。ボトルのキャップを開け、中の溶液をたっぷりと掌の上に出した。それを手に馴染ませて、バスローブを割って自分の足の間に持って行く。
「っ…うっ…!」
冷たいローションをヌルヌルと自分の後孔に擦り付けた。その気持ち悪さに肌を泡立てながら、それでもちゃんと人差し指の先を体内に潜り込ませローション塗れにする。
当たり前だがオレは男だ。どんなに興奮しても女のように濡れる事は無いから、こうして人工的な滑りの助けを借りるしか無い。
自分の後孔を何とか濡らして、残ったローションを城之内のペニスに塗り付けた。そしてバスローブを脱ぎ捨てて、足の間にその熱い塊を持って来る。先端を後孔の入り口に触れさせ、そのまま思い切って腰を下ろそうとした。
「ま、待て…海馬!!」
「うっ…!! いっ…!!」
ローションは塗ったが、塗っただけで後孔を慣らしていた訳では無い。オレの身体は入り込んでくる異物を押し出そうと必死になっていた。それを理性の力で押し留めて、無理に腰を下ろしていく。硬い勃起が体内に入り込む度に、メリメリと身体が裂けそうな痛みを感じた。
「待てってば…海馬!! お前全然慣らしてないじゃないか!!」
「や…やだ…!!」
「やだじゃ無いってば!! てか痛い!! オレも痛い!!」
「あっ…うぅっ…!!」
「これ以上は無理だって! つか折れる! 折れちゃう!! オレの大事な○○○が折れちゃうからちょっと待って!!」
城之内の必死な叫びに、身体の動きを止めた。正直…オレもこれ以上入るとは思えなかった訳だが…。
ハァハァと荒い呼吸をしながら、じっと城之内を見詰める。痛みと苦しみの為に、冷や汗がこめかみからつつーっと流れ落ちてきた。
「お前…無茶し過ぎ…。やるならちゃんとやってやるから、取り敢えずこれ外して」
城之内の視線が自分の頭上に向き、手を縛っている紐を外せと言って来る。オレはその要望に首を振って応える。
「駄目だ」
「何でよ」
「お前が逃げるからだ」
きっぱりと言い返してやれば、城之内はまた困った顔でオレの事をじーっと見詰めてきた。そして「はぁー…」と再び大きな溜息を吐く。
「逃げねーよ」
「嘘だ」
「こんな事嘘言ってどうするよ。ていうかオレもこんな状態だから、逃げようなんて思ってもいないけどな」
「………」
「そこまで言うならやってやるから。ちゃんと気持ち良くしてやるから、取り敢えずこれ外せ」
真面目な顔でそんな事を言われて、オレもグラリと気持ちが揺れた。
城之内が嘘を言っているようには見えない。大体コイツは至極単純な奴なんだ。嘘なんて言ったらすぐに見抜ける。
「分かった…」
仕方が無いので伸び上がって腕の紐を外してやったら、城之内は「やれやれ」と呆れたように呟いて暫く手をブラブラと動かしていた。多分ずっと同じ姿勢でいた所為で、手が痺れていたのだろう。少し…罪悪感を感じた。
城之内は自分の手を左右交互に擦りながら、横目でオレの事を見詰めてくる。そして「なぁ…海馬」と話しかけて来た。
「どうしてこんな事をした? 本当の理由を教えてくれ」
「本当の…?」
「枕営業の為だなんて…どうせ嘘なんだろ?」
「………っ!! う、嘘じゃない!」
「いいや嘘だね。だって余りにもスラスラと言い切り過ぎだよ。逆に不自然だ」
「嘘では無いと言ったら…!」
「本当の事を言ったら、オレが途中で止めるとでも思ってるのか?」
「そ、それは…っ」
「そんな事はしないけどな。ま、いいか。やりたかったらこっちにおいで」
漸く感覚が戻ったらしい掌をスッとオレの方に伸ばして、城之内はニヤリと笑う。その笑顔に誘われるようにベッドの上で這うように近付けば、あっという間に捕われて身体を引っ繰り返され、ベッドに縫い付けられてしまった。
「な、何を…!!」
「やりたいんだろ? 悪いけどオレ、主導権は自分で持ちたいタイプなんだよ。大人しくしてろよ?」
そう言ってペロリと下唇を舐め取った城之内は、その濡れた唇のまま顔を近付けてきた。男らしい精悍な顔から目が離せず、オレは目を見開いたままその唇からのキスを受ける。濡れた唇は何度か啄むようにオレの唇を擽って、やがて口内にヌルリと舌を差込んできた。
「んっ………!」
今まで味わった事がない異様な感覚に、オレはギュッと瞳を閉じる。城之内の熱い舌はオレの顎の裏から舌の付け根、頬の内側から歯列の端から端までを乱暴に愛撫していった。ヌロヌロと暴れ回る舌が気持ち良くて、背筋にゾクゾクとした快感が走る。
「ふぁっ…ぅ…」
長い時間キスを堪能して漸く唇が離された時、オレの口の周りは自分と城之内の唾液でベトベトに汚れていた。それを指先で丁寧に拭ってくれながら、城之内はニヤリと男らしく微笑む。
「気持ち良かっただろ?」
言われた言葉に、素直にコクリと頷いた。
「平気…なのだな…」
「ん? 何が?」
「オレは男だ…。女では…無い」
「うん。それは知ってる」
「男相手でも…全然平気なのだな…」
「………。うん…まぁ…それは…ちょっと…な」
返って来た言葉に、ツキリと胸が痛む。
城之内が返答に言い淀んでいるのは、過去に同性と関係した事があったからだろうか? 女性とだったらまだしも、城之内が男性とそういう事をしていたのだという事実に、かなりのショックを受ける。というか、その相手が自分では無かった事に何だかイライラした。分かりやすく言えば、知りもしない相手に嫉妬していた。
多分オレは、心のどこかで優越感を持っていたのだと思う。城之内の男相手の初セックス(実質にはレイプに近いが)をこの手でしたという事で、諦めていた恋に終止符を打とうとしていたのだろう。
馬鹿だな…と思う。自分の事を本当に馬鹿だと思った。
最初から諦めていた恋に自分勝手に独占欲を持って、それで嫉妬しているんじゃ救いようが無いではないか。
「慣れているのだな」
「別に…そういう訳じゃないけど」
「心配して損をした。好きにするがいい」
泣きたいのをぐっと堪えて、オレはベッドの上で身体の力を抜いた。そんなオレに、城之内はクスッと鼻を鳴らして笑って、身に着けていた服を全て脱いでオレに覆い被さる。
「今の言葉には棘があったな」
「そんな事は無い!」
「分かった分かった。続きをやるから大人しくして」
クスクスと笑ったまま、城之内はオレの首筋に唇を寄せる。そこをペロリと舐めて、チュッと吸い付いてきた。その度にゾワゾワした快感が全身を走って、オレは首を竦めて枕に半分顔を埋める。そんなオレに気付いているのか、城之内は相変わらず笑ったまま大きな熱い掌で胸をサワサワと撫でだした。
「あっ…んっ…」
掌が胸の飾りを撫でる度、そこがジンッ…と快感を訴える。そんなオレの反応に気付いた城之内は、指先でキュッと乳首を摘んできた。途端にそこに電気が走ったかのような快感が生まれて、耐えきれずにビクリと身体を跳ねさせる。
「ふっ…ぁっ…!?」
スリスリと指の腹で乳首を擦られる度に、頭の中はどんどん真っ白になっていった。
「海馬…。ここ、気持ちいい?」
「やっ…! な、何…!?」
「ここでこんな風に気持ち良くなるの…初めて? 可愛い。反対側舐めてもいい?」
「んっ…! あぁっ…ダ、ダメ…っ!」
「ダメって言われても舐めちゃうけど」
ビクビクと身体を揺らすオレに構わず、城之内は口元に笑みを浮かべたままオレの胸に唇を寄せた。そしてチュッ…とそこに吸い付く。
「ふあぁぁっ…!!」
その途端、信じられないくらいの快感が脳まで届いて、オレは耐えきれずに吐精してしまった。ビュクビュクと自分の腹に精液を撒き散らしながら、それでも止まる事の無い城之内の愛撫に身悶える。
胸が熱い。胸の奥がジリジリとした炎に焼かれているようだった。
「胸ちょっと吸っただけでイッちゃったの? 可愛いなぁー」
「あっ…あっ…あぁっ…」
「じゃあもっと吸ってあげないとな。気持ち良くしてやるって言ったし」
「あふっ…! あっ…やぁっ…!」
恥ずかしくて。城之内の目の前でみっともなく喘いでいる自分が恥ずかしくて。慌てて口元に手を当てて、自分の指を噛んで快感を我慢する。けれどそんなオレを城之内は鼻で笑って、右と左の乳首を交互に舐めたり吸ったりを繰り返した。その度にチュプチュプと耳に届く水音や、反対側の乳首を爪を立ててコリコリと引っ掻かれる快感が、オレから理性を遠ざけていく。
一度達したというのにオレのペニスは再び硬く大きくなって、オレにのし掛かる城之内の腹筋に当たっていた。それを城之内はもう片方の手で包み込んで、纏わり付いた粘液ごとニチャニチャと上下に擦る。
「あっ…! あぅ…!! あぁっ…!!」
三カ所を同時に攻められて、オレの理性はもう残って無いも同然だった。涙も隠せずボロボロと泣きながら、必死に城之内の腕を掴んで爪を立てる。
「気持ちいい?」
問われた質問に、何も考える事も出来ずただただ素直にコクコクと首を縦に振る。
「ほら、な? 気持ちいいだろ? これがセックスだよ…海馬」
「うっ…! ひゃっ…ぁ…っ」
「ちゃんと答えて。枕営業の為って…あれ、嘘だろ?」
「あっ…あ…ぁ…っ」
「嘘なんだろ?」
少し強めの語尾の言葉に、オレはもう頷くしか出来無かった。
理性と呼ばれる物はもう既にどこにも残っておらす、快感で麻痺した脳は冷静な答えを出せずにいる。もうどうでもいいと…なるようになれと思っていた。
「じゃあ教えて? どうしてこんな事しようとしたの」
「あっ…! そ、それは…っ」
粘液に塗れた城之内の指は、今はオレの後孔の縁をなぞっている。ヌルヌルと滑る指の感触に、オレはブルリと背筋を震わせた。
暫く様子を探るように穴の周りを撫でていた指は、やがてツプリと体内に入り込んできた。ローションや粘液の滑りを借りて、一気に根本までズブズブと入り込んでくる。オレはそれを、至極簡単に受け入れてしまった。不思議な事に痛みは全く感じなかった…。
「ほら、教えて?」
「んっ…! っ………!」
「教えないと意地悪するぞ」
「………? あっ…いやっ…!!」
オレがそれでもムキになって我慢していると、城之内は痺れを切らしたのか、中に入った指をグネグネと動かし始めた。その指先がある一点に触れた途端、今まで感じていた快感とは比べものにならない程の刺激が背筋を突き抜ける。自分の前立腺に触れられたんだと…何となく理解した。
「うっ…! あぁっ…! そ、そこは…もう…嫌だ…っ!」
「ほらほら。早く言わないともっと酷い事するぞ」
体内にはいつの間にか城之内の指が三本入っていて、それがバラバラに動いてオレの前立腺を刺激する。その余りにも強過ぎる快感に、オレはついに…陥落した。
「す、好きだ…から…!!」
悲鳴のように吐き出した声に、城之内の動きが止まる。
終わった…と思った。思ったけれど、吐き出した言葉の勢いは止まらなかった。
「好き…だ…から…襲おうと…思った…」
「誰が? 誰が誰を好きだって?」
「オ、オレが…お前を…」
「お前がオレの事を好きだから、だから無理矢理ヤろうと思ったって言うのか?」
城之内の言葉に、オレはもう恥ずかしくて声が出せなかった。ギュッと強く目を瞑って、ただコクリ…と頷いて答える。
「いつから?」
「………っ」
「海馬」
「………もう…随分前…から…だ…」
「何で今更?」
「今日が…オレの誕生日…だから…」
「自分へのプレゼントに、一度だけセックスしとこうって?」
「………そうだ」
ゆるゆるとオレの体内を探りながら、城之内の質問は続く。オレはもう何も隠せなくなっていた。ただ情けない想いに捕われながら、その質問に正直に答えていくだけだ。
じわり…と目元が熱くなる。泣きたく無いのに…涙を堪える事が出来無かった。重力に負けて、眦から涙がボロリ…と零れ落ちる。その涙を、城之内は唇でちゅっと吸い取ってくれた。
「泣かないで」
「っ………ふっ…!」
「ゴメン。実はオレさ…さっきちょっと怒ってた。だってお前が枕営業するなんて言い出すから…」
「………っ」
「でもそれが嘘なんだって知って、安心したんだ。もう怒って無いから」
「迷惑…だろ…っ」
「何が?」
「こんなオレなんかが…好き…だなんて…言って…」
「そんな事ないよ。嬉しいよ」
「………嘘だ…」
「嘘じゃないよ。本当だよ。だってオレもずっと好きだったんだ」
「………っ?」
「でもお前はずっとオレに打ち解けなくて…。それに生きる世界も見ている物も全然違ったし、だから諦めてたんだけど…。でもお前からテストプレイの誘いを受けてさ、すっごい嬉しくて…」
城之内はオレの泣き顔をペロペロと舐めながら、苦笑しながら口を開いた。
困ったような顔はしているが、本当に戸惑っている感じは見受けられない。
「実はさっき、寝てなかったんだよ。何だか寝付けなくてベッドでゴロゴロしてたら、誰かが入って来る気配がしたからさ。ほら、オレ鼾かいて無かっただろ?」
「なっ………!?」
「そしたらお前があんな事やってきたじゃん? オレビビッてさぁ…。お前がこれを本気でやってきてるのか、それともただの冗談なのか分からなくて、暫く様子を見ようと思ったらこんな事に…」
「城…之…内…」
「さっきもさ、ディープキスした時に男相手なのに平気なのかって言ってただろ? 別に男相手が平気だって訳じゃねぇぜ? お前相手だから平気なんだよ」
城之内はフワリと微笑んで、空いている方の手をオレの頭にポンと載せた。そして優しく頭を撫でてくれる。
「本当にゴメンな。オレの方からもちゃんとモーションかけるべきだった。そうすりゃお前一人に、こんな事させずに済んだのになぁ…」
ニコニコとしながらそんな優しい事を言ってくる城之内に、オレはまた新たな涙が湧き上がってくるのを感じていた。それを隠しもせず、目が熱くなるまで盛大に泣きつつ、目の前の逞しい身体にしがみつく。
「好きだ…!!」
「うん。オレも好き。大好き」
「抱いてくれ…!!」
「うん、大丈夫。最初からそのつもりだし」
城之内が優しく答えて、唇を顔に寄せてくる。前髪を掻き上げて額に一つ、少し降りてこめかみに一つ、頬にも一つ。もう片方の頬に、そして鼻先へ一つ。最後に唇に辿りつき、そこに甘いキスを何度も繰り返された。静かな寝室にチュッ…チュッ…という甘やかな軽い音が鳴り響く。オレはそれを、とても幸せな気分で聞いていた。
キスを受けている間に体内の指は引き抜かれ、そこにいつの間にか先程の熱い塊が押し当てられている。一瞬先程の痛みを思い出して身体を竦めるが、城之内に「大丈夫だから、身体の力抜いてて」と優しく言われ背を撫でられた。それだけで心の底から安心して、オレは全身から力を抜いてその瞬間を待つ事にする。
「挿れるよ?」
「………あぁ」
頷いて答えれば、城之内がぐっと腰を進めて来た。途端に内臓が押し出されるような強い圧迫感を感じて呻いてしまう。
「っ…! うっ…あぐっ…!」
「海馬…っ! ちゃんと息…して」
息を詰めて呻けば、城之内が途中で侵入を止めてオレを気遣ってくる。背中を大きくて熱い掌で撫でられて、ハァハァと荒い呼吸を繰り返した。
「息止めないで。なるべく深く…深呼吸みたいにして。うん…そう」
「ふっ…はぁ…っ! ひっ…ぃっ…!!」
はぁー…と深く息を吐き出せば、その瞬間を狙って城之内が奥まで入り込んでくる。痛くて苦しかったけれど、先程の様な酷い状況にはならなかった。ハッハッと短く息を吐き出しながら、ピッタリと重なり合った城之内の背中に腕を回す。じっとりと湿った背中は、城之内がそれだけ汗を掻いているという事だ。オレの身体を抱いて汗を掻いている城之内を、オレは心から愛しく感じた。
「奥まで…入ったよ…」
「んっ…! あ…あっ…!」
「動いていい?」
コクコクと頷けば、体内に収まった城之内のペニスがズルリと引き抜かれ…そしてまた奥深くに突き刺さる。
「海馬…海馬…っ!!」
「ひっ…! あっ…あぁっ! やっ…あっ…んんっ!!」
パンパンという皮膚が叩き付けられる乾いた音と、ジュップジュップという濡れた水の音。静かな寝室の中に、その二つが入り交じってオレの耳を犯す。酷く恥ずかしい筈なのに…何故だかその音に興奮してならなかった。
「うっ…! あぁっ! すっ…き…っ! 好き…だっ…!! 城之内ぃ…っ!!」
あんなにも口にするのが恐ろしくて堪らなかった言葉が、今はスラスラと出てくる。自分に与えられる城之内の熱が、そして彼の言葉が…気持ちが、全てが愛しくて愛しくて堪らなかった。もう何も恐れる事はない。汗ばんだ身体を必死に抱き締めて、オレは今は苦痛から百八十度切り替わった快感を全力で受け止めていた。
「あぁ…っ! も、もう…!! おか…し…く…なる…!!」
「いいよ…おかしくなっても…っ。オレが…全部…受け止めてあげる…から…っ!」
「ダメ…っ! あっ…? い、いやっ…! ダ…メェ…っ!!」
「イきそ? いいよイッて」
「ふぁっ…!? あぅ…あっ…んっ!! あっ…!!」
「海馬…好きだよ。イッて?」
「うっ…あっ…あぁぁぁっ――――――――っ!!」
耳元で優しく囁かれた声に、オレはついに我慢出来ずに溜った熱を吐き出してしまった。一度射精したというのに、トプトプと大量に精液が吐き出される。ビクビクと身体を震わせて吐精の快感に酔っていたら、城之内のペニスがググッ…と最奥まで突き刺さって来た。そしてそこでブルリと震え、次の瞬間ジワリ…と体内が熱くなるのに気付く。
城之内が、オレで感じて、オレの体内でイッた瞬間だった。
「ゴメ…っ。中で…出しちゃった…」
ゼェゼェと荒い呼吸をしながら汗だくで謝る城之内に、オレはフルリと首を横に振った。
謝る事なんて何もない。むしろ城之内の全てを受け入れたようで、オレは嬉しかった。快感の余韻で痺れて気怠い身体を何とか起こして、そっと城之内の身体を抱き締める。
「嘘…みたいだ。こんな事になるなんて」
オレの言葉に城之内は何も答えない。ただギュッ…と、オレの身体を抱き返してくれる。
「一度だけ身体を繋げて…それで終わりだと思っていた。それだけで、オレは自分の誕生日を幸せに過ごせる筈だった…」
「馬鹿だな…。そんな悲しい誕生日になんか、誰がさせるかよ」
「城之内…」
「誕生日おめでとう、海馬。好きだ。付き合ってくれ」
「っ………!!」
「この言葉がオレのお前に対する誕生日プレゼントだ。で、返事は?」
ニッコリと笑いながらそんな言葉を口にした城之内は、汗ばんだ手で優しくオレの頭を撫でてくれた。その感触の気持ちよさに心底ウットリしながら、オレは微笑みを浮かべて黙って…そしてしっかりと一つ頷いた。
十月二十五日の朝。
オレは自室では無く、城之内の為に用意した客室で朝を迎えた。ベッドの中には勿論城之内もいて、オレを背後からギュッと強く抱き締めたまま気持ち良く眠っている。スゥスゥと首元に掛かる寝息に安堵しながら、オレは密かに笑みを浮かべた。
「眠っている振りをしても無駄だぞ…」
オレを抱いている腕がピクリと反応する。
「鼾が聞こえないからな」
オレの言葉に背後の男はクスクスと笑って、それでも眠った振りを続けながらオレの身体を強く抱き寄せた。裸の肌同士がじんわりと熱を伝え合って、オレはこんなにも幸せな気分で迎えられた自分の誕生日を、心の底から感謝していたのだった。
漸くノンビリモードに入れた二礼です、こんばんは。
何か急に寒くなって来ましたねぇ~。
皆様、風邪等にはお気を付け下さいませ。
私ですか? 今日も超元気です!w
という訳で、本日は家でまったりと過ごしておりました。
つーか、急に寒くなるの止めてくれないかなぁ…;
イベントの時はあんなに暑かったってのに!
今のところは元気ですが、実は私、気温の変化に弱いのです…w
風邪引くのはいつもこんな時期なので、ちょっと気を付けたいと思っています。
そう言えば、忙しい最中ずっと「絵を描きたい!!」と思っていたのですが、先週から今週に掛けて漸く一枚描く事が出来ました。
こんな絵です↓
今コレはツイッターのアイコンにしているのですが、これからも暇を見付けてチョロチョロ絵を描いていきたいなぁ~なんて思っています…w
ていうか、実際に絵を描いてみて思うのですが、絵描きさんって本当に凄いですよね…。
どれだけの努力をすれば、あんな綺麗で素敵な絵が描けるのでしょう!!
本当に感心します!!
そういえば…。
話は変わりますが、もうすぐ社長誕ですね~!
ちょっと予定が分からないので更新予定表には何も書いていませんが、時間があったら何か短い作品でも書けたらいいなぁ~なんて思ってたりして。
思ってたりしてなんて微妙な書き方をしてるのは、実は社長誕についてはもう満足しきってしまっているからなのです(´∀`;
以前の日記でも言いましたが、この間REMSさんのところで出した『例えばこんな二人の話』にゲストで参加させて貰ったのですが、それに社長の誕生日話を載せてしまったのですよ…w
勿論ゲスト原稿と自分のサイトは扱いが違いますけど、気分的に「社長誕を書いた!!」と満足してしまっている訳なのですw
書いたのは…まぁ、一人ですからねぇ…。
なので、自分のサイトでも社長誕を祝いたいなぁ~という気持ちはあるのですが、イマイチ何も焦っていない状況なのですw
それでもやっぱりお祝いはしたいので、去年程派手な事は出来ませんが、もしかしたら何か一本短編を書く…かもしれません。
………確約は出来ませんので、余り期待しないでおいて下さいませ…(´ω`;
長編『あの夏の日の君へ』に第二十五話をUPしました。
あふん…。漸くゴールが見えて来た…w
途中でお休みを入れたから、物凄く長くやってたように感じます…w
この物語が始まった直後、そこには色んな問題が山積み状態でした。
すれ違う城海、怪我をした大人の海馬、影に乗っ取られたもう一人の城之内、目覚め立ての能力、もしかしたら問題解決の為に犠牲者を出さなければいけないかもしれないという事実…。
その一つ一つを確実にクリアしていって、その殆どは既に解決済みです。
残るは…こちらの世界の城海の、たった一つの問題だけとなりました。
大人の城之内君と海馬君は、もうすぐ帰ってしまいます。
残されたこの問題は、当事者だけが自分達の手で何とか出来るのです。
さてさて…。上手くいくんでしょうかね…?w
エンディングまであと数回を残すのみとなりました。
最後まで頑張って書きますので、宜しくお付き合い下さいませ~!
結局その後、あっちのオレ達とのシンクロは完全に切れてしまったらしく、オレはあの続きを夢に見る事は無かった。それは多分海馬も同じだったんだろう。朝、廊下で顔を合わせた時、オレの様子を伺って至極分かり易く安心したような顔をしていたから。「興味ねーの?」なんて巫山戯て訊いてみたら、「他人の…そ、そういう物には全く興味無い!!」と顔を真っ赤にして反論された。他人のって事は、自分の事には興味あるって事なんだろうか? まぁ…厳密に言えばアイツ等は、ただの他人じゃ無いんだけどな。
でも、確かにオレだって他人のセックスになんか興味は無い。オレが興味あるのは、この恋人の海馬の事だけだから。ただちょっと惜しいと思ってるだけだ。
だってアイツ等って、違う世界のオレ達なんだぜ? しかもこっちのオレ達と違って、すっかり出来上がっているカップルだ。ほんの少しでも参考になるような事があるかもしれないじゃんな? でもまぁ…そんな事に頼っているんじゃ駄目なんだろうけどね。やっぱ自分達の幸せは、自分達で築かないとな。
そんな訳で至極平和な朝を迎えたオレ達は、朝…というには大分遅い昼近くになってから団地の一室に帰って来た。昨日の一件で疲れているんだろうからゆっくり休ませてやりたいって気持ちもあったし、逆に昨夜の名残で朝からイチャイチャしてるところに鉢合わせしたくないって気持ちもあったから、何となくノロノロと足を進める。その気持ちは海馬にもあったらしく、オレがどんなにノンビリ歩いても一向に急かしてはこなかった。
午前十一時ちょい前くらいに部屋の前に着いて、鍵を開けてドアを開ける。その途端、凄く美味しそうな匂いが部屋の中から溢れ出て来た。
「何だこれ…? 目玉焼き?」
「お、おかえりー! 遅かったな」
頭にハテナマークを浮かべつつ靴を脱いだら、台所からフライ返しを持ったままの大人のオレがヒョイと顔を覗かせた。どうやら自分でご飯を作っているらしい。
「冷蔵庫の中のモン、勝手に使わせて貰っちゃったけど…。別に良いよな?」
「あぁ、そりゃ構わないけど…」
「お前等は? 飯食ったのか?」
「うん。オレ達はちゃんと食べて来たぜ」
「じゃあ悪いけど、ちょっと待っててくれるか? オレ達今さっき起きたところで、これから朝飯なんだ」
嬉しそうにそう言いながら、大人のオレは鼻歌交じりで二つ目のベーコンエッグを作っていた。
テーブルの上にはトーストとベーコンエッグ、インスタントのカップスープにトマトとレタスの簡単なサラダ、それにマグカップに熱い珈琲が注がれている。そのテーブルには、大人の海馬が既に席に着いていた。未だ寝惚けているのか、その珈琲をゆっくり飲みながらボンヤリしている。「おはよう」と声を掛けると海馬はこちらをチラリと見て、そして顔を赤くして「あぁ…おはよう」と呟いた。
あれ? この反応って…もしかして…。
「なぁ、おい」
出来上がったベーコンエッグを皿に移している大人のオレに、オレは近寄って耳打ちする。
「もしかしてアイツ…昨日ちょっとシンクロしてた事に気付いているのか?」
「あー…あぁ、それね。あの時やっぱりちょっとシンクロしてたのかー」
「やっぱりって…。お前もしかして、気付いて無かったのか?」
「いやー。まさかここまで繋がりやすいとは思ってなかったんだよ…。途中で海馬がその可能性に気付いてな、慌てて意識を遮断したんだけど…」
「ゴメン。前半ちょっと見えてた」
「だろうな。悪い悪い、迂闊だった」
悪いなんて言いながらも、反省なんて全然していないに決まっている。大人のオレは実に面白そうにケラケラと笑っていた。
うん、その気持ちは良く分かるよ。もし逆の立場になったとしても、オレだってそこまで深刻にはならない。だってどうせ自分達と同じような存在だって知ってる訳だしな。
そうだよなー。迂闊だったよなー。なんて明るく喋っているオレ達の背後で、二人の海馬が顔を真っ赤にしながら黙って見つめ合ってたのを、オレは(というか、オレ達は)一生懸命気付かない振りをしていた。
ご飯を食べ終わった後、随分と長く四人で雑談をしていた。大人のオレ達の体調は、こっちが心配していた程では無かったらしい。傷も失った血液もあの漠良に治療して貰って、後は気力が戻るのを待つだけだったんだそうだ。その気力も…まぁ、昨夜の内に取り戻したから無問題だって事らしいけど。
「使い過ぎた能力も、明日中には元に戻りそうだ。そうしたらオレ達は元の世界に戻る」
自分の右手を凝視しながらそう呟いた大人の海馬に、オレは嫌でも反応せざるを得なかった。
コイツ等が…元の世界に帰ってしまう。オレ達の前から居なくなってしまう。勿論それが当たり前の事なんだろうけどさ…。コイツ等の生きる世界はここでは無くて、こっちの世界に長居する事は出来無い。用事が済めば、早々に立ち去らなくてはいけないんだろう。それは分かっている。よく分かっているけど…。
「何か…寂しくなるな」
そう呟いたオレを、他の三人がじっと凝視した。
発言は覆さない。だってオレは本当にそう思っているから。寂しいって感じている事を寂しく無いなんて言う事は、オレには出来無い。それにオレは、この大人の海馬には沢山世話になったんだ。そんな事言おうものなら「世話になったのはこっちの方だ」と反論してくるのが目に見えてるから、絶対口に出して言ったりはしないけどな。
でもな、本当に世話になったんだよ。この海馬のお陰で、オレは本当に大切な事に気付く事が出来たんだから…。
付き合い始めたはいいものの、全く上手くいかなかったオレと海馬の関係。自分の気持ちに一杯一杯で、海馬の本当の気持ちに気付く事が出来無かった。見えない気持ちに苛ついて…キレて…、下手をすれば世界で一番大事な人をレイプしていたかもしれない。もしあのままレイプしていたら、もう二度とオレと海馬の関係が修復する事は無かっただろう。留まって本当に良かったと思う。そして、そんな苛立ったオレを慰めて辛抱強く落ち着かせてくれたのは、この大人の海馬だった。
感謝しても仕切れないと…本心からそう思っている。
「………」
「………」
「………」
「………」
オレの一言で、さっきまで楽しく話していたのが嘘のように、居間は静かになってしまっていた。全員俯き加減になって、何か話そうとしてもなかなか言葉が出て来ない状況に陥っている。
どのくらいそうしていただろうか。ふと…大人の海馬がゴソリと動いて「城之内」と名前を呼んだ。その声にオレと大人のオレが同時に反応するけど、海馬はクスリと笑ってオレの方を指差して口を開く。
「そっちの城之内だ。少し二人で話をしよう」
その言葉に呆気に取られ、パチパチと瞬きをして固まってしまった。だけど大人の海馬はそんなオレの反応に構わず、座っていた椅子から立上がる。そしてもう一人の自分…つまりオレの恋人の海馬の方に向かって微笑みかけた。
「ちょっとそこの公園まで行って来る。コイツを借りるが良いな?」
「か、借りるって…。貴様一体何を…」
「別に何もしないから、安心しろ。そうそう、お前もそっちの城之内に何か訊きたい事があるのではないか?」
「………な、何を…?」
「せっかくの機会だ。色々訊いておくがいい」
何か急に焦ってしどろもどろになっているオレの海馬にクスクスと笑って、大人の海馬はオレの腕を引っ掴んだ。
「ほら、行くぞ」
「あ………。う、うん」
そうハッキリ言われてしまえばオレとしても反論出来無くて、渋々立上がって玄関に向かう。一瞬振り返ったら、微妙に複雑な表情をして俯いている恋人の海馬と、そんな海馬の横で「心配するな」とにこやかに笑い、こっちに向かってヒラヒラ手を振っている大人のオレの姿が目に入ってきた。
他の男だったら「心配するな」なんて言われても絶対安心出来無いけど、相手が相手だからなぁ…。生きる世界は違っても、アイツはオレと同じ人間だ。だから本当に困った事にはならないだろうと信じて、オレは先に玄関を出て待っていた大人の海馬の後を追った。
外はもうすっかり夕方だった。怒濤の夏休みももう後半に入っていて、日が暮れるのも大分早くなっている。外はまだ蒸し暑さ全開で、座っていてもジワジワと汗が流れてくるけど、公園の木に住み着いているヒグラシの音色が夕暮れの風と共に涼しさを運んできていた。
海馬はオレを連れて無言で公園までやって来て、初めてオレと出会って火傷を治療したベンチまでやって来た。そして片側に座りかけると、隣をポンポンと掌で叩く。
「ほら、ここに座れ」
そう言われて、オレはコクリと頷いて隣に腰を下ろした。
「もう夕方だってのに、暑いなぁ…」
「そうだな」
「夕日が眩しい」
「そうだな」
「あ、何か冷たい物買ってこようか?」
「そう言えば少し喉が渇いたな。何か頼めるか?」
「うん、いいぜ! 買って来る。何でもいいよな?」
「あぁ」
にこりと微笑まれてそんな事を言われたので、オレは一気に嬉しくなって慌てて立上がった。一応ジーンズのポケットに小銭が入っていた事は確認済みだったので、その金を出しつつ出口にある自動販売機へと向かう。少し悩んで、冷たい緑茶と烏龍茶のペットボトルを一本ずつ買った。それを持ってベンチまで戻って来て、もう一度海馬の隣に腰を下ろす。
「緑茶と烏龍茶。どっちがいい?」
「そうだな。緑茶にしようか」
「はい、じゃあこっち」
言われた通りに緑茶のペットボトルを手渡して、自分は烏龍茶のボトルキャップを捻って開けた。口を付けると冷たい水分と共に、ほろ苦い烏龍茶の味が口内を充たす。
公園は静かだった。まだ日が沈みきっていないのに、昼間遊んでいた子供達はもう家に帰ってしまったらしい。あちこちの家からカチャカチャと夕飯の支度をする音が微かに聞こえてきて、あとは夏の風が公園の木々の揺らすサワサワとした葉擦れの音しか聞こえない。遠くの方で烏の鳴き声が聞こえていたけど、あっという間に遠ざかっていった。
「静かだな…」
「うん…。昨夜、ここであんな騒ぎがあったなんて嘘みたいだな」
「ふふっ…。そうだな」
「何かもう、何年も前の事みたいだ。まだ一日しか経って無いんだよなぁ…」
海馬の言葉に応えて、烏龍茶を二口三口飲む。冷たい飲み物を飲んで、食道から胃の中がスッと冷えて気持ち良かった。でも冷たいのは身体の中だけで、夏の夕日に照らされている身体の外側と、それから隣にいる海馬の事を気にしている頭はジワジワと暑いままだ。
「なぁ…海馬」
「何だ?」
「何でオレを誘ったの?」
「ん? そうだな…。もう明日には帰れそうだし、最後のデートでもしておくかと思ってな」
「最後の…デート?」
「あぁ。城之内…。最後にオレに訊いておきたい事とかは無いのか?」
「お前に…訊いておきたい…事?」
「そうだ。お前の恋人の海馬瀬人ではなく、このオレに対してだ」
海馬の言葉を聞いて、途端に頭がカーッと熱くなった。
訊きたい事…なんて、あるに決まってる!! 正直、恋人の海馬との仲は全然進んでいないんだ。勿論大事な事には気付いたし、そのお陰で以前程焦りは無いし、ていうか待てと言われたら余裕で待てるし、それどころかこの先超上手く付き合っていく自信もあるけど。
でもだからと言って海馬を欲していないかと言われれば、それは嘘になる。
だってだって、欲しいモンは欲しいんだよ!!
「なぁ…あの…さ」
「何だ?」
「凄く下世話な質問になるけど…いい?」
「分かっているからさっさとしろ」
何かこのまま黙っている事も出来無くて、辿々しく切り出してみた。そうしたら海馬が「そんな事、とうにお見通しだ」なんて感じで促してくるから、オレは思いきって言葉を放ってみた。
「お前ってさ、ぶっちゃけオレを…。オレって言うか、お前の恋人のオレの事なんだけど…をさ、欲しいって思った事ある?」
恐る恐る切り出してみた質問に、海馬はキョトンとした顔を見せた。そして次の瞬間、プッ…と吹き出す。
「わ、笑うなよ! オレは真剣なんだよ!!」
「クッ…ククク…! あぁ…悪い。まさか今更そんな質問をしてくるとは思わなかったから」
「い、今更って…」
「城之内、昨夜はあっちの城之内とシンクロしていたのだろう?」
「へ? ………あ、あぁ…。それはしてたけど…」
昨夜のシンクロと言われて、あのヴィジョンが頭に浮かんで来て赤面してしまった。
あぁ…うん。前半部分しか見られなかったけど、アレにはかなりドキドキさせられました。
「では、途中まで見ていたのだな?」
「見てたけど…。それが何?」
「何? では無いわ。アレを見ていて、オレがアイツを欲していないとでも思ったのか?」
言われてハッとした。
そう言われればそうだった。昨夜のアレは…この大人の海馬の方から仕掛けて来ていた。
「そ、そうでした…」
思い出してますます顔が熱くなって、オレは片手を口元に当ててボソリと呟いた。大人の海馬はそんなオレを見て可笑しそうに笑い、ペットボトルから緑茶を一口飲んでふぅ…と深く嘆息した。そしてフワリと微笑んで、オレに向かって口を開く。
「だからな、城之内。お前の海馬瀬人も同じだと思う」
「………え?」
「アレを欲しいのだろう?」
「うっ………!」
「そしてお前は、まだ手に入れてはいない。違うか?」
「そ、それは………」
「急いだら駄目だぞ。急がれたりがっつかれたりしたら、まず間違い無く逃げる。無理矢理なんて以ての外だ」
「う…うん…」
「だが、じっくり説き伏せれば大丈夫だ。向こうだってお前を欲している筈だからな」
「それ…本当?」
「オレは嘘は吐かない」
「そっか…。そうなのか…」
「自信が無いのか?」
「ある訳無いじゃん。あの海馬だぜ?」
「お前は本当に馬鹿だな」
「あ? 何だって?」
「そう噛みつくな。もっと自信を持てという事だ」
馬鹿だなって台詞に流石にカチンと来て眉根を寄せてギッと睨み付けたら、それでも大人の海馬は笑顔のままで…。如何にも余裕シャクシャクといった風に軽くあしらわれてしまった。
それから暫くは、二人とも黙って沈みゆく夕日を眺めていた。公園中に響き渡るヒグラシの音色が夏の終わりを告げているようで、何だか物寂しくなってきてしまう。
理由は分かっていた。この寂しいって感情は、夏が終わっていく所為だけじゃない。明日コイツと別れなければならないって知っているからだ。
「今頃アイツ等は…どんな話してるのかな?」
「多分、オレ達と同じような話をしているのだろう」
「そうかな」
「そうに決まっている」
この感情を知られたくなくて、オレはペットボトルに残っていた烏龍茶をグイッと飲み干し、誤魔化すように顔を背けた。上手く誤魔化そうとしたけど、語尾はチョット鼻に詰まる声になってしまう。目の奥も急激に熱くなって来て、目の前がボンヤリと涙で滲む。情けないなぁ…と思ったけど、海馬はそれに対して何も言及する事は無かった。
オレが泣いている事に、気付いて無い筈無いのにさ…。
「オレ達が元の世界に帰ったら…全ては元通りになる。世界が違えば勿論シンクロも起らなくなるから、お前達に芽生えた能力も消えるだろう」
「………うん」
「寂しがる事は無い。お前の側には、恋人のオレがいるだろう?」
「…うん」
「この先どのような結果を迎えたとしても、オレや城之内がそれを知る事はもう無いだろう。けれどオレ達は信じている。必ず…お前達が幸せになるとな」
「うん」
「だから頑張れ。きっと大丈夫だから」
「うん…っ! ありがとな…っ!! 本当に…ありがと…っ!!」
我慢出来無くてついに泣き出してしまったオレを、海馬はそっと優しく抱き寄せてくれた。ふわりと良い香りがする細い身体を強く抱き締めて、オレはその肩口でボロボロと泣いていた。寂しいって感情はまだあるけど、悲しいって感情は一切無い。というより、嬉しいって気持ちで一杯だった。
公園はいつの間にか、すっかり暗くなっていた。
八月の夕日はとっくに西の地に沈み、ただじっとりと湿気を含んだ暑さだけを、オレ達に伝えていた。
漸く復活出来たっぽい二礼です、こんばんは。
ここ何日か眠くて眠くて仕方無かったので、昨夜は珍しく早く就寝しました。
そうしたら漸く頭がスッキリしました…w
やっぱりと言うか何て言うか、睡眠不足だったらしいです。
身体疲れているってのに、夜遅くまで何かしらしてたからなぁ…。
いつまでも若い頃の感覚でいちゃ駄目って事なんですね…。
もう無理は出来無ませんw
でも、精神的には満ち足りた日々でございまする…(*´ω`*)
海馬オンリーが終わって大分経ちましたが、未だに未読のお宝が一杯! ………というより、ちょっと忙しくてゆっくり読む暇が無いだけなのですが…w
でも長く楽しめるので、これはこれで幸せだと思います♪
ていうか…もう10日も経ってしまったのですね…。
時が経つのは早いなぁ~。
思い返せば、つい昨日の事のようなのにね(´・∀・`)
イベントとかが暫く無くて寂しい気持ちもありますが、「萌えを読みたい!」という気持ちを「萌えを書きたい!」という気持ちに変換させて、これからも頑張っていこうと思っています!
長編『あの夏の日の君へ』に第二十四話をUPしました。
纏め作業入りました~!
もうちょっとでエンディングを迎える事が出来そうです。
今回、大人の城之内君と海馬君のラブラブをちゃんと書くかどうかって事で、物凄く悩みました。
悩んだ末に、ちゃんとした描写は避けようという事に決めました。
どうしてかっていうと、大人の城海の方はただの脇役で、主役はあくまでこちらの世界の城海だからです。
脇役はあくまで脇役。
主役の出番まで取ってはいけません。
………という事で、大人の城海のラブラブに関しては、皆様のご想像にお任せ致します…w
さて…という事は…だ。
こっちの城海がラブラブ出来るのは…いつなんだろうなぁ~w
以下は拍手のお返事でございます~(´ω`)
>さえき様
初めまして~!
拍手とコメント、それからリンクありがとうございました~w
えへへ~v
さえき様のサイトでリンク発見してしまったので、ペタッと貼り付けておきましたv
こちらこそリンク貼って頂けて、とても嬉しいです~!
これからもどうぞ宜しくお願い致しますです~!!
私自身が遊戯王に嵌るのがとても遅く、サイト開設も他所様に比べたら檄遅だったので、応援してますなんてコメントを頂けて感謝感激でございます…!!
自分の萌えに忠実にやっているだけなので、たまに「本当にこれでいいのか…?」と自分自身を問い詰めたくなる時もありますが、さえき様が書いて下さった様なコメントを読む度に「これからも頑張っていこう!」とやる気になります。
拙い文章のサイトですが、今後も遊びに来て頂けるととっても嬉しいです(´∀`)
さえき様もサイト頑張って下さいませ~!
私も応援しています!!
今度またイベント等がある時は、ゆっくりお話が出来るといいですね~(*´ω`*)
楽しみにしていますです♪
それではこれで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
>ねこま様
こんばんは~!
拍手とコメント、ありがとうございました~(´∀`)
誤表現指摘、ありがとうございました…w
そうですそうです。あそこの海馬は、こちらの世界の海馬の方です…w
頭では「恋人の海馬」と書いていたつもりだったのですが、何故だか勝手に「大人の海馬」になっていたんですね…(´∀`;
もう! 海馬が二人も居るからいけないのよ!! 一人で充分なのに!!
…と、自分で書いた物に対して言っても仕方無い事なのですが…w
イベントもお疲れ様でした~!!
どこを見回しても海馬ばかりの、本当に素敵なイベントだったと思います…(*´д`*)
私がゲスト原稿した本の感想もありがとうございました~!
あの逆転城海の真の良さは、海馬の素直さにあると思うんですよ。
可愛いですよね…ホントv
通常の社長には無い可愛さがあると思います(*´∀`*)
城之内君の仕事ぶりはまぁ…そこそこなんじゃないですか?w
一応それ相応の教育は受けているんでしょうし。
でもやっぱり、海馬社長には勝てないと思いますけどね…w
これからも色んな城海を一杯書いていきたいと思っています。
またお暇な時にでも、遊びに来て下さいませ~!
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
恋人の海馬が大人のオレに取り憑いていた影を、その拳一つで見事に粉砕してくれてから数十分後。漠良の治療を受けた大人のオレと海馬は、無事に目を覚まして生還する事に成功した。海馬が瞑っていた目を薄く開いて、心配そうに見守っていたオレ達の事を見返した瞬間…。オレは心底安心して、はぁー…と大きく息を吐き出した。多分隣で同じように見守っていた海馬や漠良も同じ気持ちだったんだろう。オレ程では無いけど、ふぅ…と小さく嘆息していた。
最初に目を覚ましたのは、大人の海馬の方だった。その数分後に大人のオレも目を覚まし、オレ達の事を見た途端にしきりに謝っていた。二人ともまだ顔色が悪く、上半身を起き上がらしても微妙に身体をぐらつかせている状態で…。でも、だからと言っていつまでも公園の地面に横たわらせておく訳にはいかず、三人で協力しつつ二人の身体を抱えてオレの家に戻ってきた。
すぐに布団に横にならせてやろうと思ったら、二人して声を合わせて「風呂」と言う。血液や砂や泥で汚れた身体で布団に寝たくは無いんだと言われ、慌てて風呂の準備をしてやった。その間にも、タオルだ着替えだと色々と用意をしてやる。奥のオレの部屋に布団を敷いてやり、新しいタオルや着替えを洗面所に持って行ってやった。後は風呂が沸くのを待つだけ…という段階になって、その他の準備を手伝ってくれていた恋人の海馬がオレの腕を掴んで引き寄せてきた。そして耳元に口を寄せて「城之内」と名前を呼んでくる。
「な、何?」
その声がいつにも増して真面目だったので、オレは思わずどもってしまった。振り返ったら海馬の顔が異常に近くにあって、それにもドキドキしながら何とか平静を保とうと必死になる。その甲斐あってか大分落ち着いて来たオレを見て、海馬は真面目な表情を崩さずに口を開いた。
「城之内、奴らの事はもう放っておこう」
「………は?」
一瞬言われた意味が分からなくて、首を捻る。
放っておくって…、放っておくってお前…。こんな状態の奴らを放り出しておく訳にはいかないじゃないか!
そう思ったのが顔に出てしまっていたのだろう。海馬はオレの顔を凝視して「そうじゃない」と静かに首を横に振った。
「見捨てる意味で『放っておこう』と言ったのでは無い。アイツ等の為に必要だと思ったから『放っておこう』と言ったのだ」
「………? どういう意味だ…?」
「分からないのか? 貴様も鈍い奴だな。あの二人は恋人同士でありながら、片や相手を庇い自分が影に取り憑かれ、片やそれを自分の責任だと痛感して愛する相手を殺そうとしていたんだぞ」
「あ………」
「本来ならば、もう一人のオレがあっちのお前を自らの手で殺し、更にその後に自害して事態が終了していた筈だ。ゲームで言うならバッドエンドというところだろう。ところが何の奇跡かは知らんが、上手い事ハッピーエンドになった」
「………」
「全員が生き残り、そしてあの城之内も影から解放された。あの二人は今…感慨深い気持ちで一杯に違い無い」
「でも…それを感じさせようとはしてないよな。むしろ自分達の気持ちを隠してる」
「そうだ。どうしてそうしているか…分かるか?」
「オレ達がいるから…だよな」
「あぁ。そこまで言えば分かるだろう。今オレ達は…」
「邪魔者だな」
海馬の言いたい事がよく分かって、オレは苦笑を浮かべながら溜息を吐くしか無かった。
そうだ。そう言われれば確かにそうだ。あの二人はありとあらゆる苦難を乗り越えて、漸くハッピーエンドに辿り着けたんだ。上手く隠しているようだけど、本当だったら一分一秒でも早く…そして少しでも長く二人きりになりたいだろう。二人きりになって…相手を確かめ合いたいだろう。そんな気持ちが嫌と言う程分かってしまった。
だってもしアイツ等の立場がオレ達だったら…きっと同じように考えるだろうから。「お前等邪魔だ」って言ってしまうのは簡単だけど、アイツ等は違う世界からこっちの世界に来て居候してるも同然だからな。そんな事も言える筈も無いし。
「あ、思い出した。そういや布団も足りなかったわ」
わざとらしく声に出してそう言ったら、目の前にいた海馬がニヤリと微笑んだ。
いや、布団が足りないのは本当なんだ。オレ用の布団と客用の布団の二組しか無い。もう一つ布団はあるにはあるんだけど、流石に親父用の布団に誰かを寝かす訳にもいかないしな。
「あの布団にアイツ等を寝かすとして…、じゃあオレ達はどうすればいいんだ?」
「そんなもの。貴様がオレの屋敷に泊りに来ればいいのだ」
「あ、そっか…って、えええぇっ!?」
「何をそんなに驚いているのだ? オレ達は恋人同士だろう? 恋人が相手の家に泊まりに来て、何もおかしい事などある訳無いではないか」
「そ、それはそうなんだけど…。それって…っ!?」
「………?」
「あ、いや…何でも無いです…」
あーうん、そうですよね…。海馬がそんな事を踏まえて、オレを泊まりに誘う訳無いですよね…。逆にそういう事を何も気にしていないんだろうから、こうして平気で泊まりに来いなんて言ってるんだし。
まだ付き合い初めだから仕方無いか…。こっちはもうちょっと本腰入れて、じっくり育てて行けばいいよな。別に焦ってないし。うん、大丈夫。
「分かった。じゃあそうするか」
オレがそう言うと、海馬は凄く納得したような顔で「あぁ」と答えつつ頷いた。
畳みや絨毯の部屋を汚したくないのか、大人のオレ達は揃って台所にいた。ダイニングテーブルの椅子に座りながら、オレが最初に渡した濡れタオルで身体のあちこちを拭いている。その様を見つつ、オレは奴らにツカツカと近寄って言葉を放った。
「オレ達、これからちょっと外出てくるから。明日の朝まで戻らないからごゆっくり」
そう言った途端、案の定二人がギョッとした表情でオレの顔を見返してきた。
「そ、それはどういう意味だ…?」
「ん? あぁ、ちょっと海馬ん家に泊って来ようかと思ってな」
濡れタオルをギュッと握り締めたまま問い掛けて来た大人の海馬に、オレはなるべく平然を装ってそう答えた。ちらっと顔を見てやれば、何だか妙にオロオロした表情になっている。
何をそんなに気にしているんだか…。だって今更なのにな。もっと堂々としてればいいのに。
「風呂はもうすぐ沸くから、順番に入ればいいぜ。あ、別に一緒でもいいけど。狭いから気を付けろよ。タオルと着替えは洗面所に置いてあるから自由に使えばいい」
「ちょ、ちょっと待て…っ」
「布団はオレの部屋にもう敷いてあるからな。分かってると思うけど、オレ用の布団にはもう一人のオレ。海馬は客用の布団に寝てくれよな。別にどっちかの布団に一緒に寝てもいいけど」
「は? いや、あの、ちょっと待ってくれ…!」
「布団足んないんだから仕方無いだろ? お前等が海馬ん家に行く訳にはいかないじゃんか。お前等がこっちの家使うんなら、オレがあっち行くしか無いじゃんな」
「だがしかし…! ここはお前の家なのに…!」
「あぁ、そうだよ。ここはオレの家だ。だからオレがこの家をどういう風に使おうと、それはオレの勝手だ」
「………」
「オレがこの家を、お前等に好きに使えって言ってるんだから、お前等は遠慮しないでこの家を使えばいい」
「………城之内…」
「明日の朝には戻ってくるから、その間ゆっくりしろよ。能力使い過ぎて疲れてるんだろ? しかも死にかけてたし」
オレがそう言い聞かせると、大人の海馬は途端に大人しくなった。そして少し項垂れながら「済まない…」と声を出す。
別にそんな風に謝ったり気を使って欲しかった訳じゃ無いのにな。現に大人のオレは、オレの気持ちをしっかりと理解したらしく、ニコニコしながら「サンキューな。それじゃ遠慮せずゆっくりさせて貰う」って答えていた。
まぁ…確かに好き勝手に使えとは言ったけど、色んな物を汚されるのだけは勘弁だったので、オレは大人のオレの腕を引いてヒソヒソ声でこう忠告した。
「ヤるのは構わねぇけど…。余り布団汚すなよ。汚したらキッチリ洗ってもらうからな」
オレの言葉に大人のオレは一瞬キョトンとして、だけど次の瞬間滅茶苦茶いやらしい顔でニタリと微笑んだ。そして続けざまに耳に入って来た言葉に、オレは心底呆れる事になる。
「分かってるって。オレ、シーツとか洗うの超得意だし」
全然分かってねーじゃねーか。汚す事前提かよ。
でも文句を言う事は出来無かった。だってその顔が幸せ一杯だったから。
分かってるよ。本当はちゃんと分かって無いかもしれないけど、それでもオレには良く分かっているよ。お前等がどんなに必死の想いで、このハッピーエンドを勝ち取ったか…良く理解しているつもりだ。
だから好きにすればいい。今夜一晩、二人で愛を確かめ合えばいい。
「もし親父から電話が来るような事があったら、お前が適当に誤魔化しておけよ。多分そっちの親父と何も変わらないから」
「あぁ、分かってる」
「他に何か困った事があったら、オレの携帯に連絡してくれればいいから。携帯番号は…同じか?」
「多分同じだろ? 0X0の…」
「本当に同じだな。じゃーそれで頼むわ。後は頑張れ」
「頑張れって何をだよ。それを言うならお前等の方だって頑張れだろ?」
「いや、こっちは…」
「………?」
「な、何でも無い! 今はオレ達の事より自分達の事心配しろよな!」
まだ何もしておりません…なんて、とてもじゃないけど言えなかった。ちょっと情けないなとは思ったけど、以前のような焦りや不安は全く無い。これからゆっくり事を進めていけばいいって分かったからな。
そんな事を考えていたのが、どうやら大人のオレに伝わってしまったらしい。まぁ、隠そうとしても同一人物だから考えが読まれてしまうってのはあるんだろうけどさ。
大人のオレはじっとオレの顔を見詰めて、そして腕を伸ばして肩をぐっと掴んできた。大きな手だった。大きくて熱い手だった。今のオレも結構力があると自負しているけど、それ以上に力強い掌だった。
「悪いな…。何から何まで世話になっちまって…」
「いいよ。別に気にしなくて」
「だからオレはお前に礼をしたい。オレに何か出来る事は無いか?」
「………気持ちは嬉しいけど、何も無いぜ」
「………」
「だってこういうのって、自分の力でどうにかするもんだろ?」
「まぁな。それはそうだけど」
「アンタだって自分の力で、あの海馬を手に入れたんだろ? だったらオレもそうするまでだ」
「あはは。流石『オレ』だなぁ。ちょっと感心したわ」
「海馬にはウザがられるけどな」
「それはそうだ」
「でもそこが可愛かったりして」
「そうそう。お前もよく分かってんな」
二人で海馬の事を言い合ってクスクスと笑い合う。そんなオレ達を二人の海馬が訝しげに見詰めているのが印象的だった。
その夜、オレは団地の一室に大人のオレ達を残し、海馬の屋敷に招待された。
海馬がオレを連れてきたって事でモクバは大騒ぎし、滅茶苦茶質問攻めにあった。最初は怒っているのかと思ったけど、逆に「兄サマが友達を連れて来た!」って事で喜んでいる事が判明。結局夜遅くまでゲームに付き合わされる羽目になった。
………ゴメンな、モクバ。オレ『友達』じゃねーんだ…。まだ『友達』の域は抜けてねーけどな…。
それもいつか白状しなくちゃいけないなぁ…なんて思いつつ、通された客室で大人しく就寝した。やっぱりというか何て言うか、まだ同じ部屋には寝させてくれないらしい。広い部屋で一人寝なくちゃいけないのはちょっと寂しかったけど、一日の疲れがドッと出てあっという間に眠ってしまったので、そんな事考える暇も無かった。
ただ眠ってから暫くして、オレは奇妙な夢を見た。
『城之内…』
目の前に海馬の顔が見える。少し大人びたこの顔は、オレの恋人じゃ無くてあの大人の海馬の顔だ。
青い瞳を涙で潤ませて、じっとオレの事を見詰めている。背後に見える景色は、あの団地の狭いオレの自室だ。電気は消されていて、ほんのりオレンジ色に灯る常夜灯の灯りだけが部屋を照らしている。
『ゴメンな海馬。心配掛けた…』
海馬の呼び声にオレはそう答えて、スッと手を伸ばして白い頬を掌で包み込んだ。海馬はグスッと鼻を啜って、触れた掌に頬を擦り寄せる。風呂に入ってサッパリしたんだろう。まだほんのり濡れている栗色の髪の毛や、用意してやった着替えを着込んでいるのが目に入ってきた。
『あんな無茶をするから…こんな事になって…。オレにお前を殺させるつもりだったのか…』
『うん…ゴメンな。本当にゴメン。お前をこんなに苦しませるつもりじゃなかったんだ…。ただお前を助けてやりたかっただけなんだよ…。あんな薄汚い影に、お前が穢されるのが嫌でさ…』
『だからと言って、お前が犠牲になる必要は何処にも無かったのだ…! お陰でオレがどれだけ苦労したか…!!』
『悪かったって。もう二度とあんな無茶はしねえよ』
『………本当だな?』
『あぁ、本当だ』
『約束するか?』
『お前に誓うよ』
必死な顔でオレに縋る海馬に、オレはニッコリと優しく微笑んでそう言ってやった。そして頬に添えていた手を後頭部に移動し、洗いたてでしとやかな栗色の髪に手を差込み、その頭をそっと引き寄せた。海馬はその力に一切抵抗する事無く、端正な顔をオレにゆっくりと近付けていく。やがて目の前に一杯になった海馬の顔に泣きたくなるくらい感動したオレは、ほんのり開かれた桜色の唇に自分のそれを押し付けた。柔らかな感触を感じつつ、オレは頭の片隅で「あぁ…またシンクロしてやがる…」と冷静に考えていた。
多分この夢は、今実際にあの団地の一室で起っている出来事なんだろう。このシンクロが故意か無意識かは分からないけど、オレの意識と大人のオレの意識が繋がっている事は確かだった。
本当だったら速攻意識を切った方がいいんだろうけど、今の今までただの一般人をやって来たオレにはそのやり方が分からなかったし、ましてやコレを切るのは勿体無いなぁ…という気もしていたので、そのままにしておいた。まぁ…それも対して長くは続かなかったけどな。
数分後、同じように大人の海馬と意識がシンクロしていたらしい恋人の海馬が物凄い形相で客室に襲撃してきて、無理矢理意識を途切れさせてしまったから…。
その後? 勿論何も無いぜ? ただ顔を真っ赤にさせながら何かを喚いている海馬の事を見ていたら、オレ達もアイツ等と同じように結ばれるのも、そう遠く無い未来だと確信はしたけどな。
なかなか生き返れない二礼です、こんばんは。
でもちょっと体力回復してきた。
この土日はゆっくり過ごして、体調を戻したいと思います。
相棒に「遊び過ぎだよ~」と言われたけど、遊べる時に遊ばなくてどうするんだい?
馬鹿だねぇ~もう。
さて日曜日。
天気もすっかりよくなったので、午後から横浜入りしました。
今回横浜で社長オンリーが開かれるという事で、以前からどうしようかと散たんと相談していたんですよね。
散たんがこっちに来た時に泊っている場所は千葉。
私も完全千葉寄りの東京都民。
千葉方面から横浜方面へは、電車で1~2本で行けるものの結構時間が掛かるんですよね。
二人とも余り(?)若く無いので、朝から大移動はしたくないという結論に達しました。(どんだけ面倒臭がり屋なんだ…w)
で、結論として現地(横浜)に泊ったらいいんじゃね? って事になって、せっかくだからいいホテルに泊りたいという事で、
『ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル』
に泊る事にしたのです。
アレですよアレ、みなとみらい21地区にある、あの帆船型の白いホテルです!
連休中という事もあって宿泊料金はかなりお高い事になりましたが、流石一流ホテルです!
中身超綺麗で感動しました!
で、そのホテルに荷物を置いた後、散たんと妹さん達と一緒に八景島シーパラダイスへ。
お目当ては東日本初展示のジンベイザメだったのですが、コイツがまた本気で可愛くてねぇ…(*´д`*)
まぁそのジンベイちゃんがどれだけ可愛かったかは、散たんとこの日記を見て頂ければ分かると思います…w
社長って…w
確かに社長っぽかったけどさw
どうでもいいけど海の生き物ショーの最中、我関せずと言った風に平然と泳いでいるのが気になって仕方無かった…w
ショーより泳いでいるジンベイザメが気になるって、どんだけだよw
その後、横浜中心地に戻って来た後は、中華街でお食事を済まし、例のホテルに戻って来た訳ですが…。
うん、まぁ…散たんの日記にも書いてある通り、カバー折りで忙しくて夜景なんて見てる暇ありませんでした…w
風呂はでかくて気持ち良かったけどな!w
ていうか…。
ホテルってのは、もっとゆっくり過ごす場所じゃなかったっけ…?(´∀`;
ちなみに散たんが5秒で寝たのは本当です。
私は普段から寝付きが悪くて、少なくても20分は布団の中でゴロゴロしている人なのですが、隣の人は速攻眠っていました…。
あの寝付きの良さ…超羨ましい!!
ちょっと分けてくれよ~www
んで、月曜日。
無事にイベント日を迎えた訳です。
イベントがどんな風だったかは、前々回の日記の通りなので割愛しますが、本当に楽しかったです!!
またこんな素敵な社長オンリーイベントがあればいいなぁ~って思いました(*´∀`*)
最後に、火曜日に東京駅までお見送りして、10月の大型連休(笑)の全日程を終了させて頂きました。
いやいや…本当に実に楽しい5日感でした。
みっちりと詰まりに詰まった大変な行程の中、それでも一緒に遊んでくれた散たん。
本当にありがとうね~!
機会があったら、また一緒に遊びまくりましょう!!(まくるんかい! 反省しろよ!!)
まぁ、こんな風に遊びまくった所為で、今頃身体にガタが来ている訳ですがね…w
早く体調戻して、日常生活に戻りたいと思います!
長編『あの夏の日の君へ』に第二十三話をUPしました。
漸く、大人城之内君に取り憑いていた影との決着が付きましたねぇ~!
二十三話だって。奥さん、二十三話ですってよ?
長過ぎだよ!!www
本当はもっと短く纏めるつもりだったんですけど、気が付いたらこんな長さに…;
何か書けば書く程、私は長編がズルズルするような気がします…w
さて、あとは纏めの作業だけですね~!
海馬誕も近い事だし、他にも色々と書きたいネタが湧き出て来たので、気合い入れてラストスパート掛けたいと思っています!
以下は拍手のお返事になりま~す!(*'-')
>NO様
初めまして~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~!(´∀`)
『漂う青き水の底で君を想う』を読んで下さったんですね~。
感想を頂けて凄く嬉しかったです!
そして、こちらこそ素敵なコメントありがとうございました~!!
「綺麗な作品」という御言葉が、ジーンと来ました…!
この作品は自分でも結構気に入っているお話なので、こういう感想を頂けると本当に嬉しくて仕方有りません…(*´д`*)
その後の二人も、確かに気になりますよね…w
私の小説にしては珍しく「幸せになりました!」という完全ハッピーエンドではありませんし。
でも、きっとハッピーエンドだと思っています。
城之内君がイタリア留学から帰って来るのは何年先かは分かりませんが、帰って来たらきっと二人でラブラブハッピー決定だと思いますよ~w
でもそう言われると、確かにオマケ編を書いてみたい気もするのです…w
NO様もSSを書かれるのですね~!
コメントを読んで、私もNO様のSSを読んでみたくなりました。
良かったら、今度是非作品を読ませて下さいませ~!(´ω`)
それではこれで失礼致します。
ではでは~(・∀・)ノシ
公園の砂地の上に、二人の大人が血を流して横たわっている。
大人の海馬が作り出した青白い光の片手剣は、重なり合ったもう一人のオレと海馬の身体を真っ直ぐに貫いた。貫かれた瞬間、揃って苦しそうな呻き声を上げて二人は地面に倒れ込んだ。思わず駆け寄ろうとしたオレの肩を、隣に立っていた恋人の海馬がグッと掴んで引き留める。その余りの力の強さに振り返って見ると、目が合った海馬はただ静かに首を横に振るだけだった。
「大丈夫だ。急所は外れている」
海馬は淡々とオレに告げたけど、その瞳はやっぱり心配そうだった。そりゃそうだよ。だってあんなに大量に血を流して、呻きながら地面に倒れ伏しているんだから…。
大人の海馬の能力はもうとっくに切れているから、二人の身体を突き刺した光の剣はそこには無い。ただ突き刺された傷からはドクドクと血が流れていて、いくら急所を外しているからと言ってもこのまま放って置けば死んでしまうのは明らかだった。助けを求めるように漠良に視線を向ければ、漠良はコクリと一つ頷いてゆっくりとこっちに近付いて来る。
「危ないから、二人ともちょっと下がってて」
そう言う漠良に頷いて、二人で少し後退る。
漠良はトコトコとこちらに近付いて来て、倒れ伏す二人の前にしゃがみ込んだ。そしてじーっと大人のオレの事を見詰めている。その顔は真剣そのものだ。オレは漠良に関しては、いつも明るくニコニコ笑っているイメージしか無かったけど、そのイメージが間違いだった事を認めざるを得なかった。
やがて漠良はふぅ…と大きく息を吐き、ニヤリ…と凄みのある笑みを口元に浮かべた。
「さて…。いつまでそこに隠れているつもりなの? 早くしないと宿主ごと死んでしまうよ?」
漠良の呼びかけに、倒れたままだった大人のオレの身体がピクリと動いたのが見えた。身体中に蛇のように巻き付いた真っ黒な影が、ウゾゾ…と動いて一つに纏まっていく。それは『オレ』の身体の内からも湧き出てきて、あっという間に大きな黒い動く固まりとなった。影…というよりは、まるでコールタールの固まりのような物体の余りのおぞましさに、背筋にゾッ…と悪寒が走る。
「漸く出て来たね…。でもどうするつもりだい? 今までと同じように、城之内君を手に掛けた海馬君に取り憑くのかい?」
大人のオレの身体から這い出てきて、地面でウゴウゴ動いている影に、漠良はクスクスと笑いながら話しかけた。一見楽しそうに見えるけど、目が全く笑って無い事に気付いてゾッとした。
多分今の漠良は…あの影に対して本気で怒っているんだ。自分の大事な仲間達をこんな風に傷付けていった影に対して、これ以上ない位に怒っている。その怒りが少し離れた場所で見ているこっちにまで伝わって来て、オレはついソワソワしてしまった。
ちなみに漠良の怒りに関しては、横に突っ立っている恋人の海馬もオレと同じように気付いているらしい。何だか微妙な顔付きで成り行きを見守っている。冷や汗を流してたまにゴクリ…と生唾を飲んでいるのは、決して出て来た影のおぞましさだけが原因じゃ無いんだろうな。
ウネウネと、まるで何かのゲームに出てくるスライムのように動く影を睨み付けながら、漠良はさも面白そうに笑いながら口を開く。
「でもどうするの? 君の大事な宿主を手に掛けた海馬君もこんな調子だよ? この身体に乗り移ってどうするつもり? どっちにしろ死んじゃうと思うんだけど…ね」
漠良の問い掛けに、影は何も答えない。いや、答えられないんだ。影のままの状態では言葉を放つ事が出来無いんだろう。喋る事も、自力で遠くに逃げる事も出来無い。あのスライムのような形状じゃ、逃げようとしたって大した移動力も無いだろうしな。
だからこそあの影は、次に乗り移れる奴を捜している。普通に考えれば、目の前で自分を馬鹿にしている漠良に取り憑くのが一番早い筈だ。だけどあの影はそれが出来無い。『自分が乗り移っていた宿主を殺した相手に、新たに取り憑く』というルールに縛られて動けないんだ。
今まであの影が乗り移っていたのは、あっちの世界の『城之内克也』。その城之内克也を殺したのは、同じ世界の『海馬瀬人』。だけどその海馬瀬人の身体も、城之内克也の身体と同じように傷付いて全く使い物にならなくなっている。でもあの影は『宿主を殺した相手に取り憑く』という自分のルールから逃れられない。だとしたら考えられる事は一つ…。次にその影が取る行動は、こっちの世界の…違う存在でありながら同じ存在でもある『海馬瀬人』に取り憑く事だけ。
「海馬っ!!」
案の定、勢いをつけて飛び上がってきた黒い影は、オレの隣にいる海馬に向かって飛びかかってきた。
作戦では、こっちの世界のオレか海馬に取り憑いた影を、すぐに漠良の能力を使って引き剥がして消滅させる筈だった。その作戦の意図はよく分かってたつもりだったけど…でもオレは嫌だった。ほんの少しでもこんな汚い影が、オレの海馬に巣くうのなんて冗談じゃ無いって思ったんだ。だから海馬の前に飛び出して、その身体を匿うように両手を広げて庇ったんだけど…。
「邪魔だ、どけ!」
「へ? ………ぬわっ!?」
突然背後から首根っこを引っ掴まれて、オレは地面にブン投げられてしまった。
地面に倒れ込む寸前、オレは身体を捻ってオレをブン投げた海馬の横顔を見た。その顔は…実に見事な笑顔だった…。楽しそうだなとか嬉しそうだなとか、そんな感想の前に、恐ろしいと心底感じるような…そんな笑顔だった。
「貴様…いい加減にしろよ…!!」
腹の底から絞り出したようなドスの効いた声を出して、海馬は右手の拳に力を入れる。その掌は、発動した能力によって青白く光っている。漠良から能力を発露させて貰って、練習している海馬をずっと見てたけど…。あの光があんなにも激しく光っているのは見た事が無かった。
つまりあの光の強さは…今海馬が感じている怒りそのものだって事なんだ。
「たかが影の癖に、一体どこまで人間を馬鹿にするつもりだ…! もうこれ以上オレも城之内も…それに他の誰かの事も…絶対に貴様の思い通りにはさせん!!」
男らしい声で腹の底から大きく叫び、海馬は握り締めた右の拳を飛んで来た影に向かって振り下ろした。青白い光を纏った拳はそのままコールタールの固まりの中心を突き抜け、影はその黒い身体に風穴を開けられた。次の瞬間、影はパンッ! という軽い音と共に辺りに四散して、黒い粘着質な物体をボタボタと地面に散らしていく。その異様な光景をオレと漠良はただ呆然と眺め、海馬はフンッと鼻を鳴らし胸を張ってその場に突っ立っていた。その顔が妙に自慢げだったのは言うまでも無い…。
結局その後、恋人の海馬に寄ってバラバラにされてしまった影が復活する事は…二度となかった。地面に落ちたコールタールの様な破片は、やがてしゅううぅ…と煙を吐いて消えてしまった。漠良に言わせれば、それが影の最後の姿らしい。
影が完全に消えてしまったのを見届けて、漠良は急いで地面に倒れ伏している大人のオレと海馬の治療に当たった。初めて目の前で本格的な治癒能力を見たけど、その能力の凄まじいの何のって…。
初めてこの公園で大人の海馬と出会った時、海馬が自分の傷を治癒能力で治すところはこの目で見ていた。確かにあの時も凄いって思ったさ。だけど漠良の治癒能力は、そんな物お話にならないという感じだった。
光の剣で貫かれた傷に漠良が手を翳すと、そこから優しいクリーム色の光がパアッ…と溢れて来る。その光に触れた途端、酷い刺し傷がみるみる内に塞がっていったんだ。まるで逆再生の映像を見せられているようなスピードには、オレも恋人の海馬も本当にビックリした。
漠良はもう一人のオレと大人の海馬の傷を順番に塞ぎ、そして更に二人の心臓の上に掌を置いて光を強くしていった。なんでも心臓に直接能力を送り込んで、血液を人工的に増やしてやっているんだそうだ。そりゃあんだけ出血すれば輸血も必要になるだろうけど、そんな事まで超能力で出来るんだと、感心を通り越して唖然としてしまう。
「この為にボクは余り余計な力は使わず、ずっと能力を温存してきたんだ。これが出来無ければ治癒能力者である意味が無いよ」
漠良はそう言って、心配そうに事の成り行きを見守るオレ達に向かってニッコリと微笑んだ。その微笑みに、先程見たような恐ろしさは欠片も感じない。
地面に横たわった大人のオレと海馬の顔色が良くなっていったのを見て、漠良は漸くその手を離す。そして側にあったベンチにドサリと座り込んだ。顔色は悪くないけど、汗を一杯に流して大分疲れてしまっているようだ。オレは公園の入り口にある自販機でペットボトルのミネラルウォーターを買い、ベンチでグッタリしている漠良にそれを差し出してやる。
「ありがと」
ニコニコしながらお礼を言い、漠良はオレからペットボトルを受け取ってキャップを外し、飲み口に口を付けた。そして一気に水を飲んでしまう。
直接戦闘には参加してないけど、他人の傷を癒すという事がどれだけの能力を消費するのか、嫌でも分かったような気がする。自分には…無理だ。多分海馬にも無理だと思う。これは漠良じゃないと出来無いんだなぁ…と改めて気付かされた。
漠良はコクコクとペットボトルの水を飲みながら、ふぅ…と大きく息を吐き出した。そして未だ気を失ったまま地面に倒れている、大人のオレと海馬を見詰める。
「多分…もう少ししたら目が覚めるだろうから、そうしたら家に連れて行ってあげようね。いくら傷を治したと言っても、今日明日は動けないと思うから。良かったらこのままこっちの城之内君の家で休ませてあげて欲しいんだけど…いいかな?」
「そりゃ勿論構わねーぜ。乗りかかった船って奴だよ。こうなったら最後まで面倒みてやる」
「ゴメンね、ありがとう。二、三日経てば体力も能力も戻るだろうし、そうしたら元の世界に帰れるから。それまで辛抱してくれるかな」
苦笑しながらそういう漠良に、オレは「勿論。気にしなくていいぜ」と軽く返答した。だけどほんのちょっとだけ、その言葉が心の奥底で引っ掛かっていた。
二、三日。たった二、三日でコイツ等はもう元の世界に帰ってしまうって事なんだ。
ある日突然現れて、オレの日常を引っかき回して…。だけどそのお陰でオレは大切な事に気付く事が出来て、海馬との仲をより深める事に成功した。今は海馬との付き合い方に何の不安も抱えていない。これから先も色んな事が起きるだろうけど、全部乗り越えていけるって信じられる。
その自信をくれたのは、この別の世界から来た大人の海馬だ。コイツのお陰で、オレは愛する人との絆を取り戻す事が出来た。
「………」
口には出さない。絶対出さない。
だけど、やっぱり、ほんのちょっと…寂しいと思った。
相変わらず死亡中の二礼です、こんばんは。
ね、眠い…w
流石にちょっと遊び過ぎました…w
若い頃ならいざ知らず、ちょーっと年食って来てるので、疲れがダイレクトに来ているようです。
ちょっと反省。でもちょっとだけ。
だって楽しかったもんw
本当は連休中の出来事を書こうとしたのですが、何だかもう記憶が曖昧になってる罠…w
やべー!! 何も覚えて無い!!
と、とりあえず一日毎にいこうか…。
金曜日の夜は、上京してきた散たんと妹さんを出迎えて、私の友人も含めて行きつけのもんじゃ焼き屋さんに行きました。
何だか知らないけど、散たんはもんじゃをすっかりお気に召してしまったようです…w
もんじゃの他にもお好み焼きとか焼きそばとかもあるので、そのお店のオススメのお好み焼きを頼んでみました。
生地に小麦粉を使っていない、山芋100パーセントの奴です。
小麦粉が入っていないのでとても柔らかくて、素人には焼くのが無理なので店員さんが焼いてくれたのですが、ラストのマヨネーズが空中を飛んできました…。
(マヨをお好み焼きの上に掛けてくれるのですが、それをわざわざ遠くからビューッと飛ばしてくるのです…w)
その格好良さにもう爆笑w
全員笑い過ぎて、もうその時点で
声 枯 れ た
休みは始まったばかりだと言うのに、もうその時点で体力崩壊のフラグは立っていたんだねぇ…。
結局その日は全員終電を乗り過ごして、タクシーで帰宅する羽目に…;
終電を逃したという事は、それなりに遅い時間に帰ったという事です。
それなのに…。
土曜日は朝イチでディズニーシーに行きました!
多分全員が2時間ちょっとしか眠って無かったと思う。
馬鹿じゃないのwww
しかも土曜日…滅茶苦茶天気が悪かった…;
大雨で、しかも檄寒!!
傘持ってるし、雨と寒さで自由に移動も出来無いし、色々と最悪でした…;
それでもコースター系や絶叫系に乗りまくってご満悦でしたけどね…w
しかし恐るべきは『タワー・オブ・テラー』…。
入場してすぐにファストパスを取ったのに、表示された時間は『19:45~20:45』。
一瞬何時の事だか分からなかった…w
人気過ぎだろ!!
まぁ…人気なのも分かるけどね~w 滅茶苦茶面白いし!!
何度か乗った事ありますが、乗る度にどうしても叫んでしまう…w
これからディズニーシーに行く人で、まだタワー・オブ・テラーに乗った事の無い人!!
是非是非ファストパスを使って、乗ってみて下さい!!
夜景が綺麗ですよ~! 色んな意味でね…フフフ…(´ω`)
まぁ…何て言うか、今回は凄く残念でした。
勿論雨でも楽しむ事が出来たんですけど、晴れてたらもっと楽しかっただろうにと思うと残念でなりません。
今度はもっと天気の良い時にゆっくり遊べたらいいなぁ~と思っています。
と、こんな風に一日中全員で振り続ける雨を呪っていたのですが…。
これが後にしっかり効いてくるとは全く想像もしなかった我々でした…。
以下、日曜日と月曜日編に続く!!
超久しぶりに、長編『あの夏の日の君へ』に第二十二話をUPしました。
放置プレイしていた為、自分が何を書いていたのかすっかり忘れ掛けていました…;
プロット見直したら何となく思い出した。
危ない危ない…w 纏めて置いて良かった…w
今回ちょっと頑張って戦闘シーンを書こうと思ったんですけど…やっぱり駄目で途中で断念…w
いや、頑張ったんだよ!
アレ、凄く頑張ったの!!
頑張ってアレなのwww
アレ以上は無理なので、ご勘弁下さいませ…w
サボっていた分、頑張って書いて終わらせたいと思います。
せめて秋が終わるまでには…w
結界を守る役目の漠良を取り敢えず公園の入り口に残して、オレと海馬、そして別の世界から来た大人の海馬の三人はゆっくりと公園内へ入っていった。夜の公園はシンとしていて静かで、オレ達以外の生き物の気配が何も感じられない。いつもは公園の木をねぐらにしている小鳥たちの存在も感じられない。
だけどオレ達は気付いていた。何も感じられないように思えて、たった一つだけ…強烈な気配がそこにあるのを。
試しにオレのすぐ隣にいる恋人の海馬に目線を送ると、海馬も目線を合わせてコクリと一つ頷いていた。何も言わなくても分かる。アイツが…大人のオレが間違い無くここにいるんだ。
ジャリジャリと公園の砂地を踏んで歩いていると、突然前を歩いていた大人の海馬がピタリと止まった。その背中が妙に緊張したのが目に見えて分かって、オレは海馬が『オレ』を見付けた事を全身で感じ取る。海馬の視線を先を辿るように前を見据えて、そしてそこに居た存在に釘付けになった。
「な、何だ…あれ…」
もう一人のオレは、確かにそこにいた。
公園の中心に建っている時計台に寄り掛かって、半ば項垂れるようにして立っている。恐ろしい雰囲気と強大な能力に対する恐れは以前と変わらず肌に痛いくらいに感じるが、だがこの間会った時とは少し感じ方が違った。それもその筈だ。その姿が…異様だったからだ。隣でそれに気付いた恋人の海馬も、ゴクリと喉を鳴らしたのがハッキリと聞こえて来た。
もう一人のオレは…全身を影に覆われていた。身体の隅々から湧き出して来た影が、まるで無数の蛇のようにその身体に巻き付いている。ウネウネと動き回る影に大人のオレは苦しそうに項垂れ、片手で額を覆いながらゼェゼェと苦しそうな呼吸を繰り返していた。夜の公園はとても薄暗かったけど、街灯の灯りでその顔色が酷く悪い事も分かる。冷や汗をボタボタと地面に垂らしながら、もう一人のオレはキッ…とオレ達に視線を向けた。
「よぉ…。やっと…来たな…海馬…」
心なしか、声にも覇気がない。息はどこまでも荒く、今にも倒れてしまいそうだ。
「待ってたぜ…海馬。あぁ…クソッ…! 早く…早くお前等を殺さないと…」
「城之内…」
「早く…殺さないと…オレが保たない…! 何だってコイツは…こんなに出て来ようとするんだ…っ! しつけーんだよ…!!」
「そうか…城之内。お前も闘っているのだな…」
「お前等が目の前にいるだけで…意識が浮上して来やがる…! 何でコイツは大人しくしてねーんだ…!!」
「今…助けてやるからな…城之内」
時計台に寄り掛かってガクガク震える身体を何とか立たせている、もう一人のオレ。全く会話が成り立っていない、別の世界から来た二人のオレ達の話を聞いて、オレと恋人の海馬は漸く合点がいった。
アレは…あの大人のオレが苦しんでいるのは、押し込められたもう一人のオレの本当の意識が、自分の身体を取り戻そうと抵抗しているからなんだ。その為潜り込んだ影は押し返され、まるで蛇のようになって身体から漏れ出ている。何とか身体の中に戻ろうとしても、それを阻害されて戻る事も出来ず、ただ身体の外側に纏わり付いているだけなんだ。
あの悪意の固まりである影が『海馬瀬人』という存在を消そうと躍起になっている理由が、身に染みて分かった。
駄目なんだ。きっと駄目なんだろう。どんなに強大な力で相手の意識を封じようとしたって、目の前に海馬が立っているだけで駄目なんだ。
だって城之内克也は海馬瀬人を愛しているから。何があろうと、どんな事が起きようと、海馬を愛して止まないから。海馬がいるだけで、それだけで闘う力と勇気が湧いてくるから。
だから駄目なんだろう。海馬が生きているだけで、あの影は完全に『城之内克也』を支配する事は出来無い。きっと永久に出来無いに違い無い。
それがオレにはよく理解出来た。もし自分があっちの立場だったら、きっと同じように必死に抵抗するに決まってるから。だって海馬が目の前に居て、何もしないでぼーっと助けを待つだけなんて…そんな情けない事は絶対出来無いし、ましてや操られた自分の身体で海馬の事を傷付けるなんて事…何があっても許せる筈が無い。
でもアイツは乗っ取られた直後、自分の意志に反して海馬を酷く傷付けてしまった。その事がどんなにアイツの心をズタボロにしただろう。SS+レベルという強大な能力者であるプライドと、そして愛する人を自らの力で傷付けてしまったという後悔と、それを抑止する事が出来無かった悔しさと情けなさと…。
大人のオレの気持ちが、直接オレに流れ込んで来るようだった。それくらい、オレはアイツの気持ちが理解出来た。
「馬鹿だな、あの影は…。オレ達を殺そうとする行為そのものが、余計に城之内の心に火を付けた事に気付いていないのか」
フラフラしている大人のオレをじっと見詰めながら、恋人の海馬がボソリと口に出した。その言葉にオレは無言で頷く。
そうだ。あの影はいつまでもしつこく抵抗を続ける大人のオレの意識を完全に押し込める為に、その原因となっている海馬瀬人という存在を消そうとした。だけどそれが逆に、力を失いかけていた城之内克也の意識に火を付けてしまったんだ。もう二度と海馬を傷付けたくないという気持ちが、ここまでしっかりと伝わってくる。
「殺す…! 絶対殺す…!! この身体はオレのものだ…!!」
蹌踉めきながら、大人のオレは身体全体に紅蓮の炎を点した。両手に炎で出来たシミターを作り出しギュッと握り込む。ゼェハァしながら構えを取るもう一人のオレの前に、大人の海馬は無言でゆっくりと近付いていった。そして自分も同じように青白い光を放ち、右手に光で出来た細長い片手剣を作り出して掴んだ。
「今…楽にしてやるぞ、城之内」
「ほざけ………っ!!」
静かな声で淡々と話しかけた海馬に大人のオレは激高して、地面を蹴って高く飛び上がった。一瞬の出来事に面喰らったけど、隣にいる海馬が「上だ!!」と叫んだのを聞いて慌てて視線を上げる。夏の星座が輝いている夜空に、真っ赤な炎に全身を包まれたもう一人のオレがそこにいた。
「海馬ぁ―――――――――――っ!!」
大声で叫んで、右手に持っていたシミターを大人の海馬に向かって振り下ろした。それを冷静に見据えた海馬は、ぐっと腰を下ろして片手剣を振り仰ぐ。そして上空から叩き付けられたシミターの刃を光の刃で受けきった。
「ぐっ………!!」
「こっ…のっ…! 死ね…っ!!」
飛び上がった勢いがある分だけ、海馬の方が少し押されている。ズザザッ…と二メートルほど身体が後ろに押されたけど、それでも海馬は倒れる事なく何とか踏ん張る事に成功した。
勢いを受けきった海馬が、逆に力を込めて相手の身体を押し返す。そして空中で中途半端な姿勢のままだった相手が蹌踉めいたのを見過ごさず、長い足を振りかざして強烈な後ろ回し蹴りを放った。蹴りは見事に『オレ』の腹に決まり、その身体はまた空中へと飛ばされる。大人のオレは慌てて重力操作の能力を使い、空中でフワリと一回転をすると時計台の上に足を下ろした。だけどやっぱり蹴られた腹が痛かったらしくて、片手で鳩尾を押さえながらガクリと片膝を着く。
「っ………うっ…!」
苦しそうな呻き声を上げて、ハァハァいいながら海馬を睨み付けている大人のオレ。そんなもう一人の自分を見ながら、オレも息苦しくなってきた。
………何て言うか、蹴られたのはオレじゃ無いんだけど…。何故だか自分が蹴られたような気がして、オレも何となく自分の腹を押さえてしまった。別に痛くも何とも無いんだけどさ。隣でチラリとオレを見遣った、恋人の海馬の目付きが微妙で居たたまれなかった…。
「闘っているのはアイツ等であって、オレ達では無いぞ」
「わ…分かってるよ…」
「だったら黙って見守ってやるのだな」
「それも分かってるけど…さ。それにしたってあの蹴り…強烈過ぎるだろ。アイツ本当に大人のオレを救いたいと思っているのか?」
「思っているのだろう? だからあの蹴りだったのだろうが」
「だからあの蹴りだったって、意味が分からないんだけど…。つーかあの本気蹴りじゃ、助ける前にむしろ死ぬ可能性もあるんじゃね?」
「大袈裟だな。あのくらいでは死にはしない。ちゃんと急所は外している」
「マジでっ!?」
「オレが言うのだから間違い無い」
目の前では相変わらず激しい闘いが続いていた。夏の夜空に青白い光と真っ赤な炎が飛び散る様は、いっそ幻想的ですらあったけど…オレはなかなか集中する事が出来無かった。
だって何か今…滅茶苦茶怖い事を聞いたような気がする…。アレが急所外ししてる蹴りなんだったら、コイツが本気になった場合の蹴りってどんなんだろうな?
隣の海馬はしっかりと腕組みをして、真剣な表情で二人の闘いを見守っている。その横顔をチラチラと見ながら、オレは密かに冷や汗を垂らしていた。
今もそうだけど…。ていうか、今まさに目の前で繰り広げられているから嫌でも分かるんだけど…。オレは絶対にコイツを本気で怒らせるような事はするまいと、深く心に誓った。だってそれ程までに、目の前で繰り広げられている闘いは凄まじかった。これが相手を『救う』為の闘いだなんて、知ってても信じられないくらいだ。どう見たって真剣勝負の殺し合いにしか見えない。
「これ…どっちかが死ぬんじゃねーか…?」
ついつい心配になってそんな弱気な事を言ったら、黙って闘いを見守っていた海馬がじろりとオレの事を睨んだ。そして「お前は信じていないのか?」と小さな声で問いかけて来る。
「信じて…?」
「そうだ。アイツ等の事をだ」
「………」
「ちゃんと言っていただろう。生きて皆で幸せになると。そう覚悟を決めていただろうが」
「うん。それは…そうだけど…」
「ならば余計な心配などせずに、黙って信じて見守っていれば良い」
「………。そう…だな。うん、そうだ」
「………」
「ゴメン。オレちょっとビビッてた」
「分かればいい」
淡々と語る海馬は、全く動じていなさそうに見えた。腕組みをしたまま、キツイ眼差しで上空を睨み付けている。実際はオレと同じようにビビっていたのかもしれないし、不安に思っているのかもしれない。でも海馬はそれを少しも表に出そうとせず、ただ黙って成り行きを見守っている。それが海馬なりの、アイツ等への信頼なんだなぁ…と思ったら、信じ切れていなかった自分を恥ずかしく思った。
「大丈夫。きっと大丈夫だ」
自分に言い聞かせるように呟いて、もう一度夜空を見上げた時だった。ふいに空中で闘っていた大人のオレと目が合った。
ドクンッ…と心臓が大きく跳ね上がって、頭が急激に熱くなる。まるで見えない何かに警告を貰ったかのようだった。
「そこ…か…!!」
「えっ………?」
「そこにも居たか!! 海馬ぁーーーっ!!」
正面から切りつけて来た大人の海馬を横目で睨み付け、青白い光の剣先を炎を纏わり付かせた左手のシミターで軽くなぎ払い、もう一人のオレは空中を蹴ってこっちに飛んで来た。
ほんの一瞬の出来事。だけどオレはその一瞬で、『オレ』が何をしようとしているのかを悟った。案の定、大人のオレは右手のシミターを握り締めて、オレの隣に立っている海馬に向かって振り下ろそうとしている。
「なっ………!?」
「や、止めろ城之内!!」
二人の海馬が同時に叫ぶ。オレは叫ぶ事すら出来無かった。だって言葉を放つ余裕なんてこれっぽっちも無かったから。そんな悠長な事してる暇があるんなら、一歩でも動いた方がいいに決まってる。
オレは一瞬で海馬の前に立ち塞がって、振り下ろされた炎の剣を両手で受け止めた。
「「城之内っ!!」」
前面と背後から、同時に名前を叫ばれる。
本当だったら熱くて痛い感覚がオレを襲う筈。だけどそんな感覚を感じる事は一切無かった。何故ならオレは…。
「な、何…っ!?」
「なぁ…おい、こんな事しても無駄だぜ…?」
「何だと…っ!?」
「お前がこっちに逃げて来たお陰で、どうやら能力がシンクロしちまったらしくてなぁ…。お前程じゃ無いけど、オレにも使えるようになったんだよ…」
「な…んっ…!?」
「お陰で痛くも痒くも無いぜ? お前を倒す事は出来無くても、こうして足止めする事くらいなら余裕で出来るんだからな…。全く…超能力様々ってところか?」
今オレは、目覚めたばかりの自分の超能力を発動していた。掌全体に炎を灯らせ、その掌で紅蓮のシミターを受け止めた。
確かに重い衝撃はあった。だけど炎で焼かれて火傷をする事も、それに切られて血を流す事も無かった。オレの掌を覆った炎が、大人のオレが作り出した炎を上手く中和していたからだ。それはオレ達が同じ『城之内克也』だという証明でもあった。例え違う世界に生まれ、今までを生きて来たとしても、オレ達は『城之内克也』にしかなり得ないって事なんだ。
「『お前』は『オレ』にはなれない…」
不良時代に鍛えたドスの効いた低い声で言葉を放つ。
「どんなに必死になったって、『オレ』は『オレ』でしか無い。他の誰かが成り代わる事なんて、出来やしないんだ。なぁ…そうだろ? もう一人の『オレ』?」
ニヤッと笑ってそう言ってやれば、目の前の『オレ』は酷く驚いて顔を引き攣らせた。だけど次の瞬間、汗まみれの顔で口元を歪ませて、ニヤリと微笑む。そして苦しい息の下から「あぁ、その通りだ」と自信有りげに呟いた。それはこの身体の持ち主である本当の『城之内克也』が出て来た瞬間でもあった。
「悪いな…。全然関係の無いお前達に…手伝われてしまったな…」
大人のオレの身体を覆う影は、いつの間にか凄い事になっていた。身体の表面を殆ど覆うかのようにうねる影に、まだ完全に自由を取り戻した訳じゃ無い事が知れる。大人のオレはヨロヨロと数歩後ろに下がると、重たい身体を何とか踏ん張って振り返った。そして背後で真っ直ぐに立ち尽くしている大人の海馬に向かって手を伸ばす。
「海馬…悪い。戻って来るの…ちょっと遅れちまったな…」
「何がちょっとだ。大分遅いぞ」
「ははは…そうだな。相変わらず…厳しい奴だなぁ…」
「………」
「どうすればいいのか…分かっているな?」
「………あぁ」
「ちゃんと…出来るな?」
「勿論だ」
もう一人のオレは海馬の言葉を聞いて、ふぅっ…と安心したように微笑みその場にガクリと膝を着いた。その様子を大人の海馬は黙って見詰め、そして右手に青白く光る片手剣を携えたままゆっくりと近付いて来た。そして『オレ』の前にしゃがみ込み、そっとその身体を抱き締める。恋人を労る優しい手付きに、それを見ていたオレは何だか泣きたくなって来てしまった。
大人のオレは海馬の腕の中で、すっかり安心したように目を閉じている。海馬は広い背中を二度三度撫でて、そしてその場所に光の剣の切っ先を当てた。
少し離れた所で、漠良が真剣な顔をして見守っているのが目に入って来る。だからオレは何も心配しなかった。青白い光の剣が、大人のオレと海馬の二人分の身体を真っ直ぐに貫いても、希望を失わずにいる事が出来たんだ。
絶賛死亡中の二礼です、こんばんは。
さ、流石に疲れた…www
身体くったくたで眠くて仕方無いのですが、10月8日から続いた怒濤の予定が全て無事に終わり、今は心が充実しております…w
取り敢えず先に、『KAIBALANDFES』でお世話になった方々にお礼をさせて下さいませ~!
アフターで楽しい時を過ごさせて頂いた、栗原さん、沢ノ井さん、祐文さん。
一緒にご飯を食べて、楽しいお話も一杯出来て、本当に楽しかったです。
ありがとうございました~!&お疲れ様でした~!
これからもツイッターではアホくさい話しかしないと思いますが、適当に流して下さると幸いです…w
開場してからすぐに来てくれた至ちゃん。
遅くまで連れ回してゴメンね~!!
でも色んなお話が出来て、すっごく楽しかったよ~(´∀`)
機会があったらまた一緒に遊ぼうね♪
あと、スケブも描いてくれて本当にありがとう~!!
大事にするよ~!(*´ω`*)
『REMS』さんではただの売り子に過ぎないのに、私にも話しかけて下さったり差入れを下さったいこさん、デジ子さん、発芽米子さん、藤あおいさん。
お会い出来て、マジで超嬉しかったです!!
ありがとうございました~!!
ツイッターやリンクとかで、これからも仲良くして貰えると嬉しいです~!!
今後もどうぞ宜しくお願いしますです~(*´д`*)
ていうか、テンション高過ぎて気持ち悪く無かったですか?
普段からあんな感じなんで、余り気にしないで下さいませ…w
ちなみに今もテンション落ちていません…w
どんだけだよ!!
身体はヘトヘトで眠くて仕方無いのにね…(´∀`;
でもイベント楽しかった!!
超楽しかった!!
この雰囲気が好きだから、イベント参加が止められないんだよね~!
お宝も一杯買っちゃったしね~w
あの暑い最中頑張っていらしたスタッフの方や、一般参加した方々も本当にお疲れ様でした~!
本当に本当に楽しかったです。
色んな方に感謝感謝です!
ありがとうございました~!!(*´∀`*)
最後に散たん。
怒濤の5日間…本当にお疲れ様でした…w
お陰様で私も物凄く楽しい毎日でした~!
寄る年波には勝てなくて、私の身体もボロボロですが、遠くから来た散たんはもっとボロボロだと思います…w
帰ったらゆっくり休んで下さい。
そしてこれからも一緒に頑張りましょう!!
妹さん達にもお礼を言っておいて下さい。
一緒に沢山遊べて滅茶苦茶楽しくて幸せでした(*´д`*)
コミケやスパコミでまたお会いした時には宜しくとお伝え下さいませ~w
あ、あと頭もふもふはこっちも気持ち良いので止められません。
あしからず…(´ω`)
連休中の出来事とかも書きたいのですが、今日は取り敢えずこの辺で…。
眠くて怠くてウトウトしているので、後はゆっくりしたいと思います。
イベント会場から送った荷物も無事に届いた事だし、お風呂入ってお宝読むZE!!(………あれ?)
それじゃぁ最後に叫んで今日の日記は締めさせて貰おうかな~。
海馬社長最高ーーーーーっ!!
そんな感じで、イベント熱冷めやらぬ二礼でした~w
………つかマジで、そろそろ小説書かないとな…(´_ゝ`;
以下は拍手のお返事でございまっす!(´∀`)
>ねこま様
お久しぶりです、こんばんは~!
拍手とコメント、どうもありがとうございました~(´ω`)
KAIBALANDFESは一般で参加されたんですよね?
どうでしたか? 楽しまれましたか?
良いお買い物は一杯出来たでしょうか…w
イベント当日は本当に良いお天気で気温も高くて、外で並んで待っていた一般の方達は本当に大変だったと思います。
それでもあの大盛況ぶり…。
本当に社長パワーは凄いなと、売り子をしながらひしひしと感じておりました…w
私も沢山のお宝をゲットして萌えとやる気を100%充填致しましたので、これから気合いを入れてサイトの更新をしていこうと思っています!
ねこま様がお時間がある時にでも、また遊びに来てやって下さいませ~(*´д`*)
それではこれで失礼致します。
ではまた~(・∀・)ノシ
休憩中の二礼です、こんばんは。
お久しぶりです~!!
無事に生きてます、二礼しげみです(´∀`)
暫く更新が出来ず申し訳ございませんでした。
サイトの方は来週から本格的に再開しようと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。
で、9月の後半は何をやっていたのかと言いますとね…。
実はREMSの散たんが10月11日に開催される『海馬瀬人オンリーイベントKAIBALAND FES』に出す本に、ゲストとして参加させて頂く事になったんです!
お話を頂いたのはGWの頃でしたが、紆余曲折あって秋に出す事が決定致しましたので、9月の中旬頃からその原稿をやっていました。
お陰様で私の原稿は無事に上がり、散たんの原稿の文字校正作業も終了したので、漸く修羅場から脱出する事が出来ました…w
長編小説の方は暫く放って置いた所為か、ちょっと頭の整理が付かないので、今改めてプロットを纏めている最中でございます。
来週には連載再開出来ると思います。
毎回読んで下さっていた皆様にはお待たせしてしまって、大変申し訳ございませんでした。
また気合いを入れ直して書いていきたいと思っています!(`・∀・´)
という訳で、ちょっと宣伝です。
今回REMSさんの新刊は
『暴力的なカノジョ』と『例えばこんな2人の話』
の2点となります。
私がゲスト参加したのは、『例えばこんな2人の話』の方ですが、もし良かったら散さんの美麗な本編を読んだ後にでも、ちょろっと読んで頂けると幸いです(*´∀`*)
ていうか、両方とも表紙が凄いんですけど…w
『暴力的なカノジョ』の方は球形ラピスラズリの桜井至ちゃん、そして『例えばこんな2人の話』の方は散たんの妹さんが描いていらっしゃいます。
どちらのイラストも、もう本当に素敵で…。
見てるだけで涎が出そうです…w(ジュルリ)
イベントの当日にこの新刊を手に取れるのを、私も今からとても楽しみにしております!!(´∀`)
それから海馬オンリーでは、私は今回も散たんのサークルで売り子としてお手伝いする事が決まっています。
普段はネット上でしかお会い出来ない方達に直接ご挨拶出来る事を、今からとても心待ちにしております!
当日、無駄にテンションが高い年食ったお姉ちゃんが話しかけて来ても、余り怖がらないで下さいませ…w
大丈夫!! とって食いやしませんよ…w フフフ…(´¬`)
12日の火曜日には、イベントの様子なども含めた日記を上げようと思っています。
そして14日の木曜日から本格再開したいと思っています!!
9月23日以降、全く更新が無かったのにも関わらず、毎日拍手を頂けていた事…。本当に心から感謝しております!!
忙しい毎日の中で、その拍手を見る度に何度も癒されました…(*´д`*)
返信不要のコメントをして下さった御方も、本当にありがとうございました~!!
貴女のその一言で、心がとても温かくなり、そして強く励まされました…!!
今後も無理だけはしないように頑張っていきたいと思います!
どうぞこれからも宜しくお願い致しますです~!!